説明

情報配信システム

【課題】
鉄道や航空機や船舶など交通機関の利用者に対して、効率的に情報配信を行うようにする。
【解決手段】
交通機関の特性にあうような情報配信を行うため、交通機関の利用者に関する経路情報を、始発点と終着点、およびこの経路にて構成される、乗継中継点の集合により登録する。情報提供業者が情報メッセージを配信する事象が発生したとき、情報メッセージの配信先の判定は、情報配信サーバにて行うことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)など、可搬性のある端末およびこれらを収容する基地局や、基地局や管理装置などを中継するネットワークシステムにおいて、鉄道や航空機や船舶など交通機関を利用する利用者に対して、効率的に情報を配信する情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特開2002−260169号公報(特許文献1)に示されているように、情報の変化を表す最新の情報を、ユーザが入手できるような情報配信方法が知られている。特許文献1では、交通状態の変化を表す交通情報が提供されると、提供された交通情報のうち、ユーザが指定した配信条件に合致する交通情報だけを、登録した配信方法でユーザに配信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−260169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方式では、鉄道や航空機や船舶など交通機関の利用者に対する情報配信の技術としては、以下に示すような課題が考えられる。
【0005】
一般に、通常の鉄道や航空機や船舶などの交通機関の利用者は、交通機関の乗車から下車において、途中となる地点で下車あるいは降機をする行為は発生しない。例えば、鉄道乗車中における、駅および駅の間や、駅においても、乗車している鉄道の種別により、その鉄道が停車しない駅が当てはまる。また、例えば、航空機搭乗中における、降機地以外の途中航路が該当する。これら、途中となる地点に関する情報は、通常においては利用者にとって、これらの地点に関する情報は必要とされない。
【0006】
本発明は、上記問題に対処するためにあり、その目的は、鉄道や航空機や船舶など交通機関の利用者が、その交通機関の特性にあった情報を入手できるようにした、情報配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この情報配信システムにおいては、交通機関の特性にあうような情報配信を行うため、交通機関の利用者に関する経路情報を、始発点と終着点、およびこの経路にて構成される、乗継中継点の集合により登録する。情報提供業者が情報メッセージを配信する事象が発生したとき、情報メッセージの配信先の判定は、情報配信サーバにて行うことにある。
【0008】
交通機関の利用者が登録する経路情報は、例えば既にインターネットなどのサービスで提供されている、始発点と終着点などを条件に経路を検索するサービスを利用すると良い。この検索結果を情報配信システムへ提供することにより、交通機関の利用者は、情報配信システムのために特段の操作を行うことなく、情報配信システムから情報メッセージの配信を受けることが出来る。
【0009】
また、交通機関の利用者は、現在の位置に関する情報を情報配信サーバへ提供することにより、利用者が既に通り去った地点に関する情報が配信されないようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現在の位置を情報配信システムに提供することにより、交通機関の利用者は、情報配信を受けるための手続きを行うことなく、所望の情報配信を受けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明例の一実施例を示す、情報配信システム全体図である。
【図2】経路情報である。
【図3】情報メッセージテーブルである。
【図4】情報配信システムのフローチャートである。
【図5】経路管理テーブルである。
【図6】経路管理テーブルに格納された経路データを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明実施例を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、同実施形態に関わる情報配信システムの全体概要を示している。この情報配信システムは、情報配信を行う情報配信コンピュータ101と、交通機関の利用者が、自らが利用する経路情報を登録する経路登録コンピュータ102と、交通機関の利用者に対して情報メッセージを提供する情報提供コンピュータ103とを備える。これらの情報配信コンピュータ101と、経路登録コンピュータ102と、情報提供コンピュータ103は、通信回線を含む情報配信システムネットワーク111で相互に通信可能な状態で接続されている。
【0014】
情報配信コンピュータ101は、後述するプログラムの実行により、交通機関の利用者が登録した経路情報201を、経路登録コンピュータ102を通して受信し、および、交通機関の利用者からの位置情報を基にして経路情報を更新し、情報配信コンピュータ101から、受信した情報メッセージを、交通機関の利用者に対して配信するものである。このプログラムでは、情報配信コンピュータ101に含まれるハードディスクなどの記憶媒体1011に記録されていると共に、同記憶媒体1011には、交通機関の利用者に対する利用者および経路情報などを記憶する記憶エリアも備えている。
【0015】
経路登録コンピュータ102は、後述するプログラムの実行により、交通機関の利用者が登録した経路情報を入力として、情報配信コンピュータ101へ、経路情報201を出力する。
【0016】
情報提供業者は、大きく分けると以下の2つに分類される。一つは、鉄道や航空機、船舶などにおける、不通、遅れ、運転再開見込み、工事などの交通輸送に関する状態情報メッセージを、外部へ提供する業者に相当する。もうひとつは、該当する位置に関連する広告などの情報メッセージ301を、外部へ提供する業者に相当する。情報提供コンピュータ103は、これらの業者に配備され、該当する情報メッセージを情報配信システムネットワーク111へ配信するほか、情報提供の代行を業とする者に配備された情報提供代行コンピュータ104が実施しても良い。この場合、情報提供代行業者が情報提供コンピュータ103を配備し、情報提供の依頼元となる業者が情報提供代行コンピュータ104を設置する。情報提供コンピュータ103と情報提供代行コンピュータ104は、電話回線などのネットワーク112、またはCDやUSBメモリに例示される外部記憶媒体105を通して、情報メッセージの送受が可能な状態になっている。
【0017】
利用者端末121は、主に無線端末である携帯電話122やPHS端末123で構成されるが、このほかにGPS(Global Positioning System)など、利用者の位置情報を、ネットワーク111を通して情報配信システムへ提供できる端末も考えられる。
【0018】
また、情報配信システムネットワーク111には、携帯電話やPHS事業者に設置される無線通信コンピュータ124が接続されている。無線通信コンピュータ124は、情報配信コンピュータ101から送信された情報メッセージを、無線端末へ通信送信するための処理を行う。
【0019】
また、情報配信システムネットワーク111には、課金用コンピュータ141が接続されている。課金用コンピュータ141は、交通機関の利用者、または情報提供業者との間で、情報配信システムのサービスに対する課金処理を行う。
【0020】
コンピュータ101及び102の機能を1つのコンピュータで実現してもよい。この1つのコンピュータに、更に、コンピュータ103やコンピュータ141の機能を含んでもよい。図1に示すコンピュータ101、102、103、104、124、141のいずれもCPU、メモリ、記憶装置、入出力装置などからなる通常の構成を有する計算機である。
【0021】
次に、上記のように構成される情報配信システムの動作を図4に示す。
【0022】
交通機関の利用者は、手続401により、無線端末121を使用して、情報配信システムネットワーク111を介して経路登録コンピュータ102へ、経路情報201を登録する。例えば、図2に示すように、経路情報201では、利用者Zは、A駅で乗車してC駅で乗り継ぎD駅で下車する、といった情報になる。次に手続402によって、経路登録コンピュータ102は、当該利用者に対する経路として、経路情報201を出力する。この経路情報201は、情報配信システム利用者201aと、出発地、途中地、及び目的地を含む乗降駅201bから成り立っている。前記の例では、利用者Zに対して、経路は、駅A、C、Dとなる。手続403により、経路登録コンピュータ102は、この経路情報201を、情報配信コンピュータ101へ送信する。手続404により、情報配信コンピュータ101は、受信した経路情報201を、記憶媒体1011に記憶する。
【0023】
手続411により、交通機関の利用者は、無線端末121を使用して、自らの位置情報(最近通過した駅の名称など)を情報配信コンピュータ101へ登録する。前記の例では、例えば利用者Zが地点Aを出発した場合、経路に駅Aの情報を登録する。これにより、手続412により、情報配信コンピュータ101では、利用者Zに対する経路情報201から、経路情報の中の駅Aを消去する、あるいは、無効にする。
【0024】
次に、情報提供業者は、交通手段を利用している利用者への情報提供を必要となる時点において、手続421により、情報提供コンピュータ103から、情報メッセージテーブル301を送信する。ここで、図3に示す情報メッセージテーブル301は、配信対象地点および情報メッセージにより構成される。例えば、地点Dに対して、「D駅で輸送障害事象が発生しました。運転を見合わせています。」という情報メッセージになる。情報メッセージテーブル301は、情報提供コンピュータ103から情報配信コンピュータ101へ、情報配信システムネットワーク111を介して送信される。
【0025】
情報配信コンピュータ101は、手続422により情報メッセージテーブル301を受信し、手続423により情報提供コンピュータ103から受信した情報メッセージテーブル301の配信対象地点に該当する、情報配信システムの利用者を経路情報201から検索する。
【0026】
ここで、図2に示した各利用者の経路情報201と、種々の交通機関及び路線ごとにその経路を構成する地点の情報を管理した経路管理テーブル202を用いて、情報メッセージの送信先(利用者)を決める処理を説明する。
【0027】
図5に示す経路管理テーブル202は、交通機関の種々の経路を一括して管理するためのテーブルであり、各レコードは、鉄道や航空機などの交通機関202a、その交通機関による各経路の路線名202b、及び始発地、途中地、終着地を含む複数の地点名のリンクで表現される経路データ202cで構成される。この経路データ202cは、利用者の移動方向が逆であって、始発地と終着地とが経路データ202cに登録されている地点名と逆の場合でも、経路を辿る順序を逆にしてそのまま利用される。図5に示す経路管理テーブル202は、情報配信コンピュータ101で管理される。
【0028】
図5に示した経路データ202cを図示したものを図6に示す。例えば、経路データ202Xは、鉄道のXX線のF駅から途中A駅を通ってC駅に至る経路を示し、経路データ202Yは、鉄道のYY線のC駅から途中E駅及びD駅を通ってB駅に至る経路を示し、経路データ202wは、途中にD駅を含む、鉄道のWW線を示している。また、これら2つの経路データ202X、202Yから、C駅が乗り継ぎ駅であることがわかる。また、D駅では、YY線とWW線とが交差していることがわかる。更に、交通機関202aにおいて、例えば、鉄道の場合に、普通、急行、特急などの運行形態も区別すれば、運行形態の応じて途中地(駅)を含む経路データ202cを構成できる。その場合、利用者も、利用する交通機関の運行形態を経路情報で指定する必要がある。その結果、利用者は、より適切な情報が得られる。
【0029】
図3に示した情報メッセージ301の情報提供が必要になった時点において、図6に示すように、利用者ZがYY線のE駅付近を移動中であった場合、情報配信コンピュータ101は、図5に示した経路管理テーブル202の経路データ202cを検索し、D駅を含む交通機関202a及び路線名202bの経路データ202cを少なくとも一つ抽出する。通常、D駅を含む経路データは一つであるが、図6に示すように、D駅が他の経路(WW線)と交差している場合、又はC駅のように2つの経路(XX線とYY線)が接続されている駅である場合は2つ以上の経路データが抽出される。抽出した少なくとも一つの経路データ202cの中から、図2に示した各利用者の経路情報201に記載の目的地(利用者Zの場合はD駅)及び現在の位置(付近の駅,図6ではE駅)が含まれる経路データ202cが選択され、この選択結果に該当する利用者を、図2に示した各利用者の経路情報201から抽出する。即ち、情報メッセージに関係する地点を含む経路データが選択され、その中から、利用者の経路情報に記載の目的地及び利用者の現在位置が含まれる経路データが抽出される。
【0030】
一方、情報メッセージ301に関するD駅を通過してB駅に向かっている、YY線の利用者Uは、上記の選択の対象外である。即ち、利用者の現在位置(付近の駅、E)と利用者の下車駅(D)との間に情報メッセージ301に関する駅(D)が存在する路線(途中乗り換えも含む)を利用している利用者が、情報メッセージの送信先(利用者)として決定される。同等に、WW線を利用し、D駅に向かっている利用者も情報メッセージ301の送信先として決定される。
【0031】
以上のように、図5に示すような、種々の経路を一括して管理するための経路管理テーブル202と、図2に示した各利用者の経路情報201及び現在位置とを組み合わせることで、交通機関の特性にあった情報を、その情報を必要とする利用者のみに配信できる。
【0032】
上記で述べたように、情報メッセージ301の送信先の決定するための手順は以下のようになる。
(1)情報メッセージに関する途中地点を含む経路データを経路管理テーブルから取得する。
(2)取得した経路データに含まれる始発地点又は終着地点、及び途中地点のいずれかと一致する途中地や目的地を含む経路情報に対応する利用者を選択する。
(3)選択した利用者の中から,情報メッセージに関する途中地点が、利用者の現在位置と目的地との間に位置する利用者を選択して情報メッセージの送り先として決定する。
【0033】
検索に該当した利用者に対して、手続424により情報メッセージが、無線端末121へ配信される。情報配信システム利用者は、手続425により、受信したメッセージを表示する。
【0034】
この情報配信システムを、交通機関の利用者が利用する対価としては、有料でも無料でも問わない。対価が有料の場合、情報配信システムの利用料金を、初期費用、月額基本料、月額従量利用料というように課金をすると良い。
【符号の説明】
【0035】
101:情報配信コンピュータ
102:経路登録コンピュータ
103:情報提供コンピュータ
104:情報提供代行コンピュータ
105:外部記憶媒体
111:情報配信システムネットワーク
112:情報提供ネットワーク
121:利用者端末
122:携帯端末
123:PHS
124:無線通信コンピュータ
141:課金用コンピュータ
1011:記憶媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の利用者に関する経路情報を、始発点と終着点、およびこの経路にて構成される、乗継中継点の集合により登録され、情報メッセージを配信する事象が発生したとき、情報メッセージの配信先の判定は、情報配信サーバにて行う、情報配信システム。
【請求項2】
交通機関の利用者に関する経路情報を、始発点と終着点、およびこの経路にて構成される、乗継中継点の集合により登録される、情報配信方法。
【請求項3】
ネットワークを介して、利用者端末と無線通信する無線通信コンピュータと、交通機関の利用者の前記利用者端末に情報メッセージを提供する情報提供コンピュータとに接続され、前記情報メッセージを前記利用者端末に配信する情報配信コンピュータが実行する情報配信方法において、
それぞれが始発地、途中地、終着地を含む複数の地点名のリンクで構成される経路データを複数個含む経路管理テーブルから、 前記情報提供コンピュータから提供された情報メッセージに関する途中地点を含む経路データを取得し、
前記取得した経路データに含まれる始発地点又は終着地点、及び途中地点のいずれかと一致する途中地や目的地を含む、前記利用者端末から入力された経路情報に対応する利用者を選択し、
前記選択した利用者の中から、前記情報メッセージに関する途中地点が、前記利用者端末から入力された利用者の現在位置と目的地との間に位置する利用者を選択して前記情報メッセージの送り先として決定する、ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項4】
前記情報メッセージの送り先を決定する際に、
前記情報メッセージに関する途中地点を含まない経路を利用者が利用している場合、あるいは、
前記情報メッセージに関する途中地点を含む経路を利用している利用者の現在位置と目的地との間に前記情報メッセージに関する途中地点が位置してない場合、のいずれかの場合には前記情報メッセージの送り先としないことを特徴とする請求項3記載の情報配信方法。
【請求項5】
交通機関の利用者の端末に情報メッセージを提供する計算機における情報配信方法は、
前記交通機関の経路を示す複数の経路データから、前記情報メッセージに関する地点を含む経路データを取得し、
前記取得した経路データの中に、前記端末から入力された経路情報が含まれる利用者を選択し、
前記選択した利用者の中から、前記利用者の現在位置と目的地との間に前記情報メッセージに関する地点が含まれる利用者を前記情報メッセージの送り先として決定する、ことを特徴とする情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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