説明

情報配信装置、情報配信装置の制御方法及びプログラム。

【課題】 会議の議論で新たに発生した必要な知識の情報で、会議参加者が知らない情報だけを選択して、会議参加者に当該情報を配信することを目的とする。
【解決手段】 複数の参加者からの情報を入力可能な情報配信装置であって、複数の参加者によって入力された情報を記録し、記録された記録情報から重要語を抽出し、第一の重要語の集合を作成し、複数の参加者の内、情報の配信先の参加者によって入力された重要語を記録された情報から抽出し、第二の重要語の集合を作成し、作成された情報と前記第二の重要語作成手段によって作成された情報からクエリーを作成し、作成されたクエリーに基づいて検索を行い、検索結果を前記配信先に配信する配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議等に関する情報を配信するための情報配信装置、情報配信装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議等の資料を会議参加者に配信する技術としては、特許文献1があった。当該特許文献1には、利用者が登録した登録情報に基づいて配信情報を選択し、当該情報を利用者に配信する技術を開示している。配信情報の選択は、利用者が選択した登録情報または会議資料や会議の音声をテキスト化したものをキーワードとして検索していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−243253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、利用者が選択した登録情報や会議資料をキーワードにして検索して配信情報を選択すれば、利用者が希望する情報を選択できるものの、会議の議論で新たに発生した必要な情報を選択できない。
【0005】
また、会議の音声をテキスト化したものをキーワードとして検索して配信情報を選択すれば、会議の議論で新たに発生した情報を選択できるが、当該情報がすでに利用者が知っていて配信不要であるにも関わらず、配信してしまう欠点があった。
【0006】
そこで、本発明は、会議の議論で新たに発生した情報で、会議参加者が知っている情報を取り除いた情報を配信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による情報配信装置は以下の構成を備える。すなわち、複数の参加者からの情報を入力可能な情報配信装置であって、前記複数の参加者によって入力された情報を記録する記録手段と、前記記録手段に記録された記録情報から重要語を抽出し、第一の重要語の集合を作成する第一の重要語作成手段と、前記複数の参加者の内、情報の配信先の参加者によって入力された重要語を前記記録手段に記録された情報から抽出し、第二の重要語の集合を作成する第二の重要語作成手段と、前記第一の重要語作成手段によって作成された情報と前記第二の重要語作成手段によって作成された情報からクエリーを作成するクエリー作成手段と、前記クエリー作成手段によって作成されたクエリーに基づいて検索を行う検索手段と、前記検索手段による検索結果を前記配信先に配信する配信手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、会議の議論で新たに発生した情報で、会議参加者が知っている情報を取り除いた情報を配信することができるため、会議参加者に必要最小限の情報を渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の、第一〜第三の実施形態におけるハードウェア構成図である。
【図2】本発明の、第一の実施形態のブロック構成図である。
【図3】本発明の、第一〜第三の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の、第二の実施形態のブロック構成図である。
【図5】本発明の、第三の実施形態のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下、本発明の好適な実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報配信装置のハードウェア構成図である。101はCPU(Central Processing Unit)、102はキーボード、103はマウス、104はハードディスク装置、105は表示部、106はROM(Read Only Memory)、107はRAM(Random Access Memory)、108はI/F、109はバス、110は音声認識装置、111〜520はマイク1〜マイク10である。101〜109は情報配信部であり、前記音声認識装置と情報配信部が本実施形態の情報配信装置を構成するものとなっている。
【0012】
ROM106は情報配信部を制御するBIOS(Basic Input Output System)のプログラムや各種データを記憶する。RAM107は各種プログラムの作業領域として各種データを一時的に記憶し、ハードディスク104は情報配信部に各種機能を実行させるプログラムとOS(オペレーティングシステム)ソフトウェアを記憶する。CPU101はプログラムを実行させ、表示部105はデータの表示、プログラムの状態表示を行い、キーボード102とマウス103は操作用データを入力等し、I/F108はインターネットと通信し、バス109は各種信号を伝達するのに使われる。
【0013】
図2は、第一の実施形態のブロック構成図であり、201は発言記録手段、202は第一の重要語作成手段、203は第二の重要語作成手段、204はクエリー作成手段、205は検索手段、206は送信手段である。201〜206の各手段は、前記情報配信装置のCPU101で実行されるコンピュータプログラムで手順化されており、当該コンピュータプログラムは、104のハードディスク記憶装置に記憶されている。
【0014】
ただし、201の発言記録手段は、前記音声認識装置110とマイク111〜120をも含んでいる。
【0015】
各手段が動作するときには、前記コンピュータプログラムがRAM107にロードされてから、CPU101で実行される。
【0016】
図3は、第一の実施形態の処理のフローチャートであり、以下のその本発明の処理の流れを図3に従って説明する。本実施形態では、前記情報配信装置を会議装置に適用し、複数の参加者からの発言を入力可能とし、会議毎に議題を付けて管理するものとする。
【0017】
S301では、発言記録手段201が、会議で発声された発言を各マイク(111〜120)に分別して音声認識装置110に入力させ、当該音声認識装置を制御して音声認識して、音声をテキスト化する。そして、会議毎に、発言者ごとに当該テキストを発言ファイル1〜発言ファイル10として記録する。なお、各マイク1〜マイク10は、会議参加者1〜会議参加者10に割り当てられている。
【0018】
S302では、第一の重要語作成手段202が、全部の発言ファイルのテキストを形態素解析して、単語に分割し、各単語の出現頻度を求め、所定の閾値以上の出現頻度の単語を第一の重要語として抽出して、ハードディスク装置104に記憶する。
【0019】
S303では、第二の重要語作成手段203が、資料の配信先である会議参加者Aの発言ファイルのテキストのみを形態素解析して単語に分割し、各単語の出現頻度を求め、所定の閾値以上の出現頻度の単語を第二の重要語として抽出して、ハードディスク装置104に記憶する。
【0020】
S304では、クエリー作成手段204が、前記第一の重要語の集合から、前記第二の重要語の集合を取り除いてできる重要語を、クエリーとして抽出して、ハードディスク装置104に記憶する。
【0021】
S305では、検索手段205が、前記クエリーでインターネットの検索エンジンを使ってインターネット上を検索して見つかった検索結果であるWebサイトのURL(Uniform Resource Locator)のリストを求めて、ハードディスク装置104に記憶する。
【0022】
S306では、会議参加者Aに前記URLのリストを送信手段206が電子メールで送信する。送信のタイミングとしては、参加者Aが任意の会議の議題の資料を要求したタイミングで送信してもよいし、会議中に参加者Aが資料の要求をした場合に、会議中の会議の資料を送信するようにしてもよい。
【0023】
上述において、第二の重要語は、参加者Aが発言に頻繁に使った単語であるので、参加者Aが知っている単語である可能性が高い。従って、第一の重要語の集合から第二の重要語の集合を取り除いたあとのクエリーは、会議で新しく発生した情報の内、参加者Aが知っている可能性が高いものを取り除いたクエリーであるので、参加者Aにとって必要最小限の情報である可能性が高い。
【0024】
そのため、本実施例を利用すれば、参加者Aに、会議で必要であるがAの知らない知識についての資料を送付することができるのである。
【0025】
(第二の実施形態)
以下、第二の実施形態の説明をする。第二の実施形態の情報配信装置のハードウェア構成は図1と同様であるので省略する。
【0026】
図4は、第二の実施例のブロック構成図である。401は、201と同じ発言記録手段、402は202と同じ第一の重要語作成手段、403は用語データ格納手段、404は第二の重要語作成手段(203とは異なる)、405はクエリー作成手段(204とは異なる)、406は205と同じ検索手段、407は206と同じ送信手段である。
【0027】
408は電子メール抽出手段であって、会議参加者の利用しているメールサーバの電子メールのログファイルから電子メールをネットワークI/F508を介して取得して、電子メール本文を形態素解析して抽出した単語を会議参加者ごとに分別して、用語格納手段403に記憶させる。
【0028】
409はかな漢字変換辞書取得抽出手段であって、会議参加者の利用しているパーソナルコンピューターのかな漢字変換辞書からユーザ登録単語を抽出して、会議参加者ごとに分別して、用語格納手段403に記憶させる。
【0029】
403の用語データ格納手段には、会議参加者ごとに区別されて用語データが格納されており、ハードディスク104に記憶されている。
【0030】
第二の実施形態の処理も、図3のフローチャートで表される。以下、図3に従って説明する。
【0031】
まず、あらかじめ、用語格納手段403には、前記電子メール抽出手段408と前記かな漢字変換辞書抽出手段によって、会議参加者ごとに分別して用語データが登録されている。
【0032】
S301では、発言記録手段201が、会議で発声された発言を各マイク(111〜120)に分別して音声認識装置110に入力させ、当該音声認識装置を制御して音声認識して、音声をテキスト化し、発言者ごとに当該テキストを発言ファイル1〜発言ファイル10として記録する。なお、各マイク1〜マイク10は、会議参加者1〜会議参加者10に割り当てられている。
【0033】
S302では、第一の重要語作成手段202が、全部の発言ファイルのテキストを形態素解析して、単語に分割し、各単語の出現頻度を求め、所定の閾値以上の出現頻度の単語を第一の重要語として抽出して、ハードディスク装置104に記憶する。
【0034】
S303では、前記第一の重要語の集合から、前記用語格納手段に記憶されている資料送付先の会議参加者Aの用語データの単語を取り除いた残りの第二の重要語からなる重要語ファイルを作成する。
【0035】
S304では、前記第一の重要語の集合から、前記第二の重要語からなる重要語ファイルの単語を取り除いた単語をクエリーとしてハードディスク装置に記憶させる。
【0036】
S305では、前記クエリーを読み込み、当該クエリーでインターネットの検索エンジンで検索を行い、ヒットしたWebサイトのURLを抽出して、URLリストとしてハードディスク装置に記憶させる。
【0037】
S306では、前記URLリストを会議参加者Aに電子メールで送信する。
【0038】
以上のように、第二の実施形態によれば、会議で発言に使われた重要語から、資料送付先の会議参加者Aに、当該会議参加者Aの日常知っている単語を除いて求まった単語をクエリーとしているので、当該会議参加者Aに知らない情報を含んだ資料のURLを送付することができる。
【0039】
(第三の実施形態)
以下、第三の実施形態の説明をする。第三の実施形態のハードウェア構成は図1と同様なので説明を省略する。図5は、第三の実施形態の情報配信装置のハードウェアのブロック構成図である。
【0040】
501は議題情報格納手段であって、会議毎に議題を付けて管理されている会議の議題のテキストから形態素解析して抽出し単語がハードディスク装置に記憶されている。ここで議題とは、会議のタイトルのみならず、目次や概要等、会議に関する情報であってもよい。502は、共起確率辞書であって、2つの単語の共起確率が、当該2個の単語と対応されて、ハードディスク装置に記憶されている。ここで、共起とは、単語が同時に出現することである。
【0041】
503は、関係度取得手段であって、2個の単語を入力して、対応する共起確率を前記共起確率辞書から取得する手段である。図3のフローチャートにそって第三の実施形態の処理を説明する。S301〜303までの処理は第一の実施形態と同じである。
【0042】
S304では、前記第一の重要語の集合から、前記第二の重要語の集合を取り除いてできる重要語を抽出し、この重要語と、配信先の参加者から要求のあった会議に関する議題情報格納手段501に記憶されているすべての単語との共起確率のうちの最大値、共起確立辞書502と関係度取得手段503から求める。当該最大値が所定値よりも大きければ、前記重要語の単語をクエリーとして採用する。かくして、すべての重要語ファイルの単語について、クエリーとして採用できるかどうかを検査して、クエリーの集合を得る。S305〜306は、第一の実施形態の処理と同じである。
【0043】
以上より、第三の実施形態によって、会議で新しく発生した情報の内、参加者Aが知っている可能性が高いものを取り除いた重要語の、更に要求のあった議題と共起する確率が高い単語をクエリーとするので、参加者Aにとって必要最小限の情報である可能性が高い。
【0044】
尚、本実施形態においては、発言をマイクで入力して音声認識する例を説明したが、キーボード等の入力装置から文字を入力するものや、タッチパネル等で入力したものを文字認識するものであっても構わない。以上のように、第三の実施形態によれば、クエリーとして議題にふさわしいものに絞り込まれるので、不要な資料を除く効果がある。
【0045】
以上、実施形態一〜実施形態三を用いて説明したように、本発明によると、会議の議論で新たに発生した必要な知識の情報で、会議参加者が知らない情報だけを選択して、会議参加者に当該情報を配信することができるため、会議参加者に必要最小限の情報を渡すことができる。
【0046】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0047】
101 CPU
102 キーボード
103 マウス
104 ハードディスク
105 表示部
106 ROM
107 RAM
108 インターネット接続部
109 バス
110 音声認識装置
111〜120 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の参加者からの情報を入力可能な情報配信装置であって、
前記複数の参加者によって入力された情報を記録する記録手段と、
前記記録手段に記録された情報から重要語を抽出し、第一の重要語の集合を作成する第一の重要語作成手段と、
前記複数の参加者の内、情報の配信先の参加者に関する重要語を抽出し、第二の重要語の集合を作成する第二の重要語作成手段と、
前記第一の重要語作成手段によって作成された情報と前記第二の重要語作成手段によって作成された情報からクエリーを作成するクエリー作成手段と、
前記クエリー作成手段によって作成されたクエリーに基づいて検索を行う検索手段と、
前記検索手段による検索結果を前記配信先に配信する配信手段と
を備えることを特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
前記クエリー作成手段によって作成される情報は、前記第一の重要語作成手段によって作成された情報から前記第二の重要語作成手段によって作成された情報を取り除いたものであることを特徴とする請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
音声認識手段を更に有し、
前記入力された情報とはマイクから入力された情報であり、前記音声認識手段は、該マイクから入力された情報を音声認識し、
前記記録手段は、該音声認識された情報を記録することを特徴とする請求項1または2に記載の情報配信装置。
【請求項4】
前記検索手段は、インターネット上で検索を行い、前記検索結果は、URLであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報配信装置。
【請求項5】
前記第二の重要語作成手段は、前記記録手段に記録された情報から、前記複数の参加者の内、情報の配信先の参加者の重要語を抽出して第二の重要語を作成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報配信装置。
【請求項6】
前記第二の重要語作成手段は、前記情報の配信先の参加者の電子メール本文が有する単語または漢字かな変換辞書が有する単語に基づいて第二の重要語を作成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報配信装置。
【請求項7】
会議に関する情報を格納する格納手段を更に有し、
前記配信先の参加者から任意の会議に関する情報の要求があった場合、前記クエリー作成手段は、該要求された会議に関する情報と、前記第二の重要語作成手段によって作成された第二の重要語から共起確率が高い単語をクエリーとすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報配信装置。
【請求項8】
複数の参加者からの情報を入力可能な情報配信装置の制御方法であって、
前記複数の参加者によって入力された情報を記録する記録工程と、
前記記録工程で記録された情報から重要語を抽出し、第一の重要語の集合を作成する第一の重要語作成工程と、
前記複数の参加者の内、情報の配信先の参加者によって入力された重要語を前記記録工程で記録された情報から抽出し、第二の重要語の集合を作成する第二の重要語作成工程と、
前記第一の重要語作成工程でよって作成された情報と前記第二の重要語作成工程で作成された情報からクエリーを作成するクエリー作成工程と、
前記クエリー作成工程で作成されたクエリーに基づいて検索を行う検索工程と、
前記検索工程での検索結果を前記配信先に配信する配信工程と
を有することを特徴とする情報配信装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載された情報配信装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15906(P2013−15906A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146505(P2011−146505)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】