説明

感光性熱硬化性樹脂組成物、並びにレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板及びその製造法。

【課題】LEDプリント配線基板用ソルダーレジスト膜を与えることができる感光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】[I]下記式、


にて表されるエポキシ樹脂と、加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、 [II]不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、 [III]希釈剤、 [IV]光重合開始剤、及び [V]硬化密着性付与剤を含有することを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、感光性熱硬化性樹脂組成物、並びにレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板及びその製造法に関する。より詳しくは、本願発明は、プリント配線基板、特にLED(就中、大型液晶バックライトLED等)用プリント配線基板、LED照明用プリント配線板、自動車用LEDヘッドライト用プリント配線板、紫外線(UV)LED用プリント配線板、及び高放熱性プリント配線板等のソルダーレジスト、層間絶縁材、半導体パッケージの再配線層等に有用な感光性熱硬化性樹脂組成物、並びにそのレジスト膜にて被覆された平滑化プリント配線基板及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
レジスト膜、特にソルダーレジスト膜は、プリント配線基板の保護膜として、HAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test:高度加速耐熱耐湿性負荷試験)耐性、耐金メッキ性等の特性が優れることが要求される。
【0003】
加えて、照明用光源のLEDや表示素子用バックライトのLEDに使用されるプリント配線基板のソルダーレジスト膜においては、上記要求特性の他に更に、できるだけ発光ダイオードの発光を有効に利用することが求められている。
【0004】
そこで、LED用プリント配線基板のソルダーレジスト膜としては、光の反射率を向上させることにより発光ダイオードの発光を有効に利用する、白色ソルダーレジスト膜が望ましい。しかし、光の反射率の向上だけでは、発光ダイオードの発光の有効利用には限界があり、更なる有効利用が望まれる。
【0005】
ところで、プリント配線基板等に用いられる硬化性インキとしては、以下のものが開示されている。即ち、特許文献1には、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂用硬化剤(B)を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物が記載されている。特許文献1には、耐熱性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とすることが記載されている。
【0006】
特許文献2には、シラン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)及びエポキシ硬化剤(B)を含有するエポキシ樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、耐熱性、耐黄変性に優れた熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とすることが記載されている。
【0007】
特許文献3には、(1)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂と、(2)エポキシ化合物と、(3)光重合性単量体と、(4)光重合開始剤とを含有する耐熱性感光性樹脂組成物が記載されている。特許文献3には、半田耐熱性、耐燃性、耐めっき性および耐薬品性に優れ、電気絶縁性、基板との密着性、経時安定性および現像性に優れた耐熱性感光性樹脂組成物を提供することを目的とすることが記載されている。
【0008】
特許文献4には、エチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)、光重合開始剤(B)、架橋剤(C)並びに硬化剤(D)を含有する感光性樹脂組成物が記載されている。特許文献4には、タック性がなく光感度に優れ、硬化物が密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性等に優れた感光性樹脂組成物を提供することを目的とすることが記載されている。
【0009】
特許文献5には、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(A)、光重合開始剤(B)、希釈剤(C)、及び硬化成分(D)を含有する感光性フレキシブルプリント配線基板用レジストインキ組成物が記載されている。特許文献5には、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、その硬化皮膜が可撓性、耐折性、密着性、耐薬品性、耐熱性等に優れたフレキシブルプリント配線基板用レジストインキ組成物を提供することを目的とすることが記載されている。
【0010】
特許文献6には、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、多官能光重合性アクリレートモノマー、アミノシラン変性エポキシ樹脂、光重合開始剤、有機溶媒を含有する感光性樹脂組成物が記載されている。特許文献6には、パターニング可能で、平滑性の高い透明薄膜を与え、着色樹脂膜上の保護膜或いは平滑層の形成に有用な樹脂組成物を提供することが記載されている。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1〜6に記載の硬化性インキから得られる硬化物は何れも、HAST耐性が必ずしも十分なものとは言えなかった。更に、特許文献1,2,及び6に記載の硬化性インキから得られる硬化物は、耐金メッキ性が必ずしも十分なものとは言えなかった。
【0012】
【特許文献1】特開2001−59013号公報。
【特許文献2】特開2005−179401号公報。
【特許文献3】特開平6−230571号公報。
【特許文献4】特開2005−115187号公報。
【特許文献5】特許第3281473号公報。
【特許文献6】特開平6−73160号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記事情に鑑み、本願発明は、HAST耐性及び耐金メッキ性等に優れた硬化物を与える感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。特に、本願発明は、上記の優れた諸特性に加え更に、光の反射率のみならず光沢性にも優れ、その結果、ダイオードの発光をより一層、有効利用することができるLEDプリント配線基板用ソルダーレジスト膜を与えることができる感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本願発明者等が鋭意、検討した結果、以下の本願発明を成すに到った。
即ち、本願第1発明は、
[I]下記式、
【0015】
【化1】

[式(化I/E)中、Gはグリシジル基を表す。a11個のA11及びa12個のA13並びにA15は、それぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表す。a11個のA12とa12個のA14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表す。但し、a11個のA12及びa12個のA14の内、少なくとも1つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a11及びa12は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に0以上の数を表すがa11とa12とは同時に0ではなく、且つa11とa12との総和は、20以下である。]
【0016】
にて表されるエポキシ樹脂と、加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、
【0017】
[II]分子中にエチレン性不飽和基及び2個以上のカルボキシル基を有し、固形分酸価(mgKOH/g)50〜150の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、
[III]希釈剤、
[IV]光重合開始剤、及び
[V]硬化密着性付与剤
【0018】
を含有し、成分[I]と成分[II]との含有重量比が2/100〜50/100であり、且つ成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対しそれぞれ、成分[III]を5〜500重量部、成分[IV]を0.1〜30重量部、及び成分[V]を0.1〜20重量部含有することを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0019】
本願第2発明は、エポキシ樹脂(化I/E)が、下記式、
【化2】

[式(化I/E−1−1)中、Gは、グリシジル基を表す。a611個のA611は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a611は、20以下の数である。]、
【0020】
【化3】

[式(化I/E−1−2)中、Gは、前記と同義である。a621個のA621は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a621は、20以下の数である。]、及び
【0021】
【化4】

[式(化I/E−S)中、Gは、前記と同義である。a個のAは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数aは、20以下の数である。]
にて表されるものの1種以上であり、
【0022】
加水分解性アルコキシシランが、下記式、
【化5】

[式(化I/Si−2)中、B21〜B26は、同一でも異なってもよくそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、若しくは不飽和脂肪族残基を表す。平均繰り返し単位数b21は、2〜11の数である。]、及び
【0023】
【化6】

[式(化I/Si−3)中、B31〜B36は、同一でも異なってもよくそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、若しくは不飽和脂肪族残基を表す。平均繰り返し単位数b31は、2〜11の数である。]
【0024】
にて表されるものの1種以上であることを特徴とする本願第1発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0025】
本願第3発明は、成分[II]が、エチレン性不飽和酸とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体に、エポキシ基含有不飽和単量体を反応させて得られる樹脂、及び/又はエポキシ基含有不飽和単量体とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体にエチレン性不飽和酸を反応させて得られる反応生成物に、飽和及び/又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂であることを特徴とする本願第1発明又は第2発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0026】
本願第4発明は、更に、成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対し、白顔料を10〜500重量部、及び充填剤を10〜1200重量部含有することを特徴とする本願第1発明〜第3発明の何れかに係る感光性熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0027】
本願第5発明は、本願第1発明〜第4発明の何れかに係る感光性熱硬化性樹脂組成物を平滑化プリント配線基板表面上に塗布し、塗布樹脂を光硬化した後、更に100〜190℃に加熱して熱硬化することを特徴とするレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板の製造方法を提供する。
【0028】
本願第6発明は、本願第5発明に係る製造方法にて製造されるレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本願発明により、HAST耐性及び耐金メッキ性等に優れた硬化物を与える感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。特に、本願発明により、上記の優れた諸特性に加え更に、光の反射率のみならず光沢性にも優れ、その結果、ダイオードの発光をより一層、有効利用することができるLEDプリント配線基板用ソルダーレジスト膜を与えることができる感光性熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本願発明を、最良の実施形態に基づいて詳述する。
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(以下「成分[I]」とも言う。)を含有する。成分[I]としては、下記式(化I/E)にて表されるエポキシ樹脂と、後述の加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるものが挙げられる。
【0031】
【化7】

式(化I/E)中、Gはグリシジル基であり、次式、
【0032】
【化8】

にて表されるものである。
【0033】
式(化I/E)においては、下記式(化I/E−U1)及び(化I/E−U2)にて表される各繰り返し単位の樹脂骨格中における配列順序を、何等、規定(限定)するものではない。
【0034】
【化9】

【0035】
従って、繰り返し単位(化I/E−U1)と(化I/E−U2)とが同一でない場合、樹脂(化I/E)としては、例えば、繰り返し単位(化I/E−U1)と(化I/E−U2)とが、ブロック重合型に配列したもの、交互重合型に配列したもの、及びランダム重合型に配列したもの等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0036】
式(化I/E)中、a11個のA11及びa12個のA13並びにA15は、それぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表すが、好ましくは、A15はA11若しくはA13である。
【0037】
11、A13、及びA15において、2価の芳香族残基としては、例えば、下記式(化I/E−Ar1)にて表される2価基、フェニレン基、若しくはナフチレン基等が挙げられる。
【0038】
【化10】

[式(化I/E−Ar1)中、A21は(シクロ)アルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−S−、−S−S−、−SO−、−SOO−、若しくは次式(化F)、
【0039】
【化11】

にて表される2価基を表し、a21は0若しくは1である。]
【0040】
芳香族残基において、2価基(化I/E−Ar1)としては、A21が(シクロ)アルキレン基のものが挙げられる。(シクロ)アルキレン基としては、例えばC1〜C8のものが挙げられる。(シクロ)アルキレン基は、置換基[例えば、C1〜C6(シクロ)アルキル基、アリール基、−CF等]を有していてもよい。尚、式(化I/E−Ar1)において、一方若しくは両方のベンゼン環上に、更に置換基(例えば、C1〜C6アルキル基、ハロゲン原子等)を一つ以上有してよい。具体的には、このような芳香族残基としては、下記式(化I/E−Ar1−1)〜(化I/E−Ar1−5)にて表されるもの等が挙げられる。
【0041】
【化12】

【0042】
芳香族残基において、別の2価基(化I/E−Ar1)としては、A21が−O−、−CO−、−COO−、−S−、−S−S−、−SO−、若しくは−SOO−のものが挙げられる。尚、式(化I/E−Ar1)において、一方若しくは両方のベンゼン環上に、置換基(例えば、C1〜C6アルキル基、ハロゲン原子等)を1以上有してもよい。具体的には、このような芳香族残基としては、下記式(化I/E−Ar1−6)及び(化I/E−Ar1−7)にて表されるもの等が挙げられる。
【0043】
【化13】

【0044】
芳香族残基において、更に別の2価基(化I/E−Ar1)としては、A21が次式(化F)、
【化14】

【0045】
にて表されるもの等が挙げられる。尚、式(化I/E−Ar1)において、一方若しくは両方のベンゼン環上に、置換基(例えば、C1〜C6アルキル基等)を1以上有してもよい。具体的には、このような芳香族残基としては、次式(化I/E−Ar1−F)、
【0046】
【化15】

にて表されるもの等が挙げられる。
【0047】
芳香族残基において、更に別の2価基(化I/E−Ar1)としては、a21が0のものが挙げられる。尚、式(化I/E−Ar1)において、一方若しくは両方のベンゼン環上に、置換基(例えば、C1〜C6アルキル基、ハロゲン原子等)を1以上有してもよい。具体的には、このような芳香族残基としては、下記式(化I/E−Ar1−8)及び(化I/E−Ar1−9)にて表されるもの等が挙げられる。
【0048】
【化16】

【0049】
芳香族残基において、フェニレン基としては、芳香環上に置換基(例えば、C1〜C6アルキル基、ハロゲン原子等)を1以上有していてもよい。具体的には、フェニレン基としては、次式(化I/E−Ar2−1)、
【0050】
【化17】

にて表されるもの等が挙げられる。
【0051】
芳香族残基において、ナフチレン基としては、具体的には、次式(化I/E−Ar3−1)、
【0052】
【化18】

にて表されるもの等が挙げられる。
【0053】
芳香族残基としては、基(化I/E−Ar1−1)、(化I/E−Ar1−4)、(化I/E−Ar1−8)、及び(化I/E−Ar1−9)が好ましい。
【0054】
11、A13、及びA15において、2価の水添芳香族残基としては、上記芳香族残基中の芳香環を水添(水素添加)したもの等が挙げられる。A11、A13、及びA15の内の少なくとも一部を、上記芳香族残基の替わりに水添芳香族残基としてよい。芳香族残基の替わりに水添芳香族残基とした場合、熱履歴による変色の防止(特に耐黄変性)、耐侯性、及びアクリル共重合性樹脂との相溶性等が向上するという利点がある。
【0055】
水添芳香族残基としては、完全水添及び部分水添されたものが挙げられる。具体的には、水添芳香族残基としては、芳香族残基中の不飽和結合(二重結合等)を完全に水添して飽和結合にしたもの、及びその途中の段階まで水添したもの、並びに芳香環中の総ての不飽和結合が水添されたもの、及び芳香環中の一部の不飽和結合のみが水添されたもの等が挙げられる。
【0056】
水添芳香族残基を有するエポキシ樹脂(化I/E)を使用した場合、耐黄変性、耐侯性、及びアクリル共重合性樹脂との相溶性等を向上させることができる。
【0057】
水添条件は、水添の程度(例えば40〜100%水添)に応じ適宜選択されるが、例えば、ルテニウム担持成型触媒を充填した固定床流通式反応器を用いて、エーテル系溶媒に溶解した原料溶液と水素とを気液上向並流で反応器へ流通するフラッデドベッド法を用い、反応温度10〜150℃の範囲、反応圧力(水素圧)0.5〜15MPaの範囲、原料溶液の流通速度(LHSV)0.2〜10/hの範囲で水添が可能である。
【0058】
11、A13、及びA15において、水添芳香族残基としては、具体的には、下記式(化I/E−S−1)〜(化I/E−S−12)にて表されるもの、並びにこれらのシクロヘキサン環の一部若しくは全部がシクロヘキセン環になったもの等が挙げられる。
【0059】
【化19】

【0060】
式(化I/E)中、平均繰り返し単位数a11及びa12は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に0以上の数を表すが、a11とa12とは同時に0ではない。a11とa12との総和(a11+a12)は、例えば20(特に15)以下が好ましい。総和(a11+a12)が大き過ぎる場合、多官能の加水分解性アルコキシシランとの反応によって、ゲル化を引き起こす可能性がある。
【0061】
式(化I/E)中、a11個のA12とa12個のA14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表す。但し、a11個のA12及びa12個のA14の内、少なくとも1つはHであり、総てが同時にHであってもよい。好ましくは、a11が0でない場合、a11個のA12の内、少なくとも一つはGである。同様に、好ましくは、a12が0でない場合、a12個のA14の内、少なくとも一つはGである。
【0062】
更に、エポキシ樹脂(化I/E)は、軟化点50℃以上(特に60〜100℃)が好ましい。軟化点を50℃以上にすることにより、指触乾燥性の向上、及び感光性の向上という利点がある。
【0063】
エポキシ樹脂(化I/E)としては、単独重合樹脂及び共重合樹脂等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。「樹脂」の種類としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F併用型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA(若しくはF)のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格エポキシ樹脂、フルオレイン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、及びε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの一種以上を使用してよい。
【0064】
好ましくは、エポキシ樹脂(化I/E)としては、下記式(化I/E−1)にて表される単独重合型樹脂、下記式(化I/E−2)にて表される交互共重合型樹脂、及び下記式(化I/E−3)にて表されるブロック共重合型樹脂等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0065】
【化20】

【0066】
式(化I/E−1)〜(化I/E−3)中、Gは前記と同義である。
式(化I/E−1)中、A31及びA33は、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表すが、好ましくはA33はA31である。A31及びA33において、2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基としては、前記A11、A13、及びA15において説示したものであってよい。式(化I/E−1)中、平均繰り返し単位数a31は、20(特に15)以下が好ましい。式(化I/E−1)中、a31個のA32は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。
【0067】
式(化I/E−2)中、A41、A43、及びA45は、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表すが、好ましくは、A45はA41若しくはA43である。A41、A43、及びA45、において、2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基としては、前記A11、A13、及びA15において説明・例示したものであってよい。式(化I/E−2)中、a41は、a31と同義である。式(化I/E−2)中、a41、個のA42とA44とは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。
【0068】
式(化I/E−3)中、A51、A53、及びA55は、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表すが、好ましくは、A55はA51若しくはA53である。A51、A53、及びA55において、2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基としては、前記A11、A13、及びA15において説明・例示したものであってよい。式(化I/E−3)中、a51及びa52は、それぞれa11及びa12と同義である。式(化I/E−3)中、A52とA54とは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。
【0069】
共重合型のエポキシ樹脂(化I/E−2)又は(化I/E−3)は、各単独重合型のエポキシ樹脂(化I/E−1)を複合したような効果を発現する。
【0070】
例えば、樹脂(化I/E−1)は、基本骨格A31によって樹脂特性・特徴が異なる。具体的には、A31にビスフェノールFタイプを導入した場合、可とう性、密着性といった樹脂特性・特徴を有する。又、A31に基(化I/E−Ar1−9)を導入した場合、結晶性、低吸水率といった樹脂特性・特徴を有する。そこで、両者の特徴を得るために、夫々の単独重合型のエポキシ樹脂をブレンドすればよい。他方、同一分子内に上記骨格を夫々導入した共重合型のエポキシ樹脂を使用することによっても、両樹脂の特性・特徴を兼ね合わせた樹脂を合成することができる。従って、共重合型のエポキシ樹脂を使用することにより、樹脂特性としてトレードオフの関係にある事柄をバランスよく、機能付加することができる。
【0071】
エポキシ樹脂(化I/E)において、樹脂(化I/E−1)としては、具体的には、下記式(化I/E−1−1)及び(化I/E−1−2)にて表される樹脂が挙げられる。樹脂(化I/E−2)としては、具体的には、それぞれ下記式(化I/E−2−1)〜(化I/E−2−4)にて表される樹脂が挙げられる。樹脂(化I/E−3)としては、具体的には、それぞれ下記式(化I/E−3−1)〜(化I/E−3−4)にて表される樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂(化I/E)としては、これらの一種以上使用してよい。
【0072】
【化21】

【0073】
【化22】

【0074】
上記式(化I/E−1−1)〜(化I/E−2−4)及び(化I/E−3−1)〜(化I/E−3−4)中、Gは前記と同義である。A611及びA621は、それぞれ前記A32と同義である。平均繰り返し単位数a611及びa621は、それぞれ20以下の数である。A631、A641、A651、及びA661は、それぞれ前記A42と同義である。A632、A642、A652、及びA662は、それぞれ前記A44と同義である。a631、a641、a651、及びa661は、それぞれ前記a41と同義である。A711、A721、A731、及びA741は、それぞれ前記A52と同義である。A712、A722、A732及びA742は、それぞれ前記A64と同義である。a711、a721、a731、及びa741は、それぞれ前記a51と同義である。a712、a722、a732、及びa742は、それぞれ前記a52と同義である。
【0075】
上記式(化I/E−1−1)〜(化I/E−2−4)及び(化I/E−3−1)〜(化I/E−3−4)中、A633、A634、A643、A644、A653、A654、A663、A664、A713、A714、A723、A724、A733、A734、A743、及びA744は、それぞれ独立にH若しくはCHである。好ましくは、それぞれ、A633とA634とは同一、A643とA644とは同一、A653とA654とは同一、A663とA664とは同一、A713とA714とは同一、A723とA724とは同一、A733とA734とは同一、A743とA744とは同一である。
【0076】
交互共重合型のエポキシ樹脂、例えばエポキシ樹脂(化I/E−2−1)は、先ずビスフェノールA型エポキシ樹脂と4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンとを付加共重合させた後、残存水酸基のエポキシ化によって調製される。
【0077】
ブロック共重合型のエポキシ樹脂、例えばエポキシ樹脂(化I/E−3−1)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の単独重合体(nが1以上)とビスフェノールF型エポキシ樹脂の単独重合体(nが1以上)とを連結付加させた後、残存水酸基のエポキシ化によって調製される。
【0078】
エポキシ樹脂(化I/E)としては、前記式(化I/E〜1−1)及び(化I/E−1−2)、並びに下記式、
【化23】

[式(化I/E−S)中、Gは、前記と同義である。a個のAは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数aは、20以下の数である。]
で表されるものが、最も好ましい。
【0079】
尚、エポキシ樹脂(化I/E)としては、以上に例示したエポキシ樹脂の1種以上を使用することができる。
【0080】
成分[I]のもう一方の調製原料である加水分解性アルコキシシランとしては、下記式、
【化24】

にて表されるものが挙げられる。
【0081】
式(化I/Si−1)中、B10及びB11は、同一でも異なってもよいアルキル基、アリール基、アリル基、又は不飽和脂肪族残基を表すが、b11個のB10及び(4−b11)個のB11の内、少なくとも一つはアルキル基である。好ましくは、B10はC1〜8のアルキル基、又はアリール基であり、B11はC1〜4アルキル基である。b11は、0〜3の整数を表す。尚、B10及びB11は、更に官能基を有していてもよい。
【0082】
加水分解性アルコキシシラン(化I/Si−1)としては、具体的にはテトラアルコキシシラン類[テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等]、アルキルトリアルコキシシラン類[メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等]、アリールトリアルコキシシラン類[フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等]、官能基含有トリアルコキシシラン類[ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アルコキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシリル−N−(1、3ジメチル−ブチリデン)、p−スチリルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等]、ジアルコキシシラン類[ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等]等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。好ましくは、テトラアルコキシシラン類である。
【0083】
別の加水分解性アルコキシシランとしては、アルコキシシラン縮合物、例えば加水分解性アルコキシシラン(化I/Si−1)の縮合物が挙げられる。具体的には、アルコキシシラン縮合物としては、それぞれ下記式(化I/Si−2)及び(化I/Si−3)で表されるものが挙げられる。
【0084】
【化25】

【0085】
式(化I/Si−2)及び(化I/Si−3)中、B21〜B26及びB31〜B36は、同一でも異なってもよくそれぞれ独立に、C1〜8のアルキル基、アリール基、若しくは不飽和脂肪族残基を表す。尚、b21個のB22及びB26、並びにb31個のB32及びB36も、同一でも異なってもよく、それぞれ独立である。B21及びB24〜B26並びにB31〜B36としては、具体的にはC1〜8アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、アリール基等が好ましい。B22及びB23としては、具体的にはC1〜3アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基等)等が好ましい。
【0086】
式(化I/Si−2)及び(化I/Si−3)中、平均繰り返し単位数b21及びb31は、それぞれ0〜20(特に1〜10)が好ましい。
【0087】
アルコキシシラン縮合物(化I/Si−3)としては、下記式、
【化26】

[式中、平均繰り返し単位数b41は、1〜7である。]
で表されるものが挙げられる。
【0088】
加水分解性アルコキシシランとしては、式(化I/Si−2)及び(化I/Si−3)で表されるものが好ましく、就中、式(化I/Si−4)で表されるものが最も好ましい。
【0089】
成分[I]は、エポキシ樹脂(化I/E)の1種以上と、上記加水分解性アルコキシシランの1種以上とを脱アルコール反応させて得られる。脱アルコール反応において、加水分解性アルコキシシランとエポキシ樹脂(化I/E)との重量比[加水分解性アルコキシシランのシリカ換算重量/エポキシ樹脂(化I/E)の重量]は、0.01〜1.2が好ましい。
【0090】
脱アルコール反応において、エポキシ樹脂(化I/E)の水酸基の当量と加水分解性アルコキシシランのアルコキシ基当量との当量比は、0.8未満または1.2以上が好ましい。
【0091】
脱アルコール反応における反応触媒としては、有機錫、有機酸錫、特にジブチル錫ジラウレートが好ましい。
【0092】
脱アルコール反応は、典型的には反応温度70〜110℃、反応時間1〜20時間で行うことができる。
【0093】
上記のようにして、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂が調製されるが、変性は部分変性であっても完全変性であってもよい。アルコキシ基含有シラン部分変性エポキシ樹脂は、それ自体を成分[I]として使用することができるが、エポキシ樹脂(化I/E)の替わりに使用することもできる。即ち、このような部分変性エポキシ樹脂と加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるものも又、成分[I]として使用することができる。
【0094】
成分[I]としては、樹脂構造中、例えば、下記式、
【化27】

特に、下記式、
【0095】
【化28】

にて表される構造の何れか1種以上を有するものであってよい。
【0096】
式(化I/U−1)〜(化I/U−6)中、A31、B22〜B26、B32〜B36、b21、b31及びb41は、前記と同義である。
【0097】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(以下「成分[II]」とも言う。)を含有する。成分[II]としては、分子中にエチレン性不飽和基及び2個以上のカルボキシル基を有し、固形分酸価(mgKOH/g)が30〜160(特に60〜130)のものが好ましい。固形分酸価が30未満だと熱安定性が悪く、アルカリ現像時に溶解できずに残渣となることがあり、逆に160を超過すると耐湿性が低下し、絶縁性、HAST耐性等、信頼性が低下することがある。
【0098】
そのような成分[II]としては例えば、エチレン性不飽和酸とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体(以下「共重合体IIA」とも言う。)に、エポキシ基含有不飽和単量体を反応させて得られる樹脂(以下「樹脂IIA」とも言う。)が挙げられる。樹脂IIAの重量平均分子量は、3000〜60000(特に5000〜30000)が好ましい。
【0099】
エチレン性不飽和酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソルビン酸等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0100】
エチレン性不飽和結合含有単量体としては、具体的には、C1〜C8アルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等]、2−ヒドロキシC1〜C18アルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、エチレングリコールモノメチルアクリレート、エチレングリコールモノメチルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルアクリレート、エチレングリコールモノエチルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、
【0101】
アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリル酸カルビトール、メタクリル酸カルビトール、ε−カプロラクトン変性テトラフルフリルアクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールエトキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、飽和又は不飽和の二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類との反応物[例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等と、2−ヒドロキシエチル若しくはプロピル(メタ)アクリレート等との反応物]等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0102】
共重合体IIAとしては、具体的には、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体、メタクリル酸とブチルメタクリレートとの共重合体が好ましく、これらの一種以上使用してよい。
【0103】
共重合体IIAは、平均分子量3000〜30000、樹脂中のカルボキシル基数は分子量1000当り0.2〜5.0個、酸価20〜160が好ましい。
【0104】
エポキシ基含有不飽和単量体としては、下記式、
【化29】

[式(化II/E)中、C11は、縮環していてもよいエポキシ環を有する一価基を表す。C12〜C14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH、C1〜6アルキル基、又はアリール基(フェニル基等)を表す。]
にて表されるものが挙げられる。
【0105】
具体的には、エポキシ基含有不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、C1〜C6アルキル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート[2−メチル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチル−2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレート等]、脂環式エポキシ基を有する化合物[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアミノアクリレート等]等が挙げられ、これらの一種以上使用して等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0106】
好ましくは、エポキシ基含有不飽和単量体としては、下記式、
【化30】

にて表される化合物である。
【0107】
上記式(化II/E−5)中、C21は、C1〜6アルキレン基を表す。C22は、H若しくはC1〜3アルキル基を表す。好ましくは、C21はメチレン基であり、C22はメチル基である。
【0108】
共重合体IIAとエポキシ基含有不飽和単量体との反応において、共重合体IIA中のカルボキシル基1当量に対して、エポキシ基含有不飽和単量体のエポキシ基0.1〜0.9当量が好ましい。
【0109】
別の成分[II]としては例えば、エポキシ基含有不飽和単量体とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体(以下「共重合体IIB」とも言う。)にエチレン性不飽和酸を反応させて得られる反応生成物(以下「反応生成物IIB」とも言う。)に、飽和及び/又は不飽和基含有多塩基酸無水物(以下「飽和・不飽和基含有多塩基酸無水物」とも言う。)を反応させて得られる樹脂(以下「樹脂IIB」とも言う。)が挙げられる。樹脂IIBの重量平均分子量は、3,000〜60,000(特に5,000〜30,000))が好ましい。
【0110】
「エポキシ基含有不飽和単量体」、「エチレン性不飽和結合含有単量体」、及び「エチレン性不飽和酸」としては、上記にそれぞれ例示したものが挙げられる。
【0111】
エポキシ基含有不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルが好ましい。
【0112】
エチレン性不飽和結合含有単量体としては、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、置換基としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、カプリル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、メトキシエチル、ブトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプルピル等の置換基を有するアクリレートもしくはメタクリレート;ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、又はポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル;(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド;アクリロニトリルが好ましい。
【0113】
エチレン性不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソルビン酸が好ましい。
【0114】
飽和・不飽和基含有多塩基酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、メチル−ヘキサ若しくはテトラヒドロ無水フタル酸、ジ,テトラ若しくはヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、好ましくは無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸である。
【0115】
共重合体IIBとエチレン性不飽和酸との反応において、エチレン性不飽和酸のカルボキシル基1当量に対して、共重合体IIB中のエポキシ基0.8〜1.3(特に0.9〜1.1)当量が好ましい。
【0116】
反応生成物IIBと飽和・不飽和基含有多塩基酸無水物との反応において、反応生成物IIB中の水酸基1当量に対して、飽和・不飽和基含有多塩基酸無水物の無水物基0.05〜1.0(特に0.1〜0.95)当量が好ましい。
【0117】
別の成分[II]としては例えば、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(以下「エポキシ樹脂IIC」とも言う。)と不飽和基含有モノカルボン酸との反応生成物(以下「反応生成物IIC」とも言う。)に、多塩基性カルボン酸若しくはその無水物(以下「多塩基性カルボン酸(無水物)」とも言う。)を反応させて得られる樹脂(以下「樹脂IIC」とも言う。)が挙げられる。樹脂IICの重量平均分子量は、3000〜30000(特に5000〜20000)が好ましい。
【0118】
エポキシ樹脂IICとしては、前記エポキシ樹脂(化I/E)が挙げられる。具体的には、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂等が挙げられ,これらの1種以上用いることができる。
【0119】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、分子内にエチレン性不飽和結合及び1個のカルボキシル基(カルボン酸基−COOHを含む。)を有するものが挙げられる。尚、エチレン性不飽和結合とカルボキシル基とは、互いに共役(隣接)していても、していなくてもよい。
【0120】
具体的には、不飽和基含有モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソルビン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられ、これらの一種以上を使用してよい。
【0121】
エポキシ樹脂IICと不飽和基含有モノカルボン酸との反応において、エポキシ樹脂IIC中のエポキシ基1当量あたり不飽和基含有モノカルボン酸を0.8〜1.3モル反応させてよい。
【0122】
次いで、このようにして得られた反応生成物IICを、多塩基性カルボン酸(無水物)と反応させて、樹脂IICが調製される。
【0123】
多塩基性カルボン酸(無水物)としては、例えばC1〜C8二塩基性カルボン酸(無水物)が挙げられる。具体的には、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸、テトラ若しくはヘキサヒドロ(無水)フタル酸等が挙げられる。多塩基性カルボン酸(無水物)としては、多塩基性カルボン酸無水物が好ましい。
【0124】
反応生成物IICと多塩基性カルボン酸(無水物)との反応において、反応生成物IIC中の水酸基に対して水酸基1当量あたり、多塩基性カルボン酸については0.05〜1.00当量、多塩基性カルボン酸無水物については0.1〜0.9当量、それぞれ反応させるのが好ましい。
【0125】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物をLED用プリント配線基板等の白色ソルダーレジストインキとして調製する場合は、耐黄変性等の観点から、成分[II]としては、樹脂IIA及び樹脂IIBが好ましい。
【0126】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、希釈剤(以下「成分[III]」とも言う。)を含有する。成分[III]を含有することにより、架橋効率を上げ、耐熱性を向上させ、組成物の塗布粘度を調節することができる。
【0127】
成分[III]としては、有機溶剤及び/又は光重合性単量体を使用することができる。成分[III]において、有機溶剤としては、具体的には、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルおよび上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0128】
成分[III]において、光重合性単量体としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類:エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノまたはジアクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれ等のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートおよび、これ等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリレート類;グルセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0129】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤(以下「成分[IV]」とも言う。)を含有する。成分[IV]としては、各成分配合後の樹脂組成物の貯蔵安定性が良く、溶解性が良く、かつ種々の熱処理工程(予備乾燥、熱硬化、モールド、実装半田付け)で未反応の開始剤のミストが発生しないものが好ましい。
【0130】
成分[IV]としては、具体的には、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類および、ベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モノフォリノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、などのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、およびキサントン類など、さらに、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエートなどの安息香酸エステル類、あるいはトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類、
【0131】
7−アミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−メチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、7−アミノシクロペンタ[c]クマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−エチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジエチルアミノクマリン、4,6−ジエチル−7−ジメチルアミノクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン等の様な光増感剤を単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0132】
環境面から、成分[IV]としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル)−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),α−(4−(ジメチルアミノ)ベンゾイル−ω−ブトキシ、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が好ましく、これらの一種以上使用してよい。
【0133】
別の成分[IV]としては、光酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤は、光により酸(電子対受容体)を発生する化合物である。光酸発生剤としては、具体的には、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、アンモニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、アルソニウム塩化合物、スチボニウム塩化合物、オキソニウム塩化合物、セレノニウム塩化合物、スタンノニウム塩化合物等が挙げられ、1種以上使用してよい。好ましくは、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩等である。
【0134】
具体的には、上記ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフィネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4,4’−t.ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロボレート、ビス(4,4’−t.ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフィネート、ビス(4,4’−t.ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4,4’−t.ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ビス(4,4’−t.ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート等が挙げられ、1種以上使用してよい。
【0135】
上記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフィネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート等が挙げられ、1種以上使用してよい。
【0136】
光酸発生剤は、増感剤[ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、アントラセン、ピレン、フェノチアジン等]を併用することができる。
【0137】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、硬化密着性付与剤(以下「成分[V]」とも言う。)を含有する。成分[V]を含有することにより、密着性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性等の特性をより一層向上することができる。
【0138】
具体的には、成分[V]としては、ジシアンジアミド、S−トリアジン類[メラミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等]、グアナミン類[グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、3,9−ビス[2−(3,5ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]2,4,8,10テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等]、イミダゾール系化合物[2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールのイソシアヌール酸付加物(四国化成工業、「2MZ−OK」等)、1−(4,5−ジアミノ−2−トリアジニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エタン(四国化成工業、「2MZ−AZINE」等)]、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7[DBU、サンアプロ(株)製]及びこれらの有機酸塩やエポキシアダクトなど、
【0139】
イミダゾールアルコキシシラン誘導体[N−イミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−メチルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−エチルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−iso−プロピルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−エチル−4−メチルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−ウンデシルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−2−ヘプタデシルイミダゾールメチルトリメトキシシラン、N−イミダゾールメチルトリエトキシシラン、N−2−メチルイミダゾールエチルトリメトキシシラン、
【0140】
N−2−エチルイミダゾールメチルトリエトキシシラン、N−2−iso−プロピルイミダゾールメチルトリエトキシシラン、N−2−エチル−4−メチルイミダゾールメチルトリエトキシシラン、N−2−ウンデシルイミダゾールメチルトリエトキシシラン、N−2−ヘプタデシルイミダゾールメチルトリエトキシシラン、2−(N−イミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−2−メチルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−2−エチルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−2−iso−プロピルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−2−エチル−4−メチルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−2−ウンデシルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、
【0141】
2−(N−2−ヘプタデシルイミダゾール)エチルトリメトキシシラン、2−(N−イミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−メチルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−エチルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−iso−プロピルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−エチル−4−メチルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−ウンデシルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、2−(N−2−ヘプタデシルイミダゾール)エチルトリエトキシシラン、3−(N−イミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−2−メチルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−2−エチルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−2−iso−プロピルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、
【0142】
3−(N−2−エチル−4−メチルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−2−ウンデシルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−2−ヘプタデシルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−イミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−メチルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−エチルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−iso−プロピルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−エチル−4−メチルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−ウンデシルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−2−ヘプタデシルイミダゾール)プロピルトリエトキシシラン等]、
【0143】
第四級イミダゾリウム塩誘導体[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメチル硫酸塩、N−メチル,N’−n−ブチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、N−アルキルーN’−アルコキシアルキルイミダゾリウム塩(陰イオンが、ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリス(トリフロロメチルスルホニル)炭素酸、トリフロロメタンスルホン酸、トリフロロ酢酸又は有機カルボン酸またはハロゲンイオンより選ばれた少なくとも1種)等]、
【0144】
ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、シクロヘキシルアミン、m−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′ジエチルジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピベラジン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、尿素類[尿素それ自体等]、ポリアミン類[多塩基ヒドラジド等]、これ等の有機酸塩および/またはエポキシアダクト、三フッ化ホウ素のアミン錯体、
【0145】
三級アミン類[トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメトキシメチルメラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、N−シクロヘキシルジメチルアミン、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等]、有機ホスフィン類[トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等]、
【0146】
ホスホニウム塩類[トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等]、4級アンモニウム塩[ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等]、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、熱カチオン重合触媒、スチレン−マレイン酸樹脂、シランカップリング剤等が挙げられ、これらの一種以上使用してよい。
【0147】
成分[V]として、イミダゾールアルコキシシラン誘導体及び/又は第四級イミダゾリウム塩誘導体を使用した場合、レジスト膜の密着性向上が図られ、更には耐金鍍金性、半田耐熱性、耐湿性、ピール強度等も向上させることができる。
【0148】
好ましくは、成分[V]としては、ジシアンジアミド、S−トリアジン誘導体[具体的には メラミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン等]、イミダゾールアルコキシシラン誘導体[具体的には、N−イミダゾールメチルトリメトキシシラン、3−(N−2−メチルイミダゾール)プロピルトリメトキシシラン等]、第四級イミダゾリウム塩誘導体[1−エチル 3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメチル硫酸塩、N−メチル,N’−n−ブチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、N−アルキル−N’−アルコキシアルキルイミダゾリウムフタル酸塩]等である。
【0149】
本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物には、更に、着色剤、充填剤、消泡剤、エポキシ樹脂、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、カップリング剤、酸化防止剤、蛍光体等を添加してよい。
【0150】
特に、本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物をLED用プリント配線基板等の白色ソルダーレジストインキとして調製する場合は、着色剤として白顔料を加えるのが好ましい。白顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、窒化チタン、フッ化セリウム、酸化セリウム等が挙げられるが、着色力と無毒性という点から酸化チタンが好ましい。白顔料の平均粒径としては、例えば0.01〜1.0(特に0.1〜0.5)μmが好ましい。
【0151】
添加剤において、充填剤としては、タルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド粉末、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、雲母粉、シリコーンパウダー、有機樹脂フィラー(ポリスチレン系、ポリメタ(ア)クリレート系、(ベンゾ)グアナミン系、アクリルゴム系、ゴム系等)等が挙げられる。
【0152】
消泡剤としてはポリジメチルシロキサン、変性シリコーン系、フッ素系、高分子系、界面活性剤、エマルジョンタイプなどの消泡剤等が挙げられる。
【0153】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等)、多塩基酸類(フタル酸、ダイマー酸等)とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリアミン類(ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等)とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0154】
成分[I]と成分[II]との配合重量比(成分[I]の配合重量/成分[II]の配合重量)は、2/100〜50/100(好ましくは5/100〜40/100)である。更に、成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対しそれぞれ、成分「III]は5〜500(好ましくは20〜300)重量部、成分[IV]は0.1〜30(好ましくは2〜20)重量部、成分[V]は0.1〜20(好ましくは0.5〜10)重量部である。
【0155】
上記配合組成において、配合重量比が2/100未満だと、半田耐熱性、密着性、耐候性が不十分となることがあり、逆に50/100を超過するとインクの熱安定性が低下し、現像性がし難くなることがある。成分[III]が5重量部未満だと、塗布性が悪化し塗布しづらくなったり、光重合性が低下したりすることがあり、逆に500重量部を超過すると塗布性、指蝕乾燥性、解像性が低下することがある。成分[IV]が0.1重量部未満だと、光重合が十分に起きず現像不良となることがあり、逆に30重量部を超過すると光吸収が大きく、厚膜硬化がし難くなり、解像性も難しくなることがある。成分[V]が0.1重量部未満だと、下地(銅、積層材、ガラスエポキシ樹脂、ビルドアップ層等)との密着が十分でなくなり、信頼性が低下することがあり、逆に20重量部を超過するとインクの熱安定性が低下し、現像性し難くなることがある。
【0156】
添加剤の配合組成としては、成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対し、着色剤0〜500(特に0.1〜200)重量部、充填剤0〜1200(特に10〜500)重量部、消泡剤0〜10(特に0.1〜5)重量部が好ましい。
【0157】
特に、本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物をLED用プリント配線基板等の白色ソルダーレジストインキとして調製する場合は、成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対し、白顔料10〜500(特に20〜300)及び充填剤0〜1200(特に10〜1200、就中10〜800)重量部が好ましい。
【0158】
以上のようにして調製される本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物は、一般に光感度8段(ストファー社製21段ステップタブレット)以上を有し、且つ現像性にも優れるものである。
【0159】
以下、本願発明の感光性熱硬化性樹脂組成物から作製したソルダーレジスト膜被覆プリント配線基板について説明する。
【0160】
ソルダーレジスト膜を被覆する材料基板のプリント配線基板としては、好ましくは平滑化プリント配線基板である。特に、プリント配線基板表面の凹部等が樹脂にて充填されており、プリント配線基板表面が平滑化された平滑化プリント配線基板が好ましい。平滑化プリント配線基板を用いることにより、回路の被覆性が良くなり、更なる信頼性向上、隠蔽性(銅回路隠蔽性)向上を達成することができる。
【0161】
勿論、本願発明においては、他の如何なるプリント配線基板、例えばプリント配線基板表面上に凹凸が存在する従来のプリント配線基板、を使用することもできる。更に、プリント配線基板は、片面プリント配線基板であっても、両面プリント配線基板であってもよい。
【0162】
平滑化プリント配線基板は、例えば、特願2001−253678号,特願2001−337180号,及び特願2004−311541号等に記載した方法に従って製造することができる。
【0163】
具体的には、先ず、プリント配線基板表面の凹部に充填用樹脂を塗布し、低温にて一次硬化を行い、表面研磨をし、その後高温にて二次硬化を行うことにより、平滑化プリント配線基板を製造することができる。
【0164】
上記「凹部」としては、特に限定されず、例えば、配線基板表面上の回路間の凹部、ビアの凹部、及び部品埋め込み用の凹部等が挙げられる。更に、「凹部」には、穴部、例えばスルーホール部、ブラインドビア、キャビティ、ビルドアップビア、コンフォーマルビア、スタックビア、ランドレスビア、穴埋めベースビア等も含まれる。
【0165】
充填用樹脂としては、熱硬化性樹脂組成物が挙げられるが、本願発明においては、他の如何なる硬化性樹脂、例えば光硬化型若しくは光熱硬化型の樹脂組成物を使用することができる。
【0166】
熱硬化性樹脂組成物としては、[A]エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸との付加物、[B](メタ)アクリレート類、[C]ラジカル重合開始剤、[D]結晶性エポキシ樹脂、及び[E]潜在性硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
【0167】
成分[A]としては、具体的にはノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との20〜80%(特に40〜60%)付加物[具体的には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸との20〜80%(特に40〜60%)付加物等]、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との20〜80%(特に40〜60%)付加物等が好ましく、これらの1種以上を熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0168】
成分[B]としては、具体的には2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノまたはジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミオエチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリストール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれ等のエチレンオキサイドもしくはプロプレンオキサイド付加物の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートおよび、これ等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類;グルセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルのアクリレート類;およびメラミンアクリレート、イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、および/または上記アクリレート類に対応するメタクリレート類等が好ましく、これらの1種以上を熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0169】
成分[C]としては、具体的にはt−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジクミルパーオキシド等が好ましく、これらの1種以上を熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0170】
成分[D]としては、具体的には日本化薬(株)製BPS−200、エー・シー・アール社製EPX−30、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンEXA−1514などのビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂(株)製ブレンマーDGTなどのジグリシジルフタレート樹脂;日産化学(株)製TEPIC、チバ−ガイギー社製アラルダイトPT810などのヘテロサイクリックエポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製YX−4000などのビキシレノール型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製YL−6121Hなどのビフェノール型エポキシ樹脂;東都化成(株)製ZX−1063などのテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂等が好ましく、これらの1種以上を熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0171】
成分[E]としては、例えばジシアンジアミド(DICY)類、イミダゾール類、BF−アミン錯体、アミンアダクト型硬化剤、アミン−酸無水物(ポリアミド)アダクト型硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、アミン系硬化剤のカルボン酸塩、オニウム塩等が好ましく、これらの1種以上を熱硬化性組成物中に含有してよい。
【0172】
上記熱硬化性樹脂組成物の組成において、成分[A]100重量部に対し、成分[B]は50〜300重量部(特に150〜250重量部)、成分[C]は5〜20重量部(特に8〜15重量部)、成分[D]は50〜200重量部(特に60〜120重量部)、成分[E]は5〜30重量部(特に10〜20重量部)が好ましい。
【0173】
上記熱硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、例えばスクリーン印刷、カーテンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
【0174】
次いで、低温にて一次硬化を行う。尚、「低温」とは、後述の二次硬化温度よりも低い温度、という意味である。具体的には一次硬化温度としては、例えば100〜150℃であってよい。一次硬化温度が余りに低過ぎると、成分[D]が十分に溶解せず、その結果塗膜中に気泡が残存することがある。逆に一次硬化温度が余りに高過ぎると、二次硬化反応が起こり、硬化膜が硬くなり過ぎることがある。その結果、研磨性が低下することがある。
【0175】
一次硬化時間としては、例えば30〜120分であってよい。一次硬化時間が余りに短すぎると、成分[D]が十分に溶解せず、その結果塗膜中に気泡が残存したまま一次硬化してしまうことがある。逆に一次硬化時間が余りに長過ぎると、作業効率が低下することがある。
【0176】
次いで、上記にて作製された一次硬化膜を含む表面を研磨して、平滑化する。研磨方法としては、機械研磨(ベルトサンダー、バフ研磨、サンドブラスト、スクラブ研磨等)、化学研磨(過硫酸塩、過酸化水素−硫酸混合物、無機・有機酸等を使用するもの等)等が挙げられる。
【0177】
その後、高温にて二次硬化を行う。尚、「高温」とは、前述の一次硬化温度よりも高い温度、という意味である。二次硬化温度としては、例えば150〜200℃であってよい。二次硬化温度が余りに低過ぎると、エポキシ基の係わる反応が十分に進行せず、硬化膜の耐熱性、耐湿性が低下することがある。逆に二次硬化温度が余りに高過ぎると、基板自体が熱損傷を受けることがある。
【0178】
二次硬化時間としては、例えば30〜180分であってよい。二次硬化時間が余りに短すぎると、硬化膜の耐熱性及び耐湿性等が十分でない場合がある。逆に、二次硬化時間が余りに長過ぎると、作業効率が低下することがある。
【0179】
このようにして、配線基板表面上の凹部が上記熱硬化性樹脂組成物の硬化樹脂によって充填され、表面が平滑化された平滑化プリント配線基板が得られる。
【0180】
尚、上記二次熱硬化を、後述するソルダーレジスト膜の熱硬化と同時に行ってよい。即ち、前記研磨後の基板表面上に本願発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、光照射を行いながら又は光照射後に、二次熱硬化温度まで加熱して、上記回路間の凹部における充填樹脂の二次熱硬化とソルダーレジストインキの二次熱硬化を同時に行ってよい。
【0181】
次いで、本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物を、上記平滑化プリント配線基板表面上に塗布し、塗布樹脂を光硬化した後、更に100〜190℃に加熱して熱硬化することにより、本願発明に係るレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板を製造することができる。
【0182】
より具体的に説明すると、先ず、上記のようにして得られた平滑化プリント配線基板の表面上に、本願発明の感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布して被覆する。次いで、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光した後、未露光部分を現像液で現像してソルダーレジストの光硬化膜を形成する。その後、加熱により、ソルダーレジストの光硬化膜を熱硬化(完全硬化)させることにより、本願発明のソルダーレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板を製造することができる。
【0183】
塗布としては、前記の塗布方法を使用することができる。塗布量は、例えば硬化後の膜厚7〜100μmとなる量であってよい。
【0184】
活性光線としては、紫外線(300〜450nm等)が挙げられる。露光は、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、キセノンランプ、UV−LED等にて行うことができる。また、紫外線の他にエキシマレーザ、X線、電子線等を照射し露光することもできる。露光量としては、5〜2000mj/cmであってよい。
【0185】
現像液としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、ベンジルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジベンジルアミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン等の環状アミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ジエチルメチルスルホニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルスルホニウムヒドロキシド等のスルホニウムヒドロキシド類、その他コリン、ケイ酸塩含有緩衝液等が挙げられる。
【0186】
また、必要に応じてアルコール系溶剤(ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロパノール、プロピレングリコール)や界面活性剤(両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等)も使用することができる。
【0187】
熱硬化(完全硬化)は、例えば120〜180℃にて0.1〜3時間、行ってよい。アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、熱硬化の際に、アルコキシ基の縮合反応により脱メタノール化が生じる。従って、ボイド、クラック等が発生しないように多段にて、或いは温度勾配を付けて、徐々に熱硬化させるのが好ましい。もちろん、例えば塗膜厚が薄い等の場合は、一気に熱硬化しても問題ない。
尚、光反応を完結し信頼性を向上させるために、光(紫外線等)照射を再度、現像後、或いは熱硬化後に行っても良い。
【0188】
上記のようにして作製される本願発明に係るソルダーレジスト膜は、通常、ガラス転移点(Tg)140〜165℃を有する。
【0189】
本願発明に係るソルダーレジスト膜は、HAST耐性が極めて優れる点に特徴を有する。具体的には、HAST条件下、168時間経過後の電気絶縁抵抗値(×1010Ω)は、典型的には100〜900である。
更に、本願発明に係るソルダーレジスト膜においては、HAST履歴後及び耐金メッキ性試験後の外観において、全く異常が見られないことも特徴である。
【0190】
更に、本願発明に係る白色ソルダーレジスト膜は、上記の諸特徴に加え、光沢度(%)が、一般には40以上、典型的には81〜95を有し、従来のものよりも遥かに優れることも特徴として有する。本願発明に係る白色ソルダーレジスト膜は、従来の光反射のみとは異なり、光反射に加え更に光沢によっても発光ダイオードの発光を有効利用するものであるため、LEDバックライトモジュール、LED照明用ライトモジュール、LEDヘッドライトモジュールの発光効率の向上が達成される。
【0191】
更に、本願発明に係るソルダーレジスト膜は、塗膜密着性及び耐熱衝撃性に極めて優れるのみならず、耐溶剤性、耐酸性、半田耐熱性、耐屈曲性、塗膜透明性、耐黄変性、耐候性等にも優れる。
【0192】
更に、平滑化プリント配線基板に本願発明に係るソルダーレジスト膜を被覆することにより、アンダーフィルが浸透し易く、位置ずれが起き難く、更にはクラックが発生しにくいといった効果も得られ、部品実装時の種々の問題を解決することができる。
【実施例】
【0193】
以下、本願発明を、図面を用いて具体的に説明する。
<シラン変性エポキシ樹脂の調製>
・合成例1
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)[東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−011」、エポキシ当量475g/eq、平均繰り返し単位数2.2]300重量部およびビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)[東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−127」、エポキシ当量190g/eq、平均繰り返し単位数0.11]1250重量部を加え、80℃で溶解させた。更に、ポリ(メチルトリメトキシシラン)[多摩化学(株)製、商品名「MTMS−A」、平均繰り返し単位数3.5]581.2重量部と、触媒としてジブチル錫ラウレート2.0重量部を加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、シラン変性エポキシ樹脂(合成例1)2050重量部を得た。
【0194】
仕込み時のエポキシ樹脂(1)と(2)との配合重量比[エポキシ樹脂(1)の重量/エポキシ樹脂(2)の重量]は0.24.エポキシ樹脂混合物[エポキシ樹脂(1)+エポキシ樹脂(2)]のエポキシ当量は245g/eqである。また、[ポリ(メチルトリメトキシシラン)のシリカ換算重量/エポキシ樹脂混合物の重量](使用重量比)は0.20であった。
【0195】
得られたシラン変性エポキシ樹脂(合成例1)の1H−NMR(CDCl溶媒)測定により、エポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。シラン変性エポキシ樹脂(合成例1)のエポキシ当量は280g/eqであった。
【0196】
・合成例2
攪拌機、分水器、温度計を備えた2Lの3ツ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[エポキシ当量185g/eq、東都化成製、商品名「エポトートYD−127」]950重量部およびジメチルホルムアミド950重量部を加え、90℃で溶解した。更にテトラメトキシシラン縮合物[多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」]304.6重量部と触媒としてジブチル錫ジラウレート2gを加え、90℃で6時間、脱メタノール反応させ、有効成分(硬化後)が50%のシラン変性エポキシ樹脂溶液(合成例2)2080重量部を得た。尚、完全に脱アルコール反応を行うため、反応中、発生するメタノールを反応系から除去しながら、エステル交換反応を行った。
【0197】
得られたシラン変性エポキシ樹脂溶液(合成例2)と原料のビスフェノールA型エポキシ樹脂の1H−NMR(CDCl溶媒)を比較した結果、シラン変性エポキシ樹脂溶液(合成例2)では、エポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.8ppm付近)が完全に消失していることを確認した。また新たにメトキシシリル基のピーク(3.6ppm付近)が現れた。得られたシラン変性エポキシ樹脂溶液(合成例2)のエポキシ当量は431g/eqであった。
【0198】
・合成例3
攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、ノボラック型エポキシ樹脂[東都化成(株)製、商品名「エポトートYDPN−638P」、エポキシ当量177g/eq、数平均フェノール核体数5.2]400重量部とビスフェノールA21.2重量部とを150℃で溶解させ、開環変性の触媒として、N,N−ジメチルベンジルアミン0.1重量部を加え、2時間反応させることによって、水酸基含有開環変性エポキシ樹脂であるビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂を得た。[開環変性する活性水素のモル数/ノボラック型エポキシ樹脂のモル数]は0.4であった。
【0199】
更に、ここにポリ(メチルトリメトキシシラン)[多摩化学(株)製、商品名「MTMS−A」、1分子あたりのSiの平均個数3.5]215.2重量部、メチルエチルケトン350重量部、グリシドール30.99重量部と触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部を加え、窒素気流下にて、100℃で5時間、分水器を用いて脱メタノール反応させることによって、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(合成例3)(エポキシ当量324g/eq)980重量部を得た。
【0200】
・合成例4
フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物[ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート154」、エポキシ当量178、平均分子量700]300重量部とエチルセロソルブアセテート450重量部を冷却器付フラスコに入れ、窒素ガスを注入しながら100℃で加熱溶解した。均一溶液になったところで、アミノシリコン化合物[信越化学工業(株)製、「X−12−1660B−3」、平均分子量4000]15重量部をエチルセロソルブアセテートに溶解した溶液37.5重量部を5分かけて滴下した。その後3時間反応させ、更に120℃にて1時間反応させ、アミノシラン変性エポキシ樹脂のエチルセロソルブアセテート溶液(合成例4)を780重量部得た。
【0201】
アミノシリコン化合物における末端アミノ基の反応率は95%であった。得られたアミノシラン変性エポキシ樹脂のエチルセロソルブアセテート溶液(合成例4)の固形分濃度は40%、エポキシ当量は467.5(エチルセロソルブアセテート留去後の固形分のエポキシ当量は187)であった。
【0202】
<不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の調製>
・合成例5
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[日本化薬(株)製、「EOCN−104」、エポキシ当量220g/eq]220重量部を攪拌機及び環流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート206重量部を加えて加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1重量部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0重量部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72重量部を滴下し、20時間反応させた。得られた反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸91.2重量部を加えて8時間反応させ、冷却して、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例5)590重量部を得た。
【0203】
このようにして得られた不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例5)は、不揮発分65%、固形分酸価(mgKOH/g)87.8mgKOH/gであった。
【0204】
・合成例6
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロート及び窒素導入管を取り付けたセパラブルフラスコにジプロピレングリコールモノメチルエーテル250重量部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10重量部を仕込み、95℃に昇温した後、メタクリル酸170重量部,メタクリル酸メチル130重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル250重量部、及びアゾビスジメチルバレロニトリル10重量部の混合物を4時間かけて滴下した。更に、5時間熟成させることにより、カルボキシル基を有するメタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体溶液を得た。
【0205】
次に、混合ガス(酸素7%+窒素93%)を通しながら、この樹脂溶液に(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート200重量部、トリフェニルホスフィン2重量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル1重量部を添加して、100℃で19時間付加反応させることにより、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例6)1020重量部を得た。
【0206】
この不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例6)の樹脂物性を測定したところ、固形分51%、酸価(mgKOH/g)105、二重結合当量490g/mol、重量平均分子量(ポリスチレン換算)13000であった。
【0207】
・合成例7
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、グリシジルメタクリレート140重量部、メチルメタクリレート60重量部、カルビトールアセテート200重量部、ラウリルメルカプタン0.4重量部、アゾビスイソブチロニトリル6重量部を加え、窒素気流下に加熱し、75℃において5時間重合を行い、50%共重合体溶液を得た。
【0208】
上記50%共重合体溶液に、ハイドロキノン0.1重量部、アクリル酸74重量部、ジメチルベンジルアミン0.4重量部を加え、100℃で24時間付加反応を行い、続いてテトラヒドロ無水フタル酸90重量部及びカルビトールアセテート158重量部を加えて100℃で3時間反応させ、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例7)725重量部を得た。
【0209】
この不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂溶液(合成例7)の樹脂物性を測定したところ、固形分50%、二重結合当量350g/mol、酸価(mgKOH/g)91、重量平均分子量(ポリスチレン換算)26000であった。
【0210】
<感光性熱硬化性樹脂組成物の調製>
・実施例1〜5及び比較例1〜6
表1に示す配合組成に従って、各配合成分を撹拌混合した後、3本ロールにて均一に分散して、感光性熱硬化性樹脂組成物(各実施例1〜5及び比較例1〜6)を調製した。
【0211】
【表1】

表1中、1)は溶液重量を表す。
【0212】
<ソルダーレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板の製造>
・製造実施例1〜5及び製造比較例1〜6
厚みが0.8mmのプリント配線基板[銅回路厚が40μ、ライン/スペース(L/S)=75μm/75μm]を基板材料として使用した。即ち、下記組成の熱硬化性樹脂組成物を、250メッシュのポリエステルスクリーンを用いてマスク印刷して、上記基板上に塗布した。次いで、この基板を加熱炉により150℃まで加熱し、この温度下、60分間、一次硬化を行った。その後、一次硬化膜を含む側の表面を、先ず400番のベルトサンダーにて1回研磨した後、600番バフにて4回研磨した。最後に、箱型乾燥機で180℃、90分間二次硬化を行った。
【0213】
こうして、絶縁基板(図1A,1)上の回路(図1A,2)間の凹部が上記二次硬化樹脂(図1A,3)にて充填された平滑化プリント配線基板(図1A)を製造した。尚、この平滑化プリント配線基板(図1A)における表面の凹凸高低差は、2μm以内であった。
【0214】
熱硬化性樹脂組成物の配合組成(重量部):
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の75%アクリル酸付加物(100),イソボロニルアクリレート(40),トリシクロデカンジメタノールアクリレート(100),トリメチロールプロパントリアクリレート(10),t−ブチルパーオキシベンゾエート(10),テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(100),ジシアンジアミド(16),硫酸バリウム(120),ポリジメチルシロキサン(0.1)。
【0215】
上記のようにして製造した平滑化プリント配線基板(図1A)の平滑化表面上に、前記感光性熱硬化性樹脂組成物(各実施例1〜5及び比較例1〜6)を、乾燥膜厚が20μmになるように、全面にスクリーン(100メッシュポリエステル)印刷法により塗布し、基板表面にソルダーレジストインキ層(図1B,4)を形成させた。
【0216】
次いで、基板表面のレジストインキ層(図1B,4)中の溶剤を揮発させるために、80℃で予備乾燥を20分行ない、膜厚20μmの乾燥塗膜を得た。
【0217】
次いで、紫外線露光装置(オーク製作所、型式HMW−680C)を用いソルダーレジスト用ネガフィルム(図1C,5)を通して紫外線500mj/cmを照射して露光した。
【0218】
次いで、露光工程後の乾燥塗膜の未露光部分を現像液(1%炭酸ナトリウム水溶液)にて現像して除去することで、基板上に露光硬化(一次硬化)されたレジスト塗膜のパターン(図1D,6)を形成させた。
【0219】
その後、この基板を、100℃、30分予備硬化後、150℃で60分間、硬化し、更に紫外線500mj/cmを照射し、完全硬化を行い、ソルダーレジスト膜(図1E,7)にて被覆した平滑化プリント配線基板(各製造実施例1〜5及び製造比較例1〜6)を製造した。
【0220】
<ソルダーレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板の評価試験>
上記製造のソルダーレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板(各製造実施例1〜5及び製造比較例1〜6)について、下記に示す各種評価試験を行った。評価試験結果を表2に示す。
【0221】
(指触乾燥性)
塗布後、熱風循環式乾燥炉にいれ、80℃で20分乾燥後、指で塗布面を強く押し張り付性を調査し、塗膜の状態を判定した。
○:全くベタツキや指紋跡が認められないもの。
△:表面が僅かにベタツキと指紋跡がみられるもの。
×:表面が顕著にベタツキと指紋跡がみられるもの。
【0222】
(現像性)
紫外線露光装置(オーク製作所、型式HMW−680C)を用いソルダーレジスト用ネガフィルムを通して紫外線500mj/cmを照射した。その後、1wt%炭酸ナトリウム水溶液の現像液で2.0×10Paのスプレー圧で60秒間現像を行った後の未露光部の除去された状態を目視判定した。
○:現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×:現像時、現像されない部分がある。
【0223】
(光感度)
乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(ストファー社製)を密着させ積算光量500mJ/cmの紫外線を照射露光した。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0×10Paのスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認した。
【0224】
(鉛筆硬度)
JIS K5600に準じて評価を行った。
【0225】
(密着性)
JIS K5600に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作り、セロテープによりピーリング試験を行った。碁盤目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○:クロスカット部分の剥離を生じなかった。
△:テープ剥離時にクロスカット部分に剥離が生じた。
×:クロスカット試験をするまでもなく、レジスト膜の膨れ又は剥離を生じた。
【0226】
(耐溶剤性)
試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬した。外観に異常がないか確認した後、セロテープ(R)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離のあるもの。
【0227】
(耐酸性)
試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬した。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離があるもの。
【0228】
(半田耐熱性)
試験片にレベラー用フラックスW−2704[(株)メック製]を塗布し288℃の半田槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープ(R)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○:塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離のあるもの。
【0229】
また、半田耐熱性試験後の表面白化の評価方法は次の通り行った。
○:白化は認められなかった。
△:白化が認められた。
×:著しく白化した。
【0230】
また、半田耐熱性試験後の変色の評価方法は次の通り行った。
○:変色は認められなかった。
△:僅かに変色が認められた。
×:著しく変色した。
【0231】
(耐金メッキ性)
試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、「MetexL−5B」の20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗した。次いで、14.4wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後水洗した。
【0232】
次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、「メタルプレートアクチベーター350」の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、「メルプレートNi−865M」の20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。
【0233】
次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、「オウロレクトロレスUP」15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロハン粘着テープを付着し、剥離したときの状態を観察した。
○:全く異常が無いもの。
△:若干剥がれがみられたもの。
×:大きく剥離したもの
【0234】
(HAST耐性)
試験基板を130℃、85%の不飽和加圧容器の中で夫々のソルダーレジスト膜が施されたL/S=50μm/50μmの櫛型電極間にDC5Vの印加電圧を加え168時間放置後、外観に異常がないか確認するとともに、試験前後で絶縁抵抗を測定した。
【0235】
尚、絶縁抵抗は、(アドバンテスト製、デジタル超高抵抗/微少電流計「R8340A」)を使用し、JPCA−HD01の絶縁抵抗試験規格に準じて、10Vの直流電圧を1分間印加した後、その印加状態で絶縁抵抗を測定した。
○:塗膜外観に異常がないもの。
△:電極に変色が見られるが、フクレや剥離のないもの。
×:塗膜にフクレや剥離があるもの。
【0236】
(耐熱衝撃性)
試験片を、−40℃/30分、125℃/30分を1サイクルとして熱履歴を加え、100サイクル経過後、試験片を顕微鏡観察し、次の基準で評価した。
○:塗膜にクラックの発生のないもの。
×:塗膜にクラックが発生したもの。
【0237】
(表面光沢)
JIS Z8741による入射角60°での鏡面光沢度を、「Micro−gloss」(BYK−Labotron製)を用いて測定し、次の評価基準にて評価した。
○:光沢値81以上
△:光沢値51〜80
×:光沢値50以下
【0238】
(ガラス転移点Tg)
粘弾性測定器[セイコー電子工業(株)製、「DMS6100」]で、厚さ40μmの硬化フィルムを10mm×30mmに加工し、引張り合成波で測定周波数1Hz、昇温速度5℃/min、測定温度範囲は40〜250℃で測定した。tanδmaxをガラス転移点(Tg)とした。
【0239】
【表2】

【0240】
上記表2から、以下のことが明らかである。
製造実施例1〜5に示すように、本願発明に係る感光性熱硬化性樹脂組成物から作製されたソルダーレジスト膜は何れも、HAST耐性が極めて優れる。具体的には、HAST条件下、168時間経過後であっても電気絶縁抵抗値(Ω)が高い値を維持しており,従来のもの(比較製造例1〜6)より約10倍以上もの値を達成している。
【0241】
更に、本願発明に係るソルダーレジスト膜においては、HAST履歴後のみならず耐金メッキ性試験後においても、外観において全く異常が見られない。更に、光沢性、塗膜密着性及び耐熱衝撃性も、従来のもの(比較製造例1〜6)より、遥がに優れる。
【0242】
一方、成分[I]又は成分[II]の何れかを欠く感光性熱硬化性樹脂組成物(製造比較例1〜6)は、HAST耐性、耐金メッキ性、光沢性、塗膜密着性、及び耐熱衝撃性が著しく悪い。このことから、これらの諸特性は、成分[I]と成分[II]とを組み合わせて初めて発現する特性であることが判る。尚、製造比較例6で示されるように、アミノ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の代替物とはなり得ないことが判る。
【0243】
そして、製造比較例1及び2で示されるように、無変性エポキシ樹脂(即ちエポキシ樹脂そのもの)は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の代替物とはなり得ないことが判る。更に、製造比較例6で示されるように、アミノ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の代替物とは成り得ないことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】ソルダーレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0245】
1 絶縁基板
2 回路
3 二次硬化充填樹脂
4 ソルダーレジストインキ層
5 ネガフィルム
6 レジスト塗膜のパターン
7 ソルダーレジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[I]下記式、

[式(化I/E)中、Gはグリシジル基を表す。a11個のA11及びa12個のA13並びにA15は、それぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ独立に2価の芳香族残基若しくは2価の水添芳香族残基を表す。a11個のA12とa12個のA14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表す。但し、a11個のA12及びa12個のA14の内、少なくとも1つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a11及びa12は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に0以上の数を表すがa11とa12とは同時に0ではなく、且つa11とa12との総和は、20以下である。]
にて表されるエポキシ樹脂と、加水分解性アルコキシシランとを脱アルコール反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、
[II]分子中にエチレン性不飽和基及び2個以上のカルボキシル基を有し、固形分酸価(mgKOH/g)が50〜150の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、
[III]希釈剤、
[IV]光重合開始剤、及び
[V]硬化密着性付与剤
を含有し、成分[I]と成分[II]との含有重量比が2/100〜50/100であり、且つ成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対しそれぞれ、成分[III]を5〜500重量部、成分[IV]を0.1〜30重量部、及び成分[V]を0.1〜20重量部含有することを特徴とする感光性熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ樹脂(化I/E)が、下記式、

[式(化I/E−1−1)中、Gは、グリシジル基を表す。a611個のA611は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a611は、20以下の数である。]、

[式(化I/E−1−2)中、Gは、前記と同義である。a621個のA621は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数a621は、20以下の数である。]、及び

[式(化I/E−S)中、Gは、前記と同義である。a個のAは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立にH若しくはGを表すが、少なくとも一つはHであり、総てが同時にHであってもよい。平均繰り返し単位数aは、20以下の数である。]
にて表されるものの1種以上であり、
加水分解性アルコキシシランが、下記式、

[式(化I/Si−2)中、B21〜B26は、同一でも異なってもよくそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、若しくは不飽和脂肪族残基を表す。平均繰り返し単位数b21は、2〜11の数である。]、及び

[式(化I/Si−3)中、B31〜B36は、同一でも異なってもよくそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、若しくは不飽和脂肪族残基を表す。平均繰り返し単位数b31は、2〜11の数である。]
にて表されるものの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
成分[II]が、エチレン性不飽和酸とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体に、エポキシ基含有不飽和単量体を反応させて得られる樹脂、及び/又は
エポキシ基含有不飽和単量体とエチレン性不飽和結合含有単量体との共重合体にエチレン性不飽和酸を反応させて得られる反応生成物に、飽和及び/又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、成分[I]と成分[II]との合量100重量部に対し、白顔料を10〜500重量部、及び充填剤を10〜1200重量部含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感光性熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の感光性熱硬化性樹脂組成物を平滑化プリント配線基板表面上に塗布し、塗布樹脂を光硬化した後、更に100〜190℃に加熱して熱硬化することを特徴とするレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法にて製造されるレジスト膜被覆平滑化プリント配線基板。

【図1】
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【公開番号】特開2007−249148(P2007−249148A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112677(P2006−112677)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】