説明

情報配信システム、サーバ装置、情報配信システムの制御方法、制御プログラム、記録媒体

【課題】複合商業施設において特定のエリアに利用者が偏ってしまうことを抑制可能な情報配信システムを提供する。
【解決手段】情報配信システム100のサーバ装置30は、複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末200の現在位置の滞在時間が所定時間以上の場合に前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアの店舗に関するクーポンを携帯端末200に配信するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が携帯している携帯端末に対してコンテンツ等の情報を配信する情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複合商業施設として、カジノエリア、レストランエリア、アミューズメントエリア(劇場、映画館等)、ファッションエリア(洋服店等)、美容エリア(美容室、エステ等)、雑貨店エリア等を設置しているリゾートホテルが知られている。このようなリゾートホテルにおいて、各エリアに属する店舗に関するコンテンツ(例えば広告や割引クーポン)を宿泊客に配布すれば、各エリアの利用者増を期待できる。
【0003】
そして、コンテンツを配布する手法としては、以下の特許文献1に示すように、GPS(Global Positioning System)を用いて利用者が現在滞在している店舗に関するコンテンツを配信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−16348号公報(2003年1月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のリゾートホテルにおいては、特定エリアにだけ利用者が偏ってしまうのではなく、全てのエリアにて満遍なく利用者(宿泊客)は出入りすることが経営上好ましい。それゆえ、個々の顧客を出来るだけ多くのエリアに出入りさせることが要求される。
【0006】
しかし、前記リゾートホテルの宿泊客のなかには、特定のエリア(例えばカジノ)に立ち入ると当該特定のエリアにて長時間滞在する者がいる。リゾートホテルの宿泊客のうち、このような者の占める割合が高い日になれば、特定のエリアのみに利用者が偏ってしまうという問題が生じる。
【0007】
また、前記リゾートホテルにおいて、特許文献1に示す手法を用いて利用者に割引チケット等のコンテンツを配信する場合、利用者が現在位置している店舗に関するコンテンツのみが配信されることになる。それゆえ、特許文献1に示す手法を用いる場合、特定エリアの店舗のみに長時間滞在する利用者に対して当該店舗に関するコンテンツのみを配信することになり、その結果、この利用者に特定エリアでの滞在を推奨していることになり、以上の問題を解消できないどころか、以上の問題がより顕著化する。
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、複合商業施設において特定のエリアに利用者が偏ってしまうことを抑制可能な情報配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムであって、前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナと、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するサーバ装置とを備え、前記サーバ装置は、前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされるアンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する位置履歴記録部と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する推定部と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信するコンテンツ配信部とを含むことを特徴とする。
【0010】
本願発明の構成によれば、同一の商業エリアに長時間滞在している利用者には当該商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを配信することになる。これにより、同一の商業エリアに長時間滞在している利用者を別の商業エリアに誘導させることができ、その結果、一人の利用者に出来るだけ多くの商業エリアの施設(店舗)を利用させることができる。それゆえ、複合商業施設において特定のエリアに利用者が偏ってしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明の情報配信システムにおいて、前記サーバ装置は、前記携帯端末に対して配信されたことのあるコンテンツを示す配信履歴を作成する配信履歴作成部を備え、前記コンテンツ配信部は、前記配信履歴を参照して、前記携帯端末に対して配信されている頻度の低いコンテンツを優先して配信するようになっていてもよい。
【0012】
これにより、ある利用者に対して、同じコンテンツを繰り返し配信する頻度を抑制できると共に、互いに異なるコンテンツを万遍なく配信できる。つまり、一人の利用者に多くの種類のコンテンツを配信できるというメリットがある。
【0013】
さらに、本発明の情報配信システムにおいて、前記サーバ装置は、前記位置履歴情報を参照して、前記携帯端末が位置したことのない商業エリアを特定する特定部を備え、前記コンテンツ配信部は、前記滞在時間が所定時間以上の場合には、前記特定部にて特定される商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信するようになっていてもよい。
【0014】
これにより、利用者に対して、立ち入ったことのない商業エリアのコンテンツを配信するようになっているので、利用者が当該クーポンに惹かれて当該商業エリアに立ち入ることにより、利用者を出来るだけ多くのエリアに出入りさせることを期待できる。
【0015】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムに含まれるサーバ装置であって、前記情報配信システムは、前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナとを備え、前記サーバ装置は、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するものであり、前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされている前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する位置履歴記録部と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する推定部と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信するコンテンツ配信部とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムの制御方法であって、前記情報配信システムは、前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナと、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するコンピュータとを備えており、前記コンピュータは、前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされる前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する工程と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する工程と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する工程と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信する工程とを実行することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記の課題を解決するために、互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムに含まれるコンピュータを動作させるための制御プログラムであって、前記情報配信システムは、前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナとを備えており、前記コンピュータは、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末に接続するようになっており、前記コンピュータに、前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされる前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する工程と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する工程と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する工程と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信する工程とを実行させることを特徴とする。これにより、複合商業施設において特定のエリアに利用者が偏ってしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明の制御プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複合商業施設において特定のエリアに利用者が偏ってしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報配信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した情報配信システムにおいて利用される携帯端末の外観構成を示す図である。
【図3】図2に示した携帯端末が備える各構成要素を示したブロック図である。
【図4】図1に示したサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4の記憶部に記憶されているアンテナ情報を示す図である。
【図6】図4の記憶部に記憶されているエリア情報を示す図である。
【図7】図4の記憶部に記憶されている店舗情報を示す図である。
【図8】図4の記憶部に記憶されているクーポン情報を示す図である。
【図9】図4の記憶部に記憶されている利用者情報を示す図である。
【図10】図4の記憶部に記憶されている位置履歴情報を示す図である。
【図11】図4の記憶部に記憶されている現在位置情報を示す図である。
【図12】図4の記憶部に記憶されている配信履歴情報を示す図である。
【図13】図1に示されるサーバ装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図10に示す位置履歴情報の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(概略説明)
まず、本発明の実施の形態に係る情報配信システムの概略を以下説明する。本実施形態の情報配信システムは、レストランエリア、カジノエリア、ファッションエリア、美容エリア、雑貨店エリア、アミューズメントエリア等の互いに異なる業種(カテゴリー)の商業エリアを複数含むリゾートホテル(複合商業施設)に設置されているものである。なお、一つの商業エリアには、互いに同業種の複数の店舗(コーナ)が含まれる。例えば、レストランエリアは、イタリア料理店、フランス料理店、日本料理店等の複数の店舗を含み、カジノエリアは、スロットコーナ、トランプコーナ、ルーレットコーナ等の複数のコーナを含む。
【0022】
本実施形態の情報配信システムでは、リゾートホテル内において、通信距離が数メートル〜15メートル程度のアンテナを、当該通信距離と略同一の距離毎に設置する。そして、本実施形態では、リゾートホテルの宿泊客に対して、各宿泊客に固有の携帯端末を貸し出すようになっている。当該携帯端末は、前述したアンテナの通信圏内に入ると、このアンテナとの間で近距離無線通信(例えばZigbee)によって通信可能になる。
【0023】
さらに、リゾートホテルに設置されている全てのアンテナはサーバ装置に接続されており、サーバ装置は、アンテナを介して宿泊客の携帯端末にアクセス可能になっている。このサーバ装置は、定期的に携帯端末にアクセスして、携帯端末と通信可能に接続されているアンテナの位置に基づいて携帯端末の位置情報(エリアID)を検出し、この位置情報を検出時刻と対応付けて記録するようになっている。
【0024】
そして、サーバ装置は、前記の位置情報の履歴に基づき、前記の携帯端末の利用者が現在位置している商業エリアに所定時間滞在し続けているか否かを判定する。サーバ装置は、前記携帯端末の利用者が現在位置している商業エリアに所定時間滞在し続けていると判定した場合、当該商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを当該利用者の携帯端末に配信するようになっている。
【0025】
これにより、同一の商業エリアに長時間滞在している利用者を別の商業エリアに誘導することになり、その結果、一人の利用者に出来るだけ多くの商業エリアの施設(店舗)を利用させることを期待でき、リゾートホテルに属する全商業エリアにて満遍なく利用客を出入りさせることができるという効果を期待できる。
【0026】
以下では、本実施形態の情報配信システムの構成の詳細と処理内容との詳細を、図に基づいて説明する。
【0027】
(実施の形態の詳細)
本実施形態の情報配信システムは、レストランエリア、カジノエリア、ファッションエリア、美容エリア、雑貨店エリア、娯楽エリア等の互いに異なる業種(カテゴリー)の商業エリアを複数有するリゾートホテルに配置されるものである。
【0028】
本実施形態の情報配信システム100は、図1に示すように、アンテナAT1〜AT3と、リーダライタ20a〜20cと、サーバ装置30と、携帯端末200とを備えている。また、サーバ装置30は、アンテナAT1〜AT3およびリーダライタ20a〜20cの各々に対して、LAN(Local Area Network)等の有線の通信ネットワークNTによって通信可能に接続されている。
【0029】
図1のレストラン10は、レストランエリアに属する複数のレストランのうちの一つであり、図1のトランプコーナ11は、カジノエリアに属する複数のコーナのうちの一つであり、図1の洋服店12は、ファッションエリアに属する複数の店舗のうちの一つである。また、同図に示すように、前記のリゾートホテルには、通常のホテルと同様、従業員用のオフィス14が設置されている。
【0030】
また、図1に示すように、アンテナAT1およびリーダライタ20aはレストラン10に設置され、アンテナAT2およびリーダライタ20bはトランプコーナ11に設置され、アンテナAT3およびリーダライタ20cは洋服店12に設置され、サーバ装置30はオフィス14に設置されている。
【0031】
なお、説明の便宜上図示されていないが、実際には、レストランエリアにおけるレストラン10以外の多数のレストラン、カジノエリアにおけるトランプコーナ11以外の各コーナ(スロットコーナ等)、ファッションエリアにおける洋服店12以外の各店にも、アンテナAT1〜AT3と同じアンテナと、リーダライタとが設置されている。また、レストランエリア、カジノエリア、ファッションエリア以外の各商業エリアに属する各店舗(各コーナ)においても、アンテナAT1〜AT3と同じアンテナと、リーダライタとが設置されている。また、以下では、アンテナAT1〜AT3を総称する場合はアンテナATと記載し、リーダライタ20a〜20cを総称する場合はリーダライタ20と記載することにする。
【0032】
つぎに、情報配信システム100の各構成要素を順に説明する。アンテナATは、Zigbee(ジグビー)によって携帯端末200と近距離無線通信を行う基地局である。本実施形態において、アンテナATは通信距離が数メートル〜15メートル程度に設定されている。そして、互いに隣り合うアンテナATとアンテナATとの間隔が通信距離と略同一の距離になるように多数のアンテナATがリゾートホテル内に設置されている。
【0033】
リーダライタ20は、NFC(Near Field Communication)によって携帯端末200と非接触無線通信を行う装置である。本実施形態において、リーダライタ20は、通信距離が数センチに設定されている。また、本実施形態において、リーダライタ20は、各店舗において少なくとも一つ設置されている。リーダライタ20は、各店舗において精算場所に設置されている。
【0034】
携帯端末200は、リゾートホテルの宿泊客(以下では「利用者」と称することもある)に対してリゾートホテルが貸し出す端末装置である。図1において携帯端末200はレストラン10に位置しているが、これは携帯端末200の利用者がレストラン10に位置しているからであり、携帯端末200の利用者がトランプコーナ11に位置しているときは当該携帯端末200もトランプコーナ11に位置し、携帯端末200の利用者が洋服店12に位置しているときは当該携帯端末200も洋服店12に位置することになる。
【0035】
各宿泊客は、リゾートホテルに滞在している間、携帯端末200を携帯していることになる。この携帯端末200は、アンテナATと近距離無線通信を行う機能と、リーダライタ20と非接触無線通信を行う機能と、情報を記憶する機能と、画像表示機能とを少なくとも有している。
【0036】
図2は携帯端末200の外観構成図であり、図3は携帯端末200の各構成要素を示したブロック図である。
【0037】
携帯端末200は、図2に示すように、ホルダ(筐体)201、ICカード202、表示部203を備えている。ICカード202は、ホルダ201に対して着脱可能であり、携帯端末200が宿泊客に貸し出されている間、当該携帯端末200のホルダ201に装着されている。
【0038】
つぎに、図2および図3に基づいて携帯端末200のハードウェア構成を説明する。携帯端末200のホルダ201には、表示部203と、主制御部204と、バッテリー205と、駆動部206と、通信制御部207と、無線用アンテナ208と、NFCアンテナ209と、NFC制御部210と、記憶部211とが取り付けられている。また、携帯端末200のICカード202には、NFCアンテナ202a、NFC制御部202b、記憶部202cが備えられている。
【0039】
まず、ホルダ201側の構成要素について説明する。表示部203は、画像の書き換え時のみ電力を必要とし、電圧無印加でカラー画像を表示し続ける電子ペーパである(つまりメモリ性を有する)。この電子ペーパは、液晶層を有し、240×400ドットのサイズの画像を表示し、4096色の色表示が可能な画像表示媒体である。なお、表示部203は、電子ペーパに限られるものではなく、例えば小型の液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであってもよい。
【0040】
主制御部204は、ホルダ201に備えられている各ハードウェアを統括制御するマイクロプロセッサ(Micro Processing Unit)である。
【0041】
バッテリー205は、携帯端末200に対して着脱可能に取り付けられる蓄電池であり、携帯端末200の電源として機能するものである。
【0042】
駆動部206は、主制御部204に制御され、表示部203を駆動するための駆動電圧を表示部203に印加する回路である。つまり、主制御部204は駆動部206を駆動して表示部203の画像を書き換えるようになっている。
【0043】
無線用アンテナ208は、Zigbeeに基づく近距離無線通信を行うための送受信装置である。通信制御部207は、主制御部204に制御され、無線用アンテナ208を介してZigbeeに基づく近距離無線通信を行う装置である。
【0044】
記憶部211は、ホルダ201に取り付けられている読み書き可能なメモリであり、携帯端末200に必要となる各種情報や表示部203にて表示される画像が保存されるブロックである。
【0045】
NFCアンテナ209は、ホルダ201に取り付けられており、ICカード202との間で非接触無線通信を行うための送受信装置である。NFC制御部210は、ホルダ201に取り付けられている集積回路であり、NFCアンテナ209を制御してICカード202との間でNFCに基づく非接触無線通信を行う装置である。
【0046】
つぎに、ICカード202側の構成について説明する。NFCアンテナ202aは、ICカード202に取り付けられており、ホルダ201側若しくはリーダライタ20との間で非接触無線通信を行うための送受信装置である。NFC制御部202bは、ICカード202に取り付けられている集積回路であり、NFCアンテナ202aを制御して、ホルダ201側若しくはリーダライタ20との間でNFCに基づく非接触無線通信を行う装置である。記憶部202cは、ICカード202に取り付けられている読み書き可能なメモリであり、各種情報が保存されるブロックである。
【0047】
以上の携帯端末202において、ホルダ201の主制御部204は、NFCアンテナ209・202aを用いた非接触無線通信によって記憶部202cにアクセス可能になっている。また、リーダライタ20は、NFCアンテナ202aを介した非接触無線通信によって記憶部202cにアクセス可能になっている。
【0048】
以上の携帯端末200は、リゾートホテルのフロントデスクにおいて、チェックインした宿泊客(利用者とも称す)に対して貸し出される。なお、携帯端末200は、当該携帯端末200の利用者の利用者IDが記憶部202cに記憶(保存)された上で利用者に貸し出される。さらに、後述するサーバ装置30に記憶されている利用者情報(利用者IDと利用者の個人情報との対応関係(図9参照)を示したテーブル)に対し、貸し出された携帯端末200の利用者の利用者IDと個人情報との対応関係が追加される。つまり、利用者IDは、携帯端末200を識別可能な識別情報として機能すると共に、当該携帯端末200の利用者を識別可能な識別情報としても機能するのである。
【0049】
つぎに、サーバ装置30について説明する。サーバ装置30は、アンテナATを用いた近距離無線通信によって携帯端末200の主制御部204と接続することにより、携帯端末200の記憶部211・記憶部202cからの情報の読み出しや、記憶部211・記憶部202cへの情報の書き込みを行う。また、サーバ装置30は、リーダライタ20を用いた非接触無線通信によって携帯端末200の記憶部202cからの情報の読み出しや記憶部202cへの情報の書き込みを行うようにもなっている。以下、サーバ装置30について詳述する。
【0050】
サーバ装置30は、通信ネットワークNTおよびアンテナATを介して、携帯端末200に対して、リゾートホテル内のいずれかの商業エリアに関するクーポン(コンテンツ)を配信する処理を行う。つまり、サーバ装置30は、ある携帯端末200にクーポンを配信する場合、当該携帯端末200と通信可能なアンテナAT(通信圏内に携帯端末200が位置しているアンテナAT)をアクセスポイントとして携帯端末200にアクセスし、アクセス先の携帯端末200に対してクーポンを配信するようになっている。なお、携帯端末200に配信されるクーポンとしては、商業施設に属する店舗(コーナ)に関する割引クーポン、無料クーポン、優待クーポン等が挙げられる。
【0051】
なお、クーポンを受信した携帯端末200の主制御部204は当該クーポンをホルダ201側に取り付けられている記憶部211に保存するようになっている。そして、携帯端末200の利用者が、携帯端末200の操作部250(図2参照)を操作して携帯端末200に保存されているクーポンを表示させるためのコマンドを入力すると、携帯端末200の主制御部204は当該クーポンを表示部203に表示させるようになっている。なお、携帯端末200にクーポンが複数記憶されている場合、利用者が、操作部250を操作して、前記複数のクーポンのうち、表示させるクーポンを一つ選択するためのコマンドを入力すると、携帯端末200の主制御部204は選択されたクーポンを表示部203に表示させるようになっている。
【0052】
ところで、本実施形態の情報配信システムのサーバ装置30は、利用者が現在位置している商業エリアにおける滞在時間が所定時間(本実施形態では5時間)を超える場合、当該商業エリアとは異なる商業エリアに関するクーポン(コンテンツ)を当該利用者の携帯端末200に配信する処理を行っている。以下では、当該処理を行うサーバ装置30の構成を詳細に説明する。
【0053】
図4は、図1に示されるサーバ装置30の概略構成を示すブロック図である。サーバ装置30は制御部30aおよび記憶部30bを備えている。
【0054】
記憶部30bは、情報の書き込みと読み出しとが可能な記憶手段であり、外付け型または内蔵ハードディスク装置が挙げられる。なお、記憶部30bに記憶されている情報の内容については後に詳述する。
【0055】
制御部30aは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むPCベースのコンピュータによって構成される。そして、制御部30aにおける各種情報処理は、プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、例えばCD−ROMなどのリムーバブルメディア(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されているものを読み出して使用する形態であってもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み出して使用する形態であってもよい。また、制御部30aがインターネットなどの通信ネットワークに接続された構成とする場合、この通信ネットワークを介して前記プログラムをダウンロードしてハードディスクなどにインストールして実行する形態なども考えられる。なお、制御部30aにて実行される処理内容については後に詳述する。
【0056】
つぎに、記憶部30bに記憶されている情報を説明する。サーバ装置30の記憶部30bには、図5に示すアンテナ情報、図6に示すエリア情報、図7に示す店舗情報、図8に示すクーポン情報、図9に示す利用者情報、図10に示す位置履歴情報、図11に示す現在位置情報、図12に示す配信履歴情報が記憶されている。
【0057】
図5に示すアンテナ情報は、アンテナATの識別情報であるアンテナIDと、当該アンテナATが設置されている店舗の識別情報である店舗IDと、当該アンテナAT(当該店舗)が設置されている商業エリアの識別情報であるエリアIDとの対応関係を、リゾートホテルに設置されているアンテナ毎に示したテーブルである。なお、図7の店舗情報に示されるように、各店舗IDには店舗名称が対応付けられており、図6のエリア情報に示されるように、各エリア情報には商業エリアの名称が対応付けられている。
【0058】
つまり、リゾートホテル内の或るアンテナATのアンテナIDを特定できれば、図5のアンテナ情報を参照することにより、当該アンテナATの設置されている商業エリアおよび店舗を検出できるようになっている。つまり、携帯端末200のアクセスポイントとなっているアンテナATのアンテナIDを特定できれば、図5を参照することにより、携帯端末200およびその利用者が位置している商業エリアおよび店舗も検出できるのである。なお、図5〜図7に示す各情報は、後述する情報管理部305(図4参照)によって作成ないし更新される。
【0059】
図8に示すクーポン情報は、サーバ装置30に登録されている各クーポン(コンテンツ)の特性および/または内容を示した情報である。具体的に、図8のクーポン情報は、サーバ装置30に登録されているクーポンの識別情報であるクーポンIDと、当該クーポンの使用可能な店舗の店舗IDと、当該店舗が設置されている商業エリアのエリアIDと、当該クーポンの内容を示す内容情報と、当該クーポンの利用期限と、当該クーポンの登録時刻と、当該クーポンの配信期間との対応関係を、クーポン毎に示したテーブルである。なお、図8に示すクーポン情報は、後述する情報管理部305(図4参照)によって作成および更新される。
【0060】
図9に示す利用者情報(顧客情報)は、利用者(顧客,宿泊客)の識別情報である利用者IDと、当該利用者の個人情報(利用者名、国籍、性別、生年月日等)との対応関係を、利用者毎に示したテーブルである。図9に示す利用者情報は、後述する情報管理部305(図4参照)によって作成および更新される。
【0061】
図10に示す位置履歴情報は、アンテナIDと、当該アンテナIDのアンテナの通信圏内に位置する利用者の利用者IDと、当該アンテナおよび利用者の位置するエリアのエリアIDと、このエリアIDの検出時刻との対応関係を示したテーブルである。図10の位置履歴情報により、過去の時点において利用者が位置していたエリアを特定できる。なお、図10に示す位置履歴情報は、後述する位置履歴記録部302(図4参照)によって作成および更新される。
【0062】
図11に示す現在位置情報は、利用者IDと、当該利用者IDの利用者が現在位置しているエリアのエリアIDと、当該利用者が当該エリアに立ち入った推定時刻である推定立入時刻との対応関係を示したテーブルである。図11の現在位置情報は、後述する推定部303(図4参照)によって作成および更新される。
【0063】
図12に示す配信履歴情報は、一つの配信処理に与えられる識別情報である配信処理IDと、当該配信処理の配信先の携帯端末200の利用者IDと、当該配信処理において配信されたクーポンのクーポンIDと、当該クーポンの配信時刻と、当該クーポンの利用期限と、当該クーポンの利用時刻との対応関係を示したテーブルである。
【0064】
以下では、図12の配信履歴情報の記録処理の手順を説明する。サーバ装置30は、携帯端末200に対してクーポンを配信する配信処理を行うと、配信先の携帯端末200に記憶されている利用者IDを、アンテナATを介した通信により、当該携帯端末200から取得する。そして、サーバ装置30は、当該配信処理に一意に与えられる識別情報である配信処理IDを作成し、さらに、図8のクーポン情報を参照して、前記の配信処理IDと、配信処理にて配信したクーポンのクーポンIDと、配信先の携帯端末200の利用者IDと、当該クーポンを利用可能な店舗の店舗IDと、配信時刻との対応関係を、図12の配信履歴情報に記述する。
なお、携帯端末200は、配信対象とされるクーポンのみならず、前記の配信処理IDも受信し、受信したクーポンと配信処理IDとの対応関係を記憶するようになっている。
そして、携帯端末200の利用者は、店舗にて金銭の支払いを行う際、クーポンを表示させた携帯端末200を店員に手渡す。すると、店員は、クーポンに示されている条件で割り引いた後の金銭を利用者から受領した上で、当該店舗に設置されているリーダライタ20に携帯端末200を近づける。リーダライタ20の通信圏内に携帯端末200が入ると、リーダライタ20および通信ネットワークNTを介してサーバ装置30と携帯端末200とが接続される。そして、サーバ装置30は、携帯端末200において表示されているクーポンに対応付けられている配信処理IDを携帯端末200から取得する。さらに、サーバ装置30は図12の配信履歴情報のなかから、取得した配信処理IDが示されている欄を検索し、この欄に使用日時を記録するようになっている。
【0065】
つぎに、制御部30aにて実行される処理内容を説明する。制御部30aは、図4に示すように、位置情報検出部301、位置履歴記録部302、推定部303、クーポン配信部(コンテンツ配信部)304、情報管理部(配信履歴作成部)305を備えている。
【0066】
位置情報検出部301は、携帯端末200の位置を示す位置情報を検出するブロックである。具体的に、位置情報検出部301は、携帯端末200にアクセスし、携帯端末200のアクセスポイントとされているアンテナATのアンテナIDと携帯端末200に記憶されている利用者IDとを検出し、検出したアンテナIDに対応付けられているエリアIDを図5のアンテナ情報から検出する。このようにして検出されたエリアIDは、携帯端末200が位置しているエリアを示すものであり、携帯端末200の位置を示す位置情報に該当する。
【0067】
位置履歴記録部302は、位置情報検出部301にて検出されたエリアIDと、当該エリアIDが検出された時刻である検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶部30bに記録・更新するブロックである。具体的に、位置履歴記録部302は、位置情報検出部301にて検出されたアンテナIDと利用者IDとエリアIDとの組と、これらの組が位置情報検出部301にて検出された時刻である検出時刻との対応関係を示した位置履歴情報(図10参照)を記憶部30bに記録・更新する。
【0068】
推定部303は、各利用者IDを処理対象として順に選択していき、処理対象となっている利用者IDの携帯端末200が現在位置に滞在している滞在時間を推定する推定処理を行うブロックである。なお、推定部303は、当該推定処理の前に前処理を行う。以下では、この前処理の内容を説明し、その後に推定処理を説明する。
【0069】
(前処理について)
まず、推定部303は、図10の位置履歴情報のなかから、処理対象となる利用者IDに対応付けられており、且つ、現時刻と同じ検出時刻に対応付けられているエリアIDを抽出する。つぎに、推定部303は、図11の現在位置情報において処理対象となる利用者IDに対応付けられているエリアIDと、図10の位置履歴情報から抽出されたエリアIDとが同一か否かを判定する判定処理を行う。
推定部303は、前記判定処理において同一でないと判定した場合、図11の現在位置情報において、処理対象の利用者IDに対応付けられているエリアIDおよび推定立入時刻を消去し、代わりに、位置履歴情報から抽出したエリアIDと現時刻(位置履歴情報において当該エリアIDに対応付けられている検出時刻)とを処理対象の利用者IDに対応付けて記録する(但し現時刻は推定立入時刻として現在位置情報に記録される)。また、推定部303は、前記判定処理において同一と判定した場合、現在位置情報の変更を行わない。
なお、携帯端末200が全てのアンテナATの通信圏外に位置する場合(リゾートホテルの外に位置する場合)、位置情報検出部301は当該携帯端末200の利用者IDを検出しないため、この携帯端末200の利用者IDとエリアIDと検出時刻との対応関係は位置履歴情報に記録されない。それゆえ、携帯端末200が全てのアンテナATの通信圏外に位置しており、且つ、当該携帯端末200の利用者IDが推定部303の処理対象となっている場合、推定部303は、処理対象となる利用者IDを位置履歴情報から検出できない。この場合、推定部303は、図11の現在位置情報において、処理対象の利用者IDに対応するエリアIDの欄を空欄(ブランク)とする(同図の符号aを参照)。
【0070】
(推定処理について)
以上示した前処理の後、推定部303は、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられている推定立入時刻と現在時刻との間の時間を、処理対象の利用者IDの携帯端末200の現在位置の滞在時間として推定する。例えば、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられている推定立入時刻が「11:00」であり、現在時刻が「17:00」である場合、処理対象の利用者IDの利用者の携帯端末200の現在位置の滞在時間は6時間と推定される。
【0071】
つぎに、図4のクーポン配信部304について説明する。クーポン配信部304は、処理対象の利用者IDの携帯端末200に対してクーポンを配信する処理を行う。
【0072】
ここで、クーポン配信部304は、前述の推定処理にて推定された時間が所定時間(本実施形態では5時間)以上となった利用者IDの携帯端末200については、この携帯端末200が現在位置している商業エリア以外の商業エリアのクーポンを配信するようになっている。具体的に、処理対象の利用者IDの携帯端末200の現在位置の滞在時間を推定部303が所定時間以上と推定した場合、クーポン配信部304は、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられているエリアIDを検出し、検出したエリアIDに対応付けられているクーポンID以外のクーポンIDを図8のクーポン情報から選択する。クーポン配信部304は、このようにして選択したクーポンIDのクーポンを、処理対象の利用者IDの携帯端末200に配信するようになっている。
【0073】
これに対し、クーポン配信部304は、前述の推定処理にて推定された時間が所定時間未満となった利用者IDの携帯端末200については、エリアIDとは無関係に、図8のクーポン情報のなかからクーポンIDを一つ選択する。クーポン配信部304は、このようにして選択したクーポンIDのクーポンを、処理対象の利用者IDの携帯端末200に配信するようになっている。つまり、この場合、携帯端末200に対して、当該携帯端末200の利用者が現在滞在している商業エリアに関するクーポンが配信されるケースもあるし、当該携帯端末200の利用者が現在滞在している商業エリアとは異なる商業エリアに関するクーポンが配信されるケースもある。
【0074】
つぎに、図4の情報管理部305について説明する。サーバ装置30の情報管理部305は、記憶部30bにアクセスして、図5のアンテナ情報、図6のエリア情報、図7の店舗情報、図8のクーポン情報、図9の利用者情報、図12の配信履歴情報の書き換えを行うブロックである。
【0075】
つまり、新たなアンテナAT、店舗、エリアの設置によって図5〜図7の情報を書き換える必要が生じた場合、オフィス14の管理者は、サーバ装置30を操作して図5〜図7の情報の書き換えに必要なコマンドや情報の入力を行い、情報管理部305は、入力されたコマンドおよび情報に基づいて、図5〜図7の情報の書き換えを行う。
【0076】
また、新たな宿泊客の予約、チェックイン、チェックアウト等によって図9の利用者情報を書き換える必要が生じた場合、フロントデスク(不図示)の店員は、フロントデスクの端末装置からサーバ装置30にアクセスして図9の利用者情報の書き換えに必要なコマンドおよび情報をサーバ装置30に入力する。情報管理部305は、この入力に基づいて図9の利用者情報の書き換えを行う。
【0077】
さらに、管理者がサーバ装置30を操作して新たなクーポンを登録するための情報を入力した場合、情報管理部305は、当該入力に基づいて、図8のクーポン情報を書き換えて新たなクーポンを登録する。また、情報管理部305は、図8のクーポン情報に示される配信期間を定期的にチェックし、現時点が配信期間を過ぎているクーポンに関する情報ついてはクーポン情報から消去する処理を行う。
【0078】
また、クーポン配信部304によってクーポンの配信処理が行われた場合、情報管理部305は、この配信処理の配信履歴を図12の配信履歴情報に追加する。
【0079】
つぎに、サーバ装置30の処理手順の一例を図13に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本実施形態では、サーバ装置30は図13に示される処理を定期的(例えば1時間毎)に実行するものとする。
【0080】
まず、サーバ装置30は、アクセス可能な全ての携帯端末200の各々について、アクセスポイントとされているアンテナATのアンテナIDと、このアンテナIDに対応付けられているエリアIDとを検出する(S1)。
【0081】
つぎに、サーバ装置30は、S1の検出結果に基づいて図10に示す位置履歴情報を更新する処理を行う(S2)。具体的に、サーバ装置30は、アクセス可能な携帯端末200の利用者IDの各々について、利用者IDとS1にて検出されたアンテナIDとS1にて検出されたエリアIDと検出時刻との対応関係を図10の位置履歴情報に追加する。
【0082】
さらに、サーバ装置30は、図9に示されている利用者情報のなかから、処理対象とする利用者IDを一つ特定する(S3)。
【0083】
つぎに、サーバ装置30は、図10の位置履歴情報に基づいて、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられているエリアIDと推定立入時刻とを更新する処理を必要に応じて行う(S4)。なお、前述した前処理がS4の処理内容に相当する。
【0084】
さらに、サーバ装置30は、図11の現在位置情報を参照して、処理対象の利用者IDの利用者が少なくともいずれかのアンテナATの通信圏内に位置しているか否かを判定する(S5)。この判定の手法を以下詳細に説明する。処理対象の利用者IDの利用者が少なくともいずれかのアンテナATの通信圏内に位置していない場合、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応するエリアIDの欄は空欄になっているので、サーバ装置30は、図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応するエリアIDの欄を参照することにより、対象の利用者IDの利用者がいずれかのアンテナATの通信圏内に位置しているか否かを判断できる。
【0085】
処理対象の利用者IDの利用者が少なくともいずれかのアンテナATの通信圏内に位置していないと判定された場合(S5にてNO)、サーバ装置30は処理をS15へスキップする。これに対し、処理対象の利用者IDの利用者が少なくともいずれかのアンテナATの通信圏内に位置していると判定された場合(S5にてYES)、サーバ装置30は処理をS6へ移行させる。
【0086】
S6において、サーバ装置30は、処理対象の利用者IDの携帯端末200に少なくとも1件以上のクーポンが過去1週間において配信されているか否かを判定する。具体的に、サーバ装置30は、図12に示す配信履歴情報において、過去1週間以内の配信時刻が対応付けられている処理対象の利用者IDの有無を判定する。そして、過去1週間以内の配信時刻が対応付けられている処理対象の利用者IDがあれば、サーバ装置30は、処理対象の利用者IDの携帯端末200に少なくとも1件以上のクーポンが過去1週間にて配信されていると判定し、過去1週間以内の配信時刻が対応付けられている処理対象の利用者IDがなければ、サーバ装置30は、処理対象の利用者IDの携帯端末200に過去1週間にて1件もクーポンが配信されていないと判定する。
【0087】
過去1週間に処理対象の利用者IDの携帯端末200にクーポンが配信されていないと判定された場合(S6にてNO)、サーバ装置30は処理をS8へ移行される。これに対し、過去1週間に処理対象の利用者IDの携帯端末200に少なくとも1件以上のクーポンが配信されていると判定された場合(S6にてYES)、サーバ装置30は処理をS7へ移行させる。
【0088】
S7において、サーバ装置30は、処理対象の利用者IDの携帯端末200について、現在位置の滞在時間が所定時間以上であるか否かを判定する。なお、現在位置の滞在時間は前述した推定処理によって推定される。
【0089】
現在位置の滞在時間が所定時間以上でないと判定された場合(S7にてNO)、サーバ装置30は処理をS8へ移行させる。これに対し、現在位置の滞在時間が所定時間以上であると判定された場合(S7にてYES)、サーバ装置30は処理をS11へ移行させる。
【0090】
S8において、サーバ装置30は、図8のクーポン情報に登録されているクーポンのうち、処理対象の利用者IDの携帯端末200に未送信のクーポン(以下「未送信クーポン」と称すこともある)があるか否かを判定する。具体的に、サーバ装置30は、下記の条件aを満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在するか否かを判定する。
条件a:図12の配信履歴情報において処理対象の利用者IDに対応付けられているクーポンIDではないこと。
【0091】
条件aを満たすクーポンIDのクーポンは未送信クーポンに相当する。それゆえ、サーバ装置30は、条件aを満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在する場合、未送信のクーポンがあると判定し、条件aを満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在しない場合、未送信のクーポンがないと判定する。
【0092】
そして、サーバ装置30は、未送信のクーポンがあると判定した場合(S8にてYES)、未送信のクーポンのなかから、配信対象のクーポンをランダムに一件抽出し(S9)、処理をS14へ移行する。具体的に、サーバ装置30は、図8のクーポン情報において、条件aを満たすクーポンIDのなかから一つのクーポンIDをランダムに選択し、選択したクーポンIDのクーポンを抽出するようになっている。
【0093】
これに対し、サーバ装置30は、未送信のクーポンがないと判定した場合(S8にてNO)、配信回数の最も少ないクーポンを一件抽出し(S10)、処理をS14へ移行する。ここで、S10の処理内容を以下詳細に説明する。クーポンID毎に、図12の配信履歴情報において処理対象の利用者IDに対応付けられている数をカウントした場合、このカウント値が処理対象の利用者IDの携帯端末200への各クーポンの配信回数になる。それゆえ、図12の配信履歴情報を参照すれば処理対象の利用者IDの携帯端末200に対する各クーポンの配信回数を検出できる。そこで、サーバ装置30は、図12の配信履歴情報を参照して、処理対象の利用者IDの携帯端末200に対して配信回数が最も少ないクーポンを特定し、このクーポンを抽出するようになっている。なお、S10において、最も配信回数が少ないクーポンが複数ある場合、サーバ装置30は、これらクーポンのなかからランダムに一件抽出する。
【0094】
また、S11において、サーバ装置30は、図8のクーポン情報に登録されているクーポンのうち、処理対象の利用者IDの携帯端末200が現在位置しているエリアとは別エリアのエリアIDに対応付けられており、且つ、この携帯端末200に未送信のクーポン(以下「別エリアの未送信クーポン」と称すこともある)があるか否かを判定する。具体的に、サーバ装置30は、下記の条件1且つ条件2を満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在するか否かを判定する。
条件1:図12の配信履歴情報において処理対象の利用者IDに対応付けられているクーポンIDではないこと。
条件2:図11の現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられているエリアIDとは異なるエリアIDに対応付けられているクーポンIDであること。
【0095】
条件1且つ条件2を満たすクーポンIDのクーポンは「別エリアの未送信クーポン」に相当する。それゆえ、サーバ装置30は、条件1且つ条件2を満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在しない場合、別エリアの未送信クーポンがないものと判定する。これに対し、サーバ装置30は、条件1且つ条件2を満たすクーポンIDが図8のクーポン情報に存在する場合、別エリアの未送信クーポンがあるものと判定する。
【0096】
そして、サーバ装置30は、別エリアの未送信クーポンがあると判定した場合(S11にてYES)、別エリアの未送信のクーポンのなかから、配信対象のクーポンをランダムに一件抽出し(S12)、処理をS14へ移行する。具体的に、サーバ装置30は、図8のクーポン情報において、条件1且つ条件2を満たすクーポンIDのなかから一つのクーポンIDをランダムに選択し、選択したクーポンIDのクーポンを抽出するようになっている。
【0097】
これに対し、サーバ装置30は、別エリアの未送信クーポンがないと判定した場合(S11にてNO)、処理対象の利用者IDの携帯端末200が現在位置しているエリアとは別エリアのエリアIDに対応付けられているクーポンのなかから、配信回数の最も少ないクーポンを一件抽出し(S13)、処理をS14へ移行する。ここで、S13の処理内容を以下詳細に説明する。クーポンID毎に、図12の配信履歴情報において処理対象の利用者IDに対応付けられている数をカウントした場合、このカウント値が処理対象の利用者IDの携帯端末200への各クーポンの配信回数になる。それゆえ、図12の配信履歴情報を参照すれば、処理対象の利用者IDの携帯端末200に対する各クーポンの配信回数を検出できる。また、図8の現在位置情報を参照すれば、処理対象の利用者IDの携帯端末200が現在位置しているエリアとは別エリアのエリアIDを検出できる。そこで、サーバ装置30は、図10の現在位置情報および図11の配信履歴情報を参考にして、図8において、処理対象の利用者IDの携帯端末200が現在位置しているエリアとは別エリアのエリアIDに対応付けられているクーポンIDのなかから、処理対象の利用者IDの携帯端末200に対して配信回数が最も少ないクーポンIDを特定し、このクーポンIDのクーポンを抽出するようになっている。なお、配信回数が最も少ないクーポンが複数ある場合、サーバ装置30は、これらクーポンのなかからランダムに一件抽出する。
【0098】
S14において、サーバ装置30は、S9,S10,S12,S13にて抽出したクーポンを、処理対象の利用者IDの携帯端末200へ配信する。
【0099】
S14の後、サーバ装置30は、図9に示されている利用者情報の全ての利用者IDを処理対象としたか否かの判定を行う(S15)。サーバ装置30は、図9に示されている利用者情報の全ての利用者IDを処理対象としていないと判定した場合(S15においてNO)、サーバ装置30は、処理をS3に移行し、未だ処理対象としていない利用者IDをS3にて特定した上でS4以降の処理を繰り返し行う。これに対し、サーバ装置30は、図9に示されている利用者情報の全ての利用者IDを処理対象にしたと判定した場合(S15にてYES)、サーバ装置30は処理を終了する。
【0100】
以上にて示したように、本実施形態の情報配信システム100は、互いに業種の異なる複数の商業エリアを含むリゾートホテル(複合商業施設)に用いられるものであって、前記リゾートホテルの利用者に携帯させる携帯端末200と、前記リゾートホテルの敷地内に設置されており携帯端末200と無線通信を行う複数のアンテナATと、複数のアンテナATの各々に接続されておりいずれか一つのアンテナをアクセスポイントとして携帯端末200にアクセスするサーバ装置30とを備えている。
【0101】
そして、サーバ装置30は、前記アクセスポイントとされているアンテナATの位置に基づいて携帯端末200の位置を示すエリアID(位置情報)を検出する位置情報検出部301と、前記エリアIDと、当該エリアIDの検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する位置履歴記録部302と、前記位置履歴情報に基づいて携帯端末200の現在位置の滞在時間を推定する推定部303と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するクーポン(コンテンツ)を携帯端末200に配信するクーポン配信部304とを含む。
【0102】
以上の構成によれば、同一の商業エリアに長時間滞在している利用者には当該商業エリアとは異なる商業エリアに関するクーポンを配信することになる。これにより、同一の商業エリアに長時間滞在している利用者を別の商業エリアに誘導させることができ、その結果、一人の利用者に出来るだけ多くの商業エリアの施設(店舗)を利用させることができる。それゆえ、リゾートホテルにおいて特定の商業エリアに利用者が偏ってしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【0103】
また、例えばカジノエリアにて長時間滞在している利用者は、遊技に夢中になり、疲労が溜まっているにも拘わらず休憩せずに遊技を続行していることが考えられる。それゆえ、このような利用者にカフェやレストランのクーポンが配信されれば、利用客に休憩を促すことになり、利用者側にとってもメリットがある。
【0104】
また、以上の実施形態において、サーバ装置30は、携帯端末200に対して配信されたことのあるクーポンを示す配信履歴情報を作成する情報管理部305を備えている。そして、サーバ装置30のクーポン配信部304は、前記配信履歴情報を参照して、携帯端末200に対して配信されている頻度の低いコンテンツを優先して配信するようになっている(S11〜S13)。これにより、ある利用者に対し、同じクーポンを繰り返し配信する頻度を抑制できると共に、互いに異なるクーポンを万遍なく配信できる。つまり、一人の利用者に多くの種類のクーポンを配信できる。
【0105】
また、サーバ装置30は、図10に示す位置履歴情報を参照して、処理対象の利用者IDの携帯端末200が位置したことのない商業エリアを特定する特定部を備えてもよく、クーポン配信部304は、処理対象の利用者IDの携帯端末200の現在位置の滞在時間が所定時間以上の場合、前記特定部にて特定される商業エリアに関するクーポンを当該携帯端末200に配信するようになっていてもよい。具体的に、前記特定部は、図10に示す位置履歴情報において処理対象の利用者IDに対応付けられていないエリアIDを特定し、クーポン配信部は、特定部にて特定されたエリアIDに対応付けられているクーポンIDを図8のクーポン情報から特定し、このクーポンIDのクーポンを処理対象の利用者IDの携帯端末200に配信するようになっていてもよい。これにより、利用者に対して、立ち入ったことのない商業エリアに関するクーポンを配信するようになっているので、利用者が当該クーポンに惹かれて当該商業エリアに立ち入ることにより、利用者を出来るだけ多くのエリアに出入りさせることを期待できる。
【0106】
また、図13のS6においてNOが選択された場合、つまり、過去1週間においてクーポンが1件も送信されていない場合、S9またはS10において1件ではなく複数件(10件ほど)のクーポンが抽出されて、S14において複数件のクーポンが処理対象の利用者IDの携帯端末200に配信されるようになっていてもよい。
【0107】
また、S5〜S14の処理は、処理対象の利用者IDの利用者の希望する配信時間帯のみ行われるようになっていてもよい。この点を以下説明する。まず、利用者がリゾートホテルにチェックインした際に、ホテルスタッフが利用者から配信時間帯を聞き出し、この配信時間帯を図9の利用者情報において利用者IDに対応付けて明記しておく。また、S4の処理の後、S5の処理の前に、図9の利用者情報において処理対象となる利用者IDに対応付けられている配信時間帯に現時刻が含まれるか否かを判定するステップを設定する。そして、当該ステップにおいて、前記配信時間帯に現時刻が含まれると判定する場合は処理をS5に移行させ、前記配信時間帯に現時刻が含まれないと判定する場合は処理をS15にスキップするように設定される。
【0108】
また、本実施形態では、サーバ装置30から携帯端末200へ配信されるのは、商業エリアの店舗に関するクーポンであるが、クーポンに限定されるものではなく、商業エリアの店舗に関するコンテンツであればよい。このようなコンテンツとしては、クーポンの他、当該店舗の広告コンテンツが挙げられる。
【0109】
また、携帯端末200に電子マネー(金銭価値情報)を記憶させ、当該電子マネーによる決済が行われるようになっていてもよい。つまり、リゾートホテル内のフロントデスク等で携帯端末200に電子マネーをチャージし、携帯端末200をリーダライタ20に近づけると電子決済が行われるようになっていてもよい。また、この場合、カジノエリアに設置されている各スロットマシンにリーダライタを取り付け、スロットマシンにおいても電子決済を可能にしてもよい。
【0110】
また、以上の実施形態を利用すれば、劇場のチケットに売れ残りがある場合に宿泊エリア(商業エリアの一種)に長時間滞在している利用客に劇場の割引券を配信するようなことも可能である。これにより、劇場以外の店舗の利用者を減少させずに劇場の利用率の向上が期待できるというメリットがある。
【0111】
なお、以上の実施形態では、リゾートホテルに設置される情報配信システムを例示したが、情報配信システムの設置先は、複数の商業施設を有する複合商業施設であればよく、リゾートホテルに限定されない。このような複合商業施設としては、リゾートホテルの他、ショッピングモール、テーマパーク等が挙げられる。
【0112】
また、図13の処理によれば、定期的に利用者の携帯端末200に対してクーポンが配信されるようになっているため、長時間宿泊エリアのみに滞在する利用者に対して定期的にクーポンを配信することになり、このような宿泊客に対しても定期的に各商業エリアの各店舗に誘導することができ、各商業エリアの各店舗の利用者増に繋がるという効果を有する。
【0113】
また、図10の位置履歴情報は検出時刻が現時刻に近い順に各欄を並べているものであるが、図10の位置履歴情報を図14のように変形してもよい。図14の位置履歴情報は、利用者IDの小さい順に各欄を並べており、且つ、利用者IDが互いに同じ欄については検出時刻が現時刻に近い順に並べている。
【0114】
また、本実施形態では、図8にしめすように、各クーポンにエリアIDと店舗IDとを対応付けることにより、各クーポンを、エリアIDという商業エリアの種類を示す第1のカテゴリーと、店舗IDという店名を示す第2のカテゴリーに分類していることになる。但し、第2のカテゴリーは、店舗IDに限定されるものではなく、店舗のカテゴリーを示す店カテゴリーIDであってもよい。この店カテゴリーIDとは、店名を示す識別情報ではなく、店のカテゴリーを示す識別情報である。つまり、第1イタリア料理店と第2イタリア料理店と第1日本料理店と第2日本料理店とがある場合を想定する。この場合、店舗IDを用いる形態では、第1イタリア料理店と第2イタリア料理店と第1日本料理店と第2日本料理店との各々に異なる店舗IDが対応付けられるが、店カテゴリーIDを用いる形態では、第1イタリア料理店と第2イタリア料理店とで同じ識別情報が対応付けられ、第1日本料理店と第2日本料理店とで同じ識別情報が対応付けられ、第1および第2イタリア料理店の識別情報と第1および第2日本料理店の識別情報とは異なることになる。また、店カテゴリーIDを用いる形態の場合、図5、図7、図8の各情報において、店舗IDではなく店カテゴリーIDが記入されることになる。
【0115】
また、本実施形態では、サーバ装置30は、携帯端末200のアクセスポイントとされるアンテナIDの設置エリアのエリアIDを携帯端末200の位置情報として検出しているが(S1)、このエリアIDの代わりに前記の店舗ID(または店カテゴリーID)を前記位置情報として用いてもよい。この場合、位置情報検出部301は、エリアIDの代わりに、携帯端末200のアクセスポイントとされるアンテナIDに対応付けられている店舗ID(図5)を検出するようになっている。また、位置履歴記録部302は、エリアIDの代わりに、店舗IDをアンテナIDと利用者IDと検出時刻とに対応付けて位置履歴情報に記録する。推定部303は、位置履歴情報に基づいて現在位置情報の更新を行い、この現在位置情報に基づいて利用者の現在位置の滞在時間を推定する。但し、ここでの現在位置情報において、利用者IDに、エリアIDが対応付けられるのではなく、店舗IDが対応付けられる。つまり、店舗IDが携帯端末200の現在位置を示す位置情報として扱われる。
そして、クーポン配信部304は、前記の滞在時間が所定時間以上となった場合、現在位置情報において処理対象の利用者IDに対応付けられている店舗IDを検出し、検出した店舗IDに対応付けられているクーポンID以外のクーポンIDを図8のクーポン情報から選択する。クーポン配信部304は、このようにして選択したクーポンIDのクーポンを、処理対象の利用者IDの携帯端末200に配信する。
これに対し、クーポン配信部304は、前記の滞在時間が所定時間未満となった場合、店舗IDとは無関係に、図8のクーポン情報のなかからクーポンIDを一つ選択する。
【0116】
なお、前記した各実施形態における制御部30aの各部は、CPU(Central Processing Unit)などの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、前記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の情報配信システム100の各種機能および各種処理を実現することができる。また、前記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で前記の各種機能および各種処理を実現することができる。
【0117】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0118】
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0119】
また、前記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
【0120】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
【0121】
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0122】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は複合商業施設に設置される情報配信システムに利用できる。
【符号の説明】
【0124】
30 サーバ装置
30a 制御部
30b 記憶部
100 情報配信システム
200 携帯端末
301 位置情報検出部
302 位置履歴記録部
303 推定部
304 クーポン配信部(コンテンツ配信部)
305 情報管理部(配信履歴作成部)
AT1〜AT3 アンテナ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムであって、
前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナと、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされるアンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する位置履歴記録部と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する推定部と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信するコンテンツ配信部とを含むことを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記携帯端末に対して配信されたことのあるコンテンツを示す配信履歴を作成する配信履歴作成部を備え、
前記コンテンツ配信部は、前記配信履歴を参照して、前記携帯端末に対して配信されている頻度の低いコンテンツを優先して配信するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記位置履歴情報を参照して、前記携帯端末が位置したことのない商業エリアを特定する特定部を備え、
前記コンテンツ配信部は、前記滞在時間が所定時間以上の場合には、前記特定部にて特定される商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信することを特徴とする請求項1または2に記載の情報配信システム。
【請求項4】
互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムに含まれるサーバ装置であって、
前記情報配信システムは、
前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナとを備え、
前記サーバ装置は、
前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するものであり、
前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされている前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する位置履歴記録部と、前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する推定部と、前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信するコンテンツ配信部とを含むことを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムの制御方法であって、
前記情報配信システムは、
前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナと、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末と接続するコンピュータとを備えており、
前記コンピュータは、
前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされる前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する工程と、
前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する工程と、
前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する工程と、
前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信する工程とを実行することを特徴とする情報配信システムの制御方法。
【請求項6】
互いに業種の異なる複数の商業エリアを含む複合商業施設に用いられる情報配信システムに含まれるコンピュータを動作させるための制御プログラムであって、
前記情報配信システムは、前記複合商業施設の利用者に携帯させる携帯端末と、前記複合商業施設の敷地内に設置され、前記携帯端末と無線通信を行う複数のアンテナとを備えており、
前記コンピュータは、前記複数のアンテナの各々に接続され、前記アンテナを介して前記携帯端末に接続するようになっており、
前記コンピュータに、
前記携帯端末と接続された際にアクセスポイントとされる前記アンテナの位置に基づいて前記携帯端末の位置を示す位置情報を検出する工程と、
前記位置情報と当該位置情報の検出時刻との対応関係を示す位置履歴情報を記憶装置に記録する工程と、
前記位置履歴情報に基づいて前記携帯端末の現在位置の滞在時間を推定する工程と、
前記滞在時間が所定時間以上の場合には前記現在位置の属する商業エリアとは異なる商業エリアに関するコンテンツを前記携帯端末に配信する工程とを実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−65108(P2013−65108A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202428(P2011−202428)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)