説明

感熱シールラベル、感熱シールセット及び感熱シールロール

【課題】一定の発色が得られる感熱シールラベル、感熱シールセット及び感熱シールロールを提供する。
【解決手段】紙、合成紙等の紙材からなり表面に感熱発色層12aを有する感熱紙と、感熱紙の表面側の発色をさせようとする部位以外の部位に設けられた非粘着層16と、感熱紙の裏面側12bの非粘着層16と対応する部位に設けられた粘着材層15とを備えて構成され、非粘着層16は、感熱紙の表面側12aの発色をさせようとする部位以外の部位にコーティングされた目止め層13と、目止め層13の上にコーティングされた剥離材層14とを備え、非粘着層16及び粘着材層15は、感熱性発色層12aの発色温度以下の温度において感熱紙上に塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に貼り付けるシールラベルなどに用いられる感熱シールラベル、感熱シールセット及び感熱シールロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般に、例えば商品に貼付するなど様々な用途に用いられる感熱シールラベルとして、ラベル用感熱紙の裏面に粘着層を有し、非粘着性の剥離紙を介してロール状に巻回されるか、または積層された状態で保管されるものが知られている。このような感熱シールラベルでは、剥離紙を必要とするために、ラベルの貼着時に剥離紙がゴミとなるうえ、剥離紙の分だけコストも高くなるという問題がある。
【0003】
そこで、ラベル用感熱紙の表面の感熱発色層の上に剥離層が形成され、裏面に粘着層が形成されることにより、剥離紙を不要とした感熱シールラベルも知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−72024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような感熱シールラベルの場合、剥離材であるシリコン樹脂をラベル用感熱紙の感熱性発色材層に直接形成すると、両者の反応によりシリコン樹脂が硬化しないという問題がある。このため、感熱性発色材層とシリコン樹脂との間に目止め層を形成する必要がある。しかしながら、現在一般に普及している上質紙を用いた感熱紙の場合、表面が比較的粗いため、目止め層及び剥離層の厚さを、感熱紙の発色が低下してしまう2ミクロン以下に保つことが困難であり、シールラベルに印字等を行う際、一定の発色が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、一定の発色が得られる感熱シールラベル、感熱シールセット及び感熱シールロールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る感熱シールラベルは、紙、合成紙等の紙材からなり表面に感熱発色層を有する感熱紙と、感熱紙の表面側の発色をさせようとする部位以外の部位に設けられた非粘着層と、感熱紙の裏面側の非粘着層と対応する部位に設けられた粘着材層とを備えて構成されている。
【0008】
非粘着層は、例えば、感熱紙の表面側の発色をさせようとする部位以外の部位にコーティングされた目止め層と、目止め層の上にコーティングされた剥離材層とから構成される。
【0009】
この様な構成においては、非粘着層が感熱紙の発色をさせようとする部位を避けて設けられているため、感熱シールラベル表面の発色をさせようとする部分において、一定の発色を示す感熱シールラベルを提供する事が可能となる。
【0010】
また、非粘着層及び粘着材層は、感熱性発色層の発色温度以下の温度において感熱紙上に塗布される様にしても良い。
【0011】
本発明の一実施形態に係る感熱シールセットは、上記のような感熱シールラベルを複数枚重ね合わせて構成されている。
【0012】
本発明の一実施形態に係る感熱シールロールは、テープ状であって幅方向の発色をさせようとする部位以外の部位に非粘着層及び粘着材層が形成された上記の感熱シールラベルを巻回して構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定の発色が得られる感熱シールラベルの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る感熱シールラベル及び感熱シールセットの斜視図である。
【図2】同感熱シールラベル及び同感熱シールセットの断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る感熱シールラベル及び感熱シールセットの斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る感熱シールラベル及び感熱シールセットの斜視図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る感熱シールロールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る感熱シールラベル11及び感熱シールセット10の全体構成の一例を示す外観斜視図である。また、図2は、同感熱シールセット10の断面図である。
【0016】
図1に示すように、感熱シールセット10は、例えば矩形シート状に形成された感熱シールラベル11を複数厚さ方向に重ね合わせて構成されている。各感熱シールラベル11は、図2に示すように、感熱紙からなる台紙12と、この台紙12の感熱発色層が形成された表面12a側の四辺にコーティングされた非粘着層16と、台紙12の裏面12b側の非粘着層16と対応する四辺に形成された粘着材層15とを備えている。非粘着層16は、感熱発色層の上に形成された目止め層13と、目止め層13上にコーティングされたシリコン樹脂などのコーティング剤からなる剥離材層14とを有する。感熱シールセット10は、このような感熱シールラベル11を、剥離材層14上に粘着材層15が配置されるように厚さ方向に複数重ね合わせた構造からなる。なお、感熱シールラベル11の一枚の厚さは、例えば65〜300μm程度であり、感熱シールセット10として感熱シールラベル11を1000枚重ねた場合には6.5〜30cm程度の厚みとなる。
【0017】
剥離材層14としては、例えばシリコン樹脂などの滑り材(コーティング材)を用いることができる。なお、本実施形態に係る感熱シールセット10において、この剥離材層14と粘着材層15とは剥離容易に粘着される。本実施形態においては、目止め層13及び剥離材層14は紫外線硬化型、又は、熱硬化型シリコンの触媒の量(比率)を変えることで、より低温で硬化するものであり、台紙12の感熱記録層の発色温度以下で塗布される。したがって、例えば感熱発色層の発色温度が70℃であれば、目止め層13及び剥離材層14は、台紙12へ70℃以下の温度で塗布される。このように、目止め層13及び剥離材層14の塗布温度は、台紙12の感熱温度に応じて設定することが望ましい。
【0018】
粘着材層15は、台紙12の表面12b上に塗布された少なくとも1種類の粘着剤からなる。粘着剤としては、エマルション系の粘着剤等が使用可能であるが、その他の粘着材を使用しても良い。
【0019】
この様に構成された感熱シールラベル11によれば、目止め層13、剥離材層14及び粘着材層15が台紙12の四辺に設けられており、台紙12表面の端部を除く大部分が露出するような構成となっている。従って、感熱紙表面に支障なく直接印字を行うことが可能となり、全ての感熱シールラベル11間で一定の発色を得る事が可能となる。また、目止め層13及びシリコン層14の塗布温度が感熱記録層の発色温度以下であれば、目止め層13及びシリコン層14を塗布した際の感熱紙の発色を防止することができる。
【0020】
[第2実施形態]
上記実施形態では、非粘着層16及び粘着材層15を感熱紙の台紙12の四辺に形成したが、これら非粘着層16及び粘着材層15は、感熱紙の発色をさせようとする部位以外の部位に設けられていれば良い。図3は、本発明の第2実施形態に係る感熱シールラベル及び感熱シールセットの斜視図である。基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、非粘着層16及び粘着材層15のパターンが台紙12の四辺上だけでなく、台紙12の対向する二辺の中心線上にも設けられている点において異なっている。本発明においては、この様に用途に応じて適宜非粘着層16及び粘着材層15のパターンを、発色領域を避けて、十字やひし形状に設けたり、あるいは台紙12の四辺上に設けずにそれ以外の形状に調整したりする事も可能である。
【0021】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る感熱シールラベル11及び感熱シールセット10の斜視図である。第1の実施形態では、非粘着層16及び粘着材層15を感熱紙の台紙12の四辺に形成したが、本実施形態においてはそのうちの一辺において非粘着層16及び粘着材層15が台紙12の内部に形成されており、台紙12の一辺が糊無し部となる様に構成されている。この様な構成によれば、感熱シールセット10から感熱シールラベル11を容易に剥離する事が可能となり、作業効率を改善する事が可能となる。
【0022】
なお、本実施例においては台紙12の一辺にのみ糊無し部を設けたが、台紙12の他の辺にも糊無し部を設け、複数の辺から剥離容易となるように構成しても良い。
【0023】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4の実施形態に係る感熱シールラベル11及び感熱シールロール20の全体構成の一例を示す外観斜視図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、感熱シールロール20は、例えばテープ状に形成され、図2に示した感熱シールラベル11を剥離材層14上に粘着材層15が配置されるようにロール芯21を中心に巻回することにより構成されている。感熱シールラベル11の構造については上述した感熱シールラベル11と基本的に同様であるが、本実施形態においては、目止め層13及び剥離材層14からなる非粘着層16と、粘着材層15とが、台紙12の四辺ではなく、対向する2辺上に設けられている点で異なっている。なお、ロール芯21を用いずに感熱シールラベル11を巻回することにより構成されていてもよい。
【0024】
このように構成された感熱シールロール20によれば、第1実施形態における利点に加え、用途に応じて適宜感熱シールラベル11のサイズを変更する事が可能となる。また、テープ状に構成されているため、一般的なラベル印字装置での印字が容易である。
【0025】
なお、本実施例のような感熱シールロール20においても非粘着層16及び粘着材層15のパターンは適宜調整可能である。この様な場合には、例えば非粘着層16及び粘着材層15が台紙12の対向する二辺上の中心線上にも設けられている場合、対向する二辺上の中心線上にのみ設けられている場合、複数本の線状に形成されている場合等が考えられる。
【符号の説明】
【0026】
10…感熱シールセット、11…感熱シールラベル、12…台紙、13…目止め層、14…剥離材層、15…粘着材層、20…感熱シールロール、21…ロール芯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙、合成紙等の紙材からなり表面に感熱発色層を有する感熱紙と、
前記感熱紙の表面側の発色をさせようとする部位以外の部位に設けられた非粘着層と、
前記感熱紙の裏面側の前記非粘着層と対応する部位に設けられた粘着材層と
を備えた事を特徴とする感熱シールラベル。
【請求項2】
前記非粘着層は、
前記感熱紙の表面側の発色をさせようとする部位以外の部位にコーティングされた目止め層と、
前記目止め層の上にコーティングされた剥離材層と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の感熱シールラベル。
【請求項3】
前記非粘着層及び前記粘着材層は、
前記感熱性発色層の発色温度以下の温度にて前記感熱紙上に塗布される
事を特徴とする請求項1または2記載の感熱シールラベル。
【請求項4】
矩形のシート状である請求項1〜3のいずれか1項記載の感熱シールラベルを複数枚重ね合わせてなる感熱シールセット。
【請求項5】
テープ状であって幅方向の発色をさせようとする部位以外の部位に前記非粘着層及び前記粘着材層が形成された請求項1〜3のいずれか1項記載の感熱シールラベルを巻回してなる感熱シールロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−98638(P2012−98638A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248065(P2010−248065)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(595013656)株式会社マツザキ (6)
【Fターム(参考)】