説明

意匠体の揺動装置

【課題】単一の駆動用揺動装置で、大きさや形状、重さが異なる複数の広告用表示等の意匠体を、適切な状態で揺動させる意匠体の揺動装置を提供する。
【解決手段】広告物本体部1aに固着した駆動用搖動装置1bにより駆動される主振り子2と、従振り子3、4を支持する広告物本体部1aを含む。主振り子2に設けられたマグネット17と相対向するようにして駆動用搖動装置1bに配設された駆動コイル16をこれに対向するマグネット17の磁極と反発または吸引し合う磁極に励磁する自走発振回路40、この回路に供給するDC電源、主振り子2と従振り子3、4との間を連結する連結体8、9、主振り子2の揺動に連動して従振り子3、4を揺動させるリンク機構、を備える。このリンク機構は、主振り子支持軸2aの周囲に設けた第1の連結体繋止孔32a、32b及び従振り子支持軸11、12の周囲に設けた第2の連結体繋止孔33a、33bを備え、第1の連結体繋止孔32a、32bと第2の連結体繋止孔33a、33bには連結体8、9が繋止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商品を模った広告体等の意匠体を、自動的に揺動運動させるムービングディスプレイ等に利用可能な意匠体の揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば販売促進のための広告(POP広告)等において、商品の広告表示を行う意匠体を揺動させる揺動装置は、次のような構成のものがあった。
第1及び第2支持部間を一体に結合する結合部を有するフレーム本体と、振り子体の一端に設けられた振り子用支持軸と、第1及び第2支持部に設けられ振り子用支持軸の両端を該振り子用支持軸が振り子体の揺動運動につれて転動し得るように支承する振り子用軸受部と、フレーム本体内に位置する振り子体の他端に設けられた永久磁石と、フレーム本体内に装着され、駆動コイルに所定の周期でパルス状の電流を供給して該駆動コイルをこれに正対する永久磁石の極性と反発し合う同極性に励磁することにより、慣性揺動運動で揺動する振り子体の揺動運動を駆動コイルとを備える。
さらにこれは、永久磁石との磁気的反発作用で助長する弛張発振回路と、第1及び第2支持部間に表示体用軸受部を介して転動可能に支承された少なく1つの表示体用支持軸と、振り子体の揺動運動が表示体用支持軸の転動運動に変換できるように振り子体と表示体用支持軸との間を連繋するリンク機構と、表示体用支持軸に設けられ該表示体用支持軸の転動に伴い第1表示体に連動して揺動される第2表示体と、を含むものである(例えば特許文献1参照)。
このような揺動装置によれば、単一の揺動機構により複数の表示体を揺動可能とすることができる。
【特許文献1】特開2007−199308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような表示体揺動装置は、第1表示体を揺動させると第2表示体も連動して揺動し、2つの表示体を同時に揺動させるものである。
しかしながら、それぞれの表示体の位置関係や動作の主従関係が単一なフレーム構成で決定されていて、その装置を組立てた後は、これらの関係を変更し、動作に変化を与えることは困難であった。すなわち、第1表示体の揺動に伴い第2表示体を揺動させるリンク機構におけるリンク結合の状態が既定されているために、例えば、広告用表示等のされた意匠体の第1表示体が右に回転したとき、第2表示体が左に回転するという互いに逆方向回転の搖動しか行うことができない。したがって、これを同一方向回転に変更したい等のデザイン的要望に対応することができず、また、複数の搖動意匠体の回転中心位置変更の要請にも対応できないという問題があった。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてされたものであって、一つの駆動装置で、広告趣旨に合った大きさや形状の異なる複数種類の広告用表示等がされた意匠体を、適切に設計したリンク機構により揺動させることができる意匠体の揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の意匠体の揺動装置は、上記の目的を達するために以下のように構成した。
すなわち、意匠体を取付け可能で、駆動装置により慣性揺動可能に軸支される主振り子、
意匠体を取付け可能な従振り子を揺動自在に軸支する従振り子保持部、
前記主振り子に設けられたマグネット、
前記マグネットと相対向するようにして、前記駆動装置に配設された駆動コイル、
前記駆動コイルに所定の時定数で断続的に励磁電流を供給し、駆動コイルを、これに対向する前記マグネットの磁極と反発または吸引し合う磁極に励磁することにより、その電磁力によって前記主振り子の揺動運動を生じさせる自走発振回路、
前記駆動コイル及び前記自走発振回路に電力を供給する電源、主振り子と少なくとも一つの従振り子との間を連結する連結体を有して前記主振り子の揺動に連動して従振り子を揺動させるリンク機構、を含み、
前記リンク機構は、主振り子の支持軸の周囲に設けた第1の連結体繋止部、及び従振り子の支持軸の周囲に設けた第2の連結体繋止部を備え、主振り子の第1の連結体繋止部と従振り子の第2の連結体繋止部とが着脱自在な連結体によって選択的に繋止され、主振り子の回動に連動して従振り子が回動して、従振り子に設けた意匠体が揺動可能であることを特徴とする。
【0006】
前記第1の連結体繋止部を、主振り子支持軸を中心とする同心円上に複数設け、連結体を着脱自在に装着することができる。
前記第2の連結体繋止部を、従振り子支持軸を中心とする同心円上に複数設け、連結体を着脱自在に装着することができる。
前記第1の連結体繋止部及び第2の連結体繋止部は、主振り子支持軸または従振り子支持軸を中心とする円の円周上に設けられた繋止孔とすることができる。
【0007】
前記第1の連結体繋止部または第2の連結体繋止部は、主振り子支持軸または従振り子支持軸からの距離が同一のものまたは異なるものを複数設けることで、主振り子と従振り子との間の位置関係や動作関係の変化に対応可能となる。このようにすれば、意匠体が変更された場合や、広告内容にふさわしい意匠体のデザイン的配置が決定された場合等において、連結体の長さや連結体による連結位置を変更することで、従振り子の適切な動作が実現される。
本発明では、隣接する前記主振り子と従振り子について、それぞれの連結体繋止部の繋止位置を複数箇所用意しているため、前記第1の連結体繋止部と、この第1の連結体繋止部に対応する前記第2の連結体繋止部とを適切な位置に変更することが可能である。例えば、前記第1の連結体繋止部と第2の連結体繋止部との配置を、互いにほぼ直角な位置関係(各回動中心からの水平線上と垂直線上)になる連結を選択することにより、主振り子の一搖動に対し、従振り子が二往復搖動したり、主、従両振り子の搖動の角速度に変化をもたらすことができる。
【0008】
このような変化に富む接続態様を用いることにより、主振り子に対して従振り子が同一方向または逆方向に回動させることを選択できるだけでなく、リンク構成を変えることで、主振り子の単振動的な滑らかな速度変化に対し、従振り子の一時停止を含む搖動や、従振り子の振動数を主振り子の振動数の動きが広告趣旨に合致するように、意匠体の揺動に変化を与えることが可能となる。
上記のように、前記第1主振り子、または、第2従振り子は、適宜選択した各々の連結体繋止部の繋止孔に連結体の両端を挿通させることで、簡単にリンク機構を構成することができる。したがって、搖動させる意匠体の数、その位置関係や搖動方向、搖動角速度等の変更が可能な搖動装置が提供される。
【0009】
前記主振り子は、振り子支持軸を保持した支持軸保持部の後端部を、駆動部本体後部に設けた係合手段に装着し、かつ、振り子支持軸を、駆動部本体前部に設けた軸受部に貫通させることで、揺動可能かつ着脱自在に駆動部本体に取り付ける構造とすることができる。
【0010】
第1従振り子または/及び第2従振り子は従振り子支持軸を備え、この従振り子支持軸を回動可能に保持する従振り子保持部を設け、この従振り子保持部の一方側から、従振り子保持部に設けた貫通孔に従振り子支持軸を挿通させる一方、従振り子保持部の他方側から、前記従振り子支持軸に対して着装抜取部材が着脱自在に取り付けられ、従振り子が、従振り子保持部に対して着脱可能な構成とすることができる。
【0011】
前記連結体を線材とし、その端部を、所定間隔をおいて二箇所でほぼ直角に折り曲げることでクランク形状とし、これらの二箇所の折曲部に挟まれた中間部を前記連結体繋止部である繋止孔内に位置させ、前記連結体を主振り子または従振り子に対して着脱自在に固定するリンク機構を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の意匠体の揺動装置によれば、単一の揺動機構により複数の表示体を互いに連動して揺動させることができるとともに、従振り子に取付けた意匠体の大きさ、形状、重量または意匠体による広告内容等に適した動作が得られるように、その揺動範囲、揺動速度、または揺動方向等を調整することが可能である。したがって、一つの揺動装置であっても意匠体のデザインやその配置を変更しつつ、広範囲の使用に対応できる。
また、意匠体の揺動範囲、揺動速度、または揺動方向等を調整することで商品等の広告効果や動物など象った意匠体の表現態様を変化に富むものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施態様について、図1〜図14を参照して説明する。
(第1実施態様)
図1〜図7は、本発明の第1実施態様を示し、図1は、本発明の第1実施態様にかかる意匠体の揺動装置の概略構成を示す正面図である。この揺動装置は、主振り子2の駆動機構を内蔵し主振り子1を回動可能に保持する駆動部本体1と、第1従振り子3並びに第2従振り子4を支持する従振り子保持部1aと、を備えている。この駆動部本体1の中心には、垂直方向に延びる長尺な板状の主振り子2が、主振り子支持軸2aを中心として回動可能に取り付けられている。主振り子2の左右両側には、図1において、左側に第1従振り子3、右側に第2従振り子4が、それぞれ従振り子保持部1aに保持され、第1従振り子3は従振り子支持軸11を、第2従振り子4は第2従振り子支持軸12を中心に、各々回動可能となっている。また、主振り子2と、第1従振り子3並びに第2従振り子4のそれぞれは、第1連結体8及び第2連結体9により互いに連結されている。主振り子2は、駆動部本体1に設けた駆動コイル16及び主振り子2の下端に設けたマグネット17、17を含む駆動機構により揺動運動をする。図1は、主振り子2が左方向に最大に回動した状態を示し、図2は、主振り子2が右方向に最大に回動した状態を示すものである。
【0014】
前記主振り子2には、その上部に、透明板15が固着され、その上部に広告商品が印刷されたカード紙29が取り付けられている。第1従振り子3には、その第1従振り子支持軸11を中心とする位置に第2意匠体(雛)6が、第2従振り子4には、その第2従振り子支持軸12を中心とする位置に第3意匠体(雛)7が、それぞれ従振り子保持部1aに取り付けた回動可能な意匠体取付部13a、13bを介して、揺動可能に取り付けられている。
第1従振り子支持軸11、第2従振り子支持軸12により支持される支承部22、23は、ナイフエッジに加工され、さらに、このナイフエッジが接する支持部材26、27の断面24、25はV字状に加工されている。このようにすれば、揺動時における支持部材26、27に対する振り子体の支承部22、23の摩擦抵抗を大幅に低減することができる。
【0015】
主振り子1には、そのほぼ中央に主振り子支持軸2aを中心とする円形状の第1連結体繋止孔形成領域30が設けられている。他方、第1従振り子3には、第1従振り子支持軸11のナイフエッジの支承部22を中心とする円形状の第2連結体繋止孔形成領域31aが形成され、同様に、第2従振り子4には、第2従振り子支持軸12のナイフエッジの支承部23を中心とする円形状の第3の連結体繋止孔形成領域31bが設けられている。
また、前記第1連結体繋止孔形成領域30の外側と内側の同心円上には、第1の連結体繋止孔32a、32bが、それぞれ所定間隔をおいて連設されている。
さらに、第2連結体繋止孔形成領域31aの周縁には第2の連結体繋止孔33aが、第3の連結体繋止孔形成領域31bの周縁には第3の連結体繋止孔33bが、それぞれ円を描くように連続して設けられている。
これらの第1の連結体繋止孔32a、32b、第2の連結体繋止孔33a、及び、第3の連結体繋止孔33bは、ワイヤ状(線状)の第1連結体8及び第2連結体9の端部が折り曲げられ挿入され、回動自由に固定される貫通孔となっている。
【0016】
図3(a)は、中立位置にある主振り子2と、その両側の第1従振り子3並びに第2従振り子4との連結状態を示している。
主振り子2と第1従振り子3とを連結する第1連結体8と第2連結体9は、折曲げ可能なワイヤ(鋼線)で形成されている。第1連結体8の一端は第1の連結体繋止孔32aに装着され、その他端は第2の連結体繋止孔33aに装着され、第1従振り子3は、主振り子2と連動するように連結されている。このとき、第1の連結体繋止孔32a及び第2の連結体繋止孔33aは、第1連結体繋止孔形成領域30及び第2連結体繋止孔形成領域31aにおいて、互いに上下が同一の側(下側)に設けられている。この例では、第1の連結体繋止孔32aと第2の連結体繋止孔33aは、ともに下側のほぼ中央の対応する位置に設けられ、これらは連結体8によって連結されている。このように、第1実施態様では、主振り子2の回動に伴って回動する第1従振り子3の回動方向が、主振り子2と同一方向となるリンク機構を備えている。
【0017】
図3(a)において、右側の第2従振り子4は、第2連結体9により主振り子2と連結されている。ここで、主振り子支持軸2aと第1の連結体繋止孔32bを結ぶ半径r3、第2連結体9、及び第2従振り子支持軸12と第2の連結体繋止孔33bとを結ぶ半径r4は、第2連結体9の中点9aを中心として、略点対称となるような位置関係にある。すなわち、第2連結体9の中心点9aを介して、第1の連結体繋止孔32bと第2の連結体繋止孔33bの上下左右が反対の位置関係にある側どうしを第2連結体9により連結し、第2従振り子4の回動方向が主振り子2の回動方向と逆方向となるリンク機構が形成されている。
【0018】
図3(b)は、主振り子2が反時計方向に回動し、それに伴って第1従振り子3並びに第2従振り子4がともに回動した状態を示している。このとき、主振り子支持軸2aと第1の連結体繋止孔32aとを結ぶ半径r1と、第1従振り子支持軸11と第2の連結体繋止孔33aとを結ぶ半径r2とは、ともにほぼ同一方向を向いているが、r1<r2の関係にある。したがって、反時計方向に回動する主振り子2は、連結体8を右方向に引っ張るので、主振り子2と第1従振り子3は、ともに同一の方向(反時計方向)に回動することになる。この例では、r1<r2の関係から、図3(b)に示すように、主振り子2の回動角度が35°とすると、これに対する第1従振り子3の回動角度はその81%の28.5°となる。
【0019】
このとき、円滑な作動を確保するために、第2連結体9と半径r4が約90°の角度で交わることが好適である。すなわち、第2連結体9の一端は、図3(a)において、主振り子支持軸2aから右上方に延びる半径r3上に位置する第1の連結体繋止孔32bに固定される。一方、その他端は、第2従振り子支持軸12から左下方に延びる半径r4上に位置する第2の連結体繋止孔33bに固定され、互いに支持軸(回動軸)を中心とする円の円周上の、上下左右が反対となる側どうしが連結されている。したがって、主振り子2が反時計方向に回動すると連結体9が左上方向に引っ張られ、主振り子2の回動に伴って回動する第2従振り子4は、主振り子2と回動方向が逆となり、図3(a)に示す中立位置から右側に傾斜する。
【0020】
このように、主振り子2の回動に連動する第1従振り子3と第2従振り子4は、それぞれ異なった構成のリンク機構によって主振り子2と接続され、その結果、第1従振り子3は主振り子2の回動方向と同一方向に、他方、第2従振り子4は主振り子2の回動方向と逆方向に回動する。なお、ここでも、r3<r4の関係から、主振り子2の回動角度よりも第2従振り子4の回動角度は小さくなる。
【0021】
次に、主振り子の二倍の速度で搖動する従振り子を備えた実施態様について説明する。 図3(c)に示すように、隣接する従振り子3に近い主振り子2の左側の第1の繋止孔32aと、従振り子3の上側にある第2の繋止孔33aとを連結体8により連結している。すなわち、主振り子2の連結点Aと従振り子3の連結点aは、第1連結体繋止孔形成領域30と第2連結体繋止孔形成領域31aにおける位置が互いに約90度異なっている。
このような連結態様では、主振り子2が中立位置からスタートしてB-C間を往復するとき、主振り子2の中立点(繋止孔位置)は、A〜B〜A〜C〜Aのように移動する。一方、連結体8により連結された従振り子3の繋止孔の移動は、主振り子2がA〜B〜Aと移動する間にa〜b〜aのように一往復し、その後、主振り子2がA〜C〜Aと移動する間に更にa〜c〜aと一往復移動する。図3(d)は、主振り子2が右方向に回動して主振り子2の繋止孔の位置がAからBに、従振り子3の繋止孔の位置がaからbに、それぞれ移動した状態を示す。したがって、主振り子2が一振動する間に、従振り子3は二振動することになる。
【0022】
このようにすれば、従振り子3に取り付けた意匠体の動きを速くすることができ、見る者の興味と関心を惹き、広告効果を上げることができる。
上記のリンク機構の応用例の他、公知のものを含む様々なリンク機構を利用して本発明を実施することができる。
【0023】
図4は、主振り子2に設けられる円形状の第1連結体繋止孔形成領域30の構成例を示す斜視図である。第1連結体繋止孔形成領域30には、通常、貫通孔である複数の連結体繋止孔32a、32b、32cが形成される。図4に示す例では、主振り子支持軸2aを中心とする3つの同心円上に、連結体繋止孔32a、32b、32cが連設され、これらの連結体繋止孔32a、32b、32cが三重のリングをかたどっている。いずれかの連結体繋止孔32a、32b、32cには、連結体8(9)が着脱自在に装着され、その装着位置はどの連結体繋止孔を選択するかによって決定されるが、連結体8(9)で連結する相手側の従振り子の連結位置との関係を考慮し、適切なものが選択される。このようにすれば、リンク機構の連結態様が変更可能となり、揺動させる意匠体に適した揺動表現が実現できる。
なお、第1の従振り子3並びに第2の従振り子4に設ける第2連結体繋止孔形成領域31bも、図4に示すものと同様な構成とすることができる。
このようにすれば、リンク機構の連結態様を変更できる範囲がより広がり、さらに意匠体の種類に応じた様々な表現が可能となる。
【0024】
図5(a)(b)は、連結体繋止孔32a(32b、32c)に、第1連結体8(第2連結体9)を着脱自在に装着しようとする状態を示す図である。第1連結体8(第2連結体9)は折曲げ可能なワイヤ(直径0.5mmの鋼線)からなる。最初に、その端部を、図示のように所定間隔(第1連結体繋止孔形成領域30または第2連結体繋止孔形成領域31a、31bの厚みにほぼ相当する間隔)をおいて二箇所で直角に折り曲げてクランク形状としておく。そしてその端部を第1の連結体繋止孔32a(32b、32c)に挿入し(その状態を2点鎖線で示す)、その後、矢印で示す方向に第1連結体8(第2連結体9)を回動させると、図5(a)のように、その端部が連結体繋止孔32a(32b、32c)を設けた第1連結体繋止孔形成領域30の裏面側に突出する状態を経て、図5(b)に示すように、二箇所の折曲部に挟まれた中間部を連結体繋止孔32a(32b、32c)内に位置させる。すると、図5(b)に示すように、第1連結体8(第2連結体9)が第1連結体繋止孔形成領域30の表裏面に沿った状態となり、第1連結体8(第2連結体9)が繋止される。このような繋止状態を解除するには、上記と逆の操作をして、図5(a)に示す状態を経て第1連結体8(第2連結体9)を連結体繋止孔形成領域30から離脱させる。なお、第1従振り子3、第2従振り子4に設けた第2の連結体繋止孔33と連結体8(9)との連結も上記と同様に行うことができる。
この例では、上述したように、連結体繋止孔32a(32b、32c)は貫通孔として形成され、第1連結体8(第2連結体9)はそれに挿入繋止されるワイヤ(鋼線)からなるが、これらは互いに着脱自在に繋止、結合できるものであれば、他の構造のものであっても差支えない。
【0025】
前記主振り子2は、図1のように、上下方向に長く形成され、その上端に意匠体取付部として透明板15が固着され、さらに、その上部に任意の意匠体として印刷されたカード紙29を取り付けることができる。この透明板15は、この揺動装置の最も上位に位置し、かつ揺動角度が大きい部位であるので、通常、最も目立たせることが好ましいもの、例えば商品をあらわした意匠体等を取り付けることが可能である。
また、従振り子保持部1aの中央の前記主振り子2の前側に第1意匠体5である親鳥の印刷と外形が施されている。この第1意匠体5は、第1連結体繋止孔形成領域30を覆うように配置されている。この連結体繋止孔形成領域30は、装置中央の主振り子2の回動中心であって注目し易い個所であるので、何らかの意匠体を取り付けることが効果的である。この例では、第1意匠体5は、従振り子保持部1aに取り付けられ揺動しないものであるが、第1意匠体を主振り子2に取り付け揺動可能とすることも勿論可能である。
【0026】
一方、第1従振り子3及び第2従振り子4のそれぞれには、第2連結体繋止孔形成領域31a、31bの上部に連設された意匠体取付部13a、13bが設けられている。これらの意匠体取付部13a、13bには、第1意匠体5と関連のある意匠体(第2意匠体6及び第3意匠体7)を取り付け、主振り子2の揺動に連動させることが効果的である。
【0027】
例えば、本実施態様では、駆動部本体1の中央の主振り子2には親鳥をあらわす第1意匠体5が配置され、左側の第1従振り子3と右側の第2従振り子4には、それぞれ、雛をあらわす第2意匠体6と第3意匠体7を取り付けている。このような場合、図1に示すように、主振り子2が左方向に振れたとき(反時計方向に回動したとき)は、親鳥の両側の雛が共に親鳥から離れる方向に振れ、他方、図2に示すように、主振り子2が右方向に振れたとき(時計方向に回動したとき)は、親鳥の両側の雛が共に親鳥に近付く方向に振れることになる。本実施態様の装置では、反復される主振り子2の揺動に連動し、このような動作が繰り返されることになり、看者の注意を惹くことができる。
【0028】
次に、図6は、主振り子2の下端に設けたマグネット保持部35及び前記駆動部本体1の下方に設けた駆動コイル16を示す図である。前記マグネット保持部35内には、図1及び図6に示すように、その左右に矩形状のマグネット17、17が並設されている。
一方、マグネット17、17を設けた主振り子2が中立位置にあるとき、駆動部本体1側の前記マグネット17、17と対向する位置に、駆動コイル16が設けられている。この駆動コイル16は、図1、図6等に示すように、矩形状のマグネット17、17の長手方向の寸法より大きい径の円盤状である。また、駆動コイル16は、その極面が駆動部本体1から露出するようにして配置され、この極面はマグネット17、17と対向している。このマグネット17、17のマグネット保持部35側に向いた面17bは、例えばN極に着磁され、このとき、マグネット17、17の駆動コイル16と対向する面17aはS極に着磁される。
【0029】
また、前記マグネット保持部35内には、マグネット17、17と共にバランス調整用錘36が設けられ、前記マグネット17、17は、このバランス調整用錘36に吸着して保持されている。このバランス調整用錘36は、主振り子2に取り付けられる意匠体29との重量バランスを調整するものであり、例えば鉄等の磁性板材からなり、マグネット17、17の吸着状態を保持し易いように矩形状とされている。また、振り子体2の下端の重量がその上端の重量より大きくなり、かつ振り子体2が振り子支持軸2aを支点にして鉛直状態に保持されるように調整される。
【0030】
図7は、主振り子2の駆動回路の一例を示す回路図である。この回路は変則的な非安定マルチバイブレータ回路であり、広義の自走発振回路であって、発振電流により駆動コイル16を励磁し、この駆動コイル16と対向して移動可能に設けられたマグネット17、17に電磁力が及ぼされる。このマグネット17、17と駆動コイル16とに相対的に作用する電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ意匠体を取り付けた自由振動体である主振り子2を励振させるものである。
【0031】
上記の変則的な非安定マルチバイブレータ回路(自走発振回路)は、図7に示すように、NPNトランジスタQ1とPNPトランジスタQ2を備え、NPNトランジスタQ1のベースは、周期設定用のコンデンサC1を介してPNPトランジスタQ2のコレクタに接続され、またPNPトランジスタQ2のベースは、抵抗を介してNPNトランジスタQ1のコレクタに接続されている。また、PNPトランジスタQ2のコレクタには駆動コイル16の一端が接続され、この駆動コイル16の他端は電源用の電解コンデンサC2の負極とソーラーパネル負極とNPNトランジスタのエミッタに接続されている。また、PNPトランジスタQ2のエミッタは、ソーラーパネル43の正極に接続され、更に、駆動コイル16に流されるパルス電流の通電間隔時定数を7秒程度に設定するためのコンデンサC1及び抵抗を備えた直列回路を経て前記トランジスタQ2のコレクタに接続されている。
【0032】
前記ソーラーパネル43は、太陽光または照明光などの光を電流に変換するものであり、このソーラーパネル43から出力される電流は、電源用の電解コンデンサC2に充電されるように構成されている。なお、電解コンデンサC2とソーラーパネル43は、変則的マルチバイブレータ回路(自走発振回路)40及び駆動コイル16に電力を供給する電源を構成している。
【0033】
前記自走発振回路40は、駆動コイル16に所定の周期(例えば7秒)でパルス状(例えば0.3sec程度のパルス幅)の電流(例えば210μA)を供給して駆動コイル16をこれに正対するマグネット17、17の極性(例えばN極、S極)と反発、吸引し合う極性(N極)に励磁することにより、次第に減衰する慣性揺動運動を行う主振り子2の揺動運動を、駆動コイル16とマグネット17、17との磁気的反発吸引作用で助長するものである。このような自走発振回路40は、駆動部本体1内に配設した配線基板41に実装される。
【0034】
以下、上記のような自走発振回路40を備えた揺動装置の作動について説明する。
この揺動装置では、主振り子2が中立位置にあり、かつ駆動コイル16が非励磁状態にあるとき、並列されたマグネット17、17と駆動コイル16は、互いに対向する位置にある。
ソーラーパネル43に太陽光または照明光などの光が当てられると、このソーラーパネル43には2.0V〜2.2Vの電圧が生じる。この電圧は、自走発振回路40に供給されるとともに電解コンデンサC2に充電される。この電解コンデンサC2に充電された電圧は、自走発振回路40及び駆動コイル16の駆動に供される。
かかる状態において、自走発振回路40にソーラーパネル43(または電解コンデンサC2)から電力が供給されると、この自走発振回路40のトランジスタQ1及びQ2は、コンデンサC1と抵抗により設定される時定数に従って、例えば、主振り子2が3〜4回、揺動往復する間の期間オフ状態に保持され、この期間中は駆動コイル16に電流は流れず、この駆動コイル16は励磁されることがない。
【0035】
一方、その時定数に従い、コンデンサC1の端子電圧がトランジスタQ2のベースに対し逆バイアスとなるマイナス側から順バイアスとなるプラス側へ移行し、そして、その端子電圧がトランジスタQ2をONさせるのに必要な0.5V近くに達するとトランジスタQ2にベース電流が流れ、このトランジスタQ2がオンされると同時にトランジスタQ1もONされ、駆動コイル16に電流が流れ、これが励磁する。このときのトランジスタQ1及びQ2のオン時間は、コンデンサC1と抵抗の時定数とにより設定される。この場合、主振り子2が3〜4揺動往復ごとに1回の割合で駆動コイル16を励磁する場合のトランジスタQ1及びQ2のオン時間は0.3秒程度である。
【0036】
トランジスタQ1及びQ2がオンされることにより駆動コイル16にトランジスタQ1を通して電流が流れると、マグネット17と対向する側の駆動コイル16のコイル端面は、マグネット17の極性(例えば右側N極、左側S極)に対し右マグネットには反発、左マグネットには吸引の極性となるように励磁されるため、この駆動コイル16とマグネット17との磁気的反発吸引作用により、主振り子2は、主振り子支持軸2aを支点にして、図1の矢印A方向に振られるとともに加速される。
そして、バランス調整用錘36を含む主振り子2は自重による慣性力で矢印A及び矢印B(図1)の方向に往復揺動し、リンク機構を介して、第1従振り子3及び第2従振り子4も第1従振り子支持軸11、第2従振り子支持軸12を支点にして揺動する。
【0037】
上記のようにして、主振り子2は初期状態から起動され、まず意匠体29が左方向に傾き(図1)、その後、初期状態を経て、意匠体29が右方向に傾いた状態(図2)となり再び初期状態に戻る。以後、これらの状態を反復継続する。なお、周囲が暗くなって駆動回路8が作動しなくなると主振り子2は初期状態で静止する。
以下、上述する一連の動作を繰り返し行うことにより、意匠体29、マグネット17及びバランス調整用錘36を含む主振り子2は、意匠体29の重量、主振り子2のバランス調整用錘36の重量及び主振り子2の長さに応じて設定される周期で連続して揺動運動することになる。
【0038】
この例では、図1(図3(b))に示すように、主振り子2が反時計方向に回動したとき、主振り子2は、図面において連結体8を右方向に引っ張るので、主振り子2と第1従振り子3は、共に同一の方向(ここでは反時計方向)に回動する。
一方、主振り子2の右側にある第2従振り子4は、第2連結体9により主振り子2と連結されているので、主振り子2が反時計方向に回動すると第2連結体9が左上方向に引っ張られ、主振り子2の回動に伴って回動する第2従振り子4は、主振り子2と回動方向が逆となり、右側に傾斜する。
このように、主振り子2の回動に連動する第1従振り子3と第2従振り子4は、第1従振り子3は主振り子2の回動方向と同一方向に、また、第2従振り子4は主振り子2の回動方向と逆方向に回動する。
【0039】
なお、第1連結体繋止孔形成領域30または第2連結体繋止孔形成領域31a、31bにおいて、主振り子2、第1従振り子3及び第2従振り子4に対する第連結体8または第2連結体9を固定する位置を変更すれば、第1従振り子3もしくは/及び第2従振り子4の回動方向、回動範囲、回動動作または回動角度を適宜変更することができる。
主振り子2を揺動させる機構としては、他の構造、例えば主振子下部に1個のマグネットを配設し、駆動コイルとの反発力だけで搖動の励振させるようなものを用いてもよい。なお、本発明では、このマグネットまたは駆動コイルのいずれか一方を揺動側に配設すればよい。
また、主振り子2の駆動回路は、同一の機能を生じるものであれば、適宜変更可能であることは勿論である。
【0040】
(第2実施態様)
図8は、本発明の第2実施態様に係る意匠体の揺動装置の正面図である。この揺動装置は、主振り子2と、第1従振り子3及び第2従振り子4を備えている。図1ないし図3と同一の符号を付した部分は、同様の構造及び作用を備えるので、説明を省略する。
この第2実施態様では、図14に示すように、駆動部本体1の上部に、主振り子支持軸2aが前方に突出して設けた軸受部62に軸支されている。第1従振り子3及び第2従振り子4は、駆動部本体1とは別体に形成されて駆動部本体1の前方に配置された従振り子保持部1aに、回動可能に取付けられている。この従振り子保持部1aは、駆動部本体1に比較して高さが低く、そのため第1従振り子3及び第2従振り子4は、主振り子2の下方に位置し、かつ、これら第1従振り子3及び第2従振り子4は、主振り子2と前後に適当な隙間で重なり合うように設けられている。
【0041】
主振り子2と第1従振り子3とは、上下方向において第1連結体8により連結されている。これの振り子が中立位置(図示せず)にあるとき、主振り子支持軸2aと連結体繋止孔32aを結ぶ線(半径)、第1結合体8、及び第2従振り子支持軸11と第2の連結体繋止孔33aを結ぶ線(半径)をつなぐ線は、中点8aを中心として略点対称となっている。すなわち、第1連結体繋止孔形成領域30と第2連結体繋止孔形成領域31aにおいて左右反対側どうしが連結されているので、主振り子2と第1従振り子3は互いに反対方向に回動する。
一方、主振り子2と第2従振り子4は、上下に並設されて互いに第2連結体9により連結されているが、これらは第1連結体繋止孔形成領域30と第2連結体繋止孔形成領域31bにおいて同一側(右側)どうしが連結されているので、ともに同一方向に回動する。そして、主振り子支持軸2aと第1の連結体繋止孔33a、33bとを結ぶ半径の長さが異なれば、第1実施態様のように、主振り子2の回動角度と第1従振り子3の回動角度が異なることになる。
【0042】
図9は、図8の揺動装置を、一部省略して背面方向からみた状態を示す斜視図である。
この揺動装置は、主振り子2と第1従振り子3とを備え、第2従振り子は省略して描き込みがないが、図8ないし図1と同一の符号を付した部分は、同様の構造及び作用を備えるので、説明を省略する。
駆動部本体1は第1実施態様のものと同様であり、図12に示すように、鉛直方向に細長く形成されている。この駆動部本体1の上部の裏面に、図13に示すように、主振り子支持軸2aを保持する支持軸保持部66が設けられる。この支持軸保持部66は、駆動部本体1の上部背面に設けた支持孔68に回動自在に支持される。なお、図13における駆動本体部1の断面は、図12のX-X線断面として示されている。
他方、第1従振り子3は、駆動部本体1とは別体に形成されて駆動部本体1の前方に配置された従振り子保持部1aに回動可能に取付けられている。この従振り子保持部1aは、駆動部本体1に比較してその高さが低く、そのため第1従振り子3は、主振り子2の下方に位置し、かつ、第1従振り子3は、主振り子2と前後に重なり合うように設けられる。
【0043】
主振り子2と第1従振り子3は、図8において、主振り子2の左側と第1従振り子3の右側が、第1連結体8により連結され、互いに反対方向に回動する。
前記従振り子保持部1aは、図10に示すように、駆動体本体1とは別体の立設可能なプレート状であって、その上部には、左右対称の位置に、二つの矩形の窓部1c、1dが設けられている。この窓部1c、1dを介して、前記従振り子保持部1aの裏側(駆動部本体1と対向する側)に従振り子3を回動自在に取り付けることが可能である。
すなわち、この例では図11に示すように、従振り子保持部1bの裏側の窓部1cには、これに合致する四角形の外縁部1bを有して窓部1cに嵌合し、中央に中空の変則円形断面形状の保持部材55を備えた保持プレート56が装着される。この保持部材55の内側は軸受孔58となっている。この軸受孔58には、裏側から従振り子3の第1従振り子支持軸11が挿通される一方、従振り子保持部1bの表側から、従振り子支持軸11に嵌合するように、断面が略ワの字型の支承部を持つ意匠体の着装抜取板60が圧入固定される。このようにして、保持部材55を挟んで従振り子3、4と意匠体取付部13aが、従振り子保持部1bに対して着脱自在に組み立てられる。
【0044】
上記のように、第1従振り子3は、第1従振り子支持軸11を備え、保持部材55に設けた軸受孔58に、第1従振り子支持軸11を挿通させ、これに着装抜取板60を装着することで保持部材55に取り付けられる。
また、第1従振り子支持軸11を構成する支承部22は、ナイフエッジに加工され、さらに、このナイフエッジが接する貫通孔58の底面箇所はV字状に加工されている。この支承部22には、上述のように、着装抜取板60を裏面に備えた意匠体取付部13aを設ける。この着装抜取板60は、第1従振り子支持軸11の支承部22に嵌合するが、その内面61の断面が三角形状に形成され、この着装抜取板60を介して、前記意匠体取付部13aが、支承部22の第1従振り子支持軸11に対して着脱自在に圧入されている。
なお、図示しないが、第2従振子も、窓部1cに対して、第1従振り子3と同様に装着可能である。
【0045】
なお、主振り子2は、図13及び図14に示すように、主振り子支持軸2aを保持する支持軸保持部66の後端を、駆動部本体1の上部背面に設けた支持孔68に挿入し、かつ、主振り子支持軸2aを、駆動部本体1の弾性撓み可能な軸受部62に設けた軸孔64に貫通させることで、駆動部本体1に着脱自在に装着される。図中、70は、主振り子支持軸2aの効率的な
回動を補助するため、前記軸受部の貫通口下辺に配置したステンレス鋼線である。
前記支持孔68は、支持軸保持部66を所定位置に回動自在に保持できればよく、駆動部本体1の内壁に設けた凹部等の係合手段であってもよい。前記軸受部62は、駆動部本体1からL字状に突出して形成され、その中央に軸孔64、及びこの軸孔64に主振り子支持軸2aをガイドするガイド溝(図示せず)が形成されている。主振り子2の着脱時は、この軸受部62が図中小矢印(図13)で示すように外方に弾性変形するので、主振り子支持軸2a及び主振子2が矢印(図13)の方向に移動すれば、主振り子支持軸2aは軸孔64内に到達する。
主振り子2を駆動部本体1から取り外すときは、軸受部62を外方に弾性変形させ、主振り子支持軸2a及び主振り子2を矢印(図13)と反対の方向に移動させれば、主振り子支持軸2aが軸孔64から外れ、主振り子2の全体を駆動部本体1から取り外すことができる。
【0046】
また、上記のように第1従振り子3は、従振り子保持部1aに対して着脱可能であり、第2実施態様では、従振り子を設けるか否か、これを設けたとしてその数を1もしくは2とするか、を選択することができる。したがって、広告用の意匠体の数に応じた揺動装置とすることが可能である。
さらに、主振り子2と、第1従振り子3または第2従振り子4とが、駆動部本体1及び従振り子保持部1aに対して着脱自在であるので、これら主振り子3と、第1従振り子3または第2従振り子4とを第1連結体8、第2連結体9で予め連結した状態(組み立てた状態)とし、これらの連結状態の完成後に、駆動部本体1及び従振り子保持部1aに対し、これを取り付けることができる。このようにすれば、主振り子2と、第1従振り子3または第2従振り子4との連結作業を容易に行うことができる。
【0047】
この実施態様では、前記ナイフエッジの構造によって、保持部材に対する振り子体支承部の摩擦抵抗が大幅に低減するので、省電力化が実現される。すなわち、振り子用支持軸が振り子体の揺動運動につれ、振り子用軸受部の受け面上で転動可能に支承する構造にしたので、振り子用支持軸とその軸受部との間には摩擦抵抗がほとんど生じない。その結果、電源や自走発振回路及び駆動コイルの小容量化を達成でき、摩擦抵抗が少なく、振り子用支持軸に加わる衝撃力を吸収できる振り子体の軸受機構を、容易に低コストで提供できる。
【0048】
図8、図9等に示す第2実施態様の揺動装置は、主振り子2が駆動部本体1と従振り子保持部1aの間の空間において揺動可能に保持されるが、親鳥5などの意匠体を、例えば、主振り子2に取付けたZ字金具69を用いて、従振り子保持部1aよりも前方で保持可能とすることができる。この場合、意匠体(図示せず)を、従振り子保持部1aの前面にZ字金具69などで部分的に位置させて前方に浮き出させるように構成される。
第2実施態様の揺動装置は、第1意匠体と第2意匠体(第3意匠体)との間で高低差のある配置をしたい場合、また、設置場所の面積が狭い場合に有効である。
【0049】
上記の第1実施態様及び第2実施態様に示す意匠体の揺動装置は、従振り子用支持軸がナイフエッジに形成され、支承部で支持されるので、これらの間には摩擦抵抗がほとんど生じない。その結果、ソーラーパネル43や自走発振回路40及び駆動コイル16の小容量化を実現できる。
【0050】
また、第1従振り子3(及び第2従振り子4)に設けた第2意匠体6(及び第3意匠体7)を、主振り子2に設けた第1意匠体5に連動して揺動できるように構成したので、単一の揺動機構により複数の意匠体を揺動させることができ、商品等の広告効果や動物など象った意匠体の表現効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施態様にかかる意匠体の揺動装置の概略構成を示し、主振り子が反時計方向に回動した状態の正面図である。
【図2】本発明の第1実施態様にかかる意匠体の揺動装置の概略構成を示し、主振り子が時計方向に回動した状態の正面図である。
【図3】(a)は主振り子と、第1従振り子及び第2従振り子が中立位置にある状態を示す正面図である。(b)は、主振り子が反時計方向に回動し、これに連動して従振り子が回動した状態を示す図である。(c)は、主振り子の左側中央部とその回動中心点から水平方向左の従振り子上部を連結体で連結した実施態様において、主振り子が中立位置にある状態を示す図である。(d)は、(c)に示す実施態様において、主振り子が一往復する間に左右最大振り角度に達した状態で、従振り子がどのように搖動するかを連結体の両端が挿通されている各繋止孔の移動位置により説明する図である。
【図4】主振り子における第1連結体繋止孔形成領域の構成例を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)は、連結体繋止孔に、第1連結体(第2連結体)を着脱自在に装着する状態を示す図である。
【図6】主振り子の下端に設けたマグネット保持部及び駆動部本体の下方に設けた駆動コイルを示す図である。
【図7】主振り子の駆動回路の一例を示す回路図である。
【図8】本発明の第2実施態様に係る意匠体の揺動装置の一部省略した正面図である。
【図9】図8の揺動装置を、一部省略して背面方向からみた状態を示す斜視図である。
【図10】従振り子保持部の裏面側を示す斜視図である。
【図11】従振り子保持部に取り付ける従振り子に意匠取付部を接合する状態を示す斜視図である。
【図12】第2実施態様における駆動部本体の正面図である。
【図13】第2実施態様における駆動部本体に主振り子を装着する過程を示す図である。
【図14】第2実施態様における駆動部本体に主振り子を装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 駆動部本体
1a 従振り子保持部
1c、1d 窓部
2 主振り子
3 第1従振り子
4 第2従振り子
5 第1意匠体(親鳥)
6 第2意匠体(雛)
7 第3意匠体(雛)
8 第1連結体
9 第2連結体
11 第1従振り子支持軸
12 第2従振り子支持軸
13a、13b 意匠体取付部
15 透明板
16 駆動コイル
17 マグネット
22、23 支承部
24、25 V字断面部
26、27 支持部材
29 意匠体
30 第1連結体繋止孔形成領域
31a、31b 第2連結体繋止孔形成領域
32a、32b 第1の連結体繋止孔
33a 第2の連結体繋止孔
33b 第3の連結体繋止孔
35 マグネット保持部
36 バランス調整用錘
38 挿入孔
40 自走発振回路(変則的非安定マルチバイブレータ回路)
43 ソーラーパネル
55 保持部材
56 保持部材
58 貫通孔
60 着装抜取板
61 ワの字断面抜き取り支承部
62 軸受部
64 孔
66 支持軸保持部
68 支持孔
69 Z字金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠体を取付け可能で、駆動装置により慣性揺動可能に軸支される主振り子、
意匠体を取付け可能な従振り子を揺動自在に軸支する従振り子保持部、
前記主振り子に設けられたマグネット、
前記マグネットと相対向するようにして、前記駆動装置に配設された駆動コイル、
前記駆動コイルに所定の時定数で断続的に励磁電流を供給し、駆動コイルを、これに対向する前記マグネットの磁極と反発または吸引し合う磁極に励磁することにより、その電磁力によって前記主振り子の揺動運動を生じさせる自走発振回路、
前記駆動コイル及び前記自走発振回路に電力を供給する電源、主振り子と少なくとも一つの従振り子との間を連結する連結体を有して前記主振り子の揺動に連動して従振り子を揺動させるリンク機構、を含み、
前記リンク機構は、主振り子の支持軸の周囲に設けた第1の連結体繋止部、及び従振り子の支持軸の周囲に設けた第2の連結体繋止部を備え、主振り子の第1の連結体繋止部と従振り子の第2の連結体繋止部とが着脱自在な連結体によって選択的に連結繋止され、主振り子の回動に連動して従振り子が回動して、従振り子に設けた意匠体が揺動可能であることを特徴とする意匠体の揺動装置。
【請求項2】
前記第1の連結体繋止部は、主振り子支持軸を中心とする同心円上に複数設けられ、連結体が着脱自在に繋止されていることを特徴とする請求項1に記載の意匠体の揺動装置。
【請求項3】
前記第2の連結体繋止部は、従振り子支持軸を中心とする同心円上に複数設けられ、連結体が着脱自在に繋止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の意匠体の揺動装置。
【請求項4】
前記第1の連結体繋止部及び第2の連結体繋止部は、主振り子支持軸または従振り子支持軸を中心とする円の円周上に設けられた繋止孔であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の意匠体の揺動装置。
【請求項5】
前記主振り子は、振り子支持軸を保持した支持軸保持部の後端部を、駆動部本体の背面に設けた軸受部への係合手段により装着し、かつ、振り子支持軸前端部に設けた軸部を駆動部本体の前面に設けた撓み可能な軸受部に貫通させることで、回動可能かつ着脱自在に駆動部本体に取り付けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の意匠体の揺動装置。
【請求項6】
第1従振り子または/及び第2従振り子は従振り子支持軸を備え、この従振り子支持軸を回動可能に保持する従振り子保持部を設け、この従振り子保持部の一方側から、従振り子保持部に設けた貫通孔に従振り子支持軸を挿通させる一方、従振り子保持部の他方側から、前記従振り子支持軸に対して着装抜取部材が着脱自在に取り付けられ、従振り子が、従振り子保持部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の意匠体の揺動装置。
【請求項7】
前記連結体を線材とし、その端部を、所定間隔をおいて二箇所でほぼ直角に折り曲げることでクランク形状とし、これらの二箇所の折曲部に挟まれた中間部を前記連結体繋止部である繋止孔内に位置させ、前記連結体を主振り子または従振り子に対して着脱自在に固定するリンク機構を形成したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の意匠体の揺動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−209508(P2011−209508A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77312(P2010−77312)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(591126909)国際ディスプレイ工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】