説明

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、リードフレームの製造方法及びプリント配線板の製造方法

【課題】貴金属めっき耐性及び剥離特性に優れた感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】バインダーポリマーと、分子内に1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する特定構造の2種類の光重合性化合物と、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、リードフレームの製造方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の軽薄短小化、少量多品種化が進むにつれ、半導体素子を基板上に実装するために用いられるリードフレーム及びBGA(Ball Grid Array)の多ピン化、狭小化、少量多品種化が進み、半導体素子を搭載したリードフレーム及びBGA(半導体パッケージ)が実装されるプリント配線板の高密度化が要求されている。
【0003】
リードフレームは、一般的に、半導体素子を固定するダイパッドと引き出し配線とからなる構造を有している。引き出し配線において半導体素子と接続される部分には、半導体素子との接続抵抗を抑制するために、銀、金、パラジウム等の貴金属でめっき加工が施され、めっき端子が形成される。
【0004】
めっき端子を形成するためのめっき加工法としては、所定の開口部を有するマスキング冶具を使用する方法があるが(例えば、下記特許文献1、2参照。)、この方法では、リードフレームの狭小化に伴って、めっき位置精度の低下やめっき液の染み出しが起き易くなり、これらが短絡等の接続不良を引き起こすことが問題となる。
【0005】
また最近では、めっき端子を形成するためのめっき加工法として、めっき位置精度を向上させ、またリードフレームの少量多品種化へ対応するために、感光性エレメントを用いる方法が実用化されている(例えば、下記特許文献3、4参照。)。
【0006】
感光性エレメントは、透明な支持体上に感光性樹脂組成物を塗布し、これを乾燥して感光性樹脂組成物層を形成し、感光性樹脂組成物層に保護フィルムを張り合わせたサンドイッチ構造を有する。感光性エレメントを用いためっき加工法では、感光性エレメントを、保護フィルムを除去しながら基板上にラミネートし、マスクフィルム等を通して露光した後、支持体を剥離し、未露光部分を現像液で除去してレジストパターンを形成する。現像後、基板露出部に貴金属めっき処理を施し、レジストを基板上から剥離除去することによって、めっき端子(導体パターン)が形成される。
【特許文献1】特開昭61−110790号公報
【特許文献2】特開平9−157888号公報
【特許文献3】特開平11−218907号公報
【特許文献4】特開平2004−109555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の感光性エレメントを用いためっき加工法では、レジスト底部(感光後の感光性樹脂組成物層の底部)と基板との間にめっき液が染み出す現象(以下、「めっきもぐり」と記す。)が生じ、設計した幅のめっき端子が得られないことがある。従来の感光性樹脂組成物層は、銅めっき液や半田めっき液に対しては、めっきもぐりを抑制する特性を有するものの、金及びパラジウム等の貴金属めっき液に対してめっきもぐりを抑制する特性(以下、「貴金属めっき耐性」と記す。)が不充分である。
【0008】
貴金属めっき耐性を向上させる方法としては、レジスト(感光性樹脂組成物層)に基板への密着性を付与することが考えられる。しかし、レジストに基板への密着性を付与すると、レジストが基板から剥離し難くなるため、めっき処理後にレジストを基板から剥離するために要する時間が長くなり、歩留が悪化するという問題がある。
【0009】
上述のように、感光性樹脂組成物層には、貴金属めっき耐性と、基板からの剥離のし易さ(以下、「剥離特性」と記す。)と、を兼ね備えることが要求されている。
【0010】
また近年、リードフレームにおいては、金めっきより耐食性は劣るものの、金めっきと同等の電気伝導性を有し、より安価である銀めっきの使用が増加している。しかしながら、従来の感光性樹脂組成物層は、特に銀めっき液に対するめっき耐性に乏しく、銀めっき液を用いることが困難であることが本発明者によって見出されている。したがって、銀めっき液に対してもめっき耐性を有する感光性樹脂組成物層が求められている。
【0011】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、貴金属めっき耐性及び剥離特性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、リードフレームの製造方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、(A)バインダーポリマーと、(B)分子内に1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有し、(B)光重合性化合物として、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【化1】


[式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、m及びnはm+n=2〜6を満たす整数である。但し、式(I)中、複数存在するXはそれぞれ同一であっても異なってもよい。]
【化2】


[式(II)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メチロール基、アクリロイル基、又は、メタクリロイル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Yは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、p、q及びrはp+q+r=3〜9を満たす整数であり、sは0又は1である。なお、式(II)中、複数存在するYはそれぞれ同一であっても異なってもよい。]
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述のような特定の成分を組み合わせて構成されることにより、優れた貴金属めっき耐性及び剥離特性を有することができる。特に、本発明では、(B)光重合性化合物として、上記一般式(I)で表され、m及びnがm+n=2〜6を満たす整数である化合物、及び、上記一般式(II)で表され、p、q及びrがp+q+r=3〜9を整数である化合物、の双方を含むことによって、感光性樹脂組成物が貴金属めっき耐性及び剥離特性を高水準でバランス良く兼ね備えることができる。
【0014】
上記本発明の感光性樹脂組成物を、リードフレームやプリント配線板の形成の際に用いれば、めっきもぐりを抑制して、設計した幅の導体パターン(めっき端子)を形成し易くなると共に、レジスト(感光性樹脂組成物)の剥離に要する時間が長くなることがなく、得られるリードフレーム及びプリント配線板の歩留りを抑制できる。
【0015】
上記本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(D)密着性付与剤を含有することが好ましい。これにより、本発明の感光性樹脂組成物は、より優れた貴金属めっき耐性を有することができる。
【0016】
上記本発明の感光性樹脂組成物は、(D)密着性付与剤として、イミダゾール類及び/又はテトラゾール類を含有することが好ましい。また、イミダゾール類は、下記一般式(III)で表される化合物であり、テトラゾール類は、下記一般式(IV)で表される化合物であることが好ましい。
【化3】


[式(III)中、R、R、R、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【化4】


[式(IV)中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【0017】
上記本発明の感光性樹脂組成物は、(D)密着性付与剤として、上記一般式(III)で表される化合物(イミダゾール類)及び/又は一般式(IV)で表される化合物(テトラゾール類)を含有することにより、光感度に優れ、さらに優れた貴金属めっき耐性を有することができる。
【0018】
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメントを提供する。
【0019】
この感光性エレメントは、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えることにより、優れた貴金属めっき耐性及び剥離特性を有することができる。
【0020】
本発明はまた、基板上に、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、露光部以外の部分を除去してレジストパターンを形成する現像工程と、を有するレジストパターンの形成方法を提供する。
【0021】
このレジストパターンの形成方法によれば、上記本発明の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を用いてレジストパターンを形成しているので、貴金属めっき耐性及び剥離特性に優れたレジストパターンを形成することができる。
【0022】
本発明は更に、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された基板をめっきして導体パターンを形成する工程を有するリードフレームの製造方法を提供する。
【0023】
本発明は更に、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された基板をめっきして導体パターンを形成する工程を有するプリント配線基板の製造方法を提供する。
【0024】
上記本発明のリードフレームの製造方法、及び回路基板の製造方法によれば、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板を用いているので、めっきもぐりを抑制して、設計した幅の導体パターン(めっき端子)を形成し易くなると共に、レジストの剥離に要する時間が長くなることがないため、得られるリードフレーム及びプリント配線板の歩留りを抑制できる。
【0025】
上記本発明のリードフレームの製造方法、及び回路基板の製造方法では、レジストパターンが形成された基板を、銀でめっきして導体パターンを形成することが好ましい。
【0026】
これらの製造方法によれば、上記本発明の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を用いてレジストパターンを形成しているので、銀めっきを用いた場合であっても、従来の感光性樹脂組成物を用いた場合に比べて、めっきもぐりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、貴金属めっき耐性及び剥離特性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、リードフレームの製造方法及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
【0029】
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、場合により「A成分」と記す。)と、(B)分子内に少なくとも1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、場合により「B成分」と記す。)と、(C)光重合開始剤(以下、場合により「C成分」と記す。)と、を含有する。以下、(A)〜(C)成分につき、詳細に説明する。
【0030】
<A成分>
(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、及びp−ブロモスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、及びビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及びマレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(V)で表される化合物、又はこれらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、及びハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。
CH=C(R12)−COOR13 (V)
【0032】
上記一般式(V)中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜12のアルキル基を示す。R13で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0033】
上記一般式(V)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有することが好ましい。カルボキシル基を含有するバインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。その他の重合性単量体としては、上記一般式(V)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0035】
また、(A)バインダーポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の密着性及び剥離特性が更に向上する。(A)バインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含む場合、感光性樹脂組成物の密着性及び剥離特性を共に良好にする観点から、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、2〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましく、10〜25質量部であることが特に好ましい。この含有量が2質量部未満では、感光性樹脂組成物の密着性が劣化する傾向があり、40質量部を超えると、レジストの剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
【0036】
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、5,000〜300,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましく、20,000〜100,000であることがさらに好ましく、30,000〜90,000であることが特に好ましく、40,000〜80,000であることが極めて好ましい。(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が5000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
【0037】
なお、(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンを用いた検量線による換算)。
【0038】
(A)バインダーポリマーの酸価は、30〜300mgKOH/gであることが好ましく、50〜250mgKOH/gであることがより好ましく、100〜200mgKOH/gであることがさらに好ましい。(A)バインダーポリマーの酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。また、現像工程として溶剤現像を行う場合は、(A)バインダーポリマーにおいて、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。
【0039】
なお、(A)バインダーポリマーの酸価は、以下の方法により測定することができる。まず(A)成分としての樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬である0.1NのKOH水溶液を適量添加して滴定を行う。そして、滴定結果より下記数式(1)により酸価を算出する。
【0040】
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) (1)
なお、数式(1)中Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは(A)成分としての樹脂溶液の重量(g)を示し、Iは(A)成分としての樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
【0041】
感光性樹脂組成物において(A)バインダーポリマーは、1種類のバインダーポリマーを単独で使用してもよく、2種類以上のバインダーポリマーを任意に組み合わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる質量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。また、特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0042】
また、(A)バインダーポリマーは必要に応じて感光性を有する特性基をその分子内に有していてもよい。
【0043】
(A)バインダーポリマーの含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、45〜75質量部であることがより好ましく、50〜70質量部であることがさらに好ましい。この含有量が40質量部未満では光硬化物(感光後の感光性樹脂組成物)が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に塗膜性が劣化する傾向があり、80質量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
【0044】
<B成分>
(B)光重合性化合物は、分子内に1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)光重合性化合物として、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含有する。
【化5】


【化6】

【0045】
上記一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であるが、いずれもメチル基であることが好ましい。また、一分子中に複数存在するXはそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等)であるが、貴金属めっき耐性及びレジストパターンの解像度を良好にする観点から、Xはエチレン基又はプロピレン基(更にはイソプロピレン基)であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。m及びnが2以上の場合、分子内で隣り合った2つ以上のXはそれぞれ同一であっても異なってもよい。また、Xが2種以上のアルキレン基である場合、−(X−O)−の構造単位はランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい。
【0046】
また、上記一般式(I)中、m及びnはm+n=2〜6を満たす整数であるが、m+n=3〜5であることが好ましい。(m+n)が2未満では、(A)成分と(B)成分の相溶性が低下する傾向があり、(m+n)が6を超えると、上記一般式(I)で表される化合物及び感光性樹脂組成物の親水性が増加するため、貴金属めっき耐性が低下する傾向がある。
【0047】
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。また、一般式(I)において、R及びRがいずれもメチル基であり、Xがいずれもエチレン基であり、m+n=4(平均値)である化合物として、BPE−200(新中村化学(株)製)が商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
一般式(I)で表される化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、1〜40質量部とすることが好ましく、2〜35質量部とすることがより好ましく、3〜30質量部とすることがさらに好ましい。この含有量が1質量部未満では貴金属めっき耐性が不充分となる傾向があり、40質量部を超えると現像液への汚染性が悪化する傾向がある。
【0049】
上記一般式(II)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メチロール基、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれかであるが、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。また、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であるが、いずれも水素原子であることが好ましい。また一分子中に複数存在するYはそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等)であるが、貴金属めっき耐性及び解像度を良好にする観点から、Yはエチレン基又はプロピレン基(更にはイソプロピレン基)であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。p、q及びrがそれぞれ2以上の場合、分子内で隣り合った2つ以上のYはそれぞれ同一であっても異なってもよい。また、Yが2種以上のアルキレン基である場合、−(Y−O)−の構造単位はランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい。
【0050】
また、上記一般式(II)中、p、q及びrはp+q+r=3〜9を満たす整数であるが、p+q+r=3〜6であることが好ましい。(p+q+r)が3未満では、可とう性の低下によりレジストが脆くなる傾向があり、(p+q+r)が9を超えると、得られるレジストの剥離時間が長くなる傾向がある。sは0又は1であるが、1であることが好ましい。
【0051】
上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリブトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリブトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリブトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルポリブトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記一般式(II)において、Rがエチル基、R〜Rがいずれも水素原子、Yがエチレン基、p、q及びrがそれぞれ1、sが1である化合物として、SR−454(日本化薬(株)製)が商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
一般式(II)で表される化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、5〜50質量部とすることが好ましく、7〜40質量部とすることが好ましく、10〜30質量部とすることがより好ましい。この配合量が5質量部未満では貴金属めっき耐性が不充分となる傾向があり、50質量部を超えるとレジストの剥離時間が長くなる傾向がある。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損ねない程度に、一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物以外の成分を(B)光重合性化合物として含有してもよい。このような成分としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
(B)成分の光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、25〜55質量部であることがより好ましく、30〜50質量部であることがさらに好ましい。この配合量が20質量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0056】
<C成分>
(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、及び2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、及び2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
(C)光重合開始剤は、密着性及び感度の見地から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことが好ましく、中でも2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体を含むことがより好ましい。また、上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体では、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0058】
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。この配合量が0.01質量部未満では、光感度が不充分となる傾向があり、20質量部を超えると、露光の際に感光性樹脂組成物の表面での光の吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0059】
<D成分>
感光性樹脂組成物は、より優れた貴金属めっき耐性を得る観点から、(D)密着性付与剤をさらに含有することが好ましい。(D)密着性付与剤としては、例えば、トリアゾール類、イミダゾール類及びテトラゾール類等が挙げられる。
【0060】
トリアゾ−ル類としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トリルトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、シクロヘキサノ[1,2−d]トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド、4−アミノウラゾール、1,2,4−トリアゾール−5−オン等が挙げられる。
【0061】
イミダゾール類としては、1H−イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0062】
テトラゾール類としては、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5,5’−アゾビス−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール等が挙げられる。
【0063】
(D)密着性付与剤としては、光感度を向上させ、さらに優れた貴金属めっき耐性を得る観点から、イミダゾール類及び/又はテトラゾール類を含有することが好ましく、イミダゾール類及びテトラゾール類を含有することがより好ましい。
【0064】
また、イミダゾール類としては、下記一般式(III)で表される化合物が好ましく、テトラゾール類としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
【化7】


[式(III)中、R、R、R、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【化8】


[式(IV)中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【0065】
上記一般式(III)中、R、R、R、及びR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0066】
また、一般式(III)で表される化合物としては、2−メルカプトベンゾイミダゾールとその誘導体が挙げられる。
【0067】
上記一般式(IV)中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基であることが好ましく、置換又は無置換のフェニル基であることがより好ましく、無置換のフェニル基であることがさらに好ましい。
【0068】
なお、置換又は無置換のフェニル基とは、フェニル基又はフェニル基の水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基若しくはハロゲン原子等で置換されたものをいう。置換フェニル基は、これら置換基のうち1種以上を少なくとも1つ有する。
【0069】
また、一般式(IV)で表される化合物としては、5−メルカプト−1H−テトラゾールとその誘導体が挙げられ、具体的には、R11が無置換のフェニル基である1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、R11がメチル基である1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール等が挙げられる。
【0070】
感光性樹脂組成物が(D)密着性付与剤を含む場合、(D)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜0.1質量部であることが好ましく、0.04〜0.08質量部であることがより好ましく、0.05〜0.07質量部であることがさらに好ましい。(D)成分の配合量が0.01重量部未満では、めっき液への耐性が低下して、めっき液の染み出しが大きくなり、めっきもぐりが発生する傾向があり、0.1重量部を超えると、レジストと基板との密着性が促進され過ぎて、レジストが基板から剥離せずに基板に残存する傾向がある。
【0071】
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモメチルフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
また、感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液としてもよい。この溶液を後述する感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を形成するための塗布液として使用することができる。
【0073】
また、感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥した後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、後述する感光性エレメントの形態で用いることが好ましい。
【0074】
また、感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂組成物層の層厚は、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。上述の液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合、保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0075】
(感光性エレメント)
次に、本実施形態の感光性エレメントについて説明する。本実施形態の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された上記本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えるものである。
【0076】
ここで、図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持体(支持フィルム)10と、該支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層14と、で構成される。感光性樹脂組成物層14は、上述した本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層である。また、本実施形態の感光性エレメント1は、感光性樹脂組成物層14上の支持体10とは反対側の面F1を保護フィルムで被覆してもよい。
【0077】
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムを用いることができる。
【0078】
これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。また、これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層14の支持体10として、他の一つは感光性樹脂組成物層14の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層14の両面に積層してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層14と支持体10との間の接着力よりも、感光性樹脂組成物層14と保護フィルムとの間の接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
【0079】
感光性樹脂組成物層14は、本実施形態の感光性樹脂組成物を先に述べたような溶剤に溶解して塗布液とした後に、かかる塗布液を支持体10上に塗布して乾燥することにより形成することができる。
【0080】
上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。
【0081】
また、感光性樹脂組成物層14の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜40μmであることがさらに好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると、接着力、解像度が低下する傾向がある。
【0082】
本実施形態の感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層14、支持体10及び保護フィルムの他に、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0083】
また、感光性エレメントは、例えば、そのままのシート状で又は感光性樹脂組成物層14の支持体10とは反対側の面に保護フィルムを積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際、支持体10が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0084】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0085】
(レジストパターンの形成方法)
次に、本実施形態のレジストパターンの形成方法について説明する。本実施形態のレジストパターンの形成方法は、基板上に、上記本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、露光部以外の部分を除去してレジストパターンを形成する現像工程と、を有する方法である。
【0086】
ここで、基板としては特に制限されないが、通常、絶縁層と絶縁層上に形成された導体層とを備えた回路形成用基板、又は合金基材等のダイパッド(リードフレーム用基材)が用いられる。
【0087】
基板上への感光性樹脂組成物層の積層は、例えば、感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で基板上に塗布し、塗膜を60〜110℃で乾燥させることで行うことができる。
【0088】
また、上述した本実施形態の感光性エレメントを用いて、基板上への感光性樹脂組成物層の積層を行ってもよい。その場合の積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを備える場合には保護フィルムを除去した後、感光性樹脂組成物層を70℃〜130℃程度に加熱しながら基板に0.1MPa〜1MPa程度(1kgf/cm〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着する方法等が挙げられる。かかる積層工程は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。感光性樹脂組成物層が積層される基板の表面は、通常金属面であるが、特に制限されない。
【0089】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層に対して、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものを用いることができる。
【0090】
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。
【0091】
上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0092】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0093】
(プリント配線板の製造方法)
次に、本実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。本実施形態のプリント配線板の製造方法は、回路形成用基板上に、上記本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、露光部以外の部分を除去してレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンに基づいて導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、を有する方法である。ここで、積層工程、露光工程及び現像工程を経てレジストパターンを形成する手順は、上記本実施形態のレジストパターンの形成方法と同様である。
【0094】
現像後に行われる、レジストパターンに基づく導体パターンの形成は、形成されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板を貴金属めっき液でめっきして、導体パターンを形成する。
【0095】
また、貴金属めっき液によるめっきとしては、金めっき、パラジウムめっき、銀めっき等が挙げられる。なお、従来の感光性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成した場合、解像度の向上及び現像浴汚染の抑制を目的として感光性樹脂組成物の親水性を増加させている等の理由で、めっきもぐりが発生する傾向があるが、本実施形態では、レジストパターンが形成された基板を、銀でめっきして導体パターンを形成した場合であっても、めっきもぐりを抑制することができる。そのため、本発明では、従来使用されてきた金めっきに比べて安価な銀めっきを用いることができるため、回路基板の製造コストを削減できる。
【0096】
めっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。
【0097】
(リードフレームの製造方法)
次に、本実施形態のリードフレームの製造方法について説明する。本実施形態のリードフレームの製造方法は、基板上に、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、露光部以外の部分を除去してレジストパターンを形成する現像工程と、上記レジストパターンに基づいて導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、を有する方法である。ここで、本実施形態のリードフレームの製造方法は、基板として、回路形成用基板の代わりにダイパッド(リードフレーム用基材)を用いること、レジストパターン、及び導体パターンの具体的形状以外は、上述した本実施形態の回路基板の製造方法と同様である。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0100】
(感光性樹脂組成物溶液の調製)
以下に示すように、実施例1〜9及び比較例1〜8の各感光性樹脂組成物溶液を得た。まず、実施例1〜9及び比較例1〜8の各感光性樹脂組成物溶液は、いずれも、表1に示す材料を含むものとした。また、実施例1〜3及び比較例1〜4の各感光性樹脂組成物溶液には、表2に示す(B)光重合性化合物を含有させた。実施例4〜9の各感光性樹脂組成物溶液には、表3に示す(B)光重合性化合物及び(D)密着性付与剤を含有させた。比較例5〜8の各感光性樹脂組成物溶液には、表4に示す(B)光重合性化合物及び(D)密着性付与剤を含有させた。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
表2〜4に示す材料は以下のものである。
BPE−200:本発明の(B)成分に該当する化合物であって、下記式(VI)において、m+n=4(平均値)である化合物(新中村化学工業(株)製)。
SR−454:本発明の(B)成分に該当する化合物であって、上記一般式(II)において、Rがエチル基、R〜Rがいずれも水素原子、Yがエチレン基であり、p、q及びrがそれぞれ1、sが1で表される化合物(日本化薬(株)製)。
APG−400:ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)。
BPE−10:下記式(VI)において、j+k=10(平均値)である化合物(新中村化学工業(株)製)。
UA−11:ポリエチレングリコール変性ウレタンジメタクリレート(新中村化学(株)製)。
M−113:下記式(VII)で示される化合物(東亜合成化学(株)製)。
【化9】


【化10】

【0106】
(感光性エレメントの作製)
次に、得られた各感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、商品名「G2−16」)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ(株)製、商品名「NF−13」)で保護した。このようにして、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成された各感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、保護フィルムと、を備える、実施例1〜9及び比較例1〜8の各感光性エレメントを得た。なお、感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は20μmとした。
【0107】
(レジストパターンの形成)
次に、銅基材(ヤマハオーリンメタル(株)製、商品名「OLIN7025−1/2H」)の銅表面をアルカリ脱脂、酸洗浄、水洗を実施後、空気流で乾燥し、得られた基材を80℃に加温し、その銅表面上に、各感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を、保護フィルムを剥がしながら120℃のヒートロールを用い1.5m/分の速度でラミネートし、実施例1〜9及び比較例1〜8の各評価用積層体を得た。
【0108】
<光感度の評価(実施例1〜9及び比較例1〜8)>
各評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを密着させ、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク(株)製、商品名「HMW−201GX」)を用いて露光を行った。
【0109】
次いで、各評価用積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし(スプレー(現像)時間:最少現像時間の2倍)、未露光部分を除去した後、銅張積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数(X/21)を測定し、ST=8/21を示す露光量(mJ/cm)を、光感度として求めた。この数値が小さいほど、光感度が高いことを示す。実施例1〜3及び比較例1〜4の結果を表5に示し、実施例4〜9の結果を表6に示し、比較例5〜8の結果を表7に示す。
【0110】
<銀めっき耐性の評価(実施例1〜9及び比較例1〜8)>
貴金属めっき耐性として、銀めっきに対するめっき耐性(以下、「銀めっき耐性」と記す。)の評価を、以下のようにして、実施した。まず、各評価用積層体上にネガとして開口径100μmの正四角形状のパターンを有するフォトツールを密着させ、現像後の残存ステップ段数がST=8/21となるエネルギー量によりパターン露光し、上記現像液により現像して、実施例1〜9及び比較例1〜8の各評価用基板を得た。
【0111】
各評価用基板に対して、アルカリ脱脂(1.5質量%水酸化ナトリウム水溶液)、水洗、酸洗浄(6N硫酸水溶液)、水洗を順に実施し、シアン系銀めっき液(シアン化銀:金属銀として40〜80g/L、シアン化カリウム:2.5g/L)を用いて50℃、30A/dmの条件で30秒間、電解銀めっき処理を行った。
【0112】
電解銀めっき処理後の各評価用基板を水洗、乾燥した後、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして各評価用基板からレジストを剥離し、各評価用基板の上方から光学顕微鏡を用いて、レジスト底部へのめっき液染み出しによるめっきもぐり幅を測定した。実施例1〜3及び比較例1〜4の結果を表5に示し、実施例4〜9の結果を表6に示し、比較例5〜8の結果を表7に示す。銀めっき耐性は、めっきもぐり幅(μm)で評価され、その数値が小さいほど、銀めっき耐性が良好であることを示す。表5(実施例1〜3及び比較例1〜4)において、めっきもぐり幅が10μmよりも小さい場合、値は「<10」で表され、30μmを超える場合、値は「>30」で表される。表6(実施例4〜9)及び表7(比較例5〜8)において、めっきもぐり幅が10μmよりも小さい場合、値は走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名「S−2100A」)を用いて測定しためっきもぐり幅(μm)で表され、30μmを超える場合、値は「>30」で表される。
【0113】
<金めっき耐性の評価(実施例1〜3及び比較例1〜4)>
貴金属めっき耐性として金めっきに対するめっき耐性(以下、「金めっき耐性」と記す。)の評価を実施した。まず、上記評価用積層体上にネガとして開口径100μmの正四角形状のパターンを有するフォトツールを密着させ、現像後の残存ステップ段数がST=8/21となるエネルギー量によりパターン露光し、上記現像液により現像して実施例1〜3及び比較例1〜4の各評価用基板を得た。
【0114】
各評価用基板に対して、アルカリ脱脂(12.5体積%PC455コンク、メルテックス(株)製)、水洗、ソフトエッチング(過硫酸ナトリウム:150g/L)、水洗、酸洗浄(10体積%硫酸水溶液)を順に実施し、下地めっきとしてニッケルめっき液(240g/L硫酸ニッケル、45g/L塩化ニッケル、36g/Lホウ酸の水溶液混合物)を用いて、50℃、7.5A/dmの条件で20秒間電解ニッケルめっき処理を実施した。次に、金めっき液(テンペレジスEX、日本高純度化学(株)製)を用いて、65℃、0.5A/dmの条件で7分間電解金めっき処理を実施した。
【0115】
電解金めっき処理後の各評価用基板を水洗、乾燥した後、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして各評価用基板からレジストを剥離し、各評価用基板を上方から光学顕微鏡を用いて、レジスト底部へのめっき液染み出しによるめっきもぐり幅を測定した。結果を表5に示す。金めっき耐性は、めっきもぐり幅(μm)で評価され、その数値が小さいほど、金めっき耐性が良好であることを示す。めっきもぐり幅が10μmよりも小さい場合、値は「<10」で表され、30μmを超える場合、値は「>30」で表される。
【0116】
<剥離時間の評価(実施例1〜9及び比較例1〜8)>
実施例1〜9及び比較例1〜8の各評価用積層体を45mm×60mm四方の大きさに切断し、現像後の残存ステップ段数がST=8/21となるエネルギー量によりベタ露光した後、上記現像液により現像を行った。このようにして得られた各試験片を、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液中に、撹拌子で撹拌しながら浸漬し、各試験片のレジスト表面を目視により観察した。剥離時間として、レジストの剥離が始まる時間(秒)をストップウォッチで測定した。実施例1〜3及び比較例1〜4の結果を表5に示し、実施例4〜9の結果を表6に示し、比較例5〜8の結果を表7に示す。剥離時間は短いほど、剥離特性が良好であることを示す。
【0117】
<密着性の評価(実施例1〜9及び比較例1〜8)>
実施例1〜9及び比較例1〜8の各評価用積層体上に、ネガとしてライン幅/スペース幅が6/400〜47/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、現像後の残存ステップ段数がST=8/21となるエネルギー量によりパターン露光し、上記現像液により現像した後、光学顕微鏡を用いて観察し、密着性の評価を行った。実施例1〜3及び比較例1〜4の結果を表5に示し、実施例4〜9の結果を表6に示し、比較例5〜8の結果を表7に示す。密着性は、現像処理によって剥離せずに残ったライン幅(μm)のうち最も小さい値で表され、このライン幅が小さいほど、密着性が高いことを示す。
【0118】
<解像度の評価(実施例1〜9及び比較例1〜8)>
実施例1〜3及び比較例1〜4の各評価用積層体上に、ネガとしてライン幅/スペース幅が400/6〜400/47(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、現像後の残存ステップ段数がST=8/21となるエネルギー量によりパターン露光し、上記現像液により現像した後、光学顕微鏡を用いて観察し、解像度の評価を行った。実施例1〜3及び比較例1〜4の結果を表5に示し、実施例4〜9の結果を表6に示し、比較例5〜8の結果を表7に示す。解像度は、現像処理によって未露光部を完全に除去できたスペース幅(μm)のうち最も小さい値で表され、この数値が小さい程、解像度が高いことを示す。
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
【表7】

【0122】
表5から明らかなように、実施例1〜3は、金めっき耐性のみならず、銀めっき耐性に優れると共に、充分な剥離特性を有していることが確認された。一方、比較例1〜4は、実施例に比べて、金めっき耐性及び銀めっき耐性に乏しく、特に銀めっき耐性が劣ることが確認された。また、実施例1〜3は、十分な光感度、密着性及び解像度を有することも確認された。
【0123】
表6から明らかなように、実施例4〜9は、銀めっき耐性に優れると共に、充分な剥離特性、密着性及び解像度を有していることが確認された。さらに、実施例4〜9は、光感度にも優れることが確認された。一方、表7から明らかなように、比較例5〜8は、実施例に比べて銀めっき耐性及び密着性に乏しく、特に銀めっき耐性が劣ることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0125】
1・・・感光性エレメント、10・・・支持体、14・・・感光性樹脂組成物層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマーと、
(B)分子内に1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、
(C)光重合開始剤と、
を含有し、
前記(B)光重合性化合物として、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含有する、感光性樹脂組成物。
【化1】


[式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、m及びnはm+n=2〜6を満たす整数である。但し、式(I)中、複数存在するXはそれぞれ同一であっても異なってもよい。]
【化2】


[式(II)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メチロール基、アクリロイル基、又は、メタクリロイル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Yは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、p、q及びrはp+q+r=3〜9を満たす整数であり、sは0又は1である。なお、式(II)中、複数存在するYはそれぞれ同一であっても異なってもよい。]
【請求項2】
さらに(D)密着性付与剤を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)密着性付与剤として、イミダゾール類及び/又はテトラゾール類を含有する、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記イミダゾール類は、下記一般式(III)で表される化合物であり、
前記テトラゾール類は、下記一般式(IV)で表される化合物である、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】


[式(III)中、R、R、R、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【化4】


[式(IV)中、R11は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
【請求項5】
支持体と、前記支持体上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメント。
【請求項6】
基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、
前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、
前記露光部以外の部分を除去してレジストパターンを形成する現像工程と、
を有するレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板をめっきして導体パターンを形成する工程を有するリードフレームの製造方法。
【請求項8】
前記レジストパターンが形成された前記基板を、銀でめっきして前記導体パターンを形成する請求項7に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された基板をめっきして導体パターンを形成する工程を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記レジストパターンが形成された前記基板を、銀でめっきして前記導体パターンを形成する請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2009−223277(P2009−223277A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204542(P2008−204542)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】