説明

情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラム

【課題】料金変更時の情報配信量を低減することができる、情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラムを提供すること。
【解決手段】情報配信装置2は、複数のインターチェンジ(IC)の中の任意の2つのICで構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を格納する料金情報DB21bと、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得部20aと、料金情報DB21bに格納された料金情報と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報とに基づき、新たな区間の料金を料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と新たに追加されたICに関する情報とを配信する配信部20bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行経路等を案内するナビゲーション装置においては、道路の新たな建設、インターチェンジや料金所等の新設、あるいは道路やインターチェンジ等の廃止に伴い、経路案内等に用いる地図データを更新する必要が生じる。そこで、更新用の地図データをナビゲーション装置に配信するための地図データ配信サーバが従来から用いられている。
【0003】
例えば、必ずしも更新の必要のない範囲の地図データまで配信されてしまう可能性を低減するための地図データ配信サーバが提案されている。この地図データ配信サーバは、ユーザが使用しているものとバージョンが同じ旧バージョン地図データと、それよりもバージョンが新しい新バージョン地図データとを読み出し、新バージョン地図データに基づいてユーザの自宅地点から登録地点までの新経路を算出する。そして、新バージョン地図データにあって旧バージョン地図データにない新設道路を新経路から抽出し、抽出した新設道路の道路データを新バージョン地図データから抽出し、抽出した道路データを車両用ナビゲーション装置に送信する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−181315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ナビゲーション装置により利用される情報には、当該ナビゲーション装置によって案内される経路における有料経路(例えば高速道路)の料金を特定するための料金情報も含まれる。この料金情報は、有料経路に含まれる全ての区間毎に決定された料金を含んだ情報として構成されている。ここで、例えば高速道路に新たなインターチェンジが追加され、当該インターチェンジを一方の端点とする新たな区間が追加されたこと等により、料金情報に変更が生じた場合、上述の如き従来のサーバでは、旧バージョンの料金情報に含まれていない新たな区間毎の料金を全て配信していた。その結果、配信すべき料金情報の通信量が増大し、通信コストの増大や通信時間の長時間化を招いていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、料金変更時の通信量を低減することができる、情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の情報配信装置は、複数の端点の中の任意の2つの端点で構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を格納する料金情報格納手段と、新たに追加された端点を含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得手段と、前記料金情報格納手段に格納された前記料金情報と、前記新規料金情報取得手段により取得された前記新規料金情報とに基づき、前記新たな区間の料金を前記料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と前記新たに追加された端点に関する情報とを配信する配信手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の情報配信装置は、請求項1に記載の情報配信装置において、前記配信手段は、当該配信手段が決定した算定情報に基づき算定される算定料金と前記新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる前記新たな区間を特定し、当該区間の新規料金を特定するための情報を配信する。
【0009】
また、請求項3に記載の情報配信方法は、複数の端点の中の任意の2つの端点で構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を記憶手段に格納する料金情報格納ステップと、新たに追加された端点を含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得ステップと、前記料金情報格納ステップで記憶手段に格納された前記料金情報と、前記新規料金情報取得ステップで取得された前記新規料金情報とに基づき、前記新たな区間の料金を前記料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と前記新たに追加された端点に関する情報とを配信する配信ステップと、を含む。
【0010】
また、請求項4に記載の情報配信プログラムは、請求項3に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の情報配信装置、請求項3に記載の情報配信方法、及び請求項4に記載の情報配信プログラムによれば、配信手段は、料金情報格納手段に格納された料金情報と、新規料金情報取得手段により取得された新規料金情報とに基づき、新たに追加された端点を含んで構成される新たな区間の料金を料金情報格納手段に格納された料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と新たに追加された端点に関する情報とを配信するので、新規料金情報そのものを配信する場合と比較して、配信すべき情報量を低減することができ、通信コストの増大や料金情報の更新時間の長時間化を回避することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の情報配信装置によれば、配信手段は、当該配信手段が決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる新たな区間を特定し、当該区間の新規料金を特定するための情報を配信するので、算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間が存在する場合であっても、当該区間の新規料金を特定するための情報のみを追加的に配信すればよく、配信すべき情報量を必要最小限に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係る情報配信システムを例示するブロック図である。
【図2】料金情報DBに記憶されている情報を例示した表である。
【図3】情報配信処理のフローチャートである。
【図4】新規料金情報の内容を例示した表である。
【図5】新規料金情報に基づき更新された料金情報DBを例示した表である。
【図6】算定式を用いて算定される各区間の料金と、新規料金情報取得部により取得された新規料金情報に基づき特定される各区間の料金とを対比した表である。
【図7】配信部が配信する算定情報と差分情報との内容を例示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、本発明に係る情報配信装置、情報配信方法、及び情報配信プログラムは、例えば高速道路等の有料道路の料金を特定するための情報の配信や、鉄道や船舶等の公共交通機関の運賃を特定するための情報の配信等に適用することができる。以下の実施の形態では、高速道路の料金を特定するための情報の配信に適用した場合を例として説明する。また、高速道路には複数のインターチェンジ(以下、必要に応じて「IC」と略記する)が設けられており、この複数のICの中の任意の2つのICを結ぶ区間毎に、通行料金が決定されているものとする。
【0015】
(構成)
最初に、実施の形態に係る情報配信装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る情報配信システムを例示するブロック図である。図1に示すように、情報配信システム1は、情報配信装置2、及び端末装置3を備えている。また、情報配信装置2と端末装置3とは、ネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
(構成−情報配信装置)
情報配信装置2は、制御部20、及びデータ記録部21を備えている。
【0017】
(構成−情報配信装置−制御部)
制御部20は、情報配信装置2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る情報配信プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク4を介して情報配信装置2にインストールされることで、制御部20の各部を実質的に構成する(後述する端末装置3の制御部30についても同じ)。
【0018】
この制御部20は、機能概念的に、新規料金情報取得部20a、配信部20bを備えている。新規料金情報取得部20aは、高速道路に新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得手段である。配信部20bは、新たな区間の料金を算定するための算定情報と新たに追加されたICに関する情報とを配信する配信手段である。これらの制御部20の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0019】
(構成−情報配信装置−データ記録部)
データ記録部21は、情報配信装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する端末装置3のデータ記録部31についても同じ)。
【0020】
このデータ記録部21は、地図情報データベース21a(以下、データベースをDBと略記する)、及び料金情報DB21bを備えている。また、データ記録部21には新たな区間の少なくとも一部の料金を算定するための算定式が記録されている。
【0021】
地図情報DB21aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物、インターチェンジ等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイに表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0022】
料金情報DB21bは、複数のICの中の任意の2つのICで構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を格納する料金情報格納手段である。図2は、料金情報DB21bに記憶されている情報を例示した表である。図2に示すように、料金情報DB21bには、各区間を構成する一方のICを一意に識別する識別情報(図2では最も左側の列。例えば「IC1」等)、及び当該ICの名称(図2では左から2番目の列。例えば「関広見」等)と、他方のICを一意に識別する識別情報(図2では最も上の行。例えば「IC11」等)、及び当該ICの名称(図2では上から2番目の行。例えば「豊田東」等)とが格納されている。そして、各区間を構成する一方のICの識別情報及び名称と、他方のICの識別情報及び名称とに対応付けて、当該各区間の料金情報(図2では、例えばIC1「関広見」とIC11「豊田東」とで構成される区間の料金情報として「2550」)が格納されている。なお、図2では、各区間の料金情報がマトリクス形式で料金情報DB21bに格納されている場合を例示したが、2つのICで構成される区間毎の料金情報をリスト形式で料金情報DB21bに格納するようにしてもよい。
【0023】
また、算定式は、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間毎の料金を料金情報DB21bに格納された料金情報に基づき算定するための算定式であって、適当なパラメータが適用されることで新たな区間の少なくとも一部の料金を算定可能な算定式である。例えば、新たに追加されたICをICn、新規料金を求める対象となる区間をICnと共に構成する既存のICをICx、新規料金を求める基準とする既存のICをICa及びICbとした場合、 ICxとICn間の区間の料金を料金情報DB21bに格納された料金情報に基づき算定するための算定式として、(ICxとICn間の区間の料金)=(ICxとICa間の区間の料金)×p1+(ICxとICb間の区間の料金)×p2がデータ記録部21に記録されている。ここで、p1及びp2はパラメータであり、これらのパラメータに適当な値が適用されることで新たな区間の少なくとも一部の料金が算定可能となる。なお、この算定式を用いた新たな区間ごとの料金の算出方法の詳細については後述する。
【0024】
(構成−端末装置)
端末装置3は、制御部30、及びデータ記録部31を備えている。
【0025】
(構成−端末装置−制御部)
制御部30は、機能概念的に、算定部30aを備えている。算定部30aは、情報配信装置2から配信された算定情報に基づいて、新たな区間毎の料金を算定する算定手段である。この制御部30によって実行される処理の詳細については後述する。
【0026】
(構成−端末装置−データ記録部)
データ記録部31は、地図情報DB31a、及び料金情報DB31bを備えている。また、データ記録部31には新たな区間の少なくとも一部の料金を算定するための算定式が記録されている。なお、データ記録部31に記録されているこれらの情報は、上述の情報配信装置2のデータ記録部21に記録されている情報と同様であるので、その詳細については説明を省略する。
【0027】
(処理−情報配信処理)
次に、上述のように構成された情報配信装置2によって実行される情報配信処理について説明する。図3は情報配信処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この情報配信処理は、例えば、情報配信装置2に電源が投入された後、情報配信処理を実行すべき旨の要求を端末装置3からネットワーク4を介して受信した場合に実行される。
【0028】
情報配信処理が開始されると、新規料金情報取得部20aは、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間毎に決定された料金(以下、必要に応じて「新規料金」)を特定するための新規料金情報を取得する(SA1)。図4は、新規料金情報の内容を例示した表である。図4では、新たなICとして識別情報「IC6」により識別されるICが追加された場合を例示している。この図4に示すように、新規料金情報取得部20aは、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間の全ての料金を特定するための新規料金情報を取得する(例えば、IC6とIC11とで構成される区間の料金情報として「1200」等)。また、新規料金情報取得部20aは、新規料金情報と共に、新たに追加されたICの識別情報、名称、位置情報(座標)、新たに追加されたICに隣接する既存のICの識別情報等も取得する。なお、新規料金情報取得部20aが新規料金情報を取得する方法やその取得元は任意で、例えばユーザにより入力手段(図示省略)を介して入力された新規料金情報を新規料金情報取得部20aが取得する。
【0029】
図3に戻り、新規料金情報取得部20aは、SA1で取得した新規料金情報に基づき、料金情報DB21bを更新する(SA2)。図5は、新規料金情報に基づき更新された料金情報DB21bを例示した表である。図5に例示したように、更新後の料金情報DB21bには、図2に例示した料金情報DB21bに加えて、IC6と他のICとで構成される新たな区間毎の料金情報が新たに格納されている。
【0030】
図3に戻り、配信部20bは、更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報とに基づき、新たな区間の料金を更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき算定するための算定情報を決定する(SA3)。
【0031】
具体的には、配信部20bは、算定情報として、データ記録部21に記録されている算定式を用いて新規料金を算定する際の基準となる既存のIC、及び、算定式に適用すべきパラメータを決定する。例えば、新たに追加されたIC6と他のICとで構成される各区間の料金を、データ記録部21に記録されている算定式(ICxとICn間の区間の料金)=(ICxとICa間の区間の料金)×p1+(ICxとICb間の区間の料金)×p2を用いて算定する場合、配信部20bは、新たに追加されたIC6を挟んで当該IC6に隣接するIC7及びIC5を、新規料金を求める基準とする既存のICとして決定する。すなわち例えば、新規料金を求める基準とする既存のICの内のICaとしてIC7、ICbとしてIC5を決定する。この場合、ICxとIC6間の区間の料金を求める算定式は、(ICxとIC6間の区間の料金)=(ICxとIC7間の区間の料金)×p1+(ICxとIC5間の区間の料金)×p2となる。また、新たに追加されたICが高速道路の端部に位置している場合には、配信部20bは、例えば新たに追加されたICから近い順に選択した2つのICを、新規料金を求める基準とする既存のICとして決定する。なお、本実施の形態では、算定式の右辺による算定結果が50円単位となるように四捨五入する。
【0032】
さらに配信部20bは、この算定式を用いて算定されるICxとIC6間の各区間の料金が、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定されるICxとIC6間の各区間の料金と最も多く一致するパラメータp1及びp2を、算定式に適用すべきパラメータとして決定する。なお、パラメータを決定するための具体的な方法は任意で、例えば、この算定式を用いて算定されるICxとIC6間の各区間の料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定されるICxとIC6間の各区間の料金との差の平方和が最小となるようなパラメータp1及びp2を、算定式に適用すべきパラメータとして決定する(最小二乗法)。あるいは、ユーザにより入力手段(図示省略)を介して情報配信装置2に入力されたパラメータp1及びp2を、算定式に適用すべきパラメータとして配信部20bが決定するようにしてもよい。
【0033】
次に、配信部20bは、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間のうち、当該配信部20bがSA3で決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる新たな区間を特定する(SA4)。すなわち配信部20bは、SA3で配信部20bが決定した既存のIC及びパラメータを適用した算定式を用いて算定されるICxとIC6間の各区間の料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定されるICxとIC6間の各区間の料金とを比較し、両料金が異なる区間を特定する。
【0034】
図6は、SA3で配信部20bが決定した既存のIC及びパラメータを適用した算定式を用いて算定されるICxとIC6間の各区間の料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定されるICxとIC6間の各区間の料金とを対比した表である。この図6では、新規料金を求める基準となる既存のICのうちICaとしてIC7、ICbとしてIC5を用いると共に、パラメータp1として0.84、パラメータp2として0.16を算定式に適用した場合の算定結果を例示している。図6の例では、IC6とIC11間の区間、IC6とIC9間の区間、IC6とIC8間の区間、及びIC6とIC4間の区間で、SA3で配信部20bが決定したパラメータを適用した算定式を用いて算定される料金と新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なっていることが配信部20bにより特定される。
【0035】
図3に戻り、配信部20bは、当該配信部20bがSA3で決定した算定情報と、当該配信部20bがSA4で特定した区間の新規料金を特定するための情報(以下、必要に応じて「差分情報」)とを、ネットワーク4を介して端末装置3に配信する(SA5)。
【0036】
図7は、SA5で配信部20bが配信する算定情報と差分情報との内容を例示した表である。図7に示すように配信部20bは、SA3で当該配信部20bが決定した算定情報、すなわちデータ記録部21に記録されている算定式を用いて新規料金を算定する際の基準となる既存のIC(図7ではICaとしてIC7、ICbとしてIC5)、及び、算定式に適用すべきパラメータ(図7ではp1として0.84、p2として0.16)を、算定情報として配信する。また、配信部20bは、当該配信部20bがSA4で特定した区間、すなわち配信部20bがSA3で決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間の料金を、差分情報として配信する(図7では例えばIC6とIC11間の新規料金として1200等)。このように、新規料金を特定するための情報として配信部20bが算定情報及び差分情報を配信することにより、図4に例示したような新規料金情報そのものを配信する場合と比較して、配信すべき情報量を低減することができる。また、配信部20bは、新たに追加されたICに関する情報として、SA1で新規料金情報取得部20aが新規料金情報と共に取得した他の情報(例えば、新たに追加されたICの識別情報、名称、位置情報(座標)、新たに追加されたICに隣接する既存のICの識別情報等)も配信する。
【0037】
SA5の処理の後、制御部20は情報配信処理を終了する。
【0038】
情報配信処理において情報配信装置2により算定情報及び差分情報が配信されると、端末装置3は、当該算定情報及び差分情報をネットワーク4を介して受信する。
【0039】
続いて端末装置3の算定部30aは、情報配信装置2から受信した算定情報、すなわち算定式を用いて新規料金を算定する際の基準となる既存のIC、及び、算定式に適用すべきパラメータを、当該端末装置3のデータ記録部31に記録されている算定式に適用し、当該算定式を用いて新規料金を算定する。
【0040】
さらに算定部30aは、情報配信装置2から受信した差分情報に基づき、情報配信装置2から受信した算定情報に基づき算定される算定料金と実際の新規料金とが異なる区間の料金を特定し、対応する区間について当該算定部30aが算定した算定料金を補正する。このようにして特定した新規料金に基づき、算定部30aは端末装置3の料金情報DB31bを更新する。これにより、端末装置3の料金情報DB31bには、図5に例示した情報配信装置2の更新後の料金情報DB21bと同じ内容の最新の料金情報が格納されることとなる。
【0041】
(効果)
このように本実施の形態によれば、配信部20bは、料金情報DB21bに格納された料金情報と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報とに基づき、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間の料金を料金情報DB21bに格納された料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と新たに追加されたICに関する情報とを配信するので、新規料金情報そのものを配信する場合と比較して、配信すべき情報量を低減することができ、通信コストの増大や料金情報の更新時間の長時間化を回避することができる。
【0042】
特に、配信部20bは、新たに追加されたICを含んで構成される新たな区間のうち、当該配信部20bが決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる新たな区間を特定し、当該区間の新規料金を特定するための情報を配信するので、算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間が存在する場合であっても、当該区間の新規料金を特定するための情報のみを追加的に配信すればよく、配信すべき情報量を必要最小限に低減することができる。
【0043】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0044】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0045】
(適用対象について)
上述の実施の形態では、高速道路の料金を特定するための情報の配信に情報配信装置2を適用した場合を例として説明したが、他の料金、例えば鉄道や船舶等の公共交通機関の運賃を特定するための情報の配信にも適用することができる。この場合、区間を構成する端点としては、例えば鉄道については駅、船舶については港等が該当する。
【0046】
(情報配信処理について)
上述の実施の形態では、料金情報DB21bに、複数のICの中の任意の2つのICで構成される区間毎に決定された料金を特定する1種類の料金情報のみが格納されている場合を例として説明したが、各区間について複数種類の料金を特定する料金情報を格納するようにしてもよい。例えば、高速道路の料金として、夜間割引料金や車種別の料金等の複数種類の料金が存在する場合には、これらの各種類の料金を特定する料金情報を料金情報DB21bに格納するようにしてもよい。この場合、図3に示した情報配信処理のSA1では、新規料金情報取得部20aは、複数種類の各料金に対応する新規料金情報を取得する。またSA3では、配信部20bは、料金の種類毎に、新たな区間の料金を更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき算定するための算定情報を決定する。すなわち、例えば夜間割引料金等の料金の種類毎に、配信部20bはデータ記録部21に記録されている算定式を用いて新規料金を算定する際の基準となる既存のIC、及び、算定式に適用すべきパラメータを決定する。またSA4では、配信部20bは、当該配信部20bがSA3で決定した算定情報に基づき算定される算定料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる新たな区間を、料金の種類毎に特定する。そしてSA5では、配信部20bは、当該配信部20bがSA3で料金の種類毎に決定した算定情報と、当該配信部20bがSA4で料金の種類毎に特定した区間の新規料金を特定するための差分情報とを、ネットワーク4を介して端末装置3に配信する。これにより、複数種類の料金が存在する場合においても、各種類の料金について新規料金情報そのものを配信する場合と比較して、配信すべき情報量を低減することができる。
【0047】
また、上述の実施の形態では、SA3で配信部20bが1組の算定情報を決定する場合を例として説明したが、配信部20bが複数組の算定情報を決定するようにしてもよい。例えばSA3において、配信部20bは、新たな区間の少なくとも一部の料金を更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき算定するためのパラメータを決定する。さらに配信部20bは、当該決定したパラメータを適用した算定式に基づき算定される算定料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間について、更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき新規料金を算定するための別のパラメータを決定する。
【0048】
また、上述の実施の形態では、算定式として、(ICxとICn間の区間の料金)=(ICxとICa間の区間の料金)×p1+(ICxとICb間の区間の料金)×p2がデータ記録部21に記録されている場合を例として説明したが、これとは異なる式を算定式としてデータ記録部21に記録するようにしてもよい。例えば、ICxとICa間の区間の料金と、ICxとICb間の区間の料金とを変数とする、2次以上の関数を算定式とし、当該算定式に適用すべき3個以上のパラメータを算定情報として配信部20bが決定するようにしてもよい。
【0049】
また、複数種類の算定式をデータ記録部21に記録してもよい。例えばICxとICa間の区間の料金と、ICxとICb間の区間の料金とを変数とする、1次関数及び2次関数を算定式としてデータ記録部21に記録してもよい。この場合、例えばSA3において、配信部20bは、新たな区間の少なくとも一部の料金を更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき1次関数の算定式を用いて算定するためのパラメータを決定する。そして、当該決定したパラメータを適用した1次関数の算定式に基づき算定される算定料金と、新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間について、配信部20bが、更新前の料金情報DB21bに格納されていた料金情報に基づき2次関数の算定式を用いて算定するためのパラメータを決定するようにしてもよい。
【0050】
また、SA3で配信部20bが1組の算定情報を決定するパターン、配信部20bが複数組の算定情報を決定するパターン、配信部20bが一つの算定式を用いて料金を算定するパターン、及び配信部20bが複数種類の算定式を用いて料金を算定するパターン等、各パターンにおいて配信部20bが配信すべき算定情報及び差分情報の情報量を当該配信部20bが特定し、当該特定した情報量が最小となるパターンにて算定情報及び差分情報を配信部20bが配信するようにしてもよい。
【0051】
また、上述の実施の形態では、配信部20bが、算定情報として、データ記録部21に記録されている算定式を用いて新規料金を算定する際の基準となる既存のIC、及び、算定式に適用すべきパラメータを配信する場合を例として説明したが、さらに算定式自体を算定情報に含めて配信してもよい。この場合、端末装置3のデータ記録部31には算定式を記録しなくてもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、差分情報として、配信部20bが決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる区間の料金を配信部20bが配信する場合を例として説明したが、配信部20bが決定した算定情報に基づき算定される算定料金と新規料金情報取得部20aにより取得された新規料金情報に基づき特定される新規料金との差分を配信してもよい。この場合、端末装置3の算定部30aは、情報配信装置2から受信した算定情報に基づき算定される算定料金と実際の新規料金とが異なる区間について、情報配信装置2から受信した差分を当該算定部30aが算定した算定料金に加算することで当該算定料金を補正する。
【符号の説明】
【0053】
1 情報配信システム
2 情報配信装置
3 端末装置
4 ネットワーク
20、30 制御部
20a 新規料金情報取得部
20b 配信部
21、31 データ記録部
21a、31a 地図情報DB
21b、31b 料金情報DB
30a 算定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端点の中の任意の2つの端点で構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を格納する料金情報格納手段と、
新たに追加された端点を含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得手段と、
前記料金情報格納手段に格納された前記料金情報と、前記新規料金情報取得手段により取得された前記新規料金情報とに基づき、前記新たな区間の料金を前記料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と前記新たに追加された端点に関する情報とを配信する配信手段と、
を備える情報配信装置。
【請求項2】
前記配信手段は、当該配信手段が決定した算定情報に基づき算定される算定料金と前記新規料金情報に基づき特定される新規料金とが異なる前記新たな区間を特定し、当該区間の新規料金を特定するための情報を配信する、
請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
複数の端点の中の任意の2つの端点で構成される区間毎に決定された料金を特定するための料金情報を記憶手段に格納する料金情報格納ステップと、
新たに追加された端点を含んで構成される新たな区間毎に決定された料金を特定するための新規料金情報を取得する新規料金情報取得ステップと、
前記料金情報格納ステップで記憶手段に格納された前記料金情報と、前記新規料金情報取得ステップで取得された前記新規料金情報とに基づき、前記新たな区間の料金を前記料金情報に基づき算定するための算定情報を決定し、当該決定した算定情報と前記新たに追加された端点に関する情報とを配信する配信ステップと、
を含む情報配信方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法をコンピュータに実行させる情報配信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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