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感光性樹脂組成物及び粘接着シート
説明

感光性樹脂組成物及び粘接着シート

【課題】十分な保存安定性を有し、かつ、加熱温度が低温であっても短時間硬化できる感光性樹脂組成物及び粘接着シートを提供する。
【解決手段】電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物とを含有し、上記塩基発生剤は、下記一般式(I)で表される。式中、R及びRは、それぞれ独立に水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び粘接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、その硬化物が機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。現在一般に使用されているエポキシ樹脂組成物は、使用時にエポキシ樹脂と硬化剤との二液を混合する、いわゆる二液性のものである。二液性エポキシ樹脂組成物は室温で硬化しうる反面、エポキシ樹脂と硬化剤とを別々に保管し、必要に応じて両者を計量、混合した後、使用する必要があるため、保管や扱いが煩雑である。その上、可使時間が限られているため、予め大量に混合しておくことができず、配合頻度が多くなり能率の低下を免れない。
【0003】
このような二液性エポキシ樹脂配合品の問題を解決する目的で、これまでいくつかの一液性エポキシ樹脂組成物が提案されてきている。例えば、ジシアンジアミド、BF3−アミン錯体、アミン塩、変性イミダゾール化合物等の潜在性硬化剤をエポキシ樹脂に配合したものが知られている。
【0004】
しかし、これらの潜在性硬化剤については、保存安定性に優れているものは硬化性が低く、硬化に高温又は長時間必要であり、例えば、ジシアンジアミドは、配合品の貯蔵安定性は常温保存の場合に6ヵ月以上であるが、170℃以上の硬化温度が必要である。
この硬化温度を低下させるために硬化促進剤を併用すると、例えば130℃での硬化が可能となるが、一方、室温での貯蔵安定性が不十分となり、低温での貯蔵を余儀なくされる。一方、硬化性が高いものは保存安定性が低く、例えば−20℃等の低温で貯蔵する必要がある。従って、高い硬化性と優れた貯蔵安定性を両立し得る組成物が強く求められていた。
加えて、近年、特に電子機器分野において、(1)回路の高密度化や接続信頼性の向上に対応すること、(2)モバイル機器の軽量化として耐熱性の低い材料を使用すること、そして(3)生産性を大幅に改善することが求められている。そのため、接続材料の一つとして用いられる一液性エポキシ樹脂組成物に対して、保存安定性を損なわずに、硬化性をより一層向上させることが強く求められている。
【0005】
硬化性を向上させる化合物として、1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物が知られている。この化合物は、エポキシ樹脂や、ウレタン樹脂等と混合することにより容易に反応し硬化物となることから、シーリング材、塗料、接着剤等に広く用いられている。例えば、低温硬化剤として種々のポリチオール系硬化剤が存在するが、従来のポリチオール系エポキシ樹脂硬化剤は、低温硬化性が高いものの、常温でエポキシ化合物及び硬化助剤と混合してエポキシ樹脂組成物とした場合、その可使時間が3〜5分と短く、組成物の調製中に硬化が始まることで、所望の接着性等の物性を得ることが困難となる。
【0006】
このように、従来のポリチオール系エポキシ樹脂硬化剤は、二液性エポキシ樹脂配合品であり、必要に応じて両者を計量、混合した後、使用する必要があるため、保管や扱いが煩雑である。その上、可使時間が限られているため、予め大量に混合しておくことができず、配合頻度が多くなり能率の低下を免れない。また、作業上で前記のような制約が生じることから、常温においても大面積への塗布が困難である場合がある。さらに、硬化反応が促進される熱工程では使用が困難であり、適用可能な用途が制限される。
【0007】
この欠点を解消するため、エポキシ樹脂硬化剤として、分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物と、イミダゾール化合物とを用い、さらに硬化促進剤として固体分散型のアミンアダクト系潜在性硬化促進剤を用いることが提案されている(特許文献1参照)。これらを用いることで、十分な可使時間を有し、かつ、比較的低温において硬化することが可能となり、また、10μm以下の間隙に浸入して硬化させることも可能となる。
【0008】
その後、より保存安定性を担保するため、塩基発生剤としてα―アミノケトンを利用することが提案されている(特許文献2参照)。また、桂皮酸アミド型塩基発生剤を利用することが提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
その他、別の観点からも改良が試みられている。一液型エポキシ樹脂組成物は、二液型エポキシ樹脂組成物の場合のように混合してから使用する必要がなく、使用しやすい。それゆえ、電気・電子部品の接着・接合、封止等、さまざまな用途に用いられている。しかし、一液型エポキシ樹脂組成物の場合、組成物中にエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤が含まれているため、通常、硬化時まで加熱されることはない。従って、一液型エポキシ樹脂組成物は、一般に液状物であり、固形のシート状やひも状、ブロック状等に加工することは困難である。
【0010】
この欠点を解消するため、Bステージと呼ばれる半硬化状態とする方法が一般的である。しかしながら、フィルムもしくはシート形状や、基材にエポキシ樹脂を含浸した製品を得る場合、溶剤や反応性希釈剤等を含む配合品となる場合が多く、従来の潜在性硬化剤を係る配合品の硬化剤として用いた場合、溶剤や反応性希釈剤等の極性のため、貯蔵安定性が極端に下がり、実質的に二液性とする必要がある。
【0011】
その改善方法として、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂及び/又はグリシジルエステル系エポキシ樹脂、シアノグアニジン、変性脂肪族ポリアミン及びホウ酸エステル化合物を必須成分とし、シアノグアニジン及び変性脂肪族ポリアミンを実質的に溶解させない溶剤を使用する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0012】
また、溶剤を使用せずにシート化する方法として、成膜性を有する固形エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、一官能性(メタ)アクリレート、光ラジカル発生剤、さらに必要により液状エポキシ樹脂、フィラー、界面活性剤、結晶性アルコールの微細化物及びホウ酸エステルの1種以上を含む液状組成物を離型性基材上に塗布したものに紫外線を照射することにより得られた熱硬化性接着用シート及びその製造方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0013】
また、感度に優れ、高分子前駆体の種類を問わずに利用可能な塩基発生剤、及び感度に優れ、高分子前駆体の種類を問わず、露光部と未露光部とで大きな溶解性コントラストが得られ、結果的に十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができるようにするため、塩基発生剤の化学構造を改良した感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−284860号公報
【特許文献2】特許第4433556号公報
【特許文献3】特開2009−80452号公報
【特許文献4】特開平10−025334号公報
【特許文献5】特開2004−285242号公報
【特許文献6】特開2010−106233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1には、25℃の保存安定性しか開示されておらず、保存又は使用する場所の温度がさらに高い場合、十分な保存安定性が得られるとか限らない。一方で、熱帯や亜熱帯の地域では一年を通じて気温が30℃を超え、温帯であっても夏季には30℃を超える日が頻繁にある。このような場所で特許文献1に記載のものを使用しようとしても、使用する前にエポキシ樹脂硬化剤が硬化してしまう可能性がある。
【0016】
また、特許文献2では、塩基発生剤としてα―アミノケトンが用いられているが、α―アミノケトンは光照射前から塩基性を示すため、光照射前での塩基性を抑えることで、保存安定性をさらに高めることが求められる。
【0017】
また、特許文献3では、桂皮酸アミドの芳香環部位の置換基が水素であり、組み合わせる樹脂として、エポキシ樹脂が開示されている。しかし、エポキシ樹脂と同時に他の化合物を併用することの開示がなく、気温が30℃を超える場所でも十分な保存安定性が得られ、かつ、加熱温度が比較的低温であっても比較的短時間で硬化できるようにするためには、改良の余地がある。
【0018】
また、特許文献4では、30℃の保存安定性しか開示されておらず、保存又は使用する場所の温度がさらに高い場合、十分な保存安定性が得られるとか限らない。一方で、熱帯や亜熱帯の地域では一年を通じて気温が30℃を超え、温帯であっても夏季には30℃を超える日が頻繁にある。このような場所で特許文献4に記載のものを使用しようとしても、使用する前にエポキシ樹脂硬化剤が硬化してしまう可能性がある。また、最適な溶剤としてトルエン、ベンゼン等であり溶剤の選択性がなく、所望の物性を得るために、各種添加剤等を溶解・分散させる上で制約が生じる。
【0019】
また、特許文献5では、UV照射によりシート化することで加熱による硬化を抑制しているので、粘度が高くシート化が困難な場合に乾燥工程が生じる溶剤が使用できない。また、一官能性(メタ)アクリレートの極性が高く、ホウ酸エステルの様な硬化抑制剤を配合する必要があり、保存安定性が充分であるとは言い難い。
【0020】
また、特許文献6では、感光性樹脂組成物の用途として接着剤を開示するに留まり、エポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物の硬化触媒として、加熱温度が比較的低温であっても比較的短時間の硬化を実現するために適した光塩基発生剤の開示はない。そのため、接着剤用途に限らず、粘接着シートにも適用可能な感光性樹脂組成物を提供することが求められる。ところで、「接着」とは、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)によって、同種又は異種である二つの面が化学的な、あるいは物理的な力、あるいはその両者によって、硬化または固化により一体化された状態をいう。一方、「粘接着」とは、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)を伴わず、常温で短時間、かつ、わずかな圧力を加えるだけで、同種又は異種である二つの面が、再剥離可能である一時的に一体化された状態を経て、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)により、同種または異種である二つの面が化学的な、あるいは物理的な力、あるいはその両者によって、硬化または固化により一体化された状態をいう。
【0021】
所望の物性を得るために、各種添加剤等を溶解・分散させる可能な溶剤が使用可能であり、気温が30℃を超える場所でも十分な保存安定性が得られ、かつ、比較的低温短時間で硬化可能とするためには、改良の余地がある。
【0022】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物とを含有し、上記塩基発生剤として、下記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンである感光性樹脂組成物を提供することで、気温が30℃を超える場所でも十分な保存安定性が得られ、かつ、加熱温度が比較的低温であっても比較的短時間で硬化できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下のものを提供する。
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R及びRは、直鎖状でも分岐鎖を含む直鎖状でもよく、R及びRが結合して環状構造を形成していてもよい。但し、R及びRの少なくとも1つは置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である。R及びRは、それぞれ独立に水素又は1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立に水素、1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよく、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。Rは加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
【課題を解決するための手段】
【0023】
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0024】
(1)本発明は、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物と、高分子とを含有し、前記塩基発生剤は、上記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンである感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層を少なくとも有する粘接着シートである。
【0025】
(2)また、本発明は、前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R及びRが同一であっても異なっていてもよい置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である、(1)に記載の粘接着シートである。
【0026】
(3)また、本発明は、前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基である、(1)又は(2)に記載の粘接着シートである。
【0027】
(4)また、本発明は、前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R〜Rの少なくとも一つが、炭素数4以上であり置換基を含んでもよく、不飽和結合を含んでもよい、直鎖又は分岐鎖を有する直鎖の炭化水素基であるか、酸素原子及び硫黄原子を含む結合を介して置換基がベンゼン環に結合する、(1)又は(2)に記載の粘接着シートである。
【0028】
(5)また、本発明は、前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R及びRが結合して環状構造を形成する、(1)又は(2)に記載の粘接着シートである。
【0029】
(6)また、本発明は、前記環状構造が5から7員環である、(5)に記載の粘接着シートである。
【0030】
(7)また、本発明は、前記塩基発生剤が、前記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、前記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している、(1)から(6)のいずれかに記載の粘接着シートである。
【0031】
(8)また、本発明は、前記高分子が熱可塑性高分子である、(1)から(7)のいずれかに記載の粘接着シートである。
【0032】
(9)また、本発明は、前記熱可塑性高分子のガラス転移温度(Tg)が−40℃〜30℃であり、質量平均分子量が10,000〜1,000,000である、(8)に記載の粘接着シートである。
【0033】
(10)また、本発明は、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物とを含有し、前記塩基発生剤は、上記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンであり、23℃での粘度が0.1〜1,000Pa・sである感光性樹脂組成物である。
【0034】
(11)また、本発明は、前記一般式(I)中、R及びRが同一であっても異なっていてもよい置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である、(10)に記載の感光性樹脂組成物である。
【0035】
(12)また、本発明は、前記一般式(I)中、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基である、(10)又は(11)に記載の感光性樹脂組成物である。
【0036】
(13)また、本発明は、前記一般式(I)中、R〜Rの少なくとも一つが炭素数4以上であり置換基を含んでもよく、不飽和結合を含んでもよい、直鎖又は分岐鎖を有する直鎖の炭化水素基であるか、酸素原子及び硫黄原子を含む結合を介して置換基がベンゼン環に結合する、(10)又は(11)に記載の感光性樹脂組成物である。
【0037】
(14)また、本発明は、前記一般式(I)中、R及びRが結合して環状構造を形成する、(10)又は(11)に記載の感光性樹脂組成物である。
【0038】
(15)また、本発明は、前記環状構造が5から7員環である、(14)に記載の感光性樹脂組成物である。
【0039】
(16)また、本発明は、前記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、前記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している、(10)から(15)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0040】
(17)また、本発明は、無溶媒である、(10)から(16)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0041】
(18)また、本発明は、無機フィラーを含む、(10)から(16)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0042】
(19)また、本発明は、高分子を含む、(10)から(16)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0043】
(20)また、本発明は、溶剤を含む、(10)から(16)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0044】
(21)また、本発明は、無溶媒であり、無機フィラー、高分子を含む、(10)から(16)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0045】
(22)また、本発明は、溶剤を含み、無機フィラー、高分子を含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物及び粘接着シートによれば、気温が30℃を超える場所でも十分な保存安定性が得られ、かつ、加熱温度が比較的低温であっても比較的短時間で硬化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物について、まずは、液状の接着剤用の感光性樹脂組成物について説明し、次いで粘接着シート用の感光性樹脂組成物について説明する。ところで、上述したとおり、「接着」とは、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)によって、同種又は異種である二つの面が化学的な、あるいは物理的な力、あるいはその両者によって、硬化または固化により一体化された状態をいう。一方、「粘接着」とは、〔化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)を伴わず、〕常温で短時間、かつ、わずかな圧力を加えるだけで、同種又は異種である二つの面が、再剥離可能である一時的に一体化された状態を経て、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光等)により、同種または異種である二つの面が化学的な、あるいは物理的な力、あるいはその両者によって、硬化または固化により一体化された状態をいう。
【0049】
[液状の接着剤用の感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物と、を含有し、前記塩基発生剤は、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。以下、塩基発生剤、硬化性化合物、分子中にメルカプト基を有する化合物の順に説明する。
【0050】
<塩基発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる塩基発生剤は、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する。ここで、電磁波は、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線を含む。
【0051】
塩基発生剤は、下記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンである。発生する塩基性物質が芳香族アミンであると、芳香族アミンは、脂肪族アミンである場合に比べて溶解性が悪く、塩基発生剤の濃度が相対的に低くなるため、芳香族アミンから作成した感光性樹脂組成物では、低温での熱硬化性を十分に得られない可能性がある点で好ましくない。
【化2】

【0052】
上記一般式(I)で表される塩基発生剤は、光塩基発生剤の一種であり、電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により、塩基の発生が促進される。上記一般式(I)で表される塩基発生剤は、電磁波の照射により、又は電磁波の照射と加熱とを組み合わせることにより、少ない照射量で、効率的に塩基を発生することが可能である。なお、電磁波塩基発生剤とは、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波が加えられると、塩基を発生する剤をいう。
【0053】
上記一般式(I)で表される塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、一般式(I)中の(−CR=CR−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化し、更に加熱によって環化し、塩基性物質であるアミン、NHRを生成する。そして、下記に示すように、このアミンが、メルカプト基を有する化合物の硬化触媒として作用する。
【化3】

【化4】

【0054】
本実施形態に係る塩基発生剤は、光潜在性硬化触媒として用いられる。光潜在性硬化触媒として塩基発生剤を利用する際に求められる性能としては、(ア)樹脂に添加し、利用する際に析出しないこと(溶解性)、(イ)効率よく塩基を放出すること(塩基発生の感度)、(ウ)メルカプト基を有する化合物と反応しやすい構造の塩基性物質を放出すること(触媒活性)が挙げられる。桂皮酸アミド型の塩基発生剤において、この3つの性能は、発生するアミンの構造と、芳香環に導入する置換基によって制御できる。
【0055】
(R,R
上記一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立した水素又は1価の置換基を有してもよく、かつ、不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である。中でも、R及びRの両方が1価の置換基であると、異性化の感度が向上し、発生する塩基が2級アミンとなるため、1級アミンに比べて塩基性が強くなり、加熱温度が低温(例えば、120℃)であっても触媒活性が高くなる。この点で、R及びRの両方が1価の置換基であることが好ましい。
特に、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基であると、アミド結合周辺の立体的な大きさが小さくなることで、光異性化反応が進行しやすくなるため、異性化の感度が高くなる。また、発生する塩基性物質の立体的な嵩が小さくなることで、発生したアミンがメルカプト基を有する化合物と反応しやすくなり、結果として触媒活性が向上する。この点で、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基であることがさらに好ましい。R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されてもよいメチル基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられるが、中でも原子半径がより小さいフッ素原子や塩素原子であることが触媒活性の向上の点から好ましく、置換されるハロゲン原子の数は、触媒活性の向上の点から少ないほうが好ましく、2個以下であることが好ましく、更に1個以下であることが好ましい。中でも特に、ハロゲン原子で置換されてもよいメチル基がメチル基であることが、触媒活性の向上の点から好ましい。
さらに、R及びRが結合して窒素原子を含む環状構造を形成すると、炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張しやすくなり異性化の感度が高くなる。また、発生したアミンがメルカプト基を有する化合物と反応しやすくなるため、触媒活性が向上する。この点で、R及びRが結合して窒素原子を含む環状構造を形成することが好ましい。また、R及びRが結合し形成された窒素原子を含む環状構造が、5から7員環であることが、異性化の感度が高くなる点でより好ましい。
【0056】
炭化水素基としては不飽和結合を含んでいてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。これらの炭化水素基は、当該炭化水素基中に置換基を含んでいてもよく、また、直鎖状であっても分岐鎖を含む直鎖であっても、それらが結合し環状構造を形成しても良い。ここで、分岐鎖とは、枝分かれした炭化水素基を有する構造をいい、当該構造に含まれる枝分かれしたそれぞれの炭化水素基をも指す。置換基を含む炭化水素基が結合し、複素環を形成していてもよい。置換基を含んで良い炭化水素基は、当該炭化水素基に含まれる2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良く、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し、ヘテロ原子を含む複素環を形成していても良い。環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。なお、本段落での環状構造は、例えば、R1がシクロヘキシル基である等、R又はRの中の環状構造を示すものであり、上述した、RとRとが結合してできる窒素原子を含む環状構造とは異なる。
【0057】
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20であるアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜20であるアルケニル基、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数1〜20であるアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23であるシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23であるシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0058】
本発明において、置換基とは、水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子又は原子団をいう。置換基としては、水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であれば特に限定されるものではなく、例えば、−XR10で表される原子団等が挙げられる。ここで、Xは、直接結合又は2価の連結基であり、−XR12は、当該Xと、水素原子または水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であるR12とを連結させた原子団であれば特に限定されるものではない。(但し、Xが直接結合且つR12が水素原子で、−XR10が水素原子となる場合を除く)。
【0059】
上記Xは、直接結合、又は2価の連結基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、酸素原子、硫黄原子からなる結合や、炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び/又はリン原子を含む原子団及び炭素原子を含む原子団等が挙げられる。Xとしては、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルボニルチオ基、オキシカルボニルチオ基、イミノ基、オキシイミノ基、カルボニルイミノ基、ホスホノ基、ホスホナト基、スルフィニル基、スルホニル基が挙げられる。
【0060】
上記R10は、水素又は水素と置き換えることが可能な水素以外の原子又は原子団であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン原子(−F,−Cl,−Br,−I)、ヒドロシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、置換基を含んでもよいホスホノ基、置換基を含んでも良い不飽和結合を含んでもよい炭化水素基、置換基を含んでも良い不飽和結合を含んでもよいシリル基、置換基を含んでも良いアミノ基が挙げられる。上記R10として好ましい原子又は原子団としてはで上記ハロゲン原子、ヒドロシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、置換基を有してもよく、かつ、不飽和結合を含んでもよい炭化水素基、置換基を有してもよく、かつ、不飽和結合を含んでもよいシリル基、置換基を含んでも良いアミノ基が挙げられる。
【0061】
上記置換基を含んでも良く不飽和結合を含んでもよい炭化水素基としては分岐鎖を含んでも良く2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造形成していても良く、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し複素環を形成していても良い。複素環としては、芳香族性を有していても有していていなくても良く、環状エーテル、ラクトン、ラクタム、芳香族複素環等が挙げられる。置換基を含んでも良く不飽和結合を含んでもよい炭化水素基の例としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、複素環基が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20であるアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜20であるアルケニル基、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数1〜20であるアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23であるシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23であるシクロアルケニル基、エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、σ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、σ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、フラン環、チオフェン環、2H−ピラン環、4H−チオピラン環、ベンゾフラン環、1−ベンゾチオフェン環、2H−クロメン環、1H−2−ベンゾピラン環、キサンテン環、チアントレン環等の複素環から水素を1つ除去した複素環基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基等の炭素数2〜20のアルキルオキシアルキル基、フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26であるアリールオキシアルキル基等が挙げられる。また、含んで良い置換基としては、置換基−XR10と同様であって良い。
【0062】
上記置換基を含んでも良い不飽和結合を含んでもよいシリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチル基、メトキシジメチル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。また、含んで良い置換基としては、置換基−XR10と同様であって良い。
【0063】
また、R10における、置換基を含んで良くヘテロ原子の結合を含んで良いアミノ基(−NH(−R11)、−N(−R12)(−R13))の例としては、R11、R12、R13が、窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基が挙げられる。窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基としては、窒素原子と結合し得る限り、置換基−XR10と同様であって良い。
【0064】
置換基を含んで良くヘテロ原子の結合を含んで良いアミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0065】
上記−XR10は、直接結合又は2価の連結基であるXと、水素又は水素と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であるR10とを連結させた原子団であれば、特に限定されるものではない。−XR10の例としては、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、ヒドロシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、上記に示した置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基(以下、「上述の炭化水素基」という場合がある)、上記に示した置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよいシリル基、上記に示した置換基を含んでもよいアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、エチルへキシロキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基(−OR14:R14は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基(−OAr:Arは置換基を有してもよいアリール基、)、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(−OCOR15:R15は上述の炭化水素基)、カルバモイルオキシ基(−OCONR1617:R16、R17は同一であっても異なっていても良い上述の炭化水素基であり、結合していてもよい)、シアノオキシ基(シアナト基)(−OCN)、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のチオアルコキシ基(−SR18:R18は上述の炭化水素基)、ベンジルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(−SAr:Arは置換基を有してもよいアリール基、)、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基(−SCOR19:R19は上述の炭化水素基)、シアノチオ基(チオシアナト基)(−SCN)、ホルミル基(−COH)、アシル基(−COR20:R20は上述の炭化水素基)、アルコキシカルボニル基(−COOR21:R21は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(−COOAr:Arは置換基を有してもよいアリール基)、カルバモイル基(−CONR2223:R22、R23は同一であっても異なっても良い上述の炭化水素基であり、結合していてもよい)、チオアシル基(−CSR24:R24は上述の炭化水素基)、アルコキシチオカルボニル基(−CSOR25:R25は上述の炭化水素基)が挙げられる。
【0066】
特に好ましい−XR10として、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、上記置換基を含んで良い炭化水素基、上記置換基を含んで良いシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)、チオアルコキシ基、アリールチオ基、アセチルチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオアシル基、アルコキシチオカルボニル基が挙げられ、さらに好ましいものとしてヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルコキシ基、アリールチオ基が挙げられる。これらの置換基を含むアミンを利用することで、溶解性の向上につながる。
【0067】
また、NHRは、塩基(本発明においては、「塩基性物質」を単に、塩基という。)である。ところで、R及びRに、アミノ基が含まれると、塩基発生剤自体が塩基となり、エポキシ基と反応し、経時安定性が損なわれるおそれがある。この点で、R及びRは、それぞれ、アミノ基を含まない有機基であることが好ましい。一方で、全てのアミノ基が経時安定性を損なうものではなく、全てのアミノ基が一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、上記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している状態であれば、R又はRにアミノ基が含まれていても、経時安定性を損なうことはない。
【0068】
生成するアミンは、NHRであり、R及びRはそれぞれ独立に水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素であるため、生成するアミンは、1級又は2級アミンである。また、アミンには、それぞれ脂肪族アミン及び芳香族アミンがあるが、溶解性が高く、高濃度の塩基発生剤を得やすい点で脂肪族アミンが好ましい。
【0069】
脂肪族1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。
【0070】
脂肪族2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−2−プロパノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミン;エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルアダマンタン−1−アミン、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、N−メチル−3−エトキシプロピルアミン、N−メチル−3−プロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−ブトキシプロピルアミン、N−メチル−3−イソプロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−へプチルオキシプロピルアミン、N−メチル−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N−メチルテトラヒドロフルフリルアミン等のハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を有するアミン;アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンカルボン酸エチル、4−アセトアミドピペリジン、モルホリン等の脂環式アミンも挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基を有するアミン、脂環式アミンが異性化の感度が良く、触媒活性が大きいため好ましい。
【0071】
更に、生成するNHRは、アミド結合を形成可能なNH基を1つだけ有するモノアミン等の塩基だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基であってもよい。
【0072】
生成するNHRがNH基を2つ以上有する塩基の場合、上記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を、電磁波の照射、又は、電磁波の照射と加熱とにより発生するような電磁波潜在性部位が更に結合している構造が挙げられる。上記電磁波潜在性部位としては、上記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、上記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している構造が挙げられる。
【0073】
1級のアミノ基を2つ以上有するアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミン等を挙げられる。
【0074】
2級のアミノ基を2つ以上有するアミンとしては、例えば、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−1,8−オクタンジアミン等の脂肪族アルキレンジアミン;ビス(2−メチルアミノエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メチルアミノエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メチルアミノエトキシ)エチル]エーテル等の一般式CHNHCHCHO(CHCHNH)CHで示されるオキシ基を含む脂肪族アルキレンジアミン等が挙げられる。
【0075】
(R,R
,Rとしては、R,Rと同様の水素又は置換基を利用できる。R及びRとしては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素であることが好ましい。
【0076】
一方、一般式(I)中のR及びRのうち少なくとも1つが水素ではなく、上記特定の置換基である場合、R及びRの両方共が水素の場合と比べて、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R及びRのうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ、不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR及びRのうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有するエポキシ基を2つ以上有する硬化性化合物及びポリチオール系硬化剤との親和性が向上する。このように、R及び/又はRを所望の有機溶剤やエポキシ基を2つ以上有する硬化性化合物及びポリチオール系硬化剤に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望のエポキシ基を2つ以上有する硬化性化合物及びチオール系硬化剤との親和性が向上する。
【0077】
(R〜R
上記一般式(I)において、R〜Rは、それぞれ独立した水素又は1価の置換基であり、同一であっても異なっていてもよく、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。R〜Rにおける置換基としては上述した−XR10と同様のものを用いることができる
【0078】
〜Rとしては、溶解性の向上及び高感度化を達成するために、1つ以上1価の置換基を有すること、又はR〜Rの2つ以上が結合して環状構造を形成することが好ましい。一般式(I)の構造において、カルボニル結合のα位およびβ位に位置するα炭素−β炭素間の二重結合がトランス体からシス体への異性化反応を効率よく進める要因としてはいくつかあり、例えば上記炭素−炭素二重結合周囲の立体障害の大きさ、上記炭素−炭素二重結合周囲に広がる共役鎖の電子状態等が挙げられる。置換基R〜Rに、置換基を少なくとも1つ導入する又はR〜Rの2つ以上が結合して環状構造を形成することにより、上記炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張し、塩基発生の感度を向上することができる。また、R〜Rに、置換基を少なくとも1つ導入することにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。芳香族環の共役鎖を伸ばすような置換基を導入することにより、吸収波長を長波長にシフトすることができる。また、溶解性や組み合わせるエポキシ基を2個以上有する化合物とメルカプト基を有する化合物との相溶性が向上するようにすることもできる。これにより、組み合わせるエポキシ基を2個以上有する化合物とメルカプト基を2個以上有する化合物の吸収波長も考慮しながら、感光性樹脂組成物の感度を向上させることが可能である。
【0079】
所望の波長に吸収波長をシフトさせるために、どのような置換基を導入したらよいかという指針としては、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表が参考として挙げられる。これらを参考とすることで、化合物の極大吸収波長がどの程度長波長化するかの目安を知ることができる。
【0080】
芳香環に導入する置換基は、導入する構造や位置によって効果が異なる。例えば、Rに置換基を導入すると、効率よく感度を向上させることが可能であり、かつ、後述する感光性樹脂組成物を厚膜として用いる場合に適している点で好ましい。Rに置換基を導入すると、高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があるため、塩基発生剤が良好な溶剤溶解性を要求される場合に適している点で好ましい。
【0081】
なお、R〜Rの2つ以上が結合して環状構造を形成して環状構造になっていてもよい。環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環からなる群より選択される2種以上が組み合されてなる構造であってもよい。例えば、R〜Rは、それらの2つ以上が結合して、R〜Rが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していてもよい。R〜Rの2つ以上が結合して、R〜Rが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合は、炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張し、感度が向上する点から好ましい。
【0082】
桂皮酸アミド型の塩基発生剤において、桂皮酸アミド骨格を有し、かつ、特徴的な置換基を有する化合物として、特開2011−89119号公報、特開2011−68888号公報に開示されたものが挙げられる。これら2つの公報に記載されている構造、溶解性が高くなりやすい点で、R〜Rとして好ましい。
【0083】
〜Rにおける置換基として、直接結合又は2、3、4、5価の連結基であるYと、水素又は水素と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であるR23とを連結させた原子団であれば、特に限定されるものではない。R〜Rにおける置換基の例としては、ヒドロシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、上記に示した不飽和結合を含んでもよい炭化水素基、上記に示した不飽和結合を含んでもよいシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピロキシ基、t−ブトキシオキシ、エチルへキシロキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基(−OR24:R24は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基(−OAr:Arはアリール基、)、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(−OCOR25:R25は上述の炭化水素基)、シアノオキシ基(シアナト基)(−OCN)、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のチオアルコキシ基(−SR26:R26は上述の炭化水素基)、ベンジルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(−SAr:Arはアリール基、)、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基(−SCOR27:R27は上述の炭化水素基)、シアノチオ基(チオシアナト基)(−SCN)、ヒドロキシアミノ基(−NHOR28:R28は水素又は上述の炭化水素基)、アシルアミノ基(−NHCOR29:R29は水素又は上述の炭化水素基)、ホルミル基(−COH)、アシル基(−COR30:R30は上述の炭化水素基)、アルコキシカルボニル基(−COOR31:R31は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(−COOAr:Arはアリール基)、カルバモイル基(−CONR3233:R32、R33はそれぞれ独立に上述の炭化水素基であり、結合していてもよい)、チオアシル基(−CSR34:R34は上述の炭化水素基)、アルコキシチオカルボニル基(−CSOR35:R35は上述の炭化水素基)が挙げられる。
【0084】
〜Rにおける置換基の特に好ましいものとして、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、上記置換基を含んで良い炭素数4以上の炭化水素基、上記置換基を含んで良いシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)、チオアルコキシ基、アリールチオ基、アセチルチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオアシル基、アルコキシチオカルボニル基が挙げられる。
【0085】
そして、R〜Rの少なくとも一つが、炭素数4以上であり置換基を含んでもよく、不飽和結合を含んでもよい、直鎖又は分岐鎖を有する直鎖の炭化水素基であるか、酸素原子及び硫黄原子を含む結合を介して置換基がベンゼン環に結合することがよりいっそう好ましい。具体的な態様として、上記置換基を含んで良い炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルコキシ基、アリールチオ基が挙げられる。なお、上記の「酸素原子及び硫黄原子を含む結合」は、Xとしてオキシ基、チオ基を利用した場合を指す。これらを利用することで、溶解性の向上、塩基発生の感度の向上につながる。
【0086】
(R
は、水素原子、又は、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基であり、具体的には、WO2010/113813国際公開公報パンフレットに記載されている。ここで、「脱保護可能な」とは、−ORから−OHに変化する可能性があることをいう。Rが水素原子である場合、塩基発生剤がフェノール性水酸基を含むため、保存安定性を損なう可能性がある。
【0087】
一方、Rが上記保護基である場合、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護されて、水酸基を生成する。加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基でフェノール性水酸基を保護することにより、Rが上記保護基である塩素発生剤は、非常に高い保存安定性を有するという利点を有するが、脱保護反応後の残渣が脱ガスの原因になる可能性がある、脱保護という余分なプロセスが必要となる場合がある、保護基を導入する分高コストとなるといった欠点もある。そのため、Rに保護基を導入するか否かは、利用する用途によって適宜選択する必要がある。Rは、本発明で用いられる塩基発生剤において一般式(I)中に存在するアミド基が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能なフェノール性水酸基の保護基であれば、特に限定されず用いることができる。例えば、アミド結合は、三臭化ホウ素や三塩化アルミニウム等の強ルイス酸や硫酸、塩酸、硝酸等の強酸等が存在する強酸性下における加熱や、水酸化ナトリウム等の強塩基が存在する強塩基性下における加熱により分解する。従って、このような強酸性又は強塩基性条件下での加熱でしか脱保護されない保護基は、本発明の塩基発生剤に用いられる保護基としては不適切である。Rは、溶解性や相溶性の向上あるいは合成時の反応性の変化等を目的として、当該塩基発生剤と組み合わせて用いられる化合物の種類や、塩基発生剤の適用方法や合成方法により適宜選択されるものである。
【0088】
上記一般式(I)、(II)で表される構造は、トランス体及び/又はシス体であり、トランス体のみを用いてもよいし、トランス体とシス体の混合物を用いてもよい。
【0089】
一般に、塩基発生剤は、電磁波の照射によりその化学構造が変化し、塩基(アミン)を発生するが、本発明の感光性樹脂組成物含まれる塩基発生剤は、その種類によって、電磁波の照射のみ、又は、電磁波照射後の加熱により塩基を発生する。例えば、上記一般式(I)、(II)で表される塩基発生剤では、電磁波が照射されることにより、トランス体からシス体に異性化し、加熱することによりフェノール性水酸基の部分が消失環化し、塩基が発生する。すなわち、電磁波を照射した後、加熱しなければ、塩基を発生しないため、後述する分子中にエポキシ基を少なくとも1個以上有する硬化性化合物と共存させても硬化反応が進行しない。したがって、硬化性化合物の保存安定性が低下することがないので、例えば、光酸発生剤を使用する場合のように、硬化遅延剤により硬化の進行を調整する必要がない。硬化遅延剤には、親水性のある材料を使用するため、硬化物に親水性のある材料が残り、透湿バリア性が低下する原因となるが、電磁波を照射した後、加熱しなければ、塩基を発生しない塩基発生剤を使用した場合には、そのようなおそれが生じない。また、ラジカルによる硬化やカチオンによる硬化では、電磁波の照射後すぐに硬化が進行するため、可使時間が短く作業性に劣るが、本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含有するので、電磁波照射後の加熱を調整することで、可使時間の調整が可能となり、作業性が良好となる。この点が、本発明の組成物を粘接着剤として用いることの利点となっている。
【0090】
本発明の感光性樹脂組成物における塩基発生剤の含有量は、後述する硬化性化合物100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましい。塩基発生剤の含有量が1質量部未満であると、発生する塩基が当量よりも少なくなり、硬化が十分に進行しない場合があるため、好ましくない。20質量部を超えると、電磁波の照射により塩基が過剰に発生し一部の塩基が硬化性化合物の官能基と反応しなかったり、更に十分な接着強度が得られなかったりする場合があるため好ましくない。
【0091】
(具体例)
電磁波照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤としては、特に、下記一般式(II)で表される塩基発生剤が好ましい。
【化5】

【0092】
なお、R40〜R49は、それぞれ独立した水素又は置換基である。
【0093】
上記一般式(II)で表される塩基発生剤の合成方法を、下記式(III)の塩基発生剤を例に挙げて説明する。なお、上記一般式(II)で表される塩基発生剤の合成方法はこれに限定されるものではなく、複数の従来公知の方法にて合成することができる。
【化6】

【0094】
上記一般式(III)で表される塩基発生剤は、例えば、以下の方法にて合成することができる。まず、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド及び2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルベンズアルデヒドをメタノールに溶解し、これに炭酸カリウムのメタノール溶液をゆっくりと滴下し、撹拌する。薄層クロマトグラフィー(以下、「TLC」という。)により反応の終了を確認した後、ろ過を行い、炭酸カリウムを除き、減圧濃縮する。濃縮後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、撹拌する。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し、反応液を酸性にする。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムで洗浄することにより、2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸を得る。次いで、窒素雰囲気下、上記にて得られた2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸を脱水テトラヒドロフランに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を加える。その後、ピペリジンを加え、終夜で撹拌する。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解する。クロロホルムで抽出し、炭酸水素水溶液、塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った後、濃縮することにより、上記一般式(III)で表される塩基発生剤を得ることができる。なお、合成された上記一般式(III)で表される塩基発生剤は、塩基としてピペリジンを発生する。
【0095】
このように、所望の塩基を発生する塩基発生剤は、容易に合成することができる。例えば、塩基として4−ヒドロキシピペリジンを発生させたい場合には、R44がヒドロキシル基であり、R45が水素原子である塩基発生剤を合成すればよく、その際には、上記合成方法においてピペリジンの代わりに4−ヒドロキシピペリジンを加えればよい。
【0096】
<硬化性化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、分子中にエポキシ基を少なくとも1個以上有する硬化性化合物を含有する。分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する硬化性化合物によれば、接着強度の強い硬化物を得ることができる。
【0097】
分子内にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のアルコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が、分子量の異なるグレードのものを広く入手可能で、粘接着性や反応性等を任意に設定できるという点においてより好ましい。また、トリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂は、該エポキシ樹脂を含有する感光性樹脂組成物からなる塗工液を塗布後、乾燥(100℃,10分間)した際に均一膜を形成し、室温になった際に離型PETからの剥離を容易にするという点において好ましい。
【0098】
上記硬化性化合物は、短時間での硬化を実現するために、反応性が高く、かつ、エポキシ当量が低いことが好ましい。例えば、エポキシ当量が100〜800g/eq.範囲内であることが好ましい。ここで、エポキシ当量とは、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
【0099】
上記硬化性化合物の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「EPICLON EXA−835LV」、「EPICLON 850S」、「EPICLON N740」、「EPICLON EXA−830CRP」、「EPICLON EXA−830LVP」、「EPICLON HP−820」、三菱化学株式会社製の「jER 828」、「jER 806」、「jER 1001」、「jER 801N」、「jER 807」、「jER 152」、「jER 604」、「jER 630」、「jER 871」、「jER YX8000」、「jER YX8034」、「jER YX4000」、日本触媒株式会社製の「アクリセット BPA−328」、日産化学株式会社製の「TEPIC SP」、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、東都化成株式会社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールシリーズ、共栄社化学株式会社製のエポライトシリーズ等が挙げられる。
【0100】
上記硬化性化合物の質量平均分子量は、例えば、100〜5000の範囲内のものが好適であるが、形成される粘接着剤層の接着力、耐久性等を向上させるためには、上記範囲内において高分子量のものを用いることがより好ましい。硬化性化合物は固体状、液状のいずれのものでも使用することができる。
【0101】
また、硬化性化合物として、上記以外の他に末端にエポキシ基を有する比較的高分子量の樹脂でエポキシ樹脂と反応可能なフェノキシ樹脂等を配合することができる。フェノキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM骨格(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP骨格(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ骨格(4,4’−シクロヘキシィジエンビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂等、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂、ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等を挙げることができる。前記フェノキシ樹脂の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量が5000〜100000であることが好ましい。さらに好ましくは10000〜70000である。質量平均分子量が前記下限値以上であれば、製膜性を向上させる効果を十分に得ることができる。一方、前記上限値以下であれば、溶解性を維持することができて好適である。
【0102】
ここで、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算の値である。
【0103】
本発明の感光性樹脂組成物における、硬化性化合物の含有量は、目的とする用途により適宜設定する必要があるが、樹脂組成物全体を100質量部としたときに15〜95質量部であることが好ましい。含有量を15質量部以上とすることで、高温での弾性率を向上させることができ、95質量部以下とすることで、線膨張係数を高めて熱応力の緩和効果が得られる。
【0104】
<メルカプト基を有する化合物>
メルカプト基を有する化合物は、分子内にメルカプト基を2個以上有するものであれば、従来公知のものを使用できるが、分子内にメルカプト基を3個以上有するものがより好適である。メルカプト基の数が1個であると、硬化性化合物との反応点が低下し、接着性や耐久性が劣る可能性がある点で好ましくない。
【0105】
メルカプト基を有する化合物のうち、ジチオールとして、例えば、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン等が知られている。
【0106】
また、トリチオールとして、例えば、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオランが知られている。
【0107】
また、テトラチオールとして、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールが知られている。
【0108】
本発明の樹脂組成物における、メルカプト基を有する化合物の含有量は、目的とする用途により適宜設定する必要があるが、上記硬化性化合物の1エポキシ当量に対して、その活性水素当量が0.7〜1.2当量となるように配合されることが好ましい。メルカプト基を有する化合物の含有量が0.7当量以上で比較的低温でも硬化性が良好で硬化後の接着強度にも優れるという効果が顕著に発揮される。一方、メルカプト基を有する化合物の含有量が1.2当量を超えると初期粘着性及び接着性の低下やコスト高という不都合を生ずるおそれがある点で好ましくない。
【0109】
<光増感剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基発生剤と、硬化性化合物と、メルカプト基を有する化合物とがあれば足りるが、感光性を向上させるために光増感剤を併用してもよい。光増感剤としては、例えば、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。
【0110】
(無機フィラー)
本発明に係る感光性樹脂組成物は、接着剤膜強度が増し、応力分散能の向上、粘度調整が容易となり、加工性向上に繋がる。さらに加えて熱伝導性、難燃性を向上させることができるという効果から、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーは、特に限定されるものではなく、例えば、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄等の金属微粒子、あるいはカーボンブラック、ガラス等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
本発明の感光性樹脂組成物における、無機フィラーの含有量は、目的とする用途により適宜設定する必要があるが、樹脂組成物全体を100質量部に対して、0〜1000質量部であることが好ましい。
【0112】
(シランカップリング剤)
本発明に係る感光性樹脂組成物は、界面接着性を向上させるためにシランカップリング剤を併用してもよい。例えば、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等のエポキシ基を反応しうる官能基を有するシランカップリング剤を併用することが好ましい。上記エポキシ基と反応し得る官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類や、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ結合含有シラン類や、β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(N−カルボキシメチルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0113】
上記シランカップリング剤は、樹脂組成物全体を100質量部に対して、0.1〜12質量部添加することが好ましく、0.5〜10重量部添加することがより好ましい。
【0114】
(粘着付与樹脂)
粘着性や接着力を向上させることができる粘着付与樹脂を併用してもよい。例えば、ロジン系樹脂、変成ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変成テルペン系樹脂、C5系又はC9系の石油系樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。特に、被着体がポリオレフィンの場合には、ロジン系樹脂や石油系樹脂を併用することにより、高い接着強度を発現することができる。
【0115】
(充填剤)
耐熱性、密着性、樹脂強度等がより優れた組成物及びその硬化物を得ることを目的で充填剤を配合してもよい。例えば、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリウム、ジルコニア、クレー、水酸化アルミニウム等、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、シリカ、クレー、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体や、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有機球状体や、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等の有機中空体や、ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロース、アセテート等からなる単繊維等が挙げられる。
【0116】
(高分子)
塗工性(粘度)調整や応力緩和能の付与が容易となるために各種高分子を添加してもよい。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム系、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、スチレン−
ブタジエン系ブロック共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0117】
(溶剤)
感光性樹脂組成物の粘度が塗布に適さない程度に高い場合には、適宜、溶剤で希釈した上で、塗工後に乾燥することにより溶剤を除去するとよい。感光性樹脂組成物の粘度が塗布できる程度であれば、特に溶剤は不要である。溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の芳香族炭化水素化合物、飽和又は不飽和炭化水素化合物、エーテル類、ケトン類、エステル類が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、残留溶媒量の観点から、溶剤は感光性樹脂組成物中に5〜50質量%になるように配合されることが好ましい。
【0118】
<その他>
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて必要に応じて、接着性をより向上させるための接着性付与剤、粘度を調整するための粘度調整剤、チキソトロープ性(揺変性)を付与するためのチキソトロープ剤(揺変性付与剤)、引張り特性等を改善されるための物性調整剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料等の着色剤、ホウ酸エステルやリン酸エステル、無機酸、有機酸等の保存性向上剤、ポリイミド樹脂、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤を適量配合してもよい。
【0119】
<粘度>
感光性樹脂組成物の25℃での粘度は、0.1〜1,000Pa・sであることが好ましい。この粘度範囲であれば、被着体への塗工(塗布)作業が容易である。粘度が0.1Pa・s未満であると、立体的に接着する場合に、硬化するまでに前記組成物が流れてしまい、所望の物性が得られないおそれがある点で好ましくない。1000Pa・sを超えると、作業性が低下するおそれがある点で好ましくない。
【0120】
<接着剤用の感光性樹脂組成物の製造方法>
上記した、接着剤用の感光性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。まず、上記塩基発生剤と、上記硬化性化合物と、上記メルカプト基を有する化合物と、必要に応じて各種添加剤とを混合撹拌した後、脱泡させることにより、上記感光性樹脂組成物が得られる。
【0121】
上記の感光性樹脂組成物に含まれる桂皮酸アミド型塩基発生剤は、光塩基発生剤の1種であり、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。上記塩基発生剤は、特定の構造を有するため、電磁波の照射と加熱を組み合わせることにより、少ない電磁波照射量で効率的に塩基を発生することが可能であり、従来用いられる光塩基発生剤と比べて優れた感度を有する。
【0122】
本実施形態では、感光性樹脂組成物からなる接着剤を被着対象に貼り付けた後、必要に応じてその後の硬化のために加熱を行なう。加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。塩基発生剤が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱も同時に行われても良い。使用条件や所望の物性により異なるが、反応速度を高くし、効率よく塩基を発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。一方、加熱温度の上限は、塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐ点で、300℃以下であることが好ましい。また、加熱時間も使用条件や所望の物性により異なるが、例えば、60〜100℃であれば、1時間程度加熱することにより硬化する。
【0123】
上記の接着剤は、電磁波の照射前は硬化しないので、可使時間の調整が可能で作業性に優れる。そして、電磁波の照射後は100℃以下の低温で速やかに硬化が進行する。このため、耐熱性に乏しい箇所への粘接着が可能である。また、事前に電磁波の照射をしておけば加熱のみで硬化するので、光透過性のない基材も適用可能であり、被着対象との関係でも光透過性を考慮する必要がないという、従来の接着剤では達成できなかった優れた効果を奏するものである。
【0124】
電磁波としては、特に限定されるものではなく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。具体的には、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線等が挙げられる。これらの中でも、特に取り扱いが簡便であり、比較的高いエネルギーを得ることが可能な紫外線がより好適である。
【0125】
照射光としては、200〜450nmの波長域の光が好ましく、300〜450nmの波長域の光がより好ましい。光源は、特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、炭素アーク灯、水銀蒸気アーク、蛍光ランプ、アルゴングローランプ、ハロゲンランプ、白熱ランプ、低圧水銀灯、フラッシュUVランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、タングステンフィラメントランプ、太陽光等が挙げられる。これらの光源を用い、積算光量が0.5〜6J/cm、好ましくは1〜6J/cmの範囲となるように光を照射することにより、上記接着剤を硬化させることができる。積算光量が0.5J/cm未満であると、硬化が不十分となるおそれがあり、6J/cm未満を超えると、作業時間が長くなるおそれがあるため、好ましくない。
【0126】
なお、塩基発生剤は電磁波の照射のみでも塩基を発生するが、適宜加熱することにより塩基の発生が促進される。従って、効率的に塩基を発生させるために、塩基発生剤を用いる際には、露光後又は露光と同時に加熱を行うことにより塩基を発生する。露光と加熱を交互に行ってもよい。最も効率が良い方法は、露光と同時に加熱する方法である。
【0127】
[粘接着シート用の感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物を粘接着シート用で用いる場合、上記塩基発生剤、硬化性化合物、メルカプト基を有する化合物に加え、さらに高分子を要する。上記塩基発生剤は、電磁波が照射されるもしくは、電磁波を照射後に適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進されるため、従来用いられる塩基発生剤もしくは硬化促進剤と異なり、加熱時における硬化促進が抑制されるため、高沸点溶媒等を使用した場合でもシート化が容易であるという優れた点を有する。
【0128】
<高分子>
本発明の感光性樹脂組成物を粘接着シート用で用いる場合、硬化前の凝集力付与によるシート形成能と、微粘着性(タック性)とを向上させるため、各種被着体への仮固定を容易にする高分子が必要となる。
【0129】
(熱可塑性高分子)
まず、高分子として熱可塑性高分子を用いることが好適である。熱可塑性高分子の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム系、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、スチレン−
ブタジエン系ブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0130】
また、上記熱可塑性は、分子中にエポキシ基を少なくとも2個のエポキシ基を有する硬化性化合物と反応する官能基を有する高分子であることが好ましく、さらにエポキシ基と反応する官能基は、特に限定されず、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基の他、エポキシ基そのものも挙げられる。なかでもエポキシ基を有する高分子が、可撓性に優れた硬化物を得られる観点から好ましい。
【0131】
アクリル樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はその種々の誘導体の重合体、共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香族基を含有する(メタ)アクリル酸エステル、ジメチル(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸アミド、イミドアクリレートTO−1492(東亞合成工業製)等のイミド基を含有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また、上記共重合体は、上記(メタ)アクリル酸及び/又はその種々の誘導体と、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アリル誘導体等との共重合体も含まれる。これらの中でも、接着性の観点からエポキシ基を有するものが好ましい。該エポキシ基の導入は、エポキシ基を含有する(メタ)アクリル化合物を用いることにより行うことができる。なお、エポキシ基を有する重合体と、有しない重合体との混合物であってもよい。
【0132】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応生成物からなるポリエステル樹脂が挙げられる。上記多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸等の3価以上の芳香族多価カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の5員環もしくは6員環を含む脂環式多価カルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族多価カルボン酸等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテル構造を有する多価アルコール;ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール、ロジンオール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
上記熱可塑性高分子は、質量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜850,000であることがより好ましい。上記熱可塑性高分子の質量平均分子量が10,000未満であると、硬化前の凝集力不足となる虞があるため、好ましくない。上記熱可塑性高分子の質量平均分子量が1,000,000を超えると、上記硬化性化合物との相溶性が悪くなる場合があるので、好ましくない。また、粘接着シートしての効果を得るために、ガラス転移温度(Tg)は、−40℃〜30℃であることが好ましい。Tgが−40℃未満であると、接着強度が不足するおそれがあるため、好ましくない。また、Tgが30℃を超えると、初期粘着力が不足するおそれがあるため、好ましくない。ここで、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算の値である。
【0134】
本発明の感光性樹脂組成物における、熱可塑性高分子の含有量は、目的とする用途により適宜設定する必要があるが、樹脂組成物全体を100質量部としたときに5質量部以上75質量部以下であることが好ましい。2質量部以上とすることで、応力緩和性に優れ、耐サーマルサイクル性に効果を示す。また、75質量部を超えると、硬化した際の接着強度や耐久性が不十分なものとなる。なお、「樹脂組成物全体」は、上記「硬化性化合物」及び「熱可塑性高分子」のほか、下記「他の高分子」も含んだ樹脂組成物の全体であることを示している。
【0135】
(他の高分子)
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、上記「硬化性化合物」と、「熱可塑性高分子」との何れとも異なる、熱硬化性樹脂等の他の樹脂が含有されていてもよい。上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0136】
<溶剤>
また、本発明の感光性樹脂組成物を粘接着シート用で用いる場合、塗工性を高めるため、溶剤を併用することが可能である。溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の芳香族炭化水素化合物、飽和又は不飽和炭化水素化合物、エーテル類、ケトン類、エステル類が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、溶剤の使用量も特に限定されるものではなく、塗布方法に合せて適宜設定すればよい。ただし、残留溶媒量の観点から、溶剤は感光性樹脂組成物中に10〜70質量%になるように配合されることが好ましい。
【0137】
[粘接着シート]
本発明の粘接着シートは、上記感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層を少なくとも有することを特徴とする。すなわち、本発明の粘接着シートは、例えば、基材/粘接着剤層/剥離フィルムのように基材上に粘接着剤層が形成されている構成であってもよいし、剥離フィルム/粘接着剤層/剥離フィルムのように基材レス型の両面粘接着シートの構成であってもよい。上記感光性樹脂組成物は、電磁波の照射前には粘着性を有するため、シート状に成形するに際して、離型処理された基材や剥離フィルム等の支持体に積層し、更に他面を同様に離型処理された保護材となる剥離フィルム等で積層被覆されることが好ましい。
以下、基材、剥離フィルム、及び粘接着シートについて順に説明する。なお、粘接着とは、粘着又は接着のいずれも含む意味であり、粘着とは剥離を想定した一時的な接合、接着とは剥離を想定しない永久接合を通常意味し、本発明はいずれも含む概念である。
【0138】
<基材>
本発明の粘接着シートでは、基材は、特に限定されるものではなく、織布、編布、不織布、フィルム等の適宜の材料を選択することができるが、電磁波を照射するという観点から透明であることが好ましい。ここで、透明とは、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよく、可視領域(380〜780nm)における光透過率が80%以上であることをいう。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。基材として光を透過しない材料を選択した場合には、基材上に形成した粘接着剤層に、該粘接着剤層側から光を照射し、別の基材を上から張り合わせた後、加熱することで接着させることが可能となる。なお、塩基発生剤は酸を発生しないため、アルミや銅といった金属箔基材の使用も可能である。
【0139】
基材は、必要な強度、柔軟性、好ましくは上記のような光透過性を有していれば、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。一般的には、合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、単層であってもよいし、2層以上の積層体であってもよい。機械的強度の観点から、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが好ましい。なお、本発明では、上記合成樹脂の中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、価格等の観点から、ポリエステル系樹脂やポリカーボネート系樹脂を用いることが特に好ましい。
【0140】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0141】
基材の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、12〜250μm程度であるが、好ましくは25〜250μmである。上記範囲であれば、機械的強度が十分であり、反り、弛み、破断等を生じ難く、作業性が良好であり、また、連続帯状で供給して加工することも可能である。なお、上記の厚さを超えると、過剰性能でコスト高になる場合がある。
【0142】
基材の形成方法は、特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等の従来公知の製膜方法を用いることができる。また、上記方法により予めフィルム状に製膜された市販の基材を使用してもよい。
【0143】
なお、基材には濡れ性を向上させるために、その片面又は両面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の公知の易接着処理を施してもよい。
【0144】
<剥離フィルム>
本発明の粘接着シートでは、上記感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層の一方又は両方の面に剥離フィルムを備えていてもよい。本発明の粘接着シートでは、剥離フィルムは、剥離性を有する剥離部材からなり、粘接着剤層の表面を保護する機能を有し、使用に際して剥離除去されるものである。剥離部材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルム又はそれらの発泡フィルムに、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを挙げることができる。剥離フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは12〜188μmである。
【0145】
[粘接着シートの製造方法]
上記した、粘接着シート用の感光性樹脂組成物を使用した粘接着シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。ここでは、上記剥離フィルム上に、上記粘接着シート用の感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層が形成されている構成の粘接着シートである場合について説明する。まず、上記塩基発生剤と、上記硬化性化合物と、上記メルカプト基を有する化合物と、上記熱可塑性高分子と、必要に応じて各種添加剤と、有機溶剤と、を混合撹拌した後、脱泡させて膜形成用塗工液を調製する。次いで、上記剥離フィルムの剥離処理面上に、上記塗工液をアプリケーター等により全面塗工し、粘接着剤層を形成する。そして、乾燥させ、上記粘接着剤層面上に、更に上記剥離フィルムの剥離処理面をラミネートすることにより、本発明の粘接着シートを形成することができる。
【0146】
感光性樹脂組成物の粘度が塗布に適さない程度に高い場合には、適宜、溶剤で希釈した上で、塗工後に乾燥することにより溶剤を除去するとよい。感光性樹脂組成物の粘度が塗布できる程度であれば、特に溶剤は不要である。
【0147】
上記剥離フィルム上に、上記粘接着剤層形成用塗工液を塗工する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。印刷による形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。コーティングによる方法としては、例えば、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等が挙げられる。
【0148】
粘接着剤層の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは1〜250μmである。上記範囲であれば、粘着物性が安定する。なお、厚みが1μm未満であると、接合部材の表面凹凸によって粘接着シートの粘接着性に影響を与える場合があり、500μmを超えると、硬化が十分進行しない、又は、硬化時間が長くなる場合がある。
【0149】
本発明の粘接着シートの厚みは、特に限定されるものではないが、1〜500μmであることが好ましく、10〜300μmであることがより好ましい。上記範囲であれば、適度な柔軟性を有するので、取り扱いが容易となる。
【0150】
本発明の粘接着シートは、感光性樹脂組成物が塩基硬化型(アニオン硬化型)であり、酸の発生がない。そのため、被着対象が金属等であっても腐食のおそれがなく、被着対象を広範囲に選定することができる。
【0151】
また、本発明の粘接着シートは、電磁波の照射前は150℃程度まで加熱しても硬化しない。そのため、シート状態での長期保存が可能であり、未使用製品としての保存期間を長くすることができる。
【0152】
上記の粘接着シートを被着対象に貼り付けた後、必要に応じてその後の硬化のために加熱を行なう。加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、粘接着用途を考慮すると60〜100℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、例えば、60〜100℃であれば、1時間程度加熱することにより硬化する。
【0153】
本発明の粘接着シートは、電磁波の照射前は加熱をするまでは硬化しないので、可使時間の調整が可能で作業性に優れる。そして、電磁波の照射後は100℃以下の低温で速やかに硬化が進行する。このため、耐熱性に乏しい箇所への粘接着が可能である。また、事前に電磁波を照射しておけば加熱のみで硬化するので、光透過性のない基材も適用可能であり、被着対象との関係でも光透過性を考慮する必要がないという、従来の粘接着シートでは達成できなかった優れた効果を奏するものである。
【実施例】
【0154】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
【0155】
<合成例1:塩基発生剤A>
100mLフラスコにメタノール15mLを入れ、そこに炭酸カリウム2.00gを加えた。次いで、50mLフラスコにメタノール10mLを入れ、そこにエトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業(株)製)2.67g(6.2mmol)及び2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルベンズアルデヒド1.7g(6.2mmol)を添加し、溶解させた後、よく撹拌した上記炭酸カリウムのメタノール溶液をゆっくりと滴下した。そして、3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認した。次いで、ろ過により炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加えて、1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除き、濃塩酸を滴下して反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムで洗浄することにより2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸を1.7g得た。続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中で、2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルケイ皮酸1.0g(3.19mmol)を脱水テトラヒドロフラン10mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.73g(3.83mmol,1.2eq)を加えた。30分後に、アミンとしてピペリジン(東京化成社製)129mg(1.52mmol、0.95eq)を加えた後、終夜で撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮することにより、式(III)に示す塩基発生剤Aを1.0g得た。
【化7】

【0156】
<合成例2:塩基発生剤B>
上記2−ヒドロキシ−4−(5−エチルヘキシルオキシ)−5−エチルベンズアルデヒドの代わりに2−ヒドロキシ−5−(5−エチルヘキシルオキシ)ベンズアルデヒド1.5g(6.2mmol)を添加したほかは、合成例1と同じ工程を経ることで、式(IV)に示す塩基発生剤Bを0.8g得た。
【化8】

【0157】
なお、製造された塩基発生剤は、H NMR測定により、化学構造を確認した。H NMR測定は、核磁気共鳴装置JEOL JNM−LA400WB(日本電子社製)を用いて行った。
【0158】
<接着剤用の感光性樹脂組成物の比較>
【表1】

【0159】
<実施例1>
硬化性化合物であるエポキシ樹脂(商品名「jER 828」,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,固形分:100%,エポキシ当量:184〜194g/eq.,質量平均分子量:370,三菱化学社製)100質量部と、メルカプト基を有する硬化剤であるPEMP(ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、商品名「QX40」,粘度:400〜550mPa・s/25℃,メルカプタン当量:125〜137g/eq,三菱化学社製)70質量部と、塩基発生剤A(発生塩基:ピペリジン)5質量部とを、撹拌機(製品名「T.K.ホモディスパー2.5型」,PRIMIX社製)を用いて混合撹拌した後、脱泡させて実施例1の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。上記の感光性樹脂組成物の粘度を測定した結果、1450mPa・s/25℃であった。なお、粘度の測定は、TVB25L型粘度計(東機産業製)を用いて行った。
【0160】
<実施例2>
塩基発生剤Aの代わりに塩基発生剤B(発生塩基:ピペリジン)を5質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例2の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。上記の感光性樹脂組成物の粘度を測定した結果、1430mPa・s/25℃であった。
【0161】
<実施例3>
添加剤として、コロイダル炭酸カルシウム(商品名「ネオライトSA−100G」,竹原化学社製)を85質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例3の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。上記の感光性樹脂組成物の粘度を測定した結果、17450mPa・s/25℃であった。
【0162】
<実施例4>
熱可塑性樹脂(商品名「バイロン300」,高分子ポリエステル樹脂,固形分:100%,質量平均分子量:23000,Tg:7℃,東洋紡績社製)15質量部と、酸化マグネシウム(商品名「RF−10C−EC」,宇部マテリアル社製)を75質量部と、メチルエチルケトン35質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例4の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。上記の感光性樹脂組成物の粘度を測定した結果、842mPa・s/25℃であった。
【0163】
<比較例1>
塩基発生剤Aの代わりにアミンアダクト系塩基発生剤A(商品名:フジキュアFXR1020,富士化成工業社製)を5質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例1の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。
【0164】
<比較例2>
塩基発生剤Aの代わりに尿素型アダクト系の芳香族ウレア(商品名:フジキュアFXR1030,富士化成工業社製)を5質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例2の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。
【0165】
<比較例3>
塩基発生剤Aの代わりにアミンアダクト系塩基発生剤B(商品名:アミキュアMY−H,味の素ファインテクノ社製)を5質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例3の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。
【0166】
[低温での熱硬化性の確認]
低温での熱硬化性の確認は次のようにして行った。まず、ホットプレートのスイッチを入れ、プレートを120℃に加熱した。その後、プレート表面にスライドガラスを載せ、さらにレーザー式表面温度計でスライドガラス表面が120℃で安定したことを確認した。続いて、実施例1及び2に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤について、紫外線照射装置(製品名「DRE−10/12QN」,Hバルブ使用,フュージョンUVシステムズジャパン社製)を用いて、波長300〜370nmの領域で光強度が2000mJとなるように紫外線を照射した。その後、スライドガラス表面に各実施例及び比較例に係る米粒大の感光性樹脂組成物からなる接着剤を載せ、この感光性樹脂組成物を適度に延ばし、計時を開始した。計時は、接着剤の糸が引かなくなり、表面が硬くなったことを目視で確認するまで行った。そして、この計時の時間を硬化時間とした。結果を表2に示す。
【0167】
[保存性の確認]
保存性の確認は次のようにして行った。まず、各実施例及び比較例に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤を10mlの遮光瓶に密閉した後、恒温室(40℃、湿度0%)にて保管した。そして、上記接着剤がゲル化し、流動性がなくなるまでの日数をゲル化日数とした。結果を表2に示す。
【0168】
【表2】

【0169】
表2に示すように、実施例1〜2に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤は、気温が40℃の場所に放置しても7日間程度保存でき、かつ、加熱温度が比較的低温であっても150秒程度で硬化するため、十分に使用できることが確認された。さらに、添加剤をした実施例3及び高分子、溶剤、無機フィラーが添加された実施例4に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤も他の配合物による保存安定性への影響がなく、種々の用途に合わせて、任意の材料を使用できることが確認された。一方、比較例1〜3に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤は、熱効果の性能は十分であるが、気温が40℃の場所では1日しか保管できず、保存安定性を欠くことが確認された。
【0170】
[光透過性がない基材への接着性の確認]
光透過性がない基材への接着性の確認は次のようにして行った。実施例1に係る感光性樹脂組成物を銅箔に塗付した後、感光性樹脂組成物に対し、上記「低温での熱硬化性の確認」と同じ条件で紫外線を照射した。そして、上記銅箔における感光性樹脂組成物の塗布面にもう1枚の銅箔を貼り合わせて積層体を形成し、その積層体を、120℃に加熱したホットプレートの上に載せた。そして、5分経過後の貼り合わせの状態を目視で確認した。その結果、2枚の銅箔が適切に接着されていることが確認された。すなわち、本実施例に係る感光性樹脂組成物は、事前に電磁波の照射をしておけば加熱のみで硬化するので、光透過性のない基材も適用可能であり、被着対象との関係でも光透過性を考慮する必要がないという、従来の接着剤では達成できなかった優れた効果を奏することが確認された。なお、銅箔を繊維強化プラスチックに置き換えて同様の確認を行ったが、この場合においても、2枚の繊維強化プラスチックが適切に接着されていることが確認された。
【0171】
<粘接着シート用の感光性樹脂組成物の比較>
【表3】

【0172】
<実施例5>
硬化性化合物として上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂を100質量部と、メルカプト基を有する硬化剤として上記PEMPを70質量部と、上記塩基発生剤Aを5質量部とに加え、熱可塑性高分子としてエポキシ基含有アクリロニトリル系樹脂(商品名「テイサンレジンSG−P3」,固形分:15%,エポキシ当量:4760g/eq.,質量平均分子量:85万,Tg:12℃,ナガセケムテックス社製)200質量部を上記撹拌機で混合撹拌した後、脱泡させて膜形成用塗工液を調製した。この塗工液を実施例5の感光性樹脂組成物とした。
【0173】
続いて、剥離フィルム(商品名:SP−PET−03,片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム,膜厚:38μm,東セロ社製)の剥離処理面上に、上記膜形成用塗工液を塗工後の厚みが100μmとなるように、アプリケーターを用いて塗工した後、乾燥オーブンにて80℃で2分間乾燥させ、膜を形成した。次いで、得られた膜面に、剥離フィルム(商品名:SP−PET−03,片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム,膜厚:38μm,東セロ社製)の剥離処理面を、常温にて2kgのローラーを用いて貼付し、実施例5の粘接着シートを得た。
【0174】
<実施例6>
上記塩基発生剤Aの代わりに上記塩基発生剤Bを5質量部用いたこと以外は、実施例5と同様の方法にて、実施例6の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得た。
【0175】
<実施例7>
上記塩基発生剤Aの代わりに下記塩基発生剤D(発生塩基:N−メチルシクロヘキシルアミン)を5質量部用いたこと以外は、実施例5と同様の方法にて、実施例7の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得た。
【0176】
<実施例8>
上記塩基発生剤Aの代わりに下記塩基発生剤P(発生塩基:N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン)を5質量部用いたこと以外は、実施例5と同様の方法にて、実施例8の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得た。
【0177】
<比較例4>
上記塩基発生剤Aの代わりに上記アミンアダクト系塩基発生剤Aを5質量部用いたこと以外は、実施例3と同様の方法にて、比較例4の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得ようとした。しかし、塗工液を乾燥オーブンにて乾燥する際に上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化が進行してしまい、比較例4の粘接着シートを得ることはできなかった。
【0178】
<比較例5>
上記塩基発生剤Aの代わりに上記芳香族ウレアを5質量部用いたこと以外は、実施例3と同様の方法にて、比較例5の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得ようとした。しかし、塗工液を乾燥オーブンにて乾燥する際に上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化が進行してしまい、比較例5の粘接着シートを得ることはできなかった。
【0179】
<比較例6>
上記塩基発生剤Aの代わりに上記アミンアダクト系塩基発生剤Bを5質量部用いたこと以外は、実施例3と同様の方法にて、比較例6の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得ようとした。しかし、塗工液を乾燥オーブンにて乾燥する際に上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化が進行してしまい、比較例6の粘接着シートを得ることができなかった。
【0180】
<比較例7>
上記塩基発生剤Aの代わりに上記アミンアダクト系塩基発生剤Bを5質量部用い、硬化遅延剤としてホウ酸トリブチル(東京化成工業社製)を2質量部用いたこと以外は、実施例3と同様の方法にて、比較例7の感光性樹脂組成物及び粘接着シートを得た。
【0181】
[せん断強度の測定]
実施例5〜8及び比較例7の感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層を有する粘接着シートを10mm×10mmに切断した後、一方の面の剥離フィルムを剥がし、ガラス板(幅15mm×長さ50mm×厚さ3mm)に貼り合わせた。次いで、他方の面の剥離フィルムを剥がし、粘接着面を暴露させてから該面に、紫外線照射装置(製品名「DRE−10/12QN」,Hバルブ使用,フュージョンUVシステムズジャパン社製)を用いて、波長300〜370nmの領域で光強度が2000mJとなるように紫外線を照射した。その後、紫外線を照射した粘接着面に上記と同じサイズのガラス板を、2kgのローラーを用いて圧着させた。そして、乾燥オーブンにて100℃で1時間加熱した後、1日間養生し、測定温度23℃、引っ張り速度50mm/minの条件(JIS K6850に準拠)にて測定した。結果を表4に示す。
【0182】
[保存性の確認]
また、実施例5〜8及び比較例7の感光性樹脂組成物について、実施例1、2及び比較例1〜3の場合と同様に保存性の確認を行った。結果を表4に示す。
【0183】
【表4】

【0184】
表4に示すように、実施例5〜8の粘接着シートは、良好な粘着力を示し、かつ、気温が40℃の場所に放置しても7日間以上保存できることが確認された。一方、比較例4〜6については、塗工液を乾燥オーブンにて乾燥する際に上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化が進行するため、そもそも粘接着シートを得ることができなかった。また、比較例7の粘接着シートは、粘接着シートを得ることはできるものの、十分な粘着性は得られなかった。これは、硬化遅延剤を用いても乾燥工程でのエポキシ樹脂の硬化を完全に抑制できないためであると考えられる。
【0185】
<種々の塩基発生剤を用いて得られる感光性樹脂組成物からなる接着剤の硬化時間の比較>
【0186】
【表5】

【0187】
【表6】

【0188】
【表7】

【0189】
<塩基発生剤C〜AAの合成>
上記実施例から、塩基発生剤A、B、D及びPを用いた接着剤及び粘接着シートは、良好な粘着力を示し、かつ、気温が40℃の場所に放置しても7日間以上保存できることが確認された。そこで、塩基発生剤を合成するに際し、どのような構造をもったアミンを添加するのが適当であるかを確認するため、R〜Rを塩基発生剤Bと同一の置換基とし、種々の塩基発生剤を合成した。これらの塩基発生剤は、アミンとして上記表5及び6に示すものを1.52mmol、0.95eq加えたほかは、合成例2と同様の方法にて得た。
【0190】
<実施例11〜31、比較例11〜14>
塩基発生剤の種類が上記表5〜7に示すものであるほかは、実施例1と同様の方法にて、実施例11〜31及び比較例11〜14の感光性樹脂組成物からなる接着剤を得た。そして、これらの接着剤について、低温での熱硬化性を確認した。結果を上記表5〜7に示す。
【0191】
表5及び6に示すように、実施例11〜31に係る感光性樹脂組成物からなる接着剤は、気温が40℃の場所に放置しても7日間程度保存でき、十分に使用できることが確認された。このことは、一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立した水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基であればよいところまで一般化できることを示唆している。
【化9】

【0192】
特に、塩基発生剤の合成に際して添加するアミンが第2級アミンであると、加熱温度が比較的低温であっても短時間で硬化する点で好ましいことが確認された(実施例11〜25)。中でも、R又はRの少なくとも一方がメチル基であると、硬化時間がより短い点で好ましいことが確認され(実施例12、14及び16)、R及びRが結合して環状構造を形成していると、硬化時間がさらに短い点でより好ましいことが確認された(実施例2、18〜25)。この環状構造において、環中にはヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよいことが確認された(実施例23)。また、一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を電磁波の照射と加熱とにより発生するような電磁波潜在性部位が更に結合している場合においても、加熱温度が比較的低温であっても短時間で硬化するため、十分に使用できることが確認された(実施例24、25)。
【0193】
上記の接着剤は、電磁波の照射前は硬化しないので、可使時間の調整が可能で作業性に優れる。そして、電磁波の照射後は100℃以下の低温で速やかに硬化が進行する。このため、耐熱性に乏しい箇所への粘接着が可能である。また、事前に電磁波の照射をしておけば加熱のみで硬化するので、光透過性のない基材も適用可能であり、被着対象との関係でも光透過性を考慮する必要がないという、従来の接着剤では達成できなかった優れた効果を奏するものである。
【0194】
一方、塩基発生剤の合成に際して添加するアミンが芳香族アミンであると、芳香族アミンは、溶解性が悪く、塩基発生剤の濃度を実施例11〜31と同程度にすることができなかった(比較例11〜14)。また、作成した感光性樹脂組成物を利用して低温での熱硬化性の確認実験を行ったが、硬化しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物と、高分子とを含有し、
前記塩基発生剤は、下記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンである感光性樹脂組成物からなる粘接着剤層を少なくとも有する粘接着シート。
【化1】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R及びRは、直鎖状でも分岐鎖を含む直鎖状でもよく、R及びRが結合して環状構造を形成していてもよい。但し、R及びRの少なくとも1つは置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である。R及びRは、それぞれ独立に水素又は1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立に水素、1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよく、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。Rは加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
【請求項2】
前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R及びRが同一であっても異なっていてもよい置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である、請求項1に記載の粘接着シート。
【請求項3】
前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基である、請求項1又は2に記載の粘接着シート。
【請求項4】
前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R〜Rの少なくとも一つが、炭素数4以上であり置換基を含んでもよく、不飽和結合を含んでもよい、直鎖又は分岐鎖を有する直鎖の炭化水素基であるか、酸素原子及び硫黄原子を含む結合を介して置換基がベンゼン環に結合する、請求項1又は2に記載の粘接着シート。
【請求項5】
前記塩基発生剤が、前記一般式(I)中、R及びRが結合して環状構造を形成する、請求項1又は2に記載の粘接着シート。
【請求項6】
前記環状構造は、5から7員環である、請求項5に記載の粘接着シート。
【請求項7】
前記塩基発生剤が、前記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、前記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している、請求項1から6のいずれかに記載の粘接着シート。
【請求項8】
前記高分子が熱可塑性高分子である、請求項1から7のいずれかに記載の粘接着シート。
【請求項9】
前記熱可塑性高分子のガラス転移温度(Tg)が−40℃〜30℃であり、質量平均分子量が10,000〜1,000,000である、請求項8に記載の粘接着シート。
【請求項10】
電磁波の照射、又は電磁波の照射後の加熱により塩基を発生する塩基発生剤と、分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有する硬化性化合物と、分子中にメルカプト基を有する化合物とを含有し、
前記塩基発生剤は、下記一般式(I)で表され、発生する塩基性物質が脂肪族アミンであり、25℃での粘度が0.1〜1,000Pa・sである感光性樹脂組成物。
【化2】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素又は置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R及びRは、直鎖状でも分岐鎖を含む直鎖状でもよく、R及びRが結合して環状構造を形成していてもよい。但し、R及びRの少なくとも1つは置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である。R及びRは、それぞれ独立に水素又は1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立に水素、1価の置換基を表し、同一であっても異なっていてもよく、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。Rは加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
【請求項11】
前記一般式(I)中、R及びRが同一であっても異なっていてもよい置換基を含んでもよく不飽和結合を含んでもよい炭化水素である、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記一般式(I)中、R又はRの少なくとも一方がハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基である、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記一般式(I)中、R〜Rの少なくとも一つが、
炭素数4以上であり置換基を含んでもよく、不飽和結合を含んでもよい、直鎖又は分岐鎖を有する直鎖の炭化水素基であるか、
酸素原子及び硫黄原子を含む結合を介して置換基がベンゼン環に結合する、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記一般式(I)中、R及びRが結合して環状構造を形成する、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記環状構造は、5から7員環である、請求項14に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記一般式(I)のR及び/又はRの1つ以上の末端に、前記一般式(I)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している、請求項10から15のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
無溶媒である、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
無機フィラーを含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
高分子を含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項20】
溶剤を含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項21】
無溶媒であり、無機フィラー、高分子を含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項22】
溶剤を含み、無機フィラー、高分子を含む、請求項10から16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−87149(P2013−87149A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226789(P2011−226789)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】