説明

感光性組成物

【課題】 従来の感光性組成物は、硬化物が着色したり、未反応物が残存することにより十分な性能が発現しない等の問題があったため、硬化性が良好で、透明性、剛性、および紙、プラスチック、ガラス、金属等との接着性に優れた硬化物を与える感光性組成物を提供する。
【解決手段】 エポキシ化合物、光カチオン重合開始剤および60〜160℃の沸点を有する水酸基含有化合物からなる感光性組成物;および該組成物を硬化させてなる硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物に関する。さらに詳しくは、硬化性に優れ、透明性、接着性および剛性に優れる硬化物を与える感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光性組成物は、硬化速度が速く、生産性向上が可能であること、および硬化させるのに熱を必要とせず、熱変形しやすい熱可塑性樹脂の接着に適していること等から、光学部材、電気・電子部材等の接着剤、シーリング剤として広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。該組成物としては、主に、(メタ)アクリレート樹脂を使用したラジカル硬化型組成物が使用されている。
該組成物は(1)酸素による硬化阻害を受け易い、(2)硬化収縮が大きい、(3)金属への密着性が悪い、(4)耐熱性が悪い等の欠点があり、これを解消するため、近年、エポキシやビニルエーテル、オキセタン等のカチオン硬化型組成物、特に反応性が比較的速い感光性エポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が使用されてきたが、(メタ)アクリレート樹脂に比べ、反応速度が遅く、紫外線照射直後に、性能が十分に発現しないという問題があり、反応速度を速くするために、増感剤(例えば特許文献3参照)、ポリオール(特許文献4参照)の添加等が提唱されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−161935号公報
【特許文献2】特開2002−235066号公報
【特許文献3】特開平11−199681号公報
【特許文献4】特開2006−63261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法では、硬化物が着色したり、添加したものが未反応で残るため、十分な性能が発現しない等の問題があった。
本発明の目的は、硬化性が良好で、透明性、接着性および剛性に優れた硬化物を与える感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、エポキシ化合物(A)、光カチオン重合開始剤(B)、および60〜160℃の沸点を有する水酸基含有化合物(C)からなる感光性組成物;および該組成物を硬化させてなる硬化物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の感光性組成物は、下記の効果を奏する。
(1)紫外線照射時の硬化性に優れる。
(2)該組成物を硬化させてなる硬化物は、透明性、接着性および剛性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるエポキシ化合物(A)としては、脂環式エポキシ化合物(A1)、グリシジル型エポキシ化合物(A2)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち反応速度の観点から好ましいのは(A1)である。
【0008】
(A1)としては、炭素数(以下Cと略記)4以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記
。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]3,000以下の、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(A11)単官能脂環式エポキシ化合物
シクロヘキサンオキシド、シクロペンタンオキシド、α−ピネンオキシド、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキサンメチル(メタ)アクリレート等;
【0009】
(A12)2官能脂環式エポキシ化合物
2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リモネンジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、1,2−ビス〔5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダノキシル〕エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);
【0010】
(A13)多官能(3価〜20価またはそれ以上)脂環式エポキシ化合物
3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールのε−カプロラクトン(1〜10モル)付加物と多価(3〜20価)アルコール[グリセリン(以下GRと略記)、トリメチロールプロパン(以下TMPと略記)、ペンタエリスリトール(以下PEと略記)、ジペンタエリスリトール(以下DPEと略記)、ヘキサペンタエリスリトール]のエステル化物等。
これらのうち好ましいのは、反応性の観点から(A12)、(A13)、さらに好ましいのは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
【0011】
(A2)としては、C7以上かつMn5,000以下の、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(A21)単官能グリシジルエーテル型エポキシ化合物
アルキル(C数4〜18)グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキル(C数1〜12)フェニルグリシジルエーテル、フェノールのアルキレンオキシド(以下AOと略記)付加物(付加モル数1〜20モル)のジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等
【0012】
(A22)多官能グリシジルエーテル型エポキシ化合物
ビスフェノールA型および−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAおよび−FのAO付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのAO付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール(以下、それぞれEG
、PG、NPG、BD、HD、CHDM、PEGおよびPPGと略記)の各ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン(以下TMPと略記)ジおよび/またはトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(以下PEと略記)トリおよび/またはテトラグリシジルエーテル、ソルビトール(以下SOと略記)ヘプタおよび/またはヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等。
これらのうち好ましいのは、反応性の観点から(A22)、さらに好ましいのは、ビスフェノールA型および−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物である。
【0013】
本発明における光カチオン重合開始剤(B)としては、例えば、アリールスルホニウム塩〔トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等〕、アリールヨードニウム塩〔ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等〕、スルホン酸エステル〔o−ニトロベンジルトシレート、ジメトキシアントラセンスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、トシレートアセトフェノン等〕、フェロセン〔(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート等〕が挙げられる。
これらのうち反応性の観点から好ましいのは、アリールスルホニウム塩およびスルホン酸エステルである。
【0014】
(A)の重量に基づく(B)の割合は、反応性および透明性の観点から、好ましくは
0.1〜5%、さらに好ましくは0.5〜3%である。
【0015】
本発明における(C)は、60〜160(好ましくは70〜130)℃の沸点を有する水酸基含有化合物である。(C)の沸点が60℃未満では塗工、乾燥時の揮散により反応性が低下し、160℃を超えると硬化物中に残存することから剛性が低下する。
(C)としては、例えば、水、水溶性溶媒(C1〜6、例えばメタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール、n−、i−、secおよびt−ブタノール、EGモノメチルエーテル、EGモノエチルエーテル、PGモノメチルエーテル)、疎水性溶媒(C4〜6、例えばシクロブタンメタノール)、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち、反応性の観点から好ましいのは、水および水溶性溶媒、さらに好ましいのは水、メタノール、エタノール、とくに好ましいのは水である。
(C)は、(B)から発生するカチオンを安定化するとともに組成物中の移動を容易にし、後述の本発明の硬化物形成後は、揮散、消失するため、硬化物の性能を悪化させることがない。
【0016】
(A)の重量に基づく(C)の割合は、反応性および透明性の観点から、好ましくは
0.1〜5%、さらに好ましくは0.3〜2%である。
【0017】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに必要により光増感剤(D)を含有させることができる。(D)としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4’−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0018】
(A)の重量に基づく(D)の割合は、通常5%以下、反応性および透明性の観点から、好ましくは0.1〜2%である。
【0019】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに種々の添加剤(E)を含有させてもよい。(E)には、無機微粒子(E1)、顔料(E2)、分散剤(E3)、消泡剤(E4)、レベリング剤(E5)、シランカップリング剤(E6)、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(E7)、スリップ剤(E8)、酸化防止剤(E9)および紫外線吸収剤(E10)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤が含まれる。
(E)の合計の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常60%以下、好ましくは0.005〜50%である。
【0020】
無機微粒子(E1)としては、アルミナ[酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト(アルミナ水和物)、シリカアルミナ(アルミナとシリカの融着物、アルミナの表面にシリカをコーティングしたもの等)]、ジルコニア、金属炭化物(炭化タングステン、炭化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素等)、ダイヤモンド、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、硫酸塩[硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石コウ)(無水石コウ、半水石コウ等)等]、鉛白、雲母粉、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、およびマイクロバルーン等が挙げられる。
【0021】
これらのうち硬化物の耐擦傷性および組成物、硬化物の非着色の観点から好ましいのはアルミナ、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および酸化チタン、さらに好ましいのはシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化チタンである。
(E1)は、2種以上併用してもよく、また2種以上が複合化(例えばシリカに酸化チタンが融着)されたものでもよい。(E1)の形状は、特に限定されず、例えば不定形状、球状、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状および粒状(楕円、星型および角型形状等)のいずれでもよい。
(E1)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは30%以下、さらに好ましくは3〜25%である。
【0022】
顔料(E2)としては、下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、アゾレーキ(溶性アゾ顔料)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等;
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等;
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーBOレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートーナー等)等;
(4)その他
アジン系顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等;
(E2)の使用量は、組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは40%以下、さらに好ましく30%以下である。
【0023】
分散剤(E3)としては、有機分散剤[高分子分散剤(Mn2,000〜500,000)および低分子分散剤(分子量100以上かつMn2,000未満)]および無機分散剤が挙げられる。
【0024】
高分子分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩[アルカリ金属(NaおよびK等。以下同じ。)塩、アンモニウム塩等]のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩(塩は上記に同じ。以下も同じ。)、ポリアクリル酸塩、ポリ(2〜4)カルボン酸(マレイン酸/グリセリン/モノアリルエーテル共重合体等)塩、カルボキシメチルセルロース(Mn1,000〜10,000)およびポリビニルアルコール(Mn1,000〜100,000)等が挙げられる。
【0025】
低分子分散剤としては、下記のものが挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレン型
脂肪族アルコール(C4〜30)、[アルキル(C1〜30)]フェノール、脂肪族(C4〜30)アミンおよび脂肪族(C4〜30)アミドのAO(C2〜4)1〜30モル付加物
脂肪族アルコールとしては、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、オクタノール、ドデカノール等;(アルキル)フェノールとしては、フェノール、メチルフェノールおよびノニルフェノール等;脂肪族アミンとしては、ラウリルアミンおよびメチルステアリルアミン等;および脂肪族アミドとしては、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
(2)多価アルコール型
C4〜30の脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸等。以下同じ。)と多価(2価〜6価またはそれ以上)アルコール(例えばGR、PE、SOおよびソルビタン)のモノエステル化合物
(3)カルボン酸塩型
C4〜30の脂肪酸のアルカリ金属塩
(4)硫酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(上記に同じ。以下も同じ。)および脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物の硫酸エステルアルカリ金属塩等
【0026】
(5)スルホン酸塩型
[アルキル(C1〜30)]フェノール(上記に同じ。以下も同じ。)のスルホン酸アルカリ金属塩
(6)リン酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコールおよび脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物のモノまたはジリン酸エステルの塩[アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩等](7)1〜3級アミン塩型
C4〜30の脂肪族アミン[1級(ラウリルアミン等)、2級(ジブチルアミン等)および3級アミン(ジメチルステアリルアミン等)]塩酸塩、トリエタノールアミンとC4〜30の脂肪酸のモノエステルの無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等。以下同じ。)塩
(8)4級アンモニウム塩型
C4〜30の4級アンモニウム(ブチルトリメチルアンモニウム、ジエチルラウリルメチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム等)の無機酸塩等
が挙げられる。
【0027】
無機分散剤としては、ポリリン酸のアルカリ金属塩およびリン酸系分散剤(リン酸、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル等)等が挙げられる。
(E3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.05〜5%である。
【0028】
消泡剤(E4)としては、低級アルコール(C1〜6)(メタノール、ブタノール等)、高級アルコール(C8〜18)(オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等)、高級脂肪酸(C10〜20)(オレイン酸、ステアリン酸等)、高級脂肪酸エステル(C11〜30)(グリセリンモノラウリレート等)、リン酸エステル(トリブチルホスフェート等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、ポリエーテル[PEG(Mn200〜10,000)、PPG(Mn200〜10,000)等]、シリコーン(ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等)および鉱物油系(シリカ粉末を鉱物油に分散させたもの)等が挙げられる。
(E4)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.01〜2%である。
【0029】
レベリング剤(E5)としては、PEG型非イオン界面活性剤(ノニルフェノールEO1〜40モル付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等)、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素含有界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[例えばポリエーテル変性シリコーンオイルおよび(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル]等が挙げられる。
(E5)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.1〜2%である。
【0030】
シランカップリング剤(E6)としては、アミノ基含有シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノフロピルトリメトキシシラン等)、ウレイド基含有シランカップリング剤(ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、ビニル基含有シランカップリング剤[ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリレート基含有シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ基含有シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート基含有シランカップリング剤(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型シランカップリング剤(ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、カチオン型シランカップリング剤[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等が挙げられる。
(E6)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.5〜7%である。
【0031】
チクソトロピー性付与剤(E7)としては、無機チクソトロピー性付与剤(ベントナイト、有機処理ベントナイトおよびコロイダル炭酸カルシウム等)および有機チクソトロピー性付与剤(水添ヒマシ油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム
、重合アマニ油等)が挙げられる。
(E7)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常20%以下、好ましくは0.5〜10%である。
【0032】
スリップ剤(E8)としては、高級脂肪酸エステル(ステアリン酸ブチル等)、高級脂肪酸アミド(エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム等)、ワックス[パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス等)等]およびシリコーン(例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルおよびフルオロシリコーンオイル)等が挙げられる。
(E8)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常5%以下、好ましくは0.01〜2%である。
【0033】
酸化防止剤(E9)としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル〕およびアミン化合物(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等)が挙げられる。
(E9)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
【0034】
紫外線吸収剤(E10)としては、ベンゾトリアゾール化合物[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン化合物〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール〕、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド化合物(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)が挙げられる。
(E10)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
【0035】
上記(E1)〜(E10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0036】
本発明の組成物は、塗工の際に、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶媒で希釈してもよい。溶媒の使用量は、溶媒を加える前の該組成物の重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗工液の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜10,000mPa・sである。
【0037】
該溶媒としては、本発明の組成物中の樹脂分を溶解するもので前記(C)以外のものであれば特に限定されることはなく、具体的には、芳香族炭化水素(C7〜10、例えばトルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(C4〜1
0、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(C4〜10、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)、ケトン(C3〜10、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アミド(C3〜6、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド(C2〜4、例えばジメチルスルホキシド)、およびこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これらのうち好ましいのは沸点が70〜100℃のエステルおよびケトン、さらに好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびこれらの混合物である。
【0038】
本発明の組成物は、必要により溶媒で希釈して、基材に塗工し、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により乾燥させた後、紫外線照射で硬化させることにより基材の少なくとも片面の少なくとも一部に硬化物を有する被覆物を得ることができる。
該塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。
塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐摩耗性、耐溶剤(溶媒)性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
【0039】
本発明の組成物を溶媒で希釈して使用する場合は、塗工後に乾燥するのが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃、塗膜の表面平滑性の観点から好ましい上限は150℃である。
【0040】
本発明の組成物を塗工後、紫外線照射で硬化させるに際しては、公知の紫外線照射装置[例えばアイグランデージ、アイグラフィック(株)製]を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好まし
い上限は、5,000mJ/cm2、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は、100mJ/cm2である。
【0041】
本発明の組成物は、基材等のコーティング、接着剤、シーリング材などとして使用することができる。基材としては、特に限定はされないが、例えば紙、プラスチック、ガラスおよび金属が挙げられる。具体的には、紙(例えば薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙および石膏ボード用原紙)、プラスチック[プラスチックフィルム(塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリメチルメタクリレート等のフィルム)、プラスチック板(ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびメチルメタクリレート/スチレン共重合物等の板)等]、ガラス板、銅板、鉄板等が挙げられる。
【0042】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0043】
実施例1〜8
表1に示す重量比に従って配合し、本発明の組成物(実施例1〜8)を得た。それぞれの25℃での粘度をBL型粘度計[東京計器(株)製]にて測定した。
次に、下記の評価項目に従って硬化物を作成し、透過率、および硬化物作成から3時間後と3日後の接着強度、硬さを評価した。結果を表1に示す。
【0044】
比較例1〜3
表1に示す重量比に従って配合し、比較の組成物(比較例1〜3)を得た。実施例1〜
8と同様に評価した結果を表1に示す。
【0045】
(評価項目)
(1)透過率(透明性の評価)
(i)硬化物作成法
ガラス板[商品名「MICRO SLIDE GLASS 水板」、松浪ガラス(株)製、タテ76mm×ヨコ26mm×厚さ1.3mm]上の周辺部にセットしたスペーサー枠(幅5mm、厚さ100μm)の枠内に、試料を充填し、さらにその上にガラス板を重ね、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。その後、紫外線照射装置[アイグランデージ、アイグラフィック(株)製。照射ランプはメタルハライドランプ。以下同じ。]を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化物を得た。
(ii)透過率測定方法
JIS K−7361−1に準じ全光線透過率測定装置[商品名「haze−gard
dual」、BYK gardner(株)製]を用いて透過率を測定した。
【0046】
(2)接着強度(接着性の評価)
(i)硬化物作成法
JIS K−6854−1に準じて、ガラス板[タテ70mm×ヨコ30mm×厚さ3mm]上の周辺部にセットしたスペーサー枠(幅5mm、厚さ100μm)の枠内に、試料を充填し、さらにその上にPETフィルム[商品名「A4100」、東洋紡(株)製 、タテ150mm×ヨコ30mm×厚さ200μm]を重ね、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。その後、紫外線照射装置を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を
照射し、90℃剥離用試験片を得た。
(ii)接着強度測定方法
JIS K−6854−1に準じて、オートグラフ[AG100kNGまたはAG100NIS、(株)島津製作所製、以下同じ]を用いて、室温23℃、引張速度50mm/分でT剥離(90℃剥離)試験を行い接着強度を測定した。
【0047】
(3)硬さ(剛性の評価)
(i)硬化物作成法
ガラス板[タテ76mm×ヨコ26mm×厚さ1.3mm]上の周辺部にセットしたスペーサー枠(幅5mm、厚さ2mm)の枠内に、試料を充填し、さらにその上に離型剤塗布したPETフィルム[商品名「ルミラー」、東レ(株)製、タテ80mm×ヨコ30mm×厚さ100μm]を重ね、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。その後、紫外線照射装置を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を照射し硬化させた後、PETフ
ィルムを剥がし、試験片を得た。
(ii)硬さ
得られた試験片をJIS K−6253に準じて、23℃でデュロメーター[商品名「ASKER DD2」、高分子計器(株)製、タイプD]を用い、押し込み硬さを測定した。
【0048】
【表1】

EP828 :ビスフェノールAジグリシジルエーテル[商品名「エピコート828」、
ジャパンエポキシレジン(株)製]
EX−211:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX
−211」、ナガセ化成工業(株)製]
EX−141:フェニルグリシジルエーテル[商品名「デナコールEX−141」、ナガ
セ化成工業(株)製]
C3000 :リモネンジオキシド[商品名「セロキサイド3000」、ダイセル化学工
業(株)製]
C2021 :3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレート[商品名「セロキサイド2021」、ダイセル化学工
業(株)製]
PNO :α−ピネンオキシド[商品名「PNO」、ダイセル化学工業(株)製]
SP170 :4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フ
ェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート[商品名「アデ
カオプトマーSP−170」、旭電化工業(株)製]
PCI−220:4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニ
ル−ジ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート
[商品名「カヤキュアーPCI−220」、日本化薬(株)製]
エタノール :[東京化成(株)製]
メタノール :[東京化成(株)製]
TEG :トリエチレングリコール[東京化成(株)製]
BP :ベンゾフェノン[東京化成(株)製]
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化性が良好で、透明性、接着性および剛性に優れた硬化物が得られることから反射防止膜形成用コーティング材、ハードコーティング材、光ディスクの貼り合わせ用接着剤、Blue−ray Diskの表面保護層形成材、液晶や
有機EL等のディスプレイパネルのシーリング剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物(A)、光カチオン重合開始剤(B)、および60〜160℃の沸点を有する水酸基含有化合物(C)からなる感光性組成物。
【請求項2】
(A)の重量に基づく(C)の割合が、0.1〜5%である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項4】
請求項1または2記載の組成物を基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、紫外線を照射して硬化させることを特徴とする被覆物の製造方法。

【公開番号】特開2008−31438(P2008−31438A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163756(P2007−163756)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】