説明

感光性組成物及び基板

【課題】無機フィラーの含有量が比較的多くても、基板などの塗工対象部材とレジスト膜などの硬化物膜との密着性を高めることができる感光性組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る感光性組成物は、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と、無機フィラー(C)とを含有する。感光性組成物100重量%中、無機フィラー(C)の含有量は、15重量%以上、59重量%以下である。無機フィラー(C)は硫酸バリウム(C1)を含む。硫酸バリウム(C1)は、該硫酸バリウム(C1)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、8.5以下の値を示す硫酸バリウムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にソルダーレジスト膜を形成したり、又は発光ダイオードチップが搭載される基板上に反射レジスト膜を形成したりするために好適に用いられる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた基板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板を高温のはんだから保護するための保護膜として、ソルダーレジスト膜が広く用いられている。
【0003】
上記ソルダーレジスト膜を形成するための材料の一例として、下記の特許文献1には、アクリレート化合物である紫外線硬化型プレポリマーと、顔料とを含有し、かつ紫外線硬化型プレポリマーとオルガノポリシロキサンとアルミニウムキレート化合物との反応生成物をさらに含有するソルダーレジスト材料が開示されている。
【0004】
また、発光ダイオード(以下、発光ダイオードをLEDと略す。)チップが搭載されたプリント配線基板の表面には、LEDから発せられた光を効率よく取り出すために、光の反射率が高い白色ソルダーレジスト膜が形成されている。
【0005】
上記白色ソルダーレジスト膜は、基板の表面を照らすLEDの光を効率よく反射するので、LEDから生じた光の利用率を高める。
【0006】
上記白色ソルダーレジスト膜を形成するための材料の一例として、下記の特許文献2には、エポキシ樹脂と加水分解性アルコキシシランとの脱アルコール反応により得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有し、かつ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂と、希釈剤と、光重合開始剤と、硬化密着性付与剤とをさらに含有するレジスト材料が開示されている。
【0007】
下記の特許文献3には、芳香環を有さないカルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、エポキシ化合物と、ルチル型酸化チタンと、希釈剤とを含有する白色ソルダーレジスト材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−25374号公報
【特許文献2】特開2007−249148号公報
【特許文献3】特開2007−322546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3に記載のような従来のレジスト材料を用いて、基板上にレジスト膜を形成したときに、基板とレジスト膜との密着性が低いことがある。このため、レジスト膜が形成された基板が長期間使用されたり、高温高湿などの過酷な条件で使用されたりすると、レジスト膜が基板から剥離することがある。
【0010】
また、最上層のレジスト膜は、可視域で高い反射率を有することが必要である。このため、レジスト材料にフィラーを高濃度で添加する必要がある。フィラーを高濃度で添加すると、レジスト膜が基板からより一層剥離しやすくなるという問題がある。
【0011】
さらに、特許文献1〜3に記載のような従来のレジスト材料を用いたレジスト膜の表面上にめっき層を形成した場合に、レジスト膜とめっき層との密着性が低いことがある。
【0012】
本発明の目的は、無機フィラーの含有量が比較的多くても、基板などの塗工対象部材とレジスト膜などの硬化物膜との密着性を高めることができる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた基板を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、無機フィラーの含有量が比較的多くても、硬化物膜とめっき層との密着性を高めることができる感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と、無機フィラー(C)とを含有し、感光性組成物100重量%中、無機フィラー(C)の含有量が15重量%以上、59重量%以下であり、無機フィラー(C)が硫酸バリウム(C1)を含み、硫酸バリウム(C1)が、該硫酸バリウム(C1)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、8.5以下の値を示す硫酸バリウムである、感光性組成物が提供される。
【0015】
なお、本願明細書では、硫酸バリウム(C1)又は後述する酸化チタン(C2)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定する方法を、煮沸法と呼ぶことがある。
【0016】
硫酸バリウム(C1)は、硫酸バリウム(C1)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、7.0以下の値を示す硫酸バリウムであることが好ましい。すなわち、硫酸バリウム(C1)は、上記煮沸法によるpHが3.0以上、7.0以下の値を示す硫酸バリウムであることが好ましい。
【0017】
本発明に係る感光性組成物のある特定の局面では、無機フィラー(C)が硫酸バリウム(C1)と酸化チタン(C2)との双方を含み、酸化チタン(C2)が、該酸化チタン(C2)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、8.5以下の値を示す酸化チタンである。酸化チタン(C2)は、上記煮沸法によるpHが3.0以上、7.8以下の値を示す酸化チタンであることが好ましい。
【0018】
少なくとも1種の無機フィラー(C)は、酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物により被覆されていることが好ましい。
【0019】
上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物を構成する金属元素は、アルミニウム及び珪素の内の少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
無機フィラー(C)は、酸化珪素を含む被覆材料により被覆されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る感光性組成物は、第1の液と、第2の液とを有し、該第1,第2の液が混合されて用いられる2液混合型の感光性組成物であり、重合性炭化水素単量体(A)と重合性炭化水素重合体(B)と無機フィラー(C)とはそれぞれ、第1の液及び第2の液の内の少なくとも一方に含まれており、第1,第2の液が混合された混合物が、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と無機フィラー(C)とを含むことが好ましい。
【0022】
本発明に係る感光性組成物は、ソルダーレジスト組成物として好適に用いられる。本発明に係る感光性組成物は、ソルダーレジスト組成物であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る基板は、回路を表面に有する基板と、該基板の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備えており、該ソルダーレジスト膜が本発明に従って構成された感光性組成物を用いて形成されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る感光性組成物は、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と、無機フィラー(C)とを含有し、更に無機フィラー(C)が硫酸バリウム(C1)を含み、該硫酸バリウム(C1)の煮沸法によるpHが3.0以上、8.5以下であるので、基板などの塗工対象部材とレジスト膜などの硬化物膜との密着性を高めることができる。本発明では、無機フィラー(C)の含有量が比較的多く15重量%以上であっても、塗工対象部材と硬化物膜との密着性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る感光性組成物を用いて形成されたレジスト膜を備えるLEDデバイスを模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る感光性組成物は、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と、無機フィラー(C)とを含有する。重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の一方のみが用いられてもよく、重合性炭化水素単量体(A)と重合性炭化水素重合体(B)との双方が用いられてもよい。また、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
また、本発明に係る感光性組成物100重量%中、無機フィラー(C)の含有量は15重量%以上、59重量%以下である。本発明に係る感光性組成物では無機フィラー(C)の含有量が15重量%以上であるので、反射率が高いレジスト膜を形成できる。
【0029】
さらに、本発明に係る感光性組成物では、無機フィラー(C)は、硫酸バリウム(C1)を含む。硫酸バリウム(C1)は、該硫酸バリウム(C1)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpH(煮沸法によるpH)を測定したとき、pH3.0以上、8.5以下の値を示す硫酸バリウムである。
【0030】
感光性組成物が上記組成を有することにより、基板などの塗工対象部材上に、感光性組成物を用いてレジスト膜などの硬化物膜を形成することで、塗工対象部材と硬化物膜との密着性を高めることができる。さらに、感光性組成物が上記組成を有することにより、該硬化物膜上にめっき処理によりめっき層を形成したときに、硬化物膜とめっき層との密着性を高めることもできる。このため、本発明に係る感光性組成物を用いたプリント配線板等の電子部品の信頼性を高めることができる。
【0031】
以下、本発明に係る感光性組成物に含まれている各成分の詳細を説明する。
【0032】
(重合性炭化水素単量体(A))
上記重合性炭化水素単量体(A)としては、例えば、重合性不飽和基含有単量体又は重合性環状エーテル基含有単量体が挙げられる。
【0033】
上記重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基などの重合性不飽和二重結合を有する官能基が挙げられる。中でも、レジスト膜の架橋密度を高めることができるため、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0034】
上記重合性不飽和基含有単量体は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどのグリコールのジ(メタ)アクリレート変性物や、多価アルコール、多価アルコールのエチレンオキサイド付加物もしくは多価アルコールのプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート変性物や、フェノール、フェノールのエチレンオキサイド付加物もしくはフェノールのプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート変性物や、グルセリンジグリシジルエーテルもしくはトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート変性物や、メラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0035】
上記多価アルコールとしては、例えば、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。上記フェノールの(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート変性物が挙げられる。
【0036】
「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルとを意味する。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを意味する。
【0037】
(重合性炭化水素重合体(B))
上記重合性炭化水素重合体(B)としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びオレフィン樹脂が挙げられる。なお、「樹脂」は、固形樹脂に限定されず、液状樹脂及びオリゴマーも含む。
【0038】
上記重合性炭化水素重合体(B)は、下記のカルボキシル基含有樹脂(a)〜(e)であることが好ましい。
【0039】
(a)不飽和カルボン酸と重合性不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂
(b)カルボキシル基含有(メタ)アクリル共重合樹脂(b1)と、1分子中にオキシラン環及びエチレン性重合性不飽和二重結合を有する化合物(b2)との反応により得られるカルボキシル基含有樹脂
(c)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基及び重合性不飽和二重結合を有する化合物と、重合性不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させた後、生成した反応物の第2級の水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(d)水酸基含有ポリマーに、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボキシル基を有するポリマーに、1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基及び重合性不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基及びカルボキシル基含有樹脂
(e)芳香環を有するエポキシ化合物と飽和多塩基酸無水物又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂、又は芳香環を有するエポキシ化合物と不飽和二重結合を少なくとも1つ有するカルボキシル基含有化合物とを反応させた後、飽和多塩基酸無水物又は不飽和多塩基酸無水物をさらに反応させて得られる樹脂
【0040】
上記重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方の成分の全量100重量%中、重合性炭化水素単量体(A)の含有量は好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下である。重合性炭化水素単量体(A)の含有量が上記範囲内であると、感光性組成物を十分に硬化させることができる。さらに、レジスト膜の架橋密度が適度になり、十分な解像度を得ることができ、かつレジスト膜が黄変しにくくなる。
【0041】
(無機フィラー(C))
本発明に係る感光性組成物は無機フィラー(C)を含むので、更に感光性組成物100重量%中の無機フィラー(C)の含有量が15重量%以上であるので、反射率が高いレジスト膜を形成できる。
【0042】
上記無機フィラー(C)は、硫酸バリウム(C1)を含む。本発明に係る感光性組成物に含有される硫酸バリウム(C1)は、煮沸法により測定されたpHが3.0以上、8.5以下である。煮沸法によるpHがこの範囲内にあれば、塗工対象部材と硬化物膜との密着性、並びに硬化物膜とめっき層との密着性を高めることができる。この特定の硫酸バリウムの使用は、塗工対象部材と硬化物膜との密着性の向上、並びに硬化物膜とめっき層との密着性の向上に大きく寄与する。
【0043】
上記煮沸法とは、硫酸バリウム(C1)又は後述する酸化チタン(C2)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定する方法である。
【0044】
上記煮沸法では、具体的には、硫酸バリウム(C1)又は酸化チタン(C2)5gを純水100mLに加えた液を、開口を有する容器内に入れる。上記容器を加熱することにより容器内の液を加熱し、容器内の液を沸騰させる。沸騰し始めてから5分間、沸騰状態を維持する。その後、容器の開口に栓体を取り付けて、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得る。容器の開口から栓を取り外して、得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて、水量を100mLとする。容器の開口に栓体を取り付けて、1分間振り混ぜた後、5分間静置する。このようにして、測定液を得る。得られた測定液のpHは、JIS Z8802の7.に記載された操作に準拠して測定できる。
【0045】
塗工対象部材と硬化物膜との密着性、並びに硬化物膜とめっき層との密着性をより一層高める観点からは、硫酸バリウム(C1)の上記煮沸法によるpHは、3.0以上、7.0以下であることが好ましい。
【0046】
反射率がより一層高いレジスト膜を形成する観点からは、無機フィラー(C)は、硫酸バリウム(C1)と酸化チタン(C2)との双方を含むことが好ましい。これらの無機フィラー(C)の使用により、LED用プリント配線基板等の白色ソルダーレジスト膜に好適な感光性組成物が得られる。LEDを搭載した基板に用いる白色ソルダーレジスト膜に要求されている高い反射性能を得ることができる。
【0047】
上記酸化チタン(C2)は、酸化チタン(C2)5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、7.8以下の値を示す酸化チタンであることが好ましい。すなわち酸化チタン(C2)の上記煮沸法によるpHは3.0以上、7.8以下であることが好ましい。但し、酸化チタン(C2)として、上記煮沸法によるpHが3.0未満又は7.8を超える酸化チタンを用いてもよい。
【0048】
上記無機フィラー(C)、上記硫酸バリウム(C1)及び上記酸化チタン(C2)の数平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0049】
上記酸化チタン(C2)は、ルチル型酸化チタンであることが好ましい。ルチル型酸化チタンの使用により、レジスト膜の反射率をより一層高くすることができ、更にソルダーレジスト膜が高温に晒されたときに、より一層黄変し難くなる。
【0050】
感光性組成物100重量%中の無機フィラー(C)の含有量は、15重量%以上、59重量%以下である。無機フィラー(C)の含有量が15重量%未満であると、レジスト膜の反射率が低くなる傾向がある。無機フィラー(C)の含有量が59重量%を超えると、効率的に現像できなくなる。さらに、無機フィラー(C)の含有量が59重量%を超えると、塗工に適した粘度を有する感光性組成物を調製し難くなることがある。感光性組成物100重量%中の無機フィラー(C)の含有量は、より好ましくは58重量%以下である。
【0051】
本発明では、無機フィラー(C)の含有量が15重量%以上であっても、塗工対象部材と硬化物膜との密着性、並びに硬化物膜とめっき層との密着性を充分に高めることができる。無機フィラー(C)の含有量は、15重量%以上、59重量%以下であることも、塗工対象部材と硬化物膜との密着性の向上、並びに硬化物膜とめっき層との密着性の向上に大きく寄与する。
【0052】
また、塗工対象部材と硬化物膜との密着性、並びに硬化物膜とめっき層との密着性をより一層高める観点からは、感光性組成物100重量%中の硫酸バリウム(C1)の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、59重量%以下である。無機フィラー(C)100重量%中、硫酸バリウム(C1)の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、100重量%以下である。硫酸バリウム(C1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、塗工対象部材と硬化物膜との密着性、並びに硬化物膜とめっき層との密着性がより一層高くなる。無機フィラー(C)の全量が硫酸バリウム(C1)であってもよい。
【0053】
無機フィラー(C)が硫酸バリウム(C1)と酸化チタン(C2)との双方を含む場合には、無機フィラー(C)100重量%中、硫酸バリウム(C1)の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは70重量%以下であり、酸化チタン(C2)の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0054】
表面を酸性にするために、少なくとも1種の上記無機フィラー(C)は、酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物により被覆されていることが好ましい。この場合には、現像性をより一層高めることができる。上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物としては、アルミニウム、珪素、亜鉛、スズ又は鉛等を含有する金属化合物が挙げられる。本明細書において、珪素は金属元素に含まれることとする。レジスト膜の現像性をより高めることができるので、上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物を構成する金属元素は、アルミニウム及び珪素の内の少なくとも1種であることが好ましい。現像性をさらに一層高めることができるので、上記無機フィラー(C)は、酸化珪素を含む被覆材料により被覆されていることが好ましい。上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物として、酸化珪素が好適に用いられる。
【0056】
上記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物により被覆された無機フィラー(C)は、例えば以下のようにして得ることができる。
【0057】
水又は水を主成分とする液中に無機フィラー(C)を分散させ、スラリーを得る。必要に応じてサンドミル又はボールミル等により、無機フィラー(C)を粉砕する。次いで、スラリーのpHを中性又は酸性、場合によってはアルカリ性にする。その後、被覆材料の原料となる水溶性塩をスラリーに添加し、無機フィラー(C)の表面を被覆する。その後、スラリーを中和し、無機フィラー(C)を回収する。回収された無機フィラー(C)は、乾燥又は乾式粉砕されてもよい。
【0058】
また、必要に応じて、本発明に係る感光性組成物は、上記無機フィラー(C)の他に、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド粉末、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、タルク、チタン酸バリウム、クレー、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、雲母粉、硫酸鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、窒化チタン、フッ化セリウム及び酸化セリウムなどの他のフィラーを含有していてもよい。
【0059】
(環状エーテル骨格を有する化合物(D))
レジスト膜の切り出し加工性を高めるために、感光性組成物は、環状エーテル骨格を有する化合物(D)を含有することが好ましい。
【0060】
上記環状エーテル骨格を有する化合物(D)としては、例えば、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂及びε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂が挙げられる。上記環状エーテル骨格を有する化合物(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
環状エーテル骨格を有する化合物(D)は、重合性炭化水素重合体(B)が有するカルボキシル基などの官能基と反応して、感光性組成物を硬化させるように作用する。
【0062】
重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方の成分の全量100重量部に対して、好ましくは上記重合性炭化水素重合体(B)100重量部に対して、上記環状エーテル骨格を有する化合物(D)の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。上記環状エーテル骨格を有する化合物(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、レジスト膜の電気絶縁性をより一層高めることができる。
【0063】
(他の成分)
高温に晒されたときにソルダーレジスト膜が黄変するおそれを小さくするために、本発明に係る感光性組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤は、ルイス塩基性部位を有することが好ましい。レジスト膜の黄変をより一層抑制する観点からは、上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0064】
上記フェノール系酸化防止剤の市販品としては、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 245、IRGANOX 259、及びIRGANOX 295(以上、いずれもチバ・ジャパン社製)、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−90、及びアデカスタブ AO−330(以上、いずれもADEKA社製)、Sumilizer GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、及びSumilizer GP(以上、いずれも住友化学工業社製)、HOSTANOX O10、HOSTANOX O16、HOSTANOX O14、及びHOSTANOX O3(以上、いずれもクラリアント社製)、アンテージ BHT、アンテージ W−300、アンテージ W−400、及びアンテージ W500(以上、いずれも川口化学工業社製)、並びにSEENOX 224M、及びSEENOX 326M(以上、いずれもシプロ化成社製)等が挙げられる。
【0065】
上記リン系酸化防止剤としては、シクロヘキシルフォスフィン及びトリフェニルフォスフィン等が挙げられる。上記リン系酸化防止剤の市販品としては、アデアスタブ PEP−4C、アデアスタブ PEP−8、アデアスタブ PEP−24G、アデアスタブ PEP−36、アデアスタブ HP−10、アデアスタブ 2112、アデアスタブ 260、アデアスタブ 522A、アデアスタブ 1178、アデアスタブ 1500、アデアスタブ C、アデアスタブ 135A、アデアスタブ 3010、及びアデアスタブ TPP(以上、いずれもADEKA社製)、サンドスタブ P−EPQ、及びホスタノックス PAR24(以上、いずれもクラリアント社製)、並びにJP−312L、JP−318−0、JPM−308、JPM−313、JPP−613M、JPP−31、JPP−2000PT、及びJPH−3800(以上、いずれも城北化学工業社製)等が挙げられる。
【0066】
上記アミン系酸化防止剤としては、トリエチルアミン、ジシアンジアミド、メラミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン及び第四級アンモニウム塩誘導体等が挙げられる。
【0067】
本発明に係る感光性組成物は、溶剤を含有してもよい。溶剤の双極子モーメントは1Debye以上であることが好ましい。双極子モーメントが1Debye以上である溶剤の使用により、ポットライフに優れた感光組成物を提供できる。
【0068】
感光性をより一層高めるために、本発明に係る感光性組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0069】
上記光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール、イミダゾール、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、アントラキノン、ベンズアンスロン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、安息香酸エステル、アクリジン、フェナジン、チタノセン、α−アミノアルキルフェノン、オキシム、及びこれらの誘導体が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記光重合開始剤が含有される場合には、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方の成分の全量100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。上記光重合開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、感光性組成物の感光性をより一層高めることができる。
【0071】
また、本発明に係る感光性組成物は、着色剤、充填剤、消泡剤、硬化剤、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、カップリング剤、タレ防止剤又は蛍光体等を含有してもよい。
【0072】
さらに、本発明に係る感光性組成物は、第1の液と、第2の液とを有し、該第1,第2の液が混合されて用いられる2液混合型の感光性組成物であってもよい。2液混合型の感光性組成物の場合には、使用前に重合又は硬化反応が進行するのを抑制できる。このため、2液それぞれのポットライフを向上できる。
【0073】
2液混合型の感光性組成物の場合には、重合性炭化水素単量体(A)と重合性炭化水素重合体(B)と無機フィラー(C)とはそれぞれ、上記第1の液及び上記第2の液の内の少なくとも一方に含まれる。環状エーテル骨格を有する化合物(D)は、上記第1の液及び上記第2の液の内の少なくとも一方に含まれる。
【0074】
上記第1,第2の液が混合された混合物は、感光性組成物であり、重合性炭化水素単量体(A)及び重合性炭化水素重合体(B)の内の少なくとも一方と無機フィラー(C)とを含む。
【0075】
本発明に係る感光性組成物は、例えば、各配合成分を撹拌混合した後、3本ロールにて均一に混合することにより調製できる。
【0076】
感光性組成物を硬化させるために用いられる光源としては、紫外線又は可視光線等の活性エネルギー線を発光する照射装置が挙げられる。上記光源としては、例えば、超高圧水銀灯、Deep UV ランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ及びエキシマレーザーが挙げられる。これらの光源は、感光性組成物の構成成分の感光波長に応じて適宜選択される。光の照射エネルギーは、所望とする膜厚又は感光性組成物の構成成分により適宜選択される。光の照射エネルギーは、一般に、10〜3,000mJ/cmの範囲内である。
【0077】
(LEDデバイス)
本発明に係る感光性組成物は、LEDデバイスのレジスト膜を形成するために好適に用いられ、ソルダーレジスト膜を形成するためにより好適に用いられる。本発明に係る感光性組成物は、ソルダーレジスト組成物であることが好ましい。
【0078】
図1に、本発明の一実施形態に係る感光性組成物を用いて形成されたソルダーレジスト膜を備えるLEDデバイスを模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0079】
図1に示すLEDデバイス1では、基板2の上面2aに、感光性組成物により形成されたレジスト膜3が積層されている。レジスト膜3は、パターン膜である。よって、基板2の上面2aの一部の領域では、レジスト膜3は形成されていない。レジスト膜3が形成されていない部分の基板2の上面2aには、電極4a,4bが設けられている。基板2は、プリント配線板であることが好ましい。
【0080】
レジスト膜3の上面3aに、LEDチップ7が積層されている。レジスト膜3を介して、基板2上にLEDチップ7が積層されている。LEDチップ7の下面7aの外周縁には、端子8a,8bが設けられている。はんだ9a,9bにより、端子8a,8bが電極4a,4bと電気的に接続されている。この電気的な接続により、LEDチップ7に電力を供給できる。
【0081】
また、本発明に係る基板は、回路を表面に有する基板と、該基板の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備えている。該ソルダーレジスト膜が本発明に従って構成された感光性組成物を用いて形成されている。
【0082】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0083】
実施例及び比較例では、以下の材料1)〜5)を用いた。
【0084】
1)アクリルポリマー1(下記合成例1で得られたアクリルポリマー1)
(合成例1)
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えたフラスコに、溶剤としてエチルカルビトールアセテートと、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルとを入れ、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを30:70のモル比で混合したモノマーを2時間かけて滴下した。滴下後、1時間攪拌し、温度を120℃に上げた。その後、冷却した。得られた樹脂の全てのモノマー単位の総量のモル量に対するモル比が10となる量のグリシジルアクリレートを加え、触媒として臭化テトラブチルアンモニウムを用い100℃で30時間加熱して、グリシジルアクリレートとカルボキシル基とを付加反応させた。冷却後、フラスコから取り出して、固形分酸価60mgKOH/g、重量平均分子量15,000、二重結合当量1,000のカルボキシル基含有樹脂を50重量%(不揮発分)含む溶液を得た。以下、この溶液をアクリルポリマー1と呼ぶ。
2)DPHA(アクリルモノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、比重1.1)
3)TPO(光ラジカル発生剤である光重合開始剤、BASFジャパン社製)
4)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製、比重1.2)
5)エチルカルビトールアセテート(溶剤、双極子モーメント1Debye以上、比重1.0)
【0085】
また、実施例及び比較例では、下記の表1に示す無機フィラーを用いた。また、下記の表1に、上記煮沸法により測定したpHも記載した。
【0086】
【表1】

【0087】
上記表1において、酸化チタン3〜4及び硫酸バリウム2〜4は、酸性金属化合物又は酸性金属水酸化物により被覆されている無機フィラーに相当する。無機フィラーを表面処理する際に、金属種がAlである場合には水酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム、金属種がSiである場合には酸化珪素、金属種がZrである場合は酸化ジルコニウムが用いられている。
【0088】
(実施例1)
合成例1で得られたアクリルポリマー1を15重量部と、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)5重量部と、TPO(光ラジカル発生剤である光重合開始剤、BASFジャパン社製)2重量部と、828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製)8重量部と、エチルカルビトールアセテート30重量部と、B−54(硫酸バリウム、堺化学社製)40重量部とを配合し、混合機(練太郎SP−500、シンキー社製)にて3分間混合した後、3本ロールにて混合し、混合物を得た。その後、SP−500を用いて、得られた混合物を3分間脱泡することにより、感光性組成物であるレジスト材料を得た。
【0089】
(実施例2〜12及び比較例1〜4)
使用した材料の種類及び配合量を下記の表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、レジスト材料を得た。
【0090】
(評価)
(1)測定サンプルの作製
80mm×90mm、厚さ0.8mmのFR−4である基板を用意した。この基板上に、スクリーン印刷法により、100メッシュのポリエステルバイアス製の版を用いて、ベタパターンでレジスト材料を印刷した。印刷後、80℃のオーブン内で20分間乾燥させ、レジスト材料層を基板上に形成した。次に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、紫外線照射装置を用い、レジスト材料層に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが400mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で4秒間照射した。その後、未露光部のレジスト材料層を除去してパターンを形成するために、炭酸ナトリウムの1重量%水溶液にレジスト材料層を浸漬して現像し、基板上にレジスト膜を形成した。その後、150℃のオーブン内で1時間加熱してレジスト膜を後硬化させることにより、測定サンプルであるレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の厚みは25μmであった。
【0091】
(2)耐湿信頼性
レジスト膜の基板に対する密着性をクロスカットテープ試験(JIS 5400 6.15)で確認した。
【0092】
得られた測定サンプルを、85℃及び湿度85%の条件で1000時間保管した。1mm間隔で碁盤目に、保管後のレジスト膜に切り込みを100マス分カッターで作成した。次に、切り込み部分を有するレジスト膜にセロハンテープ(JIS Z1522)を十分に貼りつけて、テープの一端を45度の角度で強く引き剥がして剥離状態を確認した。
【0093】
[耐湿信頼性の判定基準]
○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化がなく、レジスト膜の剥離がない
△:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が一部剥離(幅0.3mm未満)した
×:レジスト膜が多く剥離した
【0094】
(3)耐めっき性
得られた測定サンプルのレジスト膜の表面上に、無電解ニッケルめっき浴を用いて、厚み3μmのニッケルめっき層を形成した。次に、ニッケルめっき層の表面上に、無電解金めっき浴を用いて、厚み0.1μmの金めっき層を形成した。
【0095】
1mm間隔で碁盤目に、金めっき層とニッケルめっき層とレジスト膜とに切り込みを100マス分カッターで作成した。次に、切り込み部分を有する金めっき層にセロハンテープ(JIS Z1522)を十分に貼りつけて、テープの一端を45度の角度で強く引き剥がして剥離状態を確認した。
【0096】
[耐めっき性の判定基準]
○○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化がなく、レジスト膜の剥離がない
○:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が一部剥離(幅0.3mm未満)した
△:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が一部剥離(幅0.3mm以上、幅1mm未満)した
×:テープの剥離後にレジスト膜に外観変化はないものの、レジスト膜が多く剥離した
××:テープの剥離後にレジスト膜に浮きがみられ、レジスト膜が多く剥離した
【0097】
結果を下記の表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
なお、実施例1〜12では、1液型のレジスト材料を作製した。実施例1〜12において、エポキシ化合物以外の成分を第1の液に配合し、エポキシ化合物を第2の液に配合して、第1の液と第2の液とに分けて2液型のレジスト材料を得て、上記測定サンプルを作製する際に、基板上にレジスト材料を印刷する直前に、第1,第2の液を混合して同様の評価を行ったところ、評価結果は1液型のレジスト材料と2液型のレジスト材料とで同じであった。
【符号の説明】
【0100】
1…LEDデバイス
2…基板
2a…上面
3…レジスト膜
3a…上面
4a,4b…電極
7…LEDチップ
7a…下面
8a,8b…端子
9a,9b…はんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性炭化水素単量体及び重合性炭化水素重合体の内の少なくとも一方と、無機フィラーとを含有し、
感光性組成物100重量%中、前記無機フィラーの含有量が15重量%以上、59重量%以下であり、
前記無機フィラーが硫酸バリウムを含み、
前記硫酸バリウムが、該硫酸バリウム5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、8.5以下の値を示す硫酸バリウムである、感光性組成物。
【請求項2】
前記硫酸バリウムが、該硫酸バリウム5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、7.0以下の値を示す硫酸バリウムである、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記無機フィラーが前記硫酸バリウムと酸化チタンとの双方を含み、
前記酸化チタンが、該酸化チタン5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pH3.0以上、7.8以下の値を示す酸化チタンである、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の前記無機フィラーが、酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物により被覆されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記酸性金属酸化物又は酸性金属水酸化物を構成する金属元素が、アルミニウム及び珪素の内の少なくとも1種である、請求項4に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記無機フィラーが、酸化珪素を含む被覆材料により被覆されている、請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項7】
第1の液と、第2の液とを有し、該第1,第2の液が混合されて用いられる2液混合型の感光性組成物であり、
前記重合性炭化水素単量体と前記重合性炭化水素重合体と前記無機フィラーとはそれぞれ、前記第1の液及び前記第2の液の内の少なくとも一方に含まれており、
前記第1,第2の液が混合された混合物が、前記重合性炭化水素単量体及び前記重合性炭化水素重合体の内の少なくとも一方と前記無機フィラーとを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
ソルダーレジスト組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
回路を表面に有する基板と、前記基板の回路が設けられた表面に積層されたソルダーレジスト膜とを備え、前記ソルダーレジスト膜が請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成されている基板。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−168251(P2012−168251A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27202(P2011−27202)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】