説明

感光性樹脂組成物及び液晶パネル

【課題】適正な現像時間を有し、かつ、形状や基板への密着性も良好なスペーサを形成することが可能な感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供する。
【解決手段】本発明に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する。アルカリ可溶性樹脂(A)は、例えば、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有し、構成単位(a2)の割合と構成単位(a3)の割合との合計が71質量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び液晶パネルに関し、さらに詳しくは、液晶パネルの2枚の基板間に設けられるスペーサを形成するのに好適な感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の液晶パネルにおいては、液晶材料を2枚のガラス基板等の透明な基板でサンドイッチする構造を採るため、液晶材料を充填できるように、2枚の基板間にスペーサを形成することが必要である。
【0003】
従来、スペーサを形成するには、基板の全面にスペーサとなるビーズ粒子を散布する方法が採られていたが、画素表示部分にもビーズが付着し、画像のコントラストや表示画質が低下するという問題があった。そこで近年では、このスペーサを感光性樹脂組成物により形成する方法が種々提案されている(特許文献1,2等を参照)。この方法は、感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、所定のマスクを介して露光した後、現像して、ドット状等のスペーサを形成するものであり、画素表示部分以外の所定の部分にのみスペーサを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−184841号公報
【特許文献2】特開2006−308961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶パネルに対する過剰な荷重によるスペーサの塑性変形や破壊を防ぐため、形成されるスペーサには十分な破壊強度が必要とされる。そこで、感光性樹脂組成物に含有される樹脂としては、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位を有するアルカリ可溶性樹脂を用いるのが通常である。
しかし、本発明者らが検討したところ、破壊強度を高めるためにグリシジルメタクリレート等から誘導される構成単位の割合を例えば71質量%以上とすると、現像時のブレイクポイント(BP;未露光部が完全に溶解される時間)が非常に短くなり、適正な現像が困難になることが判明した。また、スペーサの形状が劣化すること、基板への密着性が低下することも併せて判明した。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、適度な現像性を示し、かつ、形状や基板への密着性も良好なスペーサを形成することが可能な感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位及び脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位に加えて、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位又は脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第一の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、上記アルカリ可溶性樹脂(A)が、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有し、上記構成単位(a2)の割合と上記構成単位(a3)の割合との合計が71質量%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0009】
本発明の第二の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a4)とを有し、上記構成単位(a2)の割合が71質量%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の第三の態様は、本発明に係る感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有することを特徴とする液晶パネルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、適度な現像性を示し、かつ、形状や基板への密着性も良好なスペーサを形成することが可能な感光性樹脂組成物、及びその感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有する液晶パネルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪感光性樹脂組成物≫
本発明に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含有している。以下、本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0013】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)は、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有する場合(以下、このような樹脂を「(A1)樹脂」という。)と、上記構成単位(a1)と、上記構成単位(a2)と、脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a4)とを有する場合(以下、このような樹脂を「(A2)樹脂」という。)とがある。以下、それぞれの場合について順に説明する。
【0014】
((A1)樹脂)
(A1)樹脂は、上記構成単位(a1)と、上記構成単位(a2)と、上記構成単位(a3)とを少なくとも有する。
【0015】
構成単位(a1)を誘導するための不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
構成単位(a2)を誘導するための脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
構成単位(a3)を誘導するための脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a3−1)〜(a3−5)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−1)〜(a3−3)で表される化合物がより好ましい。
【0018】
【化1】

【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
上記式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R12としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0022】
また、(A1)樹脂は、上記構成単位(a2)の割合と上記構成単位(a3)の割合との合計が71質量%以上であれば、後述の構成単位(a4)を有していてもよい。構成単位(a4)を組み合わせることで本発明の効果を向上させることができる。
【0023】
さらに、(A1)樹脂は、上記構成単位(a1),(a2),(a3),(a4)以外の他の構成単位を有していてもよい。このような他の構成単位を誘導するための化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0025】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0027】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0028】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0029】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0030】
(A1)樹脂中における上記構成単位(a1)の割合は、5〜29質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
また、(A1)樹脂中における上記構成単位(a2)の割合と上記構成単位(a3)の割合との合計は71質量%以上であり、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。このうち、上記構成単位(a2)の割合は、10〜70質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましい。また、上記構成単位(a3)の割合は、20〜65質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。構成単位(a3)の割合を上記範囲とすることで、現像性を適度なものとし、また、硬化物の比誘電率を下げることができる。
また、(A1)樹脂中における上記構成単位(a4)の割合は、1〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
また、(A1)樹脂中における上記他の構成単位の割合は、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
各構成単位の割合を上記範囲とすることで、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとし、かつ、硬化物の形状や破壊強度、基板への密着性を良好なものとすることができる。
【0031】
(A1)樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0032】
(A1)樹脂が上記構成単位(a1),(a2),(a3)以外の構成単位を有している場合、(A1)樹脂は公知のラジカル重合法により製造することができる。すなわち、各構成単位を誘導する各化合物、並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0033】
一方、(A1)樹脂が上記構成単位(a1),(a2),(a3)以外の構成単位を有していない場合、通常のラジカル重合法では構成単位(a1)のカルボキシル基と構成単位(a2),(a3)のエポキシ基とが反応し、ゲル化してしまう。
そこで、このような場合には、まず、不飽和カルボン酸と特定の反応性化合物とを反応させて反応混合物を得て(反応工程)、次いで、この反応混合物と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物及び脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを共重合させる(重合工程)ことにより(A1)樹脂を製造する。必要に応じて最後に精製・洗浄を行ってもよい(精製工程)。
【0034】
まず、反応工程では、不飽和カルボン酸と、下記式(1)〜(3)で表される化合物(反応性化合物)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、フラスコ等の適当な反応容器に仕込み、加熱撹拌することにより、反応混合物を得る。
【0035】
【化4】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。)
【0036】
【化5】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0037】
【化6】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0038】
上記式(1)で表される化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエトキシメタン、ジプロポキシメタン、ジブトキシメタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジプロポキシプロパン、1,1−ジブトキシプロパン、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、2,2−ジプロポキシプロパン、2,2−ジブトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0039】
上記式(2)で表される化合物としては、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジプロポキシテトラヒドロフラン、2,5−ジブトキシテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0040】
上記式(3)で表される化合物としては、3,4−ジメトキシトルエン、3,4−ジエトキシトルエン、3,4−ジプロポキシトルエン、3,4−ジブトキシトルエン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,2−ジプロポキシベンゼン、1,2−ジブトキシベンゼン等が挙げられる。
【0041】
これらの反応性化合物の中でも、不飽和カルボン酸との反応性の点から、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、1,1−ジエトキシプロパン、及び2,2−ジエトキシプロパンが好ましい。これらの反応性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
不飽和カルボン酸と反応性化合物とのモル比は特に限定されないが、1:0.5〜1:3が好ましく、1:0.8〜1:2がより好ましい。また、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。反応時間は10分間〜10時間が好ましく、30分間〜5時間がより好ましい。
【0043】
次いで、重合工程では、反応工程で得られた反応混合物と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物及び脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とを公知のラジカル重合開始剤とともに重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより、共重合体を得る。
【0044】
最後に、精製工程では、例えば貧溶媒等を用いて洗浄することにより残物を取り除く。
【0045】
(A1)樹脂の含有量は、下記光重合性モノマー(B)の含有量に対して、40〜230質量%であることが好ましく、60〜220質量%であることがより好ましく、70〜215質量%であることがさらに好ましい。
【0046】
((A2)樹脂)
(A2)樹脂は、上記構成単位(a1)と、上記構成単位(a2)と、上記構成単位(a4)とを少なくとも有する。構成単位(a1),(a2)を誘導するための化合物については、(A1)樹脂の場合と同様であるため説明を省略する。(A2)樹脂は、構成単位(a1),(a2),(a4)以外の他の構成単位を有していてもよい。上記他の構成単位としては、(A1)樹脂における他の構成単位と同様の構成単位が挙げられる。
【0047】
構成単位(a4)を誘導するための脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a4−1)〜(a4−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a4−3)〜(a4−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a4−3),(a4−4)で表される化合物がより好ましい。
【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
上記式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R23は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R22としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R23としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0051】
(A2)樹脂中における上記構成単位(a1)の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
また、(A2)樹脂中における上記構成単位(a2)の割合は71質量%以上であり、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。
また、(A2)樹脂中における上記構成単位(a4)の割合は1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。構成単位(a4)の割合を上記範囲とすることで、現像性を適度なものとし、また、硬化物の比誘電率を下げることができる。
また、(A2)樹脂中における上記他の構成単位の割合は、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
各構成単位の割合を上記範囲とすることで、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとし、かつ、硬化物の形状や破壊強度、基板への密着性を良好なものとすることができる。
【0052】
(A2)樹脂の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0053】
(A2)樹脂は、公知のラジカル重合法により製造することができる。すなわち、各構成単位を誘導する各化合物、並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0054】
(A2)樹脂の含有量は、下記光重合性モノマー(B)の含有量に対して、40〜230質量%であることが好ましく、60〜220質量%であることがより好ましく、70〜215質量%であることがさらに好ましい。
【0055】
なお、(A)成分としては、(A1)樹脂又は(A2)樹脂以外に、従来公知の他のアルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。ただし、その場合であっても、(A)成分の全構成単位のうち、エポキシ基を有する構成単位の割合は50質量%以上であることが好ましい。
また、(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0056】
<光重合性モノマー(B)>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される光重合性モノマー(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)としては、エチレン性不飽和基を有するモノマーを好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0057】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの中でも、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の破壊強度を高める点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、6官能以上の多官能モノマーがより好ましい。
【0060】
(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0061】
<光重合開始剤(C)>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0062】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0063】
(C)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0064】
また、この(C)成分に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】
<有機溶剤(S)>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塗布性の改善、粘度調整のため、有機溶剤(S)(以下、「(S)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
【0066】
有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0067】
(S)成分の含有量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感光性樹脂組成物の粘度は5〜500cpであることが好ましく、10〜50cpであることがより好ましく、20〜30cpであることがさらに好ましい。また、固形分濃度は5〜100質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
【0068】
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0069】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記各成分を3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0070】
≪液晶パネル≫
本発明に係る液晶パネルは、感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有するものである。スペーサ以外の点は、通常の液晶パネルと同様であるため、以下ではスペーサの形成方法についてのみ説明する。
【0071】
まず、スペーサが形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、感光性樹脂層を形成する。
【0072】
次いで、ネガ型のマスクを介して、感光性樹脂層に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば50〜600mJ/cm程度が好ましい。
【0073】
次いで、露光後の感光性樹脂層を現像液で現像することにより、スペーサを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。本発明に係る感光性樹脂組成物は適度な現像性を示すため、適正な現像が可能である。
【0074】
そして、現像後のスペーサにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークの温度は150〜250℃が好ましい。
【0075】
このように本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサは、破壊強度が高く、かつ、形状や基板への密着性も良好である。また、比誘電率が低いため、アレイ基板上にスペーサを形成する場合に有効である。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
<実施例1〜5、比較例1〜3>
下記表1に示す各成分を混合し、溶剤に溶解して感光性樹脂組成物を調製した。
【0078】
【表1】

【0079】
表1中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、括弧内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート=60:20:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量13000)
(A)−2:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:2,3−エポキシシクロペンチルメチルメタクリレート=60:20:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量15000)
(A)−3:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:トリシクロデシルメタクリレート=72:18:10(質量比)の樹脂(質量平均分子量14000)
(A)−4:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸=80:20(質量比)の樹脂(質量平均分子量15000)
(A)−5:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:i−ブチルメタクリレート=72:18:10(質量比)の樹脂(質量平均分子量15000)
(A)−6:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:トリシクロデシルメタクリレート=71:20:9(質量比)の樹脂(質量平均分子量12800)
(A)−7:グリシジルメタクリレート:メタクリル酸:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート:トリシクロデシルメタクリレート=35.5:20:35.5:9(質量比)の樹脂(質量平均分子量11000)
【0080】
(B)−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(C)−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 907」)
(C)−2:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE 369」)
(C)−3:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)(チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE OXE02」)
(S)−1:PGMEA/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル/3−メトキシプロピオン酸メチル=22/22/56(質量比)の混合溶剤
(S)−2:PGMEA/ジエチレングリコールメチルエチルエーテル=50/50(質量比)の混合溶剤
【0081】
<評価>
[現像性評価]
6インチのガラス基板(ダウ・コーニング社製、1737ガラス)上に、上記各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間乾燥して、3.8μmの膜厚を有する感光性樹脂層を得た。次いで、この感光性樹脂層にネガマスクを介して紫外線を選択的に照射し、現像液として0.5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃でパドル現像することにより、ドット状のパターンを形成した。そして、未露光部が完全に溶解されるまでの時間(BP:ブレイクポイント)を計測することにより、現像性を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
[密着性評価]
上記「現像性評価」と同様にしてドット状のパターンを形成した。現像時間は、上記のブレイクポイント(BP)を基準として、BP×1.5とした。その後、純水で洗浄し、形成されたパターンに対して100℃で10分間、次いで220℃で40分間ポストベークを施すことにより、ドット状パターンを形成した。
そして、マスク寸法を再現するのに必要な最適露光量(EOP)、及び露光量50mJ/cmにて、現像可能なドット状パターン寸法を調べ、密着性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、表2中の「なし」とは、現像後、20μmのパターン寸法でも密着せず、パターンが剥がれてしまっていたことを意味する。
【0083】
[形状評価]
露光量を上記EOPとして、上記「密着性評価」と同様にして15μm径のドット状パターンを形成した。そして、SEMでパターン形状を観測し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:表面荒れがない良好な形状。
△:表面荒れがある。
×:表面及び側面の凹凸が大きい。溶出残渣が見られる。
【0084】
[比誘電率評価]
露光量を上記EOPとして、上記「密着性評価」と同様にして15μm径のドット状パターンを形成した。そして、誘電率測定装置SSM495(日本SSM株式会社製)を用いて、ドット状パターンの膜厚方向の真空に対する比誘電率を測定した。結果を表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
表2から分かるように、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位に加えて、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物又は脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位を有する樹脂を用いた各実施例は、ブレイクポイントが15〜30秒という適度な現像性を有していた。また、50mJ/cmの露光量で9〜15μmのドット状パターンを現像することができるなど、密着性に優れており、パターン形状も良好であった。しかも、実施例1〜3については比誘電率が比較例1,2よりも低かった。なお、実施例4,5の比誘電率は、比較例3に比べて同等以下の低い値であった。
これに対して、脂環式基を有さない樹脂を用いた各比較例は、ブレイクポイントが10秒未満と短く、現像耐性が悪かった。また、50mJ/cmの露光量ではパターンを形成することができず、密着性が低いものであった。また、EOPで露光した場合であってもパターン形状が悪く、比較例3では溶出残渣による形状不良が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a3)とを有し、前記構成単位(a2)の割合と前記構成単位(a3)の割合との合計が71質量%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(A)は、不飽和カルボン酸から誘導される構成単位(a1)と、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a2)と、脂環式基含有不飽和化合物から誘導される構成単位(a4)とを有し、前記構成単位(a2)の割合が71質量%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記構成単位(a3)の割合が20〜60質量%であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記構成単位(a4)の割合が1〜25質量%であることを特徴とする請求項2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
液晶パネルのスペーサの形成に用いられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物から形成されたスペーサを有することを特徴とする液晶パネル。

【公開番号】特開2010−256848(P2010−256848A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256776(P2009−256776)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】