説明

感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物

【課題】トップロスを抑制して矩形性が良好であり、LWR抑制能も満足し、かつパターン倒れが抑制されたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物の提供。
【解決手段】[A]側鎖に3級炭素を有するエステル基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する重合体を含有する感放射線性樹脂組成物。上記構造単位(1)が、(メタ)アクリレートの側鎖に含まれている構造単位であることが好ましい。上記[A]重合体が、ラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位をさらに有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、その他のフォトリソグラフィー工程に使用される感放射線性樹脂組成物に関するものであり、より具体的には、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー等の波長250nm以下の遠紫外線や電子線を露光光源とするフォトリソグラフィー工程に好適な化学増幅型の感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィーによる微細加工に用いられる化学増幅型の感放射線性樹脂組成物は、可視光や紫外線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする化学反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である。加工技術の微細化が要求される今日では、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー等に代表される250nm以下の波長の遠紫外線の利用が進んでいる。また、液浸液を利用してさらなる微細加工を可能にする液浸露光においても上記エキシマレーザーが用いられている。
【0003】
上記遠紫外線の中でも、より短波長での微細加工が可能になるArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。このArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー材料としては、193nm領域に大きな吸収を有しない脂環式炭化水素を骨格中に有する重合体、例えば、その構造単位中にラクトン骨格を有する重合体等を構成成分とする樹脂組成物が用いられている。
【0004】
上記のような感放射線性樹脂組成物には、良好なレジストパターン形成性及びプロセス安定性を得るべく酸拡散制御剤として窒素含有化合物が添加される(特許文献1〜3参照)。また、特に孤立パターンのリソグラフィー性能向上のため、カルバメート基を有する窒素含有化合物を添加する検討もなされている(特許文献4、5参照)。
【0005】
このような中、レジストパターンの微細化が線幅90nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能は窒素含有化合物の露光時の挙動、例えば、露光時ないし加熱時の窒素含有化合物のレジスト膜中からの気化や液浸露光時の窒素含有化合物の液浸液への溶出等に影響を受けやすくなっている。そして、窒素含有化合物の上述のような所望でない挙動による影響として、パターンの上面が溶解するトップロスが課題となっている。これに対し、窒素含有化合物を気化しにくくしてリソグラフィー性能を維持する手法として、高分子量の分子における窒素含有化合物のペンダント化が提案されている(特許文献6参照)。
【0006】
しかしながら、ここに示されている重合体や組成物では、パターンのガタツキの程度を示すLWR(Line Width Roughness)が大きくなったり(不良となる)、パターン倒れが生じる場合があり、レジストパターンの微細化には大きな課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−232706号公報
【特許文献2】特開平5−249683号公報
【特許文献3】特開平5−158239号公報
【特許文献4】特開2001−166476号公報
【特許文献5】特開2001−215689号公報
【特許文献6】特開2008−133312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、トップロスを抑制して矩形性が良好であり、LWR及びパターン倒れが抑制されたレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物及びその感放射線性樹脂組成物に好適に用いられる重合体、その原料単量体化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]下記式(I)で表される基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する重合体
を含有する感放射線性樹脂組成物である。
【化1】

(式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。*は窒素原子と結合する結合手である。)
【0010】
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]成分として上記式(I)で表される基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する重合体(以下、単に「[A]重合体」ともいう)を含有する。式(I)中の−COO−CRで表される基は、酸の存在下で−CRが解離して、−COOHとなる。すなわち[A]重合体には、酸によってその構造の一部が解離する性質を有する窒素含有化合物が組み込まれているので、露光部において[B]感放射線性酸発生体から生じた酸によって窒素含有化合物の構造が変化し、生成した誘導体により酸の拡散を適度に制御することができる。また、窒素含有化合物は重合体の一部として組み込まれていることから、液浸露光時の液浸液への溶出や、加熱時の窒素含有化合物の気化が防止されて酸拡散制御剤として充分に機能することができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は良好なパターン形成性を発揮することができ、レジストとしての解像度が向上する。さらに、窒素含有化合物の存在により感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物とすることができる。なお本明細書において「構造単位」とは、重合体構造に含まれる一単位をいい、繰り返して存在していてもよい。
【0011】
当該感放射線性樹脂組成物では、上記構造単位(1)が、下記式(1−1)で表される構造単位(以下、単に「構造単位(1−1)」ともいう)であることが好ましい。
【化2】

(式(1−1)中、R、R及びRの定義は上記式(I)と同じである。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、X及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成してもよい。)
【0012】
上記構造単位(1)が、具体的に上記式(1−1)で表される特定の構造を有すると、構造単位(1)を与える単量体の重合性が優れることとなるため、構造単位(1)の[A]重合体への組み込み割合を高くすることができ、これにより、優れた酸拡散制御効果を発揮することができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物では、良好なパターン矩形性、優れたLWR抑制能及びパターン倒れ耐性を達成することができる。
【0013】
当該感放射線性樹脂組成物では、[A]重合体が、ラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(以下、単に「構造単位(2)」ともいう)をさらに有することが好ましい。[A]重合体が構造単位(2)を含むことにより、当該感放射線性樹脂組成物を用いたレジストとしての現像性やLWR抑制能を向上させることができる。
【0014】
当該感放射線性樹脂組成物では、[A]重合体が、下記式(3)で表される構造単位(以下、単に「構造単位(3)」ともいう)をさらに有することが好ましい。
【化3】

(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。)
【0015】
[A]重合体が酸解離性基を含む上記構造単位(3)をさらに有することで、[A]重合体を含む感放射線性樹脂組成物のパターン形成能が向上し、レジストとしての解像度が向上する。
【0016】
当該感放射線性樹脂組成物は、[B]感放射線性酸発生体(以下、単に「[B]酸発生体」ともいう)をさらに含有することが好ましい。
【0017】
本発明の重合体は、下記式(I)で表される基が窒素原子に結合した構造を含む構造単位(1)を有する。
【化4】

(式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。*は窒素原子との結合手である。)
【0018】
本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物における[A]重合体として好適に用いられ、上述した感放射線性樹脂組成物としての効果を発現することができる。
【0019】
当該重合体では、上記構造単位(1)が、下記式(1−1)で表される構造単位であることが好ましい。
【化5】

(式(1−1)中、R、R及びRの定義は上記式(I)と同じである。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、X及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成してもよい。)
【0020】
本発明の化合物は、下記式(i)で表される(以下、下記式(i)で表される化合物を単に「化合物(i)」ともいう)。
【化6】

(式(i)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はX及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成する。)
【0021】
本発明の化合物は上記式(i)で表されるので、当該化合物を用いることにより、当該重合体の構造単位中に酸拡散制御剤としての窒素含有化合物を効率的に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の感放射線性樹脂組成物は、特定構造の構造単位を有する重合体を含有していることから、露光時の窒素含有化合物の気化や液浸液への溶出を抑制することができる。これにより、当該感放射線性樹脂組成物によると、良好なパターン矩形性が得られると共に、優れたLWR抑制能及びパターン倒れ耐性を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]上記式(I)で表される基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する重合体を含有すると共にその他の成分を含んでいてもよい。以下、[A]重合体、その他の成分の順に説明する。
【0024】
<[A]重合体>
本発明における重合体は、酸解離性基で保護された窒素含有化合物が組み込まれた重合体である。この窒素含有化合物は、露光により酸発生体から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御するものである。すなわち、この窒素含有化合物が組み込まれた当該重合体は、酸拡散制御剤として機能する。
【0025】
<構造単位(1)>
[A]重合体は、上記式(I)で表される基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する。酸の作用によって上記式(I)で表される基では−CRが解離して−COOHを生成し、その結果、構造単位(1)は塩基性アミノ基を含むことになる。従って、上記の基が適度な割合で解離することで、露光後のポスト・エクスポージャー・ベーク時におけるレジスト膜中の塩基性が適度にコントロールされ、上述のようにリソグラフィー性能を向上させるに至ると考えられる。
【0026】
上記式(I)のRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0027】
上記式(I)のR及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基並びに炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、上記式(I)のRの定義を適用することができる。また、上記式(I)のR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等が挙げられる。
【0028】
上記構造単位(1)は、上記式(1−1)で表される構造単位であることが好ましい。上記式(1−1)のXで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基等の炭素数1〜20の2価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基;シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等の炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基;フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基;ベンジレン基、フェニレンエチレン基、フェニレンプロピレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基等の炭素数7〜20のアリーレンアルキレン基等が挙げられる。これらの基のうち、炭素数4以上の基が好ましい。
【0029】
上記式(1−1)のRで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、上記式(I)のRで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基の説明で例示された基等が挙げられる。
【0030】
上記式(1−1)のX及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に形成される炭素数4〜20の複素環構造としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン等の構造が挙げられる。これらの構造は、一部の水素原子が直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基で置換されたものであってもよい。
【0031】
上記式(I)で表される基の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0032】
【化7】

【0033】
上記式(I)で表される基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基及びtert−アミロキシカルボニル基が好ましい。
【0034】
構造単位(1−1)の好ましい具体例としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。なお、下記式中、Rは上記式(I)と同じ定義である。
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
上記[A]重合体において、構造単位(1)の含有率は、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、構造単位(1)の総量が0.1〜40モル%であることが好ましく、0.1〜20モル%であることがさらに好ましい。このような含有率とすることにより、解像性能に優れた組成物が得られ、レジストパターンとしての矩形性、低LWR及び耐パターン倒れ性等を向上させることができる。
【0038】
[A]重合体は、後述するように、上記構造単位(1−1)に代表される構造単位(1)を与える単量体の他、必要に応じて他の構造単位を与える単量体と共にラジカル重合させることで得られる。上記構造単位(1−1)を与える化合物(i)の合成方法は以下の通りであり、下記のスキームに従い合成することができる。
【化10】

【0039】
(メタ)アクリル酸クロリドとアルコールをトリエチルアミンなどの有機アミン類存在下、テトラヒドロフランなどの溶媒中で攪拌することにより、化合物(i)及び有機アミンの塩酸塩が得られる。反応溶液を分液洗浄や蒸留、再結晶など適切に処理することにより、化合物(i)を単離することができる。また、酸クロリドを用いない方法として、(メタ)アクリル酸無水物を用いるアルコールのエステル化反応を用いることもできる。
【0040】
<構造単位(2)>
上記[A]重合体は、構造単位(2)として、ラクトン構造及び環状カーボネート構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む構造単位をさらに有することが好ましい。構造単位(2)の具体例としては、例えば、下記式で表されるラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位等が挙げられる。
【0041】
【化11】

【0042】
上記式中、R及びR´は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R´´は水素原子又はメトキシ基であり、Aは単結合又はメチレン基であり、Bはメチレン基又は酸素原子であり、a及びbはそれぞれ0〜2の整数である。
【0043】
上記構造単位(2)としては、下記式で表される構造単位が特に好ましい。
【0044】
【化12】

(上記式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0045】
上記[A]重合体において、構造単位(2)の含有率は、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、構造単位(2)の総量が、0〜70モル%であることが好ましく、0〜60モル%であることがさらに好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、LWR抑制能、低PEB(Post Exposure Bake)温度依存性等を向上させることができる。一方、70モル%を超えると、レジストとしての現像性やLWR抑制能が低下するおそれがある。
【0046】
<構造単位(3)>
本発明の感放射線性樹脂組成物がポジ型である場合、上記[A]重合体は、上記式(3)で表される構造単位(3)を有することが好ましい。構造単位(3)は、酸の存在下で−CRが解離して(メタ)アクリル酸構造を生成する基を有する単位であり、この構造単位を組み込むことにより[A]重合体を含有する感放射線性樹脂組成物のレジストとしての解像性能が向上する。
【0047】
上記式(3)中、R、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。R、R及びRで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基等が挙げられ、R及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等が挙げられる。
【0048】
上記式(3)における下記式で表される基としては、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分岐状アルキル基;及び
【化13】

【0049】
下記式で表される脂環構造を有する基等が挙げられる。
【0050】
【化14】

【0051】
上記構造単位(3)としては、下記式(3−1)〜(3−20)で表される構造単位が好ましく、これらの中でも下記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−5)、(3−6)、(3−8)、(3−9)、(3−11)、(3−12)、(3−13)、(3−14)、(3−15)が特に好ましい。これらは1種単独でも、2種以上が含まれていてもよい。
【0052】
【化15】

【0053】
上記式中、Rの定義は上記式(3)と同じである。
【0054】
上記[A]重合体において、構造単位(3)の含有率は、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがさらに好ましく、20〜70モル%であることが特に好ましい。構造単位(3)の含有率が上記範囲にあると、レジスト解像度に優れると共に、レジスト膜の密着性にも優れ、パターン倒れやパターン剥れを防止することができる。
【0055】
<その他の構造単位>
また、[A]重合体は、親水性官能基を有する構造単位(以下、「構造単位(4)」ともいう)を含有してもよい。構造単位(4)としては、下記式で表される官能基を有する構造単位が好ましいものとして挙げられ、その他、メタクリル酸又はアクリル酸由来の構造単位を挙げることができる。
【0056】
【化16】

(上記式中、Rは水素原子又はメチル基である。)
【0057】
構造単位(4)は、当該感放射線性樹脂組成物の感放射線特性がネガ型である場合に、[A]重合体に特に好ましく含有されるが、当該感放射線性樹脂組成物の感放射線特性がポジ型である場合であっても、[A]重合体は構造単位(4)を好ましく含有することができる。構造単位(4)を含有することにより、得られるレジストパターンの基板密着性が優れたものとなる。構造単位(4)の含有量は、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、ネガ型感放射線性樹脂組成物に用いる場合には30〜90モル%であることが好ましく、ポジ型感放射線性樹脂組成物に用いる場合には50モル%以下であることが好ましい。
【0058】
さらに、[A]重合体は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステル等のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0059】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、ベースポリマーとして[A]重合体を含有する。このベースポリマーは、[A]重合体単独であってもよく、[A]重合体と他の重合体との混合物であってもよい。他の重合体としては、構造単位(1)を含まず、上述した他の構造単位(構造単位(2)、構造単位(3)、構造単位(4)及びその他の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種)を適宜含有する重合体を好ましく用いることができる。また、他の重合体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0060】
本発明の感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーでは、[A]重合体と必要に応じて含有させる他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(1)の含有率が、0.01〜5質量%以下であることが好ましい。
【0061】
ポジ型感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーでは、[A]重合体と必要に応じて含有させる他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(3)の含有率が、5〜80質量%以下であることが好ましく、20〜70質量%であることが特に好ましい。構造単位(3)が5質量%以上であると、ベースポリマーは、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の重合体であって、露光により発生する酸の存在下でアルカリ可溶性となる性質を有する。なお、本明細書において「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに[A]重合体のみを用いた被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0062】
ネガ型感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーはアルカリ可溶性の重合体であり、[A]重合体と他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(4)の含有率が、30〜90質量%であることが好ましい。
【0063】
なお、他の重合体の含有割合は、ベースポリマー中、99質量%未満が好ましく、特に好ましくは95質量%未満である。
【0064】
<[A]重合体の製造方法>
上記[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、(1)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(2)単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(3)各々の単量体を含有する、複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;等の方法で合成することが好ましい。単量体としては、目的とする構造単位(1−1)に対応する(メタ)アクリロイル基を有する化合物(i)及びその他構造単位に対応する(メタ)アクリロイル基を有する化合物等を用いればよい。
【0065】
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
【0066】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常、30〜150℃であり、40〜150℃が好ましく、50〜140℃がさらに好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1〜5時間がさらに好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜12時間であり、45分〜12時間が好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
【0067】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。これらの開始剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
重合反応により得られた重合体は再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0070】
上記[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は、特に限定されないが、1,000〜100,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがさらに好ましく、1,000〜20,000であることが特に好ましい。[A]重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、[A]重合体のMwが100,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
【0071】
また、上記[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」と記す。)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜5.0であり、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましい。
【0072】
<[B]酸発生体>
本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する[B]酸発生体としては、例えばスルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物、ジカルボキシイミド類化合物等を挙げることができる。[B]酸発生体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、後述するような化合物である酸発生剤の形態(以下、単に「[B]酸発生剤」ともいう)でも、[A]重合体又は上述の他の重合体の一部として組み込まれた酸発生基の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0073】
[B]酸発生剤の好適な具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0074】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0075】
4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0076】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0077】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0078】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0079】
1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(6−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0080】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0081】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等を挙げることができる。
【0082】
[B]酸発生体は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。[B]酸発生体の配合量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、[A]重合体100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがさらに好ましい。この場合、酸発生体の配合量が0.1質量部未満では、感度及び現像性が低下する傾向があり、一方30質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなる傾向がある。
【0083】
<[C]溶媒>
本発明の感放射線性樹脂組成物は通常、溶媒を含有する。用いられる溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体、及び所望により後述の[D]添加剤を溶解可能な溶媒であれば、特に限定されるものではない。このような[C]溶媒として、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等を使用することができる。
【0084】
これらの中でも、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。他には、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等が好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
<その他の成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じ[D]添加剤として、他の酸拡散制御剤、各種のフッ素含有樹脂、脂環式骨格含有化合物、界面活性剤、増感剤等を配合することができる。各添加剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0086】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体における構造単位(1)の他に、本発明の効果を損なわない限り、他の酸拡散制御剤として低分子の窒素含有化合物をさらに含有していてもよい。この窒素含有化合物としては、例えば、下記式(5)で表される窒素含有化合物を好適に用いることができる。
【0087】
【化17】

(式(5)中、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基であり、これらは置換基を有していてもよく、又はR22同士若しくはR23同士が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の飽和若しくは不飽和炭化水素基若しくはその誘導体を形成してもよい。)
【0088】
上記式(5)で表される窒素含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−アルコキシカルボニル基含有アミノ化合物等を挙げることができる。
【0089】
また、窒素含有化合物としては、上記式(5)で表される窒素含有化合物以外にも、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、光崩壊性塩基化合物、その他含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0090】
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン等のアルカノールアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
【0091】
4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0092】
上述の他の酸拡散抑制剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。低分子の酸拡散制御剤の含有割合は、全重合体100質量部に対して、5質量部未満が好ましく、1質量部未満がさらに好ましい。合計使用量が5質量部を超えると、レジストとしての感度が著しく低下する傾向にある。
【0093】
フッ素含有樹脂は、特に液浸露光においてレジスト膜表面に撥水性を発現させる作用を示す。そして、レジスト膜から液浸液への成分の溶出を抑制したり、高速スキャンにより液浸露光を行ったりしたとしても液滴を残すことなく、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制する効果がある成分である。
【0094】
フッ素含有樹脂の構造は特に限定されず、(1)それ自体は現像液に不溶で、酸の作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(2)それ自体が現像液に可溶であり、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂、(3)それ自体は現像液に不溶で、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(4)それ自体が現像液に可溶であり、アルカリの作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂等を挙げることができる。
【0095】
上記フッ素含有樹脂としては、フッ素含有構造単位を有する重合体が好ましい。このようなフッ素含有構造単位を与える単量体としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0096】
フッ素含有樹脂としては、例えば、上記フッ素含有構造単位と、[A]重合体を構成する構造単位として上述した酸解離性基を有する構造単位(3)とを有する共重合体等が好ましい。これらのフッ素含有樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。脂環式骨格含有化合物としては、例えば、
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等
を挙げることができる。これらの脂環式骨格含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0098】
界面活性剤は、当該組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を有する成分である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0099】
増感剤は、[B]酸発生体に吸収される放射線のエネルギー以外のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを例えば電子やラジカルのような形で[B]酸発生体に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。
【0100】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0101】
[D]添加剤としては、染料、顔料、接着助剤等を用いることもできる。例えば、染料或いは顔料を用いることによって、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。他の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0102】
なお、[D]添加剤は、以上説明した各種添加剤1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0103】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物がネガ型感放射線性樹脂組成物である場合、当該組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。ネガ型感放射線性樹脂組成物は、アルカリ可溶性の[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒、架橋剤及び必要に応じてその他の添加剤を含有する。
【0104】
<フォトレジストパターンの形成方法>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジストとして有用である。ポジ型の化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生体から発生した酸の作用によって、樹脂成分、主に、[A]重合体中の酸解離性基が解離してカルボキシル基に代表される極性基を生じる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のフォトレジストパターンが得られる。
【0105】
また、ネガ型の場合、架橋剤等を含有させることで、露光により酸発生体から発生した酸の作用によって、アルカリ溶解性の樹脂成分と架橋剤の架橋反応が容易に起こる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、未露後部がアルカリ現像液によって溶解、除去されレジストパターンが得られる。
【0106】
以下、ポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いたフォトレジストパターンの形成方法について詳述する。
【0107】
フォトレジストパターン形成方法は、例えば、以下に示すような手順に従って行うことが一般的である。(1)感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にフォトレジスト膜を形成した後(工程(1))、(2)形成されたフォトレジスト膜に(必要に応じて液浸媒体を介し)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射して露光し(工程(2))、基板(露光されたフォトレジスト膜)を加熱し(工程(3))、次いで(4)現像すれば(工程(4))、フォトレジストパターンを形成することができる。
【0108】
工程(1)では、感放射線性樹脂組成物、又はこれを溶媒に溶解させて得られた組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、基板(シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等)上に塗布することにより、フォトレジスト膜を形成する。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように樹脂組成物溶液を塗布した後、プレベーク(PB)することにより塗膜中の溶媒を気化させ、レジスト膜を形成する。
【0109】
工程(2)では、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜に(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光させる。なお、この際には、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射する。放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選択して照射する。これらの中でも、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザーが好ましい。
【0110】
工程(3)は、ポストエクスポージャーベーク(PEB)と呼ばれ、工程(2)でフォトレジスト膜の露光された部分において、酸発生体から発生した酸が重合体を脱保護する工程である。これにより、露光された部分(露光部)と露光されていない部分(未露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性に差が生じる。PEBは、通常50℃から180℃の範囲で適宜選択して実施される。
【0111】
工程(4)では、露光されたフォトレジスト膜を、現像液で現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成する。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
【0112】
また、液浸露光を行う場合は、工程(2)の前に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を保護するために、液浸液不溶性の液浸用保護膜をレジスト膜上に設けてもよい。液浸用保護膜としては、工程(4)の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(例えば、特開2006−227632号公報参照)、工程(4)の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
【0113】
このようにして得られるレジストパターンは、トップロスが防止されて矩形性が良好であり、LWR及びパターン倒れも抑制されているので、リソグラフィー技術を応用した微細加工に好適である。
【実施例】
【0114】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。実施例及び比較例における各測定・評価は、下記の要領で行った。
【0115】
[ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)]
東ソー社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒にテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
【0116】
[ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)]
東ソー社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒にテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
【0117】
H−NMR分析]
化合物(i)のH−NMR分析は核磁気共鳴装置(商品名:JNM−ECX400、日本電子社製)を使用し、測定した。
【0118】
13C−NMR分析]
それぞれの重合体の13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(商品名:JNM−ECX400、日本電子社製)を使用し、測定した。
【0119】
<化合物(i)の合成>
〔実施例1:化合物(i)の合成〕
温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコにN−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン20g、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール0.01g、トリエチルアミン20.3g、ジクロロメタン100mlを加え、氷浴中、15分攪拌を行った。そこへ、滴下漏斗を用い、メタクリル酸クロリド14mLを30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに氷浴中で10分攪拌したのち、氷浴をはずし、室温で1時間攪拌を行った。再び反応器を氷浴にて冷やし、メタクリル酸クロリド3mLを加えた。氷浴をはずし、室温で3日間攪拌を行った。その後、反応溶液をろ過してろ液に酢酸エチル200mLを加え、得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLで3回洗浄した。続いて、油分を飽和食塩水300mLで3回洗浄した。油分をエバポレーターにて濃縮した。得られたオイルから、酢酸エチルを展開溶媒とするワコーゲルC−300を用いたカラムクロマトグラフィーにより化合物(i)として下記式(i−1)で表される化合物(以下、単に「化合物(i−1)」ともいう)を単離した(28.5g、収率 Quantitative)。
【0120】
【化18】

【0121】
H−NMR分析の結果、化合物(i−1)のケミカルシフトは以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)δ 6.11(1H)、5.57(1H)、5.01(1H)、3.65(2H)、3.32(2H)、1.95(3H)、1.86(2H)、1.68(2H)、1.47(9H)
【0122】
<重合体の合成>
各合成例の重合体の合成で用いた単量体は以下のとおりである。
【0123】
(i−1):化合物(i−1)
(M−1):1−メチルアダマンチルメタクリレート
(M−2):N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(M−3):下記式で表される単量体
【0124】
【化19】

【0125】
(M−4):下記式で表される単量体
【0126】
【化20】

【0127】
〔実施例2:重合体(A−1)の合成〕
単量体(M−1)15.40g(54.5モル%)、単量体(M−3)13.13g(41.0モル%)、単量体(i−1)1.48g(4.5モル%)を2−ブタノン60gに溶解し、さらに開始剤としてAIBN0.90g(単量体全量に対して5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。
【0128】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに30gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷により30℃以下に冷却した。冷却後、600gのメタノールに投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を、120gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した。その後、ろ別し、60℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(21.1g、収率70%)。この共重合体を重合体(A−1)とした。この共重合体は、Mwが6,200であり、Mw/Mnが1.32であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−3)由来の構造単位:化合物(i−1)由来の構造単位の含有比率が51.0:45.1:3.9(モル%)の共重合体であった。
【0129】
13C−NMR分析にて組成比算出に用いたピークは以下の通りである。
(M−1)由来の構造単位:δ 86.47(1C)
(M−3)由来の構造単位:δ 170.98(1C)
(i−1)由来の構造単位:δ 67.17(1C)
【0130】
〔実施例3:重合体(A−2)の合成〕
単量体(M−1)19.28g(60モル%)、単量体(M−4)9.06g(35.5モル%)、単量体(i−1)1.66g(4.5モル%)を2−ブタノン60gに溶解し、さらに開始剤としてAIBN1.13g(単量体全量に対して5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。
【0131】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに30gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷により30℃以下に冷却した。冷却後、600gの2−プロパノール/ヘキサン=1/1の混合溶媒に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を、120gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した。その後、ろ別し、60℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(21.6g、収率72%)。この共重合体を重合体(A−2)とした。この共重合体は、Mwが5,400であり、Mw/Mnが1.39であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−4)由来の構造単位:化合物(i−1)由来の構造単位の含有比率が55.1:40.9:4.0(モル%)の共重合体であった。
【0132】
13C−NMR分析にて組成比算出に用いたピークは以下の通りである。
(M−1)由来の構造単位:δ 86.47(1C)
(M−4)由来の構造単位:δ 153.87(1C)
(i−1)由来の構造単位:δ 67.17(1C)
【0133】
〔合成例1:重合体(a−1)の合成〕
単量体(M−1)11.38g(60モル%)、単量体(M−3)8.62g(40.0モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、さらに開始剤としてAIBN0.66g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。
【0134】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに20gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷により30℃以下に冷却した。冷却後、400gの2−プロパノールに投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を、80gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した。その後、ろ別し、60℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(13.4g、収率68%)。この共重合体を重合体(a−1)とした。この共重合体では、Mwが6,800であり、Mw/Mnが1.35であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−3)由来の構造単位の含有比率が54.5:45.5(モル%)の共重合体であった。
【0135】
〔合成例2:重合体(a−2)の合成〕
単量体(M−1)13.82g(60モル%)、単量体(M−2)6.18g(40.0モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、さらに開始剤としてAIBN0.81g(単量体全量に対して5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。
【0136】
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに20gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷により30℃以下に冷却した。冷却後、400gのヘキサンに投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を、80gの2−プロパノールにてスラリー状で2回洗浄した。その後、ろ別し、60℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(14.9g、収率75%)。この共重合体を重合体(a−2)とした。この共重合体では、Mwが5,500であり、Mw/Mnが1.33であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−2)由来の構造単位の含有比率が58.9:41.1(モル%)の共重合体であった。
【0137】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
上記実施例及び合成例にて合成した重合体(A−1)、(a−1)及び(a−2)以外の感放射線性樹脂組成物を構成する各成分([B]酸発生剤、[C]溶媒及び[e]酸拡散制御剤)について以下に示す。
【0138】
[B]酸発生剤
(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
【0139】
[C]溶媒
(C−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(C−2):シクロヘキサノン
【0140】
[e]酸拡散制御剤
(e−1):N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
【0141】
〔実施例4〕
合成例1で得られた重合体(a−1)82質量部、[B]酸発生剤として、(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート7質量部、酸拡散制御剤として実施例2で得られた重合体(A−1)18質量部を混合し、この混合物に、[C]溶媒として、(C−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1200質量部、(C−2):シクロヘキサノン500質量部を添加し、上記混合物を溶解させて混合溶液を得、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0142】
〔実施例5〕
合成例1で得られた重合体(a−1)82質量部、[B]酸発生剤として、(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート7質量部、酸拡散制御剤として実施例3で得られた重合体(A−2)18質量部を混合し、この混合物に、[C]溶媒として、(C−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1200質量部、(C−2):シクロヘキサノン500質量部を添加し、上記混合物を溶解させて混合溶液を得、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0143】
〔比較例1〕
合成例1で得られた樹脂(a−1)98質量部、[B]酸発生体として、(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート7質量部、酸拡散制御剤として合成例2で得られた重合体(a−2)2質量部を混合し、この混合物に、[C]溶媒として、(C−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1200質量部、(C−2):シクロヘキサノン500質量部を添加し、上記混合物を溶解させて混合溶液を得、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0144】
〔比較例2〕
合成例1で得られた重合体(a−1)100質量部、[B]酸発生体として(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート7質量部、酸拡散制御剤として(e−1):N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン1質量部を混合し、この混合物に、[C]溶媒として、(C−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1200質量部、(C−2):シクロヘキサノン500質量部を添加し、上記混合物を溶解させて混合溶液を得、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0145】
<評価方法>
実施例4、5及び比較例1、2で得られた感放射線性樹脂組成物について、ArFエキシマレーザーを光源として、感度、パターン高さ、LWR、最小倒壊前寸法について評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0146】
〔感度(単位:mJ/cm)〕
8インチのウエハー表面に、下層反射防止膜形成剤(商品名:ARC29A、日産化学社製)を用いて、膜厚77nmの下層反射防止膜を形成した。この基板の表面に、実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて100℃で60秒間SB(SoftBake)を行い、膜厚150nmのレジスト被膜を形成した。
【0147】
このレジスト被膜を、フルフィールド縮小投影露光装置(商品名:S306C、ニコン社製、開口数0.78)を用い、マスクパターンを介して露光した。その後、110℃で60秒間PEBを行った後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(以下、「TMAH水溶液」と記す。)により、25℃で30秒現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
【0148】
このとき、寸法75nmの1対1ライン・アンド・スペースパターンのマスクを介して形成した線幅が、線幅75nmの1対1ライン・アンド・スペースパターンに形成される露光量(mJ/cm)を最適露光量とし、この最適露光量(mJ/cm)を「感度」とした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(商品名:S9260、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0149】
〔パターン高さ(単位:nm)〕
上記最適露光量で露光した75nm1L/1Sマスクパターンで解像されるパターンの高さを断面SEM(商品名:S4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。パターンの高さが140nm以上の場合に「良」、140nm未満の場合は「不良」とした。パターンの高さはレジスト表面の窒素含有化合物の気化に関係するものであり、パターンの高さがレジスト塗膜の膜厚に近いほど矩形性が良好である。
【0150】
〔LWR(単位:nm)〕
上記走査型電子顕微鏡を用いて、最適露光量にて解像した75nm1L/1Sのパターンをパターン上部から観察する際に、線幅を任意のポイントで10点測定し、その測定値の3シグマ値(ばらつき)をLWRとした。具体的には、LWRが10.0nm以下の場合「良」、10.0nmを超える場合「不良」と評価した。LWRはパターンのラフネスを示す指標であり、数字が小さいほど良い。
【0151】
〔最小倒壊前寸法(nm)〕
上記感度の評価の最適露光量にて解像した75nmのライン・アンド・スペースパターンの観測において、この最適露光量よりも大きな露光量にて露光を行った場合、得られるパターンの線幅が細くなるため、最終的にレジストパターンの倒壊が見られる。このレジストパターンの倒壊が確認されない最大の露光量における線幅を最小倒壊前寸法(nm)と定義し、パターン倒れ耐性の指標とした。最小倒壊前寸法は数字が小さいほど良い。なお最小倒壊前寸法の測定は、上記走査型電子顕微鏡を用いた。
【0152】
【表1】

【0153】
表1の結果からも明らかなように、実施例4及び5の感放射線性樹脂組成物の放射線感度は良好であり、パターン高さが良好であったことから窒素含有化合物の気化が抑制されていることが分かった。加えて、窒素含有化合物の気化が抑制されたことに起因して、LWR及び最小倒壊前寸法も良好であり、優れたパターン形成性が得られる結果となった。一方、酸解離性基を有しない窒素含有化合物を組み込んだ重合体を用いた比較例1では、パターン高さは良好であり、窒素含有化合物の気化は抑制されていたものの、LWR及び最小倒壊前寸法ともに実施例4及び5と比較して劣る結果となった。また、遊離の窒素含有化合物を用いた比較例2では、放射線感度が若干低くなると共に、パターン高さが不良となった。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、良好なパターン矩形性を示し、LWR及びパターン倒れが抑制されたレジストパターンを効率的に形成することができるので、KrFエキシマレーザー、及びArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー材料として好適に用いることができる。また、本発明の感放射線性樹脂組成物は液浸露光にも対応可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]下記式(I)で表される基が窒素原子に結合する構造を含む構造単位(1)を有する重合体
を含有する感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。*は窒素原子と結合する結合手である。)
【請求項2】
上記構造単位(1)が、下記式(1−1)で表される構造単位である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】

(式(1−1)中、R、R及びRの定義は上記式(I)と同じである。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、X及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成してもよい。)
【請求項3】
上記[A]重合体が、ラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
上記[A]重合体が、下記式(3)で表される構造単位をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【化3】

(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。)
【請求項5】
[B]感放射線性酸発生体をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
下記式(I)で表される基が窒素原子に結合した構造を含む構造単位(1)を有する重合体。
【化4】

(式(I)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。*は窒素原子との結合手である。)
【請求項7】
上記構造単位(1)が、下記式(1−1)で表される構造単位である請求項6に記載の重合体。
【化5】

(式(1−1)中、R、R及びRの定義は上記式(I)と同じである。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、X及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成してもよい。)
【請求項8】
下記式(i)で表される化合物。
【化6】

(式(i)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。Rは水素原子又はメチル基であり、Xは炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はX及びRが互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に炭素数4〜20の複素環構造を形成する。)



【公開番号】特開2011−209667(P2011−209667A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111461(P2010−111461)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】