説明

感光性平版印刷版

【課題】支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版において、特に高湿度の環境下においても、感度が安定した感光性平版印刷版を提供する。
【解決手段】支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版において、保護層と光重合性感光層の間に中間層を有し、保護層はケン化率80モル%未満のポリビニルアルコールを主成分とし、中間層はケン化率80モル%以上のポリビニルアルコールを主成分とすることを特徴とする感光性平版印刷版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版に関する。特に高湿度の環境下においても、感度が安定した感光性平版印刷版に関する。
【背景技術】
【0002】
製版システムのデジタル化に伴い、コンピューター画面上で組版したデータを直接平版印刷版に出力するコンピュータートゥープレートシステム(CTPシステムと呼ぶ)に適した印刷版の需要が高まっている。特に、従来の平版印刷版では通常行われていた特殊な薬品を使用した現像システムから、実質的に強アルカリ剤を含有しないケミカルレス現像液によって現像できる平版印刷版が注目されている。
【0003】
これらのCTPシステムにおいては、強アルカリ剤に代表される特殊な現像用薬品を使用しないために、処理薬品コストがかからない、あるいは廃液処理コストが安く済むと同時に環境負荷低減のメリットを持つ。
【0004】
ケミカルレス現像液による現像が可能な平版印刷版としては、特定の波長の光に感光性を有する光重合性感光層と保護層を親水性層の上に順に設け、露光後にケミカル現像することによって未露光部を除去する方法がある。このような光重合性感光層を得るための光重合性組成物としては特開2010−224188号公報(特許文献1)に記載される。同公報によれば、プラスチックフィルム支持体上に、少なくとも親水性層と光重合性感光層と保護層を順に有するネガ型感光性平版印刷版であるが、特に高湿度の環境下において感度が変動するといった課題を有する。
【0005】
また特開2004−94154号公報(特許文献2)、特開2004−38088号公報(特許文献3)では、支持体上に少なくともエチレン性不飽和結合を有する化合物、アルカリ可溶性ポリマー及び光重合開始剤を含有する光重合性感光層とポリビニルアルコール及びアセチレン化合物を含有する保護層を設ける方法が開示されており、特開2005−271284号公報(特許文献4)では、支持体上に光重合性感光層と部分変性ポリビニルアルコールを含有する保護層を設ける方法が開示されているが、これらの感光性平版印刷版も特に高湿度の環境下において感度が変動するといった課題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−224188号公報
【特許文献2】特開2004−94154号公報
【特許文献3】特開2004−38088号公報
【特許文献4】特開2005−271284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版において、特に高湿度の環境下においても、感度が安定した感光性平版印刷版を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の発明により達成された。
1)支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版において、保護層と光重合性感光層の間に中間層を有し、保護層はケン化率80モル%未満のポリビニルアルコールを主成分とし、中間層はケン化率80モル%以上のポリビニルアルコールを主成分とすることを特徴とする感光性平版印刷版。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に高湿度の環境下においても感度が安定した感光性平版印刷版を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の感光性平版印刷版としては、支持体上に少なくとも光重合性感光層、中間層、保護層を順に有しており、保護層はケン化率80モル%未満のポリビニルアルコール(以降、低ケン化PVAと称する)を主成分とし、中間層はケン化率80モル%以上のポリビニルアルコール(以降、高ケン化PVAと称する)を主成分とする。
【0011】
本発明の保護層について説明する。保護層は特に水分(湿気)の透過性を減少させることで、下述する中間層の酸素遮蔽性の性能を一定にする働きがあり、低ケン化PVAを主成分とする保護層である。保護層中の低ケン化PVAの含有比は50質量%以上であり、好ましくは75質量%以上である。保護層には低ケン化PVA以外に水溶性ポリマー(例えば水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム等)や界面活性剤等を含有してもよい。保護層の乾燥質量の好ましい範囲は1平方メートル当たり0.3g以上であり、より好ましくは0.5g以上である。
【0012】
低ケン化PVAは、重合度が200〜4000の範囲のものが好ましく、また構造中に何らかの部分変性を施しても良い。低ケン化PVAの具体例としては、株式会社クラレ製としてL−8、L−9、L−9−78、L−10、PVA−505等、日本合成化学工業株式会社製としてKP−08R、NK−05R等が挙げられる。
【0013】
本発明の中間層について説明する。中間層に適用される高ケン化PVAは、光重合性感光層の上に酸素遮断性を付与することで、光重合性感光層の感度を上げることができる。しかしながら、高ケン化PVAは水分(湿気)の影響を受けやすく、特に作業環境の湿度が高い場合、PVA膜に水分(湿気)を含み、酸素遮断性を著しく損ない感度が低下する。従って、本発明の保護層が必要になる。具体的に中間層は、高ケン化PVAを主成分としており、中間層中の高ケン化PVAの含有比は50質量%以上であり、好ましくは75質量%以上である。中間層には高ケン化PVA以外に水溶性ポリマー(例えば水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム等)や界面活性剤等を含有してもよい。中間層の乾燥質量の好ましい範囲は1平方メートル当たり0.3g以上であり、より好ましくは0.5g以上である。
【0014】
高ケン化PVAは、重合度が200〜4000の範囲のものが好ましく、また構造中に何らかの部分変性を施しても良い。ケン化率80モル%以上のポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製としてPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−405、PVA−613、PVA−706等、日本合成化学工業株式会社製としてNL−05、NM−14、NH−18、NH−26、AL−06R、P−610、A−300、AH−17、GL−05、GL−03、GM−14L、GH−20等が挙げられる。
【0015】
本発明の感光性平版印刷版として、例えば陽極酸化被膜を有するアルミ支持体上に光重合性感光層と中間層と保護層を順に有する感光性平版印刷版が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂被覆紙やプラスチックフィルム支持体上に、現像後に非画像部として作用する親水性層(以降、親水性層と称する)と光重合性感光層と中間層と保護層を順に有する感光性平版印刷版が挙げられ、支持体の裏側(支持体からみて光重合性感光層面の反対面)には裏層を設けても良い。支持体としてプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等が挙げられ、前述のポリオレフィン樹脂被覆紙やプラスチックフィルム支持体の表面は、親水性層との接着性を良好にし、非画像部に保水性を与える目的で、各種親水化処理を施してもよい。
【0016】
本発明の感光性平版印刷版の現像処理システムとしては、従来から一般に用いられているアルカリ剤を多量に含有する強アルカリの現像液(通常pHが10を超える)を用いてもよいが、本発明の好ましい態様としては、環境負荷の低いケミカルレス現像液による現像システム(以降、ケミカルレス現像と称する)が挙げられる。本発明の現像に用いられるケミカルレス現像液は、実質的にアルカリ剤を含有しない現像液であり、かかるケミカルレス現像液の好ましいpHは10以下であり、より好ましくはpH9.5以下であり、更に好ましくはpH9以下である。pHの下限は3程度である。本発明のケミカルレス現像に用いられる現像液は、水が現像液全体の70質量%以上、更には80質量%以上を占めるものであり、他に添加剤として、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルセルソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種有機溶剤、あるいはアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤等を添加することもできる。
【0017】
本発明の感光性平版印刷版における光重合性感光層の好ましい態様としてケミカルレス現像に適応した光重合性感光層が挙げられ、ケミカルレス現像液による非画像部の除去を可能とするため、用いる感光性ポリマーとしてはイオン性の親水性基を有する感光性ポリマーを含有するものであることが好ましい。イオン性の親水性基を有する感光性ポリマーとしては、側鎖に重合性二重結合を有するカチオン性水溶性重合体(以降、重合体Aと称す)または側鎖に重合性二重結合を有しかつスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を有する水溶性重合体(以下、重合体Bと称す)が挙げられる。
【0018】
本発明に用いられる重合体Aとは、カチオン性基を有する水溶性ポリマー中の側鎖に重合性二重結合が導入されている重合体を表す。以下に重合体Aについて詳細に説明する。
【0019】
重合体Aにおけるカチオン性基とは、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基から選ばれる基であり、これらのうち4級アンモニウム基が最も好ましい。
【0020】
上述した有機オニウム基を導入した重合体は、特公昭55−13020号公報、特開昭55−22766号公報、特開平11−153859号公報、特開2000−103179号公報、米国特許第4,693,958号明細書、米国特許第5,512,418号明細書に記載されている従来公知の化学反応を用いて合成することができる。すなわち、所望の有機オニウム基を含有するモノマーを重合反応させたり、重合体を構成するポリマー鎖上に導入された三価のN原子、二価のS原子あるいは三価のP原子等を、通常のアルキル化反応によって、有機オニウム基に変換する方法が挙げられる。更にはアミン類、スルフィド類、ホスフィン類のような求核試薬とポリマー鎖上の脱離基(例えば、スルホン酸エステル類やハロゲン化物)との求核置換反応により、ポリマー主鎖または側鎖に有機オニウム基を導入する方法も挙げられる。
【0021】
感光性ポリマーの側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、β−フェニルビニルメタクリレート、β−フェニルビニルアクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロビニルメタクリレート、α−クロロビニルアクリレート、β−メトキシビニルメタクリレート、β−メトキシビニルアクリレート、ビニルチオアクリレート、ビニルチオメタクリレート等が挙げられる。
【0022】
重合体Aにおいて、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体が特に好ましい。本発明においてビニル基が置換したフェニル基は、適当な連結基を介して重合体中に導入されている場合が好ましい。この場合の連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。更に該ビニル基及び該フェニル基は置換基を有していても良い。ビニル基が置換したフェニル基を導入した重合体としては、更に詳細には下記一般式(1)で表される基を側鎖に有するものである。
【0023】
【化1】

【0024】
式中、R、R及びRは、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、Rが水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
【0025】
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
【0026】
式中、mは1〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
【0027】
式中、Lは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群から成る多価の連結基を表す。具体的には下記に例示される構造単位より構成される基及び下記に示す複素環基が挙げられる。これらの基は単独でも任意の2つ以上が組み合わされていても良い。
【0028】
【化2】

【0029】
を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
【0030】
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0031】
連結基Lを構成する任意の原子団において、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が特に好ましく利用される。連結基中に、こうした有機オニウム基が含まれない場合においては主鎖を構成する繰り返し単位中に、別途有機オニウム基を有する繰り返し単位を含むことが必要である。
【0032】
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はなく、例えば特公昭49−34041号公報、特公平6−105353号公報、特開2000−181062号公報、特開2000−187322号公報等に示されるような、いずれの方法を用いても良い。これらの場合には予め前駆体であるポリマーを合成する際に、有機オニウム基を有する繰り返し単位を共重合体の形で導入しておくか、前駆体ポリマーに重合性不飽和結合基を導入した形で、上述した方法等により、有機オニウム基を形成することが必要である。
【0033】
重合体Aを構成することができるモノマーの具体例としては、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、(4−ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩モノマー、ジメチル−2−メタクリロイルオキシエチルスルホニウムメトスルフェート等の3級スルホニウム塩モノマー、2−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレン、2−クロロエチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート等のハロゲン化アルキル基含有モノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、重合体Aは、任意の他のモノマーとの共重合体を構成していても良く、これら共重合体を構成するモノマーは水溶性であっても非水溶性であっても良い。水溶性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ベニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メタクリル酸のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
【0035】
また、ケミカルレス処理時の現像性を最適化し、画像部の強度を向上させるために、非水溶性の任意のモノマーとの共重合体を形成することも好ましく行われ、これらの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類またはアリールアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを挙げることができる。これらの任意の組み合わせで構成される共重合体を重合体Aとして使用することができる。
【0036】
ビニル基が置換したフェニル基を主鎖に結合するための連結基を構成する任意の原子団において、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が最も好ましい。この場合においては、重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基の数と有機オニウム基の数が正比例するため、感度を向上させるために重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基が多いほど好ましい。上述したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合の重合体の単位構造は、具体的には下記一般式(2)で表すことができる。
【0037】
【化3】

【0038】
式中、Aはアンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基から選ばれる有機オニウム基を表し、n及びnはそれぞれ0または1の整数を表す。Aがヨードニウム基の場合はn=n=0であり、Aがスルホニウム基の場合はn=1かつn=0であり、Aがアンモニウム基またはホスホニウム基の場合はn=n=1である。
【0039】
式中、R及びRは、同じであっても異なっていても良く、それぞれアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、またはアリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基等)を表し、これらの基は置換されていても良く、この場合の置換基の例としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。更にR及びRは、前記一般式(1)で表されるビニル基が置換したフェニル基を含有する基であっても良い。
【0040】
式中、R、R及びRは、同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式(1)におけるR、R及びRと同義である。これらの基の中でもRが水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R及びRが水素原子であるものが特に好ましい。R10は、前記一般式(1)におけるRと同義である。L及びLは、それぞれ独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(1)におけるLと同義である。mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
【0041】
また、Aで表される有機オニウム基を形成するN原子、S原子及びP原子等と、R、RあるいはL、Lから任意に選ばれる基とが組み合わさって環構造(例えば、ピリジニウム環、2−キノリウム環、モルホニウム環、ピペリジニウム環、ピロリジニウム環、テトラヒドロチオフェニウム環等)を形成していても良い。これら環構造は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
【0042】
また、本発明の重合体Aの中には、上記したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合した繰り返し単位を有する重合体の他に、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とを有する重合体も用いることができる。
【0043】
本発明における重合体Aの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
【0044】
【化4】

【0045】
【化5】

【0046】
【化6】

【0047】
【化7】

【0048】
重合体Aを構成する各繰り返し単位が、全重合体中に占める割合については好ましい範囲が存在する。上述したように側鎖に重合性二重結合がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合には、その繰り返し単位が重合体トータル組成の10質量%から80質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0049】
また、重合性二重結合が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とからなる重合体の場合には、重合性二重結合を有する繰り返し単位が5質量%から50質量%の範囲にあることが特に好ましい。そして、カチオン性基を有する繰り返し単位が占める割合は、30質量%から95質量%の範囲にあることが好ましく、50質量%から90質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0050】
重合体Aの分子量については好ましい範囲が存在し、重量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。本発明における重合体Aは、1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
【0051】
次に、側鎖に重合性二重結合を有し、かつスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を有する水溶性重合体(重合体B)について詳細に説明する。
【0052】
重合体Bは、側鎖に重合性二重結合及びスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基がそれぞれ直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した重合体である。これらの連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。重合性二重結合及びスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基は、それぞれ独立して主鎖に結合していても良いし、あるいは重合性二重結合とスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基が連結基の一部または全部を共有する形で結合していても良い。
【0053】
感光性ポリマーの側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、β−フェニルビニルメタクリレート、β−フェニルビニルアクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロビニルメタクリレート、α−クロロビニルアクリレート、β−メトキシビニルメタクリレート、β−メトキシビニルアクリレート、ビニルチオアクリレート、ビニルチオメタクリレート等が挙げられる。
【0054】
重合体Bにおいても重合体Aと同様に、ビニル基が置換したフェニル基を有する重合体が特に好ましい。ビニル基が置換したフェニル基は、適当な連結基を介して重合体中に導入されている場合が好ましい。この場合の連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。更に該ビニル基及び該フェニル基は、置換基を有していても良い。かかる置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
【0055】
重合体Bは、更に詳細には、下記一般式(3)及び(4)で表される基を側鎖に有するものである。
【0056】
【化8】

【0057】
式中、R11、R12及びR13は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式(1)に於けるR、R及びRと同義であり、R14は前記一般式(1)に於けるRと同義である。Lは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子群から成る多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(1)におけるLと同義である。mは0〜4の整数を表し、pは0または1の整数を表し、qは1〜4の整数を表す。
【0058】
上記一般式で表される基の中でも、R11が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であり、かつR12及びR13が水素原子であるものが好ましい。また、連結基Lとしては複素環を含むものが好ましく、qは1または2の整数が好ましい。
【0059】
【化9】

【0060】
式中、Lは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(1)におけるLと同義である。更にLは前記一般式(3)のLの一部または全部を共有しても良い。
【0061】
式中、Xはスルホアニオンを中和するのに必要な電荷を持つカチオンを表す。このようなカチオンの具体例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン等の無機イオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)、有機アンモニウムイオン(例えばアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等)、ヨードニウムイオン(例えばフェニルヨードニウム等)、スルホニウムイオン(例えばトリフェニルスルホニウム等)、ジアゾニウムイオン等が挙げられ、これらの中でもアルカリ金属イオンまたは有機アンモニウムイオンが特に好ましい。
【0062】
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はないが、該ビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーを重合させた場合には、該ビニル基も反応し、ゲル化を起こしてしまうことが予想され好ましくない。このため、ビニル基が置換したフェニル基を有さない前駆体ポリマーを合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該ビニル基が置換したフェニル基を導入する方法が特に好ましい。
【0063】
重合体中にスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を導入する方法については特に制限はなく、該スルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を有するモノマーを共重合させても良いし、スルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を有さない前駆体ポリマーを合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該スルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を導入しても良い。
【0064】
本発明の重合体Bは、上述した側鎖に重合性二重結合を有する繰り返し単位、及びスルホン酸基及びスルホン酸塩基から選ばれる基を有する繰り返し単位からのみなる重合体であってもよいし、あるいは本発明の効果を妨げない限り、更に他の繰り返し単位を導入した重合体であっても良い。また更に、他のモノマーとの共重合体であっても良く、このようなモノマーの具体例としては、重合体Aで例示した全ての水溶性モノマー及び非水溶性モノマーが挙げられ、これらモノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
【0065】
本発明の重合体Bの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
【0066】
【化10】

【0067】
【化11】

【0068】
【化12】

【0069】
【化13】

【0070】
【化14】

【0071】
本発明の重合体Bの重量平均分子量は、1000から100万の範囲であることが好ましく、更に1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。本発明における重合体Bは1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
【0072】
前述した本発明のイオン性の親水性基を有する感光性ポリマーの水に対する溶解性については好ましい範囲が存在する。すなわち、25℃のイオン交換水100mlに対して前記感光性ポリマーは0.5g以上溶解することが好ましく、更に2.0g以上溶解することが特に好ましい。
【0073】
上述したイオン性の親水性基を有する感光性ポリマーを用いた光重合性感光層の中で、特に、重合体Bを用いた光重合性感光層が、画像部の強度が特に優れている点で好ましい。
【0074】
本発明の光重合性感光層は、上述したイオン性の親水性基を有する感光性ポリマーの他に、任意の公知の各種バインダー樹脂を混合して用いることもできる。この場合のバインダー樹脂は特に制限されず、具体的には、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂、ポリヒドロキシベンザール、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。
【0075】
本発明に関わる光重合性感光層は、感光性ポリマーと共に光重合開始剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる光重合開始剤としては、光または電子線の照射によりラジカルを発生し得る化合物であれば任意の化合物を用いることができる。
【0076】
本発明に用いることのできる光重合開始剤の例としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)アジニウム化合物、(g)活性エステル化合物、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、および(j)有機ホウ素化合物等が挙げられる。
【0077】
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATIO CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、あるいはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42684号公報に記載のクマリン類を挙げることができる。
【0078】
(b)芳香族オニウム塩の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩は、特公昭52−14277号公報、特公昭52−14278号公報、特公昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げることができる。
【0079】
(c)有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を一個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
【0080】
(d)ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0081】
(e)ケトオキシムエステルの例としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0082】
(f)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号公報、特開昭63−142345号公報、特開昭63−142346号公報、特開昭63−143537号公報、特公昭46−42363号公報等に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0083】
(g)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号公報等に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号公報、特開昭59−174831号公報等に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
【0084】
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報等に記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。具体的なチタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
【0085】
(i)トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号明細書、米国特許第3,987,037号明細書、米国特許第4,189,323号明細書、特開昭61−151644号公報、特開昭63−298339号公報、特開平4−69661号公報、特開平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、特開昭60−138539号公報、特開昭61−143748号公報、特開平4−362644号公報、特開平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0086】
(j)有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号公報、特開平9−106242号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物及び有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号公報、特開平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−292014号公報、特開平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号公報、特開平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
【0087】
また、本発明の光重合性感光層を、400〜430nmの波長域の青紫色光による露光に対応させる場合には、(d)ヘキサアリールビイミダゾール、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
【0088】
また、本発明の光重合性感光層を750〜1100nmの波長域の近赤外〜赤外光による露光に対応させる場合には(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素塩化合物が特に好ましい。
【0089】
上記光重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。特に、(i)トリハロアルキル置換化合物と(j)有機ホウ素塩化合物を組み合わせて用いた場合には、感度が大幅に向上するために好ましい。光重合開始剤の光重合性感光層中に占める含有量は、前記重合体に対して1〜100質量%の範囲が好ましく、更に1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
【0090】
本発明に関わる光重合開始剤については特に有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)を組み合わせて用いることである。
【0091】
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(5)で表される。
【0092】
【化15】

【0093】
式中、R31、R32、R33及びR34は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらのうちで、R31、R32、R33及びR34のうちの一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
【0094】
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム及びホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンまたはオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
【0095】
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式(5)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
【0096】
【化16】

【0097】
【化17】

【0098】
本発明において、有機ホウ素塩と共に用いることで更に高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0099】
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を下記に示す。
【0100】
【化18】

【0101】
【化19】

【0102】
上記重合開始剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。重合開始剤の含有量は、イオン性の親水性基を有する感光性ポリマー100質量部に対して1〜100質量部の範囲が好ましく、更に1〜40質量部の範囲が特に好ましい。
【0103】
本発明に於ける光重合性感光層を構成する他の好ましい要素として、分子内に重合性不飽和結合基を有する重合性モノマーを挙げることができる。重合性不飽和結合基とは、重合開始剤の作用により、光重合反応あるいは光架橋反応に寄与しうるエチレン性不飽和二重結合基を表す。特に、分子内に重合性不飽和結合基を2つ以上有する多官能重合性モノマーを使用することが好ましい。このような重合性モノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート系モノマー、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えた多官能メタクリレート系モノマー、同様にイタコン酸エステル系モノマー、クロトン酸エステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー等が挙げられる。
【0104】
他の重合性モノマーの例としては、スチレン誘導体が挙げられる。このスチレン誘導体としては、分子内に2つ以上のビニルフェニル基を有する化合物が好ましい。例えば、1,4−ジビニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ビス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル]プロパン、1,1,2,2−テトラキス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル]エタン、α,α,α′,α′−テトラキス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)]p−キシレン、1,2−ビス(4−ビニルベンジルチオ)エタン、1,4−ビス(4−ビニルベンジルチオ)ブタン、ビス[2−(4−ビニルベンジルチオ)エチル]エーテル、2,5−ビス(4−ビニルベンジルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,4,6−トリス(4−ビニルベンジルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N−ビス(4−ビニルベンジル)−N−メチルアミン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−ビニルベンジル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−ビニルベンジル)p−フェニレンジアミン、マレイン酸ビス(4−ビニルベンジル)エステル等が挙げられる。
【0105】
あるいは、上記の重合性モノマーに代えてラジカル重合性を有する重合性オリゴマーも好ましく用いることができる。例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等を重合性モノマーと同様に用いることができる。
【0106】
本発明に関わる光重合性感光層中には、光波長域が400〜430nmの波長域もしくは750〜1100nmの波長域に光吸収を有し、前述の光重合開始剤をこれらの波長において増感する化合物を併せて含有することが好ましい。400〜430nmの波長域の感度を増大される化合物としてシアニン系色素、特開平7−271284号公報、特開平8−29973号公報等に記載されるクマリン系化合物、特開平9−230913号公報、特開2001−42524号公報等に記載されるカルバゾール系化合物や、特開平8−262715号公報、特開平8−272096号公報、特開平9−328505号公報等に記載されるカルボメロシアニン系色素、特開平4−194857号公報、特開平6−295061号公報、特開平7−84863号公報、特開平8−220755号公報、特開平9−80750号公報、特開平9−236913号公報等に記載されるアミノベンジリデンケトン系色素、特開平4−184344号公報、特開平6−301208号公報、特開平7−225474号公報、特開平7−5685号公報、特開平7−281434号公報、特開平8−6245号公報などに記載されるピロメチン系色素、特開平9−80751号公報などに記載されるスチリル系色素、あるいは(チオ)ピリリウム系化合物等が挙げられる。これらのうち、シアニン系色素またはクマリン系化合物あるいは(チオ)ピリリウム系化合物が好ましい。好ましく用いることのできるシアニン系色素の例を下記に示す。
【0107】
【化20】

【0108】
【化21】

【0109】
400〜430nmの波長域の感度を増大されるために用いることのできる好ましいクマリン系化合物としての例を下記に示す。
【0110】
【化22】

【0111】
【化23】

【0112】
【化24】

【0113】
400〜430nmの波長域の感度を増大されるために用いることのできる好ましい(チオ)ピリリウム系化合物としての例を下記に示す。
【0114】
【化25】

【0115】
750〜1100nmの波長域における増感色素として、シアニン系色素、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ系化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム系化合物、(チオ)ピリリウム系化合物が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、米国特許第5,227,227号明細書に記載の化合物も用いることができる。
【0116】
750〜1100nmの波長域の近赤外光に対応する好ましい増感色素の例を下記に示す。
【0117】
【化26】

【0118】
【化27】

【0119】
上記のような増感色素の含有量には好ましい範囲が存在し、光重合性感光層1平方メートル当たり1〜300mgの範囲で添加することが好ましく、更に1平方メートル当たり5〜200mgの範囲で添加することが特に好ましい。
【0120】
本発明の感光性平版印刷版は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。特に、重合性不飽和結合基の熱重合あるいは熱架橋を防止し、長期にわたる保存性を向上させる目的で、種々の重合禁止剤を添加することが好ましく行われる。この場合の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物等が好ましく使用され、特にハイドロキノンが好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、前記感光性ポリマー100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0121】
光重合性感光層が含有する他の要素として、着色剤の添加も好ましく行うことができる。着色剤としては、露光及び現像処理後において、画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素及び顔料を使用することができ、前記感光性ポリマー100質量部に対して0.5質量部から50質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0122】
光重合性感光層の乾燥質量に関しては好ましい範囲が存在し、乾燥質量で1平方メートルあたり0.2gから5gの範囲で形成することが好ましく、最も好ましい範囲は1平方メートルあたり0.5gから3gの範囲である。
【0123】
感光性平版印刷版を得るには、上述した光重合性感光層に含まれる添加剤を有機溶剤(例えば1、3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、トルエン、DMF等)に溶解し、塗布施設にて支持体上に塗設し、乾燥させる方法が一般的であるが、下記の通り光重合性感光層に含まれる添加剤を水中で乳化分散させて、塗液にする方法を用いることもできる。
【0124】
例えば、本発明の光重合性感光層に含まれる水に不溶性の化合物(例えば重合開始剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、増感色素、重合禁止剤等)を乳化分散させるためには、水中にスルホン酸塩基を有する水溶性ポリマー(例えば重合体B等)とアニオン性界面活性剤を溶解し、水に不溶性の化合物は揮発性の有機溶剤である酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、1、3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、メタノール等で溶解し、両者をホモミキサーやホモジナイザーなどの市販される装置により乳化分散液が作製できる。好ましくは、乳化分散液に熱を加える方法、系を減圧にすること方法等で、揮発性の有機溶剤を乳化分散液から除くことで、乳化分散液はより安定になる。乳化分散液は水等で希釈することが可能であり、更に他の水溶性添加剤を加えて、塗液として塗布することができる。なお、本発明において水不溶性とは、25℃の水に対する溶解度(水100gに対するg数)が0.1未満であることを意味する。
【0125】
本発明の支持体としてRCベースやプラスチックフィルムベースを用いる場合、これらの支持体と光重合性感光層との間に親水性層が好適に用いられる。
【0126】
親水性層は、水溶性ポリマーと架橋剤を含むことで印刷時に非画像部として作用する親水性を得ることができる。該水溶性ポリマーとしては特に限定されず、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール等のポリマーを用いることができる。
【0127】
更に、本発明では以下の一般式(6)に示される水溶性ポリマーがより好ましく使用される。
【0128】
【化28】

【0129】
上式において、wは共重合体組成中に占める繰り返し単位の質量%を表し、1から40までの任意の数値を表す。繰り返し単位Aは反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基から選ばれる基を有する繰り返し単位である。繰り返し単位Bは共重合体を水溶性にするために必要な親水性基を有する繰り返し単位である。
【0130】
上記一般式(6)で示される水溶性ポリマーは後述する架橋剤との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基を分子内に含むことが必要である。こうした反応性基としてカルボキシル基、アミノ基、水酸基、アセトアセトキシ基が挙げられる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込むことが好ましく行われる。一般式(6)で示す繰り返し単位Aに対応するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類及びアセトアセトキシメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0131】
上記一般式(6)において、繰り返し単位Aの共重合体中に於ける割合であるwは1から40までの範囲にあり、この範囲未満では架橋反応が進行しても耐水性が発揮できないことがあり、この範囲を超えれば、下記の水溶性を付与するための繰り返し単位Bの導入による効果が薄れ、親水性層の水に対する親和性が低下することがあるため好ましくない。
【0132】
更に、一般式(6)における繰り返し単位Bを与えるためのモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホ基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化2−トリメチルアンモニウムエチルアクリレート、塩化2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、塩化2−トリエチルアンモニウムエチルアクリレート、塩化2−トリエチルアンモニウムエチルメタクリレート、塩化3−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、塩化N,N,N−トリメチル−N−(4−ビニルベンジル)アンモニウム等の4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは繰り返し単位Aを構成するために1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。本発明に於ける好ましい水溶性ポリマーの例を下記に示す。
【0133】
【化29】

【0134】
【化30】

【0135】
これら水溶性ポリマーの重量平均分子量は5000〜500000が好ましく、更に10000〜200000の間がより好ましい。これより分子量が低い場合、親水性層が水と接触すると溶解したり、剥がれたりする。またこの範囲を超えると、塗液の粘度が高くなり、均一な塗布が困難になる。
【0136】
これらの水溶性ポリマーの塗布量は、1平方メートル当たり0.5〜5gが好ましく、更に好ましくは0.5〜3gの間である。
【0137】
親水性層が含有する架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン基を有する化合物、イソシアネート化合物、ヒドラジド化合物が挙げられる。本発明に用いられるエポキシ化合物は、水またはメタノールやエタノールに可溶なものであり、分子内に親水性基と2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。以下に化合物の好ましい例を挙げる。
【0138】
【化31】

【0139】
これらの化合物はナガセケムテックス(株)より「デナコール」の商品名で販売されており、容易に入手できる。
【0140】
上記のようなエポキシ化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基やアミノ基が特に好ましい。
【0141】
オキサゾリン基を有する化合物としては、置換基として下記で示す基を分子内に2個以上含む化合物が好ましく、市販される各種化合物として例えば、(株)日本触媒から「エポクロス」の商品名で提供される各種グレードの化合物が好ましく使用される。こうしたオキサゾリン基を有する化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、カルボキシル基が特に好ましい。
【0142】
【化32】

【0143】
イソシアネート化合物としては、水中で安定である化合物が好ましく、いわゆる自己乳化性イソシアネート化合物や、ブロックイソシアネート化合物が好ましく使用される。自己乳化性イソシアネート化合物としては、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号明細書)、特開平5−222150号公報(米国特許第5,252,696号明細書)、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平10−60073号公報等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内、一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物が極めて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。こうしたイソシアネート化合物の具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成工業(株)からデュラネートWB40あるいはWX1741等の名称で入手可能である。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば特開平4−184335号公報、特開平6−175252号公報等に見られるように、重亜硫酸塩、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、活性メチレン類等でブロックされたブロックイソシアネートが好ましく用いられる。こうしたイソシアネート化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、水酸基やアミノ基が特に好ましい。
【0144】
ヒドラジド化合物として好ましく使用できる化合物の例を下記に示す。こうしたヒドラジド化合物と該水溶性ポリマーとの間で効率的に架橋反応が進行するためには、該水溶性ポリマー中に含まれる反応性基としては、アセトアセトキシ基のような活性メチレン基が特に好ましい。
【0145】
【化33】

【0146】
上記のような種々の架橋剤と水溶性ポリマーとの比率に関しては好ましい範囲が存在する。該水溶性ポリマー100質量部に対して架橋剤は1〜40質量部の範囲で用いることが好ましく、1質量部未満では架橋耐水化が不十分であり、印刷中に親水性層の剥離が生じる場合がある。逆に40質量部を超えて用いた場合には、親水性層の水に対する親和性が低下し、非画像部の耐地汚れ性の悪化となる場合がある。
【0147】
本発明に用いる親水性層は、画像部の接着性を良好にし、かつ非画像部の親水性を高めるために、コロイダルシリカを含有することが好ましい。本発明に用いられるコロイダルシリカは、形状は球形でも良いし、鎖状、あるいはパールネックレス状のコロイダルシリカも好ましく用いられる。
【0148】
コロイダルシリカはSiO単体から構成されるものでも良いが、シリカの分散性のpH依存性を変えるためにAl等で表面を若干修飾したものを用いても良い。また、親水性層の塗液のpHによって、コロイダルシリカのアルカリ分散液、酸性分散液を選択して用いることができる。
【0149】
球状のコロイダルシリカとしては、例えば日産化学工業(株)製の「スノーテックスXS」、「スノーテックスS」、「スノーテックス20」、「MP−2040」、「MP−1040」、「スノーテックスZL」等が挙げられる。これらのコロイダルシリカはpHが9以上であるが、酸性の塗液を作成する場合には、Naイオンを脱塩して酸性にした「スノーテックスO」、「スノーテックスOL」等を用いることもできる。鎖状シリカとしては日産化学工業(株)製の「スノーテックスUP」、ネックレス状シリカとしては「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」が挙げられる。
【0150】
親水性層に含有するコロイダルシリカの量は、前記した水溶性ポリマーとコロイダルシリカの質量比が、4:1〜1:4であることが好ましく、より好ましくは2:1〜1:3の間である。コロイダルシリカは単一の種類を添加しても良いし、2種以上を混合しても良い。混合する場合はコロイダルシリカの全固形分量と本発明の水溶性ポリマーとの質量比が上記質量比になることが好ましい。
【0151】
他に親水性層に添加してもよい化合物として、露光時以外の光を遮る、ハレーションを防止する等の目的に、染料や顔料を添加しても良いし、酸化チタンや二酸化ケイ素等の無機微粒子を添加することで表面に凹凸を作り、画像部の接着性を向上させたり、非画像部の親水性を改善することもできる。
【0152】
更に、架橋剤と水溶性ポリマーを十分に架橋させるために、光重合性感光層の付与、あるいは塗布する前に40〜100℃、好ましくは45〜80℃の温度下の条件で12時間〜1週間、好ましくは1日〜5日間保管することが好ましい。
【0153】
上記のようにして親水性層上に形成された光重合性感光層は、密着露光あるいはレーザー走査露光を行った後、前述したアルカリ現像やケミカルレス現像を施し、未露光部を除去することでパターン形成が行われる。
【実施例】
【0154】
<感光性平版印刷版の作製>
厚みが175μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に下記組成の親水性層塗液を1平方メートル当たりの乾燥質量が3gになるよう塗布し、乾燥したものを、50℃に保たれた恒温機に二日間入れ、架橋させた。
【0155】
<親水性層塗液>
水溶性ポリマー(A−5) 重量平均分子量10万 2.9 質量部
架橋剤(H−1) 0.8 質量部
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製PS−M) 6.2 質量部
エタノール 10.0 質量部
界面活性剤 0.1 質量部
水で100質量部に合わせた。
【0156】
<光重合性感光層塗液>
光重合性感光層の乳化分散液の作製には、密閉容器内にホモミキサーが配置され、減圧下で加熱しながら溶媒を留去可能な、みずほ工業(株)製卓上型真空乳化装置PVQ−1Dを使用して作製を行った。ホモミキサーの回転速度は5000rpmに設定した。下記で作製したA液とB液を真空乳化装置内に導入し、室温下でホモミキサーの高速攪拌により乳化分散を行った。20分間攪拌を行い、更にアスピレーターを用いて系を減圧状態にし、大気圧の20%の減圧条件下で温度を50℃に上昇させて有機溶剤である酢酸エチルを減圧留去した。冷却器にて回収した酢酸エチルの量から、用いた全ての酢酸エチルが分散系から留去されたことを確認し、約83質量部の乳化分散液が得られた。
【0157】
<A液>
重合性モノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート) 6.0 質量部
光重合開始剤(BC−6) 2.0 質量部
光重合開始剤(T−8) 1.5 質量部
増感色素(S−11) 0.6 質量部
酢酸エチル 50.0 質量部
【0158】
<B液>
水溶性重合体(SP−1) 重量平均分子量5万 20.0 質量部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 3.0 質量部
水 49.9 質量部
【0159】
上記の親水性層上に、下記組成の光重合性感光層塗液を1平方メートル当たりの乾燥質量が1.0gになるよう塗布し、70℃で2分間乾燥した。
<光重合性感光層塗液>
上記乳化分散液 83.0 質量部
青色顔料 0.2 質量部
界面活性剤 0.2 質量部
水 16.4 質量部
【0160】
上記光重合性感光層上に、下記組成の中間層塗液を表1に示す乾燥塗布量になるよう塗布し、50℃で2分間乾燥して、更に親水性層上に下記組成の保護層塗液を表1に示す乾燥塗布量になるよう塗布し、50℃で2分間乾燥して、本発明の感光性平版印刷版(本発明1〜16)と比較の感光性平版印刷版(比較1)を作製した。作製した感光性平版印刷版は表1の通りとなった。
【0161】
<中間層塗液>
ポリビニルアルコール類もしくは比較化合物(表1) 10.0 質量部
水 90.0 質量部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.1 質量部
<保護層塗液>
ポリビニルアルコール類もしくは比較化合物(表1) 10.0 質量部
水 90.0 質量部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.1 質量部
【0162】
上記感光性平版印刷版の中間層及び保護層の作製工程において表1に示すように、中間層のみを塗布し保護層は未塗布である比較の感光性平版印刷版(比較2〜4)を作製した。
【0163】
【表1】

【0164】
下記製版工程(露光工程〜現像工程)において、作業環境が温度及び湿度の調節できる部屋にて製版を行い、作業温度は全ての製版工程共に23℃で行い、作業湿度は表2に示すように35%と80%の環境下で製版を行った。
【0165】
<露光工程>
上記感光性平版印刷版を、光波長が405nmの半導体レーザーを搭載した露光装置にてテストパターン(2400dpi・175線)を露光し、下述の現像工程を経て、得られた平版印刷版の50%網点画像の網点面積率が、49.0〜51.0%の範囲内に入るように、レーザー光量を調整し、適正感度を得た(表2に記載)。
【0166】
<現像工程>
上記の露光済み感光性印刷版を、自動現像処理装置としてアルミニウム印刷版(PS版)用自動現像装置PD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を使用して現像処理を行った。現像槽中には30℃に調節した純水を投入し、現像時間は12秒に設定した。この装置を用いて処理を行うために、0.24mmのアルミニウム板上に上記の感光性平版印刷版をセロハンテープにて光重合性感光層が表面になるように張り合わせて、自動現像装置に通した。現像槽中において該感光性平版印刷版はモルトンロールにより表面が弱く擦られることで、大部分の非画像部における光重合性感光層が除去されるように調節した。モルトンロールによる擦り現像を経て、現像槽出口にある2本の絞りロールにより感光性平版印刷版表面の過剰な水分が絞り取られた。引き続き純水を含有する水洗槽において表面がシャワー洗浄され、最後に温風により乾燥を行った。
【0167】
【表2】

【0168】
<感度−湿度依存性評価基準>
製版工程における作業環境湿度が35%と80%での適正感度差を以下の基準で評価した(表2)。
○:感度差が10μJ/cm未満
△:感度差が10μJ/cm以上20μJ/cm未満
×:感度差が20μJ/cm以上
【0169】
上記現像で得られた本発明の感光性印刷版を、印刷機はプリントマスターQM46(ハイデルベルグ(株)製)オフセット印刷機、湿し水は2質量%アストロマーク3((株)日研化学研究所製)液、インキはBEST ONE墨((株)T&K TOKA製)を用い、1万枚まで印刷を行ったところ、印刷物は特に問題はなかった。
【0170】
本発明により、特に高湿度の環境下においても、感度が安定した感光性平版印刷版が得られたことが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に光重合性感光層と保護層を順に有する感光性平版印刷版において、保護層と光重合性感光層の間に中間層を有し、保護層はケン化率80モル%未満のポリビニルアルコールを主成分とし、中間層はケン化率80モル%以上のポリビニルアルコールを主成分とすることを特徴とする感光性平版印刷版。

【公開番号】特開2012−208332(P2012−208332A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74211(P2011−74211)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】