説明

感光性エレメント、これを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法

【課題】 密着性及び解像度と、剥離性とのバランスが良好である感光性エレメントを提供すること。
【解決手段】 支持フィルム10と、該支持フィルム10上に感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層20と、を備える感光性エレメントであって、上記感光性樹脂組成物が、(A)バインダーポリマーと、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有し、且つ、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有するものである、感光性エレメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性エレメント、これを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の製造分野及び金属の精密加工分野において、エッチング、めっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物を用いて形成される層(以下、「感光層」という)、支持フィルム及び保護フィルムで構成される感光性エレメントが広く用いられている。
【0003】
プリント配線板は、例えば下記のようにして製造される。まず、感光性エレメントの保護フィルムを感光層から剥離した後、回路形成用基板の導電膜上に感光層をラミネートする。次いで、感光層にパターン露光を施した後、未露光部分を現像液で除去し、レジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンに基づいて、導電膜をパターニングすることによって、プリント配線板が形成される。
【0004】
この未露光部分の除去に用いられる現像液としては、主に炭酸水素ナトリウム溶液等のアルカリ現像液が挙げられる。現像液は、通常、ある程度感光層を溶解する能力があればよく、現像時には感光層が現像液に溶解し、又は現像液中に分散される。
【0005】
近年、プリント配線板の高密度化に伴い、回路形成用基板とレジスト材料である感光層との接触面積が小さくなっている。そのため、感光層には、エッチング又はめっき工程において優れた機械強度、耐薬品性、柔軟性が要求されると共に、回路形成用基板との優れた密着性やパターン形成における優れた解像度が要求されている。最近では、特にパッケージ基板用途としてライン幅及びスペース幅が共に10μm以下のレジストパターンを形成し得る材料が望まれている。
【0006】
ところで、特許文献1には、特定の分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2には、特定のカルボキシル基含有バインダーポリマーを含有する光重合性組成物が提案されている。特許文献3には、特定の光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。特許文献4及び特許文献5には、特定のカルボキシル基含有バインダーポリマー及び光重合可能なモノマーを含有する光重合成樹脂組成物が提案されている。
【0007】
また、レジストの形成に感光性エレメントを用いる際には、一般に、感光層を基板上にラミネートした後、支持フィルムを剥離することなく露光を行う。このような露光処理に対応するためには、支持フィルムに光透過性の材料を採用すればよく、パターン形成における高い解像度を得るためには、支持フィルムをなるべく薄くする必要がある。しかしながら、支持フィルム上に感光性樹脂組成物を均一な厚さで歩留り良く塗布するためには、支持フィルムにある程度の厚さ(一般に10μm〜30μm)が要求される。また、支持フィルムの生産性を向上させるために、すなわち支持フィルムの巻き取り性等を向上させる目的で、一般的に支持フィルムには、無機又は有機微粒子を含有させる。例えば、特許文献13及び特許文献14では、支持フィルムの片側の最表面に平均粒径0.01〜5μm程度の無機又は有機微粒子を含有させることが提案されている。
【0008】
高解像度化を達成する方法としては、露光前に、感光性エレメントに備えられた支持フィルムを剥離し、支持フィルムを介さずに露光する方法がある。しかしながら、感光層は通常、ある程度の粘着性を有しているため、フォトツールを感光層に直接密着させて露光を行う場合、密着させたフォトツールの除去が困難となる。また、感光層によりフォトツールが汚染されたり、支持フィルムを剥離することにより感光層が大気中の酸素に曝されたりして、光感度が低下しやすくなる。
【0009】
特許文献6〜7には、二層以上の感光層を形成し、そのうちのフォトツールと直接密着する層を非粘着性とする方法が開示されている。また、特許文献8〜12では、支持フィルムと感光層との間に中間層の設けられた材料や、感光層の表面に保護層の設けられた材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平01−25147号公報
【特許文献2】特許第2706858号公報
【特許文献3】特許第3004595号公報
【特許文献4】特開平2006−234995号公報
【特許文献5】WO2008/015983パンフレット
【特許文献6】特開平01−221735号公報
【特許文献7】特開平02−230149号公報
【特許文献8】特公昭56−040824号公報
【特許文献9】特開昭55−501072号公報
【特許文献10】特開昭59−097138号公報
【特許文献11】特開昭59−216141号公報
【特許文献12】特開昭63−197942号公報
【特許文献13】特開平07−333853号公報
【特許文献14】WO2000/079344パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、レジストパターンの極細線部の高密着化に伴い、レジストパターンの剥離性は大幅に悪化する。
【0012】
具体的には、レジストパターンの極細線部における十分な密着力を得るためには、露光後のレジストパターンの現像液耐性を向上させる必要があり、通常、レジストに含有させる疎水性材料を増量したり、レジストの架橋密度を高くし、現像液耐性を向上させている。しかしながら、通常、現像液には弱アルカリ性水溶液を用いており、剥離液には強アルカリ水溶液が使用されているため、現像液耐性を向上させるに伴い、剥離液耐性も向上することとなる。そのため、特にめっき法によりプリント配線板を製造する工法において、極細線部のレジストパターンの剥離が困難となる傾向がある。
【0013】
本発明者らが検討した結果、上記特許文献1及び特許文献2に記載の感光性樹脂組成物では、レジストの密着性及び解像度は、近年のプリント配線板の配線の細線化に十分対応できていない。また、特許文献3に記載の感光性樹脂組成物では、めっき後のレジストパターンの剥離性に改善の余地がある。さらに、特許文献4及び特許文献5に記載の感光性樹脂組成物では、レジストパターンの剥離時間が長く、プリント配線板の生産性の観点から、組成物に改善の余地がある。
【0014】
また、上記特許文献6〜12に記載の感光性エレメントでは、中間層や保護層を設けたり、複数の感光層を設けたりするための塗布工程が必要となり、その分、製造工程の数が増加する。また、特許文献6〜7では、基板に設置した際に感光層は大気中の酸素に曝されるため、その光感度を高く維持することは困難である。さらに、特許文献8〜12の記載によると、中間層や保護層の厚さが薄いため、支持体を除いた後の感光層と中間層又は保護層とからなる感光性エレメントの取扱いは容易ではない。
【0015】
また、特許文献13及び14によれば、レジストの側面ギザは改善されるものの、密着性及び解像度がまだ不充分である。
【0016】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、密着性及び解像度と、剥離性とのバランスが良好である感光性エレメント、それを用いたレジストパターンの形成方法、及び、プリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、を備える感光性エレメントであって、上記感光性樹脂組成物が、(A)バインダーポリマーと、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有し、且つ、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有するものである、感光性エレメントを提供する。
【0018】
本発明の感光性エレメントは、感光層を構成する感光性樹脂組成物が、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有することにより、密着性及び解像度と、剥離性とのバランスが良好となる。そのため、極細線のレジストパターンを形成することが可能となり、近年のプリント配線板の高密度化及び配線の細線化に対応することが可能となる。
【0019】
また、本発明の本発明の感光性エレメントにおいて、上記カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、1分子中にカーボネート結合が複数存在した方がよいため、ある程度分子量が大きい方が好ましく、重量平均分子量が900以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、(a)ポリカーボネートポリオール化合物と(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。これにより、感光性エレメントは、密着性及び解像度と、剥離性とのバランスがより良好となり、極細線のレジストパターンをより確実に形成可能となる。
【0021】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物が、脂肪族ポリカーボネートポリオール化合物及び/又は脂環式ポリカーボネートポリオール化合物であることが好ましい。これにより、レジストの柔軟性が向上し、薄板基板を用いた場合でも、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0022】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物が、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール化合物であることが好ましい。これにより、レジストの柔軟性と解像度とのバランスが良好となり、薄板基板を用いた場合でも、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0023】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これにより、密着性とレジストパターンの剥離性とのバランスが良好となり、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0024】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含むことが好ましい。これにより、密着性及び解像度と、レジストパターンの剥離性とのバランスがより良好となり、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0025】
【化1】



[式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、m、m、m及びmはそれぞれ0〜40の整数を示し、m+m+m+mは1〜40である。なお、m+m+m+mが2以上のとき、複数存在するXは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0026】
【化2】



[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Yは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、n及びnはそれぞれ正の整数を示し、n+nは4〜40である。なお、n+nが4以上のとき、複数存在するYは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0027】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記支持フィルムのヘーズが0.01〜2.0%であり、該支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm以下であることが好ましい。
【0028】
なお、本発明者らの検討によれば、従来の感光性エレメント、特に薄膜の感光性樹脂組成物を用いて形成された層を備える感光性エレメントを用いてレジストパターンを形成すると、レジストパターンに微小な欠損が生じ、高密度のプリント配線板の製造歩留まりが低下する傾向がある。このレジストパターンに微小な欠損が生じる原因について詳細に検討を行ったところ、感光性エレメントを構成する支持フィルム中に、直径5μm以上20μm未満の粒子が多数存在することを本発明者らは突き止めた。そして、これらの直径5μm以上の粒子及び凝集物に起因して、露光時に照射した活性光線の光散乱が起こり、活性光線が感光層まで到達し難くなるため、現像後にレジストパターンに微小な欠損が生じることを見出した。これに対して、本発明の感光性エレメントによれば、支持フィルムのヘーズを0.01〜2.0%とすることにより、配線の幅が極めて細く、レジスト側面のギザが抑制されたレジストパターンが形成できることとなり、支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び、直径5μm以上の凝集物の総数を5個/mm以下とすることにより、レジストの微少な欠損の数も充分に低減することが可能となる。
【0029】
本発明の感光性エレメントにおいては、感光層の膜厚が3〜50μmであることが好ましい。これにより、さらに密着性及び解像度に優れたレジストパターンを形成可能となる。
【0030】
また、本発明の感光性エレメントにおいては、上記(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が30000〜150000であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される層の薄膜化が容易となり、密着性、解像度及びめっき後の剥離性に一層優れ、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0031】
また、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(A)バインダーポリマーが、下記一般式(III)、(IV)及び(V)で表される構造単位を有するものであることが好ましい。これにより、密着性、解像度、及び剥離性のバランスがより良好となり、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0032】
【化3】



【化4】



【化5】



[式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、R11は炭素数1〜12のアルキル基を示し、pは0〜5の整数を示す。なお、pが2以上のとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0033】
ここで、上記(A)バインダーポリマーは、上記一般式(III)〜(V)で表される構造単位に加え、さらに下記一般式(VI)で表される構造単位を有するものであることが好ましい。これにより、密着性、解像度、及び剥離性のバランスがさらに良好となる。
【0034】
【化6】



[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、qは0〜5の整数を示し、qが2以上のとき、複数存在するR13は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0035】
さらに、本発明の感光性エレメントにおいて、上記(C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことが好ましい。これにより、光感度を維持しつつ、より優れた密着性及び解像度が得られ、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる。
【0036】
本発明はまた、上記本発明の感光性エレメントを、上記感光層、上記支持フィルムの順に回路形成用基板上に積層する積層工程と、活性光線を、上記支持フィルムを通して上記感光層の所定部分に照射して、上記感光層に光硬化部を形成させる露光工程と、上記光硬化部以外の上記感光層を除去する現像工程と、を含む、レジストパターンの形成方法を提供する。
【0037】
本発明のレジストパターンの形成方法によれば、上記本発明の感光性エレメントを用いるため、極細線のレジストパターンを効率よく得ることができる。
【0038】
本発明はさらに、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板に対し、エッチング又はめっきを施す、プリント配線板の製造方法を提供する。
【0039】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、上記本発明の感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法を採用しているため、極細線の配線パターンを有する高密度のプリント配線板が得られる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、密着性及び解像度と、剥離性とのバランスが良好である感光性エレメント、それを用いたレジストパターンの形成方法、及び、プリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の感光性エレメントの好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図2】直径5μm以上の粒子等を有する支持フィルムの表面を観察した偏光顕微鏡写真である。
【図3】直径5μm以上の粒子等を多数有する支持フィルム上に感光層を備える感光性エレメントを用いて形成したレジストパターンの走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0043】
また、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0044】
(感光性エレメント)
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持フィルム10と、感光層20とで構成される。感光層20は支持フィルム10の第1の主面12上に設けられている。また、支持フィルム10は、第1の主面12とは反対側に第2の主面14を有している。
【0045】
支持フィルム10は、感光層20を支持することができれば特に制限されないが、耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが好適に用いられる。重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記する)等のポリエステル、並びに、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィンからなる群より選ばれる1種以上の樹脂材料を含むフィルムが挙げられる。
【0046】
また、本発明の支持フィルム10は、密着性及び解像度を向上させ、レジストの側面ギザを抑制し、レジストの微小欠損部の発生数を低減する観点から、ヘーズが0.01〜2.0%であり、かつ支持フィルム10中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物(以下、単に「粒子等」という)の総数が5個/mm以下のものであることが好ましい。ここで、レジストパターンの側面ギザとは、レジストパターンの側面形状がストレートではなく、ギザつき(凹凸)があって好ましくない状態をいう。
【0047】
ここで、支持フィルム10のヘーズは、好ましくは0.01〜2.0%であり、より好ましくは0.01〜1.5%であり、さらに好ましくは0.01〜1.0%であり、特に好ましくは0.01〜0.5%である。このヘーズが0.01%未満では支持フィルム自体の製造が容易でなくなる傾向があり、2.0%を超えると感度及び解像度が低下する傾向がある。ここで、「ヘーズ」とは曇り度を意味する。本発明におけるヘーズは、JIS K 7105に規定される方法に準拠して、市販の曇り度計(濁度計)を用いて測定された値をいう。ヘーズは、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業社製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
【0048】
また、支持フィルム10中に含まれる直径5μm以上の粒子等は、支持フィルムの主面から突出しているもの及び、フィルム内部に存在するものの両方が含まれる。また、直径5μm以上の粒子等には、直径5μm以上の一次粒子及び直径5μm未満の一次粒子の凝集物が含まれる。
【0049】
上記直径5μm以上の粒子等は、5個/mm以下であることが好ましく、3個/mm以下であることがより好ましく、1個/mm以下であることがさらに好ましい。この粒子等の数が1mm当たり5個を超えると、露光及び現像後のレジストの部分的な欠損(レジストの微小欠損)が生じ易くなる。そして、このような感光性エレメントをプリント配線板の製造に使用すると、エッチング時のオープン不良の発生や、めっき時のショート不良の発生の一因となり、プリント配線板の製造歩留まりが低下する傾向がある。
【0050】
なお、直径5μm未満の粒子は、支持フィルムの主面から数多く突出していても光散乱に対する影響は大きくない。その要因は、露光工程において、感光層に光を照射した場合、感光層の光硬化反応は光照射部のみでなく、若干であるが光が直接照射されていない横方向(光照射方向に対し垂直方向)へも進行するため、粒子径が小さい場合(直径5μm未満の場合)は、粒子直下部の光硬化反応が十分に進行するためであると考えられる。これに対し、粒子径が大きい場合(直径5μm以上の場合)、粒子直下部の光硬化反応が十分に進行しないため、レジスト微小欠損が発生すると考えられる。
【0051】
支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等は、支持フィルムを構成する成分、例えば、ゲル状のポリマー、原料であるモノマー、製造時に使用される触媒、必要に応じて含まれる無機又は有機微粒子がフィルム作製時に凝集し形成される凝集物、滑剤含有層をフィルム上に塗布した際に発生する滑剤と接着剤による膨らみ、フィルム中に含有される直径5μm以上の粒子等に起因して生じたものが挙げられる。直径5μm以上の粒子等を5個/mm以下にするには、これらの粒子等のうち、粒径の小さなもの又は分散性に優れたものを含むような支持フィルムを選択的に用いればよい。
【0052】
上記直径5μm以上の粒子等の数は、偏光顕微鏡を用いて測定することができる。なお、直径5μm以上の一次粒子と直径5μm未満の一次粒子とが凝集して形成される凝集物は、1個として数える。図2は、直径5μm以上の粒子等を有する支持フィルムの表面を観察した偏光顕微鏡写真である。図2中、丸で囲まれている部分は、直径5μm以上の粒子等に相当する部分の一例を示している。そして、図3は、直径5μm以上の粒子等を多数有する支持フィルム上に感光層を備える感光性エレメントを用いて形成したレジストパターンの走査型電子顕微鏡写真である。このように、支持フィルムの表面に直径5μm以上の粒子等が多数存在するとレジストの微小欠損が生じる。
【0053】
また、支持フィルム10は単層構造であってもよく、複数の組成からなるフィルムを積層した多層構造を有していても良い。例えば、2層からなる2層支持フィルムを用いる場合、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面に、微粒子を含有する樹脂層を積層してなる2層フィルムを支持フィルムとして使用し、上記微粒子を含有する樹脂層を形成した面とは反対側の面に感光層を形成することが好ましい。また、支持フィルムとして3層からなる多層支持フィルム(例えば、A層/B層/A層の3層からなる支持フィルム)を用いることもできる。多層支持フィルムの構成は特に制限されないが、最外層(上記3層からなるものの場合はA層)は、いずれも微粒子を含有する樹脂層であることが、フィルムの滑り性等の見地から好ましい。
【0054】
本発明においては、微粒子を含有する樹脂層を、二軸配向ポリエステルフィルムの両面に射出成形して作製した3層からなる多層支持フィルムを用いることがより好ましい。なお、従来の2層支持フィルムは、微粒子を有する樹脂層を二軸配向ポリエステルフィルムに塗布して製造しているため、感光性エレメントのラミネート時に微粒子を含有する樹脂層が剥がれやすく、剥がれた樹脂層が感光層に付着して不良の原因になる可能性がある。
【0055】
本発明においては、支持フィルム10中に含まれる直径5μm以上の粒子等を5個/mm以下に調整し、ヘーズを0.01〜2.0%とすると同時に、上述したように、微粒子を含有する樹脂層を備えた多層支持フィルムとすることが特に好適である。これにより、支持フィルム表面の滑り性が良くなると共に、露光時の光散乱の抑制をバランスよく、より高いレベルで成し遂げることができる。微粒子の平均粒子径は、微粒子を含有する樹脂層の層厚の0.1〜10倍であることが好ましく、0.2〜5倍であることがより好ましい。平均粒子径が0.1倍未満では滑り性が劣る傾向があり、10倍を超えると感光層に特に凹凸が生じ易い傾向がある。
【0056】
上記微粒子は、微粒子を含有する樹脂層中に0.01〜50質量%含有されていることが好ましい。そして、上記微粒子としては、例えば、各種核剤により重合時に生成した微粒子、凝集体、二酸化珪素微粒子(凝集シリカ等)、炭酸カルシウム微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子、硫酸バリウム微粒子等の無機微粒子、架橋ポリスチレン微粒子、アクリル微粒子、イミド微粒子等の有機微粒子、これらの混合体を用いることができる。
【0057】
3層以上の多層支持フィルムにおいて、微粒子を含有する最外層で挟まれた1以上の中間層は、上記微粒子を含有するものであっても含有しないものであってもよいが、解像度の見地からは、上記微粒子を含有していないことが好ましい。中間層が上記微粒子を含有する場合、中間層における含有量は最外層の含有量の1/3以下であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。
【0058】
また、解像度の見地からは、上記微粒子を含有する樹脂層の層厚は、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがより好ましく、0.1〜2μmであることがさらに好ましい。そして、最外層の中間層に対向しない面は、1.2以下の静摩擦係数を有することが好ましい。静摩擦係数が1.2を超えるとフィルム製造時及び感光性エレメント製造時にしわが入りやすく、また、静電気を生じやすくなるためごみが付着しやすくなる傾向がある。本発明において、静摩擦係数は、ASTMD1894に準じて測定することができる。
【0059】
なお、支持フィルム10中に含まれる直径5μm以上の粒子等を5個/mm以下とするためには、樹脂層が含有する微粒子のうちの大多数の微粒子の粒径が、5μm未満であることが好ましい。そして、露光時の光散乱をより一層低減するために、微粒子の粒径に合わせて微粒子を含有する樹脂層の層厚を適宜調整することが好ましい。
【0060】
なお、支持フィルム10は、その感光特性を損なわない範囲で、必要に応じて、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
【0061】
また、支持フィルム10の厚さは5〜40μmであることが好ましく、8〜35μmであることがより好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましく、12〜25μmであることが特に好ましい。厚さが5μm未満であると、感光性エレメント1から支持フィルム10を剥離する際に、支持フィルム10が破れやすくなる傾向がある。また、厚さが40μmを超えると、解像度が低下する傾向があると共に、廉価性に劣る傾向がある。
【0062】
また、支持フィルム10としては、市販の一般工業用フィルムの中から、感光性エレメント1の支持フィルムとして使用可能なものを入手し、適宜加工して用いてもよい。支持フィルム10として使用可能な市販の一般工業用フィルムとしては、例えば、最外層が微粒子を含有する3層構造の二軸配向PETフィルムである、「QS−48」(東レ社製、商品名)、「HTR−02」(帝人デュポンフィルム社製、商品名)、微粒子を含有する層を一方の面に有する2層構造の二軸配向PETフィルム「A−1517」(東洋紡績社製、商品名)等が挙げられる。
【0063】
感光層20は感光性樹脂組成物を用いて形成される層である。この感光層は、一般に、感光性樹脂組成物を有機溶媒に希釈して支持フィルム上に塗布乾燥し、上記有機溶媒を揮散させて形成されるので、通常は上記感光性樹脂組成物からなる。感光層20を構成する感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、場合により「(B)成分」という)と、(C)光重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」という)と、を含有し、且つ、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有するものである。以下、各成分について詳細に説明する。
【0064】
(A)成分であるバインダーポリマーとしては、従来の感光性樹脂組成物に用いられているものであれば特に限定はされず、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ現像性の見地からは、アクリル樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0065】
(A)バインダーポリマーは、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。重合性単量体としては、スチレン;ビニルトルエン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−クロロスチレン等の重合可能なスチレン誘導体;α−メチルスチレン;α−メチルスチレン誘導体;アクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の置換(メタ)アクリル酸;マレイン酸;マレイン酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、分子内にカルボキシル基を含有するものであることが好ましい。カルボキシル基を有するバインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。
【0067】
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性と現像液耐性と剥離性とのバランスの見地から、下記一般式(III)、(IV)及び(V)で表される構造単位を含むことが好ましい。なお、現像液耐性の向上に起因して、密着性及び解像度が向上する傾向にある。
【0068】
【化7】



【化8】



【化9】



[式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、R11は炭素数1〜12のアルキル基を示し、pは0〜5の整数を示す。なお、pが2以上のとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0069】
上記一般式(III)で表される構造単位は、(メタ)アクリル酸に基づく構造単位であり、メタクリル酸に基づく構造単位(R=メチル基)であることが好ましい。
【0070】
上記一般式(III)で表される構造単位の含有割合は、共重合体である(A)バインダーポリマーの固形分全量を基準として、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜35質量%であることがさらに好ましい。この割合が10質量%未満では現像液及び剥離液に一般的に使用されているアルカリ水溶液に対する耐性が向上し、現像及び剥離が困難となる傾向があり、50質量%を超えると、現像液耐性が悪くなり、密着性及び解像度が低下する傾向がある。
【0071】
上記一般式(IV)で表される構造単位は、スチレン(R=水素原子)、スチレン誘導体、α−メチルスチレン(R=メチル基)、及び、α−メチルスチレン誘導体に基づく構造単位である。本発明において、「スチレン誘導体」及び「α−メチルスチレン誘導体」とは、スチレン及びα−メチルスチレンのベンゼン環における水素原子が置換基R(炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子)で置換されたものをいう。上記スチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロロスチレン等が挙げられ、p−位にRが置換した構造単位であることがより好ましい。α−メチルスチレン誘導体としては、上記スチレン誘導体において、ビニル基のα−位の水素原子がメチル基で置換されたものが挙げられる。
【0072】
上記一般式(IV)で表される構造単位の含有割合は、共重合体である(A)バインダーポリマーの固形分全量を基準として、3〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることが特に好ましい。この含有量が3質量%未満では密着性及び解像度が低下する傾向があり、60質量%を超えると剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向があり、更に硬化後のレジストの柔軟性が低下する傾向がある。
【0073】
上記一般式(V)で表される構造単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく構造単位である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、一般式(V)中、R11が炭素数1〜12のアルキル基であるものが挙げられる。炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、水酸基、エポキシ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸tertブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、並びに、これらの構造異性体が挙げられる。解像度の向上及び剥離時間の短縮の観点から、中でも、R11は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、置換基を有さない炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0074】
上記一般式(V)で表される構造単位の含有割合は、共重合体である(A)バインダーポリマーの固形分全量を基準として、1〜40質量%であることが好ましく、2〜35質量%であることがより好ましく、4〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましい。この含有量が1質量%未満ではレジストの剥離性が低下する傾向があり、40質量%を超えると解像度が低下する傾向がある。
【0075】
また、(A)バインダーポリマーは、密着性及び解像度と、剥離性とのバランスの見地から、上記一般式(III)〜(V)で表される構造単位に加え、さらに下記一般式(VI)で表される構造単位を含むことが好ましい。
【0076】
【化10】



[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、qは0〜5の整数を示し、qが2以上のとき、複数存在するR13は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0077】
上記一般式(VI)で表される構造単位は、ベンジル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート誘導体に基づく構造単位である。上記ベンジル(メタ)アクリレート誘導体としては、4−メチルベンジル(メタ)アクリレート、4−エチルベンジル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルベンジル(メタ)アクリレート、4−メトキシベンジル(メタ)アクリレート、4−エトキシベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、4−クロロベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記一般式(VI)で表される構造単位は、現像性、エッチング耐性、めっき耐性及び硬化膜の可とう性を保持する観点から、中でもベンジル(メタ)アクリレート(q=0のとき)に基づく構造単位であることが好ましい。
【0078】
上記一般式(VI)で表される構造単位の含有割合は、共重合体である(A)バインダーポリマーの固形分全量を基準として、5〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることがさらに好ましく、20〜45質量%であることが特に好ましい。この含有量が5質量%未満では密着性が低下する傾向があり、60質量%を超えると剥離時間が長くなり、更に紫外線硬化後のレジストの柔軟性が低下する傾向がある。
【0079】
なお、上記各一般式の構造単位を上記含有割合とするには、通常、各構造単位を形成する単量体を上記含有割合と同様の割合で配合し、共重合することにより行うことができる。
【0080】
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、30,000〜150,000であることが好ましく、35,000〜100,000であることがより好ましく、40,000〜80,000であることがさらに好ましい。この重量平均分子量が30,000未満では、感光層が脆くなる傾向があり、150,000を超えると糸状現像残りが発生し、解像度が低下する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と表記する)により測定し、標準ポリスチレン換算した値を使用したものである。
【0081】
(A)バインダーポリマーの酸価は、30〜300mgKOH/gであることが好ましく、100〜250mgKOH/gであることがより好ましく、130〜200mgKOH/gであることがさらに好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストのアルカリ現像液に対する耐性が低下する傾向がある。
【0082】
これらのバインダーポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。2種以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーの組み合わせとしては、例えば、異なる共重合成分からなる(異なる繰り返し単位を構成成分として含む)2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度を有する2種類以上のバインダーポリマー等が挙げられる。また、特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0083】
なお、現像工程において有機溶剤での現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。また、必要に応じてバインダーポリマーは感光性基を有していてもよい。
【0084】
(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、必須成分として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する。
【0085】
上記カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、3,300以下であることが必要であるが、下限としては900であることが好ましく、1,000〜3,000であることがより好ましく、2,000〜3,000であることがさらに好ましく、2,500〜3,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が3,300を超えると、解像度が低下する。一方、重量平均分子量が900未満であると、密着性が低下する傾向がある。
【0086】
重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、密着性と剥離性とのバランス、及び、極細線のレジストパターン形成性の観点から、(a)ポリカーボネートポリオール化合物と(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【0087】
ここで、上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物は、レジストの柔軟性向上の観点から、脂肪族ポリカーボネートポリオール化合物及び/又は脂環式ポリカーボネートポリオール化合物であることが好ましい。
【0088】
上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物は、分子中にカーボネート結合を有し、かつ水酸基を2個以上有するポリオールであり、ポリオールと有機カーボネート化合物又はホスゲンとの反応生成物である。ポリオールとしては、例えば、アルキレンジオール、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール等のジオールが用いられる。上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール等を原料とする脂肪族及び/又は脂環式ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール化合物が、レジストの柔軟性と解像度とのバランスが良好となり、薄板基板を用いた場合でも、極細線のレジストパターンをより確実に形成可能となるため好ましい。
【0089】
上記(a)ポリカーボネートポリオール化合物の数平均分子量は特に制限されるものではないが、レジストの柔軟性と解像度とのバランスが損なわれない範囲であることが好ましく、200〜5,000の範囲であることがより好ましい。
【0090】
上記(b)ポリイソシアネート化合物は、分子中にイソシアネート基を2個以上含んでなる化合物を指し、脂肪族系ジイソシアネート化合物、芳香族系ジイソシアネート化合物、これらの3量体等が挙げられる。
【0091】
脂肪族系ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0092】
芳香族系ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のジイソシアネートモノマー類等が挙げられる。
【0093】
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、脂肪族系ジイソシアネート化合物が好ましく、具体的には、イソホロンジイソシアネートが、耐薬品性が向上し、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となるため好ましい。
【0094】
(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びそれらのε−カプロラクトン付加物等、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレートが、レジストの剥離性が良好になり、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となるため好ましい。
【0095】
また、上記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、密着性及び解像度と、レジストの剥離性とのバランスの観点より、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0096】
【化11】



【0097】
【化12】



【0098】
上記一般式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、水素原子であることが好ましい。Xはそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示し、炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基又はプロピレン基であることがより好ましい。なお、式中、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。m、m、m及びmはそれぞれ0〜40の整数を示し、m+m+m+mは1〜40の整数であり、2〜30の整数であることが好ましく、2〜20の整数であることがより好ましく、2〜16の整数であることがさらに好ましく、4〜12の整数であることが特に好ましい。
【0099】
+m+m+mの値が0であるとレジストの細線密着性が得られない傾向があり、m+m+m+mの値が40を超える整数であると、単位質量当たりの光反応性部位の濃度が低くなるため、感度が低下し、レジストの密着性が悪化し、レジスト形状が悪化する傾向があり、更にレジストの剥離時間が長くなり、現像時にスラッジが発生しやすくなる傾向がある。
【0100】
上記一般式(I)で表される化合物としては、ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、「ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレート」には、m+m+m+m=1である「ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート」及び、m+m+m+m=2〜40である「ペンタエリスリトールポリアルコキシテトラ(メタ)アクリレート」の双方が包含される。上記ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトール(ポリ)エトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)プロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)ブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)エトキシポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0101】
上記ペンタエリスリトール(ポリ)エトキシテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘプタエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオクタエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールノナエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールデカエトキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0102】
上記ペンタエリスリトール(ポリ)プロポキシテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘプタプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオクタプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールノナプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールデカプロポキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0103】
上記ペンタエリスリトール(ポリ)ブトキシテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘプタブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオクタブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールノナブトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールデカブトキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0104】
上記ペンタエリスリトール(ポリ)エトキシポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールエトキシプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジエトキシプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリエトキシジプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジエトキシテトラプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラエトキシテトラプロポキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0105】
上記一般式(II)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。Yは炭素数2〜6のアルキレン基を示す。n及びnはそれぞれ正の整数を示し、n+nは4〜40の整数であり、6〜34の整数であることが好ましく、8〜30の整数であることがより好ましく、8〜28の整数であることがさらに好ましく、8〜20の整数であることが特に好ましく、8〜16の整数であることが極めて好ましく、8〜12の整数であることが最も好ましい。n+nの値が4未満ではバインダーポリマーとの相溶性が低下し、回路形成用基板に感光性エレメントをラミネートした際に剥がれやすい傾向があり、n+nの値が40を超えると、親水性が増加し、現像時にレジストが剥がれやすく、耐めっき性が低下する傾向がある。なお、分子内に複数存在するYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0106】
上記炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基及びへキシレン基が挙げられる。これらの中では、解像度及び耐めっき性を向上させる観点から、エチレン基又はイソプロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0107】
また、上記一般式(II)中の芳香環は置換基を有していてもよい。それら置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基又は複素環を含む基、あるいは、これらの置換基で置換されたアリール基が挙げられる。上記置換基は、縮合環を形成していてもよく、また、これらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等の上記置換基などに置換されていてもよい。なお、置換基の数がそれぞれ2以上の場合、2以上の置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0108】
上記一般式(II)で表される化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0109】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらのうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンがより好ましく、BPE−500(新中村化学工業社製、商品名)として商業的に入手可能である。また、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業社製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0110】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0111】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0112】
また、(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、密着性とレジストの剥離性とのバランスが良好となり、極細線のレジストパターンがより確実に形成可能となる見地から、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを含有させてもよい。
【0113】
また、(B)成分としては、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートも好ましく使用できる。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(VII)、(VIII)又は(IX)で表される化合物が好ましい。
【0114】
【化13】



[式中、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、EOはオキシエチレン基(−CH−CH−O−)を示し、POはオキシプロピレン基(−CH(CH)−CH−O−又は−CH−CH(CH)−O−)を示し、sは1〜30の整数を示し、r及びrはそれぞれ0〜30の整数を示し、r+r(平均値)は1〜30の整数である。]
【0115】
【化14】



[式中、R16及びR17はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、rは1〜30の整数を示し、s及びsはそれぞれ0〜30の整数を示し、s+s(平均値)は1〜30の整数である。]
【0116】
【化15】



[式中、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。rは1〜30の整数を示し、sは1〜30の整数を示す。]
【0117】
上記一般式(VII)、(VIII)及び(IX)において、オキシエチレン単位(EO)及びオキシプロピレン単位(PO)が複数存在する場合、複数のオキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位はそれぞれ連続してブロック的に存在してもよいし、ランダムに存在してもよい。
【0118】
更に、オキシプロピレン単位がオキシイソプロピレン単位である場合、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0119】
上記一般式(VII)、(VIII)及び(IX)におけるオキシエチレン単位の繰り返し数の総数(r+r、r及びr)はそれぞれ独立に1〜30の整数であることが好ましく、1〜10の整数であることがより好ましく、4〜9の整数であることがさらに好ましく、5〜8の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えるとテント信頼性及びレジスト形状が悪化する傾向がある。
【0120】
上記一般式(VII)、(VIII)及び(IX)におけるオキシプロピレン単位の繰り返し数の総数(s、s+s及びs)はそれぞれ独立に1〜30の整数であることが好ましく、5〜20の整数であることがより好ましく、8〜16の整数であることがさらに好ましく、10〜14の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えると解像度が低下し、現像時にスラッジが発生する傾向がある。
【0121】
上記一般式(VII)で表される化合物の具体例としては、例えば、R14及びR15がメチル基、r+r=4(平均値)、s=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名:FA−023M)等が挙げられる。
【0122】
上記一般式(VIII)で表される化合物の具体例としては、例えば、R16及びR17がメチル基、r=6(平均値)、s+s=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名:FA−024M)等が挙げられる。
【0123】
上記一般式(IX)で表される化合物の具体例としては、例えば、R18及びR19が水素原子、r=1(平均値)、s=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業社製、サンプル名:NKエステルHEMA−9P)等が挙げられる。
【0124】
なお、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0125】
(B)成分には、密着性、解像性等の現像性及び剥離性を向上させる見地から、更に、エチレン性不飽和結合を一つ有する光重合性化合物を含有させてもよい。エチレン性不飽和結合を一つ有する光重合性化合物としては、下記一般式(X)で表される化合物を含有させることが好ましい。
【0126】
【化16】



[式中、R20は水素原子又はメチル基を示し、水素原子であることが好ましい。Zは上述した一般式(I)及び(II)中のX及びYと同義であり、エチレン基であることが好ましい。kは4〜20の正の整数を示し、現像性の見地から、5〜18の整数であることが好ましく、6〜12の整数であることがより好ましく、6〜10の整数であることがさらに好ましい。]
【0127】
また、上記一般式(X)中の芳香環は置換基を有していてもよく、それら置換基としては、上述した一般式(II)中の芳香環と同様の置換基が挙げられる。
【0128】
上記一般式(X)で表される化合物として具体的には、例えば、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0129】
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシドデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0130】
上記ブチルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシウンデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0131】
(B)成分には、テンティング性等を向上する見地から、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマーを含有させてもよい。
【0132】
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名「UA−11」等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名「UA−13」等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0133】
(B)成分には、上述した以外のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物を含んでいてもよい。その他の(B)光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0134】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0135】
上記フタル酸系化合物としては、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレート等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種類以上を任意に組み合わせて使用される。
【0136】
(C)成分である光重合開始剤は、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことが好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルイミダゾール二量体、2−(o−ブロモフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−テトラ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロ−p−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o,m−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o,m−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(p−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)イミダゾール二量休、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)イミダゾール二量休、2,2’−ビス(m−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(m,p−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5−テトラフェニルイミダゾール二量体、2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4−5−ジフェニルイミダゾール二畳体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロ−p−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)イミダゾール二量体、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)イミダゾール二量体等が挙げられる。これらの中でも、密着性及び感度をより向上させる観点から、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0137】
また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
【0138】
なお、(C)成分が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含む場合の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体の含有割合は、(C)成分の総量を基準として、70〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましく、93〜100質量%であることが特に好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体をこの割合で含有することにより、本発明の感光性エレメントはより優れた密着性及び感度を有するものとなる。
【0139】
また、(C)成分である光重合開始剤としては、上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体の他に、その他の光重合開始剤を用いてもよい。その他の光重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、p−アミノフェニルケトン類、キノン類、ベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン化合物、ベンジル誘導体、アクリジン誘導体、クマリン系化合物、オキシムエステル類、N−アリール−α−アミノ酸化合物、脂肪族多官能チオール化合物、アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類、3級アミン化合物類等が挙げられ、これら化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0140】
上記芳香族ケトン類としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。
【0141】
上記p−アミノフェニルケトン類としては、例えば、アミノベンゾフェノン、ブチルアミノアセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
【0142】
上記キノン類としては、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、9,10−フェナンタラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等が挙げられる。
【0143】
上記ベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等が挙げられる。
【0144】
上記ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等が挙げられる。
【0145】
上記ベンジル誘導体としては、例えば、ベンジルメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピンケタール、ベンジルジフェニルケタール等が挙げられる。
【0146】
上記アクリジン誘導体としては、例えば、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−オキサプロパン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(9−アクリジニル)−3−チアペンタン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、9−モノペンチルアミノアクリジン、9−フェニルアクリジン、9−(p−メチルフェニル)アクリジン、9−(p−エチルフェニル)アクリジン、9−(p−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(p−iso−プロピルフェニル)アクリジン、9−(p−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(p−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン、9−(p−エトキシフェニル)アクリジン、9−(p−アセチルフェニル)アクリジン、9−(p−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(p−シアノフェニル)アクリジン、9−(p−クロロフェニル)アクリジン、9−(p−ブロモフェニル)アクリジン、9−(m−メチルフェニル)アクリジン、9−(m−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(m−iso−プロピルフェニル)アクリジン、9−(m−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(m−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(m−メトキシフェニル)アクリジン、9−(m−エトキシフェニル)アクリジン、9−(m−アセチルフェニル)アクリジン、9−(m−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(m−ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9−(m−シアノフェニル)アクリジン、9−(m−クロロフェニル)アクリジン、9−(m−ブロモフェニル)アクリジン、9−シアノエチルアクリジン、9−ヒドロキシエチルアクリジン、9−クロロエチルアクリジン、9−n−プロポキシアクリジン、9−クロロエトキシアクリジンなどが挙げられる。
【0147】
上記クマリン系化合物としては、例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−メチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、7−アミノシクロペンタ[c]クマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジメチルアミノクマリン、2,3,6,7,10,11−ヘキサンヒドロ−1H,5H−シクロペンタ[3,4][1]ベンゾピラノ−[6,7,8−ij]キノリジン12(9H)−オン、7−ジエチルアミノ−5’,7’−ジメトキシ−3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス[7−(ジエチルアミノ)クマリン]、7−ジエチルアミノ−3−チエノキシルクマリン等が挙げられる。
【0148】
上記オキシムエステル類としては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。
【0149】
上記N−アリール−α−アミノ酸化合物としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン、N−(n−プロピル)−N−フェニルグリシン、N−(n−ブチル)−N−フェニルグリシン、N−(メトキシエチル)−N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルアラニン、N−エチル−N−フェニルアラニン、N−(n−プロピル)−N−フェニルアラニン、N−(n−ブチル)−N−フェニルアラニン、N−メチル−N−フェニルバリン、N−メチル−N−フェニルロイシン、N−メチル−N−(p−トリル)グリシン、N−エチル−N−(p−トリル)グリシン、N−(n−プロピル)−N−(p−トリル)グリシン、N−(n−ブチル)−N−(p−トリル)グリシン、N−メチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(n−プロピル)−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−メチル−N−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−エチル−N−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−(n−ブチル)−N−(p−ブロモフェニル)グリシン、N,N’−ジフェニルグリシン、N−メチル−N−(p−ヨードフェニル)グリシン、N−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(o−クロロフェニル)グリシン等が挙げられる。
【0150】
上記脂肪族多官能チオール化合物としては、例えば、ヘキサンチオール、デカンチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、及びその他の多価ヒドロキシ化合物のチオグリコレート、チオプロピオネート等が挙げられる。
【0151】
上記アシルホスフィンオキサイド類としては、例えば、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0152】
上記チオキサントン類としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0153】
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネイト、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(o−ベンゾイルカルボニル)−オキシム、p−ニトロジフェニル、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン等が挙げられる。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0154】
上記3級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸、ジエチルアミノ安息香酸、ジイソプロピルアミノ安息香酸等が挙げられる。
【0155】
本発明における(C)光重合開始剤としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体の他に、上記芳香族ケトン類を含有することが好ましく、中でもN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)を含有することが好ましい。
【0156】
感光性樹脂組成物において、(A)成分であるバインダーポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として、40〜70質量部であることが好ましく、45〜65質量部であることがより好ましく、50〜60質量部であることがさらに好ましい。この配合量が40質量部未満では光硬化物が脆くなる傾向にあり、70質量部を超えると、解像度及び光感度が不十分となる傾向にある。
【0157】
感光性樹脂組成物において、(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として、30〜60質量部であることが好ましく、35〜55質量部であることがより好ましく、40〜50質量部であることがさらに好ましい。この配合量が30質量部未満では、解像度及び光感度が不十分となる傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0158】
感光性樹脂組成物において、(B)成分の必須成分である重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましく、2〜4質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.1質量部未満では、密着性と剥離性の両立が困難となる傾向があり、10質量部を超えると解像度が悪化する傾向がある。
【0159】
感光性樹脂組成物において、(C)成分である光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.1質量部未満では光感度が不十分となる傾向があり、20質量部を超えると、露光の際に感光性樹脂組成物の表面での光吸収が増大して内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
【0160】
また、感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、禁止剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等の添加剤を含有させてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。これらの添加剤は、本発明の目的の達成を阻害しない限りにおいて、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対してそれぞれ0.0001〜20質量部程度含有させてもよい。
【0161】
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して、固形分(溶剤以外の成分)30〜60質量%程度の溶液として調製することができる。
【0162】
本発明の感光性エレメント1における感光層20は、上述の感光性樹脂組成物の溶液を支持フィルム10上に塗布し、溶剤を除去することにより形成することができる。ここで、塗布方法としては、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、エアーナイフコート、ダイコート、バーコート等の公知の方法を採用することができる。また、溶剤の除去は、例えば、70〜150℃の温度で5〜30分間程度処理することで行うことができる。なお、感光層20中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0163】
このようにして形成される感光層20の厚さは、乾燥後の厚さで3〜50μmであることが好ましく、5〜45μmであることがより好ましく、7〜40μmであることがさらに好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。この厚さが3μm未満であると、回路形成用基板に感光層を積層する際に不具合が発生しやすくなる、又はテンティング性が劣り、現像及びエッチング工程中でレジストが破損し、オープン不良の一因になる可能性があり、プリント配線板の製造歩留りが低下する傾向がある。一方、厚さが50μmを超えると、感光層20の解像度が悪化する、又はエッチング液の液まわりが悪化するため、サイドエッチングの影響が大きくなり、高密度なプリント配線板の製造が困難になる傾向がある。
【0164】
また、感光性エレメント1は、感光層20の支持フィルム10に接する主面とは反対側の主面上に保護フィルム(図示せず)を備えていてもよい。保護フィルムとしては、感光層20と支持フィルム10との間の接着力よりも、感光層20と保護フィルムとの間の接着力が小さくなるようなフィルムを用いることが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムを用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の不活性なポリオレフィンフィルムが挙げられる。感光層20からの剥離性の見地から、ポリエチレンフィルムが好ましい。保護フィルムの厚みは、用途により異なるが1〜100μm程度であることが好ましい。
【0165】
感光性エレメント1は、支持フィルム10、感光層20及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層又は保護層を更に備えていてもよい。
【0166】
本実施形態の感光性エレメント1は、例えば、そのままの状態で又は感光層20上に保護フィルムを更に積層したものを、円筒状の巻芯に巻き取った状態で貯蔵されてもよい。この際、支持フィルム10が最外層になるようにロール状に巻き取られることが好ましい。また、ロール状に巻き取った感光性エレメント1の端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の低いブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0167】
巻芯の材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
【0168】
(レジストパターンの形成方法)
本実施形態のレジストパターンの形成方法は、上記感光性エレメント1を、感光層20、支持フィルム10の順に回路形成用基板上に積層する積層工程と、活性光線を、上記支持フィルム10を通して感光層20の所定部分に照射して、感光層20に光硬化部を形成させる露光工程と、上記光硬化部以外の感光層20の部分を除去する現像工程と、を含む方法である。
【0169】
積層工程において、感光層20を回路形成用基板上に積層する方法としては、感光層20上に保護フィルムが存在している場合には、該保護フィルムを除去した後、感光層20を70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度の圧力で圧着することにより積層する方法等が挙げられる。この積層工程において、減圧下で積層することも可能である。なお、回路形成用基板の積層される表面は通常金属面であるが、特に制限されない。また、積層性を更に向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行ってもよい。
【0170】
次に、上記積層工程で積層が完了した感光層20に対して、ネガ又はポジマスクパターンを有するフォトマスクを支持フィルム10の第2の主面14に位置合わせをして密着させる。その後、露光工程では、感光層20に対して、支持フィルム10を通して活性光線を画像状に照射し、感光層20に光硬化部を形成する。
【0171】
上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線や可視光等を有効に放射するものが用いられる。なお、レーザー直接描画露光法を用いて、感光層20に光硬化部を形成することもできる。
【0172】
次いで、上記露光工程後、フォトマスクを支持フィルム10から剥離する。更に、支持フィルム10を感光層20から剥離除去する。次に、現像工程において、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で感光層20の未露光部(光硬化部)を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。
【0173】
アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光層20の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。また、現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0174】
また、現像工程後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光量にて露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化させてもよい。
【0175】
(プリント配線板の製造方法)
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、上記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板に対し、エッチング又はめっきすることによって行われる。
【0176】
エッチングに用いられるエッチング液としては、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0177】
めっきとしては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっき等が挙げられる。
【0178】
エッチング又はめっきを行った後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。また、剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。なお、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0179】
また、めっきが絶縁層と絶縁層上に形成された導体層とを備えた回路形成用基板に対して行われた場合には、パターン以外の導体層を除去する必要がある。この除去方法としては、例えば、レジストパターンを剥離した後に軽くエッチングする方法や、上記めっきに続いてはんだめっき等を行い、その後レジストパターンを剥離することで配線部分をはんだでマスクし、次いで導体層のみをエッチング可能なエッチング液を用いて処理する方法等が挙げられる。
【0180】
(半導体パッケージ基板の製造方法)
本発明の感光性エレメント1は、リジット基板と、そのリジット基板上に形成された絶縁膜とを備えるパッケージ基板に用いることもできる。この場合、感光層の光硬化部を絶縁膜として用いればよい。感光層の光硬化部を、例えば半導体パッケージ用のソルダーレジストとして用いる場合は、上述のレジストパターンの形成方法における現像終了後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うこともできる。また、レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の温度範囲で15〜90分程行われることが好ましい。さらに紫外線照射と加熱とを同時に行うこともでき、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
【0181】
このソルダーレジストは、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、引張強度や伸び率等の物理特性及び耐熱衝撃性に優れているので、半導体パッケージ用の永久マスクとして有効である。
【0182】
このようにしてレジストパターンを備えたパッケージ基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
【0183】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形態様が可能である。
【実施例】
【0184】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0185】
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
まず、表1に示す組成のバインダーポリマーを合成例1及び2にしたがって合成した。
【0186】
(合成例1)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤420gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、共重合単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸メチル175g、及びメタクリル酸ブチル175gと、アゾビスイソブチロニトリル4.5gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意し、80℃に加熱された質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの上記混合溶剤に溶液aを4時間かけて滴下した。その後、質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤40gを、これを用いて滴下ロートを洗浄しながら、フラスコ内に加えた。次いで、フラスコ内の溶液を80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比6:4であるメチルセロソルブ及びトルエンの混合溶剤40gにアゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解した溶液を、30分かけてフラスコ内に滴下した。その後、質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤120gを、これを用いて滴下ロートを洗浄しながら、フラスコ内に加えた。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却して(A)成分であるバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、トルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤を加えて不揮発成分濃度(固形分濃度)が40質量%になるように調製した。これをバインダーポリマー溶液(A−1)とする。バインダーポリマーの重量平均分子量は50,000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより算出した。GPCの条件を以下に示す。
【0187】
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型[(株)日立製作所社製]
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)[以上、日立化成工業(株)社製、製品名]
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:24℃
流量:1.75mL/分
検出器:日立 L−3300型RI[(株)日立製作所社製、製品名]
【0188】
(合成例2)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤420gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、共重合単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸メチル25g、スチレン200g及び、メタクリル酸ベンジル125gと、アゾビスイソブチロニトリル4.5gとを混合した溶液(以下、「溶液b」という)を用意し、80℃に加熱された質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの上記混合溶剤に溶液bを4時間かけて滴下した。その後、質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤40gを、これを用いて滴下ロートを洗浄しながら、フラスコ内に加えた。次いで80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比6:4であるメチルセロソルブ及びトルエンの混合溶剤40gにアゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解した溶液を、30分かけてフラスコ内に滴下した。質量比6:4であるトルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤120gを、これを用いて滴下ロートを洗浄しながら、フラスコ内に加えた。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間加温した後、冷却して(A)成分であるバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、トルエン及びメチルセロソルブの混合溶剤を加えて不揮発成分濃度(固形分濃度)が40質量%になるように調製した。これをバインダーポリマー溶液(A−2)とする。バインダーポリマーの重量平均分子量は50,000であった。
【0189】
合成例1及び2で合成した(A)成分と、表1に示す各成分とを配合して、表1に示す感光性樹脂組成物の基本溶液を調製した。
【0190】
【表1】



【0191】
次に、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B−1)を、合成例3にしたがって合成した。
【0192】
(合成例3)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL UH−50、数平均分子量500)を349質量部仕込み、イソホロンジイソシアネートを311質量部加え、発熱を抑制しながら80℃で4時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ472となり安定した後、40℃まで冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを171質量部加え、反応促進触媒としてスズ触媒を0.033質量部添加し、空気雰囲気下90℃で7時間反応させた。これにより、NCOの含有割合が0.3質量%以下となり、カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を得た。得られた化合物をB−1とした。
【0193】
次いで、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、カーボネート結合非含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B−2)を、合成例4にしたがって合成した。
【0194】
(合成例4)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ポリプロピレングリコール(三井化学ポリウレタン社製、商品名:アクトコールDIOL−700、数平均分子量700)を420質量部仕込み、イソホロンジイソシアネートを266質量部加え、発熱を抑制しながら80℃で4時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ570となり安定した後、40℃まで冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを146質量部加え、反応促進触媒としてスズ触媒を0.034質量部添加し、空気雰囲気下90℃で7時間反応させた。これにより、NCOの含有割合が0.3質量%以下となり、カーボネート結合非含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を得た。得られた化合物をB−2とした。
【0195】
(感光性樹脂組成物の溶液の作製)
表2に示す(B)成分を、同表に示した配合量(単位:g)で上述した基本溶液に加え、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。なお、表2中の(B)成分の配合量は、固形分の配合量を示す。
【0196】
(感光性エレメントの作製)
感光性エレメントの支持フィルムとして、表2に示すポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記する)フィルム(a)〜(c)を用意した。各PETフィルムの種類は、以下の通りである。
(a)QS−48(商品名):東レ社製、微粒子を含有する層を表裏に有する3層構造の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み16μm
(b)A−1517(商品名):東洋紡績社製、微粒子を含有する層を一方の面に有する2層構造の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み16μm
(c)HTR−02(商品名):帝人デュポンフィルム社製、微粒子を含有する層を表裏に有する3層構造の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み16μm
【0197】
各PETフィルムにおける直径5μm以上の粒子等の個数及び、ヘーズ値(%)を測定した結果を表2に示す。上記粒子等の個数は、1mm単位に存在する5μm以上の粒子等の数を、偏光顕微鏡を用いて測定したものである。その際のn数は5とした。なお、n数とは繰り返し測定数のことであり、平均値を評価結果とする。また、ヘーズ値は、JIS K7105に準拠して測定した。
【0198】
次に、それぞれのPETフィルム上に上記の感光性樹脂組成物の溶液を厚さが均一になるようにして塗布し、100℃の熱風対流乾燥機で2分間乾燥して溶媒を除去して感光層を形成した。乾燥後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ社製、商品名「NF−15」、厚さ20μm)で感光層を被覆して感光性エレメントを得た。なお、乾燥後の感光層の厚さは、いずれも25μmであった。
【0199】
【表2】



【0200】
表2中、(B)成分の詳細は以下の通りである。
(B−1):1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートとイソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとを合成して得られるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物(合成例3で合成、重量平均分子量:3,000)
(B−2):ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとを合成して得られるカーボネート結合非含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物(合成例4で合成、重量平均分子量:3,200)
(B−3):2−メトキシエチルアクリレート
(B−4):UF−8003M(商品名、共栄社化学株式会社製、80質量%メチルエチルケトン溶液、重量平均分子量:3,500、カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物)
(B−5):2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン
(B−6):プロポキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート(プロピレンオキサイド:平均4モル付加)
(B−7):エトキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート(エチレンオキサイド:平均4モル付加)
(B−8):EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(エチレンオキサイド:平均3モル付加)
【0201】
[積層体の作製]
銅箔(厚さ:35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業社製、商品名「MLC−E−679」)を、表面粗化処理液「メックエッチボンドCZ−8100」(メック社製、商品名)を用いて表面処理し、水洗、酸洗及び水洗後、空気流で乾燥した。超深度形状測定顕微鏡「VK−8500」(キーエンス社製、商品名)を用いて、表面粗さを測定した。基板表面粗さ(Ra)は、0.66μmであった。得られた銅張積層板を80℃に加温し、保護フィルムを剥離しながら、感光層が銅表面に接するように感光性エレメントをラミネートした。こうして、銅張積層板、感光層、支持フィルムの順に積層された積層体を得た。ラミネートは、120℃のヒートロールを用いて、0.4MPaの圧着圧力、1.5m/分のロール速度で行なった。これらの積層体は、以下に示す試験における試験片として用いた。
【0202】
[光感度の評価]
試験片の支持フィルム上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを載置し、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製、商品名「EXM−1201」)を用いて、露光量100mJ/cmで感光層を露光した。次に、支持フィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、感光層を最少現像時間(未露光部分が除去される最少時間)の2倍の時間でスプレー現像し、未露光部分を除去して現像を行った。そして、銅張積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価した。なお、上記最少現像時間は、未露光部のレジストが上記の現像処理によって完全に除去される時間を測定することで求めた。結果を表3に示す。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど、光感度が高いことを示す。
【0203】
[密着性の評価]
密着性を調べるため、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が2/1000〜30/1000(単位:μm)の配線パターンを有するガラスクロムタイプのフォトツールとを試験片の支持フィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製、商品名「EXM−1201」)を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が5.0となる露光量で露光を行った。次に、支持フィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、感光層を最少現像時間の2倍の時間でスプレー現像し、未露光部分を除去して現像を行った。密着性は、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができ、現像処理後に光学顕微鏡を用いてレジストパターンを観察したとき、剥がれ及びよれがなく残ったライン幅(単位:μm)のうち最も小さい幅を測定することにより評価した。なお、密着性の評価は数値が小さいほど良好な値である。結果を表3に示す。
【0204】
[解像度の評価]
解像度を調べるため、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が2/2〜30/30(単位:μm)の配線パターンを有するガラスクロムタイプのフォトツールとを試験片の支持フィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製、商品名「EXM−1201」)を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が5.0となる照射エネルギー量で露光を行った。次に、支持フィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、感光層を最少現像時間の2倍の時間でスプレー現像し、未露光部分を除去して現像を行った。解像度は、現像処理後に光学顕微鏡を用いてレジストパターンを観察したとき、未露光部が完全に除去されたライン幅間のスペース幅の最も小さい値(単位:μm)により評価した。なお、解像度の評価は数値が小さいほど良好な値である。結果を表3に示す。
【0205】
[剥離時間の測定]
剥離時間を調べるため、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、剥離時間測定用ネガとして開口部が60×45(単位:mm)であるパターンを有するフィルムタイプのフォトツールとを試験片の支持フィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製、商品名「EXM−1201」)を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が5.0となる照射エネルギー量で露光を行った。次に、支持フィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、感光層を最少現像時間の2倍の時間でスプレー現像し、未露光部分を除去して現像を行った。次いで、50℃で3質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、露光部分のレジストが完全に剥がれる時間を測定した。結果を表3に示す。
【0206】
[レジストパターンの側面ギザ性の評価]
レジストパターンの側面ギザ性を調べるため、ストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールと、ライン幅/スペース幅が10/30(単位:μm)の配線パターンを有するガラスクロムタイプのフォトツールとを、試験片の支持フィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク社製、商品名「EXM−1201」)を用いて、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が5.0となる照射エネルギー量で露光を行った。次に、支持フィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、感光層を最少現像時間の2倍の時間でスプレー現像し、未露光部分を除去した。次いで、得られたレジストパターンを、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名「S−2100A」)により観察し、レジストパターンの側面ギザ性を下記基準により評価した。レジストパターンの側面ギザとは、レジストパターンの側面形状がストレートではなく、ギザつき(凹凸)があって好ましくない状態をいい、レジストパターンの側面ギザの凹凸は浅く、滑らかな形状である方が好ましい。結果を表3に示す。
A:滑らかな形状(側面ギザの凹凸が1μm以下)が確認された
B:やや粗い形状(側面ギザの凹凸が1μm超2μm以下)が確認された
C:粗い形状(側面ギザの凹凸が2μm超)が確認された
【0207】
[レジスト微小欠損部の評価]
レジストの微小欠損部の発生を調べるため、上記レジストパターンの側面ギザ性の評価で用いた基板において、偏光顕微鏡を用いてレジスト欠損部の個数を数えた。ライン長さが1mmでライン本数が10本を観察単位とし、n数を5とした時の平均値をレジスト微小欠損部の発生数とした。結果を表3に示す。
【0208】
【表3】



【0209】
表3に示すように、本発明の一実施形態である実施例1〜5の感光性エレメントは、比較例1〜4の感光性エレメントに対して、密着性及び解像度を低下させることなく、剥離時間を短くすることができるという結果が得られた。また、実施例1〜4の感光性エレメントは、ヘーズが0.4%の支持フィルムを備えているため、レジストパターンの側面ギザ性(側面形状)にも優れている。さらに、実施例1〜3の感光性エレメントは、1mm単位に存在する5μm以上の粒子等の個数が5個以下である支持フィルムを備えているため、レジスト微小欠損部の発生数を充分に低減できることが確認された。
【0210】
以上の通り、本発明の感光性エレメントによれば、レジストの剥離時間が短く、且つ密着性及び解像度が良好であるため、配線が非常に細いレジストパターンを効率よく形成することができ、さらに高密度のプリント配線板の生産効率を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0211】
1…感光性エレメント、10…支持フィルム、12…第1の主面、14…第2の主面、20…感光層。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルムと、該支持フィルム上に感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、を備える感光性エレメントであって、
前記感光性樹脂組成物が、(A)バインダーポリマーと、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有し、且つ、前記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物として、重量平均分子量が3,300以下であるカーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有するものである、感光性エレメント。
【請求項2】
前記カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物が、重量平均分子量が900以上の化合物である、請求項1記載の感光性エレメント。
【請求項3】
前記カーボネート結合含有ウレタン(メタ)アクリレート化合物が、(a)ポリカーボネートポリオール化合物と(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物である、請求項1又は2記載の感光性エレメント。
【請求項4】
前記(a)ポリカーボネートポリオール化合物が、脂肪族ポリカーボネートポリオール化合物及び/又は脂環式ポリカーボネートポリオール化合物である、請求項3記載の感光性エレメント。
【請求項5】
前記(a)ポリカーボネートポリオール化合物が、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール化合物である、請求項3又は4記載の感光性エレメント。
【請求項6】
前記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【請求項7】
前記(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【化1】



[式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、m、m、m及びmはそれぞれ0〜40の整数を示し、m+m+m+mは1〜40である。なお、m+m+m+mが2以上のとき、複数存在するXは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化2】



[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Yは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、n及びnはそれぞれ正の整数を示し、n+nは4〜40である。なお、n+nが4以上のとき、複数存在するYは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項8】
前記支持フィルムのヘーズが0.01〜2.0%であり、該支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【請求項9】
前記感光層の膜厚が3〜50μmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【請求項10】
前記(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が30000〜150000である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【請求項11】
前記(A)バインダーポリマーが、下記一般式(III)、(IV)及び(V)で表される構造単位を有するものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【化3】



【化4】



【化5】



[式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、R11は炭素数1〜12のアルキル基を示し、pは0〜5の整数を示す。なお、pが2以上のとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項12】
前記(A)バインダーポリマーが、下記一般式(VI)で表される構造単位をさらに有するものである、請求項11記載の感光性エレメント。
【化6】



[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、qは0〜5の整数を示し、qが2以上のとき、複数存在するR13は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項13】
前記(C)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の感光性エレメント。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の感光性エレメントを、前記感光層、前記支持フィルムの順に回路形成用基板上に積層する積層工程と、
活性光線を、前記支持フィルムを通して前記感光層の所定部分に照射して、前記感光層に光硬化部を形成させる露光工程と、
前記光硬化部以外の前記感光層を除去する現像工程と、
を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項15】
請求項14記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板に対し、エッチング又はめっきを施す、プリント配線板の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−48270(P2011−48270A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198446(P2009−198446)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【出願人】(505273017)ディーエイチ・マテリアル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】