説明

感光性樹脂組成物、硬化膜の形成方法、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置

【課題】硬化後の透過率が高く、且つ加熱しても透過率の低下が小さい硬化膜が得られ、PEBを行わない場合でも、非常に高い感度を有する感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)アセタール系樹脂、(B)光酸発生剤、および、(C)溶剤を含み、該(A)アセタール系樹脂が、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、エポキシ基またはオキセタニル基を有する構造単位(a3)、および水酸基またはアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)を含有し、(a1)〜(a4)の含有比率が、モル換算で、(a1):(a2):(a3):(a4)=0.2〜0.65:0.02〜0.2:0.2〜0.6:0.005〜0.3であり、且つ、該(A)アセタール系樹脂における(a4)の含有量が3〜30質量%の範囲である感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、硬化膜の形成方法、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や、液晶表示装置などには、パターン形成された層間絶縁膜が設けられている。この層間絶縁膜の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも十分な平坦性が得られるといったことから、感光性樹脂組成物が広く使用されている。
上記表示装置における層間絶縁膜には、絶縁性、耐溶剤性、耐熱性、及び、酸化インジウムスズ(ITO)スパッタ適性に優れるといった硬化膜の物性に加えて、高い透明性が望まれている。このため、透明性に優れたアクリル系樹脂を膜形成成分として用いることが試みられている。
一方、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等のオンチップカラーフィルターの結像光学系あるいは光ファイバコネクタの光学系材料として3〜100μm程度のレンズ径を有するマイクロレンズ、またはそれらのマイクロレンズを規則的に配列したマイクロレンズアレイが使用されている。
マイクロレンズまたはマイクロレンズアレイの形成には、レンズに相当するレジストパターンを形成した後、加熱処理することによってメルトフローさせ、そのままレンズとして利用する方法や、メルトフローさせたレンズパターンをマスクにしてドライエッチングにより下地にレンズ形状を転写させる方法等が知られている。前記レンズパターンの形成には、感放射線性樹脂組成物が幅広く使用されている。
【0003】
このような感光性樹脂組成物として、例えば、特許文献1には、(A)(a)不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物、(b)エポキシ基を有するラジカル重合性化合物および(c)他のラジカル重合性化合物の共重合体であるアルカリ水溶液に可溶な樹脂および(B)感放射線性酸生成化合物を有する感光性樹脂組成物が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、(A)アセタール構造および/またはケタール構造、およびエポキシ構造を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が2000以上である高分子量体、ならびに(B)放射線の照射によりpKaが4.0以下の酸を発生する化合物を含有する感放射線性樹脂組成物が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、(A)酸解離性基を含んで構成される特定構造を有する構造単位と、カルボキシル基と反応して共有結合を形成し得る官能基を有する構造単位と、を含有し、アルカリ不溶性若しくはアルカリ難溶性であり、且つ、当該酸解離性基が解離したときにアルカリ可溶性となる樹脂、および、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、を少なくとも含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−165214号公報
【特許文献2】特開2004−264623号公報
【特許文献3】特開2009−98616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の感光性樹脂組成物は、感度、および経時安定性が十分でなく、また、該感光性樹脂組成物により得られた硬化膜はベークによる着色が大きいという問題があった。
また、前記特許文献2及び特許文献3に記載の感光性樹脂組成物についても、十分な感度は得られていなかった。
【0008】
本発明の課題は、硬化後の透過率が高く、且つ加熱しても透過率の低下が小さい硬化膜が得られ、露光後に加熱(PEB)を行わない場合でも、非常に高い感度を有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明のさらなる課題は、本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜及びその製造方法、該硬化膜を具備した有機EL表示装置、および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
<1> (A)アセタール系樹脂、(B)光酸発生剤、および、(C)溶剤を含み、該(A)アセタール系樹脂が、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、エポキシ基またはオキセタニル基を有する構造単位(a3)、および、水酸基またはアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)を含有し、且つ、アセタール構造またはケタール構造を有する重合体であり、該(A)アセタール系樹脂における前記構造単位(a1)〜(a4)の含有比率が、(A)アセタール系樹脂を1とした場合におけるモル換算で、構造単位(a1):構造単位(a2):構造単位(a3):構造単位(a4)=0.2〜0.65:0.02〜0.2:0.2〜0.6:0.005〜0.3であり、且つ、該(A)アセタール系樹脂における構造単位(a4)の含有量が質量基準で3〜30質量%の範囲である感光性樹脂組成物。
【0010】
<2> さらに、(M)現像促進剤を含有し、該(M)現像促進剤がカルボキシル基、フェノール性水酸基、およびアルキレンオキシ基から選ばれる少なくとも一種の構造を有し、分子量が100〜2000の範囲にある化合物である<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3> さらに、(E)架橋剤を含有する<1>または<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4> 前記(B)光酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
<5> 前記(B)光酸発生剤が、下記一般式(OS−3)、一般式(OS−4)、及び一般式(OS−5)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
【化1】

【0013】
一般式(OS−3)〜一般式(OS−5)中、Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。
【0014】
<6> さらに、(N)増感剤を含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
<7> 前記(A)アセタール系樹脂における前記構造単位(a3)が、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、および、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルのいずれかに由来する構造単位である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0015】
<8> さらに、(F)密着改良剤を含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
<9> さらに、(G)塩基性化合物を含有する<1>〜<8>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0016】
<10> さらに、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を含有する<1>〜<9>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は上記構成としたために、硬化感度が高く、露光後の硬化膜に対し加熱処理を行わなくても良好な形状のパターンが形成される。さらに、これを用いてマイクロレンズの形成を行う場合にあっては、高い透過率を有するマイクロレンズを形成しうるという利点をも有するものである。
【0017】
<11> (1)<1>〜<10>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程、(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程、及び、(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、を含む硬化膜の形成方法。
【0018】
<12> <11>に記載の方法により形成された硬化膜。
<13> 層間絶縁膜である<12>に記載の硬化膜。
<14> <12>又は<13>に記載の硬化膜を具備する有機EL表示装置。
<15> <12>又は<13>に記載の硬化膜を具備する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、硬化後の透過率が高く、且つ加熱しても透過率の低下が小さい硬化膜が得られ、露光後に加熱(PEB)を行わない場合でも、非常に高い感度を有する感光性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜及びその製造方法、該硬化膜を具備した有機EL表示装置、および液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜を絶縁膜、平坦化膜として適用した有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。
【図2】本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜を適用した液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(感光性樹脂組成物)
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アセタール系樹脂、(B)光酸発生剤、および、(C)溶剤を含み、該(A)アセタール系樹脂が、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、エポキシ基又はオキセタニル基を有する構造単位(a3)、および、水酸基またはアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)を含有し、且つ、アセタール構造又はケタール構造を有する重合体であり、該(A)アセタール系樹脂における前記構造単位(a1)〜(a4)の含有比率が、(A)アセタール系樹脂を1とした場合におけるモル換算で、構造単位(a1):構造単位(a2):構造単位(a3):構造単位(a4)=0.2〜0.65:0.02〜0.2:0.2〜0.6:0.005〜0.3であり、且つ、該(A)アセタール系樹脂における構造単位(a4)の含有量が質量基準で3〜30質量%の範囲であることを特徴とする。
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物である。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物(化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物)であることが好ましい。
なお、本明細書中においては、露光後の加熱処理(Post exprosure baking)をPEB
と称することがある。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記した(A)〜(C)成分を含有することにより、非常に高い感度を有する感光性樹脂組成物となる。また、硬化後の透過率が高く、且つ加熱しても透過率の低下が小さい硬化膜が得られる感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明において、硬化後の透過率が高く、且つ加熱しても透過率の低下が小さい性質を「耐熱透明性」と称する。
【0024】
以下、感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0025】
<(A)アセタール系樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アセタール系樹脂を含有する。
本発明の感光性樹脂組成物が含有する(A)アセタール系樹脂は、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、エポキシ基又はオキセタニル基を有する構造単位(a3)、および、水酸基またはアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)を含有し、且つ、アセタール構造又はケタール構造を有する。
また、(A)アセタール系樹脂は、前記の構造単位(a1)〜(a4)以外の構造である構造単位(a5)を含有してもよい。
(A)アセタール系樹脂は、アルカリ不溶性であり、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)における酸分解性基が分解したときにアルカリ可溶性となる樹脂であることが好ましい。
【0026】
また、本発明における「アルカリ可溶性」とは、当該化合物(樹脂)の溶液を基板上に塗布し、90℃で2分間加熱することによって形成される当該化合物(樹脂)の塗膜(厚さ3μm)の、23℃における0.4質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、0.01μm/秒以上であることをいい、「アルカリ不溶性」とは、当該化合物(樹脂)の溶液を基板上に塗布し、90℃で2分間加熱することによって形成される当該化合物(樹脂)の塗膜(厚さ3μm)の、23℃における0.4質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が0.01μm/秒未満、好ましくは0.005μm/秒未満であることをいう。
【0027】
前記(A)アセタール系樹脂は、アクリル系重合体であることが好ましい。
本発明における「アクリル系重合体」は、付加重合型の樹脂であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構造単位を含む重合体であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構造単位以外の構造単位、例えば、スチレン類に由来する構造単位やビニル化合物に由来する構造単位等を有していてもよい。また、(メタ)アクリル酸及びそのエステルに由来する構造単位をともに含んでもよい。
前記(A)アセタール系樹脂は、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構造単位を、(A)アセタール系樹脂における全構造単位に対し、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構造単位のみからなる重合体であることが特に好ましい。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構造単位」を「アクリル系構造単位」ともいう。また、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸およびアクリル酸を総称するものとする。
【0028】
前記(A)アセタール系樹脂は、アセタール構造又はケタール構造を有し、アセタール構造及びケタール構造の両方を有していてもよい。
アセタール構造又はケタール構造としては、下記一般式(I)で表される構造であることが好ましい。
【0029】
【化2】

【0030】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状あるいは分岐状アルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R及びRの少なくとも一つはアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
は、直鎖状あるいは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を表す。
またはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよい。
【0031】
一般式(I)に於けるR及びRとしてのアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基が好ましい。R及びRとしてのシクロアルキル基は、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。
としてのアルキル基は、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状アルキル基が好ましい。Rとしてのシクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。
としてのアラルキル基は、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましい。
またはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成する際には、RまたはRと、Rとが連結して炭素数2〜5のアルキレン鎖を形成することが好ましい。
としてのアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられ、置換基の炭素数は6以下が好ましい。
【0032】
上記一般式(I)において、R及びRの一方が水素原子であるカルボン酸のアセタールエステル構造(−COOR)におけるRとしては、例えば、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−i−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−i−ブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−t−ブトキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−ノルボルニルオキシエチル基、1−ボルニルオキシエチル、1−ベンジルオキシエチル基、1−フェネチルオキシエチル基、(シクロヘキシル)(メトキシ)メチル基、(シクロヘキシル)(エトキシ)メチル基、(シクロヘキシル)(n−プロポキシ)メチル基、(シクロヘキシル)(i−プロポキシ)メチル基、(シクロヘキシル)(シクロヘキシルオキシ)メチル基、(シクロヘキシル)(ベンジルオキシ)メチル基、(フェニル)(メトキシ)メチル基、(フェニル)(エトキシ)メチル基、(フェニル)(n−プロポキシ)メチル基、(フェニル)(i−プロポキシ)メチル基、(フェニル)(シクロヘキシルオキシ)メチル基、(フェニル)(ベンジルオキシ)メチル基、(ベンジル)(メトキシ)メチル基、(ベンジル)(エトキシ)メチル基、(ベンジル)(n−プロポキシ)メチル基、(ベンジル)(i−プロポキシ)メチル基、(ベンジル)(シクロヘキシルオキシ)メチル基、(ベンジル)(ベンジルオキシ)メチル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0033】
上記一般式(I)においてR及びRのいずれもが水素原子でない、カルボン酸のケタールエステル構造(−COOR)におけるRとしては、例えば、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−メチル−1−エトキシエチル基、1−メチル−1−n−プロポキシエチル基、1−メチル−1−i−プロポキシエチル基、1−メチル−1−n−ブトキシエチル基、1−メチル−1−i−ブトキシエチル基、1−メチル−1−sec−ブトキシエチル基、1−メチル−1−t−ブトキシエチル基、1−メチル−1−シクロペンチルオキシエチル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−メチル−1−ノルボルニルオキシエチル基、1−メチル−1−ボルニルオキシエチル基、1−メチル−1−ベンジルオオキシエチル基、1−メチル−1−フェネチルオキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−メトキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−i−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−シクロヘキシル−1−ベンジルオキシエチル基、1−フェニル−1−メトキシエチル基、1−フェニル−1−エトキシエチル基、1−フェニル−1−n−プロポキシエチル基、1−フェニル−1−i−プロポキシエチル基、1−フェニル−1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニル−1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジル−1−メトキシエチル基、1−ベンジル−1−エトキシエチル基、1−ベンジル−1−n−プロポキシエチル基、1−ベンジル−1−i−プロポキシエチル基、1−ベンジル−1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−ベンジル−1−ベンジルオキシエチル基、2−メチル2−テトラヒドロフラニル基、2−メチル−2−テトラヒドロピラニル基、1−メトキシシクロペンチル基、1−メトキシ−シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0034】
上記カルボン酸のアセタール構造又はケタール構造において、プロセス安定性の観点から、アセタール構造がより好ましい。カルボン酸のアセタールエステル構造(−COOR)における好ましいRとしては、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基が好ましく、感度の観点から1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基が特に好ましい。
【0035】
<酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)>
本発明における(A)アセタール系樹脂は、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)(以下、適宜「構造単位(a1)」と称する。)を含有する。構造単位(a1)は、カルボキシル基が保護された構造を含有する。
構造単位(a1)を形成するために用いられる化合物としては、カルボキシル基が保護されることにより、構造単位(a1)を形成するために用いられる化合物となり得るものであれば用いることができる。カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−メチル−p−カルボキシスチレン等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。また、構造単位(a1)としては、これらカルボキシル基が保護されたカルボン酸由来の構造単位を好ましいものとして挙げることができる。
【0036】
構造単位(a1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の好ましい具体例としては、例えば、1−エトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−n−ブトキシエチルメタクリレート、1−n−ブトキシエチルアクリレート、1−イソブトキシエチルメタクリレート、1−i−ブトキシエチルアクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルメタクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルアクリレート、1−n−プロポキシエチルメタクリレート、1−n−プロポキシエチルアクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルアクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルメタクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルアクリレート、1−ベンジルオキシエチルメタクリレート、1−ベンジルオキシエチルアクリレート、メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イルなどを挙げることができ、特に好ましいものとしては、1−エトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート、及び1−シクロヘキシルオキシエチルアクリレートである。これらの構造単位(a1)は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
構造単位(a1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、下記の式(II)で表される単量体であれば、下記に示すように(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下でビニルエーテル化合物と反応させることにより合成することができる。
【0038】
【化3】

【0039】
式(II)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは式(I)におけるRと同義である。
【0040】
また、構造単位(a1)は、保護されるカルボキシル基を後述する構造単位(a2)〜(a5)やその前駆体と重合した後に、カルボキシル基をビニルエーテル化合物と反応させることによっても形成することができる。なお、このようにして形成される好ましい構造単位の具体例は、上記ラジカル重合性単量体の好ましい具体例由来の構造単位と同様である。
【0041】
構造単位(a1)は、下記一般式(5)で表される構造単位が好ましい。
【0042】
【化4】

【0043】
一般式(5)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Lはカルボニル基又はフェニレン基を表し、R21〜R27はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0044】
構造単位(a1)の好ましい具体例としては、下記の構造単位(a1-1)〜(a1-8)が例示できる。これらの中で特に好ましいものは、(a1-1)〜(a1-4)、(a1-7)及び(a1-8)で表される構造単位である。
【0045】
【化5】

【0046】
【化6】

【0047】
【化7】

【0048】
(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a1)の含有率は20〜60モル%であり、25〜60モル%が更に好ましく、25〜55モル%が特に好ましい。構造単位(a1)を上記の割合で含有させることにより、高感度な感光性樹脂組成物が得られる。
【0049】
<カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)>
(A)アセタール系樹脂は、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)(以下、適宜「構造単位(a2)」と称する。)を含有する。
カルボキシル基を有する構造単位(a2−1)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構造単位が挙げられる。
【0050】
カルボキシル基を有する構造単位(a2−1)を得るために用いられる不飽和カルボン酸としては、以下に例示するものが用いられる。
即ち、不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、けい皮酸などが例示できる。
また、不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが例示できる。
【0051】
また、カルボキシル基を有する構造単位(a2−1)を得るために用いられる不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよい。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)などが挙げられる。
【0052】
さらに、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0053】
また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。
【0054】
中でも、現像性の観点から、カルボキシル基を有する構造単位(a2−1)を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
【0055】
また、カルボキシル基を有する構造単位(a2−1)は、水酸基を有する構造単位と、酸無水物とを反応させることによっても得ることができる。
酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水コハク酸が好ましい。
【0056】
フェノール性水酸基を有する構造単位(a2−2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類、特開2008−40183号公報の段落〔0011〕〜〔0016〕に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落〔0007〕〜〔0010〕に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物等を好ましいものとして挙げることができる。
【0057】
構造単位(a2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の中でも、メタクリル酸、アクリル酸、特開2008−40183号公報の段落0011〜0016に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落0007〜0010に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物が更に好ましいが、透明性の観点からメタクリル酸、アクリル酸が特に好ましい。これらの構造単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
構造単位(a2)は、(A)アセタール系樹脂がアルカリ可溶性とならない範囲で導入することが好ましい。前記(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a2)の含有率は、2〜20モル%であり、2〜15モル%が更に好ましく、3〜15モル%が特に好ましい。構造単位(a2)を上記の割合で含有させることにより、高感度が得られ、また、現像性も良好となる。特に後述の構造単位(a4)と構造単位(a2)とを併用することにより、非常に高い感度を得ることができる。
【0059】
<エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構造単位(a3)>
(A)アセタール系樹脂は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する構造単位(a3)(以下、適宜「構造単位(a3)」と称する。)を含有する。エポキシ基およびオキセタニル基を有する構造単位の両方を含んでいてもよい。
エポキシ基を有する基としては、エポキシ環を有していれば、特に制限はないが、グリシジル基、3,4−エポキシシクロへキシルメチル基が好ましく例示できる。
オキセタニル基を有する基としては、オキセタン環を有していれば、特に制限はないが、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル基が好ましく例示できる。
構造単位(a3)は、1つの構造単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよく、特に限定されないが、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
【0060】
エポキシ基を有する構造単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落〔0031〕〜〔0035〕に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられる。
【0061】
オキセタニル基を有する構造単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落〔0011〕〜〔0016〕に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
【0062】
(a3)構造単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
【0063】
これらのモノマーの中で、更に好ましいものとしては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、特許第4168443号公報の段落〔0034〕〜〔0035〕に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物及び特開2001−330953号公報の段落〔0011〕〜〔0016〕に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
耐熱透明性の観点から特に好ましいものとしては、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、及び、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルのいずれかに由来する構造単位である。
これらの構造単位(a3)は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
構造単位(a3)の好ましい具体例としては、下記の構造単位が例示できる。
【0065】
【化8】

【0066】
前記(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a3)の含有率は20〜55モル%であり、25〜55モル%が更に好ましく、25〜50モル%が特に好ましい。構造単位(a3)を上記の割合で含有させることにより、硬化膜の物性が良好となる。
【0067】
<水酸基又はアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)>
前記(A)アセタール系樹脂は、水酸基又はアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)(以下、適宜「構造単位(a4)」と称する。)を含有する。水酸基およびアルキレンオキシ基を有する構造単位の両方を含んでいてもよい。
構造単位(a4)における水酸基とは、フェノール性水酸基以外の水酸基を指す。また、前記した構造単位(a1)〜(a3)が水酸基を有する場合には、構造単位(a4)とせずに、それぞれの構造単位(a1)〜(a3)とする。
構造単位(a4)としては、水酸基及び/またはアルキレンオキシ基を有する構造単位であれば任意のものを用いることができるが、好ましいものとしては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、アルキル基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル及びアリール基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等に由来する構造単位を挙げることができる。
【0068】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)−モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレートを好ましい例として挙げることができる。
【0069】
アルキル基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレートを好ましい例として挙げることができる。
アリール基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばフェノキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)−(メタ)アクリレートを好ましい例としてあげることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、アルキル基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル及びアリール基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルは、市販のものを用いることが可能である。代表例を示すと、ブレンマーE、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーP、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマー55PET−800、ブレンマーPPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマーPLE−200、ブレンマーPSE−400、ブレンマーPSE−1300、ブレンマーPAE−50、ブレンマーPAE−100、ブレンマー43PAPE−600B、ブレンマーAME−400、ブレンマーALEシリーズ、ブレンマーANP−300、ブレンマー75ANP−600、ブレンマーAAE−50、ブレンマーAAE−300(以上、日油株式会社製)等を挙げることができる。
【0070】
構造単位(a4)における、水酸基の数は、1〜10個が好ましく、1〜5個がより好ましく、最適には1〜3個である。また、アルキレンオキシ基の繰り返し単位数としては、1〜25が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が最も好ましい。
構造単位(a4)の好ましい具体的な構造としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、エチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、プロピレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が2〜10個のオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール繰り返し単位が2〜10個のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が3〜10個のポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)−モノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が3〜10個のポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート等であり、更に好ましくは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、エチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が2〜10個のオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレートであり、最も好ましくはエチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
構造単位(a4)は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0071】
(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a4)の含有率は0.5〜30モル%であり、0.5〜25モル%が更に好ましく、1〜25モル%が特に好ましい。
また、(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a4)の含有量は3〜30質量%であり、3〜25質量%が更に好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。構造単位(a4)を上記の割合で含有させることにより、現像性が良好となり、高感度の感光性組成物を得ることができる。特に、前述の構造単位(a2)と構造単位(a4)を組み合わせることにより、非常に高い感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0072】
<その他の構造単位(a5)>
(A)アセタール系樹脂は、本発明の効果を妨げない範囲で、前記構造単位(a1)〜(a4)以外の構造(以下、適宜「構造単位(a5)」と称する。)を含有してもよい。
構造単位(a5)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2004−264623号公報の段落〔0021〕〜〔0024〕に記載の化合物を挙げることができる(ただし、前述の構造単位(a1)〜(a4)を除く。)。
これらの中でも、電気特性向上の観点で(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルのような脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。また、透明性の観点からは(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。また、エッチング耐性の観点からはスチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン類が好ましい。
構造単位(a5)は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0073】
(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a5)の含有率は0〜40モル%である。(A)アセタール系樹脂が構造単位(a5)を含む場合は、(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a5)の含有率は1〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が特に好ましい。
【0074】
本発明における(A)アセタール系樹脂の重量平均分子量は、1,000〜50,000であることが好ましく、2,000〜30,000であることがより好ましく、最も好ましくは3,000〜12,000である。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0075】
また、本発明に使用する(A)アセタール系樹脂が含有する各構造単位を導入する方法は、重合法でもよく、高分子反応法でもよい。
重合法では、所定の官能基を含有するモノマーを予め合成した後に、これらのモノマーを共重合する。即ち、構造単位(a1)、構造単位(a2)、構造単位(a3)、構造単位(a4)、及び必要により構造単位(a5)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
高分子反応法では、重合反応を行った後に、得られた共重合体の構造単位に含まれる反応性基を利用して必要な官能基を構造単位中に導入する。
前記した構造単位(a1)〜(a5)の前記(A)アセタール系樹脂への導入は、重合法でも高分子反応法でもよく、これらの2方法を併用してもよい。
【0076】
以下、本発明で用いられる(A)アセタール系樹脂として、好ましいものを例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、下記に例示した(A)アセタール系樹脂の重量平均分子量は、2,000〜30,000である。( )内に組成比をモル%で示す。
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(45/8/35/12)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン共重合体(40/8/35/12/5)、
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン共重合体(40/8/35/12/5)、
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/10/30/20)、
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン共重合体(35/10/30/15/10)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体(42/11/25/18/4)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸シクロヘキシル共重合体(35/10/30/20/5)、
【0077】
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)−モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300、日油(株)製)/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体(55/9/30/2/4)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)共重合体(44/4.5/50/1.5)、
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/アクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)共重合体(45/10/43/2)、
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体(43/15/30/2/10)、
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/12/28/20)、
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン共重合体(35/12/28/15/10)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/10/30/20)、
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/10/30/20)、
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(35/10/33/12/10)、
【0078】
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)共重合体(40/10/46/4)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(45/10/30/1/14)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体(40/10/25/20/5)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸メチル共重合体(38/7/35/15/5)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−200、日油(株)製)共重合体(50/8/37/5)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル共重合体(40/7/30/23)、
【0079】
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)共重合体(41/14/41/4)、
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/10/25/25)、
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル共重合体(40/5/30/25)、
メタクリル酸1−シクロヘキシルオキシエチル/アクリル酸/アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−200、日油(株)製)共重合体(40/12/44/4)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/10/32/18)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/5/35/20)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/アクリル酸/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−200、日油(株)製)/メタクリル酸メチル共重合体(40/15/35/5/5)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(30/12/38/20)、
メタクリル酸1−エトキシエチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(40/7/35/18)、
(A)アセタール系樹脂は、感光性樹脂組成物に1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
(A)アセタール系樹脂における構造単位(a1)〜(a5)の含有比は、(A)アセタール系樹脂を1とした場合にモル換算で、構造単位(a1):構造単位(a2):構造単位(a3):構造単位(a4):構造単位(a5)=(0.2〜0.65):(0.02〜0.2):(0.2〜0.60):(0.005〜0.3):(0〜0.4)であり、(0.25〜0.6):(0.02〜0.15):(0.25〜0.55):(0.005〜0.25):(0〜0.3)であることがより好ましく、(0.25〜0.55):(0.03〜0.15):(0.25〜0.5):(0.01〜0.25):(0〜0.25)であることが更に好ましい。
また、(A)アセタール系樹脂を構成する全構造単位中、構造単位(a4)の含有量は3〜30質量%であり、3〜25質量%が更に好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
【0081】
本発明の感光性樹脂組成物中の(A)アセタール系樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、20〜99質量%であることが好ましく、40〜97質量%であることがより好ましく、60〜95質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となる。なお、感光性樹脂組成物の固形分量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。
なお、本発明の感光性樹脂組成物中では、本発明の効果を妨げない範囲で(A)アセタール系樹脂以外の樹脂を併用してもよい。ただし、(A)アセタール系樹脂以外の樹脂の含有量は、現像性の観点から(A)アセタール系樹脂の含有量より少ない方が好ましい。
【0082】
(B)光酸発生剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有する。
本発明で使用される(B)光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本発明で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、高感度である観点から、オキシムスルホネート化合物を用いることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0083】
これらの具体例としては、以下が例示できる。
トリクロロメチル−s−トリアジン類として、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、又は、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等。
【0084】
ジアリールヨードニウム塩類として、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、フェニル−4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、又は、フェニル−4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート等。
【0085】
トリアリールスルホニウム塩類として、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、又は、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート等。
【0086】
第四級アンモニウム塩類として、テトラメチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(p−クロロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等。
【0087】
ジアゾメタン誘導体として、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン等;
【0088】
イミドスルホネート誘導体として、トリフルオロメチルスルホニルオキシビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−ジカルボキシイミド、スクシンイミドトリフルオロメチルス
ルホネート、フタルイミドトリフルオロメチルスルホネート、N-ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドプロパンスルホネート等。
【0089】
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤として下記構造(1)で表されるオキシムスルホネート残基を少なくとも1つ有するオキシムスルホネート化合物を含むことが好ましい。
【0090】
【化9】

【0091】
前記構造(1)で表されるオキシムスルホネート残基を少なくとも1つ有する化合物としては、下記一般式(OS−3)、一般式(OS−4)、又は一般式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
【0092】
【化10】

【0093】
一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。
【0094】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0095】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基などが挙げられる。
【0096】
また、前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
で表されるアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0097】
で表されるアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
【0098】
また、前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
で表されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0099】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるヘテロアリール基は、少なくとも1つの複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
で表されるヘテロアリール基としては、置換基を有していてもよい、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及び、ベンゾイミダゾール環よりなる群から選ばれた環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
【0100】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、化合物中に2以上存在するRのうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
で表されるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、前記Rにおけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
【0101】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基、アリル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0102】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
で表されるアリール基としてフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0103】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、XはO又はSを表し、Oであることが好ましい。
一般式(OS−3)〜(OS−5)において、Xを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、nは1又は2を表し、XがOである場合、nは1であることが好ましく、また、XがSである場合、nは2であることが好ましい。
【0104】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基及びアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0105】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0106】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
で表されるアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0107】
前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rで表されるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、又は、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
で表されるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
【0108】
また、前記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、mは0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
【0109】
また、前記一般式(OS−3)で表される化合物は、下記一般式(OS−6)、(OS−10)又は(OS−11)で表される化合物であることが特に好ましく、前記一般式(OS−4)で表される化合物は、下記一般式(OS−7)で表される化合物であることが特に好ましく、前記一般式(OS−5)で表される化合物は、下記一般式(OS−8)又は(OS−9)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0110】
【化11】

【0111】
一般式(OS−6)〜(OS−11)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は、水素原子又は臭素原子を表し、R8は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、R10は水素原子又はメチル基を表す。
【0112】
前記一般式(OS−6)〜(OS−11)におけるR1は、前記一般式(OS−3)〜(OS−5)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記一般式(OS−6)におけるR7は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(OS−6)〜(OS−11)におけるR8は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記一般式(OS−8)及び(OS−9)におけるR9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(OS−8)〜(OS−11)におけるR10は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
【0113】
前記一般式(OS−3)〜一般式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0114】
【化12】

【0115】
【化13】

【0116】
【化14】

【0117】
【化15】

【0118】
【化16】

【0119】
【化17】

【0120】
【化18】

【0121】
前記構造(1)で表されるオキシムスルホネート基を少なくとも1つを有するオキシムスルホネート化合物の好適な他の態様としては、下記一般式(OS−1)で表される化合物が挙げられる。
【0122】
【化19】

【0123】
前記一般式(OS−1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Rは、アルキル基、又はアリール基を表す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CH−、−CRH−、又は−CR−を表し、R〜Rはアルキル基、又はアリール基を表す。
21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基、又はアリール基を表す。R21〜R24のうち2つは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21〜R24としては、水素原子、ハロゲン原子、及びアルキル基が好ましく、また、R21〜R24のうち少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様もまた、好ましく挙げられる。中でも、R21〜R24がいずれも水素原子である態様が感度の観点から好ましい。
前記した置換基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
【0124】
前記一般式(OS−1)で表される化合物は、下記一般式(OS−2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0125】
【化20】

【0126】
前記一般式(OS−2)中、R1、R2、R21〜R24は、それぞれ一般式(OS−1)におけるR1、R2、R21〜R24と同義であり、好ましい例もまた同様である。
これらの中でも、一般式(OS−1)、及び一般式(OS−2)におけるR1がシアノ基、又はアリール基である態様がより好ましく、一般式(OS−2)で表され、R1がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が最も好ましい。
【0127】
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
【0128】
以下に、本発明に好適に用いうる一般式(OS−1)で表される化合物の具体例(例示化合物b−1〜b−34)を示すが、本発明はこれに限定されない。なお、具体例中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0129】
【化21】

【0130】
【化22】

【0131】
【化23】

【0132】
【化24】

【0133】
上記化合物の中でも、感度と安定性との両立の観点から、b−9、b−16、b−31、b−33が好ましい。
【0134】
上記構造(1)で表されるオキシムスルホネート残基の少なくとも1つを有するオキシムスルホネート化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
1A−C(R2A)=N−O−SO−R3A (2)
【0135】
一般式(2)中、R1Aは、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、2−フリル基、2−チエニル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又はシアノ基を表し、R1Aが、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基又はアントラニル基である場合、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基及びニトロ基からなる群から選ばれた置換基によって置換されていてもよい。R2Aは、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基、ジアルキルアミノ基、モルホリノ基、又はシアノ基を表す。R2AとR1Aとは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく、該5員環又は6員環は1個又は2個の任意の置換基を有してもよいベンゼン環と結合していてもよい。R3Aは、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基を表す。Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基を表す。
【0136】
1Aで表される炭素原子数1〜6のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖アルキル基であってよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、又は2−エチルブチル基が挙げられる。
【0137】
1Aで表される炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、又は2−ブロモプロピル基が挙げられる。
【0138】
1Aで表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基が挙げられる。
【0139】
1Aが、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基又はアントラニル基を表す場合、これらの基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、等)、水酸基、炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、炭素原子数1〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基)及びニトロ基からなる群から選ばれた置換基によって置換されていてもよい。
【0140】
2Aで表される炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、s−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0141】
2Aで表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
【0142】
2Aで表される炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−アミル基等が挙げられる。
【0143】
2Aで表される炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基の具体例としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−n−アミルオキシ基等が挙げられる。
【0144】
2Aで表されるWで置換されていてもよいフェニル基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−(n−プロピル)フェニル基、p−(i−プロピル)フェニル基、p−(n−ブチル)フェニル基、p−(i−ブチル)フェニル基、p−(s−ブチル)フェニル基、p−(t−ブチル)フェニル基、p−(n−アミル)フェニル基、p−(i−アミル)フェニル基、p−(t−アミル)フェニル基、o−メトキシフェニル基、m−
メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−(n−プロポキシ)フェニル基、p−(i−プロポキシ)フェニル基、p−(n−ブトキシ)フェニル基、p−(i−ブトキシ)フェニル基、p−(s−ブトキシ)フェニル基、p−(t−ブトキシ)フェニル基、p−(n−アミルオキシ)フェニル基、p−(i−アミルオキシ)フェニル基、p−(t−アミルオキシ)フェニル基、p−クロルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、2,4−ジクロルフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−ジクロルフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−ビフェニリル基等が挙げられる。
【0145】
2Aで表されるWで置換されていてもよいナフチル基の具体例としては、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基等が挙げられる。
【0146】
2Aで表されるWで置換されていてもよいアントラニル基の具体例としては、2−メチル−1−アントラニル基、3−メチル−1−アントラニル基、4−メチル−1−アントラニル基、5−メチル−1−アントラニル基、6−メチル−1−アントラニル基、7−メチル−1−アントラニル基、8−メチル−1−アントラニル基、9−メチル−1−アントラニル基、10−メチル−1−アントラニル基、1−メチル−2−アントラニル基、3−メチル−2−アントラニル基、4−メチル−2−アントラニル基、5−メチル−2−アントラニル基、6−メチル−2−アントラニル基、7−メチル−2−アントラニル基、8−メチル−2−アントラニル基、9−メチル−2−アントラニル基、10−メチル−2−アントラニル基等が挙げられる。
【0147】
2Aで表されるジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0148】
3Aで表される炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、s−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0149】
3Aで表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
【0150】
3Aで表される炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−アミル基等が挙げられる。
【0151】
3Aで表される炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基の具体例としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−n−アミルオキシ基等が挙げられる。
【0152】
3Aで表されるWで置換されていてもよいフェニル基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−(n−プロピル)フェニル基、p−(i−プロピル)フェニル基、p−(n−ブチル)フェニル基、p−(i−ブチル)フェニル基、p−(s−ブチル)フェニル基、p−(t−ブチル)フェニル基、p−(n−アミル)フェニル基、p−(i−アミル)フェニル基、p−(t−アミル)フェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−(n−プロポキシ)フェニル基、p−(i−プロポキシ)フェニル基、p−(n−ブトキシ)フェニル基、p−(i−ブトキシ)フェニル基、p−(s−ブトキシ)フェニル基、p−(t−ブトキシ)フェニル基、p−(n−アミルオキシ)フェニル基、p−(i−アミルオキシ)フェニル基、p−(t−アミルオキシ)フェニル基、p−クロルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、2,4−ジクロルフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−ジクロルフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−ビフェニリル基等が挙げられる。
【0153】
3Aで表されるWで置換されていてもよいナフチル基の具体例としては、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基等が挙げられる。
【0154】
3Aで表されるWで置換されていてもよいアントラニル基の具体例としては、2−メチル−1−アントラニル基、3−メチル−1−アントラニル基、4−メチル−1−アントラニル基、5−メチル−1−アントラニル基、6−メチル−1−アントラニル基、7−メチル−1−アントラニル基、8−メチル−1−アントラニル基、9−メチル−1−アントラニル基、10−メチル−1−アントラニル基、1−メチル−2−アントラニル基、3−メチル−2−アントラニル基、4−メチル−2−アントラニル基、5−メチル−2−アントラニル基、6−メチル−2−アントラニル基、7−メチル−2−アントラニル基、8−メチル−2−アントラニル基、9−メチル−2−アントラニル基、10−メチル−2−アントラニル基等が挙げられる。
【0155】
Wで表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、及び炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシの具体例としては、R2A又はR3Aで表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、及び炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基の具体例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0156】
2AとR1Aとは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
2AとR1Aとが互いに結合して5員環又は6員環を形成する場合、該5員環又は6員環としては、炭素環式基及び複素環式環基が挙げられ、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラン、ピリジン、ピラジン、モルホリン、ピペリジン又はピペラジン環であってよい。該5員環又は6員環は、任意の置換基を有してもよいベンゼン環と結合していてもよく、その例としては、テトラヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセン、インデン、クロマン、フルオレン、キサンテン又はチオキサンテン環系が挙げられる。該5員環又は6員環は、カルボニル基を含んでもよく、その例としては、シクロヘキサジエノン、ナフタレノン及びアントロン環系が挙げられる。
【0157】
一般式(2)で表される化合物の好適な態様の一つは、下記一般式(2−1)で表される化合物である。該一般式(2−1)で表される化合物は、一般式(2)におけるR2AとR1Aとが結合して5員環を形成している化合物である。
【0158】
【化25】

【0159】
一般式(2−1)中、R3Aは、一般式(2)におけるR3Aと同義であり、Xは、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表し、tは、0〜3の整数を表し、tが2又は3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
【0160】
Xで表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜4の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。
Xで表されるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状アルコキシ基が好ましい。
Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
tとしては、0又は1が好ましい。
【0161】
一般式(2−1)中、tが1であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R3Aが炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニルメチル基、又は、p−トルイル基である化合物が特に好ましい。
【0162】
一般式(2−1)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記化合物(i)、化合物(ii)、化合物(iii)、化合物(iv)等が挙げられ、これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することもできる。化合物(i)〜(iv)は、市販品として、入手することができる。
また、他の種類の特定光酸発生剤と組み合わせて使用することもできる。
【0163】
【化26】

【0164】
一般式(2)で表される光酸発止剤の好ましい態様の一つとしては、
1Aが、炭素原子数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、4−ビフェニル基、ナフチル基又はアントラニル基を表し;
2Aが、シアノ基を表し;
3Aが、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基を表し、Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基を表すものである。
【0165】
一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(2−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0166】
【化27】

【0167】
一般式(2−2)中、R4Aは、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又はニトロ基を表し、lは0〜5の整数を表す。R3Aは、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基を表し、Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルコキシ基を表す。
【0168】
一般式(2−2)におけるR3Aとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基又はペンタフルオロフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基又はp−トリル基であることが特に好ましい。
4Aで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
4Aで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
4Aで表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
lとしては、0〜2が好ましく、0〜1が特に好ましい。
【0169】
一般式(2)で表される光酸発生剤のうち、一般式(2−2)で表される光酸発生剤に包含される化合物の好ましい態様としては、一般式(2)中、R1Aが、フェニル基又は4−メトキシフェニル基を表し、R2Aがシアノ基を表し、R3Aが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基又は4−トリル基を表す態様である。
【0170】
以下、一般式(2)で表される光酸発生剤のうち、一般式(2−2)で表される光酸発生剤に包含される化合物の特に好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0171】
α−(メチルスルホニルオキシイミノ)ベンジル シアニド(R1A=フェニル基、R2A=−CN基、R3A=メチル基)
α−(エチルスルホニルオキシイミノ)ベンジル シアニド(R1A=フェニル基、R2A=−CN基、R3A=エチル基)
α−(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)ベンジル シアニド(R1A=フェニル基、R2A=−CN基、R3A=n−プロピル基)
α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)ベンジル シアニド(R1A=フェニル基、R2A=−CN基、R3A=n−ブチル基)
α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジル シアニド(R1A=フェニル基、R2A=−CN基、R3A=4−トリル基)
α−〔(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=−CN基、R3A=メチル基)
α−〔(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=−CN基、R3A=エチル基)
α−〔(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=−CN基、R3A=n−プロピル基)
α−〔(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=−CN基、R3A=n−ブチル基)
α−〔(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=−CN基、R3A=4−トリル基)
【0172】
本発明の感光性樹脂組成物は、活性光線に感応する(B)光酸発生剤として1,2−キノンジアジド化合物を含まないことが好ましい。その理由は、1,2−キノンジアジド化合物は、逐次型光化学反応によりカルボキシル基を生成するが、その量子収率は1以下であり、オキシムスルホネート化合物に比べて感度が低いためである。
これに対してオキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸性基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られるものと推測される。
【0173】
本発明の感光性樹脂組成物において、(B)光酸発生剤は、(A)アセタール系樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部使用することが好ましく、0.5〜10質量部使用することがより好ましい。
【0174】
<(C)溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)溶剤を含有する。
本発明の感光性樹脂組成物は、必須成分である(A)アセタール系樹脂、及び(B)光酸発生剤、並びに好ましい成分である後述の各種添加剤の任意成分を、(C)溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に使用される(C)溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。
【0175】
本発明の感光性樹脂組成物に使用される(C)溶剤としては、例えば、(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;(2)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;(3)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(4)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;(5)プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
【0176】
(6)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(7)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;(8)ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(9)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;(10)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
【0177】
(11)ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(12)乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n−アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;(13)酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;(14)ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸エチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオンメチル、3−メトキシプロピオンエチル、3−エトキシプロピオンメチル、3−エトキシプロピオンエチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
【0178】
(15)メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;(16)N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;(17)γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。
また、これらの溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
上記した溶剤のうち、特に好ましくはジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
本発明に用いることができる溶剤は、1種単独、又は、2種を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類とを併用することが更に好ましい。
【0179】
本発明の感光性樹脂組成物における(C)溶剤の含有量は、(A)アセタール系樹脂100質量部当たり、50〜3,000質量部であることが好ましく、100〜2,000質量部であることがより好ましく、150〜1,500質量部であることが更に好ましい。
【0180】
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、その他の成分を含有することが好ましい。
その他の成分としては、感度の観点から(M)現像促進剤を含有することが好ましく、また、膜物性の観点から(E)架橋剤を含有することが好ましい。また、感度の観点から、(N)増感剤を添加することが好ましい。
更に、本発明の感光性樹脂組成物は、基板密着性の観点から(F)密着改良剤を含有することが好ましく、液保存安定性の観点から(G)塩基性化合物を含有することが好ましく、塗布性の観点から(H)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤など)を含有することが好ましい。
さらに、必要に応じて、本発明の感光性樹脂組成物には、(D)酸化防止剤、(I)可塑剤、及び、(J)熱ラジカル発生剤、(K)熱酸発生剤、(L)酸増殖剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの、公知の添加剤を加えることができる。
以下、本発明の感光性樹脂組成物に含むことができるその他の成分を説明する。
【0181】
<(N)増感剤>
本発明の感光性樹脂組成物において、前述の(B)光酸発生剤との組み合わせにおいて、その分解を促進させるために(N)増感剤を添加することが好ましい。増感剤は、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有する化合物を挙げることができる。
【0182】
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、キサントン類(例えば、キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、ローダシアニン類、オキソノール類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アクリドン類(例えば、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ4−メチルクマリン)。これら増感剤の中でも、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となり、光酸発生剤への電子移動作用を有する増感剤が好ましく、特に多環芳香族類、アクリドン類、クマリン類、ベーススチリル類が好ましい。なかでもアントラセン化合物が最も好ましい。
【0183】
増感剤は、市販のものを用いてもよいし、公知の合成方法により合成してもよい。
増感剤の添加量は、感度、透明性の両立の観点から、(B)光酸発生剤100質量部に対して、20〜300質量部が好ましく、30〜200質量部が特に好ましい。
【0184】
<(M)現像促進剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(M)現像促進剤を含有することが好ましい。
(M)現像促進剤としては、現像促進効果のある任意の化合物を使用できるが、カルボキシル基、フェノール性水酸基、およびアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一種の構造を有する化合物であることが好ましく、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する化合物がより好ましく、フェノール性水酸基を有する化合物が最も好ましい。
また、(M)現像促進剤の分子量としては、100〜2000が好ましく、150〜1500が更に好ましく、最適には150〜1000である。
【0185】
現像促進剤の例として、アルキレンオキシ基を有するものとしては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールのモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールのジメチルエーテル、ポリエチレングリコールグリセリルエステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエステル、ポリプロピレングリコールジグリセリルエステル、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ビスフェノールAエーテル、ポリプロピレングリコール−ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンのアルキルエーテル、ポリオキシエチレンのアルキルエステル、および特開平9−222724号公報に記載の化合物等を挙げることができる。
カルボキシル基を有するものとしては、特開2000−66406号公報、特開平9−6001号公報、特開平10−20501号公報、特開平11−338150号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
フェノール性水酸基を有するものとしては、特開2005−346024号公報、特開平10−133366号公報、特開平9−194415号公報、特開平9−222724号公報、特開平11−171810号公報、特開2007−121766号公報、特開平9−297396号公報、特開2003−43679号公報等に記載の化合物を挙げることができる。これらの中でも、ベンゼン環数が2〜10個のフェノール化合物が好適であり、ベンゼン環数が2〜5個のフェノール化合物が更に好適である。特に好ましいものとしては、特開平10−133366号公報に溶解促進剤として開示されているフェノール性化合物を挙げることができる。
【0186】
(M)現像促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における(M)現像促進剤の添加量は、感度と残膜率の観点から、(A)アセタール系樹脂を100質量部としたとき、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部であることが最も好ましい。
【0187】
<(E)架橋剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じ、(E)架橋剤を含有することが好ましい。(E)架橋剤を添加することにより、硬化膜をより強固な膜とすることができる。
(E)架橋剤としては、例えば、以下に述べる分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有架橋剤、または、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を添加することができる。
これらの架橋剤の中で、特に好ましいものは、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物である。
【0188】
(分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物)
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0189】
これらは市販品として入手できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1002、JER1003、JER1055、JER1007、JER1009、JER1010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER806、JER807、JER4004、JER4005、JER4007、JER4010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER152、JER154、JER157S70、JER157S65(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON
N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同 EP−4085S、同 EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同 PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同 EP−4003S、同 EP−4010S、同 EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0190】
これらの中で好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0191】
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することができる。
分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物の感光性樹脂組成物への添加量は(A)アセタール系樹脂成分の総量を100質量部としたとき、1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
【0192】
(アルコキシメチル基含有架橋剤)
アルコキシメチル基含有架橋剤としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、特にメトキシメチル基が好ましい。
これらの架橋性化合物のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい架橋性化合物として挙げられ、透明性の観点から、アルコキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
【0193】
これらアルコキシメチル基含有架橋剤は、市販品として入手可能であり、例えば、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30HM、−100LM、−390、(以上、(株)三和ケミカル製)などを好ましく使用することができる。
【0194】
本発明の感光性樹脂組成物にアルコキシメチル基含有架橋剤を用いる場合のアルコキシメチル基含有架橋剤の添加量は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、0.05〜50質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。この範囲で添加することにより、現像時の好ましいアルカリ溶解性と、硬化後の膜の優れた耐溶剤性が得られる。
【0195】
(少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物)
少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物を好適に用いることができる。
【0196】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。
【0197】
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。
【0198】
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0199】
これらの少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物における少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の使用割合は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。このような割合で少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有させることにより、本発明の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の耐熱性及び表面硬度等を向上させることができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を加える場合には、後述の(J)熱ラジカル発生剤を添加することが好ましい。
【0200】
<(F)密着改良剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(F)密着改良剤を含有することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いることができる(F)密着改良剤は、基板となる無機物、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等の金属と絶縁膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。本発明で使用される(F)密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
【0201】
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。
これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、およびγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましい。
【0202】
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらは基板との密着性の向上に有効であるとともに、基板とのテーパ角の調整にも有効である。
本発明の感光性樹脂組成物における(F)密着改良剤の含有量は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0203】
<(G)塩基性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(G)塩基性化合物を含有することが好ましい。
(G)塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、およびカルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0204】
脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0205】
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
【0206】
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0207】
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
【0208】
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することが更に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における(G)塩基性化合物の含有量は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.002〜0.2質量部であることがより好ましい。
【0209】
<(H)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤など)>
本発明の感光性樹脂組成物は、(H)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤など)を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、下記に示す繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとを含む共重合体(3)を好ましい例として挙げることができる。該共重合体の重量平均分子量(Mw)は1000以上10000以下であり、1500以上5000以下が好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の値である。
【0210】
【化28】

【0211】
共重合体(3)中、R21及びR23はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R22は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R24は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。
【0212】
繰り返し単位B中におけるLは、下記式(4)で表されるアルキレン基であることが好ましい。
【0213】
【化29】

【0214】
式(4)中、R25は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
【0215】
また、pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
【0216】
フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤の例として具体的には、特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号、特開2001-330953号等の各公報記載の界面活性剤を挙げることができ、市販の界面活性剤を用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(以上、新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(以上、住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(以上、DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(以上、旭硝子(株)製)、PolyFoxシリーズ(OMNOVA社製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。また、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0217】
これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、フッ素系界面活性剤とシリコン系界面活性剤とを併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における(H)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤を含む)の添加量は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜1質量部であることが更に好ましい。
【0218】
<(D)酸化防止剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)酸化防止剤を含有してもよい。(D)酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤を含有することができる。(D)酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、又は、分解による膜厚減少を低減でき、また、耐熱透明性に優れるという利点がある。
このような酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。これらの中では、硬化膜の着色、膜厚減少の観点から特にフェノール系酸化防止剤が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0219】
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80(以上、(株)ADEKA製)、イルガノックス1098(チバジャパン(株)製)が挙げられる。
【0220】
(D)酸化防止剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜6質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜4質量%であることが特に好ましい。この範囲にすることで、形成された膜の十分な透明性が得られ、且つ、パターン形成時の感度も良好となる。
また、酸化防止剤以外の添加剤として、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の感光性樹脂組成物に添加してもよい。
【0221】
<(I)可塑剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(I)可塑剤を含有してもよい。
(I)可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジメチルグリセリンフタレート、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリアセチルグリセリンなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における(I)可塑剤の含有量は、(A)アセタール系樹脂成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0222】
<(J)熱ラジカル発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(J)熱ラジカル発生剤を含んでいてもよく、前述の少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物のようなエチレン性不飽和化合物を含有する場合、(J)熱ラジカル発生剤を含有することが好ましい。
本発明における熱ラジカル発生剤としては、公知の熱ラジカル発生剤を用いることができる。
熱ラジカル発生剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル発生剤を添加することによって、得られた硬化膜がより強靭になり、耐熱性、耐溶剤性が向上する場合がある。
好ましい熱ラジカル発生剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物、ビベンジル化合物等が挙げられる。
(J)熱ラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における(J)熱ラジカル発生剤の含有量は、膜物性向上の観点から、(A)アセタール系樹脂を100質量部としたとき、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部であることが最も好ましい。
【0223】
<(K)熱酸発生剤>
本発明では、低温硬化での膜物性等を改良するために、(K)熱酸発生剤を使用しても良い。
本発明の熱酸発生剤とは、熱により酸が発生する化合物であり、通常、熱分解点が130℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の範囲の化合物であり、例えば、加熱によりスルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミドなどの低求核性の酸を発生する化合物である。
発生酸としてはpKaが2以下と強い、スルホン酸や電子吸引基の置換したアルキルカルボン酸乃至はアリールカルボン酸、同じく電子吸引基の置換したジスルホニルイミドなどが好ましい。電子吸引基としてはフッ素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。
【0224】
また、本発明においては露光光の照射によって実質的に酸を発生せず、熱によって酸を発生するスルホン酸エステルを使用することも好ましい。
露光光の照射によって実質的に酸を発生していないことは、化合物の露光前後でのIRスペクトル、NMRスペクトル測定により、スペクトルに変化がないことで判定することができる。
スルホン酸エステルの分子量は、一般的には230〜1000、好ましくは230〜800である。
【0225】
本発明で使用可能なスルホン酸エステルは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いてもよい。スルホン酸エステルは、例えば、塩基性条件下、スルホニルクロリド乃至はスルホン酸無水物を対応する多価アルコールと反応させることにより合成することができる。
スルホン酸エステルの感光性樹脂組成物への含有量は、(A)アセタール系樹脂成分を100質量部としたとき、0.5〜20質量部が好ましく、特に好ましくは1〜15質量部である。
【0226】
<(L)酸増殖剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、感度向上を目的に、(L)酸増殖剤を用いることができる。本発明において用いる酸増殖剤は、酸触媒反応によって更に酸を発生して反応系内の酸濃度を上昇させることができる化合物であり、酸が存在しない状態では安定に存在する化合物である。このような化合物は、1回の反応で1つ以上の酸が増えるため、反応の進行に伴って加速的に反応が進むが、発生した酸自体が自己分解を誘起するため、ここで発生する酸の強度は、酸解離定数、pKaとして3以下であるのが好ましく、特に2以下であるのが好ましい。
酸増殖剤の具体例としては、特開平10−1508号公報〔0203〕〜〔0223〕、特開平10−282642号公報〔0016〕〜〔0055〕、及び特表平9−512498号公報第39頁12行目〜第47頁2行目に記載の化合物を挙げることができる。
【0227】
本発明で用いることができる酸増殖剤としては、酸発生剤から発生した酸によって分解し、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フェニルホスホン酸などのpKaが3以下の酸を発生させる化合物を挙げることができる。
【0228】
酸増殖剤の感光性樹脂組成物への含有量は、(B)光酸発生剤100質量部に対して、10〜1000質量部とするのが、露光部と未露光部の溶解コントラストの観点から好ましく、20〜500質量部とするのが更に好ましい。
【0229】
〔硬化膜の形成方法〕
次に、本発明における硬化膜の形成方法を説明する。
本発明における硬化膜の形成方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする。
(1)本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程
(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程
(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程
(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程
以下に各工程を順に説明する。
【0230】
(1)の塗布工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して溶剤を含む湿潤膜とする。
(2)の溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させる。
【0231】
(3)の露光工程では、得られた塗膜に波長300nm以上450nm以下の活性光線を照射する。この工程では、(B)光酸発生剤が分解し酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、(A)アセタール系樹脂中に含まれる構造単位(a1)中の酸分解性基が分解されて、カルボキシル基が生成する。
【0232】
酸触媒の生成した領域において、上記の分解反応を加速させるために、必要に応じて、PEB(露光後加熱処理)を行うことができる。PEBにより、酸分解性基からのカルボキシル基生成を促進させることができる。
【0233】
本発明における構造単位(a1)中の酸分解性基は、酸分解の活性化エネルギーが低く、露光による酸発生剤由来の酸により容易に分解し、カルボキシル基を生じるため、必ずしもPEBを行うことなく、現像によりポジ画像を形成することもできる。
なお、比較的低温でPEBを行うことにより、架橋反応を起こすことなく、酸分解性基の加水分解を促進することもできる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上110℃以下がより好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。
【0234】
(4)の現像工程では、遊離したカルボキシル基を有する(A)アセタール系樹脂を、アルカリ性現像液を用いて現像する。アルカリ性現像液に溶解しやすいカルボキシル基を有する樹脂組成物を含む露光部領域を除去することにより、ポジ画像が形成する。
(5)のポストベーク工程において、得られたポジ画像を加熱することにより、構造単位(a1)中の酸分解性基を熱分解しカルボキシル基を生成させ、エポキシ基及び/又はオキセタニル基と架橋させることにより、硬化膜を形成することができる。この加熱は、150℃以上の高温に加熱することが好ましく、180〜250℃に加熱することがより好ましく、200〜250℃に加熱することが特に好ましい。加熱時間は、加熱温度などにより適宜設定できるが、10〜90分の範囲内とすることが好ましい。
【0235】
ポストベーク工程の前に活性光線、好ましくは紫外線を、現像パターンに全面照射する工程を加えると、活性光線照射により発生する酸により架橋反応を促進することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成方法を具体的に説明する。
【0236】
〔感光性樹脂組成物の調製方法〕
(A)アセタール系樹脂、(B)光酸発生剤、および(C)溶剤の必須成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂組成物を調製する。例えば、(A)アセタール系樹脂又は(B)光酸発生剤を、それぞれ予め(C)溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して感光性樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した感光性樹脂組成物の溶液は、孔径0.1μmのフィルタ等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
【0237】
<塗布工程及び溶剤除去工程>
樹脂組成物を、所定の基板に塗布し、減圧及び/又は加熱(プリベーク)により溶媒を除去することにより、所望の乾燥塗膜を形成することができる。前記の基板としては、例えば液晶表示装置の製造においては、偏光板、さらに必要に応じてブラックマトリックス層、カラーフィルタ層を設け、さらに透明導電回路層を設けたガラス板などが例示できる。基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法等の方法を用いることができる。中でもスリットコート法が大型基板に適するという観点で好ましい。ここで大型基板とは、各辺が1m以上の大きさの基板をいう。
【0238】
また、(2)溶剤除去工程の加熱条件は、未露光部における(A)アセタール系樹脂中の(a1)構造単位において酸分解性基が分解して、且つ、(A)アセタール系樹をアルカリ現像液に可溶性としない範囲であり、各成分の種類や配合比によっても異なるが、好ましくは70〜120℃で30〜300秒間程度である。
【0239】
<露光工程>
(3)露光工程では、乾燥塗膜を設けた基板に所定のパターンの活性光線を照射する。露光はマスクを介して行ってもよいし、所定のパターンを直接描画してもよい。波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。露光工程の後、必要に応じてPEBを行う。
活性光線による露光には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、レーザ発生装置、LED光源などを用いることができる。
水銀灯を用いる場合にはg線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線が好ましく使用できる。水銀灯はレーザに比べると、大面積の露光に適するという点で好ましい。
【0240】
レーザを用いる場合には固体(YAG)レーザでは343nm、355nmが用いられ、エキシマレーザでは351nm(XeF)が用いられ、さらに半導体レーザでは375
nm、405nmが用いられる。この中でも安定性、コスト等の点から355nm、405nmがより好ましい。レーザは1回あるいは複数回に分けて、塗膜に照射することができる。
レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は0.1mJ/cm以上10000mJ/cm以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm以上がより好ましく、0.5mJ/cm以上が最も好ましく、アブレーション現象により塗膜を分解させないようにするには、1000mJ/cm以下がより好ましく、100mJ/cm以下が最も好ましい。
【0241】
また、パルス幅は0.1nsec以上30000nsec以下であることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5nsec以上がより好ましく、1nsec以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1000nsec以下がより好ましく、50nsec以下が最も好ましい。
【0242】
さらに、レーザの周波数は1〜50000Hzが好ましく、10〜1000Hzがより好ましい。レーザの周波数が1Hz未満では、露光処理時間が多くなり、50000Hzを超えると、スキャン露光の際に合わせ精度が低下する。
【0243】
さらに、レーザの周波数は1Hz以上50000Hz以下であることが好ましい。露光処理時間を短くするには、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10000Hz以下がより好ましく、1000Hz以下が最も好ましい。
レーザは水銀灯と比べると、焦点を絞ることが容易であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要でコストダウンできるという点で好ましい。
本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やAEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製)などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、必要に応じて長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルタを通して照射光を調整することもできる。
【0244】
<現像工程>
(4)現像工程では、塩基性現像液を用いて露光部領域を除去して画像パターンを形成する。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0245】
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。
現像時間は通常30〜180秒間であり、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法、シャワー法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を10〜90秒間行い、所望のパターンを形成させることができる。
【0246】
<ポストベーク工程(架橋工程)>
現像により得られた未露光領域に対応するパターンについて、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて、所定の温度、例えば180〜250℃で所定の時間、例えばホットプレート上なら5〜60分間、オーブンならば30〜90分間、加熱処理をすることにより、(A)アセタール系樹脂中の酸分解性基を分解して、カルボキシル基を発生させ、(A)アセタール系樹脂中のエポキシ基及び/又はオキセタニル基である架橋性基と反応して、架橋させることにより、耐熱性、硬度等に優れた保護膜や層間絶縁膜を形成することができる。また、加熱処理を行う際は窒素雰囲気下で行うことにより透明性を向上させることもできる。
なお、加熱処理に先立ち、パターンを形成した基板に活性光線により再露光した後、ポストベークすること(再露光/ポストベーク)により未露光部分に存在する(B)光酸発生剤から酸を発生させ、架橋を促進する触媒として機能させることが好ましい。
すなわち、本発明における硬化膜の形成方法は、現像工程とポストベーク工程の間に、活性光線により再露光する再露光工程を含むことが好ましい。
再露光工程における露光は、前記露光工程と同様の手段により行えばよいが、前記再露光工程では、基板の本発明の感光性樹脂組成物により膜が形成された側に対し、全面露光を行うことが好ましい。再露光工程の好ましい露光量としては、100〜1,000mJ/cmである。
【0247】
本発明の感光性樹脂組成物により、絶縁性に優れ、高温でベークされた場合においても高い透明性を有する硬化膜が得られ、層間絶縁膜として有用である。本発明の感光性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁膜は、高い透明性を有し、硬化膜物性に優れるため、有機EL表示装置や液晶表示装置の用途に有用である。
本発明の有機EL表示装置や液晶表示装置としては、前記本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜を平坦化膜や層間絶縁膜として用いること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の各種有機EL表示装置や液晶表示装置を挙げることができる。
【0248】
図1は、有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSiから成る絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)が絶縁膜3上に形成されている。配線2は、TFT1間又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
さらに、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上に平坦化膜4が形成されている。
平坦化膜4上には、ボトムエミッション型の有機EL素子が形成されている。すなわち、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5が、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成されている。第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8が形成されており、この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
さらに、図1には図示していないが、所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設け、次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続されてなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
【0249】
図2は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置10の一例を示す概念的断面図である。このカラー液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有する液晶パネルであって、液晶パネルは、偏光フィルムが貼り付けられた2枚のガラス基板14,15の間に配置されたすべての画素に対応するTFT16の素子が配置されている。ガラス基板上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、画素電極を形成するITO透明電極19が配線されている。ITO透明電極19の上には、液晶20の層とブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルタ22が設けられている。
【実施例】
【0250】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0251】
以下の合成例において、以下の略号はそれぞれ以下の化合物を表す。
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
GMA:グリシジルメタクリレート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0252】
〔重合体A−1の合成〕
エチルビニルエーテル144.2部(2モル当量)にフェノチアジン0.5部を添加し、反応系中を10℃以下に冷却しながらメタクリル酸86.1部(1モル当量)を滴下後、室温(25℃)で4時間撹拌した。p−トルエンスルホン酸ピリジニウム5.0部を添加後、室温で2時間撹拌し、一夜室温放置した。反応液に炭酸水素ナトリウム5部及び硫酸ナトリウム5部を添加し、室温で1時間撹拌し、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)43〜45℃/7mmHg留分のメタクリル酸1−エトキシエチル134.0部を無色油状物として得た。
【0253】
得られたメタクリル酸1−エトキシエチル 66.41部(0.4モル当量)、メタクリル酸 6.89部(0.08モル当量)、GMA 49.75部(0.35モル当量)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 19.52部(0.15モル等量)、及びPGMEA 132.5部の混合溶液を窒素気流下、70℃に加熱した。この混合溶液を撹拌しながら、ラジカル重合開始剤V−65(和光純薬工業(株)製、12.4部)、及びPG
MEA 100.0部の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下が終了してから、70℃で4時間反応させることにより重合体A−1のPGMEA溶液(固形分濃度:40%)を得た。得られた重合体A−1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、8,000であった。
【0254】
〔重合体A−2〜A−19、A−30、A−31、A−34〜A−36、及びA’−20〜29の合成〕
重合体A−1の合成で使用した各モノマーを表1に記載の各構造単位(a1)〜(a5)に変更し、各構造単位の使用量を表1に記載のものに変更した以外は、重合体A−1の合成と同様にして、重合体A−2〜19、A−30、A−31、A−34〜A−36、及びA’−20〜29をそれぞれ合成した。なお、ラジカル重合開始剤V−65の添加量は、表1に記載の分子量となるようにそれぞれ調整した。
【0255】
【表1】

【0256】
なお、表1に記載のモル比は各構造単位の共重合比であり、(a4)構造単位の質量%は重合体中における(a−4)構造単位の質量%である。表1中「−」はその構造単位を使用していないことを示し、重合体A−8においては(a4)構造単位としてHEMAを10モル%とPME−400を1モル%とを使用し、重合体A’−26においては(a4)構造単位としてHEMAを10モル%とPME−400を5モル%とを使用したことを示す。
【0257】
また、表1中の略号は以下の通りである。
MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル
CHOEMA:メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル
MATHF:メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル
GMA:グリシジルメタクリレート
OXE−30:メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
OXE−10:アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
M100:メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(ダイセル化学工業(株)製)
MAA:メタクリル酸
AA:アクルル酸
Ph−2:4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
PME-400:メチル末端ポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPM
E−400、日油(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル
DCPM:メタクリル酸ジシクロペンタニル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
BzMA:ベンジルメタクリレート
St:スチレン
C1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
【0258】
なお、CHOEMA、及びMATHFは、上記メタクリル酸1−エトキシエチルと同様の方法で合成した。
また、Ph−2は、以下の方法で合成した。
4−ヒドロキシ安息香酸(2−ヒドロキシエチル)エステル 21gのアセトニトリル100ml溶液に、撹拌下、N,N−ジメチルアセトアミド20mlを加え、更にメタクリル酸クロリド20gを加えた。35℃で8時間、撹拌しながら反応させた後、反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾取し、酢酸エチル/n−ヘキサンから再結晶し、4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステルを得た。
【0259】
〔重合体A’−32の合成〕
3つ口フラスコにジエチレングリコールエチルメチルエーテル(25g)を入れ、窒素雰囲気下において70℃に昇温した。その溶液にMAA(3.44g)、MAEVE(14.23g)、ベンジルメタクリレート(12.33g)、V−65(3.477g、モノマーに対して7mol%)をジエチレングリコールエチルメチルエーテル(25g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間攪拌し、反応を終了させ、重合体A’−32のジエチレングリコールエチルメチルエーテル溶液(固形分濃度:40%)を得た。得られた重合体A’−32のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量は、7,200であった。
【0260】
〔重合体A−33の合成〕
3つ口フラスコにジエチレングリコールエチルメチルエーテル(24.5g)を入れ、窒素雰囲気下において70℃に昇温した。その溶液にMAEVE(12.65g)、GMA(10.23g)、HEMA(6.24)、V−65(3.477g、モノマーに対して7mol%)をジエチレングリコールエチルメチルエーテル(24.5g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間攪拌した。その後に、少量のMAEVEを熱分解させる熟成工程として温度を90℃に昇温し、3時間撹拌して反応を終了させ、重合体A−33のジエチレングリコールエチルメチルエーテル溶液(固形分濃度:40%)を得た。NMRおよび実測の酸価測定から、重合体A−33の組成比(モル比)は、MAA/MAVEV/GMA/HEMA=4.5/35.5/36/24であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、7,500であった。また、(a4)構造単位の質量%は22%であった。
【0261】
<実施例1〜119、比較例1〜11、比較例14>
(1)感光性樹脂組成物の調製
下記表2に示す各成分を混合して均一な溶液とした後、0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、実施例1〜119、比較例1〜11、比較例14の感光性樹脂組成物の溶液をそれぞれ調製した。
表2〜5において、実施例30、実施例70、実施例107では重合体としてA’−32とA−33の2種を用いた。また、表中で種類が2種記載されているものは2種を使用し、その量は例えば、実施例37における架橋剤はE2を8部とE3を1.5部使用したことを示す。
【0262】
【表2】

【0263】
【表3】

【0264】
【表4】

【0265】
【表5】

【0266】
なお、表2〜5中の略号は以下の通りである。
B1:CGI1397(下記の構造、チバジャパン(株)製)
B2:CGI1325(下記の構造、チバジャパン(株)製)
B3:PAI−1001(下記の構造、みどり化学(株)製)
B4:PAI−101(下記の構造、みどり化学(株)製)
B5:α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリル(合成方法は下記に示した。)
B6:下記の化合物
B7:下記の化合物
B8:下記の化合物
B9:下記の化合物
N1:NBCA(下記の構造、黒金化成(株)製)
N2:DBA(9,10−ジブトキシアントラセン、下記の構造、川崎化成工業)
C1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
E1:JER−157S70(多官能ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200〜220g/eq)、ジャパンエポキシレジン(株)製)
E2:JER−157S65(多官能ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200〜220g/eq)、ジャパンエポキシレジン(株)製)
E3:ニカラックMW−100LM(三和ケミカル(株)製)
E4:ニカラックMX−270(三和ケミカル(株)製)
E5:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
H1:PolyFox PF−6320(フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製)
H2:下記構造の化合物W-3
G1:4−ジメチルアミノピリジン
G2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
G3:トリフェニルイミダゾール
G4:ジアザビシクロウンデセン
G5:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
F1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403(信越化学工業(株)製))
M1:下記の化合物
M2:下記の化合物
J1:(2、3−ジメチル−2、3−ジフェニルブタン)(ノフマーBC−90(日油(株)製))
K1:下記構造の化合物K−1
L1:下記構造の化合物L−1
【0267】
【化30】

【0268】
【化31】

【0269】
【化32】

【0270】
【化33】

【0271】
【化34】

【0272】
【化35】

【0273】
【化36】

【0274】
【化37】

【0275】
〔B5の合成〕
特表2002-528451号公報段落番号〔0108〕に記載の方法に従って、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリルを合成した。
【0276】
〔B6の合成)
1−1.合成中間体B−6Aの合成
2−アミノベンゼンチオール:31.3g(東京化成工業(株)製)をトルエン:100mL(和光純薬工業(株)製)に室温(25℃)下溶解させた。次に、フェニルアセチルクロリド:40.6g(東京化成工業(株)製)を滴下し、室温下1時間、次いで100℃で2時間撹拌し反応させた。得られた反応液に水500mLを入れ析出した塩を溶解させ、トルエン油分を抽出、抽出液をロータリエバポレーターで濃縮させ、合成中間体B−6Aを得た。
【0277】
1−2.B−6の合成
前記のようにして得られた合成中間体B−6A 2.25gをテトラヒドロフラン:10mL(和光純薬工業(株)製)に混合させた後、氷浴につけ反応液を5℃以下に冷却した。次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:4.37g(25重量%メタノール溶液、Alfa Acer社製)を滴下し、氷浴下0.5時間撹拌し反応させた。さらに、亜硝酸イソペンチル:7.03gを内温20℃以下に保ちながら滴下し、滴下終了後に反応液を室温まで昇温後、一時間撹拌した。
ついで、反応液を5℃以下に冷却し後、p−トルエンスルホニルクロリド(1.9g)(東京化成工業(株)製)を投入し、10℃以下を保ちながら1時間撹拌した。その後水80mLを投入し、0℃で1時間撹拌した。得られた析出物を濾過した後、イソプロピルアルコール(IPA)60mLを投入し、50℃に加熱して1時間撹拌し、熱時濾過、乾燥させることで、(B6:前記構造)1.8gを得た。
得られたB6の1H−NMRスペクトル(300MHz、重DMSO((DC)S=O))は、δ=8.2〜8.17(m,1H),8.03〜8.00(m,1H),7.95〜7.9(m,2H),7.6〜7.45(m,9H),2.45(s,3H)であった。
上記の1H−NMR測定結果より、得られたB6は、1種単独のシスまたはトランス異性体であることが推定される。
【0278】
〔B7の合成〕
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4NHCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2NHCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に酢酸(7.3g)、50質量%ヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してB7(2.3g)を得た。
なお、B7の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
【0279】
〔B8の合成〕
2−ナフトール(20g)をN,N−ジメチルアセトアミド(150mL)に溶解させ、炭酸カリウム(28.7g)、2−ブロモオクタン酸エチル(52.2g)を添加して100℃で2時間反応させた。反応液に水(300mL)、酢酸エチル(200mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液(23g)、エタノール(50mL)、水(50mL)を添加し、2時間反応させた。反応液を1N HCl水溶液(500mL)にあけ、析出した結晶をろ過、水洗してカルボン酸粗体を得た後、ポリリン酸30gを添加して170℃で30分反応させた。反応液を水(300mL)にあけ、酢酸エチル(300mL)を添加して分液し、有機層を濃縮した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ケトン化合物(10g)を得た。
得られたケトン化合物(10.0g)、メタノール(100mL)の懸濁溶液に酢酸ナトリウム(30.6g)、塩酸ヒドロキシルアミン(25.9g)、硫酸マグネシウム(4.5g)を添加し、24時間加熱還流した。放冷後、水(150mL)、酢酸エチル(150mL)添加して分液し、有機層を水80mLで4回分液し、濃縮した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してオキシム化合物(5.8g)を得た。
得られたオキシム(3.1g)に対し、B7と同様にスルホネート化を行い、B8(3.2g)を得た。
なお、B8の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.5(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(dd,1H),2.4(s,3H),2.2(ddt,1H),1.9(ddt,1H),1.4〜1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0280】
〔B9の合成〕
B7の合成におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりにベンゼンスルホニルクロリドを用いた以外は、B7の合成と同様にしてB9を合成した。
なお、B9の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.1(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.7−7.5(m,4H),7.4(dd,1H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),1.7(d,3H)であった。
【0281】
なお、比較例12で使用した組成物は、特開2004−264623号公報の実施例1に記載された組成物である。比較例13で使用した組成物は、特開2009−98616号公報の実施例7に記載された組成物である。比較例14で使用した組成物は、特開平10−26829号公報の実施例1に記載された組成物である。
【0282】
(2)感光性樹脂組成物の評価
(2−1)感度の評価(PEB無し)
シリコン酸化膜を有するシリコンウエハ上に実施例1〜119、比較例1〜14の感光性樹脂組成物の溶液をそれぞれスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークして膜厚3μmの塗膜を形成した。
次に、i線ステッパー(キャノン(株)製FPA−3000i5+)を用いて、所定のマスクを介して露光した。露光後10分間基板を室温で放置した後、0.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法で現像し、更に超純水で45秒間リンスした。これらの操作により10μmのラインアンドスペースを1:1で解像する時の最適露光量(Eopt)を感度とした。感度は、70mJ/cmより低露光量の場合に、高感度であるといえる。評価結果を表6、7に示す。
なお、表6、7の感度(PEBなし)の欄で「**」とあるのは、現像時に剥がれが生じ、パターニングができなかったことを示し、また「*」とあるのは、200mJ/cmでパターン形成できなかったことを示す。
【0283】
(2−2)耐熱透明性の評価
ガラス基板(イーグル2000 コーニング社製)に実施例1〜119、および比較例1〜14(200mJ/cmでパターン形成できなかったものを除く)の感光性樹脂組成物の溶液をスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークして膜厚3μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を0.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法で現像し、更に超純水で45秒間リンスした後、キャノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)で積算照射量が300mJ/cm(照度:20mW/cm)となるように露光し、その後、この基板をオーブンにて230℃で1時間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜をオーブンにて230℃で2時間更に加熱した後、光線透過率を分光光度計「150−20型ダブルビーム((株)日立製作所製)」を用いて400〜800nmの範囲の波長で測定した。そのときの最低光線透過率の評価(耐熱透明性の評価)を表6、7に示す。
評価基準は下記の通りである。なお、最低光線透過率の値は、230℃で2時間加熱後の膜厚2μm当たりの値に換算している。
0:92%以上
1:87%以上92%未満
2:85%以上87%未満
3:82%以上85%未満
4:82%未満
【0284】
(2−3)ITOスパッタ耐性の評価
ガラス基板「イーグル2000(コーニング社製)」上に実施例1〜119、比較例1〜14(200mJ/cmでパターン形成できなかったものを除く)の感光性樹脂組成物をスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上でプリベークして膜厚3μmの塗膜を形成した。得られた塗膜にキャノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)で積算照射量が300mJ/cm2(照度:20mW/cm2)となるように露光し、その後、この基板をオーブンにて230℃で1時間加熱して硬化膜を得た。得られたそれぞれの硬化膜を、ULVAC社製SIH−3030で基板温度210℃にてITOスパッタを行い、0.14μmのITO膜を硬化膜上に作製した。スパッタ後の表面を光学顕微鏡で観察し、表面荒れの有無を評価した。評価結果を表6、7に示す。なお、評価基準は以下の通りとした。
1:表面荒れが観察されない。
2:僅かに表面荒れが観察されるが、実用上問題ないレベルである。
3:表面荒れが観察され、実用上許容されないレベルである。
4:表面が激しく荒れている。
【0285】
(2−4)PEB(露光後加熱)を行った場合の感度
実施例9〜実施例12、実施例50〜実施例52、実施例87〜実施例89及び比較例13の感光性樹脂組成物について、露光後1分後にホットプレートで80℃60秒のPEBを実施する以外は、上記(2−1)感度の評価(PEB無し)と同様にして、PEBを行った場合の感度を評価した。結果を表6、表7に示す。
【0286】
【表6】

【0287】
【表7】

【0288】
表6、表7から、本発明の感光性樹脂組成物はいずれも、PEBを行わない場合でも非常に感度が高く、耐熱透明性が良好であり、ITOスパッタ耐性に優れることがわかる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、PEBを行わなくても非常に感度が高いが、PEBを行うことにより更に感度が高くなることがわかる。
これに対し本発明を用いていない比較例はPEBを行わない場合に感度は低く、PEBを施しても本発明の実施例に比べて感度が低いことがわかる。
【0289】
(2−5)ガラス基板上の密着性
さらに、実施例1〜実施例119の感光性樹脂組成物について、上記(2−1)感度の評価(PEB無し)においてシリコンウエハの代わりにガラス基板「イーグル2000(コーニング社製)」を用いた以外は、上記(2−1)と同様に塗膜を形成し、プロキシミティー露光装置(ウシオ電機社製 UX−1000SM)を用いて、所定のマスクを密着させて365nmでの光強度が16mW/cmである紫外線を用いて露光した。ガラス基板は通常の洗浄を行ったものと、洗浄後さらにヘキサメチルジシラザン蒸気に3分間デシケーター中で晒したものの2種をそれぞれの感光性樹脂組成物に対して使用した。
露光は、10μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量で行った。次に上記(2−1)と同様に露光後10分間基板を室温で放置した後、0.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法で現像し、更に超純水で45秒間リンスした。このとき、パターンのカケ、および剥がれは、実施例1〜実施例119の感光性樹脂組成物のいずれにおいても発生しなかった。
【0290】
(2−6)355nmレーザ露光
さらに、実施例1〜実施例119の感光性樹脂組成物について、上記(2−1)感度の評価(PEB無し)において露光を以下のように変更した以外は上記(2−1)と同様にして、パターン形成を行った。即ち、塗膜から150μmの間隔を介して、所定のフォトマスクをセットし、波長355nmのレーザを、露光量10〜100mJ/cmで照射した。尚、レーザ装置は、株式会社ブイテクノロジー社製の「AEGIS」を使用し(波長355nm、パルス幅6nsec)、露光量はOPHIR社製の「PE10B-V2」を用いて測定した。
実施例1〜実施例119の感光性樹脂組成物のいずれにおいても、355nmレーザ露光でもパターン形成可能であることがわかった。
【0291】
(2−7)UV−LED露光
さらに、実施例1〜実施例119の感光性樹脂組成物について、露光をi線ステッパーからUV−LED光源露光機に変更した以外は、上記(2−1)感度の評価(PEB無し)と同様の評価を実施したところ、いずれもパターン形成可能であることが分かった。
【0292】
〔実施例120〕
薄膜トランジスタ(TFT)を用いた有機EL表示装置を以下の方法で作製した(図1参照)。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSiから成る絶縁膜3を形成した。次に、この絶縁膜3に、コンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)を絶縁膜3上に形成した。
【0293】
さらに、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上へ平坦化膜4を形成した。絶縁膜3上への平坦化膜4の形成は、実施例11の感光性樹脂組成物を基板上にスピン塗布し、ホットプレート上でプリベーク(90℃×2分)した後、マスク上から高圧水銀灯を用いてi線(365nm)を25mJ/cm(照度20mW/cm)照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、230℃で60分間の加熱処理を行った。該感光性樹脂組成物を塗布する際の塗布性は良好で、露光、現像、焼成の後に得られた硬化膜には、しわやクラックの発生は認められなかった。さらに、配線2の平均段差は500nm、作製した平坦化膜4の膜厚は2.000nmであった。
【0294】
次に、得られた平坦化膜4上に、ボトムエミッション型の有機EL素子を形成した。まず、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5を、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成した。その後、レジストを塗布、プリベークし、所望のパターンのマスクを介して露光し、現像した。このレジストパターンをマスクとして、ITOエッチャント用いたウエットエッチングによりパターン加工を行った。その後、レジスト剥離液(リムーバ100、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて該レジストパターンを50℃で剥離した。こうして得られた第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
【0295】
次に、第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8を形成した。絶縁膜8は、実施例12の感光性樹脂組成物を用い、前記と同様の方法で形成した。
【0296】
さらに、真空蒸着装置内で所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設けた。次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成した。得られた上記基板を蒸着機から取り出し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。
【0297】
以上のようにして、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続してなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られた。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることが分かった。
【0298】
〔実施例121〕
実施例120において、平坦化膜4を形成する実施例11の感光性樹脂組成物、および絶縁膜8を形成する実施例12の感光性樹脂組成物をいずれも実施例43の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例120と同様にして有機EL表示装置を作製した。得られた有機EL表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることが分かった。
【0299】
〔実施例122〕
実施例120において、平坦化膜4を形成する実施例11の感光性樹脂組成物、および絶縁膜8を形成する実施例12の感光性樹脂組成物をいずれも実施例80の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例120と同様にして有機EL表示装置を作製した。得られた有機EL表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることが分かった。
【0300】
〔実施例123〕
実施例120において、平坦化膜4を形成する実施例11の感光性樹脂組成物、および絶縁膜8を形成する実施例12の感光性樹脂組成物をいずれも実施例119の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例120と同様にして有機EL表示装置を作製した。得られた有機EL表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることが分かった。
【0301】
〔実施例124〕
特許第3321003号公報の図1及び図2に記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、層間絶縁膜として硬化膜17を以下のようにして形成し、実施例124の液晶表示装置を得た。
すなわち、実施例11の感光性樹脂組成物を用い、上記実施例120における有機EL表示装置の平坦化膜4の形成方法と同様の方法で、層間絶縁膜として硬化膜17を形成した。
得られた液晶表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【0302】
〔実施例125〕
実施例11の感光性樹脂組成物を実施例43の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例124と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることが分かった。
【0303】
〔実施例126〕
実施例11の感光性樹脂組成物を実施例80の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例124と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることが分かった。
【0304】
〔実施例127〕
実施例11の感光性樹脂組成物を実施例119の感光性樹脂組成物に変更した以外は、実施例124と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置は、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることが分かった。
【0305】
〔実施例128〕
特開2008−146004号公報の図2に記載の液晶表示装置において、保護膜141を実施例119の感光性樹脂組成物を用いて形成し、実施例128の液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【0306】
〔実施例129〕
特開2000−267073号公報の図1に記載の液晶表示装置において、オーバーコート15を実施例119の感光性樹脂組成物を用いて形成し、実施例129の液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【符号の説明】
【0307】
1:TFT(薄膜トランジスタ)
2:配線
3:絶縁膜
4:平坦化膜
5:第一電極
6:ガラス基板
7:コンタクトホール
8:絶縁膜
10:液晶表示装置
12:バックライトユニット
14,15:ガラス基板
16:TFT
17:硬化膜
18:コンタクトホール
19:ITO透明電極
20:液晶
22:カラーフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アセタール系樹脂、(B)光酸発生剤、および、(C)溶剤を含み、該(A)アセタール系樹脂が、酸によりカルボキシル基を生成する構造を有する構造単位(a1)、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、エポキシ基またはオキセタニル基を有する構造単位(a3)、および、水酸基またはアルキレンオキシ基を有する構造単位(a4)を含有し、且つ、アセタール構造またはケタール構造を有する重合体であり、該(A)アセタール系樹脂における前記構造単位(a1)〜(a4)の含有比率が、(A)アセタール系樹脂を1とした場合におけるモル換算で、構造単位(a1):構造単位(a2):構造単位(a3):構造単位(a4)=0.2〜0.65:0.02〜0.2:0.2〜0.6:0.005〜0.3であり、且つ、該(A)アセタール系樹脂における構造単位(a4)の含有量が質量基準で3〜30質量%の範囲である感光性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、(M)現像促進剤を含有し、該(M)現像促進剤が、分子内にカルボキシル基、フェノール性水酸基、およびアルキレンオキシ基から選ばれる少なくとも一種の構造を有し、分子量が100〜2000の範囲にある化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、(E)架橋剤を含有する請求項1または請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)光酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)光酸発生剤が、下記一般式(OS−3)、一般式(OS−4)、及び一般式(OS−5)で表される化合物からなる選択される少なくとも1種の化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】


一般式(OS−3)〜一般式(OS−5)中、Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、複数存在するRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。
【請求項6】
さらに、(N)増感剤を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)アセタール系樹脂における前記構造単位(a3)が、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、および、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルのいずれかに由来する構造単位である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、(F)密着改良剤を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、(G)塩基性化合物を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
さらに、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を含有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
(1)請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程、
(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、
(3)塗布された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、
(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する現像工程、及び、
(5)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、を含む硬化膜の形成方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により形成された硬化膜。
【請求項13】
層間絶縁膜である請求項12に記載の硬化膜。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の硬化膜を具備する有機EL表示装置。
【請求項15】
請求項12又は請求項13に記載の硬化膜を具備する液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−221494(P2011−221494A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280738(P2010−280738)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】