説明

感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法

【課題】透湿率、吸湿率を充分に低く抑えつつ、解像性、密着性、接着強度に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供すること。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表わされるポリアミドと、(B)エチレン性不飽和基を有する上記ポリアミド以外の光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含有する感光性接着剤組成物。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD/CMOSイメージセンサは、センサ部分を水分やほこり等の異物から守るため、セラミックやエポキシ樹脂等のリブ上に、ディスペンサー、又は他の印刷法によって塗布される液状のUV硬化型の感光性樹脂組成物によって保護ガラスと接着するパッケージ構造を有している。
【0003】
しかしながら、近年微細化が進むカメラモジュールに対して、現行のパッケージ構造では、位置精度等を向上させることが困難になっている。
【0004】
この課題に対応すべく、パッケージのリブ及び接着剤をフォトリソ法で一括成形する手法が提案されている。かかる手法によれば、高精細化、位置精度向上が可能となる。また、工程数短縮によるコスト低減のため、一括成型が可能で取り扱いも容易なフィルムタイプの感光性接着剤が求められている。
【0005】
フォトリソ法によるリブ及び接着剤の一括成形は、以下のようにして行われる。まず、シリコン基板又はガラス基板上に、感光性接着剤組成物を塗布又は感光性接着剤フィルムを積層し、感光性接着剤層を形成する。次に、該感光性接着剤層を露光、現像した後、光によって硬化した接着剤層上に保護ガラス基板を密着させ、加熱及び加圧によって接着剤層と保護ガラスとを接着する。その後、更に熱キュア、ダイシングすることによって、中空構造を有するパッケージが得られる。
【0006】
イメージセンサのパッケージ用の感光性接着剤組成物には、シリコン基板やガラス基板との高い接着強度、気密封止性、現像性、密着性、解像性の他、低吸湿率、低透湿率、低いイオン不純物濃度等といった硬化膜の信頼性が求められる。特に本手法では、樹脂が半導体デバイスと隣接するため、リフロー処理等の際に樹脂からアウトガスが発生するとデバイスに影響を与える恐れがある。したがって、硬化膜の信頼性が重要視される。
【0007】
ところで、感光性樹脂組成物は、プリント配線板の回路形成用や配線を保護するための永久保護膜用として広く用いられている。回路形成用としては、アクリル樹脂、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、永久保護膜用としては、感光性の変性エポキシ樹脂、光重合開始剤、希釈剤及び熱硬化性化合物を含有する感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
一方、熱硬化性の接着剤は、エレクトロニクス用途、例えば半導体実装材料等に広く用いられている。熱硬化性の接着剤としては、ポリイミド樹脂、硬化性化合物、該硬化性化合物の硬化剤、及びシランカップリング剤を含有するフィルム状接着剤が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−351070号公報
【特許文献2】特開2003−177528号公報
【特許文献3】特開2003−253220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の感光性樹脂組成物では、感光性接着剤に求められる、接着強度、気密封止性、低吸湿率、低透湿率、低いイオン不純物濃度等の特性が充分ではなかった。さらに本発明者の検討の結果、アクリル樹脂と熱硬化性樹脂とを組み合わせて用いた感光性接着剤は、安価で生産性が高いものの、特に吸湿率及び透湿率等といった硬化膜の信頼性の面で改善の余地があることが見出された。
【0011】
また、特許文献3に記載の熱硬化性の接着剤に感光性を付与するために光重合性化合物や光重合開始剤等を含有させても、現像性、密着性、解像性等の感光特性が不充分であった。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑み、透湿率、吸湿率を充分に低く抑えつつ、解像性、密着性、接着強度に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、(A)下記一般式(1)で表わされるポリアミドと、(B)エチレン性不飽和基を有する上記ポリアミド以外の光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含有する感光性接着剤組成物が、イメージセンサのパッケージ用の感光性接着剤組成物に要求される特性をバランス良く満たすことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
【化1】

【0015】
式(1)中、X及びYは2価の有機基を示し、Xは4価の有機基を示し、Zは置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Rはエチレン性不飽和基を有する有機基を示し、l及びmは正の整数を示し、X及びYの少なくとも一方が下記一般式(2)で表される基である。
【0016】
【化2】

【0017】
式(2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフッ化アルキル基を示し、nは1〜30の整数を示し、n個のR及びn個のRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、n個のR及びn個のRのうち少なくとも1つはフッ素原子又はフッ化アルキル基である。
【0018】
かかる感光性接着剤組成物は、透湿率、吸湿率を充分に低く抑えつつ、解像性、密着性、接着強度に優れるという効果を奏する。
【0019】
(D)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0020】
本発明にかかる感光性接着剤組成物は、(A)ポリアミド及び(B)光重合性化合物の合計量100質量部に対して、(A)ポリアミドを40〜80質量部、(B)光重合性化合物を20〜60質量部、(D)エポキシ樹脂を3〜40質量部含有することが好ましい。
【0021】
本発明にかかる感光性接着剤組成物は、(E)シランカップリング剤を更に含有することが好ましい。
【0022】
本発明は、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層とを備える、感光性エレメントを提供する。
【0023】
本発明は、上記感光性エレメントを、上記感光性接着剤組成物層が基板と接するように上記基板に積層する工程と、活性光線を感光性接着剤組成物層に照射して、光硬化部を形成する工程と、上記支持体を除去し、上記感光性接着剤組成物層のうち上記光硬化部以外の部分を除去する工程と、を含むレジストパターンの形成方法を提供する。
【0024】
また、本発明は、上記レジストパターンの形成方法により形成された基板上のレジストパターンを介して、上記基板と被接着部材とを、熱圧着により接着させる、被接着部材の接着方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、透湿率、吸湿率を充分に低く抑えつつ、解像性、密着性、接着強度に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供することができる。
【0026】
本発明に係る感光性接着剤組成物は、特にシリコンやガラス等と高い接着力を得ることができる。さらに、フェノール性水酸基を有するポリアミドを用いることで、上記感光性接着剤組成物は現像液に対する優れた溶解性を得ることができ、且つ、その硬化膜は優れた耐熱性を得ることができる。
【0027】
また、上記感光性接着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)が高い硬化膜を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0029】
(感光性接着剤組成物)
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、(A)下記一般式(1)で表わされるポリアミドと、(B)エチレン性不飽和基を有する上記ポリアミド以外の光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含有する(以下、それぞれを(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と呼ぶことがある)。
【0030】
【化3】

【0031】
式(1)中、X及びYは2価の有機基を示し、Xは4価の有機基を示し、Zは置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Rはエチレン性不飽和基を有する有機基を示し、l及びmは正の整数を示し、X及びYの少なくとも一方が下記一般式(2)で表される基である。
【0032】
【化4】

【0033】
式(2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフッ化アルキル基を示し、nは1〜30の整数を示し、n個のR及びn個のRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、n個のR及びn個のRのうち少なくとも1つはフッ素原子又はフッ化アルキル基である。
【0034】
以下、本実施形態の感光性接着剤組成物に用いることができる各成分について詳細に説明する。なお、本明細書における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリロキシ基とはアクリロキシ基及びそれに対応するメタクリロキシ基を意味する。
【0035】
「EO」とは「エチレンオキシド」のことを意味し、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことを意味する。「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH−CH(CH)−O−)、(−CH(CH)−CH−O−)又は(−CH−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味する。
【0036】
(A)ポリアミド
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、上記一般式(1)で表わされるポリアミドを含有する。上記一般式(1)におけるX及びYは、2価の有機基であり、X又はYのどちらか一方は、上記一般式(2)で表される基である。上記感光性接着剤組成物から得られる硬化膜のTgが高くなる点では、Yが一般式(2)で表される基であることが好ましい。Yが一般式(2)で表される基である場合、Xが直鎖又は分枝状の炭素数1〜30の基を含む2価の有機基であることが好ましく、直鎖又は分枝状の炭素数7〜30の基を含む2価の有機基であることがより好ましく、直鎖又は分枝状の炭素数8〜20の基を含む2価の有機基であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、上記感光性接着剤組成物から得られる硬化膜の弾性率をより低く、且つ破断伸びをより高くできる。
【0037】
上記一般式(2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフッ化アルキル基を示し、nは1〜30の整数を示し、n個のR及びn個のRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、n個のR及びn個のRの少なくとも1つはフッ素原子又はフッ化アルキル基である。ここで、フッ化アルキル基とは、1つ又は複数のフッ素原子を置換基として有するアルキル基を意味する。
【0038】
フッ化アルキル基としては、フッ素原子が1〜3個置換したメチル基、フッ素原子が1〜5個置換したエチル基、フッ素原子が1〜7個置換したプロピル基、フッ素原子が1〜9個置換したブチル基、フッ素原子が1〜11個置換したペンチル基等が挙げられる。これらのフッ化アルキル基は、鎖状構造、分枝状構造及び環状構造のいずれであってもよい。
【0039】
上記一般式(2)で表される基において、nが1〜30であり、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。nが上記範囲内であると、感光性接着剤組成物の硬化物は、弾性率がより低く、且つ破断伸びがより高くなる傾向がある。
【0040】
本発明の効果がより良好に得られる観点から、R及びRが、それぞれ独立に、フッ素原子、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基又はパーフルオロブチル基であることが好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることがより好ましく、トリフルオロメチル基であることが更により好ましい。
【0041】
上記一般式(2)で表される基としては、例えば、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピリデン基、オクタフルオロブチレン基、ドデカフルオロヘキセン基、及びヘキサデカフルオロオクテン基が挙げられる。
【0042】
上記直鎖又は分枝状の炭素数1〜30の基を含む2価の有機基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、ジ−n−ブチルメチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−ジメチル−2−メチルエチレン基、プロピレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチル−2−メチルプロピレン基、ブチレン基、2−メチルブチレン基、ペンテン基、1,1,5,5−テトラメチルペンテン基、ヘキセン基、ヘプテン基、オクテン基、ノネン基、デセン基、ウンデセン基、ドデセン基、トリデセン基、テトラデセン基、ペンタデセン基、ヘキサデセン基、ヘプタデセン基、オクタデセン基、ノナデセン基、エイコセン基、ヘンエイコセン基、ドコセン基、トリコセン基、テトラコセン基、ペンタコセン基、ヘキサコセン基、ヘプタコセン基、オクタコセン基、ノナコセン基、トリアコンテン基、−ROR−(R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキレン基を示す。)で表される基、及び2,2−ビス(4−フェニレン)プロパン並びに、主鎖にこれらの基を有する基が挙げられる。これらの基は、置換基として、ハロゲン基等を有していても良い。
【0043】
上記一般式(1)中、Xは、4価の有機基を示し、特に二つの芳香環がエーテル結合を介して結合した構造を有する4価の有機基であることが好ましい。
【0044】
Zは、置換基を有していてもよい芳香族基を示し、エポキシ基と反応する置換基を有する芳香族基が好ましく、特に、水酸基を有する芳香族基が好ましい。
【0045】
Rは、エチレン性不飽和基を有する有機基を示し、特に、水酸基及び少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する有機基が好ましい。この様な有機基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル基等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル基が挙げられる。
【0046】
上記一般式(1)で表されるポリアミドは、例えば、テトラカルボン酸二無水物1モルに、水酸基及び少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する化合物2モルを反応させて得られたジカルボン酸ジエステル(以下、場合により(a1)成分という。)と、ジカルボン酸(以下、場合により(a2)成分という。)と、ヒドロキシ基含有ジアミン(以下、場合により(a3)成分という。)と、モノアミン(Z−NH)と、から合成できる。
【0047】
具体的には、(a1)ジカルボン酸ジエステルと(a2)ジカルボン酸とを塩化チオニルによって酸クロル化後、上記ジアミン及びモノアミンとの反応を行うことで合成できる。または、ジカルボン酸ジエステル及びジカルボン酸を上記ジアミン及びモノアミンと脱水縮合することによって合成できる。脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが挙げられる。
【0048】
上記(a1)成分の合成の際に用いるテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を用いることができるが、硬化膜の信頼性に優れる点では、二つの芳香環がエーテル結合を介して結合した基を含むことが好ましい。中でも、現像性に優れる点では、オキシジフタル酸二無水物、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、デカメチレンビストリメリテート二無水物が好ましい。
【0049】
また、上記(a1)成分の合成の際に用いる水酸基及び少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する化合物としては、光反応性を有する化合物であれば特に制限はないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0050】
上記(a2)成分は、特に制限はないが、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸;スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸;グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸;アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸;ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸;スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸;1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、及びジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0051】
また、芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、可とう性に優れる点では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。これらの化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
上記(a3)成分としては、ヒドロキシル基を有するジアミン化合物であれば特に制限はなく用いることができる。中でも、現像性に優れる点では、二つ以上のヒドロキシル基を有するジアミン化合物が好ましい。具体的には、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。これらの化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、ヒドロキシル基を有さないジアミン化合物を(a3)成分に加えて使用しても良い。このようなジアミン化合物としては、例えば、ベンジシン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0054】
上記モノアミンとしては、例えば、アニリン、ヒドロキシアニリン(アミノフェノールともいう)、及びカルボキシアニリンが挙げられ、硬化膜の信頼性に優れる点で、エポキシ基と反応する官能基を有するモノアミンが好ましい。中でも、(A)ポリアミドの末端(上記一般式(1)中のZ部分)に、エポキシ基と反応する官能基を有する点で、ヒドロキシアニリン、及びカルボキシアニリンがより好ましい。
【0055】
(A)上記一般式(1)で表わされるポリアミドの重量平均分子量は、硬化膜を強靭にする点では、5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、20000以上であることが更により好ましい。また、現像性に優れる点では、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましく、40000であることが更により好ましい。
【0056】
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線を基に算出したものであり、その測定条件は、後述する実施例に明記した条件と同一である。
【0057】
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物において、密着性及び解像性が向上し、更に低吸湿率、低透湿率を高水準で達成する観点から、(A)ポリアミドの量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましく、55〜70質量部であることが更により好ましい。
【0058】
(B)光重合性化合物
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、(B)エチレン性不飽和基を有する上記ポリアミド以外の光重合性化合物(以下、単に「光重合性化合物」という場合がある。)を含有する。(B)成分としては、光照射によって架橋反応が可能であれば特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
これらの中でも、感度、現像性、解像性、及び密着性を良好なものとする点では、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0060】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−200(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)又はFA−321M(日立化成工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
また、低弾性な硬化膜が得られ、熱圧着時の圧着性に優れる点では、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーを含むことが好ましい。上記ウレタンモノマーとしては、分子内にウレタン結合及びエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限されない。かかるウレタンモノマーは、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物との付加反応物及びβ位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジヒドロキシ化合物とジイソシアネート化合物との付加反応物から選ばれる少なくとも一種の付加反応物と、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物と、を縮合反応させることで得ることができる。
【0062】
ここで、上記ジヒドロキシ化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、シリコーンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の脂環式炭化水素骨格を有するジヒドロキシ化合物等が挙げられる。また、上記β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキエチルアクリレート及び2−ヒドロキエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0063】
商業的に入手可能な上記ウレタンモノマーとしては、例えば、TMCH−5(商品名、ウレタン結合と脂環式炭化水素骨格とを有する2官能アクリレート、重量平均分子量950、日立化成工業株式会社製)、ヒタロイド9082(商品名、ウレタン結合とカーボネート骨格とを有する2官能アクリレート、重量平均分子量4400、日立化成工業株式会社製)、及びUA−11(商品名、ウレタン結合とエチレンオキシド骨格とを有する2官能メタクリレート、重量平均分子量1100、新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。これらの中でも、(A)成分との相溶性の観点から、分子内にウレタン結合と脂環式炭化水素骨格とエチレン性不飽和基とを有する光重合性化合物であるTMCH−5(商品名、日立化成工業株式会社製)が好ましい。
【0064】
(B)成分は、解像性及び密着性に優れる点では、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物を含有することが好ましい。具体的には例えば、α,β−不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸等を用いたものが挙げられる。これらの化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びエチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
上記グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、具体的には例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニルが挙げられる。
【0066】
更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
【0067】
(B)成分の重量平均分子量は、500〜5000であることが好ましく、600〜3000であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であることによって、硬化膜の良好な膜物性及び低誘電率を高水準で両立させることができる傾向がある。
【0068】
感光性接着剤組成物において、密着性及び解像性を向上し、更に低吸湿率、低透湿率を高水準で達成する観点から、(B)成分の量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましく、30〜45質量部であることが更に好ましい。
【0069】
(C)光重合開始剤
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、(C)光重合開始剤を含有する。(C)成分としては、使用する露光機が発する光の波長と、(C)成分の機能発現に必要な光の波長とが合うものを選択すれば特に制限はないが、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパノン−1−オン等の芳香族ケトン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;アルキルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、及びアルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物が挙げられる。これらは、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。また、これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
市販の(C)成分としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1は、イルガキュア−369(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパノン−1−オンは、イルガキュア−907(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドは、イルガキュア−819(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)として入手可能である。
【0071】
上記(C)成分の中でも、感度及び接着剤の底部硬化性に優れる点では、アシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましく、下記化学式(3)で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを含むことが特に好ましい。上記(C)成分は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
【化5】

【0073】
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物において、(C)光重合開始剤の量は、感度及び現像後のパターン形状に優れる点では、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更により好ましい。
【0074】
(D)エポキシ樹脂
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、(D)エポキシ樹脂を含有する。(D)エポキシ樹脂を含有することによって、基板と被接着部材の接着時の接着強度や硬化膜の信頼性を向上させることができ、且つ、(A)ポリアミドとの相溶性も良好となる。(D)成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び多官能エポキシ樹脂が挙げられる。
【0075】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられ、チバガイギー社製GY−260、GY−255、XB−2615、ジャパンエポキシレジン社製エピコート828、1007、807、新日本理化株式会社製BEO−60E、及びDIC株式会社製850−S等のビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式、又は、ポリブタジエン変性等のエポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0076】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール又はアルキルフェノール化合物とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラックと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられ、東都化成社製YDCN−701、704、YDPN−638、602、ダウ・ケミカル社製DEN−431、439、チバガイギー社製EPN−1299、大日本インキ化学工業社製N−730、770、865、665、673、VH−4150、4240、日本化薬社製EOCN−120、及びBREN等が挙げられる。
【0077】
また、その他の構造のエポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製VG−3010L、VG−3101L等)、サリチルアルデヒド−フェノール又はクレゾール型エポキシ樹脂(日本化薬社製EPPN502H、FAE2500等)、DIC株式会社製エピクロン840、860、3050、ダウ・ケミカル社製DER−330、337、361、ダイセル化学工業社製セロキサイド2021、三菱ガス化学社製TETRAD−X、C、及び日本曹達社製EPB−13、27等も使用することができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、混合物又はブロック共重合物を用いてもよい。
【0078】
(D)エポキシ樹脂は、基板と被接着部材、又は被接着部材同士の接着時の接着強度や硬化膜の信頼性に優れる点では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。また、上記3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、硬化膜の信頼性により優れる点で、特にジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0079】
(D)エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂及び3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む場合、(D)成分全体に対するそれぞれの含有割合は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂/3官能以上の多官能エポキシ樹脂が1/0〜0/1であることが好ましく、0.8/0.2〜0.2/0.8であることがより好ましい。
【0080】
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物において、(D)エポキシ樹脂の量は、現像性及び熱キュア後の硬化膜特性に優れる点では、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、5〜35質量部であることがより好ましく、7〜30質量部であることが更に好ましく、10〜25質量部であることが特に好ましい。
【0081】
(E)シランカップリング剤
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、基板との密着性及び硬化膜の信頼性が更に向上する観点から、(E)シランカップリング剤を含有することが好ましい。(E)成分としては、例えば,グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン;(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシラン;ウレイドアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。
【0082】
グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0083】
(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0084】
ウレイドアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(トリエトキシプロピル炭酸ジアミド)が挙げられる。
【0085】
解像度及び接着強度を共に向上できる観点からは、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン及び(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシランを併用して用いることが好ましい。
【0086】
(E)シランカップリング剤が、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン及び(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシランを含有する場合、(E)成分全体に対するそれぞれの含有割合は、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン/(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシランが1/0〜0/1であることが好ましく、0.8/0.2〜0.2/0.8であることがより好ましく、0.7/0.3〜0.3/0.7であることが更により好ましい。
【0087】
また、本実施形態にかかる感光性接着剤組成物の特性を損ねない程度に、上記以外のシランカップリング剤を併用することができる。上記以外のシランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、及びメルカプト基等の官能基並びに、アルコキシ基、クロル基、アセトキシ基、オキシム基、イソプロペノキシ基、及びアミド基等の加水分解性の官能基を有するものが挙げられる。工業的には、加水分解反応の制御範囲が広く、ハンドリングが容易であるアルコキシ基を加水分解性の官能基として用いる場合が多い。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
(E)シランカップリング剤の量は、基板との密着性に優れる点では、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、1〜7質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更により好ましい。
【0089】
本実施形態にかかる感光性接着剤組成物は、必要に応じて上記成分以外にも、ビニル化合物、可塑剤、染料、顔料、イメージング剤、充填剤等を配合して用いることができる。
【0090】
次に、本実施形態にかかる感光性エレメントについて説明する。
【0091】
本実施形態にかかる感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層とを備えるものである。感光性接着剤組成物層上には、該感光性接着剤組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。このような感光性エレメントを用いることによって、接着強度、気密封止性、低吸湿率、低透湿率、低いイオン不純物濃度等の感光性接着剤に求められる特性を満たすリブ及び接着剤を形成することができる。
【0092】
感光性接着剤組成物層は、本発明の感光性接着剤組成物を溶剤又は混合溶剤に溶解して30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。上記溶剤としては、上記感光性接着剤組成物が溶解できれば、特に制限はなく公知のものを使用できるが、例えば、トルエン、メタノール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
【0093】
感光性接着剤組成物層の厚みは、用途によって異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けによって溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが上記範囲を外れると工業的に塗工困難な傾向がある。
【0094】
感光性エレメントが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。
【0095】
上記支持体の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
【0096】
上述したような支持体と感光性樹脂組成物層との2層からなる感光性エレメント、又は支持体と感光性接着剤組成物層と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
【0097】
本実施形態に係る感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、必要に応じて上述した感光性エレメントから保護フィルムを除去する工程(除去工程)と、該感光性エレメントを、上記感光性接着剤組成物層が基板と接するように上記基板に積層する工程(積層工程)と、活性光線を、必要に応じて支持体を通して又は支持体を除去して、感光性接着剤組成物層に照射して、光硬化部を形成する工程(露光工程)と、支持体がある場合、支持体を除去し、上記感光性接着剤組成物層のうち上記光硬化部以外の部分を除去する工程(現像工程)と、を含むものである。なお、上記基板とは、シリコン、ガラス等の絶縁性を有する基板をいう。このような形成方法によって、硬化膜の信頼性に優れたリブ及び接着剤の一括成形をすることができる。
【0098】
上記除去工程後の上記積層工程としては、感光性接着剤組成物層を加熱しながら絶縁基板等に圧着することによって積層する方法等が挙げられる。かかる積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性接着剤組成物層の加熱温度は60〜130℃とすることが好ましく、圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa以下とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性接着剤組成物層を上述のように60〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0099】
上述の感光性接着剤組成物層には、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を感光性接着剤組成物層に照射することで、感光性接着剤組成物層が硬化して光硬化部が形成される。この際用いられる活性光線としては、光照射によって上記感光性接着剤組成物が硬化する光ならば特に制限されない。このような活性光線を発生する露光機としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが挙げられる。その後、上記感光性接着剤組成物層は、支持体を除去して現像液で現像され、レジストパターンが形成される。
【0100】
現像液としては、安全且つ安定であり、操作性が良好なものが用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)が用いられる。半導体用途など軽元素を低減する必要がある場合、例えば、水酸化テトラヒドロアンモニウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が用いられる。
【0101】
現像の方法には、ディップ方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が現像性、解像度向上のためには最も適している。
【0102】
上述の形成方法によって得られたレジストパターンは、基板上に形成される永久レジストとして使用されると好ましく、熱圧着によって被接着部材との接着剤として用いられるとより好ましい。被接着部材としては、例えばガラス、シリコンなどが挙げられる。
【0103】
例えば、接着剤として用いる場合は、上記現像、熱圧着工程終了後、接着性等を向上させる目的で加熱を行うことが好ましい。
【0104】
熱圧着は圧着温度100〜180℃、圧着圧力0.1〜1.5MPa、圧着時間0.5〜60s程度の範囲で行われることが好ましい。熱圧着後、レジストパターンを加熱する場合は、150〜180℃程度の範囲で、30〜90分間程度の範囲で行われることが好ましい。
【0105】
この感光性接着剤組成物は、基板と被接着部材とを接着し、優れた接着性及び硬化膜の信頼性を有するので、例えば各種センサ等の中空パッケージ構造作製に有効である。
【0106】
さらに、上記感光性接着剤組成物は解像度が良く、厚膜形成が可能であり、それにより、パッケージの中空構造を形成する場合に従来の複雑な工程を削減することができる。
【0107】
このようにしてレジストパターンが備えられた基板は、その後、部品実装(例えば、はんだ付け)がなされ、そして、カメラ等の電子機器へ装着される。
【実施例】
【0108】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0109】
(実施例1〜3、並びに、比較例1及び2)
(ポリアミド(A−1)の合成)
攪拌器、温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコ中にオキシジフタル酸二無水物(ODPA)9.31g(0.03モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.81g(0.06モル)、ハイドロキノン(HQ)0.01g、ピリジン4.75g(0.06モル)、ジメチルアセトアミド(DMAc)70mlを仕込み、60〜70℃で1時間攪拌後、室温で一晩攪拌した。この溶液を5℃以下で冷却しながら、塩化チオニル8.57g(0.072モル)を10分で滴下した。その後、室温で1時間攪拌した。続いて、温度を5℃以下に保ちながら、セバシン酸ジクロリド16.74g(0.07モル)を投入した。さらに、この溶液に6FAPK(2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)32.94g(0.09モル)、m−アミノフェノール0.11g(0.01モル)、ピリジン7.92g(0.10モル)、ハイドロキノン(HQ)0.01gをジメチルアセトアミド(DMAc)50mlで溶解した溶液を1時間で滴下した。その後、室温で1時間攪拌後、1000mlの精製水中で再沈した。この再沈ポリマを真空乾燥し、ポリアミド粉末(A−1)を得た。得られたポリアミド(A−1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線によって重量平均分子量を求めたところ、34,500であった。
【0110】
(ポリアミド(A−2)の合成)
オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物(BPADA)15.62g(0.03モル)に変更したこと以外は、ポリアミド(A−1)と同様に合成した。得られたポリアミド(A−2)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線によって重量平均分子量を求めたところ、36,000であった。
【0111】
(ポリアミド(A−3)の合成)
オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を、デカメチレンビストリメリテート二無水物(DBTA)15.62g(0.03モル)に変更したこと以外は、ポリアミド(A−1)と同様に合成した。得られたポリアミド(A−3)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線によって重量平均分子量を求めたところ、35,500であった。
【0112】
(ポリアミド(A−4)の合成)
撹拌器、温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコ中に6FAPK(2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)32.94g(0.09モル)、m−アミノフェノール0.11g(0.01モル)、ピリジン7.92g(0.10モル)、DMAc50mlを仕込み、この溶液を5℃以下で冷却しながら、セバシン酸ジクロリド23.91g(0.1モル)を1時間で滴下した。その後、室温で1時間攪拌後、1000mlの精製水中で再沈した。この再沈ポリマを真空乾燥し、ポリアミド粉末(A−4)を得た。得られたポリアミド(A−4)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線によって重量平均分子量を求めたところ、33,500であった。
【0113】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下の通りである。
【0114】
[GPC条件]
ポンプ:L6000 Pump(株式会社日立製作所製)、
検出器:L3300 RI Monitor(株式会社日立製作所製)、
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(商品名、日立化成工業株式会社製)、
溶離液:DMF/THF(質量比1/1)、
流量:1ml/min
【0115】
(感光性接着剤組成物の作製)
上記で合成した(A)ポリアミドと下記表1に示した配合割合(質量部)で各成分を、混合し、感光性接着剤組成物の調整を行った。
【0116】
(B)光重合性化合物
FA−321M(商品名、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、日立化成工業株式会社製)
TMCH−5(商品名、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/1,4ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン/2−ヒドロキシエチルアクリレート)=8.15/1.95/12(mol比)、重量平均分子量950、日立化成工業株式会社製)
(C)光重合開始剤
Irg−819(商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)
(D)エポキシ樹脂
850−S(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製)
VG−3101L(商品名、ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、三井化学株式会社製)
(E)シランカップリング剤
A−187(商品名、エポキシ型シランカップリング剤、日本ユニカー株式会社製)
SZ−6030(商品名、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)
【0117】
【表1】

【0118】
得られた感光性接着剤組成物の溶液を各々、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性フィルム(感光性エレメント)を得た。感光性接着剤組成物層の乾燥後の膜厚は、50μmであった。
【0119】
[吸湿率の評価]
16cm×10cmのステンレス板(日新製鋼株式会社製、商品名「SUS304」)の質量(a)を精密天秤で小数点第4位まで測定後、基板(ステンレス板)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、上記感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。
【0120】
上記ラミネート後の基板を5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、商品名:HMW−201GX)で1000mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、160℃で1時間加熱して熱硬化させた。熱硬化後の質量(b)を測定し、60℃、90%RHの恒温恒湿槽に168時間投入後、質量(c)を測定した。それぞれの質量を下記数式(1)に当てはめて感光性接着剤組成物層の硬化膜の吸湿率(%)を算出した。結果を表2に示す。
【0121】
【数1】

【0122】
[透湿率の評価]
テフロン(登録商標)シート(日東電工株式会社製、商品名「ニトフロンフィルム」)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。
【0123】
上記ラミネート後のテフロンシートを5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で1000mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、160℃で1時間加熱して熱硬化させた。テフロンシート上に形成した硬化膜を、JIS Z0208のカップ法に準じて透湿率(g/m・24h)を測定した。吸湿条件は40℃、90%RHとした。結果を表2に示す。
【0124】
[感光特性の評価]
上記[吸湿率の評価]と同様にして得られた、ラミネート後の基板のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、日立(Hitachi)41段ステップタブレットスケール(ST=x/41)と日立(Hitachi)テストパターンG2ネガフィルム(解像度L/S=30/30〜200/200μm、密着性L/S=30/400〜200/400μm、抜け解像度L/S=400/30〜400/200μm)を密着させ、5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で1000mJ/cmのエネルギー量にて露光を行った。
【0125】
上記で露光した基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を30秒間スプレーすることによって、未露光部分を完全に除去した。
【0126】
感度(ST;段)は、現像後にパターンが形成されたステップタブレットの最終残存段数を読み取ることで、評価した。
【0127】
解像度(RP−1;μm)は、テストパターン(L/S=30/30〜200/200μm)において、ライン間のスペースが完全に除去された最小ライン幅の値で示した。
【0128】
密着性(AD;μm)は、テストパターン(L/S=30/400〜200/400μm)において、ラインが膨張、又は欠けることなく完全に残っている最小ライン幅の値で示した。
【0129】
抜け解像度(RP−2;μm)は、テストパターン(L/S=400/30〜400/200μm)からライン間のスペースが完全に除去された最小スペース幅の値で示した。
【0130】
感度、解像度、密着性、抜け解像度の評価は、値が小さいほど良好である。以上を感光特性の評価とし、結果を表2に示した。
【0131】
[接着強度の評価]
シリコンウェハー(エレクトロニクス エンド マテリアルズ コーポレーション製、商品名「5インチシリコンウェハ」)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、上記感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。上記ラミネート後のシリコンウェハー基板を、1000mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、2mm角にダイシングし、100℃、1.0MPa、0.5sの条件で10mm角のホウケイサンガラス基板と熱圧着した。
【0132】
次いで160℃、1時間で熱硬化をした後、室温(25℃)にてシェア強度測定を行い、接着強度を算出した。なお、引き剥がし強さ(ピール強度)の測定は、ダイシェア試験機(Dage社製、商品名:BT−4000)を用いて行った。この方法によれば、接着剤の面接着強度(MPa)を測定することができる。結果を表2に示した。
【0133】
[ガラス転移温度の評価]
該硬化膜のガラス転移温度(Tg)をTMA(セイコーインスツルメンツ製TMA−1型)を用い引張りモード、昇温速度5℃/分、荷重5gで測定した。結果を表2に示した。
【0134】
【表2】

【0135】
表2から明らかなように、本発明の感光性接着剤組成物(実施例1〜3)は、比較例1及び2と同程度に、透湿率及び吸湿率が充分に低く抑えられつつ、解像性、密着性、接着強度、及び硬化膜のTgが更に向上した点で優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表わされるポリアミドと、
(B)エチレン性不飽和基を有する前記ポリアミド以外の光重合性化合物と、
(C)光重合開始剤と、
(D)エポキシ樹脂と、
を含有する感光性接着剤組成物。
【化1】


[式(1)中、X及びYは2価の有機基を示し、Xは4価の有機基を示し、Zは置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Rはエチレン性不飽和基を有する有機基を示し、l及びmは正の整数を示し、X及びYの少なくとも一方が下記一般式(2)で表される基である。
【化2】


式(2)中、R及びRは、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフッ化アルキル基を示し、nは1〜30の整数を示し、n個のR及びn個のRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、n個のR及びn個のRのうち少なくとも1つはフッ素原子又はフッ化アルキル基である。]
【請求項2】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリアミド及び前記光重合性化合物の合計量100質量部に対して、前記ポリアミドを40〜80質量部、前記光重合性化合物を20〜60質量部、前記エポキシ樹脂を3〜40質量部含有する、請求項1又は2に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項4】
(E)シランカップリング剤を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項5】
支持体と、
該支持体上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層と、
を備える感光性エレメント。
【請求項6】
請求項5に記載の感光性エレメントを、前記感光性接着剤組成物層が基板と接するように前記基板に積層する工程と、
活性光線を前記感光性接着剤組成物層に照射して、光硬化部を形成する工程と、
前記支持体を除去し、前記感光性接着剤組成物層のうち前記光硬化部以外の部分を除去する工程と、
を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレジストパターンの形成方法により形成された基板上のレジストパターンを介して、前記基板と被接着部材とを、熱圧着により接着させる、被接着部材の接着方法。

【公開番号】特開2011−237639(P2011−237639A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109466(P2010−109466)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】