説明

感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸発生剤及び化合物

【課題】本発明の目的は、LWRに優れたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、[A1]放射線の照射により下記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤を含有する感放射線性樹脂組成物である。式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。上記式(1)で表される化合物は、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸発生剤及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近では100nm以下のレベルでの微細加工が求められている。かかる微細加工に用いられる放射線としては、例えばKrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、F2エキシマレーザー光(波長157nm)、EUV(波長13nm)、電子線等が注目されている。
【0003】
このような放射線が注目されていることに伴い、多くのフォトレジスト材料が提案されている。フォトレジスト材料としては、例えば酸解離性基を有する重合体成分と、放射線の照射(露光)により酸を発生する酸発生剤成分とを含有し、これらの間の化学増幅効果を利用した組成物等が挙げられる。酸発生剤としては、これまでにジフルオロスルホン酸型のスルホニウム塩等が開発されている(特開2010−215608号公報及び特開2010−204646号公報参照)。
【0004】
しかしながら、従来のジフルオロスルホン酸型の酸発生剤を用いた場合、形成されるレジストパターンのLWR(Line Width Roughness)、露光余裕度等の性能を十分に満足することができないのが現状である。このような状況に鑑み、より微細なレジストパターンを形成するための感放射線性樹脂組成物には感度、解像性等の基本特性の向上のみならず、LWR、露光余裕度等の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−215608号
【特許文献2】特開2010−204646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的はLWRに優れたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A1]放射線の照射により下記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤(以下、「[A1]特定酸発生剤」とも称する)
を含有する感放射線性樹脂組成物である。
【化1】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0008】
当該感放射線性樹脂組成物が含有する[A1]特定酸発生剤は、上記式(1)で表される化合物を発生するモノフルオロスルホン酸型の酸発生剤である。そうすると、従来のジフルオロスルホン酸型の酸発生剤と比べ、露光により酸性度の低い酸が発生するため、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRを向上させることができる。
【0009】
上記式(1)で表される化合物は、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0010】
上記式(1)で表される化合物を、スルホ基が結合する炭素原子に電子求引性基が結合している上記式(1−1)で表される化合物とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度を適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0011】
上記式(1−1)におけるXは、カルボニル基であることが好ましい。上記電子求引性基Xとしてカルボニル基を導入することで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0012】
上記式(1−1)におけるRは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。Rを適度な嵩高さを持つ上記特定構造を有する基とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の拡散を適度に抑制することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0013】
上記式(1−1)におけるRは、水素原子であることが好ましい。Rを水素原子とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度をさらに適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0014】
[A1]酸発生剤は、スルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物であることが好ましい。[A1]特定酸発生剤を上記特定の塩化合物の形態とすることで、[A1]特定酸発生剤の感放射線性をより向上させることができる。
【0015】
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)当該感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)上記形成されたレジスト膜を露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有する。
【0016】
当該形成方法によると、当該感放射線性樹脂組成物を用いているのでLWRに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0017】
上記工程(2)における露光は、液浸露光であることが好ましい。液浸露光工程であっても、当該形成方法は適用できることから、より微細なレジストパターンを形成でき、今後更に微細化が進行すると予想されるリソグラフィー工程において好適である。
【0018】
本発明には、放射線の照射により下記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤が含まれる。
【化3】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0019】
当該酸発生剤は、モノフルオロスルホン酸型の酸発生剤であるところ、従来のジフルオロスルホン酸型の酸発生剤と比べ、露光により酸性度の低い酸が発生するため、当該酸発生剤を含有する感放射線性樹脂組成物は、LWRに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0020】
上記式(1)で表される化合物は、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。また、上記式(1−1)におけるXは、カルボニル基であることが好ましい。
【化4】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0021】
本発明には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
【化5】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0022】
当該化合物は、本発明の酸発生剤を製造するための原材料等として好適である。
【0023】
上記式(1)で表される化合物は、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。また、上記式(1−1)におけるXは、カルボニル基であることが好ましい。
【化6】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【0024】
上記式(1)で表される化合物は、スルホ基が結合する炭素原子に電子求引性基Xが結合することで、より容易に合成することができ、また、この電子求引性基Xがカルボニル基とすることで、さらに容易に合成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、LWRに優れたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物を提供することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターン形成方法は、液浸露光工程であっても適用でき、より微細なレジストパターンを形成できる。本発明の酸発生剤を含有する感放射線性樹脂組成物は、LWRに優れたレジストパターンを形成することができる。本発明の化合物は、当該酸発生剤を製造するための原材料等として好適である。従って、これらは、今後更に微細化が進行すると予想されるリソグラフィー工程において好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A1]特定酸発生剤を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[B]ベース重合体、[C]フッ素原子含有重合体及び[D]酸拡散制御剤を含有してもよい。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0027】
<[A1]特定酸発生剤>
[A1]特定酸発生剤は、放射線の照射により上記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤である。
【0028】
上記式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。
【0029】
上記R及びRで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の炭化水素基;エーテル結合、カルボニル基、エステル基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくも1種を有する総炭素数1〜20の有機基等が挙げられる。
【0030】
上記炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの基は、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、アリール基、アルケニル基等で置換されていてもよい。
【0031】
上記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、直鎖状又は分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。上記炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては例えばフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0032】
エーテル結合を有する総炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20びアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメチル基等が挙げられる。カルボニル基を有する総炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数2〜20のアシル基等が挙げられる。具体的には、例えばアセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。エステル基を有する総炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数2〜20のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。スルホニル基を有する総炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数3〜20のシクロアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基等が挙げられる。具体的には、例えばメタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0033】
上記式(1)で表される化合物としては、上記式(1−1)で表される化合物が好ましい。上記式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。上記式(1)で表される化合物として、スルホ基が結合する炭素原子に電子求引性基が結合している上記式(1−1)で表される化合物とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度を適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0034】
上記Xで表される電子求引性基としては、例えば−CO−、−CONH−、−COO−、−C(=NR’)−、−SO−、−SO−、下記式(a)で表される基等が挙げられる。R’は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
【0035】
【化7】

【0036】
上記式(a)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20のアシル基である。)
【0037】
上記R’及びRで表される1価の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0038】
上記Rで表されるアシル基としては、例えば、
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基等の飽和脂肪族カルボン酸由来の基;
ノルボルナンカルボニル基、アダマンタンカルボニル基等の脂環式カルボン酸由来の基;
アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオロイル基等の不飽和脂肪族カルボン酸由来の基;
ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等の芳香族カルボン酸由来の基等が挙げられる。
【0039】
Xとしては、カルボニル基(−CO−)が好ましい。上記電子求引性基Xとしてカルボニル基を導入することで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0040】
としては、水素原子であることが好ましい。上記Rを水素原子とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の酸性度をさらに適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0041】
上記Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば上記R及びRで表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示した基が挙げられる。Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。上記置換基としては、例えばヒドロキシル基、チオール基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。上記Rを、適度な嵩高さを持つ置換基を有していてもよい炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基とすることで、[A1]特定酸発生剤から発生する酸の拡散を適度に抑制することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのLWRをより向上させることができる。
【0042】
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1a−1)〜(1a−16)で表される化合物等が挙げられる。
【化8】

【0043】
これらの中で、上記式(1)で表される化合物としては、上記式(1a−1)〜(1a−12)で表される化合物が好ましく、上記式(1a−1)〜(1a−4)で表される化合物、上記式(1a−8)で表される化合物がより好ましく、上記式(1a−1)及び(1a−2)で表される化合物がさらに好ましい。
【0044】
[A1]特定酸発生剤は、通常、上記式(1)で表される化合物のスルホ基のプロトンを除いたスルホネートアニオンと、カチオンとで構成される。[A1]特定酸発生剤を構成するカチオンとしては、安定して[A1]特定酸発生剤を形成し得るカチオンである限り特に限定されず、1価でも2価以上であってもよい。カチオンとしては、例えばO、S、Se、N、P、As、Sb、Cl、Br、I等のオニウムカチオンが挙げられる。これらのうち、S、Iが好ましい。即ち、[A1]特定酸発生剤は、スルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物であることが好ましい。[A1]特定酸発生剤を上記特定の塩化合物の形態とすることで、[A1]特定酸発生剤の感放射線性をより向上させることができる。
【0045】
1価のオニウムカチオンとしては、例えばスルホニウムカチオンとして下記式(2)で表されるカチオンが、ヨードニウムカチオンとして式(3)で表されるカチオン等が挙げられる。
【0046】
【化9】

【0047】
上記式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基である。但し、R、R及びRのうち、いずれか2つ以上が互いに結合してそれぞれが結合している硫黄原子と共に環構造を形成してもよい。
【0048】
【化10】

【0049】
上記式(3)中、R及びRは、それぞれ独立して置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール基である。但し、R及びRは、互いに結合してそれぞれが結合しているヨウ素原子と共に環構造を形成してもよい。
【0050】
上記式(2)で表されるオニウムカチオンとしては、下記式(2−1)、式(2−2)で表されるオニウムカチオンが好ましい。上記式(3)で表されるオニウムカチオンとしては、下記式(3−1)で表されるオニウムカチオンが好ましい。
【0051】
【化11】

【0052】
上記式(2−1)中、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基である。a、b及びcは、それぞれ独立して0〜5の整数である。但し、R、R10及びR11がそれぞれ複数の場合、複数のR、R10及びR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、2以上のR、R10及びR11は互いに結合して、環構造を形成してもよい。
上記式(2−2)中、R12は、置換されていてもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜8のアリール基である。R13は、置換されていてもよい炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜7のアリール基である。dは、0〜7の整数である。eは、0〜6の整数である。fは、0〜3の整数である。但し、R12及びR13がそれぞれ複数の場合、複数のR12及びR13はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、2以上のR12及びR13はそれぞれが互いに結合して、環構造を形成してもよい。
【0053】
【化12】

【0054】
上記式(3−1)中、R14及びR15は、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基である。g及びhは、それぞれ独立して0〜5の整数である。但し、R14及びR15がそれぞれ複数の場合、複数のR14及びR15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、2以上のR14及びR15はそれぞれが互いに結合して、環構造を形成してもよい。
【0055】
上記スルホニウムカチオンとしては、例えば下記式(i−1)〜(i−64)で表されるカチオン等が挙げられる。上記ヨードニウムカチオンとしては、例えば下記式(ii−1)〜(ii−39)で表されるカチオン等が挙げられる。
【0056】
【化13】

【0057】
【化14】

【0058】
【化15】

【0059】
【化16】

【0060】
【化17】

【0061】
【化18】

【0062】
これらのうち、上記式(i−1)、式(i−2)、式(i−6)、式(i−8)、式(i−13)、式(i−19)、式(i−25)、式(i−27)、式(i−29)、式(i−33)、式(i−51)、式(i−54)、式(ii−1)、式(ii−11)で表されるオニウムカチオンが好ましい。
【0063】
上記オニウムカチオンは、例えばAdvances in Polymer Science,Vol.62,p.1−48(1984)に記載されている一般的な方法に準じて製造することができる。
【0064】
[A1]特定酸発生剤としては、下記式(a−1)〜(a−16)で表される化合物等が挙げられる。
【化19】

【0065】
上記式(a−1)〜(a−16)中、Mは、1価のオニウムカチオンである。
【0066】
これらの中で、[A1]特定酸発生剤としては、上記式(a−1)〜(a−12)で表される化合物が好ましく、上記式(a−1)〜(a−4)で表される化合物、上記式(a−8)で表される化合物がより好ましく、上記式(a−1)及び(a−2)で表される化合物がさらに好ましい。
【0067】
[A1]特定酸発生剤は、2種以上を組み合わせて用いることができる。また、[A1]特定酸発生剤としては、[A2][A1]特定酸発生剤以外の酸発生剤(以下、「[A2]酸発生剤」とも称する)を含むことができる。
【0068】
[A2]酸発生剤としては、下記式(8)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【化20】

【0070】
上記式(8)中、R11は、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基である。rは、0〜10の整数である。R12は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜10の(シクロ)アルカンスルホニル基である。但し、R12が複数の場合、複数のR12は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R13は、それぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基である。但し、2個のR13は、それらが結合している硫黄原子と共に炭素数2〜10の1価の基を形成してもよい。kは、0〜2の整数である。Zは、R142ySO、R14SO、又は下記式で表されるアニオンである。R14は、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基である。yは、1〜10の整数である。
【0071】
【化21】

【0072】
上記式中、R15は、それぞれ独立して炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。但し、2個のR15は、互いに結合して、炭素数2〜10のフッ素化アルキレン基を形成していてもよい。
【0073】
上記R11、R12及びR13で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
【0074】
上記R11及びR12で表される炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、i−プロポキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の分岐状アルコキシ基等が挙げられる。これらのうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基が好ましい。
【0075】
上記R11で表される炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基等の直鎖状アルコキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等の分岐状アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらのうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基が好ましい。
【0076】
上記R12で表される炭素数1〜10の(シクロ)アルカンスルホニル基としては、例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基等の直鎖状アルカンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基等の分岐状アルカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等のシクロアルカンスルホニル基等が挙げられる。これらのうち、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基が好ましい。
【0077】
rとしては、0〜2の整数が好ましい。
【0078】
上記R13で表されるアリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブトキシフェニル基等の置換フェニル基、ナフチル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、2,3−ジメチル−1−ナフチル基、2,4−ジメチル−1−ナフチル基、2,5−ジメチル−1−ナフチル基、2,6−ジメチル−1−ナフチル基、2,7−ジメチル−1−ナフチル基、2,8−ジメチル−1−ナフチル基、3,4−ジメチル−1−ナフチル基、3,5−ジメチル−1−ナフチル基、3,6−ジメチル−1−ナフチル基、3,7−ジメチル−1−ナフチル基、3,8−ジメチル−1−ナフチル基、4,5−ジメチル−1−ナフチル基、5,8−ジメチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、1−(4−メトキシナフチル)基、1−(4−エトキシナフチル)基、1−(4−n−プロポキシナフチル)基、1−(4−n−ブトキシナフチル)基、2−(7−メトキシナフチル)基、2−(7−エトキシナフチル)基、2−(7−n−プロポキシナフチル)基、2−(7−n−ブトキシナフチル)基等の置換ナフチル基等が挙げられる。これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。
【0079】
上記2個のR13が、それらが結合している硫黄原子と共に形成してもよい炭素数2〜10の1価の基としては、5員環又は6員環を含む基が好ましく、テトラヒドロチオフェン環を含む基がより好ましい。なお、この1価の基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい。R13としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基であるか、又は2個のR13が互いに結合し硫黄原子と共に形成するテトラヒドロチオフェン環を含む基が好ましい。
【0080】
上記式(8)におけるカチオンとしては、トリフェニルスルホニウムカチオン、トリ−1−ナフチルスルホニウムカチオン、トリ(tert−ブチルフェニル)スルホニウムカチオン、4−フルオロフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、ジ(4−フルオロフェニル)フェニルスルホニウムカチオン、トリ(4−フルオロフェニル)スルホニウムカチオン、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4−シクロヘキサンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、1−ナフチルジメチルスルホニウムカチオン、1−ナフチルジエチルスルホニウムカチオン、1−(4−ヒドロキシナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−メチルナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−メチルナフチル)ジエチルスルホニウムカチオン、1−(4−シアノナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−シアノナフチル)ジエチルスルホニウムカチオン、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−メトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−エトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−n−プロポキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−メトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−エトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−n−プロポキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオンが好ましい。
【0081】
上記yとしては、1、2、4又は8が好ましい。
【0082】
上記R14で表される炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜12の有橋脂環式炭化水素基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ノルボルニル基、ノルボニルメチル基、ヒドロキシノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0083】
上記R15で表される炭素数1〜10のフッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0084】
上記2個のR15が互いに結合して形成してもよい炭素数2〜10の2価のフッ素化アルキレン基としては、例えばテトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等が挙げられる。
【0085】
上記式(8)におけるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パーフルオロn−ブタンスルホネートアニオン、パーフルオロn−オクタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネートアニオン、1−アダマンチルスルホネートアニオン、下記式で表されるアニオンが好ましい。
【0086】
【化22】

【0087】
[A2]酸発生剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0088】
[A2]酸発生剤を含む場合、[A2]酸発生剤の含有量としては、[A1]特定酸発生剤を100質量部として、通常1質量部〜95質量部、10質量部〜90質量部が好ましい。
【0089】
[A1]特定酸発生剤の含有量としては、[B]ベース重合体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜15質量部がより好ましい。[A1]特定酸発生剤の含有量が0.1質量部未満であると、レジスト膜としての感度や解像度が低下する場合がある。一方、[A1]特定酸発生剤の含有量が20質量部を超えると、レジスト膜としての塗布性やパターン形成性が低下する場合がある。
【0090】
<[A1]特定酸発生剤の合成方法>
[A1]特定酸発生剤の合成方法について下記式で表される酸発生剤を例に説明する。
【0091】
【化23】

【0092】
上記式(A−1)中、R、R及びXは、上記式(1−1)と同義である。Qは、1価のオニウムカチオンである。
【0093】
上記Xが、カルボニル基である場合の[A1]特定酸発生剤の合成方法について説明する。この合成方法は、
下記式(1a)で表される化合物とフッ素化アルカリ金属とを反応させて、下記式(1b)で表される化合物を得る工程(A)、
下記式(1b)で表される化合物とブロモ化剤を反応させて下記式(1c)で表される化合物を得る工程(B)、
下記式(1c)で表される化合物とジオール類とを反応させて下記式(1d)で表される化合物を得る工程(C)、
下記式(1d)で表される化合物とスルフィン酸塩とを反応させた後、酸化剤と反応させて下記式(1e)で表される化合物を得る工程(D)、及び
下記式(1e)で表される化合物と下記式(1f)で表されるオニウム塩とを反応させて上記式(A−1)で表される化合物を得る工程(E)
を含む。
上記Xがカルボニル基であることで、工程(A)及び工程(B)における反応をより容易に進行させることができる。
【0094】
【化24】

【0095】
上記式(1a)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。
【0096】
【化25】

【0097】
上記式(1b)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。
【0098】
【化26】

【0099】
上記式(1c)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。
【0100】
【化27】

【0101】
上記式(1d)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。Rは、2価の有機基である。
【0102】
【化28】

【0103】
上記式(1e)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。
【0104】
【化29】

【0105】
上記式(1f)中、Qは、上記式(A−1)と同義である。Zは、1価のアニオンである。
【0106】
工程(A)において用いるフッ化アルカリ金属としては、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム等が挙げられる。フッ化アルカリ金属の使用量としては、上記式(1a)で表される化合物1molに対して1mol〜20molが好ましく、2mol〜10molがより好ましい。また、工程(A)は溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、通常、炭化水素系溶媒が用いられ、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が用いられる。
【0107】
工程(A)は、相間移動触媒存在下で行うことが好ましい。相間移動触媒としては、24−クラウン−8、18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラウン−4、ベンゾ−18−クラウン−6、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−12−クラウン−4、ジベンゾ−30−クラウン−10、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−21−クラウン−7、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−24−クラウン−8、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、N,N’−ジベンジル−4,13−ジアザ−18−クラウン−6等のクラウンエーテル類が挙げられる。反応温度としては、通常0℃〜200℃であり、20℃〜150℃が好ましい。反応圧力としては、通常1×10N/m〜10N/mであり、好ましくは大気圧である。反応時間としては、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜20時間である。
【0108】
工程(B)において用いるブロモ化剤としては、例えばピリジニウムブロミドペルブロミド等が挙げられる。ブロモ化剤の使用量としては、上記式(1b)で表される化合物1molに対して1mol〜20molが好ましく、1mol〜5molがより好ましい。また、本工程は溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒である。反応温度としては、通常、0℃〜200℃であり、10℃〜100℃が好ましい。反応圧力としては、通常1×10N/m〜10N/mであり、好ましくは大気圧である。反応時間としては、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜20時間である。
【0109】
工程(C)において用いられるジオール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。ジオール類の使用量としては、上記式(1c)で表される化合物1molに対して1mol〜20molが好ましく、2mol〜10molがより好ましい。また、本工程は溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、通常、炭化水素系溶媒が用いられ、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が用いられる。さらに、本工程は酸触媒存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、例えば濃硫酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等が挙げられる。反応温度としては、通常0℃〜200℃であり、20℃〜150℃が好ましい。反応圧力としては、通常1×10N/m〜10N/mであり、好ましくは大気圧である。反応時間としては、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜20時間である。
【0110】
工程(D)において用いられるスルフィン酸塩としては、例えばスルフィン酸ナトリウム、スルフィン酸カリウム等が挙げられる。スルフィン酸塩の使用量としては、上記式(1d)で表される化合物1molに対して1mol〜20molが好ましく、1mol〜5molがより好ましい。また、スルフィン酸塩との反応は、好ましくは有機溶媒と水との混合溶媒中で行われる。有機溶媒としては、例えば低級アルコール類、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等の、水との相溶性のよい溶媒が好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドがより好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。有機溶媒の使用割合としては、有機溶媒と水との合計100質量部に対して、通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上90質量部以下である。
【0111】
スルフィン酸塩と反応させる際には塩基性条件下で行うことが好ましい。塩基性条件下の反応とするためには、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を用いることができる。スルフィン酸塩と反応させる際の反応温度としては、通常0℃〜200℃であり、20℃〜150℃が好ましい。反応圧力としては、通常1×10N/m〜10N/mであり、好ましくは大気圧である。反応時間としては、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜20時間である。
【0112】
工程(D)において用いられる酸化剤としては、例えば過酸化水素、メタクロロ過安息香酸、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。酸化剤の使用量としては、上記式(1d)で表される化合物1molに対して1mol〜20molが好ましく、1mol〜5molがより好ましい。また、上記酸化剤とともに遷移金属触媒を併用することもできる。遷移金属触媒としては、例えばタングステン酸二ナトリウム、塩化鉄(III)、塩化ルテニウム(III)、酸化セレン(IV)等が挙げられる。酸化剤と反応させる際の反応温度としては、通常0℃〜200℃であり、20℃〜150℃が好ましい。反応圧力としては、通常1×10N/m〜10N/mであり、好ましくは大気圧である。反応時間としては、通常0.1時間〜100時間であり、好ましくは0.5時間〜20時間である。
【0113】
上記Zで表される1価のアニオンとしては、例えばCl、Br、HSO、HPO、BF、脂肪族スルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0114】
工程(E)は、通常、反応溶媒中で行われる。反応溶媒としては、水、低級アルコール類、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が好ましく、水、メタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドがより好ましく、水が特に好ましい。また必要に応じて、水と有機溶媒とを併用することができ、この場合の有機溶媒の使用割合としては、水と有機溶媒との合計100質量部に対して、通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部〜90質量部である。反応溶媒の使用量としては、対イオン交換前駆体(上記式(1e)で表される化合物)1質量部に対して、通常1質量部〜100質量部、好ましくは2質量部〜100質量部、特に好ましくは5質量部〜50質量部である。反応温度としては、通常0℃〜80℃、好ましくは5℃〜30℃である。反応時間としては、通常0.1時間〜16時間、好ましくは0.5時間〜6時間である。
【0115】
上記式(A−1)におけるXが、−CONH−、−COO−、−SO−又は−SO−基である場合の[A1]特定酸発生剤の合成方法について説明する。具体的には、下記式(1g)で表される化合物とスルフィン酸塩とを反応させた後、酸化剤と反応させて上記式(1h)で表される化合物を得る工程(F)と、下記式(1h)で表される化合物と上記式(1f)で表されるオニウム塩とを反応させて上記式(A−1)で表される化合物を得る工程(G)を含む。工程(F)及び工程(G)は、それぞれ上記工程(D)、上記工程(E)と同様に行うことができる。上記式(A−1)におけるXが上記基である場合でも、上記工程(A)及び工程(B)における反応を容易に進行させることができる。
【0116】
【化30】

【0117】
上記式(1g)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。Xは、−CONH−、−COO−、−SO−又は−SO−基である。Zは、Br又はClである。
【0118】
【化31】

【0119】
上記式(1h)中、R及びRは、上記式(1−1)と同義である。Xは、上記式(1g)と同義である。
【0120】
<[B]ベース重合体>
当該感放射線性樹脂組成物は、[B]ベース重合体を含有することが好ましい。[B]ベース重合体は、当該感放射線性樹脂組成物のベース樹脂となる成分である。[B]ベース重合体としては、例えば
酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の重合体であって、その酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる重合体(以下、「[B1]酸解離性基含有重合体」とも称する);
アルカリ現像液と親和性を示す官能基、例えばフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基等の酸素含有官能基を1種以上有しアルカリ現像液に可溶な重合体(以下、「[B2]アルカリ可溶性重合体」とも称する)等が挙げられる。
【0121】
[B1]酸解離性基含有重合体を含む感放射線性樹脂組成物は、ポジ型感放射線性樹脂組成物として好適に用いることができる。[B2]アルカリ可溶性重合体を含む感放射線性樹脂組成物は、ネガ型感放射線性樹脂組成物として好適に用いることができる。
【0122】
また、当該感放射線性樹脂組成物が、後述する[C]フッ素原子含有重合体とともに[B]ベース重合体を含有する場合、[B]ベース重合体におけるフッ素原子含有率は、[C]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率よりも小さいことが好ましい。[B]ベース重合体のフッ素原子含有率としては、[B]ベース重合体全体を100質量%とした場合に、通常10質量%未満であり、好ましくは0質量%〜6質量%である。なお、本明細書におけるフッ素原子含有率は13C−NMRを用いて重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
【0123】
[B]ベース重合体と[C]フッ素原子含有重合体とを含む感放射線性樹脂組成物を用いて、レジスト膜を形成した場合、[C]フッ素原子含有重合体の疎水性に起因して、レジスト膜の表面において[C]フッ素原子含有重合体の分布が高くなる傾向がある。即ち、[C]フッ素原子含有重合体が、レジスト膜表層に偏在する。従って、レジスト膜と液浸露光用液体を遮断することを目的とした上層膜を別途形成する必要がなく、液浸露光法に好適に用いることができる。
【0124】
[[B1]酸解離性基含有重合体]
[B1]酸解離性基含有重合体は、重合体の主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖に酸解離性基を有する重合体である。これらのうち、側鎖に酸解離性基を有する重合体が好ましい。
【0125】
[B1]酸解離性基含有重合体は、酸解離性基を有する構造単位(b1)を含む。また、[B1]酸解離性基含有重合体は、ラクトン骨格を有する構造単位(b2)、及び[B]ベース重合体としての効果を損なわない限り、その他の構造単位を含んでいてもよい。なお、[B1]酸解離性基含有重合体は、各構造単位を2種以上含んでいてもよい。以下、各構造単位を詳述する。
【0126】
(構造単位(b1))
構造単位(b1)としては、例えば下記式(4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0127】
【化32】

【0128】
上記式(4)中、R16は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R17、R18及びR19は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の脂環式炭化水素基である。また、R18及びR19は互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成してもよい。
【0129】
構造単位(b1)としては、下記式(4−1)及び式(4−2)で表される構造単位が好ましい。
【0130】
【化33】

【0131】
上記式(4−1)及び(4−2)中、R16は、式(4)と同義である。R17は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。iは、1〜10の整数である。
【0132】
上記R17で表される炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0133】
構造単位(b1)を与える単量体としては、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル及び(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチルエステルが好ましい。
【0134】
[B1]酸解離性基含有重合体における構造単位(b1)の含有割合としては、全構造単位に対して、好ましくは5モル%〜85モル%、より好ましくは10モル%〜70モル%、特に好ましくは15モル%〜60モル%である。構造単位(b1)の含有割合が5モル%未満であると、当該感放射線性樹脂組成物の現像性や露光余裕が悪化する場合がある。一方、構造単位(b1)の含有割合が85モル%を超えると、[B1]酸解離性基含有重合体の溶媒への溶解性及び当該感放射線性樹脂組成物の解像度が悪化する場合がある。
【0135】
(構造単位(b2))
構造単位(b2)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0136】
【化34】

【0137】
上記式中、R20は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基である。R21は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。R22は、それぞれ独立して水素原子又はメトキシ基である。X1は、単結合又は2価の連結基である。X2は、酸素原子又はメチレン基である。jは、1〜3の整数である。kは、0又は1である。
【0138】
上記R21で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。上記R21で表される置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基の置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フェニル基、アセトキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0139】
[B1]酸解離性基含有重合体が構造単位(b2)を含む場合、構造単位(b2)の含有割合としては、全構造単位に対して、好ましくは10モル%〜70モル%、より好ましくは15モル%〜60モル%、特に好ましくは20モル%〜50モル%である。構造単位(b2)の含有割合が10モル%未満であると、レジストとしての解像度が低下する場合がある。一方、構造単位(b2)の含有割合が70モル%を超えると、現像性や露光余裕が悪化する場合がある。
【0140】
(その他の構造単位)
[B1]酸解離性基含有重合体は、構造単位(b1)及び構造単位(b2)以外の、その他の構造単位を含んでいてもよい。その他の構造単位としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアダマンチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;後述するアルカリ可溶性を有する構造単位;環状カーボネート構造を有する構造単位;WO2007/116664に記載の脂環式構造を有する構造単位等が挙げられる。
【0141】
[B1]酸解離性基含有重合体の重量平均分子量(Mw)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によるポリスチレン換算で、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは1,000〜40,000、特に好ましくは1,000〜30,000である。Mwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の塗布性及び現像欠陥抑制性が向上する。Mwが1,000未満であると、十分な耐熱性を有するレジスト膜が得られない場合がある。これに対し、Mwが50,000を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。なお、本明細書のMwは、GPCカラム(東ソー製、G2000HXL 2本、G2000HXL 2本、G3000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した値をいう。
【0142】
GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と、Mwとの比(Mw/Mn)としては、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。
【0143】
[[B2]アルカリ可溶性重合体]
[B2]アルカリ可溶性重合体は、例えば下記式でそれぞれ表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(b3)を有する。
【0144】
【化35】

【0145】
上記式中、R23及びR25は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基である。R24は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、−(CH−COOH、−O−(CH−COOH、−OCO−(CH−COOH又は−COO−(CH−COOHである。mは、1〜4の整数である。
【0146】
[B2]アルカリ可溶性重合体における構造単位(b3)の含有割合としては、[B2]アルカリ可溶性重合体を構成する全構造単位に対して、好ましくは10モル%〜100モル%、より好ましくは20モル%〜100モル%である。
【0147】
[B2]アルカリ可溶性重合体は、構造単位(b3)以外に、上述の「その他の構造単位」を1種以上有していてもよい。なお、[B2]アルカリ可溶性重合体は、各構造単位を2種以上含んでいてもよい。
【0148】
[B2]アルカリ可溶性重合体としては、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、4−ヒドロキシスチレン/4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体を主成分とする重合体が好ましい。
【0149】
[B2]アルカリ可溶性重合体のMwとしては、通常1,000〜150,000、好ましくは3,000〜100,000である。
【0150】
<[B]ベース重合体の合成方法>
[B]ベース重合体は、例えば連鎖移動剤の存在下、ラジカル重合開始剤を添加した溶媒中で、各構造単位を与える単量体を重合することで合成できる。
【0151】
上記溶媒としては、例えばn−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の単環シクロアルカン類;デカリン、ノルボルナン等の多環シクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロモヘキサン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0152】
重合温度としては、好ましくは40℃〜150℃、より好ましくは50℃〜120℃である。反応時間としては、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。なお、[B]ベース重合体は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。不純物の含有量が少ないと、レジスト膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をより向上することができる。[B]ベース重合体の精製法としては、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等が挙げられる。
【0153】
液々抽出に用いる溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類が挙げられる。これらのうち、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メタノール、エタノール、アセトン、2−ブタノンが好ましい。
【0154】
<[C]フッ素原子含有重合体>
当該感放射線性樹脂組成物が好適に含有できる[C]フッ素原子含有重合体は、その重合体の主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖に、フッ素原子を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物が[C]フッ素原子含有重合体を含有することにより、レジスト膜の表面付近に撥水性の層が形成され、[A1]特定酸発生剤や後述する[D]酸拡散制御剤等の液浸露光用液体に対する溶出を抑制できる。また、レジスト膜と液浸露光用液体との後退接触角の向上により、液浸露光用液体に由来する水滴が、レジスト膜上に残り難く、液浸露光用液体に起因する欠陥の発生を抑制できる。
【0155】
[C]フッ素原子含有重合体は、フッ素原子を有する構造単位(c1)を有することが好ましい。また、[C]フッ素原子含有重合体は、本発明の効果を損なわず、[C]フッ素原子含有重合体としての特性を有する限り、上記構造単位(c1)以外の構造単位を含んでいてもよい。そのような構造単位としては、例えば酸解離性基を有する構造単位(c2)が挙げられる。なお、[C]フッ素原子含有重合体は、各構造単位を2種以上含んでいてもよい。以下、各構造単位を詳述する。
【0156】
[構造単位(c1)]
構造単位(c1)としては、フッ素原子を有する限り特に限定されないが、下記式(c1−1)〜(c1−3)で表される構造単位が好ましい。以下、各構造単位をそれぞれ構造単位(c1−1)、構造単位(c1−2)及び構造単位(c1−3)と称する。
【0157】
【化36】

【0158】
上記式(c1−1)〜(c1−3)中、R26は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。R27は、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基又は炭素数3〜30のフッ素化脂環式炭化水素基である。R28は、(o+1)価の連結基である。R29は、水素原子、酸解離性基又は塩基解離性基を含む1価の有機基である。oは、1〜3の整数である。R30及びR31は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜30のフッ素化アルキル基である。但し、R29、R30及びR31がそれぞれ複数の場合、複数のR29、R30及びR31はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、全てのR30及びR31が水素原子である場合はない。R32は、2価の連結基である。
【0159】
上記R27で表される炭素数1〜30のフッ素化アルキル基としては、例えば少なくとも1以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はそれから誘導される基等が挙げられる。上記R27で表される炭素数3〜30のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えば少なくとも1以上のフッ素原子で置換された炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基等が挙げられる。
【0160】
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0161】
上記炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基としては、例えばシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基等が挙げられる。
【0162】
構造単位(c1−1)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのうちトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0163】
上記式(c1−2)及び(c1−3)中、下記式で表される部分構造としては、例えば下記式(f1)〜(f5)で表される基等が挙げられる。
【0164】
【化37】

【0165】
【化38】

【0166】
これらのうち、式(c1−2)においては上記式(f5)で表される基が好ましい。式(c1−3)においては上記式(f3)で表される基が好ましい。
【0167】
構造単位(c1−2)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0168】
【化39】

【0169】
上記式中、R26及びR29は、上記式(c1−2)と同義である。
【0170】
構造単位(c1−3)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0171】
【化40】

【0172】
上記式中、R26及びR29は、上記式(c1−3)と同義である。
【0173】
[構造単位(c2)]
構造単位(c2)としては、例えば下記式(5)で表される構造単位等が挙げられる。
【0174】
【化41】

【0175】
上記式(5)中、R37は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R38、R39及びR40は、それぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の脂環式炭化水素基若しくはその誘導体基である。但し、R39及びR40が互いに結合し、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基を形成してもよい。
【0176】
構造単位(c2)としては、下記式(5−1)で表される構造単位が好ましい。
【0177】
【化42】

【0178】
上記式(5−1)中、R37は、上記式(5)と同義である。R38は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。rは、1〜4の整数である。
【0179】
構造単位(c2)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチルエステル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチルエステルが好ましい。
【0180】
構造単位(c1)の含有割合としては、[C]フッ素原子含有重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%〜90モル%が好ましく、より好ましくは20モル%〜80モル%である。構造単位(c1)の含有割合を上記特定範囲とすることで、レジスト膜中の酸発生剤や酸拡散制御剤等の液浸露光用液体に対する溶出をより抑制し、またレジスト膜と液浸露光用液体との後退接触角のさらなる向上により、液浸露光用液体に由来する水滴がレジスト膜上に残り難く、液浸露光用液体に起因する欠陥の発生をさらに効率よく抑制することができる。
【0181】
構造単位(c2)の含有割合としては、[C]フッ素原子含有重合体を構成する全構造単位に対して、好ましくは80モル%以下、より好ましくは20モル%〜80モル%である。構造単位(c2)の含有割合を上記特定範囲とすることで、前進接触角と後退接触角との差を小さくすることができ、液浸露光時に液浸液の追随性が向上し、高速スキャンに対応できる点で好ましい。
【0182】
<[C]フッ素原子含有重合体の合成方法>
[C]フッ素原子含有重合体の合成方法としては、[B]ベース重合体の合成方法を好適に適用することができる。
【0183】
[C]フッ素原子含有重合体のMwとしては、GPC法によるポリスチレン換算で、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは1,000〜40,000、特に好ましくは1,000〜30,000である。Mwが1,000未満であると、十分な後退接触角を有するレジスト膜が得られない場合がある。これに対し、Mwが50,000を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。Mw/Mnとしては、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。
【0184】
[C]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率としては、[B]ベース重合体よりもフッ素原子の含有率が大きいことが好ましい。[C]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率としては、通常5質量%以上であり、好ましくは5質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜40質量%である。
【0185】
<[D]酸拡散抑制剤>
当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[D]酸拡散制御剤を含有してもよい。当該感放射線性樹脂組成物が、[D]酸拡散制御剤を含有することで、レジストパターン形状や寸法忠実度を向上させることができる。
【0186】
[D]酸拡散制御剤としては、例えば下記式(6)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」とも称する)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」とも称する)、窒素原子を3個以上有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」とも称する)、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0187】
【化43】

【0188】
上記式(6)中、R41、R42及びR43は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は酸解離性基である。
【0189】
含窒素化合物(II)としては例えばN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。含窒素複素環化合物としては、例えば2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0190】
また、[D]酸拡散制御剤としては、下記式(7)で表される化合物を用いることもできる。
(7)
【0191】
上記式(7)中、Yは、下記式(7−1)又は(7−2)で表されるカチオンである。Zは、OH、R49−COO、又はR49−SOである。R49は、置換されていてもよいアルキル基、脂環式炭化水素基又はアリール基である。
【0192】
【化44】

【0193】
上記式(7−1)中、R44、R45及びR46は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。上記式(7−2)中、R47及びR48は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。
【0194】
上記化合物は、露光により分解して酸拡散制御性を失う[D]酸拡散制御剤、いわゆる光分解性酸拡散制御剤として用いられる。光分解性酸拡散制御剤を含有することによって、露光部では酸が拡散し、未露光部では酸の拡散が制御されることにより露光部と未露光部とのコントラストに優れるため、特に当該感放射線性樹脂組成物のLWR及びMEEFの改善に有効である。
【0195】
[D]酸拡散制御剤の含有量としては、[B]ベース重合体100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。[D]酸拡散制御剤の含有量が10質量部を超えると、形成したレジスト膜の感度が低下する傾向にある。
【0196】
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の[A1]特定酸発生剤、[B]ベース重合体、[C]フッ素原子含有重合体及び[D]酸拡散制御剤に加え、界面活性剤等のその他の任意成分を含んでもよい。
【0197】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。市販品としては、例えばKP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。界面活性剤の含有量としては、[B]ベース重合体100質量部に対して、通常2質量部以下である。
【0198】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常、全固形分濃度が1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜25質量%となるように溶媒に溶解した後、例えば孔径0.1μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
【0199】
当該感放射線性樹脂組成物の調製に使用される溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0200】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0201】
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン等が挙げられる。
【0202】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
【0203】
エステル系溶媒としては、例えば
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル系溶媒;
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールモノアルキルエーテルアセテート系溶媒;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0204】
その他の溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶媒等が挙げられる。
【0205】
これらの溶媒のうち、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、多価アルコールモノアルキルエーテルアセテート系溶媒、環状ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンが好ましい。なお、これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0206】
<レジストパターンの形成方法>
本発明のレジストパターンの形成方法は、
(1)当該感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)上記形成されたレジスト膜を露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有する。当該形成方法によると、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、LWRに優れるレジストパターンを形成することができる。
【0207】
また、上記工程(2)における露光は、液浸露光であることが好ましい。液浸露光工程であっても、当該形成方法は適用できることから、より微細なレジストパターンを形成でき、今後更に微細化が進行すると予想されるリソグラフィー工程において好適である。
【0208】
工程(1)では、当該感放射線性樹脂組成物の溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することで、レジスト膜を形成する。具体的には、レジスト膜が所定の膜厚となるように感放射線性樹脂組成物溶液を塗布した後、プレベーク(PB)することで塗膜中の溶媒を揮発させ、レジスト膜を形成する。
【0209】
レジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
【0210】
PBの温度としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によるが、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。PBの時間としては、30秒〜600秒程度である。
【0211】
工程(2)では、工程(1)で形成されたレジスト膜に放射線を照射して露光する。露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザーがさらに好ましい。
【0212】
液浸露光とする場合は、液浸露光用液体を配置し、液浸露光用液体を介して放射線を照射する。液浸露光用液体としては、例えば純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等が挙げられる。
【0213】
露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。PEBにより、重合体成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの温度としては、感放射線性樹脂組成物の配合組成によるが、通常30℃〜200℃、好ましくは50℃〜170℃である。PEBの時間としては30秒〜60秒程度である。
【0214】
本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト膜上に保護膜を設けることもできる。さらに、液浸露光においてレジスト膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば特開2005−352384号公報等に開示されているように、レジスト膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。また、これらの技術は併用することができる。
【0215】
工程(3)では、工程(2)で露光されたレジスト膜を現像する。現像工程に使用される現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0216】
上記アルカリ性水溶液の濃度としては、10質量%以下が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超える場合、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、有機溶媒を添加することもできる。
【0217】
なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に水で洗浄して乾燥する。また、工程(3)では、有機溶媒を主成分とする現像液を用いてもよい。この場合、現像後に、一般に有機溶媒で洗浄し乾燥する。
【0218】
<酸発生剤及び化合物>
本発明には、放射線の照射により上記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤が含まれる。当該酸発生剤は、モノフルオロスルホン酸型の酸発生剤であるところ、従来のジフルオロスルホン酸型の酸発生剤と比べ、露光により酸性度の低い酸が発生するため、当該酸発生剤を含有する感放射線性樹脂組成物は、LWRに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0219】
また本発明には、上記式(1)で表される化合物が含まれる。当該化合物は、本発明の酸発生剤を製造するための原材料等として好適である。
【0220】
当該酸発生剤及び当該化合物の詳細及び好ましい態様等については、当該感放射線性樹脂組成物が含有する[A1]特定酸発生剤の項において記載した内容が適用できるためここでは、説明を省略する。
【実施例】
【0221】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0222】
<[A1]特定酸発生剤の合成>
[合成例1]
窒素置換した300mLの3つ口フラスコに、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(18−クラウン−6)を4.32g(16.4mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)を16.2g(0.28mol)及び脱水トルエンを60mL加えて攪拌し、懸濁液とした。そこへ、トルエン50mLに溶解させた1−アダマンチルブロモメチルケトン23.6g(92mmol)を、ゆっくり滴下し加えた。反応溶液を80℃まで昇温し、6時間加熱した。反応溶液を常温まで冷却し、超純水を150mL加えて分液操作により有機層を回収した。この有機層を超純水にて3回洗浄し、溶媒を減圧留去することで、下記式で表される化合物(a−1)(1−アダマンチルフルオロメチルケトン)を15.6g得た(収率86%、純度99.5%)。
【0223】
【化45】

【0224】
[合成例2]
窒素置換した300mLの3つ口フラスコに、化合物(a−1)8.81g(44.9mmol)及びテトラヒドロフラン100mLを加えて溶解させ、ピリジニウムブロミドペルブロミド28.71g(90mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解させた溶液をゆっくり加えた。その後、常温で3時間攪拌させた。反応終了後、ジクロロメタン100mLと超純水100mLを加え、分液操作により有機層を回収した。有機層を減圧留去により濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィにより精製し、下記式で表される化合物(a−2)(1−アダマンチルブロモフルオロメチルケトン)を10.9g得た(収率88.3%、純度95.0%)。
【0225】
【化46】

【0226】
[合成例3]
窒素置換した200mLのナス型フラスコに、化合物(a−2)8.25g(0.03mol)、脱水トルエン100mL、エチレングリコール9.31g(0.15mol)及びp−トルエンスルホン酸0.25g(1.5mmol)を加え、ディーンスターク管を装着して6時間加熱還流を行った。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、分液操作により有機層を回収した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、溶媒を減圧留去することで、下記式で表される化合物(a−3)を7.0g得た(収率73%、純度88%)。
【0227】
【化47】

【0228】
[実施例1]
窒素置換した300mLの3つ口フラスコに、ハイドロサルファイトナトリウム6.8g(0.04mol)及び炭酸水素ナトリウム3.36g(0.04mol)を仕込み、超純水50mLに溶解させた。そこへ、化合物(a−3)6.52g(0.02mol)のアセトニトリル50mL溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を昇温し、6時間加熱還流した。反応終了後、常温まで冷却し、反応液にタングステン酸二ナトリウムを0.33g(1mmol)加え、31質量%過酸化水素水6.6g(0.06mol)をゆっくり滴下した。常温で2時間攪拌した後、亜硫酸ナトリウムを加えて過剰な過酸化水素をクエンチした。反応液に希塩酸を加えて反応液のpHを3とし、1時間攪拌後、反応液にトリフェニルスルホニウムクロリド5.98g(0.02mol)を超純水50mLに溶解させた溶液を加え、1時間攪拌した。その後、反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を超純水で5回洗浄したのち、溶媒を減圧留去して下記式(A1−1)で表される化合物を8.1g得た。化合物(A1−1)の構造をH−NMR分析により確認した。なお、H−NMR分析には核磁気共鳴装置(日本電子製、JNM−ECP500)を使用した。
H−NMR(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン)δ:7.81(m,6H),7.65−7.76(m,9H),5.70(d,1H),1.92(s,3H),1.63−1.75(m,12H)
【0229】
【化48】

【0230】
[実施例2]
窒素置換した300mlの3つ口フラスコに、ハイドロサルファイトナトリウムを6.8g(0.04mol)、炭酸水素ナトリウム3.36g(0.04mol)を仕込み、超純水50mLに溶解させた。そこへ、クロロフルオロ酢酸1−アダマンチルを4.93g(0.02mol)のアセトニトリル50mL溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を昇温し、13時間加熱還流した。反応終了後、常温まで冷却し、反応液にタングステン酸二ナトリウムを0.33g(1mmol)加え、31質量%過酸化水素水6.6g(0.06mol)をゆっくり滴下した。常温で2時間攪拌した後、亜硫酸ナトリウムを加えて過剰な過酸化水素をクエンチした。反応液に希塩酸を加えて反応液のpHを3とし、1時間攪拌後、反応液にトリフェニルスルホニウムクロリド5.98g(0.02mol)を超純水50mLに溶解させた溶液を加え、1時間攪拌した。その後、反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を超純水で5回洗浄したのち、溶媒を減圧留去して下記式(A1−2)で表される化合物を8.8g得た。化合物(A1−2)の構造を、上記核磁気共鳴装置を用い、H−NMR分析により確認した。
H−NMR(測定溶媒:CDCl、基準物質:テトラメチルシラン)δ:7.81(m,6H),7.65−7.76(m,9H),5.80(d,1H),1.92(s,3H),1.63−1.75(m,12H)
【0231】
【化49】

【0232】
<[B]ベース重合体の合成>
[合成例4]
下記式で表される化合物(M−1)11.92g、化合物(M−2)41.07g、化合物(M−3)15.75g、化合物(M−4)11.16及び化合物(M−5)20.10g及びジメチル2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)3.88gを2−ブタノン200gに溶解し、単量体溶液を調製した。1,000mLの三口フラスコに2−ブタノン100gを投入し、30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱した。そこへ、上記調製した単量体溶液を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後2時間80℃にて熟成した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した。その重合溶液をエバポレーターにて重合溶液の質量が200gになるまで減圧濃縮した。その後、重合液を1,000gのメタノールへ投入し、再沈操作を行った。析出したスラリーを吸引濾過して濾別し、固形分をメタノールにて3回洗浄した。得られた粉体を60℃で15時間真空乾燥し、白色粉体(重合体(B−1))を88.0g(収率88%)得た。重合体(B−1)のMwは9,300、Mw/Mnは1.60であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、(M−2)、(M−3)、(M−4)及び(M−5)に由来する構造単位の各含有割合は、16mol%(構造単位(b1))、26mol%(構造単位(b1))、19mol%(構造単位(b2))、11mol%(その他の構造単位)、28mol%(構造単位(b2))であった。なお、13C−NMR分析は(日本電子製、JNM−ECP500)を使用した。フッ素原子含有率は0質量%であった。
【0233】
【化50】

【0234】
<[C]フッ素原子含有重合体の合成>
[合成例5]
下記式で表される化合物(M−6)3.8g及び化合物(M−7)1.2gを、2−ブタノン10gに溶解し、更に2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.09gを100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、加熱開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合溶液の質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。重合液を0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。混合液を濾過し、固形分をn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥し、白色の粉体(重合体(C−1))を3.75g(収率75%)得た。重合体(C−1)のMwは9,400、Mw/Mnは1.50であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−6)及び(M−7)に由来する構造単位の各含有割合は、68.5mol%(構造単位(c1))及び31.5mol%(構造単位(c2))であった。フッ素原子含有率は21.4質量%であった。
【0235】
【化51】

【0236】
[合成例6]
下記式で表される化合物(M−8)4.06g及び上記式で表される化合物(M−7)0.94gを、2−ブタノン10gに溶解し、更に2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.07gを100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、加熱開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合溶液の質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。重合液を0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。混合液を濾過し、固形分をn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥し、白色の粉体(重合体(C−2))を3.5g(収率70%)得た。重合体(C−2)のMwは11,400、Mw/Mnは1.50であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−8)及び(M−7)に由来する構造単位の各含有割合は、70.9mol%(構造単位(c1))及び29.1mol(構造単位(c2))%であった。フッ素原子含有率は19.4質量%であった。
【0237】
【化52】

【0238】
[合成例7]
下記式で表される化合物(M−9)1.42g及び化合物(M−10)3.58gを、2−ブタノン10gに溶解し、更に2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.14gを100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、加熱開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合溶液の質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。重合液を0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。混合液を濾過し、固形分をn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥し、白色の粉体(重合体(C−3))を3.85g(収率77%)得た。重合体(C−3)のMwは7,400、Mw/Mnは1.50であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−9)及び(M−10)に由来する構造単位の各含有割合は、30.5mol%(構造単位(c1))及び69.5mol%(構造単位(c2))であった。フッ素原子含有率は10.3質量%であった。
【0239】
【化53】

【0240】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
以下、実施例及び比較例の調製に用いた各成分の詳細を示す。
【0241】
[A2]酸発生剤
A2−1:下記式(A2−1)で表される化合物
A2−2:下記式(A2−2)で表される化合物
【0242】
【化54】

【0243】
[D]酸拡散制御剤
D−1:下記式(D−1)で表される化合物
D−2:下記式(D−2)で表される化合物
D−3:下記式(D−3)で表される化合物
【0244】
【化55】

【0245】
[E]溶媒
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
E−3:γ−ブチロラクトン
【0246】
[実施例3]
[A1]特定酸発生剤としての化合物(A−1)8質量部、[B]ベース重合体としての(B−1)100質量部、[C]フッ素原子含有重合体としての(C−1)5質量部、及び[D]酸拡散制御剤としての(D−1)0.6質量部を、[E]溶媒としての(E−1)1,881質量部、(E−2)806質量部及び(E−3)200質量部に加え溶液とした。この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0247】
[実施例4〜12及び比較例1〜3]
表1に示す種類及び配合量の各成分を使用したこと以外は、実施例3と同様に操作して各感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0248】
<評価>
各感放射線性樹脂組成物を用いて、下記の特性を評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
【0249】
[LWR]
12インチのシリコンウェハ表面にARC66(日産化学工業製)をスピンコートにより塗布した。次いで、205℃で60秒ベークし、膜厚105nmの下層膜を形成した。下層膜を形成した基板に、調製した各感放射線性樹脂組成物をスピンコートし、100℃で50秒間プレベークを行った後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次いで、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Outerσ/innerσ=0.977/0.782、Dipole、v偏光照明の光学条件にて、40nmライン/80nmピッチのBrightFieldパターンを投影するためのマスクを介して露光した。引き続き、ホットプレートを用いて95℃で50秒間PEBを行った。次いで、現像ユニットのGPノズルにて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液として10秒間パドル現像し、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンが形成された基板を得た。このとき、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量とし、最適露光量を感度(mJ/cm)とした。最適露光量にて解像した40nmライン/80nmピッチのレジストパターンの観測において、日立製作所製測長SEM:CG4000にてパターン上部から観察する際、線幅を任意のポイントで10点観測し、その測定値の分布度を3シグマで表現した値をLWR(nm)とした。この値が小さいほど現像後のパターンの線幅の均一性が良好であると判断できる。
【0250】
【表1】

【0251】
表1の結果から明らかなように、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンはLWRに優れることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0252】
本発明によれば、LWRに優れたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物を提供することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターン形成方法は、液浸露光工程であっても適用でき、より微細なレジストパターンを形成でき、今後更に微細化が進行すると予想されるリソグラフィー工程においても好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A1]放射線の照射により下記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤
を含有する感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項2】
上記式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表される化合物である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項3】
上記式(1−1)におけるXが、カルボニル基である請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
上記式(1−1)におけるRが、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基である請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
上記式(1−1)におけるRが、水素原子である請求項2、請求項3又は請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
[A1]酸発生剤が、スルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
(1)請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)上記形成されたレジスト膜を露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有するレジストパターン形成方法。
【請求項8】
上記工程(2)における露光が、液浸露光である請求項7に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項9】
放射線の照射により下記式(1)で表される化合物を発生する酸発生剤。
【化3】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項10】
上記式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表される化合物である請求項9に記載の酸発生剤。
【化4】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項11】
上記式(1−1)におけるXが、カルボニル基である請求項10に記載の酸発生剤。
【請求項12】
下記式(1)で表される化合物。
【化5】

(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項13】
上記式(1)で表される化合物が、下記式(1−1)で表される化合物である請求項12に記載の化合物。
【化6】

(式(1−1)中、Rは、上記式(1)と同義である。Xは、電子求引性基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
【請求項14】
上記式(1−1)におけるXが、カルボニル基である請求項13に記載の化合物。

【公開番号】特開2013−83944(P2013−83944A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196209(P2012−196209)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】