説明

感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法

【課題】
感度、解像度及び密着性の全てを従来よりも十分に満足するレジストパターンを形成する感光性樹脂組成物及び感光性エレメント、並びにそれらを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供すること。
【解決手段】
上記目的を達成する本発明は、(A)特定のスチレン及びその誘導体から得られる2価の基10〜65質量部と、特定の(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体から得られる2価の基5〜55質量部と、(メタ)アクリル酸から得られる2価の基15〜50質量部とを有する100質量部のバインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造分野においては、エッチングやめっきなどに用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や、この感光性樹脂組成物を含有する層(以下、「感光性樹脂組成物層」という)を支持フィルム上に形成し、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを配置させた構造を有する感光性エレメント(積層体)が広く用いられている。
【0003】
従来、プリント配線板は、上記感光性エレメントを用いて、例えば以下の手順で製造されている。すなわち、まず、感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を銅張り積層板などの回路形成用基板上にラミネートする。このとき、感光性樹脂組成物層の支持フィルムに接触している面(以下、感光性樹脂組成物層の「下面」という)と反対側の面(以下、感光性樹脂組成物層の「上面」という)が、回路形成用基板の回路を形成する面に密着するようにする。そのため、保護フィルムを感光性樹脂組成物層の上面に配置している場合、このラミネートの作業を保護フィルムを剥がしながら行う。また、ラミネートは、感光性樹脂組成物層を下地の回路形成用基板に加熱圧着することにより行う(常圧ラミネート法)。
【0004】
次に、マスクフィルムなどを通して感光性樹脂組成物層をパターン露光する。このとき、露光前又は露光後の何れかのタイミングで支持フィルムを剥離する。その後、感光性樹脂組成物層の未露光部を現像液で溶解又は分散除去する。次に、エッチング処理又はめっき処理を施してパターンを形成させ、最終的に硬化部分を剥離除去する。
【0005】
ここでエッチング処理とは、現像後に形成した硬化レジストによって被覆されていない回路形成用基板の金属面をエッチング除去した後、硬化レジストを剥離する方法である。一方、めっき処理とは現像後に形成した硬化レジストによって被覆されていない回路形成用基板の金属面に銅及び半田などのめっき処理を行った後、硬化レジストを除去しこのレジストによって被覆されていた金属面をエッチングする方法である。
【0006】
ところで、上述のパターン露光の手法としては、従来、水銀灯を光源として用いてフォトマスクを介して露光する手法が用いられている。また、近年、新露光技術としてDLP(Digital Light Processing)という、パターンのデジタルデータを直接、感光性樹脂組成物層に描画する直接描画露光法が提案されている。この直接描画露光法はフォトマスクを介した露光方法よりも位置合わせ精度が良好であり、かつファインパターンが得られることから、高密度パッケージ基板作製のために導入されつつある。
【0007】
パターン露光では、生産のスループット向上のために、なるべく露光時間を短縮する必要がある。上述の直接描画露光法では、従来のフォトマスクを介した露光方法に用いる感光性樹脂組成物と同程度の感度の組成物を使用すると、一般的には多くの露光時間が必要となる。そのため、露光装置側の照度を上げることや感光性樹脂組成物の感度を上げることが必要となる。
【0008】
また、感光性樹脂組成物は、上述の感度に加えて解像度、レジストの剥離特性及び密着性にも優れていることが重要である。感光性樹脂組成物が解像度及び密着性に優れたレジストパターンを提供できれば、回路間の短絡や断線を十分に低減することが可能となる。また、感光性樹脂組成物が、剥離特性に優れたレジストを形成可能であると、レジストの剥離時間を短縮化することによりレジストパターンの形成効率が向上し、また、レジストの剥離片の大きさを小さくすることによりレジストの剥離残りが少なくなり、回路形成の歩留まりが向上する。
【0009】
このような要求に対して特定のバインダーポリマー、光重合開始剤などを用いた、優れた感度、解像度及びレジスト剥離特性の感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−234995号公報
【特許文献2】特開2005−122123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度及び密着性の全てを十分に満足するレジストパターンを形成するには到っていない。
【0012】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、感度、解像度及び密着性の全てを従来よりも十分に満足するレジストパターンを形成する感光性樹脂組成物及び感光性エレメント、並びにそれらを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明は、(A)下記一般式(I)で表される2価の基10〜65質量部と、下記一般式(II)で表される2価の基5〜55質量部と、下記一般式(III)で表される2価の基15〜50質量部とを有する100質量部のバインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
ここで、式(I)、(II)及び(III)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。Rは、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい複素環式基を示す。mは0〜5の整数を示し、mが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述のような特定の成分を組み合わせて構成されることにより、直接描画露光法によるレジストパターンの形成においても、従来よりも十分な感度を有しており、しかも十分な解像度及び密着性でレジストパターンを形成することができる。上記(A)成分のような特定の基を有するバインダーポリマーを用いることによって、上述のような感度、解像度及び密着性の全てについて、従来よりも十分な効果が得られたと本発明者らは考えている。
【0017】
本発明の上記感光性樹脂組成物は、それから形成されるレジストパターンの剥離特性も十分に有するものである。したがって、レジストパターンやプリント配線板の形成の際に、本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、工程の短縮化に繋がると共に、製品の歩留を向上することができる。
【0018】
また、上記感光性樹脂組成物において、上記Rが、下記一般式(IV)で表される1価の基であることが好ましく、感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性をさらに向上することができる。
【化2】

【0019】
ここで、式(IV)中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示す。nは0〜5の整数を示し、nが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0020】
また、上記Rは、下記一般式(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)(以下、「(V)〜(VIII)」と表記する。)でそれぞれ表される1価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性をより一層向上することができる。
【化3】

【0021】
ここで、式(V)〜(VIII)中、R、R及びRはそれぞれ独立にヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示す。jは0〜4の整数を示し、k及びpは0〜9の整数を示し、j、k又はpが2以上のとき、複数のR、R又はRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0022】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体を含むことが好ましい。これにより、レジストパターンの解像度及び密着性が高められると共に、スラッジ除去性がさらに向上する。
【0023】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、(D)増感色素を更に含有することが好ましい。これにより、特定の波長範囲内にピークを有する光で露光する場合において、その特定の波長範囲付近に極大吸収をもたせることができ、感光性樹脂組成物の感度が一層高められる。
【0024】
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、(E)アミン系化合物をさらに含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度を更に高くすることが可能となる。
【0025】
本発明は、支持フィルムと、当該支持フィルム上に形成された上述の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層とを備える感光性エレメントを提供する。この感光性エレメントによれば、上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を備えているので、直接描画露光法によりレジストパターンを形成する場合でも、十分な感度、解像度及び密着性で行うことが可能である。
【0026】
本発明は、回路形成用基板上に、上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を積層する積層工程、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化する露光工程、及び感光性樹脂組成物層が積層された回路形成用基板から感光性樹脂組成物層の露光部以外の部分を除去する現像工程を有するレジストパターンの形成方法を提供する。このレジストパターンの形成方法によれば、上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を用いてレジストパターンを形成しているので、露光時間の短い直接描画露光法によっても、十分な解像度及び密着性をもってレジストパターンを形成することができる。
【0027】
本発明は、上述のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきして導体パターンを形成する工程を有するプリント配線板の製造方法を提供する。このプリント配線板の形成方法によれば、上記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板を用いているので、高密度な配線を形成できると共に、断線及び短絡の十分抑制されたプリント配線板を製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、感度、解像度及び密着性の全てを従来よりも十分に満足するレジストパターンを形成する感光性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の感光性エレメントの好適な実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)上記一般式(I)で表される2価の基(以下、「構造単位」ともいう)と、上記一般式(II)で表される構造単位と、上記一般式(III)で表される構造単位とを有するバインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物である。
【0032】
まず、(A)成分であるバインダーポリマーについて説明する。
【0033】
(A)成分であるバインダーポリマーは、上記一般式(I)で表されるスチレン又はその誘導体に基づく構造単位、上記一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステルに基づく構造単位、及び上記一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸に基づく構造単位を含有する。これにより、感光性樹脂組成物の感度を優れたものにすると共に、これを構成材料とする感光性樹脂組成物層の解像度、並びにその回路形成用基板に対する密着性及び剥離特性を共に良好にすることができる。
【0034】
ここで、上記式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、mは0〜5の整数を示す。
【0035】
上記一般式(I)で表される構造単位は、重合性単量体であるスチレン又はその誘導体から得られる。スチレン誘導体の具体例としては、メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ブトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、アミノスチレンが挙げられる。
【0036】
また、上記式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい複素環式基を示す。
【0037】
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の環状炭化水素基を1つ有する基又はそれらの誘導体、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、イソボルニル基等の環状炭化水素を2以上有する基又はそれらの誘導体が挙げられる。
【0038】
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニルメチル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基等の芳香族環を有する基又はそれらの誘導体が挙げられる。
【0039】
上記複素環式基としては、例えば、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基等の脂肪族複素環を有する基又はそれらの誘導体、ピラニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾール基、ピロール基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基等の芳香族複素環を有する基又はそれらの誘導体が挙げられる。
【0040】
感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性をより向上させる観点から、Rは、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい脂肪族複素環式基であることが好ましい。
【0041】
また、感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性をさらに向上させる観点から、Rが、上記一般式(IV)で表される基であることがより好ましい。
【0042】
ここで、式(IV)中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示す。nは0〜5の整数を示し、nが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0043】
本発明の効果をより確実かつ有効に得る観点から、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であることがより好ましく、ヒドロキシル基、メチル基又はヒドロキシメチル基であることがさらに好ましい。また、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
【0044】
一般式(II)において、Rが上記一般式(IV)で表される基である場合、その構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸シクロヘキシル又はその誘導体から得られる。(メタ)アクリル酸シクロヘキシル誘導体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルヒドロキシシクロヘキシルが挙げられる。
【0045】
また、感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性をより一層向上させる観点から、Rが、上記一般式(V)〜(VIII)でそれぞれ表される1価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0046】
ここで、上記式(V)〜(VIII)中、R、R又はRはそれぞれ独立にヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示す。jは0〜4の整数を示し、k及びpは0〜9の整数を示す。j、k又はpが2以上のとき、複数のR、R又はRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0047】
本発明の効果をより一層有効かつ確実に得る観点から、R、R又はRはヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であることがより好ましく、ヒドロキシル基、メチル基又はヒドロキシメチル基であることがさらに好ましい。また、jは0〜2であることが好ましい。k及びpは0〜5であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
【0048】
一般式(II)において、Rが上記一般式(V)で表される基である場合、その構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル又はその誘導体から得られる。また、Rが上記一般式(VI)で表される基である場合、その構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸アダマンチル又はその誘導体から得られる。さらに、Rが上記一般式(VII)で表される基である場合、その構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル又はその誘導体から得られる。また、Rが上記一般式(VIII)で表される基である場合、その構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸イソボルニルから得られる。
【0049】
感光性樹脂組成物の感度、解像度及び密着性を更に向上させる観点から、Rは上記一般式(IV)で表される1価の基であることが特に好ましい。
【0050】
また、上記式(III)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸に基づく構造単位である。
【0051】
(A)成分における上記一般式(I)で表される構造単位の含有割合は、(A)成分の総量100質量部に対して、10〜65質量部であり、15〜55質量部であることが好ましく、20〜50質量であることがより好ましく、25〜45質量部であることがさらに好ましい。これにより、レジストパターンの密着性及び剥離特性がより優れたものとなる。この含有割合が10質量部未満であると密着性が不十分となる傾向にあり、65質量部を超えると剥離特性が低下する傾向にある。
【0052】
(A)成分における上記一般式(II)で表される構造単位の含有割合は、(A)成分の総量100質量部に対して、5〜55質量部であり、10〜50質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることが更に好ましい。これにより、レジストパターンの密着性及び剥離特性がより優れたものとなる。この含有割合が5質量部未満であると密着性が不十分となる傾向にあり、55質量部を超えると剥離特性が低下する傾向にある。
【0053】
(A)成分における上記一般式(III)で表される構造単位の含有割合は、(A)成分の総量100質量部に対して、15〜50質量部であり、20〜45質量部であることが好ましく、25〜40質量部であることがより好ましく、27〜35質量部であることが更に好ましい。これにより、レジストパターンの剥離特性及び現像性が更に良好なものとなる。この含有割合が15質量部未満であるとレジストパターンのアルカリ溶解性の低下に伴い、その剥離片が大きくなったり、剥離時間が長くなったりする傾向にある。また、この含有割合が50質量部を超えると、解像度が不十分となる傾向にある。上記一般式(III)で表される構造単位は、重合性単量体である(メタ)アクリル酸から得られる。
【0054】
なお、本発明において、「スチレン誘導体」とは、スチレンのフェニル基における水素原子が置換基(アルキル基などの有機基、ヒドロキシル基やハロゲン原子など)で置換されたものをいう。また、「(メタ)アクリル酸シクロヘキシル誘導体」とは、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのシクロヘキシル基における水素原子が置換基(炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基)で置換されたものをいう。
【0055】
このバインダーポリマーを用いて感光性樹脂組成物層を形成する場合、1種類のバインダーポリマーを単独で使用してもよく、2種類以上のバインダーポリマーを任意に組み合わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上の(異なる繰り返し単位を構成成分として含む)バインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。また、特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0056】
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンを用いた検量線による換算)。この測定法によれば、バインダーポリマーのMwは、5000〜300000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましく、20000〜80000であることが特に好ましい。Mwが5000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなる傾向を有する。
【0057】
また、(A)バインダーポリマーの分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると密着性及び解像度が低下する傾向がある。
【0058】
本発明に係るバインダーポリマーは、例えば、上述の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
【0059】
上記(A)バインダーポリマーは、上記一般式(I)〜(III)で表される構造単位以外の構造単位を含んでいてもよい。この場合、上記一般式(I)〜(III)で表される構造単位以外の構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテルなどのビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(IX)で表される化合物、これらの化合物のアルキル基をヒドロキシル基、エポキシ基、ハロゲン原子などで置換した化合物が挙げられる。
CH=C(R10)−COOR11 (IX)
【0061】
ここで、上記一般式(IX)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、R11は炭素数1〜12のアルキル基を示す。また、R11で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。上記一般式(IX)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステルが挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
上記一般式(I)〜(III)で表される構造単位以外の構造単位の(A)成分における含有割合は、本発明の目的を達成できる範囲において、特に限定されない。ただし、その含有割合は(A)成分の総量100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましく、0〜10質量部であることが特に好ましい。
【0063】
本発明における(A)バインダーポリマーは、アルカリ溶液を用いてアルカリ現像を行う場合の現像性の見地から、カルボキシル基を有するポリマーの1種又は2種以上からなることが好ましい。このような(A)バインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。
【0064】
(A)バインダーポリマーの酸価は、30〜220mgKOH/gであることが好ましく、50〜200mgKOH/gであることがより好ましく、80〜180mgKOH/gであることが更に好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、220mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。また、現像工程として溶剤現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。
【0065】
また、(A)バインダーポリマーは必要に応じて感光性を有する特性基をその分子内に有していてもよい。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物における(A)成分の配合量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部であることが好ましく、35〜65質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることが更に好ましい。この配合量が30質量部未満ではレジストパターンの良好な形状が得ら難くなる傾向があり、70質量部を超えると良好な感度や解像性を得られ難くなる傾向がある。(A)成分は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的を達成できる限度において、上記(A)成分以外の樹脂を併用してもよい。そのような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。この中でもアルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。また、これらの樹脂は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
次に、(B)成分である光重合性化合物について説明する。
【0069】
(B)成分である光重合性化合物は、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物などのウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。ここで、「EO」とはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。また、「PO」とはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。
【0071】
上記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンなどが挙げられる。上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシナノエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0072】
上記2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業社製、商品名)又はFA−321M(日立化成工業社製、商品名)として商業的に入手可能であり、上記2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業社製、商品名)として商業的に入手可能である。上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましい。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、β位にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−11(新中村化学工業社製、商品名)が挙げられる。また、上記EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−13(新中村化学工業社製、商品名)が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレートが挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
上記フタル酸系化合物としては、例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレートが挙げられる。かかるフタル酸系化合物は、例えば、FA−MECH(日立化成工業社製、商品名)が市販品として入手可能である。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
また、本発明の(B)成分としては、耐めっき性及び密着性の観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又は分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。また、感度及び解像度を向上できる観点からは、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0077】
さらに、本発明の(B)成分には、硬化膜の可とう性を向上できる観点から、分子内にエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この(メタ)アクリレートは、分子内のアルキレングリコール鎖として、エチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖(n−プロピレングリコール鎖又はイソプロピレングリコール鎖)の双方を有していれば特に制限はない。また、この(メタ)アクリレートは、さらにn−ブチレングリコール鎖、イソブチレングリコール鎖、n−ペンチレングリコール鎖、ヘキシレングリコール鎖、これらの構造異性体である炭素数4〜6程度のアルキレングリコール鎖を有していてもよい。
【0078】
上記エチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖が複数である場合、複数のエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖は各々連続してブロック的に存在する必要はなく、ランダムに存在してもよい。また、上記イソプロピレングリコール鎖において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0079】
これら(B)成分中の、分子内にエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば、下記一般式(X)、(XI)及び(XII)で表される化合物が挙げられる。
【化4】

【0080】
ここで、一般式(X)、(XI)及び(XII)中、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはエチレングリコール鎖を示し、POはプロピレングリコール鎖を示し、m1〜m4及びn1〜n4はそれぞれ独立に1〜30の整数を示す。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
上記一般式(X)、(XI)及び(XII)における炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
【0082】
また、上記一般式(X)、(XI)及び(XII)におけるエチレングリコール鎖の繰り返し数の総数(m1+m2、m3及びm4)はそれぞれ1〜30の整数であり、1〜10の整数であることが好ましく、4〜9の整数であることがより好ましく、5〜8の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えるとテント信頼性及びレジスト形状が悪化する傾向がある。
【0083】
また、上記一般式(X)、(XI)及び(XII)におけるプロピレングリコール鎖の繰り返し数の総数(n1、n2+n3及びn4)はそれぞれ1〜30の整数であり、5〜20の整数であることが好ましく、8〜16の整数であることがより好ましく、10〜14の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えると解像度が悪化し、スラッジが発生する傾向がある。
【0084】
上記一般式(X)で表される化合物の具体例としては、R12=R13=メチル基、m1+m2=4(平均値)、n1=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名「FA−023M」)が挙げられる。また、上記一般式(XI)で表される化合物の具体例としては、R14=R15=メチル基、m3=6(平均値)、n2+n3=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名「FA−024M」)が挙げられる。さらに、上記一般式(XII)で表される化合物の具体例としては、R16=R17=水素原子、m4=1(平均値)、n4=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルHEMA−9P」)が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
(B)成分は、上述の各光重合性化合物の中で、光重合性結合を一分子内に2つ有する2種類の化合物と、光重合性結合を一分子内に1つ有する1種類の化合物とを組み合わせて用いることが特に好ましい。例えば、(B)成分が(メタ)アクリレート化合物である場合、(メタ)アクリル基を一分子内に2つ有する2種類の(メタ)アクリレート化合物と、(メタ)アクリル基を一分子内に1つ有する1種類の(メタ)アクリレート化合物とを組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0086】
これにより、光感度、密着性、解像度及び剥離性の全てをバランスよく向上することができる。
【0087】
(B)成分の光重合性化合物の配合量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部であることが好ましく、35〜65質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であるのが特に好ましい。この配合量が30質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、70質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。(B)成分は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
次に(C)成分である光重合開始剤について説明する。
【0089】
(C)成分である光重合開始剤は、例えば、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体が挙げられる。
【0090】
また、上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体では、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、光重合開始剤は、密着性及び感度の見地から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体であるヘキサアリールビイミダゾールの誘導体を用いることが好ましい。これら光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0091】
また、(C)成分である光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましく、3.5〜5質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.1質量部未満では良好な感度や解像性が得られ難くなる傾向があり、10質量部を超えると所望通りの良好な形状のレジストパターンを得られない傾向がある。(C)成分である光重合開始剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0092】
本発明の感光性樹脂組成物は、上述の(A)〜(C)成分に加えて、(D)増感色素及び/又は(E)アミン系化合物を含有すると好ましい。
【0093】
本発明における(D)成分である増感色素は、露光に用いる活性光線の吸収波長を有効に利用できるものであり、極大吸収波長が370〜420nmである化合物が好ましい。本発明では、このような増感色素を用いることにより、直接描画露光法の露光光に対して十分高い感度を有することが可能となる。増感色素の極大吸収波長が370nm未満であると、直接描画露光光に対する感度が低下する傾向があり、420nmを超えると、イエロー光環境下でも安定性が低下する傾向がある。
【0094】
増感色素としては、例えば、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類が挙げられる。増感色素は、解像度、密着性及び感度を向上できる観点から、アントラセン類を含むことが好ましい。
【0095】
増感色素の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜2質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、10質量部を超えると所望通りの良好な形状のレジストパターンを得られない傾向がある。(D)成分である増感色素は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0096】
(E)成分であるアミン系化合物としては、感光性樹脂組成物の感度を高めることが可能な、分子内にアミノ基を有する物であれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレットが挙げられる。
【0097】
アミン系化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜2質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度が得られない傾向があり、10質量部を超えるとフィルム形成後、(E)成分が異物として析出しやすくなる傾向がある。(E)成分であるアミン系化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0098】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤を含んでもよい。これらの成分は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対してそれぞれ0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0099】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液としてもよい。この溶液を感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を形成するための塗布液として使用することができる。
【0100】
また、上記塗布液は、感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を形成させるために用いる他に、例えば、金属板の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、保護フィルムを被覆して用いてもよい。金属板の材質としては、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金が挙げられる。
【0101】
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される感光性エレメント1は、支持フィルム2と、支持フィルム2上に形成された上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層3と、感光性樹脂組成物層3上に積層された保護フィルム4とで構成される。
【0102】
支持フィルム2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとして、例えば、王子製紙社製アルファンMA−410、E−200C(以上、商品名)、信越フィルム社製などのポリプロピレンフィルム、帝人社製PSシリーズ(例えば、商品名:PS−25)などのポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられるがこれに限られない。
【0103】
また、支持フィルム2は、厚みが1〜100μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。この厚みが1μm未満では現像前の支持フィルム剥離の際に支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像度が低下する傾向がある。なお、支持フィルム2は、一つを感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つを感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層して使用してもよい。
【0104】
感光性樹脂組成物層3は、上記感光性樹脂組成物を上述したような溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液(塗布液)とした後に、この溶液を支持フィルム2上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等を用いた公知の方法で行うことができる。乾燥は70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0105】
また、感光性樹脂組成物層3の厚さは、感光性エレメントの用途により異なるが、乾燥後の厚さで1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。この厚さが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明の効果が小さくなり、接着力、解像度が低下する傾向がある。
【0106】
感光性樹脂組成物層3は、波長365nm又は405nmの光に対する透過率が5〜75%であることが好ましく、7〜60%であることがより好ましく、10〜40%であることが特に好ましい。この透過率が5%未満では密着性が劣る傾向があり、75%を超えると解像度が劣る傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができ、上記UV分光計としては、日立製作所製228A型Wビーム分光光度計(商品名)などが挙げられる。
【0107】
保護フィルム4は、感光性樹脂組成物層3及び支持フィルム2間の接着力よりも、感光性樹脂組成物層3及び保護フィルム4間の接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法などによりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0108】
保護フィルム4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとして、例えば、王子製紙社製アルファンMA−410、E−200C(以上、商品名)、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製PSシリーズ(例えば、商品名:PS−25)等のポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられるが、これに限られたものではない。
【0109】
保護フィルム4は、厚みが1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れる傾向があり、100μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
【0110】
また、本発明の感光性エレメント1は、さらにクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層などの中間層などを有していてもよい。また、得られた感光性エレメント1は、シート状、又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。なお、この際支持フィルム1が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
【0111】
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。
【0112】
本発明のレジストパターンの形成方法は、回路形成用基板上に、上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化する露光工程と、回路形成用基板から露光部以外の部分における感光性樹脂組成物を除去する現像工程とを少なくとも含んでいる。なお、「回路形成用基板」とは、絶縁層と、絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板をいう。また、回路形成用基板は、多層化され内部に配線が形成されていてもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0113】
積層工程における回路形成用基板上への感光性樹脂組成物層の積層方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、保護フィルムを感光性樹脂組成物層から徐々に剥離させ、これと同時に徐々に露出してくる感光性樹脂組成物層の面の部分を回路形成用基板の回路を形成する面に密着させる。そして、感光性樹脂組成物層を加熱しながら感光性樹脂組成物層を回路形成用基板に圧着することにより積層する。なお、この作業は、密着性及び追従性向上の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性エレメントの積層は、感光性樹脂組成物層及び/又は回路形成用基板を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂組成物層を上述のように70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
【0114】
露光工程における露光部を形成する方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像上に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持フィルムが活性光線を透過する場合には、支持フィルムを通して活性光線を照射することができ、支持フィルムが遮光性である場合には、支持フィルムを除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。また、レーザ直接描画露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法などの直接描画露光法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0115】
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光等を有効に放射するものが用いられる。
【0116】
現像工程における露光部以外の部分を除去する方法としては、まず、感光性樹脂組成物層上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去し、その後、ウェット現像、ドライ現像等で露光部以外の部分を除去して現像する方法が挙げられる。これによりレジストパターンが形成される。
【0117】
例えば、ウェット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現象方式は、解像度向上のためには高圧スプレー方式が最も適している。また、必要に応じて2種以上の現像方法を併用してもよい。
【0118】
現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なアルカリ性水溶液等が用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩、ホウ砂が用いられる。
【0119】
また、現像に用いる上記アルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)の希薄溶液が好ましい。また、このアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調整される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を添加してもよい。
【0120】
上記水系現像液としては、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる現像液が挙げられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2ーアミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1、3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。現像液のpHは、レジストの現像が十分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0121】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量添加することもできる。
【0122】
また、有機溶剤を単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの有機溶剤系現像液は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
【0123】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0124】
次に、本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。
【0125】
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記本発明のレジストパターンの形成方法により、レジストパターンの形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきして導体パターンを形成するものである。
【0126】
回路形成用基板のエッチング及びめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の導体層等に対して行われる。エッチングを行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。また、めっきを行う場合のめっき方法としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきが挙げられる。
【0127】
エッチング又はめっきの終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液が用いられる。剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式などが挙げられ、浸漬方式、スプレー方式を単独で使用してもよいし、併用してもよい。以上によりプリント配線板が得られる。
【0128】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではない。
【実施例】
【0129】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0130】
[バインダーポリマー((A)成分)の合成1]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比3:2のメチルセロソルブ及びトルエンの配合物500gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、共重合単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸シクロヘキシル175g及びスチレン175gと、アゾビスイソブチロニトリル12.5gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。予め用意した質量比3:2のメチルセロソルブ及びトルエンの配合物に、上記溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比3:2のメチルセロソルブ及びトルエンの配合物250gに、アゾビスイソブチロニトリル1.0gを溶解した溶液を10分かけて滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー(A−1)を得た。
【0131】
バインダーポリマー(A−1)の不揮発分(固形分)は46質量%であり、重量平均分子量は40000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
ポンプ:日立L−6000型(日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 + Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立L−3300型RI(日立製作所製、商品名)
【0132】
また、上述したバインダーポリマー(A−1)の合成方法と同様の方法で、下記表1に示される組成となるように、バインダーポリマー(A−2)〜(A−6)を合成した。
【0133】
【表1】

【0134】
[バインダーポリマー((A)成分)の合成2]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比3:2のメチルセロソルブ及びトルエンの配合物450gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、共重合単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸テトラヒドロピラニル175g、及びスチレン175gと、アゾビスイソブチロニトリル9.0gとを混合した溶液(以下、「溶液b」という)を用意した。予め用意した質量比3:2のプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトルエンの配合物に、上記溶液bを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比3:2のプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトルエンの配合物100gに、アゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を10分かけて滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー(A−7)を得た。
【0135】
バインダーポリマー(A−7)の不揮発分(固形分)は47.8質量%であり、重量平均分子量は41000であった。
【0136】
また、上述したバインダーポリマー(A−7)の合成方法と同様の方法で、下記表2に示される組成となるように、バインダーポリマー(A−8)〜(A−12)を合成した。
【0137】
【表2】

【0138】
(感光性樹脂組成物の調製)
上記バインダーポリマー(A−1)〜(A−6)と、以下の材料とを表3に示される質量比で配合し、実施例1〜3及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。また、上記バインダーポリマー(A−7)〜(A−12)と、下記材料とを表4に示される質量比で配合し、実施例4〜9の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
【0139】
<光重合性化合物((B)成分)>
B−1:2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(日立化成工業社製、商品名:FA−321M)
B−2:上記一般式(V)で表される化合物であって、R11=R12=メチル基、m1+m2=4(平均値)、n1=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名「FA−023M」)
B−3:γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート(日立化成工業社製、商品名「FA−MECH」)
B−4:上記一般式(XI)で表される化合物であって、R11=R12=メチル基、n2+n3=12(平均値)、m3=6(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業社製、商品名「FA−024M」)
B−5:4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(東亜合成社性、商品名「M−114」)
<光重合開始剤((C)成分)>
C−1:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール(Hampford社製、商品名:BCIM)
<増感色素((D)成分)>
D−1:9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成工業社製、商品名:DBA、吸収極大を示す波長[λn]=368nm,388nm,410nm)
<(E)発色剤(アミン化合物)>
E−1:ロイコクリスタルバイオレット(山田化学社製)
<染料>
マラカイトグリーン(大阪有機化学工業(株)製)
<溶剤>
アセトン
トルエン
メタノール
【0140】
【表3】

【0141】
【表4】

【0142】
(感光性エレメントの作製)
得られた各感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルムとなる16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布した。その後、70℃及び110℃の熱風対流式乾燥機を用いて乾燥して、乾燥後の膜厚が25μmの感光性樹脂組成物層を形成した。続いて、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムをロール加圧により積層し、各実施例1〜9及び比較例1〜3に係る感光性エレメントを得た。
【0143】
(試験片の作製)
続いて、銅箔(厚さ35mm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業社製、商品名:MCL−E−67)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓社製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させ、銅張積層板(基板)を得た。その後、銅張積層板を80℃に加温した後、銅張積層板上に上記各感光性エレメントの保護フィルムを除去しながら、各感光性樹脂組成物層が銅張積層板の表面上に密着するようにして、120℃で4kgf/cmの圧力下でラミネート(積層)し、試験片を作製した。
【0144】
(特性評価)
<光感度>
各感光性エレメントが積層された銅張積層板を冷却し23℃になった時点で、支持フィルムに、濃度領域0.00〜2.00、濃度ステップ0.05、タブレットの大きさ20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする日立ビアメカニクス社製直描機DE−1AH(商品名)を使用して、所定の露光量でフォトツール及び支持フィルムを介して感光性樹脂組成物層に露光(描画)した。なお、照度の測定は405nm対応プローブを適用した紫外線照度計(ウシオ電機(株)製、商品名:UIT−150)を用いて行った。
【0145】
続いて、支持フィルムを剥離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を24秒間スプレーし、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去し現像した。その後、銅張積層板上に残存した光硬化膜のステップタブレットの段数を測定した。このステップタブレットの段数が11段となる露光量を光感度として評価した。この露光量が小さいほど、光感度が高いことを示す。得られた結果を表5及び6に示す。
【0146】
<密着性>
密着性は、密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅10/10〜22/22(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを使用し露光することによって評価した。ここで、密着性は、露光後の現像処理によって未露光部をきれいに除去することができ、なおかつラインが蛇行、カケを生じることなく形成されたライン幅/スペース幅のうち最も小さい値(単位:μm)を、その評価指標とした。なお露光量は、現像処理後のステップタブレットの残存段数が、9段、11段及び13段となるように調整し、それぞれの露光量で密着性を評価した。密着性の評価は数値が小さいほど良好な値である。得られた結果を表6及び7に示す。
【0147】
<解像度(抜け性)>
解像度は、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅400/10〜400/22(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを使用し、所定の露光量で露光することによって評価した。ここで、解像度は、露光後の現像によって形成されたレジストパターンにおいて、未露光部がきれいに除去された部分におけるライン間のスペース幅のうち最も小さい値(単位:μm)を、その評価指標とした。なお露光量は、現像処理後のステップタブレットの残存段数が、9段、11段及び13段となるように調整し、それぞれの露光量で解像度を評価した。解像度の評価は数値が小さいほど良好な値である。得られた結果を表6及び7に示す。
【0148】
<剥離性>
剥離性は、以下の方法で評価した。まず、各実施例及び比較例に係る感光性樹脂組成物層を銅張積層板上に形成し、各感光性樹脂組成物層を所定の露光量で露光し現像して、40mm×50mmの大きさの光硬化膜を作製した。そして、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いて剥離を行った。剥離性は、光硬化膜を銅張積層板上から完全に剥離し除去したときの時間を剥離時間として測定し、それを評価指標とした。なお、露光量は、現像処理後のステップタブレットの残存段数が11段となる露光量とした。表5に剥離プロセスの条件を示す。また、得られた結果を表6及び7に示す。
【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
【表7】

【0152】
<評価結果>
表4に示されるように、実施例1、2では、光感度、密着性及び解像度に優れ、剥離時間も適度に短くなり、それらのバランスが良好であった。実施例3では、剥離時間が長くなったものの、光感度、密着性及び解像度には優れた結果となった。一方、比較例1では、特に密着性が良好ではなかったため、レジストパターンが形成できなかった。また、比較例2では、解像度及び剥離性が良好であったが、密着性が劣る結果となった。比較例3では、剥離性や解像度は優れていたものの、特に密着性が良好ではなかった。
【0153】
また、表7に示されるように、実施例4、5及び実施例9では、光感度、密着性及び解像度に優れ、剥離時間も適度に短く、それらのバランスが良好であった。実施例6〜8では、剥離時間が長くなったものの、光感度、密着性及び解像度は優れた結果となった。
【符号の説明】
【0154】
1…感光性エレメント、2…支持フィルム、3…感光性樹脂組成物層、4…保護フィルム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路形成用基板上に、(A)下記一般式(I)で表される2価の基10〜65質量部と、下記一般式(II)で表される2価の基5〜55質量部と、下記一般式(III)で表される2価の基15〜50質量部とを有する100質量部のバインダーポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物、を含有する感光性樹脂組成物層を積層する積層工程、
前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化する露光工程、及び
前記感光性樹脂組成物層が積層された前記回路形成用基板から前記感光性樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去する現像工程
を有するレジストパターンの形成方法。
【化1】


[式(I)、式(II)及び式(III)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、Rは、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環式基を示し、mは0〜5の整数を示し、mが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
前記Rが、下記一般式(IV)で表される1価の基である、請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
【化2】


[式(IV)中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示し、nは0〜5の整数を示し、nが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記Rが、下記一般式(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)でそれぞれ表される1価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である、請求項1記載のレジストパターンの形成方法。
【化3】


[式(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)中、R、R又はRはそれぞれ独立にヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示し、jは0〜4の整数を示し、k及びpは0〜9の整数を示し、j、k又はpが2以上のとき、複数のR、R又はRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記(C)光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物が、(D)増感色素を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物が、(E)アミン系化合物を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきして導体パターンを形成する工程を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
(A)下記一般式(I)で表される2価の基10〜65質量部と、下記一般式(II)で表される2価の基5〜55質量部と、下記一般式(III)で表される2価の基15〜50質量部とを有する100質量部のバインダーポリマー、
(B)光重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤、
を含有する感光性樹脂組成物。
【化4】


[式(I)、式(II)及び式(III)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基又はハロゲン原子を示し、Rは、下記一般式(IV)で表される1価の基を示す。]
【化5】


[式(IV)中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示し、nは0〜5の整数を示し、nが2〜5のとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項9】
前記(C)光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体を含む、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
(D)増感色素を更に含有する、請求項8又は9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
(E)アミン系化合物を更に含有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
支持フィルムと、当該支持フィルム上に形成された請求項8〜11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメント。


【図1】
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【公開番号】特開2013−92802(P2013−92802A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−10329(P2013−10329)
【出願日】平成25年1月23日(2013.1.23)
【分割の表示】特願2008−73874(P2008−73874)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】