説明

感光性樹脂組成物

【課題】耐熱性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む感光性樹脂組成物。
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む共重合体(ただし、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位は有さない。) (B)炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位を含む重合体 (C)重合性化合物 (D)重合開始剤 (E)溶剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置等では、カラーフィルタ、液晶表示素子のITO電極、有機EL表示素子、回路配線基板等がインクジェット法により作製される。また、インクジェット法においては、感光性樹脂組成物を用いて形成された隔壁が利用される。
このような感光性樹脂組成物としては、例えば、炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレートを重合して得られる重合体を含む感光性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来から提案されている感光性樹脂組成物では、得られるパターンの耐熱性について必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1](A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む感光性樹脂組成物。
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む共重合体(ただし、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位は有さない。)
(B)炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位を含む重合体
(C)重合性化合物
(D)重合開始剤
(E)溶剤
【0006】
[2](B)が、さらに不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を含む共重合体である[1]記載の感光性樹脂組成物。
[3](C)が、オキシム化合物を含む重合開始剤である[1]又は[2]記載の感光性樹脂組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか記載の感光性樹脂組成物により形成されるパターン。
[5][1]〜[3]のいずれか記載の感光性樹脂組成物により形成されるインクジェット用隔壁。
[6][4]記載のパターン及び[5]記載のインクジェット用隔壁からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、耐熱性に優れたパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む感光性樹脂組成物である。
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む共重合体(ただし、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位は有さない。)(以下「樹脂(A)」という場合がある)
(B)炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位を含む重合体(以下「樹脂(B)」という場合がある)
(C)重合性化合物
(D)重合開始剤
(E)溶剤
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)及び樹脂(B)とは異なる樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある)、重合開始助剤(D1)、多官能チオール化合物(T)及び界面活性剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
なお、本明細書においては、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は組合せて使用することができる。
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)を含む。樹脂(A)としては、
樹脂(A−1):不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)と炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する不飽和化合物(b)(以下「(b)」という場合がある)とを重合してなる共重合体、
樹脂(A−2):(a)及び(b)と共重合可能な単量体(c)(ただし、炭素数2〜4の環状エーテル構造は有さない。)(以下「(c)」という場合がある)と、(a)と、(b)とを重合してなる共重合体が挙げられる。ただし、(a)、(b)及び(c)は、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有さない。
樹脂(A)としては、樹脂(A−1)が好ましい。
【0011】
(a)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3‐ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0012】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が共重合反応性の点やアルカリ溶解性の点から好ましく用いられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も同様の意味を有する。
【0013】
(b)は、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環およびテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)を有する不飽和化合物であり、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和二重結合とを有する単量体が好ましく、炭素数2〜4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
【0014】
(b)としては、例えば、オキシラニル基を有する不飽和化合物(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基を有する不飽和化合物(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基を有する不飽和化合物(b3)(以下「(b3)」という場合がある)などが挙げられる。
【0015】
(b1)としては、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水基がエポキシ化された構造を有する不飽和化合物(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素がエポキシ化された構造を有する不飽和化合物(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
(b1)としては、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましく、不飽和脂環式炭化水素がエポキシ化された構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。これらの単量体であると、感光性樹脂組成物の保存安定性に優れる。
【0016】
(b1−1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、特開平7−248625号公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0017】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0018】

【0019】
[式(I)及び式(II)において、R及びRは、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子はヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0020】
炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基で置換されているアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0021】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CHCH−O−基が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−基が挙げられる。
【0022】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)及び式(I−11)〜式(I−15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)及び式(I−15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0023】

【0024】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)及び式(II−11)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)及び式(II−15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0025】

【0026】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(I):式(II)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、とりわけ好ましくは20:80〜80:20である。
【0027】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。(b2)としては、例えば、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0028】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
(c)としては、(メタ)アクリル酸エステル類、N−置換マレイミド類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、脂環式不飽和化合物類、スチレン類、その他のビニル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキルエステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキルエステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルエステル類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール及びアラルキルエステル類等が挙げられる。
【0030】
不飽和ジカルボン酸ジエステル類としては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
N−置換マレイミド類としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等が挙げられる。
【0031】
脂環式不飽和化合物類としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類等が挙げられる。
【0032】
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。
その他のビニル化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
(c)としては、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド及びビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が、共重合反応性及びアルカリ溶解性の点から好ましい。
【0033】
樹脂(A−1)において、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(A−1)を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜60モル%(より好ましくは10〜50モル%)
(b)に由来する構造単位;40〜95モル%(より好ましくは50〜90モル%)
樹脂(A−1)の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の保存安定性、感光性樹脂組成物からパターンを形成する際の現像性、並びに、得られる塗膜及びパターンの耐溶剤性、耐熱性および機械強度が良好になる傾向がある。
樹脂(A−1)としては、(b)が(b1)である樹脂(A−1)が好ましく、(b)が(b1−2)である樹脂(A−1)がより好ましい。
【0034】
樹脂(A−1)は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0035】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により大気中の酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、感光性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等を用いることができる。得られる樹脂の分子量を調整するために、重合反応の際に連鎖移動剤を加えてもよい。連鎖移動剤としては、n−ブタンチオール、tert−ブタンチオール、n−ドデカンチオール、2−スルファニルエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸メトキシブチル、3−スルファニルプロピオン酸、スルファニル基含有シリコーン(KF−2001:信越化学製)等のチオール類;クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類等が挙げられる。
【0036】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)と同一の溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0037】
樹脂(A−2)において、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(A−2)を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは1〜60モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)
樹脂(A−2)の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の保存安定性、感光性樹脂組成物からパターンを形成する際の現像性、並びに、得られる塗膜及びパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度が良好になる傾向がある。
樹脂(A−2)としては、(b)が(b1)である樹脂(A−2)が好ましく、(b)が(b1−2)である樹脂(A−2)がより好ましい。
樹脂(A−2)は、樹脂(A−1)と同様の方法により製造することができる。
【0038】
樹脂(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性に優れる傾向があり、また現像時に露光部の膜減りが生じにくく、さらに非露光部が現像で除去しやすい。
【0039】
樹脂(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れる傾向がある。
【0040】
樹脂(A)の酸価は、20〜150mgKOH/gであり、好ましくは40〜135mgKOH/g、より好ましくは50〜135mgKOH/gである。ここで酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0041】
樹脂(A)の含有量は、樹脂(A)、樹脂(A1)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは40〜60質量%である。樹脂(A)の含有量が、前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の現像性、得られるパターンの密着性、耐溶剤性及び機械特性が良好になる傾向がある。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(B)を含む。樹脂(B)は、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物(d)(以下「(d)」という場合がある)に由来する構造単位を含む重合体である。
【0043】
(d)としては、式(d−0)で表される化合物が挙げられる。

【0044】
[式(d−0)中、Rは、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数1〜21のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい。
は、単結合、炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−CO−、−NR−、−S−又は−SO−で置き換わっていてもよい。]
【0045】
は、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基であり、ペルフルオロブチル基及びペルフルオロヘキシル基が好ましい。
【0046】
における炭素数1〜21のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、1−ブチルブチル基、1−ブチル−2−メチルブチル基、1−ブチル−3−メチルブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基等の分枝鎖状アルキル基等が挙げられる。
としては、水素原子、ハロゲン原子及びメチル基が好ましい。
【0047】
における炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
【0048】
における炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロデカンジイル基等が挙げられる。
における炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基等が挙げられる。
【0049】
−CH−が−O−、−CO−、−NR−、−S−又は−SO−で置き換わったXとしては、例えば、式(xd−1)〜式(xd−10)で表される基等が挙げられる。
【0050】

【0051】
としては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0052】
(d)としては、式(d−1)で表される化合物が好ましい。

[式(d−1)中、Rは、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。]
【0053】
式(d−0)で表される化合物としては、例えば、化合物(d−1)〜化合物(d−94)等が挙げられる。表中、X欄に示した式番号は、上記に例示した基の式番号を表す。また、例えば、化合物(d−1)は下記式(d−1)で表される化合物である。
【0054】

【0055】
【表1】

【0056】

【0057】
【表2】

【0058】

【0059】
樹脂(B)としては、(d)に由来する構造単位と(a)に由来する構造単位とを含む樹脂であることが好ましく、(d)に由来する構造単位と(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位とを含む樹脂であることがより好ましい。樹脂(B)が(a)に由来する構造単位を含むことにより、現像性に優れるため、残渣や現像に由来するムラが抑制される傾向がある。樹脂(B)が(b)に由来する構造単位を含むことにより、耐溶剤性に優れる傾向がある。また、樹脂(B)は(c)に由来する構造単位を含んでいてもよい。(a)、(b)及び(c)としては、上記と同じものが挙げられる。
【0060】
樹脂(B)が、(a)と(d)との共重合体である場合、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(B)を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜40質量%(より好ましくは10〜30質量%)
(d)に由来する構造単位;60〜95質量%(より好ましくは70〜90質量%)
【0061】
樹脂(B)が、(a)、(b)及び(d)の共重合体である場合、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(B)を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜40質量%(より好ましくは10〜30質量%)
(b)に由来する構造単位;5〜80質量%(より好ましくは10〜70質量%)
(d)に由来する構造単位;10〜80質量%(より好ましくは20〜70質量%)
【0062】
樹脂(B)が、(a)、(b)、(c)及び(d)の共重合体である場合、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(B)を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜40質量%(より好ましくは10〜30質量%)
(b)に由来する構造単位;5〜70質量%(より好ましくは10〜60質量%)
(c)に由来する構造単位;10〜50質量%(より好ましくは20〜40質量%)
(d)に由来する構造単位;10〜80質量%(より好ましくは20〜70質量%)
【0063】
各構造単位の比率が、上記の範囲にあると、撥液性、現像性に優れる傾向がある。
【0064】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜20,000、より好ましくは5,000〜15,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性に優れる傾向があり、また現像時に露光部の膜減りが生じにくく、さらに非露光部が現像で除去しやすい。
樹脂(B)の酸価は、20〜200mgKOH/gであり、好ましくは40〜150mgKOH/gである。
【0065】
樹脂(B)の含有量は、樹脂(A)、樹脂(A1)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。樹脂(B)の含有量が前記の範囲にあると、パターン形成の際に現像性に優れ、かつ得られるパターンは撥液性に優れる傾向がある。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(A1)を含んでいてもよい。樹脂(A1)としては、
樹脂(A1−1):(a)と(c)とを重合してなる共重合体、
樹脂(A1−2):(a)と(c)とを重合してなる共重合体に(b)を反応させて得られる樹脂、
樹脂(A1−3):(b)と(c)とを重合してなる共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
【0067】
樹脂(A1−1)において、各単量体に由来する構造単位の比率が、樹脂(A1−1)を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(c)に由来する構造単位;60〜98モル%(より好ましくは65〜95モル%)
樹脂(A1−1)の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の保存安定性、感光性樹脂組成物からパターンを形成する際の現像性、並びに、得られる塗膜及びパターンの耐溶剤性が良好になる傾向がある。
樹脂(A1−1)は、樹脂(A−1)と同様の方法により製造することができる。
【0068】
樹脂(A1−2)は、(a)と(c)との共重合体に、(b)を反応させて得られる樹脂である。
樹脂(A1−2)は、例えば、二段階の工程を経て製造することができる。この場合も、上述した文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法、特開2001−89533号公報に記載された方法等を参考にして製造することができる。
【0069】
まず、第一段階として、上述した樹脂(A−1)の製造方法と同様にして、(a)と(c)との共重合体を得る。
この場合、上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。また、上記と同様のポリスチレン換算の重量平均分子量及び分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]とすることが好ましい。
ただし、(a)及び(c)に由来する構造単位の比率が、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜50モル%(より好ましくは10〜45モル%)
(c)に由来する構造単位;50〜95モル%(より好ましくは55〜90モル%)
【0070】
次に、第二段階として、得られた共重合体に由来する(a)のカルボン酸及びカルボン酸無水物の一部を、前述の(b)の環状エーテルと反応させる。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂(A1−2)に用いられる(b)としては(b1)又は(b2)が好ましく、(b1−1)がより好ましい。
具体的には、上記に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(a)のモル数に対して、5〜80モル%の(b)、カルボキシ基と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)を(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%、及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)を(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応させ、樹脂(A1−2)を得ることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
また、この場合、(b)のモル数は、(a)のモル数に対して、10〜75モル%とすることが好ましく、より好ましくは15〜70モル%である。この範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の保存安定性、感光性樹脂組成物からパターンを形成する際の現像性、並びに、得られる塗膜及びパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。
【0071】
樹脂(A1−3)は、第一段階として、上述した樹脂(A−1)の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。
この場合、上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率が、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)
【0072】
さらに、樹脂(A1−2)の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体中の(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、さらにカルボン酸無水物を反応させてもよい。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)のモル数に対して5〜80モル%であることが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0073】
樹脂(A1)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性に優れる傾向があり、また現像時に露光部の膜減りが生じにくく、さらに非露光部が現像で除去しやすい。
【0074】
樹脂(A1)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れる傾向がある。
【0075】
樹脂(A1)の酸価は、20〜150mgKOH/gであり、好ましくは40〜135mgKOH/g、より好ましくは50〜135mgKOH/gである。
【0076】
樹脂(A1)の含有量は、樹脂(A)及び樹脂(A1)の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜50質量%である。樹脂(A1)の含有量が、前記の範囲にあると、パターンを高感度で形成することができ、かつ現像性に優れる。
【0077】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性化合物(C)を含む。
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカルによって重合しうる化合物であって、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物などであり、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0078】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物(C)としては、前記(a)、(b)及び(c)として挙げた化合物と同じものが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0079】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物(C)としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0080】
エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物(C)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物等が挙げられる。 中でも、3官能以上の光重合性化合物(C)が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0081】
重合性化合物(C)の含有量は、樹脂(A)、樹脂(A1)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲にあると、感度や、得られるパターンの強度、平滑性、信頼性が良好になる傾向がある。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合開始剤(D)を含む。重合開始剤(D)としては、光又は熱の作用により重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)として、例えば、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びオキシム化合物が挙げられる。また、特開2008−181087号公報に記載された光及び/又は熱カチオン重合開始剤(例えば、オニウムカチオンとルイス酸由来のアニオンとから構成されているもの)を用いてもよい。中でも、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物及びオキシムエステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にオキシムエステル化合物であることが好ましい。これらの化合物を含む重合開始剤であると、特に、高感度になる傾向があり好ましい。
【0083】
前記のアルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(3−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−エチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−プロピルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−ブチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2,3−ジメチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2、4−ジメチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−クロロベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−ブロモベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(3−クロロベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−クロロベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(3−ブロモベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−ブロモベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−メトキシベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メトキシベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0084】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0085】
前記のトリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0086】
前記のアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0087】
前記のオキシムエステル化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−エトキシカルボニルオキシ−1−フェニルプロパン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE−01、OXE−02(以上、チバ・ジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0088】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0089】
また、連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されている光重合開始剤を使用してもよい。
前記の連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤としては、例えば、下記式(a)〜(f)の化合物が挙げられる。
【0090】

【0091】
前記の連鎖移動を起こしうる基を有する重合開始剤は、樹脂(A)を構成する成分(c)としても使用することができる。
【0092】
本発明の感光性樹脂組成物において、上述した重合開始剤(D)とともに、重合開始助剤(D1)を用いることができる。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられ、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)としては、下記式(III)〜式(V)で表される化合物、チオキサントン化合物、アミン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0093】

[式(III)中、環Wで示される点線はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香環を表す。
は、−O−又は−S−を表す。
は、炭素数1〜6の1価の飽和炭化水素基を表す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基を表す。]
【0094】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数6〜12の芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。
【0095】
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香環としては、例えば、ベンゼン環、メチルベンゼン環、ジメチルベンゼン環、エチルベンゼン環、プロピルベンゼン環、ブチルベンゼン環、ペンチルベンゼン環、ヘキシルベンゼン環、シクロヘキシルベンゼン環、クロロベンゼン環、ジクロロベンゼン環、ブロモベンゼン環、ジブロモベンゼン環、フェニルベンゼン環、クロロフェニルベンゼン環、ブロモフェニルベンゼン環、ナフタレン環、クロロナフタレン環、ブロモナフタレン環などが挙げられる。
【0096】
炭素数1〜6の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0097】
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、上記の炭素数1〜6の1価の飽和炭化水素基に加え、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、1−クロロブチル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基などが挙げられる。
【0098】
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロブロモフェニル基、ビフェニル基、クロロビフェニル基、ジクロロビフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、ブロモナフチル基、ジブロモナフチル基などが挙げられる。
【0099】
式(III)で表される化合物として、具体的には、
2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,3−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フルオロベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フルオロベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−クロロベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−クロロベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−ブロモベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−ブロモベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フルオロフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フルオロフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]チアゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−フェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,3−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フルオロベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−フルオロベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−クロロベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−クロロベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(2−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−ブロモベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチル−5−ブロモベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(1−ナフチル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フェニルフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フルオロフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[2,1−d]オキサゾリン、2−[2−オキソ−2−(4−フルオロフェニル)エチリデン]−3−メチルナフト[1,2−d]オキサゾリン
等が挙げられる。
【0100】

【0101】
[式(IV)及び式(V)中、環W、Wおよび環Wは、互いに独立に、炭素数6〜12の芳香環又は炭素数2〜10の複素環を表し、該芳香環及び該複素環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Y〜Yは、互いに独立に、−O−又は−S−を表す。R〜Rは、炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、該飽和炭化水素基及び該アリール基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。]
【0102】
炭素数6〜12の芳香環としては、式(III)で挙げたものと同様の芳香環が挙げられ、該芳香環に含まれる水素原子は、前記で挙げたハロゲン原子で任意に置換されていてもよい。
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10の複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピラン環等が挙げられる。
【0103】
1価のヒドロキシ基置換飽和炭化水素基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基置換アリール基としては、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等が挙げられる。
1価のアルコキシ基置換飽和炭化水素基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、プロポキシブチル基等が挙げられる。
アルコキシ基置換アリール基としては、メトキシフェニル基、エトキシナフチル基等が挙げられる。
【0104】
式(IV)及び式(V)で表される化合物としては、具体的には、
ジメトキシナフタレン、ジエトキシナフタレン、ジプロポキシナフタレン、ジイソプロポキシナフタレン、ジブトキシナフタレンなどのジアルコキシナフタレン類;
9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、ジプロポキシアントラセン、ジイソプロポキシアントラセン、ジブトキシアントラセン、ジペンチルオキシアントラセン、ジヘキシルオキシアントラセン、メトキシエトキシアントラセン、メトキシプロポキシアントラセン、メトキシイソプロポキシアントラセン、メトキシブトキシアントラセン、エトキシプロポキシアントラセン、エトキシイソプロポキシアントラセン、エトキシブトキシアントラセン、プロポキシイソプロポキシアントラセン、プロポキシブトキシアントラセン、イソプロポキシブトキシアントラセンなどのジアルコキシアントラセン類;
ジメトキシナフタセン、ジエトキシナフタセン、ジプロポキシナフタセン、ジイソプロポキシナフタセン、ジブトキシナフタセンなどのジアルコキシナフタセン類;
等が挙げられる。
【0105】
チオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0106】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称;ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0107】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等の芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0108】
重合開始剤(D)と重合開始助剤(D1)との組合せとしては、アセトフェノン化合物とチオキサントン化合物、アセトフェノン化合物と芳香族アミン化合物が挙げられ、具体的には、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントン、2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントン、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オンと2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントン、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オンと4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンと4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンと4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0109】
中でも、アセトフェノン化合物とチオキサントン化合物との組合せが好ましく、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントン、2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オンと2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンがより好ましい。これらの組合せであると、高感度で、かつ可視光透過率の高いパターンが得られる。
【0110】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(A)、樹脂(A1)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。重合開始剤(D)の含有量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得ることができる。
【0111】
重合開始助剤(D1)の使用量は、樹脂(A)、樹脂(A1)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜7質量部である。重合開始助剤(D1)の量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得ることができ、得られるパターンは形状が良好である。
【0112】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤(E)を含む。
本発明において使用し得る溶剤としては、例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0113】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0114】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0115】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0116】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0117】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0118】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0119】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール等が好ましい。溶剤(E)がこれらの溶剤であると、塗布時のムラを抑制し、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0121】
本発明の感光性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、感光性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。言い換えると、感光性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物を塗布した膜の平坦性が高い傾向がある。ここで、固形分とは、感光性樹脂組成物から溶剤(E)を除いた量のことをいう。
【0122】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに多官能チオール化合物(T)を含有していてもよい。多官能チオール化合物(T)とは、分子内に2個以上のスルファニル基(−SH)を有する化合物をいう。特に、脂肪族炭化水素基に由来する炭素原子と結合する2個以上のスルファニル基を有する化合物を用いると、本発明の感光性樹脂組成物の感度が高くなる傾向にある。
【0123】
多官能チオール化合物(T)としては、具体的には、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3−スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブチレート)、1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0124】
多官能チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(D)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜7質量部である。多官能チオール化合物(T)の含有量が前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向があり好ましい。
【0125】
本発明の感光性樹脂組成物は界面活性剤(F)(ただし、樹脂(B)とは異なる。)を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0126】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0127】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、フロリナート(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0128】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。好ましくはメガファック(登録商標)F475が挙げられる。
【0129】
界面活性剤(F)の含有量は、感光性樹脂組成物の総量に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。界面活性剤をこの範囲で含有することにより、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0130】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0131】
本発明の感光性樹脂組成物は、顔料および染料などの着色剤を実質的に含有しない。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物において、組成物全体に対する着色剤の含量は、例えば、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満である。
【0132】
本発明の感光性樹脂組成物は、光路長が1cmの石英セルに充填し、分光光度計を使用して測定波長400〜700nmの条件下で透過率を測定した場合の平均透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0133】
本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜にした際に、塗膜の平均透過率が、好ましくは90%以上であり、さらに95%以上となることがより好ましい。この平均透過率は、加熱硬化(例えば、100〜250℃、5分〜3時間の条件で硬化)後の厚みが3μmの塗膜を、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で測定した場合の平均値である。これにより、可視光領域での透明性に優れた塗膜を提供することができる。
【0134】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、ガラス、金属、プラスチック等の基板、あるいは、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等が形成されたこれらの基板上に塗布し、所望の形状にパターニングして、パターンを形成することができる。さらに、このパターンを、表示装置等の構成部品の一部として形成して使用してもよい。
【0135】
まず、本発明の感光性樹脂組成物を、基板上に塗布する。
塗布は、上述したように、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコーター、ディップコーター等の種々の塗布装置を用いて行うことができる。
【0136】
次いで、乾燥又はプリベークして、溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させることが好ましい。これにより、平滑な未硬化塗膜を得ることができる。
この場合の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、1〜6μm程度である。
【0137】
さらに、得られた未硬化塗膜に、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、光、例えば、水銀灯、発光ダイオードから発生する紫外線等を照射する。この際のフォトマスクの形状は特に限定されず、形状や大きさは、パターンの用途に応じて選択すればよい。
近年の露光機では、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出して、露光面全体に均一に略平行光線を照射したりすることができる。マスクアライナ、ステッパ等の装置を用いれば、このときマスクと基材との正確な位置合わせを行うことができる。
【0138】
露光後の塗膜を現像液に接触させて所定部分、例えば、非露光部(すなわち非画素部分)を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状を得ることができる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0139】
現像に使用する現像液は、塩基性化合物の水溶液が好ましい。
塩基性化合物は、無機及び有機の塩基性化合物のいずれでもよい。
無機の塩基性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0140】
有機の塩基性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
これらの無機及び有機の塩基性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0141】
前記の現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0142】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0143】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0144】
現像後、水洗を行うことで、パターンを得ることができる。さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜240℃の温度範囲、10〜180分間が好ましい。
未硬化塗膜を露光する際に、パターンが形成されたフォトマスクを使用せず、全面に光照射を行うこと及び/又は現像を省略することで、パターンを有さない塗膜を得ることができる。
【0145】
本発明の表示装置の一例として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置について以下に説明する。
図1は本発明の表示装置の一例である表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。図2は本発明の表示装置の一例である表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。表示装置1は主に、支持基板2と、この支持基板2上において予め設定される区画を画成する隔壁3と、隔壁3によって画成される区画に設けられる複数の有機EL素子4とを含んで構成される。隔壁3が本発明のインクジェット用隔壁に相当する。
【0146】
隔壁3は支持基板2上においてたとえば格子状またはストライプ状に形成される。なお図2では実施の一形態として格子状の隔壁3が設けられた表示装置1を示している。同図中、隔壁3が設けられた領域にはハッチングを施している。
【0147】
支持基板2上には、隔壁3と支持基板2とによって規定される複数の凹部5が設定される。この凹部5が、隔壁3によって画成される区画に相当する。
【0148】
表示装置1における隔壁3は格子状に設けられる。そのため支持基板2の厚み方向Zの一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)、複数の凹部5がマトリクス状に配置されている。すなわち凹部5は行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。各凹部5の平面視における形状はとくに限定されない。たとえば凹部5は、平面視で略矩形状、略楕円状および小判形状などの形状に形成される。本実施形態では平面視で略矩形状の凹部5が設けられている。なお本明細書において上記の行方向Xおよび列方向Yは、支持基板の厚み方向Zに垂直な方向であって、かつ互いに垂直な方向を意味する。
【0149】
なお他の実施形態としてストライプ状の隔壁が設けられる場合、隔壁は、たとえば行方向Xに延在する複数本の隔壁部材が、列方向Yに所定の間隔をあけて配置されて構成される。この形態ではストライプ状の隔壁と支持基板とによって、ストライプ状の凹部が規定される。
【0150】
隔壁は支持基板から離間するにしたがって幅が狭くなるように形成されている。たとえば列方向Yに延在する隔壁を、その延在方向(列方向Y)に垂直な平面で切断したときの断面形状は、支持基板から離間するにしたがって幅が狭くなるように形成されている。図1では等脚台形形状の隔壁が示されており、上底と、支持基板側の下底とを比べると、下底の方が上底よりも幅広である。なお実際に形成される隔壁の断面は必ずしも台形形状とはならず、台形形状の直線部分および角が丸みを帯びていることもある。
【0151】
隔壁3は、その頂面が撥液性を示すことが好ましい。なお頂面とは、隔壁3の表面のうちで、支持基板2から最も離間した位置に存在する平面を意味する。隔壁3の頂面が撥液性を示すことで、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給されたインクが、隔壁3の頂面を伝わって隣の領域に溢れ出ることを防ぐことができる。
【0152】
有機EL素子4は隔壁3によって画成される区画(すなわち凹部5)に設けられる。表示装置1における格子状の隔壁3が設けられる場合、各有機EL素子4はそれぞれ各凹部5に設けられる。すなわち有機EL素子4は、各凹部5と同様にマトリクス状に配置され、支持基板2上において、行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。
隔壁3の形状およびその配置は、画素数および解像度などの表示装置の仕様や製造の容易さなどに応じて適宜設定される。たとえば隔壁3の行方向Xまたは列方向Yの幅は、5μm〜50μm程度であり、隔壁3の高さは0.5μm〜5μm程度であり、行方向Xまたは列方向Yに隣り合う隔壁3間の間隔、すなわち凹部5の行方向Xまたは列方向Yの幅は、10μm〜200μm程度である。また第1電極6の行方向Xまたは列方向Yの幅はそれぞれ10μm〜200μm程度である。
隔壁3は、本発明の感光性樹脂組成物から、前述のパターンの形成方法により形成することができる。
【0153】
なお他の実施形態としてストライプ状の隔壁が設けられる場合、有機EL素子4は行方向Xに延在する各凹部において、行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される。
【0154】
表示装置1には3種類の有機EL素子4が設けられる。すなわち(1)赤色の光を出射する赤色有機EL素子4R、(2)緑色の光を出射する緑色有機EL素子4G、および(3)青色の光を出射する青色有機EL素子4Bが設けられる。
【0155】
有機EL素子4は、第1電極、有機EL層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される。本明細書では第1電極6と第2電極10との間に設けられる1または複数の層をそれぞれ有機EL層という。有機EL素子4は有機EL層として少なくとも1層の発光層を備える。なお有機EL素子は、1層の発光層に加えて、必要に応じて発光層とは異なる有機EL層をさらに備えることもある。たとえば第1電極6と第2電極10との間には、有機EL層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などが設けられる。また第1電極6と第2電極10との間には2層以上の発光層が設けられることもある。
【0156】
有機EL素子4は、陽極および陰極からなる一対の電極として、第1電極6と第2電極10とを備える。第1電極6および第2電極10のうちの一方の電極は陽極として設けられ、他方の電極は陰極として設けられる。表示装置1では、陽極として機能する第1電極6、正孔注入層として機能する第1の有機EL層7、発光層として機能する第2の有機EL層9、陰極として機能する第2電極10がこの順で支持基板2上に積層されて構成されている。
【0157】
第1電極6は有機EL素子4ごとに設けられる。すなわち有機EL素子4と同数の第1電極6が支持基板2上に設けられる。第1電極6は有機EL素子4の配置に対応して設けられ、有機EL素子4と同様にマトリクス状に配置される。なお隔壁3は、主に第1電極6を除く領域に格子状に形成されるが、さらに第1電極6の周縁部を覆うように形成されている(図1参照)。
【0158】
正孔注入層に相当する第1の有機EL層7は、凹部5において第1電極6上にそれぞれ設けられる。この第1の有機EL層7は、必要に応じて、有機EL素子の種類ごとにその材料または膜厚を異ならせて設けられる。なお第1の有機EL層7の形成工程の簡易さの観点から、同じ材料、同じ膜厚で全ての第1の有機EL層7を形成してもよい。
第1の有機EL層7は、第1の有機EL層7となる材料を含むインクを隔壁3に囲まれた領域(凹部5)にインクジェット法により供給し、次いで、乾燥、加熱及び/又は光照射を行ってインクを固化させることにより形成される。
【0159】
発光層として機能する第2の有機EL層9は、凹部5において第1の有機EL層7上に設けられる。上述したように発光層は有機EL素子の種類に応じて設けられる。そのため赤色発光層9Rは赤色有機EL素子4Rが設けられる凹部5に設けられ、緑色発光層9Gは緑色有機EL素子4Gが設けられる凹部5に設けられ、青色発光層9Bは青色有機EL素子4Bが設けられる凹部5に設けられる。
【0160】
第2電極10は有機EL素子4が設けられる表示領域において全面に形成される。すなわち第2電極10は、第2の有機EL層9上だけでなく、隔壁3上にも形成され、複数の有機EL素子に亘って連続して形成されている。
【0161】
上述のように、支持基板2上に形成された複数の有機EL素子4を、封止層及び封止基板で覆うことにより(図示せず)、有機EL表示装置を製造することができる。
【0162】
本発明の感光性樹脂組成物から得られるパターンは、高い耐熱性と撥液性と兼ね備えるものであるため、特に、インクジェット法でカラーフィルタ、液晶表示素子のITO電極、有機EL表示素子及び回路配線基板等を作製するために用いられる隔壁として有用である。さらに、例えば、カラーフィルタ基板及び/又はアレイ基板の一部を構成するフォトスペーサ、パターニング可能なオーバーコート、層間絶縁膜、液晶配向制御用突起、マイクロレンズ、膜厚調整のためのコート層等、タッチパネル用の部材として有用であり、上記のようにして得られるパターンを有さない塗膜は、カラーフィルタ基板及び/又はアレイ基板の一部を構成するオーバーコートとして有用である。前記のカラーフィルタ基板及びアレイ基板は、液晶表示装置、有機EL表示装置及び電子ペーパー等に好適に用いられる。
【実施例】
【0163】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0164】
(合成例1)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物および式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)240質量部および、3−メトキシブチルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。

【0165】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を3−メトキシブチルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6質量%、酸価110mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量Mwは、1.3×10、分子量分布は2.50であった。樹脂Aaは、以下の構造単位を有する。
【0166】

【0167】
(合成例2)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール59質量部及び3−メトキシブチルアセテート81質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。
次いで、メタクリル酸40質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50の混合物)360質量部を、3−メトキシ−1−ブタノール80質量部及び3−メトキシブチルアセテート110質量部に溶解して溶液を調製した。この溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0168】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)36質量部を3−メトキシ−1−ブタノール101質量部及び3−メトキシブチルアセテート139質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分42.5質量%、酸価56mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量(Mw)は7.6×10、分子量分布は2.01であった。樹脂Abは、以下の構造単位を有する。

【0169】
(合成例3)
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、イソボルニルメタクリレート40部、2−スルファニルエタノール5.9部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート163部を入れ、70℃に加熱した後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにアゾビスイソブチロニトリル1.3部を添加し、18時間重合した。その後、2−イソシアナトエチルアクリレート(カレンズAOI;昭和電工(株)製)29.3部を入れ、全組成物に対して50ppmのヒドロキノンモノメチルエーテルを入れ、窒素気流下で45℃1時間反応させることにより、固形分34質量%の共重合体(樹脂Ac)の溶液を得た。得られた樹脂Acの重量平均分子量(Mw)は4900であった。樹脂Acは、以下の構造単位を有する共重合体である。

【0170】
(合成例4)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸55質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物および式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50の混合物。)175質量部ならびにN−シクロヘキシルマレイミド70質量部を、3−メトキシブチルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を3−メトキシブチルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6質量%、酸価105mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Ad)溶液を得た。得られた樹脂Adの重量平均分子量(Mw)は13,600、数平均分子量(Mn)は、5,400、分子量分布は2.5であった。樹脂Adは、以下の構造単位を有する。

【0171】
(合成例5)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル140質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸40質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物の混合物、モル比=50:50)340質量部、ジシクロペンテニルアクリレート(式(x1)で表される化合物及び式(x2)で表される化合物の混合物、モル比=50:50)20質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル190質量部に溶解して、溶液を調製した。得られた溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。

【0172】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル240質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて、5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分41.8%の共重合体(樹脂Ae)の溶液を得た。得られた樹脂Aeの重量平均分子量(Mw)は9.6×10、分子量分布(Mw/Mn)は2.02であり、固形分換算した酸価は60mg−KOH/gであった。樹脂Aeは、以下の構造単位を有する。

【0173】
(合成例6)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル140質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸40質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物の混合物、モル比=50:50)320質量部、ジシクロペンタニルアクリレート40質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル190質量部に溶解して、溶液を調製した。得られた溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル240質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて、5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分41.8%の共重合体(樹脂Af)の溶液を得た。得られた樹脂Afの重量平均分子量(Mw)は7.9×10、分子量分布(Mw/Mn)は1.82であり、固形分換算した酸価は60mg−KOH/gであった。樹脂Afは、以下の構造単位を有する。

【0174】
(合成例7)
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にα−クロロアクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル78部、メタクリル酸19.5部、イソボルニルメタクリレート19.5部、グリシジルメタクリレート13部、ドデカンチオール12.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート266部を入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、18時間重合して、固形分33質量%、酸価68mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Ba)の溶液を得た。得られた樹脂Baの重量平均分子量は7,500であった。樹脂Baは、以下の構造単位を有する。

【0175】
(合成例8)
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にα−クロロアクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル78部、メタクリル酸19.5部、イソボルニルメタクリレート19.5部、グリシジルメタクリレート13部、ドデカンチオール12.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート266部を入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、18時間重合して、固形分33質量%、酸価65mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Bb)の溶液を得た。得られた樹脂Bbの重量平均分子量は6,800であった。樹脂Bbは、以下の構造単位を有する。

【0176】
合成例1〜8で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0177】
(実施例1〜4及び比較例1)
<感光性樹脂組成物の調整>
表3の成分をそれぞれ混合して、感光性樹脂組成物1〜8を得た。
【0178】
【表3】

【0179】
表3中各成分は以下のとおりである。樹脂(A)及び樹脂(B)の欄に記載した部数は、固形分換算の質量部を表す。
樹脂(A);Aa:合成例1で得られた樹脂Aa
樹脂(A);Ab:合成例2で得られた樹脂Ab
樹脂(A);Ac:合成例3で得られた樹脂Ac
樹脂(A);Ad:合成例4で得られた樹脂Ad
樹脂(A);Ae:合成例5で得られた樹脂Ae
樹脂(A);Af:合成例6で得られた樹脂Af
樹脂(B);Ba:合成例7で得られた樹脂Ba
樹脂(B);Bb:合成例8で得られた樹脂Bb
重合性化合物(C);Ca:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製)
重合性化合物(C);Cb:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(A−TMMT;新中村化学工業(株)製)
重合開始剤(D);Da:N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE02;BASFジャパン(株)製)
重合開始剤(D);Db:2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)127;BASFジャパン(株)製)
溶剤(E);Ea;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(E);Eb;3−エトキシプロピオン酸エチル
溶剤(E);Ec;3−メトキシ1−ブタノール
溶剤(E);Ed;3−メトキシブチルアセテート
溶剤(E);Ee;ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
溶剤(E)は、感光性樹脂組成物の固形分量が表3の「固形分量(%)」となるように混合し、溶剤(E)中の溶剤成分(Ea)〜(Ee)の値は、溶剤(E)中での質量比を表す。
その他の成分;Za;熱架橋剤サイメル300(三井サイテック(株)製)
その他の成分;Zb;テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッド(登録商標)TH;新日本理化(株)製)
【0180】
<組成物の平均透過率>
上記で得られた感光性樹脂組成物について、それぞれ、紫外可視近赤外分光光度計(V−650;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表3に示す。
【0181】
<塗膜の作製>
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)を、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、上記で得られた感光性樹脂組成物1〜8をそれぞれ、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコートし、減圧乾燥機(マイクロテック(株)製)で減圧度が66kPaになるまで減圧乾燥させた後、ホットプレートで80℃で2分間プレベークして乾燥させた。冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、露光量50mJ/cm(365nm基準)の光を照射した。なお、このときの感光性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯を使用した。光照射後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に前記塗膜を23℃で60秒間浸漬・揺動して接触させ、その後、オーブン中、230℃で20分加熱(ポストベーク)して塗膜を得た。
感光性樹脂組成物5について、露光量を500mJ/cm(365nm基準)に代える以外は上記と同様の方法で塗膜を得た。
【0182】
<塗膜の平均透過率>
得られた塗膜について、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。透過率が高くなることは、吸収が小さくなることを意味する。結果を表3に示す。
【0183】
<接触角>
得られた塗膜について、接触角計(DGD Fast/60;GBX社製)を用いて、アニソールの接触角を測定した。
接触角が高いほど、撥液性が高いことを意味する。塗膜における接触角が高ければ、同じ感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターンにおいても接触角は高い。接触角の高い感光性樹脂組成物で隔壁を形成し、該隔壁で囲まれた中にインクジェット装置によりインクを印写した場合、インクをはじきやすい。そのため、例えばインクジェット法によりカラーフィルタを作製すると、隣り合う画素領域間におけるインクの混色が生じにくい。
【0184】
<耐溶剤性評価>
得られた塗膜を、40℃のN−メチルピロリドン中に40分間浸漬し、膜厚及び透過率を測定した。浸漬前後の膜厚及び400nmにおける透過率から、次式にしたがって、それぞれ変化率を求めた。
膜厚変化率(%)=浸漬後の膜厚(μm)/浸漬前の膜厚(μm)
透過率変化率(%)=浸漬後の透過率(%)/浸漬前の透過率(%)
【0185】
また、浸漬後の塗膜について、密着性の試験を行った。浸漬後の塗膜に、カッター及びスーパーカッターガイド(太佑機材社製)を用いて1mm間隔で切り込みを入れ、1mm×1mmの升目を100個作製した。次いで塗膜の切り込みの升目にセロテープ(登録商標)24mm幅(ニチバン(株)社製)を貼り、セロテープ(登録商標)の上から消しゴムでこすって塗膜にセロテープ(登録商標)を付着させ、2分後にセロテープ(登録商標)の端を持って、塗膜面に直角に保ちながら、一気に剥がした。その後、塗膜が剥離せずに基板に残ったマス目の数を目視で数えた。基板に残ったマス目の数が多いほど、密着性は良好である。
塗膜における耐溶剤性が良好であれば、同じ感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターンにおいても耐溶剤性は良好である。結果を表4に示す。
【0186】
<耐熱性評価>
得られた塗膜を、クリーンオーブン中、240℃で1時間加熱し、膜厚及び透過率を測定した。加熱前後の膜厚及び400nmにおける透過率から、次式にしたがって、それぞれ変化率を求めた。
膜厚変化率(%)=加熱後の膜厚(μm)/加熱前の膜厚(μm)
透過率変化率(%)=加熱後の透過率(%)/加熱前の透過率(%)
塗膜における耐熱性が良好であれば、同じ感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターンにおいても耐熱性は良好である。結果を表4に示す。
【0187】
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)を、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、感光性樹脂組成物1〜8をそれぞれ、ポストベーク後の膜厚が3.5μmになるようにスピンコートし、減圧乾燥機(マイクロテック(株)製)で減圧度が66kPaになるまで減圧乾燥させた後、ホットプレートで80℃で2分間プレベークして乾燥させた。冷却後、この感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を10μmとし、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、露光量50mJ/cm(365nm基準)の光を照射した。なお、このときの感光性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(UV―33;朝日分光(株)製)を通過させて行った。また、フォトマスクとして、パターン(1辺が13μmである正方形の透光部を有し、当該正方形の間隔が100μm)(すなわち透光部)が同一平面上に形成されたフォトマスクを用いた。
光照射後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に前記塗膜を25℃で100秒間浸漬・揺動して現像し、水洗後、オーブン中、235℃で15分間ポストベークを行い、パターンを得た。
感光性樹脂組成物5について、露光量を500mJ/cm(365nm基準)に代える以外は上記と同様の方法で塗膜を得た。
【0188】
<パターン形状観察>
得られたパターンの形状を走査型電子顕微鏡(S−4000;(株)日立製作所社製)を用いて観察した。パターンを隔壁として利用する場合、順テーパ((p1)で示すような形状)であることが好ましい。

【0189】
【表4】

【0190】
実施例の結果から、本発明の感光性樹脂組成物からは、高い接触角を維持したまま耐熱性に優れた塗膜及びパターンを得ることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、耐熱性に優れたパターンを得ることができる。
【符号の説明】
【0192】
1 表示装置
2 支持基板
3 隔壁
4 有機EL素子
5 凹部
6 第1電極
7 第1の有機EL層(正孔注入層)
9 第2の有機EL層(発光層)
10 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む感光性樹脂組成物。
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む共重合体(ただし、炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位は有さない。)
(B)炭素数4〜6のペルフルオロアルキル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位を含む重合体
(C)重合性化合物
(D)重合開始剤
(E)溶剤
【請求項2】
(B)が、さらに不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を含む共重合体である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(C)が、オキシム化合物を含む重合開始剤である請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物により形成されるパターン。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物により形成されるインクジェット用隔壁。
【請求項6】
請求項4記載のパターン及び請求項5記載のインクジェット用隔壁からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−73603(P2012−73603A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184719(P2011−184719)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】