説明

感光性組成物

【課題】 照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在する場合や厚い膜厚の場合でも少エネルギー量で硬化可能な感光性組成物を提供する
【解決手段】 一般式(1)で示されるラジカル発生剤(A)、増感剤(B)及びラジカル重合性化合物(C)を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により硬化する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射により硬化させ表面をコーティングするいわゆるUVコーティングは、その作業性(速硬化性)や低VOC化の観点から、コーティング剤や塗料、印刷インキ等適用範囲が広がりつつある。
一般に光硬化性コーティング剤は、光重合開始剤、ラジカル重合性モノマー、オリゴマー又はポリマー、用途に応じ着色剤及び添加剤からなる。着色剤は大別して顔料及び染料からなり、塗膜を着色させるために配合される。着色剤は、その色に応じた光吸収特性を持ち、照射する光の一部を吸収して光を減衰させたり、照射する光を遮蔽してしまうため、塗布された塗膜の深部にまで光が届かないことがある。この問題を解決するために、特定の光重合開始剤を使用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は特定の構造の光重合開始剤及び増感剤を併用するものであり、従来使用されてきた光重合開始剤系よりも少ないエネルギー照射量で硬化できる点においては改良されているが、インキ組成物中の着色剤濃度を上げたり、膜厚を厚くしたりすると硬化性が不足するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−19142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在する場合や厚い膜厚の場合でも少エネルギー量で硬化可能な感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果本発明に到達した。即ち本発明は、一般式(1)で示されるラジカル発生剤(A)、増感剤(B)及びラジカル重合性化合物(C)を含有することを特徴とする感光性組成物である。
【0007】
【化1】

[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。]
【発明の効果】
【0008】
本発明の感光性組成物を使用することにより、照射した光を減衰又は遮蔽する着色剤等の物質が高濃度で存在しても少エネルギー量で厚膜硬化可能となる。
また、照射した光を減衰又は遮蔽する物質として金属酸化物粉末又は金属粉末を使用することにより、セラミック電子部品のグリーンシート形成及び電極層形成を光照射により、短時間で行なうことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の感光性組成物は、ラジカル発生剤(A)、増感剤(B)及びラジカル重合性化合物(C)を含有する。
本発明の感光性組成物においては、活性光線の照射により増感剤(B)が励起され、その励起種により一般式(1)で表されるラジカル発生剤(A)が分解してラジカルを発生することにより重合反応が進行する。
【0010】
ラジカル発生剤(A)を表す一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
【0011】
【化2】

【0012】
炭素数1〜10の鎖状炭化水素基とは例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
炭素数3〜10の脂環式炭化水素基とは例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等が挙げられる。
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基とは例えば、フェニル基、トルイル基及びメシチル基等が挙げられる。
【0013】
1、R2、R3及びR4として、ラジカル発生効率の観点から好ましいのは炭素数1〜5の鎖状炭化水素基であり、更に好ましいのはメチル基である。
【0014】
本発明のラジカル発生剤(A)の使用量は、感光性組成物の重量に対して0.1 〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0015】
本発明における増感剤(B)としては、通常の感光性組成物に用いられる一般的な増感剤を使用することができ、感度の観点から、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラキノン系化合物又はケトクマリン系化合物を用いることが好ましい。
【0016】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0017】
アントラキノン系化合物としては、アントラキノン、2−メチルアンスラキノン及び2−エチルアントラキノン等が挙げられる。
ケトクマリン系化合物としては、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)等が挙げられる。
【0018】
これらの内、硬化性の観点から好ましいのは、チオキサントン系化合物であり、更に好ましいのは
2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントンである。
増感剤(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
増感剤(B)の使用量は、感光性組成物の重量に対して0.1〜5重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3重量%である。
【0020】
本発明におけるラジカル重合性化合物(C)として例えば、炭素数3〜35のアクリルアミド化合物(C1)、炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)、炭素数6〜35の芳香族ビニル化合物(C3)、炭素数3〜35のビニルエーテル化合物(C4)及びその他のラジカル重合性化合物(C5)等の公知の化合物が挙げられる。(C)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、必要により、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を併用してもよい。尚、上記及び以下において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0021】
炭素数3〜35の(メタ)アクリルアミド化合物(C1)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。
【0022】
炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)としては、例えば以下の単官能〜六官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレンモノアクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテルモノアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート及びEO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記及び以下においてEOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを意味する。
【0023】
二官能(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
三官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
上記及び以下におけるアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(EO、PO1,2−、1,3−1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド)等が挙げられる。
【0025】
四官能の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びエトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
五官能の(メタ)アクリレートとしては、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0027】
六官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
炭素数6〜35の芳香族ビニル化合物(C3)としては、ビニルチオフェン、ビニルフラン、ビニルピリジン、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン及び4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0029】
炭素数3〜35のビニルエーテル化合物(C4)としては、例えば以下の単官能又は多官能ビニルエーテルが挙げられる。
単官能ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル及びフェノキシポリエチレングリコールビニルエーテルが挙げられる。
【0030】
多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテル等のジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル及びプロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルが挙げられる。
【0031】
その他のラジカル重合性化合物(C5)としては、ビニルエステル化合物(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等)、アリルエステル化合物(酢酸アリル等)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン及び塩化ビニル等)及びオレフィン化合物(エチレン及びプロピレン等)等が挙げられる。
【0032】
これらの内、硬化速度の観点から、炭素数3〜35のアクリルアミド化合物(C1)、炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)、炭素数6〜35の芳香族ビニル化合物(C3)及び炭素数3〜35のビニルエーテル化合物(C4)が好ましく、更に好ましいのは炭素数3〜35のアクリルアミド化合物(C1)及び炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)、特に好ましいのは炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)である。
【0033】
ラジカル重合性化合物(C)の使用量は、感光性組成物の重量に対して25〜98重量%であることが好ましく、更に好ましくは35〜98重量%である。
【0034】
本発明の感光性組成物は、更に着色剤(D)を含有することができる。
着色剤(D)としては従来、塗料及びインキ等に使用されている無機顔料及び有機顔料等の顔料並びに染料が使用できる。
【0035】
無機顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、アルミナ、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト及びチタンブラック等が挙げられる。
【0036】
有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシニンブルー、ハロゲン化銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、イソシンドリノン系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ペリノン系及びペリレン系等の多環式又は複素環式化合物が挙げられる。
【0037】
染料の具体例として、イエロー染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類若しくは開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料及びモノメチンオキソノール染料等のメチン染料、ナフトキノン染料及びアントラキノン染料等のキノン系染料等、キノフタロン染料、ニトロ、ニトロソ染料、アクリジン染料並びにアクリジノン染料等が挙げられる。
【0038】
マゼンタ染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、ピラゾロトリアゾール類、閉環型活性メチレン化合物類若しくはヘテロ環(ピロール、イミダゾール、チオフェン及びチアゾール誘導体等)を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分としてピラゾロン類又はピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料及びオキソノール染料等のメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン及びアントラピリドン等のキノン系染料並びにジオキサジン染料等の縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0039】
シアン染料としては、インドアニリン染料及びインドフェノール染料等のアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料及びメロシアニン染料等のポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピロロピリミジノン若しくはピロロトリアジノン誘導体を有するアリール又はヘテリルアゾ染料並びにインジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
【0040】
着色剤(D)の粒子径は、塗膜の鮮映性の観点から、平均粒子径として0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.01μm〜1.0μmが更に好ましい。
【0041】
着色剤(D)の添加量は特に限定されないが、感光性組成物中に1〜60重量%の範囲で添加されることが好ましい。
【0042】
本発明の感光性組成物は、顔料を用いる場合その分散性及び感光性組成物の保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加することが好ましい。
顔料分散剤としてはビックケミー社製顔料分散剤(Anti−Terra−U、Disperbyk−101,103、106、110、161、162、164、166、167、168,170、174、182、184又は2020等)、味の素ファインテクノ社製顔料分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール社製顔料分散剤(ソルスパーズ5000、12000、32000、33000及び39000等)が挙げられる。これらの顔料分散剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、感光性組成物中に0.1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0043】
本発明の感光性組成物は、必要により溶剤及び密着性付与剤等を含有することができる。
溶剤としては、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテル及びプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等)、エステル類(エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート及びプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、メシチレン及びリモネン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ゲラニオール、リナロール及びシトロネロール等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン及び1,8−シネオール等)が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
感光性組成物における溶剤の含有量は、0〜99重量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜95重量%、特に好ましくは5〜90重量%である。
【0044】
密着性付与剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム及びアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。密着性付与剤の含有量は、感光性組成物に対して0〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
【0045】
本発明の感光性組成物は、更に、使用目的に合わせて、無機微粒子、分散剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、スリップ剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等を含有することができる。
【0046】
本発明の感光性組成物は、ラジカル発生剤(A)、増感剤(B)、ラジカル重合性化合物(C)及び必要により溶剤を混合することにより得られるが、混合方法は特に限定されない。本発明の感光性組成物が更に必要により着色剤(D)及び添加剤等を含有する場合もその混合方法は特に限定されないが、例えばボールミル又は3本ロールミル等で混練する方法等が例示される。混練温度は通常10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃である。
【0047】
本発明の感光性組成物は、350〜500nmの活性光線の照射で光硬化できるため、一般的に使用されている高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)が使用できる。また、LED光源を使用した照射装置も好適に使用できる。活性光線の照射時及び/又は照射後に光塩基発生剤から発生した塩基を拡散させる目的で、加熱を行ってもよい。加熱温度は、通常、30℃〜200℃であり、好ましくは35℃〜150℃、更に好ましくは40℃〜120℃である。
【0048】
本発明の感光性組成物の基材への塗布方法としては、スピンコート、ロールコート、スプレーコートなどの公知のコーティング法並びに平版印刷、カルトン印刷、金属印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷といった公知の印刷法を適用できる。また、微細液滴を連続して吐出するインクジェット方式の塗布にも適用できる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に規定しない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0050】
実施例1(顔料を用いた例)
[感光性組成物の調製]
<高濃度分散液の調製>
着色剤(D)としての酸化チタン(石原産業 製「タイペークR−930」)43部、顔料分散剤としての「ソルスパーズ36000」(ルーブリゾール社製)4部及びラジカル重合性化合物(C)としてのテトラヒドロフルリルアクリレート[共栄社化学(株)製「ライトアクリレートTHF−A」]53部からなる混合物を、ボールミルを用いて3時間混練することにより顔料濃度43重量%の顔料分散剤液を調製した。
【0051】
<感光性組成物の調製>
前記高濃度顔料分散剤液47部、ラジカル発生剤(A)としてのノフマーBC[一般式(1)においてR1、R2、R3及びR4がメチル基であるラジカル発生剤;日油(株)製「ノフマーBC」]5部、ラジカル重合性化合物(C)としてのジペンタエリスリトールペンタアクリレート[三洋化成工業(株)製「ネオマーDA−600」]46部及び増感剤(B)としての2,4−ジエチルチオキサントン[日本化薬(株)製「カヤキュアDETX−S」]2部をボールミルを用いて25℃で3時間混練して本発明の感光性組成物(Q−1)を製造した。
【0052】
実施例2(顔料を用いた例)
2,4−ジエチルチオキサントンをベンゾフェノン[東京化成工業(株)製]に代える以外は実施例1と同様にした本発明の感光性組成物(Q−2)を製造した。
【0053】
実施例3(染料を用いた例)
「酸化チタン」を「C.I.ソルベントブルー55」に代える以外は実施例1と同様にして本発明の感光性組成物(Q−3)を製造した。
【0054】
実施例4(染料を用いた例)
「酸化チタン」を「C.I.ソルベントブルー55」に代える以外は実施例2と同様にして本発明の感光性組成物(Q−4)を製造した。
【0055】
比較例1(顔料を用いた例)
「ノフマーBC」を「ナイパーBW」[過酸化ベンゾイル:日油(株)製]に変更する以外は実施例1と同様にして、比較用の感光性組成物(Q’−1)を製造した。
【0056】
比較例2(染料を用いた例)
「ノフマーBC」を「ナイパーBW」[過酸化ベンゾイル:日油(株)製]に変更する以外は実施例3と同様にして、比較用の感光性組成物(Q’−2)を製造した。
【0057】
比較例3(顔料を用いた例)
2,4−ジエチルチオキサントンを用いない以外は実施例1と同様にして、比較用の感光性組成物(Q’−3)を製造した。
【0058】
[塗膜硬化性評価]
実施例1〜4及び比較例1〜3で得た各感光性組成物を、表面処理を施した厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム[東洋紡(株)製コスモシャインA4300]に、アプリケーターを用いて膜厚20μmとなるように塗布した。露光については下記2種の照射装置を用いて実施した。
(1)ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社「ECS−151U」)を使用して露光を行った。露光量は365nmとして150mJ/cm2であった。
(2)スポット式LED照射装置(フォセオン・テクノロジー社製「RX FireFlex」)を使用して露光を行なった。露光量は150mJ/cm2であった。
硬化後塗膜の光照射直後。の硬化性を、指触及び爪で強く引っ掻くことにより、以下の評価基準で評価した結果を表1に示す。
◎:表面にタックがなく爪で傷つかない。
○:表面にタックはないが、爪で傷つく。
△:表面にタックがあり、爪で傷つく。
×:未硬化。
【0059】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の感光性組成物は、少エネルギー量でも高着色剤濃度で厚膜硬化可能であるため、各種コーティング剤、インキ(UV印刷インキ及びUVインクジェット印刷インキ等)、塗料用、接着剤用又はセラミック電子部品製造用の材料として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるラジカル発生剤(A)、増感剤(B)及びラジカル重合性化合物(C)を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】

[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。]
【請求項2】
前記一般式(1)におけるR1、R2、R3及びR4が炭素数1〜5の鎖状炭化水素基である請求項1の感光性組成物。
【請求項3】
前記増感剤(B)が、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アンスラキノン系化合物及びケトクマリン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の増感剤である請求項1又は2記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記ラジカル重合性物質(C)が、炭素数3〜35のアクリルアミド化合物(C1)、炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(C2)、炭素数6〜35の芳香族ビニル化合物(C3)及び炭素数3〜20のビニルエーテル化合物(C4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性物質である請求項1〜3のいずれか記載の感光性組成物。
【請求項5】
更に着色剤(D)を含有する請求項1〜4のいずれか記載の感光性組成物。
【請求項6】
コーティング剤用、インキ用、塗料用、接着剤用又はセラミック電子部品製造用である請求項1〜5のいずれか記載の感光性組成物。

【公開番号】特開2012−72220(P2012−72220A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216639(P2010−216639)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】