説明

情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体

【課題】よりユーザフレンドリーな通知を実現できる情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体を提供すること。
【解決手段】本発明による情報通知装置1は、一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する判断手段2cと、判断手段2cが他の情報が一の情報よりも優先度が高いと判断する場合に、他の情報を一の情報に優先させて通知する通知手段2dと、一の情報の後通知必要度を判定する判定手段2eを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される例えばカーナビゲーションシステム等において、よりユーザフレンドリーなシステムを構築することができる情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においてはユーザの利便性の向上のため、カーナビゲーションシステムが搭載されるケースが多い。このようなシステムにおいては、一般に、ユーザが目的地を入力した後、車両の現在の位置に基づいて経路が探索され、地図情報とともに経路がユーザに通知される。ユーザにより車両が経路に沿って運転されると、経路上の交差点を主とした案内情報が適宜ユーザに通知される。
【0003】
経路を車両が進行している途中においては、案内情報以外の情報を適宜通知する必要が生じる場合がある。このような場合に対応する技術として、例えば特許文献1に記載されたような技術がある。
【0004】
特許文献1においては、ナビゲーション画像からナビゲーションに関連しない情報を含むポップアップ画像を表示するにあたり、表示中のナビゲーション画像に設定されている優先度を検出して、ポップアップ画像の優先度と比較している。ポップアップ画像がナビゲーション画像よりも優先する場合、ポップアップ画像をナビゲーション画像に合成して表示し、ナビゲーション画像の方が優先される場合には、ホップアップ画像の表示がスキップされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−161049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術においては、二以上の情報の通知要求が発生した場合に、優先度の高い情報をポップアップ画像により規定時間通知した後に、優先度の低い情報がナビゲーション画像により通知されることとなる。この場合に、後で通知される優先度の低い情報が、規定時間経過後には通知すべきタイミングを経過した情報となる場合があり、運転者にとって必要のない情報を通知して、運転者に煩わしさや冗長感を与えることを招く。すなわち、従来技術においては、よりユーザフレンドリーなシステムを構築できていないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、よりユーザフレンドリーな通知を実現できる情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明による情報通知装置は、
一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記他の情報が前記一の情報よりも前記優先度が高いと判断する場合に、前記他の情報を前記一の情報に優先させて通知する通知手段と、
前記一の情報の後通知必要度を判定する判定手段を含むことを特徴とする。
【0009】
上記の問題を解決するため、本発明による情報通知方法は、
一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する判断ステップと、
当該判断ステップにおいて前記他の情報が前記一の情報よりも前記優先度が高いと判断される場合に、前記他の情報を前記一の情報に優先させて通知する通知ステップと、
前記一の情報の後通知必要度を判定する判定ステップを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明によるプログラムは前記情報通知方法を実行するものであり、本発明による媒体は前記プログラムを記憶したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、よりユーザフレンドリーな通知を実現できる情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施例1の情報通知装置1の一実施形態を示す模式図である。
【図2】実施例1の情報通知装置1における一の情報と他の情報(情報Aと情報B)の発生の時系列態様を示す模式図である。
【図3】実施例1の情報通知装置1における制御において用いられるマップである。
【図4】実施例1の情報通知装置1における制御内容について示すフローチャートである。
【図5】実施例1の情報通知装置1において用いられる表示画面についての例示である。
【図6】本発明に係る実施例2の情報通知装置1の一実施形態における制御において用いられるマップである。
【図7】実施例2の情報通知装置1の一実施形態における制御内容について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例1の情報通知装置1は、図1に示すように、車両に備えられる制御コンピュータ2(カーナビゲーションECU:Electronic Control Unit)を含む。制御コンピュータ2には、GPSセンサ3(Global Positioning System:全地球測位システム)と、ヨーレートセンサ4と、ステアリングセンサ5と、受信機6と、データ記憶装置7と、ディスプレイ8と、スピーカ9と、時計10が接続される。
【0015】
さらに、制御コンピュータ2には、車両内のブレーキECU11等の他のECUを含む車載機器が、CAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。本実施例1においてこの車載機器は、プリクラッシュセーフティーシステム、クリアランスソナーシステム、ETCシステム、後方カメラ画像通知システム、ハイブリッドシステム、エンジンECU、ハンズフリー電話システムを含んでいる。
【0016】
ブレーキECU11は、例えばCPU、ROM、RAM、EEPROMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、制動系統を制御する。ブレーキECU11は、各車輪の車輪速センサから車速を演算しており、車速を含むデータフレームを適宜制御コンピュータ2に送信する。
【0017】
制御コンピュータ2は、例えばCPU、ROM、RAM、EEPROMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う探索手段2a、表示手段2b、判断手段2c、通知手段2d、判定手段2eとして機能する。
【0018】
GPSセンサ3は、地球上空に打ち上げられた複数の衛星の内三個の衛星からの電波を受信する。これらの電波をもとに、制御コンピュータ2の探索手段2aは、例えば三角測量の原理で車両の位置つまりは経度と緯度を測定する。
【0019】
ここで、ヨーレートセンサ4は車両のヨーレートを検出するものであり、ステアリングセンサ5は車両の図示しない操舵装置に設けられて操舵角を検出するものである。データ記憶装置7は例えばハードディスク、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体により構成され、表示用の地図情報と、探索用の地図情報及び情報が重複して発生した場合の後通知対象となる情報についての「後通知必要度」つまり「鮮度」に関連する関連情報を格納し記憶している。また、データ記憶装置7は本発明に係るプログラムを記憶する媒体をも構成している。
【0020】
また、ディスプレイ8は、タッチパネルとしても用いられ、運転者が目的地等の探索条件と後述するカスタマイズの希望を入力する入力装置としても機能する。運転者により入力された目的地をもとに制御コンピュータ2の探索手段2aが探索用の地図情報に基づいて目的地までの経路を探索する。
【0021】
さらに、受信機6は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの道路情報を受信する。
【0022】
制御コンピュータ2の探索手段2aは、ブレーキECU11から取得した車速とヨーレートセンサ4が検出したヨーレート、ステアリングセンサ5が検出した操舵角をもとにして、車両の移動距離と方向を計算して車両の位置をINS(Inertial Navigation System:慣性航法システム)により測定して、車両が高層ビルの合間やトンネル内に位置していてGPSセンサ3が衛星から電波を受信できない場合における位置を補完する。
【0023】
そして、制御コンピュータ2の表示手段2bは、データ記憶装置7内の表示用の地図情報と、上述した方法により測定した車両の位置と、タッチパネルすなわちディスプレイ8により入力された目的地と、探索手段2aにより探索された経路に関する情報とを、表示用の地図情報とともにディスプレイ8に表示する。
【0024】
制御コンピュータ2の判断手段2cは、同時に又は時系列的に近接して発生した一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する。本実施例1においては、図2上段に示すように情報Aと情報Bが同時に発生する場合、図2中段に示すように情報Aの発生後で情報Aの通知前に情報Bが発生する場合、図2下段に示すように情報Aの発生後で通知開始後から通知終了までに情報Bが発生する場合の全てを対象としている。
【0025】
なお、情報Aが情報Bよりも通知するにあたっての優先度が高い場合には、情報Aが「他の情報」に該当し、情報Bが「一の情報」に該当する。これとは逆に、情報Bが情報Aよりも通知するにあたっての優先度が高い場合には、情報Bが「他の情報」に該当し、情報Aが「一の情報」に該当する。
【0026】
判断手段2cが「他の情報」が「一の情報」よりも優先度が高いと判断する場合には、通知手段2dは「他の情報」を「一の情報」に優先させて先に通知するとともに、判定手段2eは、「一の情報」の後通知必要度、つまり「他の情報」を通知した後であって「一の情報」が発生してから時間、距離が経過した後において通知することの必要度の高低、換言すれば「鮮度」の高低を判定する。判定手段2eが、「一の情報」の後通知必要度が低いと判定する場合には、通知手段2dは「一の情報」を通知しない。
【0027】
本実施例1において、判定手段2eは、一の情報のデータフレームが含む後通知必要度に関連する関連情報に基づいて、後通知必要度の高低を判定する。ここで、関連情報とは、図3に示すようなマップであって、一の情報の種類に基づいて予め定められた有効残時間と有効残距離を含むものである。本実施例1においては、図3に示すように、一の情報を「事故回避」、「違反」、「故障」、「ナビ情報」の四種類の大項目に分類し、大項目に属するそれぞれの情報について、それぞれ有効残時間と有効残距離が定められている。
【0028】
判定手段2eは、一の情報の発生時から他の情報の通知の終了時点までの経過時間Tと車両の走行距離Lを取得するとともに、経過時間Tが有効残時間Tthを超えているか否かと、走行距離Lが有効残距離Lthを超えているか否かに基づいて、後通知必要度の高低を判定する。このことは、経過時間Tが有効残時間Tthを超えている、又は、走行距離Lが有効残距離Lthを超えている場合には、一の情報はユーザにとって既に知る価値のない情報であり、通知する価値は既に失われており、「鮮度」「通知必要度」は低いという知見に基づく。
【0029】
図3のマップ中の有効残時間について2.0secや、15.0sec、1.0min、∞の具体的時間が規定されている場合には、有効残時間Tthは、規定された具体的時間に設定される。図3のマップ中の有効残時間について「ETC(カード)が挿入されるまで」「シフトがRレンジ以外に設定されるまで」「車両が停止するまで」「異常がなくなるまで」「着信呼び出しが終了するまで」等の「所定の条件が成立するまで」と規定されている場合には、一の情報の発生時から「所定の条件が成立した時」までの時間が有効残時間Tthとして設定される。
【0030】
この「所定の条件が成立した時」については判定手段2eがCAN上から取得する種々のデータフレームと時計10からのデータフレームにより演算して取得するものとする。なお、他の情報の通知終了時、つまり鮮度の判定時において「所定の条件が成立していない」場合には、有効残時間Tthは∞に設定される。
【0031】
図3のマップ中の有効残距離について100mや、5.0km、∞の具体的距離が規定されている場合には、有効残距離Lthは、規定された具体的距離に設定される。図3のマップ中の有効残距離について「障害物がなくなるまで」「信号を通過するまでで」等の「所定の条件が成立するまで」と規定されている場合には、一の情報の発生した車両の位置から所定の条件が成立した時の車両の位置までの走行距離が有効残時間Tthとして設定される。
【0032】
この「所定の条件が成立した時」については判定手段2eがCAN上から取得する種々のデータフレームと時計10からのデータフレームにより演算して取得するものとし、位置については探索手段2aから適宜取得するものとする。なお、他の情報の通知終了時、つまり判定時において「所定の条件が成立していない」場合には、有効残距離Lthは∞に設定される。本実施例1においては、上述した有効残時間Tth及び有効残距離Lthの設定処理は判定手段2eにより行うものとするが、個別の制御主体として設定手段を具備してもよい。
【0033】
上述した設定処理は車両の走行中においてリアルタイムで行う場合を示している。但し、この設定処理については、大項目「故障」に属する項目以外については、過去の走行における取得データから「所定の条件が成立するまでの時間又は距離」の実績値の例えば平均値を予め求めて走行前に適宜設定するものとしてもよい。走行前に設定する場合には、「所定の条件が成立していない」場合を考慮することなく、有効残時間Tth、有効残時間Tthともに有限値である平均値に設定される。
【0034】
なお、図3中最も優先度の高い項目である「プリクラッシュセーフティー接近警報」については、他の項目に対して常に優先度が高いため、他の項目に対しては後通知の対象となる「一の情報」となることはない。但し、本項目は車両の「前方向」に対する警報と「後方向」に対する警報の二つを含んでおり、これら相互間においては「前方向」に対する警報の優先度が高く、「後方向」に対する警報は後通知の対象となる「一の情報」となり得る。これに加えて「側方」に対する警報をさらに含む場合には、「側方」の優先度を本項目内においては最も低いものとする。
【0035】
以下に以上述べた本実施例1の情報通知装置1の制御内容を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0036】
図4のステップS1に示すように、一つ目の情報Aが発生し、この情報Aの発生を制御コンピュータ2の判断手段2cが検出し、ステップS2において、二つ目の情報Bが発生し、この情報Bの発生を判断手段2cが検出する。
【0037】
ステップS3において、判断手段2cは、情報Aの方が情報Bよりも優先度が高いか否かを図3に示したマップを用いて判断する。より具体的には図3に示すマップ内の情報Aの項目における優先度の数字が情報Bにおける優先度の数字よりも小さい場合に肯定と判断される。
【0038】
例えば、図3のマップ中の大項目「ナビ情報」中の「ハンズフリー着信通知」が情報Aであり、「ナビ一般通知」が情報Bであれば、情報Aの優先度の数字は33で情報Bの優先度の数字は36であるため、情報Aは情報Bよりも優先度が高く、ステップ3においては、肯定と判断される。この場合、情報Aが「他の情報」に該当し、情報Bが「一の情報」に該当する。
【0039】
また、図3のマップ中の大項目「ナビ情報」中の「ナビ一般通知」が情報Aであり、大項目「事故回避」中の「プリクラッシュセーフティー接近情報」が情報Bであれば、情報Aの優先度の数字は36で情報Bの優先度の数字は1であるため、情報Aは情報Bよりも優先度が低く、ステップ3においては、否定と判断される。この場合、情報Bが「他の情報」に該当し、情報Aが「一の情報」に該当する。ステップS3において、肯定と判断されればステップS4にすすみ、否定と判断されればステップS10にすすむ。
【0040】
ステップS4において、通知手段2dは、情報Bをデータ記憶装置7のスタックに格納し、ステップS5において、通知手段2dは、情報Aの通知を表示手段2bの制御のもとディスプレイ8及びスピーカ9を用いて行う。
【0041】
ステップS6において、判定手段2eは、通知手段2dによる情報Aの通知が終了したか否かを判定し、肯定である場合にはステップS7にすすみ、否定であればステップS5の手前に戻る。
【0042】
ステップS7において、判定手段2eは、ステップS2からステップS6までの経過時間TBと走行距離LBを取得し、ステップS8において、図3に示したマップを用いて、経過時間TBと走行距離LBとマップ内の項目毎の関連情報との参照に基づいて、TB>Tth又はLB>Lthであって情報Bの鮮度が低いか否かを判定する。例えば上述したように、「ハンズフリー着信通知」が情報Aであり、「ナビ一般通知」が情報Bであれば、情報Bが「一の情報」に該当し、有効残時間Tthは1.0minで、有効残距離Lthは5.0kmと設定されている。
【0043】
ステップS8において、情報Bの鮮度が低いと判定され肯定と判定される場合には、既にユーザに通知する価値が失われているものとみなし、ステップS9の処理をとばしてENDにすすみ、通知手段2dは通知を行わない。ステップS8において、否定と判定され鮮度が高いと判定される場合には、ステップS9にすすんで、通知手段2dは情報Bを通知する。
【0044】
ステップS10において、通知手段2dは、情報Aをデータ記憶装置7のスタックに格納し、ステップS11において、通知手段2dは、情報Bの通知を表示手段2bの制御のもとディスプレイ8及びスピーカ9を用いて行う。
【0045】
ステップS11において、判定手段2eは、通知手段2dによる情報Bの通知が終了したか否かを判定し、肯定である場合にはステップS13にすすみ、否定であればステップS11の手前に戻る。
【0046】
ステップS13において、判定手段2eは、ステップS1からステップS12までの経過時間TAと走行距離LAを取得し、ステップS14において、図3に示したマップを用いて、経過時間TAと走行距離LAとマップ内の項目毎の関連情報との参照に基づいて、TA>Tth又はLA>Lthであって情報Aの鮮度が低いか否かを判定する。例えば上述したように、情報Aが「ナビ一般通知」であり、「プリクラッシュセーフティー接近情報」が情報Bであれば、情報Aが「一の情報」に該当し、有効残時間Tthは2.0secに、有効残距離Lthは∞に設定されている。
【0047】
ステップS14において、鮮度が低いと判定され肯定と判定される場合には、既にユーザに通知する価値がないものとし、ステップS15の処理をとばしてENDにすすみ、通知手段2dは通知を行わない。ステップS14において、否定と判定され鮮度が高いと判定される場合には、ステップS15にすすんで、通知手段2dは情報Aを通知する。
【0048】
上述した図4に示すフローチャートを順次実行することにより本発明に係る情報通知方法が実行される。
【0049】
以上述べた本実施例1の情報通知装置1及びこれにより実行される情報通知方法によれば以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、図2に示したような二以上の情報A、Bの通知要求が発生した場合に、優先度の高い情報をこの情報の通知に要する所要時間通知した後に、優先度の低い情報について通知する必要性、つまり「鮮度:後通知必要性」の高低を判定することができる。この判定に基づいて、「鮮度」の低い情報については通知しない扱いとすることができる。
【0050】
つまり、後で通知される優先度の低い情報が、所要時間経過後には通知すべきタイミングを経過した有益でない情報となる場合においては、運転者にとって必要のない情報として通知しないものとし、運転者に煩わしさや冗長感を与えることを避けることができる。すなわち本実施例1においては、乗員に通知する情報の発生から通知終了までの間に、他の情報が発生した場合の情報通知及び情報相互間の調停にあたって、よりユーザフレンドリーなシステムを構築することができる。
【0051】
加えて、本実施例1においては、情報Aと情報Bをそれぞれ別個に画面表示することとなるので、例えば、画面分割を行うことや、ホップアップ画像を用いて重複して表示することに比べて、ユーザの注意力が散漫になることを防止することができる。
【0052】
なお、本実施例1において使用した図3に示したマップ内の関連情報について、有効残時間Tth及び有効残距離Lthについて、判定手段2e又は設定手段により設定するものとしたが、ユーザによるカスタマイズに適した項目については、ユーザ自身により予め設定することもできる。
【0053】
この場合には、例えば、図5左に示すような案内画面を、走行前にユーザがイグニッションキーをオンとしたタイミングでディスプレイ8に表示し、本実施例1の情報通知装置1が情報発生重複時において後通知に関する関連情報をカスタマイズ可能であり、カスタマイズの希望を選択可能であることをユーザに報知する。
【0054】
この図5左においてユーザがタッチパネル機能を有するディスプレイ8上のYESに指を触れて、希望有りを選択すると、図5右に示すように、カスタマイズすることが適切な項目を表示し、それぞれUPまたはDOWNを選択できる表示画面を表示して、ユーザに関連情報を調節させることができる。これにより、さらにユーザフレンドリー性を高めることができる。
【0055】
特に、本実施例1においては、情報の鮮度の判定にあたり、情報の発生からの経過時間Tと走行距離Lをリアルタイムで演算し、経過時間Tと走行距離Lの増加により有効残時間Tth及び有効残距離Lth近傍にてステップ状に急激に高から低へと変化する鮮度をより正確に評価して、鮮度の高低の判定をより正確なものとすることができる。これによって、よりユーザの感覚に合致させた通知を実現することができる。
【0056】
加えて、鮮度判定の基準となる図3に示したマップの有効残時間Tthと有効残時間Tthについても項目毎の性質に基づいて適切に設定したものとし、リアルタイムで演算したものあるいは過去の走行に基づいた実測値とすることにより、より正確な鮮度判定を行うことができる。
【0057】
また、上述した実施例1においては、制御コンピュータ2が扱う情報の全てが関連情報を具備している形態を示したが、情報の全てが関連情報を具備している必要はなく、関連情報を具備しない情報が含まれる場合には、以下の扱いとすることができる。
【0058】
すなわち、図4に示したフローチャートのステップS4の手前において情報Bが関連情報を具備しているか否かを判定し、具備していない場合には、ステップS4の処理を行わずに情報Bのスタックへの格納を行わないこととし、ステップS8の鮮度判定、ステップS9の情報Bの通知も行わないこととすることができる。
【0059】
同様に、図4に示したフローチャートのステップS10の手前において情報Aが関連情報を具備しているか否かを判定し、具備していない場合には、ステップS10の処理を行わずに情報Aのスタックへの格納も行わないこととし、ステップS14の情報Aについての鮮度判定、ステップS15の情報Aについての通知も行わない扱いとすることができる。
【0060】
なお、図4に示したフローチャートにおいては、説明の便宜上、図2に示した情報Bの発生形態のうち、図2上段と図2中段に示すように情報Aの発生から情報Aの通知までの間に情報Bが発生する形態に対応したものとしている。図2下段に示すように、情報Aの通知開始から通知終了までの間に情報Bが発生する形態においては、ステップS1とステップS2の間に情報Aの通知の前半部分が挿入されることとなる。
【0061】
ここで、特には情報Bの方が情報Aよりも優先度が高い場合には、挿入されたステップにおいて情報Aの前半部分が通知され、ステップS12において情報Bが通知され、ステップS15における情報Aの後半部分の通知はステップS14において情報Aの鮮度が高いと判定される場合のみに実行されることとなる。例えば、図3で示す「ナビ一般通知」が情報Aで、「ハンズフリー着信通知」が情報Bであるケースである。
【0062】
このように一旦通知が開始された情報Aに対して、より優先度の高い情報Bを割り込ませて通知を行った後に、情報Aの残部分つまり後半部分を通知するにあたっては、残部分の鮮度の判定を行い、鮮度が低く通知する価値がない場合には通知を行わないこととすることができる。これにより、ユーザが違和感を覚えることより効果的に防止できる。
【0063】
上述した実施例1においては、図3に示したマップ内の「鮮度」「後通知必要度」に関連する関連情報は、判定手段2e又は設定手段によりリアルタイムで又は予め学習する形態としているが、より簡便な手法として、項目毎に「鮮度」の高低を予め固定値として規定し、この固定値を用いて鮮度判定を行うこととしてもよい。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0064】
本実施例2の情報通知装置1のハード構成は実施例1に示したものと同等であるため、重複する説明は割愛する。本実施例2の情報通知装置1は、図3に示したマップに換えて、図6に示すマップをデータ記憶装置7内に予め格納している。つまり、図6に示される関連情報は、一の情報の種類と性質に基づいて予め定められた鮮度の高低つまり要否を含むものである。図6のマップ中においては鮮度が高いものを「H」とし、低いものを「L」としている。なお、図6の各項目の優先度に関する数値は図3に示したものと同じである。
【0065】
つまり、本実施例2においては、制御コンピュータ2の判定手段2eは、情報A又は情報Bについて、固定値である鮮度が「L」で低いか否かを、図6に示すマップの項目二基づいて判定する。
【0066】
以下に以上述べた本実施例2の情報通知装置1の制御内容を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0067】
図7のステップS1に示すように、一つ目の情報Aが発生し、この情報Aの発生を制御コンピュータ2の判断手段2cが検出し、ステップS2において、二つ目の情報Bが発生し、この情報Bの発生を判断手段2cが検出する。
【0068】
ステップS3において、判断手段2cは、情報Aの方が情報Bよりも優先度が高いか否かを図6に示したマップを用いて判断し、肯定であればステップS4にすすみ、否定であればステップS10にすすむ。
【0069】
ステップS4において、通知手段2dは、情報Bをデータ記憶装置7のスタックに格納して、ステップS5において、通知手段2dは、情報Aの通知をディスプレイ8及びスピーカ9を用いて行う。
【0070】
ステップS6において、判定手段2eは、通知手段2dによる情報Aの通知が終了したか否かを判定し、肯定である場合にはステップS8−1にすすみ、否定であればステップS5の手前に戻る。
【0071】
ステップS8−1において、判定手段2eは、図6に示したマップを用いて、情報Bが属する項目とマップ内の項目毎の関連情報との参照に基づいて、情報Bの鮮度がLであり低いか否かを判定する。鮮度が低いと判定される場合には、ユーザへの通知は不要とする扱いとして、ステップS9の処理をとばしてENDにすすみ、通知手段2dは情報Bの通知を行わない。ステップS8−1において、鮮度が高いと判定される場合には、ステップS9にすすんで、通知手段2dは情報Bを通知する。
【0072】
ステップS10において、通知手段2dは、情報Aをデータ記憶装置7のスタックに格納し、ステップS11において、通知手段2dは、情報Bの通知を表示手段2bの制御のもとディスプレイ8及びスピーカ9を用いて行う。
【0073】
ステップS11において、判定手段2eは、通知手段2dによる情報Bの通知が終了したか否かを判定し、肯定である場合にはステップS14−1にすすみ、否定であればステップS11の手前に戻る。
【0074】
ステップS14において、判定手段2eは、図6に示したマップを用いて、情報Aの属する項目とマップ内の項目毎の関連情報との参照に基づいて、情報Aの鮮度が「L」で低いか否かを判定する。鮮度が低いと判定される場合には、既にユーザに通知する価値がなくなったとみなし、ステップS15の処理をとばしてENDにすすみ、通知手段2dは通知を行わない。ステップS14−1において、否定と判定され鮮度が高いと判定される場合には、ステップS15にすすんで、通知手段2dは情報Aを通知する。
【0075】
上述した図7に示すフローチャートを順次実行することにより本発明に係る情報通知方法が実行される。
【0076】
以上述べた本実施例2の情報通知装置1及びこれにより実行される情報通知方法によれば実施例1と同様に以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、図2に示したような二以上の情報A、Bの通知要求が発生した場合に、優先度の高い情報を通知した後に、優先度の低い情報について通知する必要性、つまり「鮮度:後通知必要性」の高低を図6に示したマップに基づいて判定して、「鮮度」の低い優先度の低い情報については通知しない扱いとすることができる。
【0077】
つまり本実施例2においては、後で通知される優先度の低い情報が、規定時間経過後には通知すべきタイミングを経過した有益でない情報となる場合においては通知しないものとし、運転者に煩わしさや冗長感を与えることを、より簡易な制御内容にて防止できる。特に図7のフローチャートに示されるように、図4に示したものに比べて、ステップS7、ステップS13の処理を省略でき、ステップS8及びステップS14についてもより簡略化したものとすることができ、制御コンピュータ2の処理負荷を軽減することができる。
【0078】
なお、本実施例2において使用した図6に示したマップ内の関連情報についても、実施例1と同様に、ユーザによるカスタマイズに適した項目については、ユーザ自身により予め設定することとすることもできる。
【0079】
この場合においても、カスタマイズが可能である旨の案内画面を、走行前にユーザがイグニッションキーをオンとしたタイミングでディスプレイ8に表示し、ユーザがカスタマイズ希望有りを選択すると、カスタマイズすることが適切な項目を表示し、それぞれHとLを選択できる表示画面を表示して、ユーザに関連情報を選択させることができる。
【0080】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0081】
例えば、上述した実施例においては制御コンピュータ2に対して独立した時計10を用いて時間の計測を行っているが、制御コンピュータ2内の時計機能を用いることもできる。また、図3に示した優先度と鮮度の数値と条件、図6に示した優先度と鮮度の具体例は、あくまで例示的なものである。
【0082】
また、上述した実施例においては、鮮度が低いと判定された優先度の低い情報の通知については、ディスプレイ8による表示とスピーカ9による音声案内の双方において実行しないこととしているが、例えば、表示のみを実行しないこととし、音声案内についてはボリュームを落として実行するものとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、よりユーザフレンドリーな通知を実現できる情報通知装置、情報通知方法、プログラム及び媒体を提供することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【符号の説明】
【0084】
1 情報通知装置
2 制御コンピュータ
2a 探索手段
2b 表示手段
2c 判断手段
2d 通知手段
2e 判定手段
3 GPSセンサ
4 ヨーレートセンサ
5 ステアリングセンサ
6 受信機
7 データ記憶装置
8 ディスプレイ
9 スピーカ
10 時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する判断手段と、当該判断手段が前記他の情報が前記一の情報よりも前記優先度が高いと判断する場合に、前記他の情報を前記一の情報に優先させて通知する通知手段と、前記一の情報の後通知必要度を判定する判定手段を含むことを特徴とする情報通知装置。
【請求項2】
前記後通知必要度が低いと前記判定手段が判定する場合に、前記通知手段が前記一の情報を通知しないことを特徴とする請求項1に記載の情報通知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記一の情報が含む前記後通知必要度に関連する関連情報に基づいて、前記後通知必要度を判定することを特徴とする請求項2に記載の情報通知装置。
【請求項4】
前記関連情報は前記一の情報の種類に基づいて予め定められた有効残時間と有効残距離を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報通知装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記一の情報の発生時から前記他の情報の通知の終了時点までの経過時間と車両の走行距離を取得するとともに、当該経過時間が前記有効残時間を超えているか否かと、前記走行距離が前記有効残距離を超えているか否かに基づいて、前記後通知必要度を判定することを特徴とする請求項4に記載の情報通知装置。
【請求項6】
前記関連情報は前記一の情報の種類に基づいて予め定められた前記後通知必要度の高低を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報通知装置。
【請求項7】
一の情報と他の情報のいずれの優先度が高いかを判断する判断ステップと、当該判断ステップにおいて前記他の情報が前記一の情報よりも前記優先度が高いと判断される場合に、前記他の情報を前記一の情報に優先させて通知する通知ステップと、前記一の情報の後通知必要度を判定する判定ステップを含むことを特徴とする情報通知方法。
【請求項8】
前記後通知必要度が低いと前記判定ステップにおいて判定される場合に、前記通知ステップにおいて前記一の情報を通知しないことを特徴とする請求項7に記載の情報通知方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の情報通知方法を実行するプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶した媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123621(P2012−123621A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273738(P2010−273738)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】