説明

感熱記録体

【課題】本発明は、近赤外領域に読取り波長域を持つ光学文字(またはマーク)読取り装置に対し高い記録特性を備え、且つ記録部の耐可塑剤性及び耐光性に優れた感熱記録体を提供することを主な目的とする。
【解決手段】支持体上にロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を備えた感熱記録体において、呈色剤と反応して近赤外領域に吸収性を有する染料を形成する特定のロイコ染料を含有し、呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを含有する。支持体と感熱記録層との間に有機中空粒子を含有する下塗り層を備えることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関し、より具体的には、近赤外領域に読取り波長域を持つ光学文字(またはマーク)読取り装置に対し高い記録特性を備え、且つ記録部の耐可塑剤性及び耐光性に優れた感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
無色乃至淡色のロイコ染料等の染料前駆体と該染料前駆体の電子受容体として作用できる呈色剤とを、熱により反応させて発色させることにより記録像を得るようにした感熱記録体がよく知られている。
【0003】
その利用分野として、例えばPOS(point of sales)システム用のレジ用紙及びチケット用紙が挙げられる。特に、スーパーマーケットやデパート等の大型量販店やレストラン等において経営管理に必要な商品情報や販売管理等の情報を収集処理するPOSシステムの普及は著しく、また宅配業界においても配送、出荷を合理的に行うシステムを採用している。これらのシステムの1つとして、商品にバーコードや2次元コードのマーク等を表示し、光学的に読み取る方式が実用化されており、現在、広範囲の用途に使用されている。
【0004】
発色画像によるバーコード等の読み取りには、従来よりHe−Neガスレーザー光(633nm)が使用されているが、最近、半導体レーザー(近赤外光)が広く普及してきている。これは、半導体レーザーが小型、軽量で取り扱いが容易であり、また低価格であり、発振波長が近赤外領域(700〜1600nm)にあるために、当該物品の地汚れ等による誤操作、読み取りミスが少ないという利点によるものである。
【0005】
一般の感熱記録紙上に形成される発色画像は、その吸収波長が可視領域(400〜700nm)にあるため、He−Neガスレーザー光では読み取り可能であるが、半導体レーザーで読み取ることはできない。従って、半導体レーザーで読み取り可能である近赤外吸収画像を形成する感熱記録体の提供が望まれている。
【0006】
近赤外吸収画像を形成し得る感熱記録体としては、染料前駆体を発色させる呈色剤としてフェノール性有機化合物等の電子受容体を用いて、その染料前駆体として分子内にラクトン環を有する特定のビニル含有呈色性化合物を用いること(特許文献1参照)、特定のフルオレン化合物を用いること(特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらの染料前駆体を呈色剤によって発色させた近赤外吸収画像は、経時的に退色したり、油や可塑剤との接触により短時間で消色したりする問題がある。更に、上記の従来型の近赤外吸収画像を形成する感熱記録体の多くにおいては、近赤外吸収性染料が紫外線に長時間さらされると分解し易いため、地肌が変色したり、発色画像が変色、退色したりする耐光性の問題がある。
【0007】
近赤外吸収画像を形成する感熱記録体の光暴露による画像の退色、地肌の変色を抑制するため、例えば、特定のロイコ染料と呈色剤として4,4’−メチレンビス(オキシエチレンチオ)ジフェノールとを含有する感熱発色層を設けること(特許文献3参照)、特定のジビニル化合物と呈色剤として2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等とを含有する感熱発色層を設けること(特許文献4参照)が提案されている。
【0008】
また、耐水性や耐可塑剤性を高めるため、特定の発色性化合物と呈色剤として3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホンとを含有する感熱発色層を設けることが提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、発色画像の保存性について、必ずしも満足すべき結果が得られていないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】特開昭55−115448号公報
【特許文献2】特開昭59−199757号公報
【特許文献3】特開平7−179055号公報
【特許文献4】特開2007−50579号公報
【特許文献5】特開平7−257047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、近赤外領域に読取り波長域を持つ光学文字(またはマーク)読取り装置に対し高い記録特性を備え、且つ記録部の耐可塑剤性及び耐光性に優れた感熱記録体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、上記問題点を解決するに至った。即ち、本発明は下記の感熱記録体に係る。
【0012】
項1:支持体上にロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を備えた感熱記録体において、下記一般式(1)で表されるロイコ染料を含有し、前記呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを含有することを特徴とする感熱記録体。
【0013】
【化1】

(1)
(式中、R及びRは、アルキル基を表す。)
【0014】
項2:前記支持体と前記感熱記録層との間に有機中空粒子を含有する下塗り層を備える、項1に記載の感熱記録体。
【発明の効果】
【0015】
本発明の感熱記録体は、近赤外領域に読取り波長域をもつ光学文字(またはマーク)読取り装置に対し高い記録特性を備え、且つ記録部の耐可塑剤性及び耐光性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における支持体は、特に限定しないが、例えば、中性または酸性の上質紙、合成紙、透明または半透明のプラスチックフィルム、白色のプラスチックフィルム等が挙げられる。支持体の厚みは特に限定しないが、通常、20〜200μm程度である。
【0017】
本発明における感熱記録層は、支持体上に形成されている。感熱記録層は、前記一般式(1)で表されるロイコ染料を含有している。前記特定のロイコ染料は、呈色剤と反応して近赤外領域に吸収性を有する染料を形成する。これにより、近赤外領域(700〜1100nm)の吸収能に優れ、近赤外領域に読取り波長域をもつ光学文字(またはマーク)読取り装置に対して記録特性を高めて、優れた読取適性を発揮することができる。
【0018】
前記一般式(1)で表されるロイコ染料としては、例えば、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)−2−(4−エトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−エトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジエチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等が挙げられる。これらの中でも、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドが好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で表されるロイコ染料の含有割合は、特に限定されないが、感熱記録層の全固形量中0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。
【0020】
感熱記録層には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、各種公知のその他のロイコ染料を含有させることができる。その他のロイコ染料としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、フルオラン等の青発色性染料、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン等の赤発色性染料、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2,2−ビス{4−〔6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ〔フタリド−3,9’−キサンテン−2’−イルアミノ〕フェニル}プロパン、3−ジエチルアミノ−7−(3’−トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラン等の黒発色性染料、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0021】
本発明における感熱記録層は、呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを含有している。これにより、近赤外領域に読取り波長域をもつ光学文字(またはマーク)読取り装置に対し高い記録特性を備え、且つ記録部の耐可塑剤性に優れた感熱記録体を得ることができる。しかも、本発明における特定の呈色剤は、光暴露の前後で近赤外領域における地肌部の反射率を高めるとともに、光暴露後の記録部の保存性を高めるため、耐光性に優れた特段の効果を奏するものである。
【0022】
N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの含有量は、特に限定されないが、特定のロイコ染料1質量部に対して、0.5〜5質量部程度が好ましく、0.8〜4質量部程度がより好ましく、1〜3質量部程度が更に好ましい。
【0023】
感熱記録層には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、呈色能を有する各種公知のその他の呈色剤を含有させることができる。その他の呈色剤としては、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4’‐ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルエーテル、4−ヒドロキシ−4’−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン等のフェノール性化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−トリル)尿素等の分子内に−SONH−結合を有する有機化合物、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、p−クロロ安息香酸、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれら芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等の有機酸性物質等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0024】
本発明における感熱記録層は、増感剤を含有していてもよい。これにより、記録感度を高めることができる。増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。
【0025】
増感剤の含有割合は、特に限定されず、増感のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形量中2〜40質量%程度が好ましく、5〜25質量%程度がより好ましい。
【0026】
本発明における感熱記録層は、保存性改良剤を含有していてもよい。これにより、記録部の保存性を高めることができる。保存改良剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0027】
保存性改良剤の含有割合は、特に限定されず、保存性改良のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形量中1〜30質量%程度が好ましく、5〜20質量%程度がより好ましい。
【0028】
感熱記録層は、例えば水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌・粉砕機により特定のロイコ染料と呈色剤をそれぞれ、必要に応じて増感剤及び保存性改良剤と一緒または別々に分散して得られた分散液を用いて、必要により接着剤、助剤等を混合することにより調製された感熱記録層用塗液を、支持体上に塗布及び乾燥することにより形成される。感熱記録層用塗液の塗布量は、乾燥重量で2〜12g/m程度が好ましく、3〜10g/m程度がより好ましい。
【0029】
感熱記録層用塗液に使用される接着剤としては、水溶性接着剤及び水分散性接着剤のいずれの接着剤も使用することができる。水溶性接着剤としては、例えば、完全鹸化または部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及び珪素変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。水分散性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリル化ウレタン、アクリル−シリコン複合体、アクリル−シリコン−ウレタン複合体等の疎水性重合体のラテックス等が挙げられる。
【0030】
感熱記録層中の接着剤の含有割合は、特に限定されず、感熱記録層の全固形量中5〜50質量%程度が好ましく、10〜40質量%程度がより好ましい。
【0031】
感熱記録層用塗液に使用される助剤としては、慣用されるものの中から適宜選択して使用することができる。助剤としては、例えば界面活性剤、ワックス類、滑剤類、顔料、耐水化剤、消泡剤、蛍光増白剤、着色染料等が挙げられる。界面活性剤としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩及びステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。ワックス類としては、例えばカルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。滑剤類としては、例えばステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ステアリルリン酸エステルカリウム塩等のアルキルリン酸塩等が挙げられる。顔料としては、例えばカオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、スチレン樹脂フィラー、ナイロン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。耐水化剤としては、例えばグリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、硼砂、硼酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物、オキサゾリン基含有化合物、グリオキシル酸ナトリウム、ジ(グリオキシル酸カルシウム)、グリオキシル酸アンモニウム等が挙げられる。
【0032】
本発明では、支持体と感熱記録層との間に有機中空粒子を含有する下塗り層を備えていることが好ましい。これにより、近赤外領域における読取適性を向上し、より一層優れた耐可塑剤性と耐光性を発揮することができる。特に耐光性において顕著な効果を奏する理由については明らかでないが、下塗り層が有機中空粒子によって記録感度の向上をもたらすだけでなく、感熱記録層を通して、近赤外領域において地肌部の反射率を高める機能があり、記録部と未記録部(地肌部)との識別が明瞭となり、読取適性を高めていることが考えられる。
【0033】
有機中空粒子としては、従来公知の熱膨張型中空粒子及び非膨張型中空粒子のいずれの中空粒子も使用できる。有機中空粒子の膜材としては、例えば、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂とアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂、イソボニルメタクリレートとアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂等が挙げられる。
【0034】
有機中空粒子の体積中空率としては、40〜98%程度が好ましく、40〜95%程度がより好ましい。体積中空率を40%以上とすることにより、近赤外領域における記録感度と地肌部の反射率を向上し、読取適性をより一層高めることができる。一方、98%以下とすることにより、中空粒子の殻の強度を上げて中空状態を保ち、下塗り層の表面強度を向上できる。ここで体積中空率は(d/D)×100で求められる値である。該式中、dは有機中空粒子の内径を示し、Dは有機中空粒子の外径を示す。なお、有機中空粒子の平均粒子径は、記録部の画質を向上する観点から、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.5〜10μm程度が好ましく、0.5〜4μm程度がより好ましく、0.5〜3μm程度が更に好ましい。
【0035】
有機中空粒子の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形量中2〜90質量%程度が好ましく、5〜80質量%程度がより好ましく、5〜70質量%程度が更に好ましい。2質量%以上とすることにより近赤外領域における読取適性、耐可塑剤性及び耐光性を効果的に向上できる。一方、90質量%以下とすることにより、下塗り層の表面強度を高めて、サーマルヘッドへのカス付着を抑制し、耐スティッキング性を向上できる。
【0036】
本発明における下塗り層は、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、その他の顔料を含有することもできる。その他の顔料としては、無機及び有機のいずれの顔料も使用することができる。特に、サーマルヘッドへのカス付着を抑制し、耐スティッキング性を向上する観点から、吸油度が40ml/100g以上の吸油性顔料が好ましく用いられる。吸油度は、70ml/100g以上がより好ましく、80〜150ml/100g程度が更に好ましい。
【0037】
吸油性顔料としては、各種公知のものが使用できるが、具体例としては、例えば焼成カオリン、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成珪藻土、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料が挙げられる。これら吸油性顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01〜5μm程度が好ましく、特に0.02〜3μm程度がより好ましい。ここで、吸油度は、JIS K 5101に記載の方法に従い求めることができる。
【0038】
吸油性顔料の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形量中2〜95質量%程度が好ましく、5〜90質量%程度がより好ましい。
【0039】
なお、吸油性顔料を有機中空粒子と併用する場合、吸油性顔料と有機中空粒子とは前記の含有割合の範囲で使用し、且つ吸油性顔料と有機中空粒子の合計量は、下塗り層の全固形量中5〜90質量%程度が好ましく、10〜80質量%程度がより好ましい。
【0040】
本発明では、有機中空粒子と吸油性顔料として焼成カオリンとを併用する態様が、本発明の効果を遺憾なく発揮することができるため、好ましい。有機中空粒子と焼成カオリンを併用する場合の質量比率は、有機中空粒子:焼成カオリンが5:95〜95:5が好ましく、20:80〜95:5がより好ましい。有機中空粒子の質量比率を5%以上とすることにより、近赤外領域における記録感度と地肌部の反射率を向上し、読取適性をより一層高めることができる。一方、95%以下とすることにより、サーマルヘッドへのカス付着を抑制し、耐スティッキング性を向上することができる。
【0041】
下塗り層は、例えば水を媒体として、有機中空粒子、その他の顔料、接着剤、助剤等を混合することにより調製された下塗り層用塗液を、支持体上に塗布及び乾燥することにより形成される。下塗り層用塗液の塗布量は、乾燥重量で3〜20g/m程度が好ましく、4〜12g/m程度がより好ましい。
【0042】
下塗り層用塗液に使用される接着剤、助剤等は、感熱記録層に使用できるものの中から適宜選択することができる。接着剤としては、これらの中でも、澱粉−酢酸ビニルグラフト共重合体、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン系ラテックス等が好ましい。
【0043】
下塗り層中の接着剤の含有割合は、広い範囲で選択できるが、一般には下塗り層の全固形量中5〜30質量%程度が好ましく、10〜20質量%程度がより好ましい。
【0044】
本発明においては、感熱記録層上に保護層を備えていてもよい。保護層は、例えば保護層用塗液を感熱記録層上に塗布及び乾燥することにより形成することができる。これにより、可塑剤や油等の薬品に対する記録像の保存性をより一層向上できる。また、記録適性を高めることもできる。
【0045】
保護層用塗液は、特に限定するものではなく、一般に水を分散媒体とし、接着剤、顔料、助剤、カリミョウバンや酢酸アルミニウム等の水溶性多価金属塩等を混合、撹拌して調製することができる。保護層用塗液に使用される接着剤、顔料、助剤等は、感熱記録層に使用できるものの中から適宜選択することができる。接着剤としては、これらの中でも、耐可塑剤性、耐水性を向上する観点から、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
【0046】
保護層中の接着剤の含有割合は、特に限定されず広い範囲から適宜選択できるが、一般には、保護層の全固形量中1〜95質量%程度が好ましく、2〜80質量%程度がより好ましい。また、顔料の含有割合も、特に限定されず広い範囲から適宜選択できるが、一般には、保護層の全固形量中1〜95質量%程度が好ましく、2〜90質量%程度がより好ましい。
【0047】
また、保護層中に2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の常温で液体の紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを含有させることもできる。これにより、光暴露に対して地肌部の黄変や記録像の退色を効果的に抑制できる。紫外線吸収剤の含有割合は、保護層の全固形量中3〜40質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜38質量%程度が更に好ましい。
【0048】
保護層用塗液の塗布量は、特に限定されないが、乾燥重量で0.5〜15g/m程度、好ましくは1.0〜8g/m程度の範囲で調節される。
【0049】
下塗り層、感熱記録層及び保護層の形成方法については特に限定されず、例えば、エアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により、下塗り層用塗液を支持体上に塗布及び乾燥した後、下塗り層上に感熱記録層用塗液、更に保護層用塗液を塗布及び乾燥する等の方法で形成される。
【0050】
なお、必要に応じて感熱記録体の裏面側にも保護層を設け、保存性をより一層高めたり、また記録面側に強光沢を持たせたりすることも可能である。各層を形成した後、または全ての層を形成し終えた後の任意の過程でスーパーカレンダーによる平滑化処理を施すこともできる。本発明の感熱記録体には、感熱記録体の裏面に粘着剤処理を施して粘着ラベルに加工したり、インクジェット記録適性を付与したり、磁気記録層や印刷用塗被層、更には熱転写記録層を設ける等、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
【実施例】
【0051】
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0052】
実施例1
・下塗り層用塗液の調製
有機中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055、中空率:55%、平均粒子径:1.0μm、ダウケミカル社製、固形分濃度26.5質量%)80部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、BASF社製)の50%水分散液(平均粒子径:0.6μm)140部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭化成ケミカルズ社製、固形分濃度48質量%)20部、酸化澱粉の10%水溶液50部、及び水20部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
【0053】
・A液(ロイコ染料分散液)調製
前記一般式(1)で表される3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド100部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学社製)の20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン20部、及び水80部からなる組成物を、サンドミルによりレーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなるように処理してA液を得た。
【0054】
・B液(呈色剤分散液)調製
N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア100部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学社製)の20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン10部、及び水90部からなる組成物を、サンドミルによりレーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmとなるように処理してB液を得た。
【0055】
・C液(増感剤分散液)調製
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル100部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学社製)の20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン2部、及び水98部からなる組成物を、サンドミルによりレーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmとなるように処理してC液を得た。
【0056】
・感熱記録層用塗液の調製
A液25部、B液65部、C液50部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42、昭和電工社製)20部、鹸化度98モル%、重合度1000のポリビニルアルコールの12%水溶液125部、及び水20部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を調製した。
【0057】
・保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、重合度:1000、日本合成化学工業社製)の10%水溶液100部、アクリル樹脂(商品名:バリアスターOT−1035−1、固形分濃度25%、三井化学社製)40部、40%水酸化アルミニウム分散液40部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液2部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
【0058】
・感熱記録体の作製
64g/mの上質紙(酸性紙)の一方の面に、下塗り層用塗液を乾燥後の重量が8g/mとなるように塗布及び乾燥して下塗り層を形成し、下塗り層上に感熱記録層用塗液を乾燥後の重量が4.5g/mとなるように塗布及び乾燥し、更に感熱記録層上に乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように保護層用塗液を塗布及び乾燥した後、スーパーキャレンダーを施し、感熱記録体を得た。
【0059】
実施例2
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、有機中空粒子分散液を使用せず、焼成カオリンの50%水分散液の量を140部に代えて180部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0060】
実施例3
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、有機中空粒子分散液の量を80部に代えて20部とし、焼成カオリンの50%水分散液の量を140部に代えて170部とし、水20部を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0061】
実施例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、有機中空粒子分散液の量を80部に代えて150部とし、焼成カオリンの50%水分散液の量を140部に代えて5部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0062】
比較例1
実施例1のA液調製において、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドの代わりに、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0063】
比較例2
実施例1のB液調製において、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0064】
比較例3
実施例1のB液調製において、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0065】
かくして得られた感熱記録体について以下の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0066】
(1)近赤外領域の発色性
感熱記録評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用いて、印加エネルギー0.34mJ/ドットにて各感熱記録体を印字し、記録部及び未記録部(地肌部)の900nmの反射率を分光光度計で測定し、PCS値を算出した。
【0067】
(2)耐可塑剤性
ポリカーボネイトパイプ(40mmΦ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA−W、三井化学社製)を三重に巻付け、その上に前記の発色性測定用に発色させた各感熱記録体を載せ、更にその上にラップフィルムを三重に巻き付けて40℃で24時間放置した後、記録部及び未記録部(地肌部)の900nmの反射率を分光光度計で測定し、PCS値を算出した。
【0068】
(3)耐光性
前記発色性測定用に発色させた各感熱記録体を、5000Luxの蛍光灯下で24時間放置後、記録部及び未記録部(地肌部)の900nmの反射率を分光光度計で測定し、PCS値を算出した。
【0069】
ここで、本発明におけるPCS値は、次式から求められる。PCS値が高いほど、記録部と未記録部(地肌部)との識別が明瞭になり、読取適性に優れる。記録像に要求されるPCS値は、使用される光学読取り装置の種類によって異なるため、一概には決められないが、概ね70〜100%の範囲が好ましく、75〜100%の範囲がより好ましく、80〜100%の範囲が更に好ましい。
PCS値(%)=[(地肌部の反射率−記録部の反射率)/地肌部の反射率]×100
【0070】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上にロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を備えた感熱記録体において、下記一般式(1)で表されるロイコ染料を含有し、前記呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを含有することを特徴とする感熱記録体。
【化1】

(1)
(式中、R及びRは、アルキル基を表す。)
【請求項2】
前記支持体と感熱記録層との間に有機中空粒子を含有する下塗り層を備える、請求項1に記載の感熱記録体。