説明

感圧接着部材および光源装置

【課題】 光源から照射された光を、容易に且つ自由に、目的とする任意の色調の光に変換させることができる感圧接着部材および光源装置を提供する。
【解決手段】 感圧接着部材は、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されるとともに、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長を有する可視光線を出力する蛍光物質を少なくとも2種含有し、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルと、官能基を有している共重合性モノマーを単量体成分として含むアクリル系ポリマーを含有しているアクリル系感圧接着剤により形成されている蛍光物質複数含有感圧接着剤層を有していることを特徴とする。さらに、紫外線吸収剤含有層を有していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)や蛍光管等の光源からの照射光を、異なる色調の光(可視光線)に変換できる機能を有する感圧接着部材および光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光源装置、例えば、LED(発光ダイオード)や蛍光管などは、照明器具、ネオンサイン、看板などに多く用いられている。これらの光源による光の色調は、蛍光灯では、蛍光管内の壁面に設けられた蛍光物質を調整することにより行うことができ、LEDでは、半導体発光素子の種類を調整することによって行うことができる。しかしながら、従来のいずれの場合でも、いくつかの色調に限定されており、所望の色調に自由にコントロールすることができない。これを解消するための方法としては、例えば、所望の色調となるように、光源にカラーフィルターを取り付ける方法などが考えられるが、この場合、カラーフィルターで不要な色調領域の波長を吸収しているため、明るさが減少してしまい、元の光源の明るさに比べて非常に暗いものとなってしまう問題を有していた。
【0003】
一方、照明器具などに用いられる白色光源として、近年、LEDを利用するものの進歩が著しい。このような白色LEDを得る技術としては、青色LEDを光源とし、この光源により励起されて黄色を発する蛍光物質をLEDの封止樹脂中に混合することによるものなどがある。しかしながら、照明器具、特に、複数個のLEDを用いた集合光源のような形状の場合、チップ毎の色調のバラツキが大きく、より一層の改善が求められている。また、光源装置の利用者が、光源の色を変更したくても、LEDチップ中に色変換材料が用いられているので、LEDそのものを取り替える必要があり、煩雑な処理を行わなければならない。
【0004】
なお、従来、蛍光物質が用いられた例としては、例えば、LEDランプからなる光源と、導光板とが、LEDランプの発光により励起されて蛍光を発する蛍光物質が具備された蛍光変換体を介して接合されている例がある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−73807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の光源装置では、その光源から照射された光の色調を、容易に且つ自由に、目的とする色調に変更することが困難である。
【0007】
なお、前記蛍光変換体を介して光源と、導光板とが接合された例では、前記蛍光変換体は、弾性体中に蛍光物質が具備されてなり、この弾性体としては、例えば、接着後の弾性を有する透明な接着剤を用いることが記載されているが、アクリル系感圧接着剤を用いることは記載されておらず、しかも、アクリル系感圧接着剤中に、2種以上の蛍光物質を組み合わせて用いることは全く記載されていない。そのため、その光源から照射された光の色調を、目的とする色調に変更することが困難であり、しかも、変換後に出力された光の色調の安定性も低い。
【0008】
従って、本発明の目的は、光源から照射された光を、容易に且つ自由に、目的とする任意の色調の光に変換させることができる感圧接着部材、および該感圧接着部材が用いられた光源装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、任意の色調に変換されて出力された光の色調の安定性が優れている感圧接着部材、および該感圧接着部材が用いられた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の感圧接着剤をマトリックスとし、該マトリックス中に、特定の蛍光物質が少なくとも2種組み合わせられて分散された構成の蛍光物質複数含有感圧接着剤層を有する感圧接着部材を作製し、該感圧接着部材を光源に接着させて用いると、光源から照射された光の色調を、容易に且つ自由に、目的とする色調に変更させることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されるとともに、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長を有する可視光線を出力する蛍光物質を少なくとも2種含有し、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルと、官能基を有している共重合性モノマーを単量体成分として含むアクリル系ポリマーを含有しているアクリル系感圧接着剤により形成されている蛍光物質複数含有感圧接着剤層を有していることを特徴とする感圧接着部材を提供する。
【0011】
前記感圧接着部材は、さらに、紫外線吸収剤含有層を有していることが好ましい。
【0012】
また本発明は、前記感圧接着部材が、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線を発する光源に接着していることを特徴とする光源装置を提供する。該光源装置では、蛍光物質複数含有感圧接着剤層が、紫外線吸収剤含有層よりも光源側となるように、感圧接着部材が光源に接着していることが好ましい。また、1つの感圧接着部材は、複数の光源に接着していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感圧接着部材によれば、光源から照射された光を、容易に且つ自由に、目的とする任意の色調の光に変換させることができる。さらに、任意の色調に変換されて出力された光の色調の安定性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材又は部位については、同一の符号を付している場合がある。
図1〜図4は本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。図1〜図4において、1、11〜13は感圧接着部材、2は蛍光物質複数含有感圧接着剤層、3は片面が剥離面となっているセパレータ、31は両面が剥離面となっているセパレータ、4は透明基材層、5は実質的に蛍光物質を含有していない感圧接着剤層(蛍光物質非含有感圧接着剤層)である。
【0015】
図1の感圧接着部材1は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2のみからなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の両面にセパレータ(3,3)が積層されている。もちろん、セパレータ3の剥離面が蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と接触するように、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2とセパレータ3とが積層されている。この感圧接着部材1は、基材レス両面粘着テープの形態を有している。
【0016】
図2の感圧接着部材11は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に透明基材層4が積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ3が積層されている。もちろん、セパレータ3の剥離面が蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と接触するように、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2とセパレータ3とが積層されている。この感圧接着部材11は、タックシート状の感圧接着テープの形態を有している。
【0017】
図3の感圧接着部材12は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に透明基材層4、蛍光物質非含有感圧接着剤層5がこの順で積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ3が積層され、且つ蛍光物質非含有感圧接着剤層5の透明基材層4と反対側の面にセパレータ3が積層されている。もちろん、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2に積層されているセパレータ3は、その剥離面が蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と接触するように蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と積層されており、一方、蛍光物質非含有感圧接着剤層5に積層されているセパレータ3は、その剥離面が蛍光物質非含有感圧接着剤層5と接触するように蛍光物質非含有感圧接着剤層5と積層されている。この感圧接着部材12は、基材付き両面粘着テープの形態を有しており、前記基材のそれぞれの面には異なった感圧接着剤層が形成されている。具体的には、透明基材層4の一方の面側の感圧接着剤層は蛍光物質複数含有感圧接着剤層2であり、他方の面側の感圧接着剤層は蛍光物質非含有感圧接着剤層5である。
【0018】
図4の感圧接着部材13は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に透明基材層4、蛍光物質非含有感圧接着剤層5がこの順で積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ31が積層されている。セパレータ31は、両面が剥離面となっているので、セパレータ31の他方の面が蛍光物質非含有感圧接着剤層5と接触するようにロール状に巻回して保管することができる。従って、この感圧接着部材13は、基材付き両面粘着テープの形態を有しており、特に、ロール状に巻回された基材付き両面粘着テープの形態にすることができる。
【0019】
なお、感圧接着部材12と、感圧接着部材13とは、セパレータが異なるだけであり、基本的に同一の層構成を有している。
【0020】
[蛍光物質複数含有感圧接着剤層]
図1〜図4で示される感圧接着部材において、蛍光物質複数含有感圧接着剤層は、アクリル系感圧接着剤により形成されており、また、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線により励起されるとともに、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する可視光線を出力する蛍光物質を少なくとも2種含有している感圧接着剤層である。従って、本発明の感圧接着部材は、その構造中に、アクリル系感圧接着剤に、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されるとともに、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長を有する可視光線を出力する蛍光物質を少なくとも2種含有した蛍光物質複数含有アクリル系感圧接着剤組成物により形成された感圧接着剤層(蛍光物質複数含有感圧接着剤層)を少なくとも1層有していることを特徴としている。
【0021】
(アクリル系感圧接着剤)
蛍光物質複数含有感圧接着剤層に係るアクリル系感圧接着剤としては、公知乃至慣用のアクリル系感圧接着剤(粘着剤)を用いることができる。アクリル系感圧接着剤としては、その調製過程でいかなる形態も取りうるが、取り扱い性の面で、溶剤系、エマルション系、ホットメルト系、光重合系などの形態で用いることが好ましい。また、アクリル系感圧接着剤は、そのまま単独で用いることができるが、本発明の範囲を逸脱しない限り、また接着剤としての性能を損なわない範囲であれば、従来公知の方法を用いた他のポリマーとの混合、攪拌などによるブレンド物であってもよい。なお、アクリル系感圧接着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
このように、本発明では、感圧接着剤として、アクリル系感圧接着剤を用いているので、光源に直接接着した際に酸化劣化等による黄変などが生じず、任意の色調に変換されて出力された光の色調の安定性が良好である。一方、感圧接着剤として、他の感圧接着剤、例えば、シリコーン系感圧接着剤やゴム系感圧接着剤を用いると、感圧接着部材を光源に直接接着した際に、感圧接着剤等の酸化劣化等による黄変などが生じ、出力された光の色調の安定性に欠けるので、適していない。
【0023】
アクリル系感圧接着剤は、アクリル系ポリマー[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなど]を粘着成分(ベースポリマー)の主成分として含有している。前記アクリル系ポリマーは、モノマー主成分(単量体主成分)として(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルを含有している。このような(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。該(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
また、アクリル系ポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルに対して共重合性を有している単量体成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。特に、アクリル系ポリマーを架橋させる際には、共重合性モノマーとしては、アクリル系感圧性接着剤の改質用モノマーが用いられていることが好ましい。このような改質用モノマーとしては、例えば、アクリル系感圧性接着剤の改質用モノマーとして知られる各種モノマーのいずれも使用可能である。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
具体的には、共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有共重合性モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンジメタクリレート等のヒドロキシル基含有共重合性モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有共重合性モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアミノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸芳香族環含有炭化水素エステル;スチレン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン系モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有共重合性モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有共重合性モノマーなどが挙げられる。また、共重合性モノマーとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性モノマーを用いることもできる。
【0026】
なお、このような共重合性モノマーは、モノマー成分全量に対して50重量%未満の含有割合で用いられる。共重合性モノマーの使用量の下限値は、特に制限されず、用いられていなくても(モノマー成分全量に対して0重量%であっても)よいが、モノマー成分全量に対して2重量%であることが望ましい。
【0027】
改質用モノマーとしては、前記共重合性モノマーのうち各種の官能基(特に極性基)を有している共重合性モノマーを用いることができ、これらのなかでもヒドロキシル基含有共重合性モノマー、カルボキシル基含有共重合性モノマーが好ましく、特にアクリル酸が好適である。なお、前記の各種の官能基(特に極性基)を有している共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋結合を生じさせるのに重要な成分である。すなわち、改質用モノマーに由来する官能基(特に極性基)を利用してアクリル系ポリマーを架橋することができる。
【0028】
アクリル系ポリマーを得るための重合方法としては、アゾ系化合物(アゾ系開始剤)や過酸化物(過酸化物系開始剤)などの重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法などを採用することができる。本発明では、分解してラジカルを生成させる重合開始剤を用いて重合させる方法(ラジカル重合方法)を好適に採用することができる。このようなラジカル重合では、通常のラジカル重合に用いられる重合開始剤を使用できる。該重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアゾ系開始剤;ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなどの過酸化物系開始剤等が挙げられる。
【0029】
アクリル系ポリマーは、通常では付加重合物であるため、未反応モノマーが残存する場合があるが、重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いることにより、残存モノマーを低減させることができる。しかも、アゾ系開始剤を用いると、過酸化物系開始剤や他のラジカル重合開始剤を用いて重合を行った場合よりも、開始剤の分解物に由来する感圧接着剤成分の劣化が少なく、そのため、蛍光物質を添加した後の使用環境において、前記感圧接着剤成分の劣化による色調の変化を抑制又は防止することができるという利点がある。従って、アクリル系ポリマーを得るための重合方法としては、アゾ系開始剤を用いて行う重合方法が好適である。このようなアゾ系開始剤としては、前記例示のアゾ系開始剤の中でも、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸が好適である。
【0030】
重合開始剤の使用量は、特に制限されず、例えば、モノマー成分の総量に対して(100モル%に対して)0.01〜2モル%(好ましくは0.02〜1モル%)程度である。
【0031】
本発明では、前記モノマー成分を用いて重合させて得られたアクリル系ポリマーはそのまま乾燥させて用いてもよく、また、アクリル系ポリマーを架橋させることにより硬化させて用いてもよい。アクリル系ポリマーを架橋させることにより、感圧接着剤層の保護用として通常用いられるセパレータ(剥離ライナー)の剥離性および粘着性に加えて、耐熱性等の耐久性にも好結果が得られる。架橋方法としては、任意の架橋方法を利用することができるが、いわゆる架橋剤を用いる方法が望ましい。架橋剤としては、従来公知のものを用いることができるが、ポリイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート系化合物、メラミン系化合物を好適に用いることができる。架橋剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0032】
(蛍光物質)
また、蛍光物質としては、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起され、この励起により、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長を有する可視光線を出力する蛍光物質が用いられており、このような特性を有するものであれば特に制限されない。なお、蛍光物質は、その種類により、青、赤、緑、黄、橙などの可視光線の波長領域の蛍光を発することができる。
【0033】
蛍光物質としては、無機系蛍光物質、有機系蛍光物質など、いずれの種類のものであってもよい。蛍光物質としては、その成分として、ユウロピウム元素(Eu)、マンガン元素(Mn)、アルミニウム元素(Al)、カルシウム元素(Ca)、ストロンチウム元素(Sr)、バリウム元素(Ba)、亜鉛元素(Zn)、リチウム元素(Li)、ルビジウム元素(Rb)、セシウム元素(Cs)、イットリウム元素(Y)、硫黄元素(S)、リン元素(P)、塩素元素(Cl)、チタン元素(Ti)、銅元素(Cu)、ナトリウム元素(Na)などの元素を1種又は2種以上含んでいるものを好適に用いることができる。
【0034】
蛍光物質は2種以上組み合わせて用いられており、3種以上組み合わせられて用いられていることが好ましい。このように、複数種の蛍光物質を用いることにより、感圧接着部材により変化される色調を、任意の色調に調整することができる。この際、複数種の蛍光物質のそれぞれの含有比率を調整することにより、微妙な色調であっても調整することができる。複数種の蛍光物質の配合比率としては、特に制限されず、光源の出力エネルギーやその波長などに応じて、適宜適正な配合比率を設定することができる。
【0035】
また、このような色変換は、光源から発せられる紫外線のピーク波長などに応じて、蛍光物質の種類や組み合わせを適宜選択することができる。例えば、光源からの紫外線の光を感圧接着部材により白色に色変換する場合、(1)光源として400〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線を発する光源を用い、且つ、前記光源からの光により励起されて、緑色の光を出力する蛍光物質と、赤色の光を出力する蛍光物質との2種の蛍光物質を含有している感圧接着剤層を有する感圧接着部材を用いることにより、または、(2)光源として280〜400nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線を発する光源を用い、且つ、前記光源からの光により励起されて、緑色の光を出力する蛍光物質と、赤色の光を出力する蛍光物質と、青色の光を出力する蛍光物質との3種の蛍光物質を含有している感圧接着剤層を有する感圧接着部材を用いることにより、光源からの光を白色に変換することができる。
【0036】
蛍光物質複数含有感圧接着剤層は、マトリックスとなる感圧接着剤中に、前記蛍光物質を少なくとも2種混合して、コーティング等によりシート状に形成することにより形成することができる。特に、蛍光物質は、容易に、感圧接着剤中に均一又はほぼ均一に分散させることができるので、感圧接着部材の部位により変化される色調のバラツキを効果的に低減することができる。従って、本発明の感圧接着部材により、光源からの光を一定又はほぼ一定の色調を有する光に変換させることができる。
【0037】
蛍光物質複数含有感圧接着剤層中の蛍光物質の含有割合としては、蛍光物質複数含有感圧接着剤層の全量に対して30重量%を超えない範囲であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下(特に、10重量%以下)であることが望ましい。蛍光物質の含有割合が、蛍光物質複数含有感圧接着剤層の全量に対して30重量%を超えると、感圧接着部材が本来発現すべき接着性が損なわれる。なお、蛍光物質の含有割合の下限としては、特に制限されず、出力する可視光線の強度や、光源の出力エネルギーなどに応じて適宜選択することができる。
【0038】
アクリル系感圧接着剤および蛍光物質からなる蛍光物質複数含有アクリル系感圧接着剤組成物には、必要により、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤などの公知の各種添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤の使用量は、いずれも粘着剤に適用される通常の量でよい。
【0039】
蛍光物質複数含有感圧接着剤層の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、20〜1000μm(好ましくは30〜500μm)の範囲であることが望ましい。蛍光物質複数含有感圧接着剤層の厚みが20μm未満では、蛍光物質による十分な波長変換が行われにくく、得られる色調が制限される場合があり、一方、1000μm(1mm)を超えると、蛍光物質複数含有感圧接着剤層自身の厚みによる光の透過率ロスが大きくなり、明るい発光が得られにくくなる。なお、蛍光物質複数含有感圧接着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。なお、蛍光物質複数含有感圧接着剤層は感圧接着部材中に単数又は複数設けることができる。
【0040】
[透明基材層]
透明基材層は、透明性を有する基材(透明基材)からなる層であり、光を効率的に透過させる役割を有するものであれば特に制限されず、例えば、透明な基材フィルム層が好適である。透明基材層は、単層、積層体のいずれの層構造を有していてもよい。透明基材層は、熱可塑性樹脂などの各種の樹脂により形成することができ、特にフィルム状に形成されたものが好適である。このような樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミド(ナイロン)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリカーボネートなどが挙げられる。樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
透明基材層の厚みとしては、光を高効率で透過させることができれば特に制限されず、例えば、1〜150μm(好ましくは5〜70μm)程度の範囲から選択することができる。
【0042】
なお、透明基材層は、例えば、予め形成されたプラスチックフィルムを積層することにより形成されるプラスチックフィルム層であってもよく、熱可塑性樹脂などの各種樹脂をコーティングすることにより形成されるプラスチックフィルム層であってもよい。また、透明基材層は感圧接着部材中に単数又は複数設けることができる。
【0043】
[蛍光物質非含有感圧接着剤層]
蛍光物質非含有感圧接着剤層は、蛍光物質を実質的に含有していない感圧接着剤層であり、透明性を有していることが重要である。蛍光物質非含有感圧接着剤層が不透明であると、蛍光物質複数含有感圧接着剤層から出力された光を、感圧接着部材の外部に出力することができなくなるためである。
【0044】
蛍光物質非含有感圧接着剤層を形成する感圧接着剤としては、各種感圧接着剤を用いることができるが、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層に係る感圧接着剤と同様のアクリル系感圧接着剤が好ましい。
【0045】
蛍光物質非含有感圧接着剤層の厚みとしては、粘着性を有し、且つ光を高効率で透過させることができれば特に制限されず、例えば、5〜100μm(好ましくは10〜70μm)程度の範囲から選択することができる。蛍光物質非含有感圧接着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。なお、蛍光物質非含有感圧接着剤層は感圧接着部材中に単数又は複数設けることができる。
【0046】
[セパレータ]
セパレータ(剥離ライナー)は必要に応じて用いられている。該セパレータとしては、粘着テープ用のセパレータとして用いられているものであれば特に制限されず、公知乃至慣用のセパレータを用いることができる。セパレータとしては、図1〜図3で示されるように、何れか一方の面のみが剥離面となっているものであってもよく、図4で示されるように、両面が剥離面となっているものであってもよい。セパレータの具体例としては、例えば、剥離処理剤からなる剥離処理剤層がセパレータ用の基材(例えば、和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムや、金属蒸着プラスチックフィルムなど)の表面に形成されたセパレータを好適に用いることができる。前記剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)の他、長鎖アルキル基含有ポリマー、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの非シリコーン系剥離剤などが挙げられる。これらの剥離処理剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。なお、セパレータの両面が剥離処理剤により形成されている場合、両剥離面を形成するための剥離処理剤は、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0047】
また、セパレータとしては、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど]によるセパレータ、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂や、テフロンなど)を、各種基材(例えば、金属箔、プラスチックフィルムなど)にラミネート又はコーティングして得られるセパレータなども用いることができる。
【0048】
[紫外線吸収剤含有層]
前記蛍光物質は、特定の波長領域にピーク波長を有する紫外線(元の光源から発光された波長成分)により励起されて、前記紫外線のピーク波長と異なる特定の波長領域にピーク波長を有する可視光線(変換後の波長成分)を出力するが、この際の光の変換効率は100%でないので、実際に蛍光物質複数含有感圧接着剤層からの出力光には、元の光源から発光された波長成分と、変換後の波長成分とが混じったものとなる。そのため、変換後の波長成分のみを色調調整に利用したい場合は、元の光源から発光された波長成分をカットする(除去する)目的で、紫外線吸収剤を含有する層(紫外線吸収剤含有層)を、蛍光物質複数含有感圧接着剤層の光源と反対側に設けることが効果的である。すなわち、光の流れが「光源−蛍光物質複数含有感圧接着剤層−紫外線吸収剤含有層」の順となるように、紫外線吸収剤含有層を設けることが好ましい。
【0049】
このような紫外線吸収剤含有層は、紫外線以外の光を高効率で透過させることができ、紫外線のみを吸収して透過させない又は透過する量を減少させることができる層であることが重要である。
【0050】
なお、このように、紫外線吸収剤含有層を設けることにより、蛍光物質複数含有感圧接着剤層を通過して調整された光の色調をより一層シャープにすることができる。しかも、人体に有害な紫外線(例えば、一般的に「UV−A」と称されている紫外線)を効果的にカットすることができ、この観点からも極めて効果的である。
【0051】
紫外線吸収剤含有層としては、紫外線吸収剤を含有している層又は部材であれば特に制限されず、例えば、紫外線吸収剤のみからなる層であってもよいが、蛍光物質複数含有感圧接着剤層を担持するために積層されている透明な支持基材中や、蛍光物質複数含有感圧接着剤層と異なる他の感圧接着剤層(すなわち、蛍光物質非含有感圧接着剤層)などの他の層中に紫外線吸収剤を含有させることにより形成された層が好適である。具体的には、紫外線吸収剤含有層としては、図5で示されるような紫外線吸収剤を含有する透明基材層(紫外線吸収剤含有透明基材層)、図6や図7で示されるような紫外線吸収剤を含有する感圧接着剤層(紫外線吸収剤含有感圧接着剤層)などが挙げられる。図5〜図7は本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。図5〜図7において、14、15および16は感圧接着部材、6は紫外線吸収剤含有透明基材層、7は紫外線吸収剤含有感圧接着剤層であり、他の符号は前記に同じである。
【0052】
図5の感圧接着部材14は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に、紫外線吸収剤含有透明基材層6が積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ3が積層されている。もちろん、セパレータ3は、図2と同様に、その剥離面が蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と接触するように、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2とセパレータ3とが積層されている。この感圧接着部材14は、タックシート状の感圧接着テープの形態を有している。
【0053】
図6の感圧接着部材15は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に透明基材層4、紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7がこの順で積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ3が積層され、且つ紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7の透明基材層4と反対側の面にセパレータ3が積層されている。もちろん、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2に積層されているセパレータ3は、その剥離面が蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と接触するように蛍光物質複数含有感圧接着剤層2と積層されており、一方、紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7に積層されているセパレータ3は、その剥離面が紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7と接触するように紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7と積層されている。この感圧接着部材15は、基材付き両面粘着テープの形態を有しており、前記基材のそれぞれの面には異なった感圧接着剤層が形成されている。具体的には、透明基材層4の一方の面側の感圧接着剤層は蛍光物質複数含有感圧接着剤層2であり、他方の面側の感圧接着剤層は紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7である。
【0054】
図7の感圧接着部材16は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面に透明基材層4、紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7がこの順で積層された積層体からなる層構成を有しており、前記蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の他方の面にセパレータ31が積層された構成を有している。セパレータ31は、両面が剥離面となっているので、セパレータ31の他方の面が紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7と接触するようにロール状に巻回して保管することができる。従って、この感圧接着部材16は、基材付き両面粘着テープの形態を有しており、特に、ロール状に巻回された基材付き両面粘着テープの形態にすることができる。
【0055】
なお、感圧接着部材15と、感圧接着部材16とは、セパレータが異なるだけであり、基本的に同一の層構成を有している。
【0056】
このような紫外線吸収剤含有層において、紫外線吸収剤としては、光源からの光(波長成分)を吸収する効果を有するものであれば特に制限されず、公知乃至慣用の紫外線吸収剤を用いることができる。例えば、光源が280nm〜420nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線を発する光源である場合、紫外線吸収剤としては、280nm〜420nmの波長領域(一般的に「UV−A」と称されている紫外線のピーク波長領域)に吸収効果を有する紫外線吸収剤を好適に用いることができる。より具体的には、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸誘導体系紫外線吸収剤、トリアジン誘導体系紫外線吸収剤、桂皮酸誘導体系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、p−アミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0057】
紫外線吸収剤含有層中の紫外線吸収剤の含有割合としては、紫外線を有効に吸収することができる範囲であれば特に制限されず、その層構成などに応じて適宜選択することができる。例えば、紫外線吸収剤含有層が紫外線吸収剤含有感圧接着剤層又は紫外線吸収剤含有透明基材層である場合、紫外線吸収剤の含有割合としては、紫外線吸収剤含有層の全量に対して0.1〜15重量%(好ましくは1〜10重量%)程度の範囲から選択することができる。
【0058】
紫外線吸収剤含有層の厚みとしては、光を高効率で透過させることができれば特に制限されず、感圧接着部材の層構成、紫外線吸収剤の種類や含有割合などに応じて適宜選択することができる。紫外線吸収剤含有層の厚みとしては、例えば、200μm以下(例えば、10〜200μm)、好ましくは15〜100μm程度の範囲から選択することができる。紫外線吸収剤含有層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。なお、紫外線吸収剤含有層は感圧接着部材中に単数又は複数設けることができる。
【0059】
なお、図5〜図7における蛍光物質複数含有感圧接着剤層2や透明基材層4は、図1〜図4における蛍光物質複数含有感圧接着剤層2や透明基材層4と同様の層である。
【0060】
このように、本発明の感圧接着部材は、蛍光物質複数含有感圧接着剤層のみによる層構成であってもよく、蛍光物質複数含有感圧接着剤層とともに、透明基材層、蛍光物質非含有感圧接着剤層、紫外線吸収剤含有層などの層を有する積層体による層構成であってもよい。もちろん、セパレータは必要に応じて設けられており、感圧接着部材を使用する際には、セパレータは剥離して取り除かれる。なお、感圧接着部材は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の層を有していてもよい。
【0061】
感圧接着部材は、シート状の形態や、ロール状に巻回された形態で作製することができる。なお、ロール状に巻回された形態である場合、両面が剥離面となっているセパレータを1つ用いて、ロール状に巻回したロール状の形態であってもよく、または、片面が剥離面となっているセパレータを2つ用い、各セパレータをそれぞれの感圧接着剤層(蛍光物質複数含有感圧接着剤層、蛍光物質非含有感圧接着剤層)の面に積層して、さらにロール状に巻回したロール状の形態であってもよい。
【0062】
本発明の感圧接着部材は、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線を発する光源から発せられた紫外線を、目的とする任意の色調の光(可視光線)に変換させることができる。従って、光源装置の光源に、感圧接着部材を接着させることにより、煩雑な処理を行わなくても、容易に且つ自由に、光源装置から照射される光を、任意の色調の光(可視光線)に変換することができる。また、カラーフィルターのように、不要な色調領域の波長を吸収して光の色調をコントロールしているわけではないので、出力される光の明るさは良好である。しかも、アクリル系感圧接着剤を用いているので、任意の色調に変換されて出力された光の色調の安定性が優れている。
【0063】
[光源装置]
本発明の光源装置は、前記感圧接着部材が、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線を発する光源に接着された構成を有している。図8〜図13は本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。図8〜図13において、8、81〜85は光源装置、9はチップ型LED、91はドームキャップ型LED、9aは透明なパッケージ材料部、9bは不透明なパッケージ材料部、9b1は不透明なパッケージ材料部9bの空隙部であり、他の符号は前記に同じである。なお、チップ型LED9やドームキャップ型LED91は、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線を発する光源である。
【0064】
図8の光源装置8は、チップ型LED9から紫外線が照射される面の全面に感圧接着部材1が接着しており、該感圧接着部材1の他方の面の全面は、透明なパッケージ材料部9aと接着した構成を有している。感圧接着部材1は、前述ように、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2のみからなっているので、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の一方の面がチップ型LED9から紫外線が照射される面に接着し、他方の面が透明なパッケージ材料部9aに接着している。
【0065】
図9の光源装置81は、チップ型LED9から紫外線が照射される面の全面に感圧接着部材12の蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の面が接着しており、該感圧接着部材12の蛍光物質非含有感圧接着剤層5の面の全面は、透明なパッケージ材料部9aと接着した構成を有している。
【0066】
前記光源装置(8,81)では、チップ型LED9から紫外線が照射される面と、透明なパッケージ材料部9aとの間に、それぞれ、感圧接着部材(1,12)が設けられており、チップ型LED9から照射された紫外線は、感圧接着部材(1,12)を通り、この際、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により紫外線が特定の色調の光(可視光線)に変換され、透明なパッケージ材料部9aを通して外部に出力される構成となっている。
【0067】
図10の光源装置82は、チップ型LED9から紫外線が照射される面の全面に感圧接着部材11の蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の面が接着しており、該感圧接着部材11の透明基材層4の面は、空隙部9b1を有する不透明なパッケージ材料部9bと密着した構成を有している。なお、前記空隙部9b1は、感圧接着部材11から出力される光の光路に設けられている。
【0068】
図11の光源装置83は、チップ型LED9から紫外線が照射される面の全面に感圧接着部材14の蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の面が接着しており、該感圧接着部材14の紫外線吸収剤含有透明基材層6の面は、空隙部9b1を有する不透明なパッケージ材料部9bと密着した構成を有している。なお、前記空隙部9b1は、感圧接着部材14から出力される光の光路に設けられている。
【0069】
前記光源装置(82,83)では、チップ型LED9から紫外線が照射される面と、空隙部9b1を有する不透明なパッケージ材料部9bとの間に、それぞれ、感圧接着部材(11,14)が設けられており、チップ型LED9から照射された紫外線は、感圧接着部材(11,14)を通り、この際、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により紫外線が特定の色調の光(可視光線)に変換され、空隙部9b1を通して外部に出力される構成となっている。特に、光源装置83では、感圧接着部材14のパッケージ材料部9b側の面は、紫外線吸収剤含有透明基材層6となっているので、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により変換されず透過した紫外線が紫外線吸収剤含有透明基材層6で吸収され、外部に出力される光の中に含まれる紫外線の量が低減されている。なお、光源装置(82,83)で用いられているパッケージ材料部は、不透明なものであるが、透明や半透明なものであってもよい。
【0070】
図12の光源装置84は、チップ型LED9から紫外線が照射される面の全面に感圧接着部材15の蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の面が接着しており、該感圧接着部材15の紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7の面の全面は、透明なパッケージ材料部9aと接着した構成を有している。前記光源装置84では、チップ型LED9から紫外線が照射される面と、透明なパッケージ材料部9aとの間に、感圧接着部材15が設けられており、チップ型LED9から照射された紫外線は、感圧接着部材15を通り、この際、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により紫外線が特定の色調の光(可視光線)に変換され、透明なパッケージ材料部9aを通して外部に出力される構成となっている。しかも、感圧接着部材15のパッケージ材料部9a側の面は、紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7となっているので、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により変換されず透過した紫外線が紫外線吸収剤含有感圧接着剤層7で吸収され、外部に出力される光の中に含まれる紫外線の量が低減されている。
【0071】
また、図13の光源装置85は、感圧接着部材14の蛍光物質複数含有感圧接着剤層2の面に、複数のドームキャップ型LED91が接着した構成を有している。なお、該光源装置85では、パッケージ材料部は設けられていない。複数のドームキャップ型LED91から照射された紫外線は、感圧接着部材14を通り、この際、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により紫外線が特定の色調の光(可視光線)に変換され、外部に出力される構成となっている。しかも、感圧接着部材14の外部側の面は、紫外線吸収剤含有透明基材層6となっているので、蛍光物質複数含有感圧接着剤層2により変換されず透過した紫外線が紫外線吸収剤含有透明基材層6で吸収され、外部に出力される光の中に含まれる紫外線の量が低減されている。
【0072】
このように、感圧接着部材が紫外線吸収剤含有層を有している場合、蛍光物質複数含有感圧接着剤層が、紫外線吸収剤含有層よりも光源側となるように、感圧接着部材を光源に接着させることが重要である。
【0073】
なお、図8〜図13の光源装置では、感圧接着部材は、光源とパッケージ材料部との間に設けられているが、光源の発光部分を覆う筺体(すなわち、パッケージ材料部の外部)に設けることもできる。このように、光源から発せられる紫外線の光路に、本発明の感圧接着部材を設けることにより、光源から発せられる紫外線を色変換して、所望の色調の光を出力させることができる。
【0074】
[光源]
光源としては、種々の光源を用いることも可能であるが、280nm〜420nm(特に、350nm〜420nm)の波長領域にピーク波長(中心波長)を有する紫外線を発するものを用いることができる。これは、紫外線波長領域のような波長の短い成分を多く含む光源を用いることにより、蛍光物質による光の色変換(波長変換)を利用して任意の所望の色調を得ることができるためである。一方、光源として長波長側の可視光線の光源を用いると、色調の調整範囲が光源よりも波長の長い成分のみに限定されてしまうため、任意の所望の色調を得ることが困難になる。
【0075】
なお、光源としては、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有していれば、他の波長領域にピーク波長を有していてもよい。また、このような光源において、280nm〜420nmの波長領域に有するピーク波長の数としては、少なくとも1つであればよく、通常は1つであるが、例えば、2〜5程度であってもよい。
【0076】
光源としては、その形状や大きさ等にも特に制限はない。
【0077】
具体的には、光源としては、LED(発光ダイオード)や蛍光管などを好適に用いることができ、なかでもLEDが好適である。該LEDとしては、ドームキャップ型、チップ型、SMDパッケージ型などの公知の型のLEDを用いることができる。
【0078】
また、光源は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。具体的には、図8〜図12で示されるように、1つの感圧接着部材に1つの光源に接着していてもよく、図13で示されるように、1つの感圧接着部材に複数の光源が接着していてもよい。特に、1つの感圧接着部材に複数の光源が接着していても、感圧接着部材により色変換されるので、各々の光源の色調のズレ等に依存することなく、一定の色調の光を外部に出力させることが可能であり、この観点からも、本発明の光源装置は極めて有用である。
【0079】
1つの感圧接着部材に複数の光源が接着している光源装置のより具体的な構成例としては、例えば、図14〜図17に示される光源装置などが挙げられる。図14〜図17は本発明の光源装置の要部として、その断面と上面から見た状態を示す概略図である。具体的には、図14〜図17において、それぞれ、(a)は光源装置の要部を上面から見た状態を示す概略図であり、(b)は光源装置の要部の断面を示す概略図である。図14〜図17において、86〜89は光源装置、9a1、9a2は透明なパッケージ材料部であり、他の符号は前記に同じである。
【0080】
図14や図15の光源装置(86,87)は、その上面は円形状であり、複数の光源91が、前記円形状の内部に設置された構成を有している。また、図16や図17の光源装置(88,89)は、その上面は四角形状であり、複数の光源91が、前記四角形状の内部に設置された構成を有している。
【0081】
また、本発明の光源装置では、パッケージ材料部は設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。パッケージ材料部を有している場合、本発明の感圧接着部材を、光源とパッケージ材料部との間に設けて、光源には接着させ、パッケージ材料部には接着又は密着させることにより、光源をパッケージ材料部に効果的に固定することができ、パッケージ材料部中での光源の位置ズレを効果的に抑制または防止することができる。
【0082】
なお、光源がパッケージ材料部などの他の部材により覆われない場合は、感圧接着部材の光出力面は、透明基材層(紫外線吸収剤含有透明基材層を含む)となっていることが好ましい。
【0083】
感圧接着部材の大きさとしては、光源、パッケージ材料部などに応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0084】
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、攪拌装置を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル150重量部、ブチルアクリレート93重量部、アクリル酸7重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.05重量部、開始剤としての2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れ、窒素気流中で、60℃で8時間重合を行い、アクリル系重合体を含む溶液(「アクリル系重合体溶液A」と称する場合がある)を得た。このアクリル系重合体溶液A中に、アクリル系重合体100重量部に対して、蛍光物質としての商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて緑色の光を発する蛍光物質)6重量部と、商品名「EZCR8011」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて赤色の光を発する蛍光物質)3重量部とを配合し、さらに、架橋剤としての商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製;エポキシ系架橋剤)0.02重量部を配合して、蛍光物質複数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質複数含有感圧接着剤A」と称する場合がある)を調製した。
【0086】
この蛍光物質複数含有感圧接着剤Aを、アプリケータを用いて、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が30μmの蛍光物質複数含有感圧接着剤A層を形成した。さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤A層上に、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面を貼り合わせて、感圧接着シートを作製した。
【0087】
(実施例2)
蛍光物質として、商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)3重量部と、商品名「EZCR8011」(イージーブライト社製)3重量部と、商品名「EZCSB8014」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて青色の光を発する蛍光物質)3重量とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光物質複数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質複数含有感圧接着剤B」と称する場合がある)を調製し、さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0088】
(実施例3)
蛍光物質として、商品名「EZCSF−SG」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて緑色の光を発する蛍光物質)3重量部と、商品名「EZCSF−SR」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて赤色の光を発する蛍光物質)3重量部と、商品名「EZCSF−SB」(イージーブライト社製;280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されて青色の光を発する蛍光物質)3重量とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光物質複数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質複数含有感圧接着剤C」と称する場合がある)を調製し、さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0089】
(実施例4)
蛍光物質として、商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)3重量部と、商品名「EZCSB8014」(イージーブライト社製)3重量とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光物質複数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質複数含有感圧接着剤D」と称する場合がある)を調製し、さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0090】
(実施例5)
蛍光物質として、商品名「EZCR8011」(イージーブライト社製)3重量部と、商品名「EZCSB8014」(イージーブライト社製)3重量とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光物質複数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質複数含有感圧接着剤E」と称する場合がある)を調製し、さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0091】
(実施例6)
実施例2と同様にして調製された蛍光物質複数含有感圧接着剤Bを、アプリケータを用いて、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が30μmの蛍光物質複数含有感圧接着剤B層を形成した。さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤B層上に、透明基材層としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm;シリコーンによる剥離処理は施されていない)を貼り合わせて感圧接着シートを作製した。
【0092】
(実施例7)
実施例3と同様にして調製された蛍光物質複数含有感圧接着剤Cを、アプリケータを用いて、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が30μmの蛍光物質複数含有感圧接着剤C層を形成した。さらに、この蛍光物質複数含有感圧接着剤C層上に、透明基材層としてのポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm;シリコーンによる剥離処理は施されていない)を貼り合わせて感圧接着シートを作製した。
【0093】
(実施例8)
実施例1と同様にして調製されたアクリル系重合体溶液A中に、アクリル系重合体100重量部に対して、紫外線吸収剤としての商品名「Uvinul3050」(BASF社製)5重量部と、架橋剤としての商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製;エポキシ系架橋剤)0.02重量部とを配合して、紫外線吸収剤含有感圧接着剤組成物(「紫外線吸収剤含有感圧接着剤F」と称する場合がある)を調製した。
【0094】
この紫外線吸収剤含有感圧接着剤Fを、アプリケータを用いて、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が30μmの紫外線吸収剤含有感圧接着剤F層を形成した。さらに、この紫外線吸収剤含有感圧接着剤F層上に、実施例6で作製された感圧接着シートの透明基材層(シリコーンによる剥離処理が施されていないポリエチレンテレフタレート製フィルム)の面を貼り合わせて、感圧接着シートを作製した。
【0095】
(実施例9)
実施例8と同様にして調製された紫外線吸収剤含有感圧接着剤Fを、アプリケータを用いて、片面にシリコーンによる剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み38μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さ(乾燥後の厚さ)が30μmの紫外線吸収剤含有感圧接着剤F層を形成した。さらに、この紫外線吸収剤含有感圧接着剤F層上に、実施例7で作製された感圧接着シートの透明基材層(シリコーンによる剥離処理が施されていないポリエチレンテレフタレート製フィルム)の面を貼り合わせて、感圧接着シートを作製した。
【0096】
(比較例1)
シリコーン系感圧接着剤(商品名「SD−4592」東レダウコーニング・シリコーン社製)中に、触媒として、商品名「SRX−212」(東レダウコーニング・シリコーン社製)1重量部を添加して混合物を調製し、この混合物中に、該混合物中の固形分100重量部に対して、蛍光物質としての商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)6重量部と、商品名「EZCR8011」(イージーブライト社製)3重量部とを配合して、蛍光物質含有シリコーン系感圧接着剤組成物(「シリコーン系感圧接着剤G」と称する場合がある)を調製した。このシリコーン系感圧接着剤Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0097】
(比較例2)
天然ゴム系感圧接着剤(日東電工社製)中に、固形分100重量部に対して、蛍光物質としての商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)6重量部と、商品名「EZCR8011」(イージーブライト社製)3重量部とを配合して、蛍光物質含有シリコーン系感圧接着剤組成物(「天然ゴム系感圧接着剤H」と称する場合がある)を調製した。この天然ゴム系感圧接着剤Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0098】
(比較例3)
蛍光物質として、商品名「EZCG8006」(イージーブライト社製)6重量部のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光物質単数含有感圧接着剤組成物(「蛍光物質単数含有感圧接着剤I」と称する場合がある)を調製し、さらに、この蛍光物質単数含有感圧接着剤Iを用いたこと以外は実施例1と同様にして感圧接着シートを作製した。
【0099】
(色変換試験)
実施例および比較例により得られた感圧接着シートを、室温で3日間、100℃で3日間の各条件で放置した。その後、各条件で放置された感圧接着シートを、405nmにピーク波長を有する紫外線を発するLED(近紫外LED)、および350nmにピーク波長を有する紫外線を発するブラックライト蛍光管に、装着し、実際に光源から光を照射した際の状況を目視で観察し、感圧接着シートから出力される光の色(発光色)の状態を観察した。光源として近紫外LEDを用いて観察した結果については表1に示し、ブラックライド蛍光管を用いて観察した結果については表2に示した。
【0100】
もちろん、感圧接着シートの蛍光物質を含有している感圧接着剤層(蛍光物質複数含有感圧接着剤A層〜蛍光物質複数含有感圧接着剤E層、シリコーン系感圧接着剤G層、天然ゴム系感圧接着剤H層、蛍光物質単数含有感圧接着剤I層など)を、光源(近紫外LED、ブラックライド蛍光管など)に接着している。この接着の状態について目視で観察したところ、実施例及び比較例のいずれも良好であった。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
表1及び2より明らかなように、実施例1〜9に係る感圧接着シートを用いると、光源から発した光を、任意の色調の光に容易に且つ自由に変換することができることが確認された。しかも、変換後の光の明るさは良好であり、また、光源に対する接着性も良好であった。
【0104】
さらに、任意の色調に変換されて出力された光の色調の安定性も優れていることが確認された。従って、実施例1〜9に係る感圧接着部材を用いることにより、光源からの照射光を容易に且つ自由に目的とする任意の色調の光に変換させることができる光源装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の感圧接着部材の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図9】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図10】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図11】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図12】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の光源装置の例の要部を示す概略断面図である。
【図14】本発明の光源装置の要部として、その断面と上面から見た状態を示す概略図である。
【図15】本発明の光源装置の要部として、その断面と上面から見た状態を示す概略図である。
【図16】本発明の光源装置の要部として、その断面と上面から見た状態を示す概略図である。
【図17】本発明の光源装置の要部として、その断面と上面から見た状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0106】
1、11〜16 感圧接着部材
2 蛍光物質複数含有感圧接着剤層
3 片面が剥離面となっているセパレータ
31 両面が剥離面となっているセパレータ
4 透明基材層
5 実質的に蛍光物質を含有していない感圧接着剤層
6 紫外線吸収剤含有透明基材層
7 紫外線吸収剤含有感圧接着剤層
8、81〜89 光源装置
9 チップ型LED
91 ドームキャップ型LED
9a 透明なパッケージ材料部
9a1、9a2 透明なパッケージ材料部
9b 不透明なパッケージ材料部
9b1 不透明なパッケージ材料部9bの空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線により励起されるとともに、前記紫外線のピーク波長と異なり且つ380nm〜780nmの波長領域にピーク波長を有する可視光線を出力する蛍光物質を少なくとも2種含有し、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルと、官能基を有している共重合性モノマーを単量体成分として含むアクリル系ポリマーを含有しているアクリル系感圧接着剤により形成されている蛍光物質複数含有感圧接着剤層を有していることを特徴とする感圧接着部材。
【請求項2】
さらに、紫外線吸収剤含有層を有している請求項1記載の感圧接着部材。
【請求項3】
請求項1又は2記載の感圧接着部材が、280nm〜420nmの波長領域にピーク波長を有する紫外線を発する光源に接着していることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
蛍光物質複数含有感圧接着剤層が、紫外線吸収剤含有層よりも光源側となるように、感圧接着部材が光源に接着している請求項3記載の光源装置。
【請求項5】
1つの感圧接着部材が、複数の光源に接着している請求項3又は4記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−291272(P2008−291272A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188527(P2008−188527)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【分割の表示】特願2002−350112(P2002−350112)の分割
【原出願日】平成14年12月2日(2002.12.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】