説明

感光性樹脂組成物、カラーフィルタの製造方法及びカラー表示装置

【課題】 高精細で、密着性も良く、更に現像残渣のない、感光性樹脂組成物、それを用いたフォトスペーサーを有するカラーフィルタの製造方法及びカラー表示装置を提供する
【解決手段】 (A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)有機溶剤、及び(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル、とを含有する感光性樹脂組成物。前記(A)成分であるエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂が、重量平均分子量が3,000〜200,000であり、ジシクロ環または、トリシクロ環を有するモノマー3〜70質量%、水酸基を有するモノマー5〜50質量%、及びN−置換マレイミド基を有するモノマー5〜50質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる重合体(a)に、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネートを1〜30質量%付加させた重合体である前記の感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、それを用いたカラーフィルタ製造方法及びカラー表示装置に関し、詳しくは現像残渣がなく、ガラス基板やITO基板への密着性が良いフォトスペーサーを形成することができる感光性樹脂組成物、カラーフィルタの製造方法及びカラー表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルには、従来から、2枚の基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つため、所定の粒径を有するガラスビーズ、プラスチックビーズなどの直径4〜5μm程度のスペーサー粒子が使用されているが、これらスペーサー粒子は、ガラス基板などの透明基板上にランダムに散布されるため、赤(R)、緑(G)及び青(B)画素形成領域にスペーサー粒子が存在すると、光漏れや入射光が散乱を受け、液晶パネルのコントラストが低下するという問題があった。
そこで、これらの問題を解決するために、スペーサーをフォトリソグラフィーにより形成する方法が採用されるようになってきた(柱状スペーサー、カラムスペーサー、ポストスペーサー、フォトスペーサーなどと呼ばれる)。この方法は、感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、所定のマスクを介して紫外線を露光したのち現像して、ドット状やストライプ状のスペーサーを形成するものであり、画素形成領域以外の所定の場所、たとえばカラーフィルタ上のブラックマトリックス上にのみスペーサーを形成することができるため、光漏れやコントラストの低下の問題は解決される。
また、液晶表示装置の高品位化が進んでおり、スペーサーの小径化やスペーサー形状の順テーパ化、密着性向上、及び現像残渣がないことが求められている。
従来の密着性を向上させる技術としては、カラーフィルタ用硬化組成物ではシランカップリング剤を用いる方法(特許文献1,2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−38226号公報
【特許文献2】特許第2874091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シランカップリング剤では、樹脂組成物の官能基がカップリング剤と反応してしまうために増粘し、また密着性も低下するなど、経時安定性が悪い事がわかっている。
また、高精細化により添加される開始剤量が少量となっていくために、光硬化不足が原因となり、スペーサー形状の逆テーパ化やスペーサーの剥離が見られる。
さらには、液晶表示装置の製造工程中に、溶剤、酸またはアルカリ溶液などによる浸漬処理が行われ、これらの処理に対して耐性を有することが必要となっている。
これらのことから、フォトスペーサーは高精細、高密着性、現像残渣がなく、且つ信頼性も高い事が要求される。
本発明の目的は、上記のような状況から、カラーフィルタの製造において、高精細で、密着性も良く、更に現像残渣のない、感光性樹脂組成物、それを用いたフォトスペーサーを有するカラーフィルタの製造方法及びカラー表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高精細で、密着性も良く、更に現像残渣のない以下の組成の感光性樹脂組成物を見出した。
即ち、本発明は、(A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)有機溶剤、及び(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル、とを含有する感光性樹脂組成物に関する。
前記エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂は、耐アルカリ性、解像度及び弾性復元率の観点から、重量平均分子量が3,000〜200,000であり、ジシクロ環または、トリシクロ環を有するモノマー3〜70質量%、水酸基を有するモノマー5〜50質量%、及びN−置換マレイミド基を有するモノマー5〜50質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる重合体(a)に、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネートを1〜30質量%付加させた重合体であることが好ましい。
【0006】
【化1】

(一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Xは炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、または−R−OCONH−R−を示し、該Rは、炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示し、Rはジイソシアネート化合物の残基を示す。)
また、前記(E)成分であるエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルは、密着性向上の観点から、一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0007】
【化2】

(一般式(2)中、Rは水素またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示し、aは1〜3の整数を示す。)
【0008】
また、本発明は、上記に記載の感光性樹脂組成物を用いて基板上にフォトスペーサーを形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法に関する。
また、本発明は、上記に記載の方法により製造されたカラーフィルタを有することを特徴とするカラー表示装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物は、高精細で、密着性も良く、更に現像残渣のないフォトスペーサーを付与することができ、この感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法及びそれにより得られたカラー表示装置は、高精細で、密着性も良く、更に現像残渣のないフォトスペーサーを形成でき、光漏れやコントラストの低下のない高品位のカラーフィルタやカラー表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)有機溶剤及び(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル、とを含有する。以下、各成分について詳細に説明する。
なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
【0011】
(A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂
本発明で用いる(A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂は、ジシクロ環もしくはトリシクロ環を有するモノマー(a1)、水酸基を有するモノマー(a2)及びN−置換マレイミド基を有するモノマー(a3)を含有するモノマー成分を重合して得られる重合体(a)に、エチレン性不飽和基含有イソシアネート(b)を付加することにより得られるアクリル樹脂であることが好ましい。
ジシクロ環もしくはトリシクロ環を有するモノマー(a1)としては、ビニル重合可能なビニルモノマーであることが好ましく、例えばジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のジシクロアルケニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のジシクロアルケニルオキシアルキル(メタ)アクリレート;メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等のトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、負荷をかけた際の変位量及び負荷を取り除いた後の弾性復元率の観点からは、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基を持ったメタクリレートが好ましく、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンがより好ましい。
モノマー(a1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a1)の使用量は、全モノマー成分の合計量に対して、3〜70質量%であり、好ましくは5〜65質量%であり、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。3質量%未満の場合は、耐熱性が低下し、70質量%を超える場合は、得られる樹脂の粘度が高いことからハンドリング性が悪くなり、カラーフィルタ上に目的とする膜厚で塗布することが困難となる。
【0012】
水酸基を有するモノマー(a2)としては、ビニル重合可能なビニルモノマーが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基部位の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。);p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマー(a2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2)の使用量は、全モノマー成分の合計量に対して、5〜50質量%であり、10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。5質量%未満の場合は、パターン形成時間が遅くなり、本発明の特性が得られない。50質量%を超える場合は、得られる樹脂の粘度が高く、また、極性の低い溶剤に対しては、得られる樹脂が白濁する傾向がある。
【0013】
N−置換マレイミド基を有するモノマー(a3)としては、N−2−メチルヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド(アルキル基部位の炭素数は好ましくは1〜10である。);N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミド等のN−シクロヘキシルマレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等のN−フェニルマレイミド類等が挙げられる。これらの中でも、透明性及び溶解性の観点から、N−シクロヘキシルマレイミド類が好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミドがより好ましい。
モノマー(a3)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a3)の使用量は、全モノマー成分の合計量に対して、5〜50質量%であり、10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。5質量%未満の場合は、熱履歴を受け易く、スペーサーとしての十分な密着性が得られない。また、50質量%を超える場合、透明性が低下する恐れがある他、スペーサーとしたとき、硬化物が脆くなり、負荷がかかった際に欠けが生じることがある。
【0014】
また、本発明の感光性樹脂組成物について、アルカリ現像を可能とする観点から、モノマー成分として更にカルボキシル基を有するモノマー(a4)を用いることができる。
モノマー(a4)としては、ビニル重合可能なビニルモノマーが好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、α−クロロアクリル酸等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
モノマー(a4)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a4)を使用する場合、その使用量は、全モノマー成分の合計量に対して、5〜50質量%が好ましく、8〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
【0015】
上記のようにして得られた重合体(a)に、エチレン性不飽和基含有イソシアネート(b)を付加させることにより、成分(A)のエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂を合成する。
エチレン性不飽和基含有イソシアネート(b)としては、下記一般式(1)
【0016】
【化3】

で表されるイソシアネート;下記一般式(2)
【0017】
【化4】

で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと下記一般式(3)
【0018】
【化5】

で表されるジイソシアネート化合物のモル比1:1の反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で表されるイソシアネートが好ましい。
上記一般式(1)〜(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
また、Xは、主鎖炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基又は−R−OCONH−R−を表す。該アルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、Rは、炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、エチレン基が好ましい。Rは、ジイソシアネート化合物の残基を示し、具体的には、炭素数1〜20のアルキレン基又は環形成炭素数6〜12のアリーレン基である。該アルキレン基としては、メチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。それらの中でも、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、ジフェニルメチレン基、ヘキサメチレン基がより好ましい。また、該アリーレン基としては、フェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0019】
一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネートの具体例としては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−1,1−ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4−イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、工業的に有用な2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、上記一般式(2)における、Yは、炭素数2〜6個のアルキレン基を表し、Xが表す炭素数2〜6個のアルキレン基の例示と同様のものが挙げられる。それらの中でも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が好ましく、エチレン基、トリメチレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
一般式(3)中、Zは、メチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の好ましくは主鎖炭素数1〜10個のアルキレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基(トリレン基)等のアリーレン基;シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基;m−キシリレン基、p−キシリレン基等のキシリレン基等;ピリジレン基等を表す。
【0020】
一般式(3)で表されるジイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI、イソホロンジイソシアネート)、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、ピリジンジイルイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
エチレン性不飽和基含有イソシアネート(b)の使用量は、重合体(a)に対して、1〜30質量%であり、3〜20質量%がより好ましく、5〜18質量%が更に好ましい。
エチレン性不飽和基含有イソシアネート(b)の使用量を1質量%〜30質量%とすることで、耐アルカリ性、解像度及び弾性復元率をより向上させることができる。
以上のようにして得られる(A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂の重量平均分子量は、3,000〜200,000の範囲とし、3,000〜100,000の範囲とすることが好ましく、5,000〜50,000の範囲が更に好ましい。重量平均分子量が、3,000未満では、耐アルカリ性が低下し、また、200,000を超えると感光液にしたときに粘度が高くなり、スピンコートする際の塗布性が低下する傾向があり、実用的ではない。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、重量平均分子量または、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
【0022】
(B)光重合性化合物
本発明の感光性樹脂組成物に含有させる(B)光重合性化合物は、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ECH変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(POはプロピレンオキシドを意味する。以下同様)、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート等、ウレタン結合を有している光重合性化合物などが挙げられる。
前記ウレタン結合を有している光重合性化合物は、公知のイソシアネート化合物と公知の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を反応させて得ることができる。該イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリメチレンジイソシアネート;トリレンジイソシアネート等のアリーレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等のシクロアルキレンジイソシアネート等が挙げられる。また、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
使用し得るウレタン結合を有する光重合性化合物の具体例としては、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。成分(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
密着性、弾性復元率を向上できる観点からは、1分子中に(メタ)アクリロイル基が6〜10であり、数平均分子量が500〜2000である光重合性化合物が好ましい。
成分(B)の含有量は、成分(A)〜(C)、(E)の合計量に対して、40〜60質量%であり、好ましくは45〜55質量%である。40質量%未満であると、弾性復元率が低くなったり、アルカリ現像不可能となることがあり、一方、60質量%を超えると、密着性及び塗膜外観が悪くなる。
【0023】
(C)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物に含有させる光重合開始剤は、公知のものを使用でき、例えばベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤の含有量は、成分(A)〜(C)、(E)の合計量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4質量%である。
光重合開始剤の含有量を上記範囲することで、光感度及び密着性が良好となり、且つ、復元弾性率と変位量を良好にすることができる。
【0024】
(D)有機溶剤
本発明の感光性樹脂組成物に含有させる有機溶剤は、例えばケトン化合物、アルキレングリコールエーテル化合物、環状エーテル化合物、アルコール化合物、エステル化合物、芳香族化合物等が挙げられる。
ケトン化合物としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等の好ましくは総炭素数3〜10のジアルキルケトン;シクロヘキサノン等の好ましくは環形成炭素数5〜8のシクロアルカノン等が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル化合物としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ等のアルキルセロソルブ(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のアルキルセロソルブアセテート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);エチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);ジエチレングリコールエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。);トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート等のトリエチレングリコールアルキルエーテルアセテート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。)等が挙げられる。
環状エーテル化合物としては、環形成炭素数5〜8のものが好ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
アルコール化合物としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール等が挙げられる。
エステル化合物としては、例えば3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、酢酸エチル等が挙げられる。
芳香族化合物としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン等のN−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドン(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5である。)等が挙げられる。
有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。有機溶剤の含有量は、成分(A)〜(D)、(E)の合計量に対して、好ましくは40〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%であり、更に好ましくは60〜80質量%である。有機溶剤の含有量を上記範囲にすることにより、感光性樹脂組成物が適切な粘度となり、塗布性が良好となり、且つ塗布ムラが発生し難い。
【0025】
(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル
本発明で使用するエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルは、一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0026】
【化6】

(一般式(2)中、Rは、水素またはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示し、aは1〜3の整数を示す。)
(E)成分の含有量は、成分(A)〜(C)、(E)の合計量に対して、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
(E)成分の含有量を上記範囲することで、光感度及び密着性が良好にすることができる。
【0027】
本発明の感光性樹脂組成物には、暗反応を抑制するための熱重合禁止剤(ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等)、基板との密着性を向上させるためのカップリング剤(ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有したシランカップリング剤やイソプロピルトリメタクリロイルチタネート、ジイソプロピルイソステアロイル−4−アミノベンゾイルチタネート等)を必要に応じて適宜使用することができる。
更に、本発明の感光性樹脂組成物には、膜の平滑性を向上させるための界面活性剤も必要に応じて適宜使用することができる。界面活性剤としては、例えばカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
【0028】
カチオン系界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド等のアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム等のモノアルキル硫酸塩;アルキルポリオキシエチレン硫酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩;モノアルキルリン酸塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;第三級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等が挙げられる。
また、界面活性剤としては市販品を使用してもよく、商品名としては、例えばKP(シリコーン系、信越化学工業株式会社製)、ポリフロー(シリコーン系・アクリル系、共栄社化学株式会社製)、エフトップ(登録商標)(アニオン系、株式会社トーケムプロダクツ製)、メガファック(登録商標)(フッ素系、大日本インキ化学工業株式会社製)、フタージェント(登録商標)(フッ素系、株式会社ネオス製)、フロラード(フッ素系、住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード(登録商標)、サーフロン(以上、フッ素系、旭硝子株式会社製)、Disperbyk(登録商標)(ノニオン系、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ソルスパース(アストラゼネカ株式会社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の使用量は、成分(A)〜(C)、(E)の合計量100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは2質量部以下である。
更に、上記成分以外にも、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で使用することもできる。
【0029】
<感光性樹脂組成物の製造方法>
感光性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(E)及び必要に応じて使用する界面活性剤と混合し、超音波分散機、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ニーダー等の分散・混練装置により、十分に混練・分散させることにより製造できる。
【0030】
<カラーフィルタ及びカラー表示装置>
本発明では、公知の感光性着色樹脂組成物又は本発明の感光性樹脂組成物に公知の着色顔料を含有させた感光性着色樹脂組成物を基板上に塗布して感光層を形成し、露光及び現像することにより、着色画素を製造することができる。ここで、感光性着色樹脂組成物の塗付方法としては、感光液を基板に直接塗布するか、又は感光液を一旦支持体に塗布して成膜した後、基板に形成する方法が挙げられる。
なお、着色画素として、青色画素、赤色画素、緑色画素及び黒色画素等を順次形成し、フォトスペーサーを形成することによりカラーフィルタを製造することができる。
カラーフィルタを製造する際に使用する基板としては、用途により適宜選択されるが、例えば、白板ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス板;ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製シート、フィルム又は板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属板;その他セラミック板;光電変換素子を有する半導体基板等が挙げられる。これらの基板には、予めクロム蒸着等によりブラックマトリックスが形成されていてもよい。
感光性着色樹脂組成物を用いて基板上へ感光層を形成するには、感光性着色樹脂組成物を基板に直接塗布する方法が簡便である。
感光性着色樹脂組成物を基板に直接塗布する方法としては、スリットコーター塗布、ロールコーター塗布、スピンコーター塗布、スプレー塗布、ホエラー塗布、ディップコーター塗布、カーテンフローコーター塗布、ワイヤーバーコーター塗布、グラビアコーター塗布、エアナイフコーター塗布等がある。塗布後、50〜130℃で1〜30分乾燥(又は真空乾燥により乾燥)することが好ましい。
このようにして形成された感光層の厚みは、用途によって適宜定まるが、通常、0.1〜300μmの範囲が好ましい。また、カラーフィルタに用いる場合には、0.2〜10μmの範囲が好ましい。
【0031】
基板上に形成された感光層への露光は、その感光層に活性光線を画像状に照射することにより行なうことができる。露光時の光量は、通常、10〜500mJ/cm2とすることが好ましい。これにより露光部の膜を硬化させることができる。露光に際し、その膜の表面にポリビニルアルコール等の酸素遮断膜を0.5〜30μmの厚みで形成し、その上から露光してもよい。
活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、可視光レーザー等が好適である。これらの光源を用いてフォトマスクを介したパターン露光や走査による直接描写等を行なうことにより画像状に活性光線を照射する。
上記の露光に続いて現像を行なう。
現像は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等の無機アルカリ、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の有機塩基、又は塩を含む水溶液(アルカリ現像液)、有機溶剤等の現像液を吹き付けるか、現像液に浸漬する等して未露光部を除去する。このような現像により、画像に対応した硬化膜の着色画像パターン(着色画素)を得ることができる。
現像後、更に、着色画素をより強固に硬化させるため、ポストベークを行なうことが好ましい。ポストベーク温度は60〜280℃が好ましく、加熱時間は、通常、1〜60分間が好ましい。
以上の様にして、異なる3〜7色の着色画素の製造を順次行なうことが好ましい。例えば、先にクロム蒸着等により形成したブラックマトリックス上に、赤、緑、青の着色画素を順次形成してもよいし、赤、緑、青の着色画素を形成した後に、これらの着色画素の隙間に公知の黒色の画像形成材料を用いてブラックマトリックスを形成してもよい。赤、緑、青の着色画素形成順序は任意である。
こうして得られるカラーフィルタ上に、本発明の感光性樹脂組成物を膜厚が好ましくは0.1〜20μmになるように塗布し、40〜130℃で1〜60分間乾燥する。次いで、フォトスペーサー形成用のフォトマスクを通して10〜500mJ/cm2の光量で活性光線を照射する。その後、アルカリ現像してから好ましくは60〜280℃でポストベークを行うことにより、フォトスペーサーを上記カラーフィルタ上に形成し、カラー表示装置を製造することができる。
本発明のフォトスペーサーは、円柱状にした時に好適である。円柱状とした時の高さは、3〜5μmであることが好ましく、3.5〜4.5μmであることがより好ましい。また、直径は、20〜30μmであることが好ましく、22〜28μmであることがより好ましい。
【0032】
本発明のカラー表示装置は、上記方法により製造されたカラーフィルタを有するものであるが、該方法により製造されたカラーフィルタを具有した液晶表示デバイスを用いたカラー表示装置をも含む。このような液晶表示デバイスを用いたカラー表示装置の場合には、通常、基板上に上記の方法により着色画素を形成し、その表面を覆う樹脂等により平坦化層と、電極及び配向膜に挟まれた液晶層を有した液晶セル、必要に応じて、この液晶セルの外側に偏光膜、反射板、位相差板、光源等を配置し、液晶素子として用いられる。
【実施例】
【0033】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した樹脂の合成に用いた材料の配合表を表1に示し、樹脂の合成方法を下記に示した。
実施例及び比較例で使用した感光性樹脂組成物の配合比率を表2に示し、実施例及び比較例の感光特性と密着性試験の評価結果を纏めて表3に示した。
【0034】
(密着性試験方法)
50℃-温水超音波試験(超音波洗浄器:株式会社エスエヌディ 型番US-1)にて、ITO基板上に成膜しパターニングしたサンプルを10分間浸漬し、前後の密着性を目視にて確認した。
マスクサイズ直径10μmパターン35個×90個(3150個)について剥離した数を測定し、剥離せず密着していた個数を100分率で評価した。
【0035】
<樹脂Aの合成>
(1)1リットルの4つ口フラスコに320gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを秤取り、Nでバブリングしながら、液温を90℃に保った。(2)1リットルビーカー内で275gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジシクロ環または、トリシクロ環を有するモノマーとしてメタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業株式会社製、FANCRYL FA−513M)101.3g、N−置換マレイミド基を有するモノマーとしてN−シクロヘキシルマレイミド45g、水酸基を有するモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート45gを混合し、Nでバブリングしながら溶解させた。N−シクロヘキシルマレイミドの溶解を確認した後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3gを溶解させた。(2)で得られた溶液を(1)の4つ口フラスコ中の90℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに3時間かけて連続的に滴下し、その後3時間90℃に保った。3時間、90℃に保っている間、数回に分けて40gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの中にあらかじめ溶解させておいた2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.6gを残存モノマ低減のため添加した。合計6時間、90℃で反応を行なった後、120℃まで液温を上昇させ、その後、1時間、120℃に保ち、自然冷却した。更に、エチレン性不飽和基含有イソシアネートとして2−イソシアナートエチルメタクリレート31g、ジブチル錫ジラウレート0.3gを添加し、70℃で4時間撹拌し、表1に記載の樹脂Aを得た。樹脂の重量平均分子量は、25,000であった。
【0036】
(実施例1)
(1)感光性樹脂組成物の製造
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.21gに上記で合成した樹脂A:16.71gと、(B)光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:5.85g、(C)光重合開始剤としてベンゾフェノン:0.11g、及びN,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン:0.06g、(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステルとして2−ヒドロキシエチルメタクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物(商品名:PM−21、日本化薬株式会社製、一般式(2)中、Rが、メチル基、Rがエチレン基、n及びaが1であるエチレン性不飽和基を有するリン酸エステル):0.06gを加えて混合し、表2に示す組成の感光性樹脂組成物を含む感光液を得た。
【0037】
(2)フォトスペーサーの形成
(1)の感光液を、ITO基板上にスピンコート法により塗布し、さらに90℃で3分間乾燥を行い、膜厚約6.0μmの膜を形成した。得られた膜に、フォトマスクを通して超高圧水銀灯によりに200mJ/cmの露光を行った。その後、アルカリ現像液にて40秒間現像して、ガラス基板上に円形状のフォトスペーサーを得た。その後、250℃で30分間ポストベークした。この時、フォトスペーサーの高さは6.0μm、直径13.0μmであった。その時の、密着性試験結果を表3に示した。
【0038】
(比較例1)
実施例1の(1)感光性樹脂組成物の製造において添加剤として加えた(E)成分(2-ヒドロキシエチルメチルメタクリレートの6-ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物)を除いた以外は実施例1と同様にして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.15gに樹脂A:16.79gと、多官能光重合剤化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:5.88g、光開始剤としてベンゾフェノン:0.12g、及びN,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン:0.06gを加えて混合し、感光性樹脂組成物を製造した。この時、フォトスペーサーの高さは6.2μm、直径13.1μmであった。その時の、密着性試験結果を表3に示した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
本発明の(A)〜(E)成分を含有する感光性樹脂組成物を用いて得られるフォトスペーサーは、アルカリ現像液に耐性を有し、スペーサー高さが減少することなく、また、現像残渣がなく良好で、高密着性であった。これに対し、(E)成分のエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルを用いない比較例1は、密着性に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)有機溶剤、及び(E)エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル、とを含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)成分であるエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂が、重量平均分子量が3,000〜200,000であり、ジシクロ環または、トリシクロ環を有するモノマー3〜70質量%、水酸基を有するモノマー5〜50質量%、及びN−置換マレイミド基を有するモノマー5〜50質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる重合体(a)に、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネートを1〜30質量%付加させた重合体である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Xは炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、または−R−OCONH−R−を示し、該Rは、炭素数2〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示し、Rは、ジイソシアネート化合物の残基を示す。)
【請求項3】
前記(E)成分であるエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルが、一般式(2)で表される化合物である請求項1又は2に記載の感光樹脂組成物。
【化2】

(一般式(2)中、Rは、水素またはメチル基を示し、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示し、aは1〜3の整数を示す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、カラーフィルタ上に感光性樹脂組成物を設け、フォトマスクを通して活性光線を照射し、現像することにより基板上にフォトスペーサーを形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により製造されたカラーフィルタを有するカラー表示装置。

【公開番号】特開2010−237449(P2010−237449A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85518(P2009−85518)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】