説明

感放射線性樹脂組成物ならびに液晶表示素子のスペーサーおよびその形成方法

【課題】塗布方法としてスリット塗布法を採用した場合であっても、塗膜に微小な凹凸からなるムラを発生させることなく液晶表示素子のスペーサーを形成しうる感放射線性樹脂組成物、液晶表示素子のスペーサーとして要求される諸性能(例えば高回復率と柔軟性とが両立された圧縮性能ならびにラビング耐性)を維持しつつ、特に高度の膜厚均一性を有する液晶表示素子のスペーサーを提供すること。
【解決手段】上記感放射線性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および(D)シリコーン鎖を有する特定の重合体を含有する。液晶表示素子のスペーサーは、上記の感放射線性樹脂組成物から形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物ならびに液晶表示素子のスペーサーおよびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子においては、二枚の基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つために、従来は、所定の粒径を有するガラスビーズ、プラスチックビーズ等のスペーサー粒子が使用されていた。これらスペーサー粒子は、ガラス基板等の透明基板上にランダムに散布されるため、画素形成領域にスペーサー粒子が存在すると、スペーサー粒子の写り込み現象を生じたり、入射光が散乱を受けて液晶パネルのコントラストが低下するという問題があった。そこで、これらの問題を解決するために、感放射線性樹脂組成物を用いるフォトリソグラフィーによって画素領域以外の領域にスペーサーを形成する方法が採用されるようになってきた(特許文献1)。
従って、液晶表示素子の全領域においてセルギャップを一定に保つためには、スペーサーについて高度の膜厚均一性が必要であることとなる。特に近年の液晶表示素子には、従来にも増して画質の高精細化および高速の動画に対する追随性(高速応答性)が求められているため、膜厚均一性に対する要求は益々高度化している。
【0003】
ところで、近年の大画面テレビのトレンド、プロセスコスト削減の要請に伴い、カラーフィルタ付き基板の製造に使用される基板ガラスサイズが大型化する傾向にある。そのため、基板上に保護膜およびスペーサーを形成するに際して行われる感放射線性樹脂組成物の塗布工程において、従来広く行われてきたスピンコート法の採用が困難となってきており、塗布方法が、組成物をスリット状のノズルから吐出して塗布する、いわゆるスリット塗布法に変更されている(特許文献2および3)。このスリット塗布法は、スピンコート法と比較して塗布に要する組成物の量が低減できるメリットもあり、液晶表示素子製造のコスト削減にも資する。しかしながら、かかるスリット塗布法では、基板を真空吸着により密着した状態で塗布ノズルを一定方向に掃引して塗布を行い、その後、真空吸着用の穴に格納されている支持ピンが上昇して基板を持ち上げて塗布ステージから次工程へと搬送されることとなる。そのため、この一連の工程において、塗膜に、真空吸着用の穴に起因する「ステージ真空吸着ムラ」と呼ばれるムラ、支持ピンに起因する「支持ピンムラ」と呼ばれるムラ、塗布ノズルの掃引方向に筋状に現れる「縦筋ムラ」と呼ばれるムラ等が発生する場合があり、上記の如き高度の平坦性を実現する支障となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−261761号公報
【特許文献2】特開2006−184841号公報
【特許文献3】特開2001−25645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、塗布方法としてスリット塗布法を採用した場合であっても、塗膜に微小な凹凸からなるムラを発生させることなく液晶表示素子のスペーサーを形成しうる感放射線性樹脂組成物、液晶表示素子のスペーサーとして要求される諸性能(例えば高回復率と柔軟性とが両立された圧縮性能ならびにラビング耐性)を維持しつつ、特に高度の膜厚均一性を有する液晶表示素子のスペーサーおよびその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第一に、
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)重合性不飽和化合物、
(C)感放射線性重合開始剤、ならびに
(D)(d1)下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(d1)」という。)、
(d2)下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(d2)」という。)および
(d3)下記一般式(3)で表される基を有する重合性不飽和化合物(以下、「化合物(d3)」という。)
を含む重合性不飽和化合物の共重合体(以下、「共重合体(D)」という。)
を含有する感放射線性樹脂組成物によって達成される。
CH=CRCOO−Cα2α−Cβ2β+1 (1
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、αは0〜6の整数であり、βは1〜20の整数である。)
CH=CRCOO−(Cγ2γ−O)−R (2
(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、γは2または3であり、aは繰り返し単位数であって、その数平均値は1〜30である。)
【0007】
【化1】

【0008】
(式(3)中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基または下記一般式(4)で表される基であり、bは0〜3の整数である。)
【0009】
【化2】

【0010】
(式(4)中、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、cは0〜3の整数である。)
本発明の上記目的および利点は、第二に、
上記の感放射線性樹脂組成物から形成された液晶表示素子のスペーサーによって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第三に、
少なくとも以下の工程を以下に記載の順序で含む液晶表示素子用スペーサーの形成方法によって達成される。
(1)上記の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)該被膜の少なくとも一部に露光する工程、
(3)露光後の被膜を現像する工程、および
(4)現像後の被膜を加熱する工程。
そして本発明の上記目的および利点は、第四に、
上記の方法により形成された液晶表示素子用のスペーサーによって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、塗布方法としてスリット塗布法を採用した場合であっても、塗膜に微小な凹凸からなるムラを発生させることなく液晶表示素子のスペーサーを形成しうる感放射線性樹脂組成物、液晶表示素子のスペーサーとして要求される諸性能(例えば高回復率と柔軟性とが両立された圧縮性能ならびにラビング耐性)を維持しつつ、特に高度の膜厚均一性を有する液晶表示素子のスペーサーおよびその形成方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(A)アルカリ可溶性樹脂は、後述する現像工程において用いられる現像液、好ましくはアルカリ現像液、に対する可溶性を有するアルカリ可溶性樹脂であれば、特に限定されるものではない。このような(A)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基よりなる群から選択される少なくとも一種を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、
(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「化合物(a1)」という。)と、
(a2)(a1)以外の不飽和化合物(以下、「化合物(a2)」という。)との共重合体が好ましい。
このような(A)アルカリ可溶性樹脂として特に好ましい例として、
[A1]化合物(a1)および1分子中に少なくとも1つの水酸基を有する不飽和化合物(以下、「化合物(a2−1)」という。)を含む単量体の共重合体(以下、「共重合体〔α〕」という。)に、不飽和イソシアネート化合物を反応させて得られる重合体(以下、「重合体〔A〕」という。)、
[A2]化合物(a1)およびエポキシ基を有する不飽和化合物(以下、「化合物(a2−2)」という。)を含む単量体の共重合体(以下、「共重合体〔β〕」という。)
[A3]化合物(a1)と、化合物(a1)、化合物(a2−1)および化合物(a2−2)以外の不飽和化合物(以下、「化合物(a2−3)」という。)とからなる単量体の共重合体(以下、「共重合体〔γ〕」という。)
等を挙げることができる。共重合体〔α〕を製造するに際して、化合物(a2−3)を共存させ、共重合体〔α〕を化合物(a1)、化合物(a2−1)および化合物(a2−3)の共重合体としてもよく、
共重合体〔β〕を製造するに際して、化合物(a1)および化合物(a2−2)のほかに化合物(a2−3)を共存させ、共重合体〔β〕を化合物(a1)、化合物(a2−2)および化合物(a2−3)の共重合体としてもよい。
【0013】
共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕を製造するに際して用いられる化合物(a1)としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。
上記モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を;
上記ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等を;
上記ジカルボン酸の無水物としては、上記したジカルボン酸の無水物等を、それぞれ挙げることができる。
これらののうち、共重合反応性、得られる共重合体の現像液に対する溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸または無水マレイン酸が好ましい。
化合物(a1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕において、化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは7〜50質量%であり、特に好ましくは8〜40質量%である。化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率が5〜60質量%であるとき、放射線感度、現像性および保存安定性等の諸特性がより高いレベルでバランスされた感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0014】
共重合体〔α〕の製造に用いられる化合物(a2−1)としては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のジヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル等を挙げることができる。
これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチルエステル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルエステル等を;
(メタ)アクリル酸のヒドロキシシクロアルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシエチル−シクロヘキシルエチルエステル等を;
(メタ)アクリル酸のジヒドロキシアルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸1,2−ジヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3,4−ジヒドロキシブチルエステル等を;
(メタ)アクリル酸の(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、(メタ)アクリル酸3−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ブチルエステルの如き(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル等を、それぞれ挙げることができる。
【0015】
これらの化合物(a2−1)のうち、共重合反応性およびイソシアネート化合物との反応性の点から、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、メタクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、上記の(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステルが好ましい。
化合物(a2−1)のうち、上記(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステルは、現像性の向上の点や、形成されるスペーサーの圧縮性能向上の観点から特に好ましい。(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル類のうち、特に(メタ)アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステルが好ましい。
メタクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルの混合物の市販品としては、それぞれ、PLACCEL FM1D、FM2D(商品名、ダイセル化学工業(株)製)等を挙げることができる。
共重合体〔α〕において、上記の如き化合物(a2−1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔α〕において、化合物(a2−1)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは3〜40質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%である。化合物(a2−1)に由来する繰り返し単位の含有率が1〜50質量%であるとき、不飽和イソシアネート化合物との反応により得られる共重合体の安定性が良好となり、その結果、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性が良好となる。
【0016】
共重合体〔β〕の製造に用いられる化合物(a2−2)におけるエポキシ基としては、オキシラニル基(1,2−エポキシ構造を有する。)、オキセタニル基(1,3−エポキシ構造を有する。)等を挙げることができる。
オキシラニル基を有する不飽和化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物等を;
オキセタニル基を有する不飽和化合物としては、例えばオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等を、それぞれ挙げることができる。これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等を;
α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えばα−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等を;
不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物として、例えばo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等を;
オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−((メタ)アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン等を、それぞれ挙げることができる。
【0017】
これらのうち特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3−メタクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタンまたは3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタンが、重合性の点から好ましい。
共重合体〔β〕の製造において、化合物(a2−2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔β〕において、化合物(a2−2)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは0.5〜70質量%であり、さらに好ましくは1〜60質量%であり、特に好ましくは3〜50質量%である。化合物(a2−2)に由来する繰り返し単位の含有率が0.5〜70質量%のとき、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性、これより形成されるスペーサーの耐熱性および圧縮性能がより高いレベルでバランスされた感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0018】
共重合体〔γ〕の製造に際して使用され、あるいは共重合体〔α〕および共重合体〔β〕の製造に際して任意的に使用することができる化合物(a2−3)としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル、含酸素複素5員環または含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物およびその他の不飽和化合物を挙げることができる。
これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えばアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル等を;
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等を;
(メタ)アクリル酸アリールエステルとして、例えばアクリル酸フェニル等を;(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとして、例えば(メタ)アクリル酸ベンジル等を;
不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルとして、例えばマレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル等を;
含酸素複素5員環または含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル等を;
ビニル芳香族化合物として、例えばスチレン、α−メチルスチレン等を;
共役ジエン化合物として、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン等を;
その他の不飽和化合物として、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等を、それぞれ挙げることができる。
【0019】
これらの化合物(a2−3)のうち、共重合反応性の点から、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、スチレン、p−メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1,3−ブタジエン等が好ましい。
共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕の製造において、化合物(a2−3)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔α〕および共重合体〔β〕において、化合物(a2−3)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜70質量%である。化合物(a2−3)の繰り返し単位の含有率が10〜80質量%の時、共重合体の分子量の制御が容易となり、現像性、感放射線感度等がより高いレベルでバランスされた感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0020】
共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕は、好ましくは適当な溶媒中において、好ましくはラジカル重合開始剤の存在下で上記の如き単量体の混合物を重合することにより製造することができる。前記重合に用いられる溶媒としては、例えばジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルコキシプロピオン酸アルキル、酢酸エステル等を挙げることができるが好ましい。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは2,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。共重合体〔α〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕のMwが2,000〜100,000であるとき、耐熱性、現像性、放射線感度等がより高いレベルでバランスされた感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0021】
重合体〔A〕は、共重合体〔α〕に不飽和イソシアネート化合物を反応させることにより得ることができる。上記のようにして得られた共重合体〔α〕は、重合反応溶液のまま重合体〔A〕の製造に供してもよく、あるいは共重合体〔α〕を一旦溶液から分離したうえで重合体〔A〕の製造に供してもよい。
不飽和イソシアネート化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸誘導体等を挙げることができ、その具体例として、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルイソシアネート、(メタ)アクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−イソシアネートプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−(2−イソシアネートプロポキシ)プロポキシ]エチル等を挙げることができる。
これらの市販品としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としてカレンズAOI(昭和電工(株)製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としてカレンズMOI(昭和電工(株)製)、メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチルの市販品としてカレンズMOI―EG(昭和電工(株)製)を、それぞれ挙げることができる。
【0022】
これらの不飽和イソシアネート化合物のうち、共重合体〔α〕との反応性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシブチルイソシアネートまたはメタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチルが好ましい。
重合体〔A〕の製造において、不飽和イソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体〔α〕と不飽和イソシアネート化合物との反応は、必要に応じて適当な触媒の存在下において、好ましくは重合禁止剤を含む共重合体〔α〕の溶液に、室温または加温下で、攪拌しつつ、不飽和イソシアネート化合物を投入することによって実施することができる。上記触媒としては、例えばジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(IV)等を;
上記重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール等を、それぞれ挙げることができる。
重合体〔A〕を製造する際の不飽和イソシアネート化合物の使用割合は、共重合体〔α〕中の化合物(a2−1)に由来する水酸基に対して、好ましくは0.1〜95モル%であり、さらに好ましくは1.0〜80モル%であり、特に好ましくは5.0〜75モル%である。不飽和イソシアネート化合物の使用割合が0.1〜95モル%のとき、形成されるスペーサーの耐熱性および弾性特性がより向上することとなり、好ましい。
【0023】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、重合体〔A〕、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕は、これらをそれぞれ単独で使用してもよいが、重合体〔A〕および共重合体〔β〕を併用すること、または共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕を併用することが好ましい。
重合体〔A〕および共重合体〔β〕を併用することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性ならびに形成されるスペーサーの強度および耐熱性をさらに向上することができることとなり、好ましい。重合体〔A〕および共重合体〔β〕を併用する場合、重合体〔A〕の使用割合としては、共重合体〔β〕100質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部であり、さらに好ましくは1〜30質量部であり、特に好ましくは3〜20質量部である。重合体〔A〕の使用割合が0.5〜50質量部のとき、感放射線性樹脂組成物の保存安定性と形成されるスペーサーまたは保護膜の耐熱性が高いレベルでバランスのとれた感放射線性樹脂組成物が得られる。
一方、共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕を併用することにより、感放射線性組成物の保存安定性がより向上するという利点が得られることとなり、好ましい。共重合体〔β〕および共重合体〔γ〕を併用する場合、共重合体〔β〕の使用割合としては、共重合体〔γ〕100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部であり、さらに好ましくは20〜130質量部であり、特に好ましくは30〜100質量部である。
【0024】
<(B)重合性不飽和化合物>
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)重合性不飽和化合物は、後述する(C)感放射線性重合開始剤の存在下において放射線を照射することにより重合する不飽和化合物である。このような重合性不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが、重合性が良好であり、且つ形成されるスペーサーの強度が向上する点から好ましい。
上記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)フタレート、(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)フタレート、ω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート等を挙げることができる。これらの市販品としては、商品名で、例えば、アロニックスM−101、同M−111、同M−114、同M−5300(以上、東亞合成(株)製);KAYARAD TC−110S、同 TC−120S(以上、日本化薬(株)製);ビスコート158、同2311(以上、大阪有機化学工業(株)製)等を挙げることができる。
上記2官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート等を挙げることができる。これらの市販品としては、商品名で、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD HDDA、同 HX−220、同 R−604(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレート1,9−NDA(共栄社化学(株)製等を挙げることができる。
【0025】
上記3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、トリ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェートのほか、
直鎖アルキレン基および脂環式構造を有し且つ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し且つ3個、4個または5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート系化合物等を挙げることができる。
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの市販品としては、商品名で、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同TO−1450(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TMPTA、同 DPHA、同 DPCA−20、同 DPCA−30、同 DPCA−60、同 DPCA−120、同 DPEA−12(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)や、多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品として、ニューフロンティア R−1150(第一工業製薬(株)製)、KAYARAD DPHA−40H(日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
【0026】
これらのうち、特に、ω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートや、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、
エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品等が好ましい。
上記の如き(B)重合性不飽和化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物における(B)重合性不飽和単量体の使用割合は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜250質量部であり、さらに好ましくは50〜200質量部である。(B)重合性不飽和単量体の使用量が30〜250質量部のとき、感放射線性樹脂組成物の感度ならびに形成されるスペーサーの耐熱性および弾性特性がより良好となる。
【0027】
<(C)感放射線性重合開始剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される[C]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[B]重合性不飽和化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような[C]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、ベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
上記O−アシルオキシム化合物の具体例としては、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0028】
これらのうちで、好ましいO−アシルオキシム化合物としては、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)を挙げることができる。
これらO−アシルオキシム化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
上記アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物を挙げることができる。
α−アミノケトン化合物の具体例としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を;
α−ヒドロキシケトン化合物の具体例としては、例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等を、それぞれ挙げることができる。
これらのアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンまたは2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンが特に好ましい。
【0030】
上記ビイミダゾール化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
これらビイミダゾール化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
【0031】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(C)感放射線性重合開始剤としてビイミダゾール化合物を使用する場合、ジアルキルアミノ基を有する脂肪族または芳香族化合物(以下、「アミノ系増感剤」という。)およびチオール化合物から選択される少なくとも1種を添加することができる。
上記アミノ系増感剤は、ビイミダゾール化合物の放射線感度を増感し、イミダゾールラジカルの発生効率を高める機能を有する化合物であり、感放射線性樹脂組成物の感度および解像度を向上し、形成されるスペーサーまたは保護膜の基板に対する密着性をより向上する目的で添加することができる。かかるアミノ系増感剤としては、例えばN−メチルジエタノールアミン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸i−アミル等を挙げることができる。これらのアミノ系増感剤のうち、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。これらアミノ系増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
アミノ系増感剤の添加量は、ビイミダゾール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜20重量部である。アミノ系増感剤の添加量が0.1重量部未満では、感度、解像度や密着性の改善効果が不十分となる場合があり、一方50重量部を超えると、形成されるスペーサーの形状が損なわれる場合がある。
【0032】
上記チオール化合物は、イミダゾールラジカルに水素ラジカルを供与し、その結果硫黄ラジカルを有する成分を発生する機能を有する化合物である。ビイミダゾール化合物が放射線の照射を受けて開裂して生ずるイミダゾールラジカルの重合開始能は中程度であり、極めて高いものではないから、これをそのまま液晶表示素子のスペーサーの形成に用いると、スペーサーの断面形状が逆テーパ状の好ましくない形状となる場合がある。しかし、ここにチオール化合物を添加することにより、イミダゾールラジカルにチオール化合物から水素ラジカルが供与される結果、イミダゾールラジカルが中性のイミダゾールに変換されるとともに、重合開始能のより高い硫黄ラジカルを有する成分が発生し、それによりスペーサーの形状を、確実に、より好ましい順テーパ状にすることができる。かかるチオール化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール等の芳香族チオール化合物;3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等の脂肪族モノチオール化合物;3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)等の2官能以上の脂肪族チオール化合物等を挙げることができる。これらのチオール化合物のうち、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
チオール化合物の添加量としては、ビイミダゾール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜20重量部である。チオール化合物の添加量が0.1重量部未満では、スペーサーの形状の改善効果が不十分である場合があり、一方50重量部を超えると、形成されるスペーサーの形状がかえって損なわれる場合がある。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(C)感放射線性重合開始剤としてビイミダゾール化合物を使用する場合、上記アミノ系増感剤およびチオール化合物の双方を添加することが好ましい。
【0033】
本発明における(C)感放射線性重合開始剤の使用割合としては、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部であり、より好ましくは2〜50質量部であり、さらに好ましくは5〜40質量部である。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(C)感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびにビイミダゾール化合物を含有することがより好ましい。
(C)感放射線性重合開始剤におけるO−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物の割合としては、その合計量が(C)感放射線性重合開始剤の全量に対して好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。このような組成のC)感放射線性重合開始剤を使用することにより、本発明の感放射線性樹脂組成物は、低露光量の場合でも高い硬度および密着性を有するスペーサーを形成することができる。
【0034】
<共重合体(D)>
本発明における共重合体(D)は、上記化合物(d1)、化合物(d2)および化合物(d3)を含む重合性不飽和化合物の共重合体であり、本発明の保護膜形成用樹脂組成物において、表面張力の低下性能が高い界面活性剤として機能し、これを少ない割合で使用した場合でも、塗膜の表面平滑性を向上することができ、このことにより、形成されるスペーサーの膜厚均一性を顕著に向上することができる。
共重合体(D)は、好ましくは上記化合物(d1)、化合物(d2)および化合物(d3)のほかにさらに(d4)炭素原子数1〜8のアルキル基を有する重合性不飽和化合物(以下、「化合物(d4)」という。)を含む重合性不飽和化合物の共重合体であり、
より好ましくは上記化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d3)および化合物(d4)のほかにさらに(d5)一分子中に2個以上の不飽和結合を有する重合性不飽和化合物(以下、「化合物(d5)」という。)を含む重合性不飽和化合物の共重合体であり、
特に好ましくは上記化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d3)、化合物(d4)および化合物(d5)からなる重合性不飽和化合物の共重合体である。
【0035】
上記式(1)における基−Cα2α−はメチレン基もしくはアルキルメチレン基または直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基である。基−Cα2α−が左右非対称であるとき、その結合の方向は問わない。基−Cα2α−の炭素数αは好ましくは2〜4である。基−Cα2α−の具体例としては、例えば1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等を挙げることができ、これらのうち1,2−エチレン基または1,3−プロピレン基が好ましく、特に1,2−エチレン基が好ましい。
上記式(1)における基−Cβ2β+1は直鎖状または分岐状のフルオロアルキレン基であり、その炭素数βは1〜20であり、好ましくは4〜12であり、特に好ましくは8である。基−Cβ2β+1は直鎖状のフルオロアルキレン基であることが好ましい。
本発明における化合物(d1)としては、下記式(1)
CH=CRCOOCHCH17 (1)
(式(1)中、Rは上記式(1)におけるのと同義である。)
で表される化合物であることが好ましく、その具体例として、下記式(d1−1)および(d1−2)
CH=CHCOOCHCH(CFCF (d1−1)
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF (d1−2)
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
【0036】
上記式(2)における基−Cγ2γ−は、直鎖状または分岐状のアルキレン基である。基−Cγ2γ−が左右非対称であるとき、その結合の方向は問わない。基−Cγ2γ−の具体例として、例えば1,2−エチレン基および1,2−プロピレン基を挙げることができ、1,2−エチレン基であることが好ましい。
化合物(d2)は、上記一般式(2)における繰り返し単位数aの値が異なる化合物の混合物として使用される。aの数平均値は1〜30であり、好ましくは2〜20であり、特に4〜12であることが好ましい。このaの値は、化合物(d2)につきゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量から、計算により求めることができる。
本発明における化合物(d2)としては、下記式(2)
CH=CRCOO(CO) (2)
(式(2)中、RおよびRは、それぞれ、上記式(2)におけるのと同義であり、繰り返し単位数aの数平均値は4〜12である。)
で表される化合物であることが好ましい。
かかる化合物(d2)としては、市販品を好適に使用することができ、その例として例えば新中村化学工業(株)製のNK−エステルM−40G、M−90G、AM−90G;日油(株)製ブレンマーPME−200、PME−400、PME−550等を挙げることができる。
【0037】
上記一般式(3)において、RおよびRがそれぞれ複数存在するときには、各Rは同一であっても相異なっていてもよく、各Rは同一であっても相異なっていてもよい。また、上記一般式(4)において、R10およびR11がそれぞれ複数存在するときには、各R10は同一であっても相異なっていてもよく、各R11は同一であっても相異なっていてもよい。
上記化合物(d3)としては、上記式(3)において、R、RおよびRが、それぞれ、炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、且つRおよびRが、それぞれ、上記式(4)で表される基を有する重合性不飽和化合物であることが好ましい。
化合物(d3)として、好ましくは下記一般式(d3−1)
【0038】
【化10】

【0039】
(式(d3−1)中、RSiは上記一般式(3)で表される基であり、R12は水素原子またはメチル基であり、dは1〜3の整数である。)
で表される化合物である。化合物(d3)のより具体的な例としては、下記一般式(d3−1−1)〜(d3−1−3)
【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
(上式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、r、sおよびtは、それぞれ、0〜3の整数である。)
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
上記化合物(d4)としては、例えば炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、具体的には、例えばメチルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート等を挙げることができる。
上記化合物(d5)の具体例としては、例えばテトラメチレングリコールの両末端をメタクリレート化した化合物、重合度1〜20のポリエチレングリコール、重合度1〜20のポリプロピレングリコール等を挙げることができる。上記化合物(d5)としては、市販品を好適に使用することができ、その具体例として、例えば新中村化学工業(株)社製のNKエステル1G、同2G、同3G、同4G、同9G、同14G、同3G等を挙げることができる。
本発明における共重合体(D)は、上記の如き化合物(d1)、化合物(d2)および化合物(d3)を含む重合性不飽和化合物の共重合体である。ここで、重合性不飽和化合物の全部に対する各化合物の使用割合は、化合物(d1)につき10〜55重量%であり、化合物(d2)につき10〜50重量%であり、化合物(d3)につき5〜45重量%である。
【0044】
共重合体(D)は、好ましくは化合物(d1)、化合物(d2)および化合物(d3)のほかにさらに化合物(d4)を含む重合性不飽和化合物の共重合体である。このときの、重合性不飽和化合物の全部に対する各化合物の使用割合は、化合物(d1)につき20〜50重量%であり、化合物(d2)につき15〜40重量%であり、化合物(d3)につき10〜30重量%であり、化合物(d4)につき20〜35重量%である。
共重合体(D)は、より好ましくは化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d3)、化合物(d4)のほかにさらに化合物(d5)を含む重合性不飽和化合物の共重合体であり、特に好ましくは化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d3)、化合物(d4)および化合物(d5)からなる重合性不飽和化合物の共重合体である。このときの重合性不飽和化合物の全部に対する各化合物の使用割合は、化合物(d1)につき25〜35重量%であり、化合物(d2)につき20〜30重量%であり、化合物(d3)につき15〜20重量%であり、化合物(d4)につき25〜35重量%であり、そして化合物(d5)につき1〜5重量%である。
共重合体(D)の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜25,000であることが好ましく、10,000〜25,000であることがより好ましく、特に15,000〜25,000であることが好ましい。共重合体(D)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜4である。
【0045】
かかる共重合体(D)の製造方法に関しては特に制限はなく、公知の方法、例えばラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、エマルジョン重合法等によって製造することができるが、溶液中におけるラジカル重合法によることが簡便であるため、工業的に好ましい。
共重合体(D)を製造する際に用いられる重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物等を挙げることができる。
共重合体(D)の製造は、溶剤の存在下または非存在下のいずれでも実施することができるが、作業性の点から溶剤存在下で行うことが好ましい。上記溶剤としては、例えばアルコール、ケトン、エステル、モノカルボン酸のアルキルエステル、極性溶媒、エーテル、プロピレングリコールおよびそのエステル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、フッ素化イナートリキッド等を挙げることができる。上記アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等を;
上記ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン等を;
上記エステルとしては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を;
上記モノカルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等を;
【0046】
上記極性溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を;
上記エーテルとしては、例えばメチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソロブアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を;
上記プロピレングリコールおよびそのエステルとしては、例えばプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えば1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等を;
上記芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等を;
上記フッ素化イナートリキッドとしては、例えばパーフルオロオクタン、パーフロロトリ−n−ブチルアミン等を、それぞれ挙げることができ、これらのいずれをも使用することができる。
共重合体(D)の製造に際しては、更に必要に応じて、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、エチルチオグリコール酸、オクチルチオグリコール酸等の連鎖移動剤を使用してもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物における(D)共重合体の使用割合は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部であり、より好ましくは0.05〜2質量部である。ここで、(D)共重合体の使用割合が0.01〜3質量部のとき、塗布方法としてスリット塗布を採用した場合であっても膜厚の均一性が良好となる。また、この値が3質量部を超えると、塗膜の膜荒れが生じやすくなる場合があり、形成されるスペーサーの膜厚均一性が損なわれる場合がある。
【0047】
<その他の成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の如き(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および共重合体(D)を必須の成分として含有するが、所期の効果を損なわない範囲内で、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば(E)放射線吸収剤、(F)ラジカル捕捉剤、(G)接着助剤等を挙げることができる。
上記(E)放射線吸収剤は、形成されるスペーサーのパターンサイズをより精密にコントロールする目的で使用することができる。(E)放射線吸収剤としては、波長300〜400nmの放射線を吸収する性質を有する化合物を好適に用いることができ、好ましいものとして例えば下記式(E−1)
【0048】
【化14】

【0049】
(式(E−1)中、複数存在するR13は、それぞれ同一であっても相違していてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキル基が炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基または炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基である。)
で表される化合物等を挙げることができる。式(E−1)中、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アルコキシアルキル基中のアルコキシ基およびアルキル基ならびにアルコキシカルボニル基中のアルコキシ基は、それぞれ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルコキシアルキル基中のアルコキシ基は、アルキル基の任意の位置に置換することができる。
【0050】
本発明における(E)放射線吸収剤の好ましい具体例として、例えば2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3−メチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、5−メチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、6−メチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−ジメチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、6,6’−ジメチル−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3−メトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、3−エトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、6−エトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−ジエトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、6,6’−ジエトキシ−2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’,4’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を一緒に用いることができる。
上記の如き(E)放射線吸収剤は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、20質量部以下の範囲で用いることができ、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲で用いることができる。上記の範囲で(E)放射線吸収剤を用いることにより、露光量を大きく変量することなく、スペーサーのパターンサイズを精密に制御することができることとなり、好ましい。
【0051】
上記(F)ラジカル捕捉剤は、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性をより高めるとともに、形成されるスペーサーの高さ(膜厚)をより均一とする目的で使用することができる。このような(F)ラジカル捕捉剤としては、例えばヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アルキルホスフェート化合物、硫黄原子を含む化合物(ただし、アルキルホスフェート化合物を除く)等を使用することができる。
【0052】
これらの具体例としては、上記ヒンダードフェノール化合物として、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、3,3’,3”,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸等を挙げることができ、
【0053】
これらの市販品として、例えばアデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330(以上、(株)ADEKA製);
sumilizerGM、sumilizerGS、sumilizerMDP−S、sumilizerBBM−S、sumilizerWX−R、sumilizerGA−80(以上、住友化学(株)製);
IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1098、IRGANOX 1135、IRGANOX 1330、IRGANOX 1726、IRGANOX 1425WL、IRGANOX 1520L、IRGANOX 245、IRGANOX 259、IRGANOX 3114、IRGANOX 565、IRGAMOD295(以上、チバジャパン(株)製);
ヨシノックスBHT、ヨシノックスBB、ヨシノックス2246G、ヨシノックス425、ヨシノックス250、ヨシノックス930、ヨシノックスSS、ヨシノックスTT、ヨシノックス917、ヨシノックス314(以上、(株)エーピーアイコーポレーション製)等を挙げることができる。
【0054】
上記ヒンダードアミン化合物としては、例えばテトラキス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等を挙げることができ、
これらの市販品として、例えばアデカスタブLA−52、アデカスタブLA57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68LD、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87(以上、(株)ADEKA製);
sumilizer9A(住友化学(株)製);
CHIMASSORB 119FL、CHIMASSORB 2020FDL、CHIMASSORB 944FDL、TINUVIN 622LD、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 765、TINUVIN 770DF(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0055】
上記アルキルホスフェート化合物としては、例えばブチリデンビス{2−tert−ブチル−5−メチル−p−フェニレン}−P、P,P,P−テトラトリデシルビス(ホスフィン)、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン等を挙げることができ、
これらの市販品として、例えばアデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−8W、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP(以上、(株)ADEKA製);
IRGAFOS 168(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0056】
上記硫黄原子を含む化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジ(プロピオン酸−n−トリデカニル)スルフィド、チオジエチレン ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を挙げることができるほか、チオエーテルを使用することができる。チオエーテルの市販品としては、例えばアデカスタブAO−412S、アデカスタブAO−503(以上、(株)ADEKA製);
sumilizerTPL−R、sumilizerTPM、sumilizerTPS、sumilizerTP−D、sumilizerMB(以上、住友化学(株)製);
IRGANOX PS800FD、IRGANOX PS802FD、IRGANOX 1035(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製);
DLTP、DSTP、DMTP、DTTP(以上、(株)エーピーアイコーポレーション製)等を挙げることができる。
【0057】
このような(F)ラジカル捕捉剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(F)ラジカル捕捉剤は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、15重量部以下の割合で使用することができ、0.01〜15質量部の範囲、さらに1〜10質量部の範囲で使用することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の感放射線性を損なうことなく、(F)ラジカル捕捉剤の効果を有効に発揮することができることとなり、好ましい。
【0058】
上記(G)接着助剤は、形成されるスペーサーと基板との接着性をさらに向上するために使用することができる。このような(G)接着助剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましい。(G)接着助剤の具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
これらの(G)接着助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。(G)接着助剤の使用割合は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。(G)接着助剤の使用割合が0.1〜20質量部のとき、形成されるスペーサーの基板に対する接着性が最も良好となる。
【0059】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および共重合体(D)ならびに上記の如き任意的に添加されるその他の成分を所定の割合でそれぞれ均一に混合することによって調製される。この感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および共重合体(D)ならびに任意に添加されるその他の成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した(A)アルカリ可溶性樹脂を製造するために使用できる溶媒として例示したものと同様のものを挙げることができる。
このような溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との反応性、被膜形成の容易性等の観点から、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノールを特に好ましく使用することができる。これらの溶媒は、1種のみを単独で使用することができ、2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】
さらに、上記溶媒とともに膜厚の面内均一性を高めるため、高沸点溶媒を併用することもできる。併用できる高沸点溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらのうち、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンまたはN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
本発明の感放射性樹脂組成物の溶媒として、高沸点溶媒を併用する場合、その使用割合は、溶媒全量に対して、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは3〜30質量%とすることができる。高沸点溶媒の使用量が1〜40質量%のとき、塗膜の膜厚均一性が良好となり、さらにパターニング性も良好となる。
本発明の感放射線性樹脂組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分、すなわち上記の(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および共重合体(D)ならびに任意に添加されるその他の成分の合計量の割合)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5〜50質量%)に設定することができる。さらに好ましい固形分濃度は、基板上への被膜の形成方法により異なる。塗布方法としてスピンコート法を採用する場合の固形分濃度は、20〜50質量%であることがさらに好ましく、特に30〜40質量%であることが好ましい。スリット塗布法を採用する場合の固形分濃度は、10〜35質量%であることがさらに好ましく、特に15〜30質量%であることが好ましい。
このようにして調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供してもよい。
【0061】
<スペーサーの形成方法>
次に、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてスペーサーを形成する方法について説明する。
本発明のスペーサーの形成方法は、少なくとも下記の工程(1)〜(4)を下記に記載の順で含むことを特徴とするものである。
(1)本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)該被膜の少なくとも一部に露光する工程、
(3)露光後の被膜を現像する工程、および
(4)現像後の被膜を加熱する工程。
以下、これらの各工程について順次説明する。
【0062】
[(1)本発明の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程]
先ず、基板上に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する。
TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード等の、基板面に対して垂直方向に発生させた電界を利用する液晶表示素子に用いられるスペーサーを形成する場合には、素子の構成要素および保護膜が形成された基板上にさらに透明導電膜を形成し、該透明導電膜上に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する。一方、基板面に対して水平方向に発生させた電界を利用するIPS(In−Plane Switching)モードの液晶表示素子に用いられるスペーサーを形成する場合には、素子の構成要素および保護膜が形成された基板上に、本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する。
上記いずれの場合においても基板は好ましくは透明基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板等を挙げることができる。より具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の合成樹脂からなる樹脂基板を挙げることができる。
上記透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜等を挙げることができる。
感放射線性樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができ、スピンコート法、スリット塗布法が好ましい。特にスリット塗布法を採用した場合に、本発明の有利な効果を最大限に発揮することができるため、好ましい。
【0063】
塗布後、好ましくはプレベークおよびポストベークが行われる。プレベークおよびポストベークの条件は、それぞれ、本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される成分の種類、使用割合等によって適宜に設定されるべきである。プレベークは、例えば70〜90℃において、例えば1〜15分程度の条件で行うことができる。ポストベークは、ホットプレート、クリーンオーブン等の適宜の加熱装置により行うことができる。ポストベークの温度としては、180〜240℃であることが好ましく、200〜230℃であることがより好ましい。ポストベーク時間は、使用する加熱装置の種類によって異なる。ポストベークの加熱装置としてホットプレートを使用する場合のポストベーク時間は、好ましくは10〜60分であり、より好ましくは15〜40分である。クリーンオーブンを使用する場合のポストベーク時間は、好ましくは20〜120分であり、より好ましくは30〜90分である。
このようにして形成された塗膜の膜厚は、好ましくは0.1〜8μmであり、より好ましくは0.1〜6μmであり、更に好ましくは0.1〜4μmである。
【0064】
[(2)該被膜の少なくとも一部に露光する工程]
次いで、形成された被膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、被膜の一部にのみ照射する際には、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法等によることができる。
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等を挙げることができる。このうち波長が250〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜5,000J/m、より好ましくは200〜3,000J/mである。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、従来知られている組成物と比較して放射線感度が高く、上記放射線照射量が800J/m以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性および高い硬度のスペーサーまたは保護膜を得ることができる。
【0065】
[(3)露光後の被膜を現像する工程]
次に、放射線照射後の被膜を現像することにより、不要な部分(非露光部分)を除去して、所定のパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ性化合物;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等の有機アルカリ性化合物の水溶液を使用することができる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒および界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種を適当量添加して使用してもよい。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は、10〜180秒間程度とすることが好ましい。現像温度は、常温でよい。
現像処理に続いて、好ましくは例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって所望のパターンを得ることができる。
[現像後の被膜を加熱する工程]
次いで、得られたパターン状被膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により、所定温度、例えば100〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上では5〜30分間、オーブン中では30〜180分間、加熱することにより、所望のパターンを有するスペーサーを得ることができる。
以上の如き工程を経ることによって、塗膜に微小な凹凸からなるムラなく、膜厚均一性等の諸性能に優れる液晶表示素子用のスペーサーを形成することができる。
【実施例】
【0066】
以下に合成例および実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例および実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置:東ソー(株)製、「HLC8220システム」
分離カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHHR−Nの4本を直列に接続して使用
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μm
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
また、感放射線性樹脂組成物の溶液粘度は、東京計器(株)製のE型粘度計を用いて30℃において測定した。
【0067】
<(A)アルカリ可溶性樹脂の合成>
[重合体〔A〕の合成]
合成例A−1
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5質量部、酢酸3−メトキシブチル125質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル25質量部、スチレン5質量部、ブタジエン5質量部、メタクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル(商品名PLACCEL FM1D、ダイセル化学工業(株)製)25質量部およびメタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル22質量部を仕込んで、窒素置換したのち、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を5時間保持することにより、共重合体〔α−1〕を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度(重合体溶液に含有される重合体の質量が重合体溶液の全質量に占める割合をいう。以下同じ。)は29.1質量%であり、共重合体〔α−1〕の重量平均分子量Mwは18,000であった。
次いで、得られた共重合体〔α−1〕溶液をこれに含まれる重合体に換算して100質量部(固形分)に相当する量だけとり、ここに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名カレンズMOI、昭和電工(株)製)14質量部と、4−メトキシフェノール0.1質量部を添加した後、40℃で1時間攪拌し、さらに60℃で2時間攪拌して反応を行った。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート由来のイソシアネート基と、共重合体〔α−1〕由来の水酸基との反応の進行は、IR(赤外線吸収)スペクトルにより確認した。40℃で1時間反応を行った後の溶液およびさらに60℃で2時間反応させた後の溶液のそれぞれのIRスペクトルにより、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基に由来する2,270cm−1付近のピークが減少している様子を確認した。上記反応により、固形分濃度34.0%の重合体(A−1)を含有する溶液を得た。
【0068】
[共重合体〔β〕の合成]
合成例β−1
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸18質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、スチレン5質量部およびメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル32質量部を仕込んで、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合を行うことにより、共重合体〔β−1〕を含有する溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は33.0質量%であり、共重合体〔β−1〕のMwは11,000であった。
合成例β−2
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル250質量部を仕込んだ。引き続きスチレン5質量部、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル20質量部、メタクリル酸グリシジル30質量部および3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン25質量部を仕込み、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体〔β−2〕を含有する溶液を得た。この溶液の固形分濃度は28.3質量%であり、共重合体〔β−2〕のMwは11,000であった。
【0069】
[共重合体〔γ〕の合成]
合成例γ−1
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)5部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル250質量部を仕込み、引き続いて2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸35質量部、メタクリル酸n−ブチル25質量部およびメタクリル酸ベンジル35質量部を仕込んで、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を90℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体〔γ−1〕を得た。この溶液の固形分濃度は28.0質量%であり、共重合体〔γ−1〕のMwは12,000であった。
<共重合体(D)の合成>
合成例D−1
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに(d1)化合物として上記式(d1−1)で表される化合物28.4質量部、(d2)化合物としてNK−エステルM−90G(商品名、新中村化学(株)製)20.7質量部、(d3)化合物として下記式(d3−1−1−1)
【0070】
【化3】

【0071】
(上式中、Meはメチル基である。)
で表される化合物18.1質量部ならびに(d4)化合物としてメチルメタクリレート5.9質量部および2−エチルヘキシルアクリレート23.5質量部、(d5)化合物としてテトラメチレングリコールの両末端をメタクリレート化した化合物3.4質量部、ならびに溶媒としてイソプロピルアルコール414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.7質量部および連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行うことにより、共重合体(D−1)を含有する溶液を得た。その後、エバポレーターを用いて70℃以下の加熱条件で脱溶剤を行い、共重合体(D−1)を単離した。
得られた共重合体(D−1)の数平均分子量Mnは2,800であり、重量平均分子量Mwは5,300、また、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
合成例D−2
上記合成例D−1において、連鎖移動剤としてのラウリルメルカプタンの添加量を1質量部としたほかは合成例D−1と同様にして、共重合体(D−2)を得た。
得られた共重合体(D−2)の数平均分子量Mnは4,700であり、重量平均分子量Mwは11,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
合成例D−3
上記合成例D−1において、連鎖移動剤としてのラウリルメルカプタンを使用せず、共重合温度および時間を、それぞれ、73℃および10時間としたほかは合成例D−1と同様にして、共重合体(D−3)を得た。
得られた共重合体(D−3)の数平均分子量Mnは5,600であり、重量平均分子量Mwは21,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は3.8であった。
【0072】
合成例D−4
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに、(d1)化合物として上記式(d1−1)で表される化合物39.4質量部、(d2)化合物としてNK−エステルM−90G(商品名、新中村化学(株)製)31.6質量部および(d3)化合物として上記式(d3−1−1−1)で表される化合物29.0質量部、ならびに溶媒としてイソプロピルアルコール414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.7質量部および連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行うことにより、共重合体(D−4)を含有する溶液を得た。その後、エバポレーターを用いて70℃以下の加熱条件で溶媒を除去することにより、共重合体(D−4)を単離した。
得られた共重合体(D−4)の数平均分子量Mnは3,000であり、重量平均分子量Mwは6,000、また、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
合成例D−5
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに、(d1)化合物として上記式(d1−1)で表される化合物28.4質量部、(d2)化合物としてNK−エステルM−90G(商品名、新中村化学(株)製)20.7質量部、(d3)化合物として上記式(d3−1−1−1)で表される化合物21.5質量部ならびに(d4)化合物としてメチルメタクリレート5.9質量部および2−エチルヘキシルアクリレート23.5質量部、ならびに溶媒としてイソプロピルアルコール414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.7質量部および連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行うことにより、共重合体(D−5)を含有する溶液を得た。その後、エバポレーターを用いて70℃以下の加熱条件で溶媒を除去することにより、共重合体(D−5)を単離した。
得られた共重合体(D−5)の数平均分子量Mnは2,600であり、重量平均分子量Mwは5,000、また、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0073】
実施例1
<感放射線性樹脂組成物の調製>
(A)アルカリ可溶性樹脂として上記合成例β−1で得た共重合体(β−1)の溶液を共重合体(β−1)に換算して100質量部(固形分)に相当する量、(B)重合性不飽和化合物としてジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(B−1)130質量部、(C)感放射線性重合開始剤としてエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製の「イルガキュアOXE02」)(C−1)5質量部および2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)(C−2)20質量部、共重合体(D)として上記合成例D−1で得た共重合体(D−1)0.3質量部ならびにその他の成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPT)5質量部に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(DEG)を加え、固形分濃度が23重量%になるように溶解した後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物(S−1)を調製した。調製後の感放射線性樹脂組成物(S−1)の粘度は、5.0cPであった。
上記で調製した感放射線性樹脂組成物(S−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果は第1表に示した。
【0074】
<評価>
(1)塗布膜の外観評価
550×650mmのクロム成膜ガラス上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物(S−1)を、スリットダイコーター(TR632105−CL、東京応化工業(株)製)を用いて塗布し、65Paで溶媒を除去した後、90℃にて2分間加熱することにより、膜厚3.5μmの塗膜を形成した。
この塗膜の表面の外観につき、形成後、塗膜をナトリウムランプ下で目視による観察を行った。発生するムラを以下のように分類し、それぞれについてムラの有無および強さを評価した。
(ムラの分類)
もやムラ:塗膜表面全体に発生しているモヤ状のムラ
縦筋ムラ:塗布ノズルの掃引方向に発生する筋状のムラ
ステージ真空吸着跡ムラ:塗布ステージで基板を真空吸着するための穴に由来するムラ
支持ピンムラ:基板搬送用支持ピンに由来するムラ
(ムラの有無および強さの評価)
なし:ムラが確認されなかった場合
弱:ムラがわずかに確認された場合
強:ムラが明確に確認された場合
【0075】
(2)膜厚の均一性の評価
上記「(1)塗布膜の外観評価」において、550×650mmのクロム成膜ガラスの代わりに、550×650mmの無アルカリガラスを用いたほかは上記「(1)塗布膜の外観評価」と同様にして、基板上に塗膜を形成した。
この塗膜につき、20点の測定点において膜厚を測定し、下記式により膜厚均一性を算出した。
膜厚の均一性(%)=(塗布膜厚の最大値−最小値)×100/((20点の塗布膜厚の平均)×2)
このように算出された塗布膜厚の均一性が1%以下である場合、膜厚均一性は良好といえる。
なお、上記20点の測定点は、以下のようにして定めた。すなわち、基板(550×650mm)の長辺および短辺の各端部から50mmの範囲を除いた内側の領域(450×550mm)を測定領域とし、該領域内で長辺方向および短辺方向の直線上でそれぞれ40mmおきに各10点(計20点)を決め、これらを測定点とした。
(3)感度の評価
95mm×95mmの無アルカリガラス基板上にスピンコート法を用いて、感放射線性樹脂組成物(S−1)を塗布したのち、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより、膜厚3.5μmの塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜に、開口部として直径12μmの円状パターンが形成されたフォトマスクを介して、365nmにおける強度が250W/mの紫外線で、露光時間を変量して露光した。その後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液により25℃にて60秒間現像したのち、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、パターン状被膜からなるスペーサーを形成した。このとき、ポストベーク後の残膜率(ポストベーク後の被膜の膜厚×100/露光後(ポストベーク前)膜厚)が90%以上となる最小の露光量を調べ、この値を感度とした。この値が800J/m以下であった場合、感度は良好であるといえる。
【0076】
(4)ラビング耐性の評価
露光量を「(3)感度の評価」で決定した感度に相当する露光量としたほかは、「(3)感度の評価」と同様にして基板上にスペーサーを形成した。得られた基板上に、液晶配向剤AL3046(商品名、JSR(株)製)を液晶配向膜塗布用印刷機により塗布したのち、180℃で1時間加熱して溶媒を除去することにより、膜厚0.05μmの液晶配向剤の塗膜を形成した。
次いで、この塗膜に対して、ポリアミド製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒の条件で、ラビング処理を行った。このときの、パターンの削れおよび剥がれの有無を調べた。
(5)圧縮性能の評価
露光量を「(3)感度の評価」で決定した感度に相当する露光量としたほかは、「(3)感度の評価」と同様にして基板上に円柱状パターンからなるスペーサーを形成した。このスペーサーにつき、微小圧縮試験機(フィッシャースコープH100C(フィッシャーインストルメンツ社製))を用い、50μm角状の平面圧子を使用し、40mNの荷重にて圧縮試験を行い、荷重に対する圧縮変位量の変化を測定し、40mNの荷重時の変位量と40mNの荷重を取り除いた時の変位量から回復率(%)を算出した。このとき、回復率が90%以上であり、且つ40mNの荷重時の変位が0.15μm以上であった場合、高い回復率および柔軟性の双方を具備した圧縮性能を有するスペーサーであるといえる。
【0077】
実施例2〜20および比較例1〜4
上記実施例1において、使用した(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤および共重合体(D)ならびにその他の成分の種類および量ならびに使用した溶媒の種類を、それぞれ第1表に記載の通りとしたほかは実施例1と同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価した。
なお、比較例1〜3においては共重合体(D)の代わりに市販の界面活性剤を用いた。また、比較例4においては共重合体(D)および界面活性剤のいずれをも使用しなかった。
評価結果は第1表に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
第1表における各成分の略称はそれぞれ以下の意味である。(C)感放射線性重合開始剤とアミノ系増感剤およびチオール化合物とを併用した場合には、使用したアミノ系増感剤およびチオール化合物の種類および量は、第1表における(C)感放射線性重合開始剤の欄に併記した。成分欄における「−」はその欄に相当する成分を使用しなかったことを示す。
<(B)重合性不飽和化合物>
B−1:ジペンタエリストールヘキサアクリレート(商品名KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)
B−2:多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する重合性不飽和単量体(商品名KAYARAD DPHA−40H、日本化薬(株)製)
B−3:エチレンオキサイド変性ジペンタエリストールヘキサアクリレート(商品名KAYARAD DPEA−12、日本化薬(株)製)
<(C)感放射線性重合開始剤>
C−1:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製の「イルガキュアOXE02」)
C−2:2−(4−メチルベンゾイル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−3:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
C−4:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
C−5:2−メルカプトベンゾチアゾール
【0082】
<その他の成分>
(E)放射線吸収剤
THBP:2,4,2’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
(F)ラジカル捕捉剤
AO−20:1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸(商品名「アデカスタブAO−20」、(株)ADEKA製)
AO−330:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名「アデカスタブAO−330」、(株)ADEKA製)
PEP−8:ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト(商品名「アデカスタブPEP−8」、(株)ADEKA製)
(G)接着助剤
GPT:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
<界面活性剤>
δ−1(比較例1):シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名:SH−193)
δ−2(比較例2):フッ素系界面活性剤((株)ネオス製 商品名:フタージェント222F)
<溶媒>
DEG:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)重合性不飽和化合物、
(C)感放射線性重合開始剤、ならびに
(D)(d1)下記式(1)で表される化合物、
(d2)下記一般式(2)で表される化合物および
(d3)下記一般式(3)で表される基を有する重合性不飽和化合物
を含む重合性不飽和化合物の共重合体
を含有することを特徴とする、感放射線性樹脂組成物。
CH=CRCOO−Cα2α−Cβ2β+1 (1
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、αは0〜6の整数であり、βは1〜20の整数である。)
CH=CRCOO−(Cγ2γ−O)−R (2
(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、γは2または3であり、aは繰り返し単位数であって、その数平均値は1〜30である。)
【化1】

(式(3)中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基または下記一般式(4)で表される基であり、bは0〜3の整数である。)
【化2】

(式(4)中、R、R10およびR11は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、cは0〜3の整数である。)
【請求項2】
上記(D)共重合体が、上記化合物(d1)、化合物(d2)および化合物(d3)のほかにさらに(d4)炭素原子数1〜8のアルキル基を有する重合性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物の共重合体である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
上記(D)共重合体が、上記化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d3)および化合物(d4)のほかにさらに(d5)一分子中に2個以上の不飽和結合を有する重合性不飽和化合物を含む重合性不飽和化合物の共重合体である、請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
上記化合物(d1)が下記式(1)で表される化合物であり、
上記化合物(d2)が下記一般式(2)で表される化合物であり、そして
(D)共重合体が、
化合物(d1)25〜35質量%、
化合物(d2)20〜30質量%、
化合物(d3)15〜20質量%、
化合物(d4)25〜35質量%および
化合物(d5)1〜5質量%
からなる重合性不飽和化合物の共重合体である、請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
CH=CRCOOCHCH17 (1)
(式(1)中、Rは上記式(1)におけるのと同義である。)
CH=CRCOO(CO) (2)
(式(2)中、RおよびRは、それぞれ、上記式(2)におけるのと同義であり、繰り返し単位数aの数平均値は4〜12である。)
【請求項5】
少なくとも以下の工程を以下に記載の順序で含むことを特徴とする、液晶表示素子用スペーサーの形成方法。
(1)請求項1〜4のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)該被膜の少なくとも一部に露光する工程、
(3)露光後の被膜を現像する工程、および
(4)現像後の被膜を加熱する工程。
【請求項6】
請求項5に記載の方法により形成された、液晶表示素子用のスペーサー。

【公開番号】特開2011−128177(P2011−128177A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283590(P2009−283590)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】