説明

感光性白色組成物及び白色画素を具備したカラーフィルタ

【課題】ディスプレイの輝度向上の為にカラーフィルタに設けられる白色画素形成用の密着性の低さから困難であった、透過率の高い感光性白色組成物を密着性を保ちながら提供すること。
【解決手段】基板上に少なくともブラックマトリックス、複数色の着色画素と白色画素を有するカラーフィルタにおいて、前記白色画素を形成する感光性白色組成物が、少なくとも透明樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、体質顔料(D)、溶剤(E)からなり、透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)が0.50〜1.29の範囲で、かつ光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)が0.21〜0.80の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、及びカラービデオカメラ、撮像素子等のカラーフィルターに使用される白色画素を形成するための、感光性白色組成物及び白色画素を具備したカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビモニタ用途、パソコンモニタ用途、モバイル用途などにおいて液晶表示装置が応用されており、高輝度化、高色純度化、低消費電力化、高コントラスト化など、各種特性に対する要求レベルが高まってきている。中でも高色再現化や高輝度化については、液晶表示装置に用いるバックライト光源やカラーフィルタに依存する特性であり、従来の液晶表示装置では高色再現性と高輝度化を両立することが困難であった。すなわち、高色再現性のためには、カラーフィルタの高彩度化が必要であるが、高彩度化に伴って、明度が低下するという問題があった。
【0003】
カラー液晶表示装置では、2枚の偏光板を介して光を透過させ、さらにカラー表示するための着色画素層および光学ユニットでの損失等により、通常バックライトからの光はその1/3以下しか利用されていない。また、表示画面の全体で均一な輝度を有するバックライトからの光を用いるため、表示画面の全体が白表示である場合の輝度と、局所的に白表示した時のピーク輝度に差はない。一方、ブラウン管等の自発光型のディスプレイにおいては、白の表示面積を小さくすることでその輝度を上げることが可能であり、局所的な白表示の表現に優れている。
【0004】
カラーフィルタの明度を維持し、高色再現化を行う手段として、従来の赤色、緑色および青色フィルタセグメントに加えて第4ないしは第5、第6のフィルタセグメントを具備させることが有効である。従来の赤色、緑色および青色フィルタセグメントに加えて、輝度の高いホワイト(W)(透明)等のフィルタセグメントを加えた4色のフィルタセグメントである白色画素により1画素を構成して配列したものがある。このようにすることにより、4色目のフィルタセグメントである白色画素によって各画素の輝度が増し、表示装置としての基本性能が向上することとなる(特許文献1〜3)。
【0005】
さらに、白色画素を他の赤色、緑色および青色画素と比較して大きさを小さくして、輝度を向上しながら、色濃度の低下を防止する提案がなされている(特許文献4、5)。
【0006】
以上のように4色カラーフィルタの白色部を形成するための樹脂組成物および4色カラーフィルタの製造法が開示されているが、白色画素と保護層を同時にインクジェット法により形成するためモノであり、現状製造方法として主流となっているフォトリソ法には使用できない。またカラーフィルタとして重要な基材との密着性に関しての記載が無く実使用に問題と成ることが考えられる(特許文献6)。
【0007】
感光性白色組成物中の光重合性モノマーを多くすると、白色組成物中の低分子物質の量が増えることにより、現像性が向上する結果、フォトリソ過程において密着性が悪くなることが懸念される。すなわち、フォトリソ特性にすぐれた白色組成物の課題の一つとして、密着性の改善が必要となるため、現在のオーバーコート剤を、本発明の白色組成物として用いることは困難である。具体的には、光重合成モノマーと透明樹脂の比率を最適化し、白色組成物の感度と密着性の両立を検討する必要がある。
【0008】
また、感光性白色組成物のフォトリソ特性として高感度化が望まれるが、光重合開始剤
量を多くすることで、開始剤の光吸収により透過率の低下が引き起こされる。したがって、透過率と感度のバランスを取るために、光重合性モノマーと光重合開始剤の比率の合わせ込みも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−118521号公報
【特許文献2】特開平11−295717号公報
【特許文献3】特開平10−10998号公報
【特許文献4】特開2004−102292号公報
【特許文献5】特開2005−62869号公報
【特許文献6】特開2007−264378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたもので、ディスプレイの輝度向上の為にカラーフィルタに設けられる白色画素形成用の密着性の低さから困難であった、透過率の高い感光性白色組成物を密着性を保ちながら提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基板上に少なくともブラックマトリックス、複数色の着色画素と白色画素を有するカラーフィルタにおいて、前記白色画素を形成する感光性白色組成物が、少なくとも透明樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、体質顔料(D)、溶剤(E)からなり、透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)が0.50〜1.29の範囲で、かつ光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)が0.21〜0.80の範囲であることを特徴とする感光性白色組成物である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の感光性組成物を透明基板上に塗布し、乾燥後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、220℃〜240℃の温度による熱焼成を行ない形成された、白色画素の膜厚が0.5〜3.0μmで、400nm〜500nmの透過率が90%以上であることを特徴とする白色画素を具備したカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感光性白色組成物によれば、カラーフィルタの白色画素を形成している感光性白色組成物がその全固形分中に(A)透明樹脂と(B)光重合性モノマーの比率(B/A)が0.50〜1.29、かつ(B)光重合性モノマーと(C)光重合開始剤の比率(C/B)が0.21〜0.80となるような構成をとることによって、従来のオーバーコート剤では、その密着性の低さから困難であった、透過率の高い感光性白色組成物を得ることが可能になる。
【0014】
本発明で得られた感光性白色組成物を従来の赤色、緑色および青色の画素に加えて新たに白色画素を具備させることで、各画素の輝度が増し、表示装置としての基本性能が向上することとなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の感光性白色組成物および感光性白色組成物を用いて形成された白色画素を具備してなるカラーフィルタについて、実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。本発明のカラーフィルタは、基板上に少なくともブラックマトリックス、複数色の着色画素、
白色画素を有している。
【0016】
透明基板上に着色画素やブラックマトリックスを形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した感光性着色組成物の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。本発明の感光性白色組成物も同様に、色材の代わりに透明体質顔料を用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングする。
【0017】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板を用いる。この透明基板に、前記したようにまずブラックマトリックスの遮光パターンを予め形成する。アルカリ現像型着色レジスト材として調整した上記組成の感光性白色組成物及び感光性着色組成物を用いて、それぞれ1色ずつ、BM形成済みの透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.5〜3μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の水性アルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成して白色画素を含む各色のフィルタセグメントおよび積層PSを形成する。さらに、感光性白色組成物及び感光性着色組成物の重合を促進して硬膜するため、それぞれ必要に応じて加熱(ポストベーキング)を施す。
【0018】
複数の着色層の入色順を限定するものでないが、アライメントの都合及び積層PSの形成性から、ブラックマトリクス層のパターン形成後に、はじめに本発明の感光性白色組成物を用いて透明な白色画素を形成し、その後着色層の塗布、露光、現像等により赤色画素、緑色画素、青色画素などを順次形成する。そして、本発明のカラーフィルタの白色画素においては、この感光性白色組成物の全固形文中の(A)透明樹脂と(B)光重合性モノマーの比率(B/A)が0.50〜1.29の範囲であり、かつ、(B)光重合性モノマーと(C)光重合開始剤の比率(C/B)が0.21〜0.80の範囲であることを特徴としている。
【0019】
通常のカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックス層の厚さは0.5〜3μm、幅は3〜30μmの範囲である。また、白色画素、赤色画素、緑色画素、青色画素のそれぞれの膜厚(厚さ)は0.5〜3μmである。この膜厚は、感光性白色組成物あるいは感光性着色組成物の組成や塗布方法によって、調整可能である。
【0020】
ブラックマトリックスは、黒色樹脂を用いて形成された液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックス層を形成する方法としては、黒色非感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によって保護レジストを形成し、エッチングによってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法、或いは黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法がある。黒色の色材としては、カーボンブラックや酸化チタン、あるいは複数の有機顔料を用いることができる。
【0021】
光重合に適合する透明樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂、熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂、光重合及び熱重合に適合するバインダーとなる透明樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート樹脂があげられる。
【0022】
透明樹脂は、黒色顔料や着色顔料あるいは透明体質顔料を分散させる樹脂であって、画素パターン露光後の現像において、未露光部がアルカリ現像液により溶解除去できる樹脂
を言う。具体的には、アルキルアクリレート、環状アクリレート、環状メタクリレート、ヒドロキシエチルエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル系モノマートエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーからなるアクリル系透明樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート透明樹脂、多官能エポキシ樹脂にエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーを付加させたタイプの樹脂を使用することが出来る。ただし、上記樹脂に限定されるものではない。
【0023】
光重合性モノマーとしては、例えば、以下に示すようなモノマーを混合して、又は単独で使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどがあげられる。前記重合性モノマーの一部が、カルボキシル基含有多官能性単量体を含む重合性モノマーであることは、好ましい。例えば、ペンタエリスリトール又はその誘導体であっても良い。
【0024】
ラジカル重合性モノマーの重合反応を開始させる活性種を発生する光重合開始剤としては、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレ−ト、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ビス(ヒドロペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルジオキシ)バレレ−ト、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(ter−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエ-ト、t−ブチルジペルオキシイソフタレ-トなどの有機過酸化物や、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,2−ベンズアンスラキノンなどのキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体などを挙げることができる。さらに、本発明で使用することのできる光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIrgacure651、184、1173、907、369、379、819、CGI 124やBASF社製のTPO、日本化薬(株)製のKayacure DTEX、あるいは4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4、4’−ジメチルアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類の他に、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物などを挙げることができる。
【0025】
また、感光性着色組成物には、顔料を充分に組成物中に分散させ、基板上の塗布を容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0026】
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物に含有される着色顔料としては、一般に市販されている有機顔料を用いることができる。また、形成するフィルタセグメントの色相に応じて、染料、天然色素、無機顔料を併用することができる。有機顔料としては、発色性が高く、且つ耐熱性、特に耐熱分解性の高いものが好適に用いられる。有機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよい。
【0027】
以下に、本発明のカラーフィルタ基板に係る感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。赤色画素には、例えば、色材として、C.I.Pigment Red7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0028】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、735:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。橙色顔料としては、C.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等を用いることができる。
【0029】
赤色画素が、これら顔料のなかでジケトピロロピロール系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料のうち1種類以上を含む場合には、任意のRth(リタデーションの値)を得ることが容易になるため、好ましい。なぜなら、ジケトピロロピロール系赤色顔料は、その微細化処理を工夫することにより、Rthを正負のどちらにすることも可能であり、その絶対値もある程度制御可能である。また、アントラキノン系赤色顔料は、微細化処理に関わらず0に近いRthを得やすい。
【0030】
その使用量は、顔料の合計質量を基準として、ジケトピロロピロール系赤色顔料を10〜90質量%、アントラキノン系赤色顔料を5〜70質量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚、コントラスト等の点から好ましい。特に、コントラストに着目した場合、ジケトピロロピロール系赤色顔料を25〜75質量%、アントラキノン系赤色顔料を30〜60質量%とすることがより好ましい。
【0031】
緑色画素には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。黄色顔料としては、赤色画素に用いる顔料として挙げたものと同様のものが使用可能である。
【0032】
青色画素には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.PigmentViolet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0033】
青色画素が、これら顔料のなかで金属フタロシアニン系青色顔料と、ジオキサジン系紫色顔料のうち1種類以上を含む場合には、0に近い位相差を得ることが容易になる。その使用量は、顔料の合計質量を基準として、金属フタロシアニン系青色顔料を40〜100質量%、ジオキサジン系紫色顔料を1〜50質量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましい。さらに金属フタロシアニン系青色顔料を50〜98質量%、ジオキサジン系紫色顔料を2〜25質量%とすることがより好ましい。上記において金属フタロシアニン系青色顔料としてはC.I.Pigment Blue 15:6、ジオキサジン系紫色顔料としてはC.I.Pigment Violet 23が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0034】
樹脂に顔料を分散する際には、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散剤が使用できる。また、塗布性向上、感度の向上、密着性の向上などを目的として、連鎖移動剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加しても良い。
【0035】
感光性着色組成物は、各成分を混合し、シェーカー、デスパー、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細にすることにより製造することが出来る。また、感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0036】
本発明に係る感光性白色組成物は、前述したように、少なくとも、透明体質顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる。感光性白色組成物にはブラックマトリックス及び着色画素の形成に用いる黒色感光性樹脂及び感光性着色組成物は、例えば、透明樹脂からなるバインダーに顔料成分を、分散剤を用いて分散させ、この分散液に光重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0037】
透明体質顔料としては、酸化ケイ素(シリカ)、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの群れから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。また、透明性の点から、体質顔料の平均粒子径が500nm以下であることが好ましい。特に、屈折率がバインダーとなる透明樹脂に近似し、樹脂への分散性に優れ、増粘性を発揮する微粉末シリカゲルがより好ましく用いることができる。透明体質顔料の組成比は、感光性白色組成物の固形分中、5〜40質量%を含む。また、透明体質顔料の固形分量が40質量%を超えてしまうと、光重合性モノマーや光重合開始剤を減らさなくてはならず、画素形成ができなくなるため好ましくない。ブラックマトリックスの形成に用いる黒色感光性樹脂、着色画素の形成に用いる感光性着色組成物及び本発明の感光性白色組成物は、透明樹脂と開始剤を主成分として、透明樹脂が光重合、又は熱重合、或いは光重合及び熱重合を経て、三次元架橋される。
【0038】
感光性白色組成物として、オーバーコート剤があげられる。オーバーコート剤は、用途として平坦性が求められるため、光重合性モノマー量を多くすることで白色画素を形成するための、感光性白色組成物に用いられる透明樹脂からなるバインダーの平均分子量を小さくしている。
【0039】
本発明のカラーフィルタ基板では画素上に、さらに透明保護層を形成しても良い。垂直配向の液晶やOCB(Optically CompensatedBirefringence)と呼ばれる液晶、強誘電性液晶、ECB(Electrical Controlled Birefringence)と呼ばれる液晶など、透明電極による液晶セルギャップの厚み方向の電界駆動が必要な液晶では、画素およびを形成する工程と透明保護層を形成する工程の後に、透明導電膜を形成する工程を入れる事もできる。この場合には積層上の透明電極の上か対向基板のスペーサが接触する部位に絶縁層を形成する。この絶縁層は、視野角や応答性改善などの液晶配向規制(配向制御)を目的とした配向規制突起と同時に形成しても良い。絶縁層は、カラーフィルタ基板として透明導電膜形成が不必要な、たとえばIPS(横電界)方式の液晶表示装置の場合はこれを省く事ができる。
【0040】
液晶が垂直に配向する、たとば、VA方式の液晶表示装置では、あらかじめブラックマトリクス、白色画素、着色画素層および積層PS上に透明電極を形成し、この透明電極上に、さらに透明樹脂を用いたスペーサや配向制御用の突起を形成しても良い。
【0041】
透明導電膜を形成する方法は、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングと呼ばれる真空成膜の手法が一般的である。透明導電膜には、インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物を用いることができる。
【0042】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは「質量部」および「質量%」をそれぞれ意味する。
【0043】
感光性白色組成物は透明樹脂、光重合成性モノマー、光重合開始剤、界面活性剤、体質顔料、有機溶剤を、均一になるように撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し調整される。表1に、透明樹脂に対する光重合成性モノマー、光重合開始剤、界面活性剤、体質顔料の組成を変えて、透明樹脂と光重合成性モノマー及び光重合開始剤と光重合成性モノマーの比率と、密着性と透過率の関係を見たものを示す。
【0044】
また用いた透明樹脂はアクリル樹脂溶液であり、樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。その調整を以下に示す。
【0045】
透明樹脂はアクリル樹脂溶液からなっており、調整は、反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して、重合反応を行った。組成はメタクリル酸を20.0部、メチルメタクリレートを10.0部、n−ブチルメタクリレートを55.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを15.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを4.0部である。
【0046】
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続行して、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の質量平均分子量Mwは、約40000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥し、不揮発分を測定し、測定結果に基き、先に合成したアクリル樹脂溶液
に不揮発分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。
【0047】
また光重合成性モノマーは東亜合成社製「アロニックスM402」を、光重合開始剤はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア379」を、界面活性剤はビックケミー社製「BYK330」2%シクロヘキサノン溶液を、体質顔料としては粉末シリカゲルを、有機溶剤はEEP(エチル―3―エトキシプロピオネート)/シクロヘキサノンを用いて感光性白色組成物を得た。
【0048】
さらに調整した感光性白色組成物をガラス基板に、スピンレスコートにより仕上り膜厚が2.3μmとなるように塗布した。90℃5分間乾燥の後、白色画素形成用のストライプ状フォトマスクを介して、高圧水銀灯の光を300mJ/cm照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像して、ストライプ形状の白色途膜を得、さらに230℃で30分加熱硬膜し白色画素を得た。
【0049】
なお、アルカリ現像液は炭酸ナトリウムを1.5質量%、炭酸水素ナトリウムを0.5質量%、陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL)を8.0質量%、水を90.0質量%で調整した。
【0050】
得られたストライプ形状の白色画素の密着性に関しては、ハガレの発生の有無から判断し、ハガレの発生の無いものを、密着性良好「○」、はがれの発生が見られるものを密着性が悪い「×」とした。
【0051】
得られたストライプ形状の白色画素の透過率に関しては、顕微分光測光装置OSP−2000(オリンパス光学工業社製)を使用して測定し、得られた分光から、白色画素の膜厚が0.5μm、3μmとなるときの400nm〜500nmの最低透過率を算出した。
【0052】
作製した白色画素は透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)が小さい場合、白色画素中の光重合成モノマーの量が少ないため、感度不足となり、逆にB/Aが大きくなると、白色画素中の平均分子量が低下するため現像時間が早くなることによる密着性の悪化する。光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)に関しては、光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)のバランス重要で、比率がから外れると密着性が悪くると考えられる。
【0053】
透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)および光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)と密着性、透過率との関係を見る為に、透明樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)界面活性剤、体質顔料、有機溶剤の組成を変えて、6種類の感光性白色組成物を調整した。6種類の感光性白色組成物の組成と密着性、透過率との関係を表1に示す。
【0054】
【表1】

表1より、透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)が0.50〜1.29の範囲であり、かつ光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)が0.21〜0.80の白色画素の密着性がよく、白色画素の膜厚が0.5〜3.0μmで、400nm〜500nmで90%以上の透過率が得られることが分かる。その比率から外れた組成6は密着性が悪く、透過率も悪くなることが分かる。
【0055】
得られた感光性白色組成物および感光性着色組成物を用いて、カラーフィルタを作製した。以下に、感光性着色組成物に用いる顔料分散体の作製方法について記述する。赤色、緑色、青色感光性着色組成物は赤色、緑色、青色の分散粒子径250μmの顔料を26質
量部、顔料誘導体を4質量部、アルカリ樹脂溶液を150質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を120質量部の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を調製した。
【0056】
顔料分散体の分散粒子径は、動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA−EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし測定しD50を平均径とした。
【0057】
得られた赤色、緑色、青色の顔料分散体41.8質量部、アルカリ樹脂溶液20.2質量部、モノマー(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)0.9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)0.5質量部、増感剤(日本化薬社製「カヤキュアDETX−S」)0.2質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)36.2質量部からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、粘度が3.3mPa/Sの赤色、緑色、青色の感光性着色組成物を得た。
【0058】
市販の黒色感光性組成物を用いて膜厚(高さ)2μmのブラックマトリックスが形成された0.7mm厚のガラス基板上に、擬似的なカラーフィルタを作製した。得られた感光性着色組成物および組成と組成6の感光性白色組成物を板厚0.7mmの360mm×465mmサイズのガラス基板に、平均膜厚が乾燥膜厚2.8μmになるように、スリットダイからガラス基板を150μm離し、塗工速度100mm/secにてスリットダイコーターで塗工した。更に、70℃で20分乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量300mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で60分加熱することにより、白色画素を含む本発明の実施形態1のカラーフィルタと組成6の感光性白色組成物用い密着性と透過率に問題がある白色画素を含む比較形態1と白色画素を含まない比較形態2のカラーフィルタを得た。
【0059】
得られたそれぞれのカラーフィルタの分光透過率および色相を、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
結果を表2に示す。
【0060】
【表2】

白色画素有する本発明の実施形態1であるカラーフィルタは、白色画素を持たない比較形態1のカラーフィルターして、高い輝度のカラーフィルタであり、密着性に関しても従来のカラーフィルターと同一で、はがれの発生は見られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくともブラックマトリックス、複数色の着色画素と白色画素を有するカラーフィルタにおいて、前記白色画素を形成する感光性白色組成物が、少なくとも透明樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、体質顔料(D)、溶剤(E)からなり、透明樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の質量比率(B/A)が0.50〜1.29の範囲で、かつ光重合性モノマー(B)と光重合開始剤(C)の質量比率(C/B)が0.21〜0.80の範囲であることを特徴とする感光性白色組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の感光性組成物を透明基板上に塗布し、乾燥後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、220℃〜240℃の温度による熱焼成を行ない形成された、白色画素の膜厚が0.5〜3.0μmで、400nm〜500nmの透過率が90%以上であることを特徴とする白色画素を具備したカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−145810(P2012−145810A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4794(P2011−4794)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】