説明

感光性平版印刷版の処理方法

【課題】長期間液交換を行わない場合でも、良好な耐印刷汚れ性が得られる感光性平版印刷版の処理方法を提供する。
【解決手段】支持体上に光重合性の感光層を有し、該光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版の処理方法であって、該感光性平版印刷版を、ポリビニルアルコール分解菌を含有する処理液にて処理する事を特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に光重合性の感光層を有し、該光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を順に有する感光性平版印刷版の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製版システムのデジタル化に伴いコンピューター画面上で組版したデジタルデータを、直接平版印刷版に出力するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)技術が開発され、出力機として種々のレーザーを搭載した各種プレートセッターとこれらに適合する感光性平版印刷版の開発が盛んに行われている。またこのような出力機には、例えば青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)、ヘリウムネオンレーザー、赤色LED、近赤外線レーザー、赤外線レーザー、アルゴンレーザー等の各種レーザーを利用した出力機が好ましく用いられる。
【0003】
このような各種レーザーに対応した光重合性の感光層を有する平版印刷版としては、例えば特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と光増感色素と重合開始剤を含有する平版印刷版が開示されており、特開平5−5988号公報、特開平5−194619号公報、特開2000−98603号公報等には、有機ホウ素アニオンと色素との組み合わせが開示されており、特開平4−31863号公報、特開平6−43633号公報等には色素とs−トリアジン系化合物との組み合わせが開示されており、特開平7−20629号公報、特開平7−271029号公報等にはレゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤及び光酸発生剤の組み合わせが開示されており、特開平11−212252号公報、特開平11−231535号公報等には特定の重合体と光酸発生剤と近赤外増感色素の組み合わせが開示されており、特開2001−290271号公報等には側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体を用いた感光性平版印刷版が開示されている。また特開2005−274695号公報や2007−25220号公報にはバイオレットレーザー光源に対応した光重合性の感光層を有する感光性平版印刷版が開示されている。
【0004】
更に、高感度でかつ水現像が可能な感光性平版印刷版として特開2003−215801号公報(特許文献1)には、支持体上に側鎖にフェニル基を介してビニル基が結合したカチオン性もしくはアニオン性の水溶性ポリマー、光重合開始剤または酸発生剤を含有する感光層を有する感光性平版印刷版が開示されている。また支持体としてプラスチックフィルム支持体上を用いる場合に好ましく用いられる親水性層として、特公昭49−2286号公報に記載のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート系ポリマーによる親水性樹脂層、特公昭56−2938号公報に記載の尿素樹脂と顔料から構成される親水性層、特開昭48−83902号公報に記載のアクリルアミド系ポリマーをアルデヒド類で硬化させて得られる親水性層、特開昭62−280766号公報に記載の水溶性メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、水不溶性無機粉体を含有する組成物を硬化させて得られる親水性層、特開平8−184967号公報に記載の側鎖にアミジノ基を有する繰り返し単位を含む水溶性ポリマーを硬化して得られる親水性層、特開平8−272087号公報に記載の親水性(共)重合体を含有し、加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層、特開平10−296895号公報に記載のオニウム基を有する親水性層、特開平11−311861号公報に記載のルイス塩基部分を有する架橋親水性ポリマーを多価金属イオンとの相互作用によって三次元架橋させて得られる親水性層、特開2000−122269号公報に記載の親水性樹脂及び水分散性フィラーを含有する親水性層等が記載される。
【0005】
これらの光重合性の感光層を有する平版印刷版は、レーザーによる短時間での露光で十分な強度を有する画像を得るために、十分な感度を有する事が必要である。ラジカル重合を利用する光架橋反応は、発生したラジカルが酸素で失活してその結果、感度が低くなるのを防ぐために、通常、酸素遮断層を感光層よりも支持体から離れた側に設ける事が知られている。
【0006】
酸素遮断層は、アルカリ溶出性の感光層を有する感光性平版印刷版の場合、露光後、非画像部の感光層をアルカリ現像液で溶出させる前に、水で溶解して取り除く必要があり、自動現像機で処理する場合、現像槽の前にプレ水洗槽として、酸素遮断層を取り除く工程が設けられる。このことは例えば特開2003−84450号公報(特許文献2)に記載される。pH10以下の現像処理であっても必要に応じてプレ水洗を設ける場合がある。このことは例えば特開2010−32611号公報(特許文献3)に記載される。更に前述の特許文献1の感光性平版印刷版は水現像が可能であり(現像前に酸素遮断層を取り除く必要が無く)、そのためプレ水洗槽なしに現像処理が行われる。
【0007】
しかしながら、何れの処理方法においても、長期間にわたって感光性平版印刷版を処理した場合、取り除かれた酸素遮断層が原因で、製版して出来た感光性平版印刷版が、印刷汚れを起こすという問題があり改善が求められていた。またこの汚れを改善するためには液交換を頻繁に行う必要があり改善が求められていた。特に前述したプラスチック支持体上に親水性層を有する感光性平版印刷版の非画像部は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体を有する感光性平版印刷版の非画像部よりも親水性に劣る傾向にあるため、上記した汚れがとりわけ発生しやすく、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−215801号公報
【特許文献2】特開2003−84450号公報
【特許文献3】特開2010−32611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、支持体上に光重合性の感光層を有し、該光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版の処理方法であって、長期間液交換を行わない場合でも、良好な耐印刷汚れ性が得られる感光性平版印刷版の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、以下の発明により達成された。
支持体上に光重合性の感光層を有し、該光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版の処理方法であって、該感光性平版印刷版を、ポリビニルアルコール分解菌を含有する処理液にて処理する事を特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期間液交換を行わない場合でも、良好な耐印刷汚れ性が得られる感光性平版印刷版の処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の感光性平版印刷版の処理方法において用いられるポリビニルアルコール分解菌は、例えば特許公報第3489848号公報の酵素を得るために用いるシュードモナス属に属する菌や、特開平7−108297号公報に記載のコリネバクテリウム属、ロードコッカス属、カセオバクター属に属する菌、特開2005−278639号公報に記載のスフィンゴモナス・アロマティシボランス属に属する菌、特開2006−42611号公報に記載のコマモナス・テストステロニ属に属する菌、特開2006−42612号公報に記載のミクロバクテリウム・レバニフォルマンス属に属する菌など1種類もしくは組み合わせて用いる事が出来る。中でも特許公報第3489848号公報の酵素を得るために用いるシュードモナス属に属する菌が好適に用いられる。
【0013】
本発明の感光性平版印刷版の処理方法において上述したポリビニルアルコール分解菌は、製版処理に用いる自動現像機の酸素遮断層を取り除く工程に利用するものであり、プレ洗浄槽を有する自動現像機の場合には、プレ洗浄槽に投入される処理液に上記菌を添加する。また、ケミカルレス現像液での処理でかつ、プレ洗浄を行わない場合は現像槽に投入される処理液に上記菌を添加する事が出来る。
【0014】
これら処理液中にポリビニルアルコール分解菌を添加する方法としては、処理液に直接ポリビニルアルコール分解菌を添加しても良いし、あるいはポリビニルアルコール分解菌を珪藻土、軽石あるいは活性炭等に吸着させたフィルターを通して循環させて処理液に添加しても良い。
【0015】
本発明の菌をプレ水洗槽または現像槽に投入する場合、菌数は10〜1011cfu/mlが好ましく、10〜10cfu/mlがより好ましい。菌の数は、寒天培地に10倍ずつ希釈した液を、0.1mlずつ塗布し、培養して発生するコロニーの数が50〜500個になった時の希釈倍率と、その時に発生するコロニーを目視で数える事で得る事が出来る(コロニーカウント法)。また、濁度計を用いて600nmの波長の光で測定した濁度とコロニーカウント法で得られた菌数との検量線を使用する事により、おおよその菌数を得る事が出来る。
【0016】
ポリビニルアルコール分解菌を添加した本発明の処理液で処理を行う場合、処理液中には常時酸素を取り込む事が好ましい。そのため、処理液中にエアポンプで液に空気を吹き込むか、あるいは処理液を常に循環させて、好ましくは循環した処理液を処理槽の上部からシャワー形式を利用して処理槽に戻すことで循環させ、出来るだけ液が空気に触れるようにする事が好ましい。
【0017】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版は、光感光性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する。この感光性平版印刷版の層構成としては、例えば粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に光重合性の感光層を設け、該光重合性の感光性の上部に酸素遮断層を設ける、またはプラスチックフィルム支持体上に親水性層、親水性補助層、光重合性の感光層をこの順に設け、該光重合性の感光性の上部に酸素遮断層を設ける。またプラスチックフィルム支持体の裏側(光重合性の感光層面の反対面)に裏層を設けても良い。
【0018】
[支持体]
本発明の処理方法に用いる感光性平版印刷版の支持体としてはアルミニウム支持体も用いる事が出来る。この場合、アルミニウム支持体表面は、例えば特開平8−244371号公報や、特開平10−129142号公報等に記載のように、アルミニウム板表面を脱脂した後に表面を機械的あるいは電解による粗面化、陽極酸化等の表面の化学処理を行う事で、画像部との十分な接着性と、非画像部の十分な保水性を得る事が出来る。
【0019】
また本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の支持体として、各種プラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルム支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース、紙の両面にポリエチレン樹脂をコーティングした樹脂被覆紙などが代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。これらのプラスチックフィルムは表面に親水化加工が施されていることが好ましく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
【0020】
[親水性層]
本発明の処理方法に用いる感光性平版印刷版において、プラスチックフィルム支持体上には、親水性層を設ける事が好ましい。親水性層は、水溶性樹脂と、無機微粒子を含有しており、かかる無機微粒子としてはコロイダルシリカ、二酸化チタン粒子、アルミナ粒子(例えば酸化アルミニウム水和物、水酸化アルミニウム)、ゼオライト、その他の金属酸化物からなる粒子等が挙げられるが、コロイダルシリカ及び二酸化チタン粒子を用いることが好ましい。またこれらの無機微粒子は粒子表面に表面処理がなされていてもよい。これらの無機微粒子の親水性層中の含有量は、親水性層の総質量に対して50質量%以上含有することが好ましく、更に好ましくは55質量%以上含有することが好ましい。
【0021】
親水性層に好ましく併用されるコロイダルシリカとは、光散乱方式粒度分布計で計測される平均粒子径が好ましくは5〜200nmである球状、針状、不定形、あるいは球状粒子が連なってできるネックレス状などの種々の形状、粒子径のシリカ粒子であり、水中に安定的に分散したシリカゾルが好ましく用いられる。こうした素材は、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスの商品名で各種のコロイダルシリカが提供されており、球状のシリカゾルとしてスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックスXL(粒子径40〜60nm)、スノーテックスYL(粒子径50〜80nm)、スノーテックスZL(粒子径70〜100nm)、スノーテックスMP−2040(粒子径200nm)及び表面のナトリウム塩を除去した酸性タイプのシリカゾルとしてスノーテックスOXS、OS等が好ましく使用できる。針状あるいは不定形のシリカゾルとして、例えばスノーテックスUP、OUPや触媒化成工業(株)から出されているファインカタロイドF−120等が挙げられる。ネックレス状のシリカゾルとして、スノーテックスPS−S(粒子径80〜120nm)、PS−M(粒子径80〜150nm)及びこれらの酸性タイプであるPS−SO及びPS−MO等が挙げられる。更に、表面をアルミナ修飾したスノーテックスC(粒子径10〜20nm)を用いる事もできる。
【0022】
コロイダルシリカと好ましく併用される二酸化チタン粒子は、平均粒子径が10〜800nmの間にある球状粒子が好ましく、その製造方法は塩素法、硫酸法がありアナタース型、ルチル型、ブルカライト型等があるが、好ましくはルチル型の二酸化チタンを無機物で表面処理したものである。二酸化チタン表面の無機処理としては、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理、亜鉛処理、錫処理、アンチモン処理などがあり、それぞれの酸化物が用いられる。これらの中でもシリカ処理、ジルコニア処理、亜鉛処理が好ましく、特にシリカ処理、ジルコニア処理が好ましい。また、これらの無機処理は複合処理であってもよく、例えば、シリカとアルミナの複合処理、ジルコニアとアルミナの複合処理、シリカ、ジルコニア及びアルミナの複合処理が挙げられる。このような二酸化チタン粒子は、例えば堺化学工業(株)からR−11P(粒子径200nm)、R−21(粒子径200nm)、R−61N(粒子径260nm)、SR−1(粒子径250nm)、R−5N(粒子径250nm)、R−45M(粒子径290nm)、A−110(粒子径150nm)、A−190(粒子径150nm)、石原産業(株)からTTO−55A(粒子径30〜50nm)、TTO−55D(粒子径30〜50nm)として市販されている。これらの親水性層に使用する無機微粒子は上記の組み合わせの他に、数種類を併用することも出来る。
【0023】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の親水性層が含有する水溶性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール及びゼラチン等が挙げられるが、特に非画像部の耐地汚れ性に優れた感光性平版印刷版が得られることから、下記一般式(1)で示されるポリマーが好適に用いられる。
【0024】
【化1】

【0025】
式中Xはポリマー組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシ基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位を表し、繰り返し単位Bはポリマーを水溶性にするために必要な親水性基を有する繰り返し単位を表す。
【0026】
上記一般式(1)で示される水溶性ポリマーは後述する架橋剤との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基を分子内に含むことが重要である。こうした反応性基として、カルボキシ基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基が挙げられる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。上記一般式(1)で示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシ基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類及びアセトアセトキシメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0027】
上記一般式(1)において、繰り返し単位Aの共重合体中に於ける割合であるXは1から40であり、この範囲より少なければ架橋反応が進行しても充分な膜強度が得られない場合があり、この範囲より多ければ、下記の水溶性を付与するための繰り返し単位Bの導入による効果が薄れ、親水性層の水に対する親和性が低下する場合がある。
【0028】
更に、一般式(1)における繰り返し単位Bを与えるためのモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アクリル酸−2−(トリメチルアンモニオ)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリメチルアンモニオ)エチルエステル、アクリル酸−2−(トリエチルアンモニオ)エチルエステル、メタクリル酸−2−(トリエチルアンモニオ)エチルエステル、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−N−(4−ビニルベンジル)アンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは繰り返し単位Bを構成するために1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に於ける好ましい水溶性ポリマーの具体例を下記に示す。なお、本発明において水溶性とは1Lの水に水溶性ポリマーが0.5g以上溶解することを意味する。以下に一般式(1)で示される水溶性ポリマーの具体例を示す。
【0029】
【化2】

【0030】
【化3】

【0031】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の親水性層には水溶性樹脂を架橋するための架橋剤が好ましく利用される。かかる架橋剤としては、公知の種々の化合物が挙げられる。具体的にはエポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物及びその誘導体、ホルマリン等のアルデヒド化合物及びメチロール化合物、ヒドラジド化合物などが好ましい例として挙げられ、特に好ましい架橋剤はエポキシ化合物、アルデヒド化合物及びメチロール化合物である。
【0032】
エポキシ化合物としては分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく使用される。好ましいエポキシ化合物の具体例を下記に示す。
【0033】
【化4】

【0034】
アジリジン化合物として好ましい化合物の具体例を下記に示す。
【0035】
【化5】

【0036】
オキサゾリン化合物としては、置換基として下記一般式(2)で示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば(株)日本触媒からエポクロスの商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。
【0037】
【化6】

【0038】
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号明細書)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号明細書)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。
【0039】
ホルムアルデヒド、グリオキサール等のアルデヒド化合物及びメチロール化合物の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、及び下記に示すような種々のN−メチロール化合物を例示することができる。
【0040】
【化7】

【0041】
ヒドラジド化合物として好ましく使用できる化合物の具体例を下記に示す。
【0042】
【化8】

【0043】
上記のような種々の架橋剤と水溶性樹脂との比率に関しては好ましい範囲が存在する。水溶性樹脂100質量部に対して架橋剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0044】
更に、感光性平版印刷版が有する親水性層はアクリルポリオール樹脂を含有することが好ましい。これにより耐汚れ性と耐刷性が向上する。本発明で用いられるアクリルポリオール樹脂は水分散物として含有される態様が好ましい。
【0045】
本発明で用いられるアクリルポリオール樹脂は、例えば、水酸基を有するアクリル系モノマー及び水酸基を有さないアクリル系モノマーを共重合して得られ、一分子中に水酸基を二つ以上有するものが挙げられる。このようなアクリルポリオール樹脂としては、例えば神東塗料社製水性アクリルポリオール、DIC株式会社製アクリルポリオール(WE−301、WE−306)、住化バイエルウレタン社製のバイヒドール(VPLS2058、VPLS2235、XP2470)等が市販されており、これらを入手し使用することが出来る。
【0046】
アクリルポリオール樹脂は、前記した水溶性樹脂100質量部に対して、0.1〜0.5質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0047】
親水性層の乾燥質量に関しては好ましい範囲が存在し、具体的には、親水性層の乾燥質量が1平方メートルあたり0.6gから10gの間であり、好ましい範囲は1平方メートルあたり2gから6gの間である。
【0048】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の親水性層には、水溶性樹脂、無機微粒子、硬膜剤の他に、界面活性剤、pH調整剤等を含有することができる。
【0049】
[光重合性の感光層]
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の光重合性の感光層とは、具体的には重合性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むポリマーと光重合開始剤を含有する感光層である。重合性二重結合を有するモノマーとしては例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、β−フェニルビニルメタクリレート、β−フェニルビニルアクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロビニルメタクリレート、α−クロロビニルアクリレート、β−メトキシビニルメタクリレート、β−メトキシビニルアクリレート、ビニルチオアクリレート、ビニルチオメタクリレート等を挙げることができる。
【0050】
上記のポリマーの好ましい態様として、重合性二重結合を有するモノマーと水溶性基含有モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、4−スルホスチレン、アクリロニトリル等)を共重合成分として含む側鎖に重合性二重結合と水溶性基を有する共重合ポリマーがある。ポリマー構造中に水溶性基を含むことで、未露光部の光重合性の感光層の現像性が促進される。
【0051】
上述した共重合ポリマーのより好ましい態様として、重合性二重結合を有するモノマーとしてビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーを共重合成分として含む共重合ポリマーが挙げられる。ビニル基が置換したフェニル基とは、ベンゼン環やナフタレン環等の芳香族環にビニル基が置換されており、該ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良く、また芳香族環にも置換基を有していてもよい。ポリマー構造中の側鎖にビニル基が置換したフェニル基と水溶性基を有する共重合ポリマーを光重合性の感光層に含有せしめることで、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により高感度な感光性平版印刷版が得られる。ビニル基が置換したフェニル基とは、詳細には下記一般式(3)で表される。
【0052】
【化9】

【0053】
式中、R11、R12及びR13は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R11が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R12及びR13が水素原子であるものが特に好ましい。
【0054】
式中、R14は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。また、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
【0055】
式中、mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表す。また、Lは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子群からなる多価の連結基を表す。
【0056】
を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
【0057】
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0058】
共重合ポリマーの最も好ましい態様として、重合性二重結合を有するモノマーとしてビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーと、水溶性基含有モノマーとして構造中にカルボキシ基を有するモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、4−カルボキシスチレン、カルボキシエチルアクリレート等)を共重合成分として含む、側鎖にビニル基が置換したフェニル基とカルボキシ基を有する共重合ポリマー(以降、カルボン酸型ポリマーと称する)が挙げられる。このカルボン酸型ポリマーは構造中に有するカルボキシ基が、現像処理時に現像液に含有するアルカリ性物質(例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン等)と塩を形成し、未露光部の光重合性の感光層の現像が行われる。従って、カルボン酸型ポリマーを用いる場合は、現像処理において後述するアルカリ性現像液を用いる方法(以降、アルカリ現像と称する)が好ましく、アルカリ性現像液のpH値は10.0以上である。
【0059】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に於けるカルボン酸型ポリマーの具体例を下記に示す。
【0060】
【化10】

【0061】
また共重合ポリマーの最も好ましい態様として、重合性二重結合を有するモノマーとしてビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーと水溶性基含有モノマーとして構造中にスルホン酸基を有しているモノマー(例えば3−スルホプロピルメタクリレート、4−スルホスチレン、4−スルホ−n−ブチルメタクリルアミド、スルホ−tert−ブチルアクリルアミド等)を共重合成分として含む、側鎖にビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸基を有する共重合ポリマー(以降、スルホン酸型ポリマーと称する)が挙げられ、該スルホン酸基は塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、トリエチルアンモニウム塩、リチウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等)を形成していても良い。このスルホン酸型ポリマーは構造中に有するスルホン酸基が水溶性を高めるため、上述したアルカリ性現像液を用いてもよいが、本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版のより好ましい態様である現像液のpH値が4.0以上10.0未満の範囲内にあるケミカルレス現像液を用いる方法(以降、ケミカルレス現像と称する)が可能である。しかしながらスルホン酸型ポリマーにより形成される画像の親油性は比較的低く、印刷の際に十分な画像濃度を得ようと印刷機でインキ送り量を増やした場合、非画像部に汚れがとりわけ生じやすい。従ってこのような系においては親水性層により高い保水性を付与することが求められ、本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版はこのような系において、とりわけ好適に用いることができる。またスルホン酸型ポリマーは、前述のカルボン酸型ポリマーと同様、側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有することで、高感度化が可能となる。
【0062】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に於けるスルホン酸型ポリマーの具体例を下記に示す。
【0063】
【化11】

【0064】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の光重合性の感光層には光重合開始剤が含まれる。本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に用いられる光重合開始剤としては、光または電子線の照射によりラジカルを発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いることができる。
【0065】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に用いることのできる光重合開始剤の例としては(a)有機ホウ素塩化合物、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)アジニウム塩化合物、(g)活性エステル化合物、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)芳香族ケトン類等が挙げられ、特に好ましい光重合開始剤は(a)有機ホウ素塩化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物である。
【0066】
(a)有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号公報、特開平9−106242号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物及び有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号公報、特開平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−292014号公報、特開平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号公報、特開平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
【0067】
(b)芳香族オニウム塩化合物の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩化合物は特公昭52−14277号公報、特開昭52−14278号公報、特開昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げることができる。
【0068】
(c)有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を一個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ(tert−ブチルジパーオキシ)イソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
【0069】
(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0070】
(e)ケトオキシムエステル化合物の例としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)ブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0071】
(f)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号公報、特開昭63−142345号公報、特開昭63−142346号公報、特開昭63−143537号公報、特公昭46−42363号公報等に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0072】
(g)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号公報等に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号公報、特開昭59−174831号公報等に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
【0073】
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報等に記載のチタノセン化合物、並びに特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体等を挙げる事ができる。
【0074】
(i)トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号明細書、米国特許第3,987,037号明細書、米国特許第4,189,323号明細書、特開昭61−151644号公報、特開昭63−298339号公報、特開平4−69661号公報、特開平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、特開昭60−138539号公報、特開昭61−143748号公報、特開平4−362644号公報、特開平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0075】
(j)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」 J.P.FUOASSIER,J.F.RABEK(1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、あるいはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類を挙げることができる。
【0076】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に用いられる光重合開始剤には光酸発生剤として知られている化合物も含まれる。光酸発生剤は、光または電子線の照射により分解し、塩酸、スルホン酸等の強酸やルイス酸の如き酸を発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いることができる。本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に用いることのできる光酸発生剤の例としては、(k)芳香族ジアゾニウム塩化合物、(l)ピバリン酸−o−ニトロベンジルエステル、ベンゼンスルホン酸−o−ニトロベンジルエステル等のo−ニトロベンジルエステル類、(m)9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸−4−ニトロベンジルエステル、ピロガロールトリスメタンスルホネート、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類等のスルホン酸エステル誘導体、(n)ジベンジルスルホン、4−クロロフェニル−4′−メトキシフェニルジスルホン等のスルホン類、(o)リン酸エステル誘導体及び(p)米国特許第3,332,936号明細書、特開平2−83638号公報、特開平11−322707号公報、特開2000−1469号公報等に記載のスルホニルジアゾメタン化合物等を挙げることができる。
【0077】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版で特に好ましい光重合開始剤である有機ホウ素塩化合物は、有機ホウ素塩から構成されており、有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(4)で表される。
【0078】
【化12】

【0079】
式中、R21、R22、R23及びR24は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R21、R22、R23及びR24の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
【0080】
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム及びホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンまたはオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
【0081】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式(4)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の具体例を下記に示す。
【0082】
【化13】

【0083】
【化14】

【0084】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版において、有機ホウ素塩とともに用いることで更に高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0085】
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい具体例を下記に示す。
【0086】
【化15】

【0087】
【化16】

【0088】
上記光重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。光重合開始剤の含有量は、重合性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むポリマーの100質量部に対して、1〜100質量部の範囲が好ましく、更に1〜40質量部の範囲が特に好ましい。
【0089】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の光重合性の感光層には増感色素が含まれることが好ましい。かかる増感色素は増感色素が有する吸収極大波長に前述の光重合開始剤を増感するものである。これにより各種レーザー(例えば青紫色半導体レーザー、近赤外レーザー)による露光に対応することが可能になる。そして前記光重合開始剤が有機ホウ素塩である場合、該増感色素と組み合わせることで、各種レーザー光に対する感度が非常に高くなる特徴を有する。増感色素は、具体的には380〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素及び電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版に関わる増感色素の具体例を以下に示す。
【0090】
【化17】

【0091】
【化18】

【0092】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の増感色素として、近赤外レーザー対応のため、750〜1100nmの波長領域の光に感光性を持たせる系が好ましく、増感色素として、こうした波長領域に吸収を有することが必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい具体例を以下に示す。
【0093】
【化19】

【0094】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の増感色素として、短波長に光源を有する青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)対応に使用される特に好ましい増感色素の具体例を以下に示す。
【0095】
【化20】

【0096】
上記増感色素は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。増感色素の含有量は、重合性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むポリマーの100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲が好ましく、更に0.5〜20質量部の範囲が特に好ましい。
【0097】
光重合性の感光層を構成する他の要素として着色剤の添加も好ましく行うことができる。着色剤としては露光及び現像処理後において画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素及び顔料を使用することができる。
【0098】
光重合性の感光層を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有することもできる。例えば感光層組成物のブロッキングを防止する目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
【0099】
光重合性の感光層の乾燥質量に関しては好ましい範囲が存在し、乾燥質量で1平方メートルあたり0.2gから5gの範囲で形成することが好ましく、最も好ましい範囲は1平方メートルあたり0.5gから3gの範囲である。
【0100】
感光層を塗布する場合は、上述した要素から構成される組成物の塗液を、親水性層上に塗布、乾燥して作製される。塗布方法としては、公知の種々の方法を用いることができ、例えば、バーコーター塗布、カーテン塗布、ブレード塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、回転塗布、ディップ塗布等を挙げることができる。
【0101】
[酸素遮断層]
本発明の処理方法に用いる感光性平版印刷版は、光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する。酸素遮断層は酸素を遮断する水溶性ポリマーを含有する層であり水溶性ビニルポリマーがその代表例である。中でもポリビニルアルコールが好ましく用いられる。特に、完全鹸化型のポリビニルアルコールを用いることは感度及び保存性の観点から好ましい。
【0102】
酸素遮断層に用いるポリビニルアルコールは、必要な水溶性の発現に必要な実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有してさえいれば、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を含有しても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的には(株)クラレ製PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−405、PVA−420、PVA−613等が挙げられる。上記の共重合体としては88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマール及びポリビニルアセタール及びそれらの共重合体が挙げられる。
【0103】
酸素遮断層を塗布する際用いる溶媒としては水が好ましいが、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトンを水と混合しても良い。塗布液中の固形分濃度は1〜20質量%が適当である。
【0104】
また、酸素遮断層には更に塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤としては例えばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。
【0105】
本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版の酸素遮断層の乾燥塗布量は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択されるが、1平方メートルあたり0.1gから3gの間が好ましい。
【0106】
[現像処理方法]
本発明の感光性平版印刷版は、密着露光あるいはレーザー走査露光を行った後、pHが10以上のアルカリ性現像液やケミカルレス現像液により、非画像部を除去することでパターン形成が行われる。特に露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液あるいはケミカルレス現像液に対する溶解性が低下し、画像部が形成されるネガ型感光性平版印刷版であることが好ましい。
【0107】
本発明の感光性平版印刷版の現像処理方法としては、ケミカルレス現像液による現像を行うことが好ましい。ケミカルレス現像液は、従来から一般に用いられているアルカリ剤を多量に含有する強アルカリの現像液(通常pHは10以上)とは異なり、実質的にアルカリ剤は含まない。従って、本発明の水現像に用いられる現像液のpHは4以上10未満であり、好ましくは4以上9.5以下であり、より好ましくは4以上9以下である。ここで実質的にアルカリ剤を含まないとは、現像液の全質量に対してアルカリ剤が1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることを意味する。本発明のケミカルレス現像、あるいは水現像に用いられる現像液は、水が現像液全体の70質量%以上、更には80質量%以上を占めるものであり、他に添加剤として、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルセルソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種有機溶剤、あるいは、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤、pH緩衝剤、防腐剤等を添加することもできる。添加剤の量は添加剤の種類、目的によって異なるが、水100質量部に対して10質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下の範囲である。更に、市販の印刷版用版面保護液や、印刷版用湿し水を使用することもできる。なお、本発明の処理方法においては、上記した現像処理工程の後に、例えば水洗工程、ガム処理工程等を行っても良い。
【0108】
上述した現像処理方法において、アルカリ現像液による現像はpHが10以上のアルカリ性現像液に含まれるアルカリ剤が、光重合性の感光層の露光部の膜強度を少なからず低下させるが、ケミカルレス現像液による現像はアルカリ性化合物を含まないため、光重合性の感光層の露光部へのダメージは最小限に抑えられ、より高い画像部の耐刷性を有する。よって、本発明の処理方法に用いられる感光性平版印刷版のより好ましい現像処理方法はケミカルレス現像液による現像である。
【実施例】
【0109】
[感光性平版印刷版の作製]
【0110】
二酸化チタンとコロイダルシリカと水を、下記組成のように混合して、ホモミキサーにて8000rpmで10分間分散を行った。
【0111】
<二酸化チタン分散体を含む分散液>
SR−1(二酸化チタン粒子:堺化学工業(株)製) 10質量部(固形分)
ST−PSM(コロイダルシリカ:日産化学工業(株)製) 2質量部(固形分)
ST−C(コロイダルシリカ:日産化学工業(株)製) 2質量部(固形分)
水で50質量部に合わせた。
【0112】
<親水性層>
厚みが0.20mmの、ポリエチレンテレフタレート支持体上に特開昭60−213942号公報の実施例4に示されるエポキシ化合物を含有した下引き組成物で水性下引き加工を行ったものに対して、下記組成の親水性層塗液1をワイヤーバーにて、水溶性ポリマー(A−5)の乾燥固形分量が0.8g/mになるよう塗布し、ドライヤーを用いて乾燥した。
【0113】
<親水性層塗液1>
水溶性樹脂(WP−4:重量平均分子量10万) 1.0質量部(固形分)
架橋剤(H−6) 0.2質量部(固形分)
二酸化チタン分散体を含む分散液 2.0質量部(固形分)
シリカ粒子 0.2質量部(固形分)
(グレイスデビソン社製サイロブロックS500、平均粒子径5.1μm、細孔容積0.40ml/g)
アクリルポリオール樹脂(DIC(株)製WE301) 0.24質量部(固形分)
エタノール 5.0質量部
1Nの水酸化ナトリウムを用いてpHを7.0に調整し、水で48質量部に合わせた。
【0114】
<光重合性の感光層/酸素遮断層>
上記のようにして得られた親水性層上に、下記の光重合性の感光層塗液を20g/m(湿分塗布量)、酸素遮断層塗液を30g/m(湿分塗布量)になるよう連続塗布機にてこの順に重層塗布を行い、50℃の乾燥ゾーンにて7分間乾燥を行った。乾燥ゾーン終端での塗布物の表面温度は50℃であった。その後、乾燥ゾーン終端に直に隣接した調湿ゾーンを経て、調湿ゾーンに直に隣接した巻き取り室で巻き取った。その後、巻き取った塗布物を加温庫で24時間加温し、感光性平版印刷版1を得た。なお調湿ゾーン、巻き取り室、及び加温庫の環境は40℃40%RHである。
【0115】
<光重合性の感光層塗液>
重合体B SP−1 1.1質量部(固形分)
光重合開始剤 BC−6 0.2質量部(固形分)
光重合開始剤 T−9 0.05質量部(固形分)
増感色素 S−17 0.08質量部(固形分)
青色顔料 0.25質量部(固形分)
1,3−ジオキソラン 10ml
これを1,3−ジオキソランで20質量部に合わせた。
【0116】
<酸素遮断層塗液>
PVA105(クラレ(株)製:ポリビニルアルコール) 2.2質量部(固形分)
界面活性剤 0.5質量部
水で30質量部に合わせた。
【0117】
得られた感光性平版印刷版1に対し、405nmバイオレットレーザーを搭載したプレートセッター(三菱製紙(株)製VIPLAS)を使用して、1500dpi150線の画像を、露光量100μJ/cmで露光した。
【0118】
<現像処理>
上記露光済み版を、現像槽、水洗槽、ガム槽の全てに水を投入したP−1310T(大日本スクリーン製造(株)製)で現像温度30℃、現像条件15秒で幅×長さが450mm560mmのプレートを連続して1000版の製版を行い、この中から100版おきに印刷用のプレートとしてサンプリングをした。なお連続した1000版の製版中、補充は液面が低下した分だけ水を補充した。これを比較例1とする。
【0119】
一方、現像槽に投入した水に、特許公報第3489848号公報に記載の菌(シュードモナス・エスピー113P3(受託番号:FERMP−13483))を投入して現像処理した以外は上記比較例と同様にして、連続して1000版の製版を行い100版おきに印刷用のプレートをサンプリングした。これを本発明1とする。
【0120】
また現像槽に投入した水に、特開2006−42612号公報記載の菌(ミクロバクテリウム・レバニフォルマンスKSS11株(受託番号:FERM−P−20081))を投入して現像処理した以外は上記比較例と同様にして、連続して1000版の製版を行い100版おきに印刷用のプレートをサンプリングした。これを本発明2とする。
【0121】
なお本発明1及び本発明2の処理方法において、それぞれ現像槽内の菌の投入量は、液の600nmの光の吸光度を分光光度計から求め、それを濁度とした。菌数の濁度に対する検量線から、この時の菌数がおよそ6×10cfu/mlである事を確認した。
【0122】
<耐印刷汚れ性評価方法>
上記した比較例1、本発明1及び2の処理方法で100版おきにサンプリングされた各々のプレートについて、印刷汚れ評価を行った。印刷は、サンプリングしたプレートを印刷機リョービ660に装着し、給湿液としてSLM−OD50(三菱製紙(株)製)の2質量%液、インキとしてDIC(株)製Fグロス紫(ソフトタイプ)を用いて印刷を行い、印刷開始から1000枚目より1000枚毎に1万5000枚目までの印刷物をサンプリングした。印刷時の条件は室内温度が23℃、室内湿度が55%RHである。
【0123】
<耐印刷汚れ性評価基準>
上記の印刷開始後1000枚目から1万5000枚目の印刷物(1000枚毎)において、非画像部の印刷汚れを目視にて以下の基準で評価した。結果を表1に示す。なお、評価基準の数値が大きいほど耐汚れ性に優れる。
5:1万5000枚目まで印刷しても地汚れが見られない。
4:1万枚目〜1万4000枚目の間に非画像部に地汚れが発生する。
3:6000枚目〜9000枚目の間に非画像部に地汚れが発生する。
2:3000枚目〜5000枚目の間に非画像部に地汚れが発生する。
1:2000枚目以下で非画像部に地汚れが発生する。
【0124】
【表1】

【0125】
表1から判るように本発明の処理方法により、長期間液交換を行わない場合でも、良好な耐印刷汚れ性が得られる事が判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に光重合性の感光層を有し、該光重合性の感光層よりも支持体から離れた側に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版の処理方法であって、該感光性平版印刷版を、ポリビニルアルコール分解菌を含有する処理液にて処理する事を特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。