説明

慢性創傷の治療方法又は予防方法並びにそれに使用するためのグリシン及び/又はロイシンを含む完全栄養組成物

【課題】慢性創傷の治療方法又は予防方法、並びにそれらに使用するためのグリシン及び/又はロイシンを含む完全栄養組成物
【解決手段】本発明は、慢性創傷の治療及び/又は予防のための方法に関し、該方法は、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し;タンパク質が1人分当たり0.5〜5グラムのグリシン及び/又は1人分当たり1〜5グラムのロイシンを提供する組成物を、患者に経腸投与することを含む。本発明の他の側面は、慢性創傷の治療又は予防において有利に使用することができる組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈潰瘍、糖尿病性潰瘍、及び褥瘡のような慢性創傷の治療及び予防のための栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間完全に又は部分的に動けない患者、例えば寝たきりの入院患者や車椅子の患者は、しばしば、圧力及び/又は擦過力の結果として皮膚の変性変化、即ち褥瘡を被る。褥瘡患者は肌の局所赤色から骨が肌に穿通するような深い創傷までの範囲の創傷を有する。
【0003】
創傷治癒は、細胞、細胞外基質(ECM)成分及び細胞性の微小環境に関わる複雑な多因子性の過程である。基本的に創傷治癒過程は全て損傷した組織の修復又は交換に関わる。皮膚は、表皮及び真皮を含む多重層から成る。最も微小な外傷として表皮のみが損傷した場合、表皮細胞が創傷の縁から移動して最終的に創傷を覆い表皮を修復する。全ての皮膚層が損傷したか又は破壊された場合、肉芽形成組織と呼ばれる新しい組織が最初に創傷した場所を満たす。この組織は線維芽細胞によるECM成分の沈着によって形成され、これは創傷した場所に移動する。これらのECM成分、例えばコラーゲンの沈着は、現在のところ創傷の治癒に重要であると考えられている。創傷治癒に抵抗力と補助を与えるために、十分なコラーゲンの沈着が生じなければならない。
【0004】
十分な創傷治癒のためには完全な多重工程過程が完了することが必要であり、さもなければ、治癒せず、皮膚は修復されず創傷は開いたままである。そのような開いた創傷は、容易に感染し、さらに治癒過程を遅延させ、慢性的な非治癒創傷に至る。創傷治癒の過程は、さらに、複雑な条件、例えば糖尿病、年齢、不節制(incontinence)、慢性疾患、及び栄養不良などによって阻害され得る。
【0005】
創傷治癒過程を促進するための種々の治療が提案されている。しかしながら、創傷治癒刺激成分を含む完全栄養組成物の経腸投与による慢性創傷の治療及び/又は予防を含む提案は極めてわずかである。
【0006】
US5733884は、急性又は慢性創傷の患者に、アルギニン及びプロリンを含む栄養配合を投与することを含む、栄養補助を提供する方法を開示している。
【0007】
WO9958000は、糖、脂肪、ビタミンC及びトコフェロールを含む、褥瘡の治療に適した組成物を開示している。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、現在知られている完全栄養製剤(complete nutritional formulations)は、慢性創傷の予防及び/又は治療に完全には適していないことを発見した。よって本発明は、慢性創傷の治療及び/又は予防に有利であり、また組織の修復及び治癒のための独特な栄養要求に合う栄養配合(nutritional formula)を提供する。
【0009】
慢性創傷の患者は、特にgly-proジペプチドの尿中排出においてプロリダーゼ欠損患者と表現型の類似点を有することがわかった。プロリダーゼは、gly-proジペプチドを消化する酵素であり、これはコラーゲンの最終産物の分解である。通常、gly-proの溶解によって形成されたプロリン及び/又はグリシン分子は、コラーゲンや他のタンパク質に再利用される。本発明者らは、予期されないことに、障害性プロリダーゼ活性の効果を相殺することによって、及び/又は、プロリダーゼ活性を刺激することによって、創傷治癒過程が刺激されることを発見した。
【0010】
本発明の一つの側面は、十分量のグリシンを、特に十分量のプロリン及びマンガンと組み合わせられて含む、完全栄養製剤の経腸投与によるグリシン/プロリンプールの補充に関する。グリシン及び任意にプロリンの投与は、グリシン/プロリンプールを補充し、それによってコラーゲン合成を刺激する。マンガンはプロリダーゼ活性を刺激し、それ故プロリダーゼのコファクターである。よって、マンガンの投与はグリシン/プロリンプールの補充をさらに刺激する。創傷治癒過程におけるグリシン含有栄養素の重要な役割は、これまで認識されていなかった。
【0011】
さらなる側面において、本発明は、慢性創傷の治療及び/又は予防のための高ロイシン組成物の使用に関する。驚くべきことに、ロイシンに創傷におけるタンパク質合成を刺激する能力があることが発見された。創傷におけるタンパク質合成がアナボリック因子によってほとんど影響されないと一般に認められているために、これは特に予期されないことであった。患者のための既知の栄養組成物にいくらかのロイシンが存在しているとは言え、本発明者らは、このロイシン含量は慢性創傷の治療には不充分であることを発見した。本発明は、濃縮ロイシン組成物を患者に投与することを含む、慢性創傷の治療及び/予防の方法を提供する。さらに、ロイシンに富み、且つグリシン及びプロリンから成る群から選択される少なくとも一つのアミノ酸に富む組成物は、慢性創傷、特に褥瘡性潰瘍の治療及び/又は予防に特に有効に用いることができることが分かった。
【0012】
創傷治癒の病態生理学は、極めて多様なアミノ酸、酵素及びコファクターが重要な役割を演じる複雑で多因子性の過程である。従って、創傷治癒の過程に必要な一つか二つの成分の補充は、創傷治癒を刺激するが、しかしながらその刺激性効果は、その後に他のアミノ酸、酵素またはコファクターの欠乏が生じるために限定される。従って、特に好ましい態様において、本発明の組成物は、創傷治癒過程に陽性の影響を有する種々の成分を含む。グリシン及び/又はロイシンの外に、完全栄養組成物が糖及び/又は脂肪の形態で十分なエネルギーを予備のタンパク質に提供すること、即ち、単純にタンパク質が「使い果たされる」ことを防ぐことが重要である。本発明の組成物は、かなりの量のグルタミンを有利に含んでいる。グルタミンは、コラーゲン生成細胞におけるコラーゲン生合成の刺激物質であり、プロリン及びアルギニンの前駆物質である。さらに、本発明の組成物はかなりの量のロイシンを適切に含んでいる。ロイシンはタンパク質合成を刺激し、これは創傷の患者には特に重要である。アルギニンがNO生成を上昇させ、またコラーゲンの沈着を上昇させることが分かっているため、本発明の組成物はさらにかなりの量のアルギニンを含む。
【0013】
アミノ酸の他に、多くの酵素が創傷治癒過程に関与している。従って、特に有利な態様において、完全栄養製剤は、酵素コファクター及び創傷治癒過程をさらに刺激する他の成分を含む。本発明の組成物は、亜鉛及び鉄のような鉱物を適切に含んでよい。亜鉛は細胞分裂、組織合成を補助し、免疫において役割を有する。人間は亜鉛が欠乏したとき、創傷治癒が損なわれることが示されている。鉄はプロリンのヒドロキシル化を改善する。完全栄養製剤においてさらに重要なものは、アスコルビン酸である。アスコルビン酸はプロリンのヒドロキシプロリン(コラーゲンの前駆物質)への転換を触媒し、それによって組織成長及び創傷治癒に関与する。また、ビタミンAは上皮細胞に著明な影響を有すると報告されている。しかしながら、ビタミンAは、アスコルビン酸が誘導するコラーゲン合成を阻害し得るために、過剰な投与量で投与されないことが好ましい。
【0014】
さらなる側面において、本発明の組成物は溶解性で消化しにくい繊維を含み、これは患者の糞便性失調を減少させる。糞便性失調は、褥瘡の形成の危険性を上昇させ、及び/又は創傷治癒を妨げる、皮膚の湿度を上昇させ得る。
【0015】
本発明の高タンパク質組成物(好ましくは幾つかの特定のアミノ酸に富み、また任意に繊維を含む)は著しく低い粘度を有することが、本発明者らによって発見された。この低い粘度は、製剤がしばしばストローを通して摂取され、或いはチューブを通して投与されるために重要である。
【0016】
さらなる側面において、本発明の腸内配合は、比較的低い重量オスモル濃度を有し、また、慢性創傷の患者、或いは、慢性創傷が発達しやすい患者に必要なエネルギーと栄養を提供する。低い重量オスモル濃度は、結果として下痢及び糞便性失調の発生を減少させる。
【発明の詳細な説明】
【0017】
一つの側面において、本発明は慢性創傷の治療及び/又は予防の方法を提供する。該方法は、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し(represents);糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当する組成物の1人分(serving)を患者に経腸投与することを含み、ここで前記タンパク質は1人分当り(per serving)1〜5グラムのロイシンを提供し、前記1人分は150〜400 kcalを提供する。
【0018】
本発明の他の側面は、慢性創傷の治療及び/又は予防の方法に関する。該方法は、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当する組成物の1人分を患者に経腸投与することを含み、ここで前記タンパク質は1人分当り0.5〜5グラムのグリシンを提供し、前記1人分は150〜400 kcalを提供する。
【0019】
さらなる側面において、本発明は、患者に経腸投与するための組成物であって、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;脂肪が該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し;及び糖が該組成物の総カロリー含量の15〜80%に相当し、該組成物が、
(i)kcal当り4〜20 mgのロイシン;及び
(ii)kcal当り2〜32mgのグリシン及び/又はkcal当り3〜32 mgのプロリン;
を含む組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、患者に経腸投与するための組成物であって、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;脂肪が該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し;糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し、
前記組成物が、1人分当り0.5〜8グラムのグリシンを任意に1人分当り1.5〜8グラムのプロリンと組み合わせて含み;及び1人分当り1〜250 mgのマンガンを含む組成物を提供する。
【0021】
ここで用いられる「タンパク質」という用語は、遊離のアミノ酸及び共有ペプチド結合で互いに結合されたアミノ酸鎖(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、及びポリペプチド)を称する。好ましくは、本発明の組成物は共有ペプチド結合で互いに結合したアミノ酸の形態でタンパク質を含む。
【0022】
ここで用いられる「1人分」という用語は、1回の投与イベントで患者に与えられる量、又は与えられるように予定される量を意味する。典型的には、そのような投与イベントは30分以内に完了され、好ましくは15分以内に完了される。典型的な1人分のサイズは、満杯のグラス(a full glass)である。要約のために、本発明の高グリシン組成物の好ましい態様に従った、好ましいカロリー分布、アミノ酸プロフィール及び他の成分量を表Iに示す。好ましい態様において、アミノ酸プロフィール及び他の成分は、1人分250 kcal当りで表される。さらに好ましい態様において、アミノ酸プロフィール及び他の成分量は、1人分200 ml当りで表される。
【表I】

<アミノ酸プロフィール:高グリシン組成物>
本発明のグリシン含有組成物は、好ましくは、以下から成る群から選択される少なくとも一つを1人分当りに含む:
a.1.5〜8グラム、より好ましくは2〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのプロリン
b.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2グラム、最も好ましくは2〜4グラムのアルギニン
c.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのグルタミン
d.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのロイシン;及び
e.0.05〜8グラム、より好ましくは0.1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも0.2グラム、最も好ましくは0.2〜2グラムのカルノシン及び/又はβ-アラニン。
【0023】
好ましくは、本発明の高グリシン組成物は、上記の群の少なくとも二つ、より好ましくは少なくとも三つ、さらに好ましくは全ての要素を1人分あたりに含む。好ましくは、本発明の高グリシン組成物は、少なくともグリシン及びプロリン、より好ましくは少なくともグリシン、プロリン及びアルギニン、さらに好ましくは少なくともグリシン、プロリン、アルギニン及びグルタミン、最も好ましくは少なくともグリシン、プロリン、アルギニン、グルタミン及びロイシンを、上記で特定された量で含む。
【0024】
<アミノ酸プロフィール:高ロイシン組成物>
本発明のロイシン含有組成物は、好ましくは、以下から成る群から選択される少なくとも一つを1人分当りに含む:
a.1.5〜8グラム、より好ましくは2〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのプロリン
b.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2グラム、最も好ましくは2〜4グラムのアルギニン
c.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのグルタミン
d.1.5〜8グラム、より好ましくは1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも2.5グラム、最も好ましくは2.5〜4グラムのグリシン;及び
e.0.05〜8グラム、より好ましくは0.1〜5グラム、さらに好ましくは少なくとも0.2グラム、最も好ましくは0.2〜2グラムのカルノシン及び/又はβ-アラニン。
【0025】
好ましくは、本発明の高ロイシン組成物は、上記の群の少なくとも二つ、より好ましくは少なくとも三つ、さらに好ましくは全ての要素を1人分あたりに含む。好ましくは、本発明の高ロイシン組成物は、少なくともグリシン及び/又はプロリン、より好ましくは少なくともグリシン及びプロリン、さらに好ましくは少なくともグリシン、プロリン及びアルギニン、最も好ましくは少なくともグリシン、プロリン、アルギニン、グルタミン及びロイシンを、上記で特定された量で含む。
【0026】
要約の手段として、本発明の高ロイシン組成物の好ましい態様の好ましいカロリー分布、アミノ酸プロフィール、及び他の成分を表IIに示す。好ましい態様において、アミノ酸プロフィール及び他の成分の量は、1人分250 kcal当りで表される。さらに好ましい態様において、アミノ酸プロフィール及び他の成分量は、1人分200 ml当りで表される。
【表II】

<カロリー分布>
本発明の組成物におけるタンパク質は、好ましくは該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し、より好ましくは20〜40%、さらに好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは25〜35%に相当する。
【0027】
本発明の組成物は好ましくはカゼイン及び又は乳清タンパク質を含む。
【0028】
本発明の組成物中の脂肪は、好ましくは該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し、より好ましくは15〜40%、さらに好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは20〜30%に相当する。
【0029】
本発明の組成物中の糖は、好ましくは該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し、好ましくは15〜80%に相当し;より好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは20〜50%、最も好ましくは25〜40%に相当する。
【0030】
本発明の組成物は、好ましくは0.75〜2.5 kcal/mlのカロリー密度を有し、より好ましくは少なくとも1 kcal/ml、さらに好ましくは1.1〜1.5 kcal/ml、最も好ましくは1.2〜1.4 kcal/mlのカロリー密度を有する。
【0031】
本発明で用いられるカロリー含量という語は、栄養成分によって提供され、ヒトの体によって利用可能なカロリーを意味する。従って、消化しにくい繊維のカロリー含量は、あっても極めて低い。
【0032】
<繊維>
本発明のさらなる側面は、例えば褥瘡のような慢性創傷の予防又は治療のための方法に関する。該方法は、溶解性で消化されにくい(又はわずかに消化できる)繊維を患者に投与することを含む。溶解性繊維は、糞便性失調及び/又は下痢の発生率及び重症度を減少させる。糞便性失調及び下痢が減少すると、続いて皮膚の湿度が減少し、また創傷の近くにおける細菌濃度が減少する。従って、創傷の発生及び感染が減少する。
【0033】
好ましくは、本発明の組成物は、1人分当り、0.01〜25グラム、より好ましくは0.02〜15グラム、さらに好ましくは少なくとも1グラム、最も好ましくは1〜15グラムの溶解性で消化しにくい繊維を含む。
【0034】
<コファクター>
本発明の栄養配合は、酵素コファクター及び創傷治癒過程をさらに刺激する他の成分を含む。好ましい態様において、本発明の高グリシン製剤は、1人分当り1 mg〜250 mg、好ましくは1.5〜100 mgのマンガン、さらに好ましくは少なくとも2 mg、最も好ましくは3〜50 mgのマンガンを含む。
【0035】
亜鉛は、細胞分裂、組織合成を補助し、また免疫において役割を有し、好ましくは1人分当り、2 mg〜100 mg、より好ましくは少なくとも5 mg、さらに好ましくは5〜30 mg、最も好ましくは7.5〜15 mgに相当する量の亜鉛が導入される。
【0036】
鉄はプロリンのヒドロキシル化を改善する。よって、鉄は1人分当り2 mg〜100 mg、より好ましくは少なくとも5 mg、さらに好ましくは5〜30 mg、最も好ましくは6〜10 mgの鉄に相当する量で導入される。
【0037】
本発明の完全栄養配合においてさらに特別に重要であるのは、アスコルビン酸である。アスコルビン酸はコラーゲンの前駆物質であるプロリンのヒドロキシプロリンへの転換を触媒し、それによって組織成長及び創傷治癒に関与する。アスコルビン酸という用語は、本発明で慣用されているように、ビタミンC(アスコルビン酸)及びアスコルビン酸等価物(体内でアスコルビン酸に変換され得る化合物、例えばデヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート及び他のアスコルビン酸エステル)を含む。好ましくは本発明の組成物は、1人分当り、10〜2000 mgのアスコルビン酸、より好ましくは30〜1000 mg、さらに好ましくは少なくとも200 mg、最も好ましくは200〜750 mgのアスコルビン酸を含む。
【0038】
また、ビタミンAも上皮細胞に重大な影響を有することが報告されている。従って、本発明の組成物は好ましくは、50〜2000 mcgのレチノール等価物(RE)ビタミンAを含み、より好ましくは100〜1000 mcgRE、最も好ましくは200〜500 mcgREを含む。
【0039】
<治療及び予防>
本発明は、慢性的な創傷の治療及び予防の方法に関し、特に褥瘡、静脈脚潰瘍(venous leg ulcers)、糖尿病性足潰瘍及び火傷障害の治療及び/又は予防のための方法に関する。該組成物は、化学療法薬の使用の結果の障害性創傷治癒を有する患者に有利に使用できる。特に好ましい態様において、本発明の方法は、慢性疾病の患者、より好ましくは慢性創傷の患者及び/又は慢性創傷の発達しやすい患者、特には褥瘡性潰瘍(pressure ulcers)、褥瘡(pressure sores)、褥瘡性潰瘍(decubiti ulcers)及び/又は糖尿病性食物潰瘍(diabetic food ulcers)の患者の治療に関する。本発明は特に、創傷治癒を刺激する方法に関する。さらに、本発明は、皮膚、特に障害を受けた皮膚におけるタンパク質及び/又はコラーゲンの合成の減少を予防又は治療する方法、及び、皮膚、特に障害を受けた皮膚におけるタンパク質及び/又はコラーゲンの合成を刺激する方法を提供する。
【0040】
<粘度>
本発明の組成物は、該組成物がたいていはストローを通して摂取され、或いはチューブを通して経腸的に投与されるために、周囲条件において低い粘度を示すことが望ましい。低粘度は容易な投与を促進する。粘度は、少なくとも一部のタンパク質をアミノ酸、ジペプチド又はトリペプチドとして組み込むことによって適切に減少させることができる。それ故、好ましいタンパク質画分は、アミノ酸、ジペプチド、及び/又はトリペプチドから成る群から選択される低分子タンパク質を、タンパク質画分の乾燥重量に基づいて、少なくとも20重量%含み、より好ましくは少なくとも40重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%を含む。より好ましくは、タンパク質画分はタンパク質画分の総乾燥重量に基づいて少なくとも10重量%のアミノ酸を含み、さらに好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも40重量%のアミノ酸を含む。
【0041】
本発明の組成物において、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、及び最も好ましくは少なくとも40%のグリシンが、アミノ酸、ジペプチド、又はトリペプチドとして、好ましくはアミノ酸として提供される。同様に、プロリン、アルギニン、グルタミン及びロイシンは本発明の組成物中で低分子成分として提供される。
【0042】
本発明の完全栄養製剤は、好ましくは限定された粘度を有する。それ故、好ましい態様に従って、本発明の組成物は、剪断速度100 s-1、20℃において50 mPas未満の粘度を有し、より好ましくは剪断速度100 s-1、20℃において25 mPas未満、さらに好ましくは剪断速度100 s-1、20℃において20 mPas未満、最も好ましくは剪断速度100 s-1、20℃において15 mPas未満の粘度を有する。
【0043】
本明細書において粘度という用語を使用する時はいつでも、Carri-Med CSLレオメーターを用いて適切に測定されることのできる物理的なパラメーターを称する。使用した形状大きさは、円錐形状(6 cm 2度のアクリル錐体)であり、プレートと形状大きさの間のギャップは55μmに設定した。直線的な連続的ランプ剪断速度は、20秒で0〜150 s-1を使用する。レオメーターのサーモスタットは適切な温度(例えば20℃)に設定する。
【0044】
<重量オスモル濃度>
さらなる側面において、慢性創傷の発生及び発生率は、低い重量オスモル濃度の腸内配合(enteric formula)の投与によって減少させることができる。高い重量オスモル濃度は下痢及び糞便性失調を増加させる。よって、好ましくは本発明の製剤は、800 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度を有し、好ましくは700 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度、さらに好ましくは650 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度、最も好ましくは600 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度を有する。
【0045】
<1人分>
本発明の組成物の1人分は、好ましくは50〜1100 mlの容量を有し、より好ましくは100〜500 mlの容量、さらに好ましくは150〜400 mlの容量、最も好ましくは150〜300 mlの容量を有する。好ましくは、患者に投与される容量は、上記制限内である。患者は、極めて濃縮された形態で、或いは高い容量で投与される場合、該組成物の摂取が困難であることもある。本発明の組成物の1人分の一つは、好ましくは、150〜400 kcalを提供し、より好ましくは175〜325 kcal、さらに好ましくは少なくとも200 kcal、さらにより好ましくは225〜275 kcal、最も好ましくは250 kcalを提供する。好ましくは、患者に投与される1人分当りのカロリー量は上記制限内であり、さもなければ、患者は慢性創傷の形成を刺激し得る過体重になりうる。
【0046】
特に好ましい態様において、本発明の組成物は1人分のロットに詰められる。
【0047】
上記のことから直ちに明らかであるように、本発明の組成物は、kcal当りのアミノ酸及び他の成分の含有量によって適切に定義されることもできる。好ましい態様は、上記に与えられた値から簡単に計算することができる。例えば、本発明の組成物は好ましくはkcal当り4〜20 mgのロイシン(250 kcal当り1〜5グラム);kcal当り2〜32 mgのグリシン、及び/又はkcal当り3〜32 mgのプロリン(250 kcal当り1.5〜8グラムのプロリン)を含む。
【0048】
<濃度>
本発明はまた、グリシンを高濃度で含有する液体形態での完全栄養組成物に関する。これらの組成物は、慢性創傷の治療及び/又は予防のための方法において適切に用いることができる。任意に他の有益な成分と組み合わせられたグリシン及び/又はロイシンの好ましい濃度は、上記で定義されたように1人分当りに投与される量を、最も好ましい1人分の量、即ち200 mlで割ることによって算出できる。一つの態様において、本発明は液体組成物を提供し、ここにおいてタンパク質は該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖は該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し、また該組成物は、リットル当り2.5〜40グラムのグリシンを含み、好ましくはリットル当り3.75〜25グラムのグリシン、最も好ましくはリットル当り4〜12グラムのグリシン(0.2リットル当り、それぞれ0.5〜8グラム、0.75〜5グラム、及び0.8〜3グラムのグリシンに相当する)を含む。
【0049】
同様に、表1に示したような、及び上記で記載されたような、1人分当りの他の重量は、適切な濃度範囲に変換されることができる。本発明の組成物は、本発明に従って1人分当りの重量の所要量及び濃度の所要量の何れも満たすことが好ましい。
【0050】
<再構成可能な製剤>
さらなる側面において、本発明は、再構成可能な製剤、好ましくは再構成可能な粉末に関し、これは、所定量の液体と混合された時、上記で記載された液体栄養産物を産する。例えば液体栄養産物タンパク質は該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖は該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し、脂肪は該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し、また、1人分当たり0.5〜8グラムのグリシン及び/又はリットル当り2〜32グラムのグリシンを含む。本発明の液体栄養産物の1人分は、所定量の再構成可能な粉末を、所定量の液体、好ましくは(滅菌)水と混合することによって、再構成可能な製剤から調製されることが好ましい。所定量の液体は、好ましくは100〜1000mlであり、より好ましくは150〜500ml、さらに好ましくは175〜300mlである。
【実施例】
【0051】
例1:創傷治癒を刺激するための液体経腸製剤(一回一人分200 ml相当):
250 kcalのカロリー含量を有する水性経腸製剤を以下の成分から調製した:
タンパク様物質 総カロリーの25%
カゼイン塩;グリシン-グルタミンジペプチド、遊離アミノ酸プロリン;
遊離アミノ酸アルギニン;遊離アミノ酸ロイシン及びカルノシン、次のように提供:
0.9グラムのグリシン(リットル当たり4.5グラム)
2グラムのプロリン(リットル当たり10グラム)
3グラムのアルギニン(リットル当たり15グラム)
3グラムのロイシン(リットル当たり15グラム)
1グラムのカルノシン(リットル当たり5グラム)
糖 総カロリーの45%(28グラム);
コーンシロップ固形物、スクロース
脂肪 総カロリーの30%(8.6グラム)
コーン油14重量%;アブラナ油30重量%;MCT(ココナツ油)50重量%;
ダイズレシチン6重量%)
鉱物:
Na 100 mg, K 300 mg, Cl 160 mg, Ca 450 mg, P 364 mg Mg 84 mg, Fe 6 mg, Zn 9 mg,
Cu 1350μg, Mn 2.5 mg, F 0.38 mg, Mo 38μg, Se 64μg, Cr 26μg, I 50μg,
ビタミン:
ビタミンA 238μg-RE;カロテノイド:1.5 mg;ビタミンD 2.6μg、
ビタミンE 37.6 mg alfa-TE、ビタミンK 20 mg、ビタミンB1 0.56 mg、
ビタミンB2 1.26 mg、ナイアシン 6.8 mgNE、パントテン酸 2.0 mg、
ビタミンB6 1.3 mg、葉酸 200μg、ビタミンB12 1.6μg、
ビオチン 15μg、ビタミンC 250 mg、
その他:
コリン 138 mg
重量オスモル濃度: 500 mOsm(推定)
カロリー密度: 1.0 kcal/ml
【0052】
例2:ロイシン、プロリン及びグリシンの創傷治癒における効果
(導入)
ウサギの耳モデルを、異なる経腸的な食餌の投与に続いて、表皮、真皮、並びに全体の皮膚におけるタンパク質の動態学的な数量化のために用いた。分画の合成速度(FSR)及び分画の崩壊速度(FBR)を、「Zhang, X.J., et al., Metabolism of skin and muscle protein is regulated differently in response to nutrition. Am J Physiol, 1998. 274(3 Pt 1): p.E484-92」に記載された方法で安定同位体を用いて測定した。合成速度は、創傷領域におけるタンパク質合成の速度の程度であり、崩壊速度はタンパク質の分解速度の程度である。創傷治癒の間、合成タンパク質は分解速度より高い。
【0053】
(方法)
1歳のニュージーランド白ウサギのオス(重量9〜10ポンド、個々に収容され、体重を維持するためにLab Chow HF#5326(Purina Mill Inc., St. louis, MO)を与えた)を試験に用いた。1日目、部分的な厚さの皮膚供与創傷を背部に作成し、通常の麻酔の下、頚部動脈及び頚部静脈にカテーテルを配置した。障害の後最初の3日間は、通常のウサギ飼料及び水に自由に接近可能にした。3日目の午後5時に、通常の麻酔の下、摂食チューブを胃に配置し、動物を一晩絶食させた。4日目の午前8時に、ウサギを4グループに分け、その後に各グループは異なる経腸食餌を受けた(下記参照)。グループ1は、高プロリン、高グリシンの経腸食餌を受けた(PG);グループ2は、高プロリン、高ロイシンの経腸食餌を受けた(PL);グループ3は高プロリン、高グリシン、高ロイシンの食餌を受けた(PGL);及びクループ4は対照食餌を受けた(Con)。PL、PG、PGL、及び対照の食餌の組成は下記に表した。グループ1〜4の食餌は、経腸食餌のタンパク質組成においてのみ異なった(表1参照)。添加されたアミノ酸は、カゼイン画分において、イソニトロ均質的に(isonitrogeneously)代償された。即ち、添加アミノ酸の各グラムは、カゼインの減少量によって代償された。
【0054】
同時に、同位体トレーサーは、試験溶液が食餌チューブの中に一定に注入された間、静脈に8時間注入された(Zhang, X.J., et al., Am J Physiol, 1998. 274(3 Pt 1): p.E484-92を参照)。毎時間血液を動脈から採集した。8時間目に組織サンプルを、通常の麻酔下で創傷領域から採取した。一次的なデータ分析は、タンパク質合成及びタンパク質崩壊の速度であった。二次的な分析において、迎合的な(compliant)ウサギのタンパク質合成及びタンパク質崩壊を分析した。結果を表2に示す。サブグループ分析を以下の基準を有さないウサギで行った:創傷感染又は敗血症。多変量及び対でのANOVAを統計的有意性の算出のために用いた。試験は。「Zhang, X.J., et al., Am J Physiol, 1998. 274(3 Pt 1): p.E484-92」における構成による、無作為化した二重盲検プラセボ対照試験であった。
【表1】

【0055】
(成分対照(Con)、PL、PG及びPGL)
100 ml当たりの対照産物の平均組成物
エネルギー 125 kcal/525kJ
タンパク質(30 En%)=10.0g(カゼイン 6.2g;乳清タンパク質1.5g;アルギニン1.5g)。
【0056】
糖(45 En%)=14.2g(グルコース 0.1g、ラクトース 1.7g、マルトース0.4g、サッカロース 5.0g、ポリサッカリド 6.5g、その他0.5g)。脂肪(25 En%)=3.5g(飽和 0.4g、モノ不飽和 2.1g、ポリ不飽和1.0g、リノール酸0.80、α-リノール酸 0.17g)。鉱物:Na 50 mg、K 150 mg、Cl 80 mg、Ca 225 mg、P 182 mg、Mg 42 mg;トレース元素:Fe 3.0 mg;Zn 4.5 mg;Cu 675μg;Mn 1.25 mg;F 0.19 mg;Mo 19μg;Se 32μg;Cr 13μg;I 25μg;ビタミン:ビタミンA 119μgRE;カロテノイド 0.75 mg;ビタミンD 1.3μg;ビタミンE 18.8 mgα-TE;ビタミンK 10.0μg;チアミン 0.28 mg;リボフラビン 0.63 mg;ナイアシン 3.4 mgNE;パントテン酸 1.0 mg;ビタミンB6 0.65 mg;葉酸 100μg;ビタミンB12 0.79μg;ビオチン7.5μg;ビタミンC 125 mg;その他:コリン 69 mg;浸透圧モル濃度 500 mOsmol/L。
【0057】
PG、PL及びPGL産物の組成:
これらの産物のエネルギー含量及び組成は、そのタンパク質成分(30En%)が7.7gのカゼイン、1.5gのアルギニン及び添加されたアミノ酸(プロリン、グリシン及び/又はプロリン)で構成されることを除いて、対照産物と同じである。ここで、添加されたアミノ酸のそれぞれのグラムは、カゼインの減少量によって、イソニトロ均質的に(isonitrogeneously)に代償された。
【0058】
結果
表2はFSRマイナスFBRの値である。この値は皮膚の再生カイネティクスを示している。高い値は、皮膚再生速度が高いことを示している。FSR-FBR値は、それ故、経腸栄養法の創傷治癒能力を予測するための優れた尺度である。
【表2】

【0059】
プロリン及びグリシン(PG);プロリン及びロイシン(PL);又はプロリン、グリシン及びロイシン(PGL)の増大量の投与は、分画の合成速度−分画の崩壊速度(FSR−FBR)を改善した。これは、慢性創傷の治療及び/又は予防のための方法における、上記組合せのアミノ酸の増大量の有利な影響を示している。即ち、本発明の有利な効果を示している。
【0060】
少なくとも約900 mgプロリン/100 ml(例えば1000 mgプロリン/100 ml)及び少なくとも約1250 mgロイシン/100 ml(例えば約1400 mgロイシン/100 ml)を含む組成物が、分画の合成速度−分画の崩壊速度を改善するのに特に有効であった。これらの結果は、慢性創傷の治療及び/又は予防のための方法において、リットル当たり少なくとも10グラムのプロリン;リットル当たり少なくとも5グラムのロイシン、好ましくはリットル当たり少なくとも14グラムのロイシンを含む組成物の使用が有利であることを示している。
【0061】
プロリン、ロイシン及びグリシンが豊富な組成物(PGLグループ)は、優れた結果を与えた(表2参照)。純タンパク質合成は、PGLグループにおいて、標準的な栄養製剤(Con)と比較して激的に増加した。この結果は、慢性創傷の治療及び/又は予防の方法における、リットル当たり少なくとも1グラムのグリシン、好ましくはリットル当たり少なくとも4.5グラムのグリシン;リットル当たり少なくとも10グラムのプロリン;及びリットル当たり少なくとも5グラムのロイシン、好ましくはリットル当たり少なくとも14グラムのロイシンを含む組成物の有利な影響を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
褥瘡性潰瘍(pressure ulcers)、褥瘡(pressure sores)、褥瘡性潰瘍(decubiti ulcers)及び/又は糖尿病性食物潰瘍(diabetic food ulcers)の治療方法及び/又は予防方法において使用するための組成物の調製におけるロイシンの使用であって、前記方法が、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し;また、前記タンパク質が1人分当り1〜5グラムのロイシンを提供し、該1人分が150〜400 kcalを提供する組成物の1人分を患者に経腸投与することを含む方法であることを特徴とする使用。
【請求項2】
前記組成物は、1人分当り0.5g〜5gのグリシンをさらに含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
褥瘡性潰瘍(pressure ulcers)、褥瘡(pressure sores)、褥瘡性潰瘍(decubiti ulcers)及び/又は糖尿病性食物潰瘍(diabetic food ulcers)の治療方法及び/又は予防方法において使用するための組成物の調製におけるグリシンの使用であって、前記方法が、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し;また、前記タンパク質が1人分当り0.5〜5グラムのグリシンを提供し、該1人分が150〜400 kcalを提供する組成物の1人分を患者に経腸投与することを含む方法であることを特徴とする使用。
【請求項4】
前記組成物は、1人分当り1〜250 mgのマンガンをさらに含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物はさらに脂肪を含み、該脂肪は前記組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当する、請求項1〜4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物はさらに、1人分当り1.5〜8グラムのプロリンを含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の使用であって、前記組成物がさらに
(i)1人分当り0.5〜8グラムのグルタミン、好ましくは1人分当り1〜5グラムのグルタミン;
(ii)1人分当り0.5〜8グラムのロイシン、好ましくは1人分当り1.5〜5グラムのロイシン;及び
(iii)1人分当り0.5〜8グラムのアルギニン、好ましくは1人分当り1〜5グラムのアルギニン;
を含むことを特徴とする使用。
【請求項8】
前記組成物はさらに、1人分当り0.05〜5グラムのカルノシン及び/又はβ-アラニンを含み、好ましくは1人分当り0.1〜2.5グラムのカルノシン及び/又はβ-アラニンを含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物がさらに、
(i)1人分当り2〜100 mgの鉄;
(ii)1人分当り2〜100 mgの亜鉛;及び
(iii)1人分当り10〜2000 mgのアスコルビン酸、好ましくは1人分当り100〜1000 mgのアスコルビン酸;
を含むことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物が液体であり、剪断速度100 s-1、20℃において25 mPasより低い粘度を有し、好ましくは剪断速度100 s-1、20℃において20 mPasより低い粘度を有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物はさらに、1人分当り0.01〜25グラムの消化しにくい溶解性繊維を含む、請求項1〜10の何れか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記組成物は800 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度を有し、好ましくは700 mOsm/kg未満の重量オスモル濃度を有する、請求項1〜11の何れか一項に記載の使用。
【請求項13】
患者に経腸投与するための組成物であって、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;脂肪が該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し;及び糖が該組成物の総カロリー含量の15〜80%に相当し、該組成物が、
(i)kcal当り4〜20 mgのロイシン;及び
(ii)kcal当り2〜32 mgのグリシン及び/又はkcal当り3〜32 mgのプロリン;
を含む組成物。
【請求項14】
患者に経腸投与するための組成物であって、タンパク質が該組成物の総カロリー含量の10〜40%に相当し;脂肪が該組成物の総カロリー含量の10〜50%に相当し;及び糖が該組成物の総カロリー含量の15〜90%に相当し、該組成物は、
(i)kcal当り2〜32 mgのグリシン;
(ii)kcal当り3〜32mgのプロリン;及び
(iii)kcal当り0.004〜1 mgのマンガン;
を含む組成物。
【請求項15】
(i)kcal当り2〜32 mgのアルギニン;
(ii)kcal当り2〜32 mgのグルタミン;及び
(iii)kcal当り2〜32 mgのロイシン;
をさらに含む請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(i)kcal当り0.008〜0.4 mgの鉄;
(ii)kcal当り0.008〜0.4 mgの亜鉛;及び
(iii)kcal当り0.04〜8 mgのアスコルビン酸;
をさらに含む請求項13〜15の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
皮膚におけるタンパク質又はコラーゲンの合成の減少を治療又は予防するため、或いは皮膚におけるタンパク質及び又はコラーゲンの合成を刺激するための、請求項1に記載の使用。

【公表番号】特表2007−500208(P2007−500208A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532129(P2006−532129)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000355
【国際公開番号】WO2004/103383
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505296821)エヌ.ブイ.・ヌートリシア (32)
【Fターム(参考)】