感染症の伝染を防止するための、特に公共施設及び/若しくは輸送手段における対象物のカバー
【課題】 本願発明の目的は、感染症の伝染を防止するために、公共施設及び輸送手段におけるドアハンドル、手すり、グリップ等のような広い範囲の形式の対象物に装着することのできるカバーを提供することにある。
【解決手段】 本願発明は、伝染病の伝染を防止するための、公的施設及び/若しくは輸送手段における対象物のカバーに関するものであり、該カバーは、被覆材料を有すると共に、殺ウィルス及び/若しくはウィルス増殖を抑止する及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静菌性の及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静真菌性の効果を有し、前記被覆材料は、対象物の表面(2)に外側から装着されるように形成されるものである。したがって、本願発明によれば、前記カバー材料は可撓性を有し、対象物の外側形状に適合するものである。
【解決手段】 本願発明は、伝染病の伝染を防止するための、公的施設及び/若しくは輸送手段における対象物のカバーに関するものであり、該カバーは、被覆材料を有すると共に、殺ウィルス及び/若しくはウィルス増殖を抑止する及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静菌性の及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静真菌性の効果を有し、前記被覆材料は、対象物の表面(2)に外側から装着されるように形成されるものである。したがって、本願発明によれば、前記カバー材料は可撓性を有し、対象物の外側形状に適合するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伝染病の伝染を防止するための、公的施設及び/若しくは輸送手段における対象物のカバーに関するものであり、該カバーは、被覆材料を有すると共に、殺ウィルス及び/若しくはウィルス増殖を抑止する及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静菌性の及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静真菌性の効果を有し、前記被覆材料は、対象物の外側形状に適合されるものである。
【背景技術】
【0002】
病気の伝染は、公共場所における感染によって発生する。感染は、他人との接触の結果として生じる。感染の場合、病原体は、能動的に又は受動的に生体内に入り込み、そこで増殖する。一般的にその結果として生じる生体の反応は、伝染病として現れる。もっとも一般的な感染症は、ウィルス性又は真菌感染症及び細菌性疾患である。上述した種類の感染症は、多くの人が頻繁に出入りするので、公共施設や輸送手段において発生する。
【0003】
接触感染の危険性を減少させるために、感染の伝染を遮断するための殺菌効果を有する表面を提供し、金属が細菌を殺すために使用されることが、特許文献1(DE10305142A1)から公知である。この場合、金属ドープの寸法的に安定した樹脂グリップが、ドアハンドルのために提案され、ドアハンドルに押し付けられる。ニップルがグリップの前領域の内側に設けられる時に、押し付け位置においてニップルはドアハンドルに空けられた口に噛合する。その連結接続は、グリップの簡単な取り外しを防止するものである。もし、グリップが交換されるか取り外されることを目的としているならば、これはドリルでニップルを取り外すことによって実行される。この目的のために、ドリルを所定の位置に配置することができるように、ニップルの辺りのグリップの外側に凹みを設けるものである。
【0004】
公知のメタルドープドアグリップは、管状形状を有し、対応して形成された管状ドアハンドルに押し込まれる。多くのドアハンドルが管状の形とは異なる形状を有することに不都合がある。さらに、従来技術において、ドアハンドルへのドアグリップの連結結合が必要であるので、ドアハンドルとメタルドープグリップは、単一体を示す。今までのところ、ドアグリップを有する公知のドアハンドルの使用は、実際には採用されていない。これに関する理由は、特に既存のドアハンドルを取り替えることが必要である可能性が高いことであり、それは、ふつう管状とは異なる形状を有し、さらにドアグリップの連結結合のための噛合開口部を有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 103 05 142 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
銅イオンを具備する繊維状及び布状のシート状材料も従来技術から公知である。これらの材料は、例えばハンドバッグの内側の裏地として使用される。上述した織物素材は、それらがすぐに汚れ、簡単にきれいにすることができないので、カバーとしての使用に適しておらず、それらの織物構造のために、良好な殺ウィルス効果又は殺菌効果を有していても、全ての病原菌が無力化されるか殺傷されることがないのと同様に、そこにしっかりと付着した病原体の可能性を示している。
【0007】
このように、本願発明の目的は、公共施設及び輸送手段におけるドアハンドル、手すり、グリップ等のような広い範囲の形式の対象物に使用することのできる上述した種類のカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本願発明によれば、カバー材料が可撓性であり、対象物の外側形状に適合することができる上述した種類のカバーの場合において、主に提供される。従来技術と対照してみると、前記カバー材料は、寸法的に安定しているが可撓性があり、且つ対象物の外側形状に結果として適合することができる。本願発明によるカバーは、結果として覆われる対象物の所定の断面形状に制限されず、対象物の断面形状に関係なく、原則的に所定の半径の対象物上に引っ張って装着される。結果として、本願発明によるカバーの応用領域は、従来のカバーに比べて格段に広くなる。
【0009】
前記カバー材料は、シート材料から製造されることが望ましい。小さく層厚により、シート材料は、カバーの必要な可撓性を確保し、その結果として対象物の外形への適合を確保できるものである。同時に、前記シート材料は、1以上の層で形成されることが望ましい。いずれの場合も、前記シート材料は、支持層として働くプラスチックを含む少なくとも一つの層を有するか、少なくとも一つの層が支持機能を有することが望ましい。そのようなシートは、押出成形、共押出成形、インフレーションフィルム押出成形等によって容易に製造することができるだけでなく、大変小さい表面粗さによっても区別される。この表面粗さは、前記シート材料の層厚の10%未満であることが望ましく、さらには5%未満であることが望ましく、さらにまた、1%未満であることが望ましい。このように、例えば300μmの層厚を有するシートの場合、最大30μmの粗さが得られる。その粗さは、3μm未満であることが望ましい。最終的に、その小さな粗さは、病原菌がその表面に十分に付着することができない効果を有すると同時に、付着した病原菌が最初の述べられたカバーの効果によって抑制若しくは殺菌されるものである。さらに、その表面は、簡単に洗浄することができる。最後に、シート材料から製造されたカバーは、ちなみに鋳造やカレンダー仕上げを含む上述した製造方法が、低コストで製造されるカバー材料の大量生産を可能にするので、それらが大変安価であるという主な利点を有する。
【0010】
前記シート材料の層厚は、10μm〜10mmの間であることが望ましく、特に20μm〜2000μmの間であることが望ましく、さらに50μm〜1000μmの間であることが望ましく、さらにまた、100μm〜500μmの間であることが望ましい。そのような層厚の効果の一つは、簡単に加工することができ、且つ安価である十分に可撓性を有するカバー材料を提供することである。
【0011】
さもなければ、上述されたように、前記シート材料は、支持層として少なくとも一つの層を有することが望ましい。これは、ポリオレフィン、特にPE又はPP、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、エステル、アクリレート、PS、ポリ乳酸、セルロースのような再生可能な原料、又は例えばPRAのような生分解性プラスチックからなることが望ましい。その上、この層は、顔料、さらに例えば紫外線安定剤、抗酸化物質、難燃材等のような付加剤を含むことが望ましい。
【0012】
前記カバーは、可撓性のチューブとして形成されると共に対象物等に装着することに特に利点があり、またこれに代えて、前記カバーがバンドの形状であり、且つ対象物の周囲に巻回されるものであることに利点がある。上述した種類のシート材料チューブ又はウェブは、一方で、上述した方法によって比較的簡単に且つ安価に製造することができる。他方で、チューブ及びバンドは、対象物に大変簡単に適合させることができる。同時に、バンドの場合、バンドを具備するカバーは、対象物が少なくとも一方の端部で自由に受容可能であることを要求しないという利点を有する。バンドは、たとえ対象物が自由端部を有しない場合、例えば、両端で制限され若しくは固定されているような手すり、グリップ等のようないかなる対象物及びいかなる表面にも装着することができるものである。さらに、バンドの場合、バンドと関連する対象物が形成される方法により、バンドが対象物の周りに螺旋状に巻回されることが要求されない。対象物の長手方向に巻かれることも、容易に可能である。
【0013】
さらにまた、バンド形状のカバーは、5mm以上のバンド幅を有するものとして理解されることが指摘されるべきである。本願発明によるバンドは、例えば1平方メートル以上の表面積を有する正方形又は長方形を有するシート材料の別の層を意味するものとして理解される。
【0014】
これに関して、カバーのプラスチック材料が、熱作用によって収縮することができるように形成されることに特別な利点がある。それ故に、この場合において、関連したプラスチック層が収縮性フィルムを示すものである。簡単な方法において実行される収縮が、対象物に存在するべき特定の手段又は接続要素なしに、迅速に且つ確実に対象物に、カバーを固定させるものである。
【0015】
さらに、接着結合は、対象物にカバーを接続するために使用されることが望ましい。この目的のために、カバーは、例えばセット形状において、前記カバーが装着される前に対象物に塗布される接着剤を伴うことが望ましい。バンド形状のカバーの場合、カバー材料が、その対象物に面する下面に接着剤コーティングを有することが適当である。前記接着コーティングは、再解放可能な接着剤であることが望ましいので、装着の間位置合わせしていない時には特に、それに続く位置合わせが容易に可能となるものである。これに関して、装着される前に外される外側防護層は、接着層を防護するために提供される。この防護層は、例えば、シリコン処理されることが望ましい。
【0016】
さらにまた、カバー材料は、弾性的に、伸縮自在であることが、特に利益的である。この弾性的伸縮自在性は、その弾性力によって異なる大きさの対象物に装着することができる異なる径の対象物用の一つの形のカバーを提供することを可能にする。さらに、カバー材料の可撓性と順応性の結果として、特に弾性的伸縮自在性の結果として、カバーが、その対象物に装着される状態において、その全表面積にわたって、少なくとも実質的にその全表面積にわたって覆うことが確保されるものである。
【0017】
広い範囲の対象物に関して、本願発明によるカバーの取り扱いをできるだけ簡単にするために、カバー若しくはカバー材料は、ロール等の状態で、1m以上の長さで、特に3m以上の長さで、巻回され若しくは保存されるものである。それぞれの必要についてカバー材料の必要な長さをロールから引き出し又は取り出して、前記対象物に装着することができるものである。この場合、ロールの幅は、カバー若しくはカバー材料の幅の適合させるものである。したがって、ロールの幅は、5mm以上であることが望ましい。2mまでの幅を有するロールが原則として可能である。最終的に、ロールの幅、及び結果としてのカバーの幅は、意図される使用、防護するべき対象物の大きさ及び形状によって決定される。
【0018】
感染症の伝達を防止するために、カバー材料は、対応する特性を有する金属を具備する。これに関して、銅、銀が考慮される。これら金属は、それらの殺ウィルス性、殺菌性、抗真菌性効果によって区別される。
【0019】
特別に良好な活性効果は、銅の場合、銅がイオン形状である場合に、得られるものである。塩及び/若しくは酸化物の形状における銅の使用が特に考慮されるものである。一方で、銀の場合、元素形態であることが望ましい。これは、最高の活性効果を生じるものである。
【0020】
金属は、カバー材料に、粒子形状において、ナノ粒子の形で、及び/若しくは、糸形状において、例えば独立した糸形状において、若しくは格子状形状及び/若しくはフィラメントの形で有ることが望ましい。前記粒子サイズは、この場合、10〜2000nmの間、特に100〜1000nmの間、さらには200〜300nmの間であることが望ましい。
【0021】
金属活性物質の割合は、カバーの総重量に対して0.001〜20重量%の間であることが望ましい。またこの割合は、0.01〜5重量%の範囲内、特に0.1〜2重量%の間であることが望ましい。
【0022】
特にシート材料が使用される場合、カバー材料が、カバーの使用状態において使用者が握る側を示す少なくとも対象物から離れたその外側面に、金属を含むコーティング若しくは活性層を有することが望ましい。この場合、それぞれの対象物上にカバーを装着し固定するために実質的に働くキャリア層が設けられる。活性化物質又は金属を含むコーティングが、キャリア層よりも小さい層厚を有するキャリア層に対する活性化層として装着される。活性化層に対するキャリア層の層厚の比率は、1:1〜10:1の間であることが望ましい。上述したコーティングの特別な利点は、外側活性化層の金属の比率が相対的に大きいことであり、それによってカバーは、極端に効果的である。
【0023】
外側活性化層が設けられているかどうかに関係なく、いずれの場合も金属が、プラスチック層−外側活性化層がない状態で−に、若しくは外側活性下層に均一に分散されるものである。この均一な分散は、外側表面がすり減った場合にですら、カバーによって保護される対象物が握られ続ける時に十分な活性化材料が存在するものである。
【0024】
さらに、本願発明は、特に公共施設及び/若しくは交通手段における対象物の表面に感染症の伝染を防止するためにカバーを装着するための方法に関するものであり、それが対象物に装着されるときに、対象物の外側形状に柔軟に適合されるカバーのカバー材料に関するものである。
【0025】
本願発明に係る方法に関する特別な利点は、前記カバーが、対象物の装着状態において対象物の表面に装着されることであり、且つ/又は回顧的に、対象物が一端若しくは2つの端部で固定されるかどうかに関係なくぴったりとしていることである。特に、本願発明に係る方法は、感染症の伝染を防止するためのカバーで、すでに存在する対象物を改良することを可能にする。前述のまた下記する範囲の陳述は、すべての暫定的区間及び個々の値を具備すること、これらが、たとえ暫定的区間及び個々の値が特別に言及されない場合でも、本願発明に絶対的に必要なものとして考慮されることが明確に指摘されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、固定されない状態において、ドアハンドルに装着される本願発明に係るカバーの概略説明図を示す。
【図2】図2は、固定されたカバーを有する図1に対応する説明図を示す。
【図3】図3は、手すりに装着されたカバーの概略説明図を示す。
【図4】図4は、図3に係る具体例の詳細の拡大説明図を示す。
【図5】図5は、図4における詳細の説明図に対応する別の具体例を示す。
【図6】図6は、固定されていないカバーを有する飲料ボトルの説明図を示す。
【図7】図7は、固定されたカバーを有する図6で示す飲料ボトルの説明図を示す。
【図8】図8は、カバーを製造するための可撓性チューブの説明図を示す。
【図9】図9は、カバーを製造するためのバンドの説明図を示す。
【図10】図10は、カバーを製造するためのロールに貯蔵されるバンドの説明図を示す。
【図11】図11は、本願発明に係るカバー材料の層構造の具体例を示す断面図である。
【図12】図12は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【図13】図13は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【図14】図14は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願発明の代表的な実施例が図面に基づいて下記に詳細に記載される。そこに記載され、図面的に存在する全ての特徴は、それら自体において、若しくは所望の結合において、それらが請求の範囲においてどのように結合されるか、若しくは請求の範囲に戻って参照する方法に関係なく、本願発明の主題を形成するものである。
【実施例】
【0028】
図1乃至図7において、本願発明に係るカバー1のいろいろな典型的な具体例は、異なる対象物で示されるものである。全ての具体例の場合において、それぞれのカバー1は、感染症の伝染を防止するために提供され、最終的に無菌の表面を提供するものである。この目的のために、前記カバー1は、特に殺ウィルス性及び/若しくは静ウィルス性及び/若しくは殺菌性及び/若しくは静菌性及び/若しくは殺真菌性及び/若しくは静真菌性効果を有するカバー材料を有する。本願の場合、これは、カバー材料に組み込まれる対応する金属の作用に基づくものである。代表的な具体例の場合、金属は、その元素形態における銀である。
【0029】
本願発明の場合、前記カバー材料、及び結果としてのカバー1は、対象物の表面2に対して外側から装着されるように意図されるものである。前記対象物は、手で触れられたり、握られたりする種類の対象物である。特に、それらは、公有財産、特に公共施設又は交通の公共手段における対象物である。しかしながら、本願発明は、軍事分野における設備の備品であっても良く、且つ/又は、ABC防護用品であっても良い。例えば、これは、別の人によって握られる可能性のある武器や他の対象物を具備するものでも良い。
【0030】
図1乃至図7において、ドアハンドル3(図1及び図2)、手すり4(図3〜5)及び飲料用ボトル5(図6及び7)じゃ、対象物の例におって示されるものである。
【0031】
全ての具体例において、前記カバー材料及び結果としてのカバー1は、可撓性に形成され、それ自体を、関連した本体の表面形状に導入することができるものである。
【0032】
このように、図1乃至図7において、異なる対象物のためのカバー1のいろいろな具体例が示される。図1及び図2に示される実施例の場合、可撓性チューブの形のカバー1は、ドアハンドル3に装着されるもので、この実施例の場合は円筒形状を有するか、それに限定されるものではない。この場合、可撓性チューブは一方の端部が閉鎖されているが、この場合に限定されるものではない。図1によって示されるように、カバー1の断面積は、ドアハンドル3の断面積よりも大きいために、装着するのが容易に可能となる。可撓性チューブとして形成されたカバー1は、この場合では対応するプラスチックの収縮フィルムから形成され、
熱の影響下で縮小若しくは収縮するものである。図2において、カバー1の収縮状態が示される。この状態において、カバー1は、その全表面積にわたってドアハンドルの表面2に対して装着される。
【0033】
図3は、その上下端部のそれぞれに固定される手すり4が対象物として設けられる具体例を示している。ここで、カバー1は、手すり4の表面2に提供されるものである。図4によって詳細が示されるように、バンドとして形成されるカバー1が、同様に手すり4に装着される。
【0034】
それに代わる具体例として、カバー材料が手すり4の周りに螺旋状に巻回されるという具体例が図5に示される。
【0035】
それぞれのカバー1の固定は、いろいろな手段によって実行される。図4で示される具体例の場合において、バンドの形状のカバー材料は、その下面に接着材コーティングを有する。また、カバー1に接合を提供するために働く接着剤を手すり4の表面2に付与することもできる。図5に示される具体例の場合において、前記カバー材料は、弾力的に伸縮自在であるために、カバー1は、手すり4上に、実質的に接着剤なしに−最終的に摩擦接合によって−保持されるものである。
【0036】
飲料用ボトル5が対象物として設けられる具体例は、図6及び図7に示されるものである。図6による具体例の場合において、カバー1は、飲料用ボトル5にわたって緩く装着されるものである。収縮フィルムとして形成されたカバー1の収縮の後、カバー1は、その全体領域にわたって飲料用ボトル5の表面1に配されるものである。
【0037】
特に、図6及び図7によれば具体例の場合において、原則的に、弾性的伸縮自在カバー材料も使用されることが望ましく、カバー1はいくらか引き延ばされて関連した対象物にわたって装着されるものである。その後、カバー材料は、再び収縮し、前記カバー1が、その表面領域にわたってそれぞれの対象物の表面2に対して装着されるものである。
【0038】
図8において、1つ又は複数のカバー1を形成するための可撓性チューブ6が示されている。この場合、可撓性チューブ6は、熱効果によって収縮するシート材料である。原則的に、可撓性チューブ6は、弾性的に伸縮自在な材料であることが望ましい。可撓性チューブ6の寸法は、それぞれの応用に、いわゆるそれぞれの対象物の長さ及び寸法に依存する。図8に対応する折りたたまれた状態における可撓性チューブ6の幅及びその断面積はいろいろである。このように、0.5cm幅を有する可撓性チューブが可能である。
【0039】
図9は、1つ又は複数のカバー1を製造するためのバンド7を示す。寸法に関して、バンド7は、上述した可撓性チューブ6に対応する。可撓性チューブ6及びバンド7はどちらもエンドレス長を有する。
【0040】
図10において、カバー1を製造するためのエンドレスバンド7を有するロール8が示される。この場合、バンド7は、ロール8に巻かれている。
【0041】
図11乃至図14において、本願発明に係るカバー1にためのカバー材料のいろいろな層構造が示される。全ての具体例の場合において、それぞれの材料の層厚は、100μmから2000μmの間にある。さらに、全ての場合において、プラスチックからなる支持層9が設けられている。
【0042】
図11に示される具体例の場合、200nmから300nmの間の粒子サイズを有するナノ粒子の形の銀粒子10が、活性化物質として支持層9に設けられる。この場合、粒子10は元素形態において存在する。さらに、この場合において、該粒子は、層の厚さにわたって均一に分散される。しかしながら、原則的に、粒子10は、上面11に多く設けられ、下面12には少なく設けられることも可能である。上面11は、最終的に使用者に対面するカバー1の外側活性化領域であり、下面12は取り付けられた状態において対象物の表面に対面するものである。
【0043】
図12に示される具体例の場合、活性化金属の多数の糸13が、支持層9に設けられる。糸13の配置が、最終的に格子状配置であることについては示されていない。しかしながら、金属の複数の短い糸又はフィラメントが整合性無しに支持層9内設けられても良いものである。図12に示される具体例の場合において、糸13の径は、支持層9の層厚におよそ対応している。しかしながら、これはこの場合に限るものではない。糸13は、原則的に大変小さい径を有するものである。このように、糸の径は、1〜100倍で支持層9の層厚よりも小さくても良いものである。さらに、図12に示される具体例において、前記糸が、上部領域のみに設けられること、いわゆる上面11の領域に設けられ、下面12の領域において散発的に若しくはほとんど設けられないことも可能である。
【0044】
図13に係る具体例の場合、支持層9上に、活性化金属を有する活性化層14を設けても良いものである。この活性化層14は、層11,12の一つとして形成されても良いものである。活性化層の層厚は、支持層の厚さよりも、特に1〜50倍で小さいことが好ましいものである。
【0045】
図14に示される具体例の場合、接着層15及び防護層16が、図13に対応する方法においてシート材料の下面に装着されるものである。防護層16はシリコン処理され、カバーの装着前にはがされることが望ましい。接着層15の接着剤は、いわゆる公知の接着剤であることが望ましい。また、再剥離可能な接着剤が好ましい。
【符号の説明】
【0046】
1 カバー
2 表面
3 ドアハンドル
4 手すり
5 飲料用ボトル
6 可撓性チューブ
7 バンド
8 ロール
9 支持層
10 粒子
11 上面
12 下面
13 糸
14 活性化層
15 接着層
16 防護層
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伝染病の伝染を防止するための、公的施設及び/若しくは輸送手段における対象物のカバーに関するものであり、該カバーは、被覆材料を有すると共に、殺ウィルス及び/若しくはウィルス増殖を抑止する及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静菌性の及び/若しくは殺菌性の及び/若しくは静真菌性の効果を有し、前記被覆材料は、対象物の外側形状に適合されるものである。
【背景技術】
【0002】
病気の伝染は、公共場所における感染によって発生する。感染は、他人との接触の結果として生じる。感染の場合、病原体は、能動的に又は受動的に生体内に入り込み、そこで増殖する。一般的にその結果として生じる生体の反応は、伝染病として現れる。もっとも一般的な感染症は、ウィルス性又は真菌感染症及び細菌性疾患である。上述した種類の感染症は、多くの人が頻繁に出入りするので、公共施設や輸送手段において発生する。
【0003】
接触感染の危険性を減少させるために、感染の伝染を遮断するための殺菌効果を有する表面を提供し、金属が細菌を殺すために使用されることが、特許文献1(DE10305142A1)から公知である。この場合、金属ドープの寸法的に安定した樹脂グリップが、ドアハンドルのために提案され、ドアハンドルに押し付けられる。ニップルがグリップの前領域の内側に設けられる時に、押し付け位置においてニップルはドアハンドルに空けられた口に噛合する。その連結接続は、グリップの簡単な取り外しを防止するものである。もし、グリップが交換されるか取り外されることを目的としているならば、これはドリルでニップルを取り外すことによって実行される。この目的のために、ドリルを所定の位置に配置することができるように、ニップルの辺りのグリップの外側に凹みを設けるものである。
【0004】
公知のメタルドープドアグリップは、管状形状を有し、対応して形成された管状ドアハンドルに押し込まれる。多くのドアハンドルが管状の形とは異なる形状を有することに不都合がある。さらに、従来技術において、ドアハンドルへのドアグリップの連結結合が必要であるので、ドアハンドルとメタルドープグリップは、単一体を示す。今までのところ、ドアグリップを有する公知のドアハンドルの使用は、実際には採用されていない。これに関する理由は、特に既存のドアハンドルを取り替えることが必要である可能性が高いことであり、それは、ふつう管状とは異なる形状を有し、さらにドアグリップの連結結合のための噛合開口部を有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 103 05 142 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
銅イオンを具備する繊維状及び布状のシート状材料も従来技術から公知である。これらの材料は、例えばハンドバッグの内側の裏地として使用される。上述した織物素材は、それらがすぐに汚れ、簡単にきれいにすることができないので、カバーとしての使用に適しておらず、それらの織物構造のために、良好な殺ウィルス効果又は殺菌効果を有していても、全ての病原菌が無力化されるか殺傷されることがないのと同様に、そこにしっかりと付着した病原体の可能性を示している。
【0007】
このように、本願発明の目的は、公共施設及び輸送手段におけるドアハンドル、手すり、グリップ等のような広い範囲の形式の対象物に使用することのできる上述した種類のカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本願発明によれば、カバー材料が可撓性であり、対象物の外側形状に適合することができる上述した種類のカバーの場合において、主に提供される。従来技術と対照してみると、前記カバー材料は、寸法的に安定しているが可撓性があり、且つ対象物の外側形状に結果として適合することができる。本願発明によるカバーは、結果として覆われる対象物の所定の断面形状に制限されず、対象物の断面形状に関係なく、原則的に所定の半径の対象物上に引っ張って装着される。結果として、本願発明によるカバーの応用領域は、従来のカバーに比べて格段に広くなる。
【0009】
前記カバー材料は、シート材料から製造されることが望ましい。小さく層厚により、シート材料は、カバーの必要な可撓性を確保し、その結果として対象物の外形への適合を確保できるものである。同時に、前記シート材料は、1以上の層で形成されることが望ましい。いずれの場合も、前記シート材料は、支持層として働くプラスチックを含む少なくとも一つの層を有するか、少なくとも一つの層が支持機能を有することが望ましい。そのようなシートは、押出成形、共押出成形、インフレーションフィルム押出成形等によって容易に製造することができるだけでなく、大変小さい表面粗さによっても区別される。この表面粗さは、前記シート材料の層厚の10%未満であることが望ましく、さらには5%未満であることが望ましく、さらにまた、1%未満であることが望ましい。このように、例えば300μmの層厚を有するシートの場合、最大30μmの粗さが得られる。その粗さは、3μm未満であることが望ましい。最終的に、その小さな粗さは、病原菌がその表面に十分に付着することができない効果を有すると同時に、付着した病原菌が最初の述べられたカバーの効果によって抑制若しくは殺菌されるものである。さらに、その表面は、簡単に洗浄することができる。最後に、シート材料から製造されたカバーは、ちなみに鋳造やカレンダー仕上げを含む上述した製造方法が、低コストで製造されるカバー材料の大量生産を可能にするので、それらが大変安価であるという主な利点を有する。
【0010】
前記シート材料の層厚は、10μm〜10mmの間であることが望ましく、特に20μm〜2000μmの間であることが望ましく、さらに50μm〜1000μmの間であることが望ましく、さらにまた、100μm〜500μmの間であることが望ましい。そのような層厚の効果の一つは、簡単に加工することができ、且つ安価である十分に可撓性を有するカバー材料を提供することである。
【0011】
さもなければ、上述されたように、前記シート材料は、支持層として少なくとも一つの層を有することが望ましい。これは、ポリオレフィン、特にPE又はPP、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、エステル、アクリレート、PS、ポリ乳酸、セルロースのような再生可能な原料、又は例えばPRAのような生分解性プラスチックからなることが望ましい。その上、この層は、顔料、さらに例えば紫外線安定剤、抗酸化物質、難燃材等のような付加剤を含むことが望ましい。
【0012】
前記カバーは、可撓性のチューブとして形成されると共に対象物等に装着することに特に利点があり、またこれに代えて、前記カバーがバンドの形状であり、且つ対象物の周囲に巻回されるものであることに利点がある。上述した種類のシート材料チューブ又はウェブは、一方で、上述した方法によって比較的簡単に且つ安価に製造することができる。他方で、チューブ及びバンドは、対象物に大変簡単に適合させることができる。同時に、バンドの場合、バンドを具備するカバーは、対象物が少なくとも一方の端部で自由に受容可能であることを要求しないという利点を有する。バンドは、たとえ対象物が自由端部を有しない場合、例えば、両端で制限され若しくは固定されているような手すり、グリップ等のようないかなる対象物及びいかなる表面にも装着することができるものである。さらに、バンドの場合、バンドと関連する対象物が形成される方法により、バンドが対象物の周りに螺旋状に巻回されることが要求されない。対象物の長手方向に巻かれることも、容易に可能である。
【0013】
さらにまた、バンド形状のカバーは、5mm以上のバンド幅を有するものとして理解されることが指摘されるべきである。本願発明によるバンドは、例えば1平方メートル以上の表面積を有する正方形又は長方形を有するシート材料の別の層を意味するものとして理解される。
【0014】
これに関して、カバーのプラスチック材料が、熱作用によって収縮することができるように形成されることに特別な利点がある。それ故に、この場合において、関連したプラスチック層が収縮性フィルムを示すものである。簡単な方法において実行される収縮が、対象物に存在するべき特定の手段又は接続要素なしに、迅速に且つ確実に対象物に、カバーを固定させるものである。
【0015】
さらに、接着結合は、対象物にカバーを接続するために使用されることが望ましい。この目的のために、カバーは、例えばセット形状において、前記カバーが装着される前に対象物に塗布される接着剤を伴うことが望ましい。バンド形状のカバーの場合、カバー材料が、その対象物に面する下面に接着剤コーティングを有することが適当である。前記接着コーティングは、再解放可能な接着剤であることが望ましいので、装着の間位置合わせしていない時には特に、それに続く位置合わせが容易に可能となるものである。これに関して、装着される前に外される外側防護層は、接着層を防護するために提供される。この防護層は、例えば、シリコン処理されることが望ましい。
【0016】
さらにまた、カバー材料は、弾性的に、伸縮自在であることが、特に利益的である。この弾性的伸縮自在性は、その弾性力によって異なる大きさの対象物に装着することができる異なる径の対象物用の一つの形のカバーを提供することを可能にする。さらに、カバー材料の可撓性と順応性の結果として、特に弾性的伸縮自在性の結果として、カバーが、その対象物に装着される状態において、その全表面積にわたって、少なくとも実質的にその全表面積にわたって覆うことが確保されるものである。
【0017】
広い範囲の対象物に関して、本願発明によるカバーの取り扱いをできるだけ簡単にするために、カバー若しくはカバー材料は、ロール等の状態で、1m以上の長さで、特に3m以上の長さで、巻回され若しくは保存されるものである。それぞれの必要についてカバー材料の必要な長さをロールから引き出し又は取り出して、前記対象物に装着することができるものである。この場合、ロールの幅は、カバー若しくはカバー材料の幅の適合させるものである。したがって、ロールの幅は、5mm以上であることが望ましい。2mまでの幅を有するロールが原則として可能である。最終的に、ロールの幅、及び結果としてのカバーの幅は、意図される使用、防護するべき対象物の大きさ及び形状によって決定される。
【0018】
感染症の伝達を防止するために、カバー材料は、対応する特性を有する金属を具備する。これに関して、銅、銀が考慮される。これら金属は、それらの殺ウィルス性、殺菌性、抗真菌性効果によって区別される。
【0019】
特別に良好な活性効果は、銅の場合、銅がイオン形状である場合に、得られるものである。塩及び/若しくは酸化物の形状における銅の使用が特に考慮されるものである。一方で、銀の場合、元素形態であることが望ましい。これは、最高の活性効果を生じるものである。
【0020】
金属は、カバー材料に、粒子形状において、ナノ粒子の形で、及び/若しくは、糸形状において、例えば独立した糸形状において、若しくは格子状形状及び/若しくはフィラメントの形で有ることが望ましい。前記粒子サイズは、この場合、10〜2000nmの間、特に100〜1000nmの間、さらには200〜300nmの間であることが望ましい。
【0021】
金属活性物質の割合は、カバーの総重量に対して0.001〜20重量%の間であることが望ましい。またこの割合は、0.01〜5重量%の範囲内、特に0.1〜2重量%の間であることが望ましい。
【0022】
特にシート材料が使用される場合、カバー材料が、カバーの使用状態において使用者が握る側を示す少なくとも対象物から離れたその外側面に、金属を含むコーティング若しくは活性層を有することが望ましい。この場合、それぞれの対象物上にカバーを装着し固定するために実質的に働くキャリア層が設けられる。活性化物質又は金属を含むコーティングが、キャリア層よりも小さい層厚を有するキャリア層に対する活性化層として装着される。活性化層に対するキャリア層の層厚の比率は、1:1〜10:1の間であることが望ましい。上述したコーティングの特別な利点は、外側活性化層の金属の比率が相対的に大きいことであり、それによってカバーは、極端に効果的である。
【0023】
外側活性化層が設けられているかどうかに関係なく、いずれの場合も金属が、プラスチック層−外側活性化層がない状態で−に、若しくは外側活性下層に均一に分散されるものである。この均一な分散は、外側表面がすり減った場合にですら、カバーによって保護される対象物が握られ続ける時に十分な活性化材料が存在するものである。
【0024】
さらに、本願発明は、特に公共施設及び/若しくは交通手段における対象物の表面に感染症の伝染を防止するためにカバーを装着するための方法に関するものであり、それが対象物に装着されるときに、対象物の外側形状に柔軟に適合されるカバーのカバー材料に関するものである。
【0025】
本願発明に係る方法に関する特別な利点は、前記カバーが、対象物の装着状態において対象物の表面に装着されることであり、且つ/又は回顧的に、対象物が一端若しくは2つの端部で固定されるかどうかに関係なくぴったりとしていることである。特に、本願発明に係る方法は、感染症の伝染を防止するためのカバーで、すでに存在する対象物を改良することを可能にする。前述のまた下記する範囲の陳述は、すべての暫定的区間及び個々の値を具備すること、これらが、たとえ暫定的区間及び個々の値が特別に言及されない場合でも、本願発明に絶対的に必要なものとして考慮されることが明確に指摘されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、固定されない状態において、ドアハンドルに装着される本願発明に係るカバーの概略説明図を示す。
【図2】図2は、固定されたカバーを有する図1に対応する説明図を示す。
【図3】図3は、手すりに装着されたカバーの概略説明図を示す。
【図4】図4は、図3に係る具体例の詳細の拡大説明図を示す。
【図5】図5は、図4における詳細の説明図に対応する別の具体例を示す。
【図6】図6は、固定されていないカバーを有する飲料ボトルの説明図を示す。
【図7】図7は、固定されたカバーを有する図6で示す飲料ボトルの説明図を示す。
【図8】図8は、カバーを製造するための可撓性チューブの説明図を示す。
【図9】図9は、カバーを製造するためのバンドの説明図を示す。
【図10】図10は、カバーを製造するためのロールに貯蔵されるバンドの説明図を示す。
【図11】図11は、本願発明に係るカバー材料の層構造の具体例を示す断面図である。
【図12】図12は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【図13】図13は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【図14】図14は、本願発明に係るカバー材料の層構造のさらなる具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願発明の代表的な実施例が図面に基づいて下記に詳細に記載される。そこに記載され、図面的に存在する全ての特徴は、それら自体において、若しくは所望の結合において、それらが請求の範囲においてどのように結合されるか、若しくは請求の範囲に戻って参照する方法に関係なく、本願発明の主題を形成するものである。
【実施例】
【0028】
図1乃至図7において、本願発明に係るカバー1のいろいろな典型的な具体例は、異なる対象物で示されるものである。全ての具体例の場合において、それぞれのカバー1は、感染症の伝染を防止するために提供され、最終的に無菌の表面を提供するものである。この目的のために、前記カバー1は、特に殺ウィルス性及び/若しくは静ウィルス性及び/若しくは殺菌性及び/若しくは静菌性及び/若しくは殺真菌性及び/若しくは静真菌性効果を有するカバー材料を有する。本願の場合、これは、カバー材料に組み込まれる対応する金属の作用に基づくものである。代表的な具体例の場合、金属は、その元素形態における銀である。
【0029】
本願発明の場合、前記カバー材料、及び結果としてのカバー1は、対象物の表面2に対して外側から装着されるように意図されるものである。前記対象物は、手で触れられたり、握られたりする種類の対象物である。特に、それらは、公有財産、特に公共施設又は交通の公共手段における対象物である。しかしながら、本願発明は、軍事分野における設備の備品であっても良く、且つ/又は、ABC防護用品であっても良い。例えば、これは、別の人によって握られる可能性のある武器や他の対象物を具備するものでも良い。
【0030】
図1乃至図7において、ドアハンドル3(図1及び図2)、手すり4(図3〜5)及び飲料用ボトル5(図6及び7)じゃ、対象物の例におって示されるものである。
【0031】
全ての具体例において、前記カバー材料及び結果としてのカバー1は、可撓性に形成され、それ自体を、関連した本体の表面形状に導入することができるものである。
【0032】
このように、図1乃至図7において、異なる対象物のためのカバー1のいろいろな具体例が示される。図1及び図2に示される実施例の場合、可撓性チューブの形のカバー1は、ドアハンドル3に装着されるもので、この実施例の場合は円筒形状を有するか、それに限定されるものではない。この場合、可撓性チューブは一方の端部が閉鎖されているが、この場合に限定されるものではない。図1によって示されるように、カバー1の断面積は、ドアハンドル3の断面積よりも大きいために、装着するのが容易に可能となる。可撓性チューブとして形成されたカバー1は、この場合では対応するプラスチックの収縮フィルムから形成され、
熱の影響下で縮小若しくは収縮するものである。図2において、カバー1の収縮状態が示される。この状態において、カバー1は、その全表面積にわたってドアハンドルの表面2に対して装着される。
【0033】
図3は、その上下端部のそれぞれに固定される手すり4が対象物として設けられる具体例を示している。ここで、カバー1は、手すり4の表面2に提供されるものである。図4によって詳細が示されるように、バンドとして形成されるカバー1が、同様に手すり4に装着される。
【0034】
それに代わる具体例として、カバー材料が手すり4の周りに螺旋状に巻回されるという具体例が図5に示される。
【0035】
それぞれのカバー1の固定は、いろいろな手段によって実行される。図4で示される具体例の場合において、バンドの形状のカバー材料は、その下面に接着材コーティングを有する。また、カバー1に接合を提供するために働く接着剤を手すり4の表面2に付与することもできる。図5に示される具体例の場合において、前記カバー材料は、弾力的に伸縮自在であるために、カバー1は、手すり4上に、実質的に接着剤なしに−最終的に摩擦接合によって−保持されるものである。
【0036】
飲料用ボトル5が対象物として設けられる具体例は、図6及び図7に示されるものである。図6による具体例の場合において、カバー1は、飲料用ボトル5にわたって緩く装着されるものである。収縮フィルムとして形成されたカバー1の収縮の後、カバー1は、その全体領域にわたって飲料用ボトル5の表面1に配されるものである。
【0037】
特に、図6及び図7によれば具体例の場合において、原則的に、弾性的伸縮自在カバー材料も使用されることが望ましく、カバー1はいくらか引き延ばされて関連した対象物にわたって装着されるものである。その後、カバー材料は、再び収縮し、前記カバー1が、その表面領域にわたってそれぞれの対象物の表面2に対して装着されるものである。
【0038】
図8において、1つ又は複数のカバー1を形成するための可撓性チューブ6が示されている。この場合、可撓性チューブ6は、熱効果によって収縮するシート材料である。原則的に、可撓性チューブ6は、弾性的に伸縮自在な材料であることが望ましい。可撓性チューブ6の寸法は、それぞれの応用に、いわゆるそれぞれの対象物の長さ及び寸法に依存する。図8に対応する折りたたまれた状態における可撓性チューブ6の幅及びその断面積はいろいろである。このように、0.5cm幅を有する可撓性チューブが可能である。
【0039】
図9は、1つ又は複数のカバー1を製造するためのバンド7を示す。寸法に関して、バンド7は、上述した可撓性チューブ6に対応する。可撓性チューブ6及びバンド7はどちらもエンドレス長を有する。
【0040】
図10において、カバー1を製造するためのエンドレスバンド7を有するロール8が示される。この場合、バンド7は、ロール8に巻かれている。
【0041】
図11乃至図14において、本願発明に係るカバー1にためのカバー材料のいろいろな層構造が示される。全ての具体例の場合において、それぞれの材料の層厚は、100μmから2000μmの間にある。さらに、全ての場合において、プラスチックからなる支持層9が設けられている。
【0042】
図11に示される具体例の場合、200nmから300nmの間の粒子サイズを有するナノ粒子の形の銀粒子10が、活性化物質として支持層9に設けられる。この場合、粒子10は元素形態において存在する。さらに、この場合において、該粒子は、層の厚さにわたって均一に分散される。しかしながら、原則的に、粒子10は、上面11に多く設けられ、下面12には少なく設けられることも可能である。上面11は、最終的に使用者に対面するカバー1の外側活性化領域であり、下面12は取り付けられた状態において対象物の表面に対面するものである。
【0043】
図12に示される具体例の場合、活性化金属の多数の糸13が、支持層9に設けられる。糸13の配置が、最終的に格子状配置であることについては示されていない。しかしながら、金属の複数の短い糸又はフィラメントが整合性無しに支持層9内設けられても良いものである。図12に示される具体例の場合において、糸13の径は、支持層9の層厚におよそ対応している。しかしながら、これはこの場合に限るものではない。糸13は、原則的に大変小さい径を有するものである。このように、糸の径は、1〜100倍で支持層9の層厚よりも小さくても良いものである。さらに、図12に示される具体例において、前記糸が、上部領域のみに設けられること、いわゆる上面11の領域に設けられ、下面12の領域において散発的に若しくはほとんど設けられないことも可能である。
【0044】
図13に係る具体例の場合、支持層9上に、活性化金属を有する活性化層14を設けても良いものである。この活性化層14は、層11,12の一つとして形成されても良いものである。活性化層の層厚は、支持層の厚さよりも、特に1〜50倍で小さいことが好ましいものである。
【0045】
図14に示される具体例の場合、接着層15及び防護層16が、図13に対応する方法においてシート材料の下面に装着されるものである。防護層16はシリコン処理され、カバーの装着前にはがされることが望ましい。接着層15の接着剤は、いわゆる公知の接着剤であることが望ましい。また、再剥離可能な接着剤が好ましい。
【符号の説明】
【0046】
1 カバー
2 表面
3 ドアハンドル
4 手すり
5 飲料用ボトル
6 可撓性チューブ
7 バンド
8 ロール
9 支持層
10 粒子
11 上面
12 下面
13 糸
14 活性化層
15 接着層
16 防護層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染症の伝染を防止するために、殺ウィルス性効果、静ウィルス性効果、殺菌性効果、性菌性効果、抗真菌性効果及び/若しくは静真菌性効果を有するカバー材料からなり、特に公共施設及び/若しくは交通手段における対象物を覆うカバー(1)であって、前記カバー材料が対象物の表面(2)に外部から装着されるように形成されるカバー(1)において、
前記カバー材料が可撓性を有し、前記対象物の外側形状に装着されることを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記カバー材料が、プラスチックを含む少なくとも一つの層を有する単層又は多層のシート状材料から製造されることを特徴とする請求項1記載のカバー。
【請求項3】
前記カバー(1)は、可撓性チューブとして形成され、前記対象物上に装着されること、又は、前記カバー(1)は、バンド形状であり、前記対象物に巻回されることを特徴とする請求項1又は2記載のカバー。
【請求項4】
前記カバー材料は、熱作用によって収縮するプラスチック材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項5】
前記カバー材料は、前記対象物と対面するその下面に、接着層(15)、特に再剥離可能な接着剤を有する接着層(15)を有すること、且つ、防護層(16)、特にシリコン処理された防護層(16)が前記接着層(15)上に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項6】
前記カバー材料は、弾性的に伸縮自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項7】
前記カバー材料は、ロール(8)上に、1mを超える長さ、特に3mを超える長さで巻回され且つ蓄積されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項8】
前記カバー材料は、活性化物質として少なくとも一つの金属、特に銅及び/若しくは銀を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項9】
前記カバー材料は、少なくとも前記対象物から離れた側の表面に、前記金属を含む活性化層(14)を具備することを特徴とする請求項8記載のカバー。
【請求項10】
感染症の伝染を防止するために、対象物の表面に可撓性カバー材料からなるカバーを装着する方法であって、前記カバー材料が、前記対象物に装着される時に、該対象物の外側形状にそれ自体を適合させる方法。
【請求項1】
感染症の伝染を防止するために、殺ウィルス性効果、静ウィルス性効果、殺菌性効果、性菌性効果、抗真菌性効果及び/若しくは静真菌性効果を有するカバー材料からなり、特に公共施設及び/若しくは交通手段における対象物を覆うカバー(1)であって、前記カバー材料が対象物の表面(2)に外部から装着されるように形成されるカバー(1)において、
前記カバー材料が可撓性を有し、前記対象物の外側形状に装着されることを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記カバー材料が、プラスチックを含む少なくとも一つの層を有する単層又は多層のシート状材料から製造されることを特徴とする請求項1記載のカバー。
【請求項3】
前記カバー(1)は、可撓性チューブとして形成され、前記対象物上に装着されること、又は、前記カバー(1)は、バンド形状であり、前記対象物に巻回されることを特徴とする請求項1又は2記載のカバー。
【請求項4】
前記カバー材料は、熱作用によって収縮するプラスチック材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項5】
前記カバー材料は、前記対象物と対面するその下面に、接着層(15)、特に再剥離可能な接着剤を有する接着層(15)を有すること、且つ、防護層(16)、特にシリコン処理された防護層(16)が前記接着層(15)上に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項6】
前記カバー材料は、弾性的に伸縮自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項7】
前記カバー材料は、ロール(8)上に、1mを超える長さ、特に3mを超える長さで巻回され且つ蓄積されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項8】
前記カバー材料は、活性化物質として少なくとも一つの金属、特に銅及び/若しくは銀を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のカバー。
【請求項9】
前記カバー材料は、少なくとも前記対象物から離れた側の表面に、前記金属を含む活性化層(14)を具備することを特徴とする請求項8記載のカバー。
【請求項10】
感染症の伝染を防止するために、対象物の表面に可撓性カバー材料からなるカバーを装着する方法であって、前記カバー材料が、前記対象物に装着される時に、該対象物の外側形状にそれ自体を適合させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−508578(P2013−508578A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534556(P2012−534556)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005256
【国際公開番号】WO2011/047747
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005256
【国際公開番号】WO2011/047747
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】
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