説明

感熱転写インクシート、インクカートリッジ、感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物および感熱転写記録方法

【課題】本発明は、高感度で画像欠陥のない感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物および感熱転写記録方法を提供する。
【解決手段】支持体上に熱移行性染料が樹脂バインダー中に含有されてなる染料層を設けた感熱転写インクシートにおいて、前記染料層に少なくとも1種の下記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有することを特徴とする感熱転写インクシート。



(一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の構造のポリビニルアセタールを含有する感熱転写インクシート、インクカートリッジ、感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物および感熱転写記録方法に関する。
【技術背景】
【0002】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。
【0003】
感熱転写記録には、ベースフィルム(支持体)上に熱溶融性インク層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱し該インクを溶融して受像材料上に記録する方式と、ベースフィルム上に熱移行性色素を含有する色素供与層を形成させた感熱転写材料を熱ヘッドにより加熱して色素を受像材料上に熱拡散転写させる方式とがある。後者の感熱転写方式は、サーマルヘッドに加えるエネルギーを変えることにより色素の転写量を変化させることができるために階調記録が容易であり、高画質のフルカラー記録には特に有利である。
【0004】
この熱拡散転写記録方式では、色素を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
【0005】
感熱転写シートにおいて占領を保持する役割を果たすインクシートポリマーとしては、従来ポリエステル樹脂、が用いられてきた。高濃度の発色画像を形成するポリマー材料については特許文献1、特許文献2に報告されている。しかし、近年、プリント速度の高速化が著しく進んでおり、これらの樹脂では転写の高速化に対応しつつ、かつ転写感度の写真性能を両立することは困難となってきている。
【特許文献1】特開平4−45993号公報
【特許文献2】特開2002―307844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高感度で画像欠陥のない感熱転写インクシート、インクカートリッジ、感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物および感熱転写記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によって上記課題が達成されることを見出した。
(1)支持体上に熱移行性染料が樹脂バインダー中に含有されてなる染料層を設けた感熱転写インクシートにおいて、前記染料層に少なくとも1種の下記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有することを特徴とする感熱転写インクシート。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。)
(2)前記一般式[1]において、R1およびR2のいずれか一方が、炭素数4〜50の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写インクシート。
(3)前記一般式[1]2において、R1およびR2のいずれか一方が、炭素数8〜40の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写インクシート。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写インクシートが充填されていることを特徴とするインクカートリッジ。
(5)支持体上にポリマーラテックスを含有するインク受容層を有する受像シート上に(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
(6)熱移行性染料と少なくとも1種の下記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有することを特徴とする感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物。
【0010】
【化2】

【0011】
(一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明により、高感度で画像欠陥のない感熱転写インクシート、インクカートリッジ、感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物および感熱転写記録方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
最初に本発明に係るポリビニルアセタールについて説明する。
本発明のポリビニルアセタールは一般式[1]で表されるアルデヒドおよび/またはケトンで修飾されてなる。本発明のポリビニルアセタールは、一般式[1]で表されるケトンで修飾されてなるいわゆるケタールも包含するものである。
【0015】
【化3】

一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。
ここで、R1およびR2のいずれか一方が、炭素数4〜50の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることが好ましく、炭素数8〜40の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることがより好ましく、炭素数12〜30の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることがさらに好ましい。
1とR2が互いに結合して形成される環状の炭化水素は、5員〜7員環の炭化水素(該環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環)が好ましく、該環は他の環で縮合環を形成してもよい。該縮合環は、炭化水素環が好ましく、複数の環の縮合環も好ましい。ここで、形成される環は、飽和環であっても不飽和環(ただし芳香環は原理的に形成できるものでなく、芳香環であることはない)のいずれかであり、飽和環が好ましい。
【0016】
一般式[1]で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明で用いることができる一般式[1]で表される化合物は、これらに限定されることはない。
【0017】
【化4】

【0018】
【化5】


【0019】
本発明で用いられるポリビニルアセタールを構成するこれらの一般式[1]で示される化合物の量は、該重合体を構成する全重合単位に基づいて、10質量%〜100質量%であることが好ましく、30質量%〜95質量%であることがより好ましく、50質量%〜90質量%でありことがさらに好ましい。
一般式[1]で示される化合物は必要に応じて2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本発明で用いられる重合体の好ましい質量平均分子量は、3,000〜500,000が好ましく、6,000〜300,000がより好ましく、8,000〜200,000がさらに好ましい。
【0021】
ここで、質量平均分子量および分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
【0022】
本発明に用いられるポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールとアルデヒドおよび/またはケトンとを酸触媒を用いて、水または有機溶媒中で反応させるのが一般的である。このとき、アルデヒドおよび/またはケトンとして、一般式[1]で示される化合物のみを用いてもよいし、一般式[1]で示される化合物と一般式[1]で表されないアルデヒドおよび/またはケトンとを組み合わせて用いてもよい。
アセタール化に用いられる酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。また、触媒の使用量は、反応に用いられるアルデヒドおよび/またはケトン1モルに対して0.005〜0.2モルが好ましい。
アセタール化の反応温度は、20℃〜100℃程度であり、40℃〜90℃が好ましい。
【0023】
以下、本発明のポリビニルアセタールの具体的な構造例を示すが、本発明のポリビニルアセタールはこれらに限定されるものではない。なお式中の数字は各モノマー成分の質量比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
【0024】
【化6】


【0025】
【化7】


【0026】
【化8】


【0027】
本発明のポリビニルアセタールは、いかなるポリマーと併用しても良い。併用することができるポリマーとしては、透明または半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマーおよびコポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0028】
本発明の感熱転写インクシートの染料層は、熱移行性染料と少なくとも1種の上記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有する。好ましくは、感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物で、支持体上に塗布される。
【0029】
本発明の感熱転写インクシートは、少なくとも1種の上記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有するものである。感熱転写記録材料用インクシートは、一般に支持体上に染料層が形成された構造を有しており、その染料層に一般式[1]で表されるポリビニルアセタールを含有させる。本発明の感熱転写記録材料用インクシートは、熱移行性色素を一般式[1]で表されるポリビニルアセタールとともに溶剤中に溶解するか、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インク液を支持体上に塗設し、適宜乾燥して染料層を形成することにより製造することができる。
【0030】
本発明の感熱転写インクシートの支持体には、インクシート用支持体として従来から用いられているものを適宜選択して用いることができる。例えば特開平7−137466号公報の段落番号0050に記載される材料を好ましく用いることができる。支持体の厚みは、2〜30μmが好ましい。
【0031】
本発明の感熱転写インクシートは、本発明の効果を過度に阻害しない範囲内であれば、染料層以外の層を有するものであってもよい。例えば、支持体と色素供与層との間に中間層を有するものであってもよいし、染料層とは反対側の支持体面(以下において「背面」ともいう)にバック層を有するものであってもよい。中間層としては、例えば下塗り層や、色素の支持体方向への拡散を防止するための拡散防止層(親水性バリアー層)を挙げることができる。また、バック層としては、例えば耐熱スリップ層を挙げることができ、サーマルヘッドのインクシートへの粘着防止を図ることができる。
【0032】
本発明をフルカラー画像記録が可能な感熱転写記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱移行性シアン染料を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱移行性マゼンタ染料を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱移行性イエロー染料を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成することが好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていてもよい。
【0033】
シアン画像を形成することができる熱移行性シアン染料を含有するシアンインクシートとしては、例えば、特開平3−103477号公報や特開平3−150194号公報などに記載されたものを好ましく用いることができる。
【0034】
マゼンタ画像を形成することができる熱移行性マゼンタ染料を含有するマゼンタインクシートとしては、例えば、特開平5−286268号公報などに記載されたものを好ましく用いることができる。
イエロー画像を形成することができる熱移行性イエロー染料を含有するイエローインクシートとしては、例えば、特開平1−225592号公報などに記載されたものを好ましく用いることができる。
【0035】
染料層中における染料の含有量は、0.03〜1.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。また、染料層の厚みは、0.2〜5μmが好ましく、0.4〜2μmがより好ましい。
【0036】
本発明の感熱転写インクシートは、インクカートリッジに装填することができる。インクカートリッジの構造や装填方法については、従来から感熱転写記録の分野で採用されているものを本発明でも用いることができる。具体的には、具体的には、実開昭63−161851号公報、実開昭63−161851号公報、実開平1−101864号公報などに記載されるインクカートリッジの技術を本発明にも適用することができ、特に実開平1−101864号公報に記載されたものがより好ましい。
【0037】
本発明の感熱転写インクシートを用いて感熱転写記録を行う際には、サーマルヘッド等の加熱手段と受像シートを組み合わせて用いる。すなわち、画像記録信号に従ってサーマルヘッドから熱エネルギーがインクシートに加えられ、該熱エネルギーが加えられた部分の色素が受像シートに移行し固定されることによって画像記録がなされる。
次に、本発明のインクシートと組み合わせて用いられる受容シートについて説明する。
【0038】
(受容シート)
感熱転写受像シートは、支持体上に染料受容層(受容層)が形成されている。受容層と支持体との間には下地層が形成されていることが好ましく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。また、下地層と支持体との間には断熱層が形成されていることが好ましい。支持体と受容層との間にある各層を単に「中間層」といい、上述の下地層や断熱層が含まれる。感熱転写受像シートは、少なくとも1層の受容層および少なくとも1層の中間層を含有する。支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。
そのため受容層には染着しやすい樹脂(染着性受容ポリマー)が用いられる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、およびその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリサルフォン、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、スチレンアクリル共重合体、アイオノマー、セルロース樹脂、天然ゴム、合成ゴム等の単体または混合物を用いることができるがこれらに限定されない。受容層に用いられる受容ポリマーはラテックス化されていることが好ましい。
【0039】
<ポリマーラテックス>
ポリマーラテックスについて説明する。感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64−538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒子サイズは1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0040】
ポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明のポリマーラテックスのガラス転移温度は、−30℃〜130℃が好ましく、0℃〜100℃がより好ましく、10℃〜80℃がさらに好ましい。
【0041】
ポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリオレフィン類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜500000がよい。分子量が小さすぎるものはラテックスを含有する層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラテックスも好ましく使用される。
【0042】
ポリマーラテックスの合成に用いるモノマーとしては、特に制限はなく、通常のラジカル重合またはイオン重合法で重合可能なものでは、下記に示すモノマー群(a)〜(j)を好適に用いることができる。これらモノマーを独立かつ自由に組み合わせて選択し、ポリマーラテックスを合成することができる。
【0043】
−モノマー群(a)〜(j)−
(a)共役ジエン類:1,3−ペンタジエン、イソプレン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等。
(b) オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
【0044】
(c) α,β−不飽和カルボン酸エステル類:アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等)、置換アルキルアクリレート(例えば、2−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート等)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等)、置換アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシプロピレンの付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、多官能エステル類(例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート等)。
【0045】
(d) α、β−不飽和カルボン酸のアミド類:例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリルアミド、ジメタクリロイルピペラジン等。
(e) 不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(f) スチレンおよびその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、1,4−ジビニルベンゼン等。
(g) ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等。
(h) ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(i) α,β−不飽和カルボン酸およびその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウム等。
(j) その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、ジビニルスルホン等。
【0046】
ポリマーラテックスは市販もされており、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、ダイセル化学工業(株)製セビアンA-4635,4718,4601、日本ゼオン(株)製Nipol Lx811、814、821、820、855(P-17:Tg36℃)、857x2(P-18:Tg43℃)、大日本インキ化学(株)製Voncoat R3370(P-19:Tg25℃)、4280(P-20:Tg15℃)、日本純薬(株)製ジュリマーET-410(P-21:Tg44℃)、JSR(株)製AE116(P-22:Tg50℃)、AE119(P-23:Tg55℃)、AE121(P-24:Tg58℃)、AE125(P-25:Tg60℃)、AE134(P-26:Tg48℃)、AE137(P-27:Tg48℃)、AE140(P-28:Tg53℃)、AE173(P-29:Tg60℃)、東亞合成(株)製アロンA−104(P-30:Tg45℃)、高松油脂(株)製NS-600X、NS-620X、日信化学工業(株)製ビニブラン2580、2583、2641、2770、2770H、2635、2886、5202C、2706などが挙げられる(いずれも商品名)。
【0047】
ポリエステル類の例としては、大日本インキ化学(株)製FINETEX ES650、611、675、850、イーストマンケミカル製WD-size、WMS、高松油脂(株)製A-110、A-115GE、A-120、A-121、A-124GP、A-124S、A-160P、A-210、A-215GE、A-510、A-513E、A-515GE、A-520、A-610、A-613、A-615GE、A-620、WAC-10、WAC-15、WAC-17XC、WAC-20、S-110、S-110EA、S-111SL、S-120、S-140、S-140A、S-250、S-252G、S-250S、S-320、S-680、DNS-63P、NS-122L、NS-122LX、NS-244LX、NS-140L、NS-141LX、NS-282LX、東亞合成(株)製アロンメルトPES-1000シリーズ、PES-2000シリーズ、東洋紡(株)製バイロナールMD-1100、MD-1200、MD-1220、MD-1245、MD-1250、MD-1335、MD-1400、MD-1480、MD-1500、MD-1930、MD-1985、住友精化(株)製セポルジョンESなどが挙げられる(いずれも商品名)。
【0048】
ポリウレタン類の例としては、大日本インキ化学(株)製HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、101H、Vondic 1320NS、1610NS、大日精化(株)製D-1000、D-2000、D-6000、D-4000、D-9000、高松油脂(株)製NS-155X、NS-310A、NS-310X、NS-311X、第一工業製薬(株)製エラストロンなどが挙げられる(いずれも商品名)。
【0049】
ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、LX410、LX430、LX435、LX110、LX415A、LX438C、2507H、LX303A、LX407BPシリーズ、V1004、MH5055(以上日本ゼオン(株)製)などが挙げられる(いずれも商品名)。
【0050】
ポリ塩化ビニル類の例としては、日本ゼオン(株)製G351、G576、日信化学工業(株)製ビニブラン240、270、277、375、386、609、550、601、602、630、660、671、683、680、680S、681N、685R、277、380、381、410、430、432、860、863、865、867、900、900GT、938、950などが挙げられる(いずれも商品名)。ポリ塩化ビニリデン類の例としては、旭化成工業(株)製L502、L513、大日本インキ化学(株)製D-5071など挙げられる(いずれも商品名)。ポリオレフィン類の例としては、三井石油化学(株)製ケミパールS120、SA100、V300(P-40:Tg80℃)、大日本インキ化学(株)製Voncoat 2830、2210、2960、住友精化(株)製ザイクセン、セポルジョンG、共重合ナイロン類の例としては、住友精化(株)製セポルジョンPA、などが挙げられる(いずれも商品名)。
【0051】
ポリ酢酸ビニル類の例としては、日信化学工業(株)製ビニブラン1080、1082、1085W、1108W、1108S、1563M、1566、1570、1588C、A22J7-F2、1128C、1137、1138、A20J2、A23J1、A23J1、A23K1、A23P2E、A68J1N、1086A、1086、1086D、1108S、1187、1241LT、1580N、1083、1571、1572、1581、4465、4466、4468W、4468S、4470、4485LL、4495LL、1023、1042、1060、1060S、1080M、1084W、1084S、1096、1570K、1050、1050S、3290、1017AD、1002、1006、1008、1107L、1225、1245L、GV-6170、GV-6181、4468W、4468Sなどが挙げられる(いずれも商品名)。
【0052】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0053】
以下に、ポリマーラテックスの具体的な構造例を示すが、本発明で用いることができるポリマーラテックスはこれらに限定されるものではない。なお式中の数字は、各モノマー成分の重量比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
【0054】
【化9】

【0055】
【化10】

【0056】
【化11】

【0057】
【化12】

【実施例】
【0058】
(実施例1)
(重合体の合成)
<AP−1の合成>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、ポリビニルアルコール(PVA110、クラレ(株)製)20g、塩化メチレン400g、塩酸 2.0g、およびA−7 96gを加え40℃で40時間加熱して反応を完結させた。次に、反応液をメタノール中に再沈殿させて反応生成物を得た。質量平均分子量は1.6×106であった。
【0059】
【化13】

【0060】
AP−7、AP−11、AP−18、AP−22に関してもAP−1の合成と同様に合成を行った。
【0061】
(インクシートの作製)
(2−1)試料101(本発明)の作製
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエローインキ
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
重合体AP−1 4.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部

マゼンタインキ
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
重合体AP−1 4.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部

シアンインキ
シアン染料(ディスパーズレッド63) 5.5質量部
重合体AP−1 4.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
【0062】
(2−2)試料102(本発明)の作製
次に、上記例示化合物AP−1をAP−7に変えた以外は試料101の作製と同様にして、本発明の試料102を作製した。
(2−3)試料103(本発明)の作製
次に、上記例示化合物AP−1をAP−11に変えた以外は試料101の作製と同様にして、本発明の試料103を作製した。
(2−4)試料104(本発明)の作製
次に上記例示化合物AP−1をAP−18に変えた以外は試料101の作製と同様にして、本発明の試料104を作製した。
(2−5)試料105(本発明)の作製
次に、上記例示化合物AP−1をAP−22に変えた以外は試料101の作製と同様にして、本発明の試料105を作製した。
【0063】
(2−6)試料106(比較例)の作製
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエローインキ
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタインキ
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアンインキ
シアン染料(ディスパーズレッド63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
【0064】
(2−7)試料107(比較例)の作製
特開平4−45993号公報に記載の実施例1のインクシートを作製した。
(2−8)試料108(比較例)の作製
特開2002―307844号公報に記載の実施例1のインクシートを作製した。
【0065】
(受像シートの作製)
<受像シート1>
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。さらに下記組成の中間層Aをバーコーターにより塗布し乾燥した後、引き続いて下記組成の受容層Aをバーコーターにより塗布し乾燥させた。バーコーター塗布は40℃で行い、乾燥は各層50℃で16時間行った。それぞれの乾燥時の塗布量が中間層A:1.0g/m2、受容層A:2.5g/m2となるように塗布を行った。
中間層A
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東洋紡積(株)製) 10質量部
蛍光増白剤(Uvitex OB、商品名、チバガイギー社製) 1質量部
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
受容層A
ポリエステル樹脂 100質量部
(特開平2-265789号公報の実施例1に記載の樹脂)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)社製、商品名、X−22−3050C)
エポキシ変性シリコーン
(信越化学工業(株)社製、商品名、X−22−300E) 5質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
【0066】
(画像形成)
上記の各インクシートを使用し、上記受像シート1に、日本電産コパル社製昇華型プリンターASK2000(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで最高濃度を得られる設定で黒色ベタの画像を出力した。
【0067】
(相対転写濃度評価)
上記の条件で得られた黒画像のVisual濃度をPhotographic Densitometer(X-Rite incorporated社製)で測定した。表1に試料106の転写濃度を100としたときの相対値を示す。
(インク融着性評価)
インク融着性は、画像のDmaxが得られる印画部分で溶着状態を以下の基準で判断した。
評価ランク
5:受像シートがインクシートからスムーズに剥がれ、受像シートにインクの融着(張り付き)が全く認められない。
4:融着が発生した濃度領域の印画面積に対して、融着した面積が1%以下であった。
3:融着が発生した濃度領域の印画面積に対して、融着した面積が1%を超え、10%以下であった。
2:融着が発生した濃度領域の印画面積に対して、融着した面積が10%を超え、20%以下であった。
1:融着が発生した濃度領域の印画面積に対して、融着した面積が20%を超えた。
得られた結果を、表1に示す。
【0068】
(地汚れ評価)
感熱転写用インクシートと受像シートをそれぞれ染料層と受像層が接触するように重ねあわせ、感熱転写用インクシートの表面温度が70℃になるように熱ロールラミネーターに通した後、染着層に移行した染料の濃度をPhotographic Densitometer(X-Rite incorporated社製)で測定し、試験前後の濃度の変化率(ΔD)を算出した。
【0069】
【表1】

【0070】
表1の結果から明らかなように、試料106、108では高速転写記録により相対転写濃度が上がらない。試料107では相対転写濃度の向上が見られたもののインク融着性の低下が見られた。
本発明例の試料101から105はいずれも相対転写濃度に優れ、インクの融着がないことがわかった。このように本発明の樹脂バインダーを使用することにより高感度で面状欠陥のない感熱転写インクシートを得ることができた。
【0071】
実施例2
受像シート1を下記受像シート2に代えたこと以外は実施例1と同様にして試料を作製した。
<受像シート2>
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、前記組成の中間層B、受容層Bを支持体側からこの順に積層させた状態で重層塗布を行った。塗布後すぐに50℃16時間乾燥させた。それぞれの乾燥時の塗布量は中間層B:15g/m2、中間層A:1.0g/m2、受容層A:2.5g/m2となるように塗布を行った。
中間層B
中空ポリマーラテックス 563質量部
(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン 120質量部
ここで、中空ポリマーラテックスは外径0.5μmの中空構造ポリマーの水分散体である。
受容層B
重合体P−9 48質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤ポリマーラテックス 15質量部
(ULS1700、商品名、一方社油脂工業(株)製)
モンタン酸ワックス(J537、商品名、中京油脂(株)製) 10質量部
【0072】
実施例1と同様にして評価したところ本実施例においても良好なインク融着性が得られ、相対転写濃度に関しては実施例1以上の高転写濃度の傾向を示した。
この結果を下記表2にまとめた。
【0073】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に熱移行性染料が樹脂バインダー中に含有されてなる染料層を設けた感熱転写インクシートにおいて、前記染料層に、少なくとも1種の下記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有することを特徴とする感熱転写インクシート。
【化1】

(一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。)
【請求項2】
前記一般式[1]において、R1およびR2のいずれか一方が、炭素数4〜50の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写インクシート。
【請求項3】
前記一般式[1]において、R1およびR2のいずれか一方が、炭素数8〜40の分岐の炭化水素基であるか、またはR1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写インクシート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写インクシートが充填されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項5】
支持体上にポリマーラテックスを含有するインク受容層を有する受像シート上に請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
【請求項6】
熱移行性染料と少なくとも1種の下記一般式[1]で表される化合物で修飾されたポリビニルアセタールを含有することを特徴とする感熱転写インクシートの染料層用塗布組成物。
【化2】

(一般式[1]において、R1およびR2の一方が分岐の炭化水素基で他方が水素原子または炭化水素基であるか、または、R1とR2が互いに結合して環状の炭化水素を形成する基を表す。)

【公開番号】特開2008−246909(P2008−246909A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92239(P2007−92239)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】