説明

感染症の治療

【課題】本発明は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療のための化学感受性化合物、特にチオキサンテン誘導体およびフェノチアジン誘導体の使用を目的とする。
【解決手段】本発明は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療のための化学感受性化合物、特にチオキサンテン誘導体およびフェノチアジン誘導体の使用を目的とする。本発明はさらに、該化学感受性化合物および抗感染症薬を含有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療のための化学増感化合物、特にチオキサンテン誘導体およびフェノチアジン誘導体の使用を目的とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
化学療法に対する耐性は感染症の患者に一般的な臨床問題である。感染症の治療の間、原核または真核微生物細胞の薬物標的は異なる構造および機能を有する種々の薬物に難治性であると分かることが多い。この現象は多剤耐性(MDR)と称されている。細菌からヒトまでの有機体は毒性化合物への耐性を与える膜透過輸送体を有する。それらの生物学的有意性を強調して、原核生物および真核生物の多剤輸送タンパクは構造および機能において非常に類似している。さらに、排出ポンプと組み合わせた他の種類の重要な耐性機序は、協力し、それにより高レベルの耐性を生じることができる。耐性機序を阻害(後退)または回避し、一般的に用いられる抗感染症薬の有効性を改善することができる薬物が緊急に必要である。
【0003】
院内/集中治療室内感染を引き起こす細菌の多抗菌剤耐性の出現は増大しており、10を超える異なる抗生剤がきかない微生物の発見は例外ではない。そのような耐性細菌の例としては、メチシリン耐性およびメチシリン−バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌;大便連鎖球菌およびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)などのバンコマイシン耐性腸球菌;ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、およびセファロスポリンおよびキノロン耐性グラム陰性桿菌(大腸菌)、例えば大腸菌(E. coli)、サルモネラ種、肺炎桿菌、緑膿菌種およびエンテロバクター種が挙げられる。より最近には、汎抗生剤耐性のグラム陰性菌およびグラム陽性菌が出現した。
【0004】
これらの多抗生剤耐性の出現の速さは、同速度の新たな抗生剤の発展によって反映されておらず、それゆえ重篤な感染症の患者はまもなく現在入手可能な抗感染症薬でもはや治療できなくなるであろうことが想像できる。いくつかの国際的な報告は、医薬の多くの領域における抗菌剤耐性の出現と関連する潜在的な問題を強調しており、これらの微生物により引き起こされる感染症の患者の管理における困難性もまた概説している。
【0005】
ほとんどのより強い微生物が院内に存在するが、肺炎連鎖球菌およびヒト結核菌などの多剤耐性細菌の菌株もまた、重篤な市中感染を引き起こした。薬物耐性肺炎連鎖球菌の有病率は、ペニシリンまたは第三世代セファロスポリンのそれぞれへの中レベルまたは高レベルの耐性を示す分離株の51%および8%により1980年以来60倍に増大している。従って、肺炎球菌性肺炎は、第一線抗感染症薬で治療するのにより困難になっている。病院からの耐性細菌、例えば多剤耐性黄色ブドウ球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌は、家での継続治療のために退院した、それらを有する患者により地域社会に持ち込まれうる。
【0006】
細菌における耐性の機序は、染色体またはプラスミドにより媒介することができる。耐性発現の検討は、細菌における耐性が完全な耐性がすでに存在するようにプラスミドが取得されなければ、低レベルから高レベルまで発展する工程中にて起こりうることを示す。例えば、初期ペニシリン耐性肺炎球菌は抗生剤に対する脆弱性をわずかに減少させたようだが、時間とともに高レベル耐性を発展させた。淋菌の中のペニシリンおよびテトラサイクリン耐性は同様に出現する。該現象は汎耐性大腸菌でも観察されており、複数工程が臨床的に意義のあるレベルの耐性を達成するために必要である。
【0007】
抗感染症薬は、三つの主な機序:i)抗生剤の破壊または改変(例えばベータ−ラクタマーゼおよびアミノグリコシド不活性酵素の産生による)、ii)標的部位の変更、およびiii)標的へのアクセスの防止(例えば透過性または排出の変化)により不活性を与えることがある。
【0008】
すべての三つの主な耐性機序は、それのみでまたは組み合わせて、臨床的に重要であり、治療の失敗を引き起こす。しかし最近、排出関連多剤耐性(MDR)が細菌感染の化学療法における有意の複雑化因子として十分に認識されてきている。
【0009】
種々の抗感染症薬に対する耐性の主な原因となる排出機序は一般に、広範囲の細菌にて見られる。用語MDR系は、輸送体の群を意味し、これは広範囲の全く異なる基質を放出することができる。この型の系はまず、1980年代後半に真核細胞にて記載されたが、いくつかの薬物への耐性を示す細菌におけるMDR排出ポンプの存在は文献にますます報告されている。一般にMDR細胞系は、増強された排出により減少した薬物蓄積ならびに化学療法剤の減少した流入と関連する。
【0010】
MDR排出ポンプの過剰発現は、その調節要素における突然変異の誘導後または出現により、複数の抗感染症薬に対して取得された菌耐性の主な機序である。二つの主な群の排出系、多剤耐性(MDR)を与える特異的輸出体(exporter)および輸送体が知られている。MDR系は細菌細胞からの異なるクラスの抗感染症薬を除くことができ、時にはいくつかの抗感染症薬に対するいくつかの細菌の内因性抵抗に関与する。それらの遺伝子は一般に、細菌染色体に局在している。MDRを引き起こす機序は、ATP結合カセット(ABC)輸送体のスーパーファミリーに属する膜透過生体異物輸送分子によりもたらされることが多い。MDR排出は主に、テトラサイクリン、フルオロキノロン、マクロライド、リンコサミド リファンピシン、クロルフェニコールおよびアミノグリコシドなどの化合物への耐性で認識されてきた。一方、特異的排出系についてコードされる遺伝子は、可動遺伝因子と関連することが多く、細菌間で容易に相互交換することができる。特異的排出系は主に、グラム陽性およびグラム陰性細菌におけるマクロライド、リンコサミドおよび/またはストレプトグラミン、テトラサイクリンならびにクロラムフェニコールなどの化合物への耐性で認識されてきた。
【0011】
抗ウイルス薬への耐性は、AIDS患者におけるHIVおよびヘルペスウイルス(vira)などの種々のウイルスにおける世界的な問題である。薬物耐性はウイルスにおけるよく知られた突然変異に制限されないが、ヒト細胞レベルにて発症することもある。HIV−1におけるAZT(3’−アジド−3’−デオキシチミジン)耐性がAZT耐性のための細胞機序によるものであることは先行技術に示されている。耐性をもたらす細胞AZT排出は著しく増大する。従って細胞排出耐性機序は、HIV感染患者などのウイルス感染患者の治療に用いられる抗ウイルス性化学療法剤の有効性を限定する重要な因子であり、そのような細胞排出機序の阻害は耐性を後退させ、抗ウイルス性化合物の効果を増強するだろう。
【0012】
原核および真核多剤輸送タンパクは構造および機能において非常に類似している。真核細胞について、薬物排出ポンプは、多くの著者により酵素基盤解毒系を補充するものとしてみなされてきた。
【0013】
原核細胞において、排出ポンプと組み合わせた数種類の耐性機序は、協力して高レベルの耐性および治療不全をもたらすことができる。
【0014】
耐性機序の阻害は、これらの機序についての基質である抗感染症薬の活性を回復することができる。耐性を発展させる現象の最近の証明および説明は、抗感染症薬の有効性を改善することができる薬物の捜索をもたらした。
【0015】
MDR阻害剤の二つの潜在的な群は、フェノチアジンおよびチオキサンテンである。フェノチアジンおよびチオキサンテンは、神経遮断薬および制吐剤として臨床的に用いられる。フェノチアジン、および構造的に関連する抗精神病薬は、いくつかの細胞酵素を阻害し、重大な細胞レセプターの機能を遮断する。抗精神病薬療法に伴う錐体外路系副作用はドーパミンレセプター結合に起因する。一般にこれらの錐体外路系副作用は、抗癌治療などの非精神病領域にてフェノチアジンおよびチオキサンテンを用いる治験に限定される用量であると分かった。
【0016】
フェノチアジンおよびチオキサンテンは、真核MDR排出ポンプおよびいくつかの原核MDR排出ポンプの機能を阻害することが示されている。
【0017】
フェノチアジンは、ある細菌における一つ以上の抗菌剤への耐性を改変すると知られている薬物の群の一員であることが示されている。フェノチアジンおよび他の薬物がMDRを調節する機序は未だ明確でないが、それらの薬理学的特性は、少なくとも一部、排出ポンプの阻害により媒介することができることが示唆されている。また、プロメタジンは、大腸菌、腸炎エルシニア、黄色ブドウ球菌およびアグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)などの細菌種を含む培地中にて有効な抗プラスミド薬として認識されている。しかし、用いる濃度は一般に、臨床的に意義のある濃度より高い。
【0018】
有効濃度が臨床的に意義のある濃度を超える事実は、Kaatz et al. (2003)により強調された。いくつかの型の黄色ブドウ球菌(S. aureus)において選択されたフェノチアジンおよび二つの幾何立体異性体シス−およびトランス−フルペンチキソールによる排出ポンプの阻害が示されたが、著者は「不幸にも臭化エチル、アクリフラビンおよびピロニンY排出についての阻害剤のIC50値は臨床実践に用いられる上記のものである」と未だ結論付ける。
【0019】
フェノチアジンおよびチオキサンテンは適度であるが、広範な抗菌活性を有する。MICは一般に、インビトロにおける最小有効濃度が約20 mg/l〜数百mg/lの範囲であり、関連血清レベルが約0.3μg/l〜0.5 mg/l(0.3 ng/ml〜0.5μg/ml)の範囲であるのと同程度の臨床的に意義のある濃度を超える。
【0020】
チオキサンテンは幾何立体異性を示す。シスおよびトランス体は、大体等しい適度の抗菌能を有することが先に示されている。MICは一般に、臨床的に意義のある濃度をはるかに超える。1998年にKristiansenらは、ペニシリン(MIC 0.02μg/ml ペニシリン)に高感受性の肺炎連鎖球菌の非耐性マウス病原体分離株を用いた検討において、ペニシリンとトランス−クロペンチキソール(clopenpenthixol)との間の相乗効果を示唆した。しかし、著者らはペニシリンのみ、およびトランス−クロペンチキソールと組み合わせたペニシリンを用いたMIC値の有意な差異を示さず、濃度/応答/時間相関検討を行わず、すなわち感染マウスにおける薬物の濃度は未知であった。また、マウスにおける細菌感染の応答は未知であった。
【0021】
Johnstoneらは、プラシーボに対するトランス−フルペンチキソールに対するシス−フルペンチキソールの抗精神病作用の治験にて、シス−フルペンチキソールは潜在的神経遮断(特に「陽性」症状について)であったが、トランス−フルペンチキソールが抗精神病薬としての活性を有さないことを示した。トランス−フルペンチキソールは、はるかに作用の弱いドーパミンアンタゴニストであり、抗精神病薬療法に伴う錐体外路系副作用はドーパミンレセプター結合に起因するので、トランス−フルペンチキソールはこれらの副作用を欠く。
【0022】
トランス−フルペンチキソールおよびトランス−クロペンチキソールなどのトランス体の抗精神病活性または錐体外路系副作用の明確な欠乏は、それらを抗耐性薬としての使用に特に魅力的なものにする。
いくつかのフェノチアジンおよびチオキサンテン誘導体はUS 6,569,853に開示されている。
【0023】
フルペンチキソール(Flupenthixol)は、トランキライザー、精神安定剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、鎮痙薬および一般的な中枢神経系抑制としての有用性を有するものとして英国特許925,538に開示されている。抗感染活性または抗耐性活性のいずれかについての言及はない。
【0024】
いくつかのチオキサンテン誘導体は、トランキライザーとして英国特許863,699に開示されている。抗感染活性または抗耐性活性のいずれかについての言及はない。
【0025】
上記議論から、抗生剤などの抗感染症薬への耐性における増大は、感染症の治療への主な障害を与えることは明らかである。従って耐性機序を阻害または回避し、現在入手可能な抗感染症薬の有効性を改善することができる薬物が緊急に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、臨床的に意義のある量の化学感受性化合物のそれを必要とする対象への投与により、抗感染症薬への多剤耐性などの耐性を示す細胞または微生物に敏感であることができる、化学感受性化合物を提供することである。別の、しかし関連する本発明の目的は、特にそのような感染症が多剤耐性などの耐性を示す微生物により引き起こされる場合に、感染症の治療のための抗感染症薬の有効性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の概要
上記議論から理解されるように、これまでに先行技術により、チオキサンテンおよびフェノチアジンは、そのような治療的必要量の化学感受性化合物が重篤な副作用を引き起こすため、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療に不適切であると考えられていた。
【0028】
上記結論は一般に、人工耐性または多剤耐性を示す微生物またはインビトロ選択微生物にて実行された検討に基づくことであると本発明者は理解した。従って、臨床的に意義のあるレベルをはるかに超えるチオキサンテンおよびフェノチアジンの濃度が耐性または多剤耐性を示す微生物に効くために必要であるという当分野の偏見にも関わらず、本発明者は、本明細書に記載の臨床的に意義のある量の化学感受性化合物を用いた、抗感染症薬と組み合わせたそのような化学感受性化合物の、臨床的に意義のある耐性および多剤耐性を示す分離株への効果を検討することにより、さらに詳細にこの問題を調査することを決定した。
【0029】
驚くべきことに、抗感染症薬と組み合わせて本明細書に記載の臨床的に意義のある量の化学感受性化合物を適用することにより、耐性および多剤耐性を示す臨床的に意義のある分離株の有効な殺傷を達成したことを見出した。以前に信じられていたことに反して、この驚くべき発見は、本明細書に記載の化学感受性化合物と一般に用いられる抗感染症薬の組合せにより、耐性および多剤耐性を示す微生物に有効に効く可能性を広げる。
【0030】
従って、第一態様において、本発明は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療または予防のための医薬の製造のための、一般式(I):
【化1】

(I)
[式中、
VはS、SO2、SO、OおよびNHからなる群から選択され;
WはN−(CHX)n−N(R10)(R11)またはC=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)であり;
nは2〜6の範囲の整数であり;
mは1〜5の範囲の整数であり;
Xはそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択され;
【0031】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシ、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、ホルミル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールオキシ、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールアミノ、アリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルホニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルホニルオキシ、アミノスルホニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノスルホニル、および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルチオからなる群から選択され;および
【0032】
10およびR11はそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択されるか;またはR10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい含窒素ヘテロアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
で示される化合物またはその代謝体もしくは塩の使用に関する。
【0033】
本発明の他の態様は、以下の記載および添付した特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】Figure 1は、薬物耐性および多剤耐性を示す微生物に対する化学感受性化合物の効果を表す一連の棒グラフ(第1〜4表からの値)を示す。Y軸はDR比を示し、抗感染症薬のみについてのMICを化学感受性化合物存在下の抗感染症薬についてのMICで割った比として定義する。この比は個別の化学感受性化合物により生成する抗感染症薬の有効性の明らかな増大を示す。抗感染症薬: シプロフロキサシン(Coprofloxacin)。化学感受性化合物: 1. プロマジン; 2. 1−クロルプロマジン; 3. クロルプロマジン; 4. 7−ヒドロキシクロルプロマジン; 5. 7,8−ジヒドロキシクロルプロマジン; 6. チオメチルプロマジン; 7. トリフルオプロマジン; 8. クロルプロマジン スルホキシド; 9. デスメチルクロルプロマジン; 10. ペルフェナジン; 11. プロクロルペラジン; 12. フルフェナジン; 13. トリフルオペラジン; 14. 2−クロロ−10−(2−ジメチルアミノエチル)フェノチアジン; 15. プロメタジン; 16. シス−フルペンチキソール; 17. トランス−フルペンチキソール; 18. トランス−クロペンチキソール。
【0035】
【図2A】Figures 2Aおよび2Bは、シス−フルペンチキソール、トランス−フルペンチキソールおよびトランス−クロペンチキソールの、それぞれシプロフロキサシン、ゲンタマイシンおよびピペラシリンへの強い相乗効果を表す一連の棒グラフ(第5表からの値)を示す。試験微生物は、E. coli 331 ME (Figure 2A)およびP. aeruginosa 432b (Figure 2B)であった。Y軸は分画阻害濃度(FIC)指標を示す。相乗性は0.5未満のFIC指標について定義した。
【0036】
【図2B】Figures 2Aおよび2Bは、シス−フルペンチキソール、トランス−フルペンチキソールおよびトランス−クロペンチキソールの、それぞれシプロフロキサシン、ゲンタマイシンおよびピペラシリンへの強い相乗効果を表す一連の棒グラフ(第5表からの値)を示す。試験微生物は、E. coli 331 ME (Figure 2A)およびP. aeruginosa 432b (Figure 2B)であった。Y軸は分画阻害濃度(FIC)指標を示す。相乗性は0.5未満のFIC指標について定義した。
【0037】
【図3】Figure 3は、マウス腹膜炎モデルにおけるシプロフロキサシンのトランス−クロペンチキソールによる増強効果を示す。
【0038】
【図4】Figure 4は、マウスあたり0.3 mgの単一投与後のマウスにおけるトランス−クロペンチキソールの血清レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な記載
定義
本明細書において、用語「C1-6−アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキシルなどの1〜6の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を意味するものとする。
【0040】
本明細書において、用語「C3-6−シクロアルキル」は、炭素原子のみからなる3員、4員、5員および6員環を対象とするものとし、一方、用語「ヘテロシクリル」は、炭素原子が1〜3のヘテロ原子と一緒になって該環を構成する、3員、4員、5員および6員環を意味するものとする。ヘテロ原子は、独立して酸素、硫黄および窒素から選択される。しかしC3-6−シクロアルキルおよびヘテロシクリル環は、芳香族π−電子系が生じないように位置づけられた一以上の不飽和結合を適宜含んでいてもよい。
【0041】
「C3-6−シクロアルキル」の具体例は、炭素環シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエンおよび1,4-シクロヘキサジエンである。
【0042】
「ヘテロシクリル」の具体例は、含窒素ヘテロ環2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルおよびピペラジニルである。ヘテロ環への結合は、ヘテロ環のヘテロ原子の位置にて、または炭素原子を経由したものである。
【0043】
本明細書において、用語「C2-6−アルケニル」は、2〜6の炭素原子を有し、一以上の二重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味するものとする。C2-6−アルケニル基の具体例としては、アリル、ホモアリル、ビニル、クロチル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。二以上の二重結合を有するC2-6−アルケニル基の具体例としては、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが挙げられる。二重結合の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であることができる。
【0044】
本明細書において、用語「C2-6−アルキニル」は、2〜6の炭素原子および一つ以上の三重結合を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味するものとする。C2-6−アルキニル基の具体例としては、アセチレン、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。三重結合の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であることができる。二以上の結合は、「C2-6−アルキニル」が当業者に知られているようなジインまたはエンジインであるように不飽和であることができる。
【0045】
本明細書において用語「C1-6−アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシおよびn-ヘキソキシなどのC1-6−アルキル−オキシを意味するものとする。
用語「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0046】
本明細書において用語「アリール」は、炭素環芳香環または環系を意味するものとする。さらに用語「アリール」としては、少なくとも二つのアリール環、または少なくとも一つのアリールと少なくとも一つのC3-6−シクロアルキル、または少なくとも一つのアリールと少なくとも一つのヘテロシクリルが少なくとも一つの化学結合を分ける縮合環系が挙げられる。「アリール」環の具体例としては、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、テトラリニル、フルオレニル、インデニル、インドリル、クマラニル、クマリニル、クロマニル、イソクロマニルおよびアズレニルが挙げられる。
【0047】
本明細書において用語「ヘテロアリール」は、芳香環の一つ以上の炭素原子が窒素、硫黄、リンおよび酸素からなる群から選択される一つ以上のヘテロ原子で置き換えられているアリール基を意味するものとする。さらに、本明細書において用語「ヘテロアリール」は、少なくとも一つのアリール環と少なくとも一つのヘテロアリール環、少なくとも二つのヘテロアリール、少なくとも一つのヘテロアリールと少なくとも一つのヘテロシクリル、または少なくとも一つのヘテロアリールと少なくとも一つのC3-6−シクロアルキルが少なくとも一つの化学結合を分けている縮合環を含む。
【0048】
ヘテロアリールの具体例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、フェノキサゾニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル イソチアゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリルおよびトリアジニル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾピラゾリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニルチエノフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサリニルおよびチアントレニルが挙げられる。
【0049】
本明細書において用語「適宜置換されていてもよい」は、問題の基が、C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、オキソ(互変異性エノール体で示すことができる)、カルボキシル、アミノ、ヒドロキシ(エノール系にて存在するときに、互変異性ケト体で示すことができる)、ニトロ、スルホノ、スルファニル、C1-6−カルボキシル、C1-6−アルコキシカルボニル、C1-6−アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、アミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルホニルオキシ、ジハロゲン−C1-6−アルキル、トリハロゲン−C1-6−アルキルおよびハロゲン(ここに、アリールおよびヘテロアリール置換基は、それ自体C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノまたはハロゲンで1〜3回置換されていてもよい)からなる群から選択される一つ以上の基で、1〜5回、好ましくは1〜3回、最も好ましくは1〜2回など1回以上置換されていてもよいということを意味するものとする。一般に上記置換は、さらに任意の置換を受けることができる。
【0050】
用語「病原菌」は、細菌、ウイルス、菌類、および細胞内または細胞外寄生虫などの病原性微生物を意味するものとする。
【0051】
本発明の特定の具体的態様にて、用語「病原菌」は、黄色ブドウ球菌菌株ATCC 2593、およびSA-1199、SA-1199B、SA-K1712、SA-K1748、SA 8325-4およびSA-K2068に由来する菌株からなる群から選択される菌(agent)を意味しない。
【0052】
本発明の別の具体的態様にて、用語「病原菌」は、熱帯熱マラリア原虫を意味しない。
同様に、用語「感染症」は、病原菌により引き起こされる疾患について用いられる。
【0053】
本明細書において用語「抗感染症薬」は、病原菌を殺傷し、阻害し、またはそうでなければ増殖を減退することができる市販の抗生剤などの化合物を含む。
【0054】
細菌感染および真菌感染症を治療するために一般に用いられる抗生剤の具体例としては、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシンおよびトブラマイシンなどのアミノグリコシド;ロラカルベフなどのカルベセフェム(cabecephem);エルタペネム、イミペネム/シラスタチンおよびメロペネムなどのカルバペネム;セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファクロール、セファマンドール、セファレキシン、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソンおよびセフェピムなどのセファロスポリン;アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンなどのマクロライド;モノバクタム;アモキシシリン、アンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリンおよびチカルシリンなどのペニシリン;バシトラシン、コリスチンおよびポリミキシン(polymyxin)Bなどのポリペプチド;シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシンおよびトロバフロキサシンなどのキノロン;マフェニド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファサラジン、スルフイソキサゾールおよびトリメトプリム−スルファメトキサゾールなどのスルホンアミド;デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびテトラサイクリンなどのテトラサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
ウイルス感染を治療するために一般に用いられる抗ウイルス化合物の具体例としては、アシクロビル、アマンタジン、シドフォビル ファムシクロビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、インターフェロンアルファ、オセルタミビル、ペンシクロビル、リバビリン、リマンタジン、トリフルリジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビンおよびザナミビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
重篤な真菌感染症を治療するために一般に用いられる抗真菌化合物の具体例としては、アンフォテリシンB、カスポファンギン、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾールおよびボリコナゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書において、病原菌は、該病原菌が該病原菌により引き起こされる感染症を治すために通常用いられる抗感染症薬の有効性を軽減するか、または除去する変化を受けるならば、「耐性」または「薬物耐性」であるという。同様に、用語「薬物耐性」は、疾患、例えば感染症が抗感染症薬などの治療薬に応答しない環境を意味する。薬物耐性は、疾患が治療薬に決して応答しないことを意味する本質的なもの、または疾患が以前に応答した治療薬に応答しなくなることを意味する後天的なものであることができる。
【0058】
本明細書において、病原菌は、該病原菌が該病原菌により引き起こされる感染症を治すために通常用いられる二つ以上の抗感染症薬の有効性を軽減するか、または除去する変化を受けるならば、「多剤耐性」であるという。同様に、「多剤耐性」は、疾患、例えば感染症が種々の抗感染症薬などの種々の薬物に耐性を示す薬物耐性の型である。
【0059】
用語「臨床的に意義のある量」は、一方で感染症の症状を軽減するか、または患者が治療される感染症を治すことができるが、他方で患者に無毒性であり、許容されない副作用を生じない、量にて患者に化学感受性化合物を投与することを意味するものである。上記に示すように、すべてでないならば多くの本明細書記載の化学感受性化合物は、あまりに高すぎる濃度、すなわち「臨床的に意義」のない量にて投与されたときに患者に重篤な副作用を引き起こすことが知られている。
【0060】
本明細書において、用語「病原菌」、すなわち病原性微生物と関連して用いられるときの用語「天然」は、感染症を引き起こす病原菌がヒトなど自然に発見することができる微生物であることを意味する。遺伝子操作(gen-manipulated)実験室株などの病原菌、または他の手法により変化し、および/またはヒトの介入により操作される病原菌は、用語「天然」に含まれないものと考えることは理解されよう。
【0061】
用語「血清」は、その通常の意味、すなわちフィブリノゲンおよび他の凝固因子を有さない血漿として用いられる。
【0062】
感染症に効くため、またはこれを予防するために、本明細書に開示される化学感受性化合物は、抗感染症薬と一緒になって、または組み合わせて投与すべきである。本明細書において用いられるとき、用語「一緒になって」および「組み合わせて」は、化学感受性化合物および抗感染症薬が必ず同時に投与され、および/または同じ医薬組成物の一部を形成するべきである(これは本発明の一つの具体的態様であるが)という意味にて狭義に解釈されるべきではない。従って、用語「一緒になって」および「組み合わせて」は、各化合物、すなわち化学感受性化合物および抗感染症薬の投与量(投薬形態を含む)および投与頻度が個別に制御することができることを意味することが理解されるべきである。例えば、ある化合物は治療期間中、3回/日経口投与することができるが、他の化合物は治療期間中、1回/日静脈内投与することができる。同様に、ある化合物は治療期間中、毎日投与することができ、他の化合物は治療期間中、1回のみまたは数日投与することができる。上記説明のように、化学感受性化合物および抗感染症化合物は同時に投与することができ、これらは同じ医薬組成物中に含まれていてもよい。従って、用語「一緒になって」および「組み合わせて」は、化学感受性化合物が治療期間中、少なくとも1回患者に投与され、抗感染症薬もまた治療期間中、少なくとも1回投与されることを意味する。
【0063】
本明細書において用語(化学感受性化合物の)「定常状態血清濃度」は、各用量で繰り返され、投与された化学感受性化合物の量と与えられた時間間隔中に除去される量との平衡状態を示す値として定義される。
【0064】
本明細書において用語「治療」は、対象に薬物を投与することを意味し、i)感染症を予防すること(すなわち感染症の臨床症状を発症しないようにすること)、ii)感染症を阻害すること(すなわち感染症の臨床症状の発症を阻むこと)およびiii)疾患を緩和すること(すなわち感染症の臨床症状の後退をもたらすこと)ならびにその組合せを含む。
【0065】
用語「予防」または「予防的治療」は、まだ感染していないが、感染しやすいか、または感染の危険性のありうる対象の治療を意味する。
【0066】
本明細書において用語「対象」は、生きた脊椎動物、例えばヒトなどの哺乳動物を意味する。
【0067】
「医薬的に許容される」は、哺乳動物、特にヒトにおける使用に適切であることを意味する。
【0068】
本明細書において用語「化学感受性化合物」は、微生物または細胞の与えられた抗感染症薬に対する耐性を後進する物質を意味するものとする。従って本明細書において「化学感受性化合物」は、抗感染症薬の作用に対して耐性または多剤耐性を示す微生物または細胞に敏感である。
【0069】
化学感受性化合物
上記一般式(I)について、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシ、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、ホルミル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールオキシ、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールアミノ、アリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルホニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルホニルオキシ、アミノスルホニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノスルホニル、および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルチオからなる群から選択される。
【0070】
本発明の好ましい具体的態様にて、R2置換基は、ハロゲン、ニトロまたはハロゲン−置換C1-6−アルキルなどの電子吸引基である。より好ましくは、R2はF、Cl、Br、I、CH2Y、CHY2およびCY3(ここに、Yはハロゲン原子を示す)からなる群から選択され、例えばCH2Cl、CH2F、CHCl2、CHF2、CCl3またはCF3、特にCCl3またはCF3である。最も好ましくは、R2はClまたはCF3である。
【0071】
置換基R1、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、好ましくはそれぞれ独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択される。より好ましくは、すべてのR1、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、水素である。
【0072】
従って、本発明の非常に好ましい具体的態様にて、R2はClまたはCF3であり、R1、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ水素である。
【0073】
上記のように、VはS、SO2、SO、OおよびNHからなる群から選択され、例えばSまたはSOである。本発明の非常に好ましい具体的態様にて、VはSである。
【0074】
当然のことながら、WがN−(CHX)n−N(R10)(R11)であり、VがSである場合に、一般式(I)の化学感受性化合物は一般式(II):
【化2】

(II)
[式中、
nは2、3、4、5または6などの2〜6の範囲の整数であり、
Xはそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択され、
10およびR11はそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択されるか;またはR10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい含窒素ヘテロアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
で示されるフェノチアジンとなる。
【0075】
本発明の好ましい具体的態様にて、nは2または3であり、Xは水素またはCH3である。従って本発明の好ましい具体的態様にて、WはN−(CH23−N(R10)(R11)またはN−CH2−CH(CH3)−N(R10)(R11)である。特に、WがN−(CH23−N(R10)(R11)である構造が好ましい。
【0076】
本発明のある興味深い具体的態様にて、R10およびR11はそれぞれ、独立して水素および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルからなる群から選択される。この具体的態様により、R10およびR11はともに、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルであることが好ましい。最も好ましくは、R10およびR11はともにCH3である。
【0077】
本発明の別の興味深い具体的態様にて、R10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい2−ピロリニル、適宜置換されていてもよい3−ピロリニル、適宜置換されていてもよいピロリジニル、適宜置換されていてもよい2−イミダゾリニル、適宜置換されていてもよいイミダゾリジニル、適宜置換されていてもよい2−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよい3−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよいピラゾリジニル、適宜置換されていてもよいピペリジニル、適宜置換されていてもよいモルホリニル、適宜置換されていてもよいチオモルホリニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニルなどの適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する。この具体的態様により、R10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよいピペリジニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニル、特に適宜置換されていてもよいピペラジニルを形成することが好ましい。ピペラジニル環は非置換であることができるが、好ましくは適宜置換されていてもよいC1-6アルキル基で、特にパラ位にて置換され、すなわち適宜置換されていてもよいC1-6アルキル基はピペラジニル環の第二の窒素原子に共有結合する。非常に好ましい本発明の具体的態様にて、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルは、−CH3、−CH2OH、−CH2−CH3および−CH2−CH2OHからなる群から選択され、例えば−CH3または−CH2−CH2OH、特に−CH2−CH2OHである。
【0078】
上記フェノチアジンの具体例としては、プロマジン、1−クロルプロマジン、クロルプロマジン、7−ヒドロキシクロルプロマジン、7,8−ジヒドロキシクロルプロマジン、チオメチルプロマジン、トリフルオロプロマジン(trifluorpromazine)、デスメチルクロルプロマジン(desmethylclorpromazine)、ペルフェナジン、プロクロルペラジンおよび2−クロロ−10−(2−ジメチルアミノエチル)フェノチアジンが挙げられる。
【0079】
また当然のことながら、WがC=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)であり、VがSである場合には、一般式(I)の化学感受性化合物は一般式(III):
【化3】

(III)
で示されるチオキサンテンとなる。
【0080】
一般式(III)のチオキサンテンは、シスおよびトランス異性を生じる。本明細書において、一般式(IIIa)の化合物はシス配置であるといえ、一般式(IIIb)の化合物はトランス配置であるといえる:
【化4】

【化5】

[式中、
mは1、2、3、4または5などの1〜5の範囲の整数であり、
Xはそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択され、
10およびR11はそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択されるか;またはR10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい含窒素ヘテロアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]。
【0081】
一般式(III)の化合物はトランス配置、すなわち一般式(IIIb)で示される構造を有することが一般に好ましい。
好ましい具体的態様にて、Xは水素であり、mは2または3、特に3である。従って本発明の好ましい具体的態様にて、Wは構造C=CH−(CH22−N(R10)(R11)を有する。
【0082】
本発明の一つの興味深い具体的態様にて、R10およびR11はそれぞれ、独立して水素および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルからなる群から選択される。この具体的態様により、R10およびR11はともに、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルであることが好ましい。最も好ましくはR10およびR11はともにCH3である。
【0083】
本発明の別の興味深い具体的態様にて、R10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい2−ピロリニル、適宜置換されていてもよい3−ピロリニル、適宜置換されていてもよいピロリジニル、適宜置換されていてもよい2−イミダゾリニル、適宜置換されていてもよいイミダゾリジニル、適宜置換されていてもよい2−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよい3−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよいピラゾリジニル、適宜置換されていてもよいピペリジニル、適宜置換されていてもよいモルホリニル、適宜置換されていてもよいチオモルホリニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニルなどの適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する。この具体的態様により、R10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよいピペリジニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニル、特に適宜置換されていてもよいピペラジニルを形成することが好ましい。ピペラジニル環は非置換であることができるが、好ましくは適宜置換されていてもよいC1-6アルキル基で、特にパラ位にて置換され、すなわち適宜置換されていてもよいC1-6アルキル基がピペラジニル環の第二の窒素原子に共有結合する。本発明の非常に好ましい具体的態様にて、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルは、−CH3、−CH2OH、−CH2−CH3およびCH2−CH2OHからなる群から選択され、例えば−CH3または−CH2−CH2OH、特に−CH2−CH2OHである。
【0084】
上記フェノチアジンの具体例としては、トランス−フルペンチキソール、シス−フルペンチキソール、トランス−クロペンチキソールおよびシス−クロペンチキソールが挙げられる。本発明による使用に特に好ましい化学感受性化合物は、トランス−フルペンチキソールおよびトランス−クロペンチキソールである。最も好ましくは、トランス−クロペンチキソールである。
【0085】
本明細書に示される式およびそれに関連する定義から明らかなように、本明細書に記載のいくつかの化学感受性化合物はキラルである。さらに、いくつかの不飽和または環状フラグメントまたは複数の立体中心原子の存在により、いくつかの化学感受性化合物のジアステレオマー体の存在が提供される。本発明は、光学異性体およびその混合物ならびに純粋な、部分的に豊富な(partially enriched)形態または該当する場合にはラセミ体などのすべての立体異性体を含むものとする。特に、本明細書に記載の多くの化学感受性化合物は、E−またはZ−立体異性体またはそのような異性体の混合物の形態であることができる。
【0086】
さらに、本明細書に記載の化学感受性化合物にはその可能な塩が含まれ、その医薬的に許容される塩は当然、治療用途に特に関連するものと理解されるべきである。塩としては、酸付加塩および塩基性塩が挙げられる。酸付加塩の例は塩酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩などである。塩基性塩の例は、(残存する)対イオンがナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、カリウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニウムイオン(+N(R’)4(ここに、R’は独立して、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロアリールを示す)から選択される塩である。医薬的に許容される塩は、例えば文献(Remington's - The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed. Alfonso R.Gennaro (Ed.), Lippincott, Williams&Wilkins; ISBN: 0683306472, 2000, and in Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)に記載のものである。
【0087】
化学感受性化合物の薬物耐性または多剤耐性を後退させるための効果は、本明細書に記載のように評価することができ、選択された微生物に対する選択された抗感染症薬と組み合わせた化学感受性化合物の効率は、MIC値、DR比および/またはFIC指標として表すことができる。
【0088】
最小発育阻止濃度(MIC)は、NCCLSガイドラインにより増殖を示さない最低阻害濃度として定義される。
【0089】
薬物耐性(DR)比は、抗感染症薬のみについてのMIC値を化学感受性化合物存在下の抗感染症薬についてのMICで割った比として定義される。この比は、化学感受性化合物により引き起こされる抗感染症薬の明らかな有効性の増大を示し、
DR比=(MIC抗感染症薬)/(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物
として表すことができる。
【0090】
画分阻害濃度(FIC)指標は、各抗感染症薬のみおよび以下の式:
FIC=FIC化学感受性化合物+FIC抗感染症薬
(ここに、
FIC化学感受性化合物=(MIC化学感受性化合物+抗感染症薬)/(MIC化学感受性化合物
FIC抗感染症薬=(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物)/(MIC抗感染症薬
である)
により、化学感受性と組み合わせて算出することができる。
【0091】
本明細書に記載の化学感受性化合物の相乗効果、すなわち微生物における薬物耐性または多剤耐性を後退させるそれらの能力は、本明細書実施例に記載のインビトロアッセイなどの当業者に利用できるいずれかの方法により評価することができる。本発明の好ましい具体的態様にて、化学感受性化合物、抗感染症薬および病原菌(および従って治療される感染症)は、本明細書実施例に記載のように測定された場合の最大0.5のFIC指標を示す。より好ましくは、FIC指標は最大0.3、例えば最大0.2など最大0.4である。さらにより好ましくは、FIC指標は最大0.075、最大0.05またはさらに最大0.025など最大0.1である。
【0092】
先に記載のように、本明細書に記載の化学感受性化合物は典型的に、高MIC値を有する。有効な阻害剤である化学感受性化合物について、これは、比(MIC化学感受性化合物+抗感染症薬)/(MIC化学感受性化合物)がゼロに近くなることを意味し、従って
【数1】

であることを意味する。これはまた、
【数2】

をも意味する。
【0093】
従って本発明の別の好ましい具体的態様にて、化学感受性化合物、抗感染症薬および病原菌(および従って治療される感染症)は、本明細書実施例に記載のように測定される場合、少なくとも2のDR比を示す。より好ましくは、DR比は少なくとも10、例えば少なくとも20などの少なくとも5である。さらにより好ましくは、MIC値は少なくとも50、少なくとも75またはさらに少なくとも100などの少なくとも30である。
【0094】
治療、医薬組成物および投与量
上記に説明されるように、本明細書に記載の化学感受性化合物は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療に有用である。従って、本明細書に記載の化学感受性化合物は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療のための医薬の製造に用いることができる。
【0095】
さらに、本明細書に記載の化学感受性化合物は、抗感染症薬と組み合わせた感染症の予防的治療に有用である。これはヒトが免疫抑制患者または外科手術を受けた患者などの感染症に罹る危険性が高いという状況に特に関連する。従って、本明細書に記載の化学感受性化合物はまた、抗感染症薬と組み合わせた感染症の予防的治療のための医薬の製造にも用いることができる。
【0096】
また、本明細書に記載の化学感受性化合物は、抗感染症薬と組み合わせて、感染症の治療または予防のための医薬の製造に用いることができる。
【0097】
さらなる態様にて、本発明は、抗感染症薬と組み合わせた医薬としての使用のための本明細書に記載の化学感受性化合物、または抗感染症薬と組み合わせて、医薬としての使用のための本明細書に記載の化学感受性化合物を目的とする。
【0098】
別の、しかし関連する態様にて、本明細書に記載の化学感受性化合物は、病原菌の耐性、特に多剤耐性を軽減するために有用である。従って本明細書に記載の化学感受性化合物は、抗感染症薬に対する病原菌の耐性を軽減するための医薬の製造に用いることができる。
【0099】
さらに別の、しかしまた関連する態様にて、本明細書に記載の化学感受性化合物は、感受性、耐性または多剤耐性を示す細胞、好ましくは耐性および多剤耐性を示す細胞、より好ましくは多剤耐性細胞を、抗感染症薬に対して敏感にするために有用である。従って本明細書に記載の化学感受性化合物は、感受性、耐性または多剤耐性を示す細胞、好ましくは耐性および多剤耐性を示す細胞、より好ましくは多剤耐性細胞を、抗感染症薬に対して敏感にするための医薬の製造に用いることができる。
【0100】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の化学感受性化合物を抗感染症薬と組み合わせて対象に投与することを特徴とする、対象における感染症を治療または予防する方法に関する。
【0101】
また、本発明のさらなる態様は、病原菌の耐性、特に多剤耐性を軽減する方法に関する。
【0102】
さらに、本発明のさらなる態様は、感受性、耐性または多剤耐性を示す微生物または細胞、好ましくは耐性および多剤耐性を示す微生物または細胞、より好ましくは多剤耐性を示す微生物または細胞を抗感染症薬に対して敏感にする方法に関する。
【0103】
さらに本発明の別の態様は、本明細書に記載の化学感受性化合物を対象に投与することを特徴とする、病原菌における耐性または多剤耐性の発症を予防する方法に関する。
【0104】
さらに、本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の化学感受性化合物を含む第一投与ユニットおよび抗菌剤を含むさらなる投与ユニットを含むキットに関する。
【0105】
治療
本明細書の開示事項から理解されるように、治療される感染症は抗感染症薬で通常治療されるものである。感染症は通常、細菌、ウイルス、真菌または細胞内もしくは細胞外寄生虫などの病原菌により引き起こされる。病原菌は典型的に、天然、すなわち天然の細菌、天然のウイルス、天然の真菌または天然の細胞内もしくは細胞外寄生虫である。
より具体的に、病原菌はグラム陰性菌またはグラム陽性菌であることができる。
【0106】
具体例としては、エシェリキア属、プロテウス属、サルモネラ属、クレブシエラ属、プロビデンシア属、エンテロバクター属、ブルクホリデリア属(Burkholderia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、アシネトバクター属、アエロモナス属、ヘモフィルス属、エルシニア属、ナイセリア属、エルビニア属、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)およびブルクホリデリア属からなる群から選択される属のグラム陰性菌が挙げられる。
【0107】
グラム陽性菌の具体例としては、ラクトバチルス(Lactobacillus)、アゾリゾビウム属(Azorhizobium)、ストレプトコッカス属、ペジオコックス属、フォトバクテリウム属(Photobacterium)、バチルス属、エンテロコッカス属、スタヒロコッカス属、クロストリジウム属、ブチリビブリオ属、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、ロドコッカス属およびストレプトミセス属からなる群から選択される属の細菌が挙げられる。
【0108】
他の具体的態様にて、病原菌は例えば、メタノバクテリウム属(Methanobacierium)、スルホロブス属(Sulfolobus)、アーケオグロブ属(Archaeoglobu)、ロドバクター属(Rhodobacter)およびシノリゾビウム属(Sinorhizobium)からなる群から選択される属に由来する。
【0109】
さらに他の具体的態様にて、病原菌は、ケカビ属(Mucor)もしくはカンジダ属、例えばケカビ(Mucor racemosus)もしくはカンジダ・アルビカンス(Candida albicans);クリプトコッカス属(Crytococcus)、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cr. Neoformans);またはアスペルギルス属、例えばアスペルギルス・フミガーツスなどに由来する真菌である。
【0110】
さらなる具体的態様にて、病原菌は、ピコルナウイルス科、レオウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、アデノウイルス科、コロナウイルス科、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス(hepatitisvira)、ヘルペスウイルス科、オンコウイルス(oncovira)、サイトメガロウイルス、パポバウイルス科またはプリオンなどのウイルスである。
さらに他の具体的態様にて、病原菌は、マラリアまたはクリプトスポリジウム寄生虫などの原虫である。
【0111】
本発明の特定の具体的態様にて、病原菌は、ATCC 2593およびそれに由来する菌株、SA-1199、SA-1199B、SA-K1712、SA-K1748、SA 8325-4およびSA-K2068からなる群から選択される黄色ブドウ球菌株ではない。
本発明の別の具体的態様にて、病原菌は、熱帯熱マラリア原虫ではない。
【0112】
本明細書に記載の化学感受性化合物の毒性および治療有効性は、細胞培地または実験動物における標準的薬学手順、例えばLD50(個体群の50%が死に到る量)およびED50(個体群の50%に治療的に有効な量)を測定することにより決定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療指標であり、LD50とED50との比(LD50/ED50)として表すことができる。大きな治療指標を示す化学感受性化合物が好ましい。これらの細胞培地アッセイまたは動物検討から得られたデータは、ヒト対象における使用のためにさまざまな投与量の製剤化に用いることができる。そのような化学感受性化合物の投与量は、好ましくはほとんど、またはまったく毒性を示さずにED50を含む血中濃度の範囲内にある。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に応じて、この範囲内にて変化することができる。
【0113】
医薬組成物
本明細書に記載の化学感受性化合物は典型的に、製剤原料として用いられる前に医薬組成物に製剤化される。
【0114】
従って、さらなる態様にて本発明は、本明細書に記載の化学感受性化合物および少なくとも一つの医薬的に許容される担体または賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【0115】
医薬組成物は、本明細書に記載の単一または二以上の化学感受性化合物を含有することができる。本発明の興味深い具体的態様にて、医薬組成物は、化学感受性化合物に加えて、一つ以上の抗感染症薬を含有する。
【0116】
本明細書に記載の化学感受性化合物の投与経路は、臨床的に意義のある濃度に対応する血液または組織における濃度を生じるいずれかの適切な経路であることができる。従って、本発明は以下のものに限定されないが、例えば次の投与経路が適用可能であることができる:経口経路、非経口経路、皮内経路、経皮経路、経鼻経路、局所経路、直腸経路、膣内経路および眼球経路。投与経路が問題の特定の化学感受性化合物に依存し、特に投与経路の選択は、患者の年齢および体重とともに化学感受性化合物の物理化学的特性、および特定の疾患またはその病態および重篤度に依存することは当業者に明白であるべきである。しかし一般に、経口および非経口経路が好ましい。
【0117】
本明細書に記載の化学感受性化合物は、医薬組成物にていずれかの適当な量にて含まれていてよく、一般に組成物の全重量の約0.1〜95重量%の量にて含まれる。組成物は、単位投薬形態などの投薬形態にて存在することができ、これは経口、非経口、直腸、皮内、経皮、経鼻、局所、膣内および/または眼球投与経路に適切である。従って組成物は、例えば錠剤、カプセル、丸剤、散剤、顆粒、懸濁剤、乳剤、溶液剤、ヒドロゲルなどのゲル、貼付剤、軟膏、クリーム、膏薬、水薬(drench)、運搬装置(delivery device)、坐剤、浣腸剤、注射剤、埋め込み剤(implant)、スプレー、エアロゾルおよび他の適切な形態などの形態であることができる。
【0118】
医薬組成物は、従来の医薬実践により製剤化することができ、例えば文献(Swarbrick, J.&J. C. Boylan, Marcel Dekker, Inc.により編集された「Remington's Pharmaceutical Sciences」および「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」New York, 1988)を参照のこと。典型的に、本明細書に記載の化学感受性化合物は、(少なくとも)医薬的に許容される担体または賦形剤とともに製剤化される。医薬的に許容される担体または賦形剤は当業者に知られているものである。
【0119】
経口製剤
経口使用のための医薬組成物には、適宜少なくとも一つの抗感染症薬と組み合わされていてもよい、無毒性の医薬的に許容される賦形剤との混合物にて、本明細書に記載の化学感受性化合物を含む錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、
スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶性セルロース、ジャガイモデンプンなどのデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤または増量剤;
例えば微結晶性セルロースなどのセルロース誘導体、ジャガイモデンプンなどのデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩またはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;
例えばスクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、前ゼラチン化(pregelatinized)デンプン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールなどの結合剤;および
例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油またはタルクなどの流動促進剤および抗接着剤などの滑沢剤
であることができる。
【0120】
他の医薬的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであることができる。
【0121】
錠剤は、胃腸管における崩壊および吸収を適宜遅らせるためにコーティングされないか、または公知技術によりコーティングされていてもよく、それによりより長期間の持続作用を提供する。コーティングは、例えば制御放出製剤(以下を参照のこと)を達成するために、所定の形態で化学感受性化合物を放出するために適用してもよく、または胃(腸溶コーティング)の通過後まで有効製剤原料を放出しないために適用してもよい。コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸コポリマー(Eudragit E(登録商標))、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)または腸溶コーティング(例えばメタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)LおよびSに基づく)、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セラックおよび/またはエチルセルロース)であることができる。
【0122】
さらに、例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質を用いることができる。
さらに、上記固体錠剤組成物は、化学感受性化合物の放出前の不要な化学変化、例えば化学的崩壊から該組成物を保護するために適用されるコーティングとともに提供することができる。
【0123】
コーティングは、Swarbrick, J.&J. C. Boylan, Marcel Dekker, Inc., New York, 1988により編集された「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」, Vol 1, pp.337-349中のJames A. Seitzによる「水性フィルムコーティング」に記載のものと同様の方法で固体投薬形態に適用することができる。
【0124】
経口使用のための製剤はまた、咀嚼錠剤として、または有効成分が不活性固体希釈剤、例えばジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分が水もしくは油状媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとして存在することもできる。
【0125】
散剤および顆粒は、例えばミキサー、流動床装置またはスプレー乾燥装置を用いた従来法により、錠剤およびカプセルにて上記成分を用いて製造することができる。
【0126】
経口使用のための制御放出組成物は、例えば有効製剤原料の分解および/または拡散を制御することにより有効製剤原料を放出するために構築することができる。
【0127】
分解または拡散制御放出は、化学感受性化合物の錠剤、カプセル、丸薬もしくは顆粒製剤の適当なコーティングにより、または例えば適当なマトリックスにおける問題の化学感受性化合物の取り込みにより達成することができる。
【0128】
制御放出コーティングは、一つ以上の上記コーティング物質、および/または例えばセラック、蜜ろう(beeswax)、糖ろう(glycowax)、カストリウムろう(castor wax)、カルナウバろう(carnauba wax)、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセロール(glycerol palmitostearate)、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸、メチルメタクリル酸、2−ヒドロキシメタクリル酸、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリル酸および/またはポリエチレングリコールを含有することができる。
【0129】
化学感受性化合物の制御放出マトリックス製剤にて、マトリックス物質は、例えば水酸化メチルセルロース、カルナウバろうおよびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコン、トリステアリン酸グリセリン、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル、ポリビニルクロリド、ポリエチレンおよび/またはハロゲン化過フッ化炭化水素を含有することができる。
【0130】
本明細書に記載の化学感受性化合物の制御放出組成物はまた、浮揚性の錠剤またはカプセル、すなわち一定の期間、経口投与時に胃内容物の上部に浮揚する錠剤またはカプセルの形態であることもできる。問題の化学感受性化合物の浮揚性錠剤製剤は、化学感受性化合物、賦形剤、およびヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの20〜75%w/wの親水コロイドの混合物を顆粒化することにより製造することができる。次いで得られた顆粒は、錠剤に圧縮することができる。胃液と接触する際に、錠剤は、その表面の回りに実質的に水不浸透性ゲル障壁を形成することができる。このゲル障壁は、1未満の密度を維持することに関与し、それにより錠剤を胃液中にて浮揚性の状態のままとする。
【0131】
経口使用のための流動性/液体組成物
水の添加による水性懸濁液の調製に適した散剤、分散性散剤または顆粒はまた、便利な投薬形態でもある。懸濁液、乳剤または分散剤としての製剤は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤、および/または一つ以上の防腐剤と混合された有効物質を提供する。そのような製剤はまた、例えば胃腸粘膜、口腔粘膜、鼻粘膜、直腸粘膜もしくは膣粘膜などの粘膜への有効物質の使用、または無傷もしくは損傷した肌もしくは傷への投与にも適していることがある。
【0132】
適切な分散剤または湿潤剤は、例えば天然ホスファチド、例えばレシチン、または大豆レシチン;エチレンオキシドと、例えば脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、または脂肪酸およびヘキシトールまたは無水ヘキシトールに由来する部分エステル、例えばポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとの縮合生成物などである。
【0133】
適切な懸濁剤は、例えば天然ゴム、例えばアカシアゴム、キサンタンゴムまたはトラガカントゴム;セルロース、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標)RC 591、メチルセルロース;例えばアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩などである。
【0134】
本発明による製剤における使用のための防腐剤の適切な例は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルなどのパラベン、および塩化ベンザルコニウムである。
【0135】
直腸製剤および/または膣製剤
本発明による使用のための製剤に適切な直腸粘膜または膣粘膜への適用としては、坐剤(乳剤または懸濁剤型)、浣腸剤および直腸ゼラチンカプセル(溶液剤または懸濁剤)が挙げられる。適当な医薬的に許容される坐剤基剤としては、カカオ脂、エステル化脂肪酸、グリセリン処理(glycerinated)ゼラチン、およびポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの種々の水溶性または分散性基剤が挙げられる。
種々の添加剤、例えば増強剤または界面活性剤を取り込むことができる。
【0136】
経鼻製剤
鼻粘膜への適用について、吸入用の鼻腔用スプレーおよびエアロゾルは、本発明による使用に適した組成物である。典型的な経鼻製剤にて、有効物質は、適切なビヒクルに適宜分散していてもよい特定の製剤の形態にて存在する。希釈剤、増強剤、香料、防腐剤などの組成物中に存在する、医薬的に許容されるビヒクルおよび賦形剤および適宜他の医薬的に許容される物質はすべて、医薬品の製剤分野における当業者により理解される方法で従来の薬務に従って選択される。
【0137】
経鼻投与は、即効が所望である場合に用いることができる。さらに、本発明による経鼻投与の後、有効物質は鼻腔粘膜上に吸着することができる。粘膜への吸着は、例えば液体ビヒクル、例えば浸透増強剤または促進剤を用いた場合よりも少ない刺激作用を生じると考えられる。
【0138】
局所製剤
肌への適用について、本発明による製剤は、ミクロスフェアおよびリポソームなどの従来の無毒性の医薬的に許容される担体および賦形剤を含んでもよい。製剤としては、クリーム、軟膏、水薬、塗布薬、ゲル、ヒドロゲル、溶液剤、懸濁剤、スティック(stick)、スプレー、ペースト、膏薬および他の経皮薬物送達系が挙げられる。医薬的に許容される賦形剤としては、乳剤、抗酸化剤、緩衝剤、防腐剤、湿潤剤、浸透増強剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料および肌保護剤を挙げることができる。
【0139】
乳剤の例は、天然ゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆レシチン、およびソルビタンモノオレエート誘導体である。
【0140】
抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびシステインである。
防腐剤の例は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、および塩化ベンザルコニウムなどのパラベンである。
湿潤剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよび尿素である。
【0141】
浸透増強剤の例は、プロピレングリコール、DMSO、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、2−ピロリドンおよびその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、およびAzone(登録商標)である。
キレート剤の例は、EDTAナトリウム、クエン酸およびリン酸である。
【0142】
他の賦形剤の例は、アーモンド油、ヒマシ油、カカオ脂、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、ヤシ油、ピーナッツ油、ケシ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油および茶油などの食用油;およびカルメロース(carmelose)、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キトサン(chitosane)、ペクチン、キサンタンゴム、カラギナン(carragenan)、ローカストビーンガム、アカシアゴム、ゼラチンおよびアルギン酸塩などのポリマーである。軟膏基剤の例は、蜜ろう、パラフィン、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、および脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween)である。
【0143】
局所投与のための上記製剤はまた、傷に適用することもできるか、または体の関連する開口部、例えば直腸、尿道、膣または経口の開口部への直接適用または導入に適切であることができる。製剤は、例えば粘膜などの治療される部分に直接適用するだけであることができる。
【0144】
非経口製剤
医薬組成物はまた、投薬形態、製剤または例えば従来の、無毒性の医薬的に許容される担体およびアジュバントを含む適切な送達装置もしくはインプラントにおける、注射、輸液または移植(静脈内、筋肉内、関節内、皮下など)により非経口投与することもできる。
【0145】
そのような組成物の製剤化および製造は、医薬製剤の分野の当業者によく知られている。具体的な製剤は、標題「Remington's Pharmaceutical Sciences」の教科書に見ることができる。
【0146】
経口使用のための組成物は、いくらかの投与量を含む単位投薬形態、例えばアンプルまたはバイアルにて存在することができ、その中に適切な防腐剤を加えることができる(以下を参照のこと)。組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、輸液用器具もしくは移植用送達装置の形態であることができるか、または使用前に水または別の適切なビヒクルで再構成するために乾燥散剤として存在することができる。本明細書に記載の化学感受性化合物から離れて、組成物は、適切な非経口的に許容される担体および/または賦形剤を含有することができるか、または有効製剤原料は、制御放出のためのミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み込むことができる。さらに、組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調節剤および/または分散剤を都合よく含むことができる。
【0147】
本発明の別の興味深い具体的態様にて、医薬組成物は、WO 03/004001およびWO 2004/062643に記載の特定物質から製造される、錠剤などの固体投薬形態である。
【0148】
上記に示されるように、医薬組成物は、滅菌注射用形態にて化学感受性化合物を含むことができる。そのような組成物を製造するために、化学感受性化合物は、非経口的に許容される液体ビヒクルに溶解させ、または懸濁させる。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒のうち、水は、適当な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝液、1,3−ブタンジオール、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液の添加により適切なpHに調節する。水性製剤はまた、一つ以上の防腐剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはn-プロピルを含むこともできる。化学感受性化合物が水に難溶性であるか、またはわずかに可溶性である場合、溶解増強剤または可溶化剤を加えることができるか、または溶媒が水とは別に、10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含むことができる。
【0149】
投与量
先に詳細に示したように、本発明の重要な態様は、臨床的に意義のある量、すなわち本明細書に記載の化学感受性化合物に通常伴う重篤な副作用を回避するために十分に少ない量にて本明細書に記載の化学感受性化合物が投与される場合に、該化合物が耐性または多剤耐性を後退することができるという認識である。
【0150】
投与される投与量が投薬形態(以下を参照のこと)に依存するだろうことは理解されよう。独立して、投薬形態の化学感受性化合物は、臨床的に意義のある量、すなわち一方で関連する治療効果を及ぼすが、他方で重篤な副作用を提供しない量にて投与されるべきである。
【0151】
好ましくは、本明細書に記載の化学感受性化合物は、8.0 mg/l未満の定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与される。より好ましくは、化学感受性化合物は、6.0 mg/l未満、例えば5.0 mg/l未満など、7.0 mg/l未満の定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与する。さらにより好ましくは、化学感受性化合物は、3.0 mg/l未満、例えば2.0 mg/l未満など、4.0 mg/l未満の定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与する。最も好ましくは、化学感受性化合物は、1.5 mg/l未満、例えば約1.0 mg/lまたは約0.5 mg/lの定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与する。
【0152】
言い換えると、化学感受性化合物は好ましくは、0.02μg/l〜7.0 mg/l、例えば0.04μg/l〜6.0 mg/lなど、0.01μg/lから8.0 mg/l未満の間の定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与する。より好ましくは、化学感受性化合物の定常状態血清濃度は、0.08μg/l〜4.0 mg/lなど、例えば0.1μg/l〜3.0 mg/lなど、0.06μg/l〜5.0 mg/lの間である。さらにより好ましくは、化学感受性化合物の定常状態血清濃度は、0.4μg/l〜2.0 mg/l、例えば0.5μg/l〜2.0 mg/lなど、0.2μg/l〜2.0 mg/lの間である。さらにより好ましくは、化学感受性化合物の定常状態血清濃度は、0.8μg/l〜2.0 mg/l、例えば0.9μg/l〜2.0 mg/lなど、0.6μg/l〜2.0 mg/lの間である。最も好ましくは、化学感受性化合物の定常状態血清濃度は、1.5μg/l〜2.0 mg/l、例えば1.5μg/l〜1.5 mg/lなど、1.0μg/l〜2.0 mg/lの間である。
【0153】
化学感受性化合物は、好ましくは約0.1〜3000 mg/日、約0.5〜2000 mg/日などの量にて投与する。当業者により理解されるであろうが、投与される実際の量はとりわけ投与経路、すなわち化学感受性化合物が経口投与か、静脈内投与か、筋肉内投与かなどに依存するであろう。
【0154】
全身使用のための経口投与に適合させる組成物について、投与量は、治療される感染症に応じて、0.1 mg〜1000 mg、好ましくは1 mg〜600 mg、より好ましくは2 mg〜400 mgなどの0.1 mg〜3 g/用量で、1〜4回/日などの1〜10回/日にて1日〜12ヶ月間投与される。吸入により投与される組成物についての投与量は、これらと同じ範囲内である。
【0155】
非経口投与、特に静脈内投与について、約0.1〜約2000 mg/日の用量が都合よい。静脈内投与について、1日〜12ヶ月間投与される約0.1〜約2000 mg/日の用量が都合よい。
【0156】
経皮および局所投与について、投与量は、0.1 mg〜5 g/用量で、1〜10回/日にて1日〜12ヶ月間投与される。直腸投与について、投与量は通常、0.1〜2000 mg/用量で、1〜10回/日にて1日〜12ヶ月間投与される。
【0157】
上記定常状態血清濃度および投与量は、所望の臨床効果を生じ、同時に本明細書に記載の化学感受性化合物に通常伴う重篤な副作用を回避するだろう。しかし、いくつかの本明細書に記載の化学感受性化合物、特に一般式IIIbの化学感受性化合物は、より高用量にて投与することができ、それにより上記のレベルを超えた定常状態血清濃度を生じ得る。これは、これらの化学感受性化合物が、より高用量にて投与された場合でさえも、重篤な副作用を示さないと考えられる事実による。
本発明はさらに、以下の限定されない実施例により例示される。
【0158】
物質および方法
細菌
細菌は、Mueller-Hinton寒天プレートに継代培養し、37℃にて一晩インキュベーションした。予め温めたMueller-Hintonブロス(broth)をプレートからのコロニーで植菌し、約3時間インキュベーションし、対数期(log phase)培養を達成した。細菌の対数期培養は、新たな予め温めた培地で希釈し、1×104細菌/ml培地の最終アッセイ濃度を得るために、600 nmにて規定の光学密度(OD)に調節した。
【0159】
DR細胞は、敏感な細胞系と比較して約10〜100倍の耐性を示し、薬物不含培地中にて増殖させた場合に安定なDR表現型を維持した。唯一の例外は、大便連鎖球菌F84分離株であった。この菌株は、4μ/mlにおけるMIC値を維持するために、4μg/mlにおけるバンコマイシンの存在下にて培養した。
【0160】
菌株は、Statens Seruminstitut, Denmark, the Technical University of Denmarkおよびthe Department of Clinical Microbiology, Soenderborg Hospital, Denmarkより得た。
【0161】
分離株
E. coli, LN 3164. Acr AB-TolC MDRインビトロにて選択された突然変異体。テトラサイクリン、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、クロラムフェニコールおよびアミノグリコシドへの耐性。
E. coli 331 ME. E. coliのインビボにて選択された多剤耐性臨床的分離株。菌株は重篤な膀胱炎/尿路性敗血症の患者から単離した。テトラサイクリン、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、クロラムフェニコールおよびアミノグリコシドへの耐性。
P. aeruginosa 432b. 臨床的多剤耐性分離株。テトラサイクリン、ベータ−ラクタム、フルオロキノロンおよびアミノグリコシドへの耐性。ベータ−ラクタマーゼ産生、ペニシリン結合タンパク質における変化、および外膜タンパク質における変化。
【0162】
黄色ブドウ球菌E45 MRSA. 臨床的分離株。メチシリンへの耐性。テイコプラニンクロラムフェニコール、ホスホマイシン、ネチルミシンおよびバンコマイシンの影響を受けやすい。
黄色ブドウ球菌 O11. ペニシリン耐性の臨床的分離株。メチシリン、テトラサイクリン、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、クロラムフェニコールおよびアミノグリコシドの影響を受けやすい。
大便連鎖球菌, F84. 多剤耐性臨床的分離株。アンピシリン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシンへの耐性およびバンコマイシンへの減少した耐性。主な耐性機序としての細胞壁前駆体標的における変化の発現(VanA遺伝子発現)。
大便連鎖球菌, F86. 臨床的分離株の影響を受けやすい。耐性の発展なし。
【0163】
薬物
薬物を培地で希釈する前に、少量の水または1%DMSO(0.05%DMSO未満の最終培地濃度のDMSO)に溶解させた。溶液を各実験ごとに新たに調製した。
【0164】
クロルプロマジン、プロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、クロルポチキセン(chlorpotixene)、トランス−クロペンチキソール、シス−およびトランス−フルペンチキソールをH. Lundbeck (Copenhagen, Denmark)およびBritish Pharmacopoeia Commission Laboratory, Middlesex, United Kingdomから得た。7−ヒドロキシクロルプロマジン、7,8−ジヒドロキシクロルプロマジン、塩酸デスメチルクロルプロマジン、トリフルオプロマジン(trifluopromazine)、クロルプロマジン スルホキシド、1−クロルプロマジン、フェノチアジン、塩酸2−クロロ−10−(2−ジメチルアミノエチル)−をNational Institute of Mental Health (USA)から得た。チオメチルプロマジンをStatens Seruminstitut (Copenhagen Denmark)から得た。ペルフェナジンをSigma (Copenhagen Denmark)から得た。フシジン酸(Fucidic acid)をLeo Pharma AS (Copenhagen Denmark)から得、アズトレオナムをBristol Meyers (Bromma, Sweden)から得た。バンコマイシンをAlpharma AS (Copenhagen Denmark)から得た。シプロフロキサシンを1A Pharma (Copenhagen, Denmark)から得、ゲンタマイシンをSchering-Plough Europe (Brussels, Belgium)から得た。
【0165】
微生物細胞増殖およびDRへの薬物の効果
細胞増殖は、NCCLSガイドライン(NCCLSガイドライン、好気的に増殖する細菌についての希釈抗菌感受性試験のための方法; Approved Standard, Sixth Edition, Volume 23; Number 2)に従い、微量希釈ブロス法の使用によるMIC感受性試験を用いて試験した。100%Mueller-Hintonブロスおよび1×104/mlの細菌濃度を用いた。
【0166】
細菌の対数期培養物を新たに予め温めた培地で希釈し、各ウェルにて1×104細菌/ml培地の最終濃度を得るために、600 nmにて規定のODに調節した。8〜500μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、各化学感受性化合物を2倍希釈でウェル中の細菌培養物に加えた。トレーを37℃にて16時間インキュベーションした。最小発育阻止濃度(MIC)をNCCLSガイドラインにより増殖を全く示さない最低阻害濃度として定義する。
【0167】
化学感受性化合物のDRへの効果は、化学感受性化合物の非存在下または存在下にて0〜64μg/ml 抗感染症薬物に細胞を暴露することにより上記マイクロタイターアッセイにより検討した。各実験は複製物で三回繰り返した。MIC値は二つの別々の実験の平均値を示す。
【0168】
細菌の対数期培養物を新たに予め温めた培地で希釈し、各ウェルにて1×104細菌/ml培地の最終濃度を得るために、600 nmにて規定のODに調節した。化学感受性化合物を化学感受性化合物のMIC値の1/4にて最終濃度を得るためにウェル中の細菌培養物に加えた。0〜64μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、ウェル中の細菌培養物に抗感染症薬を2倍希釈で加えた。トレーを37℃にて16時間インキュベーションした。DR比を、抗感染症薬のみについてのMIC値を化学感受性化合物の存在下における抗感染症薬についてのMICで割った比として定義した。この比は化学感受性化合物により生じる抗感染症薬の明らかな有効性の増大を示し、
DR比=(MIC抗感染症薬)/(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物
として表すことができる。
【実施例】
【0169】
実施例1−改変プロマジンの効果
第1表は、異なるR1、R2、R7およびR8置換基を有する一連のプロマジン誘導体についての構造、MIC値およびDR比を示す。
用いた抗感染症薬はシプロフロキサシンであり、細菌の菌株はE. coli, LN 3164であった。
化学感受性化合物(プロマジンおよびその誘導体)は次の一般構造:
【化6】

を有した。
【0170】
得られた結果は以下の第1表にまとめる:
【表1】

第1表
【0171】
以上のように、非置換の化学感受性化合物(プロマジン)は、細胞増殖を阻害し、シプロフロキサシンへの薬物耐性E. coli細胞を100%(DR比=2)敏感にした。しかし、1位または2位における塩素原子の導入は、薬物耐性に対する有効性を増大させた。特に、2位における塩素原子の導入は最大の効果を有し、薬物耐性細胞を220%敏感にした。同様に、2位におけるCF3基の導入もまた、細胞増殖および薬物耐性に対する有効性を増大した。環硫黄原子を酸化したクロルプロマジンスルホキシドの生成は、クロルプロマジンと同じ薬物耐性に対する活性を有した。
【0172】
アミノ側鎖の影響を測定するために、次の一般構造を有する化学感受性化合物を上記のようにアッセイした:
【化7】

【0173】
得られた結果は以下の第2表にまとめる:
【表2】

第2表
【0174】
上記第2表は、第三級アミン(例えばクロルプロマジン)および第二級アミン(デスメチルクロルプロマジン)を含むフェノチアジンが細胞増殖阻害におおける同様の活性(32μg/mlのMIC)を有することを示す。しかし、クロルプロマジンなどの第三級アミンを含むフェノチアジンは、抗DR活性における1.6倍の増大を生じるデスメチルクロルプロマジンなどの第二級アミンを有するものよりも有効なDRのアンタゴニストであった。アミノ基のタイプにおける他の変化もまた、抗DR活性に影響した。例えばピペラジニル誘導体はDRに対する有効性を増大した。従って、トリフルオペラジンおよびフルフェナジン化合物についてのDR比は、同一の環置換パターンを有するが、脂肪族側鎖を有する化合物であるトリフルオプロマジンのものよりも大きかった。同様に、ペルフェナジンおよびプロクロルペラジンは、クロルプロマジンよりも有効なDRアンタゴニストであった。この一連の実験はまた、抗DR活性についての2位におけるCF3置換の重要性をも示す。例えばトリフルオペラジンについてのDR定量は、プロクロルペラジンについてのものよりも大きかった。これらのフェノチアジンは、前者が2位における塩素原子の代わりにCF3基を有する場合を除き、同一の構造を有する。同様の関係は、フルフェナジンをペルフェナジンと比較することにより見られる。プロクロルペラジンについてのDR比をペルフェナジンと比較するか、またはトリフルオペラジンについてのDR比をフルフェナジンと比較することにより分かるように、最終的に、ピペラジニル環におけるパラメチル置換はパラエタノール置換よりも有効であると思われた。
【0175】
含アミノ側鎖の長さの影響を測定するために、次の一般構造を有する化学感受性化合物を上記のようにアッセイした:
【化8】

【0176】
得られた結果を以下の第3表にまとめる:
【表3】

第3表
【0177】
上記第3表は、含アミノ側鎖の長さが異なる一連のジメチルアミノフェノチアジンの細胞増殖およびDRへの効果を示す。以上のように、炭素アルキル架橋の2から3への移動は、これらの化学感受性化合物の抗DR効果を増大した。例えば、クロルプロマジンは2−クロロ−10−(2−ジメチルアミノエチル)フェノチアジンのものよりも大きなDR比を有した。イソプロピル側鎖を有するプロメタジンは、3の炭素アルキル直鎖を有するプロマジンと比較してより有効なDR阻害剤であった。
【0178】
実施例2−立体化学の効果
シスおよびトランス立体化学の影響を調査するために、一連のチオキサンテンを上記のようにアッセイした。第4表は、試験したチオキサンテンについてのMIC値およびDR比を示す。
【表4】

第4表
【0179】
上記の結果は、立体異性体の立体配置はDRに対する最適な活性に必要であることを示す。例えばトランス−フルペンチキソールはその化合物のシス体よりも有効な抗DR剤であり、トランス−クロペンチキソールは最も有効な抗DR剤であった。従って三環式核に関する側鎖アミンの配向性は、抗DR活性についての重要な決定因子であると考えられる。
【0180】
実施例3−疎水性の効果
側鎖変更を伴う化学感受性化合物における抗DR有効性における相違もまた全体的な疎水性における変化によるものであるかどうかを測定するために、第1、2、3および4表における各薬物についてのオクタノール:緩衝液分配係数は、それらのDR比と比較した。統計的に有意な相関関係は、疎水性と抗DR活性(p>0.5)との間で全く見られなかった(データは示されていない)。
【0181】
実施例4−チオキサンテン誘導体の相乗効果
トランス−フルペンチキソール、シス−フルペンチキソールおよびトランス−クロペンチキソールの種々の抗感染症薬への相乗効果を、異なる種および耐性機序を示す敏感な耐性細菌分離株の一団に対して検討した。
相乗効果は、トランス−フルペンチキソール、シス−フルペンチキソールまたはトランス−クロペンチキソールの非存在下または存在下における0〜64μg/ml 抗感染症薬に細胞を暴露するチェッカーボード組合せ検討により検討した。各実験は複製物で三回繰り返した。MIC値は二つの別々の実験の平均値を示す。
【0182】
細菌の対数期培養物を新たに予め温めた培地で希釈し、各ウェルにて1×104細菌/ml培地の最終濃度を得るために、600 nmにて規定のODに調節した。0〜8μg/mlの範囲で最終濃度を得るために、各化学感受性化合物を2倍希釈でウェル中の細菌培養物に加えた。0〜64μg/mlの範囲で最終濃度を得るために、抗感染症薬を2倍希釈でウェル中の細菌培養物に加えた。トレーを37℃にて16時間インキュベーションした。ウェルは増殖について視覚的に分析評価した。分画阻害濃度(FIC)を各抗感染症薬のみおよびトランス−フルペンチキソール、シス−フルペンチキソールまたはトランス−クロペンチキソールと組み合わせて算出した。次の式を用いてFIC指標を算出した:
FIC=FIC化学感受性化合物+FIC抗感染症薬
[式中、
FIC化学感受性化合物=(MIC化学感受性化合物+抗感染症薬)/(MIC化学感受性化合物
FIC抗感染症薬=(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物)/(MIC抗感染症薬
である]。
【0183】
相乗性を<0.5のFIC指標として定義した。算出したFIC指標を以下の第5表に示す:
【表5】

第5表.*R=抗感染症薬に耐性を示す分離株;S=抗感染症薬に感受性を示す分離株;MDR=多剤耐性を示す分離株
【0184】
トランス−クロペンチキソールおよびシス−およびトランス−フルペンチキソールについてのFIC指標は、これらの化合物が薬物耐性細胞における抗感染症薬の静菌効果の促進に非常に相乗的であることを示す。薬物耐性細胞においてアッセイした化学感受性化合物についてのほとんどのFIC指標は<<0.5であった。トランス−クロペンチキソールが試験したすべての化学感受性化合物の中で最も有効であり、すなわちトランス体がシス体と比べてより有効であった。従って、例えばトランス−クロペンチキソールまたはトランス−フルペンチキソールと抗感染症薬とを組み合わせた臨床的使用により、DR細胞についてのこの抗感染症薬のMICは、<500 ng/mlにおける有効濃度を示す臨床的に達成可能な濃度をはるかに下回ったものになるようだ(化学感受性化合物の有効濃度は0.32μg/ml〜4μg/mlの範囲内である)。抗DR効果は耐性細胞において最も有効であった。しかし、著しい抗菌性増強効果はまた、これらの化学感受性化合物の抗DR効果が排出ポンプを過剰発現する細胞に制限されず、抗DR機序がこの標的に制限されないことを強く示す感受性細胞においても示された。抗菌性感受性細胞についてのFIC指標は0.25〜0.5の範囲であった。
【0185】
さらに結果は、シス−およびトランス−フルペンチキソールならびにトランス−クロペンチキソールが、化合物の抗DR機序がMDR排出ポンプの阻害に制限されないことを示唆するピペラシリン(Giwercman B et al, 1992および1990)を阻害することができるベータ−ラクタマーゼを発現するP.aeruginosa細胞に対するベータ−ラクタム抗生剤ピペラシリンの抗感染活性を増強したことを示す。化学感受性化合物の抗増殖作用は、感受性および耐性の両方を示す分離株においてほとんど等しい効力を有した。MIC値は16〜64μg/mlの範囲であった(示されていないデータ)。
【0186】
実施例5.フェノチアジン誘導体の相乗効果
抗感染症薬シプロフロキサシンの相乗効果を、大便連鎖球菌のシプロフロキサシン耐性臨床分離菌に対して検討した。
相乗効果は、クロルプロマジン、プロマジンまたはペルフェナジンの非存在下または存在下0〜8μg/ml 抗感染症薬に細胞を暴露させるチェッカーボード組合せ検討により検討した。各実験を複製物で繰り返した。MIC値は二つの別々の実験の平均値を示す。
【0187】
細菌の対数期培養物は、新たに予め温めた培地で希釈し、各ウェルにて1×104-5細菌/ml培地の最終濃度を得るために、600 nmにて規定のODに調節した。0〜16μg/mlの範囲で最終濃度を得るために、各化学感受性化合物を2倍希釈でウェル中の細菌培養物に加えた。0〜16μg/mlの範囲で最終濃度を得るために、抗感染症薬を2倍希釈でウェル中の細菌培養物に加えた。トレーを37℃にて16時間インキュベーションした。ウェルは増殖について視覚的に分析評価した。分画阻害濃度(FIC)を抗感染症薬のみおよびクロルプロマジン、プロマジンまたはペルフェナジンと組み合わせて算出した。次の式を用いてFIC指標を算出した:
FIC=FIC化学感受性化合物+FIC抗感染症薬
[式中、
FIC化学感受性化合物=(MIC化学感受性化合物+抗感染症薬)/(MIC化学感受性化合物
FIC抗感染症薬=(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物)/(MIC抗感染症薬
である]。
相乗性を<0.5のFIC指標として定義した。算出したFIC指標を以下の第6表に示す:
【0188】
クロルプロマジン、プロマジンまたはペルフェナジンについてのFIC指標は、これらの化合物が薬物耐性細胞における抗感染症薬の静菌効果の促進に相乗的であることを示す。薬物耐性細胞においてアッセイした化学感受性化合物についてのすべてのFIC指標は<0.5であった。クロルプロマジン、プロマジンまたはペルフェナジンはシプロフロキサシンの効果を増強する能力について等しかった。増強化合物の最低有効濃度は、1〜2μg/mlであった。従って、例えばクロルプロマジン、プロマジンまたはペルフェナジンと抗感染症薬とを組み合わせた臨床的使用により、DR細胞についてのこの抗感染症薬のMICは、<2μg/mlにおける有効濃度を示す臨床的に達成可能な濃度をはるかに下回ったものになるようだ。
【表6】

第6表.*:cip=シプロフロキサシン
【0189】
実施例6−化学感受性化合物への不感性の発症
抗感染症薬と耐性機序の阻害剤との組合せへの一つの有効な制限は、該阻害剤に不感性であるといわれる突然変異を発症する微生物の可能性である。そのような状況は、例えば細菌、ウイルス、真菌および酵母菌について観察されている。
S. aureus O11の臨床分離株におけるインビトロ選択単一工程シプロフロキサシン耐性の出現速度への阻害剤の効果を測定した。
【0190】
自然発生突然変異体は、1μg/mlにおけるトランス−クロペンチキソールの非存在下または存在下1μg/ml(MICの2倍)の濃度にてシプロフロキサシンを含むLB寒天プレートにS. aureus細胞をプレーティングして24時間後に得た。突然変異体選択の頻度は、抗感染症薬を含むプレートにて増殖させたコロニーの数と抗感染症薬の非存在下適当な希釈物をプレーティングするときに得られたコロニーの数とを比較することにより3×10-8であることを測定した。
【0191】
臨床における阻害剤の使用を分析評価するときにおそらく最も重要な態様は、耐性突然変異体の出現へのこれらの阻害剤の効果である。重要なことに、第7表にて示されるように、試験された阻害剤は、シプロフロキサシン耐性の自然発生出現の頻度を100倍以上減少した。S. aureusについてのMICよりも少なくとも10倍少なかった同じ濃度の阻害剤がコロニー形成能力にも影響せず、シプロフロキサシンの非存在下プレーティングされるS. aureus細胞のコロニーサイズにも影響しなかったため、この劇的な効果を阻害剤の毒性効果に起因させることはできなかった。結果的に、トランス−クロペンチキソールはS. aureusのシプロフロキサシン耐性の出現を阻害した。
【表7】

第7表.阻害剤の非存在下または存在下における1μgのシプロフロキサシン/ml(S. aureus菌株についてのMICの2倍)に耐性を示すS. aureusのインビトロ選択変異形の出現頻度
【0192】
実施例7.マウス腹膜炎モデルにおけるトランス−クロペンチキソールの増強された効果
細菌
ヒト尿からの大便連鎖球菌BG-029の臨床分離株を用いた。この菌株はシプロフロキサシンに耐性を示した;MIC, 4μg/ml。トランス−クロペンチキソールのMICは6μg/mlMICであった。
MICは、NCCLSガイドラインに従い、微量希釈試験により測定した。
動物
雌NMRIマウス(年齢、約6〜8週;体重、30±2 g)をマウス肺炎腹膜炎モデルについて用いた(以下に示すとおり)。
【0193】
抗生剤
シプロフロキサシンを輸液用溶液としてBayer A/S, Lyngby, Denmarkから得た; 2 mg/ml。トランス−クロペンチキソールをBritish Pharmacopoeia Commission Laboratory, Middlesex, United Kingdomから散剤参照物質として得た。
マウスでのトランス−クロペンチキソールの薬物動態検討
NMRIマウスにて薬物動態検討を行った。血清における濃度は、マウスあたり0.3 mgの単一用量の投与後に測定した。用量あたり0.2 mlの容積にて首の領域における皮下注射により薬物を投与した。注射後1、2、4、6および24時間にて、血液サンプルを3つの群にてマウスから得た。収集後、血液を遠心分離し、血清を高圧液体クロマトグラフィーにより分析するまで−80℃にて保存した。
【0194】
マウス腹膜炎モデル
細菌懸濁液を上記のように5%血液寒天プレート上の新たな一晩培養物(凍結保存培養物由来)から調製した。マウス腹膜炎モデルについての接種は使用直前に調製し、約107 CFU/mlの密度を与える540 nmにおいて調節した。接種サイズは5%血液寒天における生存率により測定した。
シクロホスファミド(3日間毎日6 mg)でマウスを前処置することにより、好中球減少症を導入した。マウスに腸球菌懸濁液0.5 mlを腹腔内注射し、接種の1時間以内に菌血症を生じた。抗生剤治療は接種して1時間後に開始した。シプロフロキサシンおよびトランス−クロペンチキソールを用量あたり0.1 mlの容積にて首の領域に皮下投与した。5匹のマウスを各処置群に用いた。接種未処置対照マウスをすべての試験に含んだ(Method reference: Erlandsdottir et al; Antimicrob Agents Chemother. 2001 Apr;45(4):1078-85)。
【0195】
【表8】

【0196】
種々の処置レジメの効果は、腹水中の細菌数の評価により処置の6時間の間に測定した。マウスを殺した後、腹膜洗浄を滅菌生理食塩水2 mlを腹腔内注射することにより行った後、腹部をマッサージし、次いで腹膜を開いて液体を集めた。腹水をすぐに生理食塩水で10倍に希釈し、そのうちの20μlを5%血液寒天プレート上に所々に置き、次いで35℃にて一晩インキュベーションした後、コロニーを数えた。血液および腹水における細菌数についての最低検出レベルはそれぞれ50および250 CFU/mlであった。
【0197】
マウスモデルにおける処置レジメの殺菌効力は、処置の終わり(6時間)における対照マウスについての平均結果から各処置マウスについての結果を引くことにより算出した。<0.05のP値は有意であると考えられる。すべての統計的比較は両側検定であった。
【0198】
結果:
マウス腹膜におけるトランス−クロペンチキソールの強増強活性
マウス腹膜において、シプロフロキサシンおよびトランス−クロペンチキソールの、それのみまたは組み合わせた殺菌活性をFigure 3に示す。示されているように、副治療量(sub-therapeutic dose)におけるシプロフロキサシンのみは感染に効果を示さず、耐性細菌はマウス腹膜から絶滅しない。しかし、マウスをシプロフロキサシンおよびトランス−クロペンチキソールを組み合わせて処置した場合には、細菌は絶滅した(p<0.05)。トランス−クロペンチキソール(TC)のみは与えられた副治療量に従って細菌に影響しなかった(マウスにおけるTCの血清値は300 ng/ml未満である。これはFigure 4に見られるように、6μg TC/mlにおけるMIC値よりはるかに低い)。
【0199】
実施例8−チオキサンテン誘導体の真菌への相乗効果
トランス−クロペンチキソールの相乗効果は、トランス−クロペンチキソール(2倍希釈で0〜8μg/ml)の非存在下または存在下0〜256μg/ml 抗感染症薬に細胞を暴露するチェッカーボード組合せ検討により検討した。各実験を複製物で三回繰り返した。MIC値は二つの別々の実験の平均値を示す。
真菌菌株:
フルコナゾール耐性カンジダ・アルビカンスのカンジダ性敗血症患者からの臨床分離株
抗真菌薬:
フルコナゾール(Pfizer, Ballerup, Denmark)
【0200】
感受性試験の前に、分離株をサブロー(Sabouraud)グルコース寒天にて24時間継代培養した。
ブロス微量希釈試験は、NCCLS文書M27-A(参考文献: National Commitee for Clinical Laboratory Standards. (1997). Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Yeasts: Approved Standard M27-A. NCCLS, Wayne, PA.)に従い行った。
【0201】
ピペッティングして酵母堆積物を再懸濁させることによりウェルを混合した後、マイクロタイタープレートを分光学的に530 nmにて読み取った。MICをフルコナゾールについての80%増殖阻害を生じる最低薬物希釈として定義した。次の暫定的な区切りを適用した:フルコナゾール感受性(S)、MIC≧8μg/ml;用量依存感受性(SDD), 8μg/ml<MIC<64μg/ml;および耐性(R), MIC≦64μg/ml
分画阻害濃度(FIC)を抗感染症薬のみおよびトランス−クロペンチキソールとの組合せについて算出した。次の式を用い、FIC指標を算出した:
FIC=FIC化学感受性化合物+FIC抗感染症薬
[式中、
FIC化学感受性化合物=(MIC化学感受性化合物+抗感染症薬)/(MIC化学感受性化合物
FIC抗感染症薬=(MIC抗感染症薬+化学感受性化合物)/(MIC抗感染症薬
である]。
【0202】
相乗性を<0.5のFIC指標として定義した。算出したFIC指標を以下の第9表に示す:
【表9】

【0203】
トランス−クロペンチキソールについてのFIC指標は、この化合物が薬物耐性細胞における抗真菌薬の抗真菌効果の促進に非常に相乗的であることを示す。このように、薬物耐性細胞においてアッセイした化学感受性化合物についてのFIC指標は<0.5であった。従って、例えば抗真菌薬と組み合わせたトランス−クロペンチキソールの臨床的使用により、DR細胞についてのこの抗真菌薬のMICは、≦3μg/mlにおける有効濃度を示す臨床的に達成可能な濃度をはるかに下回ったものになるようだ。
【0204】
実施例9−チオキサンテン誘導体の抗ウイルス化合物への増強効果
トランス−クロペンチキソールの抗ウイルス薬への増強効果は、トランス−クロペンチキソールの非存在下または存在下0〜6μMの濃度にてHIV感染細胞を0〜3μM 抗ウイルス薬に暴露するチェッカーボード組合せ検討により検討した。各実験は複製物で三回繰り返した。MIC値は二つの別々の実験の平均値を示す。
【0205】
方法:
ウイルスおよび細胞
HIV−1菌株HTLV−IIIBを、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS)および抗生剤(増殖培地)でRPMI 1640を用いて37℃、5%CO2にてH9細胞にて増殖させた。培養上清をろ過し(0.45 nm)、アリコートを取り、使用まで−80℃にて保存した。HIV−1菌株をNIH AIDS Research and Reference Programから得た。
化合物
抗ウイルス薬:AZT, (3'-アジド-3'-デオキシチミジン), Glaxo Wellcome.
増強化合物:トランス−クロペンチキソールをBritish Pharmacopoeia Commission Laboratory, Middlesex, United Kingdomから粉末参照物質として得た。
【0206】
HIV−1複製の阻害
標的細胞としてMT4細胞を用いてHIV−1の菌株IIIBに対する可能性のある抗ウイルス活性について化合物を試験した。ウイルス感染培養物および化合物を加えない非感染対照培養物と並行して6日間、ウイルス(0.005 MOI)および化合物の試験希釈物を含む増殖培地でMT4細胞をインキュベーションした。培養物中のHIVの発現は先に記載のMTTアッセイを用いて間接的に定量した。HIV発現の30%未満の減少を媒介する化合物は生物学的活性を有さないものと考えた。上記の化合物の試験希釈物を含む非感染MT4培養物における細胞毒性効果について並行して化合物を試験した。抗ウイルス活性および細胞毒性効果の両方の試験についての培養物は、マイクロタイタープレート中の培養物あたり200 mlの複製物で三回行った。
対照培養物と関連する細胞増殖の30%阻害は有意であると考えた。
化合物の濃度に対する百分率阻害のプロットからの補間により50%阻害濃度を測定した。
EC50を、50%のウイルス生成、50%のウイルス感染性または50%のウイルス誘導細胞変性効果を阻害する有効濃度として定義する。
CC50を、非感染細胞の細胞増殖または生存率を50%減少させる阻害濃度として定義する。
【0207】
結果
第10表に見られるように、トランス−クロペンチキソールおよびAZTの組合せはAZTの抗ウイルス効果の10倍の増強を生じ、従って耐性ウイルス菌株を阻害するのに十分であることができる。トランス−クロペンチキソールのみは、用いた濃度において抗ウイルスまたは細胞毒性効果を有さなかった。
【0208】
第10表:トランス−クロペンチキソール(TC)の抗ウイルス性化合物AZT(A)への増強効果。μMにおける濃度(本文参照)。
【表10】

EC50を、50%のウイルス生成、50%のウイルス感染性または50%のウイルス誘導細胞変性効果を阻害する有効濃度として定義する。
CC50を、非感染細胞の細胞増殖または生存率を50%減少させる阻害濃度として定義する。
【0209】
ウイルス試験方法参照:Petersen L, Jorgensen PT, Nielsen C, Hansen TH, Nielsen J, Pedersen EB. Synthesis and Evaluation of Double-Prodrugs against HIV. SATEプロドラッグアプローチによる、D4Tと6-ベンジル-1-(エトキシメチル)-5-イソプロピルウラシル(MKC-442, エミビリン(Emivirine))型逆転写酵素阻害剤とのコンジュゲーション J. Med. Chem. 2005, 48, 1211-1220。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗感染症薬と組み合わせた感染症の治療薬または予防薬の製造のための、一般式(I):
【化1】

(I)
[式中、
VはS、SO2、SO、OおよびNHからなる群から選択され;
WはN−(CHX)n−N(R10)(R11)またはC=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)であり;
nは2〜6の範囲の整数であり;
mは1〜5の範囲の整数であり;
Xはそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択され;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシ、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、ホルミル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールオキシ、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールアミノ、アリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルホニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルホニルオキシ、アミノスルホニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノスルホニル、および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルチオからなる群から選択され;および
10およびR11はそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択されるか;またはR10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい含窒素ヘテロアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
で示される化合物またはその代謝体もしくは塩の使用。
【請求項2】
2がF、Cl、Br、I、CH2Y、CHY2およびCY3(ここに、Yはハロゲン原子である)からなる群から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
2がF、Cl、CF3およびCCl3からなる群から選択される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
2がClまたはCF3である、請求項3記載の使用。
【請求項5】
1、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9がそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択される、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
1、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9が水素である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
VがSまたはSOである、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
VがSである、請求項7記載の使用。
【請求項9】
WがN−(CHX)n−N(R10)(R11)であり、X、n、R10およびR11が請求項1における定義のとおりである、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
WがN−(CH23−N(R10)(R11)またはN−CH2−CH(CH3)−N(R10)(R11)であり、R10およびR11が請求項1に定義されているとおりである、請求項9記載の使用。
【請求項11】
WがN−(CH23−N(R10)(R11)であり、R10およびR11が請求項1に定義されているとおりである、請求項10記載の使用。
【請求項12】
10およびR11がそれぞれ、独立して水素および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルからなる群から選択される、請求項11記載の使用。
【請求項13】
10およびR11がともにCH3である、請求項12記載の使用。
【請求項14】
10およびR11がそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよい2−ピロリニル、適宜置換されていてもよい3−ピロリニル、適宜置換されていてもよいピロリジニル、適宜置換されていてもよい2−イミダゾリニル、適宜置換されていてもよいイミダゾリジニル、適宜置換されていてもよい2−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよい3−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよいピラゾリジニル、適宜置換されていてもよいピペリジニル、適宜置換されていてもよいモルホリニル、適宜置換されていてもよいチオモルホリニルおよび適宜置換されていてもよいピペラジニルからなる群から選択される、請求項14記載の使用。
【請求項16】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよいピペリジニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニルである、請求項15記載の使用。
【請求項17】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよいピペラジニルである、請求項16記載の使用。
【請求項18】
ピペラジニルがパラ位にて置換されている、請求項17記載の使用。
【請求項19】
ピペラジニルが適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル基で置換されている、請求項17または18記載の使用。
【請求項20】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH3、−CH2OH、−CH2−CH3および−CH2−CH2OHからなる群から選択される、請求項19記載の使用。
【請求項21】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH3または−CH2−CH2OHである、請求項20記載の使用。
【請求項22】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH2−CH2OHである、請求項21記載の使用。
【請求項23】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルがパラ位にある、請求項19〜22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
ピペラジニルが非置換である、請求項17記載の使用。
【請求項25】
化合物がプロマジン、1−クロルプロマジン、クロルプロマジン、7−ヒドロキシクロルプロマジン、7,8−ジヒドロキシクロルプロマジン、チオメチルプロマジン、トリフルオロプロマジン、デスメチルクロルプロマジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジンおよび2−クロロ−10−(2−ジメチルアミノエチル)フェノチアジンからなる群から選択される、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
WがC=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)であり、X、m、R10およびR11が請求項1に定義されているとおりである、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
mが2または3である、請求項26記載の使用。
【請求項28】
mが2である、請求項27記載の使用。
【請求項29】
WがC=CH−(CH22−N(R10)(R11)であり、R10およびR11が請求項1に定義されているとおりである、請求項28記載の使用。
【請求項30】
10およびR11がそれぞれ、独立して水素および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルからなる群から選択される、請求項29記載の使用。
【請求項31】
10およびR11がともにCH3である、請求項30記載の使用。
【請求項32】
10およびR11がそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する、請求項26〜29のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよい2−ピロリニル、適宜置換されていてもよい3−ピロリニル、適宜置換されていてもよいピロリジニル、適宜置換されていてもよい2−イミダゾリニル、適宜置換されていてもよいイミダゾリジニル、適宜置換されていてもよい2−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよい3−ピラゾリニル、適宜置換されていてもよいピラゾリジニル、適宜置換されていてもよいピペリジニル、適宜置換されていてもよいモルホリニル、適宜置換されていてもよいチオモルホリニルおよび適宜置換されていてもよいピペラジニルからなる群から選択される、請求項32記載の使用。
【請求項34】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよいピペリジニルまたは適宜置換されていてもよいピペラジニルである、請求項33記載の使用。
【請求項35】
適宜置換されていてもよいヘテロシクリルが適宜置換されていてもよいピペラジニルである、請求項34記載の使用。
【請求項36】
ピペラジニルがパラ位にて置換されている、請求項35記載の使用。
【請求項37】
ピペラジニルが適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル基で置換されている、請求項35または36記載の使用。
【請求項38】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH3、−CH2OH、−CH2−CH3および−CH2−CH2OHからなる群から選択される、請求項37記載の使用。
【請求項39】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH3または−CH2−CH2OHである、請求項38記載の使用。
【請求項40】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルが−CH2−CH2OHである、請求項39記載の使用。
【請求項41】
適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルがパラ位にある、請求項37〜40記載の使用。
【請求項42】
ピペラジニルが非置換である、請求項35記載の使用。
【請求項43】
C=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)基がトランス配置である、請求項26〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
化合物がトランス−フルペンチキソール、シス−フルペンチキソール、トランス−クロペンチキソールおよびシス−クロペンチキソールからなる群から選択される、請求項1〜8または26〜43のいずれかに記載の使用。
【請求項45】
化合物がトランス−フルペンチキソールまたはトランス−クロペンチキソールである、請求項44記載の使用。
【請求項46】
化合物がトランス−クロペンチキソールである、請求項45記載の使用。
【請求項47】
化合物が臨床的に意義のある量にて投与される、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
化合物が8.0mg/l未満の定常状態血清濃度を生じる臨床的に意義のある量にて投与される、請求項47記載の使用。
【請求項49】
定常状態血清濃度が0.01μg/lから8.0mg/l未満の間である、請求項48記載の使用。
【請求項50】
感染症が病原菌により引き起こされる、先の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項51】
病原菌が薬物耐性を示す、請求項50記載の使用。
【請求項52】
病原菌が多剤耐性を示す、請求項50記載の使用。
【請求項53】
一般式(I):
【化2】

(I)
[式中、
VはS、SO2、SO、OおよびNHからなる群から選択され;
WはN−(CHX)n−N(R10)(R11)またはC=CH−(CHX)m−N(R10)(R11)であり;
nは2〜6の範囲の整数であり;
mは1〜5の範囲の整数であり;
Xはそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシからなる群から選択され;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニルおよび適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシ、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、ホルミル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールオキシ、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールアミノ、アリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルホニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルホニルオキシ、アミノスルホニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノスルホニル、および適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルチオからなる群から選択され;および
10およびR11はそれぞれ、独立して水素、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルケニル、適宜置換されていてもよいC2-6−アルキニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルコキシカルボニル、適宜置換されていてもよいC1-6−アルキルカルボニル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいアリールカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリール、適宜置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、適宜置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6−アルキル)アミノカルボニルからなる群から選択されるか;またはR10およびR11はそれらが付加している窒素原子と一緒になって、適宜置換されていてもよい含窒素ヘテロアリールまたは適宜置換されていてもよいヘテロシクリルを形成する]
で示される化合物またはその代謝体もしくは塩を抗感染症薬と組み合わせて対象に投与することを特徴とする、対象における感染症を治療または予防する方法。
【請求項54】
化合物が請求項2〜46のいずれかに定義されているとおりである、請求項53記載の方法。
【請求項55】
化合物が請求項47〜49のいずれかに定義されているように投与される、請求項53または54記載の方法。
【請求項56】
感染症が病原菌により引き起こされる、請求項53〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
病原菌が請求項51または52に定義されているとおりである、請求項56記載の方法。
【請求項58】
請求項1〜46のいずれかに定義されている化合物および少なくとも一つの医薬的に許容される担体または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項59】
組成物が抗感染症薬をさらに含有する、請求項58記載の医薬組成物。
【請求項60】
組成物が単位投薬形態である、請求項58または59記載の医薬組成物。
【請求項61】
組成物が錠剤の形態である、請求項60記載の医薬組成物。
【請求項62】
組成物が滅菌溶液の形態である、請求項60記載の医薬組成物。
【請求項63】
請求項1〜45に定義されている化合物を含む第一投与ユニットと、抗菌剤を含むさらなる投与ユニットとを含むキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−82219(P2012−82219A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−288921(P2011−288921)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2007−509879(P2007−509879)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【出願人】(506363654)ベーコーゲー・ファーマ・アンパルトセルスカブ (4)
【氏名又は名称原語表記】BKG Pharma ApS
【Fターム(参考)】