説明

感光性樹脂組成物とその薄膜及びパターン形成方法

【課題】光反応性が高くパターニングが可能であるとともに、疎水性が高く誘電特性に優れる被膜を形成できる感光性樹脂組成物とその薄膜及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】カチオン重合性基を含有するブロック(エポキシ基を含むビニル単量体のポリマーブロック)とポリシランブロックとを有するブロック共重合体、および光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物を基板に塗布し、活性光線で塗膜を選択的に露光し、現像することにより、カチオン重合性基の光カチオン重合とポリシランブロックの光開裂とを利用して、疎水性が高く誘電特性に優れる被膜パターン(保護膜又は絶縁膜)を形成する。この被膜は、有機半導体層を用いて薄膜トランジスタを形成するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反応性が高くパターニングが可能であるとともに、疎水性が高く、誘電特性に優れ、有機半導体の被膜を形成するのに有用な感光性樹脂組成物とその薄膜及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタブル電子デバイスの製造において、感光性樹脂組成物の薄膜を微細加工してパッシベーション膜やゲート絶縁膜などが形成されている。特に、有機TFTの製造においては、疎水性の高い感光性材料、例えば、ポリシロキサン及びポリシランを含む感光性樹脂組成物を用いて微細回路が形成されている。
【0003】
特開2007−316314号公報(特許文献1)には、アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により酸又は塩基を発生する酸又は塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物が開示され、基板上に感光性樹脂組成物の感光層を形成し、この感光層を選択的に露光し、前記発生剤(A)から酸又は塩基を発生させて、潜像パターンを形成し、この潜像パターンを現像して薄膜パターンを形成し、薄膜パターンを熱処理して、前記熱酸発生剤(B)から発生する酸で硬化させて薄膜パターンを形成する方法が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の感光性樹脂組成物を用いると、比較的低温で熱処理することによりアルコキシシランの縮合物の架橋効率を高めることができ、絶縁性能に優れた薄膜パターンを得ることができる。しかし、前記薄膜パターンは未だ疎水性及び電気絶縁性が十分でなく、誘電率の周波数依存性もある。また、上記薄膜上にポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HTなど)の有機半導体層を形成すると、シロキサン結合により半導体層の配向性を向上できず、シラノール残基により電子がトラップされやすく、電子移動度を向上させることができない。そのため、前記感光性樹脂組成物で形成した薄膜パターンなどの絶縁膜(例えば、ゲート絶縁膜)の特性をさらに改善する必要がある。
【0005】
特開2006−307084号公報(特許文献2)には、ポリシラン化合物(ポリシランとアシルアセチル基を有するビニル単量体との共重合体など)と、還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物と、無機微粒子とで構成された組成物を基板に塗布し、露光して金属微粒子を生成させ、現像し、金属微粒子および無機微粒子を含むパターンを形成することが開示されている。この文献には、ポリシランとビニル単量体との組成物に紫外線照射すると、ブロック共重合体が得られることも記載されている。この文献では、金属ナノ粒子及び無機微粒子を含むネガパターンを高い密着性で形成できる。しかし、金属ナノ粒子及び無機微粒子を含むため、未だ疎水性及び電気絶縁性が十分でなく、誘電率の周波数依存性もある。また、金属ナノ粒子及び無機微粒子が電子をトラップしやすく、配向性及び電子移動度を向上させることができない。
【0006】
WO 2007/066594号公報(特許文献3)には、ラジカル発生剤又は貴金属触媒の存在下、Si−H結合を有するポリシランと、ヒドロシリル化可能な化合物(不飽和二重結合を有する化合物など)とを反応させ、溶解性や反応性を有するポリシランを得ることが開示されている。この文献には、ヒドロシリル化反応により導入されたエポキシ基を有するポリシランと硬化剤とを含む樹脂組成物も記載されている。この文献では、ポリシランに導入された官能基と硬化剤とを利用して硬化させることができ、硬度の高い薄膜を形成できる。しかし、硬化剤を用いて硬化塗膜を形成すると、疎水性及び電気絶縁性が低下し、誘電率の周波数依存性も大きくなるとともに、配向性及び電子移動度を向上できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−316314号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2006−307084号公報(特許請求の範囲,段落[0065])
【特許文献3】WO 2007/066594号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、光反応性が高くパターニングが可能であるとともに、疎水性が高く誘電特性に優れる被膜を形成できる感光性樹脂組成物とその薄膜及びパターン形成方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、誘電率の周波数依存性が小さいとともに、誘電分散がなく、電気絶縁膜を形成できる感光性樹脂組成物とその薄膜及びパターン形成方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、有機半導体の絶縁膜を形成するのに有用な感光性樹脂組成物とその薄膜及びパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、カチオン重合性基(エポキシ基など)を有するビニル単量体とポリシランとの共存系を光照射して得られたカチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとを有するブロック共重合体が、光反応性(光カチオン重合性など)に優れパターニングが可能であること、このブロック共重合体を光カチオン重合すると、誘電率の周波数依存性が小さいとともに、誘電分散がなく、疎水性及び電気絶縁性の高い薄膜パターンを形成できること、このような薄膜パターンが有機半導体の絶縁膜として適していることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとを有するブロック共重合体を含んでいる。前記カチオン重合性基を含有するブロックは、エポキシ基を含むビニル単量体のポリマーブロックで構成できる。また、ポリシランブロックは、下記式で表される単位で構成できる。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、Rは、シクロアルキル基又はアリール基を示す)
ブロック共重合体において、カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとの割合は、カチオン重合性基/ケイ素原子のモル比として、20/80〜70/30程度であってもよい。また、前記感光性樹脂組成物は、さらに、光酸発生剤を含んでいてもよい。さらに、前記感光性樹脂組成物は熱酸発生剤を含んでいてもよい。
【0015】
本発明は、前記感光性樹脂組成物を用い、少なくとも以下の工程(A)〜(C)を経て薄膜パターンを形成する方法も含む。
【0016】
(A)感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程
(B)活性光線で塗膜を選択的に露光する工程
(C)生成した潜像パターンを現像する工程
さらに、熱酸発生剤を含む感光性樹脂組成物を用いる場合には、前記現像工程(C)の後、(D)形成された薄膜パターンを熱処理する工程を含んでもよい。
【0017】
さらに、本発明は、前記感光性樹脂組成物で形成された薄膜、例えば、パターン状の薄膜(又はパターニングされた薄膜)も含む。このような薄膜は、例えば、保護膜、及び絶縁膜から選択された少なくとも1つの有機半導体素子の薄膜であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、感光性樹脂組成物がエポキシ含有ブロックとポリシランブロックとを有するブロック共重合体を含むので、リソグラフィなどのパターン形成方法を利用して、疎水性が高く誘電特性に優れる被膜(薄膜パターンなど)を形成できる。また、誘電率の周波数依存性が小さいとともに、誘電分散がなく、電気絶縁膜を形成できる。そのため、有機半導体の絶縁膜を形成するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は実施例1のブロック共重合体1の薄膜の硬化を示す赤外線吸収スペクトルである。
【図2】図2は比較例のポリ(グリシジルメタクリレート)の薄膜の硬化を示す赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3は実施例1及び実施例2のブロック共重合体の誘電率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物は、カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとを有するブロック共重合体を含んでいる。
【0021】
カチオン重合性基を含有するブロックは、カチオン重合性基を含むビニル単量体のポリマーブロック、例えば、カチオン重合性基を含むビニル単量体の単独重合体ブロックで構成してもよく、カチオン重合性基を含むビニル単量体と共重合性単量体との共重合体ブロックで構成してもよい。カチオン重合性基としては、環状エーテルに対応するエポキシ基(オキシラン環に対応する1,2−エポキシ基、グリシジル基、オキセタン環に対応する1,3−エポキシ基など)、ビニルエーテル基などが例示できる。
【0022】
1,3−エポキシ基又はグリシジル基を含むビニル単量体としては、例えば、グリシジル基を有する(メタ)アクリレート[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシアルキル(メタ)アクリレート[グリジシルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシC2−6アルキル(メタ)アクリレート]など];シクロアルケンオキシド基を有する(メタ)アクリレート[例えば、2−(1,2−エポキシ−4−シクロヘキセニル)エチル(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート類など];グリシジル基を有するビニル化合物[例えば、アリルグリシジルエーテルなど];シクロアルケンオキシド基を有するビニル化合物[例えば、4−ビニル−1−シクロヘキセンオキシド、4−ビニル−1−シクロヘキセンジオキシドなどのビニルシクロヘキセンオキシド類など]が例示できる。
【0023】
オキセタン環に対応する1,3−エポキシ基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリレート類[例えば、(メタ)アクリル酸オキセタン類((メタ)アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルなど)]、ビニル化合物[例えば、オキセタン環含有ビニルエーテル(3−エチル−3−(4−ビニロキシシクロヘキシルオキシメチル)オキセタンなど)など]が例示できる。
【0024】
ビニルエーテル基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリレート類[例えば、(メタ)アクリル酸(ビニロキシアルコキシ)アルキル[(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルなど]など]、アリルビニルエーテル、ジビニルエーテル[1,6−ジビニロキシヘキサンなどのジビニロキシアルカン、1,4−ジビニロキシシクロヘキサンなどのジビニロキシシクロアルカンなど]などが例示できる。
【0025】
これらのカチオン重合性基を含むビニル単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいビニル単量体は、グリシジル基を含むビニル単量体、特にグリシジル基を有する(メタ)アクリレート(グリシジル(メタ)アクリレートなど)である。
【0026】
共重合性単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテンなどのα−オレフィン類(又はアルケン類);アセチレンなどのアルキン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カルボン酸類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体などの(メタ)アクリル系単量体;スチレンなどの芳香族ビニル系単量体;ビニルエーテル類;ビニルケトン類などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち(メタ)アクリル系単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−3アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどを用いる場合が多い。
【0027】
カチオン重合性基を含むビニル単量体と共重合性単量体との重量割合は、前者/後者=50/50〜100/0、好ましくは70/30〜100/0(例えば、70/30〜95/5)、さらに好ましくは80/20〜100/0(例えば、80/20〜90/10)程度の範囲から選択できる。
【0028】
ポリシランブロックは、Si−Si結合を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、網目状などの種々のポリシランで構成することができ、通常、直鎖状又は分岐鎖状ブロックで構成される。ポリシランは、通常、下記式(1)〜(3)で表された構造単位のうち少なくとも1つの単位で構成されている場合が多い。
【0029】
【化2】

【0030】
(式中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、又はシリル基を示し、m,n,pは正の整数を示す)
前記式(1)〜(3)において、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル基などのC1−10アルキル基(好ましくはC1−6アルキル基)が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ基などのC1−10アルコキシ基(好ましくはC1−6アルコキシ基)が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル基などのC2−6アルケニル基(好ましくはC2−4アルケニル基)が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基(好ましくはC5−8シクロアルキル基)が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5−8シクロアルキルオキシ基)が挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5−10シクロアルケニル基(好ましくはC5−8シクロアルケニル基)が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル基などのC6−12アリール基が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などのC6−12アリールオキシ基が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6−12アリール−C1−4アルキル基(好ましくはC6−10アリール−C1−2アルキル基)が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC6−12アリール−C1−4アルキルオキシ基(好ましくはC6−10アリール−C1−2アルキルオキシ基)が挙げられる。シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1−6シリル基が例示できる。これらの基R、R又はRは、さらに置換基[例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−4アルコキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基など)など]を有していてもよい。R、R及びRの種類は、構造単位の繰り返し数(m,n,pの数)によって異なっていてもよい。
【0031】
これらの基R、R又はRのうち、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、シリル基などが好ましい。特に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シリル基(中でも、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基)が好ましい。
【0032】
前記式(1)において、RとRとの組み合わせは、例えば、アルキル基同士[例えば、C1−4アルキル基(特にメチル基)同士]、シクロアルキル基(特にシクロヘキシル基)同士、アリール基(特にフェニル基)同士であってもよいが、前記式(1)において、Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であるのが好ましく、Rは、シクロアルキル基又はアリール基であるのが好ましい。特に、RとRとの組み合わせは、アルキル基[例えば、C1−4アルキル基(特にメチル基)]とアリール基(特にフェニル基)との組み合わせ、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基)とアルキル基[例えば、C1−4アルキル基(特にメチル基)]との組み合わせが好ましい。なお、アルキル基同士を組み合わせる場合、短鎖アルキル基(特にメチル基)と比較的鎖長の長いアルキル基(例えば、C4−8アルキル基)との組み合わせも好ましい。特に、C1−4アルキル基(特にメチル基)とアリール基(特にフェニル基)との組み合わせが好ましい。
【0033】
また、RはC1−4アルキル基(特にメチル基などのC1−2アルキル基)又はアリール基(特にフェニル基)である。特に、フェニル基又はアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を有するポリシランは、有機溶媒に対する溶解性が高いので好適である。
【0034】
具体的なポリシラン(ユニット)には、例えば、(a)前記式(1)で表される直鎖状又は環状ポリシラン、(b)前記式(2)又は前記式(3)で表される分岐鎖状ポリシラン、(c)前記式(1)〜(3)で表される構造単位の組み合わせ(例えば、前記式(1)と式(2)との組み合わせ、前記式(1)と式(3)との組み合わせ、前記式(1)と式(2)と式(3)との組み合わせなど)で構成されたポリシランなどが挙げられる。ポリシランは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
前記構造単位を有するポリシランにおいて、m,n,pの値は、それぞれ、例えば、2〜10000、好ましくは3〜1000、さらに好ましくは4〜500(例えば、5〜250)程度であってもよい。また、前記式(2)又は(3)で表される構造単位を有するポリシランにおいて、n又はpは、前記範囲(特に2〜100、好ましくは2〜50程度)から適当に選択できる。さらに、m+n+pの値は、例えば、5〜10000、好ましくは7〜1000(例えば、10〜1000)、さらに好ましくは12〜500(例えば、15〜300)程度である。また、前記ポリシランは共重合体であってもよい。
【0036】
前記式(1)〜(3)で表される構造単位の末端基は、前記置換基R、R又はRで構成してもよく、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)や、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などで構成(又は封鎖)してもよい。
【0037】
好ましいポリシランは、下記式で表される単位で構成されている。
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、Rは、シクロアルキル基又はアリール基を示す)
特に、ポリシランは、直鎖状であるのが好ましい。このようなポリシランは、前記のように、R及びRが、アルキル基同士[例えば、C1−4アルキル基(特にメチル基)同士]、シクロアルキル基(特にシクロヘキシル基)同士、アリール基(特にフェニル基)同士であってもよいが、置換基R及びRのうち少なくとも一方がアリール基(特にフェニル基)又はシクロアルキル基である単位(ジアリールシラン単位、ジシクロアルキルシラン単位、アルキルアリールシラン単位、アルキルシクロアルキルシラン単位から選択された少なくとも1つの単位)を有している。直鎖状ポリシランとしては、例えば、ポリ(アルキルアリールシラン)(例えば、ポリ(メチルフェニルシラン)などのポリ(C1−4アルキルC6−10アリールシラン)など)、ポリ(アルキルシクロアルキルシラン)(例えば、ポリ(メチルシクロヘキシルシラン)などのポリ(C1−4アルキルC5−8シクロアルキルシラン)など)など、特にポリアルキルアリールシランが好ましい。
【0040】
前記ポリシランは、前記式(1)〜(3)で表される単位を有するハロシラン類を用いた種々の調製方法、例えば、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、例えば、国際公開番号WO98/29476号公報など);アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(例えば、「キッピング法」J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990));電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,897(1992));金属触媒の存在下でヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報);ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990));環状シラン類の開環重合による方法により調製できる。さらに、末端基を封鎖したポリシランは、例えば、前記の方法でポリシランを調製したポリシランと、対応する封鎖剤(ハロシラン類、シリルトリフラート類、シラン類などのシリル化合物)とを反応させることにより調製できる。なお、ポリシランは、例えば、特開平4−218561号公報などに記載の方法に準じて調製してもよく、市販品を用いてもよい。特に、ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)は、原材料であるメチルフェニルジクロロシランが安価で入手しやすく、収率も比較的大きいので好適に用いることができる。
【0041】
ブロック共重合体の構造は、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。ブロック共重合体において、カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとの割合(構成モノマーのモル換算)は、カチオン重合性基を含むビニル単量体とポリシランとの使用割合に依存するものの、カチオン重合性基/ケイ素原子のモル比として、5/95〜95/5(例えば、10/90〜90/10)程度の範囲から選択でき、15/85〜70/30、好ましくは20/80〜60/40、さらに好ましくは20/80〜50/50(例えば、25/75〜40/60)程度であってもよい。
【0042】
ブロック共重合体全体の数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは3000〜30000程度であってもよい。また、ブロック共重合体において、ポリマーブロックの数平均分子量は、1000〜80000、好ましくは2000〜70000(例えば、3000〜60000)、さらに好ましくは5000〜50000(例えば、10000〜30000)程度であってもよい。また、ポリシランブロックの数平均分子量は、例えば、300〜50000、好ましくは500〜40000(例えば、1000〜30000)、さらに好ましくは3000〜35000(例えば、5000〜30000)、特に8000〜25000(例えば、10000〜20000)程度であってもよい。
【0043】
前記ブロック共重合体は、種々の方法、例えば、ポリシラン(例えば、前記方法などにより調製したポリシラン)を、ビニル単量体の光ラジカル重合開始剤として利用することにより、ポリシランとビニル単量体[(メタ)アクリル系単量体など]とのブロック共重合体を合成する方法(例えば、Polymer 第43巻、1549頁に記載の方法など)などで調製できる。特に、(メタ)アクリル系単量体を用いると、ポリシランとのブロック共重合体を光重合により容易に合成することができる。なお、このような方法でブロック共重合体を調製しても、分子量の低下がなく、分子量分布もさほど変化しないようである。
【0044】
このようなブロック共重合体では、カチオン重合性基を有するポリマーブロックを利用してカチオン重合することにより硬化又は架橋膜を形成できる。また、エネルギー線によりポリシランブロックを開裂させて硬化又は架橋膜を形成できる。そのため、露光部と非露光部とでの溶解度差の大きな潜像パターンを形成できる。特に、光エネルギーを利用すると、硬化又は架橋により潜像パターンを形成でき、現像することにより薄膜パターンを形成できる。
【0045】
感光性樹脂組成物は、さらに、光酸発生剤及び/又は光塩基発生剤を含んでいてもよい。このような光酸発生剤を含有させると、光の作用により生成した酸がカチオン重合性基(エポキシ基など)のカチオン重合触媒として機能し、架橋構造を形成し、潜像パターンを形成する。また、光塩基発生剤では、光照射により塩基が生成し、この塩基が、ポリシランブロックの光開裂に伴って生成したシラノール基の硬化とカチオン重合性基としてのエポキシ基の硬化を促進する。さらに、光照射によりポリシランブロックでも光開裂で生じ架橋構造を形成する。そのため、露光部と非露光部とで大きな溶解度差をもたらし、シャープな潜像パターンを形成できる。このように、ブロック共重合体と光酸発生剤を含む組成物の塗膜をパターン露光して光カチオン重合すると、微細回路をパターンニングできるとともに、表面平滑性に優れるとともに疎水性が極めて高く、誘電特性に優れる塗膜又は薄膜パターンを形成できる。
【0046】
光酸発生剤としては、光(光線又は放射線)の照射により酸を発生する種々の化合物、例えば、オニウム塩、メタロセン錯体などを好適に使用できる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩などが例示でき、これらの対イオンとしては、CFSO、BF、PF、AsFおよびSbFなどのアニオンが用いられる。
【0047】
光酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩{例えば、トリアリールスルホニウム塩[トリフェニルスルホニウムトリフレート(又はトリフルオロメタンスルホナート)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−トシル)スルホニウムトリフレート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリフェニルスルホニウム塩など]、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)など};ジアゾニウム塩(4−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなど);ヨードニウム塩{例えば、ビス(アルキルアリール)ヨードニウム塩[例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム パーフルオロブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ビフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど]、アルコキシカルボニルアルコキシ−トリアルキルアリールヨードニウム塩[例えば、4−[(1−エトキシカルボニル−エトキシ)フェニル]−(2,4,6−トリメチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなど]、ビス(アルコキシアリール)ヨードニウム塩[例えば、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス(アルコキシフェニル)ヨードニウム塩など]など};ホスホニウム塩(ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネートなど);セレニウム塩(トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェートなど);メタロセン錯体[例えば、(η又はη−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなど]などが挙げられる。光酸発生剤は、光ラジカル開始剤の機能を備えた化合物であってもよい。光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0048】
これらの光酸発生剤のうち、オニウム塩[特に、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム塩など)、ヨードニウム塩(ビス(アルキルアリール)ヨードニウム塩など)]などを用いる場合が多い。
【0049】
光酸発生剤の割合は、ブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部程度の範囲から選択でき、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部程度であってもよい。
【0050】
光の作用により塩基を発生する光塩基発生剤としては、第1級アミン、第2級アミン又は第3級アミンを生成する種々の化合物、例えば、コバルトアミン錯体、o−アシルオキシム類、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、スルホンアミド類(例えば、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミドなど)、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート類(例えば、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカルバメートなど)、アミンイミド化合物(特開2003−35949号公報参照)、アミジン構造を有する化合物、α−アミノアセトフェノンなどを挙げることができる。光塩基発生剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
光塩基発生剤の割合は、前記光酸発生剤と同様に、ブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記光酸発生剤及び/又は光塩基発生剤に加えて、さらに、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤を含んでいてもよい。熱酸発生剤を含む組成物では、感光性樹脂組成物の硬化又は架橋塗膜(現像により形成された薄膜パターンなど)を形成した後、加熱することにより酸を発生させ、残存するカチオン重合性基を利用してさらに架橋効率を向上でき、撥水性が高く誘電特性に優れる硬化又は架橋塗膜(薄膜パターンなど)を形成できる。また、比較的低温(例えば、300℃以下、例えば、100〜250℃)で酸を発生でき、塗膜(現像により形成された薄膜パターンなど)を熱処理することにより、塗膜の架橋効率を効率よく向上できる。
【0053】
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であればよく、例えば、オニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩及びアルソニウム塩からなる群から選択された少なくとも1種)であってもよい。オニウム塩の対アニオンは、BF、PF、AsFおよびSbFなどが含まれる。このような熱酸発生剤は、前記特許文献1にも記載のように、いずれも公知の化合物である。熱酸発生剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0054】
熱酸発生剤の割合は、前記ブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜15重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。なお、光酸発生剤と熱酸発生剤とがいずれも光又は熱の作用より酸を発生させる場合があるが、光酸発生剤と熱酸発生剤とが同じ化合物である場合、酸発生剤の総量はブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部(例えば、1〜10重量部)程度であってもよい。
【0055】
好ましい態様では、光酸発生剤は、熱に対して不活性であり、光照射により酸を発生し、熱酸発生剤は、光に対して不活性であり、加熱により酸を発生する。
【0056】
さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性を向上させるため、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(メチルカルビトールなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。なお、有機溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
【0057】
なお、本発明の組成物は、必要であれば、種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(抗酸化剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、分散剤、分散助剤などが例示できる。添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0058】
溶媒を含む感光性樹脂組成物の固形分濃度は、例えば、0.5〜60重量%、好ましくは、2〜40重量%(例えば、5〜30重量%)程度であってもよい。
【0059】
本発明では、前記のように、カチオン重合性基を有するポリマーブロックとポリシランブロックとを利用して、効率よく硬化又は架橋させることができる。さらに、前記ブロック共重合体で形成された塗膜は、撥水性が極めて高く、例えば、水に対する接触角(温度20℃)が80〜95°(特に85〜90°)程度である。しかも誘電特性に優れており、周波数10kHzにおいて、前記ブロック共重合体は誘電率が3〜4(例えば、3.2〜3.7)程度、光酸発生剤を含む前記ブロック共重合体でも誘電率が3.3〜4.5(例えば、3.5〜4.2)程度であり、周波数10−3〜10kHz(特に低周波数領域)において、いずれも誘電分散が認められない。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は表面が不活性で誘電特性に優れた薄膜を形成するのに有効である。すなわち、極めてイオン不純物が少なく、表面エネルギーが小さく、表面が不活性な絶縁膜を形成するのに適している。特に、光重合を利用して、全面露光又はパターン露光すると、表面平滑性の高い塗膜又は薄膜を形成でき、微細でシャープな薄膜パターンを形成できる。特に、前記感光性樹脂組成物で形成した塗膜又は被膜上に有機半導体を形成すると、半導体層の配向性が高く、しかも電子のトラップがなく電子移動度を向上できる。そのため、有機半導体と組み合わせることにより、太陽光発電素子、太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、電界効果型トランジスタなどの半導体素子を形成するのに有効である。
【0060】
本発明の前記感光性樹脂組成物は、少なくとも以下の工程(A)〜(C)を経て薄膜パターンを形成するのに有用である。なお、薄膜パターンを形成しない場合(例えば、塗布域の全面に形成する薄膜)には、現像工程(C)は必要ではない。
【0061】
(A)感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程
(B)活性光線で塗膜を選択的に露光する工程
(C)生成した潜像パターンを現像する工程
さらに、光酸活性剤及び/又は光塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を用いる場合、前記現像工程(C)の後、(D)形成された薄膜パターンを熱処理する工程を含む方法により、パターン状の薄膜(薄膜パターン)を形成できる。
【0062】
(A)塗布工程
基板は、用途に応じて選択され、例えば、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなどの半導体基板、アルミニウム、銅などの金属基板、ガラス、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、PZTなどのセラミック基板、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどのプラスチック基板などが用いられる。また、塗布方法は特に制限されず、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法、スリット法などであってもよい。
【0063】
溶媒を含む感光性樹脂組成物では、塗布した後、熱酸発生剤から酸が発生しない温度、例えば、40〜150℃程度で乾燥し、感光層を形成できる。感光性樹脂組成物で形成された感光層の厚みは、用途によって異なるが、10nm〜10μm、好ましくは0.05〜10μm(特に0.1〜5μm)程度であってもよい。
【0064】
(B)露光工程
露光工程で塗膜を活性光線で露光することにより潜像を形成できる。露光は用途に応じて全面露光してもよく、フォトマスクなどを利用して選択的に露光してパターン状の潜像を形成してもよい。露光には、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線などが利用でき、通常、可視光又は紫外線、特に紫外線である場合が多い。光源としては、露光する光線の種類に応じて選択でき、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなど)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm、好ましくは75〜5000mJ/cm、さらに好ましくは100〜3000mJ/cm(例えば、500〜3000mJ/cm)程度であってもよい。
【0065】
この露光によりポリシランブロックが光開裂して、硬化又は架橋した塗膜を形成できる。また、光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物では、露光により酸を発生させて、光カチオン重合とポリシランブロックの光開裂とを利用して、より効率よく硬化又は架橋した塗膜を形成できるとともに、露光後に加熱処理(アフターキュア)することにより、生成した酸によりカチオン重合性基及び光開裂により生じたシラノール基を硬化又は架橋反応を促進し、さらに硬化又は架橋効率を向上できる。加熱温度は、例えば、60〜200℃、好ましくは100〜150℃程度であってもよく、加熱時間は、例えば、5秒以上(例えば、10秒〜3時間程度)、1分〜2.5時間、好ましくは10分〜2時間程度であってもよい。さらに、光塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物では、露光により塩基を発生させて、カチオン重合性基としてのエポキシ基の架橋、光開裂により生成したシラノール基の縮合により、溶解度差をもたらし、潜像を形成できる。
【0066】
(C)現像工程
生成した潜像パターンを現像することにより、顕像化された塗膜パターンを形成できる。現像剤としては、水、アルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、珪酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液など)、酸性水溶液、親水性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類など)や、これらの混合液などを用いることができる。現像には、浸漬、洗い流しなどによる現像、噴射又はスプレー現像なども利用できる。
【0067】
現像時間は、感光層の厚み、現像液や現像条件などにもよるが、通常、10秒〜5分程度であってもよい。なお、アルカリ水溶液や酸性水溶液で現像する場合、通常、現像後、薄膜パターンは蒸留水で洗浄される。
【0068】
(D)熱処理工程
熱酸発生剤を含む感光性樹脂組成物では、形成された塗膜(又は薄膜パターン)を熱処理することにより、架橋反応を確実かつ効率的に進行させることができ、カチオン重合性基(エポキシ基など)の濃度が低減した硬化又は架橋塗膜(又は薄膜パターン)を形成できる。熱処理温度は、熱酸発生剤の種類に応じて、選択でき、例えば、100〜300℃程度であってもよい。現像後の熱処理温度は、通常、露光後の前記加熱処理温度よりも高い温度から選択される。また、熱処理時間は、例えば、30秒〜120分間程度の範囲から選択できる。
【0069】
[感光性樹脂組成物の用途]
本発明の感光性樹脂組成物は、コーティング技術やリソグラフィ技術を利用して種々の薄膜を形成できる。また、印刷技術及びリソグラフィ技術を利用して電子回路を大面積化できるとともに、プロセスコストを低減できる。そのため、例えば、半導体素子(薄膜トランジスタなど)、表示素子又はそれらのエレメントの保護膜及び/又は絶縁膜(電気絶縁膜)を形成するのに適している。例えば、本発明の感光性樹脂組成物は、薄膜パターン、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)の保護膜(パッシベーション膜)又は絶縁膜(絶縁保護膜)、表示装置の表示素子又はエレメント(例えば、液晶表示素子、有機EL素子、カラーフィルタなど)、ICチップの層間絶縁膜、ICチップの層間保護膜、センサの絶縁層などの種々の絶縁保護膜を形成するのに有効である。例えば、保護膜は、薄膜トランジスタ(TFT)の保護膜、有機EL素子の保護膜(パッシベーション膜)、カラーフィルタの保護膜(オーバーコート膜)であってもよい。そのため、本発明は、前記感光性樹脂組成物で形成された薄膜(保護膜及び/又は絶縁膜など)を備えた素子、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)、表示装置の表示素子(例えば、液晶表示素子、有機EL素子、カラーフィルタなど)なども含む。
【0070】
本発明の感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタの絶縁膜(ゲート絶縁膜など)及び/又は保護膜(パッシベーション膜)を形成するのに適している。
【0071】
薄膜トランジスタ(電界効果型の薄膜トランジスタなど)の構造は特に制限されないが、通常、半導体層と、半導体層に形成されたソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極と、ゲート電極と半導体層との間に形成されたゲート絶縁膜とを備えており、前記ゲート絶縁膜が前記感光性樹脂組成物により形成できる。また、薄膜トランジスタ(電界効果型の薄膜トランジスタなど)はさらに前記感光性樹脂組成物で形成された保護膜(パッシベーション膜)を備えていてもよい。
【0072】
より具体的には、薄膜トランジスタは、基板と、この基板に形成されたゲート電極と、このゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に積層された半導体層と、この半導体層に接続して形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記半導体層、ソース電極及びドレイン電極を被覆するパッシベーション膜とを備えていてもよい。このパッシベーション膜には、ドレイン電極に連なる透明電極が形成されていてもよい。
【0073】
また、薄膜トランジスタは、基板と、この基板上に形成された半導体層と、この半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、このゲート絶縁膜を貫通し、半導体層に接合されたソース電極及びドレイン電極とを備えていてもよく、また、ゲート絶縁膜及びゲート電極上にはパッシベーション膜が積層され、このパッシベーション膜上に、ドレイン電極に連なる透明電極が形成されていてもよい。
【0074】
また、液晶表示素子の構造は特に制限されないが、例えば、アクティブマトリックス型の液晶表示素子では、薄膜トランジスタ(TFT)は、第1のガラス基板と、この基板に形成されたゲート電極と、このゲート電極を被覆するゲート絶縁膜と、前記ゲート電極13aと対向して前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体層とを備えており、この半導体層にはソース電極及びドレイン電極が接続されている。さらに、薄膜トランジスタ(TFT)は保護膜で被覆されており、この保護膜には透明電極(ITO電極)が形成され、この透明電極を覆って第1の配向膜が形成されている。
【0075】
一方、前記第1の基板と対向する第2のガラス基板には、カラーフィルタ及び透明電極が形成されており、この透明電極を覆って第2の配向膜が形成されている。そして、第1の配向膜に対して第2の配向膜がスペーサーにより所定間隔離れて対向し、第1及び第2の配向膜の空間には、液晶が封入され、シール材によりシールされている。
【0076】
このような液晶表示素子において、前記薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜及び/又は保護膜(パッシベーション膜)の形成に本発明の感光性樹脂組成物が利用できる。
【0077】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、発光素子(有機EL素子など)やカラーフィルタの保護膜としても適している。例えば、カラーフィルタは、赤色の画素、緑色の画素及び青色の画素と、ブラックマトリクス部とを有し、感光性樹脂組成物で形成された絶縁保護膜(オーバーコート膜)で被覆されていてもよい。なお、この保護膜上には透明電極(ITO電極)を形成できる。
【0078】
半導体層は、アモルファスシリコン、シリコンなどの無機半導体で形成してもよいが、本発明は有機半導体層と組み合わせるのが有利である。有機半導体は、p−型、n−型のいずれであってもよく、例えば、p−型有機半導体としては、ポリチオフェン類(例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)など)などが例示でき、n−型有機半導体としては、フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)などが例示できる。
【0079】
パッシベーション膜は、窒化ケイ素などの無機材料で形成してもよく、ポリビニルアルコールなどのポリマーで形成してもよい。なお、パッシベーション膜は必ずしも必要ではない。
【実施例】
【0080】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0081】
実施例1
ポリメチルフェニルシラン(PMPS、重量平均分子量(ポリスチレン換算)Mw=1.42×10、数平均分子量Mn=0.906×10,Mw/Mn=1.57)1.00g、メタクリル酸グリシジル(GMA)1.18g及びトルエン5mLを封管用アンプルに入れ、凍結真空脱気を三回行った。高圧水銀ランプを用いて、封管用アンプルに5mW/cmの光量で20分間照射し、光重合を行った。反応終了後、300mLのメタノールで再沈殿して白色粉末を得たのち、真空乾燥し、ブロック共重合体P(MPS−co−GMA)1を得た。
【0082】
HNMRの測定結果と、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、屈折率検出器を用いて測定した重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算)及び分子量分布(Mw/Mn)の結果と、テトラヒドロフラン溶液およびフィルムについての吸収ピークの測定結果を以下に示す。また、NMR測定に基づいて、ブロック共重合体でのポリ(グリシジルメタクリレート)ブロック(ポリマーブロック)とポリシランブロックとの割合を算出した。
H NMR(CDCl):δ=7.04(5H,brs),4.32(0.3H,brs),3.85(0.3H,brs),3.27(0.3H,brs),2.68(0.6H,brd),1.95(0.7H,brd),0.99(1H,brd),−0.15−0.10(3H,brm)
Mw=1.2x10,Mw/Mn=1.71
λmax(UV,nm):331(溶液)、328(フィルム)
ポリマーブロック/ポリシランブロック=25/75。
【0083】
実施例2
実施例1で用いたポリメチルフェニルシラン(PMPS)1.02g、メタクリル酸グリシジル(GMA)2.00g及びトルエン7mLを封管用アンプルに入れる以外、実施例1と同様にしてブロック共重合体P(MPS−co−GMA)2を得た。
H NMR(CDCl):δ=7.06(5H,brs),4.31(0,7H,brs),3.82(0.8H,brs),3.23(0.8H,brs),2.64(1.6H,brd),1.56(2.7H,brd),0.94(2.4H,brd),−0.15−0.10(3H,brm)
Mw=1.4x10,Mw/Mn=1.79
λmax(UV,nm):331(溶液)、327(フィルム)
ポリマーブロック/ポリシランブロック=35/65。
【0084】
比較例
100mLフラスコに、メタクリル酸グリシジル5.01g(35mmol)、アゾビスイソブチロニトリル0.11g(0.64mmol)及びテトラヒドロフラン45gを加え、窒素で5分間バブリングを行った後、60℃のオイルバス中で、3時間重合した。反応終了後、500mLのメタノールで再沈殿し、白色粉末を得たのち、真空乾燥し、ポリ(グリシジルメタクリレート)PGMAを得た。
【0085】
[光分解性]
ガラス基板に、ブロック共重合体1のテトラヒドロフラン溶液をスピンコートし、乾燥後の厚み0.5〜1μmの薄膜の吸収スペクトルを測定した。ポリシラン鎖由来の328nmの吸収が確認され、この薄膜に高圧水銀ランプを用いて、80mW/cmの光量で90秒間光照射すると、ポリシラン鎖由来の吸収は消失した。このことから、ポリシランの光分解が進行したことを確認した。
【0086】
[硬化の確認]
実施例1のブロック共重合体1のテトラヒドロフラン溶液に、ブロック共重合体1 100重量部に対して固形分換算で、光酸発生剤(ビスアルキルアリールヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)5重量部を溶解し、ガラス基板にスピンコートし、乾燥後の厚み0.5〜1μmの薄膜を形成した。この薄膜に、前記光分解性試験での高圧水銀ランプを用いて、(a)光照射30秒後の薄膜、(b)光照射した後、温度150℃で10分間加熱した薄膜、(c)光照射した後、温度150℃で1時間加熱した薄膜について、赤外線吸収スペクトルを測定した。赤外線吸収スペクトル(IR)測定は、ダイヤモンドをプリズムとした反射型法により測定した。結果を図1に示す。
【0087】
比較例のポリ(グリシジルメタクリレート)についても同様にして赤外線吸収スペクトル(IR)を測定した。結果を図2に示す。
【0088】
図1において、900cm−1付近のエポキシ環由来の吸収が、光照射と、その後の加熱により減少しており、ブロック共重合体1のエポキシ環の反応が、光分解したポリシランにより速やかに進行していると考えられる。
【0089】
[薄膜の作製および接触角の測定]
実施例1のブロック共重合体1をテトラヒドロフランに溶解させ、この溶液に、ポリマーブロック1 100重量部に対して固形分換算で、光酸発生剤(ビスアルキルアリールヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)5重量部を加え、ガラス基板上にスピンコートし、高圧水銀ランプを用いて、80mW/cmの光量で30秒間光照射し、150℃で、1時間加熱し、薄膜を形成した。
【0090】
また、実施例1のブロック共重合体1に代えて、実施例2のブロック共重合体2および比較例のポリ(グリシジルメタクリレート)を用いる以外、上記と同様にして薄膜を形成した。
【0091】
薄膜表面の接触角は、温度20℃において、薄膜表面に蒸留水を滴下して測定し、5回の測定値から平均値を算出した。その結果、実施例1のブロック共重合体1では接触角88.7°、実施例2のブロック共重合体2では接触角88.5°、比較例のポリ(グリシジルメタクリレート)では接触角69.5°であった。
【0092】
[誘電率の測定]
ガラス基板上にアルミニウムを蒸着し、実施例で得られた各ブロック共重合体(実施例1のブロック共重合体1および実施例2のブロック共重合体2)100重量部に対して、光酸発生剤(ビスアルキルアリールヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)5重量部を加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。この溶液を上記蒸着膜上にスピンコートして厚み0.8μmの薄膜を形成し、高圧水銀ランプを用いて、80mW/cmの光量で30秒間光照射し、150℃で、1時間加熱し、薄膜を形成した。この薄膜上に、さらにアルミニウムを蒸着し、サンドイッチ構造のサンプルを作製し、周波数10mHz〜1MHzの範囲の周波数領域で誘電率を測定した。
【0093】
また、光酸発生剤を添加することなく、上記と同様にして実施例で得られた各ブロック共重合体の薄膜を形成し、高圧水銀ランプを用いて、80mW/cmの光量で30秒間光照射し、150℃で、1時間加熱し、薄膜を形成した。この薄膜上にも、さらにアルミニウムを蒸着し、サンドイッチ構造のサンプルを作製し、周波数10mHz〜1MHzの範囲の周波数領域で誘電率を測定した。
【0094】
結果を図3に示す。図3に示すように、実施例1のブロック共重合体1およびグリシジル基含有量の多い実施例2のブロック共重合体2の薄膜の誘電率は、それぞれ10KHzにおいて3.59および3.44であった。また、酸発生剤を含む組成物で形成した薄膜の誘電率は、それぞれ10KHzにおいて3.91と3.85であった。さらに、誘電率の周波数依存性を見ると、低周波数領域においても誘電分散が認められなかった。そのため、薄膜中のイオン不純物は極めて少ないと考えられる。
【0095】
[感光性]
ブロック共重合体1と光酸発生剤とを含み、誘電率の測定で用いたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をシリコンウエハにスピンコートし、厚み0.8μmの薄膜を形成し、高圧水銀ランプを用いて、80mW/cmの光量で光照射し、150℃で2分加熱したのち、トルエンで現像したところ、シャープなパターンが形成された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ(TFT)、表示素子又はそのエレメント(例えば、液晶表示素子、有機EL素子、カラーフィルタなど)などの薄膜を形成するのに有用であり、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパーなどの表示デバイス、情報タグ、携帯電子機器の半導体素子などに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとを有するブロック共重合体を含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
カチオン重合性基を含有するブロックが、エポキシ基を含むビニル単量体のポリマーブロックである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
ポリシランブロックが、下記式
【化1】

(式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、Rは、シクロアルキル基又はアリール基を示す)
で表される単位で構成されている請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
カチオン重合性基を含有するブロックとポリシランブロックとの割合が、カチオン重合性基/ケイ素原子のモル比として、20/80〜70/30である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、光酸発生剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、熱酸発生剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用い、少なくとも以下の工程(A)〜(C)を経て薄膜パターンを形成する方法。
(A)感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程
(B)活性光線で塗膜を選択的に露光する工程
(C)生成した潜像パターンを現像する工程
【請求項8】
請求項6記載の感光性樹脂組成物を用い、現像工程(C)の後、(D)形成された薄膜パターンを熱処理する工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物で形成された薄膜。
【請求項10】
パターン状の薄膜である請求項9記載の薄膜。
【請求項11】
保護膜、及び絶縁膜から選択された少なくとも1つの有機半導体素子の薄膜である請求項9又は10記載の薄膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−180269(P2011−180269A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42667(P2010−42667)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(508114454)地方独立行政法人 大阪市立工業研究所 (60)
【Fターム(参考)】