説明

感光性樹脂組成物

【課題】印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト、めっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性と高密着性を有し、更にレジスト剥離性にも優れた光重合性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)下記一般式(I)で表されるイミド化合物Aを含む光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体に関し、更に詳しくはプリント回路板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造に適したアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや携帯電話等に用いられる電子機器の軽薄短小化が加速し、これらに搭載されるプリント配線板やリードフレーム、BGA、CSP等のパッケージには狭ピッチのパターンが要求されている。印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野においては、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として光重合性樹脂組成物及びそれを用いたドライフィルムレジストを使用することが知られている。ドライフィルムレジストは、一般に支持体上に光重合性樹脂組成物層を積層し、さらに該光重合性樹脂組成物層の上に必要により保護層を積層することにより調製される。ここで用いられる光重合性樹脂組成物層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
【0003】
ドライフィルムレジスト用積層体を用いて印刷配線板を作製するには、まず保護層を剥離した後、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作成用基板の上にラミネーター等を用いドライフィルムレジストを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通して露光を行う。次に必要に応じて支持体を剥離し、現像液により未露光部分の光重合性樹脂層を溶解又は分散除去して、基板上にレジストパターンを形成する。
【0004】
レジストパターン形成後、回路を形成するプロセスは、大きく2つの方法に分かれる。第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない銅張り積層板等の銅面をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法である。この場合、工程の簡便さから、貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆い、その後エッチングする方法(テンティング法)が多用されている。第二の方法は同上の銅面上に銅めっき処理を施し、必要であれば更に半田、ニッケル、錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた銅張り積層板等の銅面をエッチングする方法(めっき法)である。エッチングには、塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液、硫酸/過酸化水素水溶液等の酸性エッチング液が用いられる。
【0005】
狭ピッチのパターンを歩留り良く製造する為には、ドライフィルムレジスト用積層体に関して高解像性と高密着性が要求され、生産性を向上させるという観点から、現像時間や剥離時間の短縮が要求される。特に最近では、狭ピッチのパターンを歩留りよく製造する観点から、めっき法の重要性が増してきている。
【0006】
めっき法においては、レジストのめっき液耐性が重要であり、めっき液耐性が十分でないと、めっきの前処理の際に処理液がレジストと基板の間に浸透し、硬化したレジストのアンダーカットが起こり、レジストが基板から浮き上がるような現象が発生しやすくなる。このような現象が起こると、めっきもぐり(めっきがレジストの下部にまで及ぶ現象)が発生してしまうので、めっき液耐性に優れるフォトレジストが望まれている。また、近年の配線パターンの狭ピッチ化に伴い、回路配線幅は縮小し続けると同時に、配線回路の電気特性等の観点から、レジストの厚みに対して金属めっき厚さも増大し、フォトレジストは非常に狭い空間に施された金属めっき皮膜により封入される。結果として公知方法による剥離除去が困難になる。レジストが完全に除去されないならば、その後のエッチング工程により不完全な配線回路が得られ、好ましくないことから、剥離性に優れるフォトレジストが望まれている。増大する金属めっき厚みに適合するため、厚いフォトレジストが試みられる場合もあるが、この方法ではレジストの解像性や密着性が損なわれてしまう為、狭ピッチ配線パターン製造のためには、この方法は制限される。
【0007】
レジストの解像性、密着性に関しては、例えば特定のカルボキシル基含有バインダー成分(以下、特許文献1参照)を含有する方法が提案されているが、レジストの解像性、密着性を向上する点では効果があるが、金属めっき後のレジスト剥離性に関しては検討の余地がある。また、レジスト剥離性に関しては、同様にして特定のカルボキシル基含有バインダー成分(以下、特許文献2参照)を含有する方法が提案されているが、剥離片サイズを微細化し、金属めっき時のレジスト剥離性には効果があるが、レジスト解像性、密着性に関しては近年の狭ピッチ化には十分に対応できていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−110008号公報
【特許文献2】特開平5−36581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を克服し、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性と高密着性を有し、更にレジスト剥離性にも優れた光重合性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を続け、(b)光重合可能な不飽和化合物としてある種のイミド化合物を使用すると、密着性・解像性が大幅に向上することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、以下の[1]〜[5]のとおりである:
[1](a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)として下記一般式(I):
【化1】

{式中、Rは、エチレン性不飽和基を有する1価の有機基である。}で表されるイミド化合物Aを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0012】
[2]前記(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記一般式(II):
【化2】

{式中、R10、及びR11は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、C24であり、Bは、C36であり、n5+n6は、2〜30の整数であり、n7+n8は、0〜30の整数であり、n5、及びn6は、1〜29の整数であり、n7、及びn8は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される光重合可能な不飽和化合物の群から選ばれる少なくとも一種をさらに含有する、前記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
[3]前記(c)光重合開始剤として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する、前記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
[4]支持体上に前記[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
【0015】
[5]前記[4]に記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を形成し、露光し、現像する工程を含むレジストパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光重合性樹脂組成物は、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野においてエッチングレジスト、めっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性と高密着性及びめっき液耐性を有し、更にレジスト剥離性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)光重合可能な不飽和化合物として一般式(I):
【化3】

{式中、Rは、エチレン性不飽和基を有する1価の有機基である。}で表されるイミド化合物Aを含有することを特徴とする。
イミド化合物Aを含有することにより、レジストの解像度・密着性を発現しつつ、良好な金属めっき時の剥膜性を得ることができる。
【0018】
本発明におけるイミド化合物Aに含まれる、エチレン性不飽和基を有する1価の有機基としては、二価の有機基とエチレン性不飽和基とを結合したものが例示できる。該二価の有機基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;オキシエチレン、オキシプロピレンなどのオキシアルキレン基;それらを組み合わせた基とエチレン性不飽和基を結合したものなどが例示できる。該二価の有機基は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、N-オキシド基、N-ヒドロキシ基、ヒドラジン基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、オキシ基、エポキシ基、オキソ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、フェニル基、ホスフィノ基、チオ基、S-オキシド (S→O) 基、チオキシ (=S) 基、ペルオキシ基、ケトン基、アシル基、アセチル基、アルデヒド基、アセタール、ヘミアセタール、チオエステル、硝酸エステル、リン酸エステル、アミド、チオアミド、イミド、アミジン、シアノ、オキシム、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸、スルフェン酸、ウレア、ウレタン - 尿素誘導体、グアニジン、チオ尿素、イソニトリル (-NC) 、アレン (>C=C=C<) 、ケテン (-C=C=O) 、ジイミド (-N=C=N-) 、イソシアネート (-N=C=O)、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合などにより一部置換されていてもよい。
【0019】
二価の有機基とエチレン性不飽和基とを結合する官能基としては、エーテル結合 、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合などが例示できる。
前記エチレン性不飽和基としては、後述する露光時のレジスト硬化速度を勘案すると、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリル基であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中の前記イミド化合物Aの含有量としては、2%〜50重量%が好ましく、7%〜から30重量%がより好ましい。
【0020】
本発明において、(b)光重合可能な不飽和化合物として、前記イミド化合物Aに加えて、下記のような化合物が使用できる。
本発明において、(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記一般式(II):
【化4】

{式中、R10、及びR11は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、C24であり、Bは、C36であり、n5+n6は、2〜30の整数であり、n7+n8は、0〜30の整数であり、n5、及びn6は、1〜29の整数であり、n7、及びn8は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の光重合可能な不飽和化合物を含有することは、解像度の観点から本発明の好ましい実施態様である。
【0021】
上記一般式(II)で表される化合物において、n5+n6及びn7+n8が30を超えると、相対的にネガ型感光性樹脂層(A)中の二重結合濃度が低くなるので、充分な感度が得られない。n5+n6は、4〜14が好ましく、n7+n8は0〜14が好ましい。
【0022】
本発明に用いることができる上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートや、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)がある。
【0023】
下記一般式(III):
【化5】

{式中、R8及びR9は、H又はCH3 であり、これらは同一であっても相違してもよく、n2、n3及びn4は、3〜20の整数である。}で表される化合物は、n2、n3及びn4が、3よりも小さいと当該化合物の沸点が低下して、レジストの臭気が強くなり、使用が困難になる。n2、3及びn4が、20を超えると単位重量あたりの光活性部位の濃度が低くなるため、実用的感度が得られない。
【0024】
本発明に用いることができる上記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレートが挙げられる。
【0025】
下記一般式(IV):
【化6】

{式中、R12は、炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R13及びR14は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、m、m、m及びmは、0〜15の整数であり、−(OCm1−(OCm3−及び−(OCm2−(OCm4−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、そしてブロックの場合、どちらがアクリロイル基側であってもよい。}で表される化合物は、m、m、m及びmが、15を超えると十分な感度が得られない。
【0026】
本発明に用いることができる上記一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、一分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を有する化合物(2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート等)とのウレタン化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPE−200)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマー70PEP−350B)との反応物がある。
【0027】
下記一般式(V):
【化7】

{式中、R15は、H又はCH3であり、R16は、水素原子又は炭素数1〜14のアルキル基であり、A’は、C24であり、B’は、C36であり、m3は、1〜12ので整数であり、m4は、0〜12の整数であり、m5は、1〜3の整数であり、そして−(A’−O)−及び−(B’−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される化合物は、m3及びm4が、12を超えると十分な感度が得られない。また、m5が、14を超えても十分な感度が得られない。
【0028】
本発明に用いることができる一般式(V)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレートが挙げられる。
【0029】
平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(東亞合成(株)製、M−114)も挙げられる。
【0030】
本発明に用いる(b)光重合可能な不飽和化合物としては、上記したもの以外に以下に示す光重合可能な不飽和化合物を同時に併用することもできる。例えば、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート等が挙げられる。
【0031】
(b)光重合可能な不飽和化合物の、感光性樹脂組成物全体に対する割合は、3〜70質量%の範囲である。感度の点から3質量%以上が好ましく、保存時における光重合性層のはみ出し抑制の観点から、70質量%以下が好ましい。好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%である。
【0032】
次に(a)バインダー用樹脂について説明する。
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量を言う。
【0033】
重合体中のカルボキシル基は、感光性樹脂層にアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量が100未満では、現像耐性が低下し、解像性及び密着性に悪影響を及ぼし、600を超えると、現像性及び剥離性が低下する。酸当量の測定は、平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
【0034】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、5千〜50万である必要がある。重量平均分子量が、50万を超えると現像性が低下し、5千未満ではテンティング膜強度が低下し、エッジフューズが著しくなる。プロジェクション露光機を使用してi線単色露光した際の解像度が向上するという点から、重量平均分子量は1万〜4万であることが好ましい。
【0035】
重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
【0036】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂は、下記の2種類の単量体の内から、各々一種又はそれ以上の単量体を共重合させることにより得られる。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
【0037】
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、感光性樹脂層の現像性、エッチング、めっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。このようなものとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、高解像度の点でフェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)を用いることは本発明の好ましい実施態様である。
【0038】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂は、好ましくは、上記単量体の混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、過熱攪拌することにより合成される。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、乳化重合を用いてもよい。
【0039】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂の感光性樹脂組成物全体に対する割合は、20〜90質量%の範囲であり、好ましくは30〜70質量%である。(a)バインダー用樹脂の割合が、20質量%未満である場合と90質量%を超える場合には、露光、現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング、各種めっき工程において十分な耐性等を有しない。
【0040】
次に(c)光重合開始剤について説明する。
本発明において、(c)光重合開始剤として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことは高解像度の観点から好ましい実施態様である。前記トリイミダゾール二量体としては、下記一般式(VI):
【化8】

{式中、X、Y及びZは、水素、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、1〜5の整数である。}で表される化合物、及び下記一般式(VII):
【化9】

{式中、X、Y及びZは、水素、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、1〜5の整数である。}で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体が特に好ましい。
【0041】
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体には、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等があるが、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0042】
本発明に用いられる(c)光重合開始剤として、上記一般式(VI)及び/又は一般式(VII)で表される2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とベンゾフェノン及びび/又はベンゾフェノン誘導体を併用する系が好ましい。このようなベンゾフェノン誘導体としては、感度の観点から、p−アミノフェニルケトンが特に好ましい。p−アミノフェニルケトンとしては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0043】
また、上記した化合物以外に、他の光重合開始剤との併用も可能である。ここでの光重合開始剤とは、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する公知の化合物である。
【0044】
他の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類、9−フェニルアクリジン等のアクリジン化合物、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。また、例えばチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類と、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等の三級アミン化合物との組み合わせも挙げられる。
【0045】
さらに、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等や、N−アリール−α−アミノ酸化合物も用いることも可能であり、これらの中では、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
【0046】
本発明において、光重合開始剤(c)の割合は、0.1質量%〜20質量%である必要がある。十分な感度を得るために、0.1質量%以上であり、解像性向上の観点から20質量%以下である。
【0047】
本発明の感光性樹脂組成物には、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。用いられる着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。用いられる発色系染料としては、例えば、ロイコ染料又はフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。
【0049】
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1−トリクロロ−2、2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物等が挙げられる。
【0050】
トリアジン化合物としては、2、4、6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
このような発色系染料の中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0052】
また、本発明の感光性組成物に、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類やp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0053】
ドライフィルム型の感光性樹脂積層体とする場合には、上記感光性樹脂組成物を支持層上に塗工する。ここで用いられる支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
【0054】
また、支持層のヘーズは5.0以下であるものが好ましい。支持層の厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが一般的である。
【0055】
支持体層と積層した感光性樹脂層の反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。支持層よりも保護層の方が感光性樹脂層との密着力が十分に小さく、容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
感光性樹脂層の厚みは、用途において異なるが、プリント回路板作製用には5〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、感光性樹脂層が薄いほど解像力は向上する。また、感光性樹脂層が厚いほど膜強度が向上する。
【0056】
感光性樹脂積層体を用いたプリント回路板の作成工程は、公知の技術により行われるが、以下に簡単に述べる。
保護層がある場合は、まず保護層を剥離した後、感光性樹脂層を基板、つまり、プリント回路板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は、一般的に、40〜160℃である。
次に、必要ならば支持層を剥離しマスクフィルムを通して活性光により画像露光する。
次いで、感光性樹脂層上に支持層がある場合には、必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて感光性樹脂層の未露光部を現像除去する。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。これらのアルカリ水溶液は感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0057】
次に、現像により露出した金属面に既知のエッチング法、又はめっき法のいずれかの方法を行うことにより、金属の画像パターンを形成する。
その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液により硬化レジストパターンを剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1〜5質量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。また、セミアディティブ工法等めっき工程を設けた場合には、レジストパターンを剥離後に、レジストパターンの下に現れた銅面をエッチングする場合もある。
【0058】
本発明のドライフィルムを用いてリードフレームを製造する場合、前記の銅張り積層板やフレキシブル基板等の代わりに、銅、銅合金、鉄系合金等の金属板の片面又は両面に感光性樹脂層をラミネートし、露光、現像を行った後、エッチングする。最終的に硬化レジストの剥離を行い、所望のリードフレームを得る。
また、本発明のドライフィルムレジストを用いて半導体パッケージを製造する場合、LSIとしての回路形成が終了したウェハに光重合性樹脂層をラミネートし、露光、現像を行った後、開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施す。次に硬化レジストの剥離を行い、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去することにより、所望の半導体パッケージを得る。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施形態の例を具体的に説明する。
(実施例1〜4、比較例1)
<光重合性樹脂組成物>
実施例1〜4、及び比較例1において用いた光重合性樹脂組成物の組成を下記表1に示す。
以下に、実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
【0060】
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における光重合性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<カルボキシル基含有バインダーの作製>
まず、下記に示すバインダーを準備した。
(合成例)
窒素導入口、攪拌羽根、ジムロート及び温度計を備えた1000ccの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でメチルエチルケトン300gを入れ、湯浴の温度を80℃に上げた。次いでメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレートをそれぞれ30/20/50(質量比)の組成比で合計400gの溶液を調製した。この調製液に、アゾビスイソブチロ二トリル3gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を作製し、攪拌しながら2時間かけて滴下した。その後6時間重合した(一次重合)。その後アゾビスイソブチロ二トリル6gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を4時間置きに3回に分けて滴下した後、5時間加熱攪拌した(二次重合)。次いでメチルエチルケトン240gを添加して重合反応物をフラスコから取り出して、バインダー溶液を得た。この時の重量平均分子量は5.5万、分散度は1.8、酸当量は290であった。得られたバインダー溶液中のメチルエチルケトンを十分に除去し測定した樹脂固形分は、41%であった。
【0061】
<光重合性樹脂積層体の作製>
下記表1に示す組成の光重合性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持体として19μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して光重合性樹脂層を形成した。光重合性樹脂層の厚みは25μmであった。
次いで、光重合性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて光重合性樹脂積層体を得た。
【0062】
<基板整面>
解像度、密着性、めっき液耐性及び剥離性についての評価用基板として、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板表面をスプレー圧0.20MPaでジェットスクラブ研磨(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標)#220)したものを用意した。
【0063】
<ラミネート>
光重合性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板にホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
【0064】
<露光>
光重合性樹脂層に評価に必要なパターンマスクを支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に置き、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製、HMW−201KB)により100mJ/cm2 の露光量で露光した。
【0065】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の1質量%Na2 CO3 水溶液を所定時間スプレーし、光重合性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分の光重合性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
【0066】
<めっき前処理>
現像後の耐めっき性評価基板を、酸性脱脂FRX(10%水溶液、アトテックジャパン(株)製)浴に、40℃で4分浸せきした。水洗した後10%硫酸水溶液に室温下2分浸せきした。
【0067】
<硫酸銅めっき>
硫酸銅コンク(メルテックス(株)製)を19wt%硫酸で3.6倍に希釈し、濃塩酸を200ppm添加した。次いで光沢剤としてカパラシッドHLとカパラシッドGSをそれぞれ0.4ml/L、20ml/L添加した。めっき前処理後の耐めっき性評価基板(6cm×12.5cm)を、作成された硫酸銅めっき液を用いてハーリングセル均一めっき装置(株式会社 山本鍍金試験器社製)により、印加電流0.4Aで60分間めっきした。このときの銅めっき被膜の厚みは20μm厚であった。
【0068】
<剥離>
めっき処理を施した評価基板を、50℃、3wt%の苛性ソーダ水溶液にてスプレーして、レジスト膜を剥離除去した。
【0069】
2.評価方法
(1)解像度
ラミネート後15分経過した解像度評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とした。下記表1中の評価結果を以下で示す:
◎:解像度の値が10μm以下;
○:解像度の値が10μmを超え、15μm以下;
△:解像度の値が15μmを超え、20μm以下;
×:解像度の値が20μmを超える。
【0070】
(2)剥離性
ラミネート後15分経過した剥離性評価用基板に、ライン/スペースが6μm/6μmから30μm/30μmまで2μm刻みで変化させた回路パターンが描画されたガラスマスクフィルムを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像した後、硫酸銅めっきを行い、さらに硬化レジストを剥離した。レジスト剥離後の硫酸銅めっきラインを光学顕微鏡で観察し、レジストパターンの剥離性を、以下のようにランク付けした:
◎:レジスト剥離残りが発生する配線パターンが10μm以下;
○:レジスト剥離残りが発生する配線パターンが10μmを超え、15μm以下;
△:レジスト剥離残りが発生する配線パターンが15μmを超え、20μm以下;
×:レジスト剥離残りが発生する配線パターンが20μmを超える。
【0071】
3.評価結果
実施例1〜4、及び比較例1の評価結果を以下の表1に示す。
【0072】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト、めっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性と高密着性及びめっき液耐性を有し、更にレジスト剥離性にも優れた光重合性樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)として下記一般式(I):
【化1】

{式中、Rは、エチレン性不飽和基を有する1価の有機基である。}で表されるイミド化合物Aを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記一般式(II):
【化2】

{式中、R10、及びR11は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、Aは、C24であり、Bは、C36であり、n5+n6は、2〜30の整数であり、n7+n8は、0〜30の整数であり、n5、及びn6は、1〜29の整数であり、n7、及びn8は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される光重合可能な不飽和化合物の群から選ばれる少なくとも一種をさらに含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(c)光重合開始剤として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
支持体上に請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
【請求項5】
請求項4に記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を形成し、露光し、現像する工程を含むレジストパターンの形成方法。

【公開番号】特開2010−181817(P2010−181817A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27540(P2009−27540)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】