説明

感光性樹脂組成物及びカラーフィルタ基板及び液晶表示装置

【課題】熱分解によるオーブン汚れがなく、耐熱性、感光性、現像密着性にも優れる感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】透明樹脂、多官能モノマー、下記一般式(I)で示されるオキシム化合物の光重合開始剤、溶剤、及び、必要に応じて着色剤を含有する感光性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタ基板に使用する感光性樹脂組成物に関するものである。特に、有用な光重合開始剤を用いることで、耐熱性に優れ、熱分解によるオーブン汚れがなく、感光性に優れ、現像密着性にも優れる感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は、紫外線あるいは電子線等を照射することにより重合硬化させることできるので、例えば光硬化性インキ、感光性印刷版、プリント配線板、各種フォトレジスト、及びカラーフィルタ等の用途に使用されている。
この感光性樹脂組成物に用いる光重合開始剤として、公知のオキシムエステル誘導体が提案されているが、分解温度が240℃以下であるため現像処理後の熱硬化焼成時、230℃付近で熱硬化がなされるため、これら光重合開始剤は熱分解する事によりベーク炉の汚染し、ガラス基板上にも分解物が付着し、ブラックマトリックスの額縁上のシール強度の低下を招き、樹脂の物性を低下させる懸念がある。そのため硬化温度を下げ長時間の焼成を必要とし、また研磨工程で残渣の低減を必要としていた。
また、アセトフェノン型、O−アシルオキシム型光重合開始剤も感光性樹脂組成物の合成に提案されているが、これらの開始剤は、感度が低く硬化不足により、パターン形状の悪化や、現像密着性の低下を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-80068号公報
【特許文献2】特開2001-233842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、得られる感光性樹脂組成物に光画像露光の為の紫外線で反応性の高い開始剤を使用することで、優れたパターニング性を有し、装置を汚染することのない光重合開始剤として有用である。また、本発明の他の目的は、感光性樹脂組成物を提供した高品質のカラーフィルタを提供し、前記カラーフィルタ基板を使用した高品質の液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、少なくとも、(a)透明樹脂、(b)3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマー、(c)光重合開始剤、(e)溶剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(c)光重合開始剤は下記一般式(I)で示されるオキシム化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0006】
【化2】

請求項2記載の発明は、請求項1記載の感光性樹脂組成物に、更に着色剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0007】
請求項3記載の発明は、透明基板上に、少なくともブラックマトリクスと、複数の着色層と、透明電極とを備えたカラーフィルタ基板において、前記着色層が着色剤を含有させた請求項1乃至2に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造されることを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のカラーフィルタ基板を用いて製造したことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、有用な光重合開始剤を用いることで、耐熱性に優れ、熱分解によるオーブン汚れがなく、感光性に優れ、現像密着性にも優れる感光性樹脂組成物、及び、それを用いたカラーフィルタ基板及び液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るカラーフィルタ基板の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、画像露光の為の紫外線で反応性の高い開始剤を用いることで優れた反応性、解像性の感光性樹脂組成物を生成する。
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。少なくとも、(a)透明樹脂、(b)3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマー、(c)光重合開始剤、(e)溶剤を含有する。以下、本発明を詳細に説明する。
(非感光性透明樹脂)
非感光性透明樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有しない樹脂であり、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂がある。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。但し、これらの樹脂はアルカリ可溶性を示さない。
【0012】
現在、現像液としては、環境に対する影響の少ないアルカリ現像液が多く使用されている。このため、樹脂バインダーとしてアルカリ可溶型の樹脂を使用することが望ましい。アルカリ可溶型の非感光性透明樹脂とは、アルカリ水溶液に溶解する性質を持つ、エチレン性不飽和二重結合を有しない透明樹脂であり、例えば、カルボキシル基、スルホン基などの酸性官能基を有する重量平均分子量1000〜500000、好ましくは5000〜
10000 の非感光性透明樹脂が挙げられる。酸性官能基の中では、カルボキシル基が好ましい。カラーフィルタ用着色組成物の分散安定化と現像性能向上を図るためには、非感光性透明樹脂の酸価が感光性透明樹脂の酸価より高いことが好ましく、このバランスにおいて、カラーフィルタ用着色組成物からなる透明着色塗膜のパターニング性が良好となり、安定した形状の着色層が得られる。
このようなアルカリ可溶型の非感光性樹脂として具体的には、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン−(無水)マレイン酸共重体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。なかでも、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体およびスチレン スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1 種の樹脂が好適に用いられる。これらの中でも特に、酸性官能基を有するアクリル樹脂は耐熱性、透明性が高いことから、好適に用いられる。また、重量平均分子量が1000〜50万、好ましくは5000〜10万の樹脂が好ましく使用できる。
(感光性透明樹脂)
感光性樹脂としては、反応性官能基を有する線状高分子に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、反応性官能基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する線状高分子を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が例示でき、この反応性官能基と反応可能な置換基としては、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等が例示できる。
【0013】
また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも、感光性樹脂として使用できる。
【0014】
光硬化の生じやすさを示す感光性透明樹脂中に水酸基などを介して導入されるエチレン性不飽和二重結合の量は、得られる感光性透明樹脂の「二重結合当量」により示される。
【0015】
本発明における感光性透明樹脂の二重結合当量は200〜1200であることが好ましく、300〜900であることがより好ましい。感光性透明樹脂の二重結合当量が200未満の場合は、エチレン性不飽和二重結合を導入させる反応性の置換基を有するエチレン性不飽和単量体の比率が高くなり、諸特性を維持するのに十分な量の他のエチレン性不飽和単量体を共重合させることができない。1200を越える場合は、エチレン性不飽和二重結合の数が少ないため十分な感度を得ることができない。また、感光性透明樹脂の重量平均分子量(Mw)は、赤色着色剤の分散性が良好な点から、好ましくは2000〜200000、より好ましくは5000〜50000である。
(感光性・非感光性透明樹脂中の他の構成成分)
着色剤として顔料を用いる場合は、感光性透明樹脂または非感光性透明樹脂中に重合成分として下記一般式(II)で示されるエチレン性不飽和単量体を含めることが、顔料の分散安定性向上という面から好ましい。
【0016】
【化3】

上記一般式(II)において、R2のアルキレン基の炭素数は、2〜3であることが好ましい。また、R3のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10であり、R3のアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。R3のアルキル基の炭素数が1〜10のときはアルキル基が障害となり樹脂同士の接近を抑制し、顔料への吸着/配向を促進するが、炭素数が10を超えると、アルキル基の立体障害効果が高くなり、ベンゼン環の顔料への吸着/配向までをも妨げる傾向を示す。この傾向は、R3のアルキル基の炭素鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を超えると、ベンゼン環の吸着/配向が極端に低下する。R3で表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
エチレン性不飽和単量体(a)としては、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEOまたはプロピレンオキサイド(PO) 変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら化合物のうち、パラクミルフェノールのEOまたはPO変性(メタ)アクリレートは、上記ベンゼン環のπ電子の効果ばかりでなく、その立体的な効果も加わり、顔料などの着色剤に対してより良好な吸着/配向面を形成することができるので、より分散効果が高い。
エチレン性不飽和単量体(A)を、感光性透明樹脂または非感光性透明樹脂として使用するには、他のエチレン性不飽和単量体(B)と共重合させてポリマー化する必要がある。
【0017】
エチレン性不飽和単量体(A)と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B)としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート
、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ) ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
上記一般式(II)で示されるエチレン性不飽和単量体(A)と他のエチレン性不飽和単量体(B)とを共重合してなる感光性または非感光性透明樹脂中の単量体(A)の共重合比率は、(A)および(B)を合わせた単量体の全量を基準として0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜35重量%である。単量体(A)の共重合比率が0.1重量%より少ないと、顔料の分散効果が低下する。また、50重量%より多いと疎水性が大きくなり、着色組成物の現像性が低下したり、残渣の原因になったりすることがある。
(3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマー)
多官能モノマーとしての光重合性モノマーは、露光光線の照射によって重合し、感光性樹脂組成物を用いて作製した着色感光層を現像液不溶性に変化させるものである。一般には、ラジカルにより重合が誘起されるモノマーである。
【0018】
このような光重合性モノマーとしては、水酸基を有する( メタ) アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートを用いることができる。
【0019】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ) アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロカラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2−ヒドロキシ− 3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0020】
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
なお、本発明の感光性樹脂組成物の経時安定性及び現像性と、形成された着色透明層のタック性を考慮すると、光重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の総量100重量%に対して30重量% 以下であることが好ましい。また、露光感度、パターンの解像性及び耐溶剤性の観点から、1重量%以上であることが好ましい。
(着色剤)
着色剤は、感光性樹脂組成物を着色する場合に、必要に応じて含有させるものである。
顔料や染料を利用することができるが、耐久性に優れている点で、顔料を使用することが望ましい。顔料としては、有機顔料と無機顔料のいずれであっても良いが、有機顔料が好ましく使用できる。また、その配合量は特に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物の総量100重量%に対して、1〜20 質量%程度であることが好ましい。
【0022】
なお、着色剤の色彩は任意であって良いが、着色層の色彩が赤色、マゼンタ色、または黄色である場合、本発明の利点を十分に生かすことができる。例えば、Red 又はYellow の顔料をメインとし、Violet 、Orange 、Green 、Blue
は補色として含む顔料である。
【0023】
次に、着色層用の有機顔料の具体例をカラーインデックス( C.I.)ナンバーで示す。
・Pigment Blue : < C.I > 1 ,1:2 ,1:x ,9:x ,15 ,15:1 ,15:2 ,15:3 ,15:4 ,15:5 ,15:6 ,16 ,22 ,24 ,24:x , 56 ,60 ,61 ,62 ,64 ,80
・Pigment Violet : < C.I > 1 ,1:x ,3 ,3:3 ,3:x ,5:1 ,19 ,23 ,27 ,29 ,30 ,32 ,37 ,40 ,42 ,50
・Pigment Green : < C.I > 1 ,1:x ,2 ,2:x ,4 ,7
,10 ,36 ,37
・Pigment Orange : < C.I > 2 ,5 ,13 ,16 ,17:1 ,31 ,34 ,36 ,38 ,43 ,46 ,48 ,49 ,51 ,52 ,55 ,59 ,60 ,61 ,62 ,64 ,71 ,73
・Pigment Red : < C.I > 1 ,2 ,3 ,4 ,5 ,6 ,7 ,9 ,10 ,14 ,17 ,22 ,23 ,31 ,38 ,41 ,48:1 ,48:2 ,48:3 ,48:4 ,49 ,49:1 ,49:2 ,52:1 ,52:2 ,53:1 ,57:1 ,60:1 ,63:1 ,66 ,67 ,81:1 ,81:2 ,81:3 ,81:4 ,81:x ,83 ,88 ,90 ,97 ,112 ,119 ,122 ,123 ,144 ,146 ,149 ,166 ,168 ,169 ,170 ,171
,172 ,175 ,176 ,177 ,178 ,179 ,180 ,184 ,185 ,187 ,188 ,190 ,192 ,200 ,202 ,206 ,207 ,208 ,209 ,210 ,215 ,216 ,217 ,220 ,223 ,224 ,226 ,227 ,228 ,240 ,246 ,254 ,255 ,264 ,270 ,272 ,279
・Pigment Yellow : < C.I > 1 ,2 ,3 ,4 ,5 ,6 ,10 ,12 ,13 ,14 ,15 ,16 ,17 ,18 ,20 ,24 ,31 ,32 ,34 ,35 ,35:1 ,36 ,36:1 ,37 ,37:1 ,40 ,42 ,43 ,53 ,55 ,60 ,61 ,62 ,63 ,65 ,73 ,74 ,77 ,81 ,83 ,86 ,93 ,94 ,95 ,97 ,98 ,100 ,101 ,104 ,106 ,108 ,109 ,110 ,113 ,114 ,115 ,116 ,117 ,118 ,119 ,120 ,123 ,125 ,126 ,127 ,128 ,129 ,137 ,138 ,139 ,144 ,146 ,147 ,148 ,150 ,151
,152 ,153 ,154 ,155 ,156 ,161 ,162 ,164 ,166 ,167 ,168 ,169 ,170 ,171 ,172 ,173 ,174 ,175 ,176 ,177 ,179 ,180 ,181 ,182 ,185 ,187 ,188 ,193 ,194 ,199 ,213 ,214
また、シアン色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Blue 15:1 、15:2 、15:3 、15:4 、15:6 、16 、81 等の青色顔料が用いられる。
また、マゼンタ色着色画素を形成する場合には、例えばPigment Violet : < C.I > 1 ,1:x ,3 ,3:3 ,3:x ,5:1 ,19 ,23 ,27
,29 ,30 ,32 ,37 ,40 ,42 ,50、Pigment Red : < C.I > 1 ,2 ,3 ,4 ,5 ,6 ,7 ,9 ,10 ,14 ,17 ,22 ,23 ,31 ,38 ,41 ,48:1 ,48:2 ,48:3 ,48:4 ,49 ,49:1 ,49:2 ,52:1 ,52:2 ,53:1 ,57:1 ,60:1 ,63:1 ,66 ,67 ,81:1 ,81:2 ,81:3 ,81:4 ,81:x ,83,88 ,90 ,97 ,112 ,119 ,122 ,123 ,144 ,146 ,149 ,166 ,168 ,169 ,170 ,171 ,172 ,175 ,176 ,177 ,178 ,179 ,180 ,184 ,185 ,187 ,188 ,190 ,192 ,200 ,202 ,206 ,207 ,208 ,209 ,210 ,215
,216 ,217 ,220 ,223 ,224 ,226 ,227 ,228 ,240 ,246 ,254 ,255 ,264 ,270 ,272 ,279等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。
【0024】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を添加することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0025】
また、感光性透明樹脂および非感光性透明樹脂は、着色剤100重量部に対して、好ましくは合計して20〜400重量部、より好ましくは合計して50〜250重量部の量で用いることができる。感光性樹脂組成物においては、感光性透明樹脂と非感光性透明樹脂を併用するが、十分に感度を高めるためには、感光性透明樹脂の含有量が、感光性透明樹脂と非感光性透明樹脂の合計重量を基準として15〜80重量%を占めることが好ましく、より好ましくは45〜80重量%である。感光性透明樹脂の含有量が15重量% より少ない場合には、感光性樹脂組成物の感光性が低下し、透明着色塗膜を形成する場合に十分な硬化性が得られない場合があり、多官能モノマーで硬化性を補っても、透明着色塗膜の溶剤耐性が十分でない場合がある。また、感光性透明樹脂の含有量が80重量%よりも多い場合には、感光性樹脂組成物の感度は高くなるが、分散安定性が低下して均一な透明着色塗膜が得られなくなったり、現像性が低下し、パターニング性が低下したりする場合がある。本発明で好ましく用いられる感光性透明樹脂および非感光性透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。
(分散剤)
着色剤として顔料を用いる場合には、適宜、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散剤を用いることができる。分散剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散剤を用いて顔料を感光性樹脂組成物中に分散してなる赤色着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、着色剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の量で用いることができる。
(樹脂型顔料分散剤)
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、感光性透明樹脂および非感光性透明樹脂と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の感光性樹脂組成物への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/ プロピレンオキサイド付加物等も用いられる。これらは、単独でまたは2 種以上を混合して用いることができる。
【0026】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101 、103 、107 、108 、110 、111 、116 、130 、140 、154
、161 、162 、163 、164 、165 、166 、170 、171 、174 、180 、181 、182 、183 、184 、185 、190 、2000 、2001 、またはAnti−Terra−U 、203 、204 、またはBYK−P104 、P104S 、220S 、またはLactimon 、Lactimon−WS またはBykumen等、アビシア社製のSOLSPERS E−3000 、9000 、13240 、13650 、13940 、17000 、18000 、20000 、21000 、24000 、26000 、27000 、28000 、31845 、32000 、32500 、32600 、34750 、36600、38500 、41000 、41090 、53095 等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46 、47 、48 、452 、LP4008 、4009 、LP4010 、LP4050、LP4055 、400 、401 、402 、403 、450 、451 、453 、4540、4550 、LP4560 、120 、150 、1501 、1502 、1503 等が挙げられる。
【0027】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
ブラックマトリクスに遮光性を付与する着色剤としては、カーボンブラック顔料が最適である。カーボンブラック顔料としては具体的には三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlackFw18、ColorBlackS170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V等が挙げられる。
遮光材料として、上記の無機顔料に補助顔料として有機顔料を加えても良い。有機顔料は無機顔料の補色を呈するものを適切に選択して加えることにより次の様な効果が得られる。例えば、カーボンブラックは赤みがかった黒色を呈する。したがって、カーボンブラックに補助顔料として赤色の補色である青色を呈する有機顔料を加えることによりカーボンブラックの赤みが消え、全体としてより好ましい黒色を呈する。有機顔料の具体例をカラーインデックス<C.I.>ナンバーで示す。
・Pigment Blue:
<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,24,24:x,56,60,61,62・
Pigment Green:
<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36
・Pigment Orange:
<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,59,60,61,62,64
・Pigment Red:
<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,224,226,254
・Pigment Violet:
<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,32,42
・Pigment Yellow:
<C.I>1,3,12,13,14,16,17,24,55,60,65,73,74,81,83,93,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,156,175
これらの顔料はそのままの状態では顔料同士が凝集しているため、分散処理が必要である。顔料に分散剤及び溶剤を加えてミルベースをつくり、それをボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロール、ペイントシェーカー、超音波、バブルホモジナイザーなどの方法により分散することができる。これらの処理方法は2つ以上組み合わせることも可能である。分散剤には樹脂あるいは公知の分散剤が使用可能である。
本発明に係るカーボンブラック顔料の含有量としては、遮光膜形成用黒色樹脂組成物の全固形分中の24%〜45%の範囲で使用することが良い。含有量が23%未満では、顔料濃度に対しアルカリ可溶性樹脂量が多く、パターンを高細線化したとき現像密着性は低下する。またブラックマトリクスとしての光学濃度(OD値)が小さくなり、パネル化した際に光漏れなど発生し、パネルコントラストを低減させる。一方、46%を超えると、画素のパターン形状がオーバーハングと呼ばれる逆テーパー形状となり、形状が著しく悪化し、次工程での塗工ムラが発生し、不具合が生じてしまう。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤; ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤; アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
(貯蔵安定剤)
本発明の赤色着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100 重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いることができる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては下記一般式(I)のオキシムエステル系重合開始剤を使用する。
【0028】
【化4】

また、この一般式(I)のオキシムエステル系重合開始剤に加えて、他の重合開始剤を併用することもできる。このような重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン系化合物、トリアジン系化合物、ホスフィン系化合物、キノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、4 − フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が例示できる。また、ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が例示できる。ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4 ’−メチルジフェニルサルファイド等が例示できる。チオキサンソン系化合物としては、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等が例示できる。トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス( トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス( トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−( ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4 ,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4 ’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等が例示できる。ホスフィン系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が例示できる。また、キノン系化合物としては、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等を例示できる。
【0029】
光重合開始剤の使用量は、感光性樹脂組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量% が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
(光増感剤)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、重合開始剤に加えて光増感剤を添加することが好ましい。光増感剤としては、アミン系化合物を例示することができる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4 ’−ビス(ジメチルアミノ) ベンゾフェノン、4,4 ’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4 ’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等である。
【0030】
また、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9 ,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4 ’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3 ’,4,4 ’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等を増感剤として使用することもできる。これら増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0 .5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
(重合禁止剤)
本発明に係る感光性着色組成物には、重合禁止剤を添加することができる。重合禁止剤を添加することにより、現像後残膜率と露光量との関係を制御できるようになる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン(一般式III)等である。また、これに加えて、メトキノン、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2 ,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等を併用することもできる。重合禁止剤の使用量としては、感光性着色組成物の全固形分量を基準として0.001〜0.050重量%が好ましい。0.001重量%以下では重合禁止剤の添加効果が不十分であり、0.050重量%を越えると感度の低下が生じ、逆効果である。
【0031】
【化5】

(連鎖移動剤)
また、本発明に係る感光性樹脂組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1 , 4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
【0032】
多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
(溶剤)
赤色着色組成物には、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、感光性樹脂組成物の粘度を適正化すると共に、着色剤を十分に感光性樹脂組成物中に均一に分散させるために
、溶剤を含有させることができる。溶剤としては、水、有機溶剤等が利用できる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル− n −アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色剤100重量部に対して、好ましくは800〜4000重量部、より好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
(オーバーコート材)
オーバーコート層の材料は、カラーフィルタ上に形成でき、かつ、可視域で透明、配向膜形成工程や液晶パネル化工程に適用可能な材料であれば良く、市販の有機材料が適用できる。このオーバーコート層は平滑で強靭であること、透明性を有すること、耐熱性および耐光性が高く、長期間にわたって黄変、白化等の変質を起こさないこと、耐水性、耐溶剤性、耐酸性および耐アルカリ性に優れていることが必要である。このような樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素含有ポリイミド、ポリイミドシロキサン膜等があげられる。なかでも、ポリイミド樹脂、ケイ素含有ポリイミド、ポリイミドシロキサン等のポリイミド系樹脂が耐薬品性の点から好ましい。一方、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂は平坦性、光硬化性の点から好ましい。なお、オーバーコート層を組成する材料は感光性でも非感光性であっても構わない。
次に、本発明による緑色感光性樹脂組成物の調製方法について説明する。本発明による緑色感光性樹脂組成物は、例えば、多官能モノマーとしての光重合性モノマー、透明樹脂(感光性透明樹脂、非感光性透明樹脂)、着色剤としの顔料、分散剤及び溶剤とから下記(1)〜(4)のいずれかの方法により調製することができる。
【0033】
(1): 光重合性モノマー又は樹脂バインダー、あるいはその両者を溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を予め混合して調製した顔料組成物を添加して分散させ、残りの成分を添加する。
【0034】
(2): 光重合性モノマー又は樹脂バインダー、あるいはその両者を溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を別々に添加して分散させた後、残りの成分を添加する。
【0035】
(3): 光重合性モノマー又は樹脂バインダー、あるいはその両者を溶剤に溶解した溶液に、顔料を分散させた後、顔料分散剤を添加した後、残りの成分を添加する。
【0036】
(4): 光重合性モノマー又は樹脂バインダー、あるいはその両者を溶剤に溶解した溶液を2種類調製し、顔料と分散剤を予め別々に分散させてから、これらを混合し、残りの成分を添加する。なお、顔料と分散剤のうち一方は溶剤にのみ分散させても良い。
【0037】
ここで、顔料や分散剤の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター、ペイントコンディショナー等の各種分散装置を用いて行うことができる。
【0038】
また、顔料と分散剤を予め混合して顔料組成物を調製する場合、粉末の顔料と粉末の分散剤を単に混合するだけでも良いが、(a)ニーダー、ロール、アトライター、スーパーミル等の各種粉砕機により機械的に混合するか、(b)顔料を溶剤に分散させた後、分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に分散剤を吸着させるか、(c)硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に顔料と分散剤を共溶解した後、水等の貧溶媒を用いて共沈させるなどの混合方
法を採用することが好ましい。
以下に、フォトリソグラフィーを用いた本発明のカラーフィルタ基板の製造例を図1を用いて説明する。
まず、図1に示すように、例えばガラス等の透明基板1を用意する。ガラス以外の基板としては、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板等の表面が平坦な基板などを用いてもよい。
着色剤にカーボンブラックを用いた遮光膜形成用のアルカリ現像型黒色樹脂組成物を調製し、例えばスピンコート法で塗布した後、必要に応じて加熱、たとえば100℃で3分間加熱して溶剤などの揮発成分を乾燥させる(プリベーク)。次いで、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプ等を用いて露光した後、例えば炭酸ナトリウム水溶液等でアルカリ現像し、水洗乾燥後、例えば230℃で1時間ベークしてブラックマトリクス2を形成する。
塗布方法としては、例えばスプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、及びカーテンコート法等の公知の方法を使用することができる。
露光に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を用いることができ、例えば、上記した超高圧水銀ランプに加えて、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等から照射される光を用いることができる。
また、現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
形成されたブラックマトリクス2の厚みに依存する光学濃度(OD値)は3.0〜6.0の範囲で使用することが好ましい。3.0より小さい場合では、液晶ディスプレイのブラックマトリックスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができず、バックライトの光が漏れる。また6.0より大きい場合では十分な遮光性は得られるが、顔料濃度が高くなりパターンを形成する際、形状がオーバーハングしやすくなる。厚みに依存するとは、単位の厚み(1μm)当たりに還元しないその厚さの光学濃度という意味である。
次いで、ブラックマトリクス2が形成された透明基板1上に、赤色感光性樹脂組成物を、スプレーコート、スピンコート、スリットコート又はロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥されたこの赤色感光性樹脂層に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、光源として例えば超高圧水銀ランプを用いて活性エネルギー線を露光する。
その後、未露光部を、アルカリ現像液、例えば2、5%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、よく水洗し、さらに水洗乾燥する。このようにして、図1に示すように、ブラックマトリクス2が形成された透明基板1上に、パターン加工された赤色着色層3を得る。この現像液には必要に応じて消泡剤や界面活性剤を添加することができる。現像後、例えば230℃で60分間加熱処理を行い、本硬化(ポストベーク)する。これを所望の色数の画素部が形成されるまで繰り返して着色層のパターン加工を行うことにより、例えば緑色感光性樹脂組成物を用いてパターン加工された緑色着色層4を、青色感光性樹脂組成物を用いてパターン加工された青色着色層5を得る。このようにして、透明基板1と所定のパターンで配列した着色層、例えば赤色着色層3、緑色着色層4、及び青色着色層5から構成される複数色の画素部と、隣接する各着色層間を遮光するブラックマトリスク2とを有する本発明のカラーフィルタ基板を得ることができる。
【0039】
次に、作成したカラーフィルタ上に、熱硬化性または光硬化性のアクリル樹脂、またはポリイミド系樹脂組成物を塗布した後、焼成または紫外線により硬化させ、オーバーコート層を形成してもよい。オーバーコート層の厚みは、特に制限はないが、クラック、シワ、割れ等の発生を低減するためには、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04〜3μmであった。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
<黒色感光性樹脂組成物>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量%、新日鐵化学(株)社製V259ME)12.1gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート3.9g、光重合開始剤として一般式(I)(Takoma社製( Lunar 5)0.8g、溶剤として、シクロヘキサノン32.9g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート32.9g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性樹脂組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)16.5gを加えてよく撹拌し、黒色アルカリ現像型感光性樹脂組成物100gを得た。
前記光重合開始剤の分解温度を窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定した結果、融解温度180℃、分解温度300℃であった。従来の開始剤は、融解温度が120℃、分解温度が260℃である。
【実施例2】
【0042】
<赤色感光性樹脂組成物>
赤色顔料として、C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」) 18gとC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)2g、分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)2g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)108gの混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
その後、上記分散体130g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)13g、光重合開始剤として一般式(I)(Takoma社製( Lunar 5)3g、溶剤としてシクロヘキサノン252gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色感光性樹脂組成物を得た。
【実施例3】
【0043】
<緑色感光性樹脂組成物>
緑色顔料として、C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)16g、黄色顔料C.I.Pigment Yellow
150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」)8g、分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk-163」)2g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)100部の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
その後、上記分散体128g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)14部 、光重合開始剤として一般式(I)(Takoma社製( Lunar 5)4g、シクロヘキサノン255gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して緑色感光性樹脂組成物を得た。
【実施例4】
【0044】
<青色感光性樹脂組成物>
青色顔料として、C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)50g、紫色顔料としてC.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット5890」) 2g、分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」)6g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)200gの混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
上記分散体268g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)19g、光重合開始剤として一般式(I)(Takoma社製( Lunar 5)4g、増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」)2g、溶剤として、シクロヘキサノン214gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色感光性樹脂組成物を得た。
【0045】
(比較例1)
実施例1で用いた光重合開始剤の変わりに下記化学式のイルガキュアOXE02(チバガイギー社製))を加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
【0046】
【化6】

【0047】
(比較例2)
実施例1で用いた光重合開始剤の変わりに下記化学式のN1919(アデカ社製)を加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
【0048】
【化7】

【0049】
(比較例3)
実施例1で用いた光重合開始剤の変わりに下記化学式の(p−メチルベンジル)α−アミノアルキルフェノン(イルガキュア379 (チバガイギー社製))を加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
【0050】
【化8】

(比較例4)
実施例1で用いた光重合開始剤の変わりに下記化学式のα−アミノアルキルフェノン(イルガキュア907 (チバガイギー社製))を加えて攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
【0051】
【化9】

<感度>
露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものを○、100mJ/cm2では不十分で、200mJ/cm2で露光したものを×とした。
<直線性>
形成した感光性樹脂組成物の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製S−4500)を用いて観察した。感光性樹脂組成物の直線性が良好なものを○、直線性が悪いものを×として評価した。
<断面形状>
形成したブラックマトリクスパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製S−4500)を用いて観察した。ブラックマトリクスのテーパー角度を計測し、40〜85°となるものを順テーパー形状で○、85°以上となるものを垂直〜逆テーパー形状×として評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物について、全て同じ手順で評価を行った。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

実施例1〜4の感光性着色組成物は、高感度で、直線性、断面形状も良好であった。それに対して比較例1から4は100mJ/cm2で不十分であり、比較例2は、逆テーパー形状で形状が悪く、3、4は直線性も悪かった。
そして、実施例1〜4の感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタ基板を、公知のTFT基板、偏光板と張り合わせ、液晶を注入し、バックライト装置を組み込み、液晶表示装置を製造すると、光漏れ及び配向不慮が起こることのない良好な表示品質を有することが分かった。さらに本発明のオキシムエステル化合物は、分解温度が300℃付近であり、公知のオキシムエステル化合物より分解温度が高く、ブラックマトリックスの額縁上や装置に飛散することもなくなった。
【符号の説明】
【0054】
1 透明基板
2 ブラックマトリクス
3 赤色着色層
4 緑色着色層
5 青色着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、(a)透明樹脂、(b)3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマー、(c)光重合開始剤、(e)溶剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(c)光重合開始剤は下記一般式(I)で示されるオキシム化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の感光性樹脂組成物に、更に着色剤を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
透明基板上に、少なくともブラックマトリクスと、複数の着色層と、透明電極とを備えたカラーフィルタ基板において、前記着色層が着色剤を含有させた請求項1乃至2に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーフィルタ基板を用いて製造したことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−97297(P2013−97297A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242171(P2011−242171)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】