説明

感光性活性成分を含む、紫外線安定、液体、または半固体の経皮投与体

【課題】本発明は、紫外領域において感光性のある薬理学的活性成分と、少なくともひとつの紫外光吸収賦形剤(紫外線吸収剤)とを含む、溶解、または分散状態で存在する半固体、および液体の経皮貼付用薬理学的投与体に関する。
【解決手段】有利な点は、本発明に従う投与体はそのゲルベースが水、アルコール、少なくともひとつのゲル形成ポリマー、および選択的に他の成分から成る経皮ゲルに関する。そのようなゲルは、水性アルコールゲルとも呼ばれる。感光性薬理学的活性成分を含む投与体は効果的に作成され、慣用的な半固体経皮外用薬を用いるときに知られている不都合をもたない。同時に、例えば使用者が意図的に光から保護しようとした結果、遮光物質が体内へ吸収されるという有害な付随効果は出来る限り抑えられなければならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外領域において感光性である薬理学的活性成分と、少なくともひとつの紫外線光吸収賦形剤(紫外線吸収剤)とを含む、半固体、および液体の経皮吸収貼付用薬理学的投与体に関する。半固体、および液体経皮投与体の中で、本発明は、特にそのゲルベースが水、アルコール、少なくともひとつのゲル形成ポリマー、および選択的に他の成分から成る経皮ゲルに関する。このようなゲルは、また水性アルコールゲルと呼ばれる。
紫外線吸収剤は、ゲル中に溶解、または分散して存在する。
【背景技術】
【0002】
例えば以下の例に示すように、薬理学的に活性のある物質の経皮投与が、製剤の経口投与と比較してさまざまな利点を持っていることが特許、および技術文献により知られている。
−胃腸管の回避にために活性成分の初回通過代謝がないこと。
−皮膚への貯蔵機能によってもたらされる、数時間にわたる活性成分の同時放出。
−結果として一定の血漿濃度(プラズマレベル)を維持すること。
【0003】
既知の経皮治療法の場合、現在までのところ主に二つの異なる薬理学的方法が支持を受けている。基質に溶解、または懸濁した活性成分を含む多くの治療貼付剤が存在する。
【0004】
さらに、近年、特にゲルによる半固体経皮投与体が普及している。経皮吸収貼付剤と比較したこの形態の重要な利点が、非閉鎖性薬理学的形態のよりよい皮膚の耐性にある。さらなる利点が、個人で利用できること(individual doseability)、および使用者が病気である、そうでなければ治療中であると目に見えて特徴付けられずに済むということにある。
【0005】
経皮外用薬として適切なさまざまな薬理学的活性成分(例えば、ニフェジピン、ニコチン、アリールプロピオン酸、およびベンゾフェノン誘導体、ガストデン、レバノルジェストレル、エストラジオール、および経皮外用薬として適切な他のホルモン)が感光性である。感光性物質は、太陽光スペクトル波長の中で、特に紫外領域(UV、280−400nm)の放射を吸収する。感光性活性成分を含む薬剤を光にさらすことにより、活性成分の光化学的分解、さらに極端な場合、薬剤の活性の損失が起こる。さらに、分解生成物が肌の光毒性、または光アレルギー反応をもたらすかもしれない。例えば、太陽光の影響の下、ケトプロフェンゲルや他のアリルプロピオン酸、およびベンゾフェノン誘導体が、光毒性やときには光アレルギー皮膚反応の発症を増大することが知られている。これは、この種の物質がもつ感光性を与える性質によるものだろう。このような分解過程を予防するために、適切な保護対策が感光性活性成分を含む経皮製剤に対して行われなければならない。
【0006】
経皮貼付剤の分野では、少なくともひとつの活性成分含有粘着層と裏のプラスチックフィルム(背面層)を有する典型的な層構造のために、活性成分から空間的に離れて紫外線吸収剤を備える可能性がある。例えば特許文献1において、この状況に対する発明的解決策が提案されている。層状に構成された貼付剤の場合、特に、空間的に活性成分含有層の前に紫外線吸収剤を提供する可能性がある。そこでは、有害な光線が活性成分含有層に到達する前に、まず紫外線吸収層を通過するにちがいない。したがって、活性成分は紫外光から特によく保護されることができる。
【0007】
しかし、溶液や半固体製剤のような他の経皮製剤形態での活性成分と紫外線吸収剤の空間的分離のあいまいな可能性は受け入れられないため、この原理は、この形態には適応されない。
【0008】
今までに知られている経皮ゲルの場合、通常アルミ製縁取り密封嚢/小袋(pouches/sachets)の光不透過性包装状態で製造されているため、光に対する保護のみに注意が払われている。しかし、保存期間中光から半個体性経皮吸収治療製剤(以下、TTSとする)を保護するこの方法はそれ自体不適当である。感光性活性成分は、皮膚への製剤貼付後は決して太陽光にさらされないと仮定されている。例えば、貼付箇所を衣服で覆い隠すことによって太陽光から保護することができる。しかし、特に気候的に暖かい地域や一年のうち気候的に暖かい時期において、少ない衣服を身につける場合、使用者は不本意に身体の貼付箇所を制限されることになる。
【0009】
太陽光の紫外部は肌に浸透することが知られている。つまり、中波長紫外線(UVB)(280−320nm)は、表皮全体から基底層に浸透する。長波長紫外線(UVA)(320−400nm)は、結合組織へ浸透する。一般に、経皮ゲルは、非常に広範囲(100−200cm以上)に適用され、皮膚の最上層部(角質層)から系統的循環への完全な活性成分の輸送は24時間以内に行われる。主に、主要浸透障害としての角質層は、製剤の大部分を何時間も保存する、活性成分貯蔵庫として機能する。紫外光の完全スペクトルはこの領域に浸透し、これによって光化学分解反応が起こる。
【0010】
これらの知見から、経皮ゲルの場合、適用中の光感度の問題は、経皮吸収貼付剤の場合よりもさらに大きい。後者の場合、露出している貼付表面は一般的により小さく、さらにまた、外側にあるプラスチックフィルムの少なくともひとつの背面層が与えられ、そのため原則的に最小限の紫外線保護を提供する。
【0011】
薬理学的、また感光性の活性成分を含む半固体TTS(ゲル)は特許文献により知られている。
【0012】
特許文献2には薬理学的に活性な成分を含むゲルの調剤が書かれている。特許文献3には、ジクロフェナク含有ゲルが示され、特許文献4には、生殖機能低下の治療および/または予防のための少なくともひとつのアンドロゲンステロイドをもつゲル成分について述べられている。これらすべての特許明細書は、感光性や半固体経皮投与体の場合の光からの保護という微妙な(sensitive)問題について言及していない。
【特許文献1】欧州特許第1449526号明細書
【特許文献2】国際公開第03/082960号パンフレット(A1)
【特許文献3】国際公開第01/60399号パンフレット(A1)
【特許文献4】国際公開第02/051421号パンフレット(A2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、感光性薬理学的活性成分を含む半固体経皮投与体を可能にすることである。そこでの治療システムは、慣用的な半固体経皮外用薬が用いられるときに知られているような欠点のない高い安定性を実現する。
【0014】
同時に、例えば使用者が意図的に光から保護しようとした結果、遮光物質が体内へ吸収されるという有害な付随効果は出来る限り抑えられなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従って、目的は、紫外線感光性薬理学的活性成分と、使用される濃度において薬理学的活性を持たない少なくともひとつの紫外線吸収剤を含む半固体、または液体投与体によって達成される。
【0016】
本発明に従って、半固体投与体は水性アルコールゲルでもよい。クリーム、溶液、および懸濁液のような方法もまた有効であることが示される。
【0017】
驚くべきことに、紫外線吸収剤を適切に選択することによって、薬理学的活性成分と紫外線吸収剤の空間的分離が治療状態の下で達成される:
【0018】
経皮活性成分は、必然的に容易に皮膚へ浸透する薬理学的活性成分のグループに所属するが、本発明に従って、紫外線吸収剤はできるだけ皮膚への浸透、または透過が少ない物質のグループから選択される。本発明に従った薬剤では経皮ゲル、または経皮溶液は、活性成分と吸収剤の初期状態であらかじめお互いに混合した状態で存在するため、皮膚へ拡散し通過することにより両成分の空間的分離が起こる。浸透性の低い紫外線吸収剤は皮膚表層に残り、深く浸透する活性成分と体外から作用する紫外放射の間に空間的に位置する。
【0019】
適切な紫外線吸収剤の選択のため、本発明に従って、1−オクタノールと水の分配係数の対数(logPOCT/H2O、以降、logPとする)とその分子量が用いられる。
【0020】
紫外線吸収剤の分配係数[logP]は、好ましくは3.0超、または1.0未満、特に好ましくは5.0超、または0.0未満である。従って、紫外線吸収剤は非常に親油性、または非常に親水性のどちらかであるため、皮膚にただわずかに浸透、または透過することを好む。
【0021】
紫外線吸収剤のモル質量は好ましくは250gmol−1超である。
【0022】
500g/mol超のモル質量をもつ紫外線吸収剤が特に好ましい。500g/mol超のモル質量をもつ紫外線吸収剤は、皮膚に対して低い浸透力と透過力とをもつ。
【0023】
本発明に従った経皮投与体には、紫外線吸収剤は1−10%、好ましくは2−5%の割合で存在する。
【0024】
本発明に従った半固体投与体が、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、またはDMSOのような揮発性成分を含んでいると、量的割合は非揮発性媒体成分の総量、または言い換えると、全揮発成分が除かれた後に皮膚に残っている薬剤に依存する。
【0025】
保護されるべき活性成分の光化学的分解を誘導する波長帯に最大吸収をもつ紫外線吸収物質が確立されることが可能となった。もし幅広い紫外線スペクトル領域、またはそこにある活性成分の最大吸収が必要ならば、異なる最大吸収をもつふたつの紫外線吸収物質を組み合わせることが有効であることがわかる。
【0026】
さらに、本発明に従った半固体投与体において、紫外線領域で吸収する物質が、P−アミノ安息香酸、アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、そしてまたケイ皮酸とその誘導体、好ましくは4−メトキシケイ皮酸イソアミル、3−ベンジリデンボルナン−2−オン、ベンジリデンボルナン−2−オン誘導体、好ましくは3−(4’)メチルベンジリデンボルナン−2−オン、3−(4−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オン、そしてまたサリチル酸誘導体、好ましくはサリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、そしてまた3−イミダゾール−4−イル−アクリル酸とそのエステル、2−フェニレンベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、メチレンビスベンゾトリアゾルイルテトラメチル−ブチルフェノール、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、そしてまたベンゾフェノン、またはベンゾフェノン誘導体、好ましくはベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4を含むグループから選択される。
【0027】
本発明の意味において、紫外線領域、この場合、主にUVA領域で、吸収がある以下の物質が特にふさわしいことが示された:
4−ビス(ポリエトキシル)アミノ安息香酸ポリエトキシエチル、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン5,5’−二ナトリウムスルホナート、4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート、2,4,6−トリアニリン−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、ジオクチルブトアミドトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノール メトキシフェニルトリアジン、テレフタロイリデンジ樟脳スルホン酸、N−[2(および4)−(2−オキソ−ボルナ−3−イリデンメチル)ベンジル]アクリルアミドのポリマー、ドロムトリアゾールトリシロキサン、そして2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸,一ナトリウム塩)。UVA領域に対する特に好ましい紫外線吸収剤の商品名はチヌビン(登録商標)326、チノソーブ(登録商標)Sおよびまたメギゾリル(登録商標)XLである。
【0028】
例えばカルボン酸、またはスルホン酸のような酸による化学反応が起こる物質の場合、好ましくは、および完全性を要求せずに(without claim to completeness)、カリウム、ナトリウム、およびトリエタノールアミン(=TEA)塩のような薬理学的に受け入れられる塩が用いられてもよい。
【0029】
さらに、本発明に従った投与体は、薬理学的に活性のある成分として、少なくとも一つのホルモンを含むことができる。
【0030】
さらにまた、本発明に従った半固体TTSにおいて、薬理学的に活性のある成分はゲスタゲン(黄体ホルモン)、好ましくはゲストデン(ゲストーデン)、またはレボノルゲストレル、またはエストロゲン、またはエストロゲンとゲスタゲン(ゲスターゲン)、好ましくはゲストデンとエチニルエストラジオールとの組み合わせ、さらにまたアンドロゲン、好ましくはテストステロン、メチルエストステロン、またはメチルノルテストステロン(MENT)、およびまた7α−メチル−11β−フルオロ−19−ノルテストステロン(eF−MENT)。
【0031】
半固体投与体のゲル形成剤は、好ましくは以下の化合物を含むグループから選ばれる:セルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、Naカルボキシメチルセルロース、キトサン−エチレンジアミン四酢酸(以降、EDTAとする),高分散シリカ、沈降シリカ、ベントニット、デンプン、好ましくはコーンスターチ、コメデンプン、イモデンプン、コムギデンプン、カルボキシメチルアミロペクチン ナトリウム、トラガカント、アルギン酸塩、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリレート−ポリアルキルアクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチル タウラート/ビニルピロリドン コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明される。
【実施例1】
【0033】
ケトプロフェンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)で、特に肩やひじの領域における、運動や事故による打撲、捻挫および筋違いなどの傷害など、関節付近の柔らかい部分(たとえばアキレス腱、腱鞘、靭帯、および関節嚢)の腫れや炎症の処置のため、ゲルの状態で使用される。太陽光の影響下では、光毒性、光アレルギー皮膚反応の発生がこのようなゲルに対して記述されている。活性成分ケトプロフェンは紫外線吸収剤ユビヌル(Uvinul)DS49の添加によって光誘導分解から保護される。
ケトプロフェン 2.5%
カルボポール940 1%
ユビヌルDS 49 2%
(2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−二ナトリウムスルホン酸塩)
トリエタノールアミン(TEA) 1%
イソプロパノール 20%
プロピレングリコール 20%
EDTA 0.1%
水 100%まで
ユビヌルDS49は、約478.4g/molの分子量と分配係数logP値−1.9をもつ。
【0034】
ゲルベースは、一般的に知られている薬理学的過程に従ってカルボポール、TEA、および水より調整される。ユビヌルDS49とEDTAはこのベースに取り込まれる。イソプロパノール、プロピレングリコール、およびケトプロフェンは混合され、続いてゲルベースに取り込まれる。
【実施例2】
【0035】
ゲストデン含有調剤は、ホルモン置換療法に用いられる。紫外光のもとでは、活性成分の分解やそれに伴う活性の低下が起こる。
ゲストデン 1%
ユビヌルMC80 2%
(4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル)ジエチレングリコールモノエチル エーテル 10%
ミリスチン酸イソプロピル 10%
エタノール 70%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.5%
水 100%まで
【0036】
ユビヌルMC80は、分子量約290g/molと分配係数logP値5.37をもつ。
【0037】
ゲストデンとユビヌルMC80はエタノールに溶解される。続いて、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、および水が加えられ、よく混合される。その後、ヒドロキシプロピルセルロースを部分的に組み込ませることによってゲルが形成され、薬理学的過程に従って適切に膨張される。
【実施例3】
【0038】
エチニルエストラジオール含有調剤は、ホルモン置換療法に用いられる。紫外光のもとでは、エチニルエストラジオールの分解やそれに伴う活性の低下が起こる。
エチニルエストラジオール 0.2%
チノソーブS 2%
(ビスエチルヘキシルオキシフェニル メトキシフェニルトリアジン)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10%
ミリスチン酸イソプロピル 10%
エタノール 70%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.5%
水 100%まで
【0039】
チノソーブSは、627.80g/molの分子量と分配係数logP値9を持つ。
エチニルエストラジオールとチノソーブSは、エタノールに溶解される。続いて、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、および水が加えられ、よく混合される。その後、ヒドロキシプロピルセルロースを部分的に組み込ませることによってゲルが形成され、ゲルは薬理学的過程に従って適切に膨張した。
【実施例4】
【0040】
エチニルエストラジオールとゲストデンのホルモンの組み合わせが避妊のために用いられる。紫外光の影響のもとでは、活性成分の分解と、その後の活性の低下が起こる。
エチニルエストラジオール 0.4%
ゲストデン 1%
チノソーブS 2%
(ビスエチルヘキシルオキシフェニル メトキシフェニルトリアジン)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10%
プロピレングリコール 5%
カルボポール940 1%
エタノール 50%
トリエタノールアミン(TEA) 1%
【0041】
エチニルエストラジオール、ゲストデン、およびチノソーブSはエタノール相に溶解される。ゲルベースは、一般的に知られている薬理学的過程に従って、カルボポール、TEA,および水から調整された。プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、続いてエタノール相がゲルに組み込まれる。
【実施例5】
【0042】
活性成分7α−メチル−11β−フルオロ−19−ノルテストステロン(eF−MENT)は、性機能低下症の男性のホルモン置換治療に用いられる。
炭酸プロピレン 10.0%
エタノール 54.0%
精製水 〜29.0%
eF−MENT 0.8%
チノソーブS 1.0%
アクリル酸塩/C10−30アクリル酸アルキル 0.8%
クロスポリマー(ペルムレン、Permulen TR−1)
メチルセルロース(チロプール、Tylopur MH1000)0.5%
グリセロール 86% 1.0%
シクロメチコン 1.5%
ミリスチン酸イソプロピル 0.5%
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン pH5.8になるまで添加
【0043】
eF−MENTとチノソーブSはあらかじめエタノール96%に溶解された。ペムーレンTR−1とHPC(クルーセルHF)はこのエタノール溶液中で膨張された。炭酸プロピレンが添加され、攪拌、混合した。続いて、ミリスチン酸イソプロピルが加えられ、再び混合された。混合物全体は、漏斗によって混合/均一系に投入され、しばらくの間攪拌された。その後、(例えばロータ ステータホモジェナイザーを用いて)2000−3500rpmで一分間均一化された。いくつかの段階を経て、シュリーレン・フリー混合としてグリセロール86%と精製水全量が添加され(吸い込まれ)、ゲルの膨張が明らかに見られた。ゲルのはっきりとした清澄が見られるまで(約5分間)攪拌された。続いて、シクロメチコンが攪拌とともに混合物に取り込まれた。続いて、中和のため3段階で10%強度のトロメタミン水溶液が添加された。取り込みの最後の段階で、混合液は2分間2700rpmで均一化された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用された濃度において、薬理学的活性をもたない少なくともひとつの紫外線吸収剤が含まれ、それが投与体中に溶解、または分散して存在していることを特徴とする紫外線感光性薬理学的活性成分を含む半固体、または液体経皮投与体。
【請求項2】
投与体が水性アルコールゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項3】
紫外線吸収剤の分配係数[logP]が3.0超、または1.0未満、好ましくは5.0超、または0.0未満であることを特徴とする請求項1、または2に記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項4】
紫外線吸収剤のモル質量が250gmol−1超、好ましくは500gmol−1超であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の半固体、または液体の経皮投与体。
【請求項5】
紫外線吸収剤が、不揮発性(non−readily volatile)媒体組成の総質量に対して1−10%、好ましくは2−5%の割合で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項6】
紫外領域において吸収をもつ物質が、p−アミノ安息香酸とアミノ安息香酸誘導体、3−ベンジリデンボルナン−2−オン、ベンジリデンボルナン−2−オン誘導体、好ましくは3−(4’)メチルベンジリデンボルナン−2−オン、3−(4−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オン、3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチル硫酸、N−[2(および4)−(2−オキソボルナ−3−イリデンメチル)ベンジル]アクリルアミドポリマー、およびサリチル酸誘導体を含むグループから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項7】
実質的に長波長紫外領域に吸収をもつ少なくともひとつの物質が、2,4,6−トリアニリン−P−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、ジオクチルブトアミドトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノール、メトキシフェニルトリアジン、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸、2−フェニレンベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、およびそのカリウム、ナトリウム、およびトリエタノールアミン(=TEA)塩、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)、メチレンビスベンゾトリアゾルイルテトラメチルブチルフェノール、ドロムトリアゾールトリシロキサン、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸、テレフタロイリデンジ樟脳スルホン酸、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、およびまたベンゾフェノン、またはベンゾフェノン誘導体、好ましくはベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−二ナトリウムスルホン酸塩を含むグループにあることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項8】
感光性薬理学的活性成分として、少なくともひとつのホルモンを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項9】
薬理学的活性成分がゲスタゲン、好ましくはゲストデン、またはレボノルゲストレルであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項10】
薬理学的活性成分がエストゲン、好ましくはエチニルエストラジオールであること特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項11】
ふたつの活性成分が、ゲスタゲンとエストロゲン、好ましくはゲストデンとエチニルエストラジオールの組み合わせであることを特徴とする、請求項9、または10に記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項12】
薬理学的活性成分がアンドロゲン、好ましくはテストステロン、メチルテストステロン、メチルノルテストステロン(MENT)、または7α−メチル−11β−フルオロ−19−ノルテストステロン(ef−MENT)であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。
【請求項13】
系が無色、および透明であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の半固体、または液体経皮投与体。

【公表番号】特表2007−534643(P2007−534643A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543451(P2006−543451)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013839
【国際公開番号】WO2005/055975
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(503161073)シェーリング アーゲー (4)
【Fターム(参考)】