説明

感光性樹脂組成物

【課題】パターン形成時の露光マージンが広い感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、樹脂が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する重合体であり、重合開始剤が式(1)で表される化合物を含む重合開始剤である感光性樹脂組成物。


[式(1)中、Ra1及びRa2は、Ra11、ORa11、CORa11、SRa11、CONRa12a13又はCNを表し、Ra11、Ra12及びRa13は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基等を表し、Ra3及びRa4は、Ra11等を表し、s及びtは、0〜4の整数を表し、Lは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CRa31a32、CO、NRa33又はPRa34を表し、Ra5は、ヒドロキシ基又はカルボキシ基等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の液晶表示パネル等では、フォトスペーサやオーバーコートを形成するために、感光性樹脂組成物が用いられる。このような感光性樹脂組成物としては、重合開始剤としてN−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミンを含む組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−181087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来から提案されている感光性樹脂組成物では、得られるパターンの幅の露光量依存性(露光マージン)は、必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
樹脂が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する重合体であり、
重合開始剤が式(1)で表される化合物を含む重合開始剤である感光性樹脂組成物。

[式(1)中、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、CORa11、SRa11、CONRa12a13又はCNを表し、
a11、Ra12及びRa13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12またはRa13で表わされる基の水素原子は、ORa21、CORa21、SRa21、NRa22a23、CONRa22a23、−NRa22−ORa23、−N(CORa22)−OCORa23、−C(=N−ORa21)−Ra22、−C(=N−OCORa21)−Ra22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよく、
a21、Ra22及びRa23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a21、Ra22またはRa23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよく、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa24−、−NRa24CO−、−NRa24COO−、−OCONRa24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、
a24は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、Ra12とRa13及びRa22とRa23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよく、
a3及びRa4は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、SRa11、CORa11、CONRa12a13、NRa12CORa11、OCORa11、COORa11、SCORa11、OCSRa11、COSRa11、CSORa11、CN又はハロゲン原子を表し、
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、
Lは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CRa31a32、CO、NRa33又はPRa34を表し、
a31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、
a31、Ra32、Ra33またはRa34で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよく、
a5は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は式(2)

(式(2)中、L1は、−O−、−S−、−NRa22−、−NRa22CO−、−SO2−、−CS−、−OCO−又は−COO−を表し、
2は、炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表し、
2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa22−、−NRa22COO−、−OCONRa22−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、
a6は、ORa41、SRa41、CONRa42a43、NRa42CORa43、OCORa41、COORa41、SCORa41、OCSRa41、COSRa41、CSORa41、CN又はハロゲン原子を表し、
a41、Ra42及びRa43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、Ra41、Ra42及びRa43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra42とRa43は、一緒になって環を形成していてもよく、
vは1〜3の整数を表す。)
で表される基を表す。]
【0006】
[2]樹脂が、さらに、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体に由来する構造単位を有する共重合体である[1]記載の感光性樹脂組成物。
[3][1]又は[2]記載の感光性樹脂組成物により形成されるパターン。
[4][3]記載のパターンを含む表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パターン形成時の露光マージンが広い感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は組合せて使用することができる。
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)、重合性化合物(B)及び重合開始剤(C)を含み、樹脂(A)が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する重合体であり、重合開始剤(C)が式(1)で表される化合物を含む重合開始剤である。さらに溶剤(D)を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(A)を含み、樹脂(A)は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する重合体である。該構造単位は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種が有する不飽和結合で重合することにより生成する構造単位である。
樹脂(A)としては、例えば、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体。
[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体
[K3](a)と(c)との共重合体
[K4](a)と(c)との共重合体に(b)を反応させて得られる樹脂。
[K5](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
[K6](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂。
【0011】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0012】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0013】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2〜4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0014】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0015】
(b1)は、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0016】
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0017】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0018】

【0019】
[式(I)及び式(II)中、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、互いに独立に、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0020】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0021】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CHCH−O−基が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−基が挙げられる。
【0022】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)が挙げられる。
【0023】

【0024】

【0025】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられる。より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0026】

【0027】

【0028】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(I):式(II)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0029】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0030】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1−2)がより好ましい。
【0032】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
【0033】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0034】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0035】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0036】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜60モル%、より好ましくは10〜50モル%。
(b)に由来する構造単位;40〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の保存安定性、感光性樹脂組成物からパターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
樹脂[K1]としては、(b)が(b1)である樹脂が好ましく、(b)が(b1−2)である樹脂がより好ましい。
【0037】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0038】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、脱酸素雰囲気下で、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができ、例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、感光性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤(D)等を用いることができる。
【0039】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(D)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0040】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;4〜45モル%、より好ましくは10〜30モル%。
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%、より好ましくは5〜80モル%。
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%、より好ましくは5〜60モル%。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
樹脂[K2]としては、(b)が(b1)である樹脂が好ましく、(b)が(b1−2)である樹脂がより好ましい。
【0041】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
具体的には、(a)、(b)及び(c)の所定量、重合開始剤及び溶剤を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0042】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)2〜55モル%、より好ましくは10〜50モル%
(c)45〜98モル%、より好ましくは50〜90モル%
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]と同様の方法により製造することができる。
【0043】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、(a)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)5〜50モル%、より好ましくは10〜45モル%
(c)50〜95モル%、より好ましくは55〜90モル%
【0044】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を得ることができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲とすることにより、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0045】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%、より好ましくは10〜90モル%。
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%、より好ましくは10〜90モル%。
【0046】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0047】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0048】
樹脂(A)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
中でも、樹脂(A)としては、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体に由来する構造単位とを有する共重合体である、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましく、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体に由来する構造単位が、それぞれ、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレートに由来する構造単位である樹脂[K1]及び樹脂[K2]がより好ましい。
【0050】
樹脂(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物は塗布性に優れる傾向があり、またパターンを形成する際の現像時に未硬化塗膜の画素部分の膜減りが生じにくく、さらに現像時に未硬化塗膜の非画素部分の現像液への溶解性に優れる傾向がある。
樹脂(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
樹脂(A)の酸価は、好ましくは20〜150mg−KOH/gであり、好ましくは40〜135mg−KOH/g、より好ましくは50〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0051】
樹脂(A)の含有量は、樹脂(A)及び重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である。樹脂(A)の含有量が、上記の範囲にあると、現像性、密着性、耐溶剤性及び機械特性に優れる傾向がある。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性化合物(B)を含む。
重合性化合物(B)は、重合開始剤(C)から発生した活性ラジカルによって重合しうる化合物であって、例えば、重合性のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等であり、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0053】
エチレン性不飽和二重結合を1つ有する重合性化合物(B)としては、前記(a)、(b)及び(c)として挙げた化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0054】
エチレン性不飽和二重結合を2つ有する重合性化合物(B)としては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
エチレン性不飽和二重結合を3つ以上有する重合性化合物(B)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物等が挙げられる。中でも、3官能以上のモノマーが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0056】
重合性化合物(B)の含有量は、樹脂(A)及び重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%である。重合性化合物(B)の含有量が、前記の範囲にあると、感度や、硬化されたパターンの強度や平滑性、信頼性、機械強度が良好になる傾向がある。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合開始剤(C)を含み、重合開始剤(C)は式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含む。
【0058】

【0059】
式(1)中、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、CORa11、SRa11、CONRa12a13又はCNを表し、
a11、Ra12及びRa13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12及びRa13で表わされる基の水素原子は、ORa21、CORa21、SRa21、NRa22a23、CONRa22a23、−NRa22−ORa23、−N(CORa22)−OCORa23、−C(=N−ORa21)−Ra22、−C(=N−OCORa21)−Ra22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよく、
a21、Ra22及びRa23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a21、Ra22及びRa23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよく、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa24−、−NRa24CO−、−NRa24COO−、−OCONRa24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、
a24は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、Ra12とRa13及びRa22とRa23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。本明細書において、「Ra12とRa13及びRa22とRa23はそれぞれ一緒になって環を形成している」とは、「Ra12とRa13及びRa22とRa23はそれぞれ一緒になって接続する窒素原子、炭素原子または酸素原子とともに環を形成している」ことを意味する。
a3及びRa4は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、SRa11、CORa11、CONRa12a13、NRa12CORa11、OCORa11、COORa11、SCORa11、OCSRa11、COSRa11、CSORa11、CN又はハロゲン原子を表し、
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、
Lは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CRa31a32、CO、NRa33又はPRa34を表し、
a31、Ra32、Ra33またはRa34は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、
a31、Ra32、Ra33及びRa34で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。本明細書において「Ra31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成している」とは、「Ra31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって接続する窒素原子またはりん原子とともに環を形成している」ことを意味する。
a5は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は式(2)

(式(2)中、L1は、−O−、−S−、−NRa22−、−NRa22CO−、−SO2−、−CS−、−OCO−又は−COO−を表し、
2は、炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表し、
2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa22−、−NRa22COO−、−OCONRa22−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、
a6は、ORa41、SRa41、CONRa42a43、NRa42CORa43、OCORa41、COORa41、SCORa41、OCSRa41、COSRa41、CSORa41、CN又はハロゲン原子を表し、
a41、Ra42またはRa43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、Ra41、Ra42及びRa43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra42とRa43は、一緒になって環を形成していてもよい。本明細書において「Ra42とRa43は、一緒になって環を形成している」とは、「Ra42とRa43は、一緒になってそれぞれが接続する窒素原子または炭素原子とともに環を形成している」ことを意味する。
vは1〜3の整数を表す。)
で表される基を表す。
【0060】
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra24、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34、並びに式(2)中のRa22、Ra41、Ra42、及びRa43を表す炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0061】
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra24、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34、並びに式(2)中のRa22、Ra41、Ra42、及びRa43を表す炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0062】
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra24、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34、並びに式(2)中のRa22、Ra41、Ra42、及びRa43を表す炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0063】
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23及びRa24を表す炭素数2〜20の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等が挙げられ、好ましくは5〜7員複素環である。
【0064】
式(1)中のRa12とRa13、Ra22とRa23、及び式(2)中のRa42とRa43とが一緒になって形成し得る環、並びにRa31、Ra32、Ra33及びRa34が隣接するベンゼン環と一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等が挙げられ、好ましくは5〜7員環である。
【0065】
式(2)中のL2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
【0066】
炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基、2,4−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等のアルキレン基が挙げられる。
【0067】
炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基等のアリーレン基が挙げられる。
【0068】
炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、式(a)で表される基及び式(b)で表される基等が挙げられる。

[式(a)及び(b)中、L及びLは、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、L及びLは、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。]
炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基、2,4−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0069】
炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,5−ピリミジンジイル基、2,5−チオフェンジイル基、3,4−テトラヒドロフランジイル基、2,5−テトラヒドロフランジイル基、2,5−フランジイル基、3,4−チアゾールジイル基、2,5−ベンゾフランジイル基、2,5−ベンゾチオフェンジイル基、N−メチルインドール−2,5−ジイル基、2,5−ベンゾチアゾールジイル基、2,5−ベンゾオキサゾールジイル基等の2価の複素環基が挙げられる。
【0070】
式(1)中のRa3及びRa4、式(2)中のRa6を表すハロゲン原子、並びに式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22及びRa23が置換基として有してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0071】
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基か、あるいは式(2)中のL2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa24−、−NRa24CO−、−NRa24COO−、−OCONRa24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、この時中断する結合基は1種又は2種以上の基でもよく、連続して中断し得る基の場合は2つ以上連続して中断してもよい。
式(1)中のRa11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra31、Ra32、Ra33またはRa34で表される基、あるいは式(2)中のRa41、Ra42またはRa43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
また、式(2)中のL2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
【0072】
化合物(1)の中でも、式(3):

[式(3)中、L’は、硫黄原子又はNRa50を表し、Ra50は、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を表し、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、s及びtは、上記と同じ意味を表す。]
で表される化合物が好ましい。
【0073】
さらに、式(4):

[式(4)中、Ra51及びRa52は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Ra53は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は式(5)

(式(5)中、L11は、−O−又は*−OCO−を表し、*はL12との結合手を表し、L12は、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、1〜3個の−O−により中断されていてもよく、Ra54は、ORa55又はCOORa55を表し、Ra55は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
で表される基を表す。]
で表される化合物がより好ましい。
化合物(1)がこれらの化合物であると、化合物の製造が容易であり、さらに該化合物を含む感光性樹脂組成物から高感度でパターンを製造することができる。
【0074】
a51及びRa52を表すアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
a53は、好ましくは式(5)で表される基である。
12を表すアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
a54は、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
【0075】
化合物(1)としては、下記式で表される化合物が挙げられる。これらの化合物であると、パターン形成時の露光マージンが広くなる傾向がある。中でも、化合物No.2、化合物No.26、化合物No.44、化合物No.45及び化合物No.46が好ましい。
【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】
化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2011−132215号公報に記載の方法で製造できる。
【0092】
化合物(1)の含有量は、重合開始剤(C)の総量に対して、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。化合物(1)の含有量が前記の範囲内にあると、パターン製造時の露光マージンが広い傾向がある。
【0093】
本発明の感光性樹脂組成物は、重合開始剤(C)として、化合物(1)とは異なる重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤(C)としては、光又は熱の作用により重合を開始する化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(C)として、例えば、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物が挙げられる。また、特開2008−181087号公報に記載された光及び/又は熱カチオン重合開始剤(例えば、オニウムカチオンとルイス酸由来のアニオンとから構成されているもの)を用いてもよい。中でも、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物及びオキシム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物及びオキシム化合物からなる群から選ばれる2種以上であることがより好ましい。これらの重合開始剤であると、特に、高感度になる傾向があり好ましい。
【0094】
前記ビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0095】
前記のアルキルフェノン化合物は、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アルコキシアルキルフェノン又はα−(N−置換アミノ)アルキルフェノンを部分構造として有する化合物であり、具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2,3−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2、4−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。
【0096】
前記トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0097】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0098】
前記オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−エトキシカルボニルオキシ−1−フェニルプロパン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0099】
さらに重合開始剤(C)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(C1)と組み合わせて用いることが好ましい。
また、連鎖移動を起こしうる基を有する光重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されている光重合開始剤を使用してもよい。
【0100】
重合開始剤(C)の含有量は、樹脂(A)及び重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。重合開始剤(C)の含有量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得ることができ、さらに得られるパターンの可視光透過率が高い傾向がある。
【0101】
本発明の感光性樹脂組成物において、さらに、上述した重合開始剤(C)とともに、重合開始助剤(C1)を用いてもよい。重合開始助剤(C1)は、重合開始助剤(C1)は、重合開始剤(C)と組み合わせて用いられ、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(C1)としては、チオキサントン化合物、チアゾリン化合物、アルコキシアントラセン化合物、アミン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。これらと重合開始剤(C)とを組み合わせることで、高感度でパターンを得ることができる。
【0102】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0103】
チアゾリン化合物としては、式(III−1)〜式(III−3)で表される化合物、特開2008−65319号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0104】

【0105】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、特開2009−139932号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0106】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称;ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0107】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等の芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0108】
重合開始助剤(C1)を含む場合、その含有量は、樹脂(A)及び重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%である。重合開始助剤(C1)の量が前記の範囲にあると、高感度でパターンを得ることができ、得られるパターンは形状が良好である。
【0109】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに多官能チオール化合物(T)を含有していてもよい。多官能チオール化合物(T)とは、分子内に2個以上の−SHを有する化合物をいう。特に、脂肪族炭化水素基に由来する炭素原子に結合する−SHを2個以上有する化合物を用いると、本発明の感光性樹脂組成物の感度が高くなる傾向にある。
【0110】
多官能チオール化合物(T)としては、具体的には、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3−スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブチレート)、1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0111】
多官能チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(C)に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%である。多官能チオール化合物(T)の含有量が前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向があり好ましい。
【0112】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤(D)を含むことが好ましい。
本発明において使用し得る溶剤としては、例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0113】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0114】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0115】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0116】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0117】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0118】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0119】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましく、中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート及び3−メトキシ−1−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶剤が好ましく、3−メトキシブチルアセテートを含む溶剤がより好ましい。
【0121】
感光性樹脂組成物における溶剤(D)の含有量は、感光性樹脂組成物に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。言い換えると、感光性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。ここで、固形分とは、感光性樹脂組成物から溶剤(D)を除いた量のことをいう。溶剤(D)の含有量が前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物を塗布した膜の平坦性が高い傾向がある。
【0122】
本発明の感光性樹脂組成物は界面活性剤(E)を含有することが好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0123】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0124】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、フロリナート(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0125】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。好ましくはメガファック(登録商標)F475が挙げられる。
【0126】
界面活性剤(E)の含有量は、感光性樹脂組成物の総量に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。界面活性剤を前記の範囲で含有することにより、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0127】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を併用してもよい。
【0128】
本発明の感光性樹脂組成物は、顔料および染料などの着色剤を実質的に含有しない。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物において、組成物全量に対する着色剤の含量は、例えば、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満である。
【0129】
本発明の感光性樹脂組成物は、光路長が1cmの石英セルに充填し、分光光度計を使用して測定波長400〜700nmの条件下で透過率を測定した場合の平均透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0130】
本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜とした際に、塗膜の平均透過率が、好ましくは90%以上であり、さらに95%以上となることがより好ましい。この平均透過率は、加熱硬化(例えば、100〜250℃、5分〜3時間)後の厚みが3μmの塗膜に対して、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で測定した場合の平均値である。これにより、可視光領域での透明性に優れた塗膜を提供することができる。
通常、着色剤を含有しない樹脂組成物から塗膜を作製した場合、測定波長400nm付近での透過率が低下して黄色や茶色に着色しやすい。しかしながら、本発明の感光性樹脂組成物は、可視光領域全域(400〜700nm)において高い透過率を示す塗膜を提供することができる。
【0131】
本発明の感光性樹脂組成物は、基板上に塗布し、溶剤等揮発成分を除去(乾燥)して膜を形成し、フォトマスクを介して該膜を露光(フォトリソグラフ法)して、現像することにより製造することができる。前記のフォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、パターンを有さない塗膜を形成できる。
作製するパターンの膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜6μmである。
【0132】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、カラーフィルタ層、樹脂層、絶縁膜、導電膜、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0133】
塗布は、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコーター、ディップコーター等の種々の塗布装置を用いて行うことができる。
【0134】
次いで、乾燥又はプリベークして、溶剤等の揮発成分を除去することが好ましい。これにより、平滑な膜を得ることができる。
この場合の膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、1〜6μm程度が例示される。
【0135】
さらに、得られた膜に、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、光、例えば、水銀灯、発光ダイオードから発生する紫外線等を照射する。この際のフォトマスクの形状は特に限定されず、形状や大きさは、パターンの用途に応じて選択すればよい。
近年の露光機では、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出して、露光面全体に均一に平行光線を照射したりすることができる。このときマスクと基板との正確な位置合わせを行うために、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用してもよい。
【0136】
露光後の塗膜を現像液に接触させて所定部分、例えば、非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状を得ることができる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0137】
現像に使用する現像液は、塩基性化合物の水溶液が好ましい。
塩基性化合物は、無機及び有機の塩基性化合物のいずれでもよい。
無機の塩基性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0138】
有機の塩基性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
これらの無機及び有機の塩基性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0139】
前記の現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0140】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0141】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
【0142】
現像後、水洗を行うことで、パターンを得ることができる。さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、150〜240℃の温度範囲で、10〜180分間行うことが好ましい。
【0143】
このようにして本発明の感光性樹脂組成物から得られるパターンは、例えば、カラーフィルタ基板及び/又はアレイ基板の一部を構成するフォトスペーサ、パターニング可能なオーバーコート、層間絶縁膜、液晶配向制御用突起、マイクロレンズ、膜厚調整のためのコート層等、タッチパネル用の部材として有用であり、上記のようにして得られるパターンを有さない塗膜は、カラーフィルタ基板及び/又はアレイ基板の一部を構成するオーバーコートとして有用である。前記のカラーフィルタ基板及びアレイ基板は、液晶表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパー等に有用である。
【実施例】
【0144】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0145】
合成例1
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル100質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸40質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物の混合物、モル比=50:50)160質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル120質量部に溶解して、溶液を調製した。得られた溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。

一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル100質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて、5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分38.2質量%、酸価113mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量(Mw)は7.2×10、分子量分布(Mn/Mw)は1.83であった。樹脂Aaは、下記の構造単位を有する。

【0146】
合成例2
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200部及び3−メトキシブチルアセテート105部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物の、モル比、50:50の混合物。)240部を、3−メトキシブチルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、この溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を3−メトキシブチルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6%、酸価110mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量Mwは、1.34×10、分子量分布(Mn/Mw)は2.50であった。樹脂Abは、以下の構造単位を有する。

【0147】
合成例3
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート257質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、アクリル酸8部、シクロヘキシルマレイミド70部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)32質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。




一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)15質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mw6.8×10、分子量分布Mw/Mn2.23、固形分26.7質量%、溶液酸価31mg−KOH/gの樹脂B1溶液を得た。上記の固形分と溶液酸価とから固形分酸価を計算すると、114mg−KOH/gである。


【0148】
合成例4
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート257質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、アクリル酸57質量部、ビニルトルエン83部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)238質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mwは、1.04×10、分子量分布Mw/Mn1.98、固形分37.4質量%、固形分酸価112mg−KOH/gの樹脂B2溶液を得た。樹脂Adは、下記の構造単位を有する。


【0149】
得られた樹脂Aa、Ab、Ac、Adの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置:K2479((株)島津製作所製)
カラム:SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/min
検出器:RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0150】
実施例及び比較例
表1に示す組成となるように、各成分を混合して、感光性樹脂組成物を得た。
【0151】
【表1】

【0152】
なお、表1中、
樹脂(Aa)〜(Ad)は、固形分換算の質量部を表す。
重合性化合物(B);ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製)
化合物(1);式(1A)で表される化合物:特開2011−132215号公報に記載される方法により製造した。

重合開始剤(Ca);N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン(IRGACURE OXE 02;BASFジャパン社製)
溶剤(Da);3-メトキシ−1−ブタノール
溶剤(Db);ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
溶剤(Dc);プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(Dd);3−メトキシブチルアセテート
溶剤(De);3−エトキシエチルプロピオネート
界面活性剤(E);ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製;トーレシリコーンSH8400)
溶剤(D)は、感光性樹脂組成物の固形分量が表1の「固形分量〔%〕」となるように混合し、溶剤(D)中の溶剤成分(Da)〜(Dd)の値は、溶剤(D)中での質量比を表す。
界面活性剤(E)の含有量は、感光性樹脂組成物に対する質量比(%)を表す。
【0153】
<組成物の平均透過率>
得られた感光性樹脂組成物について、それぞれ、紫外可視近赤外分光光度計(V−650;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0154】
<塗膜の形成>
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)を、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、上記で得られた感光性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコートし、次にクリーンオーブン中、90℃で3分間プリベークした。その後、230℃で20分加熱して塗膜を得た。
【0155】
<塗膜の透過率>
得られた塗膜について、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて、400nmにおける透過率(%)及び400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。400nmにおける透過率が高いほど、塗膜の着色が少ないことを示す。結果を表2に示す。
【0156】
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)を、中性洗剤、水及びアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、感光性樹脂組成物を、60mJ/cmの露光量(365nm基準)で露光し、現像、水洗、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコートし、次にクリーンオーブン中、80℃で2分間プリベークした。冷却後、この感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を200μmとし、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、60mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。なお、このときの感光性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(UV−33;旭テクノグラス(株)製)を通過させて、使用した。また、フォトマスクとして、パターン(1辺が13μmである正方形の透光部を有し、当該正方形の間隔が100μm)が同一平面上に形成されたフォトマスクを用いた。
光照射後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に前記塗膜を25℃で60秒間浸漬して現像し、水洗後、オーブン中、235℃で15分間ポストベークを行い、パターンを得た。
【0157】
<パターン幅の測定>
得られたパターンについて、三次元非接触表面形状計測システム(Micromap MM527N−PS−M100;(株)菱化システム社製)でパターンの幅を測定した。尚、基板面から、パターンの高さに対し5%の高さの部分で、パターンの幅を測定した。
結果を表2に示す。
【0158】
<露光マージン評価>
露光量を80mJ/cmに代える以外は上記と同じ方法でパターンを得た。露光量60mJ/cmの条件で得たパターンの幅をW60、露光量80mJ/cmの条件で得たパターンの幅をW80としたとき、下記式で表される値を露光量依存性とした。
(露光量依存性)=(W80−W60)/(80−60)
露光量依存性の値が小さい方が、露光量の振れに対して得られるパターンの幅の振れが小さく、露光マージンは広いことを意味する。
【0159】
【表2】

【0160】
表2に示すとおり、化合物(1)を含む感光性樹脂組成物は、露光量依存性の値が小さいことから、露光マージンが広いことが確認された。
このような感光性樹脂組成物により形成したパターンを利用して表示装置を製造することにより、歩留まりを向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明によれば、パターン形成時の露光マージンが広い感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。本発明の感光性樹脂組成物から得られるパターンは、液晶表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパーなどの部材として好適に使用し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
樹脂が、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する重合体であり、
重合開始剤が式(1)で表される化合物を含む重合開始剤である感光性樹脂組成物。

[式(1)中、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、CORa11、SRa11、CONRa12a13又はCNを表し、
a11、Ra12及びRa13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12またはRa13で表わされる基の水素原子は、ORa21、CORa21、SRa21、NRa22a23、CONRa22a23、−NRa22−ORa23、−N(CORa22)−OCORa23、−C(=N−ORa21)−Ra22、−C(=N−OCORa21)−Ra22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよく、
a21、Ra22及びRa23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a21、Ra22またはRa23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよく、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa24−、−NRa24CO−、−NRa24COO−、−OCONRa24−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、
a24は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数2〜20の複素環基を表し、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22またはRa23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、Ra12とRa13及びRa22とRa23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよく、
a3及びRa4は、それぞれ独立に、Ra11、ORa11、SRa11、CORa11、CONRa12a13、NRa12CORa11、OCORa11、COORa11、SCORa11、OCSRa11、COSRa11、CSORa11、CN又はハロゲン原子を表し、
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、
Lは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CRa31a32、CO、NRa33又はPRa34を表し、
a31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、
a31、Ra32、Ra33またはRa34で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra31、Ra32、Ra33及びRa34は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよく、
a5は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は式(2)

(式(2)中、L1は、−O−、−S−、−NRa22−、−NRa22CO−、−SO2−、−CS−、−OCO−又は−COO−を表し、
2は、炭素数1〜20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6〜30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7〜30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2〜20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表し、
2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NRa22−、−NRa22COO−、−OCONRa22−、−SCO−、−COS−、−OCS−又は−CSO−により1〜5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、
a6は、ORa41、SRa41、CONRa42a43、NRa42CORa43、OCORa41、COORa41、SCORa41、OCSRa41、COSRa41、CSORa41、CN又はハロゲン原子を表し、
a41、Ra42及びRa43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表し、Ra41、Ra42及びRa43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、Ra42とRa43は、一緒になって環を形成していてもよく、
vは1〜3の整数を表す。)
で表される基を表す。]
【請求項2】
樹脂が、さらに、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体に由来する構造単位を有する共重合体である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物により形成されるパターン。
【請求項4】
請求項3記載のパターンを含む表示装置。

【公開番号】特開2013−37349(P2013−37349A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146485(P2012−146485)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】