説明

感染症を治療するための医用薬草組成物

HIVおよび他の感染性疾患の治療のためのケニアの植物に由来する薬草組成物が提供される。薬草組成物は、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaの根を含む、14種に至るまでの植物の抽出物を含むことができる。さらに、植物からアルカロイドおよび他の化合物を抽出するための方法が提供される。さらに、感染性疾患、とりわけHIVに罹患した対象を治療する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年8月22日に出願された仮出願番号60/710,237の利益を主張し、それをそのまま参照として本明細書に援用する。以下の本発明の背景の検討は読者に本発明の理解を補助するためだけに提供され、本発明に対する先行技術を説明すること、または構成することは許可されない。
【0002】
世界中の非常に多数の人々が後天性免疫不全症(AIDS)に罹患しながら生活し、あるいは原因となる因子、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している。サハラ以南のアフリカの一部の国々では、4人のうち1人までが該疾患に罹患している。新しい治療法を確認するための試みに費やされた費用と努力にもかかわらず、該疾患の治療法は依然として確立されていない。
【0003】
古代社会は、伝統的に彼らの健康に必要なものを植物に求めてきた。文書に記録された病気を治療するための薬草の使用は、2,000B.C.にまでさかのぼると推定される。近年、現代病の治療、たとえばHIVおよび他の感染性疾患の治療のための療法および医薬品が植物から派生してきているように、個体は自然界に助けを求めている。
【0004】
たとえば、米国特許第5,178,865号は、56種の薬草による実験的治療を報告し、56のうち10種の薬草がin vitroにおける実験で抗‐HIV活性を提示することを報告している。10種の薬草には:Coptis chineusis、Ligusticum wallichii(センキュウ)、Ilicium eanclolatum、Isatis tinctoria(ホソバタイセイ)、Salvia miltiorrhiza(タンジン)、Erycibe obtusifolia、Acanthopanax graciliatylus、Bostaurus domesticus、Inula helenium(オオグルマ、土木香)およびLonicera japonica(スイカズラ)が挙げられる。Bostaurus domesticusおよびLonicera japonicaは共に、Scutellaria baicaleusisと組み合わせて抗‐HIV活性を提示しうるとさらに記載されている。
【0005】
米国特許第5,837,257号は、in vitroでマウス白血病ウイルスおよびHIVに対する抗ウイルス活性を提示し、そしてHIVに感染した動物およびヒトの治療のための中国生薬を開示する。好ましい一態様において、中国生薬はhedyotis(フタバムグラ)、Scutellaria barbatae全草、Lonicera(スイカズラ)花部、Prunellae spica(カゴソウ)およびSolani harba(イヌホウズキ)を含む。
【0006】
米国特許第5,989,556号は、in vitroでHIVに対して抗ウイルス活性を示している、ウイルス感染を治療するための種々の薬草組成物を開示する。第1の薬草組成物は、Aeginetiae全草、Blechni根茎、Lespedezae全草、Polygoni cuspidati根茎、Forsythiae fructus(レンセンソウ)およびLigustri果実を含む。第2の薬草組成物はCirsii根茎および根、Breeae根、Baphicacanthis根茎および根、Phellodendri cortex(オウバク)、およびBletillae塊茎を含む。特許に開示された第3の薬草組成物はAeginetiae全草、Lonicerae、Flos(キンギンカ)、Prunellae spica(カゴソウ)およびLespedezal全草を含む。
【0007】
米国特許第6,696,094号はHIV/AIDSを治療するための薬草医薬組成物を開示する。医薬組成物は以下のものを含む14種の成分を含む:diffuse hedyotis(フタバムグラ)、bistort(イブキトラノオ)根茎、giant knotweed(オオイタドリ)根茎、Asiatic moonseed(アジア産ツヅラフジ)根茎、baical skullcap(コガネバナ)根、ウシ胆汁粉末、milkvetch(タイツリオウギ)根、barbary wolfberry(バーバリーウルフベリー)果実、sanqi(三七)、figwort(ゴマノハグサ)根、Chinese magnoliavine(チャイニーズマグノリアバイン)果実、turmeric root(ウコン)根茎、hawthorn(サンザシ)果実およびChinese angelica(カラトウキ)。注射可能な溶液またはカプセル剤として製剤することができる「HIVCIDE濃縮物」調製のための手順が提供される。結果は、HIVCIDE溶液を注射された対象が急性または慢性毒性の症状を全く示さなかったことを示唆する。さらに、HIVCIDE注射溶液は、in vitroでHIV‐1により引き起こされる細胞の病的変化を阻止することにおいて有効であった。第3の実験では、HIVCIDEカプセル剤の投与を伴う治療計画において、HIVCIDE注射溶液はHIVに感染した対象の症状を軽減することにおいて有効であった。HIV‐陽性対象はHIVCIDE注射溶液に対して有害反応を示さなかった。さらに、対象4人のうち3人はHIVCIDEによる治療後に疲労の改善を示すこと、HIVウイルス負荷研究はすべての対象が軽減したHIVウイルス負荷を証明することを示唆することが報告された。
【0008】
米国特許第6,445,078号は、肝臓疾患およびHIVを治療するための医用薬草医薬組成物を開示する。組成物は15種の成分を含み、それらはdiffuse hedyotis(フタバムグラ)、bistort(イブキトラノオ)根茎、giant knotweed(オオイタドリ)根茎、Asiatic moonseed(アジア産ツヅラフジ)根茎、baical skullcap(コガネバナ)根、ウシ胆汁粉末、milkvetch(タイツリオウギ)根、barbary wolfberry(バーバリーウルフベリー)果実、sanqi(三七)、figwort(ゴマノハグサ)根、Chinese magnoliavine(チャイニーズマグノリアバイン)果実、turmeric root(ウコン)根茎、hawthorn(サンザシ)果実およびChinese angelica(カラトウキ)を含む。15種の成分の中で、diffuse hedyotis(フタバムグラ)、bistort(イブキトラノオ)根茎、giant knotweed(オオイタドリ)根茎、およびChinese magnoliavine(チャイニーズマグノリアバイン)果実が医薬組成物の効力に貢献するために必要であるとして挙げられている。
【0009】
米国特許第5,366,725号では、優れた制癌作用を提示し、インターロイキン‐2およびインターフェロン‐ガンマ‐誘導特性を有するAeginetia indica(ナンバンギセル)の種子由来の抽出物が調製された。抽出物は高分子多糖であると考えられ、抽出がブタノールまたはフェノールのどちらを使用して行われるかに依存して、それがタンパク質と結合する脂質A(Lipid A)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。抽出された物質は水に可溶であり、n−ブタノールに不溶であり、そして100,000〜200,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0010】
Hozumi,et al.,の米国特許第5,411,733号は抗‐ヘルペスウイルス、抗‐ポリオウイルス、抗‐水痘‐帯状疱疹ウイルス、抗‐はしかウイルス、抗‐サイトメガロウイルス(CMV)、ならびに抗‐DNAおよび抗‐RNAウイルス剤としての使用のための多様な植物抽出物を開示する。
【0011】
米国特許第5,178,865号は、中国で抗‐ウイルス活性を提示することが公知の多様な薬草のin vitroにおける抗‐HIV活性を開示する。混合物の水抽出物、沈殿のためのエタノールによる処理および活性炭吸着が抗‐HIV‐活性組成物の調製に関して開示される。
【0012】
2種のリグナン、フィラマイシンBおよびレトロジュスチシデン(retrojusticiden)Bは、HIV‐1逆転写酵素活性に阻害作用を有すると報告されている。リグナンは、中国南部で広範に栽培される植物である、Phyllanthus myrtifolius Moon(フィランサスミルティフォリウスムーン)から単離される。たとえば、Chang,et al.,Antiviral Research,27(4),367−374(1995)を参照されたい。
【0013】
Lonicera japonica(スイカズラ)花芽、Forsythia suspensa(レンギョウ)果実、およびScutellaria baicalensis(コガネバナ)根皮の水抽出物の混合物は、抗菌および抗ウイルス特性を有することが示されている。該混合物で治療された重症呼吸器疾患に罹患した対象は、標準抗生物質療法を受けた対象と同じように反応した。Houghton et al.,Phytother.Res.,7(5)、384−386(1993)を参照されたい。
【0014】
Prunella vulgaris(ウツボグサ)の水抽出物は、ジドブジン(AZT)およびジダノシン(dd1)と組み合わせて投与された場合、抗‐HIVB活性を有することが報告された。Prunella vulgaris(ウツボグサ)の抽出物とザルシタビン(ddC)の投与に関してはわずかな相加作用だけが観察された。John,et al.,Abstr.Gen.Meet.Am.Sc.Microbiol.,94,481(1994)を参照されたい。
【0015】
Yamasaki et al.,は、日本で一般的に使用される204種の未精製薬物のin vitroにおける評価を報告していて、研究はLithospermum erythrorhizon(ムラサキ)(根)およびPrunella vulgaris(ウツボグサ)(花穂)の熱湯抽出物が16μg/mLのIC100を持つ強いin vitro抗HIV‐1活性を示したことを示唆する。Yamasaki et al.,Yakugaku Zasshi,113(11),818−824(1993)を参照されたい。
【0016】
Yao et al.,は、乾燥したPrunella vulgaris(ウツボグサ)(全草)の水抽出物がin vitroでHIV‐1複製の阻止に活性であり、MT−4細胞に対して比較的低い細胞毒性を示したことを報告している。抽出物はまた、逆転写酵素の阻害における活性を証明した。活性因子は精製され、分子量約10,000ダルトンを持つアニオン性であると同定された。この活性成分は、Tabba et al.,(1989)によって記載されたプルネリン(prunellin)と同じものである可能性がある。精製された抽出物はリンパ系細胞株MT−4、単球細胞株U937、および末梢血単核細胞(PBMC)においてそれぞれ、有効濃度6.3および12.5μg/mLでHIV‐1複製を阻止した。ウイルス暴露前に抽出物で非感染細胞を前処理しても、その後のウイルス暴露によるHIV‐1感染を妨げなかった。精製した抽出物とのプレインキュベーションはHIV‐1感染性を減少させた。精製した抽出物はまた、HIV‐1の細胞間伝達を遮断し、シンシチウム形成を妨げ、そしてHIV‐1および精製したgp120両方のCD4に結合する能力を妨害した。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)分析は、抽出物存在下でウイルスに暴露された細胞にHIV‐1プロウイルスDNAがないことを確証し、CD4受容体へのウイルス接着を妨げることによって精製した抽出物が感染しやすい細胞のHIV‐1ウイルス感染に拮抗することを暗示した。Yao,et al.,Virology、187(1)、56−62(1992)を参照されたい。
【0017】
Tabba,etal.,は中国の薬草、Prunella vulgaris(ウツボグサ)の水抽出物由来の抗‐HIV特性を提示する化合物、プルネリンを単離し、部分的に特徴付けた。プルネリンはin vitroでHIV‐1に対し、2.2μg/mLの最小阻害濃度を持つ炭水化物(部分的に硫酸化された多糖)として同定された。それは約10,000ダルトンの分子量を有するとして同定された。Tabba,et al.,Antiviral Research,11,263−273(1989)を参照されたい。
【0018】
抗ウイルス薬はSyzygium aromatica(チョウジ)、Sapium sebiferum(ナンキンハゼ)(中国ナンキンハゼの葉)、Scutellaria baicalensis(コガネバナ)、およびScutellaria rivularis(タツナミソウ属)から単離されている。オイゲニン(Syzygium aromatica(チョウジ)から単離されたタンニン)、およびメチルガレート(Sapium sebiferum(ナンキンハゼ)から単離)はin vitroで抗単純疱疹ウイルス(HSV−2)活性を提示した。植物フラボノイド、たとえばScutellaria rivularis全草から抽出された5,7,4−トルヒドロキシフラボンは抗インフルエンザウイルス活性を有することが報告された。Hozumi,et al.,米国特許第5,411,733号;Takechi,et al.,Planta Medica,42,69−74(1981);Kane,et al.,Bioscience Report,8,85−94(1988);およびNagai,et al.,Chem.Pharm Bull,38(5),1329−1332(1990)を参照されたい。
【0019】
Asres,et al.によって報告されたように、多様な病気(ailment)の治療薬として知られるエチオピアの薬用植物はHIV‐1およびHIV‐2に対する活性をスクリーニングされた。Bersama abyssinica根皮、Combretum paniculatum葉、Dodonaea angustfolia(ハウチワノキ)葉、およびXimenia Americana(ハマナツメモドキ)樹皮に由来する抽出物は、MT−4細胞に非毒性である濃度においてそれぞれ抗ウイルス活性を提示した。抽出物の抗ウイルス活性はHIV‐2よりもHIV‐1に対していっそう効果的であることが認められている。Asres,et al.,Phytother.Res.,15,62−69(2001)を参照されたい。
【0020】
感染症および/またはリウマチ性疾患の治療のための伝統的なルワンダの医薬品に使用される選択された植物は、HIV‐1に対するin vitroでの抗ウイルス活性を詳細に検討された。Cos,et al.,Phytomedicine,9,62−68(2002)を参照されたい。試験された38種の植物抽出物の中でAspilia plurisetaおよびRumex bequaertiiが最も高い抗ウイルス活性を有していた。
発明の概要
本発明はケニア原産の多様な植物から調製された薬草療法組成物の特有の抗ウイルス特性の発見に基づく。本発明の薬草組成物は、好ましくはDovyalis abyssinica(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)およびClutia robusta(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の根を含む2〜14種の異なる植物由来の植物材料を包むことができる。感染性疾患の治療の場合、植物材料の薬草組成物は抽出されて液体薬草組成物を生み出すか、あるいは、さらに精製されて植物材料からアルカロイド化合物を得てもよい。植物の水抽出物から調製された液体薬草組成物で治療された対象はCD4+細胞カウントの改善、そして一部の症例ではHIV陽性状態の完全な逆転を経験しているため、該液体薬草組成物はHIV‐陽性対象を治療することにおける有効性を証明している。
【0021】
一側面では、本発明はたとえばHIVのような感染性疾患を治療するための薬草組成物を提供する。植物材料を含む組成物には、Dovyalis abyssinicaの根およびClutia robustaの根が含まれる。本発明の他の態様では、薬草医薬組成物はまた、示唆したように、以下の1種以上に由来する植物材料を含んでいてもよい:Prunus Africana(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、Croton macrostachyus(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、Acacia nilotica(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、Rhamnus prinoides(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の根、Adenia gummifera(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の根、Asparagus africanus(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の根、Anthocleista grandiflora(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、Plantago palmata(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の全草、Clematis hirsuta(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の根、Ekebergia capensis(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、Bersama abyssinica(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の樹皮、およびPeriploca linearifoliaの根。
【0022】
別の側面において、本発明は、本発明の固形薬草組成物の液体抽出物を調製するための方法を提供する。植物材料の抽出は熱湯により行うことができる。一態様において、熱湯抽出は塩基性条件下で行われ、続いて酸性条件下で熱湯抽出が行われる。別の態様において、液体抽出物から精製される所望するアルカロイド化合物は直接化学合成から提供されるか、または生産される。
【0023】
本発明はその上、本発明の薬草組成物の水抽出物を提供する。また、本発明の薬草組成物の水抽出物から精製されたアルカロイド化合物および化学合成物が提供される。
本発明の別の側面において、HIV‐陽性対象を治療するための方法が提供される。対象は、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaだけ、または1種以上の以下のもの:Prunus africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prinoides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaとそれらを組み合わせたものの水抽出物から調製された本発明の薬草組成物の有効量を、対象の体重に基づいた投薬量で投与される。他の態様において、本発明の薬草組成物は、精製された、水抽出物から得られたアルカロイド化合物から調製される。薬草組成物は少なくとも、1日に1回投与される。他の態様において、薬草組成物は対象の健康状態に基づいて、1日に2回または3回投与される。他の態様において、組成物は飲料、カプセル剤、錠剤、粉末剤、キャンディ、ゲル剤、栄養性製品または医薬品として投与されてもよい。
【0024】
別の側面において、本発明はたとえばHIVまたはAIDSのような感染症に罹患している対象を治療するための薬草組成物を提供する。薬草組成物は、本質的にDovyalis abyssinicaおよびClutia robustaならびに場合により1種以上の以下のもの:Prunus africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prinoides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaの抽出物からなる。一態様において、本発明の薬草組成物は精製された、水抽出物から得られたアルカロイド化合物から調製される。
【0025】
本発明の別の側面において、たとえばHIVまたはAIDSのような感染症に罹患している対象を治療するための方法が提供される。対象は、本質的にDovyalis abyssinicaおよびClutia robustaの抽出物ならびに場合により1種以上の以下のもの::Prunus africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prinoides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaの抽出物からなる薬草組成物の有効量を、対象の体重に基づいた投薬量で投与される。他の態様において、本発明の薬草組成物は精製された、水抽出物から得られたアルカロイド化合物から調製される。薬草組成物は少なくとも、1日に1回投与される。他の態様において、薬草組成物は対象の健康状態に基づいて、1日に2回または3回投与される。他の態様において、組成物は飲料、カプセル剤、錠剤、粉末剤、キャンディ、ゲル剤、栄養性製品または医薬品として投与されてもよい。
【0026】
本明細書で使用する人は、彼/または彼女が2つの部分からなるHIVスクリーニング試験(ELISAおよびウェスタンブロット法)において陰性の結果である場合、HIV‐陰性とみなされる。
【0027】
本明細書で使用する「治療的に有効」または「有効量」という用語は、材料または材料の量が疾患または医学的状態の1種以上の症状を妨げる、緩和する、または改善すること、および/または治療される対象の生存を延長させるために有効であることを示唆する。
【0028】
本明細書で使用する「薬剤的に受容できる」とは、適度に見識のある医療従事者が疾患または治療されることになる状態、および個々の投与経路を考慮して、同定された材料の対象への投与を回避することになる特性を該材料が持たないことを示唆する。
【0029】
本明細書で使用する「組成物」という用語は、意図した動物対象への治療のための投与に適した製剤を表し、それは少なくとも1種の薬剤的に活性な化合物と少なくとも1種の薬剤的に受容できるキャリアまたは添加剤を含む。
【0030】
本明細書では、「約」を使用して、量的表現でプラスマイナス10%を意味する。
本明細書で使用する、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善とは、永続的または一時的、持続的または一過性のいずれにしても、組成物の投与に起因または関係しうる、いずれかの軽減を表す。
【0031】
本明細書で使用する「組み合わせ」は、2以上の品目間のいずれかの結合を表す。組み合わせは2以上の別個の品目、たとえば2種の組成物または2種の収集物でありうる。それは、その混合物、たとえば2以上の品目の唯一の混合物、またはそのいずれかの変形でありうる。
【0032】
本明細書で使用する「組成物」は任意の混合物を表す。それは溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはいずれかのその組み合わせでありうる。
本明細書で使用する「医薬組成物の成分」は、医薬組成物の工業的製造に使用される1種以上の材料を表す。成分は、組成物中の活性成分(薬剤)または他の材料を表しうる。成分は水および他の溶媒、塩、バッファー、界面活性剤、水、非水性溶媒、および香料を含むことができる。
【0033】
本明細書で使用する「医薬組成物」は対象への投与のために製剤される薬剤および1種以上の他の成分を含む組成物を表す。薬剤は医薬組成物の中の活性成分を表す。典型的には活性成分は疾患または状態の治療にとって活性である。たとえば、医薬組成物中に含まれうる薬剤は感染性疾患を治療するための薬剤を含む。
【0034】
本明細書で使用する「治療」は、状態、障害もしくは疾患の症状または他の徴候が改善されるか、そうでなければ有益に変化するいずれかの様式を表す。
本明細書で使用する「抽出」は、固体または溶液が液体溶媒と接触して1種以上の固形成分を溶媒に移す分離の方法を表す。
【0035】
本明細書で使用する抽出物は、所望する化合物または成分を除去するために(たとえば、植物材料のような)固形材料を処理することによって得られる、通常濃縮された形態の化合物を含む溶液を表す。
【0036】
本明細書で使用する「合成されたアルカロイド化合物」は、化学合成によって得られるアルカロイド化合物を表す。
本明細書で使用する「CD4+T細胞」(または「Tヘルパー細胞」)は、ウイルス、真菌、および原虫の感染因子を含む感染因子から保護することに関与する免疫T細胞を表す。CD4分子はTヘルパー細胞の表面に発現され、それはまたHIV‐1およびHIV‐2の主要な標的として働く。CD4はT細胞受容体との共通受容体であり、チロシンキナーゼlckを細胞内に動員する。CD4+細胞カウントはHIVの進行とともに低下する。
【0037】
本明細書で使用する「CD8+T細胞」は、感染した細胞に対して細胞毒性活性を有する免疫T細胞を表す。CD8分子はT細胞毒性リンパ球の表面に発現される。CD8T‐リンパ球数はHIV感染の開始時に増加し、疾患の進行中上昇し続ける。
【0038】
本明細書で使用する「CD4+/CD8+比」は与えられた試料中のCD4+細胞とCD8+細胞の比を表し、疾患進行の重要な尺度である。
本明細書で使用する「分化のクラスター」(CD)分子は細胞型、分化のステージおよび細胞の活性を同定するために使用される特定の抗体のセットによって認識されるような、細胞表面上のマーカーである。
【0039】
本明細書で使用する「HIV」および「AIDS‐関連ウイルス」という用語は、通例示されるHIV系列(ヒト免疫不全ウイルス)およびその種を意味する。
本明細書で使用する「HIV‐関連疾患」および「AIDS‐関連疾患」という用語は、原因が真菌、ウイルスおよび/または細菌によるものである感染を含むがそれらに限定されない、HIVまたはAIDS‐関連ウイルスにより直接的または間接的に引き起こされるいずれかの疾患または症候群を表す。
【0040】
本明細書で使用する、「高度に有効な抗レトロウイルス療法」またはHAARTは、通常3種以上の異なる薬物、たとえば2種のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤からなる、ウイルス複製およびHIV疾患の進行を積極的に抑制するように設計された治療計画を表す。
【0041】
本明細書で使用する、「急性HIV感染」はHIV暴露後すぐの迅速なウイルス複製の期間を表す。
本明細書で使用する「AIDS消耗性症候群」はHIV感染以外の併発する病気または状態が存在しない状態における、基準体重からの不本意な10パーセント体重損失および慢性下痢または慢性衰弱のいずれかならびに立証された発熱を表す。
【0042】
本明細書で使用する「抗ウイルス」はウイルスを駆除するか、またはウイルス複製(再生)を抑制する物質またはプロセスを表す。
本明細書で使用する「ウイルス負荷試験」(HIVに関連して)は血漿1mL毎のコピー数として表現された、血中のHIV RNAの量を測定する試験を表す。
発明の詳細な説明
本発明は、ケニア原産植物由来の抽出物の組み合わせが、たとえばHIVおよびAIDSのような感染症の治療に使用されうるという発見に関する。以下:Dovyalis abyssinicaおよびClutia robusta、Rhamnus prinoides、Adenia gummifera、Asparagus Africanus、Clematis hirsuta、およびPeriploca linearifoliaの根、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、Prunus africana、Croton macrostachyus、Acacia niloticaおよびAnthocleista grandifloraの樹皮、ならびにPlantago palmataの全草の抽出物の組み合わせから調製される薬草組成物は、感染した対象の健康状態を改善することにおいてとりわけ有効であることが示されている。特に、本発明の薬草組成物はHIVを含む感染性疾患の治療にとりわけ都合よく適する。
【0043】
本発明の組成物は西部ケニアのマウフォーレストコンプレックス(MAU FOREST Comlex)から集めた植物材料から調製することができる。ケニアのこの地域由来の植物の水抽出および精製された抽出物から調製される薬草組成物は感染性疾患の治療において増大した効能を示す。マウフォーレストコンプレックスは南緯0°30′、東経35°20′、およびリフトバレー(Rift Valley)州に位置し、4つのケニアの行政区:ナロク(Narok)、ナクル(Nakuru)、ボメット(Bomet)およびケリチョ(Kericho)に広がる。平均年間降水量は1000〜1500mmまで変化し、ピークは4月と8月である。西側の降水パターンはインド洋からの湿ったモンスーン風とグレートリフトバレーからの乾燥した風によって支配される。マウフォーレストコンプレックスの西側はビクトリア湖の大気候地域によって影響を受け、一般に湿度が高く、年間降水量は2000mmより多く、均一に分布する。マウフォーレストコンプレックスの平均年間気温は12〜16℃の範囲である。マウフォーレストコンプレックスの土壌は肥沃な火山性ロームで、3.8〜5.8のpHを有する。
【0044】
植生パターンは標高の傾斜に従い、局地的な地形学的生態境界を有する。標高の低い、クローズドキャノピー(closed canopy)湿潤山岳森林地帯は、2200mより上からしだいにタケと混合するようになる。2300〜2500mの間では、純粋なタケ(Arundinaria alpina)草地(sward)が見いだされる。2500mより上ではこれが混合したタケ/樹木群に取って代わり、両方とも草の除去に関連し、タケの焼き払いおよび伐採から生じた亜極相を表す。乾燥状態中にしおれるのを妨げるために植物が一般に硬葉を持つ、限界に近い型の山岳硬葉植物林帯がマウコンプレックスの最も高い標高を占める。
【0045】
マウフォーレストコンプレックスの西部山腹の植物は薬草組成物にとって最も高い効能を示している。西部山腹(一般に降水量が多く、標高の高い地域である)に育つ植物は、より少ない環境ストレスを有する。したがって、西部山腹の植物はより多くの生合成経路を有し、そのことが今度は(マウフォーレストコンプレックスの他の地域に比較して)西部山腹由来の植物のより高い効能を説明してもよい。あるいは、西部山腹由来のより高い効能の植物抽出物は、植物抽出物中のより多い種類および量のアルカロイドおよび他の化合物の結果であってもよく、それで組み合わされた効果がそれらの個々の作用の合計より大きい。
【0046】
東部マウフォーレストコンプレックスはシーダー(Cedar)およびポド(Podo)のより乾燥した植生を有する。これらの種が引き抜かれている場所はどこでもNeuboutonia macrocalyxおよびMacaranga capensisのようなコロニー形成種を見いだすことができる。
【0047】
本発明の組成物は、マウフォーレストコンプレックスの3種の標高範囲:海抜2000m(年間降水量1000mm)、2300m(1500mm)、2500m(西部マウ山腹、年間降水量2000mmより多い)から集めた植物を使用して調製してもよい。マウフォーレストの西部山腹は、本発明の薬草組成物を調製することにとってとりわけ好ましい植物を含む。また、マウフォーレストコンプレックスのより乾燥した東部山腹に育つ植物が使用されてもよい。
【0048】
また、本発明の組成物を調製するための植物材料は温室環境で育てられた植物から得られてもよい。特定の植物の種子の発芽は標高または土壌依存的であってもよい。温室に植え付けるための種子は、それらが野生にあるように、天然の分散媒介物からの収集を必要としてもよい。その上、マウフォーレストコンプレックスの降水量、日照(マウフォーレストコンプレックスでは平均して1日に12時間)、および土壌状態(すなわち、3.8〜5.8のpHを有する火山性のローム)のシミュレーションが、同じような効能を得るために必要であってもよい。
【0049】
Dovyalis abyssinicaの種子(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は多肉質の果実に含まれる。果実には約4個の種子が含まれている。熟した多肉質の果実は約4日間水に浸され、それぞれがおよそトマトの種子またはそれよりわずかに大きいサイズである小さな種子を最小の力で絞り出し、放出させることができる。その後種子を洗浄し、乾燥し、保存し、マウフォーレストコンプレックス様の環境状況下での発芽を待つ。野生の状態では、果肉は雨水に浸され、そのことが結果として種子を放出させる。種子は先に記載のマウフォーレストコンプレックスの環境状況下で自然に成長する。
【0050】
Clutia robustaの種子(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)はさらに小さく、砂粒のサイズの約3〜4個の種子を包むナッツ用の外皮を有する液果に包まれている。熟した種子は直射日光に曝されると、それらは爆発的分散と呼ばれるプロセスで速やかに分散する。このことは野生では問題ではないが、種子を収集しようとする場合、注意と知性が要求され、さもなければすべての種子は熱い太陽の散乱効果のもとで飛び散ってしまうことになる。
【0051】
Clutia robustaの種子を回収するために、液果は金属容器に置かれ、太陽光が入ることができる材料、たとえば適切なワイアメッシュの容器を囲む透明なポリエチレンフィルムで覆われるべきである。光に曝すと、殻(shell)が壊れて開き、種子が放出されて、苞(chaff)から分けることができる。
【0052】
clutiaおよびdovyallisの種子の自然環境において、それらを植え付けるために適切な時期は、雨期、典型的には4月頃である。しかし、野生では、植物は非常に多量の水と光が成長に必要であるため、植物は一般に乾期中を除いて通年成長することになる。
【0053】
Croton macrostachyus(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、30cmの長さまで垂れ下がる穂に薄灰色のエンドウ豆のサイズのカプセルを生じ、樹上で裂けて開き、柔らかで、クリーム色の仮種皮、または外皮によって一端が覆われた、3個のつやのある灰色の種子を放出する。
【0054】
Prunus Africana(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、直径が約10mmで、色は桃色がかった茶色の、球形の果実を生じる。
【0055】
Acacia nilotica(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は約17x2cmの大きさのまっすぐか、または曲がった莢を生じる。未熟な時には、莢は緑色で多肉質であるが、成長によりしだいに黒ずみ、通常滑らかである。莢は果物のような香りを有し、地面の上で開いて種子を放出する。
【0056】
Ekebergia capensis(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、重い房の中の長い茎上に、直径2.5cmに至るまでの、丸く、薄い皮の液果を生じ、それは熟すと黄色から赤色になる。
【0057】
Rhamnus prinoides(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の液果様の果実は、エンドウ豆のサイズ(直径5mm)で、丸みを帯び、3つの小室にはっきりと分割される。それらは多肉質で、緑色であるが、熟すと赤、その後紫に変化する。
【0058】
Asparagus africanus(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)の果実は、直径約0.5cmで、熟すに従い緑色からオレンジ色に変わり、ほぼ通年見られる丸い液果である。それは、主に種子を運ぶ鳥によってまき散らされる。
【0059】
Anthocleista grandiflora(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、形態が卵形で、約3cmx2cmの大きさの、光沢があり、滑らかで、熟すと茶色になる果実を生じる。たくさんの種子を持つ大きな果実が通年見られる。
【0060】
Bersama abyssinica(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は滑らかで、球形であり、直径が約2.5cmの大きさで、初めは金色でベルベット様、熟すことにより大部分の毛を失い、茶色になるカプセルを生じ;それは4つのバルブに裂け、黄色のコップ型の仮種皮によって長さの約半分を包まれた、約10mmの長さの魅力的で明るい赤色の種子を現す。
【0061】
Adenia gummifera(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、革様、または多肉質で、しばしば赤色の、柄のある3つのバルブを持つカプセルである果実を生じ;種子は多肉質の仮種皮中の骨質の種皮に詰め込まれる。
【0062】
Plantago palmata(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)はカプセル毎に2つの種子を持つカプセル様の果実を生じる。
【0063】
Periploca linearifolia(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、種子の先端に付いた約3cmの長さの綿毛を持つ、長さ約10mm、幅2mmの大きさの黒色の種子を生じる。種子は約12cmの長さの莢に包まれる。熟すと、日光に曝されることによって割れて開く。このことが種子を放出させ、それらは風によってまき散らされながら、綿毛によって空高く運ばれる。あるいは、これらの植物は挿し木によって栽培してもよく、それらは地面に置くか、または植え付けられることにより根を伸ばし、新規な植物に増殖する。
【0064】
Clematis hirsuta(ATCC受託番号PTA− という名称で寄託されている該系統の代表的な種子)は、長さ約3mm、幅1mmの大きさの黄色みを帯びた種子を生じる。種子は、約5mmの長さの黄色みを帯びた白色の綿毛によって囲まれる。綿毛は、媒介物である風に乗って種子を運ぶ。
HIV試験
先に述べたように、本出願の目的のために、初めのスクリーニング試験と確認試験からなる、2つの部分のHIVスクリーニング試験で人が陰性の評価を得た場合に、対象はHIV‐陰性と見なされる。
【0065】
感染した個体は通常、1種以上の以下の理由について試験することに当てはまる:1)個体は気分が悪い、2)個体の性的パートナーが病気であり、陽性の結果を得ている、3)個体の性的パートナーがAIDSで死亡した;または4)個体が性的パートナーを性的に乱交していると疑っている。
【0066】
初めのスクリーニング試験は、HIV抗体の存在を特定する酵素イムノアッセイ(EIA)の、ELISA(酵素結合免疫吸着法)である。ELISA試験は、ウイルスに対する抗体を捕獲する人工的なHIVタンパク質を使用し、99パーセントよりいっそう正確である。HIVに対する抗体が存在する場合(陽性の結果)、試験は典型的には反復される。しかし、他の抗体が偽陽性の結果を引き起こしうる。
【0067】
一般に、HIV‐1抗体は急性感染後約25日目に検出可能であり、ほぼすべての感染した対象は感染後12週間目にHIV陽性の評価を得る。ウイルスに対して抗体を産生するプロセスは血清交換と呼ばれ、抗体に陽性になる個体はしばしばセロコンバーター(seroconverter)と呼ばれる。
【0068】
2種の型のHIV、HIV‐1およびHIV‐2が同定されていて、そのうちHIV‐1がより一般的である。HIV‐1およびHIV‐2は媒介の様式(性的接触、注射針の共有など)が類似し、感染した個体は一般に同じ日和見感染症に罹る。しかし、HIV‐2はHIV‐1よりゆっくりと免疫系を弱める様に見える。
【0069】
ケニアでは、個体は一般にHIV‐1およびHIV‐2の両方の抗体に関して試験される。西欧では、HIV‐1が概してより一般的であり、アフリカではHIV‐2がより一般的である。しかし、ケニアでは大部分のHIV‐陽性‐個体はHIV‐1に感染している。ケニアではHIV‐陽性症例の90%はHIV‐1であり、HIV‐陽性の症例の残りの10%がHIV‐2であると考えられている。まれではあるが、対象はまれに両方の型のHIV(すなわち、HIV‐1およびHIV‐2)に対して、HIV抗体‐陽性である。
【0070】
HIVスクリーニング試験の第2の部分は確認試験と呼ばれる。米国において、最もしばしば使用される確認試験はウェスタンブロット法であり、その方法では、電場を使用して種々の成分をそれらの分子量によって分離し、その後抗体結合を評価する。これによって特定のウイルス抗原に対する抗体を同定し、それらは試験紙の細片上に同定可能な「バンド」として現れる。ウェスタンブロット試験は実行し、正確に解釈することがELISA試験より困難であるが、ELISAに反応する可能性がある他の抗体をHIV抗体と識別することが可能であるため、偽陽性の結果を示す可能性がより少ない。直接蛍光抗体アッセイ(IFA)および放射免疫沈降アッセイを含む他の確認試験が使用されてもよい。
【0071】
抗体試験の主要な欠点の1つは「ウインドウ(空白)」期間(すなわち、感染が開始してから身体が抗体を産生するまでにかかる時間)である。スクリーニング試験は、症状の有無と相関しない。標準HIV試験はウイルス自体を検出しないが、そのかわり身体がウイルスに反応して産生する抗体を検出する。抗体が産生される以前の期間、人はHIVに感染する可能性があり、他人に感染させることも可能であり、そして依然としてHIV抗体試験では陰性と評価される。したがって、陰性と評価される対象に、リスクの高い行動に携わることを避け、少し後に再試験のために戻るように伝えることが重要である。
【0072】
p24抗原試験は、感染初期にHIVを診断することに使用しうる。それは血液補給物をスクリーニングするために主に使用されるが、一部の場所ではHIVを試験するために使用される。p24抗原はHIVの一部であるタンパク質である。感染初期にそれは過剰に生産され、市販の試験によって血清中に検出されうる。p24試験は、HIV抗体試験がHIV感染を検出可能になる前に、検出可能であり、リスク暴露後2〜3週間目に推奨される。
【0073】
HIVに陽性と評価された個体は、血中のHIVレベルをモニターし、ウイルスがどのように免疫系に影響を与えているかを特定するために、定期的に2種の試験を施行される。これらの試験は:(1)ウイルス負荷測定、および(2)CD4+細胞カウントである。
【0074】
ウイルス負荷測定(HIV血漿RNA試験とも呼ばれる)は、一定量の人の血液中にどのくらいのウイルス粒子が存在するかを特定する。ウイルス負荷試験は、ウイルスが体内でどのくらい速く増殖するかを示すため、試験の結果はHIV感染にとって最もよい治療法を決定することに役立つ。HIVはそれ自体のコピーを作製することによって増殖するため、結果は1ミリリットル(mL)毎のコピーとして示される。ウイルス負荷試験はまた、抗体が検出される前にHIV感染の存在を明らかにすることができ、その上感染した母親から生まれる赤ちゃんがHIVを持っているかどうかを正確に特定することができる。
【0075】
CD4+細胞カウント(T‐リンパ球測定)は、個体の免疫状態の見積もりを提供し、日和見感染症の当面のリスクの特定に役立つ。CD4+カウントはHIVによって最も影響を受けるある型の白血球数を測定し、HIVに感染した個体において、3〜4ヶ月毎に測定される。平均では、HIVに感染した個体は1年につき30〜60のCD4+細胞を失うが、一部の対象では、CD4+T‐リンパ球カウントは何年間も安定したままで、その後迅速に減少する可能性がある。
【0076】
CD4(T4)またはCD4+細胞は、たとえばウイルス、真菌、およびプロトゾア感染のような感染からの保護に関与するT細胞の1つの型である。これらの細胞の破壊はAIDSで観察される免疫不全症の主要な原因であり、CD4+リンパ球カウントの減少は日和見感染症の潜在的な発症にとっての最もよい指標であるように見える。HIV/AIDSの症例の重症度を判断することにおいて、CD4+リンパ球カウントは総体的な症状よりも疾患の重症度を表しやすいが、ある種の症状が特定のCD4+リンパ球レベルに関連してよいことも真実である。たとえば、図1を参照されたい。正常な成人の平均CD4+細胞カウントは典型的には血液1立方ミリリットルにつき500〜1,500/2,000細胞の範囲である。
【0077】
CD4+細胞カウントは一次HIV感染中に正常な成人レベル未満に減少するため、CD8+または細胞毒性T‐リンパ球も増加する。しかし、大部分の研究は、CD8カウントの増加が疾患進行の予後経過を示す指標ではないことを示唆する。米国の一部の臨床医は疾患進行の指標としてCD4/CD8比を使用するが、この比は疾患の重症度によってだけでなく、対象の民族性によっても変化する。
【0078】
HIV感染を分類し、ステージに分けるためのいくつかのシステムが存在する。最も一般的に使用されるシステムはCD(Centers for Disease Control)スキームである。CDCスキームはCD4カウントに基づいて3つに分類される。3つのCD4+T‐リンパ球カテゴリー1の定義は以下の通りである:カテゴリー1:>500細胞/mm(またはCD4%>28%);カテゴリー2:200〜499細胞/mm(またはCD4%14%〜28%);およびカテゴリー3:<200細胞/mm(またはCD4%<14%)。
【0079】
CDC分類スキームに加えて3つの臨床状態の可能なカテゴリーが存在し、それらはA、BおよびCという文字によって表される。したがって、指定の個体は以下のCDC分類および臨床的分類表示:1−A、または1−B、または1−C、2−A、2−B、2−C、3−A、3−Bまたは3−Cを有することができる。
【0080】
カテゴリーAの個体は1種以上の以下の状態を有し、(そしてカテゴリーBおよびCに関係するどんな状態も欠如する)HIV感染が実証された青年または成人(>13歳)として同定される:無症候性HIV感染;継続的で全身化したリンパ節症;および付随する病気または急性HIV感染の既往歴を持つ急性(一次)HIV感染。
【0081】
カテゴリーBの個体は1種以上の以下の状態を有し(そしてカテゴリーCに関連した状態のいずれかを欠如する)、少なくとも1種の以下の基準に適合する、HIV感染が実証された青年または成人(>13歳)として同定される:(a)状態がHIV感染に起因すると考えられるか、または細胞‐媒介免疫における欠陥を示している;または(b)状態がHIV感染によって悪化した臨床的経過を有するか、または処理を必要とすると医師によって見なされる。臨床カテゴリーBの状態の例としては以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:細菌性血管腫症;カンジダ症(口咽頭;すなわち鵞口瘡);カンジダ症(外陰部膣、繰り返し起こる、頻発する、あるいは療法に反応しにくい);頸部形成異常症(中等症または重傷/in situ頸部癌);体質性症状、たとえば発熱(38.5℃またはそれより高い体温)または1ヶ月より長く続く下痢;毛状白板症(口腔);帯状疱疹(shingles)、少なくとも2種の異なる症状の出現または1つより多い皮膚知覚帯を含む;特発性血小板減少性紫斑;リステリア症;骨盤内炎症性疾患(とりわけ、卵管卵巣腫瘍によって悪化している場合);および(11)末梢性ニューロパシー。分類の目的のために、カテゴリーB状態はカテゴリーA状態に優先する。たとえば、以前に口腔または繰り返し起こる膣カンジダ症(しかしカテゴリーC疾患または状態を提示しない)の治療を受け、現在症状のない個体は、カテゴリーBに分類されるべきである。
【0082】
カテゴリーCの個体は1種以上の以下の状態を有する、HIV感染が実証された青年または成人(>13歳)として確認される。カテゴリーCの状態には以下のものが挙げられる:気管支、気管または肺のカンジダ症;カンジダ症(食道);浸潤性頸部癌;コクシジオイデス症(播種性または肺性以外);クリプトコッカス症(肺性以外);クリプトスポリジウム症(慢性腸性、1ヶ月より長い持続期間);サイトメガロウイルス疾患(肝臓、脾臓、または結節以外);サイトメガロウイルス網膜炎(視力損失を伴う)、脳症(HIV‐関連);単純疱疹;慢性潰瘍(1ヶ月より長い持続期間)、または気管支炎、間質性肺炎、または食道炎;ヒストプラスマ症(播種性または肺性以外);イソスポラ症(慢性腸性、1ヶ月より長い持続期間);カポジ肉腫;リンパ腫(バーキット、または相当する用語);リンパ腫、(免疫芽細胞、または相当する用語);リンパ腫(一次性、または脳);マイコバクテリウムアビウムコンプレックス(mycobaterium avium complex)症またはM.kansasii,播種性または肺性以外;結核、(任意の部位、肺性または肺性以外);マイコバクテリウム症、(他の種または同定されていない種、播種性または肺性以外);ニューモチスチスカリニ肺炎;肺炎(再発性);進行性多病巣性白質脳症;サルモネラ敗血症(再発性);トキソプラズマ脳炎;およびHIVによる消耗症候群。分類の目的のために、いったんカテゴリーC状態が発生すると、個体はカテゴリーCの状態のままである。
【0083】
HIV‐陽性の個体のための治療の一方法は、非常に即効性の抗レトロウイルス療法(HAART)投薬計画である。HAARTは抗‐HIV薬の組み合わせからなる治療計画であり、それはHIV‐陽性の個体がたとえAIDSの症状を発症する前でも彼らに処方される。療法は通常1種のヌクレオシド類似体、1種のプロテアーゼ阻害剤および第2のヌクレオシド類似体または非‐ヌクレオシド逆転写阻害剤(NNRTI)のいずれかを含む。しばしば、HAART投薬計画は個体にとって毒性であり、有害な副作用を生じる。たとえば、HAARTはほとんどいつもAZTのような、1種または2種のヌクレオシド類似体を含み、それらは赤血球および白血球ならびに血液細胞生産に対するそれらの毒性のために悪名が高い。種々の形態の貧血は非常によく見られ、時には回復不能である。しかし、ケニアでは、HAART投薬計画を受けている対象にとって、彼/または彼女のHIV状態を逆転することは極めてまれである。
【0084】
HAART治療投薬計画に投与される薬物の例としては以下のものが挙げられる:アジドブジン(AZT)、ジダノシン(ジデオキシイノシン、ddI)、ザルシタビン(ジデオキシシトシン、ddC)、ラミブジン(エピビル;3TC)、ネビラピン(Viramune)、アバカビル(Ziagen)、スタブジン(Zeit、d4T)、テノフォビル(Viread)、エファビレンズ(Sustiva)、アンプレナビル(Agenerase)、ロピナビル(Kaletra)、ネフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、リトナビル(Norvir)、インジナビル(Crixivan)、およびデラビルジン(Rescriptor)。
アルカロイド化合物を抽出し、薬草組成物を調製するための方法
本発明の組成物は、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaの根、ならびに場合により1種以上の以下のもの:Prunus africanaの樹皮、Croton macrostachyusの樹皮、Acacia niloticaの樹皮、Rhamnus prinoidesの根、Adenia gummiferaの根、Asparagus africanusの根、Anthocleista grandifloraの樹皮、Plantago palmataの全草、Clematis hirsutaの根、Ekebergia capensisの樹皮、Bersama abyssinicaの樹皮、およびPeriploca linearifoliaの根を使用して調製される。好ましくは、集められた成分は新鮮であるが、さらに乾燥試料が使用されてもよい。成分は合わせて、小片に切り刻み、乾燥させる。好ましくは、乾燥した成分は乾燥後に微細な粉末にすりつぶされる。あるいは、それぞれの成分は個々に処理されて後の段階で組み合わせてもよい。好ましくは、抽出プロセスのために組み合わせる場合、成分は等しい重量比で組み合わせられる。場合により、Dovyalis abyssinica、Clutia robusta、Prunus africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prunioides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaは重量比2:2:2:2:2:2:1:2:2:1:2:2:2:2で存在しうる。
【0085】
薬草植物材料混合物は非極性溶媒で抽出して、切り刻まれた薬草成分から脂肪を取り除いてもよい。好ましくは、容積で約20%の非極性溶媒が薬草成分混合物に添加される。非極性溶媒は一般に20未満の誘電率を有する有機溶媒である。使用してもよい非極性溶媒には以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:アルカン、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、クロロホルム、メチレンクロリド、ベンゼン、エーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、酢酸、ブタノール、クロロベンゼン、シクロアルカン、キシレンなど。好ましい非極性溶媒はキシレンおよびエーテルである。
【0086】
非極性溶媒はデカンテーションし、捨てられる。次に脱脂した薬草固形物を乾燥させる。十分な塩基が脱脂した薬草材料に添加され、約8のpHを得る。添加された塩基の濃度を調節し、脱脂した薬草固形混合物を覆うのに十分な液体容積を提供することができる。任意の適切な塩基を使用してよいが、好ましい塩基としてはNaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、NHOHなどが挙げられる。その後塩基抽出物は2〜4時間加熱される。好ましくは、成分は還流条件下でゆっくり煮詰められるが、蓋をしたポットで混合物を煮詰めることによって同じ結果を得ることができる。
【0087】
塩基抽出物に酸が添加されて約3のpHを得る。好ましくは、酸はHClであるが、HBr、HNO、HSO、HPOを含むが、それらに限定されない他の酸、または約3のpHを得るために適した任意の他の酸が同じように使用されてもよい。酸の濃度は適宜調節され、混合物にとっての十分な容積を提供することができる。酸性化された溶液は、塩基性溶液の加熱に使用された条件と同じ条件下で約2〜4時間沸騰させる。加熱後、混合物は冷やされ、たとえば残っている固形物から液体をデカンテーションすることにより、水層は混合物から分けられる。その後残っている残渣に約3のpHを得るために十分な酸が添加され、混合物は先に使用した条件と同じ条件下で約2〜4時間再加熱される。水層は成分から分けられ、2つの酸性化した層は合わせられる。必要な場合、付加的な酸抽出が行われてもよい。
【0088】
酸性濾液は、乳濁液がほとんど、あるいは全く形成されなくなるまで、非極性溶媒により数回抽出される。好ましい非極性溶媒はエーテルおよびキシレンである。塩基が水層に添加され、アルカロイド化合物を沈殿させる。好ましくは、塩基が添加されて約9のpHを得る。沈殿物は水性溶液から分けられ、中和され、乾かされる。
【0089】
沈殿物は好ましくは、結晶または粉末の形態のいずれかで集められ、飲料、カプセル剤、錠剤、粉末剤、キャンディ、ゲル剤、栄養性製品または医薬品として対象に投与されてもよい。
【0090】
沈殿物はさらに、所望の通りに精製され、いずれか公知のクロマトグラフィー手段により個々のアルカロイド化合物を単離することができる。
薬草成分からアルカロイド化合物を抽出するプロセス中のいずれかの時点で、水性溶液は、溶液から化合物を沈殿させる必要なしに、濃縮され、後の使用のために保存できることが理解される。
【0091】
あるいは、本発明における使用のためのアルカロイド化合物は、いったん化学構造が決定されていれば、公知の方法により合成することができる。単離された化合物は化学分析、質量分析、赤外線分光分析、X‐線回折、NMR(H NMR、13C NMR、COSY、NOSEYなどを含む)、および化学構造を得るための他の公知の分析技術によって分析することができる。たとえば、Dovyalis abyssinicaから得られた4種の抽出物の化学構造は以前に決定されている(たとえば、
1207275744390_0.pdf
を参照されたい)。
【0092】
本発明はここで以下の限定的でない実施例への参照により、より詳細に説明されることになる。
実施例
植物抽出物の生物活性の測定
個々の植物抽出物の効力は大腸菌および黄色ブドウ球菌に対して試験された。植物抽出物は先に記載のように得た。抗菌アッセイにおける使用のために、それぞれの植物抽出物100ppm(百万分率)を含む溶液が調製された。
【0093】
大腸菌および黄色ブドウ球菌の細菌培養物の調製
大腸菌(グラム‐陰性細菌系統を代表する)および黄色ブドウ球菌(グラム‐陽性細菌を代表する)はMoi University Teaching and Referral Hospitalから得た。アッセイはMoi University Department of Botanyにおいて行われた。
バイオアッセイ手順(拡散法)
栄養素を含む寒天を両細菌試料の増殖培地として使用した。寒天はオートクレーブ中、120℃で滅菌し、冷やし、滅菌シャーレに注ぎ、セットした。滅菌状態は試料調製およびアッセイ手順中にUVランプに範囲を曝すことによって獲得し、維持した。
【0094】
冷やした寒天培地は、それぞれの細菌培養物を表面に筋状に塗りつけられた。コルクボーラーを使用して、培地の中央にウェルを掘り、そこに調製した植物抽出物を入れた。対照実験は植物抽出物のかわりに純粋な滅菌水を使用して同様に行った。
【0095】
培養物は12時間インキュベーションし、その後、細菌増殖の阻止帯を特定し、測定した。細菌‐増殖の阻止は直径(mm)で表し、ウェルの端から細菌が増殖を示し始める区域までの距離を測定することによって特定した。一般に、阻止直径が大きいことは、細菌に対する特定の抽出物の効力が強いことを示唆する。
【0096】
本アッセイでスクリーニングした23種の植物の中で、14種の植物は、薬草療法に抽出物を採用するために必要な最小活性であると以前に定められた8mmより大きい細菌増殖阻止直径を有した。植物の抗‐細菌活性は標準抗生物質と比較された。8mmより大きい阻止直径を有する14種の植物の中でDovyalis abyssinicaおよびClutia robustaは最も強い抗‐細菌活性を実証した。8mmより大きい阻止直径を提示する植物抽出物の結果は表1に提供される。
【0097】
【表1】

【0098】
薬草組成物の投与
植物抽出物沈殿物は好ましくは精製され、結晶または粉末の形態で集められる。沈殿物は飲料、カプセル剤、錠剤、粉末剤、キャンディ、ゲル剤、栄養性製品または医薬品として対象に投与することができる。好ましくは、感染した対象に1日につき0.1〜25グラムのアルカロイドが投与される。薬草組成物は好ましくは1tbspの粉末抽出物を約250mLの熱湯に溶かした飲料として投与され、飲まれる。12時間間隔で1日に2回、または8時間間隔で1日に3回(試験対象の感染レベルに依存して)投薬が行われ、好ましくは食事と一緒に投与される。
【0099】
現行の試行における対象は、ケニア、ケリチョウの米国陸軍のWalter Reed Hospital、エルドレットのMoi University Hospital、および国中に散在する多数のVoluntary Counseling and Testing(VCT) Centersにおいてスクリーニングされた。
【0100】
対象のCD4およびCD8カウントはFACSCount白書(1994年7月)に提供された手順に従い、FACSCount(登録商標)システムを使用して測定された。HIV‐1およびHIV‐2抗体はbioMerieux Vironostika(登録商標) HIV Uni−Form II Ag/Ab ELISAシステムを使用して検出された。
【0101】
薬草組成物を投与されたすべての対象はHIV‐陽性の成人であった。薬草組成物の投与前に、それぞれの対象の初めのCD4カウントが測定され、続いて日和見感染症のレベルが評価された。日和見感染症がより少ないものは12時間間隔で、1日に2回、食後に薬草組成物を投与された。日和見感染症がより強いものは、8時間間隔で1日に3回、薬草組成物を投与された。それぞれの対象は外来でのそれぞれの診察中に、1週間分の投薬量が与えられた。このことを行ってコンプライアンスをモニターし、対象が薬物を他人と共有する可能性を回避することを可能にした。
実施例1
薬草療法によるHIV陽性対象の治療に関する初めの研究は、4人のHIV陽性対象を2種の異なる薬草療法によって治療することにより実施された。2人の対象はDovyalis abyssinicaの抽出物を含む薬草組成物を投与され、一方、他の2人の対象はClutia robustaの抽出物を含む薬草治療薬を投与された。対象はそれぞれ3ヶ月間治療された。2組の対象(すなわち、Dovyalis abyssinicaまたはClutia robustaのいずれかを投与された対象)のCD4カウントは治療1か月につき約10ずつ増加した。
実施例2
別の研究において、3人の対象は約3ヶ月間、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaの重量比1:1の混合物により調製した薬草組成物を投与された。混合物で治療された対象のCD4カウントは1か月につき約30ずつ増加した。
実施例3
さらに別の実験において、21人の対象はDovyalis abyssinica、Clutia robusta、Prunus Africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Ekebergia capensis、Clematis hirsutaおよびAdenia gummiferaの抽出物を含む薬草組成物を投与された。以前に大腸菌および黄色ブドウ球菌に対してアッセイされている全部で23種の植物抽出物から8種の植物抽出物が選択された。表2に示すように、対象のCD4カウントは1ヶ月につき100に至るまで増加したが、3ヶ月以内に対象はすべてHIV陰性の評価を得られなかった。
【0102】
【表2A】

【0103】
【表2B】

【0104】
実施例4
別の実験において、21人のHIV‐陽性対象は表1で同定された14種の薬草成分からなる薬草組成物により治療された。対象は、約8ozs.(250ml)の熱湯に粉末にした成分(表1に挙げた14種の植物から調製された混合物)約1tbsp.を溶解することによって調製された組成物を投与された。その後上澄み液が対象によって摂取された。
【0105】
対象は2つのグループに分けられた:第1グループは10人の対象(対象ID番号1〜10)を有し、第2グループは16人の対象(対象ID番号11〜26)を有した。第1グループでは、14種の植物それぞれは組成物中に等しい重量比で存在した。第2グループでは、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaの濃度は開示したように他の12種の成分の約半分であった。
【0106】
表3に示すようにそれぞれの対象のCD4カウントは1ヶ月を基準に測定された。14種の成分の薬草組成物により治療された試験対象のCD4カウントは1ヶ月に100に至るまで増加した。6人の対象は4ヶ月の治療後にHIV‐陰性の評価を得た。2人の対象は2ヶ月の治療後にHIV‐陰性の評価を得た。
【0107】
【表3A】

【0108】
【表3B】

【0109】
本発明によって得られた結果と比べて、Moi University Teaching and Academic Model for Prevention and Treatment of HIV(AMPATH)においてHAARTを与えられた対象に実施された研究では、CD4カウント増加は漸進的で、一般に500より多くなるのに数年間かかった。対象はスタブジン、ラミブジンおよびネビラピン(d4T−3TC−NVP)の1日2回の投薬からなる、一般に行われている抗レトロウイルス(ARV)療法により治療された。他のARV投薬計画は、ZDV−3TC−NVP、d4T−3TC−EFVおよびZDV−3TC−EFV(ZDVはジドブジンであり、EFVはエファビレンズである)からなる組み合わせによる治療を含む。治療指針は世界保健機関によって2004年1月に刊行された刊行物「Integrated Management of Adolescent and Adult Illness」に提供される。ARV療法対象は彼らの血清交換状態をめったに逆転させず、表4に挙げた対象の中でも同じ結果であった。
【0110】
【表4A】

【0111】
【表4B】

【0112】
本明細書に引用されたすべての特許および他の参考文献は本発明が関連する当業者の技術のレベルを表し、まるでそれぞれの参考文献が個々にそのまま参照として援用されていたのと同じ程度に、どんな表および図面も含むそれらの全体を参照として援用する。
【0113】
当業者は、本発明が言及された目的および利点、ならびにその中に本来備わっているそれらを得るためによく適合していることを理解する。現在代表的な好ましい態様として本明細書に記載された方法、多様性、および組成物は代表的なものであって、本発明の範囲を限定するものではない。当業者はその中の変更および他の使用に気づくことになり、それらは本発明の意図の中に含まれ、特許請求の範囲によって定義される。
【0114】
本明細書に提供される定義は特記しない限り、当業者によって普通に理解される意味を限定することを意図しない。
本明細書に説明的に記載された本発明は、本明細書に明確に開示されないいずれかの要素や限定なしに、適切に実行されてもよい。したがって、たとえば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は包括的に、限定せずに読まれることになる。その上、本明細書に使用される用語および表現は説明の用語として使用されていて、限定する用語ではなく、したがって、そのような用語および表現の使用において、示され、そして記載された特徴に相当する任意のもの、またはその一部を除外することは意図しないが、主張された本発明の範囲内で、種々の改変が可能であることは認識される。したがって、本発明は好ましい態様および付加的な特徴によって明確に開示されているが、開示された本明細書において、その中に含まれる本発明の改変および変更が当業者によって用いられること、およびそのような改変および変更が本発明の範囲内であると見なされることは理解されるべきである。
【0115】
本発明は、本明細書におおざっぱで包括的に記載されている。包括的な開示内にあるより狭い種および下位の類概念のグループ分けも本発明の一部を形成する。このことは、削除された事項が本明細書に明確に説明されているかどうかに関わらず、類概念から任意の主題事項を除去する、但し書きまたは消極的な限定を伴った本発明の包括的な説明を含む。
【0116】
本明細書において記載された植物部分は、発明者らの経験において、最も高濃度の有益な成分が見いだされることになる部分である。しかし、説明された植物の中の、先のパラグラフ〔0022〕および本明細書の他の所に明確に説明されていない別の部分において、同じ、または他の有益な化合物が見いだされてもよいこと、したがって、Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaを含む、説明された植物の任意の部分からなる任意の組成物が本発明の範囲内にあることは当業者には明白である。
【0117】
他の態様は以下の特許請求の範囲内にある。その上、本発明の特徴または側面がMarkushグループの用語で説明される場合、本発明は同じようにMarkushグループのいずれか個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの用語でそれについて説明されることを当業者は認識することになる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】観察された臨床的徴候とCD4+カウントの結果間の関連を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Dovyalis abyssinicaの乾燥した根;およびClutia robustaの乾燥した根を含む、感染性疾患に罹患した対象を治療するための薬草医薬組成物。
【請求項2】
Prunus Africanaの乾燥した樹皮、Croton macrostachyusの乾燥した樹皮、Acacia niloticaの乾燥した樹皮、Rhamnus prunioidesの乾燥した根、Adenia gummiferaの乾燥した根、Asparagus africanusの乾燥した根、Anthocleista grandifloraの乾燥した樹皮、Plantago palmataの乾燥した全草、Clematis hirsutaの乾燥した根、Ekebergia capensisの乾燥した樹皮、Bersama abyssinicaの乾燥した樹皮、およびPeriploca linearifoliaの乾燥した根からなる群から選択される少なくとも1種の薬草をさらに含む、請求項1に記載の薬草医薬組成物。
【請求項3】
Prunus Africanaの乾燥した樹皮、Croton macrostachyusの乾燥した樹皮、Acacia niloticaの乾燥した樹皮、Rhamnus prunioidesの乾燥した根、Adenia gummiferaの乾燥した根、Asparagus africanusの乾燥した根、Anthocleista grandifloraの乾燥した樹皮、Plantago palmataの乾燥した全草、Clematis hirsutaの乾燥した根、Ekebergia capensisの乾燥した樹皮、Bersama abyssinicaの乾燥した樹皮、およびPeriploca linearifoliaの乾燥した根をさらに含む、請求項1に記載の薬草医薬組成物。
【請求項4】
組成物が水により抽出される、請求項1〜3のいずれかに記載の薬草医薬組成物。
【請求項5】
Dovyalis abyssinicaの乾燥した根とClutia robustaの乾燥した根が重量比で1:1の状態である、請求項1に記載の薬草医薬組成物。
【請求項6】
Dovyalis abyssinicaの乾燥した根、Clutia robustaの乾燥した根、Prunus africanaの乾燥した樹皮、Croton macrostachyusの乾燥した樹皮、Acacia niloticaの乾燥した樹皮、Rhamnus prinoidesの乾燥した根、Adenia gummiferaの乾燥した根、Asparagus africanusの乾燥した根、Anthocleista grandifloraの乾燥した樹皮、Plantago palmataの乾燥した全草、Clematis hirsutaの乾燥した根、Ekebergia capensisの乾燥した樹皮、Bersama abyssinicaの乾燥した樹皮、およびPeriploca linearifoliaの乾燥した根が重量比で2:2:2:2:2:2:1:2:2:1:2:2:2:2の状態である、請求項3に記載の薬草医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が水により抽出される、請求項5または6に記載の薬草医薬組成物。
【請求項8】
以下のことを含む、請求項1〜3または請求項5〜6のいずれかに記載の薬草医薬組成物を調製するための方法:
薬草を混合して、薬草医薬混合物を形成すること;
水中の薬草医薬混合物を煮詰め、水抽出物を形成すること;および
水抽出物を濾過し、濾液を得ること。
【請求項9】
以下のことを含む、請求項4に記載の薬草医薬組成物を調製するための方法:
薬草を混合して、薬草医薬混合物を形成すること;
水中の薬草医薬混合物を煮詰め、水抽出物を形成すること;および
水抽出物を濾過し、濾液を得ること。
【請求項10】
以下のことを含む、請求項8に記載の薬草医薬組成物を調製するための方法:
薬草をすりつぶし、混合して、薬草医薬混合物を形成すること;
水中の薬草医薬混合物を煮詰めること;
薬草医薬組成物を濾過し、薬草抽出物を含む薬草溶液から薬草混合物を分離すること。
【請求項11】
以下のことを含む、請求項9に記載の薬草医薬組成物を調製するための方法:
薬草をすりつぶし、混合して、薬草医薬混合物を形成すること;
水中の薬草医薬混合物を煮詰めること;
薬草医薬組成物を濾過し、薬草抽出物を含む薬草溶液から薬草混合物を分離すること。
【請求項12】
以下のことを含む、請求項1〜3または5〜6のいずれかに記載の医薬組成物からアルカロイドを抽出するための方法:
薬草をすりつぶし、混合して、薬草混合物を形成すること;
非極性溶媒により薬草混合物を抽出すること;
塩基を添加して塩基性溶液を得て、該混合物を加熱すること;
酸を添加して酸性溶液を得て、該混合物を加熱すること;
非極性溶媒により該酸性溶液を抽出すること;そして
アルカロイド化合物を沈殿させ、集めること。
【請求項13】
塩基がNaOH(aq)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸がHCl(aq)である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
酸性溶液が約3時間ことこと煮ながら加熱される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
非極性溶媒がエーテルである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
非極性溶媒がキシレンである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
塩基性溶液のpHが約8である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
酸性溶液のpHが約3である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
酸性溶液をデカンテーションして酸性抽出物と残渣を提供し、残渣に酸を添加して酸と残渣を約4時間ことこと煮ながら加熱する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
添加される非極性溶媒が容積で約20%である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
アルカロイドの沈殿が約9のpHで行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
沈殿したアルカロイドが、飲料、カプセル剤、錠剤、粉末剤、キャンディ、ゲル剤、栄養性製品または医薬品中の製剤として対象に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
アルカロイド0.3〜20グラムが毎日対象に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
アルカロイドが少なくとも1日に2回食後に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
粉末形態の組成物約1tbsp(テーブルスプーン)を約250mlの熱湯に溶かし、対象が少なくとも1日に2回その上澄み液を飲む、請求項25の組成物を投与する方法。
【請求項27】
上澄み液を12時間毎に対象が食後に飲む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
粉末の形態の組成物約1tbspを約250mlの熱湯に溶かし、少なくとも毎日3回その上澄み液を対象が飲む、対象に請求項24の組成物を投与する方法。
【請求項29】
上澄み液を8時間毎に対象が食後に飲む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週与えられる、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
管理の目的のために、および投薬量指図に違反して他人と製剤を分配することを予防するために、患者は1週間に必要な量の前記製剤を毎週投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
Dovyalis abyssinicaおよびClutia robustaを含む、感染性疾患に罹患した患者を治療するための薬草医薬組成物。
【請求項38】
Prunus Africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prunioides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaからなる群から選択される少なくとも1種の薬草をさらに含む、請求項37に記載の薬草医薬組成物。
【請求項39】
Prunus Africana、Croton macrostachyus、Acacia nilotica、Rhamnus prunioides、Adenia gummifera、Asparagus africanus、Anthocleista grandiflora、Plantago palmata、Clematis hirsuta、Ekebergia capensis、Bersama abyssinica、およびPeriploca linearifoliaをさらに含む、請求項37に記載の薬草医薬組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−504801(P2009−504801A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527967(P2008−527967)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031355
【国際公開番号】WO2007/024510
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508057117)インターナショナル・パテント・ホールディングズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】