感温用カニューラおよび酸素濃縮装置
【課題】使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、酸素を遮断して安全性を確保することができる酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ10と、圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部100と、カニューラ70のチューブ72に取付けられて、酸素出口部100に対してチューブ72を着脱可能に接続するカプラ17とを有し、カニューラ70が可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、該チューブ状の本体77の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材55を備える感温用カニューラである。
【解決手段】原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ10と、圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部100と、カニューラ70のチューブ72に取付けられて、酸素出口部100に対してチューブ72を着脱可能に接続するカプラ17とを有し、カニューラ70が可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、該チューブ状の本体77の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材55を備える感温用カニューラである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体の送排を行うチューブ(管体)であるカニューラに係り、特に火炎の延焼を防止するためのカニューラと、このカニューラを適用した酸素濃縮装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力スイング吸着法を利用した酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着するゼオライトを吸着剤として用いることで濃縮酸素を得る構成になっている。
この方式の酸素濃縮装置によれば、取り込んだ原料空気をコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された濃縮酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流電源)が利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
他方、患者が外出等で移動したり、家屋や医療施設内で部屋間の移動に便利なように、あるいは在宅配置における限られた配置スペースに適するように、小型で可搬に適するように構成した酸素濃縮装置も知られている (特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−111016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用者(患者)に対して気体や液体の送排を行うチューブを一例として用いる従来の酸素濃縮装置では、使用者は鼻カニューラをチューブとカプラを介して酸素濃縮装置の酸素出口部に対して接続して、酸素出口部から出る濃縮酸素を吸入する。しかし、使用者が鼻カニューラを用いて濃縮酸素を吸入している際に、酸素が助燃性ガスであるために、酸素濃縮装置の近くで喫煙する行為や火気を使用する行為は厳禁である。にもかかわらず、例えば使用者が喫煙をすることにより、鼻カニューラ等のチューブ先端に直接引火して事故が発生する恐れがあり、場合によっては火炎がチューブ内を伝播して酸素濃縮装置自体が引火して火災が拡大してしまう懸念がある。
そこで、本発明は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、安全性を確保するためのカニューラと、該カニューラを用いた酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達するため、本発明の感温用カニューラは、可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、該チューブ状の本体の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材とを具備することを特徴とする。
上記構成によれば、カニューラに火移りした場合に、該カニューラが気体や液体を送る長さ方向に沿って感温センサの一部が配置されているから、カニューラのどの位置で火移りしても、発火を検知することができる。
【0008】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記感温センサが熱電対であり、前記チューブ状の本体の長さ方向に配置される前記導体でなる線材は、異種金属線を互いに接触状態とするために撚り線状とした長尺の温接点であることを特徴とする。
上記構成によれば、感温センサを熱電対とすることにより、その温接点をカニューラ内に設けることで、該カニューラに火移りした際には、該温接点と冷接点との間に温度勾配が生じて起電力が検出される。これにより、出火を容易に検出することができる。
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記撚り線状とすることで温接点をなす線材は、それぞれ、加熱により溶融しやすい絶縁材料で被覆された上で、前記撚り線状とされていることを特徴とする。
上記構成によれば、燃焼時の早い段階で前記絶縁材料が溶融させることで、線材同士の交差箇所をはじめて導通させる。これにより安定した動作を期待できる。
【0009】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記チューブ状本体の肉厚の内部に埋設されていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記撚り線状とした温接点をなす線材が、カニューラの内部、すなわち、送排する気体等の通路に露出していないので、該気体や液体等から悪影響を受けることがなく、錆びや断線などの故障の心配がない。
【0010】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記チューブ状本体の端部から所定長さの位置において、外部から視認できるマーカーが設けられているとともに、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記端部から露出して外部に所定長さだけ延出されており、前記チューブ状本体は、前記線材の前記延出部を把持して径方向内側に引くことで破断され、該線材の一部が前記チューブ状本体の内面に露出する構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、前記マーカーを目安に、カニューラを接続するカプラ等を差し込むことにより、接続作業が容易となる。この場合、前記線材をチューブ本体の内面に露出させると、前記カプラ等を差し込む構成として、このカプラ外面を導通可能に構成しておけば、カプラ側と前記露出させた線材との電気的接続がきわめて容易となる。
【0011】
上記目的を達するため、本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、前記圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部と、鼻カニューラを構成するチューブを着脱するために前記酸素出口部に設けられるカプラとを備えており、前記鼻カニューラが、上記した感温用カニューラであって、該鼻カニューラの温接点と、鼻カニューラ以外の箇所に設けた冷接点との間に起電力が生じることにより予め定めた電圧以上の電圧が検出されたと判断すると、前記コンプレッサの動作を停止して前記酸素の供給を遮断する制御部を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、鼻カニューラへの火移りにより、直ちに出火を検出することができ、火災に至る前に確実に装置の運転止めて酸素の供給を停止することができる。すなわち、鼻カニューラ内の温接点の存在箇所まで炎達した時点で直ちに酸素の供給を停止することができ、鼻カニューラへの着火による火災をきわめて早期に検出して確実に火災や火傷等を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、安全性を確保するためのカニューラと、該カニューラを用いた酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。
【図2】図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
【図3】図1と図2に示す酸素濃縮装置の内部構造例を示す斜め後ろ側から見た斜視図である。
【図4】鼻カニューラが酸素濃縮装置の酸素出口部に接続された状態を示す斜視図である。
【図5】鼻カニューラの構成例を示す分解斜視図である。
【図6】鼻カニューラのカプラソケットと酸素出口部を示す斜視図である。
【図7】酸素出口部とカプラソケットの付近を示す断面図である。
【図8】酸素濃縮装置のシステム構成例を示す図である。
【図9】感温センサの一例として、本実施形態に適用される熱電対の構成図である。
【図10】カニューラに温接点を組み込む構成例を示す説明図である。
【図11】(a)は図10の部分断面図、(b)はカニューラの変形例である。
【図12】酸素濃縮装置における温度検知の例を示すフロー図である。
【図13】鼻カニューラの別の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。図2は、図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、好ましくは携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図1に示す酸素濃縮装置1は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA:正圧変動吸着法)を用いている。
【0015】
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、一例として酸素流量が最大5Lクラスの酸素濃縮装置であり、酸素流量の設定単位は、例えば0.25L〜5.00Lまで設定されている。酸素濃縮装置1は、ほぼ直方体状の主筐体2と、流量設定が可能な表示部128と、加湿器Gと、カニューラ掛け2Kと、4隅のキャスタ2Tを有している。
主筐体2は、フロントパネル2Fと、左右のサイドパネル2Sと、リアパネル2Rと、上面部2Dと、底部2Bを有している。
図1に示すように、上面部2Dには表示部128と、酸素出口部100と、電源スイッチ101と、酸素流量設定ボタン102が配置されている。フロントパネル2Fの上部には、加湿器Gの配置部2Gが設けられている。キャスタ2Tは底部2Bの四隅部分に配置され、酸素濃縮装置1はこれらのキャスタ2Tを用いて移動可能になっている。
【0016】
図2を参照すると、リアパネル2Rは、上部の中央位置に主筐体2内に外気を取り入れるための空気取り入れ口5が形成され、下部の右側に主筐体2内の温まった空気を外部に排出するための排気口6が形成されている。空気取り入れ口5の内面側には、空気取り入れ口フィルタ7が着脱可能に装着されている。その他に、左右のサイドパネル2Sは取手8を有し、底部2Bは巻き取り式の電源コード9を有している。
【0017】
図3は、図1と図2に示す酸素濃縮装置1の内部構造例を示す斜め後ろ側から見た斜視図である。
図3に示すように、底部2Bの上にはコンプレッサ10が設定され、このコンプレッサ10は、直方体状の防音用のコンプレッサケース4内に配置されている。コンプレッサケース4の背面部には、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32がX方向に沿って間隔をおいて、しかもZ方向(垂直方向)に沿って平行に立てて固定されている。
【0018】
図3に示すように、コンプレッサ10のスリーブ12は、配管15に接続されており、この配管15の途中には、冷却用のラジエータ13と3方向切換弁14B、14Cが接続されている。第1吸着筒体31の内側には、第1ファン34が取付けられ、第2吸着筒体32の内側には、第2ファン36が取付けられている。
【0019】
図3に示すように、同形状の第1ファン34と第2ファン36は、例えばシロッコファンが用いられ、対面して位置されているが、第1ファン34と第2ファン36の取付け向きが、互いに上下逆になるように、しかも吸い込み口が互いに対面するようにして固定されている。
【0020】
図3に示すように、冷却用のラジエータ13は、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32の間であって、第1ファン34と第2ファン36の下部に配置されている。また、電源制御回路39が底部2Bに配置されている。
【0021】
次に、図4〜図7を参照して、鼻カニューラ70について説明する。
図4は、鼻カニューラ70が酸素濃縮装置1の酸素出口部100にカプラソケット71を用いて接続された状態を示す斜視図である。図5は、鼻カニューラ70の構成例を示す分解斜視図である。図6は、鼻カニューラ70のカプラソケット71と酸素出口部100を示す斜視図である。図7は、鼻カニューラ70のチューブの接続部とカプラソケット71と酸素出口部100を示す分解斜視図である。
図4と図5に示すように、鼻カニューラ70は、使用者Mが耳と鼻を利用して装着するカニューラの一例であり、装着部77と、チューブ72と、カプラの一例であるカプラソケット71を有する。チューブ72の一端部には接続部77Pを介して装着部77が接続され、チューブ72の他端部には接続部77Sを介してカプラソケット71が接続されている。
【0022】
図6と図7に示すように、カプラソケット71は押圧ボタン71Nを有している。図6に示すように、使用者Mがこの押圧ボタン71NをE方向に押しながら、カプラソケット71をF方向(上方向)に引くことで、カプラソケット71は酸素出口部100からワンタッチで外すことができる。また、使用者Mがこの押圧ボタン71NをE方向に押しながら、カプラソケット71をF方向と逆方向に押すことで、カプラソケット71は酸素出口部100へワンタッチで装着して接続することができる。
図5に示すチューブ72は、通常の接続チューブやこの接続チューブを延長するための延長チューブを指す。
【0023】
すなわち、カニューラは、後述するように、本実施形態におけるような「鼻カニューラ」としてだけ使用できるのではなく、延長部分に配置されるチューブとしても使用できるし、他の用途のカニューラとして使用することもできる。
カニューラの材質や感温センサとの関係については後で詳しく説明する。
【0024】
カプラソケット71は、全体が導電性の金属材料、好ましくは錆びにくく導電性のある金属材料として、例えば銅合金やアルミニウム合金等によりにより形成されている。
あるいは、合成樹脂材料により形成され、その外面を導電性金属材料により被覆するようにしてもよい。
この場合、カプラソケット71は、好ましくは、難燃性樹脂、例えば米国のUL−94規格のV−0ランク品、または酸素指数が26以上の性能を有する難燃性樹脂を使用している。このカプラソケット71は、自己消火性を有する難燃性樹脂により形成されているが、自己消火性を有する難燃性樹脂とは、耐燃性を有する樹脂であり、接炎するときに着火するが、火炎が伝搬せずに火炎を取り去った後、一定時間内に自己消火する性質をいう。
【0025】
このような難燃性樹脂でカプラソケット71の形状を形成した後で、その外面71a全体に導電性金属の導通被覆部を形成する。
例えば、カプラソケット71を成形した後で、その外面71aに銀等の導電金属をスパッタリングにより成膜したり、無電解メッキにより導電金属を成膜してもよい。あるいは、超高速スプレーによる吹き付け塗装により導電膜を塗膜したり、導電ペーストを塗って、導通路を形成することもできる。
図7に示すように、酸素出口部100は、リング状のフランジ部100Fと円筒部100G、100Hを有している。フランジ部100fは、円筒部100Gと円筒部100Hの間に形成されている。
この酸素出口部100は、例えば、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
【0026】
図7に示すように、この酸素出口部100は、例えばフランジ部100Fを貫通する金属製の突起もしくは凸部等により接点100Lを設け、カプラソケット71の導電膜と接触させて電気的接続をするとともに、該接点100Lを後述する感温センサの一例としての熱電対50の温接点55に接続し、該熱電対50に生じた起電力を電圧変化として、中央制御部200により検出するようにしている。接点100Lは、図示しないコイルスプリング等の付勢手段により弾性的に突出するようにしてもよい。
中央制御部200は、濃縮酸素を生成するためのさまざまな動作の制御を行う。
【0027】
図7に示すように、酸素出口部100の円筒部100Hには、継手79が接続されている。この継手79は、濃縮された酸素を、酸素出口部100を介してチューブ72側に供給するために接続されている。
図4と図7に示すように、酸素出口部100には、鼻カニューラ70のカプラソケット71が着脱可能に接続される。カプラソケット71は、チューブ72を介して鼻カニューラ70に接続されている。使用者は、鼻カニューラ70とチューブ72と酸素出口部100を経て、例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0028】
次に、図8を参照して、上述した酸素濃縮装置1のシステム構成例を説明する。
図8は、酸素濃縮装置1のシステム構成例を示す図である。
図8に示す二重線は、原料空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管を示している。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。図8に示す酸素濃縮装置1の主筐体2は破線で示しており、この主筐体2は内部に配置された要素を密閉している密閉容器である。
【0029】
図8に示すように、主筐体2は、外気である原料空気を導入するための空気取り入れ口5と空気取り入れ口フィルタ7および排気するための排気口6を有している。空気取り入れ口5には、空気中の塵埃等の不純物を除去するための空気取り入れ口フィルタ7が交換可能に配置されている。原料空気は、コンプレッサ10が作動すると、空気取り入れ口フィルタ7を介して、内部の配管37と吸気フィルタ兼消音バッファ38と、この吸気フィルタ兼消音バッファ38に対して並列接続されている第1接続配管40と第2接続配管41を通じて、コンプレッサ10側に導入されるようになっている。
【0030】
このように原料空気は、コンプレッサ10に導入されて圧縮空気になるが、原料空気を圧縮する際に熱が発生する。このため、コンプレッサ10、特にスリーブ11,12は、冷却用の第1ファン34と第2ファン36からの送風により冷却する。そして、コンプレッサ10から配管15を通じて送られる圧縮空気は、ラジエータ13により冷却される。
このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトの昇温を抑制できる。これにより、窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになり、酸素を90%程度以上にまで濃縮できる。
【0031】
第1吸着筒体31と第2吸着筒体32は、並べて配置された吸着部材の一例であり、縦方向に並列に配置されている。これら第1吸着筒体31と第2吸着筒体32には、それぞれ三方向切換弁14B,14Cが接続されている。一方の3方向切換弁14Bの一端部が配管15に接続されている。一方の3方向切換弁14Bと他方の3方向切換弁14Cとが互いに接続され、さらに、他方の3方向切換弁14Cの一端部が配管15Rに接続されている。配管15Rの端部は、排気口6に達している。
3方向切換弁14B、14Cは、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32にそれぞれ対応して接続されている。コンプレッサ10から発生する圧縮空気は、配管15と3方向切換弁14B、14Cを介して、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32に対して交互に供給される。
【0032】
触媒吸着剤であるゼオライトは、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内にそれぞれ貯蔵されている。このゼオライトは、例えばSi203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。このゼオライトは、特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。ゼオライトを使用することで、他の吸着剤を使う場合に比べて酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型化が図れ、コンプレッサ10の低騒音化を図ることができる。
【0033】
図8に示すように、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32の出口側には、逆止弁と絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が接続されている。均等圧弁107の下流側には、合流する配管60が接続されており、この配管60にはバッファ61が接続されている。このバッファ61は、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32において分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための酸素貯蔵容器である。
【0034】
図8に示すように、バッファ61の下流側には、圧力調整器62が接続されており、圧力調整器62はバッファ61の出口側の酸素の圧力を一定に自動調整するレギュレータである。圧力調整器62の下流側には、フィルタ63を介してジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ64が接続されており、酸素濃度センサ64は、酸素濃度の検出を間欠的に(10〜30分毎に)または連続的に行うようになっている。
【0035】
図8に示すように、バッファ61には、比例開度弁65が接続されている。この比例開度弁65は、中央制御部200の指令により流量制御部202からの信号により、酸素流量設定ボタン102の設定ボタン操作に連動して開閉する。比例開度弁65には酸素流量センサ66が接続されている。この酸素流量センサ66には、加湿器Gと酸素流量センサ67が接続されている。この酸素流量センサ67の後段には、酸素出口部100が接続されている。
図8に示す酸素出口部100には、鼻カニューラ70のカプラソケット71が着脱可能に接続される。カプラソケット71は、チューブ72を介して鼻カニューラ70に接続されている。患者は、鼻カニューラ70を経て、例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
中央制御部200には、上述した感温センサとしての熱電対50が接続されている。熱電対50の温接点55について、後で詳しく説明する。熱電対50の冷接点56は、酸素濃縮装置1内のどこに配置してもよく、外部に露出させて配置すると、温接点55との温度勾配を得やすく好ましい。中央制御部200内には、熱電対50の起電力を検出するための電圧測定部(電圧計)57が設けられている。
【0036】
次に、図8を参照して電源系統を説明する。
図8に示すAC(商用交流)電源のコネクタ203は、電源制御回路39に電気的に接続され、電源制御回路39は商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に整流する。内蔵電池204は、主筐体2に内蔵されている。内蔵電池204は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池204は電源制御回路39からの電力供給を受けて充電できる。
これにより、図1の中央制御部200が電源制御回路39を制御することで、電源制御回路39は、例えばACアダプタ203からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池204からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態の内の1つの供給状態に自動切換して使用できる。内蔵電池204は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。
【0037】
図8の中央制御部200は、モータドライバ210とファンモータドライバ211に電気的に接続されている。中央制御部200は生成する酸素量に応じた最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されている。モータドライバ210とファンモータドライバ211は、中央制御部200の指令により、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10と第1ファン34と第2ファン36を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合にはコンプレッサ10と第1ファン34と第2ファン36を低速に回転駆動する制御を行う。
【0038】
この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモ)が内蔵されるとともに、中央制御部200には、外部記憶装置と揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路が電気的に接続されている。中央制御部200は、通信コネクタ205を介して外部の通信回線等と接続することでアクセスが可能となる。
図8に示す3方向切換弁14B、14Cと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路(図示せず)と、圧力調整器62と、流量制御部202と、酸素濃度センサ64が、中央制御部200に電気的に接続されている。流量制御部202は、比例開度弁65を制御し、酸素流量センサ66と酸素流量センサ67の酸素流量値は、中央制御部200に送られる。図8に示す中央制御部200には、酸素流量設定ボタン102と、表示部128と、電源スイッチ101と、表示スイッチ128Sが電気的に接続されている。
中央制御部200は、ブザーやランプ等の警報手段SPに電気的に接続されている。警報手段SPは、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音や光で警報を発することができる。また、スピーカ290が、中央制御部200に電気的に接続され、このスピーカ290は、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音声でガイドする。また、表示部128には、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを文字や絵で表示する。
【0039】
酸素流量設定ボタン102は、例えば90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階で操作するごとに、酸素流量を設定できる。表示部128は、例えば、7セグメント表示の液晶ディスプレイなどの表示装置が利用されている。表示部128には、例えば酸素流量、酸素ランプ、警報アイコン(チューブ折れ、加湿器外れ、酸素濃度低下、電源供給停止、バッテリ残量、バッテリ運転中、充電ランプ)、積算時間等の表示項目を表示することができる。
【0040】
図8に示すコンプレッサ10は、すでに説明したように圧縮空気のみを発生させることで正圧変動吸着法(PSA)により、圧縮空気を第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内に送り、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の吸着剤により圧縮空気中の窒素を吸着させる。コンプレッサ10の駆動用モータ53は、同期モータであっても、その他に例えば単相交流誘導モータであっても良いし、単相4極交流同期モータであっても良いし、特に種類は限定されない。
【0041】
次に図9ないし図11を参照して、本実施形態に係る感温センサの一例としての熱電対50とこの熱電対50を構成するための感温用カニューラ(以下、「カニューラ」と言う。)77について説明する。
図9に示すように、互いに異なる導電金属の線材58と59とによりいわゆる熱電対50を形成する。この熱電対50の冷接点56は既に説明したように、装置内あるいは装置外の何処に配置してもよい。熱電対50に生じた起電力を測定するための電圧測定部57は、中央制御部200内もしくは中央制御部200と接続された電圧計である。温接点55は、線材58と59とを長さ方向に沿って、撚り合わせた撚り線状とすることにより、交差位置となる沢山の箇所で容易に接触し得るようにし、この撚り線の長さ分だけ長い線状に延びる温接点55とされている。
あるいは、これに替えて、撚り線とする前に、線材58と線材59のそれぞれに絶縁被覆を施して、その後撚り合わせて撚り線としてもよい。この場合の絶縁被覆は、タバコの火の火移り等の燃焼時等に想定される過度の温度上昇に対応した比較的低い温度で溶解する材料が適しており、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の材料で形成した絶縁被覆が好ましい。これにより、温度上昇により溶解して初めて撚り線の各接点が電気的接続をなすようにしてもよく、これにより温接点55は、通常は先端部のみ電気的に接続している。言い換えると撚り線の長さ分だけ長い線状に延びる温接点55と見なされる状態を形成している。
熱電対50を構成する線材58,59としては一方がクロメル(ニッケルNiおよびクロムCrを主とした合金)として、他方をアルメル(ニッケルNiを主とした合金)とすると、温度‐起電力の関係がほぼ直線的で、コストもあまり高くならないので好ましい。下限濃度の炎が1200度(摂氏)程度であることから、このような合金を用いることが適切である。
もちろん白金やロジウム、イリジウム等の組成比を互いに異ならせた合金各線材58,59を形成するために用いることもできる。これにより、より高い温度に対応した熱電対50を形成することができるが、コストが高くなる欠点がある。
【0042】
図10に示すカニューラ77は、筒体、すなわちチューブであり、気体や液体を送るために用いるものである。カニューラ77は、可撓性材料で形成されており、例えば塩化ビニルやシリコーン等の上部で、成形性に優れた種々の合成樹脂材料で形成することができる。
図10に示すように、温接点55は、このカニューラ77の内部に配置される。すなわち、カニューラ77の長さとほぼ同等の長さにして、該カニューラ77の長さ方向に沿って配置される。カニューラ77の長さ方向とは送気方向と同じである。
好ましくは、温接点55としての撚り線は、図10に示すようにチューブの肉厚の内部に埋設する。このようにすると、カニューラ77内を通る酸素に湿気が付与されていることから、湿気を含んだ酸素に暴露されることを避け、防錆効果が期待できる。
【0043】
また、図10および図11に示すように、好ましくはカニューラ77であるチューブの取付け端部から所定長さの位置にマーカー78を設けると好ましい。マーカー78は図7で説明したカプラソケット71の先端部71Mをカニューラ77に挿入する際の目安であり、例えば、カニューラ77の挿入端部から所定寸法の箇所で週方向に付けられた着色線である。好ましくは、赤色のマーカーを施し、カニューラ材料を透明もしくはある程度透明、あるいは部分的にある程度の透明度を持たせると良い。
【0044】
図10では、カニューラ77の取付け端部77Sから外部に露出して延びる露出部55aを予め形成しておき、該露出部55aを矢印方向に引くと、カニューラ77を構成するチューブ材料が破断し、図11(a)に示すように、該露出部55aの一部をカニューラ77のチューブの内部空間に露出させることができる。
この状態で図7に示すようにカプラソケット71の先端部71Mをカニューラ77の取付け端部77S内にねじ込むことにより、カニューラ77の内方への弾性が締め付け力となって、露出部55aをカプラソケット71の先端部71Mの外周に押し付ける。これにより、露出部55aはカプラソケット71との電気的接続を確実に得ることができる。
あるいはまた、図11(b)に示すように、温接点55には露出部を設けることなく、カニューラ77の取付け端部77Sの内面に露出した導体金属の薄板で、ターミナル81を設ける(図示せず)。このターミナルに温接点55を接続するようにしてもよい。この場合、ターミナル81は、チューブ内周の全周とすることなく、その一部とすることで、チューブの弾性による締め付け力を失うことなく、着脱に支障が出ないようにすることができる。
さらにまた、温接点55は、必ずしもカニューラ77の全長にわたって設ける必要はない。使用者の直近では、温接点55を内蔵しないようにすることもできる。ただし機器使用中にタバコを吸う等によりカニューラに着火した場合、温接点55が存在する箇所まで炎達しないと、酸素濃縮器による酸素の生成を停止できない。
【0045】
次に、上述した酸素濃縮装置1の動作例を、図8を参照して説明する。
図5と図9に示すように、使用者Mが酸素濃縮装置1に対してカニューラ70を用いて濃縮酸素を吸入する場合には、使用者Mはチューブ72の先端のカプラソケット71を酸素出口部100に対して押し込んで接続する。
図8に示す中央制御部200がモータドライバ210に指令して、モータドライバ210がコンプレッサ10の駆動用モータ53を始動して、駆動用モータ53の出力軸が連続回転をする。これにより、コンプレッサ10の第1ヘッド部のピストンと第2ヘッド部のピストンが往復移動する。
【0046】
コンプレッサ10が動作すると、原料空気は、図8に示す空気取り入れ口5から取り入れられてフィルタ7により塵埃等の不純物を取り除き、内部の配管37と吸気フィルタ兼消音バッファ38と、並列接続された第1接続配管40と第2接続配管41を通じて、コンプレッサ10のスリーブ11,12内に導入される。このように、配管37から吸気フィルタ兼消音バッファ38に導入された原料空気は、吸気フィルタ兼消音バッファ38を通過して塵埃等が除去されるとともに騒音が低減された後に、並列接続された第1接続配管40と第2接続配管41に分かれて、図示しないピストンの動きに応じて原料空気が圧縮され、あるいはスリーブ11とスリーブ12内に原料空気が吸入される。
第1接続配管40と第2接続配管41は、吸気フィルタ兼消音バッファ38とコンプレッサ10の間における原料空気の導入経路を並列になるように複数系統に分けて、吸気フィルタ兼消音バッファ38とコンプレッサ10の吸入口を直接接続している。このことから、第1接続配管40と第2接続配管41の1本当たりの送るべき原料空気量を減らすことができる。言いかえれば、第1配管40と第2配管41の直径を小さく設定しても圧力損失が増加せずに済む。また、原料空気をコンプレッサ10に送る際の第1接続配管40と第2接続配管41の1本当たりの騒音も各段に小さくなるので、第1接続配管40と第2接続配管41を用いても、従来の1本の配管の途中を分岐して分岐配管を形成するのに比べて、騒音を低減できる。
そして、図8に示すコンプレッサ10が発生する圧縮空気は、配管15を介して、第1吸着筒体13と第2吸着筒体32側に供給できる。
【0047】
一方、図8に示す中央制御部200は、モータドライバ211に指令を与えて第1ファン34と第2ファン36を回転させる。コンプレッサ10が原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する際に、コンプレッサ10のスリーブ11,12はそれぞれ第1ファン34と第2ファン36の送風により冷却され、しかも配管15を通る圧縮空気は、ラジエータ13を通過することで冷却される。そして、圧縮空気は、配管15と3方向切換弁14B、14Cを経て第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の吸着剤を通過して窒素を吸着することにより、酸素が分離して生成される。バッファ61は、分離して生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵することができる。
【0048】
図8の酸素濃度センサ64は、バッファ61からの酸素の濃度の検出を行う。比例開度弁65は、酸素流量設定ボタン102に連動して開閉する。そして、酸素は、酸素出口部100を経て、鼻カニューラ70に供給される。これにより、患者は、鼻カニューラ70を経て例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0049】
ところで、上述したように、使用者が鼻ューラ70を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、鼻ニューラ70のチューブ72が直接着火したり、酸素濃縮装置1の表面が高温状態になるおそれがある。
そこで、例えばたばこの火が鼻カニューラ70のチューブ72に直接着火してしまった場合に、安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する動作について説明する。
上述の運転時においては、中央制御部200は、常時、図12に火災防止制御をおこなっている(ST11)。
【0050】
まず、例えば、図4に示す使用者Mが、例えば喫煙していて、たばこの火が鼻カニューラ70のチューブ72に万一引火した場合には、その熱がチューブ77に内蔵された温接点55を加熱する。温接点55の中間に引火した場合、温接点撚り線部の絶縁被覆が溶融し新たな温接点をなす。中央制御部200は、常に電圧計測部57により熱電対50に起電力が生じているか、すなわち、所定の閾値以上の電圧を計測したかどうか監視している(ST12)。この閾値は予め図9の熱電対50においてカニューラに着火した際の温度勾配から得たデータを中央制御部200が記憶部に備えていて、当該用意された閾値を用いることができる。
【0051】
ST12で否定結果を得た場合には、ST12の監視を継続する。
ST12で、閾値以上の電圧を計測した場合には、当該電圧値の閾値を越えた状態が予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続したことを、中央制御部200が知ると、中央制御部200は、「カニューラ着火」と判断し、警報手段SPにより使用者に対して警報を音や光あるいはその両方により知らせ、スピーカ290が、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音声でガイドする。また、表示部128には、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを文字や絵で表示する。これにより、使用者は濃縮酸素の供給が遮断されたことを、耳と目で確実に認知することができる。
同時に、図8の中央制御部200は、モータドライバ210に指令を与えて、ポンプ10による圧縮空気の生成動作を停止させる。
これにより、カニューラ70やチューブ72が直接着火して火炎が伝搬しても、カプラソケット71に炎達することは無く、これを未然に防止し、安全性を確保するために、酸素出口部100と鼻カニューラ70への濃縮酸素の供給を遮断することができる(ST13、ST14)。
カニューラ着火により緊急停止した場合には、中央制御部200による火災防止制御は終了する(ST15)。
【0052】
図13は、鼻カニューラの変形例を示している。
鼻カニューラ70−1において、図5に示す各部分と同一の箇所には共通する符号を付して、重複する説明は省略する。
この変形例では、途中にカプラソケット70−1および酸素出口部材100と同様の部材100−1を介して、延長用チューブ72−1を追加接続した構成を示している。
本実施形態の図9で説明した線状に延びる長く伸びる温接点55は、これらの各チューブに内蔵することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の酸素濃縮装置では、鼻カニューラへの火移りにより、直ちに出火を検出することができ、火災に至る前に確実に装置の運転止めて酸素の供給を停止することができる。すなわち、鼻カニューラ内の温接点の存在箇所まで炎達した時点で直ちに酸素の供給を停止することができ、鼻カニューラへの着火による火災をきわめて早期に検出して確実に火災や火傷等を確実に防止することができる。
このように、カニューラに着火した段階で早期に酸素を遮断して安全性を確保することができる。そして、酸素濃縮装置への延焼やこの装置自体の火災等の発生を未然に防止することができる。
【0054】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の感温用カニューラは酸素濃縮装置だけでなく、種々の医療器具に適用することができる。
感温センサは、熱電対に限らず焦電センサ等の感熱手段を広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・酸素濃縮装置、2・・・主筐体、10・・・コンプレッサ、50・・・熱電対、55・・・温接点、56・・・冷接点、70・・・鼻カニューラ(カニューラの一例)、71・・・カプラソケット(カプラの一例)、72・・・チューブ、100・・・酸素出口部(材)、290・・・スピーカ、SP・・・警報手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体の送排を行うチューブ(管体)であるカニューラに係り、特に火炎の延焼を防止するためのカニューラと、このカニューラを適用した酸素濃縮装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力スイング吸着法を利用した酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着するゼオライトを吸着剤として用いることで濃縮酸素を得る構成になっている。
この方式の酸素濃縮装置によれば、取り込んだ原料空気をコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された濃縮酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流電源)が利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
他方、患者が外出等で移動したり、家屋や医療施設内で部屋間の移動に便利なように、あるいは在宅配置における限られた配置スペースに適するように、小型で可搬に適するように構成した酸素濃縮装置も知られている (特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−111016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用者(患者)に対して気体や液体の送排を行うチューブを一例として用いる従来の酸素濃縮装置では、使用者は鼻カニューラをチューブとカプラを介して酸素濃縮装置の酸素出口部に対して接続して、酸素出口部から出る濃縮酸素を吸入する。しかし、使用者が鼻カニューラを用いて濃縮酸素を吸入している際に、酸素が助燃性ガスであるために、酸素濃縮装置の近くで喫煙する行為や火気を使用する行為は厳禁である。にもかかわらず、例えば使用者が喫煙をすることにより、鼻カニューラ等のチューブ先端に直接引火して事故が発生する恐れがあり、場合によっては火炎がチューブ内を伝播して酸素濃縮装置自体が引火して火災が拡大してしまう懸念がある。
そこで、本発明は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、安全性を確保するためのカニューラと、該カニューラを用いた酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達するため、本発明の感温用カニューラは、可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、該チューブ状の本体の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材とを具備することを特徴とする。
上記構成によれば、カニューラに火移りした場合に、該カニューラが気体や液体を送る長さ方向に沿って感温センサの一部が配置されているから、カニューラのどの位置で火移りしても、発火を検知することができる。
【0008】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記感温センサが熱電対であり、前記チューブ状の本体の長さ方向に配置される前記導体でなる線材は、異種金属線を互いに接触状態とするために撚り線状とした長尺の温接点であることを特徴とする。
上記構成によれば、感温センサを熱電対とすることにより、その温接点をカニューラ内に設けることで、該カニューラに火移りした際には、該温接点と冷接点との間に温度勾配が生じて起電力が検出される。これにより、出火を容易に検出することができる。
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記撚り線状とすることで温接点をなす線材は、それぞれ、加熱により溶融しやすい絶縁材料で被覆された上で、前記撚り線状とされていることを特徴とする。
上記構成によれば、燃焼時の早い段階で前記絶縁材料が溶融させることで、線材同士の交差箇所をはじめて導通させる。これにより安定した動作を期待できる。
【0009】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記チューブ状本体の肉厚の内部に埋設されていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記撚り線状とした温接点をなす線材が、カニューラの内部、すなわち、送排する気体等の通路に露出していないので、該気体や液体等から悪影響を受けることがなく、錆びや断線などの故障の心配がない。
【0010】
本発明の感温用カニューラは好ましくは、前記チューブ状本体の端部から所定長さの位置において、外部から視認できるマーカーが設けられているとともに、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記端部から露出して外部に所定長さだけ延出されており、前記チューブ状本体は、前記線材の前記延出部を把持して径方向内側に引くことで破断され、該線材の一部が前記チューブ状本体の内面に露出する構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、前記マーカーを目安に、カニューラを接続するカプラ等を差し込むことにより、接続作業が容易となる。この場合、前記線材をチューブ本体の内面に露出させると、前記カプラ等を差し込む構成として、このカプラ外面を導通可能に構成しておけば、カプラ側と前記露出させた線材との電気的接続がきわめて容易となる。
【0011】
上記目的を達するため、本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、前記圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部と、鼻カニューラを構成するチューブを着脱するために前記酸素出口部に設けられるカプラとを備えており、前記鼻カニューラが、上記した感温用カニューラであって、該鼻カニューラの温接点と、鼻カニューラ以外の箇所に設けた冷接点との間に起電力が生じることにより予め定めた電圧以上の電圧が検出されたと判断すると、前記コンプレッサの動作を停止して前記酸素の供給を遮断する制御部を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、鼻カニューラへの火移りにより、直ちに出火を検出することができ、火災に至る前に確実に装置の運転止めて酸素の供給を停止することができる。すなわち、鼻カニューラ内の温接点の存在箇所まで炎達した時点で直ちに酸素の供給を停止することができ、鼻カニューラへの着火による火災をきわめて早期に検出して確実に火災や火傷等を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、安全性を確保するためのカニューラと、該カニューラを用いた酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。
【図2】図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
【図3】図1と図2に示す酸素濃縮装置の内部構造例を示す斜め後ろ側から見た斜視図である。
【図4】鼻カニューラが酸素濃縮装置の酸素出口部に接続された状態を示す斜視図である。
【図5】鼻カニューラの構成例を示す分解斜視図である。
【図6】鼻カニューラのカプラソケットと酸素出口部を示す斜視図である。
【図7】酸素出口部とカプラソケットの付近を示す断面図である。
【図8】酸素濃縮装置のシステム構成例を示す図である。
【図9】感温センサの一例として、本実施形態に適用される熱電対の構成図である。
【図10】カニューラに温接点を組み込む構成例を示す説明図である。
【図11】(a)は図10の部分断面図、(b)はカニューラの変形例である。
【図12】酸素濃縮装置における温度検知の例を示すフロー図である。
【図13】鼻カニューラの別の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明のコンプレッサを備える酸素濃縮装置の実施形態の外観を示す前側から見た斜視図である。図2は、図1の酸素濃縮装置の外観の背面図である。
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、好ましくは携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図1に示す酸素濃縮装置1は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA:正圧変動吸着法)を用いている。
【0015】
図1と図2に示す酸素濃縮装置1は、一例として酸素流量が最大5Lクラスの酸素濃縮装置であり、酸素流量の設定単位は、例えば0.25L〜5.00Lまで設定されている。酸素濃縮装置1は、ほぼ直方体状の主筐体2と、流量設定が可能な表示部128と、加湿器Gと、カニューラ掛け2Kと、4隅のキャスタ2Tを有している。
主筐体2は、フロントパネル2Fと、左右のサイドパネル2Sと、リアパネル2Rと、上面部2Dと、底部2Bを有している。
図1に示すように、上面部2Dには表示部128と、酸素出口部100と、電源スイッチ101と、酸素流量設定ボタン102が配置されている。フロントパネル2Fの上部には、加湿器Gの配置部2Gが設けられている。キャスタ2Tは底部2Bの四隅部分に配置され、酸素濃縮装置1はこれらのキャスタ2Tを用いて移動可能になっている。
【0016】
図2を参照すると、リアパネル2Rは、上部の中央位置に主筐体2内に外気を取り入れるための空気取り入れ口5が形成され、下部の右側に主筐体2内の温まった空気を外部に排出するための排気口6が形成されている。空気取り入れ口5の内面側には、空気取り入れ口フィルタ7が着脱可能に装着されている。その他に、左右のサイドパネル2Sは取手8を有し、底部2Bは巻き取り式の電源コード9を有している。
【0017】
図3は、図1と図2に示す酸素濃縮装置1の内部構造例を示す斜め後ろ側から見た斜視図である。
図3に示すように、底部2Bの上にはコンプレッサ10が設定され、このコンプレッサ10は、直方体状の防音用のコンプレッサケース4内に配置されている。コンプレッサケース4の背面部には、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32がX方向に沿って間隔をおいて、しかもZ方向(垂直方向)に沿って平行に立てて固定されている。
【0018】
図3に示すように、コンプレッサ10のスリーブ12は、配管15に接続されており、この配管15の途中には、冷却用のラジエータ13と3方向切換弁14B、14Cが接続されている。第1吸着筒体31の内側には、第1ファン34が取付けられ、第2吸着筒体32の内側には、第2ファン36が取付けられている。
【0019】
図3に示すように、同形状の第1ファン34と第2ファン36は、例えばシロッコファンが用いられ、対面して位置されているが、第1ファン34と第2ファン36の取付け向きが、互いに上下逆になるように、しかも吸い込み口が互いに対面するようにして固定されている。
【0020】
図3に示すように、冷却用のラジエータ13は、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32の間であって、第1ファン34と第2ファン36の下部に配置されている。また、電源制御回路39が底部2Bに配置されている。
【0021】
次に、図4〜図7を参照して、鼻カニューラ70について説明する。
図4は、鼻カニューラ70が酸素濃縮装置1の酸素出口部100にカプラソケット71を用いて接続された状態を示す斜視図である。図5は、鼻カニューラ70の構成例を示す分解斜視図である。図6は、鼻カニューラ70のカプラソケット71と酸素出口部100を示す斜視図である。図7は、鼻カニューラ70のチューブの接続部とカプラソケット71と酸素出口部100を示す分解斜視図である。
図4と図5に示すように、鼻カニューラ70は、使用者Mが耳と鼻を利用して装着するカニューラの一例であり、装着部77と、チューブ72と、カプラの一例であるカプラソケット71を有する。チューブ72の一端部には接続部77Pを介して装着部77が接続され、チューブ72の他端部には接続部77Sを介してカプラソケット71が接続されている。
【0022】
図6と図7に示すように、カプラソケット71は押圧ボタン71Nを有している。図6に示すように、使用者Mがこの押圧ボタン71NをE方向に押しながら、カプラソケット71をF方向(上方向)に引くことで、カプラソケット71は酸素出口部100からワンタッチで外すことができる。また、使用者Mがこの押圧ボタン71NをE方向に押しながら、カプラソケット71をF方向と逆方向に押すことで、カプラソケット71は酸素出口部100へワンタッチで装着して接続することができる。
図5に示すチューブ72は、通常の接続チューブやこの接続チューブを延長するための延長チューブを指す。
【0023】
すなわち、カニューラは、後述するように、本実施形態におけるような「鼻カニューラ」としてだけ使用できるのではなく、延長部分に配置されるチューブとしても使用できるし、他の用途のカニューラとして使用することもできる。
カニューラの材質や感温センサとの関係については後で詳しく説明する。
【0024】
カプラソケット71は、全体が導電性の金属材料、好ましくは錆びにくく導電性のある金属材料として、例えば銅合金やアルミニウム合金等によりにより形成されている。
あるいは、合成樹脂材料により形成され、その外面を導電性金属材料により被覆するようにしてもよい。
この場合、カプラソケット71は、好ましくは、難燃性樹脂、例えば米国のUL−94規格のV−0ランク品、または酸素指数が26以上の性能を有する難燃性樹脂を使用している。このカプラソケット71は、自己消火性を有する難燃性樹脂により形成されているが、自己消火性を有する難燃性樹脂とは、耐燃性を有する樹脂であり、接炎するときに着火するが、火炎が伝搬せずに火炎を取り去った後、一定時間内に自己消火する性質をいう。
【0025】
このような難燃性樹脂でカプラソケット71の形状を形成した後で、その外面71a全体に導電性金属の導通被覆部を形成する。
例えば、カプラソケット71を成形した後で、その外面71aに銀等の導電金属をスパッタリングにより成膜したり、無電解メッキにより導電金属を成膜してもよい。あるいは、超高速スプレーによる吹き付け塗装により導電膜を塗膜したり、導電ペーストを塗って、導通路を形成することもできる。
図7に示すように、酸素出口部100は、リング状のフランジ部100Fと円筒部100G、100Hを有している。フランジ部100fは、円筒部100Gと円筒部100Hの間に形成されている。
この酸素出口部100は、例えば、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
【0026】
図7に示すように、この酸素出口部100は、例えばフランジ部100Fを貫通する金属製の突起もしくは凸部等により接点100Lを設け、カプラソケット71の導電膜と接触させて電気的接続をするとともに、該接点100Lを後述する感温センサの一例としての熱電対50の温接点55に接続し、該熱電対50に生じた起電力を電圧変化として、中央制御部200により検出するようにしている。接点100Lは、図示しないコイルスプリング等の付勢手段により弾性的に突出するようにしてもよい。
中央制御部200は、濃縮酸素を生成するためのさまざまな動作の制御を行う。
【0027】
図7に示すように、酸素出口部100の円筒部100Hには、継手79が接続されている。この継手79は、濃縮された酸素を、酸素出口部100を介してチューブ72側に供給するために接続されている。
図4と図7に示すように、酸素出口部100には、鼻カニューラ70のカプラソケット71が着脱可能に接続される。カプラソケット71は、チューブ72を介して鼻カニューラ70に接続されている。使用者は、鼻カニューラ70とチューブ72と酸素出口部100を経て、例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0028】
次に、図8を参照して、上述した酸素濃縮装置1のシステム構成例を説明する。
図8は、酸素濃縮装置1のシステム構成例を示す図である。
図8に示す二重線は、原料空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管を示している。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。図8に示す酸素濃縮装置1の主筐体2は破線で示しており、この主筐体2は内部に配置された要素を密閉している密閉容器である。
【0029】
図8に示すように、主筐体2は、外気である原料空気を導入するための空気取り入れ口5と空気取り入れ口フィルタ7および排気するための排気口6を有している。空気取り入れ口5には、空気中の塵埃等の不純物を除去するための空気取り入れ口フィルタ7が交換可能に配置されている。原料空気は、コンプレッサ10が作動すると、空気取り入れ口フィルタ7を介して、内部の配管37と吸気フィルタ兼消音バッファ38と、この吸気フィルタ兼消音バッファ38に対して並列接続されている第1接続配管40と第2接続配管41を通じて、コンプレッサ10側に導入されるようになっている。
【0030】
このように原料空気は、コンプレッサ10に導入されて圧縮空気になるが、原料空気を圧縮する際に熱が発生する。このため、コンプレッサ10、特にスリーブ11,12は、冷却用の第1ファン34と第2ファン36からの送風により冷却する。そして、コンプレッサ10から配管15を通じて送られる圧縮空気は、ラジエータ13により冷却される。
このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトの昇温を抑制できる。これにより、窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになり、酸素を90%程度以上にまで濃縮できる。
【0031】
第1吸着筒体31と第2吸着筒体32は、並べて配置された吸着部材の一例であり、縦方向に並列に配置されている。これら第1吸着筒体31と第2吸着筒体32には、それぞれ三方向切換弁14B,14Cが接続されている。一方の3方向切換弁14Bの一端部が配管15に接続されている。一方の3方向切換弁14Bと他方の3方向切換弁14Cとが互いに接続され、さらに、他方の3方向切換弁14Cの一端部が配管15Rに接続されている。配管15Rの端部は、排気口6に達している。
3方向切換弁14B、14Cは、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32にそれぞれ対応して接続されている。コンプレッサ10から発生する圧縮空気は、配管15と3方向切換弁14B、14Cを介して、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32に対して交互に供給される。
【0032】
触媒吸着剤であるゼオライトは、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内にそれぞれ貯蔵されている。このゼオライトは、例えばSi203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。このゼオライトは、特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。ゼオライトを使用することで、他の吸着剤を使う場合に比べて酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気を発生するためのコンプレッサ10をより小型化が図れ、コンプレッサ10の低騒音化を図ることができる。
【0033】
図8に示すように、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32の出口側には、逆止弁と絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が接続されている。均等圧弁107の下流側には、合流する配管60が接続されており、この配管60にはバッファ61が接続されている。このバッファ61は、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32において分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための酸素貯蔵容器である。
【0034】
図8に示すように、バッファ61の下流側には、圧力調整器62が接続されており、圧力調整器62はバッファ61の出口側の酸素の圧力を一定に自動調整するレギュレータである。圧力調整器62の下流側には、フィルタ63を介してジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ64が接続されており、酸素濃度センサ64は、酸素濃度の検出を間欠的に(10〜30分毎に)または連続的に行うようになっている。
【0035】
図8に示すように、バッファ61には、比例開度弁65が接続されている。この比例開度弁65は、中央制御部200の指令により流量制御部202からの信号により、酸素流量設定ボタン102の設定ボタン操作に連動して開閉する。比例開度弁65には酸素流量センサ66が接続されている。この酸素流量センサ66には、加湿器Gと酸素流量センサ67が接続されている。この酸素流量センサ67の後段には、酸素出口部100が接続されている。
図8に示す酸素出口部100には、鼻カニューラ70のカプラソケット71が着脱可能に接続される。カプラソケット71は、チューブ72を介して鼻カニューラ70に接続されている。患者は、鼻カニューラ70を経て、例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
中央制御部200には、上述した感温センサとしての熱電対50が接続されている。熱電対50の温接点55について、後で詳しく説明する。熱電対50の冷接点56は、酸素濃縮装置1内のどこに配置してもよく、外部に露出させて配置すると、温接点55との温度勾配を得やすく好ましい。中央制御部200内には、熱電対50の起電力を検出するための電圧測定部(電圧計)57が設けられている。
【0036】
次に、図8を参照して電源系統を説明する。
図8に示すAC(商用交流)電源のコネクタ203は、電源制御回路39に電気的に接続され、電源制御回路39は商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に整流する。内蔵電池204は、主筐体2に内蔵されている。内蔵電池204は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池204は電源制御回路39からの電力供給を受けて充電できる。
これにより、図1の中央制御部200が電源制御回路39を制御することで、電源制御回路39は、例えばACアダプタ203からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池204からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態の内の1つの供給状態に自動切換して使用できる。内蔵電池204は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。
【0037】
図8の中央制御部200は、モータドライバ210とファンモータドライバ211に電気的に接続されている。中央制御部200は生成する酸素量に応じた最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されている。モータドライバ210とファンモータドライバ211は、中央制御部200の指令により、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ10と第1ファン34と第2ファン36を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合にはコンプレッサ10と第1ファン34と第2ファン36を低速に回転駆動する制御を行う。
【0038】
この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモ)が内蔵されるとともに、中央制御部200には、外部記憶装置と揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路が電気的に接続されている。中央制御部200は、通信コネクタ205を介して外部の通信回線等と接続することでアクセスが可能となる。
図8に示す3方向切換弁14B、14Cと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路(図示せず)と、圧力調整器62と、流量制御部202と、酸素濃度センサ64が、中央制御部200に電気的に接続されている。流量制御部202は、比例開度弁65を制御し、酸素流量センサ66と酸素流量センサ67の酸素流量値は、中央制御部200に送られる。図8に示す中央制御部200には、酸素流量設定ボタン102と、表示部128と、電源スイッチ101と、表示スイッチ128Sが電気的に接続されている。
中央制御部200は、ブザーやランプ等の警報手段SPに電気的に接続されている。警報手段SPは、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音や光で警報を発することができる。また、スピーカ290が、中央制御部200に電気的に接続され、このスピーカ290は、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音声でガイドする。また、表示部128には、酸素の供給が遮断された時に、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを文字や絵で表示する。
【0039】
酸素流量設定ボタン102は、例えば90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階で操作するごとに、酸素流量を設定できる。表示部128は、例えば、7セグメント表示の液晶ディスプレイなどの表示装置が利用されている。表示部128には、例えば酸素流量、酸素ランプ、警報アイコン(チューブ折れ、加湿器外れ、酸素濃度低下、電源供給停止、バッテリ残量、バッテリ運転中、充電ランプ)、積算時間等の表示項目を表示することができる。
【0040】
図8に示すコンプレッサ10は、すでに説明したように圧縮空気のみを発生させることで正圧変動吸着法(PSA)により、圧縮空気を第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内に送り、第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の吸着剤により圧縮空気中の窒素を吸着させる。コンプレッサ10の駆動用モータ53は、同期モータであっても、その他に例えば単相交流誘導モータであっても良いし、単相4極交流同期モータであっても良いし、特に種類は限定されない。
【0041】
次に図9ないし図11を参照して、本実施形態に係る感温センサの一例としての熱電対50とこの熱電対50を構成するための感温用カニューラ(以下、「カニューラ」と言う。)77について説明する。
図9に示すように、互いに異なる導電金属の線材58と59とによりいわゆる熱電対50を形成する。この熱電対50の冷接点56は既に説明したように、装置内あるいは装置外の何処に配置してもよい。熱電対50に生じた起電力を測定するための電圧測定部57は、中央制御部200内もしくは中央制御部200と接続された電圧計である。温接点55は、線材58と59とを長さ方向に沿って、撚り合わせた撚り線状とすることにより、交差位置となる沢山の箇所で容易に接触し得るようにし、この撚り線の長さ分だけ長い線状に延びる温接点55とされている。
あるいは、これに替えて、撚り線とする前に、線材58と線材59のそれぞれに絶縁被覆を施して、その後撚り合わせて撚り線としてもよい。この場合の絶縁被覆は、タバコの火の火移り等の燃焼時等に想定される過度の温度上昇に対応した比較的低い温度で溶解する材料が適しており、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の材料で形成した絶縁被覆が好ましい。これにより、温度上昇により溶解して初めて撚り線の各接点が電気的接続をなすようにしてもよく、これにより温接点55は、通常は先端部のみ電気的に接続している。言い換えると撚り線の長さ分だけ長い線状に延びる温接点55と見なされる状態を形成している。
熱電対50を構成する線材58,59としては一方がクロメル(ニッケルNiおよびクロムCrを主とした合金)として、他方をアルメル(ニッケルNiを主とした合金)とすると、温度‐起電力の関係がほぼ直線的で、コストもあまり高くならないので好ましい。下限濃度の炎が1200度(摂氏)程度であることから、このような合金を用いることが適切である。
もちろん白金やロジウム、イリジウム等の組成比を互いに異ならせた合金各線材58,59を形成するために用いることもできる。これにより、より高い温度に対応した熱電対50を形成することができるが、コストが高くなる欠点がある。
【0042】
図10に示すカニューラ77は、筒体、すなわちチューブであり、気体や液体を送るために用いるものである。カニューラ77は、可撓性材料で形成されており、例えば塩化ビニルやシリコーン等の上部で、成形性に優れた種々の合成樹脂材料で形成することができる。
図10に示すように、温接点55は、このカニューラ77の内部に配置される。すなわち、カニューラ77の長さとほぼ同等の長さにして、該カニューラ77の長さ方向に沿って配置される。カニューラ77の長さ方向とは送気方向と同じである。
好ましくは、温接点55としての撚り線は、図10に示すようにチューブの肉厚の内部に埋設する。このようにすると、カニューラ77内を通る酸素に湿気が付与されていることから、湿気を含んだ酸素に暴露されることを避け、防錆効果が期待できる。
【0043】
また、図10および図11に示すように、好ましくはカニューラ77であるチューブの取付け端部から所定長さの位置にマーカー78を設けると好ましい。マーカー78は図7で説明したカプラソケット71の先端部71Mをカニューラ77に挿入する際の目安であり、例えば、カニューラ77の挿入端部から所定寸法の箇所で週方向に付けられた着色線である。好ましくは、赤色のマーカーを施し、カニューラ材料を透明もしくはある程度透明、あるいは部分的にある程度の透明度を持たせると良い。
【0044】
図10では、カニューラ77の取付け端部77Sから外部に露出して延びる露出部55aを予め形成しておき、該露出部55aを矢印方向に引くと、カニューラ77を構成するチューブ材料が破断し、図11(a)に示すように、該露出部55aの一部をカニューラ77のチューブの内部空間に露出させることができる。
この状態で図7に示すようにカプラソケット71の先端部71Mをカニューラ77の取付け端部77S内にねじ込むことにより、カニューラ77の内方への弾性が締め付け力となって、露出部55aをカプラソケット71の先端部71Mの外周に押し付ける。これにより、露出部55aはカプラソケット71との電気的接続を確実に得ることができる。
あるいはまた、図11(b)に示すように、温接点55には露出部を設けることなく、カニューラ77の取付け端部77Sの内面に露出した導体金属の薄板で、ターミナル81を設ける(図示せず)。このターミナルに温接点55を接続するようにしてもよい。この場合、ターミナル81は、チューブ内周の全周とすることなく、その一部とすることで、チューブの弾性による締め付け力を失うことなく、着脱に支障が出ないようにすることができる。
さらにまた、温接点55は、必ずしもカニューラ77の全長にわたって設ける必要はない。使用者の直近では、温接点55を内蔵しないようにすることもできる。ただし機器使用中にタバコを吸う等によりカニューラに着火した場合、温接点55が存在する箇所まで炎達しないと、酸素濃縮器による酸素の生成を停止できない。
【0045】
次に、上述した酸素濃縮装置1の動作例を、図8を参照して説明する。
図5と図9に示すように、使用者Mが酸素濃縮装置1に対してカニューラ70を用いて濃縮酸素を吸入する場合には、使用者Mはチューブ72の先端のカプラソケット71を酸素出口部100に対して押し込んで接続する。
図8に示す中央制御部200がモータドライバ210に指令して、モータドライバ210がコンプレッサ10の駆動用モータ53を始動して、駆動用モータ53の出力軸が連続回転をする。これにより、コンプレッサ10の第1ヘッド部のピストンと第2ヘッド部のピストンが往復移動する。
【0046】
コンプレッサ10が動作すると、原料空気は、図8に示す空気取り入れ口5から取り入れられてフィルタ7により塵埃等の不純物を取り除き、内部の配管37と吸気フィルタ兼消音バッファ38と、並列接続された第1接続配管40と第2接続配管41を通じて、コンプレッサ10のスリーブ11,12内に導入される。このように、配管37から吸気フィルタ兼消音バッファ38に導入された原料空気は、吸気フィルタ兼消音バッファ38を通過して塵埃等が除去されるとともに騒音が低減された後に、並列接続された第1接続配管40と第2接続配管41に分かれて、図示しないピストンの動きに応じて原料空気が圧縮され、あるいはスリーブ11とスリーブ12内に原料空気が吸入される。
第1接続配管40と第2接続配管41は、吸気フィルタ兼消音バッファ38とコンプレッサ10の間における原料空気の導入経路を並列になるように複数系統に分けて、吸気フィルタ兼消音バッファ38とコンプレッサ10の吸入口を直接接続している。このことから、第1接続配管40と第2接続配管41の1本当たりの送るべき原料空気量を減らすことができる。言いかえれば、第1配管40と第2配管41の直径を小さく設定しても圧力損失が増加せずに済む。また、原料空気をコンプレッサ10に送る際の第1接続配管40と第2接続配管41の1本当たりの騒音も各段に小さくなるので、第1接続配管40と第2接続配管41を用いても、従来の1本の配管の途中を分岐して分岐配管を形成するのに比べて、騒音を低減できる。
そして、図8に示すコンプレッサ10が発生する圧縮空気は、配管15を介して、第1吸着筒体13と第2吸着筒体32側に供給できる。
【0047】
一方、図8に示す中央制御部200は、モータドライバ211に指令を与えて第1ファン34と第2ファン36を回転させる。コンプレッサ10が原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する際に、コンプレッサ10のスリーブ11,12はそれぞれ第1ファン34と第2ファン36の送風により冷却され、しかも配管15を通る圧縮空気は、ラジエータ13を通過することで冷却される。そして、圧縮空気は、配管15と3方向切換弁14B、14Cを経て第1吸着筒体31と第2吸着筒体32内の吸着剤を通過して窒素を吸着することにより、酸素が分離して生成される。バッファ61は、分離して生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵することができる。
【0048】
図8の酸素濃度センサ64は、バッファ61からの酸素の濃度の検出を行う。比例開度弁65は、酸素流量設定ボタン102に連動して開閉する。そして、酸素は、酸素出口部100を経て、鼻カニューラ70に供給される。これにより、患者は、鼻カニューラ70を経て例えば最大流量5L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0049】
ところで、上述したように、使用者が鼻ューラ70を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、鼻ニューラ70のチューブ72が直接着火したり、酸素濃縮装置1の表面が高温状態になるおそれがある。
そこで、例えばたばこの火が鼻カニューラ70のチューブ72に直接着火してしまった場合に、安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する動作について説明する。
上述の運転時においては、中央制御部200は、常時、図12に火災防止制御をおこなっている(ST11)。
【0050】
まず、例えば、図4に示す使用者Mが、例えば喫煙していて、たばこの火が鼻カニューラ70のチューブ72に万一引火した場合には、その熱がチューブ77に内蔵された温接点55を加熱する。温接点55の中間に引火した場合、温接点撚り線部の絶縁被覆が溶融し新たな温接点をなす。中央制御部200は、常に電圧計測部57により熱電対50に起電力が生じているか、すなわち、所定の閾値以上の電圧を計測したかどうか監視している(ST12)。この閾値は予め図9の熱電対50においてカニューラに着火した際の温度勾配から得たデータを中央制御部200が記憶部に備えていて、当該用意された閾値を用いることができる。
【0051】
ST12で否定結果を得た場合には、ST12の監視を継続する。
ST12で、閾値以上の電圧を計測した場合には、当該電圧値の閾値を越えた状態が予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続したことを、中央制御部200が知ると、中央制御部200は、「カニューラ着火」と判断し、警報手段SPにより使用者に対して警報を音や光あるいはその両方により知らせ、スピーカ290が、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを音声でガイドする。また、表示部128には、使用者に対して酸素の供給が遮断されたことを文字や絵で表示する。これにより、使用者は濃縮酸素の供給が遮断されたことを、耳と目で確実に認知することができる。
同時に、図8の中央制御部200は、モータドライバ210に指令を与えて、ポンプ10による圧縮空気の生成動作を停止させる。
これにより、カニューラ70やチューブ72が直接着火して火炎が伝搬しても、カプラソケット71に炎達することは無く、これを未然に防止し、安全性を確保するために、酸素出口部100と鼻カニューラ70への濃縮酸素の供給を遮断することができる(ST13、ST14)。
カニューラ着火により緊急停止した場合には、中央制御部200による火災防止制御は終了する(ST15)。
【0052】
図13は、鼻カニューラの変形例を示している。
鼻カニューラ70−1において、図5に示す各部分と同一の箇所には共通する符号を付して、重複する説明は省略する。
この変形例では、途中にカプラソケット70−1および酸素出口部材100と同様の部材100−1を介して、延長用チューブ72−1を追加接続した構成を示している。
本実施形態の図9で説明した線状に延びる長く伸びる温接点55は、これらの各チューブに内蔵することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の酸素濃縮装置では、鼻カニューラへの火移りにより、直ちに出火を検出することができ、火災に至る前に確実に装置の運転止めて酸素の供給を停止することができる。すなわち、鼻カニューラ内の温接点の存在箇所まで炎達した時点で直ちに酸素の供給を停止することができ、鼻カニューラへの着火による火災をきわめて早期に検出して確実に火災や火傷等を確実に防止することができる。
このように、カニューラに着火した段階で早期に酸素を遮断して安全性を確保することができる。そして、酸素濃縮装置への延焼やこの装置自体の火災等の発生を未然に防止することができる。
【0054】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の感温用カニューラは酸素濃縮装置だけでなく、種々の医療器具に適用することができる。
感温センサは、熱電対に限らず焦電センサ等の感熱手段を広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・酸素濃縮装置、2・・・主筐体、10・・・コンプレッサ、50・・・熱電対、55・・・温接点、56・・・冷接点、70・・・鼻カニューラ(カニューラの一例)、71・・・カプラソケット(カプラの一例)、72・・・チューブ、100・・・酸素出口部(材)、290・・・スピーカ、SP・・・警報手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、
該チューブ状の本体の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材と
を具備することを特徴とする感温用カニューラ。
【請求項2】
前記感温センサが熱電対であり、前記チューブ状の本体の長さ方向に配置される前記導体でなる線材は、異種金属線を互いに接触状態とするために撚り線状とした長尺の温接点であることを特徴とする請求項1に記載の感温用カニューラ。
【請求項3】
前記撚り線状とすることで温接点をなす線材は、それぞれ、加熱により溶融しやすい絶縁材料で被覆された上で、前記撚り線状とされていることを特徴とする請求項2に記載の感温用カニューラ。
【請求項4】
前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記チューブ状本体の肉厚の内部に埋設されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の感温用カニューラ。
【請求項5】
前記チューブ状本体の端部から所定長さの位置において、外部から視認できるマーカーが設けられているとともに、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記端部から露出して外部に所定長さだけ延出されており、前記チューブ状本体は、前記線材の前記延出部を把持して径方向内側に引くことで破断され、該線材の一部が前記チューブ状本体の内面に露出する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の感温用カニューラ。
【請求項6】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、
前記圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部と、
鼻カニューラを構成するチューブを着脱するために前記酸素出口部に設けられるカプラと
を備えており、
前記鼻カニューラが、前記請求項2ないし4のいずれか1項に記載の感温用カニューラであって、
前記鼻カニューラの温接点と、鼻カニューラ以外の箇所に設けた冷接点との間に起電力が生じることにより予め定めた電圧以上の電圧が検出されたと判断すると、前記コンプレッサの動作を停止して前記酸素の供給を遮断する制御部を有している
ことを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項1】
可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、
該チューブ状の本体の長さ方向に沿って配置され、少なくとも感温センサの一部を形成する導体でなる線材と
を具備することを特徴とする感温用カニューラ。
【請求項2】
前記感温センサが熱電対であり、前記チューブ状の本体の長さ方向に配置される前記導体でなる線材は、異種金属線を互いに接触状態とするために撚り線状とした長尺の温接点であることを特徴とする請求項1に記載の感温用カニューラ。
【請求項3】
前記撚り線状とすることで温接点をなす線材は、それぞれ、加熱により溶融しやすい絶縁材料で被覆された上で、前記撚り線状とされていることを特徴とする請求項2に記載の感温用カニューラ。
【請求項4】
前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記チューブ状本体の肉厚の内部に埋設されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の感温用カニューラ。
【請求項5】
前記チューブ状本体の端部から所定長さの位置において、外部から視認できるマーカーが設けられているとともに、前記撚り線状とした温接点をなす線材は、前記端部から露出して外部に所定長さだけ延出されており、前記チューブ状本体は、前記線材の前記延出部を把持して径方向内側に引くことで破断され、該線材の一部が前記チューブ状本体の内面に露出する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の感温用カニューラ。
【請求項6】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、
前記圧縮空気から得られる酸素を出すための酸素出口部と、
鼻カニューラを構成するチューブを着脱するために前記酸素出口部に設けられるカプラと
を備えており、
前記鼻カニューラが、前記請求項2ないし4のいずれか1項に記載の感温用カニューラであって、
前記鼻カニューラの温接点と、鼻カニューラ以外の箇所に設けた冷接点との間に起電力が生じることにより予め定めた電圧以上の電圧が検出されたと判断すると、前記コンプレッサの動作を停止して前記酸素の供給を遮断する制御部を有している
ことを特徴とする酸素濃縮装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−143021(P2011−143021A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5209(P2010−5209)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
[ Back to top ]