感温性且つ感湿性のスマートテキスタイル
【課題】湿度または温度の変化に反応性を有する織布。
【解決手段】織布は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節するヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を含む。これにより、該ヒドロゲルは相対湿度の変化もしくは汗への暴露、またはそれらの関連に応じて膨張または収縮を示し、これにより周囲条件に応じて前記織布の断熱性能、空気の異動及び/または液体の管理を調節する。
【解決手段】織布は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節するヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を含む。これにより、該ヒドロゲルは相対湿度の変化もしくは汗への暴露、またはそれらの関連に応じて膨張または収縮を示し、これにより周囲条件に応じて前記織布の断熱性能、空気の異動及び/または液体の管理を調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布、より詳細には湿度又は温度の変化に反応性である織布に関する。
【背景技術】
【0002】
標準的な織布は生地の構築時に特性が定められ、この特性は周囲条件の変化及び/又は物理作用にかかわらず保持される。これらの標準的な製品は、特に他の織布と共に積層される場合に相乗効果によりかなり効果的となり、快適性を高める。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、織布は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節するヒドロゲルの結合されたコーティング(例えば、化学的接着又は物理的接着)を有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を含む。
【0004】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。ヒドロゲルのコーティングは、ポリマーヒドロゲルを含み得る。ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択され得る。
【0005】
ヒドロゲルは、ポリウレタンポリマー、例えばHuntsman International LLC(Auburn Hills, Michigan)製の、Huntsmanの製品安全データシート8044(この開示の全体は参照により本明細書に援用される)に記載のKRYSTALGRAN(登録商標)(成分を熱可塑性ポリウレタン(99%)と規定)等の脂肪族熱可塑性ポリウレタン;及び/又は芳香族熱可塑性ポリウレタン、例えばHuntsman International LLC(Auburn Hills, Michigan)製の、Huntsmanの製品安全データシート00018182(この開示の全体は参照により本明細書に援用される)に記載のIROGRAN(登録商標)(成分を熱可塑性ポリウレタン(70〜100%)及び商標付き難燃剤(10〜30%)と規定)を含み得る。ポリウレタンポリマーは、親水性ポリウレタンであってもよい。ポリウレタンポリマーは、架橋型ポリウレタン又は非架橋型ポリウレタンであってもよい。織布は、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛及び/又は絹)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン及び/又はアクリル)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせから形成され得る。織布は、天然繊維と合成繊維との紡糸を含む糸から形成され得る。織布は、天然繊維から成る糸と合成繊維から成る糸とを含む、相互に輪を形成する複数の糸による編成構造を有し得る。結合剤を用いて、ヒドロゲルを織布の平滑面に結合してもよく、又は織布の平滑面に直接(すなわち、別個の且つ/又は付加的な結合剤を必要とすることなく)結合してもよい。ヒドロゲル及び/又は結合剤は、(例えば、繰り返し洗浄サイクル、並びに物理的な湿潤摩擦及び乾燥摩擦に耐性のある)耐摩擦性材料であってもよい。ヒドロゲルのコーティングは、結合剤中に複数のゲル粒子を含み得る。結合剤はポリマーマトリックスであってもよい。結合剤は発泡体マトリックスであってもよい。結合剤は、ヒドロゲルを織布の平滑面に結合するように構成される発泡粘着剤を含んでいてもよい。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン及び/又はアクリルを含んでいてもよい。ゲル材料は、崩壊状態で約1μm〜約5,000μm、好ましくは約100〜約250μmの範囲の粒径を有する。ゲル粒子は、ヒドロゲルの総乾燥重量の約5%〜約80%を占める。ヒドロゲルは、約0℃〜約50℃、例えば約10℃〜約50℃、約0℃〜約40℃、約30℃〜約40℃等の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは高速反応ゲルから成る。ヒドロゲルの膨張及び/又は収縮は実質上可逆的である。織布は、シングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する。織布は、良好な水分管理、良好な伸縮回復性、及び着用者の皮膚に対する優しさから成る群から選択される1つ又は複数の特性を有する。織布は、丸編み及びたて編みから成る群から選択される編成プロセスによって形成される。織布は、丸編みプロセスによって形成され、表編み(regular plating:規則的な編成)のテリーループニット、及び裏編みのテリーループニットから成る群から選択される編物構造を有する。テリーループを、ナッピングにより起毛させてもよい。織布は、織物構造を有する。織布は、親水性であるか、又は親水性となる複数の合成繊維を含む糸を含む。ヒドロゲルの結合されたコーティングは、複数の離散的なコーティング区域を含む不連続コーティングであってもよい。コーティング区域は、離散的なドットの形態をとり得る。コーティング区域は、対照的なサイズの離散的なコーティング区域を含んでいてもよい。コーティング区域は、対照的な密度のクラスター中に配置されていてもよい。クラスターは、対照的な密度のパターンで配置されていてもよい。ヒドロゲルの結合されたコーティングは、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、及びそれらの組み合わせから選択されるパターンで設けられる不連続コーティングである。場合によっては、織布は衣料品の形態であり、ヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する。周囲条件は物理的な刺激を含み得る。ヒドロゲルの1つ又は複数の領域は、周囲条件に応じて織布の通気性及び空気の移動を調節するように構成される。織布は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含み得る。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0006】
別の態様によれば、工学的な保温(thermal)生地製衣服に用いられる感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法は、糸及び/又は繊維を組み合わせることであって、それにより連続ウェブを形成する、組み合わせること;連続ウェブを加工することであって、それにより少なくとも1つの平滑面を形成する、加工すること;及び連続ウェブの平滑面上にヒドロゲルのコーティングを設けることを含み、ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0007】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、丸編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。管状の丸編みによって糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、裏編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。丸編みによって糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、表編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、たて編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、糸及び/又は繊維を組み合わせて織物要素を形成することを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、スパンデックス繊維をステッチ糸に組み込むさらなる工程を含む。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、織布の平滑面上の1つ又は複数の離散的な領域にヒドロゲルのコーティングを設けることを含む。1つ又は複数の離散的な領域は、一般的に使用中に比較的多量の水分(例えば、汗)に曝される平滑面領域に相当する。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、複数の離散的なコーティング区域を含むヒドロゲルの不連続コーティングを設けることを含む。離散的なコーティング区域はドットの形態であってもよい。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、ヒドロゲルを不連続パターン(例えば、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、又はそれらの組み合わせ)で設けることから成る。場合によって、ヒドロゲルとしては、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲル、及び/又は相互侵入高分子の網目構造を有するポリマーゲルが挙げられる。相互侵入高分子の網目構造は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。場合によっては、ヒドロゲルはコポリマーを含み、このコポリマーとしては、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が挙げられ得る。実施の形態によって、ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、コーティング、ラミネート加工及び印刷(例えば、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷、ホットメルトグラビアロール(すなわち、グラビアロール塗工によるホットメルト、又はスクリーン印刷))から成る群から選択さえるプロセスによってヒドロゲルを設けることから成る。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、結合剤を用いてヒドロゲルを織布の平滑面に結合することから成る。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、ヒドロゲルを織布の繊維に直接(すなわち、別個の且つ/又は付加的な結合剤を必要とすることなく)結合することから成る。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。
【0008】
さらに別の態様において、感温性且つ感湿性の織布製衣服は、外側平滑面と、ヒドロゲルの複数の離散的な領域とを有する保温生地を含む。ヒドロゲルの複数の離散的な領域は、使用者の身体の1つ又は複数の所定の領域(例えば、一般的に比較的多量の水分(例えば、汗)に曝される使用者の身体の領域)に相当するパターンで設けられ、保温生地の外側平滑面に結合される。ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0009】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。ヒドロゲルは、約0℃〜約40℃の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは、体積相転移臨界温度未満の温度で水分を吸収し、材料を局部的に膨張させることにより、保温生地の三次元構造を変える。ヒドロゲルポリマー又はヒドロゲル材料(例えば、粒子)は、織布と結合し、ヒドロゲルの任意の収縮及び膨張が、織布の三次元幾何学形状をもたらす。ヒドロゲルは、体積相転移臨界温度を超える温度で水分を放出し、材料を局部的に収縮させることにより、保温生地の三次元構造を変える。ヒドロゲルとしては、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲル、及び/又は相互侵入高分子の網目構造(IPN)を有するポリマーゲルが挙げられる。相互侵入高分子の網目構造は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。場合によっては、ヒドロゲルは親水性ポリウレタンを含み得る。この親水性ポリウレタンは、架橋型ポリウレタン又は非架橋型ポリウレタンであってもよい。場合によっては、ヒドロゲルはコポリマーを含む。このコポリマーとしては、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が挙げられ得る。保温生地の外側平滑面は、ヒドロゲルの領域間に設けられる露出した保温生地の1つ又は複数の領域を含み、保湿生地の内表面から外側平滑面へ水分を吸い上げることができる。保温生地は親水性である。場合によっては、保温生地は、親水性であるか、又は繊維を親水性にするように化学的に処理される合成繊維を含み、保温生地を通した水分の吸い上げを促進する。ヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択されるポリマーゲルを含む。ヒドロゲルは、耐摩擦性材料であってもよい。保温生地は、フィット感、快適性及び形状回復性を高めるために(例えば、三次元構造変化の可逆性を助長するために)、スパンデックスを含む。このスパンデックスは、ステッチ(例えば、未処理のスパンデックス、エア交絡糸、コアスパン及び/又はラップヤーン等の形態)に組み込まれる。保温生地は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含み得る。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロゲルとしては、均質な構造を有するポリマーゲルが挙げられる。ヒドロゲルとしては、結合剤中に組み込まれるポリマーゲルが挙げられる。ヒドロゲルは、結合剤を用いて保温生地の平滑面に結合し得る。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。結合剤は耐摩擦性材料であってもよい。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む。
【0010】
別の態様において、織布は、生地本体を形成する相互に接続している複数の糸及び/又は繊維を含む。複数の反応性の糸及び/又は繊維が、相互に離間して生地本体に組み込まれる。この反応性の糸及び/又は繊維は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の三次元幾何学形状、断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0011】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、ポリマーヒドロゲルから成る。ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)である。ヒドロゲルは、結合剤を用いてコーティングされた糸及び/又は繊維と結合する。ヒドロゲルは、結合剤中に複数のゲル粒子を含む。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となる。ヒドロゲルは、アクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースを含む。ヒドロゲルは、親水性ポリウレタンを含む。ヒドロゲルは、約10℃〜約50℃(例えば、約30℃〜約40℃)の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは、高速反応ゲルから成る。ヒドロゲルの膨張及び/又は収縮は実質上可逆的である。生地本体は、他の糸及び/又は繊維と輪を形成する反応性の糸及び/又は繊維を有する編物構造を含む。他の糸及び/又は繊維は実質的にヒドロゲルを含まない。生地本体は、生地本体に沿って離間して設けられ、且つ1つ又は複数の他の糸及び/又は繊維が間に設けられる、少なくとも2つの反応性の糸及び/又は繊維を含む。反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の単一段及び/又は複数段で生地本体に組み込まれる。生地本体は、シングルジャージー、編成シングルジャージー(plated single jersey)、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する。ニット生地本体は、反応性の糸及び/又は繊維の一段を有する少なくとも第1の段と、反応性の糸及び/又は繊維の別の一段を有する第2の段とを含み、第1の段及び第2の段は、生地本体に沿って離間して設けられ、他の糸及び/又は繊維の1つ又は複数の段を間に設けている。他の糸及び/又は繊維は実質的にヒドロゲルを含まない。反応性の糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアによって支持されるヒドロゲルのコーティングを含む。ヒドロゲルのコーティングは、糸及び/又は繊維のコアの外表面の周囲に、同軸上に設けられるシースを形成する。コーティングされた糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアの外表面の一部分のみを被覆するヒドロゲルのコーティングを含む。ヒドロゲルのコーティングは、糸及び/又は繊維のコアと隣り合うように設けられる。反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲル繊維と(例えば、隣り合って、又はコア及びシース(sheath:外装)の関係で)共押出される繊維コアを有する共押出された繊維を含む。ヒドロゲル繊維は、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すポリマーを含む繊維、或いは相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すコポリマーを含む繊維である。生地本体は、親水性となる複数の合成繊維を含む糸を含む。織布は、反応性の糸及び/又は繊維を有する1つ又は複数の離散的な領域を含む衣料品形態である。1つ又は複数の離散的な領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する。織布は、フィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、スパンデックス糸を含む。織布は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含む。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維又はそれらの組み合わせが挙げられる。反応性の糸及び/又は繊維としては、難燃糸及び/又は難燃繊維が挙げられる。
【0012】
本発明の1つ又は複数の実施の形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から明らかである。
【0013】
種々の図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1A及び図1Bを参照すると、感温性且つ感湿性の機能性織布(smart textile fabric)10は、ヒドロゲル14のコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む、織布(fabric)の平滑面12を有する。ヒドロゲル14は、織布(textile fabric)の平滑面に化学的に結合するか、又は物理的に結合することができ、これを以後まとめて結合と表わす。織布は、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛、絹等)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル等)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせ(例えば、天然繊維から成る糸と、合成繊維から成る糸とを含む編成構造体、又は天然ステープル繊維及び合成ステープル繊維から成る混紡糸)を含み得る。織布10は、丸編み構造体(例えば、シングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース、及び/又は、表編み構造体若しくは裏編み構造体のテリーシンカループ)、たて編み構造体、又は(図1Aに示されるような)織物構造体であり得る。好ましい織布は、衣服用途におけるフィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、ステッチ糸に組み込まれるスパンデックス(例えば、未処理のスパンデックス、コアスパン、ラップヤーン及び/又はエア交絡糸等)を含む。場合によっては、織布10は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含む。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維(例えば、難燃性ナイロン繊維)、天然繊維(例えば、難燃綿繊維)、又はそれらの組み合わせ(例えば、難燃処理した綿/ナイロン混紡糸)が挙げられ得る。図1Bを参照すると、ヒドロゲルコーティング14は、結合剤18、例えば、ポリマーマトリックス及び/又はポリマー発泡体マトリックス中に設けられ、且つ織布の平滑面12に結合するゲル粒子16、例えば、アクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、親水性ポリウレタン(例えば架橋型親水性ポリウレタン又は非架橋型親水性ポリウレタン)等の形態であってもよい。例えば、結合剤18は、ポリウレタン、シリコーン、アクリル等を含み得る。好ましくは、結合剤18は、親水性材料又は親水性となる材料を含むことにより、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進する。
【0015】
代替的には、図2Cに例示されるように、ヒドロゲルコーティング14は、織布10上に直接(すなわち、織布10の平滑面12に結合させるための結合剤を必要としない)設けられるポリマーヒドロゲル、例えば、ポリウレタン(例えば、親水性ポリウレタン、架橋型ポリウレタン、非架橋型ポリウレタン等)、ポリ(ビニルメチルエーテル)又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の形態であってもよい。
【0016】
図1A及び図1Bに例示されるように、ヒドロゲル14は、周囲条件に応じてゲルの体積が膨張及び/又は収縮する、実質上可逆的な体積変化を示す。この例では、ポリマーゲル粒子16は、溶媒の変化(例えば、水分、水及び/又は汗)によって作動し、膨張(「膨潤」)又は収縮(「脱膨潤」)を伴って、織布10の三次元構造を変える。
【0017】
さらに図1A及び図1Bに関して、ポリマーゲル16は、単独重合体の網目構造、又は2つ以上のポリマー鎖を含有する相互侵入高分子の網目構造(IPN)であり得る。好ましいゲルは、均質な構造を有しており、実質的に対称的な変形(すなわち、膨張及び/又は収縮)を実現するのを促す。好適なゲル16は、少なくとも1つには、その体積相転移臨界温度、すなわち「VPTCT」に基づき選択される。ゲル16は、VPTCT未満の温度で水分を吸収して、粒子の膨張を起こし、VPTCTを超える温度で水分を放出して、粒子の収縮を起こす。図1A及び図1Bに例示されるように、織布10がVPTCT未満の温度で水分に曝されると、ゲル粒子16は水分を吸収して膨張し、織布10の三次元幾何学形状を変える。温度がVPTCTを超えて上昇すると、ゲル粒子は吸収した水分を放出して、収縮した三次元構造へと織布10を戻す。
【0018】
図2Aに示される実施形態において、感温性且つ感湿性の織布10は布製衣服20に組み込まれる。衣服20は、織物又は編物として形成される生地(例えばシングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース、及び/又は、表編み構造体若しくは裏編み構造体のテリーシンカループ)から成り、三次元伸縮性及び形状回復性を高めるためのスパンデックス伸縮糸を含んでいても、又は含んでいなくてもよい。織布10は、好ましくは依然として、他の快適性、例えば、良好な水分管理、良好な伸縮回復性、及び/又は着用者の皮膚に対する優しさを有する。織布は、例えば、繊維を親水性とするように化学的に処理された合成繊維を含むことにより、保温生地を通した水分の吸い上げを促進することができる。このため、汗は、着用者の皮膚に近い織布の内表面から、外表面(すなわち、織布の平滑面)方向へ離される。外側平滑面上に蓄積する水分(例えば、汗)が、そこに設けられているヒドロゲルを「湿潤」させることにより、織布の三次元幾何学形状が変化し始める。編地の内表面、すなわち、着用者の皮膚に対向する表面は、起毛して(例えば、起毛テリーループ)、皮膚との接触点を減少するものであってもよい。好適な材料としては、例えば、Malden Mills Industries, Inc.製のPOWER DRY(登録商標)織布が挙げられる。
【0019】
図2Aを参照すると、ヒドロゲルコーティング14の離間した複数の領域が、衣服20の外側平滑面12上に配置されている。上記のように、コーティングは、結合剤18(例えば、ポリマーマトリックス)に懸濁した複数のゲル粒子16の形態をとって、(図2Bに示されるように)衣服の外側平滑面に結合されていてもよく、又はこのコーティングは、(図2Cに示されるように)付加的な結合剤を用いることなく衣服の外側平滑面に直接設けられるポリマーヒドロゲル形態をとっていてもよい。約30℃〜約40℃のVPTCTを有する「高速反応」ゲルが好ましい。高速反応ゲルは、「連続気泡(open cell)」ゲル(すなわち、いくつかの孔が相互に接続している(0.01〜約10μmの範囲のサイズの孔を含有する)微孔性ゲル)として定義され、環境条件において類似の変化を受ける際、同じ幾何学形状の比較可能な「独立気泡(closed cell)」ゲル(すなわち、孔が互いに独立している微孔性ゲル)よりも少なくとも10分の1の速さで、その最大体積相転移変化の90%に達する。好ましくは、ゲル粒子16は、縮小(すなわち、収縮)状態において、約1μm〜約5,000μm、好ましくは約100μm〜約250μmの範囲の粒径を有し、ヒドロゲル14の総乾燥重量の約5%〜約80%を占める。
【0020】
図2Bに例示されるように、周囲温度がVPTCT未満に下がると、ヒドロゲルコーティング14は水分を吸収し始め、膨張して織布の三次元構造を変化させる。例えばゲルのVPTCT未満の温度での使用中に、織布10は水分、例えば汗を吸収して、水分はその後、使用者の皮膚Sから外側平滑面12へと移動され、外側平滑面12でヒドロゲル14に吸収される。その結果、ヒドロゲル14は膨張し、使用者の皮膚Sと織布10の内表面13との間の領域に間隙「チャネリング効果」が生じ、より多くの空気の移動が可能となり、皮膚Sからの汗の蒸発速度を加速させる。
【0021】
ヒドロゲルコーティング14の膨張はまた、湿った(例えば、汗が含浸した)織布10の皮膚に対するクリンギングを減少させ、不快感を減少する。また、ヒドロゲルコーティング14の膨張による三次元幾何学形状の変化は、生地の体積を大きくするため、断熱性を高める。この三次元構造が、使用者の皮膚と織布との間の接線方向の空気流れを改良することにより、放熱効果又は冷却効果がもたらされ、使用者の快適度をさらに上げる。
【0022】
実施形態によっては、織布10が親水性であるか又は親水性となり、織布を通過する水分の移行を促す。このため、使用中、水分、例えば汗は、織布を通過して、着用者の皮膚からヒドロゲル材料14へと移行し、そこで蒸発面の方へ吸収及び/又は分散される。この配置は、着用者の皮膚上の水分の集結を制限するのにさらに役立ち、これにより、着用者の快適度をさらに増大させる。
【0023】
図3A〜図3Dに例示されるように、ヒドロゲル14の結合されたコーティングは、不連続コーティング110として、且つ/又は、特定の用途に適応し得る種々の異なるコーティングパターンで塗布することができる(may by applied)。例えば、図3A〜図3Cに示されるように、不連続コーティング110は、例えば離散的なドットの形態で(in the form discrete dots)示される離散的なコーティング区域132のクラスター130を含む。離散的なコーティング区域132は、対照的なサイズ及び/又は密度のパターンで配置され得る。図3Dは、ヒドロゲル14が離間した複数のバンド140に相当するパターンに塗布される実施形態を例示している。
【0024】
図4Aを参照すると、感温性且つ感湿性の機能性織布200は、相互に接続している複数の糸及び/又は繊維を含む編物構造の生地本体210を有し、これらの複数の糸及び/又は繊維には、他の糸及び/又は繊維222と相互に輪を形成する複数の反応性の糸及び/又は繊維220が含まれる。反応性の糸及び/又は繊維220はそれぞれ、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能及び/又は液体管理を調節するヒドロゲル(例えば、図1A〜図2Cに関して上記した任意のもの)を含む。他の糸及び/又は繊維222は実質的にヒドロゲルを含まない。図4Aに例示されるように、反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の1つ又は複数の単一段220a及び/又は複数段220b(すなわち、2つ以上が隣接して輪を形成する段)で離間して、生地本体210に組み込まれ得る。糸及び/又は繊維(すなわち、反応性の糸及び/若しくは繊維220、並びに/又は他の糸及び/若しくは繊維222)としては、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛、絹等)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル等)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせ(例えば、天然繊維から成る糸と、合成繊維から成る糸とを含む編成構造体、又は天然ステープル繊維及び合成ステープル繊維から成る混紡糸)が挙げられ得る。織布200は、衣料用途におけるフィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、(例えば、ステッチ糸に組み込まれる)スパンデックスを含み得る。代替的に且つ/又は付加的に、織布200は、難燃糸及び/又は難燃繊維(例えば、合成繊維、天然繊維、天然繊維と合成繊維との混紡糸)を含み得る。場合によっては、反応性の糸及び/若しくは繊維、並びに/又は他の糸及び/若しくは繊維は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進する。
【0025】
場合によっては、少なくともいくつかの反応性の糸及び/又は繊維220が、糸及び/又は繊維のコアの外表面を実質的に被覆するヒドロゲルを含む。例えば、図4Bは、繊維コア234の外表面の周囲に、同軸上に設けられるシースを形成するヒドロゲル232を含む反応性の繊維230の実施形態を例示している。ヒドロゲル232は、繊維コア234の表面上にコーティングとして塗布され得る。代替的に又は付加的に、ヒドロゲル232は、繊維コア234と共に共押出され得る。
【0026】
場合によって、少なくともいくつかの反応性の糸及び/又は繊維220は、糸及び/又は繊維のコアの外表面の一部分のみを被覆するヒドロゲルを含み得る。例えば、図4Cは、繊維コア244と隣り合うように設けられるヒドロゲル242を含む反応性の繊維240の実施形態を例示している。ヒドロゲル242は、例えば、繊維コア244と共押出されるヒドロゲル繊維であってもよい。好適なヒドロゲル繊維としては、例えば、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示す、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、及び/又は(上記のもの等の)1つ又は複数のポリマー又はコポリマーから成る繊維が挙げられる。
【0027】
本発明の多くの実施形態を記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り種々の変更が可能であることは理解されるであろう。例えば、ヒドロゲルは、本体をマッピングするようなパターンで織布製衣服に塗布され得る。2005年6月23日付で提出された国際特許出願第PCT/US2005/0224号、すなわち国際特許第WO2006/002371A号(本体をマッピングするという概念により整えられる、対照的な断熱性及び断熱性能の範囲の工学的な保温生地物品の教示及び説明を含む上記特許の開示の全体は参照により本明細書に援用される)を言及する。ヒドロゲルは、コーティング技術、ラミネート加工技術、並びに/又は印刷技術(例えば、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷及び/若しくはスクリーン印刷)を利用して織布上に設けることができる。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】感温性且つ感湿性の機能性織布の平面図である。
【図1B】図1Aの感温性且つ感湿性の機能性織布の断面図である。
【図2A】感温性且つ感湿性の織布製衣服の正面斜視図である。
【図2B】図2Aの感温性の織布製衣服の断面図である。
【図2C】図2Aの感温性の機能性織布製衣服の断面図である。
【図3A】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3B】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3C】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3D】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図4A】ヒドロゲルを含有する離間した個々の糸及び/又は繊維を含む感温性且つ感湿性の機能性織布の平面図である。
【図4B】ヒドロゲルを含有する個々の繊維の実施形態を示す図である。
【図4C】ヒドロゲルを含有する個々の繊維の実施形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布、より詳細には湿度又は温度の変化に反応性である織布に関する。
【背景技術】
【0002】
標準的な織布は生地の構築時に特性が定められ、この特性は周囲条件の変化及び/又は物理作用にかかわらず保持される。これらの標準的な製品は、特に他の織布と共に積層される場合に相乗効果によりかなり効果的となり、快適性を高める。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、織布は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節するヒドロゲルの結合されたコーティング(例えば、化学的接着又は物理的接着)を有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を含む。
【0004】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。ヒドロゲルのコーティングは、ポリマーヒドロゲルを含み得る。ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択され得る。
【0005】
ヒドロゲルは、ポリウレタンポリマー、例えばHuntsman International LLC(Auburn Hills, Michigan)製の、Huntsmanの製品安全データシート8044(この開示の全体は参照により本明細書に援用される)に記載のKRYSTALGRAN(登録商標)(成分を熱可塑性ポリウレタン(99%)と規定)等の脂肪族熱可塑性ポリウレタン;及び/又は芳香族熱可塑性ポリウレタン、例えばHuntsman International LLC(Auburn Hills, Michigan)製の、Huntsmanの製品安全データシート00018182(この開示の全体は参照により本明細書に援用される)に記載のIROGRAN(登録商標)(成分を熱可塑性ポリウレタン(70〜100%)及び商標付き難燃剤(10〜30%)と規定)を含み得る。ポリウレタンポリマーは、親水性ポリウレタンであってもよい。ポリウレタンポリマーは、架橋型ポリウレタン又は非架橋型ポリウレタンであってもよい。織布は、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛及び/又は絹)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン及び/又はアクリル)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせから形成され得る。織布は、天然繊維と合成繊維との紡糸を含む糸から形成され得る。織布は、天然繊維から成る糸と合成繊維から成る糸とを含む、相互に輪を形成する複数の糸による編成構造を有し得る。結合剤を用いて、ヒドロゲルを織布の平滑面に結合してもよく、又は織布の平滑面に直接(すなわち、別個の且つ/又は付加的な結合剤を必要とすることなく)結合してもよい。ヒドロゲル及び/又は結合剤は、(例えば、繰り返し洗浄サイクル、並びに物理的な湿潤摩擦及び乾燥摩擦に耐性のある)耐摩擦性材料であってもよい。ヒドロゲルのコーティングは、結合剤中に複数のゲル粒子を含み得る。結合剤はポリマーマトリックスであってもよい。結合剤は発泡体マトリックスであってもよい。結合剤は、ヒドロゲルを織布の平滑面に結合するように構成される発泡粘着剤を含んでいてもよい。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン及び/又はアクリルを含んでいてもよい。ゲル材料は、崩壊状態で約1μm〜約5,000μm、好ましくは約100〜約250μmの範囲の粒径を有する。ゲル粒子は、ヒドロゲルの総乾燥重量の約5%〜約80%を占める。ヒドロゲルは、約0℃〜約50℃、例えば約10℃〜約50℃、約0℃〜約40℃、約30℃〜約40℃等の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは高速反応ゲルから成る。ヒドロゲルの膨張及び/又は収縮は実質上可逆的である。織布は、シングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する。織布は、良好な水分管理、良好な伸縮回復性、及び着用者の皮膚に対する優しさから成る群から選択される1つ又は複数の特性を有する。織布は、丸編み及びたて編みから成る群から選択される編成プロセスによって形成される。織布は、丸編みプロセスによって形成され、表編み(regular plating:規則的な編成)のテリーループニット、及び裏編みのテリーループニットから成る群から選択される編物構造を有する。テリーループを、ナッピングにより起毛させてもよい。織布は、織物構造を有する。織布は、親水性であるか、又は親水性となる複数の合成繊維を含む糸を含む。ヒドロゲルの結合されたコーティングは、複数の離散的なコーティング区域を含む不連続コーティングであってもよい。コーティング区域は、離散的なドットの形態をとり得る。コーティング区域は、対照的なサイズの離散的なコーティング区域を含んでいてもよい。コーティング区域は、対照的な密度のクラスター中に配置されていてもよい。クラスターは、対照的な密度のパターンで配置されていてもよい。ヒドロゲルの結合されたコーティングは、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、及びそれらの組み合わせから選択されるパターンで設けられる不連続コーティングである。場合によっては、織布は衣料品の形態であり、ヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する。周囲条件は物理的な刺激を含み得る。ヒドロゲルの1つ又は複数の領域は、周囲条件に応じて織布の通気性及び空気の移動を調節するように構成される。織布は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含み得る。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0006】
別の態様によれば、工学的な保温(thermal)生地製衣服に用いられる感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法は、糸及び/又は繊維を組み合わせることであって、それにより連続ウェブを形成する、組み合わせること;連続ウェブを加工することであって、それにより少なくとも1つの平滑面を形成する、加工すること;及び連続ウェブの平滑面上にヒドロゲルのコーティングを設けることを含み、ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0007】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、丸編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。管状の丸編みによって糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、裏編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。丸編みによって糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、表編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、たて編みによって糸及び/又は繊維を組み合わせることを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、糸及び/又は繊維を組み合わせて織物要素を形成することを含む。糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、スパンデックス繊維をステッチ糸に組み込むさらなる工程を含む。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、織布の平滑面上の1つ又は複数の離散的な領域にヒドロゲルのコーティングを設けることを含む。1つ又は複数の離散的な領域は、一般的に使用中に比較的多量の水分(例えば、汗)に曝される平滑面領域に相当する。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、複数の離散的なコーティング区域を含むヒドロゲルの不連続コーティングを設けることを含む。離散的なコーティング区域はドットの形態であってもよい。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、ヒドロゲルを不連続パターン(例えば、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、又はそれらの組み合わせ)で設けることから成る。場合によって、ヒドロゲルとしては、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲル、及び/又は相互侵入高分子の網目構造を有するポリマーゲルが挙げられる。相互侵入高分子の網目構造は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。場合によっては、ヒドロゲルはコポリマーを含み、このコポリマーとしては、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が挙げられ得る。実施の形態によって、ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、コーティング、ラミネート加工及び印刷(例えば、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷、ホットメルトグラビアロール(すなわち、グラビアロール塗工によるホットメルト、又はスクリーン印刷))から成る群から選択さえるプロセスによってヒドロゲルを設けることから成る。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、結合剤を用いてヒドロゲルを織布の平滑面に結合することから成る。ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、ヒドロゲルを織布の繊維に直接(すなわち、別個の且つ/又は付加的な結合剤を必要とすることなく)結合することから成る。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。
【0008】
さらに別の態様において、感温性且つ感湿性の織布製衣服は、外側平滑面と、ヒドロゲルの複数の離散的な領域とを有する保温生地を含む。ヒドロゲルの複数の離散的な領域は、使用者の身体の1つ又は複数の所定の領域(例えば、一般的に比較的多量の水分(例えば、汗)に曝される使用者の身体の領域)に相当するパターンで設けられ、保温生地の外側平滑面に結合される。ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0009】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。ヒドロゲルは、約0℃〜約40℃の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは、体積相転移臨界温度未満の温度で水分を吸収し、材料を局部的に膨張させることにより、保温生地の三次元構造を変える。ヒドロゲルポリマー又はヒドロゲル材料(例えば、粒子)は、織布と結合し、ヒドロゲルの任意の収縮及び膨張が、織布の三次元幾何学形状をもたらす。ヒドロゲルは、体積相転移臨界温度を超える温度で水分を放出し、材料を局部的に収縮させることにより、保温生地の三次元構造を変える。ヒドロゲルとしては、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲル、及び/又は相互侵入高分子の網目構造(IPN)を有するポリマーゲルが挙げられる。相互侵入高分子の網目構造は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。場合によっては、ヒドロゲルは親水性ポリウレタンを含み得る。この親水性ポリウレタンは、架橋型ポリウレタン又は非架橋型ポリウレタンであってもよい。場合によっては、ヒドロゲルはコポリマーを含む。このコポリマーとしては、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が挙げられ得る。保温生地の外側平滑面は、ヒドロゲルの領域間に設けられる露出した保温生地の1つ又は複数の領域を含み、保湿生地の内表面から外側平滑面へ水分を吸い上げることができる。保温生地は親水性である。場合によっては、保温生地は、親水性であるか、又は繊維を親水性にするように化学的に処理される合成繊維を含み、保温生地を通した水分の吸い上げを促進する。ヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択されるポリマーゲルを含む。ヒドロゲルは、耐摩擦性材料であってもよい。保温生地は、フィット感、快適性及び形状回復性を高めるために(例えば、三次元構造変化の可逆性を助長するために)、スパンデックスを含む。このスパンデックスは、ステッチ(例えば、未処理のスパンデックス、エア交絡糸、コアスパン及び/又はラップヤーン等の形態)に組み込まれる。保温生地は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含み得る。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロゲルとしては、均質な構造を有するポリマーゲルが挙げられる。ヒドロゲルとしては、結合剤中に組み込まれるポリマーゲルが挙げられる。ヒドロゲルは、結合剤を用いて保温生地の平滑面に結合し得る。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進することができる。結合剤は耐摩擦性材料であってもよい。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む。
【0010】
別の態様において、織布は、生地本体を形成する相互に接続している複数の糸及び/又は繊維を含む。複数の反応性の糸及び/又は繊維が、相互に離間して生地本体に組み込まれる。この反応性の糸及び/又は繊維は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の三次元幾何学形状、断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する。
【0011】
好ましい実施態様は、1つ又は複数の以下のさらなる特徴を含んでいてもよい。反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、ポリマーヒドロゲルから成る。ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)である。ヒドロゲルは、結合剤を用いてコーティングされた糸及び/又は繊維と結合する。ヒドロゲルは、結合剤中に複数のゲル粒子を含む。結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む。結合剤は、親水性であるか、又は親水性となる。ヒドロゲルは、アクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースを含む。ヒドロゲルは、親水性ポリウレタンを含む。ヒドロゲルは、約10℃〜約50℃(例えば、約30℃〜約40℃)の体積相転移臨界温度を有する。ヒドロゲルは、高速反応ゲルから成る。ヒドロゲルの膨張及び/又は収縮は実質上可逆的である。生地本体は、他の糸及び/又は繊維と輪を形成する反応性の糸及び/又は繊維を有する編物構造を含む。他の糸及び/又は繊維は実質的にヒドロゲルを含まない。生地本体は、生地本体に沿って離間して設けられ、且つ1つ又は複数の他の糸及び/又は繊維が間に設けられる、少なくとも2つの反応性の糸及び/又は繊維を含む。反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の単一段及び/又は複数段で生地本体に組み込まれる。生地本体は、シングルジャージー、編成シングルジャージー(plated single jersey)、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する。ニット生地本体は、反応性の糸及び/又は繊維の一段を有する少なくとも第1の段と、反応性の糸及び/又は繊維の別の一段を有する第2の段とを含み、第1の段及び第2の段は、生地本体に沿って離間して設けられ、他の糸及び/又は繊維の1つ又は複数の段を間に設けている。他の糸及び/又は繊維は実質的にヒドロゲルを含まない。反応性の糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアによって支持されるヒドロゲルのコーティングを含む。ヒドロゲルのコーティングは、糸及び/又は繊維のコアの外表面の周囲に、同軸上に設けられるシースを形成する。コーティングされた糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアの外表面の一部分のみを被覆するヒドロゲルのコーティングを含む。ヒドロゲルのコーティングは、糸及び/又は繊維のコアと隣り合うように設けられる。反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲル繊維と(例えば、隣り合って、又はコア及びシース(sheath:外装)の関係で)共押出される繊維コアを有する共押出された繊維を含む。ヒドロゲル繊維は、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すポリマーを含む繊維、或いは相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すコポリマーを含む繊維である。生地本体は、親水性となる複数の合成繊維を含む糸を含む。織布は、反応性の糸及び/又は繊維を有する1つ又は複数の離散的な領域を含む衣料品形態である。1つ又は複数の離散的な領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する。織布は、フィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、スパンデックス糸を含む。織布は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含む。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維、天然繊維又はそれらの組み合わせが挙げられる。反応性の糸及び/又は繊維としては、難燃糸及び/又は難燃繊維が挙げられる。
【0012】
本発明の1つ又は複数の実施の形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から明らかである。
【0013】
種々の図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1A及び図1Bを参照すると、感温性且つ感湿性の機能性織布(smart textile fabric)10は、ヒドロゲル14のコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む、織布(fabric)の平滑面12を有する。ヒドロゲル14は、織布(textile fabric)の平滑面に化学的に結合するか、又は物理的に結合することができ、これを以後まとめて結合と表わす。織布は、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛、絹等)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル等)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせ(例えば、天然繊維から成る糸と、合成繊維から成る糸とを含む編成構造体、又は天然ステープル繊維及び合成ステープル繊維から成る混紡糸)を含み得る。織布10は、丸編み構造体(例えば、シングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース、及び/又は、表編み構造体若しくは裏編み構造体のテリーシンカループ)、たて編み構造体、又は(図1Aに示されるような)織物構造体であり得る。好ましい織布は、衣服用途におけるフィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、ステッチ糸に組み込まれるスパンデックス(例えば、未処理のスパンデックス、コアスパン、ラップヤーン及び/又はエア交絡糸等)を含む。場合によっては、織布10は、難燃糸及び/又は難燃繊維を含む。難燃糸及び/又は難燃繊維としては、合成繊維(例えば、難燃性ナイロン繊維)、天然繊維(例えば、難燃綿繊維)、又はそれらの組み合わせ(例えば、難燃処理した綿/ナイロン混紡糸)が挙げられ得る。図1Bを参照すると、ヒドロゲルコーティング14は、結合剤18、例えば、ポリマーマトリックス及び/又はポリマー発泡体マトリックス中に設けられ、且つ織布の平滑面12に結合するゲル粒子16、例えば、アクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、親水性ポリウレタン(例えば架橋型親水性ポリウレタン又は非架橋型親水性ポリウレタン)等の形態であってもよい。例えば、結合剤18は、ポリウレタン、シリコーン、アクリル等を含み得る。好ましくは、結合剤18は、親水性材料又は親水性となる材料を含むことにより、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進する。
【0015】
代替的には、図2Cに例示されるように、ヒドロゲルコーティング14は、織布10上に直接(すなわち、織布10の平滑面12に結合させるための結合剤を必要としない)設けられるポリマーヒドロゲル、例えば、ポリウレタン(例えば、親水性ポリウレタン、架橋型ポリウレタン、非架橋型ポリウレタン等)、ポリ(ビニルメチルエーテル)又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の形態であってもよい。
【0016】
図1A及び図1Bに例示されるように、ヒドロゲル14は、周囲条件に応じてゲルの体積が膨張及び/又は収縮する、実質上可逆的な体積変化を示す。この例では、ポリマーゲル粒子16は、溶媒の変化(例えば、水分、水及び/又は汗)によって作動し、膨張(「膨潤」)又は収縮(「脱膨潤」)を伴って、織布10の三次元構造を変える。
【0017】
さらに図1A及び図1Bに関して、ポリマーゲル16は、単独重合体の網目構造、又は2つ以上のポリマー鎖を含有する相互侵入高分子の網目構造(IPN)であり得る。好ましいゲルは、均質な構造を有しており、実質的に対称的な変形(すなわち、膨張及び/又は収縮)を実現するのを促す。好適なゲル16は、少なくとも1つには、その体積相転移臨界温度、すなわち「VPTCT」に基づき選択される。ゲル16は、VPTCT未満の温度で水分を吸収して、粒子の膨張を起こし、VPTCTを超える温度で水分を放出して、粒子の収縮を起こす。図1A及び図1Bに例示されるように、織布10がVPTCT未満の温度で水分に曝されると、ゲル粒子16は水分を吸収して膨張し、織布10の三次元幾何学形状を変える。温度がVPTCTを超えて上昇すると、ゲル粒子は吸収した水分を放出して、収縮した三次元構造へと織布10を戻す。
【0018】
図2Aに示される実施形態において、感温性且つ感湿性の織布10は布製衣服20に組み込まれる。衣服20は、織物又は編物として形成される生地(例えばシングルジャージー、編成ジャージー、ダブルニット、3端フリース、及び/又は、表編み構造体若しくは裏編み構造体のテリーシンカループ)から成り、三次元伸縮性及び形状回復性を高めるためのスパンデックス伸縮糸を含んでいても、又は含んでいなくてもよい。織布10は、好ましくは依然として、他の快適性、例えば、良好な水分管理、良好な伸縮回復性、及び/又は着用者の皮膚に対する優しさを有する。織布は、例えば、繊維を親水性とするように化学的に処理された合成繊維を含むことにより、保温生地を通した水分の吸い上げを促進することができる。このため、汗は、着用者の皮膚に近い織布の内表面から、外表面(すなわち、織布の平滑面)方向へ離される。外側平滑面上に蓄積する水分(例えば、汗)が、そこに設けられているヒドロゲルを「湿潤」させることにより、織布の三次元幾何学形状が変化し始める。編地の内表面、すなわち、着用者の皮膚に対向する表面は、起毛して(例えば、起毛テリーループ)、皮膚との接触点を減少するものであってもよい。好適な材料としては、例えば、Malden Mills Industries, Inc.製のPOWER DRY(登録商標)織布が挙げられる。
【0019】
図2Aを参照すると、ヒドロゲルコーティング14の離間した複数の領域が、衣服20の外側平滑面12上に配置されている。上記のように、コーティングは、結合剤18(例えば、ポリマーマトリックス)に懸濁した複数のゲル粒子16の形態をとって、(図2Bに示されるように)衣服の外側平滑面に結合されていてもよく、又はこのコーティングは、(図2Cに示されるように)付加的な結合剤を用いることなく衣服の外側平滑面に直接設けられるポリマーヒドロゲル形態をとっていてもよい。約30℃〜約40℃のVPTCTを有する「高速反応」ゲルが好ましい。高速反応ゲルは、「連続気泡(open cell)」ゲル(すなわち、いくつかの孔が相互に接続している(0.01〜約10μmの範囲のサイズの孔を含有する)微孔性ゲル)として定義され、環境条件において類似の変化を受ける際、同じ幾何学形状の比較可能な「独立気泡(closed cell)」ゲル(すなわち、孔が互いに独立している微孔性ゲル)よりも少なくとも10分の1の速さで、その最大体積相転移変化の90%に達する。好ましくは、ゲル粒子16は、縮小(すなわち、収縮)状態において、約1μm〜約5,000μm、好ましくは約100μm〜約250μmの範囲の粒径を有し、ヒドロゲル14の総乾燥重量の約5%〜約80%を占める。
【0020】
図2Bに例示されるように、周囲温度がVPTCT未満に下がると、ヒドロゲルコーティング14は水分を吸収し始め、膨張して織布の三次元構造を変化させる。例えばゲルのVPTCT未満の温度での使用中に、織布10は水分、例えば汗を吸収して、水分はその後、使用者の皮膚Sから外側平滑面12へと移動され、外側平滑面12でヒドロゲル14に吸収される。その結果、ヒドロゲル14は膨張し、使用者の皮膚Sと織布10の内表面13との間の領域に間隙「チャネリング効果」が生じ、より多くの空気の移動が可能となり、皮膚Sからの汗の蒸発速度を加速させる。
【0021】
ヒドロゲルコーティング14の膨張はまた、湿った(例えば、汗が含浸した)織布10の皮膚に対するクリンギングを減少させ、不快感を減少する。また、ヒドロゲルコーティング14の膨張による三次元幾何学形状の変化は、生地の体積を大きくするため、断熱性を高める。この三次元構造が、使用者の皮膚と織布との間の接線方向の空気流れを改良することにより、放熱効果又は冷却効果がもたらされ、使用者の快適度をさらに上げる。
【0022】
実施形態によっては、織布10が親水性であるか又は親水性となり、織布を通過する水分の移行を促す。このため、使用中、水分、例えば汗は、織布を通過して、着用者の皮膚からヒドロゲル材料14へと移行し、そこで蒸発面の方へ吸収及び/又は分散される。この配置は、着用者の皮膚上の水分の集結を制限するのにさらに役立ち、これにより、着用者の快適度をさらに増大させる。
【0023】
図3A〜図3Dに例示されるように、ヒドロゲル14の結合されたコーティングは、不連続コーティング110として、且つ/又は、特定の用途に適応し得る種々の異なるコーティングパターンで塗布することができる(may by applied)。例えば、図3A〜図3Cに示されるように、不連続コーティング110は、例えば離散的なドットの形態で(in the form discrete dots)示される離散的なコーティング区域132のクラスター130を含む。離散的なコーティング区域132は、対照的なサイズ及び/又は密度のパターンで配置され得る。図3Dは、ヒドロゲル14が離間した複数のバンド140に相当するパターンに塗布される実施形態を例示している。
【0024】
図4Aを参照すると、感温性且つ感湿性の機能性織布200は、相互に接続している複数の糸及び/又は繊維を含む編物構造の生地本体210を有し、これらの複数の糸及び/又は繊維には、他の糸及び/又は繊維222と相互に輪を形成する複数の反応性の糸及び/又は繊維220が含まれる。反応性の糸及び/又は繊維220はそれぞれ、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて織布の断熱性能及び/又は液体管理を調節するヒドロゲル(例えば、図1A〜図2Cに関して上記した任意のもの)を含む。他の糸及び/又は繊維222は実質的にヒドロゲルを含まない。図4Aに例示されるように、反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の1つ又は複数の単一段220a及び/又は複数段220b(すなわち、2つ以上が隣接して輪を形成する段)で離間して、生地本体210に組み込まれ得る。糸及び/又は繊維(すなわち、反応性の糸及び/若しくは繊維220、並びに/又は他の糸及び/若しくは繊維222)としては、天然糸及び/若しくは天然繊維(例えば、綿、羊毛、絹等)、合成糸及び/若しくは合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル等)、又は天然糸及び/若しくは天然繊維と、合成糸及び/若しくは合成繊維との組み合わせ(例えば、天然繊維から成る糸と、合成繊維から成る糸とを含む編成構造体、又は天然ステープル繊維及び合成ステープル繊維から成る混紡糸)が挙げられ得る。織布200は、衣料用途におけるフィット感、快適性及び形状回復性を高めるために、(例えば、ステッチ糸に組み込まれる)スパンデックスを含み得る。代替的に且つ/又は付加的に、織布200は、難燃糸及び/又は難燃繊維(例えば、合成繊維、天然繊維、天然繊維と合成繊維との混紡糸)を含み得る。場合によっては、反応性の糸及び/若しくは繊維、並びに/又は他の糸及び/若しくは繊維は親水性となり、水分のヒドロゲル方向への吸い上げを促進する。
【0025】
場合によっては、少なくともいくつかの反応性の糸及び/又は繊維220が、糸及び/又は繊維のコアの外表面を実質的に被覆するヒドロゲルを含む。例えば、図4Bは、繊維コア234の外表面の周囲に、同軸上に設けられるシースを形成するヒドロゲル232を含む反応性の繊維230の実施形態を例示している。ヒドロゲル232は、繊維コア234の表面上にコーティングとして塗布され得る。代替的に又は付加的に、ヒドロゲル232は、繊維コア234と共に共押出され得る。
【0026】
場合によって、少なくともいくつかの反応性の糸及び/又は繊維220は、糸及び/又は繊維のコアの外表面の一部分のみを被覆するヒドロゲルを含み得る。例えば、図4Cは、繊維コア244と隣り合うように設けられるヒドロゲル242を含む反応性の繊維240の実施形態を例示している。ヒドロゲル242は、例えば、繊維コア244と共押出されるヒドロゲル繊維であってもよい。好適なヒドロゲル繊維としては、例えば、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示す、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、及び/又は(上記のもの等の)1つ又は複数のポリマー又はコポリマーから成る繊維が挙げられる。
【0027】
本発明の多くの実施形態を記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り種々の変更が可能であることは理解されるであろう。例えば、ヒドロゲルは、本体をマッピングするようなパターンで織布製衣服に塗布され得る。2005年6月23日付で提出された国際特許出願第PCT/US2005/0224号、すなわち国際特許第WO2006/002371A号(本体をマッピングするという概念により整えられる、対照的な断熱性及び断熱性能の範囲の工学的な保温生地物品の教示及び説明を含む上記特許の開示の全体は参照により本明細書に援用される)を言及する。ヒドロゲルは、コーティング技術、ラミネート加工技術、並びに/又は印刷技術(例えば、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷及び/若しくはスクリーン印刷)を利用して織布上に設けることができる。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】感温性且つ感湿性の機能性織布の平面図である。
【図1B】図1Aの感温性且つ感湿性の機能性織布の断面図である。
【図2A】感温性且つ感湿性の織布製衣服の正面斜視図である。
【図2B】図2Aの感温性の織布製衣服の断面図である。
【図2C】図2Aの感温性の機能性織布製衣服の断面図である。
【図3A】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3B】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3C】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図3D】織布の平滑面に結合するヒドロゲルの不連続コーティングを有する感温性且つ感湿性の織布を示す図である。
【図4A】ヒドロゲルを含有する離間した個々の糸及び/又は繊維を含む感温性且つ感湿性の機能性織布の平面図である。
【図4B】ヒドロゲルを含有する個々の繊維の実施形態を示す図である。
【図4C】ヒドロゲルを含有する個々の繊維の実施形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を有する織布であって、該ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて該織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節する、織布。
【請求項2】
前記ヒドロゲルのコーティングは、ポリマーヒドロゲルを含む、請求項1に記載の織布。
【請求項3】
前記ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択される、請求項2に記載の織布。
【請求項4】
前記ヒドロゲルは、結合剤を用いて前記平滑面と結合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の織布。
【請求項5】
前記ヒドロゲルのコーティングは、結合剤中に複数のゲル粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の織布。
【請求項6】
前記結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む、請求項5に記載の織布。
【請求項7】
前記結合剤は、親水性であるか、又は親水性となる、請求項5又は6のいずれか1項に記載の織布。
【請求項8】
前記ヒドロゲルは、アクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースを含む、請求項5に記載の織布。
【請求項9】
前記ヒドロゲルは、親水性ポリウレタンを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の織布。
【請求項10】
前記ヒドロゲルは、約10℃〜約50℃の体積相転移臨界温度を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の織布。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは、約30℃〜約40℃の体積相転移臨界温度を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の織布。
【請求項12】
前記ヒドロゲルは、高速反応ゲルから成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の織布。
【請求項13】
前記ヒドロゲルの前記膨張及び/又は前記収縮は、実質上可逆的である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の織布。
【請求項14】
シングルジャージー、編成シングルジャージー、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の織布。
【請求項15】
前記平滑面と反対側の、前記織布の第2の表面から該平滑面への水分の移動を促すように構成される、編成シングルジャージー又はダブルニット構造を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の織布。
【請求項16】
複数の合成繊維が親水性となる糸を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の織布。
【請求項17】
前記ヒドロゲルの結合されたコーティングは、複数の離散的なコーティング区域を含む不連続コーティングである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の織布。
【請求項18】
衣料品形態の請求項1〜17のいずれか1項に記載の織布であって、前記1つ又は複数の領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の織布。
【請求項19】
前記織布の前記平滑面は、前記衣料品の外表面を定義するものである、請求項18に記載の織布。
【請求項20】
前記周囲条件は物理的な刺激を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の織布。
【請求項21】
前記ヒドロゲルの前記1つ又は複数の領域は、前記周囲条件に応じて前記織布の通気性及び空気の移動を調節するように構成される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の織布。
【請求項22】
難燃糸及び/又は難燃繊維をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の織布。
【請求項23】
工学的な保温生地製衣服に用いられる感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法であって、
糸及び/又は繊維を組み合わせることであって、それにより連続ウェブを形成する、組み合わせること、
前記連続ウェブを加工することであって、それにより少なくとも1つの平滑面を形成する、加工すること、及び
前記連続ウェブの前記平滑面上にヒドロゲルのコーティングを設けることを含み、該ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて前記織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する、感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項24】
前記糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、スパンデックス繊維をステッチ糸に組み込むさらなる工程を含む、請求項23に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項25】
前記ヒドロゲルは、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲルから成る、請求項23又は24に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項26】
前記ヒドロゲルは、相互侵入高分子の網目構造を有するポリマーゲルから成る、請求項23又は24に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項27】
前記ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、コーティング、ラミネート加工及び印刷から成る群から選択されるプロセスによって、前記ヒドロゲルを設けることを含む、請求項23〜26のいずれか1項に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項28】
前記印刷は、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷、ホットメルトグラビアロール印刷又はスクリーン印刷を含む、請求項27に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項29】
前記ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、前記ヒドロゲルを不連続パターンで設けることを含む、請求項23〜28のいずれか1項に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項30】
前記不連続パターンは、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項31】
生地本体を形成し、且つ、相互に離間して該生地本体に組み込まれる複数の反応性の糸及び/又は繊維を含む、複数の相互に接続している糸及び/又は繊維を含む織布であって、該反応性の糸及び/又は繊維は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて該織布の三次元幾何学形状、断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する、織布。
【請求項32】
前記反応性の糸及び/又は繊維はヒドロゲルを含む、請求項31に記載の織布。
【請求項33】
前記生地本体は、他の糸及び/又は繊維と相互に輪を形成する反応性の糸及び/又は繊維を含む編物構造から成り、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項32に記載の織布。
【請求項34】
前記ニット生地本体は、前記反応性の糸及び/又は繊維の一段から成る少なくとも第1の段と、該反応性の糸及び/又は繊維の別の一段から成る第2の段とを含み、該第1の段及び該第2の段は、該生地本体に沿って離間して設けられ、且つ他の糸及び/又は繊維の1つ又は複数の段を間に設けており、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項33に記載の織布。
【請求項35】
前記反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の単一段及び/又は複数段で前記生地本体に組み込まれる、請求項33又は34のいずれか1項に記載の織布。
【請求項36】
前記生地本体は、該生地本体に沿って離間して設けられ、且つ1つ又は複数の他の糸及び/又は繊維が間に設けられる、少なくとも2つの反応性の糸及び/又は繊維を含み、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項32〜35のいずれか1項に記載の織布。
【請求項37】
前記生地本体は、シングルジャージー、編成シングルジャージー、ダブルニット、3端フリース、表編みのテリーループニット、及び裏編みのテリーループニットから成る群から選択される編物構造を有する、請求項32〜36のいずれか1項に記載の織布。
【請求項38】
前記反応性の糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアによって支持されるヒドロゲルのコーティングを含む、請求項31〜37のいずれか1項に記載の織布。
【請求項39】
前記反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲル繊維と共押出される繊維コアから成る共押出された繊維を含む、請求項31〜37のいずれか1項に記載の織布。
【請求項40】
前記繊維コア及び前記ヒドロゲル繊維は、隣り合って共押出される、請求項39に記載の織布。
【請求項41】
前記繊維コア及び前記ヒドロゲル繊維は、コア及びシースの関係で共押出される、請求項39に記載の織布。
【請求項42】
前記ヒドロゲル繊維は、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すポリマーを含む繊維、及び相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すコポリマーを含む繊維から成る群から選択される、請求項39〜41のいずれか1項に記載の織布。
【請求項1】
ヒドロゲルの結合されたコーティングを有する1つ又は複数の領域を含む平滑面を有する織布であって、該ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて該織布の断熱性能、空気の移動、及び/又は液体管理を調節する、織布。
【請求項2】
前記ヒドロゲルのコーティングは、ポリマーヒドロゲルを含む、請求項1に記載の織布。
【請求項3】
前記ポリマーヒドロゲルは、ポリ(ビニルメチルエーテル)及びポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から成る群から選択される、請求項2に記載の織布。
【請求項4】
前記ヒドロゲルは、結合剤を用いて前記平滑面と結合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の織布。
【請求項5】
前記ヒドロゲルのコーティングは、結合剤中に複数のゲル粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の織布。
【請求項6】
前記結合剤は、ポリウレタン、シリコーン又はアクリルを含む、請求項5に記載の織布。
【請求項7】
前記結合剤は、親水性であるか、又は親水性となる、請求項5又は6のいずれか1項に記載の織布。
【請求項8】
前記ヒドロゲルは、アクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースを含む、請求項5に記載の織布。
【請求項9】
前記ヒドロゲルは、親水性ポリウレタンを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の織布。
【請求項10】
前記ヒドロゲルは、約10℃〜約50℃の体積相転移臨界温度を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の織布。
【請求項11】
前記ヒドロゲルは、約30℃〜約40℃の体積相転移臨界温度を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の織布。
【請求項12】
前記ヒドロゲルは、高速反応ゲルから成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の織布。
【請求項13】
前記ヒドロゲルの前記膨張及び/又は前記収縮は、実質上可逆的である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の織布。
【請求項14】
シングルジャージー、編成シングルジャージー、ダブルニット、3端フリース及びテリーループから成る群から選択される編物構造を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の織布。
【請求項15】
前記平滑面と反対側の、前記織布の第2の表面から該平滑面への水分の移動を促すように構成される、編成シングルジャージー又はダブルニット構造を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の織布。
【請求項16】
複数の合成繊維が親水性となる糸を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の織布。
【請求項17】
前記ヒドロゲルの結合されたコーティングは、複数の離散的なコーティング区域を含む不連続コーティングである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の織布。
【請求項18】
衣料品形態の請求項1〜17のいずれか1項に記載の織布であって、前記1つ又は複数の領域は、一般的に比較的多量の水分に曝される衣料領域に相当する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の織布。
【請求項19】
前記織布の前記平滑面は、前記衣料品の外表面を定義するものである、請求項18に記載の織布。
【請求項20】
前記周囲条件は物理的な刺激を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の織布。
【請求項21】
前記ヒドロゲルの前記1つ又は複数の領域は、前記周囲条件に応じて前記織布の通気性及び空気の移動を調節するように構成される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の織布。
【請求項22】
難燃糸及び/又は難燃繊維をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の織布。
【請求項23】
工学的な保温生地製衣服に用いられる感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法であって、
糸及び/又は繊維を組み合わせることであって、それにより連続ウェブを形成する、組み合わせること、
前記連続ウェブを加工することであって、それにより少なくとも1つの平滑面を形成する、加工すること、及び
前記連続ウェブの前記平滑面上にヒドロゲルのコーティングを設けることを含み、該ヒドロゲルは、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて前記織布の断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する、感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項24】
前記糸及び/又は繊維を連続ウェブに組み合わせる工程は、スパンデックス繊維をステッチ糸に組み込むさらなる工程を含む、請求項23に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項25】
前記ヒドロゲルは、単独重合体の網目構造を有するポリマーゲルから成る、請求項23又は24に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項26】
前記ヒドロゲルは、相互侵入高分子の網目構造を有するポリマーゲルから成る、請求項23又は24に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項27】
前記ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、コーティング、ラミネート加工及び印刷から成る群から選択されるプロセスによって、前記ヒドロゲルを設けることを含む、請求項23〜26のいずれか1項に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項28】
前記印刷は、ホットメルト印刷、グラビアロール印刷、ホットメルトグラビアロール印刷又はスクリーン印刷を含む、請求項27に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項29】
前記ヒドロゲルのコーティングを設ける工程は、前記ヒドロゲルを不連続パターンで設けることを含む、請求項23〜28のいずれか1項に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項30】
前記不連続パターンは、格子型、1つ又は複数のバンドから成るパターン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の感温性且つ感湿性の織布要素を製造する方法。
【請求項31】
生地本体を形成し、且つ、相互に離間して該生地本体に組み込まれる複数の反応性の糸及び/又は繊維を含む、複数の相互に接続している糸及び/又は繊維を含む織布であって、該反応性の糸及び/又は繊維は、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示し、これにより周囲条件に応じて該織布の三次元幾何学形状、断熱性能、空気の移動及び/又は液体管理を調節する、織布。
【請求項32】
前記反応性の糸及び/又は繊維はヒドロゲルを含む、請求項31に記載の織布。
【請求項33】
前記生地本体は、他の糸及び/又は繊維と相互に輪を形成する反応性の糸及び/又は繊維を含む編物構造から成り、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項32に記載の織布。
【請求項34】
前記ニット生地本体は、前記反応性の糸及び/又は繊維の一段から成る少なくとも第1の段と、該反応性の糸及び/又は繊維の別の一段から成る第2の段とを含み、該第1の段及び該第2の段は、該生地本体に沿って離間して設けられ、且つ他の糸及び/又は繊維の1つ又は複数の段を間に設けており、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項33に記載の織布。
【請求項35】
前記反応性の糸及び/又は繊維は、帯状の単一段及び/又は複数段で前記生地本体に組み込まれる、請求項33又は34のいずれか1項に記載の織布。
【請求項36】
前記生地本体は、該生地本体に沿って離間して設けられ、且つ1つ又は複数の他の糸及び/又は繊維が間に設けられる、少なくとも2つの反応性の糸及び/又は繊維を含み、該他の糸及び/又は繊維は実質的に前記ヒドロゲルを含まない、請求項32〜35のいずれか1項に記載の織布。
【請求項37】
前記生地本体は、シングルジャージー、編成シングルジャージー、ダブルニット、3端フリース、表編みのテリーループニット、及び裏編みのテリーループニットから成る群から選択される編物構造を有する、請求項32〜36のいずれか1項に記載の織布。
【請求項38】
前記反応性の糸及び/又は繊維の少なくともいくつかは、糸及び/又は繊維のコアによって支持されるヒドロゲルのコーティングを含む、請求項31〜37のいずれか1項に記載の織布。
【請求項39】
前記反応性の糸及び/又は繊維は、ヒドロゲル繊維と共押出される繊維コアから成る共押出された繊維を含む、請求項31〜37のいずれか1項に記載の織布。
【請求項40】
前記繊維コア及び前記ヒドロゲル繊維は、隣り合って共押出される、請求項39に記載の織布。
【請求項41】
前記繊維コア及び前記ヒドロゲル繊維は、コア及びシースの関係で共押出される、請求項39に記載の織布。
【請求項42】
前記ヒドロゲル繊維は、ヒドロゲル化学物質に埋め込まれた繊維、相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すポリマーを含む繊維、及び相対湿度の変化若しくは汗への曝露、又はそれらの連関に応じて膨張又は収縮を示すコポリマーを含む繊維から成る群から選択される、請求項39〜41のいずれか1項に記載の織布。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【公開番号】特開2008−57100(P2008−57100A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−219474(P2007−219474)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(507165305)エムエムアイ−アイピーシーオー、エルエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】MMI−IPCO,LLC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219474(P2007−219474)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(507165305)エムエムアイ−アイピーシーオー、エルエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】MMI−IPCO,LLC
【Fターム(参考)】
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