説明

感光体カートリッジ

【課題】ドラムカートリッジの梱包作業を容易に行うことができるとともに、梱包時のコストを低減することができるドラムカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】感光体カートリッジ(ドラムカートリッジ8)は、感光体(感光ドラム81)と、感光体を外部に露出させる開口部815とを有し、カートリッジ収容部82の一部を形成する第1フレーム810と、カートリッジ収容部82の他部を形成する第2フレーム820と、を備える。第2フレーム820は、第1フレーム810とともにカートリッジ収容部82を形成する第1位置と、第1フレーム810と重なり合って開口部815を第1位置のときよりも狭める第2位置との間で、変位可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を有する感光体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光ドラム(感光体)を有するドラムカートリッジ(感光体カートリッジ)に対して、現像ローラを有する現像カートリッジが着脱可能となる構造が知られている(特許文献1参照)。具体的に、ドラムカートリッジを構成するフレームには、現像カートリッジを収容するための箱状のカートリッジ収容部が形成されるとともに、感光ドラムを外部(転写ローラ側)に露出させるための開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工場で製造したドラムカートリッジを梱包する場合、ドラムカートリッジの開口部から外部に露出する感光ドラムを保護すべく、ドラムカートリッジとは別の保護カバーを開口部に取り付けなければならないので、梱包作業が煩雑になるとともに、部品点数の増加によりコストが増加するといった問題があった。また、梱包の際、ドラムカートリッジに形成されるカートリッジ収容部が無駄な空間になるので、ドラムカートリッジを入れる梱包用の箱が大型化し、その分コストが増加するといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ドラムカートリッジ(感光体カートリッジ)の梱包作業を容易に行うことができるとともに、梱包時のコストを低減することができるドラムカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、現像カートリッジが着脱可能であり、前記現像カートリッジを収容するカートリッジ収容部を備える感光体カートリッジであって、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を外部に露出させる開口部とを有し、前記カートリッジ収容部の一部を形成する第1フレームと、前記カートリッジ収容部の他部を形成する第2フレームと、を備え、前記第2フレームが、前記第1フレームとともに前記カートリッジ収容部を形成する第1位置と、前記第1フレームと重なり合って前記開口部を第1位置のときよりも狭める第2位置との間で、変位可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、感光体カートリッジを梱包する際には、第2フレームを変位させることで感光体カートリッジをコンパクトに縮めることができるので、その分、梱包用の箱を小型化することができる。また、第2フレームによって開口部を狭めることができるので、当該第2フレームによって感光体を保護することができ、別途カバー部材を設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。さらに、第2フレームを変位させるだけで感光体が保護されるので、感光体カートリッジとは別のカバー部材を開口部に取り付ける場合に比べ、梱包作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感光体カートリッジの梱包作業を容易に行うことができるとともに、梱包時のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタを示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドラムカートリッジを示す側面図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図3】ドラムカートリッジを上から見た状態を示す斜視図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図4】ドラムカートリッジを下から見上げた状態を示す斜視図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図5】ドラムカートリッジを後から見た状態を示す図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図6】スライド式のドラムカートリッジを示す側面図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図7】図6のドラムカートリッジを上から見た状態を示す斜視図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図8】図6のドラムカートリッジを下から見上げた状態を示す斜視図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【図9】図6の第1フレームを分解して示す分解斜視図(a)と、図6の第2フレームを分解して示す分解斜視図(b)である。
【図10】図6のドラムカートリッジを後から見た状態を示す図であり、第2フレームが第1位置であるときの状態を示す図(a)と、第2位置であるときの状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0011】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0012】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、用紙Pを装置本体2内に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0013】
フィーダ部3は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。
【0014】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
【0015】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体の一例としての感光ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0016】
プロセスカートリッジ6は、装置本体2の前壁に回動可能に設けられたフロントカバー23で開閉される開口22を通して、装置本体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、感光体カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ8と、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能となる現像カートリッジ9とを備えている。
【0017】
ドラムカートリッジ8は、静電潜像が形成される感光ドラム81を有する他、図示を省略する公知の帯電器などを有している。なお、ドラムカートリッジ8の構造については、後で詳述する。
【0018】
現像カートリッジ9は、内部に収容したトナー(現像剤)を感光ドラム81に供給する現像ローラ91や、図示を省略する公知の供給ローラ、層厚規制ブレード、アジテータなどを有している。
【0019】
このプロセスカートリッジ6では、回転する感光ドラム81の表面が、図示せぬ帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0020】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によって現像カートリッジ9内のトナーが感光ドラム81の静電潜像に供給されて、感光ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム81と転写ローラTRの間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム81の表面に担持されているトナー像が用紙P上に転写される。
【0021】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向して配置され加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。そして、このように構成される定着装置7では、用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着している。
【0022】
なお、定着装置7で熱定着された用紙Pは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に送り出される。
【0023】
<ドラムカートリッジ8の詳細構造>
図2〜図4に示すように、ドラムカートリッジ8は、現像カートリッジ9を収容するカートリッジ収容部82を有するような上方に開口した箱状に形成されている。具体的に、ドラムカートリッジ8は、カートリッジ収容部82の一部を形成する第1フレーム810と、他部を形成する第2フレーム820とを備えて構成されている。
【0024】
第1フレーム810は、感光ドラム81の両端部を回転可能に支持する左右の側壁811と、左右の側壁811の前側下部を連結する下壁部812と、左右の側壁811の上部を連結する上壁部813と、上壁部813の後端から前斜め下方に延びる前壁部814とを備えている。下壁部812は、その後端が感光ドラム81の近傍まで延び、前壁部814は、その前端が感光ドラム81の近傍まで延びている。
【0025】
これにより、左右の側壁811と、前壁部814と、下壁部812とによって、感光ドラム81を外部に露出させる開口部815が形成されている。また、左右の側壁811の前側部分と、下壁部812とによって、カートリッジ収容部82の一部が形成されている。
【0026】
第2フレーム820は、図4(a)に示すように、左右一対の蝶番830によって第1フレーム810に回動可能に支持されており、図4(b)に示すように、第1フレーム810の下側に被さるように回動するようになっている。詳しくは、第2フレーム820は、第1フレーム810とともにカートリッジ収容部82を形成する第1位置(図4(a)の位置)と、第1フレーム810と重なり合って開口部815を覆う第2位置(図4(b)の位置)との間で、変位可能に構成されている
【0027】
言い換えると、第2フレーム820は、図5(a)に示す第1位置において開口部815を所定の大きさで開放し、図5(b)に示す第2位置において開口部815を第1位置のときよりも狭めるように変位可能となっている。
【0028】
具体的に、第2フレーム820は、左右の側壁821と、左右の側壁821の下部を連結する下壁部822と、左右の側壁821の後部を連結する後壁部823とを備えて構成されている。そして、左右の側壁821と、下壁部822と、後壁部823とによって、カートリッジ収容部82の他部が形成されている。
【0029】
下壁部822は、感光ドラム81の外周面に沿った断面視円弧状に形成されており、これにより、第2フレーム820を第2位置に折り畳んだときに下壁部822を感光ドラム81に近接させることができるので、梱包時におけるドラムカートリッジ8をよりコンパクトにすることが可能となっている。
【0030】
図3(a)に示すように、後壁部823の上端面823A(第2フレーム820のうち第2位置において第1フレーム810に対面する面822Aとは異なる面)には、上方に突出する取っ手824が設けられている。そして、このように後壁部823の上端面に取っ手824が設けられることで、第2フレーム820を第2位置に折り畳んだときでも、取っ手824をユーザが掴むことが可能となっている。
【0031】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ドラムカートリッジ8を梱包する際には、第2フレーム820を折り畳むことでドラムカートリッジ8をコンパクトに縮めることができるので、その分、梱包用の箱を小型化することができる。また、第2フレーム820によって開口部815を狭めることができるので、当該第2フレーム820によって感光ドラム81を保護することができ、別途カバー部材を設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。さらに、第2フレーム820を折り畳むだけで感光ドラム81が保護されるので、ドラムカートリッジとは別のカバー部材を開口部に取り付ける場合に比べ、梱包作業を容易に行うことができる。
【0032】
第2フレーム820のうち第2位置において第1フレーム810に対面する面822Aとは異なる面(上端面823A)に、取っ手824が設けられているので、第2フレーム820の折り畳み後も取っ手824を使用することができ、折り畳み後のドラムカートリッジ8を持ち運び易くすることができる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、第2フレーム820を第1フレーム810に回動可能に支持させたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図6〜図8に示すように、第2フレーム920は第1フレーム910にスライド可能に支持されていてもよい。
【0034】
具体的に、この構造では、ドラムカートリッジ900は、カートリッジ収容部901の一部を形成する第1フレーム910と、他部を形成する第2フレーム920とを備えて構成されている。
【0035】
第1フレーム910は、前記実施形態における左右の側壁811、下壁部812、上壁部813および前壁部814と略同じ構造となる左右の側壁911、下壁部912、上壁部913および前壁部914を備えている。そのため、この実施形態においても、左右の側壁911と、前壁部914と、下壁部912とによって、感光ドラム81を外部に露出させる開口部915が形成されている(図8(a)参照)。また、左右の側壁911の前側部分と、下壁部912とによって、カートリッジ収容部901の一部が形成されている。
【0036】
そして、左右の側壁911の外面には、図6(a)に示すように、第2フレーム920を略前後方向にスライド可能に支持する支持溝930が形成されている。支持溝930は、側壁911の前端側(感光ドラム81よりも第2フレーム920側)の位置から後方(感光ドラム81側)に延びた後、前後方向において感光ドラム81の位置に到達する前に下側に一段下がるように形成されている。これにより、後述する第2フレーム920の断面視円弧状の遮蔽壁927(図8参照)が感光ドラム81に当接することが防止されている。
【0037】
また、支持溝930は、前後方向において感光ドラム81の回転軸と略同じ位置(回転軸よりも少し後方の位置)に到達すると、感光ドラム81の外周面に沿うような円弧状に形成されている。これにより、前述した遮蔽壁927が感光ドラム81の外周面に沿って移動して開口部915を狭めるようになっている。
【0038】
そして、支持溝930の後端部には、後述する第2フレーム920の係合突起924に係合して第2フレーム920を第2位置で保持する一対の保持突起931が形成されている。
【0039】
第2フレーム920は、カートリッジ収容部901の他部を形成する左右の側壁921と、下壁部922と、後壁部923とを備えて構成されている。そして、左右の側壁921の前部内側には、図9(a),(b)に示すように、第1フレーム910の支持溝930にスライド可能に支持される係合突起924が形成されている。
【0040】
また、第2フレーム920の左右の側壁921の内面には、前後に離れて形成される一対の嵌合穴925,926が形成され、第1フレーム910の左右の側壁911の前側には、1つの嵌合用突起940が形成されている。これにより、図6(a)に示すように、第1位置においては、前側の嵌合穴925(図9(a)参照)に嵌合用突起940が嵌合するとともに、支持溝930で係合突起924が支持されることで、第2フレーム920が第1位置に保持される。
【0041】
また、図6(b)に示すように、後側の嵌合穴926(図9(a)参照)に嵌合用突起940が嵌合するとともに、支持溝930の保持突起931(図6(a)参照)で係合突起924が保持されることで、第2フレーム920が第2位置に保持される。
【0042】
また、図8(a),(b)に示すように、第2フレーム920の下壁部922の後端には、断面視円弧状の遮蔽壁927が設けられている。
【0043】
以上のような構成であっても、図10(a)に示すように、第2フレーム920が第1位置である場合には、開口部915が開放され、図10(b)に示すように、第2フレーム920が第2位置である場合には、開口部915が狭められる。そのため、この実施形態においても前記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0044】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム81を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
8 ドラムカートリッジ
81 感光ドラム
82 カートリッジ収容部
810 第1フレーム
815 開口部
820 第2フレーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像カートリッジが着脱可能であり、前記現像カートリッジを収容するカートリッジ収容部を備える感光体カートリッジであって、
静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を外部に露出させる開口部とを有し、前記カートリッジ収容部の一部を形成する第1フレームと、
前記カートリッジ収容部の他部を形成する第2フレームと、を備え、
前記第2フレームが、
前記第1フレームとともに前記カートリッジ収容部を形成する第1位置と、
前記第1フレームと重なり合って前記開口部を第1位置のときよりも狭める第2位置との間で、変位可能に構成されていることを特徴とする感光体カートリッジ。
【請求項2】
前記第2フレームは、前記第1フレームに回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の感光体カートリッジ。
【請求項3】
前記第2フレームのうち前記第2位置において前記第1フレームに対面する面とは異なる面に、取っ手が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の感光体カートリッジ。
【請求項4】
前記第2フレームは、前記第1フレームにスライド可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の感光体カートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−150302(P2012−150302A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9387(P2011−9387)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】