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感染症の疾患マーカー
説明

感染症の疾患マーカー

【課題】感染症、特に敗血症を迅速且つ早期に診断することのできるツールを提供すること。
【解決手段】本発明は、ペントラキシン3及びアズロシジンを含んでなる、感染症の疾患マーカーを提供する。また、被験動物より採取した試料におけるペントラキシン3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる工程を含む、感染症の罹患の有無の検出方法及び感染症の罹患の有無と感染症の病原菌との同時検出方法を提供する。さらに、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子、並びにペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質を含有してなる、感染症の診断用キットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染症の疾患マーカーに関し、該疾患マーカーを利用した敗血症等の感染症の診断分野に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症とは、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫、異常プリオン等の病原体の感染によって生じる病気の総称であり、感染しても症状を呈さないもの(不顕性感染)や、感染後に症状が出るものも含めて一連の流れとして感染症と称されている。感染症については、微生物学、免疫学、薬理学、内科学、外科学、公衆衛生学等の進歩を背景として、感染症の診断、治療、予防を扱う感染症学が発展しつつある今日であっても、世界全体では未だに死因の約4分の1を感染症が占めている。特に、マラリア、結核、AIDS、腸管感染症は発展途上国で大きな問題であり、先進国においても多剤耐性菌の蔓延や、高度医療の発展に伴って手術後の患者や免疫抑制状態の患者における日和見感染が増加する等、完全な解決に向かっているとはいえない状態である。
【0003】
感染症は体内の様々な器官で発生し、例えば、脳炎、鼻炎、咽頭炎、肺炎、感染性心内膜炎、肝炎、腸炎等、その感染した器官において主に炎症を引き起こす。感染原因が細菌であって、静脈炎、心内膜炎、又はリンパ管炎の病巣を菌の供給源とした臨床症候群を敗血症と呼ぶ。敗血症は、全身性炎症反応症候群であり、無治療では、ショック、多臓器不全、播種性血管内凝固症候群(DIC)等から早晩死に至ることがある。敗血症は元々体内の免疫力が低下した場合に合併して発症することが多いことから、その治療成績も決して良好とはいえない。
【0004】
敗血症の診断は、白血球数や血清中のC反応性タンパク(CRP)等の一般的な炎症反応の検査とともに、血液培養による原因菌の検索も行われている。原因菌の特定は敗血症の治療方針の決定に重要であるが、菌の培養に時間がかかることから数日〜1週間という時間を要する。従って、原因菌が判明するまでの間は、原疾患や病態から感受性の高いと思われる抗生物質を投与し、原因菌が判明した後に当該菌に感受性の高い抗生物質が投与される。
【0005】
炎症の診断においては、CRPが代表的な診断用マーカーとして用いられている。しかしながら、CRPは既に炎症が起きている場合にその値が上昇するものであり、感染症の早期診断という観点ではCRPのみの検査で完全であるとはいえない。ここで、CRPと同じタンパク質ファミリーに属するものに、ペントラキシン3(PTX3ともいう)が知られている。ペントラキシン3は、インターロイキン1β(IL−1β)で刺激を受けたヒト血管内皮細胞において発現が見られる分泌タンパク質として同定されたものであり(非特許文献1)、CRPを始め、血清アミロイドA等を含むペントラキシン(pentraxin)ファミリーに属するタンパク質である。そのC末端側にはペントラキシンファミリー特有の共通ドメインを有し、N末端側にはペントラキシン3独特のドメイン構造を有し、ジスルフィド結合を介して全体として8量体を形成している(非特許文献2)。
【0006】
ペントラキシン3自体、炎症反応の一種である急性心筋梗塞の患者において血中濃度が高く上がることや、小血管炎のインディケータとなり得る進行性動脈硬化巣プラークにおいて検出されること等が見出され、炎症への関与が示唆されている(非特許文献3〜5)。そのため、ペントラキシン3が感染症又は炎症のマーカーとして有用であることも既に報告されている(特許文献1〜3)。
【0007】
ペントラキシン3の生理的役割としては、例えば、生体内へ侵入した病原菌の認識若しくは除去、又は妊娠に関与するといわれているが(非特許文献6)、その機能については未だ不明な点が多く残っている。また、ペントラキシン3は他のタンパク質と結合することも報告されており(非特許文献7)、当該他のタンパク質と協調して機能することが考えられているが、その機能も具体的には明らかになっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/080981号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/106494号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/055340号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Breviario, F et al., J. Biol. Chem. 267: 22190-22197, 1992.
【非特許文献2】Inforzato, A et al., J. Biol. Chem. 283: 10147-10161, 2008.
【非特許文献3】Fazzini, F et al., Arthritis Rheum. 44: 2841-2850, 2001.
【非特許文献4】Peri, G et al., Circulation. 102: 636-641, 2000.
【非特許文献5】Rolph, MS et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol. 22: e10-4, 2002.
【非特許文献6】Garlanda, C et al., Nature 420: 182-186, 2002.
【非特許文献7】Mantovani, A et al., J. Clin. Immunol. 28: 1-13, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ペントラキシン3のみを検査することによって広い範囲で感染症の診断を行うことは可能であるが、その診断の精度を高めるためにはペントラキシン3自体の生理的役割を明らかにする必要があり、その診断方法においても更なる工夫を行うことが求められている。そこで、本発明の解決しようとする課題は、感染症、特に敗血症を迅速且つ早期に診断することのできるツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、感染症患者における血中濃度が健常者の血中濃度に比して極めて高くなるペントラキシン3に着目し、その機能解析を通して感染症の疾患マーカーに利用し得る分子を検討した。そして、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、敗血症患者の血中にアズロシジンとペントラキシン3の複合体が検出されることを見出し、実際にアズロシジンとペントラキシン3とが複合体を形成し得ることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)ペントラキシン3及びアズロシジンを含んでなる、感染症の疾患マーカー。
(2)ペントラキシン3とアズロシジンとが複合体を形成してなる、(1)に記載の疾患マーカー。
(3)感染症が敗血症である、(1)又は(2)に記載の疾患マーカー。
(4)下記の工程(A)〜(E)を含む、感染症の罹患の有無の検出方法:
(A)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(B)前記磁性粒子を回収する工程、
(C)工程(B)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(D)工程(C)で濃縮された成分中のペントラキシン3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる工程、
(E)工程(D)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無を検出する工程。
(5)工程(A)における被験動物より採取した試料が、ヘパリン処理若しくはエチレンジアミン四酢酸処理された血漿、血清又はそれらの組み合わせである、(4)に記載の検出方法。
(6)感染症が敗血症である、(4)又は(5)に記載の検出方法。
(7)工程(A)における磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載の検出方法。
(8)工程(C)の次に、さらに工程(C’)を含む、(4)〜(7)のいずれかに記載の検出方法:
(C’)工程(C)で濃縮された成分を分解する工程。
(9)工程(C’)における分解がトリプシン消化である、(8)に記載の検出方法。
(10)工程(E)における感染症の罹患の有無の判断が、被験動物について得られる工程(D)の結果を、正常対照について得られる工程(D)の結果と対比して、ペントラキシン3及びアズロシジンが存在すること又はその量が増加していることを指標として行われる、(4)〜(9)のいずれかに記載の検出方法。
(11)下記の工程(a)〜(g)を含む、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の同時検出方法:
(a)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(b)前記磁性粒子を回収する工程、
(c)工程(b)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(d)工程(c)で濃縮された成分の質量分析をする工程、
(e)工程(d)の分析結果に基づいて、ペントラキシン3に結合する分子を同定する工程、
(f)工程(e)の同定結果に基づいて、ペントラキシン3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はその量を調べる工程、
(g)工程(f)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌を検出する工程。
(12)工程(a)における被験動物より採取した試料が、ヘパリン処理若しくはエチレンジアミン四酢酸処理された血漿、血清又はそれらの組み合わせである、(11)に記載の検出方法。
(13)感染症が敗血症である、(11)又は(12)に記載の検出方法。
(14)工程(a)における磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、(11)〜(13)のいずれかに記載の検出方法。
(15)工程(c)の次に、さらに工程(c’)を含む、(11)〜(14)のいずれかに記載の検出方法:
(c’)工程(c)で濃縮された成分を分解する工程。
(16)工程(c’)における分解がトリプシン消化である、(15)に記載の検出方法。
(17)工程(g)における感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の判断が、被験動物について得られる工程(f)の結果を、正常対照について得られる工程(f)の結果と対比して、ペントラキシン3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子が存在すること又はその量が増加していることを指標として行われる、(11)〜(16)のいずれかに記載の検出方法。
(18)抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子、並びにペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質を含有してなる、感染症の診断用キット。
(19)前記磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、(18)に記載の診断用キット。
(20)ペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質が、ペントラキシン3及びアズロシジンの質量分析に用いられ得る内部標準物質、又はペントラキシン3及びアズロシジンを認識する抗体、リガンド及び受容体からなる群より選択される一以上の分子である、(18)又は(19)に記載の診断用キット。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感染症の疾患マーカーを用いれば、より的確な感染症の診断が可能となり、ペントラキシン3が形成する複合体が動物の免疫作用を誘起し得ることを考慮すれば、本発明により感染症の早期診断を行うことも可能となる。また、該疾患マーカーを利用した本発明の検出方法を用いれば、効率よく感染症の検査又は診断を行うことができ、感染症の原因菌を検出するに当たっては当該菌の培養も特に必要としないため、短時間での迅速な検出方法を提供することができ、省力的な感染症の検査又は診断に利用することができる。さらに、本発明の検出方法において検査試料として血漿または血清を用いた場合には、ダイナミックレンジが10桁もある血液成分から少量のペントラキシン3複合体を高効率に精製することができ、これにより疾患マーカーを網羅的且つ同時に検出することが可能となり、血液検体からの疾患の診断においてプロテオミクス解析が応用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】被験者より採取した血漿中のペントラキシン3複合体の電気泳動の結果を示した図である。A.被験者より採取した血漿中のペントラキシン3複合体を免疫分離し、分離されたタンパク質をSDS−PAGEにより調べた図である。レーンPPMX0103は抗ペントラキシン3抗体を用いた結果を、レーンMouse IgGはコントロールの抗マウスIgG抗体を用いた結果を示す。星印のバンドはペントラキシン3を、丸印のバンドはペントラキシン3結合タンパク質のバンドをそれぞれ示す。また、左端の数値はタンパク質の分子量(kDa)を示す。B.被験者より採取した血漿中のペントラキシン3複合体を免疫分離し、分離されたタンパク質をウエスタンブロッティングにより調べた結果を示した図である。コントロールとして、リコンビナントペントラキシン3(PTX3)6ng及び免疫分離に使用した血漿の5%分(5% input)を用いており、各種バンドの下に示した数値は、リコンビナントPTX3のバンドの濃さから算出されたペントラキシン3の量を表している。
【図2】ペントラキシン3とアズロシジン又はC1qとのバインディングアッセイの結果を示す図である。A.ペントラキシン3とアズロシジンとのバインディングアッセイによる結合解析の結果を示した図である。B.ペントラキシン3とC1qとのバインディングアッセイによる結合解析の結果を示した図である。黒四角印はCaCl(4mM)を加えて解析を行ったものであり、白四角印はEDTA(4mM)を加えて解析を行ったものを示す。また、いずれのグラフも横軸はペントラキシン3(PTX3)の濃度であり、縦軸は450nm波長での吸光度を示す。
【図3】BIAcoreによるペントラキシン3とアズロシジンとの結合解析の結果を示した図である。グラフの横軸は時間(秒)を、縦軸はペントラキシン3とアズロシジンとの結合量を示し、CaCl(2mM)又はEDTA(3mM)を加えて解析したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.感染症の疾患マーカー
本発明は、ペントラキシン3及びアズロシジンを含んでなる、感染症の疾患マーカーを提供する。
【0016】
本発明におけるペントラキシン3(以下、PTX3ともいう)は、ペントラキシンファミリーに属するタンパク質であり、血管内皮細胞、血管平滑筋、マクロファージ、好中球等から短時間に直接産生されるという特徴を有している。
【0017】
また本発明において、PTX3は、任意の哺乳動物由来のタンパク質である。哺乳動物としては、ヒト及びヒトを除く哺乳動物が挙げられ、ヒトを除く哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。ヒトの感染症の検査又は診断に用いるためには、ヒト由来のPTX3であることが好ましい。
【0018】
ヒト由来のPTX3は、全長381アミノ酸の1本鎖ポリペプチドからなるタンパク質であり、そのアミノ酸配列及び塩基配列は、GenBankにAccession No. BC039733として登録されている。そのアミノ酸配列のうち、N末端より1〜17番目の部分はシグナルペプチドとなっており、細胞外に分泌されて成熟タンパク質になる過程で切断される。PTX3独特のドメイン構造を有するN末端部位とは、N末端より18〜178番目のアミノ酸配列部分であり、CRPや血清アミロイドAと相同性の高いC末端部位とは、N末端より179〜381番目のアミノ酸配列部分が相当する。
【0019】
本発明におけるPTX3には、上記のような任意の哺乳動物より得られる特定のアミノ酸配列で示されるポリペプチドだけでなく、これらと生物学的機能が同等であることを限度として、その変異体、誘導体、成熟体、アミノ酸修飾体及びスプライスバリアント等が包含される。ここで、変異体としては、天然に存在するアレル変異体、並びに人為的にアミノ酸の置換、欠失、付加及び挿入がなされることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体等が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないポリペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%の相同性を有するものを挙げることができる。またアミノ酸修飾体には、具体的にはアミノ酸のリン酸化体、ヒドロキシル化体、及びメチル化体等が挙げられる。
【0020】
また、本発明におけるアズロシジンは、セリンプロテアーゼファミリーに属するタンパク質であるが、活性部位のアミノ酸残基が変異を受けており、酵素活性自体は有さないタンパク質である。アズロシジンは、グラム陰性菌に対する殺菌活性を有するカチオン性抗菌タンパク質であり、好中球等に存在して炎症が発生した場合には血管内皮において血管透過性を増加させるという特徴を有している。アズロシジンは、その名称としてアズロシジン1とも呼ばれている。
【0021】
本発明におけるアズロシジンも、PTX3と同様に任意の哺乳動物由来のタンパク質であり、哺乳動物としては、ヒト及びヒトを除く哺乳動物が挙げられ、ヒトを除く哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。ヒトの感染症の検査又は診断に用いるためには、ヒト由来のアズロシジンであることが好ましい。
【0022】
ヒト由来のアズロシジン(Azurocidin)は、全長251アミノ酸の1本鎖ポリペプチドからなるタンパク質であり、そのアミノ酸配列及び塩基配列は、GenBankにAccession No. M96326として登録されている。前記アミノ酸配列のうち、N末端より1〜26番目の部分はシグナルペプチドと推定されており、C末端の3アミノ酸残基と合わせて切断されて成熟タンパク質になると考えられている。
【0023】
本発明におけるアズロシジンにおいても、PTX3と同様に上記のような任意の哺乳動物より得られる特定のアミノ酸配列で示されるポリペプチドだけでなく、これらと生物学的機能が同等であることを限度として、その変異体、誘導体、成熟体、アミノ酸修飾体及びスプライスバリアント等が包含される。ここで、変異体としては、天然に存在するアレル変異体、並びに人為的にアミノ酸の置換、欠失、付加及び挿入がなされることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体等が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないポリペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%の相同性を有するものを挙げることができる。またアミノ酸修飾体には、具体的にはアミノ酸のリン酸化体、ヒドロキシル化体、及びメチル化体等が挙げられる。
【0024】
本発明において、「疾患マーカー」とは、感染症の罹患の有無、罹患の程度若しくは改善の有無や改善の程度を診断するために、また感染症の予防、治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接又は間接的に利用されるものをいう。疾患マーカーはPTX3及びアズロシジンを含有することを特徴とするが、本発明においては、疾患マーカーがタンパク質であることに限定されるものではなく、該タンパク質をそれぞれコードする遺伝子も包含されることを意味する。前記遺伝子及びタンパク質は感染症の罹患に関連して生体内において発現が変動するものであることから、この性質に基づいて、生体内、組織又は細胞等で発現した該遺伝子及びタンパク質を検出するためのプローブ、プライマー又は抗体等を有効に利用することができる。
【0025】
また、本発明の疾患マーカーは、特に限定されないが、さらに、Filaggrin-2、Fibrinogen beta chain、Mannan-binding lectin serine protease 1、Protein AMBP、Vitronectin、Clusterin、Lipopolysaccharide-binding protein、Alpha-2-macroglobulin、Histone H3.1、Ig kappa chain V-III region WOL、Myeloperoxidase、Versican core protein、Haptoglobin、Histone H2B type 1-B、Platelet factor 4、Alpha-1-antitrypsin、Serum amyloid A protein、Thrombospondin-1、Ceruloplasmin、Prothrombin、Coagulation factor V、Collectin-11、Alpha-1-antichymotrypsin、Hemoglobin subunit beta、Apolipoprotein A-I、Hemoglobin subunit alpha、Mannan-binding lectin serine protease 2、Alpha-2-HS-glycoprotein、Antithrombin-III、Hemoglobin subunit delta、Serum amyloid P-component、Vitamin K-dependent protein S、Coagulation factor XI、Apolipoprotein E、Histone H2A type 1-D、Phosphatidylinositol-5-phosphate 4-kinase type-2 alpha、Coagulation factor X、Multimerin-1、Serum deprivation-response protein、Tissue factor pathway inhibitor、Secreted phosphoprotein 24等の他のタンパク質を含むことができる。PTX3及びアズロシジンは、前記タンパク質の1種又は2種以上と組み合わせて用いることができる。組み合わせるタンパク質としては、Clusterin、Lipopolysaccharide-binding protein、Myeloperoxidase、Alpha-1-antitrypsin又はAlpha-2-HS-glycoproteinを用いることが好ましい。前記タンパク質のアミノ酸配列及び塩基配列は公知であり、NCBIのウェブサイト等に登録されている。また、後述する表1〜4にアミノ酸配列のAccession Numberが記載されている。
【0026】
また、本発明の疾患マーカーは、上記に加えて、さらに、感染症の原因菌由来のタンパク成分を含むことができる。原因菌由来のタンパク成分は、PTX3、アズロシジン及び上記その他のタンパク質と組み合わせて、1種又は2種以上を用いることができる。原因菌由来のタンパク成分は、特に限定されるものではないが、例えば、5〜50アミノ酸残基からなるオリゴペプチドが例示され、その一例が後述の表5〜7に記載されている。
【0027】
また、本発明の疾患マーカーにおいて、PTX3とアズロシジンとは、複合体を形成していてもよい。PTX3とアズロシジン以外に上記1種又は2種以上のタンパク質を含む場合、さらに原因菌由来のタンパク成分を含む場合、これらのタンパク質もPTX3と複合体を形成していてもよい。ここで複合体とは、抗PTX3抗体と溶液中で接触した場合に、抗PTX3抗体によって免疫分離できる状態にPTX3と結合した状態をいう。PTX3及びアズロシジンは直接的に結合されたものであってもよく、又は他の分子等を介して間接的に結合されたものであってもよい。結合様式としては、例えば、分子間の水素結合、共有結合、van der Waals結合、静電相互作用等が挙げられるが、PTX3とアズロシジンとさらにはその他のタンパク質等が相互に解離しない状態を維持するものであれば、その様式は特に制限されない。
【0028】
本発明の疾患マーカーは、被験動物由来の生体試料中に存在した状態でもよいが、当該試料中から単離された状態又は単離後所定の溶液中に濃縮された状態が好ましい。或いは、PTX3、アズロシジン、上記タンパク質及び原因菌由来のタンパク成分をインビトロで製造又は合成し、これらのタンパク質を別々の容器内に格納したものでもよく、1つの容器内に一緒に格納した状態でもよい。本発明の疾患マーカーは、前記タンパク質等を主成分とする限り、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、緩衝液、生理食塩水等の溶媒、安定化剤、静菌剤、防腐剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。主成分であるタンパク質及びペプチドは、自体公知の方法により製造又は合成することができる。また、本発明の疾患マーカーは、マーカーに含まれるタンパク質及びペプチドの量の数値の組合せ、即ち、データベースであってもよい。疾患マーカーをデータベース化することにより、本発明の検査方法で得られた測定値から感染症の様々な状態を容易且つ定量的に知ることができる。
【0029】
本発明において、感染症とは、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫、異常プリオン等の病原体の感染により引き起こされる種々の疾患を包含する。そして、敗血症とは、感染した微生物及びその毒素が感染した局所を超えて生体に作用することにより、全身的な激しい炎症反応を惹起した病態をいう。敗血症は20%前後の死亡率を有しており、適切な治療が選択できる病原菌特定法、加えて、早期診断法が望まれている。本発明では、PTX3の血中濃度が特に上昇する現象が見られているという観点から、感染症のうち敗血症を検討症例として選択することが好ましい。
【0030】
2.感染症の罹患の有無の検出方法
本発明はまた、下記の工程(A)〜(E)を含む、感染症の罹患の有無の検出方法を提供する。
(A)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(B)前記磁性粒子を回収する工程、
(C)工程(B)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(D)工程(C)で濃縮された成分中のペントラキシン3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる工程、
(E)工程(D)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無を検出する工程。
【0031】
本発明における被験動物は、特に制限されず、任意の動物とすることができる。該動物としては、ヒト及びヒトを除く哺乳動物が挙げられ、ヒトを除く哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。
【0032】
試料となる被験動物由来の生体試料としては、PTX3及びアズロシジンが含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類等の生体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。該生体試料の具体的な例としては、例えば、血液、血漿、血清、血管外液、間質液、脳脊髄液、滑液、胸膜液、リンパ液、唾液、精液、涙、尿等を挙げることができる。これらのうち本発明の試料としては、動物への侵襲が少ないという観点から、血液、血清、血漿、唾液、精液、涙、尿が好ましく、より好ましくは血液、血清、血漿であり、さらに好ましくは血漿又は血清である。
【0033】
血漿や血清を用いる場合、常法に従って被験動物から採血し、液性成分を分離することにより調製することができる。本発明において検出対象であるPTX3及びアズロシジンの物性に応じて、あらかじめそれらのタンパク質を含有する画分から、フィルターろ過や種々のカラムを利用して夾雑物を分離除去しておくこともできる。また血漿を用いる場合は、フィブリノーゲン、フィブリン、トロンビン等による凝固を抑制するために、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アンチトロンビンIII、プロテインC、プロテインS、アスピリン等を抗凝固剤として用い、血漿を処理することができる。本発明においては、取扱性の観点からヘパリン又はEDTAを用いることが好ましい。また、EDTAを用いた場合には、EDTAはカルシウムイオン等の2価の金属イオンをキレートするため、血漿中の2価の金属イオンにも影響を及ぼさないという観点では、ヘパリンを用いることがより好ましい。
【0034】
また、本発明においては、被験動物より採取した生体試料の種類(例、血漿、血清、血液等)に応じてPTX3及びアズロシジンの有無又はそれらの量を調べることができ、例えば、血漿において検出されるPTX3及びアズロシジンと、血清において検出されるPTX3及びアズロシジン等とを組み合わせて本発明の検出方法を利用することにより、より精度の高い感染症の診断を行うことができる。なお、該血漿においては、上記に示したように、ヘパリンやEDTA等で処理した該試料に応じた結果を得て、それらを組み合わせて感染症の罹患の有無の検出方法に利用することもできる。
【0035】
本発明における抗ペントラキシン3抗体としては、PTX3を認識し得る抗体であれば特に限定されず、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。これらのうち、特定のエピトープを認識し、且つ安定に生産されるという観点からは、抗PTX3抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。
【0036】
また、抗PTX3抗体の由来も特に制限はなく、マウス抗体、ラット抗体、ヒト抗体、前記モノクローナル抗体をコードする遺伝子に基づいて作製されたキメラ抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体等を用いることができる。抗PTX3抗体の形態としても特に限定されず、PTX3を認識する特性を失わない限り、抗体断片(フラグメント)等の低分子化抗体や抗体の修飾物等であってもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Diabody等を挙げることができる。
【0037】
本発明において、抗PTX3抗体としては、例えば、16B5(Bottazzi, B et al., J. Biol. Chem. 272: 32817-32823, 1997.)、1C8(Bottazzi B et al., J. Biol. Chem. 272: 32817-32823, 1997.)、MNB4(Peri, G et al., Circulation. 102: 636-641, 2000.)、MNB6(Peri, G et al., Circulation. 102: 636-641, 2000.)、MNB10(受託番号ABC PD04001)、Pen−3(受託番号ABC PD01004)、PPMX0101(受託番号FERM P−19697)、PPMX0102(受託番号FERM BP−10326)、PPMX0103、PPMX0112、PPMX0148等のような抗体が挙げられる。
【0038】
本発明で用いられる抗PTX3抗体は、PTX3に特異的に結合すればよいが、好ましくはPTX3の立体構造エピトープを認識するものである。より好ましくはPTX3の立体構造に高い結合親和性を示し、且つCRPや血清アミロイドAに交差反応しない抗体である。ここで、立体構造エピトープとは、全長PTX3の部分を認識するエピトープのうち、一次構造を認識するエピトープを除く、全長PTX3の二次構造、三次構造又は四次構造を認識するエピトープをいう。ここで、タンパク質の立体構造には、一次構造、二次構造、三次構造、四次構造という階層性があることが知られている(南山堂 医学大辞典 改定17版(1990))。そして、本発明の好ましい抗体は、非還元状態のPTX3を認識し、PTX3断片とは反応せず、PTX3の立体構造エピトープを認識するものであり、従ってインタクトなPTX3と強く反応することにより、生体内で高次構造を保持するPTX3を識別することができる。なお、本発明に用いられる抗PTX3抗体は、WO2005/106494、WO2005/080981、WO2007/055340に記載の方法に準じて製造することができる。
【0039】
本発明で用いられる磁性粒子とは、磁気を帯びた粒子のことをいい、水性媒体に分散又は懸濁することができ、分散液又は懸濁液から磁場の適用により分離することができる粒子であれば任意の粒子を使用することができる。その粒子の種類は特に限定されず、有機粒子若しくは無機粒子(金属粒子を含む)、又は有機と無機の組み合わせにより構成される粒子が含まれる。本発明における磁性粒子は、特に有機(ポリマー)粒子の内部に磁性体を含有する態様であるものが好ましく、さらには、この磁性体は粒子の内部のみに含有され、粒子表面に露出していないことがより好ましい。このような磁性体としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム若しくはニッケルのような金属、該金属の合金、又は該金属の塩、酸化物、ホウ化物若しくは硫化物;高い磁化率を有する稀土類元素(例えば、ヘマタイト又はフェライト)等が挙げられる。該磁性体の具体例としては、例えば、マグネタイト(四三酸化鉄(Fe))、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe)、FePd、FePt、CoPt等の強磁性規則合金を使用することもできる。本発明において好ましい磁性体は、金属酸化物であり、特に、酸化鉄及びフェライト(Fe,M)からなる群より選択されるものである。ここで酸化鉄には、とりわけマグネタイト、マグヘマイト、又はそれらの混合物が含まれる。前記式中、Mは、該鉄イオンと共に用いて磁性金属酸化物を形成することのできる金属イオンであり、典型的には遷移金属の中から選択され、最も好ましくはZn2+、Co2+、Mn2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+等であり、M/Feのモル比は選択されるフェライトの化学量論的な組成に従って決定される。金属塩は固形で又は溶液状で供給されるが、塩化物塩、臭化物塩又は硫酸塩であることが好ましい。このうち、安全性の観点から酸化鉄、フェライトが好ましく、特に好ましくは、マグネタイト(Fe)である。
【0040】
本発明における磁性粒子の大きさは、特には限定されず、ナノ粒子、マイクロ粒子、又はミリ粒子の何れでもよいが、好ましくはナノ粒子又はマイクロ粒子である。このうち本発明における磁性粒子は、好ましくは平均粒径50nm〜20μmの粒子であり、より好ましくは平均粒径100nm〜10μmの粒子であり、さらに好ましくは平均粒径1〜5μmのマイクロ粒子である。また、該磁性粒子に含まれる磁性体の平均粒径は、好ましくは0.1〜10nmであり、より好ましくは0.5〜5nmであり、さらに好ましくは1〜3nmである。該磁性体の平均粒径が10nmを超えると、残留磁化の影響が現れ、磁場を取り除いた後でも、磁性粒子同士の相互結合が残り、粒子分散性に影響を与えるので好ましくない。なお、本発明における磁性粒子及びそれに含まれる磁性体の粒子形状は必ずしも完全な球状である必要はなく、回転楕円体等の異形粒子であってもよい。その場合、完全な球状でない粒子の平均粒径としては、粒子における最長径と最短径との平均値をとることにより算出することができる。また、平均粒径の測定は自体公知の方法により行うことができ、例えば、光散乱法によって測定することができる。
【0041】
該磁性体の含有量は、本発明における磁性粒子全体に対し1〜99重量%であり、特に20〜70重量%であることが好ましい。該磁性体の含有量が少なすぎると磁性粒子自体に良好な磁力が得られず、本発明の検出方法において、被験動物より採取した試料と接触させた磁性粒子を回収するために相当に長い時間を要してしまうので、高い時間的効率が得られないことがあり、好ましくない。
【0042】
なお、本発明における磁性粒子は、以下の(i)〜(iv)の方法によって調製することができる。
(i)高分子を構成するモノマーを含む重合成分に磁性体を混合して重合を行う。重合方法としては、通常の高分子水分散体を得る方法が使用でき、乳化重合、懸濁重合、分散重合等が挙げられる。
(ii)高分子を構成するモノマーを含む重合成分を通常の高分子水分散体を得る方法で重合し、高分子水分散体を得る。この粒子表面に磁性体層を形成する。
(iii)高分子を実質的に水不溶で水より沸点の低い溶媒に溶解し、磁性体をこの溶液に分散する。これを適当な乳化剤ないしは分散剤を用いて水に分散させ、溶媒を蒸留により除去する。
(iv)上記の(i)、(ii)又は(iii)で得られた高分子水分散体をシードとしてモノマーを添加して重合し、粒子表面に高分子層を形成する。
【0043】
上記の抗PTX3抗体と磁性粒子とは、本発明においては相互に結合していることを特徴とする。ここで、結合とは、抗PTX3抗体と磁性粒子とが接触して一体となっている状態、又は一定の距離を維持しながら相互に解離しない状態を保つことをいう。また、抗PTX3抗体と磁性粒子とは、相互に直接的に結合していてもよく、他の分子等を介して間接的に結合していてもよい。抗PTX3抗体と磁性粒子とを結合させる方法としては、例えば、疎水結合、イオン結合、化学結合又はアフィニティー結合等が挙げられ、化学結合がより好ましい。また、抗PTX3抗体を磁性粒子に結合させる方法は、特に限定されず、自体公知の方法により結合させることができるが、例えば、後述の実施例に示した方法を用いて行うことができる。
【0044】
また、本発明における磁性粒子は、その表面をプロテインG、プロテインA、プロテインL等の抗体結合物質等で被覆することができる。これらのうち、例えばプロテインGで磁性粒子表面を被覆した場合、プロテインG結合抗体が粒子表面から一定の距離をおいて存在するようになり、抗原抗体反応が高感度化できるようになる。またさらに、非特異反応を低減させることができるようになる。従って本発明では、プロテインGを用いることが特に好ましい。また、これらの被覆方法は、特に限定されないが、例えば、疎水結合、イオン結合、化学結合又はアフィニティー結合等が挙げられ、化学結合がより好ましい。なお、抗体結合物質等の磁性粒子への被覆は自体公知の方法により行うことができ、また、抗体結合物質等が被覆された磁性粒子は、JSR社、Thermo Fisher SCIENTIFIC社、GenScript社等から市販されている製品を購入することにより入手することができる。
【0045】
本発明の工程(A)における、被験動物より採取した試料と、抗PTX3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる方法としては、両者が互いに接触し得る条件であれば特に限定されないが、例えば、溶液中に該試料と抗PTX3抗体結合磁性粒子を添加して、両者を反応させるような方法が挙げられる。このとき、該試料と抗PTX3抗体結合磁性粒子は、一方を先に加え、その後に他方を加えることができ、若しくはその順序を逆にすることもでき、或いは両者を同時に添加することもできる。また、両者を溶液中に加えた場合、両者を接触させる条件は、該試料中に存在し得るPTX3複合体と抗PTX3抗体とが結合し得る条件であれば特に限定されないが、好ましくは、1〜42℃において、5分間〜48時間、より好ましくは、2〜37℃において、30分間〜2時間とすることができる。なお、該溶液としては、例えば緩衝液等を挙げることができ、該緩衝液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水等が例示される。
【0046】
本発明の工程(B)における抗PTX3抗体結合磁性粒子を回収する方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液中に分散している抗PTX3抗体結合磁性粒子を磁石に結合させることにより回収するような方法が挙げられる。このとき、磁石は、抗PTX3抗体結合磁性粒子を含む溶液が入った容器の外部から近づければ、該磁性粒子を回収した後で磁石と磁性粒子とを脱離させやすく、好ましい態様となる。本発明において、磁石を用いて抗PTX3抗体結合磁性粒子を回収する場合は、分散している該磁性粒子の半分以上が磁石に結合し得る条件であれば特に制限されず、好ましくは、1〜42℃において、30秒間〜2時間、より好ましくは、2〜37℃において、1分間〜3分間とすることができる。なお、磁石としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼、新KS鋼、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石等を用いることができ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明の工程(C)では、工程(B)により回収した磁性粒子から、抗PTX3抗体に捕捉された前記試料由来成分を分離し、該試料由来成分を濃縮することを特徴とする。該試料由来成分を分離する方法としては、抗PTX3抗体又は該試料に存在し得るPTX3複合体が磁性粒子から分離することができる条件であれば特に限定されないが、例えば、界面活性剤、カオトロピックイオン、強酸、強塩基、変性剤、非極性溶媒、還元剤等を利用して分離をさせることができる。用いられる界面活性剤としては、NP−40、Tween 20、Tween 80、Triton X−100、RapiGest等が挙げられ、また、カオトロピックイオンとしては、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、トリクロロ酢酸イオンおよびトリフルオロ酢酸イオン、尿素、グアニジン等が、強酸又は強塩基としては、0.1M グリシン−HCl(pH2.5)、1M 酢酸、0.05%(w/v) トリフルオロ酢酸等が、変性剤としては、尿素、グアニジン塩酸、ジメチルスルフォキシド等が、非極性溶媒としては、エチレングリコール、ジオキサン等が、還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)等が挙げられる。これらのうち、取扱性及び分離のしやすさから界面活性剤を用いることが好ましく、具体的には、界面活性剤を含んだ緩衝液等により、工程(B)で回収した磁性粒子を1〜5回程度洗浄すれば、効率よく分離を行うことができる。なお、緩衝液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、重炭酸アンモニウム緩衝液等が例示され、緩衝液中の界面活性剤の濃度は、0.01〜1%(w/v)とすることができる。
【0048】
また、該試料由来成分を濃縮する方法としては、該試料に含まれるタンパク質を濃縮することができれば特に限定されないが、例えば、トリクロロ酢酸(TCA)沈殿法、限外濾過濃縮法、硫安沈殿法(塩析)、有機溶媒(例、アセトン、エタノール、プロパノール、メタノール等)沈殿法、水溶性ポリマー(例、ポリエチレングリコール、デキストラン等)沈殿法、酸性沈殿法、等電点沈殿法等が挙げられる。これらのうち、本発明においては、質量分析に影響を及ぼす界面活性剤、塩等を除去するという観点から、TCA沈殿法が特に好ましい。具体的には、10〜30%(w/v)TCA溶液を加え、その後にアセトンを加えて、冷却した後でジエチルエーテルを用いて洗浄することにより、効率よく該試料由来成分を濃縮することができる。
【0049】
本発明ではまた、工程(C)の次に、さらに工程(C’)として、工程(C)により濃縮された成分を分解する工程を含むことができる。この分解を行う方法としては、PTX3及びアズロシジンを検出し得る程度の分解であれば特に限定されず、例えば、トリプシン消化、リシルエンドペプチダーゼ、エンドペプチダーゼAsp−N、V8プロテアーゼ、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロリンスペシフィックエンドペプチダーゼ等のプロテアーゼによる分解、又はブロモシアン、ギ酸等による化学分解等を挙げることができる。これらのうち、トリプシンは、タンパク質におけるアルギニンとリシンのC末端側のペプチド結合を特異的に切断するという作用を有しており、物理化学的に比較的均一なペプチド断片を得ることができることから、後述のタンパク質質量分析法を利用する場合は、特にトリプシン消化を行うことが好ましい。本発明においてトリプシン消化を行う場合は、例えば、前記濃縮された該試料由来成分に直接、又は該試料由来成分を緩衝液等で再懸濁した後で、終濃度0.2〜5.0ng/μLのトリプシンを添加し、30〜37℃において、1〜16時間反応させることができる。なお、工程(C’)を用いた場合は、工程(D)は、工程(C’)で分解された成分中のペントラキシン3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる工程とすることができる。
【0050】
本発明の工程(D)における前記試料由来成分中のPTX3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる方法としては、特に限定されないが、例えば、タンパク質質量分析法等を用いることができ、その他、公知の免疫学的方法を用いることもできる。タンパク質質量分析法については、詳細は後述のとおりである。免疫学的方法としては、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降法、免疫比濁法、ウエスタンブロット、免疫染色、免疫拡散方等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)(例、サンドイッチELISA)である。
【0051】
サンドイッチELISAの具体的な方法としては、PTX3の有無又はその量を調べる場合、例えば、抗PTX3抗体を支持体に固定し、ここに前記濃縮した該試料由来成分(被験試料)を加えて抗PTX3抗体と被験試料中に存在し得るPTX3(又はその複合体)とを接触させ、インキュベートを行って抗PTX3抗体とPTX3又はその複合体とを結合させ、その後、洗浄して、標識抗PTX3抗体を加え、支持体に残存しているPTX3又はその複合体に結合させて該標識を検出することにより、被験試料中のPTX3又はその複合体の検出を行うことができる。該支持体としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂や、ガラス等の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、プレート等の形状で用いることが可能であり、例えば、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)等を用いることができる。本発明のペプチドと支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着等の通常用いられる方法により結合することができる。これらの支持体は全て市販されたものを用いることができる。なお、被験試料を加える前には、支持体を洗浄後、タンパク質等の非特異的な支持体への結合を防ぐため、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、アルブミン等でブロッキング処理を行うこともできる。ブロッキング処理を行った場合は、その後、再度洗浄を行ってから、被験試料を加えればよい。
【0052】
抗PTX3抗体とPTX3又はその複合体との結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液等が使用される。また、インキュベーションの条件としては、通常用いられる条件であれば特に限定されず、例えば、4〜40℃にて10分間〜24時間のインキュベーションが行われる。インキュベーション後の洗浄においては、抗PTX3抗体とPTX3又はその複合体との結合を妨げないものであれば特に制限されず、例えば、Tween 20、Tween 80、Triton X−100等の界面活性剤を含む緩衝液等が使用される。
【0053】
洗浄を行った後は、標識抗PTX3抗体(標識物質により標識された抗PTX3抗体)を加える。該標識としては、公知の技術に基づく物質を利用することができ、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、ハプテン等が用いられる。放射性同位元素としては、例えば、32P、33P、35S、H、14C、65Zn、57Co等が用いられる。酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等が用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレセイン、フルオレスカミン、フルオレセインイソチオシアネート等が用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等が用いられる。ハプテンとしては、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、チミン二量体等が用いられる。これらの標識物質は、自体公知の方法により抗PTX3抗体に付与することができる。なお、標識抗PTX3抗体は、支持体に固定された抗PTX3抗体とPTX3分子の同じエピトープを認識してもよいが、異なるエピトープを認識することが好ましい。
【0054】
そして適度な条件でインキュベーションを行った後、再度洗浄を行い、支持体に残存した標識を検出する。当該検出方法は、当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、放射性同位元素による標識の場合には液体シンチレーションやRIA法等により検出することができる。また、酵素による標識の場合には基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出することができる。ペルオキシダーゼの基質としては、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2−フェニレンジアミン(オルソ−フェニレンジアミン)等が挙げられ、アルカリホスファターゼの基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)等が挙げられる。蛍光物質の場合には蛍光光度計により検出することができる。
【0055】
また、前記試料由来成分中のPTX3の有無又はその量を調べる方法の別の態様としては、凝集反応を利用した検出方法を挙げることができる。該方法においては、抗PTX3抗体を感作した担体を用いてPTX3を検出することができる。抗体を感作する担体としては、不溶性で、非特異的な反応を起こさず、かつ安定である限り、いかなる担体を使用してもよい。例えば、ラテックス粒子、ベントナイト、コロジオン、カオリン、固定羊赤血球等を使用することができるが、ラテックス粒子を使用するのが好ましい。ラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレンラテックス粒子、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテックス粒子等を使用することができるが、ポリスチレンラテックス粒子を使用するのが好ましい。感作した粒子を試料と混合し、一定時間攪拌する。試料中に抗PTX3抗体が高濃度で含まれるほど粒子の凝集度が大きくなるので、凝集を肉眼でみることによりPTX3を検出することができる。また、凝集による濁度を分光光度計等により測定することによっても検出することが可能である。
【0056】
上記サンドイッチELISAの方法や凝集反応を利用した検出方法において、アズロシジンの有無又はその量を調べる場合は、PTX3に対する抗体をそのままアズロシジンに対する抗体に置き換えて、上記と同様にELISAを行うことができる。またPTX3とアズロシジンとの複合体の有無又はその量を調べる場合は、支持体に抗PTX3抗体を固定し、標識抗アズロシジン抗体を用いるか、又はその逆として、支持体に抗アズロシジン抗体を固定し、標識抗PTX3抗体を用いることによって、上記と同様にELISAを行うことができる。
【0057】
また、本発明の検出方法においては、工程(E)における感染症の罹患の有無(又は将来発症する可能性)の判断は、被験動物について得られる工程(D)の結果を、正常な対照動物について得られる工程(D)の結果と対比することにより行うことができる。その結果、被験動物と対照動物との間で、PTX3及びアズロシジンが被験動物において存在すること又はその量が増加していた場合に、該被験動物は感染症に罹患している(又は将来発症する可能性が高い)と判断することができる。
【0058】
また、本発明においては、被験試料として用いる物質の種類(例、血漿、血清、血液等)に応じてPTX3及びアズロシジンの有無又はそれらの量を調べることが重要であるということができ、例えば、血漿において検出されるPTX3及びアズロシジンと、血清において検出されるPTX3及びアズロシジン等とを組み合わせて本発明の検出方法を利用することにより、より精度の高い感染症の診断を行うことができる。なお、該血漿においては、上記に示したように、ヘパリンやEDTA等で処理した被験試料に応じた結果を得て、それらを組み合わせて感染症の罹患の有無の検出方法に利用することもできる。
【0059】
3.感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の同時検出方法
本発明はまた、下記の工程(a)〜(g)を含む、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の同時検出方法を提供する。
(a)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(b)前記磁性粒子を回収する工程、
(c)工程(b)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(d)工程(c)で濃縮された成分の質量分析をする工程、
(e)工程(d)の分析結果に基づいて、ペントラキシン3に結合する分子を同定する工程、
(f)工程(e)の同定結果に基づいて、ペントラキシン3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はその量を調べる工程、
(g)工程(f)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌を検出する工程。
【0060】
本発明において、工程(a)〜(c)は上記に示した工程(A)〜(C)に対応するものであり、各種用語の意味並びにその意図する内容は工程(A)〜(C)において記載されたものと同様である。
【0061】
工程(d)における質量分析とは、原子、分子、クラスター等の粒子をいずれかの方法で気体状のイオンとし(イオン化)、真空中で運動させ電磁気力を用いて、あるいは飛行時間差によりそれらイオンを質量電荷比に応じて分離・検出することをいい、例えば、工程(c)により濃縮された成分に含まれるタンパク質をそれらの質量電荷比によって分離、検出、同定等の分析を行うために用いられる。質量分析においては、一般にガス状の試料を電子衝撃等によってイオン化してから、このイオンを質量電荷比(質量/電荷数(m/z))に従って分離し、各イオンの強度を記録して質量電荷比の順序に並べた質量スペクトル(マススペクトル)を得て、該質量スペクトルを解析することにより、既知物質の同定や未知物質の構造決定等を行うことができる。
【0062】
本発明において、上記イオン化の方法としては、工程(c)で濃縮された成分に含まれるタンパク質を分析し得るものであれば特に限定されないが、例えば、電子衝撃イオン化(EI:Electron Ionization)法、化学イオン化(CI:Chemical Ionization)法、フィールドイオン化(FI:Field Ionization)法、フィールドディソープション(FD:Field Desorption)法、高速原子衝突(FAB:Fast Atom Bombardment)法、脱離電子イオン化(DEI:Desorption Electron Ionization)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI:ElectroSpray Ionization)法、大気圧化学イオン化(APCI:Atomospheric Pressure Chemical Ionization)法、フリット高速原子衝撃(FRIT−FAB:FRIT-fast atom bombardment)法等を利用することができる。
【0063】
また、本発明においてこれらイオン化された試料を分析する方法としては、例えば、イオンを磁場中に通し、その際に受けるローレンツ力による飛行経路の変化を利用する磁場偏向型、イオンを4本の電極内に通し、該電極に高周波電圧を印加することで試料に摂動をかけ、目的とするイオンのみを通過させる四重極型(Q:Quadrupole)、イオンを電極からなるトラップ室に保持し、この電位を変化させることで選択的にイオンを放出することで分離を行うイオントラップ型、イオン化した試料をパルス的に加速し、検出器に到達するまでの時間差を検出する飛行時間型(TOF:Time-of Flight)、イオンを静電場と静磁場のかかったセルに導入し、イオン運動を励起するための高周波電圧を印加してイオンの周回周期を検出し、サイクロトロン条件から質量を算出するフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型(FT−ICR:Fourier-Transform Ion Cyclotron Resonance)、これらの方法を組み合わせたタンデム型(MS/MSともいう)等を用いることができる。
【0064】
これらの質量分析は、一般に質量分析計(質量分析機ともいう)と呼ばれる装置を用いて行うことができる。該装置は、試料の性状、即ち、試料が気体又は揮発性物質であるか、或いは液体、固体若しくは非揮発性物質であるかによってその導入方法が異なり、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、キャピラリー電気泳動(CE)等に直結して、移動相を導入することができる(それぞれ、LC/MS、GC/MS、CE−MSと称される)。これらの装置については、本発明では特に限定されず、市販で購入し得るものを使用することができる。なお、上記の質量分析に係る方法のうち、本発明では、難揮発性化合物や熱に不安定な化合物の分析が可能であり、PTX3及びアズロシジン、並びにPTX3の複合体形成に関与する複数の分子を一度に高感度に検出でき、上記のトリプシン消化と組み合わせることで少量多検体解析が可能となるという観点から、高速液体クロマトグラフィーによる被験試料の導入(LC/MS)が好ましく、またそのイオン化法としては、エレクトロスプレーイオン化を用いることが好ましい。
【0065】
本発明の工程(e)における、PTX3に結合する分子の同定方法は、特に限定されないが、例えば上記のような質量分析計を用いて、得られた質量スペクトルの結果を既知物質があらかじめ登録されているデータベースに照らし合わせながら行うことができる。このようなデータベースとしては、例えば、MASCOTサーチエンジン(Matrix science社)、SEQUEST(Thermo Fisher Scientific社)、X!Tandem(The Global Proteome Machine Organization社)、Phenyx(GeneBio社)等が挙げられる。そして、これらのようなデータベースに基づき、PTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はその量を調べることができる。本発明では、質量分析を行い、これらのようなデータベースを利用することによって、同時にPTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はその量を調べることができるということを一つの特徴としている。なお、PTX3に結合する分子としては、PTX3に直接的に結合する分子であってもよく、また他の分子等を介して間接的にPTX3に結合するものであってもよい。
【0066】
本発明ではまた、上記にも示した通り、工程(c)の次に、さらに工程(c’)として、工程(c)により濃縮された成分を分解する工程を含むことができる。被験動物より採取した試料由来の成分、特にタンパク質成分について質量分析を行うためには、ある程度の長さでの断片化を行うことが好ましく、またその断片もそれぞれが物理化学的に比較的均一であることがより好ましい。そのため、本発明の工程(c’)における分解を行う方法としては、上記にも示した方法が挙げられる中で、トリプシン消化が特に好ましい。本発明においてトリプシン消化を行う場合は、例えば、前記濃縮された該試料由来成分に直接、又は該試料由来成分を緩衝液等で再懸濁した後で、終濃度0.2〜5.0ng/μLのトリプシンを添加し、30〜37℃において、1〜16時間反応させることができる。なお、工程(c’)を用いた場合は、工程(d)は、工程(c’)で分解された成分の質量分析をする工程とすることができる。
【0067】
本発明の検出方法においては、工程(g)における感染症の罹患の有無(又は将来発症する可能性)の判断は、被験動物について得られる工程(f)の結果を、正常な対照動物について得られる工程(f)の結果と対比することにより行うことができる。その結果、被験動物と対照動物との間で、PTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子が被験動物において存在すること又はその量が増加していた場合に、該被験動物は感染症に罹患している(又は将来発症する可能性が高い)と判断することができ、さらにその感染症の病原菌となり得る細菌又は真菌の種類を判断することができる。
【0068】
また、本発明においては、上記と同様に、被験試料として用いる物質の種類(例、血漿、血清、血液等)に応じてPTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はそれらの量を調べることが重要であるということができ、例えば、血漿において検出されるPTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子と、血清において検出されるPTX3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子等とを組み合わせて本発明の検出方法を利用することにより、より精度の高い感染症の診断を行うことができる。なお、該血漿においては、上記に示したように、ヘパリンやEDTA等で処理した被験試料に応じた結果を得て、それらを組み合わせて感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の同時検出方法に利用することもできる。
【0069】
4.感染症の診断用キット
本発明はまた、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子、並びにペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質を含有してなる、感染症の診断用キットを提供する。
【0070】
本発明において、PTX3及びアズロシジンを検出し得る物質とは、これら両物質の存在の有無又はそれらの量を確認することができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、PTX3及びアズロシジンの質量分析に用いられ得る内部標準物質、又はPTX3及びアズロシジンを認識する抗体、リガンド及び受容体からなる群より選択される一以上の分子である。
【0071】
PTX3及びアズロシジンの質量分析に用いられ得る内部標準物質とは、いわゆる内部標準法に用いられる物質であり、例えば、上記の質量分析計を用いる場合には、この装置により該物質の濃度が測定され、その測定された濃度に基づいて検量線を引くことができる。そして該検量線を利用することにより、測定時の条件に依存して該装置の検出出力が変動しても、PTX3及びアズロシジンの存在を確認することができ、さらには正確な数値で両物質の質量を測定することができる。これらの内部標準物質としては、例えば、PTX3及びアズロシジンのアミノ酸配列特異的な合成ペプチドが挙げられる。
【0072】
PTX3及びアズロシジンを検出し得る物質として、本発明ではまた、PTX3及びアズロシジンを認識する抗体、リガンド及び受容体からなる群より選択される一以上の分子を採用することができる。PTX3及びアズロシジンを認識する抗体としては、両物質を同時に特異的に認識する単一の抗体であってもよく、また両物質をそれぞれ特異的に認識する抗体の組み合わせであってもよい。リガンド及び受容体についても同様である。これらの抗PTX3抗体及び抗アズロシジン抗体は、上記に示した内容と同様の概念であり、例えば、ELISA法によるPTX3及びアズロシジンの検出に利用することができる。特にELISA法の態様においては、これらの分子と合わせて、標識抗PTX3抗体及び標識抗アズロシジン抗体を用いることが好ましい。該標識としては、上記と同様に、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、ハプテン等を用いることができ、自体公知の方法によりこれらの抗体等に付与することができる。
【0073】
また、本発明のキットがELISA法に基づく場合は、抗体を固相化する担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。また、該キットがラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は、抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。また、該キットは、適宜、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等を含んでいてもよい。
【実施例】
【0074】
[材料及び方法]
1.抗体結合プロテインG磁性粒子の調製
プロテインG磁性粒子(JSR社)3mgを1.5mLエッペンチューブに取り、抗体反応バッファー(Citrate-Phosphate buffer(pH5.0)、0.01% Tween 20)で2回洗浄した。再び抗体反応バッファーで懸濁させた後、抗PTX3モノクローナル抗体(PPMX0103)を60μg添加し、撹拌しながら40分間室温で反応させた。上清を除いた後、抗体反応バッファーで2回洗浄した。さらに架橋反応バッファー(0.2M Triethanolamine-HCl(pH8.2))で1回洗浄した後、20mM dimethyl pimelimidate含有架橋反応バッファーを添加し、撹拌しながら30分間室温で反応させた。上清を除いた後、反応停止バッファー(25mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl)を添加し、撹拌しながら15分間室温で反応させた。上清を除いた後、洗浄保存バッファー(PBS、0.01% Tween 20、0.1% Procline300)で2回洗浄し、再び洗浄保存バッファーで懸濁させ、使用するまで4℃で保存した。
【0075】
2.患者血漿及び血清中PTX3複合体の免疫分離
凍結保存された患者血漿及び血清サンプルを室温中で解凍し、遠心分離(3000rpm、5分間)及び0.45μmフィルターによるろ過で不溶成分を除去した。サンプルはPBSで平衡化されたゲルろ過カラム(SuperdexTM 200pg、GEヘルスケア社)を通過させ、ボイド画分のみを回収した。回収されたサンプルに終濃度が0.1%になるようにNP−40を添加し、さらに上記の通り調製した抗PTX3抗体結合プロテインG磁性粒子を0.5mg添加して、撹拌しながら30分間室温で反応させた。次いで、磁石を用いて抗PTX3抗体結合プロテインG磁性粒子を回収し、上清を除いた後、洗浄バッファー(PBS、0.1% NP−40)で3回洗浄し、PBSで1回洗浄した後、溶出バッファー(50mM NHCO、0.05% RapigestTM(WATERS社))を添加し、67℃で30分間インキュベーションした。その後、上清を回収し、トリクロロ酢酸(TCA)/アセトン沈殿で濃縮した。
【0076】
3.In-solution消化
TCA/アセトン沈殿で濃縮されたサンプルを25%(v/v)CHCN/25mM NHCOバッファーで再溶解させた。溶液中に終濃度が0.6mMになるようにTris(2-chloroethyl)phosphate(TCEP)を添加し、37℃で30分間インキュベーションを行い、続いて終濃度が3mMになるようにiodoacetamideを添加し、室温で30分間インキュベーションした。最後に100ngのトリプシンを添加して、37℃で一晩、タンパク質を消化し、Speed Vac(サーモフィッシャー社)で乾燥させ、0.2% TFA/2% CHCNを添加し、37℃で1時間再溶解させた。
【0077】
4.LC−MS/MS測定及びデータベースサーチ
上記の通り得られたサンプルについて、LC−MS/MSシステム(ZAPLOUS、AMR社)を使用して、サンプルに含有されるタンパク質の質量分析を行った。データは、data-dependent acquisition modeを用いて取得した。得られたMS/MSデータについて、MASCOTサーチエンジン(Matrix science社)を用いてデータベースサーチを行った。通常のデータベースサーチは、消化断片をtrypsin、種をHomo sapiens(human)に限定し、細菌又は真菌関連のタンパク質を同定する際には、消化断片をsemi-trypsinに限定し、種は限定せずに行った。
【0078】
5.ELISAバインディングアッセイ
リコンビナントAzurocidin(R&Dシステムズ社)若しくはリコンビナントC1q(CALBIOCHEM社)をTBS中に1μg/mLの濃度に調製し、96ウェルELISAプレートに添加して、4℃で一晩固相化した。ウェル内の溶液を取り除き、ブロッキングバッファー(TBS、0.1% Triton X−100、1% BSA)を添加し、室温で2時間インキュベーションした。洗浄バッファー(PBS、0.1% Triton X−100)で4回洗浄をした後、ブロッキングバッファーで各種濃度に希釈したリコンビナントPTX3を各ウェルに添加し、室温で1時間反応させた。洗浄バッファーで4回洗浄した後、ブロッキングバッファーで希釈したHRP標識抗PTX3抗体を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄バッファーで4回洗浄した後、3,3',5,5'-tetramethyl-benzidene(TMB)溶液を添加して、呈色反応を30分間行い、波長450nmにおける吸光度を測定した。全てのバッファーには4mM CaCl若しくは4mM EDTAを存在させてアッセイを行った。
【0079】
6.BIAcore測定
得られたサンプルについてPTX3との分子間相互作用を調べるために、BIAcore3000(GEヘルスケア社)を用いてBIAcoreを測定した。CM5センサーチップに、10mM sodium acetate(pH3.5)で100μg/mLに希釈したリコンビナントPTX3溶液を、アミンカップリングキット(GEヘルスケア社)により固相化した。リコンビナントAzurocidin(R&Dシステムズ社)との反応は、流速を20μL/分として、所定のバッファー(500mM NaCl、20mM HEPES(pH7.4)、0.005% surfactant P20)を用いて行った。該バッファーには2mM CaCl若しくは3mM EDTAを存在させて測定を行った。測定開始後90秒から210秒までリコンビナントAzurocidinを5μg/mL含むバッファーを流し、210秒から330秒までバッファーのみを流した(図3)。センサーチップの再生は10μLの1M sodium acetate(pH7.2)及び10μLの10mM NaOHで行った。
【0080】
[結果]
1.患者血漿中PTX3複合体の免疫分離
敗血症患者のEDTA及びヘパリン血漿をサンプルとして、抗PTX3抗体結合磁性粒子を用いてPTX3複合体の免疫分離を試みた。タンパク染色の結果、非特異タンパクの吸着量が少なく、PTX3及びPTX3結合タンパクと考えられる特異的バンドが確認された(図1−A)。またウエスタンブロッティングの結果から、PTX3が特異的に十分量回収されていることが確認され(図1−B)、以上の結果から患者血漿中から微量のPTX3複合体が高効率に回収できていることが分かった。また本免疫分離方法はショットガンプロテオミクス解析が可能なレベルであると判断された。
【0081】
2.患者血漿及び血清中のPTX3複合体の同定
次にLC−MS/MS測定によるショットガンプロテオミクス解析で患者血漿及び血清中PTX3複合体の同定を試みた。血漿については、ヘパリンで処理をしたものとEDTAで処理をしたものを用いた。検体は敗血症、菌血症の4例について測定した。具体的には、症例1として、大腸菌による腎盂腎炎、敗血症の患者、症例2として、57歳の男性で、コントロール不良の糖尿病、足先のささくれから敗血症に至った症例の患者(血液培養は陰性、プロカルシトニン定性3+)、症例3として、94歳の女性で、敗血症ショックで死亡、血液培養でStreptococcus sanguis及びStreptcoccus salivarius が検出された患者、症例4として、82歳の男性で、閉塞性化膿性胆管炎から菌血症となった患者(血液培養で緑膿菌と腸球菌が検出、プロカルシトニン定性3+)であった。症例1〜4の結果を、それぞれ以下の表1〜4に示す。その結果、Inter-alpha-trypsin inhibitor、Ficolin-2及びFicolin-3、Tumor necrosis factor-inducible gene 6 proteinが同定された。さらに、Ficolin-2の結合タンパク質であるMannan-binding lectin serine protease 1及びMannan-binding lectin serine protease 2、並びにTumor necrosis factor-inducible gene 6 proteinの結合タンパク質であるVersican core protein及びThrombospondin-1が同定された(表1〜4)。その他種々のタンパク質が同定され、一部は検体特異的に同定されていた。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
3.患者血漿及び血清中のPTX3結合細菌又は真菌由来タンパク質の同定
PTX3複合体中にヒトへの感染の可能性がある細菌又は真菌のタンパク質が同定されるかどうかを調べた。その結果、上記症例1についてはヘパリンで処理した血漿のみについて同定され、症例2については全く同定されず、症例3についてはヘパリンで処理した血漿及び血清について同定され、症例4についてはいずれの被験試料からも同定され、これらの中には、細菌のouter membrane protein(protein F、OprF、hypothetical protein NEILACOT_0259)、及びアスペルギルス属の真菌(HECT)が見られた。以上の結果を、それぞれ表5(症例1)、表6(症例3)、及び表7(症例4)に示す。なお、表5〜7に示されたペプチドのアミノ酸配列はそれぞれ配列番号1〜22に示す。
【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
4.PTX3とAzurocidinとの結合確認
PTX3複合体タンパク質の同定結果の中で、Azurocidinが特定の検体の特定の採血方法のみで同定されていた(表1)。Azurocidinは抗菌活性を有し、炎症メディエータータンパクであることが知られているので(Wieslaw Watorek Acta Biochimica Polonica 50: 743-752, 2003.)、PTX3と結合して機能していることを予想し、その結合能を確認した。ELISAバインディングアッセイ(図2)、及びBIAcoreによるリアルタイム相互作用確認(図3)の結果から、Azurocidinはカルシウム依存的にPTX3と結合する新規タンパク質であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の疾患マーカーを使用することにより、例えば、被験動物より血液を採取するだけで、より的確な感染症の検査又は診断を行うことができ、また、その感染症の早期診断にも役立てることができる。さらに、該疾患マーカーを利用した本発明の検出方法を用いれば、効率よく感染症の検査又は診断を行うことができ、また、短時間での迅速な検出方法により省力的な感染症の検査又は診断を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペントラキシン3及びアズロシジンを含んでなる、感染症の疾患マーカー。
【請求項2】
ペントラキシン3とアズロシジンとが複合体を形成してなる、請求項1に記載の疾患マーカー。
【請求項3】
感染症が敗血症である、請求項1又は2に記載の疾患マーカー。
【請求項4】
下記の工程(A)〜(E)を含む、感染症の罹患の有無の検出方法:
(A)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(B)前記磁性粒子を回収する工程、
(C)工程(B)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(D)工程(C)で濃縮された成分中のペントラキシン3及びアズロシジンの有無又はその量を調べる工程、
(E)工程(D)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無を検出する工程。
【請求項5】
工程(A)における被験動物より採取した試料が、ヘパリン処理若しくはエチレンジアミン四酢酸処理された血漿、血清又はそれらの組み合わせである、請求項4に記載の検出方法。
【請求項6】
感染症が敗血症である、請求項4又は5に記載の検出方法。
【請求項7】
工程(A)における磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項8】
工程(C)の次に、さらに工程(C’)を含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の検出方法:
(C’)工程(C)で濃縮された成分を分解する工程。
【請求項9】
工程(C’)における分解がトリプシン消化である、請求項8に記載の検出方法。
【請求項10】
工程(E)における感染症の罹患の有無の判断が、被験動物について得られる工程(D)の結果を、正常対照について得られる工程(D)の結果と対比して、ペントラキシン3及びアズロシジンが存在すること又はその量が増加していることを指標として行われる、請求項4〜9のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項11】
下記の工程(a)〜(g)を含む、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の同時検出方法:
(a)被験動物より採取した試料と、抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子とを接触させる工程、
(b)前記磁性粒子を回収する工程、
(c)工程(b)で回収した磁性粒子から、抗ペントラキシン3抗体に捕捉された前記試料に由来する成分を分離し、該成分を濃縮する工程、
(d)工程(c)で濃縮された成分の質量分析をする工程、
(e)工程(d)の分析結果に基づいて、ペントラキシン3に結合する分子を同定する工程、
(f)工程(e)の同定結果に基づいて、ペントラキシン3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子の有無又はその量を調べる工程、
(g)工程(f)の結果に基づいて、感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌を検出する工程。
【請求項12】
工程(a)における被験動物より採取した試料が、ヘパリン処理若しくはエチレンジアミン四酢酸処理された血漿、血清又はそれらの組み合わせである、請求項11に記載の検出方法。
【請求項13】
感染症が敗血症である、請求項11又は12に記載の検出方法。
【請求項14】
工程(a)における磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項15】
工程(c)の次に、さらに工程(c’)を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の検出方法:
(c’)工程(c)で濃縮された成分を分解する工程。
【請求項16】
工程(c’)における分解がトリプシン消化である、請求項15に記載の検出方法。
【請求項17】
工程(g)における感染症の罹患の有無及び感染症の病原菌の判断が、被験動物について得られる工程(f)の結果を、正常対照について得られる工程(f)の結果と対比して、ペントラキシン3及びアズロシジン、並びに細菌又は真菌由来分子が存在すること又はその量が増加していることを指標として行われる、請求項11〜16のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項18】
抗ペントラキシン3抗体が結合した磁性粒子、並びにペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質を含有してなる、感染症の診断用キット。
【請求項19】
前記磁性粒子が、プロテインGで被覆されていることを特徴とする、請求項18に記載の診断用キット。
【請求項20】
ペントラキシン3及びアズロシジンを検出し得る物質が、ペントラキシン3及びアズロシジンの質量分析に用いられ得る内部標準物質、又はペントラキシン3及びアズロシジンを認識する抗体、リガンド及び受容体からなる群より選択される一以上の分子である、請求項18又は19に記載の診断用キット。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−95052(P2011−95052A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247945(P2009−247945)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(502285457)学校法人順天堂 (64)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(503196776)株式会社ペルセウスプロテオミクス (25)
【Fターム(参考)】