説明

情報配信装置、システム及び方法

【課題】インターネット上の販促分野において、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大する技術を提供すること。
【解決手段】携帯端末専用アプリを使用するスマホユーザに対し、ネット事業者から本来の携帯端末専用のウェブコンテンツに加え、景品(おまけ)として商品や試供品など所定の対象と交換できる電子クーポンを広告に代えて提供する。スマホユーザは携帯端末専用アプリ使用の動機付けが、広告主はクーポン提供の動機付けが、ネット事業者はクーポン配信の動機付けが強化され、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンに適した販促の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される通信ネットワークの普及発達に伴い、いわゆるウェブ広告が一般化している。その一例は、表示されるウェブページの内容を所定の基準でカテゴリ毎に分類し、分類されたカテゴリに即した適切な広告を配信するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、昨今では、スマートフォンやタブレットPC等の通信端末機器(以下「スマホ」又は単に「端末」と総称する)の急速な普及に伴い、XGA(1024×768)、SXGA(1280×1024)といったデスクトップ向けなどのディスプレイサイズを念頭に作られた従来のPC向けウェブサイトのページ閲覧やコンテンツの利用(以下「利用」と総称する)を、スマホから行うユーザが増加している。このようにスマホからPC向けウェブサイトを利用する際、ウェブページに組み込まれた広告表示領域が、スマホの画面上では相当の広さを占める場合があり、その分、本来のコンテンツを表示できないためウェブサイトを利用するユーザにとって不便という問題があった。
【0004】
このような問題に対し、従来、スマホからのアクセスに対しては、スマホの限られた画面情報量を考慮し、広告表示を最小限にしたスマホ向けの専用ページを提供することで、ウェブ利用の不便さを解消する試みを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−97351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような専用ページでは、広告を表示する面積や数などの機会が減少するため、広告主にとっては期待する広告効果が得にくい場合もあり、また、ウェブコンテンツの提供や広告の配信を行うインターネット事業者(以下「ネット事業者」とも呼ぶ)にとっても、専用ページでの広告収入が減少する問題があった。以上のように従来、インターネット広告において、スマホユーザ、広告主、ネット事業者それぞれの要望の並立は困難であった。
【0007】
上記の課題に対し、本発明の目的は、インターネット上の販促分野において、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、任意のアプリケーションからのアクセスに対しウェブコンテンツを提供する情報配信装置であって、前記ウェブコンテンツと共に配信する広告の情報と、景品として所定の対象と交換するための電子クーポンの情報と、を記憶する広告情報等記憶手段と、前記アプリケーションについて予め定められた携帯端末専用アプリからのアクセスか否かを判定するモバイルアクセス判定手段と、前記アプリケーションからのアクセスに対し、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づく広告の表示情報と前記電子クーポンの情報に基づく電子クーポンの表示情報と、を送信する送信手段と、を備え、前記送信手段は、前記モバイルアクセス判定手段によって判定された前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様(11)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、前記ウェブコンテンツと共に配信する広告の情報と、景品として所定の対象と交換するための電子クーポンの情報と、を記憶する広告情報等記憶手段を有し、任意のアプリケーションからのアクセスに対しウェブコンテンツを提供する情報配信装置を用いる情報配信方法であって、前記アプリケーションについて予め定められた携帯端末専用アプリからのアクセスか否かを判定するモバイルアクセス判定処理と、前記アプリケーションからのアクセスに対し、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づく広告の表示情報と前記電子クーポンの情報に基づく電子クーポンの表示情報と、を送信する送信処理であって、前記電子クーポンは、前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対して送信する送信処理と、をコンピュータが実行し、前記送信処理は、前記モバイルアクセス判定処理によって判定された前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記送信手段は、前記携帯端末アプリ以外の前記アプリケーションからのアクセスに対して、所定のウェブコンテンツと、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づいた前記広告の表示情報と、を送信する第一の送信手段と、前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対しては、前記ウェブコンテンツよりも広告表示領域が小さい携帯端末専用の端末用ウェブコンテンツと、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記電子クーポンの情報に基づいた前記電子クーポンの表示情報と、を送信する第二の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このように、携帯端末専用アプリを使用するスマホユーザに対し、ネット事業者から本来の携帯端末専用の端末用ウェブコンテンツに加え、景品(おまけ)として商品や試供品など所定の対象と交換できる電子クーポンを広告に代えて提供する。これにより、まず、スマホユーザは、広告主が提供する実際の商品やサービスに直結する訴求力ある電子クーポンという付加価値を、携帯端末専用アプリのおまけとして享受できる。かつ、広告主は、スマホユーザにお得感を与えるおまけとして商品や試供品などと交換できる電子クーポンの提供により、スマホユーザに対し広告以上に関心を惹く効果的な商品告知で優れたプロモーション効果を得たうえ、実店舗の店頭告知等と比べ試供品やクーポンの配布コストを低減できる。さらに、ネット事業者は、おまけとしての電子クーポンという付加価値で携帯端末専用アプリを使用するユーザの満足度を高め、携帯端末専用アプリの使用拡大が図れるため、電子クーポンの配信によるプロモーションフィーや広告収入も得られる。
【0012】
これらにより、スマホユーザは携帯端末専用アプリ使用の動機付けが、広告主はクーポン提供の動機付けが、ネット事業者はクーポン配信の動機付けが強化され、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大することができる。なお、携帯端末専用アプリの具体的な内容としては、広告表示を無くして、又は、減らしてコンテンツを配信するとしても良い。
【0013】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、上記いずれかの態様において、前記第二の送信手段は前記携帯端末専用アプリに対し、前記電子クーポンとして、その携帯端末専用アプリを実行している端末の表示画面にバーコードを表示させ、前記電子クーポンについて行使のための所定の操作処理が完了すると、前記電子クーポンの表示情報を抹消させることを特徴とする。
【0014】
このように、電子クーポンについて実店舗での引換処理に際し、端末画面の所定部分へのタッチ操作やPOSシステムでスキャンするなど、所定の操作処理が完了すると電子クーポンを抹消することにより、一部のユーザが複数回行使して試供品等の予定数量が終了し他の希望者が行使できないなどの弊害を防止することができる。
【0015】
本発明の他の態様(4)は、前記広告情報等記憶手段は、前記電子クーポンと交換できる対象の種別、数量及び提供場所を表す供給情報を記憶し、前記送信手段は前記電子クーポンに対応する前記供給情報を送信することを特徴とする。
【0016】
このように、電子クーポンと交換できる対象の種別、数量、提供場所を表す供給情報を予め用意しておくことにより、ユーザの現在位置や指定の地域、ユーザが指定した対象のカテゴリ、残り数量などに応じて適切な電子クーポンを提供できるので、電子クーポンによるユーザの満足や販促効果を改善できる。また、その供給情報の全部又は一部を、電子クーポンと同時に又は事後のアクセスに応じてユーザに送信することにより、ユーザによる電子クーポン利用の便宜を改善できる。
【0017】
本発明の他の態様(5)は、上記いずれかの態様において、前記アプリケーションから又はそのアプリケーションを実行している端末から、端末の位置情報を受信する位置受信手段と、受信した前記位置情報と、前記電子クーポンに対応する前記供給情報と、に基づいて、その電子クーポンと交換できる対象の提供場所が前記位置情報の位置から予め定められた範囲内である電子クーポンを選択する位置クーポン選択手段と、を備え、前記送信手段は、選択された前記電子クーポンを、前記提供場所の情報と共に送信することを特徴とする。
【0018】
このように、電子クーポンを使える提供場所を表す供給情報と、GPSなどに基づく端末の位置情報に基づいて、現在の位置から近い場所で使える電子クーポンを選択するとともにその提供場所の情報と共に送信することにより、ユーザは労せずして迅速に提供場所へ赴いて電子クーポンを使うことができ、よりいっそう優れたユーザ満足度、販促効果が実現できる。
【0019】
本発明の他の態様(6)は、上記いずれかの態様において、前記アプリケーションのユーザごとに対応する属性を記憶するユーザ属性記憶手段と、判定された前記携帯端末専用アプリのユーザに対応して前記ユーザ属性記憶手段に記憶されている前記属性に基づいて、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記電子クーポンの情報に基づく複数の選択肢の中から、送信される前記電子クーポンの種類を選択する属性クーポン選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
このように、ユーザの趣味嗜好などの属性に合わせて、配信する電子クーポンの種類を複数の選択肢から選択することにより、個々のユーザにより適合した電子クーポンが提供できるので、ユーザの満足度が向上するうえ、電子クーポンの引換率など応答性が改善するので広告主の広告効果も改善できる。
【0021】
本発明の他の態様(7)は、上記いずれかの態様において、前記第二の送信手段は前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対し、前記電子クーポンとして、その携帯端末専用アプリを実行している端末の表示画面に商品コードと、その電子クーポンの使える店舗を予め定められた実店舗群に限定する情報コードと、を表示させることを特徴とする。
【0022】
このように、事前に定められた流通事業者との連携を基に、配信する電子クーポンが使える店舗をグループ店舗など所定の実店舗群に限定することにより、その事前に定められた流通事業者は、ブランド名等の広告効果に加えてそれら実店舗群への集客が可能となる。また、ネット事業者も、それら実店舗での電子クーポンの使用に応じ、電子クーポンの割引に起因する販売増に基づくアフィリエイトフィーなどの報酬を獲得することが可能となる。
【0023】
本発明の他の態様(8)は、上記いずれかの態様において、前記携帯端末専用アプリから又は前記携帯端末専用アプリを実行している端末から、前記電子クーポンが行使されたことを表す実績情報を受信する受信手段と、受信した前記実績情報に基づいて前記電子クーポンの行使に係る対象物の流通処理又はその行使に係る精算処理のうち少なくとも一方の処理を行うための事後処理情報を生成する生成手段と、生成された前記事後処理情報を予め定められた出力先へ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このように、電子クーポンの行使に関する実績情報に応じて、前記電子クーポンが行使された数量の実績値や、行使に係る対象物について数量控除や補充納品などの流通処理や、行使に係る代金等の精算処理を行うための事後処理情報を生成し、電子クーポンの行使に応じる小売店やサービス事業者、又は、広告主で商品等の最終負担者となる製造者、販売者、流通者といった予め定められた出力先へ出力する。これにより、小売店やサービス事業者と広告主(商品等の最終負担者となる製造者、販売者、流通者)との間で電子クーポン行使に係る事後処理が容易かつ円滑となる。
【0025】
本発明の他の態様(9)は、上記いずれかの態様において、前記モバイルアクセス判定手段は、有料の前記携帯端末専用アプリである有料アプリからのアクセスか否かを判定し、前記送信手段は、前記モバイルアクセス判定手段によって判定された前記有料アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする。
【0026】
このように、有料アプリを購入したスマホユーザに対し、ネット事業者から本来の有料用ウェブコンテンツに加え、景品(おまけ)として商品や試供品など所定の対象と交換できる電子クーポンを広告に代えて提供する。これにより、まず、スマホユーザは、広告主が提供する実際の商品やサービスに直結する訴求力ある電子クーポンという付加価値を、有料アプリのおまけとして享受できる。かつ、広告主は、ユーザにお得感を与えるおまけとして商品や試供品などと交換できる電子クーポンの提供により、スマホユーザに対し広告以上に関心を惹く効果的な商品告知で優れたプロモーション効果を得たうえ、実店舗の店頭告知等と比べ試供品やクーポンの配布コストを低減できる。さらに、ネット事業者は、おまけとしての電子クーポンという付加価値で有料アプリを購入したユーザの満足度を高め、有料アプリの販促効果によりアプリ代金の安定的維持増大が図れるうえ、電子クーポンの配信によるプロモーションフィーや広告収入も得られる。
【0027】
これらにより、スマホユーザは有料アプリ購入の動機付けが、広告主はクーポン提供の動機づけが、ネット事業者はクーポン配信の動機付けが強化され、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大することができる。なお、有料アプリの具体的な内容としては、広告表示を無くして、又は、減らしてコンテンツを配信するとしても良い。一方、有料アプリとは異なる無料アプリについては、広告配信により従来通りの広告効果が得られる。
【0028】
本発明の他の態様(10)である情報配信システムは、上記いずれかの態様における情報配信装置と、音声通話用の受話部及び送話部を有し、通信ネットワークを介してウェブコンテンツを処理する携帯端末専用のアプリケーションを実行する端末であるスマートフォンと、を前記通信ネットワークを介して組み合わせたことを特徴とする。
【0029】
すなわち、音声通話用の受話部と送話部を含むスマートフォンは、表示画面サイズが特に限られていることから、上記のように本発明の情報配信装置と組み合わせることにより、画面領域を専有しがちな広告に代えて電子クーポンを表示する利点が特に大きく、本発明の効果が一層有効に発揮できる。
【0030】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)としても把握することができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は本出願に直接明記するものに限定されず、処理順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。さらに、方法やプログラムのカテゴリにおいて、個々の処理やステップを実行する「コンピュータ」は共通でもよいし、処理ごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。加えて、本発明は、後述するさらに具体的な各態様を含むものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、インターネット上の販促分野において、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図(広告情報)。
【図3】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図(クーポン情報)。
【図4】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図(ユーザ情報)。
【図5】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(無料コンテンツ、広告)。
【図7】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(有料コンテンツ、タブ)。
【図8】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(バーコードの電子クーポン)。
【図9】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(クーポン抹消後)。
【図10】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(二次元コードの電子クーポン)。
【図11】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図(事後処理情報)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0034】
〔1.構成〕
図1(構成図)に示す本実施形態は、情報配信装置1(以下「本装置1」又は「本装置」とも呼ぶ)と、エンドユーザが用いる端末T(スマートフォンなど)と、を通信ネットワークN(例えば、インターネット、移動通信網など)を介して組み合わせた情報配信システムに関するものである。
【0035】
このうち、本装置1は、端末Tで実行される任意のアプリケーション・プログラム(本出願において「アプリケーション」や「アプリ」と略称する)からのアクセスに対しウェブコンテンツを提供するサーバ装置である。本装置1は、図1に示すように、コンピュータの構成として少なくとも、CPUなどの演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークNとの通信手段8(通信ゲートウェイ装置、移動通信網との通信回路、無線LANアダプタなど)と、を有する。この点、後述する事業者の情報システムXについても同様である。
【0036】
また、端末Tは、スマートフォン、タブレットPCなどのモバイル情報端末で、図示はしないが、上記のようなコンピュータの構成に加え、通信ネットワークを介してウェブコンテンツを処理するアプリを実行する機能と、液晶表示パネルやタッチパネル、押ボタンなどを用いた入出力部と、を有する。なお、スマートフォンは、携帯電話、PHS、無線LANなどの広帯域回線通信機能と、筺体サイズに対し相対的に大きな割合の面積を占めるタッチパネル兼用表示画面を有する携帯情報端末である。タブレットPCは、板状の携帯型パーソナルコンピュータで、タッチパネル式に代表される入力部兼表示画面を有し、原則、広帯域回線通信機能を有する。
【0037】
端末Tは、図1では模式的に一つを示すが、実際はユーザ数に応じ多数存在し、情報システムXについても、クーポンの利用に応じるストアチェーンなど事業者の数に応じて存在する。本装置1では、記憶装置7に記憶(インストール)した所定のコンピュータ・プログラムが演算制御部6を制御することで、図1に示す各手段などの要素(10,20ほか)を実現する。
【0038】
それら要素のうち情報の記憶手段は、記憶装置7上のファイルなど任意のデータ形式で実現できるほか、ネットワークコンピューティング(クラウド)によるリモート記憶でもよい。また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0039】
そして、記憶手段のうち、広告情報等記憶手段15は、ウェブコンテンツと共に配信する広告の情報と、景品として所定の対象と交換するための電子クーポンの情報と、を記憶している手段である。具体的には、広告情報等記憶手段15は、図2に例示するような広告の情報(以下「広告情報」と呼ぶ)を記憶している広告情報記憶手段16と、図3に例示するような電子クーポンの情報(以下「クーポン情報」と呼ぶ)を記憶しているクーポン情報記憶手段17と、を有する。クーポン情報が、バーコードや商品の画像など電子クーポンの表示情報を含んでいてもよい。
【0040】
また、ユーザ属性記憶手段55は、図4に例示するように、アプリのユーザごとに対応する属性として、性別、年齢、地域、直近に閲覧したウェブページ(以下、単に「ページ」とも呼ぶ)のカテゴリなどを記憶する手段である。
【0041】
なお、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばデータをある方向に取得する場合、事前のデータリクエストや事後のアクノリッジ(ACK)が逆方向に送信される。また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0042】
〔2.作用及び効果〕
上記のように構成された本実施形態の作用を、図5のフローチャートに示す。
〔2−1.概要〕
まず、作用の概要を説明する。すなわち、本装置1では、端末Tのアプリからアクセス(ステップS31)をアクセス受付手段10が受け付けると(ステップS11)、判定手段20が、そのアプリについて、予め定められた携帯端末専用アプリからのアクセスか否かを判定する(ステップS12)。なお、携帯端末専用アプリとは、スマートフォン、タブレットPCなどのモバイル情報端末専用のアプリケーションであり、例えば、有料のアプリケーション(有料アプリ)とすることができる。以下、「携帯端末専用アプリ」を「有料アプリ」として説明する。
【0043】
携帯端末専用アプリからのアクセスか否か、すなわち、有料アプリからのアクセスか否かについては、例えば、アプリの種別を表す情報(仮に「アプリ種別情報」と呼ぶ)をアプリから取得し、有料アプリ記憶手段9に予め記憶しておく有料アプリのアプリ識別情報と一致すれば有料アプリと判断できる。
【0044】
他の例として、同じアプリに有料アプリモードと無料アプリモードがあり、いずれか一方でインストールするような場合、ユーザ課金などのうえ有料アプリとしてインストールする際に端末T又はアプリを個別に識別する情報(仮に「個別識別情報」と呼ぶ)を有料アプリ記憶手段9に記憶し、アクセスしてきたアプリの個別識別情報と一致すれば有料アプリと判断することも考えられる。
【0045】
そして、送信手段30は、アプリからのアクセスに対し、広告情報等記憶手段15に記憶されている広告情報に基づく広告の表示情報と(ステップS13)、クーポン情報に基づく電子クーポンの表示情報と(ステップS18)、を送信する手段である。ここで、広告の表示情報は、端末Tで広告を表示するための静止画や動画、マークアップ記述などのデータであり、本出願では単に「広告」とも呼ぶこととする。同様に、電子クーポンの表示情報は、端末Tで電子クーポンを表示するための静止画や動画、マークアップ記述などのデータであり、本出願では単に「電子クーポン」とも呼ぶこととする。
【0046】
また、送信手段30は、電子クーポンについては、有料判定手段20によって判定された有料アプリからのアクセスに対して(ステップS12:「YES」)送信する(ステップS18)。電子クーポンは、広告主が供給する商品、サービス、試供品や割引額など所定の対象や利益と交換できる情報であり、典型的には、図3に例示するような商品コードを画像化した一次元のバーコードを想定するが(例えば図8の符号C)、これに限らず、QRコード(登録商標)に代表される画面表示用の二次元コード(例えば図10)、非接触ICカードなどのRFIDなどを用いるものでもよい。
【0047】
〔2−2.広告とクーポンの出し分け〕
具体的には、送信手段30は、第一の送信手段31と第二の送信手段32と、を有し、有料アプリ以外のアプリからのアクセスに対しては(ステップS12:「NO」)、第一の送信手段31が、所定のウェブコンテンツと、広告情報等記憶手段15に記憶されている広告情報に基づいた広告とを、広告を組み込んだページなどの形で送信する(ステップS13)。ここで、所定のコンテンツとは、無料コンテンツ記憶手段21に記憶されているウェブコンテンツ(以下「無料コンテンツ」とも呼ぶ)とすることができる。図6の例では、スマートフォンPの表示画面Gに、面積の広い広告ADを伴う無料コンテンツF1が表示されている。
【0048】
また、有料アプリからのアクセスに対しては(ステップS12:「YES」)、第二の送信手段32(以下「有料送信手段32」とも呼ぶ)が、ウェブコンテンツよりも広告表示領域が少ない有料用ウェブコンテンツと、広告情報等記憶手段15に記憶されているクーポン情報に基づいた電子クーポン(単に「クーポン」とも呼ぶ)と、を送信する(ステップS18)。ここで、有料用ウェブコンテンツとは、有料コンテンツ記憶手段22に記憶されているウェブコンテンツ(以下「有料コンテンツ」とも呼ぶ)とすることができ、その有料コンテンツは、無料コンテンツよりも広告の表示領域が小さいウェブコンテンツである。なお、「広告表示領域が小さい」とは、「広告表示領域が無い」場合も含む。
【0049】
図7の画面は、端末であるスマートフォンPが、電子クーポンを画面表示させるためのリンクの役割を果たすタブCCを含むページを受信し、有料コンテンツF2として表示画面Gに表示(ステップS32)した状態を例示している。このタブCCを操作すると、図8に例示するように、電子クーポンCを含むページへ画面表示が遷移する(ステップS33)。
【0050】
このような遷移を生じさせるためのリンクなどの画面要素は、タブに限らず、小さなバナースペース、オーバーレイ表示などでもよい。それら所定の部分に対する操作を待って電子クーポンを表示させることにより(例えば図7)、電子クーポンを入手してはじめてユーザ自身がその電子クーポンの具体的な内容を確認できるので、積極的な興味や期待感が醸成できる。
【0051】
以上のように、本実施形態では、有料アプリを購入したスマホユーザに対し、ネット事業者から本来の有料コンテンツに加え、景品(おまけ)として商品や試供品など所定の対象と交換できる電子クーポンを広告に代えて提供する(例えばステップS18)。これにより、まず、ユーザは、広告主が提供する実際の商品やサービスに直結する訴求力ある電子クーポンという付加価値を、有料アプリのおまけとして享受できる。
【0052】
かつ、広告主は、ユーザにお得感を与えるおまけとしての商品や試供品としての商品などと交換できる電子クーポン、また、購買誘因となる割引を受けられる電子クーポンの提供により、スマホユーザに対し従来の広告以上に関心を惹く効果的な商品告知で優れたプロモーション効果を得たうえ、実店舗の店頭告知等と比べ試供品やクーポンの配布コストを低減できる。さらに、ネット事業者は、おまけとしての電子クーポンという付加価値で有料アプリ購入者のユーザ満足度を高め有料アプリの販促効果によりアプリ代金の安定的維持増大が図れるうえ、電子クーポンの配信による広告収入も得られる。
【0053】
これらにより、スマホユーザは有料アプリ購入の動機付けが、広告主はクーポン提供の動機付けが、ネット事業者はクーポン配信の動機付けが強化され、スマホユーザ、広告主、ネット事業者という三者の利益をともに増大することができる。なお、有料アプリについては広告を無くして又は減らしてコンテンツを配信するが、有料アプリとは異なる無料アプリについては広告配信により(例えば図6)従来通りの広告効果が得られる。
【0054】
〔2−3.供給情報の送信〕
上記のように送信される電子クーポンを活用しやすくするため、本実施形態では、電子クーポンが使える場所など、電子クーポンの行使の条件を表す情報である供給情報を提供する。具体的には、広告情報等記憶手段15(特にクーポン情報記憶手段17)に、図3に例示するように、電子クーポンと交換できる対象(商品、試供品、サービス、割引など)の種別(図3「提供内容」の欄)、数量及び提供場所(「引換店舗」「位置座標」の欄)を表す供給情報を予め記憶し、送信手段30は、電子クーポンに対応するこれら供給情報を送信する(ステップS18)。
【0055】
このように、電子クーポンと交換できる対象の種別、数量、提供場所を表す供給情報を予め用意しておく(例えば図3)ことにより、ユーザの現在位置(後述)や指定の地域、ユーザから予め指定を受け付けた対象のカテゴリ(例えば「食品」「飲料」「エステ体験」「美容室割引」「すべて」など)、対象の残り数量などに応じて、送信する電子クーポンをクーポン情報記憶手段17から検索し限定し、適切な電子クーポンを提供できる。このため、電子クーポンによるユーザの満足や販促効果を改善できる。
【0056】
また、図8の例では、電子クーポンCに対応する供給情報CTとして、図3の例に沿って、クーポンと交換できる対象が「○○スナック」1個であり、「□□マート千葉店」で交換できることが表示されている。このように、その供給情報の全部又は一部を、電子クーポンと同時に(事後のアクセスに応じてでもよい)ユーザに送信することにより、ユーザによる電子クーポン利用の便宜を改善できる。
【0057】
〔2−4.位置に応じたクーポンの送信〕
また、本実施形態では、上記のように送信する電子クーポンを、ユーザすなわち端末Tの位置に応じて選択する。具体的には、位置受信手段40が、アプリから又はそのアプリを実行している端末Tから、GPSなどによる端末Tの位置情報を受信する(ステップS31,S11)。なお、端末Tについて、GPS機能が無い場合や、ユーザ位置情報の通知に同意操作をしていないなどの場合は、位置情報は送受信されない。
【0058】
そして、位置情報が受信された場合は(ステップS14:「YES」)、受信した位置情報と、電子クーポンに対応する供給情報と、に基づいて、位置クーポン選択手段45が、その電子クーポンと交換できる対象の提供場所が位置情報の位置から予め定められた範囲内である電子クーポンを選択し(ステップS15)、送信手段30は、選択された電子クーポンを、提供場所の情報と共に送信する(ステップS18)。
【0059】
ここで、提供場所が位置情報の位置から「予め定められた範囲内」とは、具体的には自由であるが、例えば、一又は二以上のクーポンについて提供場所が所定半径や所定の推定所要時間内に複数あれば、その複数に該当するクーポンを複数全部選択して、一度に複数又は一つずつ順番に送信するようにすれば、ユーザへの多様な電子クーポンの提供が可能となる。また、そのように複数の該当がある場合、選択する上限数を3つや5つなど所定数に限定すれば、同じ位置について送信する電子クーポンの数の増え過ぎが防止できる。
【0060】
また、「予め定められた範囲内」として、位置情報の位置から最寄りの提供場所を特定し、その提供場所に対応する電子クーポンを一又は二以上選択すれば、ユーザは提供場所へ容易に赴けるので電子クーポンの利用が促進できる。例えば、図3に例示する「○○スナック」及び「△△ドリンク」のクーポンが選択肢とすると、対応する提供場所すなわち引換店舗は「□□マート千葉店」「□□マート葛西店」「××ドラッグ本店」などとなる。
【0061】
このうち、アクセスが千葉駅前からで、その際の位置情報と、図3中の個々の位置座標との距離を計算し比較した結果、「□□マート千葉店」が最寄りの場合、図8に示すように、「○○スナック」の電子クーポンが選択され、提供場所である引換店の情報として「□□マート千葉店」も、供給情報CTに含めて送信・表示される。
【0062】
提供場所の情報として、同じ画面に略地図など他の情報を共に表示したり、「□□マート千葉店」の文字やその他画面の所定の部分をタッチ操作することで、経路案内画面や地図画面などを表示するようにすれば、提供場所への移動が迅速容易になり電子クーポンの利用が効果的に促進できる。
【0063】
このように、電子クーポンを使える提供場所を表す供給情報と(例えば図3)、GPSなどに基づく端末の位置情報に基づいて、近い場所で使える電子クーポンを選択するとともに(例えばステップS15)その提供場所の情報と共に送信することにより(例えばステップS18)、ユーザは労せずして迅速に提供場所へ赴いて電子クーポンを使うことができ、よりいっそう優れたユーザ満足度、販促効果が実現できる。
【0064】
〔2−5.属性に応じたクーポンの選択〕
また、クーポンの選択は、本実施形態では、ユーザの属性に応じて行うことができる。ユーザの属性としては、検索履歴、閲覧履歴のほか、関連する事項や興味対象の特徴(例えば、甘い、辛い、スイーツ、洋風、和風、インドア、アウトドア)、また、居住地域の属性として都心、郊外、地方…など自由で、その具体例や入手経路も限定されない。
【0065】
ユーザの属性は、一般的な例としては、有料アプリや関連のポータルサイトのユーザ登録で入力された、いわゆるデモグラフィック情報(性別、誕生日又はそれに基づく年齢や年代、地域、興味あるテーマなど)のほか、ユーザが閲覧したウェブページや検索キーワードに予め付与されているカテゴリコードやテーマコード、電子商取引履歴などが考えられる。これらユーザの属性は、ユーザ登録やその後の利用に際して随時、ユーザ属性記憶手段55に追加したり更新するなどにより記憶しておく。
【0066】
そして、アクセス時に、ユーザID、有料アプリや端末の個別識別情報などでユーザを識別し、属性クーポン選択手段50は、判定された有料アプリのユーザに対応してユーザ属性記憶手段55に記憶されている上記のような属性に基づいて、広告情報等記憶手段15(特にクーポン情報記憶手段17)に記憶されているクーポン情報に基づく複数の選択肢の中から、送信する電子クーポンの種類を選択する(ステップS16)。例えば、図3に例示する「○○スナック」の電子クーポンは、指定されている対象者属性が「20代女性」であり、図4に例示する2人のユーザのうち「20代女性」に該当するユーザID「U0011」からアクセスの場合に選択される可能性がある。
【0067】
このように、ユーザの趣味嗜好などの属性に合わせて、配信する電子クーポンの種類を複数の選択肢から選択することにより(例えばステップS16)、個々のユーザにより適合した電子クーポンが提供できるので、ユーザの満足度が向上するうえ、電子クーポンの引換率など応答性が改善するので広告主の広告効果も改善できる。
【0068】
〔2−6.実店舗群への集客〕
また、本実施形態では、電子クーポンにより所定の実店舗群への集客を図ることができる。具体的には、有料送信手段32は有料アプリからのアクセスに対し、電子クーポンとして(ステップS33)、その有料アプリを実行している端末の表示画面に商品コードと、その電子クーポンの使える店舗を予め定められた実店舗群に限定する情報コード(仮に「店舗コード」と呼ぶ。図示は省略)と、を表示させる(ステップS17)。
【0069】
なお、商品コードと店舗コードは、別々に表示する必要はなく、両者を組み合わせた文字列を画像化した二次元コードを用いることもできる。例えば、図10に例示する電子クーポンC2は二次元コードで、バーコードよりも多くの情報量を表せる特長を活かして、店舗コードを含んでいる。店舗コードとしては、複数の個別店舗の店舗コードを列記したものや、チェーンストアの全店舗を表すコード内容、チェーンストアのうち一部地域の店舗を表すコード内容などが考えられる。
【0070】
このように、事前に定められた流通事業者との連携を基に、配信する電子クーポンが使える店舗をグループ店舗など予め定められた実店舗群に限定することにより(例えばステップS17)、その指定する流通事業者は、ブランド名等の広告効果に加えてそれら実店舗群への集客が可能となる。また、ネット事業者も、それら実店舗での電子クーポンの使用に応じ、電子クーポンの割引に起因する販売増に基づくアフィリエイトフィーなどの報酬を獲得可能となる。
【0071】
〔2−7.行使済クーポンの抹消〕
また、本実施形態では、行使済の電子クーポンを抹消することで公平性を確保できる。すなわち、有料送信手段32は有料アプリに対し、電子クーポンとして、その有料アプリを実行している端末Tの表示画面にバーコードを表示させ(ステップS33。例えば図8)、さらに、その有料アプリに対し、電子クーポンについて行使のための所定の操作処理(POSでの読み取り、店員による消却操作など)が完了すると(ステップS34:「YES」)、電子クーポンの表示情報を消去して電子クーポンを抹消させる(ステップS35)。図9の表示例は、行使済の電子クーポンが抹消され、現時点で表示できる電子クーポンが他にない場合に、電子クーポンに代えてその旨の告知Kを表示している画面を例示している。
【0072】
電子クーポンについて、行使のための操作処理と、抹消の仕組みの組合せは自由に選択できるが、一例として、電子クーポンの行使を受け付けた店員などのスタッフが端末画面の所定部分へのタッチ操作などを行うことで、アプリに抹消を指示し、当該電子クーポンが行使されたことを端末から受信する態様も考えられる。こうすれば、抹消のための端末Tとのネットワーク通信や情報システムXや本装置1の介在が不要になるとともに、電子クーポンの行使実績を端末Tから直接受信することができるので、全体システムが簡素で済み、システムの構築が容易になる。また、システム全体の耐障害性も改善できる。
【0073】
他の例として、会計レジでのスキャン操作などでクーポンの行使を受け付けた事業者の情報システムX(図1)が、バーコードとしてエンコードされていた個別識別情報やユーザIDなどの識別情報を本装置1へ転送し、本装置1の有料送信手段32がその時点で、電子クーポンを有料アプリに抹消させる指令データや抹消後の画面のデータなどを端末Tへ送信することが考えられる。こうすれば、電子クーポンの抹消のため特段の端末操作が不要で使い勝手に優れ、さらに、電子クーポンの利用を情報システムXや本装置1でも電子的に把握できるので電子クーポンへの反応などの情報を効果測定等に活用できる。
【0074】
このように、電子クーポンについて実店舗での引換処理に際しPOSシステムでスキャンするなど所定の操作処理が完了すると(例えばステップS34:「YES」)電子クーポンを抹消することにより(例えばステップS35)、一部のユーザが複数回行使して試供品等の予定数量が終了し他の希望者が行使できないなどの弊害を防止することができる。
【0075】
〔2−8.クーポン行使の事後処理支援〕
また、本実施形態では、上記のようなクーポン行使の事後処理を支援することができる。すなわち、受信手段である実績情報受信手段80は、有料アプリ又はその有料アプリを実行している端末Tから、電子クーポンが行使されたことを表す実績情報の転送を受ける(ステップS20)。実績情報の転送は、電子クーポンが行使されその電子クーポンが抹消された際に所定の通信網を介して行われてもよく、ユーザが指定する時間帯、又は、ユーザが指定する通信手段(例えば、WiFiなどの無線LAN通信やWiMaxなどの高速移動通信といった広帯域無線通信手段)が通信圏内に入るなどして使用可能になったタイミングで行われても良い。
【0076】
他の例として、実績情報受信手段80は、夜間バッチ処理がスケジュールされた時刻など所定のタイミングで(ステップS19:「YES」)、電子クーポンの行使に応じる事業者の情報システムX(すなわち電子クーポンの行使数を集計する情報システムX。図5)から、実績情報(例えば、電子クーポンの行使について少なくとも数量を表す)の転送を受ける(ステップS20)。転送は、夜間など決まった時間帯に一括で受ければ昼間の繁忙時間帯の負荷軽減になるが、行使ごとに常時受け付ければ反映のリアルタイム性に優れる。
【0077】
続いて、そのように転送を受けた実績情報に基づいて、生成手段である事後処理情報生成手段81が、電子クーポンの行使に係る対象物の流通処理又はその行使に係る精算処理のうち少なくとも一方の処理を行うための事後処理情報を生成する(ステップS21)。事後処理情報の具体的内容は自由であるが、前記流通処理に係るものとしては、電子クーポンの行使実績情報として、電子クーポン毎の行使回数の実績値を表すデータが考えられる。また、電子クーポンの行使分の数量を、出荷済分から数量控除したり、追加的に補充納品するための出庫伝票や配送伝票の電子データや出力データなどが考えられる(例えば図11)。
【0078】
また、前記精算処理に係るものとしては、電子クーポンの行使回数、ユーザ属性の情報、行使対象の商品やサービスの内容およびそれらの商品コードとを関連付けたデータが考えられる(図示省略)。このデータを用いることにより、行使分の数量の代金を振込や相殺などで精算するための経理データとして使用することができ、アフィリエイトフィー、インセンティブ料、キックバック、販促報酬など、任意の当事者間での各種利害調整の情報やその他の必要な情報として活用することができる。
【0079】
そして、上記のように生成された事後処理情報を、出力手段である事後処理情報出力手段82が予め定められた出力先へ出力する(ステップS22)。出力先や出力態様としては、上記の流通処理や精算処理に関わるメーカー、スポンサーなどの広告主や、流通事業者、精算代行事業者、本装置1を運営するネット事業者の各種システムなどに通信ネットワークN経由で送信する他、本装置1からデータを物理的に持ち出すためのリムーバブル記憶媒体に書き込むなどでもよい。図5の例では、事後処理情報に係る当事者として、上記の情報システムXではなく、クーポンの対象を負担するメーカーなど事業者の情報システムYに対し、流通処理や精算処理を行うための事後処理情報を出力している(破線矢印)。
【0080】
このように、電子クーポンの行使に応じた小売店など事業者からの実績情報(例えばステップS20)に応じて、行使に係る対象物(商品や試供品など)について数量控除や補充納品などの流通処理や、行使に係る代金等の精算処理を行うための事後処理情報を生成し(例えばステップS21)出力する(例えばステップS22)。これにより、電子クーポンの行使に直接応じる小売店やサービス事業者などと、広告主で商品等の最終負担者となる製造者、販売者、流通者などと、の間で電子クーポン行使に係る事後処理が容易かつ円滑となる。
【0081】
〔2−9.スマートフォンへの適合性〕
上記のような情報配信装置(本装置1)は、音声通話用の受話部及び送話部を有する端末であるスマートフォンと、を組み合わせることが特に望ましい。すなわち(図6)、音声通話用の受話スピーカーなどの受話部PSと、送話用マイクロホンなどの送話部PMを含むスマートフォンPは、表示画面Gのサイズが特に限られていることから、上記のように本発明の情報配信装置1(図1)と組み合わせることにより、図6に例示するように画面領域を専有しがちな広告ADに代えて、図7に例示するように電子クーポンCへのリンクを表示する利点が特に大きく、本発明の効果が一層有効に発揮できる。
【0082】
〔3.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。一例として、図1に示した事業者の情報システムXは必須ではないし、図1に示した本装置1を構成する個々の手段をそれぞれ独立した装置で実現する構成も一般的である。
【0083】
また、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出すことで、上記実施形態で示した各手段を実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 情報配信装置(本装置)
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
9 有料アプリ記憶手段
15 広告情報等記憶手段
16 広告情報記憶手段
17 クーポン情報記憶手段
20 有料判定手段
30 送信手段
31 第一の送信手段
32 第二の送信手段(有料送信手段)
40 位置受信手段
45 位置クーポン選択手段
50 属性クーポン選択手段
55 ユーザ属性記憶手段
80 実績情報受信手段
81 事後処理情報生成手段
82 事後処理情報出力手段
AD 広告
C,C2 電子クーポン
CC タブ
CT 供給情報
F1 無料コンテンツ
F2 有料コンテンツ
G 表示画面
K 告知
N 通信ネットワーク
P スマートフォン
PM 送話部
PS 受話部
T 端末
X 情報システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のアプリケーションからのアクセスに対しウェブコンテンツを提供する情報配信装置であって、
前記ウェブコンテンツと共に配信する広告の情報と、景品として所定の対象と交換するための電子クーポンの情報と、を記憶する広告情報等記憶手段と、
前記アプリケーションについて予め定められた携帯端末専用アプリからのアクセスか否かを判定するモバイルアクセス判定手段と、
前記アプリケーションからのアクセスに対し、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づく広告の表示情報と前記電子クーポンの情報に基づく電子クーポンの表示情報と、を送信する送信手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記モバイルアクセス判定手段によって判定された前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記携帯端末専用アプリ以外の前記アプリケーションからのアクセスに対して、所定のウェブコンテンツと、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づいた前記広告の表示情報と、を送信する第一の送信手段と、
前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対しては、前記ウェブコンテンツよりも広告表示領域が小さい携帯端末専用の端末用ウェブコンテンツと、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記電子クーポンの情報に基づいた前記電子クーポンの表示情報と、を送信する第二の送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の情報配信装置。
【請求項3】
前記第二の送信手段は前記携帯端末専用アプリに対し、
前記電子クーポンとして、その携帯端末専用アプリを実行している端末の表示画面にバーコードを表示させ、
前記電子クーポンについて行使のための所定の操作処理が完了すると、前記電子クーポンの表示情報を抹消させる
ことを特徴とする請求項2記載の情報配信装置。
【請求項4】
前記広告情報等記憶手段は、前記電子クーポンと交換できる対象の種別、数量及び提供場所を表す供給情報を記憶し、
前記送信手段は前記電子クーポンに対応する前記供給情報を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項5】
前記アプリケーションから又はそのアプリケーションを実行している端末から、端末の位置情報を受信する位置受信手段と、
受信した前記位置情報と、前記電子クーポンに対応する前記供給情報と、に基づいて、その電子クーポンと交換できる対象の提供場所が前記位置情報の位置から予め定められた範囲内である電子クーポンを選択する位置クーポン選択手段と、
を備え、
前記送信手段は、選択された前記電子クーポンを、前記提供場所の情報と共に送信する
ことを特徴とする請求項4記載の情報配信装置。
【請求項6】
前記アプリケーションのユーザごとに対応する属性を記憶するユーザ属性記憶手段と、
判定された前記携帯端末専用アプリのユーザに対応して前記ユーザ属性記憶手段に記憶されている前記属性に基づいて、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記電子クーポンの情報に基づく複数の選択肢の中から、送信される前記電子クーポンの種類を選択する属性クーポン選択手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項7】
前記第二の送信手段は前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対し、前記電子クーポンとして、その携帯端末専用アプリを実行している端末の表示画面に商品コードと、その電子クーポンの使える店舗を予め定められた実店舗群に限定する情報コードと、を表示させることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項8】
前記携帯端末専用アプリから又はその携帯端末専用アプリを実行している端末から、前記電子クーポンが行使されたことを表す実績情報を受信する受信手段と、
受信した前記実績情報に基づいて前記電子クーポンの行使に係る対象物の流通処理又はその行使に係る精算処理のうち少なくとも一方の処理を行うための事後処理情報を生成する生成手段と、
生成された前記事後処理情報を予め定められた出力先へ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項9】
前記モバイルアクセス判定手段は、有料の前記携帯端末専用アプリである有料アプリからのアクセスか否かを判定し、
前記送信手段は、前記モバイルアクセス判定手段によって判定された前記有料アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報配信装置と、
音声通話用の受話部及び送話部を有し、通信ネットワークを介してウェブコンテンツを処理する携帯端末専用のアプリケーションを実行する端末であるスマートフォンと、
を前記通信ネットワークを介して組み合わせたことを特徴とする情報配信システム。
【請求項11】
前記ウェブコンテンツと共に配信する広告の情報と、景品として所定の対象と交換するための電子クーポンの情報と、を記憶する広告情報等記憶手段を有し、
任意のアプリケーションからのアクセスに対しウェブコンテンツを提供する情報配信装置を用いる情報配信方法であって、
前記アプリケーションについて予め定められた携帯端末専用アプリからのアクセスか否かを判定するモバイルアクセス判定処理と、
前記アプリケーションからのアクセスに対し、前記広告情報等記憶手段に記憶されている前記広告の情報に基づく広告の表示情報と前記電子クーポンの情報に基づく電子クーポンの表示情報と、を送信する送信処理であって、前記電子クーポンは、前記携帯端末専用アプリからのアクセスに対して送信する送信処理と、
をコンピュータが実行し、
前記送信処理は、前記モバイルアクセス判定処理によって判定された前記携帯端末アプリからのアクセスに対して前記電子クーポンの表示情報を送信することを特徴とする情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248073(P2012−248073A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120460(P2011−120460)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)