説明

感圧式接着剤組成物及びそれを用いた積層体

【課題】本発明の目的は、皮膚への貼付適性に優れ、皮膚に貼付した際には強固に固定し、剥離する際には皮膚に感圧式接着剤組成物が残ることなく、容易に剥離することができる感圧式接着剤層の形成が可能な感圧式接着剤組成物及び該感圧式接着剤組成物を用いてなる積層体を提供することにある。
【解決手段】スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、及び粘着付与樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物であって、スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構部を有し、鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、スチレン系ブロック共重合物(A)5〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜94重量部、および粘着付与樹脂(C)1〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなる感圧式接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧式接着剤組成物及び該感圧式接着剤組成物を用いた積層体に関する。詳しくは、本発明は皮膚への貼付に好適に用いられる感圧式接着剤組成物及び該感圧式接着剤組成物を用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
絆創膏、サージカルテープ、心電図測定用の電極固定用シート等のように、医療分野では種々の形態で粘着シートが用いられている。従来の医療用粘着シートに用いられている粘着剤はアクリル系重合体からなっているものが多い。アクリル系重合体は、有機溶剤などを用いて粘度を調節した後に、例えば支持体基材や剥離紙へ塗布されるのが一般的である。粘度調節に使用した有機溶剤などは、塗布後に揮発除去される。
このとき、有機溶剤や未反応アクリルモノマーの揮発除去が十分に行われず(乾燥不足)、有機溶剤やアクリルモノマーが粘着剤中に残留してしまうことがある。絆創膏などの粘着剤が人体に直接接触する粘着シートにおいて、乾燥不足になると、粘着剤中に残留した有機溶剤が皮膚から体内に吸収されて発疹などの炎症を引き起こすことがある。また、乾燥工程において揮発除去された有機溶剤は、環境汚染の原因となり、作業者の健康や安全をおびやかすことが懸念される。
【0003】
一方、従来の溶剤を使用しない粘着テープの製造方法としては、ホットメルト型粘着剤を加熱溶融して基材上に塗工するホットメルト法、エマルション型粘着剤を基材に塗布して乾燥させるエマルション法、熱重合性モノマー液を加熱バレル中で加熱・混練・重合させながら基材上に押出し塗布する押出し重合法、光重合性モノマー液を基材に塗布後イナート雰囲気中で光照射して重合させる光重合法などが知られている。これらは作業性(光照射用の装置の導入、反応時間)の観点や皮膚への粘着性、刺激性や糊残り等の粘着性能の観点から、未だ十分なものではなく、絆創膏などの医療用の粘着シートに好適に用いるものはなかった。
【0004】
溶剤を使用しない粘着剤の一例として、オキシアルキレン系重合体を用いる粘着剤である、ウレタン架橋を用いた粘着剤が知られている(特許文献1、2参照)。
【0005】
また、ウレタンアクリレートオリゴマー、保湿剤及び電解質を含むイオン導電性接着剤前駆体を架橋もしくは硬化したものである多層イオン導電性接着剤が知られている(特許文献3参照)。
【0006】
また、ウレタンアクリレートオリゴマーをUV硬化して得られる感圧接着性ポリマーを含む医療用粘着テープのための粘着剤組成物が知られている(特許文献4参照)。
【0007】
また、末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリエーテル系重合体、分子中に1〜10個のヒドロシリル基を有する化合物などを含有する粘着剤組成物を硬化してなるものである皮膚貼付用の粘着シートが知られている(特許文献5参照)。
【0008】
また、炭素数が4〜20であるアルキル鎖を有する(メタ)アクリレートエステルモノマー、酸性コモノマーを含む共重合体、親水性可塑剤、水、水溶性塩、界面活性剤、及びアミン官能性を有するポリマーを含む導電性感圧接着剤が知られている(特許文献6参照)。
【0009】
特許文献1、2に記載されている粘着剤は、皮膚への粘着性、透湿性、吸水性などに優れた特性を有することが報告されているが、ウレタン架橋を用いるため、硬化速度の調整が困難であり、未反応のイソシアネート基が有する毒性が危惧される。
【0010】
特許文献3に記載されている多層イオン導電性接着剤は、優れた接着性を有することが報告されているが、未反応のカルボキシル基、未反応のイソシアネート基が接着剤層に残留してしまい毒性が危惧される。
【0011】
特許文献4に記載の粘着剤組成物はイソシナネート基が粘着剤層に残存してしまう。また、UV硬化しなかったオリゴマーが残ってしまい、皮膚に貼付した際に皮膚刺激がある。
【0012】
特許文献5に記載の粘着剤組成物は、皮膚に貼付した際には皮膚刺激が少ないことが報告されているが、接着力が低く、長時間皮膚に貼付すると、接着シートが皮膚から剥がれてしまう場合がある。
【0013】
特許文献6に記載の導電性感圧接着剤はアクリルモノマーが接着剤層に残存してしまい、皮膚に貼付した際に皮膚刺激がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−310066号公報
【特許文献2】特開2002−60456号公報
【特許文献3】特開2004−107378号公報
【特許文献4】特開2005−58288号公報
【特許文献5】特開2005−110875号公報
【特許文献6】特表2003−501545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、皮膚への貼付適性に優れ、皮膚に貼付した際には強固に固定し、剥離する際には皮膚に感圧式接着剤組成物が残ることなく、容易に剥離することができる感圧式接着剤層の形成が可能な感圧式接着剤組成物及び該感圧式接着剤組成物を用いてなる積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、本発明は、スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、及び粘着付与樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物であって、
スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有し、
鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、
粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、
スチレン系ブロック共重合物(A)5〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜94重量部、および粘着付与樹脂(C)1〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなる感圧式接着剤組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることを特徴とする上記発明の感圧式接着剤組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、上記いずれかの発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が、シート状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体に関する。
【0019】
また、本発明は、感圧式接着剤層の塗布量が、1〜1000g/m2であることを特徴とする上記発明の積層体に関する。
【0020】
さらに、本発明は、感圧式接着剤層が発泡状態であることを特徴とする上記いずれかの発明の積層体に関する。
【0021】
さらにまた、本発明は、感圧式接着剤組成物が経皮吸収用薬剤を含むことを特徴とする上記いずれかの発明の積層体に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、皮膚への貼付適性に優れ、皮膚に貼付した際には強固に固定し、剥離する際には皮膚に感圧式接着剤組成物が残ることなく、容易に剥離することができる感圧式接着剤層の形成が可能な感圧式接着剤組成物及び該感圧式接着剤組成物を用いてなる積層体を提供できるようになった。さらに、上記感圧式接着剤層が片面もしくは両面に積層された積層体は、経時で端部から感圧式接着剤層がはみ出すことなく保管することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の感圧式接着剤組成物について説明する。
本発明の感圧式接着剤組成物は、後述するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、必要に応じてその他の添加剤を配合して感圧式接着剤剤組成物となる。
【0024】
本発明に用いられる感圧式接着剤組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、 スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、上記共重合物は、カルボキシル変性されたものであってもよく、さらには、上記共重合物中のスチレンブロックは、スチレンと、α−メチルスチレン等のその他の芳香族系ビニル化合物との共重合体を含んでいてもよい。
さらに、スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有するものが用いられるが、トリブロック型の構造部のみを有するものには限定されず、一部ジブロック型の構造部を有するものであってもよい。ジブロック型の含有量は60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。60重量%を超えてしまうと凝集力が低下してしまう。
これらは、溶融時の耐熱性に優れているので好ましい。
スチレン系ブロック共重合体(A)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0025】
本発明の感圧式接着剤組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、及び粘着付与樹脂(C)の合計を100重量部とした時、感圧式接着剤組成物に用いられるスチレン系ブロック共重合物(A)の配合量は、5〜65重量部である。好ましくは10〜60重量部である。スチレン系ブロック共重合物(A)の配合量が5重量部未満であると、得られる感圧式接着剤組成物の凝集力が低下する傾向にある。スチレン系ブロック共重合物(A)の配合量が65重量部を超えると、混練加工による製造が困難になる恐れがある。
【0026】
本発明に用いられる感圧式接着剤組成物を構成する鉱物油軟化剤(B)としては、芳香族を含む炭化水素、ナフテン環を含む炭化水素、パラフィン鎖の混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系鉱物油軟化剤が好ましい。一般に、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系鉱物油軟化剤、ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜40重量%を占めるものをナフテン系鉱物油軟化剤、芳香族炭素数が全炭素数の30重量%以上を占めるものを芳香族系鉱物油軟化剤と呼び、区別されている。
【0027】
本発明に用いられる感圧式接着剤組成物を構成する鉱物油軟化剤(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下、「GPC」とも略記する)によるポリスチレン換算重量平均分子量は700〜10000である。好ましくは800〜9500である。鉱物油軟化剤(B)の重量平均分子量が700未満であると、ブリードアウトしてしまう傾向にある。鉱物油軟化剤(B)の重量平均分子量が10000を超えてしまうと、溶融時の流動性が低下する傾向にある。
【0028】
本発明の感圧式接着剤組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)及び粘着付与樹脂(C)の合計を100重量部とした時、感圧式接着剤組成物に用いられる鉱物油軟化剤(B)の配合量は、10〜94重量部である。好ましくは15〜90重量部である。鉱物油軟化剤(B)の配合量が10重量部未満では加工性が悪くなる。鉱物油軟化剤(B)の配合量が94重量部を超える場合には凝集力を維持することが困難となる。
【0029】
本発明に用いられる感圧式接着剤組成物を構成する粘着付与剤(C)としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール−変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂などが挙げられる。
粘着付与剤(C)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0030】
粘着付与樹脂(C)の軟化点は80〜160℃であることが好ましい。粘着付与樹脂(C)の軟化点が80℃未満であると、凝集力が低下し、剥離の際に凝集破壊してしまうことがある。粘着付与樹脂(C)の軟化点が160℃を超えると低温域でタックが消失してしまうことがある。
なお、本発明における軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。すなわち、感圧式接着剤組成物を充填した規定の環を12時間以上静置させた後、熱媒体中に入れて規定の球を感圧式接着剤組成物を充填した規定の環の上に置き、一定の割合で熱媒体の温度を上昇させたとき、感圧式接着剤組成物の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度である。
【0031】
本発明の感圧式接着剤組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)及び粘着付与樹脂(C)の合計を100重量部とした時、感圧式接着剤組成物に用いられる粘着付与樹脂(C)の配合量は、1〜60重量部である。好ましくは3〜58重量部である。粘着付与樹脂(C)の配合量が1重量部未満では加工性が悪くなる。粘着付与樹脂(C)の配合量が60重量部を超える場合には低温域でタックが消失してしまうことがある。
【0032】
本発明の樹脂組成物に添加する経皮吸収用薬剤としては特に限定されるものではないが
ビタミンA,ビタミンEや油溶性ビタミンC誘導体、セラミド、甘草エキス、ローズヒップ油、コエンザイムQ10なども用いることができる。これらは化粧シートとしても有効である。又、消炎・鎮痛成分であるインドメタシンやセイヨウトチノキエキス、アルニカチンキ、フェルビナク、ケトプロフェンフルルビプリフェンや、カンフル、メントール等の清涼剤;あるいは温感湿布に用いられるトウガラシエキス;さらには血管を広げるために心臓病に使用される貼り薬ではニトログリセリンや硝酸イソソルビド;気道を広げて呼吸を楽にするために使用する貼り薬としてはツロブテロール、癌による痛み止めとして用いる貼り薬としてはフェンタニル;ステロイドなどのホルモン剤を用いることができる。
経皮吸収投与が適用されるものであればいずれを用いてもよいが、特にエストロゲン、黄体ホルモンなどが挙げられる。エストロゲンとしては、17β−エストラジオールまたはそのエステル、エチニルエストラジオールまたはそのエステル、エストリオールまたはそのエステルあるいは結合型エストロゲンなどがある。また、黄体ホルモンには、プロゲステロン、酢酸クロルマジノン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、ジヒドロゲステロン、アリルエストレノール、ノルエチステロン、ヒドロキシプロゲステロンまたはそのエステルなどが挙げられる。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、シランカップリング剤、抗菌剤、消臭剤、香料、保湿剤、吸水剤、電解質塩などの添加剤が添加されてもよい。
【0034】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル]プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0035】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0036】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0037】
上記の光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0038】
上記の接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。これらの接着昂進防止剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0039】
上記のシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0040】
上記の抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。さらに熊笹エキス、茶カテキンなども挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0041】
上記の消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらの消臭剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記の香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらの香料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記の保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、マルチトール、トレハロースなどの多価アルコール、ピロリドンカルボン酸、乳酸、尿素、アミノ酸などのNMF成分、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸ナトリウム、アロエ、ペクチンなどの多糖類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ゼラチン、カゼイン、シルク、小麦プロテイン、ワセリン、大豆プロテイン、DNAなどのペブチド類及びその加水分解物、塩化ナトリウム、海水などのミネラル類、セラミド、コレステロールエステル等が挙げられる。これらの保湿剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記の吸水剤としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体、架橋ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が挙げられる。これらの吸水剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
上記の電解質塩としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属又はその他の金属ハロゲン化物や、各種金属の次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、アンモニウム塩や、各種錯塩等の無機塩類や、酢酸、安息香酸、乳酸、酒石酸等の一価有機カルボン酸塩や、フマル酸、コハク酸、アジビン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩や、スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩及び有機アンモニウム塩や、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の高分子電解質の塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
本発明の目的を損なわない範囲で添加できる紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、シランカップリング剤、抗菌剤、消臭剤、香料、保湿剤、吸水剤、電解質塩などの添加剤の添加量は感圧式接着剤組成物100重量%中、10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは8重量%以下である。10重量%を超えてしまうとブリードアウトしてしまうことがある。
【0047】
本発明の感圧式接着剤組成物を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、一軸又は二軸の押し出し機などを用いて加熱混合するホットメルト法、適当な溶剤に溶解する溶剤法など、いずれの方法も用いることができるが、ホットメルト法が環境への影響が小さいため好ましい。
【0048】
本発明の感圧式接着剤組成物は、過剰な熱を与えることにより起こる劣化を防ぐために150〜180℃で塗工することができ、低粘度での塗工が要求されるロールや溶融させる際の撹拌機を備えた溶融釜にも対応できる。そのような観点から、本発明の感圧式接着剤組成物は、170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることが好ましい。
170℃における粘度が500mPa・sを下回る場合、塗布量を多くした際に感圧式接着剤組成物が垂れる現象が発生する可能性がある。
なお、感圧式接着剤組成物の粘度は、B型粘度計(測定条件は、170℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0049】
本発明の感圧式接着剤組成物は、加熱溶融したものを、或いはその溶液を、紙、樹脂等のシート状基材に通常用いられる塗工機又はホットメルト塗工機を用いて鏡面状態、発泡状態、ビード状態、スパイラル状態などの様々なパターンで塗布し、必要に応じて加熱、冷却することによって、感圧式接着剤層を形成することができ、感圧式接着剤層が積層された各種積層体を得ることができる。感圧式接着剤組成物は、重ねて塗工することもでき、2種類の感圧式接着剤組成物を同一のシート状基材に並列に塗り分けることも出来る。
【0050】
また、後述する離型性シート上に感圧式接着剤層を設けた後、当該感圧式接着剤層とシート状基材とを貼り合せることによっても、本発明の積層体を得ることができる。
【0051】
本発明の感圧式接着剤組成物は、耐熱性に優れており、高温における溶融温度でも溶融粘度の経時変化が小さいため、感圧式接着剤組成物として好適に使用することができる。また、感圧式接着剤層の形成にあたっては、感圧式接着剤組成物を加熱溶融し、基材上に塗布することが好ましい。
【0052】
次に本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体の基本的構成は、「シート状基材/感圧式接着剤層/離型性シート」のような片面積層体、或いは「離型性シート/感圧式接着剤層/シート状基材/感圧式接着剤層/離型性シート」のような両面積層体である。使用時に離型性シートが剥がされ、感圧式接着剤層が被着体に貼付される。
【0053】
シート状基材の素材としては、特に制限はなく使用することができる。樹脂シートとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの単層或いは積層体がある。樹脂シートは、発泡状態にあるものを使用することもできる。その他通気性のあるフィルムや、不織布、織布、布、紙、ガラス、金属箔、金属メッシュ等とこれらを含む複合物が挙げられる。また、必要に応じて、シートの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理などを施してもよい。
【0054】
これらシート状基材の厚みには特に制限はないが、作業性から1〜1000μmが好ましい。
【0055】
感圧式接着剤層の塗布量は、好ましくは1〜1000g/m2、より好ましくは5〜980g/m2である。感圧式接着剤層の塗布量が1g/m2未満では粘着力を発現することが難しい。感圧式接着剤層の塗布量が1000g/m2を超えても特に要求特性の向上は期待できない場合が多い。
【0056】
感圧式接着剤層は、必要に応じて、離型性シート等と貼り合わせて用いることができる。離型性シートとしては、その表面に離型処理を施されていれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル系樹脂などからなるシートを基材とするものが挙げられる。
【0057】
本発明の積層体は、感圧式接着剤層が、シート状基材と離型性シートとの間、あるいは、シート状基材とシート状基材との間に挟持された構成のいずれであってもよいが、シート状基材と離型性シートとの間に挟持されていることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
本発明におけるGPCによる重量平均分子量とは、ゲル状の粒子を充填したカラムに希薄な樹脂の溶液を流し、分子の大きさによって流出するまでの異なる時間を測定することにより得られる、ポリスチレン換算された重量平均分子量である。
具体的な測定条件は、以下の通りである。
装置:島津製作所社製 Prominence
カラム:TOSOH製 TSKgel GMH ×2本連結
検出器:RID-10A
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
【0059】
(製造例1〜17)
表1に示した部数で、撹拌機を備えたニーダーにスチレン系ブロック共重合物(A)、粘着付与樹脂(B)、粘着付与樹脂(C)、必要に応じて(A)、(B)、(C)以外のその他の成分を添加し、160℃で3時間撹拌し、感圧式接着剤組成物を得た。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に記載のスチレン系ブロック共重合物(A)の略号を以下に示す。
SBS1: SBS、スチレンの比率29重量%、トリブロック含量83%、ジブロック含量17%
SBS2: SBS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量95%、ジブロック含量5%
SBS3: SBS、スチレンの比率43重量%、トリブロック含量100%
SEBS1: SEBS、スチレンの比率34重量%、トリブロック含量100%
SEBS2: SEBS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量30%、ジブロック含量70%
SEBS3: SEBS、スチレンの比率31重量%、トリブロック含量100%
SEBS4: SEBS、スチレンの比率60重量%、トリブロック含量100%
SEBS5: SEBS、スチレンの比率32重量%、トリブロック含量100%
SEBS6: SEBS、スチレンの比率33重量%、トリブロック含量100%
SEBS7: SEBS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量88%、ジブロック含量12%
SEPS1: SEPS、スチレンの比率18重量%、トリブロック含量100%
SEPS2: SEPS、スチレンの比率13重量%、トリブロック含量100%
SEPS3: SEPS、スチレンの比率35重量%、トリブロック含量100%
SEEPS1: SEEPS、スチレンの比率32重量%、トリブロック含量100%
SEEPS2: SEEPS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量100%
SIBS: SIBS、スチレンの比率19重量%、トリブロック含量74%、ジブロック含量26%
SIS: SIS、スチレンの比率16重量%、トリブロック含量44%、ジブロック含量56%
【0062】
表1に記載の鉱物油軟化剤(B)の略号を以下に示す。
鉱物油1: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:72.1%、全炭素数中のナフテン環炭素数:21.5%、全炭素数中の芳香族炭素数:6.4%、重量平均分子量1100
鉱物油2: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:71%、全炭素数中のナフテン環炭素数:29%、重量平均分子量1000
鉱物油3: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:73%、全炭素数中のナフテン環炭素数:27%、重量平均分子量1200
鉱物油4: ナフテン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:40.7%、全炭素数中のナフテン環炭素数:47.2%、全炭素数中の芳香族環炭素数:12.1%、重量平均分子量1800
鉱物油5: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:67.1%、全炭素数中のナフテン環炭素数:32.8%、全炭素数中の芳香族炭素数:0.1%、重量平均分子量750
鉱物油6: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:100%、重量平均分子量500
【0063】
表1に記載の粘着付与樹脂(C)の略号を以下に示す。
粘着付与樹脂1: テルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂2: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂3: 水素添加されたテルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂4: テルペン系粘着付与樹脂、軟化点125℃
粘着付与樹脂5: ロジンエステル系粘着付与樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂6: ロジンエステル系粘着付与樹脂、軟化点95℃
粘着付与樹脂7: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点125℃
粘着付与樹脂8: 部分的に水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂9: 水素添加されたテルペン系粘着付与樹脂、軟化点125℃
粘着付与樹脂10: α−メチルスチレンとスチレンの共重合体、軟化点120℃
粘着付与樹脂11: 部分的に水素添加されたテルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂12: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂13: 部分的に水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂14: ロジン系粘着付与樹脂、軟化点150℃
粘着付与樹脂15: α−メチルスチレンとスチレンの共重合体、軟化点100℃
粘着付与樹脂16: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点70℃
【0064】
表1に記載のその他の成分の略号を以下示す。
酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
保湿剤1: ワセリン
保湿剤2: グリセリン
紫外線吸収剤: 2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール
シランカップリング剤: 3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
吸水剤: 架橋カルボキシルメチル化セルロース
抗菌剤: ベンジルアミン系抗菌剤
香料: リモネン
消臭剤: 2−エチルヘキサン酸亜鉛
電解質塩1: 塩化ナトリウム
電解質塩2: 塩化カリウム
アクリルモノマー: アクリル酸
【0065】
(実施例1〜10、比較例1〜7)
上記製造例1〜17で得られた感圧式接着剤組成物をフォーミング装置付のアプリケーターにより、基材としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に塗布量が500g/m2、発泡密度が0.2g/cm3になるように、170℃に加熱して塗工して発泡状態の感圧式接着剤層を形成し、さらに離型性シートを貼り合せて、「離型性シート/発泡状態の感圧式接着剤層/PETシート」という構成の積層体を得た。これを積層体(1)とする。
【0066】
[塗工適性]
感圧式接着剤組成物を加熱溶融し、B型粘度計を用いて170℃で粘度を測定した。また、170℃雰囲気に3時間静置し、色相の変化を確認した。
[判定基準]
◎:粘度が5000mPa・s以上15000mPa・s未満で、目視により確認した結果、色相の変化はほとんどなかった。
○:粘度が15000mPa・sを超え、50000mPa・s未満で、目視により確認した結果、色相の変化はほとんどなかった。
×:粘度が50000mPa・sを超える値で、目視により確認した結果、色相が茶色に変化した。
◎、○を使用可能と判断する。
【0067】
[剥離強度]
長さ10cm、幅2.5cmに切り取った積層体(1)を用意し、離型性シートを剥離した後、ボランティア5人の背中に貼付し、重さ1kgのローラーを1往復させて圧着した。8時間経過後、積層体を引き剥がして、その際の剥離力を測定した。測定には株式会社島津製作所製の引張試験機「オートグラフAGS−100D」を用い、温度23℃、相対湿度65%、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で行った(N/25mm)。剥離強度は、ボランティア5人の平均値で示した。剥離後の感圧式接着剤層の剥離状態が、凝集破壊または界面剥離のどちらであるかを目視にて確認した。
[判定基準]
◎:剥離強度は5.0N/25mm以上で、剥離時に感圧式接着剤組成物が残ることなく、容易に剥離することができ、剥離状態は界面剥離であった。
○:剥離強度は3.0N/25mm以上5.0N/25mm未満で、剥離時に感圧式接着剤組成物が残ることなく、容易に剥離することができ、剥離状態は界面剥離であった。
×:剥離強度は3.0N/25mm未満で、剥離時に感圧式接着剤組成物が残り、容易に剥離することができず、剥離状態は凝集破壊であった。
だった。
◎、○を使用可能と判断する。
【0068】
[再接着性]
長さ10cm、幅2.5cmに切り取った積層体(1)を用意し、離型性シートを剥離した後、23℃の水に30分間浸漬し、37℃雰囲気で5時間積層体を乾燥させた。2kgのゴムローラを1往復させることでステンレス板に感圧式接着剤層を圧着し、8時間静置後、引張試験機にて、速度300mm/分で、180度方向に引き剥がし、剥離強度を測定した。剥離強度は、23℃の水への浸漬と乾燥工程を行わなかった以外は同様に測定した剥離強度と比較し、下記の基準で判定した。
[判定基準]
◎:23℃の水への浸漬と乾燥工程がなかった場合の剥離強度と比較し、剥離強度は90%以上であった。
○:23℃の水への浸漬と乾燥工程がなかった場合の剥離強度と比較し、剥離強度は75〜90%未満であった。
×:23℃の水への浸漬と乾燥工程がなかった場合の剥離強度と比較し、剥離強度は75%未満であった。
◎、○を使用可能と判断する。
【0069】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の感圧式接着剤組成物は、皮膚への貼付適性に優れ、皮膚に貼付した際には強固に固定し、剥離する際には容易に剥離することができる積層体を作製することが出来る。その特性として、塗工適性、剥離強度、再接着性が挙げられる。近年の環境への取り組みを考えると、要求特性はますます厳しくなっていくものと考えられる。そこで、本発明の感圧式接着剤組成物は、上記の特性を発揮できるため、さらに有用になると考えられる。
また、本発明の感圧式接着剤組成物は、絆創膏、サージカルテープ、心電図測定用の電極固定用シート、湿布固定用粘着シート、粘着包帯、注射針固定用シート、磁気粒固定用シート等にも非常に有用に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、及び粘着付与樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物であって、
スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有し、
鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、
粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、
スチレン系ブロック共重合物(A)5〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜94重量部、および粘着付与樹脂(C)1〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなる感圧式接着剤組成物。
【請求項2】
170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の感圧式接着剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が、シート状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体。
【請求項4】
感圧式接着剤層の塗布量が、1〜1000g/m2であることを特徴とする請求項3記載の積層体。
【請求項5】
感圧式接着剤層が発泡状態であることを特徴とする請求項3または4記載の積層体。
【請求項6】
感圧式接着剤組成物が経皮吸収用薬剤を含むことを特徴とする請求項3ないし5いずれか記載の積層体。

【公開番号】特開2011−236379(P2011−236379A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111001(P2010−111001)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】