説明

感光性半導体ナノ結晶、半導体ナノ結晶パターン形成用感光性組成物及びこれらを用いたパターン形成方法

【課題】成膜または鋳型の使用など厄介な工程なしで簡単に半導体ナノ結晶のパターンを得ることが可能な、感光性半導体ナノ結晶及び半導体ナノ結晶の感光性組成物を提供するとともに、これらを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】感光性作用基を有する化合物で表面配位された半導体ナノ結晶、半導体ナノ結晶の感光性組成物、及び前記感光性半導体ナノ結晶または前記組成物からフィルムを形成し、これを露光及び現像して半導体ナノ結晶のパターンを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性半導体ナノ結晶、半導体ナノ結晶パターン形成用感光性組成物及びこれらを用いたパターン形成方法に関し、より詳しくは、感光性作用基を有する化合物で表面配位された半導体ナノ結晶、その半導体ナノ結晶を含む感光性組成物、及び前記感光性半導体ナノ結晶または前記感光性半導体ナノ結晶を含む感光性組成物からフィルムを形成し、これを露光及び現像して半導体ナノ結晶のパターンを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体ナノ結晶(または量子ドット:quantum dot)は、量子制限効果(quantum confinement effect)によって半導体物質自体の特性エネルギーバンドギャップが変化する現象を示す。このような量子ドット物質の特性、構造、形、大きさなどを調節して当該バンドギャップを適切に変化させれば、様々なエネルギー準位を作り出すことができる。
【0003】
最近は、所定の有機溶媒内に前駆体物質を含有させて様々なサイズのナノ結晶を成長させる化学的湿式方法が多く試みられている。前記方法の場合、結晶が成長するとともに有機溶媒が自然に量子ドット結晶表面を配位されて(be coordinated)分散剤の役割を異にし、量子ドットの成長をナノサイズに調節することができる。MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)またはMBE(molecular beam epitaxy)などの気相成長法の場合、製造された量子ドットの大きさと形の均一度または密度を調節することが非常に難しいこととは対照的に、化学的湿式方法は使用前駆体の濃度、有機溶媒の種類、合成温度、時間などを適切に調節することにより、様々なサイズの量子ドットを均一に合成することができるという利点がある。
ところが、化学的湿式方法によって合成された量子ドットは、通常、トルエン、クロロホルムなどの有機溶媒に分散しているので、これを電子素子などに応用するために薄膜化技術と共に特定の部分にのみ量子ドット薄膜を形成するパターン化技術が求められる。これまで発表されたナノ結晶のパターン化技術は、主に気相成膜によって量子ドットをパターン化する方法であって、この種の方法は量子ドットの大きさと形の均一度及び密度などを調節することが難しいという欠点をもっている(非特許文献1)。
【0004】
また、これと関連し、特許文献1は、量子ドットを気相成膜しあるいは作られた量子ドットをスプレーなどの方法で吹き付けるとき、マスクを用いて、マスクで覆われていない部分に量子ドットが堆積するようにした後、電子ビームを照射して薄膜を形成させ、マスクを除去することによりパターンを形成させる方法を開示しており、特許文献2は、パターンが可能な鋳型物質の気孔構造内にナノ結晶を充填して間接的にナノ結晶のパターンを形成する方法を開示している。ところが、前記パターン化方法は、エネルギーの大きい電子ビームを使用し、マスクを除去(リフトオフ)するなどの工程上の煩わしさを有するか、あるいは鋳型を使用することにより鋳型物質によってパターン性能が変わり、パターン化することが可能な物質が制限されるなどの欠点を持っている。
【0005】
一方、量子ドットの薄膜形成と関連し、特許文献3は、金属基板上に形成された自己組織化(Self-assembled)単一膜の末端基を用いてナノ結晶を配列する方法を開示しており、特許文献4は、高分子支持体に量子ドットを分散及び結合させる方法を開示している。ところが、前記技術は本質的にパターン化のためのものではないので、直接パターンの形成に適用することは難しい。
【0006】
したがって、当該技術分野では、様々な種類の基板上に鋳型を使用しあるいは高真空及び高温を要する成膜工程を経ることなく、簡単な方法で半導体ナノ結晶のパターンを形成する技術が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,559,057号明細書
【特許文献2】米国特許第6,139,626号明細書
【特許文献3】米国特許第5,751,018号明細書
【特許文献4】米国特許第6,602,671号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Applied Physics Letter, p. 3140, Vol. 70, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、かかる問題点を解決するために鋭意研究した結果、通常、化学式湿式方法で製造された半導体ナノ結晶において、感光性作用基を有する化合物をナノ結晶の凝集防止のために表面に配位させる分散剤として使用した感光性半導体ナノ結晶を用いるか、あるいは前記感光性半導体ナノ結晶または通常の半導体ナノ結晶を特定の光硬化性(photocuring)化合物と均一に混合した組成物を用いて半導体ナノ結晶のフィルムを形成し、前記フィルムを電磁波またはUV光などによりマスクにより選択的に露光すると、露光部分で架橋反応が起こって半導体ナノ結晶の網目(network)構造が形成され、前記フィルムを適切な溶媒で現像する場合、半導体ナノ結晶のネガティブパターンを容易に形成することができ、ひいては得られたナノ結晶パターンが露光前のナノ結晶に相応する優れた発光特性を有することを確認し、本発明の完成に至った。
【0010】
つまり、本発明は、成膜または鋳型の使用など厄介な工程なしで簡単に半導体ナノ結晶のパターンを得ることが可能な、感光性半導体ナノ結晶及び光硬化性化合物を含む半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物を提供すること、及びこれらを用いたパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一つの特性によれば、感光性作用基を有する化合物で表面配位された感光性半導体ナノ結晶が提供される。
本発明の他の特性によれば、i)前記感光性半導体ナノ結晶または通常の半導体ナノ結晶及びii)光硬化性化合物として、1つ以上のアクリル基またはビニル基を有する高分子並びにエステル系化合物を含んだ半導体ナノ結晶パターン形成用感光性組成物を提供することができる。
【0012】
本発明のさらに他の特性によれば、a)前記感光性半導体ナノ結晶の分散液または前記感光性組成物の分散液から半導体ナノ結晶のフィルムを得る段階と、b)前記フィルムをマスクにより選択的に露光させる段階と、c)露光したフィルムを現像する段階とを含む半導体ナノ結晶のパターン化方法を提供することができる。
【0013】
最後に、本発明のさらに他の側面によれば、本発明の方法で得られた半導体ナノ結晶を含んだ発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、別途の鋳型を使用しあるいはパターンの形成時に使用したマスクの分離あるいは剥離の過程を経ることなく、コーティング、露光及び現像の簡単な工程を介して数マイクロメートルの解像度を有する半導体ナノ結晶のパターンを得ることができ、得られた半導体ナノ結晶のパターンはパターン形成前の半導体ナノ結晶に相応する発光特性を示すので、発光素子デバイスの発光層として有利に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】感光性作用基を有する化合物で表面配位された半導体ナノ結晶の模式図である。
【図2】本発明の実施例1によって得られた半導体ナノ結晶のパターン写真である。
【図3】本発明の実施例3によって得られた半導体ナノ結晶のパターン写真である。
【図4】本発明の実施例4によって得られた半導体ナノ結晶のパターン写真である。
【図5】図4の半導体ナノ結晶パターンを1000倍拡大した光学顕微鏡写真である。
【図6】図4の半導体ナノ結晶パターンのAFMイメージである。
【図7】本発明の実施例13によって得られた電気発光素子の発光スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
(感光性半導体ナノ結晶)
本発明の感光性半導体ナノ結晶は、その表面に感光性作用基を有する化合物が配位されるようにした半導体ナノ結晶である(図1参照)。
【0018】
本発明で使用可能な半導体ナノ結晶は、金属前駆体を用いる化学的湿式方法によって製造された全ての半導体ナノ結晶を含む。例えば、前記半導体ナノ結晶は、所定の金属前駆体を、分散剤の存在下または分散剤の非存在下に、有機溶媒に加えて一定の温度で結晶を成長させる方法で製造することができるが、これに制限されるものではない。本発明で使用可能な半導体ナノ結晶は、II−IV族、III−IV族、V族化合物のナノ結晶またはこれらの混合物である。より好ましい半導体ナノ結晶の例は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP及びInAsを含むが、これに制限されるものでない。場合によっては、2種以上のナノ結晶化合物が単純混合状態で存在するナノ粒子、あるいはコア・シェル(core-shell)構造を有する結晶またはグラジエント(gradient)構造を有する結晶のように同一の結晶内に2種以上の化合物結晶が部分的に分けられて存在する混合結晶、または2種以上のナノ結晶化合物の合金を使用することもできる。
【0019】
本発明において、前記半導体ナノ結晶の表面に配位される感光性化合物は、二重結合またはアクリル基などの光反応性の作用基が、選択的にアルキレン基、アミド基、フェニレン基、ビフェニレン基、エステル基、エーテル基などを介して、シアナイド、SH、アミン基、カルボキシ基、ホスホン酸基(phosphonic acid group)などのリンカー(linker)に連結された化合物であって、好ましくは下記化学式(1)で表わされる化合物である。
【0020】
X−A−B ―――(1)
【0021】
上式中、XはNC−、HOOC−、HRN−、POOOH−、RS−またはRSS−(この際、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜10の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基である。)であり、Aは直接結合であり、あるいは脂肪族の有機基、フェニレン基またはビフェニレン基であり、Bは中間または末端に−CN、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アミン基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または、F、Cl、Br、ハロゲン化アルキル基、R′O−(この際、R′は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)、−COOH、アミン基あるいはNO2で置換された炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有することが可能な、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む有機基である。
【0022】
より好ましくは、前記化学式1中のAの脂肪族有機基は、−(CR2)n−(この際、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1〜30の整数である。)等の飽和脂肪族炭化水素基、エステル残基(−COO−)を含む脂肪族エステル基、アミド残基(−NHCO−)を含む脂肪族アミド基、オキシカルボニル残基(−OCO−)を含む脂肪族オキシカルボニル基またはエーテル残基(−O−)を含む脂肪族エーテル基である。前記脂肪族有機基は、炭素数1〜5のアルキル分岐基を有していても良いし、あるいは鎖の中間にヒドロキシ基、アミン基またはチオール基の置換基を有することができる。
【0023】
また、好ましくは、前記化学式(1)中のBは下記化学式(2)を有する有機基である。
【0024】
−CR1=CR23 ―――(2)
【0025】
上式中、R1は水素原子、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、−CN、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む炭素数2〜30の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、1つ以上の水素原子がF、Cl、Br、ヒドロキシ、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アミン基、R′O−(この際、R′は炭素数1〜5のアルキル基である)、−COOHあるいはNO2で置換された炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0026】
前記化学式2のR2及びR3において、炭素数1〜30のアルキル基または1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む炭素数2〜30の不飽和脂肪族炭化水素基は、アルキル分岐基を有し、あるいは必要に応じて鎖の中間または末端にヒドロキシ基、カルボキシ基などの作用基を有することもでき、前記不飽和脂肪族炭化水素基における二重結合の数は特に制限されないが、好ましくは3以下である。
【0027】
前記化学式1で表わされる化合物の好ましい例は、メタクリル酸(methacrylic acid)、クロトン酸(crotonic acid)、ビニル酢酸(vinylacetic acid)、チグリン酸(tiglic acid)、3,3−ジメチルアクリル酸(3,3-dimethylacrylic acid)、トランス−2−ペンテン酸(trans-2-pentenoic acid)、4−ペンテン酸(4-pentenoic acid)、トランス−2−メチル−2−ペンテン酸(trans-2-methyl-2-pentenoic acid)、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸(2,2-dimethyl-4-pentenoic acid)、トランス−2−ヘキセン酸(trans-2-hexenoic acid)、トランス−3−ヘキセン酸(trans-3-hexenoic acid)、2−エチル−2−ヘキセン酸(2-ethyl-2-hexenoic acid)、6−ヘプテン酸(6-heptenoic acid)、2−オクテン酸(2-octenoic acid)、シトロネル酸(citronellic acid)、ウンデシレン酸(undecylenic acid)、ミリストレイン酸(myristoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、オレイン酸(oleic acid)、エライジン酸(elaidic acid)、シス−11−エルコセン酸(cis-11-elcosenoic acid)、ユール酸(euric acid)、ネルボン酸(nervonic acid)、トランス−2,4−ペンタジエン酸(trans-2,4-pentadienoic acid)、2,4−ヘキサジエン酸(2,4-hexadienoic acid)、2,6−ヘプタジエン酸(2,6-heptadienoic acid)、ゲラン酸(geranic acid)、リノール酸(linoleic acid)、11,14−エイコサジエン酸(11,14-eicosadienoic acid)、シス−8,11,14−エイコサトリエン酸(cis-8,11,14-eicosatrienoic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、シス−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(cis-5,8,11,14,17-eicosapentaenoic acid)、シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(cis-4,7,10,13,16,19-docosahexaenoic acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、イタコン酸(itaconic acid)、シラコン酸(ciraconic acid)、メサコン酸(mesaconic acid)、トランス−グルタコン酸(trans-glutaconic acid)、トランス−β−ヒドロムコン酸(trans-beta-hydromuconic acid)、トランス−トラウマチン酸(trans-traumatic acid)、トランス−ムコン酸(trans-muconic acid)、シス−アコニット酸(cis-aconitic acid)、トランスアコニット酸(trans-aconitic acid)、シス−3−クロロアクリル酸(cis-3-chloroacrylic acid)、トランス−3−クロロアクリル酸(trans-3-chloroacrylic acid)、2−ブロモアクリル酸(2-bromoacrylic acid)、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸(2-(trifluoromethyl)acrylic acid)、トランス−スチリル酢酸(trans-styrylacetic acid)、トランス−桂皮酸(trans-cinnamic acid)、α−メチル桂皮酸(alpha-methylcinnamic acid)、2−メチル桂皮酸(2-methylcinnamic acid)、2−フルオロ桂皮酸(2-fluorocinnamic acid)、2−(トリフルオロメチル)桂皮酸(2-(trifluoromethyl)cinnamic acid)、2−クロロ桂皮酸(2-chlorocinnamic acid)、2−メトキシ桂皮酸(2-methoxycinnamic acid)、2−ヒドロキシ桂皮酸(2-hydroxycinnamic acid)、2−ニトロ桂皮酸(2-nitrocinnamic acid)、2−カルボキシ桂皮酸(2-carboxycinnamic acid)、トランス−3−フルオロ桂皮酸(trans-3-fluorocinnamic acid)、3−(トリフルオロメチル)桂皮酸(3-(trifluoromethyl)cinnamic acid)、3−クロロ桂皮酸(3-chlorocinnamic acid)、3−ブロモ桂皮酸(3-bromocinnamic acid)、3−メトキシ桂皮酸(3-methoxycinnamic acid)、3−ヒドロキシ桂皮酸(3-hydroxycinnamic acid)、3−ニトロ桂皮酸(3-nitrocinnamic acid)、4−メチル桂皮酸(4-methylcinnamic acid)、4−フルオロ桂皮酸(4-fluorocinnamic acid)、トランス−4−(トリフルオロメチル)−桂皮酸(trans-4-(trifluoromethyl)-cinnamic acid)、4−クロロ桂皮酸(4-chlorocinnamic acid)、4−ブロモ桂皮酸(4-bromocinnamic acid)、4−メトキシ桂皮酸(4-methoxycinnamic acid)、4−ヒドロキシ桂皮酸(4-hydroxycinnamic acid)、4−ニトロ桂皮酸(4-nitrocinnamic acid)、3,3−ジメトキシ桂皮酸(3,3-dimethoxycinnamic acid)、4−ビニル安息香酸(4-vinylbenzoic acid)、アリルメチルスルフィド(allyl methyl sulfide)、アリルジスルフィド(allyl disulfide)、ジアリルアミン(diallyl amine)、オレイルアミン(oleylamine)、3−アミノ−1−プロパノールビニルエーテル(3-amino-1-propanol vinyl ether)、4−クロロシンナモニトリル(4-chlorocinnamonitrile)、4−メトキシシンナモニトリル(4-methoxycinnamonitrile)、3,4−ジメトキシシンナモニトリル(3,4-dimethoxycinnamonitrile)、4−ジメチルアミノシンナモニトリル(4-dimethylaminocinnamonitrile)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、シアン化アリル(allyl cyanide)、クロトンニトリル(crotononitrile)、メタクリロニトリル(methacrylonitrile)、シス−2−ペンテンニトリル(cis-2-pentenenitrile)、トランス−3−ペンテンニトリル(trans-3-pentenenitrile)、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンニトリル(3,7-dimethyl-2,6-octadienenitrile)、及び1,4−ジシアノ−2−ブテン(1,4-dicyano-2-butene)を含むが、これらに限定されない。
【0028】
本発明に係る感光性半導体ナノ結晶を製造するためには、所望のナノ結晶化合物を提供することが可能な金属前駆体を用いてナノ結晶を製造した後、これをさらに有機溶媒に分散させ、前記化学式1で表わされる感光性化合物で処理して製造することができる。処理方法は、特に制限されず、ナノ結晶の分散液を感光性化合物の存在下に還流させて製造することができる。還流時間、温度、感光性化合物の濃度などの還流条件は、ナノ結晶を配位する感光性化合物、分散溶媒、ナノ結晶によって適切に選択することができる。この場合、一応メルカプトプロパノールのように末端反応性基を有する分散剤をまずナノ結晶の表面に配位させた後、これを前記末端反応性基と反応することが可能な感光性化合物(例えば、メタクリロイルクロライド)と反応させ、最終的に感光性化合物で表面配位されたナノ結晶を得ることもできる。
【0029】
その代案として、前記感光性作用基を有する化合物の存在下に適切な金属前駆体を有機溶媒内に注入して所定の温度で結晶を成長させることにより、直接感光性化合物が表面配位された半導体ナノ結晶を得ることもできる。有機溶媒の種類、結晶成長温度、前駆体の濃度などは、用いられる感光性化合物、製造される半導体結晶の種類、大きさ、形によって適切に調節することができる。
【0030】
図1は本発明に係る感光性半導体ナノ結晶の好適な一具現例を模式的に示した図である。図1において、Xはリンカーであって、半導体ナノ結晶とアクリル基またはビニル基などの感光性作用基を結合(binding)させる役割を有している。感光性作用基を有する化合物が半導体ナノ結晶の表面を配位する度合いは、ナノ結晶と感光性作用基を有する化合物を適切な割合で混合する方法によって調節することができる。
【0031】
(半導体ナノ結晶パターン形成用感光性組成物)
本発明に係る感光性組成物は、i)半導体ナノ結晶と、ii)光硬化性化合物として1つ以上のアクリル基及び/またはビニル基を有する高分子、エステル系化合物、またはエーテル系化合物とを含み、2つの成分を均一に混合して製造する。
前記組成物において、半導体ナノ結晶としては、通常の半導体ナノ結晶を使用し、あるいは本発明に係る感光性半導体ナノ結晶を使用することができる。感光性作用基を有する化合物で表面配位された本発明の感光性半導体ナノ結晶を使用する場合、感光性作用基を有する化合物を表面に置換する過程を経ない点でさらに有利である。前記組成物で使用可能な半導体ナノ結晶については前述した通りである。
【0032】
一方、前記組成物において、光硬化性化合物は、好ましくは1つ以上のアクリル基及び/またはビニル基を含む多官能性アクリレート系化合物または多官能性ポリアルキレンオキシド化合物であり、あるいは1つ以上のアクリル基及び/またはビニル基を含むポリシロキサン系重合体である。
【0033】
前記光硬化性化合物の好ましい例は、アリルオキシル化シクロヘキシルジアクリレート(Allyloxylated cyclohexyl diacrylate)、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシルイソシアヌレート[Bis(acryloxy ethyl)hydroxyl isocyanurate]、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート[Bis(acryloxy neopentylglycol)adipate]、ビスフェノールAジアクリレート(Bisphenol A diacrylate)、ビスフェノールAジメタクリレート(Bisphenol A dimethacrylate)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(1,4-butanediol diacrylate)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-butanediol dimethacrylate)、1,3−ブチレングリコールジアクリレート(1,3-butyleneglycol diacrylate)、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(1,3-butyleneglycol dimethacylate)、ジシクロペンタニルジアクリレート(dicyclopentanyl diacrylate)、ジエチレングリコールジアクリレート(diethyleneglycol diacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylenglycol dimethacrylate)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythitol hexaacrylate)、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(dipentaerythitol monohydroxy pentacrylate)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ditrimethylolpropane tetraacrylate)、エチレングリコールジメタクリレート(ethyleneglycol dimethacrylate)、グリセロールメタクリレート(glycelomethacrylate)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(neopentylglycol dimethacrylate)、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート(neopentylglycol hydroxypivalate diacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、リン酸ジメタクリレート(phosphoric acid dimethacrylate)、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylenglycol diacrylate)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(polypropyleneglycol diacrylate)、テトラエチレングリコールジアクリレート(tetraethyleneglycol diacrylate)、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート(tetrabromobisphenol A diacrylate)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(triethyleneglycol divinylether)、トリグリセロールジアクリレート(triglycerol diacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate)、トリプロピレングリコールジアクリレート(tripropyleneglycol diacrylate)、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[tris(acryloxyethyl)isocyanurate]、リン酸トリアクリレート(phosphoric acid triacrylate)、リン酸ジアクリレート(phosphoric acid diacrylate)、アクリル酸プロパルギルエステル(acrylic acid propargyl ester)、末端にビニルを有するポリジメチルシロキサン(Vinyl terminated Polydimethylsiloxane)、末端にビニル基を有するジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated diphenylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、末端にビニル基を有するポリフェニルメチルシロキサン(Vinyl terminated Polyphenylmethylsiloxane)、末端にビニル基を有するトリフルオロメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated trifluoromethylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、末端にビニル基を有するジエチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated diethylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、ビニルメチルシロキサン(Vinylmethylsiloxane)、末端にモノメタクリロイルオキシプロピル基を有するポリジメチルシロキサン(Monomethacryloyloxypropyl Terminated Polydimethyl siloxane)、末端にモノビニル基を有するポリジメチルシロキサン(Monovinyl Terminated Polydimethyl siloxane)、および末端にモノアリル基−モノトリメチルシロキシ基を有するポリエチレンオキシド(Monoallyl-mono Trimethylsiloxy terminated polyethylene oxide)を含むが、これらに限定されない。
【0034】
本発明に係る組成物において、i)半導体ナノ結晶とii)感光性化合物間の組成比は、特に制限されず、光硬化性(硬化速度、硬化フィルムの状態)及び感光性化合物とナノ結晶の配位能などを考慮して適切に選択することができる。
【0035】
(半導体ナノ結晶パターン形成方法)
a)本発明に係る前記感光性半導体ナノ結晶または前記感光性組成物を用いて半導体ナノ結晶のフィルムを得て、b)前記フィルムをマスクにより選択的に露光させた後、c)露光した前記フィルムを現像すると、半導体ナノ結晶のパターンを形成することができる。
a)段階では、本発明に係る感光性半導体ナノ結晶または前記感光性組成物を適切な有機溶媒に分散させ、前記分散液を基板に塗布して半導体ナノ結晶のフィルムを得る。この際、前記有機溶媒に光開始剤を添加することができる。本発明に係る方法の場合、通常のフォトリソグラフィ工程とは異なり、感光性半導体ナノ結晶または前記組成物が、光開始剤のない場合にも露光の際に架橋反応を起こしてパターンを形成することができるが、必要に応じて光開始剤を使用することもできる。使用可能な光開始剤は、光照射によってフリーラジカルを形成することが可能な全ての公知の開始剤を含み、例えばアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びチオクサントン系の光開始剤を使用することができる。本発明で使用可能なアセトフェノン系開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン(4-Phenoxy dichloroacetophenone)、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン(4-t-Butyl dichloroacetophenone)、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン(4-t-Butyl trichloroacetophenone)、ジエトキシアセトフェノン(Diethoxyacetophenone)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(2-Hydroxy-2-methyl-1-phenyl-propane-1-one)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン[1-(4-Isopropylphenyl)2-hydroxy-2-methyl-propane-1-one]、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン[1-(4-Dodecylphenyl)-2-hydroxy-2-methylpropane-1-one]、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン[4-(2-Hydroxyethoxy)-phenyl-(2-hydroxy-2-propyl)ketone]、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1-Hydroxy cyclohexyl phenyl ketone)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1[2-Methyl-1-[4-(methylthio)phenyl]-2-morpholino-propane-1]などがある。ベンゾイン系光開始剤としては、ベンゾイン(Benzoin)、ベンゾインメチルエーテル(Benzoin methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(Benzoin ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(Benzoin isopropyl ether)、ベンゾインイソブチルエーテル(Benzoin isobutyl ether)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl dimethyl ketal)などを使用することができる。ベンゾフェノン系光開始剤としては、ベンゾフェノン(Benzophenone)、ベンゾイル安息香酸(Benzoyl benzoic acid)、ベンゾイル安息香酸メチルエステル(Benzoyl benzoic acid methyl ester)、4−フェニルベンゾフェノン(4-Phenyl benzophenone)、ヒドロキシベンゾフェノン(Hydroxy benzophenone)、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド(4-Benzoly-4'-methyl diphenyl sulphide)、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン(3,3'-Dimethyl-4-methoxy benzophenoe)などを使用することができるが、これに制限されない。
【0036】
本段階で使用可能な有機溶媒は、特に制限されないが、好ましくはナノ結晶を適切に分散させ、塗布後に適切に除去可能なDMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(4-Hydroxy-4-methyl-2-pentanone)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)及び2−メトキシエタノール(2-Methoxyethanol)、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどとこれらの混合物を使用する。塗布方法は、特に制限されず、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、スプレーコーティング(spray coating)またはブレードコーティング(blade coating)法などを使用することができる。一方、このようにして得られたフィルムは、露光前に30〜300℃、好ましくは40〜120℃の温度で乾燥させ、コーティングに用いられた有機溶媒を揮発させることができる。
【0037】
b)段階では、前記のフィルムを、必要に応じて所望のパターンを有する光マスクの下で、選択的に光または電磁波に露光させる。この場合、露光部分で感光性作用基または光反応性化合物の間に架橋反応が起こり、結果として半導体ナノ結晶の網目構造が形成され、露光部分と非露光部分との間に溶解度の差異が発生するが、後続の現像段階で現像液によって処理すると、半導体ナノ結晶のネガティブパターンを得ることができる。露光は、接触露光法または非接触露光法によるもので、露光量は特に制限されず、フィルムの厚さによって適切に選択することができる。好ましくは、露光量は50mJ/cm2〜850mJ/cm2の範囲である。露光量が足りない場合、十分な架橋反応が起こり難いか、あるいはフォトブリーチング(photo bleaching)が起こってパターン化された量子ドットの発光効率が減少するおそれがある。使用光源は、好ましくは200nm〜500nm、より好ましくは300nm〜400nmの有効波長を有することがよく、100〜800W程度の電力の光源を使用することが好ましい。
【0038】
c)段階において、前記露光したフィルムを適切な現像液で現像すると、半導体ナノ結晶を得ることができる。本発明で使用可能な現像液の例としては、トルエン、クロロホルムなどの有機溶媒、弱酸または弱塩基性溶媒、及び純水が含まれる。
【0039】
前記のような方法で得たナノ結晶パターンは、優れた発光特性を示すので、ディスプレイ、センサ、太陽電池など半導体素子分野に様々に応用でき、特に有機無機混合物電気発光素子の発光層の形成時に有用である。発光層に導入する半導体ナノ結晶パターン薄膜の厚さは5〜100nmであることが好ましい。有機無機混合物における有機膜とは、発光層の他に、電子伝達層、正孔伝達層などのように有機電気発光素子で一対の電極の間に形成される有機化合物からなる膜を意味する。
【0040】
このような有機電気発光素子は、一般に知られている正極/発光層/負極と、正極/バッファ層/発光層/負極、正極/正孔伝達層/発光層/負極、正極/バッファ層/正孔伝達層/発光層/負極、正極/バッファ層/正孔伝達層/発光層/電子伝達層/負極、または正極/バッファ層/正孔伝達層/発光層/正孔遮断層/負極の構造で形成できるが、これらに限定されない。
【0041】
前記バッファ層の素材としては、通常用いられる物質を使用することができ、好ましくは銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリフェニレンビニレン(polyphenylene vinylene)またはこれらの誘導体を使用することができるが、これらに限定されない。前記電子伝達層の素材としては、通常用いられる物質を使用することができ、好ましくはポリトリフェニルアミン(polytriphenylamine)を使用することができるが、これに限定されない。前記電子伝達層の素材としては、通常用いられる物質を使用することができ、好ましくはポリオキサジアゾール(polyoxadiazole)を使用することができるが、これに限定されない。前記正孔遮断層の素材としては、通常用いられる物質を使用することができ、好ましくはLiF、BaF2、MgF2などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明の無機有機混合物電気発光素子の製作は、特別な装置または方法を必要とせず、通常の発光材料を用いた有機電気発光素子の製作方法によって製作できる。
【実施例】
【0043】
以下、具体的な実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は説明の目的のためのもので、本発明の技術思想と技術的範囲はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
【0044】
(二重結合を有する化合物で表面配位された緑色発光CdSeSナノ結晶)
125mlの還流コンデンサ付きフラスコにトリオクチルアミン(Trioctylamine、以下「TOA」という)16g、オレイン酸0.5g及びカドミウムオキシド0.4×10-3molを同時に含有させ、攪拌下に反応混合物の温度を300℃に昇温した。これとは別途に、Se(セレニウム)粉末をトリオクチルホスフィン(Trioctyl phosphine:以下「TOP」という)に溶かしたSe−TOP錯体溶液(Se濃度:約0.25mol)と、S(硫黄)粉末をTOPに溶かしたS−TOP錯体溶液(S濃度:約1.0mol)を製造し、S−TOP錯体溶液0.9mlとSe−TOP錯体溶液0.1mlの混合物を攪拌中の前記反応混合物に速い速度で注入した後、約4分間さらに攪拌した。反応終結後、反応混合物の温度を速く常温に降温し、非溶媒性(non-solvent)のエタノールを付加して遠心分離した。遠心分離された沈殿物を除いた上澄み液は捨て、得られた沈殿物はトルエンに1重量%の濃度で分散させた。得られたナノ結晶は、光励起発光スペクトルが約520nm程度で現われ、365nmのUVランプの下で緑色に発光した。
(実施例2)
【0045】
(二重結合を有する化合物で表面配位された青色発光CdSeSナノ結晶)
Se−TOP錯体溶液におけるSe濃度を0.06molとし、S−TOP錯体溶液におけるS濃度を2.0molとした以外は、実施例1と同様の方法を使用し、光励起発光スペクトルは480nm程度で現われ、365nmのUVランプの下で青色に発光する青色発光のCdSeSナノ結晶を得た。
(実施例3)
【0046】
(二重結合を有する化合物で表面配位されたCdSナノ結晶)
TOA2.5mlを25mlの還流コンデンサ付きフラスコに入れ、攪拌下に温度を180℃まで昇温した。カドミウムジチオジエチルカーバメイト(cadmium dithio diethyl carbamate)50mgをTOP0.9mlに溶かして製造した溶液を攪拌中の前記TOAに速い速度で注入し、約10分間さらに攪拌させた。反応終了後、反応混合物の反応温度を速く常温に降温し、非溶媒のエタノールを付加して遠心分離した。遠心分離された沈殿物を除いた上澄み液は捨て、沈殿物はトルエンに1重量%の濃度で分散させた。前記分散液にオレイン酸を5x10-3molの濃度となるように添加し、24時間攪拌しながら70℃で還流させた。表面配位の度合いを高めるために、前記分散液を遠心分離し、沈澱した量子ドットをさらにトルエンに分散させた後、オレイン酸を5x10-3molの濃度で添加して24時間攪拌しながら還流させた。前記過程を数回繰り返し行うことにより、殆どの表面がオレイン酸で置換された量子ドットを製造し、これをトルエンに分散させた。得られたナノ結晶の光励起スペクトルは510nm程度で現われ、365nmのUVランプの下で青緑色に発光した。
(実施例4)
【0047】
(アクリル基及びビニル基を有する化合物で表面配位されたCdSeSナノ結晶)
実施例1で作ったナノ結晶をトルエンに分散させ、前記分散液に3−メルカプト−1−プロパノール(3-mercapto-1-propanol)を32x10-3molの濃度で添加して10時間攪拌しながら常温で還流させた後、遠心分離して前記ナノ結晶に3−メルカプト−1−プロパノールを表面配位させた。前記表面配位されたナノ結晶をさらにトルエンに1重量%の濃度で分散させた分散液2gを氷浴中の250mlの三つ口フラスコに入れ、テトラヒドロフラン50gとトリエチルアミン(Triethylamine:「TEA」)0.1gを含有させた後、窒素の下で30分間攪拌した。滴下漏斗(dropping funnel)を使用し、前記反応混合物にメタクリロイルクロライド(methacryloyl chloride)0.15gを滴下した後4時間反応を行い、この際、付加生成物として生じた塩は0.1ミクロンフィルタで濾過除去した。分別漏斗内で蒸留水100mlにより洗浄して反応混合物中の未反応物及び残留塩を除去し、半導体ナノ結晶が分散している反応混合物のうち、上澄み液を分離・除去した後、回転蒸発器内で窒素減圧の下に残っている分散液中の溶媒を除去し、沈澱した量子ドットをさらにトルエンに分散させた。前記過程をさらに繰り返し行って表面にアクリル基及びビニル基が置換されている量子ドットのトルエン分散液を得た。
(実施例5)
【0048】
(アクリル基を有する化合物で表面配位されたCdSナノ結晶)
25mlの還流コンデンサ付きフラスコにTOA2.5mlを入れ、攪拌下に温度を180℃に昇温した。カドミウムジチオジエチルカーバメイト50mgをTOP0.9mlに溶かして製造した溶液を攪拌中の前記TOAに速い速度で注入し、約10分間さらに攪拌させた。反応終了後、反応混合物の反応温度をできる限り速く常温に降温し、非溶媒のエタノールを付加して遠心分離した。遠心分離された沈殿物を除いた上澄み液は捨て、沈殿物はトルエンに1重量%の濃度で分散させた。
【0049】
次に、3−メルカプト−1−プロパノールを前記量子ドットのトルエン分散液に32mMの濃度で添加し、10時間攪拌しながら常温で還流し、遠心分離して3−メルカプト−1−プロパノールで表面配位された量子ドットを得、これをさらにトルエンに1重量%の濃度で分散させた。その後、前記分散液2gにテトラヒドロフラン50gとトリエチルアミン0.1gを含有させた後、窒素雰囲気の下で30分間攪拌した。滴下漏斗を使用し、前記反応混合物にメタアクリロイルクロライド0.15gを滴下した後4時間反応を行い、この際、付加生成物として生じた塩は0.1ミクロンフィルタで濾過除去した。分別漏斗内で蒸留水100mlにより洗浄して反応混合物中の未反応物及び残留塩を除去し、半導体ナノ結晶が分散している反応混合物のうち、上澄み液を分離した後、回転蒸発器内で窒素減圧の下に残っている分散液中の溶媒を除去し、沈澱した量子ドットをさらにトルエンに分散させた。前記過程をさらに繰り返し行い、表面にアクリル基が置換されている量子ドットのトルエン分散液を得た。
(実施例6)
【0050】
(緑色発光CdSeSナノ結晶のパターン)
実施例1で合成されたCdSeSナノ結晶のトルエン分散液(1重量%)を、IPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に滴下して2000rpmで30秒間スピンコートして半導体ナノ結晶のフィルムを得て、50℃の加熱板で1分間1次乾燥させた後、100℃の加熱板で1分間2次熱処理して溶媒を除去した。所望のパターンを有するフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させ、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。図2は実施例1によって得た量子ドットパターンの発光状態を365nmの紫外線ランプの下で撮影した実際写真であって、これからフォトマスクの形のままで完璧にパターンが形成されながら緑色で発光することを確認することができる。一方、前記パターンの光励起発光スペクトル(photoluminescence spectrum)を測定した結果、発光波長は約520nmであって、実施例1で得たナノ結晶の発光スペクトルと同一であり、スペクトルの半値全幅(Full width half maximum:以下「FWHM」という)は40nm程度であった。
(実施例7)
【0051】
(パターン形成感光性組成物の製造及びこれを用いたナノ結晶パターン)
TOA2.5mlを25mlの還流コンデンサ付きフラスコに入れ、攪拌下に温度を180℃に昇温した。カドミウムジチオジエチルカーバメイト50mgをTOP0.9mlに溶かして製造した溶液を攪拌中の前記TOAに速い速度で注入し、約10分間さらに攪拌させた。反応終了後、反応混合物の反応温度を速く常温に降温し、非溶媒のエタノールを付加して遠心分離した。遠心分離された沈殿物を除いた上澄み液は捨て、沈殿物はトルエンに1重量%の濃度で分散させた。分散した溶液2gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate:以下「DPHA」という)0.5mgをよく混合して組成物を製造した後、これをIPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に落とし、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得た。前記フィルムをフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させ、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。得た量子ドットパターンの発光状態を365nmの紫外線ランプの下で青緑色に発光することを確認することができ、これから、マスクの形のままで完璧にパターンが形成されたことを確認することができた。前記パターンの光励起発光スペクトルを測定した結果、発光波長は約510nmであった。
(実施例8)
【0052】
(パターン形成感光性組成物の製造及びこれを用いた緑色発光CdSeSナノ結晶のパターン)
実施例1で合成されたCdSeSナノ結晶のトルエン分散液(1重量%)0.2gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.5mgをよく混合して組成物を製造した後、これをIPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に落とし、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得た。前記フィルムをフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させ、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。図3は実施例3によって得た量子ドットパターンの発光状態を365nmの紫外線ランプの下で撮影した実際写真であって、これから、マスクの形のままで完璧にパターンが形成されながら緑色で発光することを確認することができる。前記パターンの光励起発光スペクトルを測定した結果、発光波長は約520nmであって、実施例1で得たナノ結晶の発光スペクトルと同一であり、スペクトルのFWHMはそれぞれ40、40nm程度であった。
(実施例9)
【0053】
(パターン形成感光性組成物の製造及びこれを用いた青色発光CdSeSナノ結晶のパターン)
実施例2で合成されたCdSeSナノ結晶のトルエン分散液(1重量%)0.05gとDPHA0.001gをよく混合して組成物を製造した。前記組成物を綺麗に洗浄したガラス基板上に落とし、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得た。前記フィルムをフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させた後、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。図4は実施例4によって得た量子ドットパターンの発光状態を365nmの紫外線ランプの下で撮影した実際写真であって、これから、マスクの形のままで完璧にパターンが形成されながら青色で発光することを確認することができる。前記パターンの光励起発光スペクトルを測定した結果、発光波長は約480nmであって、実施例2で得たナノ結晶の発光スペクトルと同一であり、スペクトルのFWHMはそれぞれ40、40nm程度であった。前記パターンのAFMを測定し、図6に示した。図6から、本発明によって得たCdSeS量子ドットのパターン内で量子ドットが均一に分散していることを確認することができる。
(実施例10)
【0054】
(二重結合を有する化合物で表面配位されたCdSナノ結晶のパターン)
実施例3で合成されたオレイン酸で配位されたCdSナノ結晶のトルエン溶液(1重量%)0.05gをIPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に滴下し、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得、50℃の加熱板で1分間1次乾燥させた後、100℃の加熱下で1分間2次熱処理して溶媒を除去した。所望のパターンを有するフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させた後、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。この際、フォトマスクの形のそのままで完璧に形成されながら青緑色で発光することを確認することができる。
(実施例11)
【0055】
(アクリル基及びビニル基を有する化合物で表面配位されたCdSeSナノ結晶のパターン)
実施例4で合成された、アクリル基及びビニル基を有する化合物で配位されたCdSeSナノ結晶のトルエン溶液(1重量%)0.05gをIPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に落とし、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得、50℃の加熱板で1分間1次乾燥させた後、100℃の加熱下で1分間2次熱処理して溶媒を除去した。所望のパターンを有するフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させた後、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。この際、フォトマスクの形のそのままで完璧に形成されながら緑色で発光することを確認することができる。
(実施例12)
【0056】
(アクリル基を有する化合物で表面配位されたCdSナノ結晶のパターン)
実施例5で合成された、アクリル基を有する化合物で配位されたCdSナノ結晶のトルエン溶液(1重量%)0.05gをIPAで綺麗に洗浄したガラス基板上に落とし、2000rpmで30秒間スピンコートしてフィルムを得て、50℃の加熱板で1分間1次乾燥させた後、100℃の加熱下で1分間2次熱処理して溶媒を除去した。所望のパターンを有するフォトマスクの下で有効波長200〜300nmのUV露光器の中に入れ、800Wで約300秒間UVを照射して露光させた後、露光したフィルムはトルエンで現像して半導体ナノ結晶のパターンを得た。この際、フォトマスクの形のそのままで完璧に形成されながら、青緑色で発光することを確認することができる。
(実施例13)
【0057】
(ナノ結晶のパターンを用いた電気発光素子)
本実施例は、前記実施例1と同一の方法で得たナノ結晶の薄膜パターンを電気発光素子の発光素材として用いた無機有機混合物電気発光素子の製作を示すためのものである。
【0058】
パターニングされているITO基板の上部に正孔伝達層のPEDOT(Poly-3,4-Ethylenedioxythiophene)を50nmの厚さにスピンコートして熱処理し、その上に、実施例1で合成したCdSeSナノ結晶のトルエン溶液(1重量%)をスピンコートし、これを乾燥させた後、厚さ約5nmの発光層を形成した。この発光層上にマスクを覆った後、200〜300nmのUV露光器内に導入し、800Wで約20秒間露光させた後、トルエンで現像した。完全に乾燥させた前記発光層の上部にAlq3(tris-(8-hydroxyquinolinato)aluminum)を蒸着して40nm程度の電子輸送層を形成し、その上部にLiFを1nmの厚さに蒸着し、アルミニウムを200nmの厚さに蒸着して無機有機混合物電気発光素子を完成した。
【0059】
前記無機有機混合物電気発光素子において、ELスペクトルを照射した。その結果、発光波長は約520nmで現われ、FWHMは約40nmであり、明るさは10cd/m2、装置の効率は0.1%程度である。図7は本発明の実施例13によって得た電気発光素子の発光スペクトルであって、印加された電子によってナノ結晶で発光することを確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性作用基を有する化合物で表面配位された結晶体からなり、
前記感光性作用基を有する化合物が、化学式(1)であるX−A−Bで表わされる化合物であって、
XはNC−、HOOC−、HRN−、POOOH−、RS−またはRSS−(ここで、Rは炭素数1〜10の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基である)であり、
Aは脂肪族の有機基、フェニレン基またはビフェニレン基であり、
Bは中間または末端に−CN、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アミン基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または、F、Cl、Br、ハロゲン化アルキル基、R′O−(この際、R′は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、−COOH、アミン基あるいはNO2で置換された炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有する1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む有機基である
ことを特徴とする半導体ナノ結晶。
【請求項2】
前記化学式(1)中のAの脂肪族有機基は飽和脂肪族炭化水素基、脂肪族エステル基、脂肪族アミド基、脂肪族オキシカルボニル基または脂肪族エーテル基であることを特徴とする請求項1記載の半導体ナノ結晶。
【請求項3】
前記化学式(1)中のBは、化学式(2)である−CR1=CR23で表される有機基であって、
1は水素原子、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、
2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、−CN、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む炭素数2〜30の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、1つ以上の水素原子がF、Cl、Br、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アミン基、R′O−(ここで、R′は炭素数1〜5のアルキルである)、−COOHあるいはNO2で置換または非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載の半導体ナノ結晶。
【請求項4】
前記感光性作用基を有する化合物が、不飽和脂肪酸化合物、桂皮酸化合物、ビニル安息香酸化合物、アクリロニトリル系化合物または不飽和ニトリル系化合物、不飽和アミン化合物または不飽和スルフィド化合物であることを特徴とする請求項2記載の半導体ナノ結晶。
【請求項5】
前記感光性作用基を有する化合物が、クロトン酸(crotonic acid)、ビニル酢酸(vinylacetic acid)、チグリン酸(tiglic acid)、3,3−ジメチルアクリル酸(3,3-dimethylacrylic acid)、トランス−2−ペンテン酸(trans-2-pentenoic acid)、4−ペンテン酸(4-pentenoic acid)、トランス−2−メチル−2−ペンテン酸(trans-2-methyl-2-pentenoic acid)、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸(2,2-dimethyl-4-pentenoic acid)、トランス−2−ヘキセン酸(trans-2-hexenoic acid)、トランス−3−ヘキセン酸(trans-3-hexenoic acid)、2−エチル−2−ヘキセン酸(2-ethyl-2-hexenoic acid)、6−ヘプテン酸(6-heptenoic acid)、2−オクテン酸(2-octenoic acid)、シトロネル酸(citronellic acid)、ウンデシレン酸(undecylenic acid)、ミリストレイン酸(myristoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、エライジン酸(elaidic acid)、シス−11−エルコセン酸(cis-11-elcosenoic acid)、ユール酸(euric acid)、ネルボン酸(nervonic acid)、トランス−2,4−ペンタジエン酸(trans-2,4-pentadienoic acid)、2,4−ヘキサジエン酸(2,4-hexadienoic acid)、2,6−ヘプタジエン酸(2,6-heptadienoic acid)、ゲラン酸(geranic acid)、リノール酸(linoleic acid)、11,14−エイコサジエン酸(11,14-eicosadienoic acid)、シス−8,11,14−エイコサトリエン酸(cis-8,11,14-eicosatrienoic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、シス−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(cis-5,8,11,14,17-eicosapentaenoic acid)、シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(cis-4,7,10,13,16,19-docosahexaenoic acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、イタコン酸(itaconic acid)、シラコン酸(ciraconic acid)、メサコン酸(mesaconic acid)、トランス−グルタコン酸(trans-glutaconic acid)、トランス−β−ヒドロムコン酸(trans-beta-hydromuconic acid)、トランス−トラウマチン酸(trans-traumatic acid)、トランス−ムコン酸(trans-muconic acid)、シス−アコニット酸(cis-aconitic acid)、トランスアコニット酸(trans-aconitic acid)、シス−3−クロロアクリル酸(cis-3-chloroacrylic acid)、トランス−3−クロロアクリル酸(trans-3-chloroacrylic acid)、2−ブロモアクリル酸(2-bromoacrylic acid)、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸(2-(trifluoromethyl)acrylic acid)、トランス−スチリル酢酸(trans-styrylacetic acid)、トランス−桂皮酸(trans-cinnamic acid)、α−メチル桂皮酸(alpha-methylcinnamic acid)、2−メチル桂皮酸(2-methylcinnamic acid)、2−フルオロ桂皮酸(2-fluorocinnamic acid)、2−(トリフルオロメチル)桂皮酸(2-(trifluoromethyl)cinnamic acid)、2−クロロ桂皮酸(2-chlorocinnamic acid)、2−メトキシ桂皮酸(2-methoxycinnamic acid)、2−ヒドロキシ桂皮酸(2-hydroxycinnamic acid)、2−ニトロ桂皮酸(2-nitrocinnamic acid)、2−カルボキシ桂皮酸(2-carboxycinnamic acid)、トランス−3−フルオロ桂皮酸(trans-3-fluorocinnamic acid)、3−(トリフルオロメチル)桂皮酸(3-(trifluoromethyl)cinnamic acid)、3−クロロ桂皮酸(3-chlorocinnamic acid)、3−ブロモ桂皮酸(3-bromocinnamic acid)、3−メトキシ桂皮酸(3-methoxycinnamic acid)、3−ヒドロキシ桂皮酸(3-hydroxycinnamic acid)、3−ニトロ桂皮酸(3-nitrocinnamic acid)、4−メチル桂皮酸(4-methylcinnamic acid)、4−フルオロ桂皮酸(4-fluorocinnamic acid)、トランス−4−(トリフルオロメチル)−桂皮酸(trans-4-(trifluoromethyl)-cinnamic acid)、4−クロロ桂皮酸(4-chlorocinnamic acid)、4−ブロモ桂皮酸(4-bromocinnamic acid)、4−メトキシ桂皮酸(4-methoxycinnamic acid)、4−ヒドロキシ桂皮酸(4-hydroxycinnamic acid)、4−ニトロ桂皮酸(4-nitrocinnamic acid)、3,3−ジメトキシ桂皮酸(3,3-dimethoxycinnamic acid)、4−ビニル安息香酸(4-vinylbenzoic acid)、アリルメチルスルフィド(allyl methyl sulfide)、アリルジスルフィド(allyl disulfide)、ジアリルアミン(diallyl amine)、オレイルアミン(oleylamine)、3−アミノ−1−プロパノールビニルエーテル(3-amino-1-propanol vinyl ether)、4−クロロシンナモニトリル(4-chlorocinnamonitrile)、4−メトキシシンナモニトリル(4-methoxycinnamonitrile)、3,4−ジメトキシシンナモニトリル(3,4-dimethoxycinnamonitrile)、4−ジメチルアミノシンナモニトリル(4-dimethylaminocinnamonitrile)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、シアン化アリル(allyl cyanide)、クロトンニトリル(crotononitrile)、メタクリロニトリル(methacrylonitrile)、シス−2−ペンテンニトリル(cis-2-pentenenitrile)、トランス−3−ペンテンニトリル(trans-3-pentenenitrile)、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンニトリル(3,7-dimethyl-2,6-octadienenitrile)、および1,4−ジシアノ−2−ブテン(1,4-dicyano-2-butene)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の半導体ナノ結晶。
【請求項6】
前記結晶体がCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、
HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の半導体ナノ結晶。
【請求項7】
前記結晶体がCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP及びInAsからなる群より選択された2つ以上の化合物の混合物であって、
一様な混合物、濃度勾配を有する混合物、核−殻型の混合物(core-shell mixture)、あるいは合金の形で存在することを特徴とする請求項6記載の半導体ナノ結晶。
【請求項8】
請求項1記載の半導体ナノ結晶及び光硬化性化合物を含む半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項9】
前記半導体ナノ結晶が、化学式X−A−Bで表わされる化合物が表面配位された感光性半導体ナノ結晶であって、
XはNC−、HOOC−、HRN−、POOOH−、RS−またはRSS−(ここでは、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜10の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基である)であり、
Aは直接結合であり、あるいは脂肪族の有機基、フェニレン基またはビフェニレン基であり、Bは中間または末端に−CN、−COOH、ハロゲン基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、アミン基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または、F、Cl、Br、ハロゲン化アルキル基、R′O−(ここでは、R′は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、−COOH、アミン基あるいはNO2で置換された炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有する1つ以上の炭素−炭素二重結合を含んだ有機基である
ことを特徴とする請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項10】
前記光硬化性化合物が、アクリル基及び/またはビニル基を含む高分子並びにエーテル系化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項11】
前記光硬化性化合物が、多官能性アクリレート系化合物、多官能性ポリアルキレンオキシド並びに1つ以上のアクリル基及び/またはビニル基を含むポリシロキサン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項12】
前記光硬化性化合物が、アリルオキシル化シクロヘキシルジアクリレート(Allyloxylated cyclohexyl diacrylate)、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシルイソシアヌレート[Bis(acryloxy ethyl)hydroxyl isocynurate]、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート[Bis(acryloxy neopentylglycol)adipate]、ビスフェノールAジアクリレート(Bisphenol A diacrylate)、ビスフェノールAジメタクリレート(Bisphenol A dimethacrylate)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(1,4-butanediol diacrylate)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-butanediol dimethacrylate)、1,3−ブチレングリコールジアクリレート(1,3-butyleneglycol diacrylate)、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(1,3-butyleneglycol dimethacylate)、ジシクロペンタニルジアクリレート(dicyclopentanyl diacrylate)、ジエチレングリコールジアクリレート(diethyleneglycol diacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylenglycol dimethacrylate)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythitol hexaacrylate)、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(dipentaerythitol monohydroxy pentacrylate)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ditrimethylolpropane tetraacrylate)、エチレングリコールジメタクリレート(ethyleneglycol dimethacrylate)、グリコールメタクリレート(glycerolmethacrylate)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(neopentylglycol dimethacrylate)、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート(neopentylglycol hydroxypivalate diacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、リン酸ジメタクリレート(phosphoric acid dimethacrylate)、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylenglycol diacrylate)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(polypropyleneglycol diacrylate)、テトラエチレングリコールジアクリレート(tetraethyleneglycol diacrylate)、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート(tetrabromobisphenol A diacrylate)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(triethyleneglycol divinylether)、トリグリセロールジアクリレート(triglycerol diacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate)、トリプロピレングリコールジアクリレート(tripropyleneglycol diacrylate)、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[tris(acryloxyethyl)isocyanurate]、リン酸トリアクリレート(phosphoric acid triacrylate)、リン酸ジアクリレート(phosphoric acid diacrylate)、アクリル酸プロパルギルエステル(acrylic acid propargyl ester)、末端にビニルを有するポリジメチルシロキサン(Vinyl terminated Polydimethylsiloxane)、末端にビニル基を有するジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated diphenylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、末端にビニル基を有するポリフェニルメチルシロキサン(Vinyl terminated Polyphenylmethylsiloxane)、末端にビニル基を有するトリフルオロメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated trifluoromethylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、末端にビニル基を有するジエチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(Vinyl terminated diethylsiloxane-dimethylsiloxane copolymer)、ビニルメチルシロキサン(Vinylmethylsiloxane)、末端にモノメタクリロイルオキシプロピル基を有するポリジメチルシロキサン(Monomethacryloyloxypropyl Terminated Polydimethyl siloxane)、末端にモノビニル基を有するポリジメチルシロキサン(Monovinyl Terminated Polydimethyl siloxane)、および末端にモノアリル基−モノトリメチルシロキシ基を有するポリエチレンオキシド(Monoallyl-mono Trimethylsiloxy terminated polyethylene oxide)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項13】
前記半導体ナノ結晶が、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項14】
前記半導体ナノ結晶が、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP及びInAsからなる群より選択された2つ以上の化合物の混合物の場合、単純混合物で存在し、あるいは各化合物の結晶構造が部分的に分けられて同一の粒子内に存在し、あるいは合金の形で存在することを特徴とする請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物。
【請求項15】
i)請求項1記載の半導体ナノ結晶あるいは請求項8記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物を用いて半導体ナノ結晶のフィルムを得る段階とii)前記フィルムをマスクにより選択的に露光させる段階と、iii)露光したフィルムを現像する段階とを含むことを特徴とする半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項16】
前記i)段階で得たフィルムを、前記ii)段階の露光前に、30〜100℃の温度で乾燥させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項15記載の半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項17】
前記i)段階において、前記フィルムは、請求項1記載の半導体ナノ結晶または請求項9記載の半導体ナノ結晶パターン形成感光性組成物を有機溶媒に分散させ、得られた分散液をスピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、スプレーコーティング(spray coating)またはブレードコーティング(blade coating)法で基板に塗布して得ることを特徴とする請求項15記載の半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項18】
前記有機溶媒が、アセトフェノン系光開始剤、ベンゾイン系光開始剤、ベンゾフェノン系光開始剤及びチオクサントン系光開始剤からなる群より選択された光開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項19】
前記ii)段階の選択的露光処理は、所定のパターンを有するフォトマスクを介して50mJ/cm2〜850mJ/cm2の露光量で行うことを特徴とする請求項15記載の半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項20】
前記ii)段階の露光は波長200nm〜500nm、電力100〜800Wの光源を使用して行うことを特徴とする請求項15記載の半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項21】
前記iii)段階の現像は、有機溶媒、弱酸あるいは弱塩基溶媒、または水を使用して行うことを特徴とする請求項15記載の化合物半導体ナノ結晶のパターン化方法。
【請求項22】
一対の電極の間に有機無機混合物を含む電気発光素子において、前記発光素子の発光層に、請求項15記載の方法で得た半導体ナノ結晶パターンを含むことを特徴とする有機電気発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46951(P2011−46951A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210908(P2010−210908)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【分割の表示】特願2004−305592(P2004−305592)の分割
【原出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】