説明

感熱記録材料

【課題】画像用としての中庸の黒色の発色色調を有し、発色感度及び耐湿性、耐可塑剤性、耐光性等の保存性に優れた記録画像を与える感熱記録材料を開発すること。
【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の発色性化合物、該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を主要な成分とする感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該感熱発色層が該顕色性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを、添加剤として5−メチルウラシルをそれぞれ含有することを特徴とする感熱記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録材料に関し、特に発色感度が高く、中庸の黒色で、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた写真ライクの画像を与える感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般にロイコ染料とフェノール性物質等の顕色剤をそれぞれ別個に微粒子状に分散化後、両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加剤を添加して塗液とし、紙、フィルム、合成紙等に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色剤の一方又は両者が溶融、接触して起こる化学反応により発色記録を得るものである。この感熱記録材料の発色のためには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。この感熱記録法は他の記録法に比較して、(1)記録時に騒音が出ない、(2)現像定着等の必要がない、(3)メンテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓等のプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。
【0003】
近年、写真様の階調をもった画像や高品位の画像を提供するための手段として、サーマルプリンターが内蔵されたビデオプリンター等を用い、ビデオカメラやスキャナーから入力した映像をプリントアウトする機会が増えている。豊かな階調を有し、高品位の画像を得るためにはハード面の技術に負うところ大きいが、発色色調、発色画像の各種保存性は感熱記録材料自身に基づくものである。感熱記録材料に多用されている顕色性化合物であるビスフェノールAを使用した場合においても、その発色画像の色調が中庸で、写真ライクの黒の発色画像が得られるが、長期の保存においてその画像が変質するという欠点がある。ビスフェノールAに代わるものとしては、例えば文献1,2等に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンについて、耐指紋性、耐可塑剤性、温湿度適性等の向上効果が記載されているが、高品位あるいは長期間使用に要求される品質を満たすという点では未だ不十分である。又、保存性が良好な顕色性化合物としてビスフェノールS及びその誘導体があるが、発色色調が青〜緑色側に偏った黒色画像を与えるため、文字、バーコード等の表示には問題ないが、絵柄、写真調画像等には不適とされている。保存性、具体的には耐熱性、耐湿性及び、耐光性を損なうことなく、色調を改善するための種々の方法が提案されているが、要求されるレベルの性能を満たすものは未だ見い出されていない。
【0004】
【特許文献1】特開昭60-228189号公報(第1−3頁)
【特許文献2】特開昭60-247592号公報(第1−3頁、5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は前記したような従来技術の欠点を解決することにある。即ち、耐熱性、耐湿性及び耐光性等の保存性を損なわず中庸の黒色の発色色調を有し、発色感度に優れた写真ライク画像を与える感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記目的を達成すべく種々の検討を重ねた結果、特定の顕色性化合物及び特定の添加剤を感熱発色層に含有せしめることにより、上記課題を解決出来ることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)支持体上に、無色ないし淡色の発色性化合物、該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を主要な成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該感熱発色層が該顕色性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを、添加剤として5−メチルウラシルをそれぞれ含有することを特徴とする感熱記録材料、
(2)発色性化合物が、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン及び3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオランからなる群から選ばれる一種又は二種以上である(1)記載の感熱記録材料、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
発色が良好で、中庸の黒色の発色色調を有し、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた写真ライクの画像を与える感熱記録材料が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、発色性化合物、顕色性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、添加剤として5―メチルウラシルをそれぞれ使用し、以下に示すような結合剤及びその他必要に応じて充填剤、増感剤(熱可融性化合物)、その他の添加物等を混合し調製したものをプラスチックフィルム又は合成紙上に感熱発色層として設けることにより得ることができる。
【0010】
本発明において用いる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、例えば本州化学工業株式会社製、品名:BisP−APとして、又5−メチルウラシルは、分子量が約126、融点が320〜340℃(分解)の物性を有する化合物であり、例えば関東化学株式会社、東京化成工業株式会社、不二化学薬品株式会社等より、それぞれ市場から入手することができる。
【0011】
本発明の感熱記録材料における感熱発色層を形成するにあたり、発色性化合物は通常1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは通常1〜40重量%、好ましくは10〜40重量%、5―メチルウラシルは通常1〜30重量%、結合剤は1〜60重量%、充填剤及び増感剤(熱可融性化合物)は各々0〜70重量%、その他滑剤、界面活性剤等は各々任意の割合で、例えば通常0〜20重量%の範囲でそれぞれ使用される(重量%は感熱発色層中に占める各成分の重量比)。好ましい態様では、上記のような組成のうちで、発色性化合物1に対して1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンは、0.5〜20倍、より好ましくは1〜5倍、5―メチルウラシルは1〜10倍、より好ましくは1〜5倍の各重量比の範囲でそれぞれ使用される。
尚、本発明の感熱記録材料においては、前記以外の顕色性化合物を併用しても構わない。
【0012】
本発明において支持体としてはプラスチックフィルム又は合成紙を用いる。プラスチックフィルム又は合成紙としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性の高分子フイルム、無機顔料含有の同フイルム又はボイド(空洞)含有の同フィルムあるいはそれらの樹脂から得られる合成紙等が利用される。これらのフィルム又は合成紙は、感熱発色層を設ける必要性からその表面の濡れ張力が35dyn/cm以上、好ましくは40dyn/cm以上、更に好ましくは50dyn/cm以上のものが好ましい。このため濡れ張力が低いフィルム又は合成紙については、コロナ放電処理を施したり、界面活性剤又は後記する中間層用塗布液等により濡れ張力を高め、フィルム等と感熱発色層との塗工性及び接着性を高めることが出来る。
【0013】
本発明において用いられる発色性化合物は、熱時に黒色に発色しうるものであればよく、特に制限されない。そのような発色性化合物としては、例えばフルオラン系化合物が好ましい。
【0014】
使用しうるフルオラン系化合物の具体例としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−フェネチルフルオラン等が挙げられる。これらは一種又は二種以上を混合して用いることが出来る。
【0015】
これらのフルオラン系化合物のなかでも、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオランが特に好ましい。これらは一種又は二種以上を混合して用いることが出来る。
【0016】
本発明において、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンと併用可能な顕色性化合物も一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであれば特に制限されず、併用しうる顕色性化合物の例としては、例えばフェノール系化合物やフェノール性水酸基を有する芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその金属塩等が挙げられる。
【0017】
フェノール系化合物の具体例としては、例えばα−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1、1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−(2,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−クロロフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0018】
芳香族カルボン酸誘導体もしくは芳香族カルボン酸の具体例としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその金属塩等が挙げられる。
【0019】
本発明の感熱記録材料を調製するに当たり、用いうる結合剤の具体例としては、例えばメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキルシ基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶液イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体塩等の水溶性のもの或は、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチラール、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ロジンエステル樹脂、コロイダルシリカとアクリル共重合体の複合体粒子等の疎水性高分子化合物又はそれらのエマルジョン等が挙げられる。
【0020】
その他必要に応じて使用される添加剤としては、例えば充填剤、熱可融性化合物(増感剤)等が挙げられる。充填剤の具体例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等が挙げられる。
【0021】
熱可融性化合物の具体例としては、例えば動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類や高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル、スルホン誘導体等、常温では固体で、約70℃以上の融点を有するものを使用することができる。
【0022】
ワックス類の具体例としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンのアセチル化物としては、例えばアセトトルイジド等がそれぞれ挙げられる。
【0023】
又、ナフタレン誘導体の具体例としては、例えば1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル等が、芳香族エーテルの具体例としては、例えば1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−メトキシフェニキシ)エタン等が、芳香族カルボン酸誘導体の具体例としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル等が、芳香族スルホン酸エステル誘導体の具体例としては、例えばp−トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4−メチルフェニルメシチレンスルホナート等が、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体の具体例としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル等が、ビフェニル誘導体の具体例としては、例えばp−ベンジルビフェニル、p−アリルオキシビフェニル等が、ターフェニル誘導体の具体例としては、例えばm−ターフェニル等が、スルホン誘導体としては、例えばジフェニルスルホン等がそれぞれ例示される。
【0024】
その他ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の滑剤、各種の界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等が必要に応じて加えられる。
【0025】
前記材料を用いて例えば次のような方法によって本発明の感熱記録材料が調製される。即ち、前記発色性化合物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、5−メチルウラシルをそれぞれ別々に結合剤あるいは必要に応じてその他の添加剤と共にボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機にて粉砕、分散した後、混合して感熱発色層塗布液を調製し、プラスチックフィルム又は合成紙(予め塗布面をコロナ処理してあってもよい)の平滑面上に通常乾燥時の重量で1〜20g/m2になるようにバーコーター,プレードコーター等により塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を得る。
【0026】
又、必要に応じて感熱発色層と支持体との間に中間層を設けたり感熱発色層上にオーバーコート層を設けてもよい。中間層、オーバーコート層は、前記した結合剤あるいは必要に応じてその他の添加物と共に感熱発色層塗布液調製におけるのと同様に粉砕、分散して中間層塗布液又は保護層塗布液とした後、乾燥時の重量で通常0.1〜20g/m2となるように塗布される。ここで、添加物としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ベントナイト、ステアリン酸亜鉛等が適宜使用される。
【0027】
プラスチックフィルム又は合成紙上に前記発色性化合物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン及び5−メチルウラシルを含有する感熱発色層が設けられた本発明の感熱記録材料は、画像用として中庸の黒色の発色色調を与え、発色感度が高く、且つ得られた発色画像の耐熱性、耐湿性、耐光性等の保存性が優れている。
【実施例】
【0028】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発明がこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0029】
実施例1
(感熱発色層の形成)
下記組成の混合物をサンドグラインダーを用いて平均粒径が1μm以下になるように粉砕、分散化してそれぞれ[A]液、[B]液、[C]液、[D]液を調製した。
[A]液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
[B]液:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
[C]液:5−メチルウラシル 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
【0030】
次いで各液を下記の割合で混合して感熱発色層塗布液を調製し、合成紙(ユポFPG−80(商品名)王子油化合成紙(株)製)上に乾燥時の重量が7g/m2なるように塗布、乾燥して感熱発色層を得た。
[A]液 8部
[B]液 20部
[C]液 12部
20%ステアリン酸アマイド分散液 10部
40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 8部
【0031】
(保護層の形成)
更に、下記の組成からなる保護層塗布液を前記の感熱発色層上に乾燥時の重量が3g/m2となるように塗布、乾燥して保護層付きの本発明の感熱記録材料を得た。
40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 20部
5%ベントナイト分散液 40部
30%ステアリン酸亜鉛分散液 3部
【0032】
実施例2
実施例1の3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0033】
実施例3
実施例1の3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオランを使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0034】
実施例4
実施例1のステアリン酸アマイドの代わりにシュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステルを使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0035】
実施例5
実施例1のステアリン酸アマイドの代わり1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを使用して、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0036】
比較例1
実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりにビスフェノールAを使用して比較用の感熱記録材料を得た。
【0037】
比較例2
実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの代わりにビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)を使用して比較用の感熱記録材料を得た。
【0038】
比較例3
[C]液を用いない他は実施例1と同様にして比較用の感熱記録材料を得た。
以上の様にして得られた本発明の感熱記録材料及び比較用の感熱記録材料の品質性能を表1及び表2に示す。
【0039】
表1
品質性能表
地肌1) 発色濃度2)色調3)色調4)耐湿性5)耐可塑剤性6)
実施例1 0.03 1.77 5 4−5 1.70 1.65
実施例2 0.03 1.78 5 4−5 1.68 1.63
実施例3 0.03 1.76 5 4−5 1.65 1.60
実施例4 0.03 1.78 5 4−5 1.70 1.63
実施例5 0.03 1.76 5 4−5 1.70 1.63
比較例1 0.07 1.75 標準 標準 1.65 0.99
比較例2 0.09 1.69 3 2 1.69 1.65
比較例3 0.03 1.66 5 4−5 1.49 1.56
【0040】
表2
品質性能表
耐光性7) 耐光性8)
実施例1 4−5 1.77
実施例2 4−5 1.77
実施例3 4−5 1.75
実施例4 4−5 1.77
実施例5 4−5 1.76
比較例1 4−5 1.54
比較例2 3−4 1.48
比較例3 2 1.16
【0041】
1)地肌
作製した各試料(感熱記録材料)の未発色部をマクベス反射濃度計RD−914型で測定した値(マクベス反射濃度)。
2)発色濃度
作製した試料を市販のビデオプリンター(ソニー(株)製 VIDEO GRAPHIC PRINTER)でベタ黒画像に印字し、その画像濃度をマクベス反射濃度計RD−914型で測定した値(反射濃度)。
3)色調
マクベス反射濃度が約1.6(高濃度領域)である画像濃度における色調を比較例1(ビスフェノールA使用)の画像色調を標準にグレースケール(JIS L 0804)を使用して比較判定した。判定は色調差無し:「5」から0.5刻みに色調差有り:「1」の範囲で行った。
4)色調
マクベス反射濃度が約0.6(中濃度)である画像濃度における色調を比較例1(ビスフェノールA使用)の画像色調を標準にグレースケール(JIS L 0804)を使用して比較判定した。判定は色調差無し:「5」から0.5刻みに色調差有り:「1」の範囲で行った。
5)耐湿性
2)におけるのと同等の発色濃度を有する試料について、40℃、相対湿度90%の恒湿器中に24時間放置した後の試料の画像部のマクベス反射濃度。
6)耐可塑剤性
2)におけるのと同等の発色濃度を有する試料にPVCラップフィルムを両面に重ねて、室温で24時間放置後の画像部分のマクベス反射濃度。
7)耐光性
試料の未印字部の5,000ルクスの蛍光灯下、1週間照射前後の変色をグレースケール(JIS L 0804)を使用して判定した。判定値は色調判定と同様に行い、変色無し:「5」から0.5刻みに変色有り:「1」の範囲で行った。
8)耐光性
試料の画像部に5,000ルクスの蛍光灯光を1週間照射したのちの、画像部分のマクベス反射濃度。
【0042】
表1から明かなように本発明の感熱記録材料のビデオプリンターによる発色画像は濃度差による色調変化がなく、かつ中庸の黒色(ビスフェノールA使用の感熱記録材料と同色)を示し、更に地肌発色が小さく、発色濃度が高く且つ記録画像の耐湿性、耐可塑剤性、耐光性等の保存性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色の発色性化合物、該発色性化合物を熱時発色させうる顕色性化合物を主要な成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該感熱発色層が該顕色性化合物として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを、添加剤として5−メチルウラシルをそれぞれ含有することを特徴とする感熱記録材料、
【請求項2】
発色性化合物が、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン及び3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオランからなる群から選ばれる一種又は二種以上である請求項1記載の感熱記録材料

【公開番号】特開2006−224478(P2006−224478A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41519(P2005−41519)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】