慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置
【課題】慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための構造化検査方法(200、300、388)及びその装置(18)が開示される。
【解決手段】装置(18)は、医学的使用事例及び/または医学的質問に基づく、少なくとも1つの進入基準(226)、事象の工程(222)、少なくとも1つの順守基準(224)、及び少なくとも1つの退出基準(228)を定義する少なくとも1つ以上のパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を提供する、構造化収集手続(70)を実行する。進入基準(226)は、患者(12)から生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程(222)内の各事象(237)は、実行時間(238)、事象(237)を実行するための案内(230)、患者(12)からの情報の要求(240)、患者行動の要求(240)、及び患者(12)からの少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含み得る。順守基準(224)は、事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が医学的使用事例及び/または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。退出基準(228)は、構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【解決手段】装置(18)は、医学的使用事例及び/または医学的質問に基づく、少なくとも1つの進入基準(226)、事象の工程(222)、少なくとも1つの順守基準(224)、及び少なくとも1つの退出基準(228)を定義する少なくとも1つ以上のパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を提供する、構造化収集手続(70)を実行する。進入基準(226)は、患者(12)から生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程(222)内の各事象(237)は、実行時間(238)、事象(237)を実行するための案内(230)、患者(12)からの情報の要求(240)、患者行動の要求(240)、及び患者(12)からの少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含み得る。順守基準(224)は、事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が医学的使用事例及び/または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。退出基準(228)は、構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に慢性病の治療管理に関し、特に慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長期に渡るまたは頻繁に再発する病気は、典型的に慢性病と定義される。公知の慢性病は、数ある中でも、うつ病、強迫神経症(compulsive obsession disorder)、アルコール依存症、喘息、自己免疫疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、エリテマトーデス)、骨粗しょう症、癌、及び糖尿病を含む。慢性病は、有効な長期的治療のために、慢性病治療管理を必要とする。初期診断の後の、慢性病治療管理の機能の1つは、慢性病患者の治療を最適化することである。
【0003】
糖尿病の例において、糖尿病は、不十分なインスリン分泌、インスリン作用、またはその両方に起因する高血糖により特徴付けられるが、糖尿病は、食事、体重、ストレス、病気、睡眠、運動、及び薬物摂取等の変動健康及び生活スタイル要因と相互に作用する各人固有の生理のために、各人で異なって現れることが知られている。生体指標は、生物学的過程、発病過程、薬理反応、事象、または状態(例えば、老化、病気のリスク、発現、または進行等)の、患者から生物学的に抽出される指標である。例えば、生体指標は、病気に関連する変数の客観的測定値であり、その病気の指標または予測因子としての機能を果たしてもよい。糖尿病の場合に、生体指標は、ブドウ糖、脂質、トリグリセリド等の測定値を含む。生体指標はまた、病気そのものの測定値よりはむしろ、病気の発現またはリスクを推測するためのパラメータの組であり得る。適切に収集及び評価されると、生体指標は、患者の医学的質問に関連する有益な情報を提供できると共に、医学的評価の一部として、医学的管理として、及び/または医学的最適化のために使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糖尿病について、臨床医は、Joslin糖尿病センタ及びJoslin病院、2型糖尿病の薬理学的管理のための臨床指針(2007)、並びにJoslin糖尿病センタ及びJoslin病院、糖尿病成人のための臨床指針(2008)等の公開治療指針に従って糖尿病患者を一般的に治療する。指針は、100mg/dlより小さい空腹時血糖値等の、希望する生体指標値を指定してもよい。臨床医は、糖尿病患者の治療での臨床医の訓練及び経験に基づき、希望する生体指標値を指定できる。しかし、指針は、糖尿病患者の治療を最適化する際に使用される特定の治療に対応するためのパラメータ調整のための生体指標収集手続を指定しない。その後、糖尿病患者は、収集の構造を使用せず、生活スタイル要因を無視して、糖値を測定しなければならない。糖値の非構造化収集は、解釈文脈を欠くいくつかの生体指標測定値をもたらし、臨床医及び患者が病気を管理するのを支援する他のヘルスケア提供者への測定値の価値を低減し得る。
【0005】
再び、糖尿病の例において、定期的な収集を実行した後に、糖尿病患者は、様々な時間に異なる場所の異なる臨床医に、繰り返し同じ情報を提供するかもしれない。なぜなら、医師、看護師、栄養士、病気指導士等の、患者に治療を提供することに関与する様々な臨床医は、典型的に同じ場所にいないからである。その情報は、例えば収集された生体指標データに文脈を与えて、臨床医が診断及び/または最適化の決定を行うのを支援するために、慢性病管理に重要ではあるが、その情報を手書き及び/または口頭で繰り返し提供することは、糖尿病患者をイライラさせ得る。さらに、患者は、慢性病を診断または治療を最適化するために、様々な時間に異なる臨床医により多数の収集を実行するように要求されるかもしれない。しかし、工程に従って収集を実行する要求は、重複し、繰り返しになり、相反し、及び/または患者が慢性病を診断または治療を最適化しようとするさらなる試みを敬遠するかもしれない負担を患者に与えるかもしれない。
【0006】
加えて、要求する臨床医が、要求される収集の工程が可能かどうか、及び/または収集のパラメータが患者に適する及び/または受け入れ可能かどうかを確認するために、患者を適切に評価しなければ、収集から有益な結果を得ることは、見込みがないかもしれない。さらに、要求される収集を完了するために収集され、医学的質問及び/または臨床医の関心に対処するのに役立つ、十分に適切なデータがなければ、要求は、臨床医及び患者の時間及び努力、並びに収集を実行するために使用される消耗品を浪費するかもしれない。再び、失敗は、患者がさらなる治療の助言を求める気を削ぐかもしれない。
【0007】
さらに、収集の工程を促進するのに使用される従来技術の収集装置は、あるとしても、限られた案内や、収集事象の簡単な合図しか提供しない。従来技術の装置は、典型的に、収集工程を管理する臨床医または患者のいずれかにより、手動でプログラムされる必要がある。従来技術の収集装置により提供される限られた案内及び機能はまた、患者が治療の将来の最適化を求める気をさらに削ぎ得る。なぜなら、この方法で別の収集手続を実行することは、患者により面倒だと見なされ、最適化を単なる推測に委ねるかもしれないからである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の背景に対して、本発明の実施形態は、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置を提供する。装置は、医学的使用事例及び/または医学的質問に基づき、構造化収集手続を実行できる。構造化収集手続は、少なくとも1つの進入基準、事象の工程、少なくとも1つの順守基準、及び少なくとも1つの退出基準を定義する、少なくとも1つ以上のパラメータを提供できる。進入基準は、患者から生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程内の各事象は、実行時間、事象を実行するための患者案内、患者からの情報の要求、患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る。順守基準は、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。退出基準は、構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【0009】
構造化検査方法は、収集手続を通じて、改善された案内を提供し、収集手続を完了したときに、場合により達成感、目的、及び費やされた時間を提供する。他の利点は、不要な収集手続要求を避け、収集されたデータが収集手続の要求を行う臨床医の質問/関心/目的に対処するのに適することを保証することによる、消耗品の浪費の低減を含む。さらに他の利点は、診断を改善するのに役立つように、また糖尿病等の患者の慢性病を管理するのに有効な治療または治療の修正を提供するのに役立つように、臨床医への測定値の価値を増大させるために、各々が解釈文脈を有する生体指標値を含み得るデータを生成することを含む。
【0010】
一実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、ディスプレイ、ユーザインターフェース、並びにディスプレイ及びユーザインターフェースに連結されたプロセッサを備え得る。プロセッサにより実行されると、プロセッサに、ディスプレイで選択のために慢性病に関連する複数の医学的使用事例または医学的質問を促し、ユーザインターフェースを介して選択された医学的使用事例または医学的質問を受信し、選択された医学的使用事例または医学的質問に基づいてメモリに格納された複数の構造化収集手続から慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化収集手続を自動的に選択し、選択された構造化収集手続を実行させる、プログラム命令も提供され得る。構造化収集手続は、事象の工程を定義するパラメータを有し得る。事象の各々は、実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む。
【0011】
別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させる、プログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、進入基準が未知の時間に満たされたときに、構造化収集手続の事象の工程を自動的に実行し、退出基準が未知の時間に満たされたときに、構造化収集手続を自動的に終了させ得る。
【0012】
さらに別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させるプログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程、及び事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、構造化収集手続の事象の工程を自動的に実行し、順守基準が満たされなければ、1つ以上の追加の行動を取らせ得る。別の実施形態において、プロセッサは、1つ以上の追加の行動に関する情報をディスプレイで提供できる。
【0013】
さらに別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させる、プログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、構造化収集手続に従って生体指標データを受信し、生体指標データを事象の工程のデータと共に文脈説明生体指標データとして格納し、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズの1つ以上を含むノイズ関数を適用することにより、文脈説明生体指標データから測定ノイズを計算させ得る。
【0014】
別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法が開示される。構造化検査方法は、診断支援または治療支援のためにコンピュータで構造化収集手続を選択し、構造化収集手続をメモリから自動的に検索するコンピュータのプロセッサを備えることを有し得る。構造化収集手続は、医学的使用事例に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、事象の工程、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義するパラメータを有し得る。方法はさらに、選択された構造化収集手続を患者に指示することを有する。コンピュータのプロセッサは、出力として選択された構造化収集手続を、指示されるとそれを実行する患者に提供する。
【0015】
別の実施形態において、指示された構造化収集手続を実行するための収集装置が開示される。装置は、1つ以上の構造化収集手続を格納し、患者データを格納するためのメモリを備える。患者データは、収集生体指標データ、日時印、及び収集生体指標データの各例に関連する他のデータの1つ以上を含み得る。他のデータは、関連収集生体指標を特徴付ける文脈説明データを含んでもよい。装置はさらに、日時印を提供するクロック、及びメモリに格納された複数の構造化収集手続から構造化収集手続を選択するための選択肢を提供するためのディスプレイを備え得る。複数の構造化収集手続の各々は、構造化収集手続を開始するために必要な少なくとも1つの進入基準、構造化収集手続を終了するための少なくとも1つの退出基準、及び収集事象の各々が収集事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、収集事象の工程を含み得る。装置はさらに、表示された複数の構造化収集手続から構造化収集手続を選択するためのユーザインターフェース、選択された構造化収集手続で指定される少なくとも1つの型の生体指標データを提供するための少なくとも1つの生体指標リーダ、及びメモリ、クロック、ディスプレイ、ユーザインターフェース、及び生体指標リーダに連結されたプロセッサを備え得る。プロセッサにより実行されると、プロセッサに、ディスプレイに選択肢を提供し、ディスプレイに表示された複数の構造化収集手続からの選択された構造化収集手続を受信し、選択された構造化収集手続の進入基準が満たされるかどうかを決定し、収集事象の工程を自動的に実行し、収集事象の各々から得られる患者データをメモリに格納し、使用事例に対処するのに役立つように、実行収集事象からのデータが受け入れ可能かどうかを確認し、選択された構造化収集手続が終了するために、少なくとも1つの退出基準が満たされているかどうかを決定させる、命令を有するプログラムが提供される。
【0016】
別の実施形態において、コンピュータのプロセッサにより実行されると、プロセッサに、患者から文脈説明生体指標データを得るために構造化収集手続を実行させ得る、命令を格納するコンピュータ読み取り可能記憶媒体が開示される。方法は、構造化収集手続を電子コンポーネントから自動的に検索することを有し得る。構造化収集手続は、医学的使用事例に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、事象の工程、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義する1つ以上を有し得る。方法はさらに、選択された構造化収集手続のパラメータの調整を可能にし、選択された構造化収集手続を患者に指示することを含み得る。コンピュータのプロセッサは、出力として選択された構造化収集手続を、指示されるとそれを実行する患者に提供できる。
【0017】
本発明の実施形態は、例えば次のように実装され得る。紙ツール、血糖メータ等の収集装置に統合される糖尿病ソフトウェア、携帯情報端末(personal digital assistant)、携帯コンピュータ、または携帯電話に統合される糖尿病ソフトウェア、コンピュータに連結された装置リーダに統合される糖尿病ソフトウェア、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで動作する糖尿病ソフトウェア、及びインターネットを通じて遠隔からアクセスされる糖尿病ソフトウェア。
【0018】
ここに開示される本発明の、これら及び他の利点及び特徴は、以下に続く説明、図面、及び特許請求の範囲からより明らかにされるだろう。
【0019】
本発明の実施形態の次の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示される、次の図面と併せて読まれると、最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に従う、糖尿病患者及び臨床医並びに患者の慢性病治療管理に関心のある他の人々のための慢性病治療管理システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従う、構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に従う、構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す図である。
【図3】本発明に従う、収集装置の実施形態のブロック図を示す。
【図4】本発明に従う、図3の収集装置で構造化検査方法を使用して収集されたデータ記録の実施形態の、表形式での表現を示す。
【図5A】本発明の実施形態に従う、医学的使用事例及び/または医学的質問のために構造化収集手続を作成する方法を示す。
【図5B】本発明の1つ以上の実施形態に従う、構造化収集手続を定義するパラメータ及び構造化収集手続を使用して患者の治療を最適化するために考慮され得る要因を示す。
【図5C】本発明の1つ以上の実施形態に従う、構造化収集手続を定義するパラメータ及び構造化収集手続を使用して患者の治療を最適化するために考慮され得る要因を示す。
【図6A】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6B】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6C】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6D】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6E】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図7A】本発明の実施形態に従う、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法を示す。
【図7B】所定の構造化収集手続の一例、及び本発明の実施形態に従う、所定の構造化収集手続をカスタマイズするための方法を概念的に示す。
【図8A】本発明の実施形態に従う、構造化収集手続を実行するための方法を示す。
【図8B】本発明の実施形態に従う、収集装置で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。
【図8C】本発明の実施形態に従う、収集装置で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。
【図9】本発明の別の実施形態に従う、患者から文脈説明生体指標データを得るために構造化収集手続を実行するための方法を示す。
【図10】本発明の実施形態に従う、非文脈説明生体指標データと混ざり合う文脈説明生体指標データの図を示す。
【図11】2型糖尿病の病気の進行の図を示す。
【図12】本発明の実施形態に従う、関心文脈説明生体指標を指針ベースターゲット範囲に入れるためにパラメータを調整するための方法を示す。
【図13】本発明の実施形態に従う、指針ベースターゲット範囲内に調整される関心文脈説明生体指標の図を示す。
【図14】本発明の実施形態に従う、推定ノイズに対するノイズ関数の成分の関係の図を示す。
【図15】本発明の実施形態に従う、ノイズ関数の作成のための方法のフローチャートを示す。
【図16A】本発明の使用事例の実施形態に従う、糖尿病の診断支援及び治療支援のための文脈説明生体指標データを収集する方法を示す。
【図16B】本発明の使用事例の実施形態に従う、糖尿病の診断支援及び治療支援のための文脈説明生体指標データを収集する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本発明は、様々な実施形態に関連して、以下に説明されるだろう。当業者は、本発明が多数の異なる応用及び実施形態で実施されてもよく、その応用でここに示される特定の実施形態に特に限定されないことを理解するだろう。特に、本発明は、採血を介する糖尿病管理に関連して、後述されるだろう。しかし、当業者は、本発明がブドウ糖以外の、他の型の液体または検体と共に使用される、及び/または、糖尿病以外の、他の慢性病を管理することに役立つように修正され得ることを認識するだろう。
【0022】
以下に説明される様々な実施形態で使用されるように、次の用語は、これに限定されないが、次の意味を含む。
【0023】
用語「生体指標(biomarker)」は、例えば血糖値、間質糖値(interstitial glucose value)、HbA1c値、心拍数測定値、血圧測定値、脂質、トリグリセリド、コレステロール等の、患者に関するデータを提供するために測定される生理的変数を意味し得る。
【0024】
用語「文脈説明(contextualizing)」は、特定の生体指標測定値の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることを意味し得る。好ましくは、特定の生体指標の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータは、収集された生体指標データと共に格納され、そのデータに結び付けられる。特に、収集された生体指標データのさらなる評価は、データそれ自体が評価されるだけでなく、データ間の結び付けにも文脈説明が行われるように、条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータを考慮する。条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータは、特定の生体指標測定値の収集及び/またはそれと同時に発生する、例えば時間、食物、及び/または運動に関する情報を含み得る。例えば、本発明の一実施形態に従う構造化収集手続の文脈は、基礎滴定最適化(Basal titration optimization)に的を絞った検査手続の間に、生体指標値を受け入れる前に、ユーザの空腹状態を検証するために進入基準(entry criterion)を使用することにより、文書化され得る。
【0025】
用語「文脈説明生体指標データ」は、特定の生体指標測定値がその特定の生体指標のために測定された値と共に収集された相互関連付け条件に関する情報を意味し得る。特に、生体指標データは、特定の生体指標測定値が収集され、それと結び付けられる相互関連付け条件に関する情報と共に格納される。
【0026】
用語「基準(criteria)」は、1つ以上の基準を意味し、1つ以上の手続上のステップ、行動、及び/または値を開始、受け入れ、及び/または終了するために、1つ以上の条件が満たされるまたは合うかどうかを判断するために使用される、指針、規則、特性、及び次元の少なくとも1つ以上であり得る。
【0027】
用語「順守(adherence)」は、構造化収集手続に従う人が、要求される手続上のステップを適切に実行することを意味し得る。例えば、生体指標データは、構造化収集手続の規定の条件で測定されるべきである。規定の条件が生体指標測定値のために与えられれば、順守は必要に応じて定義される。例えば、規定の条件は、時間に関連する条件であり、及び/または、例として、食事を摂取すること、空腹時標本(fasting sample)を取得すること、要求される時間帯に食事の一種を摂取すること、要求される時間に空腹時標本を取得すること、最低限の時間、睡眠を取ること等を含み得る。順守は、構造化収集手続、または、特に文脈説明生体指標データの単一のデータ点に適するまたは適さないように定義され得る。好ましくは、順守は、様々な規定の条件または選択的に決定される規定の条件により適するまたは適さないように定義され得る。さらに、順守は、構造化収集手続、または、特に文脈説明生体指標データの単一のデータ点に順守がどの程度与えられるかを示す、順守の程度として計算され得る。
【0028】
用語「順守事象(adherence event)」は、構造化収集手続を実行する人が、手続上のステップを実行しないときを意味し得る。例えば、人が、収集装置により要求されたときにデータを収集しなければ、順守は、適さないように決定され、順守事象をもたらす。別の例において、順守基準は、患者が6時間絶食する第1の基準と、要求される時間に空腹時bG値を収集する第2の基準とであり得る。この例において、患者が、要求される時間にbG採取を提供するが、提供する前に3時間しか絶食していなければ、第2の順守基準は満たされるが、第1の順守基準は満たされず、それゆえに第1の基準に対する順守事象が発生するだろう。
【0029】
用語「違反事象(violation event)」は、構造化収集(検査)手続(規約)を実行する人が、推奨される時間に治療薬を投与せず、推奨される量を投与せず、またはその両方である順守事象の一種である。
【0030】
用語「順守基準(adherence criterion)」は、順守を含み、測定値、測定値に関連する値、及び/または計算値の、規定の値またはその規定の範囲との比較(例えば、評価)のための基礎も意味し、その比較に基づいてデータは承認的及び肯定的に受け入れられる。順守基準は、一実施形態において、時間に関連する値及び/または順守を考慮できるが、他の実施形態におけるノイズ等も考慮できる。さらに、順守基準は、生体指標データが特定の生体指標の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることに関する文脈説明データの比較に依存して受け入れられるように、文脈説明生体指標データに適用され得る。順守基準は、所与の情報またはその群に対する整合性検査(sanity check)に類似し得る。好ましくは、単一のデータ点/情報またはその群は、受け入れ基準を満たさなければ、拒絶される。特に、拒絶されたデータは、治療の推奨を提供するために使用されるさらなる計算に使用されない。主に、拒絶されたデータは、順守を評価するため及び/または少なくとも1つのさらなる行動を自動的に誘発するためだけに使用される。例えば、誘発される行動は、ユーザに、構造化収集手続または単一の要求される行動に従うように促し、それにより順守基準が満たされ得るようにする。
【0031】
用語「データ事象要求(data event request)」は、環境(circumstance)の特別な集合により定義される、例えば時間に関連するまたは関連しない事象により定義される、時空内の単一の点でのデータの収集のための問い合わせを意味し得る。
【0032】
用語「分散疾病状態評価(decentralized disease status assessment)」は、評価のために研究所に標本を送らずに値を提供するために、関心のある生体指標測定値を使用して行われる、病気の進行の過程または程度の決定を意味し得る。
【0033】
用語「医学的使用事例(use case)または医学的質問」は、医学的事実の存在に関する不確実性を、検証されていないが、正しければ、所定の事実または現象を説明する概念と共に提供する手続、状況、条件、及び/または質問の少なくとも1つ以上を意味し得る。医学的使用事例または医学的質問は、ユーザが異なる医学的使用事例または医学的質問から選択できるように、システム内に寄託及び格納され得る。代替方法として、医学的使用事例または医学的質問は、ユーザ自身により定義され得る。
【0034】
用語「集中的」、「構造化」、及び「一時的」は、用語「検査」と同じ意味でここに使用され、検査を行う所定の順序を意味し得る。
【0035】
用語「ソフトウェア」及び「プログラム」は、同じ意味でここに使用されてもよい。
【0036】
図1は、糖尿病患者12及び臨床医14並びに患者12の慢性病治療管理に関心のある他の人々16のための慢性病治療管理システム10を示す。血糖代謝異常(dysglycemia)を有する患者12は、メタボリック症候群、前糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、及び妊娠性糖尿病を有する人を含んでもよい。患者の治療に関心のある他の人々16は、患者の治療への従順さに影響を与え得る、家族の一員、友人、支援団体、及び宗教組織を含んでもよい。患者12は、家庭用コンピュータ等の患者コンピュータ18へのアクセスを有してもよい。患者コンピュータ18は、インターネット、セルラーネットワーク等の公衆網50(有線または無線)に接続でき、携帯収集装置24等の外部携帯装置と通信するために、ドングル(dongle)、ドッキングステーション、または装置リーダ22に連結できる。装置リーダの例は、Roche Diagnosticsから利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)Smart Pix装置リーダ ユーザーズマニュアル」(2008年)に示される。
【0037】
収集装置24は、構造化収集手続に従って生体指標値をデジタル的に決定及び格納するために獲得機構として機能し、構造化収集手続及び本発明の方法を実行するように機能し得る、基本的に任意の携帯電子装置であり得る。構造化収集手続の様々な実施形態に関する詳細は、後の節で与えられる。好ましい実施形態において、収集装置24は、自己監視血糖メータ26または連続糖モニタ28であり得る。血糖メータの例は、Accu−Chek(登録商標)Activeメータ、及びブックレット「Accu−Chek(登録商標)Aviva血糖メータ オーナーズブックレット」(2007年)に説明される、Accu−Chek(登録商標)Avivaメータである。その一部は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「メータ、及び液体の成分の濃度を決定するためにメータを使用する方法」という名称の、米国特許第6645368号明細書に開示される。連続糖モニタの例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、米国特許第7389133号明細書「検体の濃度の連続監視のための方法及び装置」(2008年6月17日)に示される。
【0038】
収集装置24に加えて、患者12は、自身の糖尿病を管理するために、収集装置24内での使用のために小びん32に入れて携行される試験紙30、患者コンピュータ18、収集装置24、携帯コンピュータ装置36、例えばラップトップコンピュータ、携帯情報端末、及び/または携帯電話で動作できるソフトウェア34、及び紙ツール38を含む、様々な製品を使用できる。ソフトウェア34は、あらかじめロードされるか、コンピュータ読み取り可能媒体40または公衆網50を介して提供され、必要に応じて、患者コンピュータ18、収集装置24、臨床医コンピュータ/オフィスワークステーション25、及び携帯コンピュータ装置36に、動作のためにロードされ得る。さらに他の実施形態において、ソフトウェア34は、動作のためにコンピュータ(例えば、コンピュータ18または25)に連結された、または公衆網50を通じて遠隔から、例えばサーバ52からアクセスされる装置リーダ22にも統合され得る。
【0039】
患者12は、所定の糖尿病治療のために、さらなる治療装置42及び他の装置44も使用できる。さらに、治療装置42は、移動輸液ポンプ(ambulatory infusion pump)46、インスリンペン48、及びランシング装置(lancing device)51等の装置を備え得る。移動輸液ポンプ46の例は、これに限定されないが、Disetronic Medical Systems社から利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)Spiritインスリンポンプシステムポンプ ユーザガイド」(2007年)に説明される、Accu−Check(登録商標)Spiritポンプを含む。他の装置44は、血圧等の患者データを提供する医療装置、運動情報等の患者データを提供するフィットネス装置、及び介護者に通知を行う老人介護装置であり得る。他の装置44は、Continua(登録商標)Health Allianceにより策定された標準に従って、互いに通信を行うように構成され得る。
【0040】
糖尿病の臨床医14は、様々であり、例えば看護師、正看護師(nurse practitioner)、内科医、内分泌学者、及び他のヘルスケア提供者を含み得る。臨床医14は、典型的に、臨床医オフィスコンピュータ等の臨床医コンピュータ25へのアクセスを有する。臨床医コンピュータ25は、ソフトウェア34も提供され得る。Microsoft(登録商標)HealthVault(登録商標)及びGoogle(登録商標)Health等のヘルスケア記録システム27は、公衆網50または他のネットワーク手段(LAN、VAN、VPN等)を介して情報を交換するために、及び収集装置24からの収集データ等の情報を、コンピュータ18、25及び/またはサーバ52に/から提供され得る患者の電子医療記録、例えばEMR53(図2A)、に格納するために、コンピュータ18、25で患者12及び臨床医14により使用されてもよい。
【0041】
大抵の患者12及び臨床医14は、互いに及びコンピュータ/サーバ52を有する他の人々と公衆網50を介してやり取りできる。他の人々は、患者の雇用主54、患者のヘルスケア費用の一部または全部を支払う保険会社等の第3者支払人56、所定の糖尿病消耗品を販売する薬局58、病院60、支払人でもあり得る政府機関62、及び病気の発見、予防、診断、及び治療のためのヘルスケア製品及びサービスを提供する企業64を含み得る。患者12は、ヘルスケア記録システム27を介して、雇用主54、支払人56、薬局58、病院60、及び政府機関62等の他の人々に、自身の電子健康記録にアクセスする許可も与えられる。ヘルスケア記録システム27は、臨床医コンピュータ25及び/または1つ以上のサーバ52に存在できる。以下では、図2への参照がなされる。
【0042】
図2は、本発明の実施形態に従って構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す。このシステムは、別の実施形態では、慢性疾患治療管理システム10の一部であり、従来の有線または無線通信手段を介してコンポーネントと通信できる。システム41は、サーバ52及び収集装置24と通信する臨床医コンピュータ25を備え得る。臨床医コンピュータ25及びサーバ52の間の通信は、公衆網50、プライベートネットワーク66、またはそれらの組み合わせへの通信回線を介して促進され得る。プライベートネットワーク66は、(ウェブ)サーバ、ルータ、モデム、ハブ等のネットワーク装置68を介して公衆網50に接続するローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク(有線または無線)であり得る。
【0043】
一実施形態において、サーバ52は、複数の構造化収集手続(または規約)70a、70b、70c、70dのためのセントラルレポジトリであり得る。例となる構造化収集手続の詳細は、後の節で与えられる。サーバ52及びネットワーク装置68は、構造化収集手続70a、70b、70c、70dの完了のためのデータ集約者(data aggregator)として機能し得る。従って、実施形態において、患者12の収集装置からの収集手続の完了後のデータは、患者データの検索に応じて要求されると、サーバ52及び/またはネットワーク装置68から臨床医コンピュータ25に提供され得る。
【0044】
一実施形態において、サーバ52での構造化収集手続70a、70b、70c、70dの1つ以上は、公衆網50を介して、例えば患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、及び/または収集装置24に実装される安全なウェブインターフェース55(図2A、システムの別の実施形態を示す)を通じて提供され得る。別の実施形態において、臨床医コンピュータ25は、サーバ52及び収集装置24の間のインターフェース(有線または無線)としての機能を果たし得る。さらに別の実施形態において、構造化収集手続70a、70b、70c、70d及びソフトウェア34は、コンピュータ読み取り可能媒体40で提供され、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、及び/または収集装置24にロードされてもよい。さらに別の実施形態において、構造化収集手続70a、70b、70c、70dは、収集装置24のメモリにあらかじめロード(内蔵)されて提供されてもよい。さらに別の実施形態において、新たな/更新された/修正された構造化収集手続70a、70b、70c、70dは、公衆網50、プライベートネットワーク66、直接装置接続(有線または無線)74、またはそれらの組み合わせを介して、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、サーバ52、及び/または収集装置24の間で送信されてもよい。従って、一実施形態において、外部装置、例えばコンピュータ18及び25は、収集装置24及び他の遠隔パーソナルコンピュータ(PC)等のさらなる電子装置と、サーバとの間に、例えばインターネット等の公衆網50及び/またはプライベートネットワーク66等の他の通信ネットワーク(例えば、LAN、WAN、VPN等)を通じて、通信回線72、74を確立するために使用され得る。
【0045】
臨床医コンピュータ25は、従来のパーソナルコンピュータ/ワークステーションとして、例えばメモリ78及び/またはコンピュータ読み取り可能媒体40からの、ソフトウェア34等のプログラムを実行するプロセッサ76を備え得る。メモリ78は、システムメモリ(RAM、ROM、EEPROM等)、及びハードディスクドライブ及び/またはフラッシュメモリ(内部または外部)等のストレージメモリを備え得る。臨床医コンピュータ25は、ディスプレイ82をプロセッサ76と接続するためのディスプレイドライバ80、キーボード及びマウス(有線または無線)等のユーザインターフェース装置を接続するための入力/出力接続84、コンピュータ読み取り可能媒体40等の携帯用メモリ及びディスクのためのコンピュータ読み取り可能ドライブ88も備え得る。臨床医コンピュータ25は、公衆網50及び収集装置24等の他の装置(有線または無線)への接続のための通信インターフェース90、及び上記の電子コンポーネントをプロセッサ76に接続するためのバスインターフェース92も備え得る。以下では、図3への参照がなされる。
【0046】
図3は、図2に示される携帯収集装置24を概念的に示すブロック図である。示される実施形態において、収集装置24は、プロセッサ102等の1つ以上のマイクロプロセッサを備え得る。マイクロプロセッサは、少なくとももう1つのシングルコアまたはマルチコア及びキャッシュメモリを備える中央処理装置であってもよい。マイクロプロセッサは、バス104に接続され得る。マイクロプロセッサは、データ、メモリ、制御、及び/またはアドレスバスを備えてもよい。収集装置24は、ソフトウェア34を備え得る。ソフトウェア34は、装置のプロセッサ102に後の節で説明される本発明の方法を実行させる命令コードを提供する。収集装置24は、ディスプレイ108への表示のためにバス104から(または、不図示のフレームバッファから)グラフィックス、テキスト、及び他のデータを提供するディスプレイインターフェース106を備えてもよい。ディスプレイインターフェース106は、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の、収集装置24の主メモリ110の一部、及びプロセッサ102の処理を利用する統合グラフィックスソリューションのディスプレイドライバであってもよいし、専用の画像処理装置であってもよい。別の実施形態において、ディスプレイインターフェース106及びディスプレイ108はさらに、周知の方法で収集装置24にデータを提供するためのタッチスクリーンインターフェースを提供できる。
【0047】
主メモリ110は、一実施形態では、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり、他の実施形態では、ROM、PROM、EPROM、またはEEPROM、及びそれらの組み合わせ等の他のメモリを備えてもよい。一実施形態において、収集装置24は、2次メモリ112を備え得る。2次メモリ112は、例えばハードディスクドライブ114、及び/または、例えばフロッピ(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリコネクタ(例えば、USBコネクタ、ファイヤーワイヤコネクタ、PCカードスロット)等の少なくとも1つを代表する、コンピュータ読み取り可能媒体40のためのコンピュータ読み取り可能媒体ドライブ116を備えてもよい。ドライブ116は、周知の方法でコンピュータ読み取り可能媒体40に対して読み取り及び/または書き込みを行う。コンピュータ読み取り可能媒体40は、フロッピ(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク(CDまたはDVD)、フラッシュドライブ、PCカード等を代表する。コンピュータ読み取り可能媒体40は、ドライブ116により読み取り及び書き込みが行われる。理解されるように、コンピュータ読み取り可能媒体40は、ソフトウェア34及び/または構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dを格納できると共に、収集手続70a、70b、70c、及び70dの1つ以上に従って実行される収集の完了によるデータも格納できる。
【0048】
代替の実施形態において、2次メモリ112は、ソフトウェア34、収集手続70a、70b、70c、70d、他のコンピュータプログラム、または他の命令が収集装置24にロードされるのを可能にするための他の手段を備えてもよい。その手段は、例えば取り外し可能記憶装置120及びインターフェースコネクタ122を備えてもよい。取り外し可能記憶装置/インターフェースの例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース、取り外し可能メモリチップ(例えば、ROM、PROM、EPROM、EEPROM等)及び関連ソケット、並びにソフトウェア及びデータが取り外し可能記憶装置120から収集装置24に転送されるのを可能にする他の取り外し可能記憶装置120(例えば、ハードドライブ)及びインターフェースコネクタ122を含み得る。
【0049】
一実施形態における収集装置24は、通信モジュール124を備え得る。通信モジュール124は、ソフトウェア(例えば、ソフトウェア34、収集手続70a、70b、70c、及び70d)及びデータ(例えば、収集手続70a、70b、70c、及び70dの1つ以上に従って実行される収集の完了によるデータ)が収集装置24及び外部装置126の間で転送されるのを可能にする。通信モジュール124の例は、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)カード等)、通信ポート(例えば、USB、ファイヤーワイヤ、シリアル、パラレル等)、PCまたはPCMCIAスロット及びカード、無線トランシーバ、及びそれらの組み合わせの1つ以上を含んでもよい。外部装置126は、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等の携帯コンピュータ装置36、及び/またはドングル、ドッキングステーション、または装置リーダ22であり得る。実施形態において、外部装置126は、例えば臨床医コンピュータ25またはサーバ52との、公衆網50またはプライベートネットワーク66を介する通信を提供するために、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)カード等)、通信ポート(USB、ファイヤーワイヤ、シリアル、パラレル等)、PCMCIAスロット及びカード、無線トランシーバ、及びそれらの組み合わせの1つ以上に提供され、及び/または、接続してもよい。通信モジュール124を介して転送されるソフトウェア及びデータは、有線信号または無線信号128の形式であり得る。信号128は、通信モジュール124により送受信され得る電子信号、電磁気信号、光信号、または他の信号であってもよい。例えば、公知のように、信号128は、ワイヤ、ケーブル、光ファイバ、電話線、携帯電話リンク、RFリンク、赤外線リンク、他の通信チャネル、及びそれらの組み合わせを使用して通信モジュール124及び外部装置126の間で送信されてもよい。有線接続及び/または無線接続(例えば、それぞれUSB及びブルートゥース)を通じて電子装置を接続するための特定の技術は、周知技術である。
【0050】
別の実施形態において、収集装置24は、例えば携帯コンピュータまたは携帯電話として提供され、行動を行うために、例えば患者に行動を起こし、データ事象を取得し、及び情報に関する計算を行うように促すために、外部装置132と共に使用され得る。外部装置126と併用され、携帯コンピュータとして提供される収集装置の例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「糖尿病治療が決定されてもよい患者情報を収集するためのシステム及び方法」という名称の、2006年6月16日に出願された、米国特許出願第11/424757号明細書に開示される。携帯コンピュータの別の例は、Roche Diagnosticsから利用可能な、「Accu−Chek(登録商標)Pocket Compassソフトウェア ボーラス投与量(bolus)計算機付き ユーザガイド」(2007年)という名称のユーザガイドに示される。
【0051】
実例となる実施形態において、収集装置24は、バイオセンサ140を読み取るための測定エンジン138を提供する。バイオセンサ140は、一実施形態では使い捨て試験紙30(図1)であるが、例えば毛細管血の標本を受け取るために、収集装置24と共に使用される。バイオセンサ140は、酵素反応にさらされ、測定エンジン138により電気化学技術、光技術、またはその両方により測定され、生体指標値、例えば血糖値、を測定して提供する。使い捨て試験紙及び測定エンジンの例は、米国特許出願公開第2005/0016844号明細書「試験紙のための試薬縞(stripe)」(2005年1月27日)に開示され、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された。他の実施形態において、測定エンジン138及びバイオセンサ140は、ブドウ糖、心拍数、血圧測定値、及びそれらの組み合わせ以外の、または、それらに加えて、他の型の採取液体または採取検体のための生体指標値を提供するために使用される型のものであり得る。代替の実施形態は、1つ以上の生体指標型の値が本発明に従う構造化収集手続により要求される実施形態で役立つ。さらに別の実施形態において、バイオセンサ140は、例えば収集装置24がポンプ46(図1)等の輸液装置と通信する連続糖モニタ(CGM)として実装されるとき、留置カテーテルを有するセンサまたは皮下組織液体採取装置であってもよい。さらに別の実施形態において、収集装置24は、ソフトウェア34を実行し、輸液装置(例えば、移動輸液ポンプ46及び電子インスリンペン48)及びバイオセンサ140の間で通信を行うコントローラであり得る。
【0052】
バイオセンサ140により収集される情報を少なくとも含むデータは、測定エンジン138によりプロセッサ102に提供される。プロセッサ102は、様々な計算を行うためにメモリ110に格納されるコンピュータプログラムを実行してもよく、データを使用して処理を行う。例えば、そのコンピュータプログラムは、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「血糖の構造化点測定(spot measurement)から推定平均血糖値及び推定糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を提供するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品」という名称の、2009年6月26日に出願された、米国特許出願第12/492667号明細書により説明される。測定エンジン138からのデータ、並びにそのデータを使用したプロセッサ102による計算及び処理の結果は、自己監視データとして参照される。自己監視データは、これに限定されないが、患者12の糖値、インスリン投与量値、インスリン型、プロセッサ102により将来の糖値、追加インスリン投与量、糖質追加量、並びにそのような値、投与量、及び量を計算するために使用されるパラメータ値を含む。そのデータは、測定された糖値及び投与されたインスリン量値のための日時印と共に、メモリ110及び/または112のデータファイル145に格納される。収集装置24の内部クロック144は、そのような使用のために、現在の日時をプロセッサ102に供給できる。
【0053】
収集装置24は、データ入力、選択及びデータのプログラム制御及び操作、情報の要求等のために、ボタン、キー、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン等のユーザインターフェース146をさらに提供できる。一実施形態において、ユーザインターフェース146は、メモリ110及び/または112に提供されるデータの入力及び操作のために、1つ以上のボタン147、149を備え得る。一実施形態において、ユーザは、患者12の生活スタイルに関連するデータ等の文脈説明情報を入力(文書化)するために、及び、規定の作業が完了したことを通知するために、ボタン147、149の1つ以上を使用できる。生活スタイルデータは、食物摂取、投薬使用、エネルギー値、運動、睡眠、一般的健康状態、及び患者12の全体的健康生活感(例えば、嬉しい、悲しい、休まっている、ストレスがある、疲れている等)に関連してもよい。生活スタイルデータは、ボタン147、149を使用したディスプレイ108に表示される選択メニューを通じた操作を介して、及び/または、ディスプレイ108により提供されるタッチスクリーンユーザインターフェースを介して、自己監視データの一部として、収集装置24のメモリ110及び/または112に記録され得る。ユーザインターフェース146は、自己監視データまたはその一部をディスプレイ108に表示するためにも使用され、例えばプロセッサ102により測定された糖値及び入力されたデータを表示するためにも使用され得ることを理解すべきである。
【0054】
一実施形態において、収集装置24は、ボタン147、149のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせを押下することにより、スイッチを入れられ得る。別の実施形態において、バイオセンサ140は試験紙であるが、収集装置24は、測定エンジン138による試験紙上の血液の標本内の糖値の測定のために、試験紙が挿入されると、自動的にスイッチを入れられ得る。一実施形態において、収集装置24は、所定の期間、ボタン147、149の1つを押下し続けることにより、スイッチを切られ得る。別の実施形態において、収集装置24は、所定の期間のユーザインターフェース146の不使用の後、自動的に電源を切られ得る。
【0055】
インジケータ148は、プロセッサ102に接続され、プロセッサ102の制御下で動作し、bGの測定、及び食事の摂取等の将来の低血糖の可能性に関する事象のための時間に、患者に、聴覚、触覚(振動)、及び/または視覚で感知できる警報/合図を発する。適切な電源150は、装置を携帯可能にするために周知のように、収集装置24に電力を供給するためにも提供される。
【0056】
上記のように、収集装置24は、ソフトウェア34をあらかじめロードされてもよいし、コンピュータ読み取り可能媒体40を介して提供されても、外部装置132及び/またはネットワーク50を通じて直接的または間接的に信号128により通信モジュール124を介して受信されてもよい。後者の場合に、ソフトウェア34は、収集装置23のプロセッサ102により受信されると、主メモリ110(図示されるように)及び/または2次メモリ112に格納される。ソフトウェア34は、命令を含み、プロセッサ102により実行されると、プロセッサが、後の節で説明されるような本発明の特徴/機能を実現するのを可能にする。別の実施形態において、ソフトウェア34は、コンピュータ読み取り可能媒体40に格納され、プロセッサ102にここに説明されるような本発明の特徴/機能を実現させるために、プロセッサ102によりキャッシュメモリにロードされてもよい。別の実施形態において、ソフトウェア34は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)等のハードウェアコンポーネントを使用して、主としてハードウェア論理で実装される。ここに説明される特徴/機能を実現するためのハードウェア状態機械の実装は、関連技術の当業者には明らかだろう。さらに別の実施形態において、本発明は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して実施される。
【0057】
本発明のソフトウェアによる実施形態において、以下で説明される方法は、C++プログラミング言語で実装され得るが、他のプログラム、例えば、これに限定されないが、VisualBasic、C、C#、Java(登録商標)、または当業者に利用可能な他のプログラム、でも実装され得るだろう。さらに他の実施形態において、プログラム34は、スクリプト言語、またはインタープリタと共に使用される、他の独自の解釈可能な言語を使用して実装されてもよい。以下では、図4への参照がなされる。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に従う構造化収集手続による自己監視データ154のデータ記録152を含むデータファイル145を表形式で示す。自己監視データ154(例えば、様々な列)を伴うデータ記録152(例えば、行)は、関連する文脈情報156(例えば、他の様々な列、並びに行及び列のヘッダ情報)も提供する。文脈情報156は、自動的に、例えば測定エンジン、バイオセンサ、及び/または他の装置のいずれか1つから自動的に受信される入力を介して、または構造化収集手続の間に収集要求(例えば、プロセッサ102によりディスプレイ108に表示される質問)に応じて患者により手動で入力されるユーザインターフェースから受信される入力を介して収集され得る。従って、文脈情報156は、好ましい実施形態では各データ記録152を提供され得るので、その情報は、医師に直ちに利用可能であり、構造化収集手続を完了した後に、手書きまたは口頭で患者により提供される情報のさらなる収集は、必ずしも必要とされない。別の実施形態において、本発明に従う構造化収集手続の完了後に文脈情報156及び/または追加の文脈情報が収集されれば、その情報は、しばらく経って例えばコンピュータ18、25の1つを介して関連データファイル145及び/またはデータ記録152に提供されてもよい。その情報は、データファイル145内の自己監視データと関連付けられ、口頭または手書きで再び提供される必要はないだろう。後者の実施形態における過程は、構造化収集手続またはその一部が、構造化収集手続を実装するソフトウェア34を実行できない収集装置と共に使用される紙ツール38として実装される状況で、必要とされるかもしれない。
【0059】
データファイル145(またはその一部、例えば自己監視データ154だけ)は、収集装置24から、通信モジュール124を介して外部装置132(PC、PDA、または携帯電話)等の別の電子装置に、またはネットワーク50を介して臨床医コンピュータ25に送信/ダウンロード(有線または無線)され得ることを理解すべきである。臨床医は、受信された自己監視データ154及び治療結果に対する患者12の文脈情報156を評価するために、臨床医コンピュータ25に提供される糖尿病ソフトウェアを使用できる。糖尿病ソフトウェアに組み込まれてもよい機能のいくつかの例であって、パーソナルコンピュータのための構成されるものは、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「時間区画(time block)を設定するための方法及びシステム」という名称の、2007年12月7日に出願された、米国特許出願第11/999968号明細書に開示される、Roche Diagnosticsから利用可能な、Accu−Chek(登録商標)360糖尿病管理システムである。
【0060】
好ましい実施形態において、収集装置24は、携帯血糖メータとして提供され得る。収集装置24は、患者12によりインスリン投与量値及び点測定された糖値を含む自己監視データを記録するために使用される。上記のbGメータの例は、これに限定されないが、Roche Diagnostics社によるAccu−Chek(登録商標)Activeメータ及びAccu−Chek(登録商標)Avivaシステムを含む。これらは、検査結果をパーソナルコンピュータにダウンロードするために、Accu−Chek(登録商標)360°糖尿病管理ソフトウェアと互換性があるか、ダウンロード及びPDAとの通信のために、Accu−Chek(登録商標)Pocket Compassソフトウェアと互換性がある。従って、収集装置24は、(以下で詳細に説明されるような)所定のフロー列に従って自己監視データを処理、分析、及び解釈し、適切なデータ解釈出力を生成するのに必要なソフトウェア及びハードウェアを備え得ることを理解すべきである。一実施形態において、収集装置24により格納された患者データについて行われるデータの分析及び解釈の結果は、患者が自身の生理的状態を管理し、患者−医師の意思疎通を図るのを支援するために、レポート、傾向監視、及び図の形式で表示され得る。他の実施形態において、収集装置24からのbGデータは、外部装置132、患者コンピュータ18、及び/または臨床医コンピュータ25を介してレポート(ハードコピーまたは電子的)を生成するために、使用されてもよい。
【0061】
収集装置24は、ユーザ及び/またはその臨床医に、a)データ説明、例えば記録の名称及び説明を編集すること、b)指定された場所、特に上記の、ユーザが定義可能なディレクトリに記録を保存すること、c)表示のために記録を呼び出すこと、d)異なる基準(例えば、日付、時刻、名称、説明等)に従って記録を検索すること、e)異なる基準(例えば、bG値、日付、時刻、期間、名称、説明等の値)に従って記録を分類すること、f)記録を削除すること、g)記録をエクスポートすること、及び/またはh)周知の、データを比較、記録を修正、記録を除外することを含む可能性の少なくとも1つ以上をさらに提供できる。
【0062】
ここに説明されるように、生活スタイルは、食事、運動、及び仕事の予定等の個人の習慣におけるパターンとして、一般に説明され得る。個人はさらに、インスリン治療、または定期的に服用するように義務付けられる経口(oral)等の投薬治療を受けていてもよい。そのような行動の糖への影響は、本発明により暗黙的に考慮される。
【0063】
収集装置24のプロセッサ102は、メモリ110及び/または112に提供される1つ以上の構造化収集手続70を実行できることを理解すべきである。一実施形態における各構造化収集手続70は、スタンドアロンソフトウェアであり、プロセッサ102により実行されると、プロセッサに構造化収集手続70及び他の規定の機能を実現させるのに必要なプログラム命令を提供する。他の実施形態において、各構造化収集手続70は、ソフトウェア34の一部であり、一実施形態では、ユーザインターフェース146からディスプレイ108に提供されるメニューリストからの選択の受け付けを介して、また別の実施形態では、収集装置24に提供される構造化収集手続実効モードボタン(不図示)等の特定のユーザインターフェースの有効化を介して、プロセッサ102により選択的に実行され得る。ソフトウェア34は、同様に、プロセッサ102により実行されると、プロセッサに、構造化収集手続70及びここに説明されるソフトウェア34の他の規定の機能を実現させるのに必要なプログラム命令を提供することを理解すべきである。収集メータの選択可能モードとして提供される選択可能構造化収集手続を有する適切な一例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「対話型グラフィカルユーザインターフェースを備える一時的血糖監視システム及びその方法」という名称の、2009年6月25日に出願された、米国特許出願第12/491523号明細書に開示される。
【0064】
さらに別の実施形態において、コマンド命令は、臨床医コンピュータ25から送信され、通信モジュール124を介してプロセッサ102により受信され得る。コマンド命令は、収集装置24を、構造化収集手続70を自動的に実行する収集モードにする。コマンド命令は、実行すべき1つ以上の構造化収集手続のどれかを指定してもよいし、実行すべき構造化収集手続を提供してもよい。さらに別の実施形態において、規定の医学的使用事例または医学的質問のリストが、プロセッサ102によりディスプレイ108に提示され、ユーザインターフェース146を介してプロセッサ102により受信される、規定の医学的使用事例または医学的質問の選択に依存して、特定の構造化収集手続70が複数の構造化収集手続(例えば、手続70a、70b、70c、及び70d)からプロセッサ102により自動的に選択され得る。
【0065】
さらに別の実施形態において、選択後に、構造化収集手続70は、コンピュータ読み取り可能媒体、例えば40を通じて提供されることも、コンピュータ18または25、他の装置132、またはサーバ52からダウンロードされ、収集装置24によりロードされることも可能である。サーバ52は、例えば、選択された規定の医学的使用事例または医学的質問に従ってダウンロードのための所定の構造化収集手続70を提供するヘルスケアの提供者または企業であってもよい。構造化収集手続70は、ヘルスケア企業(例えば、企業64)により開発され、ウェブページを通じて公衆網50を介して実行されてもよいし、例えば図2に示されるサーバ52でダウンロードに利用可能にされてもよいことを理解すべきである。さらに他の実施形態において、ユーザ(例えば、ヘルスケア提供者及び患者)が有するかもしれない特定の使用事例/医学的質問に対処するのに役立つように、新たな構造化収集手続70が収集装置24での使用に利用可能であるという通知は、郵便の手紙/カード、電子メール、テキストメッセージ、ツイート等の任意の標準的な方法で提供され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、上記のように、紙ツール38は、糖尿病ソフトウェア34により提供される機能のいくつかを実現できる。糖尿病ソフトウェア34に組み込まれてもよい機能のいくつかの例であって、紙ツール38として構成されるものは、Roche Diagnosticsから利用可能であり、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「血糖管理を評価するための装置及び方法」という名称の、2007年2月29日に出願された、米国特許出願第12/040458号明細書に開示される、Accu−Chek(登録商標)360 View血糖分析システム用紙である。
【0067】
さらに別の実施形態において、ソフトウェア34は、連続糖モニタ28(図1)に実装され得る。このように、連続糖モニタ28は、時間分解されたデータを得るために使用され得る。時間分解されたデータは、血糖値の点監視及び標準的なHbA1c検査では見過ごされる変動及び傾向を識別するために、役立ち得る。例えば、低夜間糖値(low overnight glucose level)、食事間の高血糖値、早朝の血糖値の急上昇、及び食事及び身体活動が治療の変更という効果と共に血糖に与える影響。
【0068】
収集装置24及びソフトウェア34に加えて、臨床医14は、患者12のために、移動インスリンポンプ46及び電子ベースインスリンペン48(図1)等の他の糖尿病治療装置を処方できる。インスリンポンプ46は、典型的に、例えばDisetronic Medical Systems社からも利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)インスリンポンプ設定ソフトウェア」に開示される設定ソフトウェアを備える。インスリンポンプ46は、インスリン投与量及び他の情報を記録し、電子ベースインスリンペン40と共に、コンピュータに提供できる。インスリンポンプ46は、本発明に従う構造化収集手続70(図2)の要求を受けて生体指標データを提供するための別の手段として使用され得る。
【0069】
上記のように、後述される方法ステップの1つ以上は、紙ツール38(図1)として構成され得るが、好ましくは、すべての方法ステップが、システム41(図2)、または収集装置24等のプロセッサ及びメモリを備える任意の電子装置/コンピュータで、メモリ内のプログラムとして電子的に促進されることを理解すべきである。公知のように、コンピュータがプログラムを実行すると、プログラムの命令コードは、コンピュータのプロセッサに、関連する方法ステップを実行させる。さらに他の実施形態において、後述される方法ステップのいくつかまたはすべては、コンピュータにより実行されると、コンピュータのプロセッサに、関連する方法ステップを実行させるプログラムの命令コードを格納するコンピュータ読み取り可能媒体40に構成され得る。これらの方法ステップは、図5A及び5Bを参照して、以下により詳細に説明される。
【0070】
構造化収集手続を作成
図5Aは、医学的使用事例または医学的質問のために、図5Bにより示される構造化収集手続70を作成する方法200を示す。構造化収集手続70は、スタンドアロンソフトウェア、糖尿病ソフトウェア34の一部、または紙ツール38の一部として、上記の装置18、24、25、26、28、36、52のいずれか1つに実装されてもよい。ステップ202では、医学的使用事例または医学的質問(以下、一般に使用事例として参照される)が選択される及び/または定義され得る。使用事例は、例えば、次の医学的使用事例または医学的質問から選択されるものであってもよいことを理解すべきである。特定の食物を摂取する効果を知りたい、食前及び/または食後に薬を服用する最善の時間を知りたい、及び運動のbG値への効果を知りたい。他の使用事例は、診断結果を見付けること、患者への治療を初期化する最善の方法、患者の病気の進行の状態の決定を行うこと、患者の治療を最適化する最善の方法を見付けること等に関する質問であってもよい。さらに他の例は、空腹時血糖、食前糖値、食後糖値等に関する医学的質問に対処するのに役立つように使用され得る構造化収集手続70を提供することであり得る。他の医学的質問は、所定の文脈で生体指標を管理すること、所定の文脈で生体指標を最適化すること、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、治療効果、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、基礎及びボーラスでのインスリンの分割等に関連することであり得る。例えば、経口単剤治療及び経口組み合わせに関する医学的質問は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、アレグリタザルに関するものを含み得る。選択された使用事例は、図5Bに示される医学的使用事例パラメータ220に割り当てられ得る。
【0071】
ステップ204では、選択された使用事例を取り巻く状況または問題が定義され得る。このことは、使用事例の変更に影響を与えるかもしれないすべての要因を調べることにより達成され得る。例えば、患者の治療を最適化する最善の方法を知りたいという使用事例において、調べるべきいくつかの要因は、例えば図5Cに示される、ストレス、月経周期、暁前効果(pre-dawn effect)、背景インスリン(background insulin)、運動、食事に対するボーラス投与時期、基礎率(basal rate)、インスリン感受性、食後行動等を含んでもよい。
【0072】
ステップ206では、状況または問題に対処するまたは手掛かりを与えるためにどの種類の分析が使用され得るかに関して、決定がなされ得る。その分析は、例えば、次から選択されてもよい。収集手続70の間の空腹時血糖(FPG)値の変化を評価すること、収集手続70の間の1つ以上の特定値を監視すること、インスリン対糖質(I:C)比を決定すること、インスリン感受性を決定すること、薬を投与するための、食事等の別の変数に対する最善の時間を決定すること等。ステップ208では、生体指標及びそれが収集される文脈等のどの情報が収集される必要があり、その情報は分析を行うためにいつ収集される必要があるかに関して、採取グループの決定がなされ得る。例えば、採取グループは、一連のデータオブジェクトとして定義され得る。各データオブジェクトは、ターゲット型、例えばターゲット時間(例えば、変化する特徴のために使用される)、時間ウィンドウの下限、時間ウィンドウの上限等を使用できる時間ベース、データ型(単一、集合、または式)を定義するデータベース、データを受け入れるための条件(例えば、なし、値を下回る、値を上回る、式等)、収集の型(例えば、ユーザ入力、センサ、データ等)、並びに各収集のための任意のリマインダ画面テキスト(例えば、静的、及び/または書式設定及び値挿入で動的)からなる。この過程の結果は、収集事象の工程(schedule)222である(図5B)。次にステップ210では、選択された使用事例の状況または問題に対処するのに役立つように収集事象の工程222の各々または群が実行される方法が決定される。このことは、1つ以上の順守基準224をもたらす。収集を行う方法に加えて及び/または代えて、順守基準224は、所定の範囲に入るまたは所定の値に等しい1つ以上の生体指標値に基づいてもよい。他の実施形態において、順守基準は、結果の値が所定の範囲に入るまたは所定の値に等しいかどうかを決定するために生体指標データまたはその群を使用する式であり得る。
【0073】
例えば、順守基準224は、所定のウィンドウ内での検査、所与の時間の絶食、所与の時間の睡眠、運動、低ストレス、月経なし(not menstruating)等の、患者12が実行する必要がある事象237周りのパラメータを説明できる。順守基準224は、提供される情報の文脈を規定できる。順守基準224はまた、上記のように、別の文脈で、データが受け入れ可能かどうかの評価を提供するために使用され得る。順守基準224は、その文脈で使用されると、「受け入れ」基準として参照されてもよい。例えば、標本が採取される前に、順守基準224は、標本の採取までのステップが達成されるかどうかを規定できる。例えば、プロセッサ102は、要求240に応じて質問「この8時間、絶食していますか?」を表示する。ここで、ユーザインターフェース146を介してプロセッサにより受信される回答「イエス」は、このステップの順守基準224を満たす。別の例において、標本が採取された後に、プロセッサ102は、他の順守(受け入れ)基準を使用して、受信されたデータの妥当性を評価できる。例えば、先のデータに基づくと、空腹時bG標本は、120〜180mg/dlの間にあるべきだが、受信された値が、340mg/dlであったとすると、受け入れ可能値の所定の範囲外にあるので、順守(受け入れ)基準を満たさない。その例において、プロセッサ102が追加の標本を促せるという順守事象242が発生する。その場合において、再採取も失敗すれば(即ち、120〜180mg/dlの間にない)、プロセッサ102により提供される評価は、患者12は絶食していないということであり、プロセッサ102は、再採取の失敗時の順守基準により指示されるように、事象の工程222内の事象237を自動的に延長する。
【0074】
次にステップ212では、事象の工程222が開始または終了される条件及び文脈が決定され得る。このことは、同時に及び/または順々に実行してもよい一連の構造化収集手続、例えば手続70a、70b、70c、及び70dを提供する場合に、事象の工程222及び事象の工程222が属する事象の他の工程の群に提供される1つ以上の進入基準226及び退出基準(exit criterion)228をもたらす。
【0075】
例えば、1つ以上の進入基準226が、プロセッサ102が収集手続を使用するような条件を患者が満たすかどうかを決定するために使用され得る。進入基準226は、例えば、患者12が範囲内の現在の年齢、範囲内のHbA1cに基づく進入基準226を満たすこと、並びに患者が、特定の病気に罹っていること、最低限の期間、病気に罹っていること、範囲内の体格指数(BMI)を有すること、範囲内の空腹時血漿糖(FPG)を有すること、特定の薬の感受性を有したこと、特定の薬を服用していること、特定の投与量の薬を服用していること、別の構造化収集手続の1つ以上の前提条件を満たすこと、別の構造化収集手続の1つ以上を完了していること、1つ以上の特定の、妊娠している、空腹でない等の前提条件または体調が優れない、熱がある、吐き気がある等の禁忌を有しないこと、及びそれらの組み合わせを確認する。進入基準226は、日の時間、週の時間、食事、時間オフセットを伴う食事の摂取、運動、時間オフセットを伴う運動、治療薬の使用、時間オフセットを伴う治療薬の使用、生理的環境、生体指標範囲、及び先の生体指標値からのオフセットとして計算される所定の範囲内の生体指標等の開始事象により、事象の工程222も開始できる。生理的環境の例は、所定数の生理的事象、例えば高血糖、低血糖、日の所定の時間における所定の温度等が、所定の時間、例えば時、日、週等に発生すると構造化収集手続を開始するという進入基準が満たされることであり得る。従って、進入基準は、前提条件、使用法の指示、及び/または使用法の禁忌を満たす必要の使用を支援するために、使用され得る。例えば、進入基準226は、構造化収集手続70がインスリン感受性最適化を実行するために、基礎滴定のための構造化収集手続が完了し及び/または希望する結果を有すること、並びにインスリン対糖質比のための、別の構造化収集手続が完了し及び/または希望する結果を有することを、プロセッサ102が検証しなければならないという前提条件を定義できる。別の例において、進入基準226は、所定の構造化収集手続が1型、2型、及び具体的な薬の滴定に使用され得る構造化収集手続の型の糖尿病患者に分離使用を提供できるという、使用法の所定の指示を満たす必要と共に定義され得る。別の例において、進入基準226は、例えば患者12が妊娠中、病気等であれば、所定の構造化収集手続70は実行しないという、使用法の所定の禁忌を満たす必要と共に定義され得る。
【0076】
1つ以上の退出基準228の例は、プロセッサ102に基づき、特定の値に達していること、1次標本値の平均が範囲内にあること、特定の事象及び/または条件が発生したまたは発生していないこと、及びそれらの組み合わせを決定する。手続が終了してもよい他の条件は、低血糖事象、患者が病気である、患者が治療の変更を被る等の反対事象(adverse event)を含み得る。追加の詳細は、プロセッサ102によりディスプレイ108に、具体的な退出基準が満たされたことに基づき、患者12に提供されてもよい。例えば、一例において、患者12が、低血糖を示す糖値を測定すれば、手続を終了する際に、プロセッサ102は、患者12に糖質を摂取し、血糖が120mg/dLを超えるまで30分毎に血糖値を測定するように指示する別の代替手続を自動的に実行する。この代替手続について、患者12はまた、プロセッサ102により、低血糖をもたらす条件が記録されるのを保証するために、食事、活動、ストレス、及び他の関連する詳細を文書化するように要求され得る。患者12はまた、プロセッサ102により、この場合及び他の特別な場合に臨床医14に連絡するように指示されてもよい。退出基準はまた、例えば、成功した完了の後に終了、不確定の完了の後に終了等、所定のタイムアウトの満了(計画的な終了)、例えばn(=1〜365)日後も結果なし、解除によるもの、例えばフェイルセーフにより失敗した解除での終了等の、終了のための基準を含み得る。構造化収集手続70はまた、退出基準228を満たすことに基づくだけでなく、患者12が受け入れ可能レベルで要求を行わないとき、及び/または患者の生理的状態が患者が事象の工程222を遂行すべきでない方法で変化し、順守事象242が構造化収集手続を終了するという順守基準224を満たさないときに、自動的に終了するように定義され得ることを理解すべきである。
【0077】
ステップ214では、収集の間のユーザへの案内230及び収集をカスタマイズするための任意のオプション232が決定され得る。例えば、案内230について、臨床医14は、デフォルトのメッセージのリスト、または収集手続70の実行の間に患者12を案内するために調整されたメッセージを使用できる。一例として、メッセージは、データの取得が成功した(即ち、順守基準224を満たす)ときに提供され、「ありがとうございます。あなたの次の予定される測定は、午後12時半です。」と表示するだろう。例えばインジケータ148により提供されるアラームはまた、収集手続70と関連付けられ得る。アラームは、患者12に測定を行うことを思い出させ、患者12が測定を行うために追加の時間を必要とするときの、スヌーズ機能を備え得る。スヌーズ機能及び装置の他の特徴は、後の節でさらに説明される。
【0078】
ステップ208〜214の結果は、ステップ216で作成される構造化収集手続70である。構造化収集手続70は、使用事例パラメータ220、事象の工程222、順守基準224、進入基準226、退出基準228、案内230、及びオプション232を共に関連付ける。一実施形態において、収集手続70を生成する時点で、臨床医14はまた、患者に(最低限)次の側面を説明する印刷物を生成する。収集手続70の目的及び期待される理想的な結果、即ち収集手続70の目的を設定すること、収集手続70の設計及び必要とされる測定値の数、患者12が収集手続70を開始する前及び各測定値を取得する前に満たさなければならない進入基準226、及び患者12が収集手続70の継続を終了すべき退出基準228。収集手続70の実行の間に提供され得る印刷物及び案内230は、なぜデータ収集手続を遂行するのかを患者が十分に理解することを保証する。
【0079】
構造化収集手続70の例は、例えば、インスリン対糖質比を決定するため、食事開始に対するボーラス投与時期を決定するため、及び摂取された糖質に相当する運動を決定するための構造化収集手続であってもよい。ステップ218では、構造化収集手続70が、例えば図1〜3に関して上述の方法のいずれかで、システム41での実行及び使用に利用可能にされる。構造化収集手続70は、従って、臨床医14が規定の医学的使用事例または医学的問題に対処及び/または調査するのに役立つように、医学界またはヘルスケア企業64により、上記の過程を介して提供されてもよい。
【0080】
図5Bは、構造化収集手続の基礎となる医学的使用事例に対処するために、糖尿病患者から文脈説明生体指標データを得るための構造化収集手続70のパラメータ222、224、226、及び228の相互作用を示す。上記のように、使用事例パラメータ220は、パラメータ222、224、226、及び228が対処する医学的使用事例または医学的質問を識別するために提供されてもよい。例えば、臨床医コンピュータ25のプロセッサ76、収集装置24のプロセッサ102、及び/またはサーバ52は、例えばこれらの装置及び/またはシステム41で提供される複数の構造化収集手続70a、70b、70c、70d(図2)から医学的使用事例パラメータ220を読み取り、利用可能な構造化収集手続のリストを、例えば臨床医コンピュータ25のディスプレイ82または収集装置24のディスプレイ108に提供してもよい。さらに、臨床医コンピュータ25、患者コンピュータ18、及び/またはサーバ52は、医学的使用事例に従って構造化収集手続を配置/格納/選別するために、医学的使用事例パラメータ220を使用できる。
【0081】
上記のように、進入基準226は、特に所定の文脈で収集された生体指標データを含む患者データを得るために、構造化収集手続70を開始するための要件を規定できる。一実施形態において、収集装置24のプロセッサ102は、関連構造化収集手続70がいつ患者の生理的文脈に適するかを決定し、関連構造化収集手続に必要な入力のすべてが確立されたことを保証するために、進入基準226を使用できる。それゆえに、構造化収集手続の開始日時は、進入基準226の所定の条件を満たさなければ、収集装置24のプロセッサ102により自動的に、動的に変化してもよいことを理解すべきである。従って、進入基準226が満たされるまで、関連構造化収集手続70の開始日時は、将来の未知の時間であり得る。
【0082】
例えば、一実施形態において、構造化収集手続70は、プロセッサ102により、例えば収集装置24のメモリ110に、コンピュータ18、25のメモリに、及び/またはサーバ52から提供される複数の構造化収集手続70a、70b、70c、70dから、関連構造化収集手続のための規定の進入基準226の条件を満たすことに基づき、自動的に選択され得る。例えば、一実施形態において、第1の構造化収集手続、例えば手続70dは、血糖値の傾向(「bG値傾向(trending)」)を示すのに役立つ。それゆえに、第1の構造化収集手続70dのための進入基準226は、患者が規定の期間(例えば、現在から遡って数日、数週間、及び数ヶ月)、所定の比率を上回るbG値平均を有することである。第2の構造化収集手続、例えば手続70aについて、進入基準226は、規定の期間(例えば、現在から遡って数日、数週間、数ヶ月)、所定のbG値を下回る、朝食前の、特定数のbG測定値を必要としてもよい。その例において、プロセッサ102は、一実施形態では起動時に、別の実施形態では例えばユーザインターフェースを介して受信される入力による命令時に、別の実施形態ではソフトウェア34によりプログラムされる予定時間に、例えば収集装置24のメモリ110に提供される様々な構造化収集手続70a及び70dにより提供される様々な進入基準226を通じて実行し、特定の手続70の進入基準226の規定の条件が満たされるかどうかを決定できる。この例において、プロセッサ102は、メモリ110内の過去の測定値からの履歴データが、患者のbG値平均が上昇しており、第1の収集手続70dのための進入基準226は満たされているが、第2の収集手続70aのための進入基準は満たされていないことを示す、ということを決定する。この例において、プロセッサ102は、上記の分析に基づき、第1の構造化収集手続70dを自動的に選択して開始する。
【0083】
進入基準226の使用は、構造化収集手続70への使用の指示が収集事象の工程222を開始する前に満たされていることを保証することにより、治療費の割り当て誤り(misallocation)を低減するのに役立ち得ることを理解すべきである。進入基準226はまた、多数の構造化収集手続を実行する任意の要求が、両立しなければ重複せず、互いの不要な繰り返しでなく、または患者に重大な責任(burden)を課すことを保証するのに役立ち得る。このように、患者が慢性病を診断または治療を最適化しようとするさらなる試みを敬遠するかもしれない上記の問題の多くは、収集装置24のプロセッサ102により、進入基準226の使用を介して自動的に対処及び回避され得る。
【0084】
図5Bにより示されるように、進入基準226は、文脈固有進入基準234、手続固有進入基準236、及びそれらの組み合わせを含み得る。文脈固有進入基準234の例は、食事、低血糖事象、インスリンの型及び投与量、ストレス等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。別の例において、文脈固有進入基準234は、例えば具体的な質問の形式で定義され得る。プロセッサ102は、具体的な回答がユーザインターフェース146からの入力を介して患者から受信されることを要求する。例えば、進入基準226を実行するプロセッサ102は、ディスプレイ108に、患者が要求される期間に構造化収集手続70を実行する意思があり、それが可能かどうかの質問を表示してもよい。患者がユーザインターフェース146を介して肯定的に回答すれば、進入基準226は満たされて、プロセッサ102は、構造化収集手続70で定義される時期に従って収集事象237を自動的に実行し続ける。患者が表示された質問に否定的に回答すれば、プロセッサ102は、構造化収集手続70を続けず、例えばオプションパラメータにより指定されれば、質問の問い合わせの予定を将来に変更してもよい。
【0085】
手続固有進入基準236の例は、疾病状態(disease state、disease status)、選択された治療、パラメータ前提条件、インスリン感受性を検査する前のインスリン対糖質比、両立しない収集手続等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。手続固有進入基準236は、プロセッサ102が3つの開始者(initiator)−患者12、臨床医14、またはデータ、例えば進入基準226の条件が満たされれば−の1つと共に構造化収集手続70を自動的に続ける方法で定義され得る。例えば、手続固有進入基準236は、例えば一実施形態では、特定の構造化収集手続を解除して使用するために有効なパスワードをユーザインターフェース146を介して入力する認可されたユーザを介して、臨床医14が構造化収集手続70を指示すれば満たされ得る。別の実施形態において、臨床医14は、臨床医コンピュータ25及び/またはサーバ52から、収集装置24での患者12による使用のために収集手続70を指示(認可)する収集装置24に、パスワードまたは認可コードを送信できる。患者12により使用され得ず、臨床医14により認可されるまでディスプレイ108で、例えば選択リストで患者により閲覧されることから隠され得る1つ以上の構造化収集手続70が、収集装置24のメモリ110に提供され得ることを理解すべきである。
【0086】
手続固有進入基準236は、ユーザにより、例えばユーザがディスプレイ108に提供される構造化収集手続70a、70b、70c、70dのリストから特定の構造化収集手続を選択することにより満たされ得る。基準236のデータにより開始される手続の例は、プロセッサ102に提供される生体指標測定値が、特定の構造化収集手続のための進入基準226が満たされるために発生または存在しなければならない所定の状態を示すことだろう。その状態は、例えば、重度の低血糖事象等の単一の事象、または開始時刻から24時間、開始時刻から1週間、カレンダ日時等の所与の、所定の期間内の低血糖事象等の一連の事象の発生であり得る。
【0087】
従って、進入基準226は、構造化収集手続70により対処される医学的使用事例に関連する患者の生理の文脈及び/または状態を規定する単一の基準または多数の基準であり得る。別の実施形態において、進入基準226は、例えば履歴患者データについて、患者データが収集された後に対処され得る。
【0088】
事象の工程222は、1つ以上の事象237を指定する。各事象は、実行時間238、事象を実行するための案内230、患者からの情報への要求及び/または患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集への要求を含んでもよい、患者の行動への要求240、及びそれらの組み合わせを定義する、少なくとも1つ以上の変数を含む。実行時間238について、事象の工程222は、3連続労働日の特定の時間での生体指標採取、または起床時の標本、30分後の標本、及び1時間後の標本等の、各事象237の時期を指定できる。
【0089】
各事象237及び任意の基準224、226、228のための案内230は、例えば特定の時間に開始、終了、及び/または起床する、特定の時間にbG収集を行う、特定の時間に特定の食事または食物を摂取する、特定の時間に所定の運動を行う、特定の時間に薬を服用する等のための電子合図(聴覚的、視覚的)を提供することを含んでもよい。案内230はまた、情報、質問、並びに特定の時間の生理、健康、健康生活感等に関する特定の情報、収集手続の順守を向上させる提案、奨励、及び肯定的/否定的な意見を記録する要求を含んでもよい。
【0090】
事象237は、再現可能な環境の組、即ち採取の前及び/または後の文脈が生体指標採取のための生体指標データで作成される方法で、要求240に従って生体指標採取の前及び後に実行される必要があるすべてのステップを定義することを理解すべきである。生体指標データの例は、糖尿病の文脈では、空腹時血糖値、食前糖値、食後糖値等を含む。環境の組の例は、食事、運動、治療的投与、睡眠、水分補給等に関する、患者データ内の収集された情報を識別する生体指標値と関連するデータを含み得る。
【0091】
事象の工程222内の事象237の各々は、時間ベース、事象ベース、またはその両方であり得る。事象237はまた、食事の開始、起床時間、運動の開始、治療的投与時間、先の糖値と共に使用される関連オフセット、または所定の生体指標値の閾値を上回るまたは下回る時間であり得る。事象237はまた、生体指標採取時に再現可能な環境が作成される方法で、生体指標採取の前及び間に行われる必要がある患者の任意の行動を含み得る。このことは、食事、運動、治療的投与、睡眠、水分補給等の1つ以上を含み得る。さらに、事象の工程222内の事象237は、患者12の仕事の予定、ストレス要因等を受け入れるために調整され得る(数、型、時期等)。
【0092】
上記のように、順守基準224は、事象の工程222に従って実行される事象237が、構造化収集手続70の基礎となる医学的使用事例に対処するために受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。特に、順守基準224は、実行された事象237からのデータを検証するために使用される変数及び/または値を提供できる。例えば、順守基準224は、収集装置24のプロセッサ102により行われる、事象237に応じて収集された時間、量、型等の値が希望する範囲内にある、または希望する値を上回る、下回る、または等しいという確認であり得る。同じまたは異なる順守基準224が、事象の工程222内の事象237の各々と関連付けられてもよく、一実施形態では進入基準226と、別の実施形態では、例えば図6Dに示されるように(即ち、順守及び退出基準を定義する「bGがターゲット範囲内に戻ると、運動を止める」)、退出基準228であるように関連付けられてもよい。一実施形態において、事象の工程222内の1つ以上の事象は、特定の事象がそのための順守基準224を満たさなければ、修正(例えば、追加、削除、延期等)されてもよい。一実施形態において、順守基準224の不履行は、順守事象242を誘発できる。一実施形態において、事象237に関連する順守基準224が満たされないことによる順守事象242の発生時に、プロセッサ102は、結果として1つ以上の追加の行動を要求されてもよい。例えば、プロセッサ102は、ディスプレイ108上で患者に追加の情報を促してもよいし、患者12が病気である、ストレスに苦しんでいる、または食事を摂取する、運動する等の要求を行えないかどうかを決定するために、質問を促してもよい。患者が、例えばユーザインターフェース146を介して「イエス」と回答すれば、順守事象242の一部として、プロセッサ102は、事象の工程に延期(即ち、一時停止)を提供できる。一実施形態において、延期は、患者がプロセッサ102により促される別の質問に応じて元気になったことを示すまで、例えば順守事象の一部として翌日または所定の時間の後まで継続できる。例えば、患者12は、プロセッサ102により薬を投与するように促されるが、患者は、例えばインスリンが置かれている自宅にいない。患者12は、ユーザインターフェース146を介して延期を選択できる。プロセッサ102は、所定の時間の後に患者に再び促す。この延期はまた、上限を有してもよい。事象の工程が所定の時間内に再開されなければ、その環境の構造化収集手続70は終了してもよい。別の実施形態において、別の形式の順守事象は違反事象である。違反事象は、構造化収集手続70を実行する人が要求に応じて推奨される変更を行わないときに生じる。例えば、要求は、患者が薬の投与量を10Uから12Uに調整することであってもよい。患者は、ディスプレイ108に表示された、患者が変更に応じるまたは応じたかどうかを問い合わせる質問に否定的に回答する。違反事象に応じて、プロセッサ102は、順守事象に関して上述されたように、メッセージを送信及び/または延期を提供してもよい。
【0093】
別の例及び一実施形態において、bG測定値は、構造化収集手続70が、例えば使用事例パラメータ220により識別される医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つデータを提供するために、食事の前に収集されなければならない。この例において、患者が事象の工程222に従って収集の要求240に応じて昼食に対してbG測定値を採取せず、事象237の順守基準224が満たされなければ、関連順守基準242に応じるプロセッサ102は、収集手続70の命令に従って、その日の事象の工程222内の残りのすべての事象237を取り消し、データファイル(例えば、データファイル145(図4))に格納された監視bG測定値を無効として印を付し、事象の工程222の予定を翌日に変更するようにプログラムされ得る。プロセッサ102が順守事象242に応じて取ってもよいさらなる行動の他の例は、患者がより行い易いかもしれない、事象の2次工程に切り替え、欠損データを埋め合わせるために測定値の追加の事象を提供し、退出基準を1次から、修正された基準を提供する2次退出基準に変更し、順守事象を1次から2次順守基準に変更し、失敗事象の欠損データを履歴データ(からの推定値)で埋め、構造化収集手続70が成功し得るかどうかを確認するために特定の計算を行い、失敗事象の、臨床医等の特定の人にメッセージを送信し、欠損データ点を無視または推定するために関連データ記録152に所定の指示を提供する等により、構造化検査手続を動的に変更することであってもよい。さらに別の実施形態において、順守基準224は、例えば1つ以上の生体指標値及び/または1つ以上の質問に応じてユーザインターフェースから受信される入力に基づき、収集データが医学的使用事例または医学的事例に対処するのに役立つ値を提供するかどうかを決定するアルゴリズムを介して、動的に評価され得る。この例において、計算された順守値が役に立たない、例えば希望する範囲に入らないまたは所定の値を満たさなければ、結果として生じる順守事象により定義されるさらなる処理、例えば上述の過程のいずれか1つ以上が行われるだろう。
【0094】
上記の退出基準228は、構造化収集手続70がそれにより対処される医学的質問に回答するのに十分な文脈データを有するように、構造化収集手続70を終了または完了するための要件を規定する。退出基準228は、医学的使用事例に対処するために必要とされる標本の数を最小化することにより、構造化収集手続70の効率を向上させるのに役立ち得る。他の実施形態において、評価は、所与の信頼区間により示されてもよい。信頼区間は、パラメータに統計的に割り当てられる離散値または連続値の群である。信頼区間は、典型的に、時間の所定の部分でのパラメータの真値を示す。
【0095】
進入基準226と同様に、退出基準228は、文脈固有退出基準244、手続固有進入基準246、及びそれらの組み合わせを含み得る。文脈固有退出基準244の例は、気分、希望する血糖事象(即ち、血糖値)を識別し、ストレス、病気、禁忌、例えば高血糖、低血糖、嘔吐、熱等を示すために、1つ以上の変数を含み得る。続固有進入基準246の例は、順守基準を満たす事象、希望する所定の範囲内にある及び/または希望する所定の値である生体指標値、希望する疾病状態、所定の期間の後に生体指標に変化なし、または所定の期間に渡って希望する生体指標値に著しい進展なし等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。一実施形態において、退出基準228は、第2の構造化収集手続70の進入基準226のために満たされる必要がある条件を規定できることを理解すべきである。例えば、第1の収集手続、例えば構造化収集手続70b(図6B)で決定された適切なインスリン対糖質(I:C)を有するときに、ボーラス投与を行うための食事の開始に対する最善の時間を決定するために、構造化検査、例えば現在のI:C比を必要とする構造化収集手続70c(図6C)を実行することは、未知の時間に第1の構造化収集手続70bの退出基準を満たすときに、プロセッサ102が第2の構造化収集手続70cの事象の工程を自動的に実行できる方法で、調整され得る。他の実施形態において、例えば、プロセッサ102により事象の工程222に従って実行される第1の構造化収集手続70の退出基準228及び第2の構造化収集手続70の進入基準226は共に、同じ1つ以上の、上記の禁忌に基づき得る。実施形態において、例えばユーザインターフェース146及び/またはバイオセンサ140を介してプロセッサ102に提供及び/または検出され、この例では第1の構造化収集手続70の退出基準228を満たす、禁忌の発生時に、プロセッサ102は、第2の構造化収集手続70の進入基準226も満たされているので、第2の構造化収集手続70の事象の工程を自動的に開始するだろう。第1の構造化収集手続を終了することにより開始され得る第2の構造化収集手続70の例は、定期的な間隔、例えば30分毎、1時間毎、毎日の特定の時間等に、禁忌がなくなるまで(例えば、生体指標値が望ましい範囲または値に達する、患者12がユーザインターフェース146を介してプロセッサ102にもはや禁忌を有しないことを示す、所定の期間の満了等)、生体指標の採取を要求する事象の工程222を有するものであり得る。実施形態は、禁忌の発生後に事象の文脈及び値を記録することが望みであり、禁忌の発生時に第1の収集手続を終了すべきであれば、役に立つ。
【0096】
退出基準228は、構造化収集手続70を終了する条件を規定する単一の基準または多数の基準であり得る。条件は、好ましい実施形態では、収集方法により対処される医学的質問に回答するのに十分な文脈説明生体指標データが得られるのを保証するために提供される。例えば、所定数の有効な標本が得られる、または標本内の変動が所定の閾値を下回る方法で。それゆえに、収集手続70の終了日時は動的であり、退出基準228の所定の条件が満たされなければ、プロセッサ102により自動的に変更されてもよいことを理解すべきである。同様に、退出基準228の条件は動的であり、例えば特定の順守基準224が満たされるまたは満たされなければ、プロセッサ102により自動的に変更されてもよい。例えば、一実施形態において、特定の収集事象237のための順守基準224が満たされれば、プロセッサ102は、第1の退出基準を使用するように指示され、満たされなければ、プロセッサ102は、第1の退出基準と異なる第2の退出基準を使用するように指示される。従って、退出基準228が満たされるまで、構造化収集手続70の終了日時は、将来の未知の時間であり得る。別の実施形態において、退出基準228は、患者データが収集された後に、履歴患者データについて評価され得る。
【0097】
進入基準226及び退出基準228並びに順守基準224は、各収集事象237を有効活用する、及び/または医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立たない不要な収集での試験紙30の消費を低減するために、事象の工程222を実行するために必要とされる受け入れ可能な条件、値、構造、及び文脈の1つ以上を定義することにより、構造化収集手続70を実行する時間及び収集に関連する費用を低減するのに役立ち得ることを理解すべきである。以下では、図6A〜6Eへの参照がなされる。
【0098】
構造化収集手続例
図6A〜6Eは、構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dの例を示し、関連技術の当業者により上記の装置18、24〜26、28、36、52のいずれか1つに実行されてもよい命令コードに容易に変換され得る機能を示す。それゆえに、簡潔のために、示される機能に関連する擬似コードまたは実コードに関して、説明は与えられない。
【0099】
図6Aは、糖尿病患者から文脈説明生体指標データを得るために使用される構造化収集手続70aの実施形態を図式的に示す。横軸は、様々な事象237の実行時間238を示し、縦軸は、順守基準224を値なしで示す。示される実施形態において、事象237は、食事248及び睡眠250に関する記録情報と、5つの生体指標採取254に文脈252を提供するために、事象の工程222の一部である事象237を含み得る。この例において、食事248のための順守基準224は、最小値より大きく、例えば糖質量の値であり得る。進入基準226は、例えば特定の値を上回る生体指標値を含み、例えば構造化収集手続70aを開始するために文脈付け要件を満たすように要求される。退出基準228も同様に、特定の値を下回る生体指標値を含み、構造化収集手続70aを終了するために文脈付け要件を満たすように要求される。構造化収集手続70は、多数の医学的使用事例に対処するのに役立つ。
【0100】
GLP1構造化検査手続
例えば、いくつかの疫学研究は、食後糖(PPG)値の上昇が、心血管死亡及び2型糖尿病(T2D)での死亡の有意な予測因子であることを確認した。このため、高食後bG値を示すT2Dに処方され得る、週1回長時間作用型グルカゴン様ペプチド−1(GLP1)薬群がある。これらのGLP1薬は、インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することにより、血糖調節に重要な役割を果たす天然ホルモンGLP−1と同様である。それゆえに、構造化収集手続70が、一実施形態で提供され得る。構造化収集手続70は、1回以上の食事の後でのbG値の集中的な測定により、測定食後bG値の低減を使用して治療効果が示されるのを可能にすることを提案する。その測定値に基づき、GLP1薬の推奨投与量及び/または特定のGLP1薬が患者に対して適切な薬かどうかが決定され得る。
【0101】
例えば、患者が特定の薬、例えばGLP1薬を投与するように処方されると、構造化収集手続70は、収集装置24に提供され得る。GLP1薬の場合に、薬効の決定が望ましいが、構造化収集手続のための進入基準226は、患者が期間に渡って(例えば、次の4〜24週間)構造化収集手続70を実行するためにディスプレイ108に表示される質問に応じてプロセッサ102に賛同しなければならないこと、及び/またはプロセッサ102が患者の、期間(例えば、週、月等)に渡る、先の食後bG値からの平均PPG値が高い(例えば、141mg/dlより大きい)と決定したことであり得る。さらに他の要因、例えば所定の値、例えば126mg/dlより大きい、または所定の値、例えば240mg/dlより小さい空腹時血糖は、進入基準226として使用され得る。
【0102】
進入基準226の条件が満たされ、プロセッサ102により確認された後に、事象の工程222は、プロセッサ102により自動的に実行される。事象の工程222は、希望する収集事象237を指定するだろう。プロセッサ102は、患者に朝食、昼食、及び夕食の後に食後bG値を入力する(即ち、測定エンジンにより読み取られ、データ記録への格納及び表示のためにプロセッサに提供される、試験紙に提供される標本でbG測定を行う)ように自動的に促すだろう。処方する医師によりカスタマイズされるように、事象の工程222はまた、患者が薬を投与しなければならない実行時間238を有すると共に、投与量の合図及び薬が投与されたときの患者からの確認の要求240を提供するための収集事象237を定義できる。例えば、事象の工程222の実行におけるプロセッサ102は、事象の工程222内の収集事象237により指定される時間に投与量、例えば週の所定の日にタスポグルタイドを10mg、一定期間後に第2の間隔、例えば4週間に従って第2の投与量、週の所定の日に20mgを投与するように、患者に自動的に促すだろう。収集事象237はまた、事象の工程222内で定義され得る。プロセッサ102は、ディスプレイ108に、患者は体調がよく、エネルギー値を提供し、摂取される食事の量の値を提供するかどうか等の情報の要求を行う。
【0103】
各入力された食後bG値の順守の条件は、順守基準224の使用を介して提供され得る。任意の食後bG値は、指示の前後の時間を入力(即ち、測定)する。例えば±30分の検査ウィンドウを入力するが、そのような測定値は、プロセッサ102による事象の工程222の有効な測定値として受け入れられないだろう。一実施形態において、プロセッサ102は、それにより自動的に行われる順守基準224評価に基づき、さらなる行動を自動的に取ることができる。例えば、bG測定が、事象の工程222内の収集事象により指示される測定の前、かつ規定の検査ウィンドウの外、例えば収集事象時間−30分に行われた場合に、その場合におけるプロセッサ102は、以前の測定は検査ウィンドウ外により受け入れられなかったので指示される時間に測定が依然必要とされることを、患者に自動的に通知する。同様に、検査ウィンドウの後、例えば収集事象時間+30分に行われた場合に、プロセッサ102は、以前の測定は検査ウィンドウ外により受け入れられなかったことを、患者に自動的に通知し、検査ウィンドウ内に測定を行うように努めるよう励ましの言葉を、ディスプレイ108に提供できる。
【0104】
GLP1構造化収集手続70の退出基準228は、平均bG値が、最低限の時間(例えば、日、週、月等)、受け入れ測定値の最低限の数、またはその両方を使用して、希望する値に達したという指示であり得る。同様に、退出基準228は、平均bG値が、最大限の時間(例えば、日、週、月等)、受け入れ測定値の最大限の数、またはその両方の後に、希望する値に達しなかったという指示であり得る。さらに、退出基準228は、薬または投与量が患者にまったく適切でない、例えばプロセッサ102によりディスプレイ108に促される情報の収集事象に応じて、最低限の日数の毎日、患者が吐き気及び/または嘔吐を催すことを示す、他の要因であり得る。さらに他の要因、例えば空腹時血糖が所定の値、例えば126mg/dlより小さい、または所定の値、例えば240mg/dlより大きいことは、退出基準228として使用され得る。薬ベースの構造化収集手続70から収集されるデータは、GLP1薬の推奨投与量を作成する、及び/または特定のGLP1薬が適切な薬であるか、患者に適さないかを決定するために、医師により使用され得る。
【0105】
別の例が、図6Bに図式的に示される。その例は、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70bを示し、その手続がインスリン対糖質(I:C)比の適性を決定するのに役立ち得ることを示す。示されるように、進入基準226は、インスリン投与量は現在のI:C比で計算されることを注意するために、即効性の食事(fast-acting meal)を選択する案内230を患者に単に認識させると共に、検査期間に運動や追加の食物またはインスリンの摂取をしないように同意するように定義される。例えば、プロセッサ102は、ディスプレイ108に案内230を提示でき、ユーザは、一読した後に、希望する進入選択のためにユーザインターフェース146を使用して「イエス」または「ノー」を入力することを認識できる。ユーザが「イエス」を入力すれば、進入基準226は満たされ、プロセッサ102は、構造化収集手続70bに定義される事象の工程222を自動的に開始する。別の実施形態において、進入基準226は、即効性の食事を選択するための要求237を満たすことであってもよいし、満たすことを含んでもよい。例えば、選択のための要求237は、プロセッサ102がディスプレイ108に、ユーザインターフェース146を介する選択の入力が必要とされる、即効性の食事のリストを提供する選択メニューを表示することであり得る。例えば、即効性の食事の選択は、ボタン147、149の1つの押下を介して、またはディスプレイ108により提供されれば、タッチスクリーンインターフェースを介して行われてもよい。その選択は、収集装置24のメモリ110に、例えば構造化収集手続70bのためのデータファイル145(図4)の一部であってもよいセットアップデータ163(図4)に格納され得る。代替の実施形態において、特定の即効性の食事は、構造化収集手続70bにより推奨されてもよい。
【0106】
示されるように、事象の工程222は、示される複数の事象237a〜k等の、関連実行時間238a〜k及び行動240a〜kの要求を有する1つ以上の事象を含み得る。示されるように、行動240a〜c及び240f〜kの要求はユーザがbG値測定を行う要求であり、要求240dはインスリン投与を行うことであり、要求240eは即効性の食事を摂取することである。事象238f〜kは、順守事象224を有することも示される。順守基準224は、事象238f〜kのデータがデータファイル145に記録される場合に満たされなければならない。この例において、順守基準224は、対応する事象237f〜kに対して受信された値を記録するデータ記録152が収集手続70bを完了するのに考慮されるように、行動240f〜kが対応する実行時間238f〜kの20分以内に完了されることを要求する。一実施形態において、プロセッサ102は、要求が行われる時間に結果として生じるデータ値、例えばデータ値256a〜k(図4)を得るために、要求240a〜kの各々を関連実行時間238a〜kに行うだろう。
【0107】
例えば、プロセッサ102は、要求240aを有する患者12に、実行時間238aにbG値(生体指標)測定を行うように促すことができる。結果として生じる測定値は、プロセッサ102により、例えば希望する生体指標のために試験紙(バイオセンサ)140を読み取った後に、測定エンジン138から自動的に受信されると、プロセッサ102によりデータファイル145に、関連事象237aに対応するデータ値256aとして自動的に記録される。行動240d及び240eについて、要求される時間に、プロセッサ102は、患者12に、要求される時間に規定される行動を行うように自動的に促し、再び患者に、要求される行動が行われたこと、または規定される状態が有効にされたことを確認するように自動的に促すことができる。日時印169はまた、要求240a〜kの誘発時、要求240a〜kの確認時、事象237a〜kの完了時、事象237a〜kのデータ値256a〜kの受信時、及びそれらの組み合わせで、プロセッサ102により自動的にデータ記録152に提供され得る。さらに、別の実施形態において、患者12は、データをユーザインターフェース146を介して装置24に直接入力することにより、1つ以上の事象237a〜kのデータ値256a〜kを記録でき、また他の実施形態において、音声メッセージを後のデジタルデータへの転写のための情報と共に記録できる。プロセッサ102は、入力されたデータ値/情報を事象237a〜kに関連するデータ記録152に格納する。さらに他の実施形態において、患者12は、紙ツール38を使用して事象237a〜kのデータを記録するために、収集装置24により案内され得る。
【0108】
上記のように、各事象237は、生体指標値の記録、または生体指標値のための文脈を作成するために必要な、患者の行動の要求であり得る。示される実施形態において、事象237a〜cを完了するための文脈252は、食前の基準値(baseline)及び無傾向状態(no-trend condition)を規定し、事象237f〜kについては、食後の偏位(excursion)及び末尾(tail)を規定することである。これらの事象のための文脈252はまた、文脈情報156(図4)として、各事象に対応するデータ記録152と関連付けられてもよい。その情報は、後で、データを再構成するとき及び/またはデータ記録が作成された文脈を知りたいときに役立つ。
【0109】
患者の行動240a〜kの要求の他に行われる患者の任意の行動はまた、プロセッサ102により記録され得るが、プロセッサ102により収集手続70bの一部として認められないことを理解すべきである。予期される事象237a〜kのデータ256a〜kは、事象の型、事象の時間、事象の誘因、及びそれらの組み合わせに基づいて識別され得る。実行時間238a〜kの各々は、先のデータに基づき、固定または可変であり得る。他の実施形態における事象237a〜kのいくつかはまた、過去、現在、または将来の食事、運動等の事象、または低血糖事象、高血糖事象、または関心のある具体的な値のデータ等のデータ値であり得る。いくつかの実施形態において、事象237a〜kは、手続ベースの紙ツール38を介して識別され得る。
【0110】
示されるように、構造化収集手続70bは、退出基準228の条件が満たされれば終了するだろう。この例において、退出基準228は、行動240f〜kの少なくとも3つが順守基準224を満たせば満たされる。例えば、プロセッサ102は、実行されかつ要求されれば順守基準224が満たされる各事象237a〜kに、データファイル145で一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167(図4)を提供してもよい。図4に示される実施形態において、事象237a〜c及び237e〜kは、一意の識別子を受信するが、事象237d、例えば<null>は、関連順守基準(不図示)を満たさないので受信しない。さらに、分析論理258及び結果として生じる推奨260はまた、構造化収集手続70bで提供され得る。プロセッサ102は、構造化収集手続70bを、一実施形態では退出基準228を満たすときに収集されたデータに自動的に適用してもよい。同様の特徴がまた、図6C及び6Dにより示される例に提供される。図6Cは、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70cを示し、その手続が食事開始に対するボーラス投与の適性を決定するのに役立つことを示す。同様に、図6Dは、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70dを示し、その手続が糖質摂取に相当する運動の適性を決定するのに役立つことを示す。上記の例に加えて、他の様々な医学的使用事例、例えば次の医学的使用事例に対処するために、他の構造化収集手続が設計されてもよい。患者の生体指標値での特定の食物を摂取する効果を決定する、食前及び/または食後に薬を服用する最善の時間を決定する、及び患者の生体指標値での特定の薬の影響を決定する。さらに他の構造化収集手続が提供され得る。その構造化収集手続は、患者への治療を初期化する最善の方法、患者の病気の進行の状態の決定を行うこと、患者の治療を最適化する最善の方法を見付けること等に関する質問に対処するのに役立つかもしれない。例えば、臨床医14は、所定の構造化収集手続70を定義及び/または使用できる。その構造化収集手続70は、患者の治療に効果があるかもしれない要因を調べる。その要因は、例えばストレス、月経周期、暁前効果、背景インスリン、運動、食事に対するボーラス投与時期、基礎率、インスリン感受性、食後行動等を含み得る。
【0111】
図6Eは、1つ以上の多数の採取分類262を含み、各採取分類が進入基準226及び退出基準228の間に提供される反復的な事象の工程222を含む、構造化収集手続70の図を示す。この例において、事象の工程222は、毎日の一貫した時間に発生する1つ以上の事象237を含む。糖尿病患者12から文脈説明生体指標データを得る過程の構造化収集手続70は、退出基準228が満たされる前に、多数の日、週、及び/または月に及び得るので、パラメータ調整等の1つ以上の確認264及び/または採取分類262を再実行するかどうかの評価はまた、一実施形態では進入基準226及び退出基準228の間に提供され得る。確認264の間の期間は、生理系平衡(physiological system equilibration)、治療効果の評価、または便宜のために使用され得る。例えば、各採取分類262の間または所定数の採取分類262の後に(図示)、収集手続70の任意のパラメータの調整が必要かどうかを決定するために、確認264の分析がプロセッサ102により行われ得る。
【0112】
例えば、その分析は、パラメータ最適化または効果評価のためであってもよい。パラメータ最適化について、プロセッサ102は、以前の事象の工程222または採取分類262で提供された標本で、先の最適化、臨床医による設定のパラメータ、及び収集戦略または治療戦略からの情報を使用して計算を実行でき、新たなパラメータ値を推奨する。効果評価について、プロセッサ102は、最適化分析により利用されないデータを評価できる。さらに、標本の群、即ち採取分類262が得られた後に、プロセッサ102はまた、採取分類262からのデータを、例えばそのデータが人の治療を変更/最適化するために必要とされる場合に評価できることを理解すべきである。順守基準は、この評価を行うために、採取分類262のデータに適用され得る。例えば、第1の順守基準224は、プロセッサ102により、最低限のデータが採取分類262により提供されるかどうかを評価するために使用され得る。提供されなければ、例えば患者の治療の変更/最適化は行われないだろう。別の順守基準224は、データの多様性(spread)、過度の変動性(variability)(ノイズ)やデータを使用する他のデータ属性があるかどうかを調べる等の確認264に求められる調整を可能にするために、データが受け入れ可能かどうかをプロセッサ102が評価するのを可能にし得る。この例において、順守基準を満たせば、プロセッサ102は、手続のパラメータを調整することが重大な事象、例えば高血糖事象または低血糖事象を容易にもたらし得る最小限の危険があると評価する。最後に、順守基準は、プロセッサにより、採取分類のデータに基づき、退出基準を評価するために使用され得る。例えば、採取分類262からのデータが、例えば上述の採取分類の順守基準を満たすときに、退出基準は満たされる。
【0113】
収集戦略または治療戦略は、目盛り(scale)ベース(変動または固定)評価または式ベース評価に分類され得ることを理解すべきである。収集戦略または治療戦略への入力として、プロセッサ102は、一実施形態では、所定数の先の採取分類262から収集されたデータを利用できる。このデータは、個々の点として(式ベースの収集戦略または治療戦略だけ)、または目盛りベース評価での使用のために選別と組み合わされて使用され得る。別の実施形態において、例えばプロセッサ102により行われる確認264の結果はまた、プロセッサ102により提供される状態または推奨をもたらし得る。その状態または推奨は、例えば現在のパラメータ値を持続する状態、特定のパラメータを変更する推奨、順守基準及び/または退出基準を変更する推奨、先の事象の工程または先の採取分類からのデータで行われた分析に基づいてプロセッサ102が第2の順守基準及び/または退出基準に切り替えた状態、または収集手続を終了させる推奨等であってもよい。本発明の実施形態に従って構造化収集手続を使用して構造化検査方法を実行する説明は、図7Aを参照して、以下に与えられる。
【0114】
構造化検査方法
図7Aは、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法300を示す。方法300は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータで実行されるプログラムの命令コードとして、例えば好ましくは臨床医コンピュータ25(図2)のスタンドアロンソフトウェア、ソフトウェア34の一部、または公衆網50を介して安全なウェブ実装によりサーバ52によりサービスとして提供されるソフトウェアとして実装されてもよい。プロセッサ76が、臨床医コンピュータ25のメモリ78からプログラムを複数あるうちの一機能として実行するとき、プロセッサ76は、医学的使用事例及び/または医学的質問への問い合わせを受信した後、ステップ302で提出された問い合わせに一致する全構造化収集手続70a〜dを求めて、メモリ78、コンピュータ読み取り可能媒体40、及び/またはサーバ52を検索する。例えば、プロセッサ76は、各利用可能な構造化収集手続70a〜dの医学的使用事例パラメータ220を読み取り、従来の検索アルゴリズム(例えば、リスト、ツリー、ヒューリスティクス等)を使用して、一実施形態では、ステップ304で問い合わせに一致する構造化収集手続の選択肢をディスプレイ82に提供してもよい。
【0115】
一実施形態において、表示されるリストは、例えばサーバ52から使用に利用可能な構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dを反映できる。さらに別の実施形態において、表示される選択肢のリストは、臨床医14が調査したい医学的使用事例の型に基づき、動的に作成され得る。例えば、ステップ302の前に、選択可能な医学的使用事例のリストが、プロセッサ76によりディスプレイ82に表示され得る。その実施形態において、臨床医14は、ユーザインターフェース装置86を使用して、表示される医学的使用事例から、例えば医学的使用事例「患者の治療への食事効果を決定する」を選択してもよい。臨床医が選択を行った後に、プロセッサ76は、その選択をユーザインターフェース装置86から入力として受信するが、プロセッサ76は、ソフトウェア34により提供される決定論理(例えば、もし・・・ならば・・・)を使用した後に、ステップ304で、例えば構造化収集手続70b(例えば、より正確なインスリン対糖質比を決定するための構造化収集手続)及び70c(例えば、食事開始に対するボーラス投与時期を決定するための構造化収集手続)を表示し、医学的使用事例に関係のない構造化収集手続である構造化収集手続70a及び70dは表示しないだろう。同様に、「全構造化収集手続を表示する」はまた、表示される医学的使用事例の選択肢であり得る。利用可能な構造化収集手続の完全なリストが、ステップ304で表示されるだろう。別の実施形態において、ステップ302は省略されてもよい。プロセッサ76は、ステップ304で臨床医コンピュータ25のメモリ78で利用可能な構造化収集手続70a〜dの表示を提供できる。
【0116】
ステップ306では、ユーザインターフェース装置86を使用する臨床医が、診断支援または治療支援のためにコンピュータ25で構造化収集手続70を選択できる。例えば、選択過程は、ステップ304で表示されるリストからの選択を含み得る。その選択は、1つ以上の構造化収集手続を提供する。
【0117】
臨床医がステップ306で選択を行った後に、プロセッサ76はその選択をユーザインターフェース装置62から入力として受信するが、コンピュータ25のプロセッサ76は、コンピュータメモリ78等の電子コンポーネント、サーバ52、またはコンピュータ読み取り可能媒体40から自動的に検索し、選択された構造化収集手続70をディスプレイ82に閲覧のために表示する。
【0118】
各構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dは、医学的使用事例に基づき、進入基準226、事象の工程222、順守基準224、及び退出基準228を定義するパラメータを有することを理解すべきである。上記のように、進入基準226は、患者から生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程222の各事象237は、実行時間、事象を実行するための患者の案内、患者の行動、患者からの情報の要求、患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求、及びそれらの組み合わせを含む。順守基準224は、事象の工程222に従って実行される事象237が、構造化収集手続70の基礎となる医学的使用事例に対処するために受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。さらに、上記のように、退出基準228は、構造化収集手続70を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【0119】
ステップ310では、プロセッサ76が選択される構造化収集手続70を表示した後に、臨床医14が、患者12の必要及び/または臨床医の関心を満たすために、ディスプレイ82に表示されるパラメータ222、224、226、及び228のいずれか1つを調整してもよい。臨床医14だけがパラメータを修正及び/またはソフトウェア34を実行できることを保証するために、例えばパスワード保護による安全装置が実装されてもよい。プロセッサ76は、ユーザインターフェース装置86を介して入力としてパラメータ222、224、226、及び228への任意の修正を受信し、修正された構造化収集手続70をメモリ78に保存する。次に、ステップ312では、選択された構造化収集手続70が臨床医14により患者12にコンピュータ25で指示される。コンピュータ25のプロセッサ76は、出力として選択された構造化収集手続70を、それを実行する患者12に提供する。例えば、ステップ314では、指示された構造化収集手続70が、収集装置24等のプロセッサベース装置または他の上記の装置18、28、及び36(図1)のいずれかに、ソフトウェア34の一部として、また他の実施形態では紙ツール38の一部として、電子的に実装される。
【0120】
一実施形態において、指示された構造化収集手続70は、臨床医コンピュータ25(図2)から収集装置24に通信回線72を介して、ウェブページを通じて公衆網50を介して実行されてもよいし、サーバ52でダウンロードに利用可能にされてもよい。さらに他の実施形態において、指示された構造化収集手続70は、コンピュータ読み取り可能媒体40を通じて提供され、装置18、24、28、及び36の1つによりロードされ、装置18、24、25、26、28、及び36の別の1つからダウンロードされ、またはサーバ52から携帯電話接続または電話接続を介してダウンロードされ得る。装置18、24、25、26、28、及び36で使用に利用可能な新たな/更新された/指示された構造化収集手続70は、郵便の手紙/カード、電子メール、テキストメッセージ、ツイート等の任意の標準的な方法で提供されてもよい。
【0121】
構造化収集手続をカスタマイズ
図7Bは、所定の構造化収集手続70の一例を概念的に示す。構造化収集手続70は、その手続が患者の血糖(bG)値の傾向及び/または血糖値と時刻、食事量、エネルギー値との間の関係を知る必要がある医学的使用事例または医学的質問に役立つことを示す規定の医学的使用事例パラメータ220を有する。上記のように、使用事例パラメータ220は、識別タグとして使用され得る。プロセッサ102は、例えば入力された使用事例または質問の検索問い合わせに応じて、関連構造化収集手続70を検索してもよい。例えば、検索問い合わせは、ユーザインターフェース146を介して収集装置24に入力及び/または臨床医コンピュータ25から受信され得る。検索問い合わせは、どの使用事例が収集装置24で現在利用可能な構造化収集手続70により対処され得るか知りたい、またはどの構造化収集手続70が特定の使用事例または質問に対処するのに役立つか知りたいという欲求から生じてもよい。それゆえに、使用事例パラメータ220は、一実施形態では、構造化収集手続70が、例えばメモリ110、メモリ78、コンピュータ読み取り可能媒体40、及び/またはサーバ52に提供される複数の構造化収集手続70a〜dから、例えばプロセッサ102により提供され、ディスプレイ108に表示されるリストから、または規定の医学的質問のユーザインターフェースからプロセッサ102により受信される入力からの選択に基づき、プロセッサ102により自動的に選択されるのを可能にする。他の実施形態において、使用事例パラメータ220はまた、構造化収集手続70がまたbG値と時刻、食事量、エネルギー値との間の関係を示すのに役立つことを示してもよい。
【0122】
一実施形態において、構造化収集手続70の所定のパラメータは、修正/カスタマイズのために、収集装置24のプロセッサ102によりディスプレイ108に、及び/または臨床医コンピュータ25のプロセッサ76によりディスプレイ82に認可されたユーザにより表示され得る。認可されたユーザは、例えば収集装置24及び/または臨床医コンピュータ25で、ユーザインターフェース146、86を介して入力されるパスワードにより識別されてもよい。実施形態において、構造化収集手続70の所定のパラメータは、ディスプレイ108、82に表示され得る。カスタマイズ可能なパラメータは、様々な選択肢を有するドロップダウンボックス、ラジオボタン、チェックボタン、具体的な型の情報(mm−dd−yyyy、数、文字等)を要求する書式付きフィールド、表示されるメッセージを入力するためのテキストボックス等を介して、編集可能または選択可能な変数を提供できる。構造化収集手続70は、編集のために、一実施形態では表形式で(図示)、また別の実施形態ではスクロール形式で一度に一パラメータを列挙する逐次的方法で表示され得る。さらに別の実施形態において、修正され得ない構造化収集手続が提供され得る。
【0123】
図7Bに示されるように、構造化収集手続70は、患者12により、構造化収集手続を開始するために満たされる必要がある条件、即ち進入基準226、構造化収集手続を終了するために満たされる必要がある条件、即ち退出基準228、及びそれらの組み合わせを設定する1つ以上の基準を定義するパラメータをさらに含んでもよい。一実施形態において、収集装置24のプロセッサ102は、構造化収集手続により定義される条件が満たされれば、構造化収集手続を自動的に開始、評価、及び終了するために、1つ以上の基準を使用する。さらに別の実施形態において、収集されたデータが受け入れられるために満たされる必要がある条件である順守基準224はまた、構造化収集手続70で提供され得る。
【0124】
図7Bに示されるように、構造化収集手続70は、事象の工程222を形成する1つ以上(集合)の事象237を定義するパラメータをさらに含む。事象237の各々は、1つ以上の要求240、例えばバイオセンサ140に提供される標本のための生体指標値の測定エンジン138からの測定値の要求、及び/または例えばプロセッサ102によりディスプレイ108に提示される質問に応じてユーザインターフェース146を介して患者により入力される情報の要求を含む。示される実施形態において、要求240は、bG測定値、食事量の値(S、M、またはL)、及び1が最低で5が最高であるエネルギー値(1、2、3、4、5)に対するものである。他の要求240は、患者が運動したかどうか、摂取された特定の食物、どの薬が投与されたか、投与された薬の量等を示すことを含み得る。他の要求240はまた、他の構造化収集手続70で提供されてもよい。示される実施形態において、収集事象は、プロセッサ102がどの要求240を行うべきかをイエス/ノー選択ボックスを介して選択することにより、カスタマイズされ得る。
【0125】
構造化収集手続70はまた、収集事象237の各々並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224と関連する案内230及び時期または実行時間238を含んでもよい。案内230は、関連収集事象237または他のパラメータの発生時に、プロセッサ102によりディスプレイ108に提供される。例えば、朝食前のbG測定のための収集事象237はまた、患者のエネルギー値の要求240を有してもよい。それゆえに、この例において、「エネルギー値を示してください」という関連案内230は、ディスプレイ108にプロセッサ102により提供される。案内230は、構造化収集手続70の実行時に患者を支援するために、情報が患者に提供されるのを可能にするテキストボックス、フィールド、エリアであることを理解すべきである。この例において、1〜5からの数字の選択は、要求237のためのデータ入力として、ボタン147,149の1つの押下を介して、またはディスプレイ108により提供されれば、タッチスクリーンインターフェースを介して行われてもよい。その数字は、プロセッサ102により収集装置24のメモリ110に、構造化収集手続70のためのデータファイル145(図4)の一部として格納される。
【0126】
構造化収集手続70の時期パラメータ238は、関連収集事象237のいずれか1つについて、進入基準226、退出基準228、及び順守基準224、具体的な日付及び/または時刻(mm−dd−yyyy、hh:mm)、または先行する収集事象の後の、関連収集事象を実行するための期間を指定するために使用される。示される実施形態での収集事象237のための期間n1、n2、n3は時間を示すが、他の実施形態では、分または秒で示され得る。別の実施形態において、関連収集事象237並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224のための、時期パラメータまたは実行時間パラメータ238は、別の収集事象及び/または基準により修正され得る。
【0127】
例えば、示される実施形態において、進入基準226は、質問「3連続日に渡って検査を行う意思はありますか?」の形式で提供される案内230が、例えば収集装置24で提供される選択肢「ノー」を介して、患者12により賛同されなければ、1日追加することにより、順守基準224により修正される。この示される例において、「案内に賛同する」は、関連収集事象237の順守基準224をカスタマイズするためにコンボボックスに提供されるドロップダウン選択肢であってもよい。その選択肢は、選択されると、プロセッサ102に、順守基準224の残りの論理(「賛同されなければ、時期に1日追加する」)を実行する前に、受け入れる/受け入れないかの入力(例えば、ボタン147、149を介して)を待機させる。さらにこの例において、プロセッサ102は、退出基準228に関連する順守基準224で提供される論理に従って、退出基準228の時期パラメータまたは実行時間パラメータ238を、進入基準226を完了してから3日後である日付(mm−dd−yyyy)に設定できる。構造化収集手続70により実行されてもよい論理命令文(logic statement)の様々な可能な組み合わせは、一実施形態では、カスタマイズされるために事前に定義され、ドロップダウンボックスにより選択され、及び/または論理命令文は、別の実施形態では、構築され得ることを理解すべきである。
【0128】
構造化収集手続70はまた、収集事象237の各々並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224の各々と関連するオプションパラメータ232を含み得る。オプションパラメータ232は、関連収集事象237のデータ及び/または結果、または構造化収集手続70の他のパラメータのいずれか、例えば進入基準226、退出基準228、及び順守基準224が、条件が満たされればさらなる処理がプロセッサ102により実行されてもよい方法で、特定の条件を満たすかどうかを管理するために、カスタマイズ可能な値を有し得る。例えば、オプションは、プロセッサ102に、進入基準226を満たしたことにより患者が構造化収集手続70を開始したことを示すメッセージを医師に自動的に送信させること、順守基準を満たさないことにより患者が収集事象237を実行しなければ、メッセージを患者及び/または医師に提供すること、退出基準が満たされて患者が構造化収集手続70を完了すると、メッセージを医師に提供すること、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、オプションパラメータ232は、行動の全体リスト(global list)を有し得る。行動は、ディスプレイ108上で、例えば各オプションに関連する値域から選択された値により選択される。例えば、各パラメータのオプションは、オプション選択肢(例えば、1、2、3、4、5、…、A、B、C等)を有するドロップダウンボックスから選択することによりカスタマイズされ得る。例えば、患者が収集事象237を実行しなければ(例えば、順守基準を満たさないことにより)、プロセッサ102にメッセージを医師に提供させるオプション1が、朝食前収集事象237のために選択されて示される。糖尿病患者12の文脈における例は、本発明に従って収集装置24で提供されるさらなる特徴を示すために、以下に与えられる。
【0129】
2型糖尿病の典型的な患者は、1日に1回、朝の起床後に血糖を測定してもよい。定期的な通院で、患者のHbA1c結果が上昇していると分かる。医師は、その人が3日間の強力な糖監視を経ることを推奨し、この目的に役立つ構造化収集手続を選択する。構造化収集手続70は、患者がプロセッサ102により、朝食前、朝食の2時間後(例えば、n1=2)、昼食前、昼食の2時間後(例えば、n2=2)、夕食前、夕食の2時間後(例えば、n3=2)、及び就寝前に血糖を測定するように要求され得るように、この3日間に収集事象237が多数のbG測定要求240で定義される方法で、上述のようにカスタマイズされる。さらに、患者12は、適切な時間に摂取される食事の相対量の評価及びエネルギー値に関してどのように感じるかを提供するために、各収集事象237のための他の関連する要求240を介して要求され得る。図7Bに示される実施形態において、プロセッサ102は、各収集事象237でエネルギー値を、他の各収集事象237で(即ち、食後に)摂取される食事の相対量の評価を要求できる。さらに、医師は、情報が評価で役立つために、関連収集事象237の±30分以内に食事評価を行わなければならないという条件を、順守基準224を介して提供した。その情報は、収集されたデータの文脈説明及び収集されたデータで行われる分析に役立つ。
【0130】
さらに、医師は、患者が「朝食前」収集事象237を完了しなかったときに通知を受けたいだろう。それゆえに、通知オプションを促進するために、医師は、「朝食前」収集事象に関連するオプションパラメータ232を、ドロップダウンボックスを介して「順守基準が満たされなければ、医師にメッセージを送信する」に設定することにより、構造化収集手続70をカスタマイズする。他の全収集事象237は、プロセッサ102がオプションパラメータに関して追加の行動を取らないことを示すために、関連オプションパラメータ232を有する。図7Bの上記の特徴及び配置が示される実施形態は、例えば図7Aを参照して上述された方法300のステップ310で実行されるパラメータ調整のために、構造化収集手続をカスタマイズするための単純かつ便利なインターフェース及び方法を提供することを理解すべきである。
【0131】
構造化収集手続を実装及び実行
図8Aは、本発明の実施形態に従って患者12から文脈説明生体指標データを得るために、構造化収集手続70を実装及び実行するための方法のフローチャートを示す。ステップ312で指示され、ステップ314(図7A)で実装された多数の構造化収集手続70a〜d(図2)は、装置24のメモリ110(図3)に格納され、任意の希望する時間での実行のために選択されてもよいことを理解すべきである。例えば、ボタン147、149の所定の組み合わせを押下すると、患者は、希望する構造化収集手続70a〜c及び構造化検査手続を開始する日付、即ち設定モード機能を選択できる。例えば、選択される日付範囲は、検査を明日開始し、今日から90日後に終了するものであってもよい。日付範囲は、プロセッサ102がデータファイル145(図4)にセットアップデータ163の一部として記録できる。その実行において、プロセッサ102は、ソフトウェア34により指示されるように、選択された構造化収集手続70のためのセットアップデータ163を読み込み、ディスプレイ108に、装置24が、例えば選択されて注目されている検査の開始日の前日から構造化収集手続の終了まで構造化検査モードにあることを示す。
【0132】
多数の構造化収集手続70a〜dは、順々にまたは同時にいつでも実行され得ることを理解すべきである。しかし、一実施形態において、ソフトウェア34は、別の構造化収集手続70の開始日が現在実行されている構造化収集手続70の終了日より遅ければ、ユーザが別の構造化収集手続70の予定を入れることだけを可能にする。ソフトウェア34はまた、ユーザが構造化収集手続70の予定日を無効にするのを可能にする。構造化収集手続70が予定され、ユーザが設定モード機能を再び入力すれば、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、予定日をディスプレイ108にデフォルト日として表示させる。ユーザが日付を修正せずに設定モードを終了すれば、以前の予定日は有効のままである。構造化収集手続70が開始すれば、ソフトウェア34は、ユーザが設定モードを入力するのを可能にし、プロセッサ102に現在の構造化収集手続70を中止させる。中止時に、一実施形態において、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、中止された構造化収集手続70のために収集されたデータについて、データファイル145内のデータ記録152からタグを外させる(de-tag)(例えば、一意の識別子167を無効にする)。
【0133】
ステップ316(図8a)で手続開始に達すると、プロセッサ102は、所定の使用事例または質問(例えば、使用事例パラメータ220)に対処するべく生体指標データを得るために選択された構造化収集手続70を開始するために、ステップ318で進入基準226が満たされるかどうかを評価する。ステップ320では、プロセッサ102が、構造化収集手続70のための事象の工程222内の各事象237に関連する時期238に従って、要求240を指定する。事象の工程222は、プロセッサ102により所定の文脈で生体指標データを得るために行われる生体指標データ収集の採取計画を提供することを理解すべきである。ステップ320で事象の工程222を実行するときに、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、構造化収集手続70での各事象237に対応するデータ記録152に一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167を割り当てさせる。任意選択で、各基準226、228、224はまた、必要に応じて基準がいつ満たされたのかを示すために、日時印169を提供されてもよい。
【0134】
順守基準224は、要求240に応じて受信された入力(例えば、生態指標データまたは情報)に適用され、受信された入力が順守基準224を満たすかどうかを決定する。構造化収集手続70が開始すると、構造化収集手続70で要求240に従って収集され、ステップ322で要求されれば順守基準224を満たす全データは、ステップ324でプロセッサ102によりデータファイル145内で一意の識別子167を割り当てられる(タグを付けられる)。一意の識別子はまた、収集されたデータ、例えば事象237を伴うデータ値256と、要求240と、要求240に応じた収集がプロセッサ102によりいつ受信されたかを示す日時印169とを関連付けるのに役立つことを理解すべきである。構造化収集手続70が実行されている間に、一実施形態において、ソフトウェア34は、ユーザが、発作(episode)に妨げられることなくいつでも装置24で測定を行うのを可能にする。
【0135】
一実施形態において、ソフトウェア34は、生体指標測定の合図が上記のように一定期間、例えば15分間、重要でない測定については何度でも、「スヌーズ」されるのを可能にする。別の実施形態において、ステップ320で要求240にほぼ合わせて行われる生体指標測定またはデータ入力は、ソフトウェア34により要求240に対して有効な測定またはデータ入力として設計される。プロセッサ102は、事象237に関連するデータ記録152に、生体指標測定またはデータ入力について一意の識別子167でタグを付けるだろう。生体指標測定の場合に、測定値が要求240に対して有効として受け入れられれば、ソフトウェア34は、要求240から得られたデータに文脈252を提供するために構造化収集手続70により必要とされれば、ユーザに追加の情報を入力するように促すことを、プロセッサ102に行わせる。追加の情報は、例えば1が低く、5が高い、1〜5のエネルギー値の格付け、1が少なく、5が多い、1〜5の食事量、及び30分以上を意味するイエスまたは1、30分未満を意味するノーまたは2からの運動を含んでもよい。追加の情報または文脈情報156は、ユーザインターフェース146を介して入力されると、プロセッサ102によりデータファイル145に、ステップ324で追加の情報を要求するデータ事象要求240に対して一意の識別子167と関連付けられて格納される。
【0136】
一実施形態において、構造化収集手続70により定義されるデータ事象要求240にほぼ合っていない、プロセッサ102により決定される生体指標測定は、プロセッサ102によりデータファイル145内で一意の識別子167でタグを付けられないだろう。そのことは、一意の識別子167と関連付けられていない、例えば<null>である要求240d及びデータ値256dと共に、データファイル145に示される。「収集手続にほぼ合わせて」の定義の例は、構造化収集手続70及び/またはソフトウェア34によりプロセッサ102に決定を行わせるよう指示されるように、事前に予定された時間またはスヌーズされた時間に関連して定義されてもよい。例えば、食前測定については、15分まで受け入れ可能であり、食後測定については、10分まで受け入れ可能であり、就寝前測定については、15分まで受け入れ可能である。他の定義は、他の構造化収集手続70及び/またはソフトウェア34で与えられてもよい。
【0137】
ステップ326では、プロセッサ102が、選択された構造化収集手続70のための退出基準228が満たされるかどうかを評価する。満たされなければ、プロセッサ102は、退出基準228が満たされるまで事象の工程222を実行し続ける。退出基準228が満たされたとき、収集手続70はステップ328で終了する。一実施形態において、構造化収集手続70はまた、ステップ318で進入基準226も満たされなければ終了してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、構造化収集手続70は、紙ツール38、血糖メータ26等の収集装置24に統合される糖尿病ソフトウェア34、携帯情報端末、携帯コンピュータ、または携帯電話等のコンピュータ装置36に統合される糖尿病ソフトウェア34、コンピュータに連結された装置リーダ22に統合される糖尿病ソフトウェア34、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ18、25で動作する糖尿病ソフトウェア34、インターネットを通じて遠隔から、例えばサーバ52からアクセスされる糖尿病ソフトウェア34として、実行のために構成され得る。糖尿病ソフトウェア34が収集装置24またはコンピュータ装置36に統合されると、糖尿病ソフトウェア34は、患者に食事特性、運動、及びエネルギー値等の日記情報を記録するように促すことができる。糖尿病ソフトウェア34はまた、患者に血糖値等の生体指標値を得るように促すこともできる。
【0139】
選択可能な構造化収集手続を提供するGUIインターフェース
図8Bは、収集装置24で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。グラフィカルユーザインターフェースは、収集装置で実行されると、プロセッサ102に次のステップを実行させる。ボタン147、149の所定の組み合わせを押下すると、患者12は、ステップ330でプロセッサ102により収集装置24のディスプレイ108に提供されるリスト329内の、選択のために利用可能な構造化収集手続70までスクロールできる。構造化収集手続を開始したければ、患者12は、例えばステップ332でOKボタン151を押下することを介して希望する構造化収集手続70を選択する。この例において、構造化収集手続70の進入基準226(図6)は、プロセッサ102がディスプレイ108上でユーザに表示する情報を、ステップ334で提供する。表示された情報を読み取った後に、ユーザは、ステップ336で任意のボタンを押下する。進入基準226での次の手続が、プロセッサ102により実行される。この示される例において、進入基準226の一部として、質問がステップ338でプロセッサ102により問い合わせられる。患者12が依然、構造化収集手続を開始したければ、患者12は、ステップ340でOKボタン151を選択する。さもなければ、ボタン147、149を介する他の押下は、プロセッサに、リスト329に戻って構造化収集手続70のためのセットアップ手続を終了させる。
【0140】
患者12がOKボタン151を押下した後に、プロセッサ102はステップ342で、選択された構造化収集手続70を開始する時間を設定するために、ディスプレイ108に目覚まし時計343を提供する。生体指標採取、患者情報等のために要求される全事象237は、構造化収集手続70のための事象の工程222に従って、プロセッサ102により自動的に予定を入れられることを理解すべきである。時期、値、質問等は、図7A及び7Bを参照して上述されたように、臨床医14により調整されていてもよい。それゆえに、進入基準226により許可されるように開始時間を入力すること以外に、構造化収集手続70での他のパラメータ調整は、患者12により要求されない(または、一実施形態では許可される)。
【0141】
示される実施形態において、患者はステップ344で、翌日、例えば1日目の構造化収集手続の開始時間をボタン147、149を介して調整できる。開始時間をステップ346でOKボタン151を押下することを介して確認すると、開始時間は、プロセッサ102により、構造化収集手続70のためのデータファイル145(図4)内のセットアップデータ163の一部としてメモリ110に記録される。プロセッサ102は、ステップ348でディスプレイ108に選択リスト329を表示し、進入基準226を満たすセットアップ手続を完了し、ディスプレイ108に収集装置24が構造化検査モード349にあることを示す。
【0142】
一実施形態において、多数の構造化収集手続は、順々にまたは同時にいつでも実行され、それゆえに、一実施形態において、ディスプレイ108に提供されるモード349は、どの構造化検査が実行されるかを示すことを理解すべきである。しかし、好ましい一実施形態において、ソフトウェア34は、別の構造化収集手続の開始日がユーザインターフェース146を介して現在実行されている構造化収集手続の終了日より遅くなければ、ユーザが別の構造化収集手続の予定を入れるのを可能にしない。退出基準228が満たされないことにより、現在の構造化手続が依然実行中であれば、プロセッサ102は、次の構造化収集手続の予定を自動的に変更してもよいことを理解すべきである。ソフトウェア34はまた、別の実施形態において、ユーザが構造化収集手続の予定日を無効にするのを可能にしてもよい。構造化収集手続が予定され、ユーザが設定モード機能を再び入力すれば、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、予定日をディスプレイ108にデフォルト日として表示させる。ユーザが日付を修正せずに設定モードを終了すれば、以前の予定日は有効のままである。構造化収集手続が開始すれば、ソフトウェア34は、必要に応じて、ユーザが設定モードを入力し、プロセッサ102に現在の構造化収集手続を中止させるのを可能にする。
【0143】
ステップ350では、アラーム条件351が、プロセッサ102により提供され得る。上記の手続で設定されたように、翌日(1日目という記号により示される)、前日(開始という記号により示される)。ユーザがステップ352で任意のボタン147、149、151を選択すると、プロセッサ102は、事象の工程222により指示されるように、第1の予定事象237を提供する。第1の予定事象237は、ステップ354でディスプレイ108に表示される情報353である。患者12は、ステップ356で任意のボタン147、149、151を押下して、第1の予定事象237を確認する。次に、ステップ358では、プロセッサ102が、事象の工程222により第2の予定事象を実行するように指示される。第2の予定事象は、ディスプレイ108に患者への質問359を表示することである。患者12は、ステップ360で任意のボタン147、149、151を押下して、第2の予定事象を確認する。示される実施形態において、患者は、ステップ362で、ステップ352で以前確認された目覚ましアラーム351からの分単位での朝食の開始時間を指示する。食事開始時間をステップ364でプロセッサ102にOKボタン151を押下することを介して確認すると、食事開始時間は、メモリ110に記録される。例えば、食事開始時間は、プロセッサ102により、事象237のデータとしてデータファイル144内の関連するデータ記録152に記録される。従って、ステップ366では、プロセッサ102が、患者12に、次の予定事象の時期に関する情報を合図として表示する。ステップ368では、事象の工程222により指示される次の予定事象に達すると、プロセッサ102が、ディスプレイ108に、患者が測定、例えば血糖測定を行う要求240を提供する。さらに、ステップ370では、プロセッサ102がまた、文脈情報156を測定値に提供するために、事象の工程222により要求されるように摂取される食事の量に関する情報の要求240を行う。
【0144】
上記のように、各事象について、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、事象237に関連するデータ記録152で順守基準224を満たす事象の工程222で提供される各要求240のデータに、一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167(図4)を割り当てさせる。それゆえに、構造化収集手続が実行されている間に、ソフトウェア34は、ユーザが事象の工程222の外でいつでも収集装置24で測定を行うのを可能にする。その測定は、要求240に従って行われないので、順守基準224について評価されず、データファイル内で一意の識別子167を提供されないが、日時印及びその測定値だけが提供されるだろう。そのデータは、別の分析に役立つかもしれないので、データファイル145に記録される。
【0145】
別の実施形態において、ソフトウェア34はまた、例えばステップ238で提供される生体指標測定の合図を可能にする。例えば、一実施形態において、プロセッサ102は、測定値を提供するために、合図のためのアラーム及び/または警告メッセージを、それぞれインジケータ148を介して及び/またはディスプレイ108に提供する。例えば、生体指標測定(または読み取り)を行う特定の要求240の時間238に、プロセッサ102は、少なくともメッセージ「読み取りの時間です」をディスプレイに表示することにより、患者12を促す。別の実施形態において、聴覚的アラーム及び/または触覚的アラーム(振動)が、プロセッサ102によりインジケータ148として提供され得る。例えば、一実施形態において、収集装置24は、例えば患者12により別の理由で、例えば予定外事象を実行するためにすでに電源が入れられているときに、例えば要求される測定/読み取りを行う時間帯に、または電源が切られて例えば待機モードにあるときに、指示を介して合図を提供するために起動することにより、指示を提供するだろう。別の実施形態において、提供される合図または指示は、上記のように、要求される(重要な)測定/読み取りを行う時間帯に入る所定の期間、例えば15分間、または時間帯に入る他の適切な時間、「スヌーズ」され得る。構造化収集手続70に重要と認められる測定/読み取り、例えば医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つために必要とされる、順守基準224を満たすために必要とされる、及び/またはその後の分析で何らかの決定のために必要とされる等の測定/読み取りのためのスヌーズ機能は、収集手続70により提供される時間帯を越えて、例えば要求240のための順守基準224を介して、要求240を延長しないことを理解すべきである。例えば、一実施形態において、事象の工程222内の1つ以上の事象237は、構造化収集手続70で提供されるオプションパラメータ232(図7B)の使用を介して、重要及び1次標本として事前に定義され得る。例えば、重要と指定される事象237は、逃され得ないものであるが、逃されれば、データファイル145内の別の標本で置換され得る。1次標本として指定される事象237は、逃され得ないものであり、データファイル145内で利用可能であっても、別の標本により置換され得ない。さらに別の実施形態において、スヌーズは、重要でない測定について何度でも可能である。例えば、構造化収集手続70の所定の事象237は、重要でない要求240を有すると指定され得る。その事象237は、例えばオプションパラメータ232(図7B)の1つとして提供されるオプションを選択することを介してスヌーズされ得る。この実施形態におけるオプションパラメータ232は、例えばスヌーズオプション、並びにユーザが要求240をスヌーズするために許可される選択可能な時間間隔(例えば、1〜60分等)及び選択可能な回数(例えば、1〜5等)を提供できる。さらに別の実施形態において、収集装置24は、アラームが切られるのを可能にする。即ち、インジケータ148は、合図(聴覚的、振動性)を提供する場合に、全時間帯に渡ってユーザインターフェース146を介して切られ得る。しかし、プロセッサ102は、時間帯に行われる限り、測定/読み取りを受け入れる。さらに別の実施形態において、収集装置24は、例えばディスプレイ108に提供されるスヌーズ、アラーム切断、読み取り省略等の選択可能なオプションのリストから、ユーザインターフェース146を使用して入力される選択を介してプロセッサ102により受信される読み取り省略オプションを提供する。患者12が特定の要求される測定/読み取りを行いたくないとプロセッサ102に示すと、合図/指示は提供されないだろう。読み取り省略の選択肢を選択することは、先の節で上述されたように、順守基準242が要求240を引き起こす事象237と関連付けられていれば、さらなる処理をもたらす順守基準242をもたらし得ることを理解すべきである。
【0146】
さらに別の実施形態において、順守基準224は、生体指標測定がデータ事象要求240にほぼあわせて行われることを要求できる。それゆえに、生体指標測定が順守基準224により指定される期間内に行われれば、プロセッサ102は、事象に対する測定またはデータ入力が受け入れ可能であると示すことができ、データファイル145内の生体指標測定またはデータ入力の値にタグを付ける(即ち、一意の識別子167を割り当てる)。生体指標測定の場合に、その測定値がデータ事象要求240に対して有効として受け入れられれば(即ち、順守基準224を満たせば)、事象の工程222は、構造化収集手続70により必要とされれば、例えばステップ370に関して上記したように、要求240に応じて受信された測定値に文脈情報156(即ち、文脈)を与えるために、追加の情報を入力するようにユーザに促すことを、プロセッサ102に行わせてもよい。
【0147】
文脈情報156は、ユーザインターフェース146を介して入力されると、プロセッサ102により、追加の情報を要求するデータ事象要求240に対して一意の識別子167と関連付けられて、データファイル145に格納され得る。順守基準224により定義されるようにはデータ事象要求240にほぼ合っていない、プロセッサ102により決定される生体指標測定は、プロセッサ102によりデータファイル145内でタグを付けられないだろう。そのことは、一意の識別子167と関連付けられていないデータ事象要求240d及びデータ値256dと共に、データファイル145(図4)に示される。「収集手続にほぼ合わせて」の定義の例は、順守基準224によりプロセッサ102に決定を行わせるよう指示されるように、事前に予定された時間またはスヌーズされた時間に関連して定義されてもよい。例えば、食前測定については、15分まで受け入れ可能であり、食後測定については、10分まで受け入れ可能であり、就寝前測定については、15分まで受け入れ可能である。他の定義は、事象の工程222及び他の構造化収集手続内の他の事象について、他の順守基準224で与えられてもよい。
【0148】
示される実施形態において、ユーザは、選択肢までスクロールするためにボタン147、149を使用する。選択肢は、ステップ372でOKボタン151を押下することを介して、プロセッサにより要求240に関連するデータ記録152に入力される。一実施形態において、食事量は、例えば1が少なく、5が多い、1〜5の数字範囲を介して示され得る。示される実施形態において、1が低く、5が高い、1〜5のエネルギー値の格付けに関する文脈情報156のための追加の入力は、ステップ374で要求される。追加の入力は、ステップ376でユーザインターフェース146を使用することにより要求240に対する入力を受信するプロセッサ102を介して、上記のようにデータファイル145に入力される。他の実施形態において、他の文脈情報156は、患者が運動したかどうか及び/またはどのくらい運動したかを示すものを含んでもよい。例えば、イエスまたは1が30分以上を意味し、ノーまたは2が30分未満を意味するユーザインターフェース146が使用されてもよい。示される実施形態において、退出基準がステップ368〜376を成功することにより満たされるので、構造化収集手続70は、ステップ378で終了する。プロセッサ102は、患者12が必要に応じて収集装置24で他の作業を行ってもよい方法で、リスト329を再び表示する。以下では、図9への参照がなされる。
【0149】
生体指標データを文脈説明する方法
図9は、本発明の実施形態に従って糖尿病の診断支援及び治療支援のために生体指標データを文脈説明する方法388を示す。図8A及び8Bを参照して上述された以前の実施形態において、文脈情報156は、構造化収集手続70の間に自動的にプロセッサにより要求され、関連生体指標値と共に記録されたことを理解すべきである。しかし、自動化が収集装置24で提供されない実施形態において、患者は、紙ツール38を使用し、収集データは、例えば構造化収集手続70が少なくともデータ事象値256を作成するためにステップ390で実行された後に、文脈情報156と関連付けられ得る。収集装置24によりまだ終了しなければ、例えば限られたメモリ及び処理能力を備える装置の場合に、または記録が紙ツール38で行われるときに、データは、ソフトウェア34を実行し、少なくともデータ事象値256(図4)をそれぞれのデータ事象要求240と関連付ける機能を有する装置18、25、36の別の1つに提供されてもよい。少なくともデータ事象値256のそれぞれのデータ事象要求240、日時印169、及び文脈情報156とのこの関連付けは、ステップ392で文脈説明(自己監視)データ170をもたらす。
【0150】
文脈説明データ170で、測定時の患者12の生理的状態は説明され得る。患者の生理的状態は、生体指標値に影響を与え得る。患者の生理的状態の情報は、生体指標値の理解に役立つ。生体指標データは、前回の食事、食事型、食事配分(distribution)、運動情報、睡眠の質、睡眠時間、起床時間、病気等のストレス要因等の所定の事象の文脈で収集されるので、文脈説明され得る。時間分解されたデータは、生体指標データを、構造化収集手続70の順守及び患者の生活スタイル事象等の他の情報を有する文脈で解釈することを可能にする。
【0151】
次に、ステップ394では、文脈説明データ170が、順守基準を満たす受け入れ文脈説明データ395を生成するために、順守基準224を使用して評価される。順守基準224は、データ事象値256の標準との比較の基礎を提供し、データ事象値は、受け入れられて使用されるか、拒絶されて使用されないかのいずれかであり得るので、順守基準は、一実施形態ではデータを選別するために使用され得る。
【0152】
例えば、図10は、受け入れ不可能な文脈説明データ397と混ざり合う、受け入れ文脈説明データ395の図を示す。図の縦軸は、生体指標設定値、生体指標上限値、及び生体指標下限値の形式での文脈250を含む生体指標値256を示す。図の横軸は、測定要求の実行時間238及び睡眠時間事象237を示す。点線により示されるように、実際の睡眠は、推奨される最低限の睡眠を上回っている。受け入れ文脈説明データ395は、順守基準224を満たすものである。受け入れ不可能な文脈説明生体指標データ397は、構造化収集手続70内にないか、順守基準224を満たさないかのいずれかである。受け入れ不可能な文脈説明生体指標データ397を除外することにより、受け入れ文脈説明生体指標データ395は、意思決定を向上させるのに役立ち得る。統計的手法は、追加の情報を臨床医14に伝達する形式で、受け入れ文脈説明生体指標データ395を表示するために使用され得る。統計的手法の例は、回帰法、分散分析等を含む。
【0153】
図9を参照して、別の実施形態において、ステップ394はステップ392に先行してもよい。受け入れ文脈説明生体指標データ395は、別の実施形態ではまた、糖尿病の診断支援及び治療支援のために、ステップ396で分散疾病状態評価を提供するために使用され得る。例えば、ケーブル装置のプロセッサは、確認264(図6E)に関して上述された評価を実行するために要求されてもよい。評価の結果及び/または受け入れ文脈説明生体指標データに基づき、構造化収集手続70のパラメータ226、222、224、228並びに時期238及び要求240は、例えば図7A及び7Bを参照して上述されたように、任意選択で、ステップ398で調整されてもよい。さらに、データは、ステップ400でノイズ関数を使用して特徴付けられてもよい。パラメータ調整及びノイズ関数のための別過程の実施形態に関するさらなる詳細は、後の節で与えられる。ステップ398及び400は、任意選択であるが、適用されれば、構造化収集手続70が患者12に再び指示されてもよいことを理解すべきである。2型糖尿病の病気の進行の期に関する簡潔な説明が、パラメータ調整のさらなる理解が後の節で与えられる方法で、図11を参照して以下に与えられる。
【0154】
図11は、前糖尿病410が2型糖尿病の診断の前の期間であることを示す。患者12は、食後高血糖412に移行する耐糖能異常(IGT)の症状を示す。患者は、2型糖尿病(フェーズI)414として医学的に診断される時期に、典型的に、経口単剤治療を開始する。しかし、経口単剤治療は、食後高血糖412の後期で開始できる。2型糖尿病が進行するにつれて、患者は、経口組み合わせ治療を含むフェーズII416に入る。最後に、2型糖尿病は、インスリン治療を含むフェーズIII 418に入る。1型糖尿病は、膵臓ベータ細胞がインスリンの産生を本質的に止めるので、ずっと安定した疾病状態であるが、何人かの1型患者はまた、2型糖尿病を発症する。
【0155】
パラメータ調整
図12は、(例えば、図9のステップ398で)パラメータを調整するための別の方法420のフローチャートを示す。より具体的には、関心文脈説明生体指標値422を指針ベースターゲット範囲に入れることが示される。方法420は、好ましくは、臨床医コンピュータ25で、ソフトウェア34の分析機能として、例えば完了した構造化収集手続70から収集された患者データファイル145に含まれる患者データを評価するために促進される。関心文脈説明生体指標値422は、公知の指針及び標準により提供されるターゲット範囲外に入る。構造化収集手続70の多くにおいて、臨床医により調整のために利用可能な多数のパラメータが存在し得る。それゆえに、臨床医コンピュータ25で実行される体系的手法は、関心生体指標値422を希望するターゲット範囲に入れるために取られる時間及び努力を向上させるのに役立つはずである。図2も参照して、方法420は、ステップ424でディスプレイ82で関心文脈説明生体指標値422を選択することを有する。プロセッサ76は、ステップ424で、選択されるパラメータのリストを表示するだろう。任意のパラメータが選択され得るが、この例では、臨床医により選択されるパラメータは、選択された関心文脈説明生体指標値422をターゲット範囲外からターゲット範囲内に潜在的に移動すると思われるパラメータである。パラメータの例は、ソフトウェア34により専用にされるプロセッサにより提供される薬、投与量、運動の頻度及び時間、並びに食事の頻度、時期、量、及び型の1つ以上を含んでもよい。パラメータの他の例は、メトホルミン投与量、インスリン対糖質比、基礎インスリン投与量、運動、及び食事の1つ以上を含み得る。パラメータのさらに他の例は、タスポグルタイド、アレグリタザル、スルホニル尿素、ビフアニド(bifuanides)、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、PPARデュアルα/γアゴニストの1つ以上を含み得る。
【0156】
ステップ426では、選択されたパラメータが、副作用を避ける一方で、関心文脈説明生体指標値を、例えば指針及び標準428により指定される指針ベースターゲット範囲に入れるために、アルゴリズムを使用してプロセッサ76により自動的に調整される。臨床医14は、ステップ426でプロセッサにより行われた調整を受け入れる、修正する、または取り消す選択肢を有する。
【0157】
次に、方法420は、ステップ430で、選択された関心文脈説明生体指標値422の新たな値を受信するのを待機する。新たな値が、例えば修正されたパラメータでの構造化収集手続70の2回目の実行から患者データに記述されると、プロセッサはステップ432で、新たな値を評価する。ステップ432で文脈説明生体指標値を評価した後に、プロセッサ76は、ステップ434で新たな関心文脈説明生体指標値422が指針ベースターゲット範囲内にあるかどうかを決定する。文脈説明生体指標が範囲内にあれば、パラメータ調整はステップ436で完了する。さもなければ、過程は、ステップ426でアルゴリズムを使用してパラメータを調整するのを繰り返す。
【0158】
図13は、指針ベースターゲット範囲438内に調整される関心文脈説明生体指標値422のレポート図を示す。横軸は、手続実行1、手続実行2、及び手続実行3を有する時間440を示す。縦軸は、文脈説明生体指標値の目盛り442、及び生体指標設定値、上限値、及び下限値を含むターゲット範囲438を示す。手続実行1において、第1の文脈説明生体指標値422が得られる。第1の文脈説明生体指標値422は、ターゲット範囲438外にある。手続実行1の後に、薬のメトホルミン投与量等のパラメータが調整される。手続実行2において、第2の文脈説明生体指標値422’が得られる。第2の文脈説明生体指標値422’は、手続実行1からの第1の文脈説明生体指標値よりはターゲット範囲に近いが、引き続きターゲット範囲438外にある。再び、同じパラメータが調整される。手続実行3において、第3の文脈説明生体指標値422”が得られる。第3の文脈説明生体指標値422”は、ターゲット範囲438内にある。
【0159】
方法420での調整に適する別のパラメータは、推定インスリン対糖質(I:C)比を調整する。この調整は、I:C比推定値の決定のために、食事の効果をボーラスインスリン投与量に関連付けることにより行われ得る。I:C比推定値は、食事効果を取り消すために使用される。インスリン対糖質比推定値の調整のために、所定の比率の糖質、脂質、タンパク質を含む食事、所定の摂取速度、及び人の体重に応じて調整された所定のカロリーが使用される。期待血糖範囲からの偏差が、更新推定インスリン対糖質比を計算するために使用される。受け入れ可能な範囲内の2連続測定値が、頑健なインスリン対糖質比推定値を確立するために必要とされる。推定値は、食事を省略し、期待血糖効果を検証することにより確認され得る。
【0160】
例えば、方法420での調整に適する別のパラメータは、メトホルミン等の2型糖尿病を治療するための経口薬を調整する。例えば、パラメータであるメトホルミン投与量を調整する際に、関心生体指標は、空腹時血糖だろう。メトホルミン投与量の調整は、重大な胃腸の副作用、及びまれに乳酸アシドーシスの危険を避ける一方で、空腹時血糖測定値を希望する空腹時血糖範囲に入れようと試みるだろう。この場合に、空腹時血糖測定値は、副作用に関する患者情報でさらに文脈説明される必要があるだろう。
【0161】
他の例において、方法420での調整に適する別のパラメータは、インスリン治療中の1型及び2型の糖尿病患者のために基礎インスリン放出投与量を調整する。パラメータである基礎インスリン放出投与量を調整する際に、関心生体指標は、空腹時血糖だろう。基礎インスリン放出投与量の調整は、空腹時血糖測定値を希望する空腹時血糖範囲に入れようと試みるだろう。
【0162】
方法420での調整に適するさらに他のパラメータは、投与量または薬の切り替えを調整する。例えば、パラメータ調整の実施形態はまた、スルホニル尿素、メトホルミン等のビグアニド、ピオグリタゾン塩酸塩、マレイン酸ロシグリタゾン、シグリタゾン、トログリタゾン、またはバラグリタゾン等のチアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、シタグリプチンリン酸塩、サクサグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、カルメグリプチン(carmegliptin)、またはデナグリプチン等のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤、及びそれらの組み合わせの1つ以上を調整するために構成され得る。
【0163】
方法420での調整に適するさらに他のパラメータは、エクセナチド(バイエッタ(登録商標))、NN2211(リラグルチド)、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)、AVE−0010(ZP−10)、R1583(タスポグルタイド)、GSK−716155(アルビグルタイド(albiglutide)、GSK/Human Genome Sciences)、BRX−0585(Pfizer/Biorexis)、及びCJC−1134−PC(エキセンジン−4:PC−DAC(登録商標))等のGLP−1アナログ、及びムラグリタザル、アレグリタザル、またはペリグリタザル等のPPARデュアルα/γアゴニストを調整する。具体的なパラメータ調整は、タスポグルタイドまたはアレグリタザルのために構成され得る。タスポグルタイドの特性は、Societe de Conseils de Recherches et d’Applications Scientifiques社に譲渡された、国際公開第2000/034331号「GLP−1のアナログ」に開示される。アレグリタザルの特性は、F. Hoffmann−La Roche社に譲渡された、国際公開第2002/092084号「糖尿病の治療におけるPPARα及びγ活性剤としての使用のためのカルボン酸置換オキサゾール誘導体」に開示される。ノイズは、構造化収集手続70のパラメータの調整の基礎となり得る別の要因である。ノイズは、図14及び15を参照してさらに後述される。
【0164】
ノイズ
生体指標測定でのノイズの効果をより理解するために、図14は、全ノイズの成分の関係の図を示す。示されるように、全ノイズ450は、システムノイズ452、手続ノイズ454、及び測定方法ノイズ456を含む。全ノイズ450は、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズを関連付ける関数であり、次の方程式により説明され得る。
全ノイズ=f(測定、手続、システム)
ここで、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズは、関数の成分である。図14において、横軸は時間458を示し、縦軸は生体指標値460を示す。縦軸はさらに、生体指標設定値462、上限値464、及び下限値466を示す。システムノイズ452、手続ノイズ454、測定ノイズ456、及びそれらの組み合わせのために調整された新たなノイズ特徴付け生体指標値468が示される。
【0165】
測定ノイズ456は、測定を行うために使用される収集装置24のノイズであり、収集装置のメーカにより提供される文献から直接、容易に利用可能である。測定ノイズ456は、典型的に、測定システムまたは収集装置のばらつきによりもたらされる。ばらつきは、試験紙束間の差異、収集装置間の、例えば血糖メータの目盛りの差異、及び特定の収集装置に固有の限界の差異を含む。例えば、典型的な血糖測定装置は、実際の値の100mg/dL±15mg/dL下から100mg 15%上まで、報告される測定値に差異を有する。測定ノイズ456はまた、気温、湿度、及び気圧等の環境の差異によりもたらされるかもしれない。
【0166】
手続ノイズ454は、構造化収集手続70で提供される構造化検査手続によりもたらされるノイズである。手続ノイズの寄与は、データが採取される方法、例えば構造化収集手続70のステップの大きさ、速さ、及び時期、並びに食事、運動、薬の効果、及びランシング部位の位置による標本差異等の採取方法の差異等の、そのステップの適用前の患者の活動を含み得る。
【0167】
システムノイズ452は、各個人の生理の差異によりもたらされる生体指標値のばらつきである。糖尿病等の慢性病は、食事、運動、及び睡眠等の変動生活スタイル要因により影響を受ける各患者固有の生理により、各患者で異なる形で現れることを理解すべきである。患者が糖値等の生体指標データを収集するときに、患者の生理的状態の差異は、生体指標データの臨床医による解釈を困難にし得るシステムノイズを生成し得る。
【0168】
構造化収集手続70によるシステムノイズ452及び手続ノイズ454の使用は、ある集団に固有(endemic)であることを理解すべきである。それゆえに、システムノイズ452及び手続ノイズ454のパターンを理解することにより、成分の決定は、これらのノイズ成分が計算され得る個人的手続の使用を通じて効率化され得る。例えば、全ノイズは、生体指標値の典型的な収集を行うことにより測定され得る。プロセッサ102は、メーカの文献からの収集装置24の利用可能な測定ノイズ456と、手続ノイズ454の集団(population)ベース値とを使用するときに、システムノイズ454の推定値を計算する。代替方法として、プロセッサ102は、手続ノイズ454の推定値を計算するために、具体的な規約、全ノイズ450の上記の測定値、及び利用可能な測定ノイズ456の使用を通じて、システムノイズ452を最初に計算できる。例えば、システムノイズ456を測定するための具体的な規約は、bG測定値を運動の有無で比較することにより、運動に対する患者の生理的反応の大きさを検査することであり得る。同様の規約はまた、標本測定での部位位置選択の影響、所定の食事の型及び量の影響、睡眠の差異の影響、ストレスの影響、患者の生理的反応に影響を与える他の要因を検査するために開発され得る。一実施形態において、システムノイズ452は、上記のように決定され、単一かつ短期の規約の目的のための定数として適用され、別の実施形態において、患者の生活に渡って連続的な長期の傾向を有する値として適用される。
【0169】
集団ベース手続ノイズ454は、このノイズを測定するために設計される臨床試験での規約の適用により測定され得る。例えば、最初に上記の調査参加者のシステムノイズ452を設定し、次にこの情報を使用し、測定ノイズ456と組み合わせ、具体的な調査参加者により確認される手続ノイズ454を設定するという、簡単な2段階の調査が開発され得る。多数の調査参加者に渡ってこの手続を実行することは、一般的適用のために使用され得る集団ベース手続ノイズ454をもたらす。手続ノイズの寄与は、構造化収集手続に課せられる制限により形成され得るが、除外され得ない。手続ノイズ454を制限する例は、その場その場の食事で摂取される公知の負荷の所定の食事を要求することだろう。別の例において、手続ノイズ454を測定するための臨床試験が作成される。その臨床試験は、手続ノイズを明確に低減するように変更を加えることに従って繰り返される。
【0170】
図15は、ノイズモデル化関数の作成のための方法470のフローチャートを示す。ノイズモデル化関数は、ノイズを特徴付け、それにより構造化収集手続70での基準及び事象等のパラメータを修正するのを可能にするために使用され得る。ステップ472では、例えばデータファイル145で提供される、受信データ内の関心文脈説明生体指標データ422が、例えば図12を参照して上述された方法で選択される。一実施形態において、文脈説明生体指標データは、特殊ノイズ収集手続70を使用して、または医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つように使用される構造化収集手続70を使用して収集された文脈説明生体指標データの組から収集された文脈説明生体指標データである。いくつかの実施形態において、選択された文脈説明生体指標データはまた、ステップ472で、例えば図9を参照して上述されたように、受信データ内の受け入れ関心文脈説明生体指標値を作成するために、受信データ内の文脈説明生体指標値に順守基準224を適用して選別され得る。ステップ474では、プロセッサ76が、データの組内の差異を統計的に評価することにより、文脈説明生体指標データからの測定ノイズを計算する。測定ノイズは、ランダム事象に起因する測定値について存在する差異によりもたらされる、実際のデータの組内の全ノイズの例である。
【0171】
次に、ノイズモデル化関数は、ステップ476で、文脈説明生体指標データ422、測定ノイズ456、手続ノイズ454、及び様々なデータ点での多数の生体指標値を使用し、全ノイズ関数アルゴリズムに基づいて作成される。ノイズモデル化関数の例は、3つのノイズソース間の関数関係を作成するために、ノイズ推定値を作成するための公知の測定方法、集団ベースまたは個人履歴データに基づく手続ノイズ推定値、及びシステムノイズ間での統計的共分散の使用に従う。データの組内の様々なデータ点での生体指標値は、同じ標本数を有するデータの組のノイズを推定するために、ノイズ関数と共に使用される。計算されたノイズ推定値が標本数に基づく閾値ウィンドウに等しいまたは含まれる場合に、ノイズ関数は有効であると見なされる。
【0172】
いくつかの実施形態はさらに、ステップ478で、文脈説明生体指標データ点の量及びノイズモデル化関数を使用して全ノイズを計算し、計算されたノイズ推定値を文脈説明生体指標データの測定値と比較し、それらが所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定することにより、ノイズモデル化関数を検証することを含み得る。全ノイズは、測定装置から得られる生体指標データのばらつきとして定義される。全ノイズは、特徴付けられ、最小化され、理想的には除去されるべきである。ノイズ推定値は、ノイズモデル化関数、測定方法、及び手続ノイズ値を利用して計算され、推定システムノイズ及び将来データの構造化収集手続での計算数または所定数のデータ点と組み合わせられる。計算された全ノイズ推定値は、提供データの組の測定ノイズと比較され、所与の信頼区間内での等価性が評価される。方法470の結果は、ステップ480での検証ノイズ関数である。以下では、図16A及び16Bへの参照がなされる。
【0173】
使用事例の例
本発明の実施形態により提供される上記の利点を示すのに役立つように、次の使用事例の例が与えられる。糖尿病の診断支援及び治療支援のための生体指標データの文脈説明が、関心生体指標、即ちブドウ糖を使用し、構造化収集手続を参照して後述されるが、様々な他の実施形態が、例えばトリグリセリド、コレステロール、低密度脂質、高密度脂質等の、構造化収集手続を作成し(図5A、5B、7A、及び7B)、構造化収集手続を実行し(図8A及び8B)、パラメータを調整し(図9及び12)、及びノイズモデル化関数を作成する(図15)要素からの他の生体指標に対して構成され得る。
【0174】
この使用事例の例について、図16A及び16Bは、糖尿病の評価支援及び治療支援のために生体指標データを文脈説明するために選択された実施形態の、臨床医14、患者12、及び動作500の間の様々なやり取りを示す。様々なやり取りが、臨床の設定で、在宅等の、通信を介した臨床医とのやり取りを伴う患者の設定で(図2)、生体指標データを収集する患者の設定で、最適化のための臨床医の設定で起こり得る。動作500は、紙ツール38で、糖尿病ソフトウェアを備える装置24または36で、インストールされた糖尿病ソフトウェアを操作するまたはネットワーク50を通じてサーバ52からの遠隔糖尿病ソフトウェアを操作するコンピュータ18または25で行われ得る。
【0175】
ステップ502では、臨床医14が、関心生体指標、例えばブドウ糖を選択する。関心生体指標を選択した後に、臨床医は、患者12に、糖尿病の疾病状態の分散評価を行わせ得る。糖尿病の疾病状態の現在の評価は、ステップ504でどのパラメータを調整すべきかを決定するときに、臨床医14を支援できる。臨床医は、ステップ506で患者に合わせられ得る構造化収集手続を定義し、ステップ508で進入基準が満たされることを検証する。例えば、一特定の構造化収集手続は、患者12の有効な糖質対インスリン(C:I)比を決定するために使用されてもよく、別の構造化収集手続は、患者のインスリンに対する感受性を決定するために使用されてもよい。糖質対インスリン(C:I)比の例において、進入基準は、患者が8日間の検査チャレンジを行う意思があり、それが可能であり、130mg/dLを上回る血糖値を有し、最近の低血糖事象を有しないことを保証することであってもよい。インスリン感受性の例において、進入基準は、患者が、4日間の検査チャレンジを行う意思があり、それが可能であり、150mg/dLを上回る血糖値を有し、最近の低血糖事象を有しないことを保証することであってもよい。
【0176】
任意選択で、ステップ510では、臨床医14が、動作500のシステム(例えば、臨床医コンピュータ25)に、例えば図15を参照して上で与えられたようなノイズ関数を定義するのに役立つように、ノイズ特徴付け手続を選択させることができる。いくつかの実施形態において、選択されたノイズ特徴付け手続は、ノイズ関数が収集される各生体指標値に対してノイズ依存分解能(resolution)を設定するために、患者12に、生体指標データを収集することを要求するだろう。他の実施形態において、ノイズ依存分解能は、ステップ514で患者からの生体指標データの収集なしに設定され得る。設定されれば、ノイズ依存分解能は、ステップ516で生体指標値に対する潜在的変化の重大さを評価及び提示するために、動作のシステム(例えば、収集装置24及び/または臨床医装置25)により使用される。
【0177】
ステップ518では、患者が、構造化収集手続70を実行する。例えば、図3を参照して、患者は、このステップのために携帯収集装置24に実装された構造化収集手続70を与えられて実行する。この例において、収集装置24は、ディスプレイ108、ユーザインターフェース146、生体指標値を測定するための測定エンジン138、及びデータファイル145及び構造化収集手続70を含むメモリ110を備える。構造化収集手続70は、進入基準226、退出基準228、及び順守基準224を定義する1つ以上のパラメータ、並びに1つ以上の収集事象237及び案内230、時期238及び任意選択で収集事象237の各々に関連するオプションパラメータ232を有し得る。
【0178】
患者12の有効な糖質対インスリン(C:I)比を決定する例において、案内(及び命令)230は、患者に検査を準備させるときに提供される情報及び各検査の後にすべきことについての情報を含んでもよい。患者に糖質対インスリン(C:I)比の例で準備させる情報は、検査を開始する前に少なくとも4時間は何も摂取していない、水を摂取することは許可される、最近の低血糖事象を有しない、少なくとも4時間は即効性のインスリン(食事ボーラス(meal bolus)または補正ボーラス(correction bolus))を投与していない、長時間作用型インスリン(基礎)は検査の開始の2〜12時間前に投与されなければならない、病気または異常なストレスを感じていれば検査を開始しない、検査の前または間にコーヒー、茶、食物、またはアルコールを摂取しない、午前7〜8時の間に検査を開始するように十分早く起床する、検査を開始する前に構造化収集手続の全ステップを理解する、及び検査の前に少なくとも3日間は普通に食事を摂取する、を含んでもよい。この例で要求される収集事象に従って行われる検査の後にすべきことについての情報は、低血糖事象を感じれば医師を呼ぶ、またはbGが開始時に25mg/dL内であり、これがC:I比の連続検査の3回目であり、検査が完了すれば医師を呼ぶ、を含んでもよい。
【0179】
収集装置24はさらに、ディスプレイ108に接続されるプロセッサ102、ユーザインターフェース146、測定エンジン138、及びメモリ110、並びに収集装置24に電力を供給するための電源150を備えてもよい。ソフトウェア34はまた、収集装置24に提供され、プロセッサ102により実行されるとプロセッサに次の処理ステップを行わせる命令を提供する。ステップ518では、プロセッサ102が、メモリ110から構造化収集手続70を読み込み、例えば進入基準226が満たされれば、ステップ518でその構造化収集手続を自動的に実行する。ステップ518では、プロセッサ102が、構造化収集手続70で指示される収集事象237の各々の時期238に従って、ディスプレイ108に、生体指標値の測定及び/または情報の要求240を自動的に送信する。
【0180】
ステップ518では、プロセッサ102が、送信された要求240に応じて、測定エンジン138により測定された各生体指標値またはユーザインターフェース146を介して入力された情報を、データファイル145内の関連データ記録152に自動的に格納する。プロセッサ102はまた、順守基準224を評価し、オプションパラメータ232により定義されるように、さらなる処理が必要かどうかを評価する。
【0181】
例えば、上記のC:I比の例において、患者により実行される構造化収集手続70は、次の過程を含んでもよい。最初に、予定の(かつ最初の)朝食の30分前に開始すべき毎日の検査の開始時に、患者12は、収集装置24を使用して血糖値が>130mg/dLであることを確認する。そうでなければ、プロセッサ102は、患者12に、中断して翌日再び試みるべきことを助言する。OKであれば、日時及び第1の生体指標値の糖値が、プロセッサ102により記録される。患者12は、収集装置24のユーザインターフェース146を使用して、最初の毎日の検査で使用された初期糖質対インスリン(C:I)比を記録する。次に、患者は、ユーザインターフェース146を介して、全糖質及び繊維からの糖質を記録するだろう。繊維は、プロセッサ102により、全糖質量から差し引かれ、インスリンを必要とする糖質量が示される。この糖質量は、プロセッサ102により、初期C:I比で示される糖質で除され、次に、初期C:I比で示されるインスリンを乗じられ、食事ボーラスのための新たなインスリン投与量が与えられる。インスリン投与量は、注射器具が対応する最も近い単位に、端数を切り捨てられてもよいことを理解すべきである。例えば、対応する単位が1であり、得られるインスリン投与量が1.26であれば、投与量は1単位に端数を切り捨てられる。患者12は、最初の生体指標値の収集の30分後に、収集装置24を使用して血糖値が>130mg/dLであることを再び確認する。そうでなければ、プロセッサ102は、患者12に、中断して翌日再び試みるべきことをディスプレイ108上で助言する。OKであれば、日時及び第2の生体指標値の糖値が、プロセッサ102により記録される。患者12は、プロセッサ102により、食事を摂取するように指示される。第2の生体指標値の収集から2時間後に、プロセッサ102は、収集装置24を使用して血糖値を測定する患者12に、インジケータ148及び/またはディスプレイ108を介して、日時及び第3の生体指標値の糖値がプロセッサ102により記録されるように促してもよい。
【0182】
最後に、ステップ518で、プロセッサ102は、退出基準228が満たされると、構造化収集手続70を自動的に終了する。例えば、退出基準228が満たされるかどうかを決定するために、プロセッサ102は、生体指標データの顕著な変化の重大さを評価し、ディスプレイ108に表示できる。例えば、上記のC:I比の例において、プロセッサ102は、第2の生体指標値を第3の生体指標値から差し引き、使用されたC:I比の有効性を決定する。差し引きで得られる差分が、25mg/dlより大きければ、翌日の検査に使用されるC:I比の糖質は、1単位だけ増加される。構造化収集手続70は、翌日再び、採取計画、即ち事象の工程222を繰り返す。例えば、初期C:I比が30:1であれば、最初の検査日の後に、翌日の検査のC:I比は、31:1になるだろう。同様に、差分が−25mg/dLより小さければ、翌日の検査に使用されるC:I比の糖質は、1単位だけ減少される。しかし、得られた差分が±25mg/dL以内であれば、次の検査のC:I比は変更されない。さらに、命令の例において上記のように、得られた差分が±25mg/dL以内であり、完了した検査が同じC:I比での第3の連続検査であれば、この場合に、ステップ518で退出基準228が満たされ、プロセッサ102は、構造化収集手続70を自動的に終了する。
【0183】
構造化収集手続70からのデータを使用して、臨床医は、臨床医コンピュータ25で、ステップ520で提示された変化の重大さを評価し、パラメータ変更が必要かどうかを決定できる。例えば、上記のC:I比の例において、有効なC:I比がステップ518で構造化収集手続により決定されなければ、パラメータ変更は示されてもよい。臨床医は、パラメータ変更が必要であると決定すれば、ステップ522でパラメータを調整するために、パラメータを調整するための方法(例えば、図9及び12により示される方法)を使用するだろう。例えば、ステップ524では、任意選択で、システム(例えば、臨床医コンピュータ25)の動作500が、例えばステップ522で臨床医14により必要だとして決定されれば、患者の他の生活スタイル要因を考慮する、検査での案内の増加、カスタマイズされた合図、及び追加の柔軟性を提供することにより、よりよい管理手続実行を提供できる。ステップ526では、患者12が、収集装置24を使用して調整された手続を実行する。次に、ステップ528では、システム(例えば、収集装置24及び/または臨床医コンピュータ25)の動作500が、文脈説明生体指標値410の変化を計算及び/または推定、評価し、ステップ530では、変化の重大さを評価及び臨床医14に提示する。いくつかの実施形態において、臨床医14は、上述のように、パラメータ調整を最適化するために、パラメータを調整するための方法を繰り返し得る。
【0184】
このように、上記の開示により、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置に関する実施形態が開示される。当業者は、開示された以外の実施形態で教示が実施され得ることを理解するだろう。開示された実施形態は、限定ではなく例示の目的のために提示され、発明は、以下に続く特許請求の範囲によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に慢性病の治療管理に関し、特に慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長期に渡るまたは頻繁に再発する病気は、典型的に慢性病と定義される。公知の慢性病は、数ある中でも、うつ病、強迫神経症(compulsive obsession disorder)、アルコール依存症、喘息、自己免疫疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、エリテマトーデス)、骨粗しょう症、癌、及び糖尿病を含む。慢性病は、有効な長期的治療のために、慢性病治療管理を必要とする。初期診断の後の、慢性病治療管理の機能の1つは、慢性病患者の治療を最適化することである。
【0003】
糖尿病の例において、糖尿病は、不十分なインスリン分泌、インスリン作用、またはその両方に起因する高血糖により特徴付けられるが、糖尿病は、食事、体重、ストレス、病気、睡眠、運動、及び薬物摂取等の変動健康及び生活スタイル要因と相互に作用する各人固有の生理のために、各人で異なって現れることが知られている。生体指標は、生物学的過程、発病過程、薬理反応、事象、または状態(例えば、老化、病気のリスク、発現、または進行等)の、患者から生物学的に抽出される指標である。例えば、生体指標は、病気に関連する変数の客観的測定値であり、その病気の指標または予測因子としての機能を果たしてもよい。糖尿病の場合に、生体指標は、ブドウ糖、脂質、トリグリセリド等の測定値を含む。生体指標はまた、病気そのものの測定値よりはむしろ、病気の発現またはリスクを推測するためのパラメータの組であり得る。適切に収集及び評価されると、生体指標は、患者の医学的質問に関連する有益な情報を提供できると共に、医学的評価の一部として、医学的管理として、及び/または医学的最適化のために使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糖尿病について、臨床医は、Joslin糖尿病センタ及びJoslin病院、2型糖尿病の薬理学的管理のための臨床指針(2007)、並びにJoslin糖尿病センタ及びJoslin病院、糖尿病成人のための臨床指針(2008)等の公開治療指針に従って糖尿病患者を一般的に治療する。指針は、100mg/dlより小さい空腹時血糖値等の、希望する生体指標値を指定してもよい。臨床医は、糖尿病患者の治療での臨床医の訓練及び経験に基づき、希望する生体指標値を指定できる。しかし、指針は、糖尿病患者の治療を最適化する際に使用される特定の治療に対応するためのパラメータ調整のための生体指標収集手続を指定しない。その後、糖尿病患者は、収集の構造を使用せず、生活スタイル要因を無視して、糖値を測定しなければならない。糖値の非構造化収集は、解釈文脈を欠くいくつかの生体指標測定値をもたらし、臨床医及び患者が病気を管理するのを支援する他のヘルスケア提供者への測定値の価値を低減し得る。
【0005】
再び、糖尿病の例において、定期的な収集を実行した後に、糖尿病患者は、様々な時間に異なる場所の異なる臨床医に、繰り返し同じ情報を提供するかもしれない。なぜなら、医師、看護師、栄養士、病気指導士等の、患者に治療を提供することに関与する様々な臨床医は、典型的に同じ場所にいないからである。その情報は、例えば収集された生体指標データに文脈を与えて、臨床医が診断及び/または最適化の決定を行うのを支援するために、慢性病管理に重要ではあるが、その情報を手書き及び/または口頭で繰り返し提供することは、糖尿病患者をイライラさせ得る。さらに、患者は、慢性病を診断または治療を最適化するために、様々な時間に異なる臨床医により多数の収集を実行するように要求されるかもしれない。しかし、工程に従って収集を実行する要求は、重複し、繰り返しになり、相反し、及び/または患者が慢性病を診断または治療を最適化しようとするさらなる試みを敬遠するかもしれない負担を患者に与えるかもしれない。
【0006】
加えて、要求する臨床医が、要求される収集の工程が可能かどうか、及び/または収集のパラメータが患者に適する及び/または受け入れ可能かどうかを確認するために、患者を適切に評価しなければ、収集から有益な結果を得ることは、見込みがないかもしれない。さらに、要求される収集を完了するために収集され、医学的質問及び/または臨床医の関心に対処するのに役立つ、十分に適切なデータがなければ、要求は、臨床医及び患者の時間及び努力、並びに収集を実行するために使用される消耗品を浪費するかもしれない。再び、失敗は、患者がさらなる治療の助言を求める気を削ぐかもしれない。
【0007】
さらに、収集の工程を促進するのに使用される従来技術の収集装置は、あるとしても、限られた案内や、収集事象の簡単な合図しか提供しない。従来技術の装置は、典型的に、収集工程を管理する臨床医または患者のいずれかにより、手動でプログラムされる必要がある。従来技術の収集装置により提供される限られた案内及び機能はまた、患者が治療の将来の最適化を求める気をさらに削ぎ得る。なぜなら、この方法で別の収集手続を実行することは、患者により面倒だと見なされ、最適化を単なる推測に委ねるかもしれないからである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の背景に対して、本発明の実施形態は、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置を提供する。装置は、医学的使用事例及び/または医学的質問に基づき、構造化収集手続を実行できる。構造化収集手続は、少なくとも1つの進入基準、事象の工程、少なくとも1つの順守基準、及び少なくとも1つの退出基準を定義する、少なくとも1つ以上のパラメータを提供できる。進入基準は、患者から生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程内の各事象は、実行時間、事象を実行するための患者案内、患者からの情報の要求、患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る。順守基準は、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。退出基準は、構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【0009】
構造化検査方法は、収集手続を通じて、改善された案内を提供し、収集手続を完了したときに、場合により達成感、目的、及び費やされた時間を提供する。他の利点は、不要な収集手続要求を避け、収集されたデータが収集手続の要求を行う臨床医の質問/関心/目的に対処するのに適することを保証することによる、消耗品の浪費の低減を含む。さらに他の利点は、診断を改善するのに役立つように、また糖尿病等の患者の慢性病を管理するのに有効な治療または治療の修正を提供するのに役立つように、臨床医への測定値の価値を増大させるために、各々が解釈文脈を有する生体指標値を含み得るデータを生成することを含む。
【0010】
一実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、ディスプレイ、ユーザインターフェース、並びにディスプレイ及びユーザインターフェースに連結されたプロセッサを備え得る。プロセッサにより実行されると、プロセッサに、ディスプレイで選択のために慢性病に関連する複数の医学的使用事例または医学的質問を促し、ユーザインターフェースを介して選択された医学的使用事例または医学的質問を受信し、選択された医学的使用事例または医学的質問に基づいてメモリに格納された複数の構造化収集手続から慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化収集手続を自動的に選択し、選択された構造化収集手続を実行させる、プログラム命令も提供され得る。構造化収集手続は、事象の工程を定義するパラメータを有し得る。事象の各々は、実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む。
【0011】
別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させる、プログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、進入基準が未知の時間に満たされたときに、構造化収集手続の事象の工程を自動的に実行し、退出基準が未知の時間に満たされたときに、構造化収集手続を自動的に終了させ得る。
【0012】
さらに別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させるプログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程、及び事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、構造化収集手続の事象の工程を自動的に実行し、順守基準が満たされなければ、1つ以上の追加の行動を取らせ得る。別の実施形態において、プロセッサは、1つ以上の追加の行動に関する情報をディスプレイで提供できる。
【0013】
さらに別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための装置が開示される。装置は、プロセッサ、及びプロセッサにより実行されると、プロセッサに、構造化収集手続をメモリから自動的に検索させる、プログラム命令を備え得る。構造化収集手続は、医学的使用事例または医学的質問に基づき得る。構造化収集手続は、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含む、事象の工程を定義するパラメータを有し得る。プログラム命令はさらに、プロセッサに、構造化収集手続に従って生体指標データを受信し、生体指標データを事象の工程のデータと共に文脈説明生体指標データとして格納し、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズの1つ以上を含むノイズ関数を適用することにより、文脈説明生体指標データから測定ノイズを計算させ得る。
【0014】
別の実施形態において、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法が開示される。構造化検査方法は、診断支援または治療支援のためにコンピュータで構造化収集手続を選択し、構造化収集手続をメモリから自動的に検索するコンピュータのプロセッサを備えることを有し得る。構造化収集手続は、医学的使用事例に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、事象の工程、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義するパラメータを有し得る。方法はさらに、選択された構造化収集手続を患者に指示することを有する。コンピュータのプロセッサは、出力として選択された構造化収集手続を、指示されるとそれを実行する患者に提供する。
【0015】
別の実施形態において、指示された構造化収集手続を実行するための収集装置が開示される。装置は、1つ以上の構造化収集手続を格納し、患者データを格納するためのメモリを備える。患者データは、収集生体指標データ、日時印、及び収集生体指標データの各例に関連する他のデータの1つ以上を含み得る。他のデータは、関連収集生体指標を特徴付ける文脈説明データを含んでもよい。装置はさらに、日時印を提供するクロック、及びメモリに格納された複数の構造化収集手続から構造化収集手続を選択するための選択肢を提供するためのディスプレイを備え得る。複数の構造化収集手続の各々は、構造化収集手続を開始するために必要な少なくとも1つの進入基準、構造化収集手続を終了するための少なくとも1つの退出基準、及び収集事象の各々が収集事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、収集事象の工程を含み得る。装置はさらに、表示された複数の構造化収集手続から構造化収集手続を選択するためのユーザインターフェース、選択された構造化収集手続で指定される少なくとも1つの型の生体指標データを提供するための少なくとも1つの生体指標リーダ、及びメモリ、クロック、ディスプレイ、ユーザインターフェース、及び生体指標リーダに連結されたプロセッサを備え得る。プロセッサにより実行されると、プロセッサに、ディスプレイに選択肢を提供し、ディスプレイに表示された複数の構造化収集手続からの選択された構造化収集手続を受信し、選択された構造化収集手続の進入基準が満たされるかどうかを決定し、収集事象の工程を自動的に実行し、収集事象の各々から得られる患者データをメモリに格納し、使用事例に対処するのに役立つように、実行収集事象からのデータが受け入れ可能かどうかを確認し、選択された構造化収集手続が終了するために、少なくとも1つの退出基準が満たされているかどうかを決定させる、命令を有するプログラムが提供される。
【0016】
別の実施形態において、コンピュータのプロセッサにより実行されると、プロセッサに、患者から文脈説明生体指標データを得るために構造化収集手続を実行させ得る、命令を格納するコンピュータ読み取り可能記憶媒体が開示される。方法は、構造化収集手続を電子コンポーネントから自動的に検索することを有し得る。構造化収集手続は、医学的使用事例に基づき得る。構造化収集手続は、生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの進入基準、事象の各々が実行時間、事象を実行するための案内、患者行動の要求、情報の要求、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求の少なくとも1つ以上を含み得る、事象の工程、事象の工程に従って実行された事象が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される、少なくとも1つの順守基準、及び構造化収集手続を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する、少なくとも1つの退出基準を定義する1つ以上を有し得る。方法はさらに、選択された構造化収集手続のパラメータの調整を可能にし、選択された構造化収集手続を患者に指示することを含み得る。コンピュータのプロセッサは、出力として選択された構造化収集手続を、指示されるとそれを実行する患者に提供できる。
【0017】
本発明の実施形態は、例えば次のように実装され得る。紙ツール、血糖メータ等の収集装置に統合される糖尿病ソフトウェア、携帯情報端末(personal digital assistant)、携帯コンピュータ、または携帯電話に統合される糖尿病ソフトウェア、コンピュータに連結された装置リーダに統合される糖尿病ソフトウェア、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで動作する糖尿病ソフトウェア、及びインターネットを通じて遠隔からアクセスされる糖尿病ソフトウェア。
【0018】
ここに開示される本発明の、これら及び他の利点及び特徴は、以下に続く説明、図面、及び特許請求の範囲からより明らかにされるだろう。
【0019】
本発明の実施形態の次の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示される、次の図面と併せて読まれると、最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に従う、糖尿病患者及び臨床医並びに患者の慢性病治療管理に関心のある他の人々のための慢性病治療管理システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従う、構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に従う、構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す図である。
【図3】本発明に従う、収集装置の実施形態のブロック図を示す。
【図4】本発明に従う、図3の収集装置で構造化検査方法を使用して収集されたデータ記録の実施形態の、表形式での表現を示す。
【図5A】本発明の実施形態に従う、医学的使用事例及び/または医学的質問のために構造化収集手続を作成する方法を示す。
【図5B】本発明の1つ以上の実施形態に従う、構造化収集手続を定義するパラメータ及び構造化収集手続を使用して患者の治療を最適化するために考慮され得る要因を示す。
【図5C】本発明の1つ以上の実施形態に従う、構造化収集手続を定義するパラメータ及び構造化収集手続を使用して患者の治療を最適化するために考慮され得る要因を示す。
【図6A】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6B】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6C】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6D】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図6E】本発明に従って定義される、様々な構造化収集手続の実施形態を示す。
【図7A】本発明の実施形態に従う、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法を示す。
【図7B】所定の構造化収集手続の一例、及び本発明の実施形態に従う、所定の構造化収集手続をカスタマイズするための方法を概念的に示す。
【図8A】本発明の実施形態に従う、構造化収集手続を実行するための方法を示す。
【図8B】本発明の実施形態に従う、収集装置で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。
【図8C】本発明の実施形態に従う、収集装置で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。
【図9】本発明の別の実施形態に従う、患者から文脈説明生体指標データを得るために構造化収集手続を実行するための方法を示す。
【図10】本発明の実施形態に従う、非文脈説明生体指標データと混ざり合う文脈説明生体指標データの図を示す。
【図11】2型糖尿病の病気の進行の図を示す。
【図12】本発明の実施形態に従う、関心文脈説明生体指標を指針ベースターゲット範囲に入れるためにパラメータを調整するための方法を示す。
【図13】本発明の実施形態に従う、指針ベースターゲット範囲内に調整される関心文脈説明生体指標の図を示す。
【図14】本発明の実施形態に従う、推定ノイズに対するノイズ関数の成分の関係の図を示す。
【図15】本発明の実施形態に従う、ノイズ関数の作成のための方法のフローチャートを示す。
【図16A】本発明の使用事例の実施形態に従う、糖尿病の診断支援及び治療支援のための文脈説明生体指標データを収集する方法を示す。
【図16B】本発明の使用事例の実施形態に従う、糖尿病の診断支援及び治療支援のための文脈説明生体指標データを収集する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本発明は、様々な実施形態に関連して、以下に説明されるだろう。当業者は、本発明が多数の異なる応用及び実施形態で実施されてもよく、その応用でここに示される特定の実施形態に特に限定されないことを理解するだろう。特に、本発明は、採血を介する糖尿病管理に関連して、後述されるだろう。しかし、当業者は、本発明がブドウ糖以外の、他の型の液体または検体と共に使用される、及び/または、糖尿病以外の、他の慢性病を管理することに役立つように修正され得ることを認識するだろう。
【0022】
以下に説明される様々な実施形態で使用されるように、次の用語は、これに限定されないが、次の意味を含む。
【0023】
用語「生体指標(biomarker)」は、例えば血糖値、間質糖値(interstitial glucose value)、HbA1c値、心拍数測定値、血圧測定値、脂質、トリグリセリド、コレステロール等の、患者に関するデータを提供するために測定される生理的変数を意味し得る。
【0024】
用語「文脈説明(contextualizing)」は、特定の生体指標測定値の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることを意味し得る。好ましくは、特定の生体指標の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータは、収集された生体指標データと共に格納され、そのデータに結び付けられる。特に、収集された生体指標データのさらなる評価は、データそれ自体が評価されるだけでなく、データ間の結び付けにも文脈説明が行われるように、条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータを考慮する。条件を文書化及び相互に関連付けることに関するデータは、特定の生体指標測定値の収集及び/またはそれと同時に発生する、例えば時間、食物、及び/または運動に関する情報を含み得る。例えば、本発明の一実施形態に従う構造化収集手続の文脈は、基礎滴定最適化(Basal titration optimization)に的を絞った検査手続の間に、生体指標値を受け入れる前に、ユーザの空腹状態を検証するために進入基準(entry criterion)を使用することにより、文書化され得る。
【0025】
用語「文脈説明生体指標データ」は、特定の生体指標測定値がその特定の生体指標のために測定された値と共に収集された相互関連付け条件に関する情報を意味し得る。特に、生体指標データは、特定の生体指標測定値が収集され、それと結び付けられる相互関連付け条件に関する情報と共に格納される。
【0026】
用語「基準(criteria)」は、1つ以上の基準を意味し、1つ以上の手続上のステップ、行動、及び/または値を開始、受け入れ、及び/または終了するために、1つ以上の条件が満たされるまたは合うかどうかを判断するために使用される、指針、規則、特性、及び次元の少なくとも1つ以上であり得る。
【0027】
用語「順守(adherence)」は、構造化収集手続に従う人が、要求される手続上のステップを適切に実行することを意味し得る。例えば、生体指標データは、構造化収集手続の規定の条件で測定されるべきである。規定の条件が生体指標測定値のために与えられれば、順守は必要に応じて定義される。例えば、規定の条件は、時間に関連する条件であり、及び/または、例として、食事を摂取すること、空腹時標本(fasting sample)を取得すること、要求される時間帯に食事の一種を摂取すること、要求される時間に空腹時標本を取得すること、最低限の時間、睡眠を取ること等を含み得る。順守は、構造化収集手続、または、特に文脈説明生体指標データの単一のデータ点に適するまたは適さないように定義され得る。好ましくは、順守は、様々な規定の条件または選択的に決定される規定の条件により適するまたは適さないように定義され得る。さらに、順守は、構造化収集手続、または、特に文脈説明生体指標データの単一のデータ点に順守がどの程度与えられるかを示す、順守の程度として計算され得る。
【0028】
用語「順守事象(adherence event)」は、構造化収集手続を実行する人が、手続上のステップを実行しないときを意味し得る。例えば、人が、収集装置により要求されたときにデータを収集しなければ、順守は、適さないように決定され、順守事象をもたらす。別の例において、順守基準は、患者が6時間絶食する第1の基準と、要求される時間に空腹時bG値を収集する第2の基準とであり得る。この例において、患者が、要求される時間にbG採取を提供するが、提供する前に3時間しか絶食していなければ、第2の順守基準は満たされるが、第1の順守基準は満たされず、それゆえに第1の基準に対する順守事象が発生するだろう。
【0029】
用語「違反事象(violation event)」は、構造化収集(検査)手続(規約)を実行する人が、推奨される時間に治療薬を投与せず、推奨される量を投与せず、またはその両方である順守事象の一種である。
【0030】
用語「順守基準(adherence criterion)」は、順守を含み、測定値、測定値に関連する値、及び/または計算値の、規定の値またはその規定の範囲との比較(例えば、評価)のための基礎も意味し、その比較に基づいてデータは承認的及び肯定的に受け入れられる。順守基準は、一実施形態において、時間に関連する値及び/または順守を考慮できるが、他の実施形態におけるノイズ等も考慮できる。さらに、順守基準は、生体指標データが特定の生体指標の収集に存在または発生する条件を文書化及び相互に関連付けることに関する文脈説明データの比較に依存して受け入れられるように、文脈説明生体指標データに適用され得る。順守基準は、所与の情報またはその群に対する整合性検査(sanity check)に類似し得る。好ましくは、単一のデータ点/情報またはその群は、受け入れ基準を満たさなければ、拒絶される。特に、拒絶されたデータは、治療の推奨を提供するために使用されるさらなる計算に使用されない。主に、拒絶されたデータは、順守を評価するため及び/または少なくとも1つのさらなる行動を自動的に誘発するためだけに使用される。例えば、誘発される行動は、ユーザに、構造化収集手続または単一の要求される行動に従うように促し、それにより順守基準が満たされ得るようにする。
【0031】
用語「データ事象要求(data event request)」は、環境(circumstance)の特別な集合により定義される、例えば時間に関連するまたは関連しない事象により定義される、時空内の単一の点でのデータの収集のための問い合わせを意味し得る。
【0032】
用語「分散疾病状態評価(decentralized disease status assessment)」は、評価のために研究所に標本を送らずに値を提供するために、関心のある生体指標測定値を使用して行われる、病気の進行の過程または程度の決定を意味し得る。
【0033】
用語「医学的使用事例(use case)または医学的質問」は、医学的事実の存在に関する不確実性を、検証されていないが、正しければ、所定の事実または現象を説明する概念と共に提供する手続、状況、条件、及び/または質問の少なくとも1つ以上を意味し得る。医学的使用事例または医学的質問は、ユーザが異なる医学的使用事例または医学的質問から選択できるように、システム内に寄託及び格納され得る。代替方法として、医学的使用事例または医学的質問は、ユーザ自身により定義され得る。
【0034】
用語「集中的」、「構造化」、及び「一時的」は、用語「検査」と同じ意味でここに使用され、検査を行う所定の順序を意味し得る。
【0035】
用語「ソフトウェア」及び「プログラム」は、同じ意味でここに使用されてもよい。
【0036】
図1は、糖尿病患者12及び臨床医14並びに患者12の慢性病治療管理に関心のある他の人々16のための慢性病治療管理システム10を示す。血糖代謝異常(dysglycemia)を有する患者12は、メタボリック症候群、前糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、及び妊娠性糖尿病を有する人を含んでもよい。患者の治療に関心のある他の人々16は、患者の治療への従順さに影響を与え得る、家族の一員、友人、支援団体、及び宗教組織を含んでもよい。患者12は、家庭用コンピュータ等の患者コンピュータ18へのアクセスを有してもよい。患者コンピュータ18は、インターネット、セルラーネットワーク等の公衆網50(有線または無線)に接続でき、携帯収集装置24等の外部携帯装置と通信するために、ドングル(dongle)、ドッキングステーション、または装置リーダ22に連結できる。装置リーダの例は、Roche Diagnosticsから利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)Smart Pix装置リーダ ユーザーズマニュアル」(2008年)に示される。
【0037】
収集装置24は、構造化収集手続に従って生体指標値をデジタル的に決定及び格納するために獲得機構として機能し、構造化収集手続及び本発明の方法を実行するように機能し得る、基本的に任意の携帯電子装置であり得る。構造化収集手続の様々な実施形態に関する詳細は、後の節で与えられる。好ましい実施形態において、収集装置24は、自己監視血糖メータ26または連続糖モニタ28であり得る。血糖メータの例は、Accu−Chek(登録商標)Activeメータ、及びブックレット「Accu−Chek(登録商標)Aviva血糖メータ オーナーズブックレット」(2007年)に説明される、Accu−Chek(登録商標)Avivaメータである。その一部は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「メータ、及び液体の成分の濃度を決定するためにメータを使用する方法」という名称の、米国特許第6645368号明細書に開示される。連続糖モニタの例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、米国特許第7389133号明細書「検体の濃度の連続監視のための方法及び装置」(2008年6月17日)に示される。
【0038】
収集装置24に加えて、患者12は、自身の糖尿病を管理するために、収集装置24内での使用のために小びん32に入れて携行される試験紙30、患者コンピュータ18、収集装置24、携帯コンピュータ装置36、例えばラップトップコンピュータ、携帯情報端末、及び/または携帯電話で動作できるソフトウェア34、及び紙ツール38を含む、様々な製品を使用できる。ソフトウェア34は、あらかじめロードされるか、コンピュータ読み取り可能媒体40または公衆網50を介して提供され、必要に応じて、患者コンピュータ18、収集装置24、臨床医コンピュータ/オフィスワークステーション25、及び携帯コンピュータ装置36に、動作のためにロードされ得る。さらに他の実施形態において、ソフトウェア34は、動作のためにコンピュータ(例えば、コンピュータ18または25)に連結された、または公衆網50を通じて遠隔から、例えばサーバ52からアクセスされる装置リーダ22にも統合され得る。
【0039】
患者12は、所定の糖尿病治療のために、さらなる治療装置42及び他の装置44も使用できる。さらに、治療装置42は、移動輸液ポンプ(ambulatory infusion pump)46、インスリンペン48、及びランシング装置(lancing device)51等の装置を備え得る。移動輸液ポンプ46の例は、これに限定されないが、Disetronic Medical Systems社から利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)Spiritインスリンポンプシステムポンプ ユーザガイド」(2007年)に説明される、Accu−Check(登録商標)Spiritポンプを含む。他の装置44は、血圧等の患者データを提供する医療装置、運動情報等の患者データを提供するフィットネス装置、及び介護者に通知を行う老人介護装置であり得る。他の装置44は、Continua(登録商標)Health Allianceにより策定された標準に従って、互いに通信を行うように構成され得る。
【0040】
糖尿病の臨床医14は、様々であり、例えば看護師、正看護師(nurse practitioner)、内科医、内分泌学者、及び他のヘルスケア提供者を含み得る。臨床医14は、典型的に、臨床医オフィスコンピュータ等の臨床医コンピュータ25へのアクセスを有する。臨床医コンピュータ25は、ソフトウェア34も提供され得る。Microsoft(登録商標)HealthVault(登録商標)及びGoogle(登録商標)Health等のヘルスケア記録システム27は、公衆網50または他のネットワーク手段(LAN、VAN、VPN等)を介して情報を交換するために、及び収集装置24からの収集データ等の情報を、コンピュータ18、25及び/またはサーバ52に/から提供され得る患者の電子医療記録、例えばEMR53(図2A)、に格納するために、コンピュータ18、25で患者12及び臨床医14により使用されてもよい。
【0041】
大抵の患者12及び臨床医14は、互いに及びコンピュータ/サーバ52を有する他の人々と公衆網50を介してやり取りできる。他の人々は、患者の雇用主54、患者のヘルスケア費用の一部または全部を支払う保険会社等の第3者支払人56、所定の糖尿病消耗品を販売する薬局58、病院60、支払人でもあり得る政府機関62、及び病気の発見、予防、診断、及び治療のためのヘルスケア製品及びサービスを提供する企業64を含み得る。患者12は、ヘルスケア記録システム27を介して、雇用主54、支払人56、薬局58、病院60、及び政府機関62等の他の人々に、自身の電子健康記録にアクセスする許可も与えられる。ヘルスケア記録システム27は、臨床医コンピュータ25及び/または1つ以上のサーバ52に存在できる。以下では、図2への参照がなされる。
【0042】
図2は、本発明の実施形態に従って構造化検査方法を実行するのに適するシステムの実施形態を示す。このシステムは、別の実施形態では、慢性疾患治療管理システム10の一部であり、従来の有線または無線通信手段を介してコンポーネントと通信できる。システム41は、サーバ52及び収集装置24と通信する臨床医コンピュータ25を備え得る。臨床医コンピュータ25及びサーバ52の間の通信は、公衆網50、プライベートネットワーク66、またはそれらの組み合わせへの通信回線を介して促進され得る。プライベートネットワーク66は、(ウェブ)サーバ、ルータ、モデム、ハブ等のネットワーク装置68を介して公衆網50に接続するローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク(有線または無線)であり得る。
【0043】
一実施形態において、サーバ52は、複数の構造化収集手続(または規約)70a、70b、70c、70dのためのセントラルレポジトリであり得る。例となる構造化収集手続の詳細は、後の節で与えられる。サーバ52及びネットワーク装置68は、構造化収集手続70a、70b、70c、70dの完了のためのデータ集約者(data aggregator)として機能し得る。従って、実施形態において、患者12の収集装置からの収集手続の完了後のデータは、患者データの検索に応じて要求されると、サーバ52及び/またはネットワーク装置68から臨床医コンピュータ25に提供され得る。
【0044】
一実施形態において、サーバ52での構造化収集手続70a、70b、70c、70dの1つ以上は、公衆網50を介して、例えば患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、及び/または収集装置24に実装される安全なウェブインターフェース55(図2A、システムの別の実施形態を示す)を通じて提供され得る。別の実施形態において、臨床医コンピュータ25は、サーバ52及び収集装置24の間のインターフェース(有線または無線)としての機能を果たし得る。さらに別の実施形態において、構造化収集手続70a、70b、70c、70d及びソフトウェア34は、コンピュータ読み取り可能媒体40で提供され、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、及び/または収集装置24にロードされてもよい。さらに別の実施形態において、構造化収集手続70a、70b、70c、70dは、収集装置24のメモリにあらかじめロード(内蔵)されて提供されてもよい。さらに別の実施形態において、新たな/更新された/修正された構造化収集手続70a、70b、70c、70dは、公衆網50、プライベートネットワーク66、直接装置接続(有線または無線)74、またはそれらの組み合わせを介して、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、サーバ52、及び/または収集装置24の間で送信されてもよい。従って、一実施形態において、外部装置、例えばコンピュータ18及び25は、収集装置24及び他の遠隔パーソナルコンピュータ(PC)等のさらなる電子装置と、サーバとの間に、例えばインターネット等の公衆網50及び/またはプライベートネットワーク66等の他の通信ネットワーク(例えば、LAN、WAN、VPN等)を通じて、通信回線72、74を確立するために使用され得る。
【0045】
臨床医コンピュータ25は、従来のパーソナルコンピュータ/ワークステーションとして、例えばメモリ78及び/またはコンピュータ読み取り可能媒体40からの、ソフトウェア34等のプログラムを実行するプロセッサ76を備え得る。メモリ78は、システムメモリ(RAM、ROM、EEPROM等)、及びハードディスクドライブ及び/またはフラッシュメモリ(内部または外部)等のストレージメモリを備え得る。臨床医コンピュータ25は、ディスプレイ82をプロセッサ76と接続するためのディスプレイドライバ80、キーボード及びマウス(有線または無線)等のユーザインターフェース装置を接続するための入力/出力接続84、コンピュータ読み取り可能媒体40等の携帯用メモリ及びディスクのためのコンピュータ読み取り可能ドライブ88も備え得る。臨床医コンピュータ25は、公衆網50及び収集装置24等の他の装置(有線または無線)への接続のための通信インターフェース90、及び上記の電子コンポーネントをプロセッサ76に接続するためのバスインターフェース92も備え得る。以下では、図3への参照がなされる。
【0046】
図3は、図2に示される携帯収集装置24を概念的に示すブロック図である。示される実施形態において、収集装置24は、プロセッサ102等の1つ以上のマイクロプロセッサを備え得る。マイクロプロセッサは、少なくとももう1つのシングルコアまたはマルチコア及びキャッシュメモリを備える中央処理装置であってもよい。マイクロプロセッサは、バス104に接続され得る。マイクロプロセッサは、データ、メモリ、制御、及び/またはアドレスバスを備えてもよい。収集装置24は、ソフトウェア34を備え得る。ソフトウェア34は、装置のプロセッサ102に後の節で説明される本発明の方法を実行させる命令コードを提供する。収集装置24は、ディスプレイ108への表示のためにバス104から(または、不図示のフレームバッファから)グラフィックス、テキスト、及び他のデータを提供するディスプレイインターフェース106を備えてもよい。ディスプレイインターフェース106は、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の、収集装置24の主メモリ110の一部、及びプロセッサ102の処理を利用する統合グラフィックスソリューションのディスプレイドライバであってもよいし、専用の画像処理装置であってもよい。別の実施形態において、ディスプレイインターフェース106及びディスプレイ108はさらに、周知の方法で収集装置24にデータを提供するためのタッチスクリーンインターフェースを提供できる。
【0047】
主メモリ110は、一実施形態では、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり、他の実施形態では、ROM、PROM、EPROM、またはEEPROM、及びそれらの組み合わせ等の他のメモリを備えてもよい。一実施形態において、収集装置24は、2次メモリ112を備え得る。2次メモリ112は、例えばハードディスクドライブ114、及び/または、例えばフロッピ(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリコネクタ(例えば、USBコネクタ、ファイヤーワイヤコネクタ、PCカードスロット)等の少なくとも1つを代表する、コンピュータ読み取り可能媒体40のためのコンピュータ読み取り可能媒体ドライブ116を備えてもよい。ドライブ116は、周知の方法でコンピュータ読み取り可能媒体40に対して読み取り及び/または書き込みを行う。コンピュータ読み取り可能媒体40は、フロッピ(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク(CDまたはDVD)、フラッシュドライブ、PCカード等を代表する。コンピュータ読み取り可能媒体40は、ドライブ116により読み取り及び書き込みが行われる。理解されるように、コンピュータ読み取り可能媒体40は、ソフトウェア34及び/または構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dを格納できると共に、収集手続70a、70b、70c、及び70dの1つ以上に従って実行される収集の完了によるデータも格納できる。
【0048】
代替の実施形態において、2次メモリ112は、ソフトウェア34、収集手続70a、70b、70c、70d、他のコンピュータプログラム、または他の命令が収集装置24にロードされるのを可能にするための他の手段を備えてもよい。その手段は、例えば取り外し可能記憶装置120及びインターフェースコネクタ122を備えてもよい。取り外し可能記憶装置/インターフェースの例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース、取り外し可能メモリチップ(例えば、ROM、PROM、EPROM、EEPROM等)及び関連ソケット、並びにソフトウェア及びデータが取り外し可能記憶装置120から収集装置24に転送されるのを可能にする他の取り外し可能記憶装置120(例えば、ハードドライブ)及びインターフェースコネクタ122を含み得る。
【0049】
一実施形態における収集装置24は、通信モジュール124を備え得る。通信モジュール124は、ソフトウェア(例えば、ソフトウェア34、収集手続70a、70b、70c、及び70d)及びデータ(例えば、収集手続70a、70b、70c、及び70dの1つ以上に従って実行される収集の完了によるデータ)が収集装置24及び外部装置126の間で転送されるのを可能にする。通信モジュール124の例は、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)カード等)、通信ポート(例えば、USB、ファイヤーワイヤ、シリアル、パラレル等)、PCまたはPCMCIAスロット及びカード、無線トランシーバ、及びそれらの組み合わせの1つ以上を含んでもよい。外部装置126は、患者コンピュータ18、臨床医コンピュータ25、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等の携帯コンピュータ装置36、及び/またはドングル、ドッキングステーション、または装置リーダ22であり得る。実施形態において、外部装置126は、例えば臨床医コンピュータ25またはサーバ52との、公衆網50またはプライベートネットワーク66を介する通信を提供するために、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)カード等)、通信ポート(USB、ファイヤーワイヤ、シリアル、パラレル等)、PCMCIAスロット及びカード、無線トランシーバ、及びそれらの組み合わせの1つ以上に提供され、及び/または、接続してもよい。通信モジュール124を介して転送されるソフトウェア及びデータは、有線信号または無線信号128の形式であり得る。信号128は、通信モジュール124により送受信され得る電子信号、電磁気信号、光信号、または他の信号であってもよい。例えば、公知のように、信号128は、ワイヤ、ケーブル、光ファイバ、電話線、携帯電話リンク、RFリンク、赤外線リンク、他の通信チャネル、及びそれらの組み合わせを使用して通信モジュール124及び外部装置126の間で送信されてもよい。有線接続及び/または無線接続(例えば、それぞれUSB及びブルートゥース)を通じて電子装置を接続するための特定の技術は、周知技術である。
【0050】
別の実施形態において、収集装置24は、例えば携帯コンピュータまたは携帯電話として提供され、行動を行うために、例えば患者に行動を起こし、データ事象を取得し、及び情報に関する計算を行うように促すために、外部装置132と共に使用され得る。外部装置126と併用され、携帯コンピュータとして提供される収集装置の例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「糖尿病治療が決定されてもよい患者情報を収集するためのシステム及び方法」という名称の、2006年6月16日に出願された、米国特許出願第11/424757号明細書に開示される。携帯コンピュータの別の例は、Roche Diagnosticsから利用可能な、「Accu−Chek(登録商標)Pocket Compassソフトウェア ボーラス投与量(bolus)計算機付き ユーザガイド」(2007年)という名称のユーザガイドに示される。
【0051】
実例となる実施形態において、収集装置24は、バイオセンサ140を読み取るための測定エンジン138を提供する。バイオセンサ140は、一実施形態では使い捨て試験紙30(図1)であるが、例えば毛細管血の標本を受け取るために、収集装置24と共に使用される。バイオセンサ140は、酵素反応にさらされ、測定エンジン138により電気化学技術、光技術、またはその両方により測定され、生体指標値、例えば血糖値、を測定して提供する。使い捨て試験紙及び測定エンジンの例は、米国特許出願公開第2005/0016844号明細書「試験紙のための試薬縞(stripe)」(2005年1月27日)に開示され、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された。他の実施形態において、測定エンジン138及びバイオセンサ140は、ブドウ糖、心拍数、血圧測定値、及びそれらの組み合わせ以外の、または、それらに加えて、他の型の採取液体または採取検体のための生体指標値を提供するために使用される型のものであり得る。代替の実施形態は、1つ以上の生体指標型の値が本発明に従う構造化収集手続により要求される実施形態で役立つ。さらに別の実施形態において、バイオセンサ140は、例えば収集装置24がポンプ46(図1)等の輸液装置と通信する連続糖モニタ(CGM)として実装されるとき、留置カテーテルを有するセンサまたは皮下組織液体採取装置であってもよい。さらに別の実施形態において、収集装置24は、ソフトウェア34を実行し、輸液装置(例えば、移動輸液ポンプ46及び電子インスリンペン48)及びバイオセンサ140の間で通信を行うコントローラであり得る。
【0052】
バイオセンサ140により収集される情報を少なくとも含むデータは、測定エンジン138によりプロセッサ102に提供される。プロセッサ102は、様々な計算を行うためにメモリ110に格納されるコンピュータプログラムを実行してもよく、データを使用して処理を行う。例えば、そのコンピュータプログラムは、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「血糖の構造化点測定(spot measurement)から推定平均血糖値及び推定糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を提供するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品」という名称の、2009年6月26日に出願された、米国特許出願第12/492667号明細書により説明される。測定エンジン138からのデータ、並びにそのデータを使用したプロセッサ102による計算及び処理の結果は、自己監視データとして参照される。自己監視データは、これに限定されないが、患者12の糖値、インスリン投与量値、インスリン型、プロセッサ102により将来の糖値、追加インスリン投与量、糖質追加量、並びにそのような値、投与量、及び量を計算するために使用されるパラメータ値を含む。そのデータは、測定された糖値及び投与されたインスリン量値のための日時印と共に、メモリ110及び/または112のデータファイル145に格納される。収集装置24の内部クロック144は、そのような使用のために、現在の日時をプロセッサ102に供給できる。
【0053】
収集装置24は、データ入力、選択及びデータのプログラム制御及び操作、情報の要求等のために、ボタン、キー、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン等のユーザインターフェース146をさらに提供できる。一実施形態において、ユーザインターフェース146は、メモリ110及び/または112に提供されるデータの入力及び操作のために、1つ以上のボタン147、149を備え得る。一実施形態において、ユーザは、患者12の生活スタイルに関連するデータ等の文脈説明情報を入力(文書化)するために、及び、規定の作業が完了したことを通知するために、ボタン147、149の1つ以上を使用できる。生活スタイルデータは、食物摂取、投薬使用、エネルギー値、運動、睡眠、一般的健康状態、及び患者12の全体的健康生活感(例えば、嬉しい、悲しい、休まっている、ストレスがある、疲れている等)に関連してもよい。生活スタイルデータは、ボタン147、149を使用したディスプレイ108に表示される選択メニューを通じた操作を介して、及び/または、ディスプレイ108により提供されるタッチスクリーンユーザインターフェースを介して、自己監視データの一部として、収集装置24のメモリ110及び/または112に記録され得る。ユーザインターフェース146は、自己監視データまたはその一部をディスプレイ108に表示するためにも使用され、例えばプロセッサ102により測定された糖値及び入力されたデータを表示するためにも使用され得ることを理解すべきである。
【0054】
一実施形態において、収集装置24は、ボタン147、149のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせを押下することにより、スイッチを入れられ得る。別の実施形態において、バイオセンサ140は試験紙であるが、収集装置24は、測定エンジン138による試験紙上の血液の標本内の糖値の測定のために、試験紙が挿入されると、自動的にスイッチを入れられ得る。一実施形態において、収集装置24は、所定の期間、ボタン147、149の1つを押下し続けることにより、スイッチを切られ得る。別の実施形態において、収集装置24は、所定の期間のユーザインターフェース146の不使用の後、自動的に電源を切られ得る。
【0055】
インジケータ148は、プロセッサ102に接続され、プロセッサ102の制御下で動作し、bGの測定、及び食事の摂取等の将来の低血糖の可能性に関する事象のための時間に、患者に、聴覚、触覚(振動)、及び/または視覚で感知できる警報/合図を発する。適切な電源150は、装置を携帯可能にするために周知のように、収集装置24に電力を供給するためにも提供される。
【0056】
上記のように、収集装置24は、ソフトウェア34をあらかじめロードされてもよいし、コンピュータ読み取り可能媒体40を介して提供されても、外部装置132及び/またはネットワーク50を通じて直接的または間接的に信号128により通信モジュール124を介して受信されてもよい。後者の場合に、ソフトウェア34は、収集装置23のプロセッサ102により受信されると、主メモリ110(図示されるように)及び/または2次メモリ112に格納される。ソフトウェア34は、命令を含み、プロセッサ102により実行されると、プロセッサが、後の節で説明されるような本発明の特徴/機能を実現するのを可能にする。別の実施形態において、ソフトウェア34は、コンピュータ読み取り可能媒体40に格納され、プロセッサ102にここに説明されるような本発明の特徴/機能を実現させるために、プロセッサ102によりキャッシュメモリにロードされてもよい。別の実施形態において、ソフトウェア34は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)等のハードウェアコンポーネントを使用して、主としてハードウェア論理で実装される。ここに説明される特徴/機能を実現するためのハードウェア状態機械の実装は、関連技術の当業者には明らかだろう。さらに別の実施形態において、本発明は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して実施される。
【0057】
本発明のソフトウェアによる実施形態において、以下で説明される方法は、C++プログラミング言語で実装され得るが、他のプログラム、例えば、これに限定されないが、VisualBasic、C、C#、Java(登録商標)、または当業者に利用可能な他のプログラム、でも実装され得るだろう。さらに他の実施形態において、プログラム34は、スクリプト言語、またはインタープリタと共に使用される、他の独自の解釈可能な言語を使用して実装されてもよい。以下では、図4への参照がなされる。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に従う構造化収集手続による自己監視データ154のデータ記録152を含むデータファイル145を表形式で示す。自己監視データ154(例えば、様々な列)を伴うデータ記録152(例えば、行)は、関連する文脈情報156(例えば、他の様々な列、並びに行及び列のヘッダ情報)も提供する。文脈情報156は、自動的に、例えば測定エンジン、バイオセンサ、及び/または他の装置のいずれか1つから自動的に受信される入力を介して、または構造化収集手続の間に収集要求(例えば、プロセッサ102によりディスプレイ108に表示される質問)に応じて患者により手動で入力されるユーザインターフェースから受信される入力を介して収集され得る。従って、文脈情報156は、好ましい実施形態では各データ記録152を提供され得るので、その情報は、医師に直ちに利用可能であり、構造化収集手続を完了した後に、手書きまたは口頭で患者により提供される情報のさらなる収集は、必ずしも必要とされない。別の実施形態において、本発明に従う構造化収集手続の完了後に文脈情報156及び/または追加の文脈情報が収集されれば、その情報は、しばらく経って例えばコンピュータ18、25の1つを介して関連データファイル145及び/またはデータ記録152に提供されてもよい。その情報は、データファイル145内の自己監視データと関連付けられ、口頭または手書きで再び提供される必要はないだろう。後者の実施形態における過程は、構造化収集手続またはその一部が、構造化収集手続を実装するソフトウェア34を実行できない収集装置と共に使用される紙ツール38として実装される状況で、必要とされるかもしれない。
【0059】
データファイル145(またはその一部、例えば自己監視データ154だけ)は、収集装置24から、通信モジュール124を介して外部装置132(PC、PDA、または携帯電話)等の別の電子装置に、またはネットワーク50を介して臨床医コンピュータ25に送信/ダウンロード(有線または無線)され得ることを理解すべきである。臨床医は、受信された自己監視データ154及び治療結果に対する患者12の文脈情報156を評価するために、臨床医コンピュータ25に提供される糖尿病ソフトウェアを使用できる。糖尿病ソフトウェアに組み込まれてもよい機能のいくつかの例であって、パーソナルコンピュータのための構成されるものは、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「時間区画(time block)を設定するための方法及びシステム」という名称の、2007年12月7日に出願された、米国特許出願第11/999968号明細書に開示される、Roche Diagnosticsから利用可能な、Accu−Chek(登録商標)360糖尿病管理システムである。
【0060】
好ましい実施形態において、収集装置24は、携帯血糖メータとして提供され得る。収集装置24は、患者12によりインスリン投与量値及び点測定された糖値を含む自己監視データを記録するために使用される。上記のbGメータの例は、これに限定されないが、Roche Diagnostics社によるAccu−Chek(登録商標)Activeメータ及びAccu−Chek(登録商標)Avivaシステムを含む。これらは、検査結果をパーソナルコンピュータにダウンロードするために、Accu−Chek(登録商標)360°糖尿病管理ソフトウェアと互換性があるか、ダウンロード及びPDAとの通信のために、Accu−Chek(登録商標)Pocket Compassソフトウェアと互換性がある。従って、収集装置24は、(以下で詳細に説明されるような)所定のフロー列に従って自己監視データを処理、分析、及び解釈し、適切なデータ解釈出力を生成するのに必要なソフトウェア及びハードウェアを備え得ることを理解すべきである。一実施形態において、収集装置24により格納された患者データについて行われるデータの分析及び解釈の結果は、患者が自身の生理的状態を管理し、患者−医師の意思疎通を図るのを支援するために、レポート、傾向監視、及び図の形式で表示され得る。他の実施形態において、収集装置24からのbGデータは、外部装置132、患者コンピュータ18、及び/または臨床医コンピュータ25を介してレポート(ハードコピーまたは電子的)を生成するために、使用されてもよい。
【0061】
収集装置24は、ユーザ及び/またはその臨床医に、a)データ説明、例えば記録の名称及び説明を編集すること、b)指定された場所、特に上記の、ユーザが定義可能なディレクトリに記録を保存すること、c)表示のために記録を呼び出すこと、d)異なる基準(例えば、日付、時刻、名称、説明等)に従って記録を検索すること、e)異なる基準(例えば、bG値、日付、時刻、期間、名称、説明等の値)に従って記録を分類すること、f)記録を削除すること、g)記録をエクスポートすること、及び/またはh)周知の、データを比較、記録を修正、記録を除外することを含む可能性の少なくとも1つ以上をさらに提供できる。
【0062】
ここに説明されるように、生活スタイルは、食事、運動、及び仕事の予定等の個人の習慣におけるパターンとして、一般に説明され得る。個人はさらに、インスリン治療、または定期的に服用するように義務付けられる経口(oral)等の投薬治療を受けていてもよい。そのような行動の糖への影響は、本発明により暗黙的に考慮される。
【0063】
収集装置24のプロセッサ102は、メモリ110及び/または112に提供される1つ以上の構造化収集手続70を実行できることを理解すべきである。一実施形態における各構造化収集手続70は、スタンドアロンソフトウェアであり、プロセッサ102により実行されると、プロセッサに構造化収集手続70及び他の規定の機能を実現させるのに必要なプログラム命令を提供する。他の実施形態において、各構造化収集手続70は、ソフトウェア34の一部であり、一実施形態では、ユーザインターフェース146からディスプレイ108に提供されるメニューリストからの選択の受け付けを介して、また別の実施形態では、収集装置24に提供される構造化収集手続実効モードボタン(不図示)等の特定のユーザインターフェースの有効化を介して、プロセッサ102により選択的に実行され得る。ソフトウェア34は、同様に、プロセッサ102により実行されると、プロセッサに、構造化収集手続70及びここに説明されるソフトウェア34の他の規定の機能を実現させるのに必要なプログラム命令を提供することを理解すべきである。収集メータの選択可能モードとして提供される選択可能構造化収集手続を有する適切な一例は、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「対話型グラフィカルユーザインターフェースを備える一時的血糖監視システム及びその方法」という名称の、2009年6月25日に出願された、米国特許出願第12/491523号明細書に開示される。
【0064】
さらに別の実施形態において、コマンド命令は、臨床医コンピュータ25から送信され、通信モジュール124を介してプロセッサ102により受信され得る。コマンド命令は、収集装置24を、構造化収集手続70を自動的に実行する収集モードにする。コマンド命令は、実行すべき1つ以上の構造化収集手続のどれかを指定してもよいし、実行すべき構造化収集手続を提供してもよい。さらに別の実施形態において、規定の医学的使用事例または医学的質問のリストが、プロセッサ102によりディスプレイ108に提示され、ユーザインターフェース146を介してプロセッサ102により受信される、規定の医学的使用事例または医学的質問の選択に依存して、特定の構造化収集手続70が複数の構造化収集手続(例えば、手続70a、70b、70c、及び70d)からプロセッサ102により自動的に選択され得る。
【0065】
さらに別の実施形態において、選択後に、構造化収集手続70は、コンピュータ読み取り可能媒体、例えば40を通じて提供されることも、コンピュータ18または25、他の装置132、またはサーバ52からダウンロードされ、収集装置24によりロードされることも可能である。サーバ52は、例えば、選択された規定の医学的使用事例または医学的質問に従ってダウンロードのための所定の構造化収集手続70を提供するヘルスケアの提供者または企業であってもよい。構造化収集手続70は、ヘルスケア企業(例えば、企業64)により開発され、ウェブページを通じて公衆網50を介して実行されてもよいし、例えば図2に示されるサーバ52でダウンロードに利用可能にされてもよいことを理解すべきである。さらに他の実施形態において、ユーザ(例えば、ヘルスケア提供者及び患者)が有するかもしれない特定の使用事例/医学的質問に対処するのに役立つように、新たな構造化収集手続70が収集装置24での使用に利用可能であるという通知は、郵便の手紙/カード、電子メール、テキストメッセージ、ツイート等の任意の標準的な方法で提供され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、上記のように、紙ツール38は、糖尿病ソフトウェア34により提供される機能のいくつかを実現できる。糖尿病ソフトウェア34に組み込まれてもよい機能のいくつかの例であって、紙ツール38として構成されるものは、Roche Diagnosticsから利用可能であり、Roche Diagnostics Operations社に譲渡された、「血糖管理を評価するための装置及び方法」という名称の、2007年2月29日に出願された、米国特許出願第12/040458号明細書に開示される、Accu−Chek(登録商標)360 View血糖分析システム用紙である。
【0067】
さらに別の実施形態において、ソフトウェア34は、連続糖モニタ28(図1)に実装され得る。このように、連続糖モニタ28は、時間分解されたデータを得るために使用され得る。時間分解されたデータは、血糖値の点監視及び標準的なHbA1c検査では見過ごされる変動及び傾向を識別するために、役立ち得る。例えば、低夜間糖値(low overnight glucose level)、食事間の高血糖値、早朝の血糖値の急上昇、及び食事及び身体活動が治療の変更という効果と共に血糖に与える影響。
【0068】
収集装置24及びソフトウェア34に加えて、臨床医14は、患者12のために、移動インスリンポンプ46及び電子ベースインスリンペン48(図1)等の他の糖尿病治療装置を処方できる。インスリンポンプ46は、典型的に、例えばDisetronic Medical Systems社からも利用可能なマニュアル「Accu−Chek(登録商標)インスリンポンプ設定ソフトウェア」に開示される設定ソフトウェアを備える。インスリンポンプ46は、インスリン投与量及び他の情報を記録し、電子ベースインスリンペン40と共に、コンピュータに提供できる。インスリンポンプ46は、本発明に従う構造化収集手続70(図2)の要求を受けて生体指標データを提供するための別の手段として使用され得る。
【0069】
上記のように、後述される方法ステップの1つ以上は、紙ツール38(図1)として構成され得るが、好ましくは、すべての方法ステップが、システム41(図2)、または収集装置24等のプロセッサ及びメモリを備える任意の電子装置/コンピュータで、メモリ内のプログラムとして電子的に促進されることを理解すべきである。公知のように、コンピュータがプログラムを実行すると、プログラムの命令コードは、コンピュータのプロセッサに、関連する方法ステップを実行させる。さらに他の実施形態において、後述される方法ステップのいくつかまたはすべては、コンピュータにより実行されると、コンピュータのプロセッサに、関連する方法ステップを実行させるプログラムの命令コードを格納するコンピュータ読み取り可能媒体40に構成され得る。これらの方法ステップは、図5A及び5Bを参照して、以下により詳細に説明される。
【0070】
構造化収集手続を作成
図5Aは、医学的使用事例または医学的質問のために、図5Bにより示される構造化収集手続70を作成する方法200を示す。構造化収集手続70は、スタンドアロンソフトウェア、糖尿病ソフトウェア34の一部、または紙ツール38の一部として、上記の装置18、24、25、26、28、36、52のいずれか1つに実装されてもよい。ステップ202では、医学的使用事例または医学的質問(以下、一般に使用事例として参照される)が選択される及び/または定義され得る。使用事例は、例えば、次の医学的使用事例または医学的質問から選択されるものであってもよいことを理解すべきである。特定の食物を摂取する効果を知りたい、食前及び/または食後に薬を服用する最善の時間を知りたい、及び運動のbG値への効果を知りたい。他の使用事例は、診断結果を見付けること、患者への治療を初期化する最善の方法、患者の病気の進行の状態の決定を行うこと、患者の治療を最適化する最善の方法を見付けること等に関する質問であってもよい。さらに他の例は、空腹時血糖、食前糖値、食後糖値等に関する医学的質問に対処するのに役立つように使用され得る構造化収集手続70を提供することであり得る。他の医学的質問は、所定の文脈で生体指標を管理すること、所定の文脈で生体指標を最適化すること、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、治療効果、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、基礎及びボーラスでのインスリンの分割等に関連することであり得る。例えば、経口単剤治療及び経口組み合わせに関する医学的質問は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、アレグリタザルに関するものを含み得る。選択された使用事例は、図5Bに示される医学的使用事例パラメータ220に割り当てられ得る。
【0071】
ステップ204では、選択された使用事例を取り巻く状況または問題が定義され得る。このことは、使用事例の変更に影響を与えるかもしれないすべての要因を調べることにより達成され得る。例えば、患者の治療を最適化する最善の方法を知りたいという使用事例において、調べるべきいくつかの要因は、例えば図5Cに示される、ストレス、月経周期、暁前効果(pre-dawn effect)、背景インスリン(background insulin)、運動、食事に対するボーラス投与時期、基礎率(basal rate)、インスリン感受性、食後行動等を含んでもよい。
【0072】
ステップ206では、状況または問題に対処するまたは手掛かりを与えるためにどの種類の分析が使用され得るかに関して、決定がなされ得る。その分析は、例えば、次から選択されてもよい。収集手続70の間の空腹時血糖(FPG)値の変化を評価すること、収集手続70の間の1つ以上の特定値を監視すること、インスリン対糖質(I:C)比を決定すること、インスリン感受性を決定すること、薬を投与するための、食事等の別の変数に対する最善の時間を決定すること等。ステップ208では、生体指標及びそれが収集される文脈等のどの情報が収集される必要があり、その情報は分析を行うためにいつ収集される必要があるかに関して、採取グループの決定がなされ得る。例えば、採取グループは、一連のデータオブジェクトとして定義され得る。各データオブジェクトは、ターゲット型、例えばターゲット時間(例えば、変化する特徴のために使用される)、時間ウィンドウの下限、時間ウィンドウの上限等を使用できる時間ベース、データ型(単一、集合、または式)を定義するデータベース、データを受け入れるための条件(例えば、なし、値を下回る、値を上回る、式等)、収集の型(例えば、ユーザ入力、センサ、データ等)、並びに各収集のための任意のリマインダ画面テキスト(例えば、静的、及び/または書式設定及び値挿入で動的)からなる。この過程の結果は、収集事象の工程(schedule)222である(図5B)。次にステップ210では、選択された使用事例の状況または問題に対処するのに役立つように収集事象の工程222の各々または群が実行される方法が決定される。このことは、1つ以上の順守基準224をもたらす。収集を行う方法に加えて及び/または代えて、順守基準224は、所定の範囲に入るまたは所定の値に等しい1つ以上の生体指標値に基づいてもよい。他の実施形態において、順守基準は、結果の値が所定の範囲に入るまたは所定の値に等しいかどうかを決定するために生体指標データまたはその群を使用する式であり得る。
【0073】
例えば、順守基準224は、所定のウィンドウ内での検査、所与の時間の絶食、所与の時間の睡眠、運動、低ストレス、月経なし(not menstruating)等の、患者12が実行する必要がある事象237周りのパラメータを説明できる。順守基準224は、提供される情報の文脈を規定できる。順守基準224はまた、上記のように、別の文脈で、データが受け入れ可能かどうかの評価を提供するために使用され得る。順守基準224は、その文脈で使用されると、「受け入れ」基準として参照されてもよい。例えば、標本が採取される前に、順守基準224は、標本の採取までのステップが達成されるかどうかを規定できる。例えば、プロセッサ102は、要求240に応じて質問「この8時間、絶食していますか?」を表示する。ここで、ユーザインターフェース146を介してプロセッサにより受信される回答「イエス」は、このステップの順守基準224を満たす。別の例において、標本が採取された後に、プロセッサ102は、他の順守(受け入れ)基準を使用して、受信されたデータの妥当性を評価できる。例えば、先のデータに基づくと、空腹時bG標本は、120〜180mg/dlの間にあるべきだが、受信された値が、340mg/dlであったとすると、受け入れ可能値の所定の範囲外にあるので、順守(受け入れ)基準を満たさない。その例において、プロセッサ102が追加の標本を促せるという順守事象242が発生する。その場合において、再採取も失敗すれば(即ち、120〜180mg/dlの間にない)、プロセッサ102により提供される評価は、患者12は絶食していないということであり、プロセッサ102は、再採取の失敗時の順守基準により指示されるように、事象の工程222内の事象237を自動的に延長する。
【0074】
次にステップ212では、事象の工程222が開始または終了される条件及び文脈が決定され得る。このことは、同時に及び/または順々に実行してもよい一連の構造化収集手続、例えば手続70a、70b、70c、及び70dを提供する場合に、事象の工程222及び事象の工程222が属する事象の他の工程の群に提供される1つ以上の進入基準226及び退出基準(exit criterion)228をもたらす。
【0075】
例えば、1つ以上の進入基準226が、プロセッサ102が収集手続を使用するような条件を患者が満たすかどうかを決定するために使用され得る。進入基準226は、例えば、患者12が範囲内の現在の年齢、範囲内のHbA1cに基づく進入基準226を満たすこと、並びに患者が、特定の病気に罹っていること、最低限の期間、病気に罹っていること、範囲内の体格指数(BMI)を有すること、範囲内の空腹時血漿糖(FPG)を有すること、特定の薬の感受性を有したこと、特定の薬を服用していること、特定の投与量の薬を服用していること、別の構造化収集手続の1つ以上の前提条件を満たすこと、別の構造化収集手続の1つ以上を完了していること、1つ以上の特定の、妊娠している、空腹でない等の前提条件または体調が優れない、熱がある、吐き気がある等の禁忌を有しないこと、及びそれらの組み合わせを確認する。進入基準226は、日の時間、週の時間、食事、時間オフセットを伴う食事の摂取、運動、時間オフセットを伴う運動、治療薬の使用、時間オフセットを伴う治療薬の使用、生理的環境、生体指標範囲、及び先の生体指標値からのオフセットとして計算される所定の範囲内の生体指標等の開始事象により、事象の工程222も開始できる。生理的環境の例は、所定数の生理的事象、例えば高血糖、低血糖、日の所定の時間における所定の温度等が、所定の時間、例えば時、日、週等に発生すると構造化収集手続を開始するという進入基準が満たされることであり得る。従って、進入基準は、前提条件、使用法の指示、及び/または使用法の禁忌を満たす必要の使用を支援するために、使用され得る。例えば、進入基準226は、構造化収集手続70がインスリン感受性最適化を実行するために、基礎滴定のための構造化収集手続が完了し及び/または希望する結果を有すること、並びにインスリン対糖質比のための、別の構造化収集手続が完了し及び/または希望する結果を有することを、プロセッサ102が検証しなければならないという前提条件を定義できる。別の例において、進入基準226は、所定の構造化収集手続が1型、2型、及び具体的な薬の滴定に使用され得る構造化収集手続の型の糖尿病患者に分離使用を提供できるという、使用法の所定の指示を満たす必要と共に定義され得る。別の例において、進入基準226は、例えば患者12が妊娠中、病気等であれば、所定の構造化収集手続70は実行しないという、使用法の所定の禁忌を満たす必要と共に定義され得る。
【0076】
1つ以上の退出基準228の例は、プロセッサ102に基づき、特定の値に達していること、1次標本値の平均が範囲内にあること、特定の事象及び/または条件が発生したまたは発生していないこと、及びそれらの組み合わせを決定する。手続が終了してもよい他の条件は、低血糖事象、患者が病気である、患者が治療の変更を被る等の反対事象(adverse event)を含み得る。追加の詳細は、プロセッサ102によりディスプレイ108に、具体的な退出基準が満たされたことに基づき、患者12に提供されてもよい。例えば、一例において、患者12が、低血糖を示す糖値を測定すれば、手続を終了する際に、プロセッサ102は、患者12に糖質を摂取し、血糖が120mg/dLを超えるまで30分毎に血糖値を測定するように指示する別の代替手続を自動的に実行する。この代替手続について、患者12はまた、プロセッサ102により、低血糖をもたらす条件が記録されるのを保証するために、食事、活動、ストレス、及び他の関連する詳細を文書化するように要求され得る。患者12はまた、プロセッサ102により、この場合及び他の特別な場合に臨床医14に連絡するように指示されてもよい。退出基準はまた、例えば、成功した完了の後に終了、不確定の完了の後に終了等、所定のタイムアウトの満了(計画的な終了)、例えばn(=1〜365)日後も結果なし、解除によるもの、例えばフェイルセーフにより失敗した解除での終了等の、終了のための基準を含み得る。構造化収集手続70はまた、退出基準228を満たすことに基づくだけでなく、患者12が受け入れ可能レベルで要求を行わないとき、及び/または患者の生理的状態が患者が事象の工程222を遂行すべきでない方法で変化し、順守事象242が構造化収集手続を終了するという順守基準224を満たさないときに、自動的に終了するように定義され得ることを理解すべきである。
【0077】
ステップ214では、収集の間のユーザへの案内230及び収集をカスタマイズするための任意のオプション232が決定され得る。例えば、案内230について、臨床医14は、デフォルトのメッセージのリスト、または収集手続70の実行の間に患者12を案内するために調整されたメッセージを使用できる。一例として、メッセージは、データの取得が成功した(即ち、順守基準224を満たす)ときに提供され、「ありがとうございます。あなたの次の予定される測定は、午後12時半です。」と表示するだろう。例えばインジケータ148により提供されるアラームはまた、収集手続70と関連付けられ得る。アラームは、患者12に測定を行うことを思い出させ、患者12が測定を行うために追加の時間を必要とするときの、スヌーズ機能を備え得る。スヌーズ機能及び装置の他の特徴は、後の節でさらに説明される。
【0078】
ステップ208〜214の結果は、ステップ216で作成される構造化収集手続70である。構造化収集手続70は、使用事例パラメータ220、事象の工程222、順守基準224、進入基準226、退出基準228、案内230、及びオプション232を共に関連付ける。一実施形態において、収集手続70を生成する時点で、臨床医14はまた、患者に(最低限)次の側面を説明する印刷物を生成する。収集手続70の目的及び期待される理想的な結果、即ち収集手続70の目的を設定すること、収集手続70の設計及び必要とされる測定値の数、患者12が収集手続70を開始する前及び各測定値を取得する前に満たさなければならない進入基準226、及び患者12が収集手続70の継続を終了すべき退出基準228。収集手続70の実行の間に提供され得る印刷物及び案内230は、なぜデータ収集手続を遂行するのかを患者が十分に理解することを保証する。
【0079】
構造化収集手続70の例は、例えば、インスリン対糖質比を決定するため、食事開始に対するボーラス投与時期を決定するため、及び摂取された糖質に相当する運動を決定するための構造化収集手続であってもよい。ステップ218では、構造化収集手続70が、例えば図1〜3に関して上述の方法のいずれかで、システム41での実行及び使用に利用可能にされる。構造化収集手続70は、従って、臨床医14が規定の医学的使用事例または医学的問題に対処及び/または調査するのに役立つように、医学界またはヘルスケア企業64により、上記の過程を介して提供されてもよい。
【0080】
図5Bは、構造化収集手続の基礎となる医学的使用事例に対処するために、糖尿病患者から文脈説明生体指標データを得るための構造化収集手続70のパラメータ222、224、226、及び228の相互作用を示す。上記のように、使用事例パラメータ220は、パラメータ222、224、226、及び228が対処する医学的使用事例または医学的質問を識別するために提供されてもよい。例えば、臨床医コンピュータ25のプロセッサ76、収集装置24のプロセッサ102、及び/またはサーバ52は、例えばこれらの装置及び/またはシステム41で提供される複数の構造化収集手続70a、70b、70c、70d(図2)から医学的使用事例パラメータ220を読み取り、利用可能な構造化収集手続のリストを、例えば臨床医コンピュータ25のディスプレイ82または収集装置24のディスプレイ108に提供してもよい。さらに、臨床医コンピュータ25、患者コンピュータ18、及び/またはサーバ52は、医学的使用事例に従って構造化収集手続を配置/格納/選別するために、医学的使用事例パラメータ220を使用できる。
【0081】
上記のように、進入基準226は、特に所定の文脈で収集された生体指標データを含む患者データを得るために、構造化収集手続70を開始するための要件を規定できる。一実施形態において、収集装置24のプロセッサ102は、関連構造化収集手続70がいつ患者の生理的文脈に適するかを決定し、関連構造化収集手続に必要な入力のすべてが確立されたことを保証するために、進入基準226を使用できる。それゆえに、構造化収集手続の開始日時は、進入基準226の所定の条件を満たさなければ、収集装置24のプロセッサ102により自動的に、動的に変化してもよいことを理解すべきである。従って、進入基準226が満たされるまで、関連構造化収集手続70の開始日時は、将来の未知の時間であり得る。
【0082】
例えば、一実施形態において、構造化収集手続70は、プロセッサ102により、例えば収集装置24のメモリ110に、コンピュータ18、25のメモリに、及び/またはサーバ52から提供される複数の構造化収集手続70a、70b、70c、70dから、関連構造化収集手続のための規定の進入基準226の条件を満たすことに基づき、自動的に選択され得る。例えば、一実施形態において、第1の構造化収集手続、例えば手続70dは、血糖値の傾向(「bG値傾向(trending)」)を示すのに役立つ。それゆえに、第1の構造化収集手続70dのための進入基準226は、患者が規定の期間(例えば、現在から遡って数日、数週間、及び数ヶ月)、所定の比率を上回るbG値平均を有することである。第2の構造化収集手続、例えば手続70aについて、進入基準226は、規定の期間(例えば、現在から遡って数日、数週間、数ヶ月)、所定のbG値を下回る、朝食前の、特定数のbG測定値を必要としてもよい。その例において、プロセッサ102は、一実施形態では起動時に、別の実施形態では例えばユーザインターフェースを介して受信される入力による命令時に、別の実施形態ではソフトウェア34によりプログラムされる予定時間に、例えば収集装置24のメモリ110に提供される様々な構造化収集手続70a及び70dにより提供される様々な進入基準226を通じて実行し、特定の手続70の進入基準226の規定の条件が満たされるかどうかを決定できる。この例において、プロセッサ102は、メモリ110内の過去の測定値からの履歴データが、患者のbG値平均が上昇しており、第1の収集手続70dのための進入基準226は満たされているが、第2の収集手続70aのための進入基準は満たされていないことを示す、ということを決定する。この例において、プロセッサ102は、上記の分析に基づき、第1の構造化収集手続70dを自動的に選択して開始する。
【0083】
進入基準226の使用は、構造化収集手続70への使用の指示が収集事象の工程222を開始する前に満たされていることを保証することにより、治療費の割り当て誤り(misallocation)を低減するのに役立ち得ることを理解すべきである。進入基準226はまた、多数の構造化収集手続を実行する任意の要求が、両立しなければ重複せず、互いの不要な繰り返しでなく、または患者に重大な責任(burden)を課すことを保証するのに役立ち得る。このように、患者が慢性病を診断または治療を最適化しようとするさらなる試みを敬遠するかもしれない上記の問題の多くは、収集装置24のプロセッサ102により、進入基準226の使用を介して自動的に対処及び回避され得る。
【0084】
図5Bにより示されるように、進入基準226は、文脈固有進入基準234、手続固有進入基準236、及びそれらの組み合わせを含み得る。文脈固有進入基準234の例は、食事、低血糖事象、インスリンの型及び投与量、ストレス等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。別の例において、文脈固有進入基準234は、例えば具体的な質問の形式で定義され得る。プロセッサ102は、具体的な回答がユーザインターフェース146からの入力を介して患者から受信されることを要求する。例えば、進入基準226を実行するプロセッサ102は、ディスプレイ108に、患者が要求される期間に構造化収集手続70を実行する意思があり、それが可能かどうかの質問を表示してもよい。患者がユーザインターフェース146を介して肯定的に回答すれば、進入基準226は満たされて、プロセッサ102は、構造化収集手続70で定義される時期に従って収集事象237を自動的に実行し続ける。患者が表示された質問に否定的に回答すれば、プロセッサ102は、構造化収集手続70を続けず、例えばオプションパラメータにより指定されれば、質問の問い合わせの予定を将来に変更してもよい。
【0085】
手続固有進入基準236の例は、疾病状態(disease state、disease status)、選択された治療、パラメータ前提条件、インスリン感受性を検査する前のインスリン対糖質比、両立しない収集手続等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。手続固有進入基準236は、プロセッサ102が3つの開始者(initiator)−患者12、臨床医14、またはデータ、例えば進入基準226の条件が満たされれば−の1つと共に構造化収集手続70を自動的に続ける方法で定義され得る。例えば、手続固有進入基準236は、例えば一実施形態では、特定の構造化収集手続を解除して使用するために有効なパスワードをユーザインターフェース146を介して入力する認可されたユーザを介して、臨床医14が構造化収集手続70を指示すれば満たされ得る。別の実施形態において、臨床医14は、臨床医コンピュータ25及び/またはサーバ52から、収集装置24での患者12による使用のために収集手続70を指示(認可)する収集装置24に、パスワードまたは認可コードを送信できる。患者12により使用され得ず、臨床医14により認可されるまでディスプレイ108で、例えば選択リストで患者により閲覧されることから隠され得る1つ以上の構造化収集手続70が、収集装置24のメモリ110に提供され得ることを理解すべきである。
【0086】
手続固有進入基準236は、ユーザにより、例えばユーザがディスプレイ108に提供される構造化収集手続70a、70b、70c、70dのリストから特定の構造化収集手続を選択することにより満たされ得る。基準236のデータにより開始される手続の例は、プロセッサ102に提供される生体指標測定値が、特定の構造化収集手続のための進入基準226が満たされるために発生または存在しなければならない所定の状態を示すことだろう。その状態は、例えば、重度の低血糖事象等の単一の事象、または開始時刻から24時間、開始時刻から1週間、カレンダ日時等の所与の、所定の期間内の低血糖事象等の一連の事象の発生であり得る。
【0087】
従って、進入基準226は、構造化収集手続70により対処される医学的使用事例に関連する患者の生理の文脈及び/または状態を規定する単一の基準または多数の基準であり得る。別の実施形態において、進入基準226は、例えば履歴患者データについて、患者データが収集された後に対処され得る。
【0088】
事象の工程222は、1つ以上の事象237を指定する。各事象は、実行時間238、事象を実行するための案内230、患者からの情報への要求及び/または患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集への要求を含んでもよい、患者の行動への要求240、及びそれらの組み合わせを定義する、少なくとも1つ以上の変数を含む。実行時間238について、事象の工程222は、3連続労働日の特定の時間での生体指標採取、または起床時の標本、30分後の標本、及び1時間後の標本等の、各事象237の時期を指定できる。
【0089】
各事象237及び任意の基準224、226、228のための案内230は、例えば特定の時間に開始、終了、及び/または起床する、特定の時間にbG収集を行う、特定の時間に特定の食事または食物を摂取する、特定の時間に所定の運動を行う、特定の時間に薬を服用する等のための電子合図(聴覚的、視覚的)を提供することを含んでもよい。案内230はまた、情報、質問、並びに特定の時間の生理、健康、健康生活感等に関する特定の情報、収集手続の順守を向上させる提案、奨励、及び肯定的/否定的な意見を記録する要求を含んでもよい。
【0090】
事象237は、再現可能な環境の組、即ち採取の前及び/または後の文脈が生体指標採取のための生体指標データで作成される方法で、要求240に従って生体指標採取の前及び後に実行される必要があるすべてのステップを定義することを理解すべきである。生体指標データの例は、糖尿病の文脈では、空腹時血糖値、食前糖値、食後糖値等を含む。環境の組の例は、食事、運動、治療的投与、睡眠、水分補給等に関する、患者データ内の収集された情報を識別する生体指標値と関連するデータを含み得る。
【0091】
事象の工程222内の事象237の各々は、時間ベース、事象ベース、またはその両方であり得る。事象237はまた、食事の開始、起床時間、運動の開始、治療的投与時間、先の糖値と共に使用される関連オフセット、または所定の生体指標値の閾値を上回るまたは下回る時間であり得る。事象237はまた、生体指標採取時に再現可能な環境が作成される方法で、生体指標採取の前及び間に行われる必要がある患者の任意の行動を含み得る。このことは、食事、運動、治療的投与、睡眠、水分補給等の1つ以上を含み得る。さらに、事象の工程222内の事象237は、患者12の仕事の予定、ストレス要因等を受け入れるために調整され得る(数、型、時期等)。
【0092】
上記のように、順守基準224は、事象の工程222に従って実行される事象237が、構造化収集手続70の基礎となる医学的使用事例に対処するために受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。特に、順守基準224は、実行された事象237からのデータを検証するために使用される変数及び/または値を提供できる。例えば、順守基準224は、収集装置24のプロセッサ102により行われる、事象237に応じて収集された時間、量、型等の値が希望する範囲内にある、または希望する値を上回る、下回る、または等しいという確認であり得る。同じまたは異なる順守基準224が、事象の工程222内の事象237の各々と関連付けられてもよく、一実施形態では進入基準226と、別の実施形態では、例えば図6Dに示されるように(即ち、順守及び退出基準を定義する「bGがターゲット範囲内に戻ると、運動を止める」)、退出基準228であるように関連付けられてもよい。一実施形態において、事象の工程222内の1つ以上の事象は、特定の事象がそのための順守基準224を満たさなければ、修正(例えば、追加、削除、延期等)されてもよい。一実施形態において、順守基準224の不履行は、順守事象242を誘発できる。一実施形態において、事象237に関連する順守基準224が満たされないことによる順守事象242の発生時に、プロセッサ102は、結果として1つ以上の追加の行動を要求されてもよい。例えば、プロセッサ102は、ディスプレイ108上で患者に追加の情報を促してもよいし、患者12が病気である、ストレスに苦しんでいる、または食事を摂取する、運動する等の要求を行えないかどうかを決定するために、質問を促してもよい。患者が、例えばユーザインターフェース146を介して「イエス」と回答すれば、順守事象242の一部として、プロセッサ102は、事象の工程に延期(即ち、一時停止)を提供できる。一実施形態において、延期は、患者がプロセッサ102により促される別の質問に応じて元気になったことを示すまで、例えば順守事象の一部として翌日または所定の時間の後まで継続できる。例えば、患者12は、プロセッサ102により薬を投与するように促されるが、患者は、例えばインスリンが置かれている自宅にいない。患者12は、ユーザインターフェース146を介して延期を選択できる。プロセッサ102は、所定の時間の後に患者に再び促す。この延期はまた、上限を有してもよい。事象の工程が所定の時間内に再開されなければ、その環境の構造化収集手続70は終了してもよい。別の実施形態において、別の形式の順守事象は違反事象である。違反事象は、構造化収集手続70を実行する人が要求に応じて推奨される変更を行わないときに生じる。例えば、要求は、患者が薬の投与量を10Uから12Uに調整することであってもよい。患者は、ディスプレイ108に表示された、患者が変更に応じるまたは応じたかどうかを問い合わせる質問に否定的に回答する。違反事象に応じて、プロセッサ102は、順守事象に関して上述されたように、メッセージを送信及び/または延期を提供してもよい。
【0093】
別の例及び一実施形態において、bG測定値は、構造化収集手続70が、例えば使用事例パラメータ220により識別される医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つデータを提供するために、食事の前に収集されなければならない。この例において、患者が事象の工程222に従って収集の要求240に応じて昼食に対してbG測定値を採取せず、事象237の順守基準224が満たされなければ、関連順守基準242に応じるプロセッサ102は、収集手続70の命令に従って、その日の事象の工程222内の残りのすべての事象237を取り消し、データファイル(例えば、データファイル145(図4))に格納された監視bG測定値を無効として印を付し、事象の工程222の予定を翌日に変更するようにプログラムされ得る。プロセッサ102が順守事象242に応じて取ってもよいさらなる行動の他の例は、患者がより行い易いかもしれない、事象の2次工程に切り替え、欠損データを埋め合わせるために測定値の追加の事象を提供し、退出基準を1次から、修正された基準を提供する2次退出基準に変更し、順守事象を1次から2次順守基準に変更し、失敗事象の欠損データを履歴データ(からの推定値)で埋め、構造化収集手続70が成功し得るかどうかを確認するために特定の計算を行い、失敗事象の、臨床医等の特定の人にメッセージを送信し、欠損データ点を無視または推定するために関連データ記録152に所定の指示を提供する等により、構造化検査手続を動的に変更することであってもよい。さらに別の実施形態において、順守基準224は、例えば1つ以上の生体指標値及び/または1つ以上の質問に応じてユーザインターフェースから受信される入力に基づき、収集データが医学的使用事例または医学的事例に対処するのに役立つ値を提供するかどうかを決定するアルゴリズムを介して、動的に評価され得る。この例において、計算された順守値が役に立たない、例えば希望する範囲に入らないまたは所定の値を満たさなければ、結果として生じる順守事象により定義されるさらなる処理、例えば上述の過程のいずれか1つ以上が行われるだろう。
【0094】
上記の退出基準228は、構造化収集手続70がそれにより対処される医学的質問に回答するのに十分な文脈データを有するように、構造化収集手続70を終了または完了するための要件を規定する。退出基準228は、医学的使用事例に対処するために必要とされる標本の数を最小化することにより、構造化収集手続70の効率を向上させるのに役立ち得る。他の実施形態において、評価は、所与の信頼区間により示されてもよい。信頼区間は、パラメータに統計的に割り当てられる離散値または連続値の群である。信頼区間は、典型的に、時間の所定の部分でのパラメータの真値を示す。
【0095】
進入基準226と同様に、退出基準228は、文脈固有退出基準244、手続固有進入基準246、及びそれらの組み合わせを含み得る。文脈固有退出基準244の例は、気分、希望する血糖事象(即ち、血糖値)を識別し、ストレス、病気、禁忌、例えば高血糖、低血糖、嘔吐、熱等を示すために、1つ以上の変数を含み得る。続固有進入基準246の例は、順守基準を満たす事象、希望する所定の範囲内にある及び/または希望する所定の値である生体指標値、希望する疾病状態、所定の期間の後に生体指標に変化なし、または所定の期間に渡って希望する生体指標値に著しい進展なし等を識別するために、1つ以上の変数を含み得る。一実施形態において、退出基準228は、第2の構造化収集手続70の進入基準226のために満たされる必要がある条件を規定できることを理解すべきである。例えば、第1の収集手続、例えば構造化収集手続70b(図6B)で決定された適切なインスリン対糖質(I:C)を有するときに、ボーラス投与を行うための食事の開始に対する最善の時間を決定するために、構造化検査、例えば現在のI:C比を必要とする構造化収集手続70c(図6C)を実行することは、未知の時間に第1の構造化収集手続70bの退出基準を満たすときに、プロセッサ102が第2の構造化収集手続70cの事象の工程を自動的に実行できる方法で、調整され得る。他の実施形態において、例えば、プロセッサ102により事象の工程222に従って実行される第1の構造化収集手続70の退出基準228及び第2の構造化収集手続70の進入基準226は共に、同じ1つ以上の、上記の禁忌に基づき得る。実施形態において、例えばユーザインターフェース146及び/またはバイオセンサ140を介してプロセッサ102に提供及び/または検出され、この例では第1の構造化収集手続70の退出基準228を満たす、禁忌の発生時に、プロセッサ102は、第2の構造化収集手続70の進入基準226も満たされているので、第2の構造化収集手続70の事象の工程を自動的に開始するだろう。第1の構造化収集手続を終了することにより開始され得る第2の構造化収集手続70の例は、定期的な間隔、例えば30分毎、1時間毎、毎日の特定の時間等に、禁忌がなくなるまで(例えば、生体指標値が望ましい範囲または値に達する、患者12がユーザインターフェース146を介してプロセッサ102にもはや禁忌を有しないことを示す、所定の期間の満了等)、生体指標の採取を要求する事象の工程222を有するものであり得る。実施形態は、禁忌の発生後に事象の文脈及び値を記録することが望みであり、禁忌の発生時に第1の収集手続を終了すべきであれば、役に立つ。
【0096】
退出基準228は、構造化収集手続70を終了する条件を規定する単一の基準または多数の基準であり得る。条件は、好ましい実施形態では、収集方法により対処される医学的質問に回答するのに十分な文脈説明生体指標データが得られるのを保証するために提供される。例えば、所定数の有効な標本が得られる、または標本内の変動が所定の閾値を下回る方法で。それゆえに、収集手続70の終了日時は動的であり、退出基準228の所定の条件が満たされなければ、プロセッサ102により自動的に変更されてもよいことを理解すべきである。同様に、退出基準228の条件は動的であり、例えば特定の順守基準224が満たされるまたは満たされなければ、プロセッサ102により自動的に変更されてもよい。例えば、一実施形態において、特定の収集事象237のための順守基準224が満たされれば、プロセッサ102は、第1の退出基準を使用するように指示され、満たされなければ、プロセッサ102は、第1の退出基準と異なる第2の退出基準を使用するように指示される。従って、退出基準228が満たされるまで、構造化収集手続70の終了日時は、将来の未知の時間であり得る。別の実施形態において、退出基準228は、患者データが収集された後に、履歴患者データについて評価され得る。
【0097】
進入基準226及び退出基準228並びに順守基準224は、各収集事象237を有効活用する、及び/または医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立たない不要な収集での試験紙30の消費を低減するために、事象の工程222を実行するために必要とされる受け入れ可能な条件、値、構造、及び文脈の1つ以上を定義することにより、構造化収集手続70を実行する時間及び収集に関連する費用を低減するのに役立ち得ることを理解すべきである。以下では、図6A〜6Eへの参照がなされる。
【0098】
構造化収集手続例
図6A〜6Eは、構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dの例を示し、関連技術の当業者により上記の装置18、24〜26、28、36、52のいずれか1つに実行されてもよい命令コードに容易に変換され得る機能を示す。それゆえに、簡潔のために、示される機能に関連する擬似コードまたは実コードに関して、説明は与えられない。
【0099】
図6Aは、糖尿病患者から文脈説明生体指標データを得るために使用される構造化収集手続70aの実施形態を図式的に示す。横軸は、様々な事象237の実行時間238を示し、縦軸は、順守基準224を値なしで示す。示される実施形態において、事象237は、食事248及び睡眠250に関する記録情報と、5つの生体指標採取254に文脈252を提供するために、事象の工程222の一部である事象237を含み得る。この例において、食事248のための順守基準224は、最小値より大きく、例えば糖質量の値であり得る。進入基準226は、例えば特定の値を上回る生体指標値を含み、例えば構造化収集手続70aを開始するために文脈付け要件を満たすように要求される。退出基準228も同様に、特定の値を下回る生体指標値を含み、構造化収集手続70aを終了するために文脈付け要件を満たすように要求される。構造化収集手続70は、多数の医学的使用事例に対処するのに役立つ。
【0100】
GLP1構造化検査手続
例えば、いくつかの疫学研究は、食後糖(PPG)値の上昇が、心血管死亡及び2型糖尿病(T2D)での死亡の有意な予測因子であることを確認した。このため、高食後bG値を示すT2Dに処方され得る、週1回長時間作用型グルカゴン様ペプチド−1(GLP1)薬群がある。これらのGLP1薬は、インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することにより、血糖調節に重要な役割を果たす天然ホルモンGLP−1と同様である。それゆえに、構造化収集手続70が、一実施形態で提供され得る。構造化収集手続70は、1回以上の食事の後でのbG値の集中的な測定により、測定食後bG値の低減を使用して治療効果が示されるのを可能にすることを提案する。その測定値に基づき、GLP1薬の推奨投与量及び/または特定のGLP1薬が患者に対して適切な薬かどうかが決定され得る。
【0101】
例えば、患者が特定の薬、例えばGLP1薬を投与するように処方されると、構造化収集手続70は、収集装置24に提供され得る。GLP1薬の場合に、薬効の決定が望ましいが、構造化収集手続のための進入基準226は、患者が期間に渡って(例えば、次の4〜24週間)構造化収集手続70を実行するためにディスプレイ108に表示される質問に応じてプロセッサ102に賛同しなければならないこと、及び/またはプロセッサ102が患者の、期間(例えば、週、月等)に渡る、先の食後bG値からの平均PPG値が高い(例えば、141mg/dlより大きい)と決定したことであり得る。さらに他の要因、例えば所定の値、例えば126mg/dlより大きい、または所定の値、例えば240mg/dlより小さい空腹時血糖は、進入基準226として使用され得る。
【0102】
進入基準226の条件が満たされ、プロセッサ102により確認された後に、事象の工程222は、プロセッサ102により自動的に実行される。事象の工程222は、希望する収集事象237を指定するだろう。プロセッサ102は、患者に朝食、昼食、及び夕食の後に食後bG値を入力する(即ち、測定エンジンにより読み取られ、データ記録への格納及び表示のためにプロセッサに提供される、試験紙に提供される標本でbG測定を行う)ように自動的に促すだろう。処方する医師によりカスタマイズされるように、事象の工程222はまた、患者が薬を投与しなければならない実行時間238を有すると共に、投与量の合図及び薬が投与されたときの患者からの確認の要求240を提供するための収集事象237を定義できる。例えば、事象の工程222の実行におけるプロセッサ102は、事象の工程222内の収集事象237により指定される時間に投与量、例えば週の所定の日にタスポグルタイドを10mg、一定期間後に第2の間隔、例えば4週間に従って第2の投与量、週の所定の日に20mgを投与するように、患者に自動的に促すだろう。収集事象237はまた、事象の工程222内で定義され得る。プロセッサ102は、ディスプレイ108に、患者は体調がよく、エネルギー値を提供し、摂取される食事の量の値を提供するかどうか等の情報の要求を行う。
【0103】
各入力された食後bG値の順守の条件は、順守基準224の使用を介して提供され得る。任意の食後bG値は、指示の前後の時間を入力(即ち、測定)する。例えば±30分の検査ウィンドウを入力するが、そのような測定値は、プロセッサ102による事象の工程222の有効な測定値として受け入れられないだろう。一実施形態において、プロセッサ102は、それにより自動的に行われる順守基準224評価に基づき、さらなる行動を自動的に取ることができる。例えば、bG測定が、事象の工程222内の収集事象により指示される測定の前、かつ規定の検査ウィンドウの外、例えば収集事象時間−30分に行われた場合に、その場合におけるプロセッサ102は、以前の測定は検査ウィンドウ外により受け入れられなかったので指示される時間に測定が依然必要とされることを、患者に自動的に通知する。同様に、検査ウィンドウの後、例えば収集事象時間+30分に行われた場合に、プロセッサ102は、以前の測定は検査ウィンドウ外により受け入れられなかったことを、患者に自動的に通知し、検査ウィンドウ内に測定を行うように努めるよう励ましの言葉を、ディスプレイ108に提供できる。
【0104】
GLP1構造化収集手続70の退出基準228は、平均bG値が、最低限の時間(例えば、日、週、月等)、受け入れ測定値の最低限の数、またはその両方を使用して、希望する値に達したという指示であり得る。同様に、退出基準228は、平均bG値が、最大限の時間(例えば、日、週、月等)、受け入れ測定値の最大限の数、またはその両方の後に、希望する値に達しなかったという指示であり得る。さらに、退出基準228は、薬または投与量が患者にまったく適切でない、例えばプロセッサ102によりディスプレイ108に促される情報の収集事象に応じて、最低限の日数の毎日、患者が吐き気及び/または嘔吐を催すことを示す、他の要因であり得る。さらに他の要因、例えば空腹時血糖が所定の値、例えば126mg/dlより小さい、または所定の値、例えば240mg/dlより大きいことは、退出基準228として使用され得る。薬ベースの構造化収集手続70から収集されるデータは、GLP1薬の推奨投与量を作成する、及び/または特定のGLP1薬が適切な薬であるか、患者に適さないかを決定するために、医師により使用され得る。
【0105】
別の例が、図6Bに図式的に示される。その例は、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70bを示し、その手続がインスリン対糖質(I:C)比の適性を決定するのに役立ち得ることを示す。示されるように、進入基準226は、インスリン投与量は現在のI:C比で計算されることを注意するために、即効性の食事(fast-acting meal)を選択する案内230を患者に単に認識させると共に、検査期間に運動や追加の食物またはインスリンの摂取をしないように同意するように定義される。例えば、プロセッサ102は、ディスプレイ108に案内230を提示でき、ユーザは、一読した後に、希望する進入選択のためにユーザインターフェース146を使用して「イエス」または「ノー」を入力することを認識できる。ユーザが「イエス」を入力すれば、進入基準226は満たされ、プロセッサ102は、構造化収集手続70bに定義される事象の工程222を自動的に開始する。別の実施形態において、進入基準226は、即効性の食事を選択するための要求237を満たすことであってもよいし、満たすことを含んでもよい。例えば、選択のための要求237は、プロセッサ102がディスプレイ108に、ユーザインターフェース146を介する選択の入力が必要とされる、即効性の食事のリストを提供する選択メニューを表示することであり得る。例えば、即効性の食事の選択は、ボタン147、149の1つの押下を介して、またはディスプレイ108により提供されれば、タッチスクリーンインターフェースを介して行われてもよい。その選択は、収集装置24のメモリ110に、例えば構造化収集手続70bのためのデータファイル145(図4)の一部であってもよいセットアップデータ163(図4)に格納され得る。代替の実施形態において、特定の即効性の食事は、構造化収集手続70bにより推奨されてもよい。
【0106】
示されるように、事象の工程222は、示される複数の事象237a〜k等の、関連実行時間238a〜k及び行動240a〜kの要求を有する1つ以上の事象を含み得る。示されるように、行動240a〜c及び240f〜kの要求はユーザがbG値測定を行う要求であり、要求240dはインスリン投与を行うことであり、要求240eは即効性の食事を摂取することである。事象238f〜kは、順守事象224を有することも示される。順守基準224は、事象238f〜kのデータがデータファイル145に記録される場合に満たされなければならない。この例において、順守基準224は、対応する事象237f〜kに対して受信された値を記録するデータ記録152が収集手続70bを完了するのに考慮されるように、行動240f〜kが対応する実行時間238f〜kの20分以内に完了されることを要求する。一実施形態において、プロセッサ102は、要求が行われる時間に結果として生じるデータ値、例えばデータ値256a〜k(図4)を得るために、要求240a〜kの各々を関連実行時間238a〜kに行うだろう。
【0107】
例えば、プロセッサ102は、要求240aを有する患者12に、実行時間238aにbG値(生体指標)測定を行うように促すことができる。結果として生じる測定値は、プロセッサ102により、例えば希望する生体指標のために試験紙(バイオセンサ)140を読み取った後に、測定エンジン138から自動的に受信されると、プロセッサ102によりデータファイル145に、関連事象237aに対応するデータ値256aとして自動的に記録される。行動240d及び240eについて、要求される時間に、プロセッサ102は、患者12に、要求される時間に規定される行動を行うように自動的に促し、再び患者に、要求される行動が行われたこと、または規定される状態が有効にされたことを確認するように自動的に促すことができる。日時印169はまた、要求240a〜kの誘発時、要求240a〜kの確認時、事象237a〜kの完了時、事象237a〜kのデータ値256a〜kの受信時、及びそれらの組み合わせで、プロセッサ102により自動的にデータ記録152に提供され得る。さらに、別の実施形態において、患者12は、データをユーザインターフェース146を介して装置24に直接入力することにより、1つ以上の事象237a〜kのデータ値256a〜kを記録でき、また他の実施形態において、音声メッセージを後のデジタルデータへの転写のための情報と共に記録できる。プロセッサ102は、入力されたデータ値/情報を事象237a〜kに関連するデータ記録152に格納する。さらに他の実施形態において、患者12は、紙ツール38を使用して事象237a〜kのデータを記録するために、収集装置24により案内され得る。
【0108】
上記のように、各事象237は、生体指標値の記録、または生体指標値のための文脈を作成するために必要な、患者の行動の要求であり得る。示される実施形態において、事象237a〜cを完了するための文脈252は、食前の基準値(baseline)及び無傾向状態(no-trend condition)を規定し、事象237f〜kについては、食後の偏位(excursion)及び末尾(tail)を規定することである。これらの事象のための文脈252はまた、文脈情報156(図4)として、各事象に対応するデータ記録152と関連付けられてもよい。その情報は、後で、データを再構成するとき及び/またはデータ記録が作成された文脈を知りたいときに役立つ。
【0109】
患者の行動240a〜kの要求の他に行われる患者の任意の行動はまた、プロセッサ102により記録され得るが、プロセッサ102により収集手続70bの一部として認められないことを理解すべきである。予期される事象237a〜kのデータ256a〜kは、事象の型、事象の時間、事象の誘因、及びそれらの組み合わせに基づいて識別され得る。実行時間238a〜kの各々は、先のデータに基づき、固定または可変であり得る。他の実施形態における事象237a〜kのいくつかはまた、過去、現在、または将来の食事、運動等の事象、または低血糖事象、高血糖事象、または関心のある具体的な値のデータ等のデータ値であり得る。いくつかの実施形態において、事象237a〜kは、手続ベースの紙ツール38を介して識別され得る。
【0110】
示されるように、構造化収集手続70bは、退出基準228の条件が満たされれば終了するだろう。この例において、退出基準228は、行動240f〜kの少なくとも3つが順守基準224を満たせば満たされる。例えば、プロセッサ102は、実行されかつ要求されれば順守基準224が満たされる各事象237a〜kに、データファイル145で一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167(図4)を提供してもよい。図4に示される実施形態において、事象237a〜c及び237e〜kは、一意の識別子を受信するが、事象237d、例えば<null>は、関連順守基準(不図示)を満たさないので受信しない。さらに、分析論理258及び結果として生じる推奨260はまた、構造化収集手続70bで提供され得る。プロセッサ102は、構造化収集手続70bを、一実施形態では退出基準228を満たすときに収集されたデータに自動的に適用してもよい。同様の特徴がまた、図6C及び6Dにより示される例に提供される。図6Cは、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70cを示し、その手続が食事開始に対するボーラス投与の適性を決定するのに役立つことを示す。同様に、図6Dは、規定の医学的使用事例パラメータ220を有する構造化収集手続70dを示し、その手続が糖質摂取に相当する運動の適性を決定するのに役立つことを示す。上記の例に加えて、他の様々な医学的使用事例、例えば次の医学的使用事例に対処するために、他の構造化収集手続が設計されてもよい。患者の生体指標値での特定の食物を摂取する効果を決定する、食前及び/または食後に薬を服用する最善の時間を決定する、及び患者の生体指標値での特定の薬の影響を決定する。さらに他の構造化収集手続が提供され得る。その構造化収集手続は、患者への治療を初期化する最善の方法、患者の病気の進行の状態の決定を行うこと、患者の治療を最適化する最善の方法を見付けること等に関する質問に対処するのに役立つかもしれない。例えば、臨床医14は、所定の構造化収集手続70を定義及び/または使用できる。その構造化収集手続70は、患者の治療に効果があるかもしれない要因を調べる。その要因は、例えばストレス、月経周期、暁前効果、背景インスリン、運動、食事に対するボーラス投与時期、基礎率、インスリン感受性、食後行動等を含み得る。
【0111】
図6Eは、1つ以上の多数の採取分類262を含み、各採取分類が進入基準226及び退出基準228の間に提供される反復的な事象の工程222を含む、構造化収集手続70の図を示す。この例において、事象の工程222は、毎日の一貫した時間に発生する1つ以上の事象237を含む。糖尿病患者12から文脈説明生体指標データを得る過程の構造化収集手続70は、退出基準228が満たされる前に、多数の日、週、及び/または月に及び得るので、パラメータ調整等の1つ以上の確認264及び/または採取分類262を再実行するかどうかの評価はまた、一実施形態では進入基準226及び退出基準228の間に提供され得る。確認264の間の期間は、生理系平衡(physiological system equilibration)、治療効果の評価、または便宜のために使用され得る。例えば、各採取分類262の間または所定数の採取分類262の後に(図示)、収集手続70の任意のパラメータの調整が必要かどうかを決定するために、確認264の分析がプロセッサ102により行われ得る。
【0112】
例えば、その分析は、パラメータ最適化または効果評価のためであってもよい。パラメータ最適化について、プロセッサ102は、以前の事象の工程222または採取分類262で提供された標本で、先の最適化、臨床医による設定のパラメータ、及び収集戦略または治療戦略からの情報を使用して計算を実行でき、新たなパラメータ値を推奨する。効果評価について、プロセッサ102は、最適化分析により利用されないデータを評価できる。さらに、標本の群、即ち採取分類262が得られた後に、プロセッサ102はまた、採取分類262からのデータを、例えばそのデータが人の治療を変更/最適化するために必要とされる場合に評価できることを理解すべきである。順守基準は、この評価を行うために、採取分類262のデータに適用され得る。例えば、第1の順守基準224は、プロセッサ102により、最低限のデータが採取分類262により提供されるかどうかを評価するために使用され得る。提供されなければ、例えば患者の治療の変更/最適化は行われないだろう。別の順守基準224は、データの多様性(spread)、過度の変動性(variability)(ノイズ)やデータを使用する他のデータ属性があるかどうかを調べる等の確認264に求められる調整を可能にするために、データが受け入れ可能かどうかをプロセッサ102が評価するのを可能にし得る。この例において、順守基準を満たせば、プロセッサ102は、手続のパラメータを調整することが重大な事象、例えば高血糖事象または低血糖事象を容易にもたらし得る最小限の危険があると評価する。最後に、順守基準は、プロセッサにより、採取分類のデータに基づき、退出基準を評価するために使用され得る。例えば、採取分類262からのデータが、例えば上述の採取分類の順守基準を満たすときに、退出基準は満たされる。
【0113】
収集戦略または治療戦略は、目盛り(scale)ベース(変動または固定)評価または式ベース評価に分類され得ることを理解すべきである。収集戦略または治療戦略への入力として、プロセッサ102は、一実施形態では、所定数の先の採取分類262から収集されたデータを利用できる。このデータは、個々の点として(式ベースの収集戦略または治療戦略だけ)、または目盛りベース評価での使用のために選別と組み合わされて使用され得る。別の実施形態において、例えばプロセッサ102により行われる確認264の結果はまた、プロセッサ102により提供される状態または推奨をもたらし得る。その状態または推奨は、例えば現在のパラメータ値を持続する状態、特定のパラメータを変更する推奨、順守基準及び/または退出基準を変更する推奨、先の事象の工程または先の採取分類からのデータで行われた分析に基づいてプロセッサ102が第2の順守基準及び/または退出基準に切り替えた状態、または収集手続を終了させる推奨等であってもよい。本発明の実施形態に従って構造化収集手続を使用して構造化検査方法を実行する説明は、図7Aを参照して、以下に与えられる。
【0114】
構造化検査方法
図7Aは、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法300を示す。方法300は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータで実行されるプログラムの命令コードとして、例えば好ましくは臨床医コンピュータ25(図2)のスタンドアロンソフトウェア、ソフトウェア34の一部、または公衆網50を介して安全なウェブ実装によりサーバ52によりサービスとして提供されるソフトウェアとして実装されてもよい。プロセッサ76が、臨床医コンピュータ25のメモリ78からプログラムを複数あるうちの一機能として実行するとき、プロセッサ76は、医学的使用事例及び/または医学的質問への問い合わせを受信した後、ステップ302で提出された問い合わせに一致する全構造化収集手続70a〜dを求めて、メモリ78、コンピュータ読み取り可能媒体40、及び/またはサーバ52を検索する。例えば、プロセッサ76は、各利用可能な構造化収集手続70a〜dの医学的使用事例パラメータ220を読み取り、従来の検索アルゴリズム(例えば、リスト、ツリー、ヒューリスティクス等)を使用して、一実施形態では、ステップ304で問い合わせに一致する構造化収集手続の選択肢をディスプレイ82に提供してもよい。
【0115】
一実施形態において、表示されるリストは、例えばサーバ52から使用に利用可能な構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dを反映できる。さらに別の実施形態において、表示される選択肢のリストは、臨床医14が調査したい医学的使用事例の型に基づき、動的に作成され得る。例えば、ステップ302の前に、選択可能な医学的使用事例のリストが、プロセッサ76によりディスプレイ82に表示され得る。その実施形態において、臨床医14は、ユーザインターフェース装置86を使用して、表示される医学的使用事例から、例えば医学的使用事例「患者の治療への食事効果を決定する」を選択してもよい。臨床医が選択を行った後に、プロセッサ76は、その選択をユーザインターフェース装置86から入力として受信するが、プロセッサ76は、ソフトウェア34により提供される決定論理(例えば、もし・・・ならば・・・)を使用した後に、ステップ304で、例えば構造化収集手続70b(例えば、より正確なインスリン対糖質比を決定するための構造化収集手続)及び70c(例えば、食事開始に対するボーラス投与時期を決定するための構造化収集手続)を表示し、医学的使用事例に関係のない構造化収集手続である構造化収集手続70a及び70dは表示しないだろう。同様に、「全構造化収集手続を表示する」はまた、表示される医学的使用事例の選択肢であり得る。利用可能な構造化収集手続の完全なリストが、ステップ304で表示されるだろう。別の実施形態において、ステップ302は省略されてもよい。プロセッサ76は、ステップ304で臨床医コンピュータ25のメモリ78で利用可能な構造化収集手続70a〜dの表示を提供できる。
【0116】
ステップ306では、ユーザインターフェース装置86を使用する臨床医が、診断支援または治療支援のためにコンピュータ25で構造化収集手続70を選択できる。例えば、選択過程は、ステップ304で表示されるリストからの選択を含み得る。その選択は、1つ以上の構造化収集手続を提供する。
【0117】
臨床医がステップ306で選択を行った後に、プロセッサ76はその選択をユーザインターフェース装置62から入力として受信するが、コンピュータ25のプロセッサ76は、コンピュータメモリ78等の電子コンポーネント、サーバ52、またはコンピュータ読み取り可能媒体40から自動的に検索し、選択された構造化収集手続70をディスプレイ82に閲覧のために表示する。
【0118】
各構造化収集手続70a、70b、70c、及び70dは、医学的使用事例に基づき、進入基準226、事象の工程222、順守基準224、及び退出基準228を定義するパラメータを有することを理解すべきである。上記のように、進入基準226は、患者から生体指標データを得る前に満たされる必要がある条件を規定する。事象の工程222の各事象237は、実行時間、事象を実行するための患者の案内、患者の行動、患者からの情報の要求、患者からの少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求、及びそれらの組み合わせを含む。順守基準224は、事象の工程222に従って実行される事象237が、構造化収集手続70の基礎となる医学的使用事例に対処するために受け入れ可能なデータを提供したかどうかを定性的に評価するために使用される。さらに、上記のように、退出基準228は、構造化収集手続70を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する。
【0119】
ステップ310では、プロセッサ76が選択される構造化収集手続70を表示した後に、臨床医14が、患者12の必要及び/または臨床医の関心を満たすために、ディスプレイ82に表示されるパラメータ222、224、226、及び228のいずれか1つを調整してもよい。臨床医14だけがパラメータを修正及び/またはソフトウェア34を実行できることを保証するために、例えばパスワード保護による安全装置が実装されてもよい。プロセッサ76は、ユーザインターフェース装置86を介して入力としてパラメータ222、224、226、及び228への任意の修正を受信し、修正された構造化収集手続70をメモリ78に保存する。次に、ステップ312では、選択された構造化収集手続70が臨床医14により患者12にコンピュータ25で指示される。コンピュータ25のプロセッサ76は、出力として選択された構造化収集手続70を、それを実行する患者12に提供する。例えば、ステップ314では、指示された構造化収集手続70が、収集装置24等のプロセッサベース装置または他の上記の装置18、28、及び36(図1)のいずれかに、ソフトウェア34の一部として、また他の実施形態では紙ツール38の一部として、電子的に実装される。
【0120】
一実施形態において、指示された構造化収集手続70は、臨床医コンピュータ25(図2)から収集装置24に通信回線72を介して、ウェブページを通じて公衆網50を介して実行されてもよいし、サーバ52でダウンロードに利用可能にされてもよい。さらに他の実施形態において、指示された構造化収集手続70は、コンピュータ読み取り可能媒体40を通じて提供され、装置18、24、28、及び36の1つによりロードされ、装置18、24、25、26、28、及び36の別の1つからダウンロードされ、またはサーバ52から携帯電話接続または電話接続を介してダウンロードされ得る。装置18、24、25、26、28、及び36で使用に利用可能な新たな/更新された/指示された構造化収集手続70は、郵便の手紙/カード、電子メール、テキストメッセージ、ツイート等の任意の標準的な方法で提供されてもよい。
【0121】
構造化収集手続をカスタマイズ
図7Bは、所定の構造化収集手続70の一例を概念的に示す。構造化収集手続70は、その手続が患者の血糖(bG)値の傾向及び/または血糖値と時刻、食事量、エネルギー値との間の関係を知る必要がある医学的使用事例または医学的質問に役立つことを示す規定の医学的使用事例パラメータ220を有する。上記のように、使用事例パラメータ220は、識別タグとして使用され得る。プロセッサ102は、例えば入力された使用事例または質問の検索問い合わせに応じて、関連構造化収集手続70を検索してもよい。例えば、検索問い合わせは、ユーザインターフェース146を介して収集装置24に入力及び/または臨床医コンピュータ25から受信され得る。検索問い合わせは、どの使用事例が収集装置24で現在利用可能な構造化収集手続70により対処され得るか知りたい、またはどの構造化収集手続70が特定の使用事例または質問に対処するのに役立つか知りたいという欲求から生じてもよい。それゆえに、使用事例パラメータ220は、一実施形態では、構造化収集手続70が、例えばメモリ110、メモリ78、コンピュータ読み取り可能媒体40、及び/またはサーバ52に提供される複数の構造化収集手続70a〜dから、例えばプロセッサ102により提供され、ディスプレイ108に表示されるリストから、または規定の医学的質問のユーザインターフェースからプロセッサ102により受信される入力からの選択に基づき、プロセッサ102により自動的に選択されるのを可能にする。他の実施形態において、使用事例パラメータ220はまた、構造化収集手続70がまたbG値と時刻、食事量、エネルギー値との間の関係を示すのに役立つことを示してもよい。
【0122】
一実施形態において、構造化収集手続70の所定のパラメータは、修正/カスタマイズのために、収集装置24のプロセッサ102によりディスプレイ108に、及び/または臨床医コンピュータ25のプロセッサ76によりディスプレイ82に認可されたユーザにより表示され得る。認可されたユーザは、例えば収集装置24及び/または臨床医コンピュータ25で、ユーザインターフェース146、86を介して入力されるパスワードにより識別されてもよい。実施形態において、構造化収集手続70の所定のパラメータは、ディスプレイ108、82に表示され得る。カスタマイズ可能なパラメータは、様々な選択肢を有するドロップダウンボックス、ラジオボタン、チェックボタン、具体的な型の情報(mm−dd−yyyy、数、文字等)を要求する書式付きフィールド、表示されるメッセージを入力するためのテキストボックス等を介して、編集可能または選択可能な変数を提供できる。構造化収集手続70は、編集のために、一実施形態では表形式で(図示)、また別の実施形態ではスクロール形式で一度に一パラメータを列挙する逐次的方法で表示され得る。さらに別の実施形態において、修正され得ない構造化収集手続が提供され得る。
【0123】
図7Bに示されるように、構造化収集手続70は、患者12により、構造化収集手続を開始するために満たされる必要がある条件、即ち進入基準226、構造化収集手続を終了するために満たされる必要がある条件、即ち退出基準228、及びそれらの組み合わせを設定する1つ以上の基準を定義するパラメータをさらに含んでもよい。一実施形態において、収集装置24のプロセッサ102は、構造化収集手続により定義される条件が満たされれば、構造化収集手続を自動的に開始、評価、及び終了するために、1つ以上の基準を使用する。さらに別の実施形態において、収集されたデータが受け入れられるために満たされる必要がある条件である順守基準224はまた、構造化収集手続70で提供され得る。
【0124】
図7Bに示されるように、構造化収集手続70は、事象の工程222を形成する1つ以上(集合)の事象237を定義するパラメータをさらに含む。事象237の各々は、1つ以上の要求240、例えばバイオセンサ140に提供される標本のための生体指標値の測定エンジン138からの測定値の要求、及び/または例えばプロセッサ102によりディスプレイ108に提示される質問に応じてユーザインターフェース146を介して患者により入力される情報の要求を含む。示される実施形態において、要求240は、bG測定値、食事量の値(S、M、またはL)、及び1が最低で5が最高であるエネルギー値(1、2、3、4、5)に対するものである。他の要求240は、患者が運動したかどうか、摂取された特定の食物、どの薬が投与されたか、投与された薬の量等を示すことを含み得る。他の要求240はまた、他の構造化収集手続70で提供されてもよい。示される実施形態において、収集事象は、プロセッサ102がどの要求240を行うべきかをイエス/ノー選択ボックスを介して選択することにより、カスタマイズされ得る。
【0125】
構造化収集手続70はまた、収集事象237の各々並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224と関連する案内230及び時期または実行時間238を含んでもよい。案内230は、関連収集事象237または他のパラメータの発生時に、プロセッサ102によりディスプレイ108に提供される。例えば、朝食前のbG測定のための収集事象237はまた、患者のエネルギー値の要求240を有してもよい。それゆえに、この例において、「エネルギー値を示してください」という関連案内230は、ディスプレイ108にプロセッサ102により提供される。案内230は、構造化収集手続70の実行時に患者を支援するために、情報が患者に提供されるのを可能にするテキストボックス、フィールド、エリアであることを理解すべきである。この例において、1〜5からの数字の選択は、要求237のためのデータ入力として、ボタン147,149の1つの押下を介して、またはディスプレイ108により提供されれば、タッチスクリーンインターフェースを介して行われてもよい。その数字は、プロセッサ102により収集装置24のメモリ110に、構造化収集手続70のためのデータファイル145(図4)の一部として格納される。
【0126】
構造化収集手続70の時期パラメータ238は、関連収集事象237のいずれか1つについて、進入基準226、退出基準228、及び順守基準224、具体的な日付及び/または時刻(mm−dd−yyyy、hh:mm)、または先行する収集事象の後の、関連収集事象を実行するための期間を指定するために使用される。示される実施形態での収集事象237のための期間n1、n2、n3は時間を示すが、他の実施形態では、分または秒で示され得る。別の実施形態において、関連収集事象237並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224のための、時期パラメータまたは実行時間パラメータ238は、別の収集事象及び/または基準により修正され得る。
【0127】
例えば、示される実施形態において、進入基準226は、質問「3連続日に渡って検査を行う意思はありますか?」の形式で提供される案内230が、例えば収集装置24で提供される選択肢「ノー」を介して、患者12により賛同されなければ、1日追加することにより、順守基準224により修正される。この示される例において、「案内に賛同する」は、関連収集事象237の順守基準224をカスタマイズするためにコンボボックスに提供されるドロップダウン選択肢であってもよい。その選択肢は、選択されると、プロセッサ102に、順守基準224の残りの論理(「賛同されなければ、時期に1日追加する」)を実行する前に、受け入れる/受け入れないかの入力(例えば、ボタン147、149を介して)を待機させる。さらにこの例において、プロセッサ102は、退出基準228に関連する順守基準224で提供される論理に従って、退出基準228の時期パラメータまたは実行時間パラメータ238を、進入基準226を完了してから3日後である日付(mm−dd−yyyy)に設定できる。構造化収集手続70により実行されてもよい論理命令文(logic statement)の様々な可能な組み合わせは、一実施形態では、カスタマイズされるために事前に定義され、ドロップダウンボックスにより選択され、及び/または論理命令文は、別の実施形態では、構築され得ることを理解すべきである。
【0128】
構造化収集手続70はまた、収集事象237の各々並びに進入基準226、退出基準228、及び順守基準224の各々と関連するオプションパラメータ232を含み得る。オプションパラメータ232は、関連収集事象237のデータ及び/または結果、または構造化収集手続70の他のパラメータのいずれか、例えば進入基準226、退出基準228、及び順守基準224が、条件が満たされればさらなる処理がプロセッサ102により実行されてもよい方法で、特定の条件を満たすかどうかを管理するために、カスタマイズ可能な値を有し得る。例えば、オプションは、プロセッサ102に、進入基準226を満たしたことにより患者が構造化収集手続70を開始したことを示すメッセージを医師に自動的に送信させること、順守基準を満たさないことにより患者が収集事象237を実行しなければ、メッセージを患者及び/または医師に提供すること、退出基準が満たされて患者が構造化収集手続70を完了すると、メッセージを医師に提供すること、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、オプションパラメータ232は、行動の全体リスト(global list)を有し得る。行動は、ディスプレイ108上で、例えば各オプションに関連する値域から選択された値により選択される。例えば、各パラメータのオプションは、オプション選択肢(例えば、1、2、3、4、5、…、A、B、C等)を有するドロップダウンボックスから選択することによりカスタマイズされ得る。例えば、患者が収集事象237を実行しなければ(例えば、順守基準を満たさないことにより)、プロセッサ102にメッセージを医師に提供させるオプション1が、朝食前収集事象237のために選択されて示される。糖尿病患者12の文脈における例は、本発明に従って収集装置24で提供されるさらなる特徴を示すために、以下に与えられる。
【0129】
2型糖尿病の典型的な患者は、1日に1回、朝の起床後に血糖を測定してもよい。定期的な通院で、患者のHbA1c結果が上昇していると分かる。医師は、その人が3日間の強力な糖監視を経ることを推奨し、この目的に役立つ構造化収集手続を選択する。構造化収集手続70は、患者がプロセッサ102により、朝食前、朝食の2時間後(例えば、n1=2)、昼食前、昼食の2時間後(例えば、n2=2)、夕食前、夕食の2時間後(例えば、n3=2)、及び就寝前に血糖を測定するように要求され得るように、この3日間に収集事象237が多数のbG測定要求240で定義される方法で、上述のようにカスタマイズされる。さらに、患者12は、適切な時間に摂取される食事の相対量の評価及びエネルギー値に関してどのように感じるかを提供するために、各収集事象237のための他の関連する要求240を介して要求され得る。図7Bに示される実施形態において、プロセッサ102は、各収集事象237でエネルギー値を、他の各収集事象237で(即ち、食後に)摂取される食事の相対量の評価を要求できる。さらに、医師は、情報が評価で役立つために、関連収集事象237の±30分以内に食事評価を行わなければならないという条件を、順守基準224を介して提供した。その情報は、収集されたデータの文脈説明及び収集されたデータで行われる分析に役立つ。
【0130】
さらに、医師は、患者が「朝食前」収集事象237を完了しなかったときに通知を受けたいだろう。それゆえに、通知オプションを促進するために、医師は、「朝食前」収集事象に関連するオプションパラメータ232を、ドロップダウンボックスを介して「順守基準が満たされなければ、医師にメッセージを送信する」に設定することにより、構造化収集手続70をカスタマイズする。他の全収集事象237は、プロセッサ102がオプションパラメータに関して追加の行動を取らないことを示すために、関連オプションパラメータ232を有する。図7Bの上記の特徴及び配置が示される実施形態は、例えば図7Aを参照して上述された方法300のステップ310で実行されるパラメータ調整のために、構造化収集手続をカスタマイズするための単純かつ便利なインターフェース及び方法を提供することを理解すべきである。
【0131】
構造化収集手続を実装及び実行
図8Aは、本発明の実施形態に従って患者12から文脈説明生体指標データを得るために、構造化収集手続70を実装及び実行するための方法のフローチャートを示す。ステップ312で指示され、ステップ314(図7A)で実装された多数の構造化収集手続70a〜d(図2)は、装置24のメモリ110(図3)に格納され、任意の希望する時間での実行のために選択されてもよいことを理解すべきである。例えば、ボタン147、149の所定の組み合わせを押下すると、患者は、希望する構造化収集手続70a〜c及び構造化検査手続を開始する日付、即ち設定モード機能を選択できる。例えば、選択される日付範囲は、検査を明日開始し、今日から90日後に終了するものであってもよい。日付範囲は、プロセッサ102がデータファイル145(図4)にセットアップデータ163の一部として記録できる。その実行において、プロセッサ102は、ソフトウェア34により指示されるように、選択された構造化収集手続70のためのセットアップデータ163を読み込み、ディスプレイ108に、装置24が、例えば選択されて注目されている検査の開始日の前日から構造化収集手続の終了まで構造化検査モードにあることを示す。
【0132】
多数の構造化収集手続70a〜dは、順々にまたは同時にいつでも実行され得ることを理解すべきである。しかし、一実施形態において、ソフトウェア34は、別の構造化収集手続70の開始日が現在実行されている構造化収集手続70の終了日より遅ければ、ユーザが別の構造化収集手続70の予定を入れることだけを可能にする。ソフトウェア34はまた、ユーザが構造化収集手続70の予定日を無効にするのを可能にする。構造化収集手続70が予定され、ユーザが設定モード機能を再び入力すれば、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、予定日をディスプレイ108にデフォルト日として表示させる。ユーザが日付を修正せずに設定モードを終了すれば、以前の予定日は有効のままである。構造化収集手続70が開始すれば、ソフトウェア34は、ユーザが設定モードを入力するのを可能にし、プロセッサ102に現在の構造化収集手続70を中止させる。中止時に、一実施形態において、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、中止された構造化収集手続70のために収集されたデータについて、データファイル145内のデータ記録152からタグを外させる(de-tag)(例えば、一意の識別子167を無効にする)。
【0133】
ステップ316(図8a)で手続開始に達すると、プロセッサ102は、所定の使用事例または質問(例えば、使用事例パラメータ220)に対処するべく生体指標データを得るために選択された構造化収集手続70を開始するために、ステップ318で進入基準226が満たされるかどうかを評価する。ステップ320では、プロセッサ102が、構造化収集手続70のための事象の工程222内の各事象237に関連する時期238に従って、要求240を指定する。事象の工程222は、プロセッサ102により所定の文脈で生体指標データを得るために行われる生体指標データ収集の採取計画を提供することを理解すべきである。ステップ320で事象の工程222を実行するときに、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、構造化収集手続70での各事象237に対応するデータ記録152に一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167を割り当てさせる。任意選択で、各基準226、228、224はまた、必要に応じて基準がいつ満たされたのかを示すために、日時印169を提供されてもよい。
【0134】
順守基準224は、要求240に応じて受信された入力(例えば、生態指標データまたは情報)に適用され、受信された入力が順守基準224を満たすかどうかを決定する。構造化収集手続70が開始すると、構造化収集手続70で要求240に従って収集され、ステップ322で要求されれば順守基準224を満たす全データは、ステップ324でプロセッサ102によりデータファイル145内で一意の識別子167を割り当てられる(タグを付けられる)。一意の識別子はまた、収集されたデータ、例えば事象237を伴うデータ値256と、要求240と、要求240に応じた収集がプロセッサ102によりいつ受信されたかを示す日時印169とを関連付けるのに役立つことを理解すべきである。構造化収集手続70が実行されている間に、一実施形態において、ソフトウェア34は、ユーザが、発作(episode)に妨げられることなくいつでも装置24で測定を行うのを可能にする。
【0135】
一実施形態において、ソフトウェア34は、生体指標測定の合図が上記のように一定期間、例えば15分間、重要でない測定については何度でも、「スヌーズ」されるのを可能にする。別の実施形態において、ステップ320で要求240にほぼ合わせて行われる生体指標測定またはデータ入力は、ソフトウェア34により要求240に対して有効な測定またはデータ入力として設計される。プロセッサ102は、事象237に関連するデータ記録152に、生体指標測定またはデータ入力について一意の識別子167でタグを付けるだろう。生体指標測定の場合に、測定値が要求240に対して有効として受け入れられれば、ソフトウェア34は、要求240から得られたデータに文脈252を提供するために構造化収集手続70により必要とされれば、ユーザに追加の情報を入力するように促すことを、プロセッサ102に行わせる。追加の情報は、例えば1が低く、5が高い、1〜5のエネルギー値の格付け、1が少なく、5が多い、1〜5の食事量、及び30分以上を意味するイエスまたは1、30分未満を意味するノーまたは2からの運動を含んでもよい。追加の情報または文脈情報156は、ユーザインターフェース146を介して入力されると、プロセッサ102によりデータファイル145に、ステップ324で追加の情報を要求するデータ事象要求240に対して一意の識別子167と関連付けられて格納される。
【0136】
一実施形態において、構造化収集手続70により定義されるデータ事象要求240にほぼ合っていない、プロセッサ102により決定される生体指標測定は、プロセッサ102によりデータファイル145内で一意の識別子167でタグを付けられないだろう。そのことは、一意の識別子167と関連付けられていない、例えば<null>である要求240d及びデータ値256dと共に、データファイル145に示される。「収集手続にほぼ合わせて」の定義の例は、構造化収集手続70及び/またはソフトウェア34によりプロセッサ102に決定を行わせるよう指示されるように、事前に予定された時間またはスヌーズされた時間に関連して定義されてもよい。例えば、食前測定については、15分まで受け入れ可能であり、食後測定については、10分まで受け入れ可能であり、就寝前測定については、15分まで受け入れ可能である。他の定義は、他の構造化収集手続70及び/またはソフトウェア34で与えられてもよい。
【0137】
ステップ326では、プロセッサ102が、選択された構造化収集手続70のための退出基準228が満たされるかどうかを評価する。満たされなければ、プロセッサ102は、退出基準228が満たされるまで事象の工程222を実行し続ける。退出基準228が満たされたとき、収集手続70はステップ328で終了する。一実施形態において、構造化収集手続70はまた、ステップ318で進入基準226も満たされなければ終了してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、構造化収集手続70は、紙ツール38、血糖メータ26等の収集装置24に統合される糖尿病ソフトウェア34、携帯情報端末、携帯コンピュータ、または携帯電話等のコンピュータ装置36に統合される糖尿病ソフトウェア34、コンピュータに連結された装置リーダ22に統合される糖尿病ソフトウェア34、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ18、25で動作する糖尿病ソフトウェア34、インターネットを通じて遠隔から、例えばサーバ52からアクセスされる糖尿病ソフトウェア34として、実行のために構成され得る。糖尿病ソフトウェア34が収集装置24またはコンピュータ装置36に統合されると、糖尿病ソフトウェア34は、患者に食事特性、運動、及びエネルギー値等の日記情報を記録するように促すことができる。糖尿病ソフトウェア34はまた、患者に血糖値等の生体指標値を得るように促すこともできる。
【0139】
選択可能な構造化収集手続を提供するGUIインターフェース
図8Bは、収集装置24で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して構造化収集手続を実行する方法を示す。グラフィカルユーザインターフェースは、収集装置で実行されると、プロセッサ102に次のステップを実行させる。ボタン147、149の所定の組み合わせを押下すると、患者12は、ステップ330でプロセッサ102により収集装置24のディスプレイ108に提供されるリスト329内の、選択のために利用可能な構造化収集手続70までスクロールできる。構造化収集手続を開始したければ、患者12は、例えばステップ332でOKボタン151を押下することを介して希望する構造化収集手続70を選択する。この例において、構造化収集手続70の進入基準226(図6)は、プロセッサ102がディスプレイ108上でユーザに表示する情報を、ステップ334で提供する。表示された情報を読み取った後に、ユーザは、ステップ336で任意のボタンを押下する。進入基準226での次の手続が、プロセッサ102により実行される。この示される例において、進入基準226の一部として、質問がステップ338でプロセッサ102により問い合わせられる。患者12が依然、構造化収集手続を開始したければ、患者12は、ステップ340でOKボタン151を選択する。さもなければ、ボタン147、149を介する他の押下は、プロセッサに、リスト329に戻って構造化収集手続70のためのセットアップ手続を終了させる。
【0140】
患者12がOKボタン151を押下した後に、プロセッサ102はステップ342で、選択された構造化収集手続70を開始する時間を設定するために、ディスプレイ108に目覚まし時計343を提供する。生体指標採取、患者情報等のために要求される全事象237は、構造化収集手続70のための事象の工程222に従って、プロセッサ102により自動的に予定を入れられることを理解すべきである。時期、値、質問等は、図7A及び7Bを参照して上述されたように、臨床医14により調整されていてもよい。それゆえに、進入基準226により許可されるように開始時間を入力すること以外に、構造化収集手続70での他のパラメータ調整は、患者12により要求されない(または、一実施形態では許可される)。
【0141】
示される実施形態において、患者はステップ344で、翌日、例えば1日目の構造化収集手続の開始時間をボタン147、149を介して調整できる。開始時間をステップ346でOKボタン151を押下することを介して確認すると、開始時間は、プロセッサ102により、構造化収集手続70のためのデータファイル145(図4)内のセットアップデータ163の一部としてメモリ110に記録される。プロセッサ102は、ステップ348でディスプレイ108に選択リスト329を表示し、進入基準226を満たすセットアップ手続を完了し、ディスプレイ108に収集装置24が構造化検査モード349にあることを示す。
【0142】
一実施形態において、多数の構造化収集手続は、順々にまたは同時にいつでも実行され、それゆえに、一実施形態において、ディスプレイ108に提供されるモード349は、どの構造化検査が実行されるかを示すことを理解すべきである。しかし、好ましい一実施形態において、ソフトウェア34は、別の構造化収集手続の開始日がユーザインターフェース146を介して現在実行されている構造化収集手続の終了日より遅くなければ、ユーザが別の構造化収集手続の予定を入れるのを可能にしない。退出基準228が満たされないことにより、現在の構造化手続が依然実行中であれば、プロセッサ102は、次の構造化収集手続の予定を自動的に変更してもよいことを理解すべきである。ソフトウェア34はまた、別の実施形態において、ユーザが構造化収集手続の予定日を無効にするのを可能にしてもよい。構造化収集手続が予定され、ユーザが設定モード機能を再び入力すれば、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、予定日をディスプレイ108にデフォルト日として表示させる。ユーザが日付を修正せずに設定モードを終了すれば、以前の予定日は有効のままである。構造化収集手続が開始すれば、ソフトウェア34は、必要に応じて、ユーザが設定モードを入力し、プロセッサ102に現在の構造化収集手続を中止させるのを可能にする。
【0143】
ステップ350では、アラーム条件351が、プロセッサ102により提供され得る。上記の手続で設定されたように、翌日(1日目という記号により示される)、前日(開始という記号により示される)。ユーザがステップ352で任意のボタン147、149、151を選択すると、プロセッサ102は、事象の工程222により指示されるように、第1の予定事象237を提供する。第1の予定事象237は、ステップ354でディスプレイ108に表示される情報353である。患者12は、ステップ356で任意のボタン147、149、151を押下して、第1の予定事象237を確認する。次に、ステップ358では、プロセッサ102が、事象の工程222により第2の予定事象を実行するように指示される。第2の予定事象は、ディスプレイ108に患者への質問359を表示することである。患者12は、ステップ360で任意のボタン147、149、151を押下して、第2の予定事象を確認する。示される実施形態において、患者は、ステップ362で、ステップ352で以前確認された目覚ましアラーム351からの分単位での朝食の開始時間を指示する。食事開始時間をステップ364でプロセッサ102にOKボタン151を押下することを介して確認すると、食事開始時間は、メモリ110に記録される。例えば、食事開始時間は、プロセッサ102により、事象237のデータとしてデータファイル144内の関連するデータ記録152に記録される。従って、ステップ366では、プロセッサ102が、患者12に、次の予定事象の時期に関する情報を合図として表示する。ステップ368では、事象の工程222により指示される次の予定事象に達すると、プロセッサ102が、ディスプレイ108に、患者が測定、例えば血糖測定を行う要求240を提供する。さらに、ステップ370では、プロセッサ102がまた、文脈情報156を測定値に提供するために、事象の工程222により要求されるように摂取される食事の量に関する情報の要求240を行う。
【0144】
上記のように、各事象について、ソフトウェア34は、プロセッサ102に、事象237に関連するデータ記録152で順守基準224を満たす事象の工程222で提供される各要求240のデータに、一意の識別子(例えば、徐々に増加する計数)167(図4)を割り当てさせる。それゆえに、構造化収集手続が実行されている間に、ソフトウェア34は、ユーザが事象の工程222の外でいつでも収集装置24で測定を行うのを可能にする。その測定は、要求240に従って行われないので、順守基準224について評価されず、データファイル内で一意の識別子167を提供されないが、日時印及びその測定値だけが提供されるだろう。そのデータは、別の分析に役立つかもしれないので、データファイル145に記録される。
【0145】
別の実施形態において、ソフトウェア34はまた、例えばステップ238で提供される生体指標測定の合図を可能にする。例えば、一実施形態において、プロセッサ102は、測定値を提供するために、合図のためのアラーム及び/または警告メッセージを、それぞれインジケータ148を介して及び/またはディスプレイ108に提供する。例えば、生体指標測定(または読み取り)を行う特定の要求240の時間238に、プロセッサ102は、少なくともメッセージ「読み取りの時間です」をディスプレイに表示することにより、患者12を促す。別の実施形態において、聴覚的アラーム及び/または触覚的アラーム(振動)が、プロセッサ102によりインジケータ148として提供され得る。例えば、一実施形態において、収集装置24は、例えば患者12により別の理由で、例えば予定外事象を実行するためにすでに電源が入れられているときに、例えば要求される測定/読み取りを行う時間帯に、または電源が切られて例えば待機モードにあるときに、指示を介して合図を提供するために起動することにより、指示を提供するだろう。別の実施形態において、提供される合図または指示は、上記のように、要求される(重要な)測定/読み取りを行う時間帯に入る所定の期間、例えば15分間、または時間帯に入る他の適切な時間、「スヌーズ」され得る。構造化収集手続70に重要と認められる測定/読み取り、例えば医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つために必要とされる、順守基準224を満たすために必要とされる、及び/またはその後の分析で何らかの決定のために必要とされる等の測定/読み取りのためのスヌーズ機能は、収集手続70により提供される時間帯を越えて、例えば要求240のための順守基準224を介して、要求240を延長しないことを理解すべきである。例えば、一実施形態において、事象の工程222内の1つ以上の事象237は、構造化収集手続70で提供されるオプションパラメータ232(図7B)の使用を介して、重要及び1次標本として事前に定義され得る。例えば、重要と指定される事象237は、逃され得ないものであるが、逃されれば、データファイル145内の別の標本で置換され得る。1次標本として指定される事象237は、逃され得ないものであり、データファイル145内で利用可能であっても、別の標本により置換され得ない。さらに別の実施形態において、スヌーズは、重要でない測定について何度でも可能である。例えば、構造化収集手続70の所定の事象237は、重要でない要求240を有すると指定され得る。その事象237は、例えばオプションパラメータ232(図7B)の1つとして提供されるオプションを選択することを介してスヌーズされ得る。この実施形態におけるオプションパラメータ232は、例えばスヌーズオプション、並びにユーザが要求240をスヌーズするために許可される選択可能な時間間隔(例えば、1〜60分等)及び選択可能な回数(例えば、1〜5等)を提供できる。さらに別の実施形態において、収集装置24は、アラームが切られるのを可能にする。即ち、インジケータ148は、合図(聴覚的、振動性)を提供する場合に、全時間帯に渡ってユーザインターフェース146を介して切られ得る。しかし、プロセッサ102は、時間帯に行われる限り、測定/読み取りを受け入れる。さらに別の実施形態において、収集装置24は、例えばディスプレイ108に提供されるスヌーズ、アラーム切断、読み取り省略等の選択可能なオプションのリストから、ユーザインターフェース146を使用して入力される選択を介してプロセッサ102により受信される読み取り省略オプションを提供する。患者12が特定の要求される測定/読み取りを行いたくないとプロセッサ102に示すと、合図/指示は提供されないだろう。読み取り省略の選択肢を選択することは、先の節で上述されたように、順守基準242が要求240を引き起こす事象237と関連付けられていれば、さらなる処理をもたらす順守基準242をもたらし得ることを理解すべきである。
【0146】
さらに別の実施形態において、順守基準224は、生体指標測定がデータ事象要求240にほぼあわせて行われることを要求できる。それゆえに、生体指標測定が順守基準224により指定される期間内に行われれば、プロセッサ102は、事象に対する測定またはデータ入力が受け入れ可能であると示すことができ、データファイル145内の生体指標測定またはデータ入力の値にタグを付ける(即ち、一意の識別子167を割り当てる)。生体指標測定の場合に、その測定値がデータ事象要求240に対して有効として受け入れられれば(即ち、順守基準224を満たせば)、事象の工程222は、構造化収集手続70により必要とされれば、例えばステップ370に関して上記したように、要求240に応じて受信された測定値に文脈情報156(即ち、文脈)を与えるために、追加の情報を入力するようにユーザに促すことを、プロセッサ102に行わせてもよい。
【0147】
文脈情報156は、ユーザインターフェース146を介して入力されると、プロセッサ102により、追加の情報を要求するデータ事象要求240に対して一意の識別子167と関連付けられて、データファイル145に格納され得る。順守基準224により定義されるようにはデータ事象要求240にほぼ合っていない、プロセッサ102により決定される生体指標測定は、プロセッサ102によりデータファイル145内でタグを付けられないだろう。そのことは、一意の識別子167と関連付けられていないデータ事象要求240d及びデータ値256dと共に、データファイル145(図4)に示される。「収集手続にほぼ合わせて」の定義の例は、順守基準224によりプロセッサ102に決定を行わせるよう指示されるように、事前に予定された時間またはスヌーズされた時間に関連して定義されてもよい。例えば、食前測定については、15分まで受け入れ可能であり、食後測定については、10分まで受け入れ可能であり、就寝前測定については、15分まで受け入れ可能である。他の定義は、事象の工程222及び他の構造化収集手続内の他の事象について、他の順守基準224で与えられてもよい。
【0148】
示される実施形態において、ユーザは、選択肢までスクロールするためにボタン147、149を使用する。選択肢は、ステップ372でOKボタン151を押下することを介して、プロセッサにより要求240に関連するデータ記録152に入力される。一実施形態において、食事量は、例えば1が少なく、5が多い、1〜5の数字範囲を介して示され得る。示される実施形態において、1が低く、5が高い、1〜5のエネルギー値の格付けに関する文脈情報156のための追加の入力は、ステップ374で要求される。追加の入力は、ステップ376でユーザインターフェース146を使用することにより要求240に対する入力を受信するプロセッサ102を介して、上記のようにデータファイル145に入力される。他の実施形態において、他の文脈情報156は、患者が運動したかどうか及び/またはどのくらい運動したかを示すものを含んでもよい。例えば、イエスまたは1が30分以上を意味し、ノーまたは2が30分未満を意味するユーザインターフェース146が使用されてもよい。示される実施形態において、退出基準がステップ368〜376を成功することにより満たされるので、構造化収集手続70は、ステップ378で終了する。プロセッサ102は、患者12が必要に応じて収集装置24で他の作業を行ってもよい方法で、リスト329を再び表示する。以下では、図9への参照がなされる。
【0149】
生体指標データを文脈説明する方法
図9は、本発明の実施形態に従って糖尿病の診断支援及び治療支援のために生体指標データを文脈説明する方法388を示す。図8A及び8Bを参照して上述された以前の実施形態において、文脈情報156は、構造化収集手続70の間に自動的にプロセッサにより要求され、関連生体指標値と共に記録されたことを理解すべきである。しかし、自動化が収集装置24で提供されない実施形態において、患者は、紙ツール38を使用し、収集データは、例えば構造化収集手続70が少なくともデータ事象値256を作成するためにステップ390で実行された後に、文脈情報156と関連付けられ得る。収集装置24によりまだ終了しなければ、例えば限られたメモリ及び処理能力を備える装置の場合に、または記録が紙ツール38で行われるときに、データは、ソフトウェア34を実行し、少なくともデータ事象値256(図4)をそれぞれのデータ事象要求240と関連付ける機能を有する装置18、25、36の別の1つに提供されてもよい。少なくともデータ事象値256のそれぞれのデータ事象要求240、日時印169、及び文脈情報156とのこの関連付けは、ステップ392で文脈説明(自己監視)データ170をもたらす。
【0150】
文脈説明データ170で、測定時の患者12の生理的状態は説明され得る。患者の生理的状態は、生体指標値に影響を与え得る。患者の生理的状態の情報は、生体指標値の理解に役立つ。生体指標データは、前回の食事、食事型、食事配分(distribution)、運動情報、睡眠の質、睡眠時間、起床時間、病気等のストレス要因等の所定の事象の文脈で収集されるので、文脈説明され得る。時間分解されたデータは、生体指標データを、構造化収集手続70の順守及び患者の生活スタイル事象等の他の情報を有する文脈で解釈することを可能にする。
【0151】
次に、ステップ394では、文脈説明データ170が、順守基準を満たす受け入れ文脈説明データ395を生成するために、順守基準224を使用して評価される。順守基準224は、データ事象値256の標準との比較の基礎を提供し、データ事象値は、受け入れられて使用されるか、拒絶されて使用されないかのいずれかであり得るので、順守基準は、一実施形態ではデータを選別するために使用され得る。
【0152】
例えば、図10は、受け入れ不可能な文脈説明データ397と混ざり合う、受け入れ文脈説明データ395の図を示す。図の縦軸は、生体指標設定値、生体指標上限値、及び生体指標下限値の形式での文脈250を含む生体指標値256を示す。図の横軸は、測定要求の実行時間238及び睡眠時間事象237を示す。点線により示されるように、実際の睡眠は、推奨される最低限の睡眠を上回っている。受け入れ文脈説明データ395は、順守基準224を満たすものである。受け入れ不可能な文脈説明生体指標データ397は、構造化収集手続70内にないか、順守基準224を満たさないかのいずれかである。受け入れ不可能な文脈説明生体指標データ397を除外することにより、受け入れ文脈説明生体指標データ395は、意思決定を向上させるのに役立ち得る。統計的手法は、追加の情報を臨床医14に伝達する形式で、受け入れ文脈説明生体指標データ395を表示するために使用され得る。統計的手法の例は、回帰法、分散分析等を含む。
【0153】
図9を参照して、別の実施形態において、ステップ394はステップ392に先行してもよい。受け入れ文脈説明生体指標データ395は、別の実施形態ではまた、糖尿病の診断支援及び治療支援のために、ステップ396で分散疾病状態評価を提供するために使用され得る。例えば、ケーブル装置のプロセッサは、確認264(図6E)に関して上述された評価を実行するために要求されてもよい。評価の結果及び/または受け入れ文脈説明生体指標データに基づき、構造化収集手続70のパラメータ226、222、224、228並びに時期238及び要求240は、例えば図7A及び7Bを参照して上述されたように、任意選択で、ステップ398で調整されてもよい。さらに、データは、ステップ400でノイズ関数を使用して特徴付けられてもよい。パラメータ調整及びノイズ関数のための別過程の実施形態に関するさらなる詳細は、後の節で与えられる。ステップ398及び400は、任意選択であるが、適用されれば、構造化収集手続70が患者12に再び指示されてもよいことを理解すべきである。2型糖尿病の病気の進行の期に関する簡潔な説明が、パラメータ調整のさらなる理解が後の節で与えられる方法で、図11を参照して以下に与えられる。
【0154】
図11は、前糖尿病410が2型糖尿病の診断の前の期間であることを示す。患者12は、食後高血糖412に移行する耐糖能異常(IGT)の症状を示す。患者は、2型糖尿病(フェーズI)414として医学的に診断される時期に、典型的に、経口単剤治療を開始する。しかし、経口単剤治療は、食後高血糖412の後期で開始できる。2型糖尿病が進行するにつれて、患者は、経口組み合わせ治療を含むフェーズII416に入る。最後に、2型糖尿病は、インスリン治療を含むフェーズIII 418に入る。1型糖尿病は、膵臓ベータ細胞がインスリンの産生を本質的に止めるので、ずっと安定した疾病状態であるが、何人かの1型患者はまた、2型糖尿病を発症する。
【0155】
パラメータ調整
図12は、(例えば、図9のステップ398で)パラメータを調整するための別の方法420のフローチャートを示す。より具体的には、関心文脈説明生体指標値422を指針ベースターゲット範囲に入れることが示される。方法420は、好ましくは、臨床医コンピュータ25で、ソフトウェア34の分析機能として、例えば完了した構造化収集手続70から収集された患者データファイル145に含まれる患者データを評価するために促進される。関心文脈説明生体指標値422は、公知の指針及び標準により提供されるターゲット範囲外に入る。構造化収集手続70の多くにおいて、臨床医により調整のために利用可能な多数のパラメータが存在し得る。それゆえに、臨床医コンピュータ25で実行される体系的手法は、関心生体指標値422を希望するターゲット範囲に入れるために取られる時間及び努力を向上させるのに役立つはずである。図2も参照して、方法420は、ステップ424でディスプレイ82で関心文脈説明生体指標値422を選択することを有する。プロセッサ76は、ステップ424で、選択されるパラメータのリストを表示するだろう。任意のパラメータが選択され得るが、この例では、臨床医により選択されるパラメータは、選択された関心文脈説明生体指標値422をターゲット範囲外からターゲット範囲内に潜在的に移動すると思われるパラメータである。パラメータの例は、ソフトウェア34により専用にされるプロセッサにより提供される薬、投与量、運動の頻度及び時間、並びに食事の頻度、時期、量、及び型の1つ以上を含んでもよい。パラメータの他の例は、メトホルミン投与量、インスリン対糖質比、基礎インスリン投与量、運動、及び食事の1つ以上を含み得る。パラメータのさらに他の例は、タスポグルタイド、アレグリタザル、スルホニル尿素、ビフアニド(bifuanides)、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、PPARデュアルα/γアゴニストの1つ以上を含み得る。
【0156】
ステップ426では、選択されたパラメータが、副作用を避ける一方で、関心文脈説明生体指標値を、例えば指針及び標準428により指定される指針ベースターゲット範囲に入れるために、アルゴリズムを使用してプロセッサ76により自動的に調整される。臨床医14は、ステップ426でプロセッサにより行われた調整を受け入れる、修正する、または取り消す選択肢を有する。
【0157】
次に、方法420は、ステップ430で、選択された関心文脈説明生体指標値422の新たな値を受信するのを待機する。新たな値が、例えば修正されたパラメータでの構造化収集手続70の2回目の実行から患者データに記述されると、プロセッサはステップ432で、新たな値を評価する。ステップ432で文脈説明生体指標値を評価した後に、プロセッサ76は、ステップ434で新たな関心文脈説明生体指標値422が指針ベースターゲット範囲内にあるかどうかを決定する。文脈説明生体指標が範囲内にあれば、パラメータ調整はステップ436で完了する。さもなければ、過程は、ステップ426でアルゴリズムを使用してパラメータを調整するのを繰り返す。
【0158】
図13は、指針ベースターゲット範囲438内に調整される関心文脈説明生体指標値422のレポート図を示す。横軸は、手続実行1、手続実行2、及び手続実行3を有する時間440を示す。縦軸は、文脈説明生体指標値の目盛り442、及び生体指標設定値、上限値、及び下限値を含むターゲット範囲438を示す。手続実行1において、第1の文脈説明生体指標値422が得られる。第1の文脈説明生体指標値422は、ターゲット範囲438外にある。手続実行1の後に、薬のメトホルミン投与量等のパラメータが調整される。手続実行2において、第2の文脈説明生体指標値422’が得られる。第2の文脈説明生体指標値422’は、手続実行1からの第1の文脈説明生体指標値よりはターゲット範囲に近いが、引き続きターゲット範囲438外にある。再び、同じパラメータが調整される。手続実行3において、第3の文脈説明生体指標値422”が得られる。第3の文脈説明生体指標値422”は、ターゲット範囲438内にある。
【0159】
方法420での調整に適する別のパラメータは、推定インスリン対糖質(I:C)比を調整する。この調整は、I:C比推定値の決定のために、食事の効果をボーラスインスリン投与量に関連付けることにより行われ得る。I:C比推定値は、食事効果を取り消すために使用される。インスリン対糖質比推定値の調整のために、所定の比率の糖質、脂質、タンパク質を含む食事、所定の摂取速度、及び人の体重に応じて調整された所定のカロリーが使用される。期待血糖範囲からの偏差が、更新推定インスリン対糖質比を計算するために使用される。受け入れ可能な範囲内の2連続測定値が、頑健なインスリン対糖質比推定値を確立するために必要とされる。推定値は、食事を省略し、期待血糖効果を検証することにより確認され得る。
【0160】
例えば、方法420での調整に適する別のパラメータは、メトホルミン等の2型糖尿病を治療するための経口薬を調整する。例えば、パラメータであるメトホルミン投与量を調整する際に、関心生体指標は、空腹時血糖だろう。メトホルミン投与量の調整は、重大な胃腸の副作用、及びまれに乳酸アシドーシスの危険を避ける一方で、空腹時血糖測定値を希望する空腹時血糖範囲に入れようと試みるだろう。この場合に、空腹時血糖測定値は、副作用に関する患者情報でさらに文脈説明される必要があるだろう。
【0161】
他の例において、方法420での調整に適する別のパラメータは、インスリン治療中の1型及び2型の糖尿病患者のために基礎インスリン放出投与量を調整する。パラメータである基礎インスリン放出投与量を調整する際に、関心生体指標は、空腹時血糖だろう。基礎インスリン放出投与量の調整は、空腹時血糖測定値を希望する空腹時血糖範囲に入れようと試みるだろう。
【0162】
方法420での調整に適するさらに他のパラメータは、投与量または薬の切り替えを調整する。例えば、パラメータ調整の実施形態はまた、スルホニル尿素、メトホルミン等のビグアニド、ピオグリタゾン塩酸塩、マレイン酸ロシグリタゾン、シグリタゾン、トログリタゾン、またはバラグリタゾン等のチアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、シタグリプチンリン酸塩、サクサグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、カルメグリプチン(carmegliptin)、またはデナグリプチン等のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤、及びそれらの組み合わせの1つ以上を調整するために構成され得る。
【0163】
方法420での調整に適するさらに他のパラメータは、エクセナチド(バイエッタ(登録商標))、NN2211(リラグルチド)、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)、AVE−0010(ZP−10)、R1583(タスポグルタイド)、GSK−716155(アルビグルタイド(albiglutide)、GSK/Human Genome Sciences)、BRX−0585(Pfizer/Biorexis)、及びCJC−1134−PC(エキセンジン−4:PC−DAC(登録商標))等のGLP−1アナログ、及びムラグリタザル、アレグリタザル、またはペリグリタザル等のPPARデュアルα/γアゴニストを調整する。具体的なパラメータ調整は、タスポグルタイドまたはアレグリタザルのために構成され得る。タスポグルタイドの特性は、Societe de Conseils de Recherches et d’Applications Scientifiques社に譲渡された、国際公開第2000/034331号「GLP−1のアナログ」に開示される。アレグリタザルの特性は、F. Hoffmann−La Roche社に譲渡された、国際公開第2002/092084号「糖尿病の治療におけるPPARα及びγ活性剤としての使用のためのカルボン酸置換オキサゾール誘導体」に開示される。ノイズは、構造化収集手続70のパラメータの調整の基礎となり得る別の要因である。ノイズは、図14及び15を参照してさらに後述される。
【0164】
ノイズ
生体指標測定でのノイズの効果をより理解するために、図14は、全ノイズの成分の関係の図を示す。示されるように、全ノイズ450は、システムノイズ452、手続ノイズ454、及び測定方法ノイズ456を含む。全ノイズ450は、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズを関連付ける関数であり、次の方程式により説明され得る。
全ノイズ=f(測定、手続、システム)
ここで、測定ノイズ、手続ノイズ、及びシステムノイズは、関数の成分である。図14において、横軸は時間458を示し、縦軸は生体指標値460を示す。縦軸はさらに、生体指標設定値462、上限値464、及び下限値466を示す。システムノイズ452、手続ノイズ454、測定ノイズ456、及びそれらの組み合わせのために調整された新たなノイズ特徴付け生体指標値468が示される。
【0165】
測定ノイズ456は、測定を行うために使用される収集装置24のノイズであり、収集装置のメーカにより提供される文献から直接、容易に利用可能である。測定ノイズ456は、典型的に、測定システムまたは収集装置のばらつきによりもたらされる。ばらつきは、試験紙束間の差異、収集装置間の、例えば血糖メータの目盛りの差異、及び特定の収集装置に固有の限界の差異を含む。例えば、典型的な血糖測定装置は、実際の値の100mg/dL±15mg/dL下から100mg 15%上まで、報告される測定値に差異を有する。測定ノイズ456はまた、気温、湿度、及び気圧等の環境の差異によりもたらされるかもしれない。
【0166】
手続ノイズ454は、構造化収集手続70で提供される構造化検査手続によりもたらされるノイズである。手続ノイズの寄与は、データが採取される方法、例えば構造化収集手続70のステップの大きさ、速さ、及び時期、並びに食事、運動、薬の効果、及びランシング部位の位置による標本差異等の採取方法の差異等の、そのステップの適用前の患者の活動を含み得る。
【0167】
システムノイズ452は、各個人の生理の差異によりもたらされる生体指標値のばらつきである。糖尿病等の慢性病は、食事、運動、及び睡眠等の変動生活スタイル要因により影響を受ける各患者固有の生理により、各患者で異なる形で現れることを理解すべきである。患者が糖値等の生体指標データを収集するときに、患者の生理的状態の差異は、生体指標データの臨床医による解釈を困難にし得るシステムノイズを生成し得る。
【0168】
構造化収集手続70によるシステムノイズ452及び手続ノイズ454の使用は、ある集団に固有(endemic)であることを理解すべきである。それゆえに、システムノイズ452及び手続ノイズ454のパターンを理解することにより、成分の決定は、これらのノイズ成分が計算され得る個人的手続の使用を通じて効率化され得る。例えば、全ノイズは、生体指標値の典型的な収集を行うことにより測定され得る。プロセッサ102は、メーカの文献からの収集装置24の利用可能な測定ノイズ456と、手続ノイズ454の集団(population)ベース値とを使用するときに、システムノイズ454の推定値を計算する。代替方法として、プロセッサ102は、手続ノイズ454の推定値を計算するために、具体的な規約、全ノイズ450の上記の測定値、及び利用可能な測定ノイズ456の使用を通じて、システムノイズ452を最初に計算できる。例えば、システムノイズ456を測定するための具体的な規約は、bG測定値を運動の有無で比較することにより、運動に対する患者の生理的反応の大きさを検査することであり得る。同様の規約はまた、標本測定での部位位置選択の影響、所定の食事の型及び量の影響、睡眠の差異の影響、ストレスの影響、患者の生理的反応に影響を与える他の要因を検査するために開発され得る。一実施形態において、システムノイズ452は、上記のように決定され、単一かつ短期の規約の目的のための定数として適用され、別の実施形態において、患者の生活に渡って連続的な長期の傾向を有する値として適用される。
【0169】
集団ベース手続ノイズ454は、このノイズを測定するために設計される臨床試験での規約の適用により測定され得る。例えば、最初に上記の調査参加者のシステムノイズ452を設定し、次にこの情報を使用し、測定ノイズ456と組み合わせ、具体的な調査参加者により確認される手続ノイズ454を設定するという、簡単な2段階の調査が開発され得る。多数の調査参加者に渡ってこの手続を実行することは、一般的適用のために使用され得る集団ベース手続ノイズ454をもたらす。手続ノイズの寄与は、構造化収集手続に課せられる制限により形成され得るが、除外され得ない。手続ノイズ454を制限する例は、その場その場の食事で摂取される公知の負荷の所定の食事を要求することだろう。別の例において、手続ノイズ454を測定するための臨床試験が作成される。その臨床試験は、手続ノイズを明確に低減するように変更を加えることに従って繰り返される。
【0170】
図15は、ノイズモデル化関数の作成のための方法470のフローチャートを示す。ノイズモデル化関数は、ノイズを特徴付け、それにより構造化収集手続70での基準及び事象等のパラメータを修正するのを可能にするために使用され得る。ステップ472では、例えばデータファイル145で提供される、受信データ内の関心文脈説明生体指標データ422が、例えば図12を参照して上述された方法で選択される。一実施形態において、文脈説明生体指標データは、特殊ノイズ収集手続70を使用して、または医学的使用事例または医学的質問に対処するのに役立つように使用される構造化収集手続70を使用して収集された文脈説明生体指標データの組から収集された文脈説明生体指標データである。いくつかの実施形態において、選択された文脈説明生体指標データはまた、ステップ472で、例えば図9を参照して上述されたように、受信データ内の受け入れ関心文脈説明生体指標値を作成するために、受信データ内の文脈説明生体指標値に順守基準224を適用して選別され得る。ステップ474では、プロセッサ76が、データの組内の差異を統計的に評価することにより、文脈説明生体指標データからの測定ノイズを計算する。測定ノイズは、ランダム事象に起因する測定値について存在する差異によりもたらされる、実際のデータの組内の全ノイズの例である。
【0171】
次に、ノイズモデル化関数は、ステップ476で、文脈説明生体指標データ422、測定ノイズ456、手続ノイズ454、及び様々なデータ点での多数の生体指標値を使用し、全ノイズ関数アルゴリズムに基づいて作成される。ノイズモデル化関数の例は、3つのノイズソース間の関数関係を作成するために、ノイズ推定値を作成するための公知の測定方法、集団ベースまたは個人履歴データに基づく手続ノイズ推定値、及びシステムノイズ間での統計的共分散の使用に従う。データの組内の様々なデータ点での生体指標値は、同じ標本数を有するデータの組のノイズを推定するために、ノイズ関数と共に使用される。計算されたノイズ推定値が標本数に基づく閾値ウィンドウに等しいまたは含まれる場合に、ノイズ関数は有効であると見なされる。
【0172】
いくつかの実施形態はさらに、ステップ478で、文脈説明生体指標データ点の量及びノイズモデル化関数を使用して全ノイズを計算し、計算されたノイズ推定値を文脈説明生体指標データの測定値と比較し、それらが所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定することにより、ノイズモデル化関数を検証することを含み得る。全ノイズは、測定装置から得られる生体指標データのばらつきとして定義される。全ノイズは、特徴付けられ、最小化され、理想的には除去されるべきである。ノイズ推定値は、ノイズモデル化関数、測定方法、及び手続ノイズ値を利用して計算され、推定システムノイズ及び将来データの構造化収集手続での計算数または所定数のデータ点と組み合わせられる。計算された全ノイズ推定値は、提供データの組の測定ノイズと比較され、所与の信頼区間内での等価性が評価される。方法470の結果は、ステップ480での検証ノイズ関数である。以下では、図16A及び16Bへの参照がなされる。
【0173】
使用事例の例
本発明の実施形態により提供される上記の利点を示すのに役立つように、次の使用事例の例が与えられる。糖尿病の診断支援及び治療支援のための生体指標データの文脈説明が、関心生体指標、即ちブドウ糖を使用し、構造化収集手続を参照して後述されるが、様々な他の実施形態が、例えばトリグリセリド、コレステロール、低密度脂質、高密度脂質等の、構造化収集手続を作成し(図5A、5B、7A、及び7B)、構造化収集手続を実行し(図8A及び8B)、パラメータを調整し(図9及び12)、及びノイズモデル化関数を作成する(図15)要素からの他の生体指標に対して構成され得る。
【0174】
この使用事例の例について、図16A及び16Bは、糖尿病の評価支援及び治療支援のために生体指標データを文脈説明するために選択された実施形態の、臨床医14、患者12、及び動作500の間の様々なやり取りを示す。様々なやり取りが、臨床の設定で、在宅等の、通信を介した臨床医とのやり取りを伴う患者の設定で(図2)、生体指標データを収集する患者の設定で、最適化のための臨床医の設定で起こり得る。動作500は、紙ツール38で、糖尿病ソフトウェアを備える装置24または36で、インストールされた糖尿病ソフトウェアを操作するまたはネットワーク50を通じてサーバ52からの遠隔糖尿病ソフトウェアを操作するコンピュータ18または25で行われ得る。
【0175】
ステップ502では、臨床医14が、関心生体指標、例えばブドウ糖を選択する。関心生体指標を選択した後に、臨床医は、患者12に、糖尿病の疾病状態の分散評価を行わせ得る。糖尿病の疾病状態の現在の評価は、ステップ504でどのパラメータを調整すべきかを決定するときに、臨床医14を支援できる。臨床医は、ステップ506で患者に合わせられ得る構造化収集手続を定義し、ステップ508で進入基準が満たされることを検証する。例えば、一特定の構造化収集手続は、患者12の有効な糖質対インスリン(C:I)比を決定するために使用されてもよく、別の構造化収集手続は、患者のインスリンに対する感受性を決定するために使用されてもよい。糖質対インスリン(C:I)比の例において、進入基準は、患者が8日間の検査チャレンジを行う意思があり、それが可能であり、130mg/dLを上回る血糖値を有し、最近の低血糖事象を有しないことを保証することであってもよい。インスリン感受性の例において、進入基準は、患者が、4日間の検査チャレンジを行う意思があり、それが可能であり、150mg/dLを上回る血糖値を有し、最近の低血糖事象を有しないことを保証することであってもよい。
【0176】
任意選択で、ステップ510では、臨床医14が、動作500のシステム(例えば、臨床医コンピュータ25)に、例えば図15を参照して上で与えられたようなノイズ関数を定義するのに役立つように、ノイズ特徴付け手続を選択させることができる。いくつかの実施形態において、選択されたノイズ特徴付け手続は、ノイズ関数が収集される各生体指標値に対してノイズ依存分解能(resolution)を設定するために、患者12に、生体指標データを収集することを要求するだろう。他の実施形態において、ノイズ依存分解能は、ステップ514で患者からの生体指標データの収集なしに設定され得る。設定されれば、ノイズ依存分解能は、ステップ516で生体指標値に対する潜在的変化の重大さを評価及び提示するために、動作のシステム(例えば、収集装置24及び/または臨床医装置25)により使用される。
【0177】
ステップ518では、患者が、構造化収集手続70を実行する。例えば、図3を参照して、患者は、このステップのために携帯収集装置24に実装された構造化収集手続70を与えられて実行する。この例において、収集装置24は、ディスプレイ108、ユーザインターフェース146、生体指標値を測定するための測定エンジン138、及びデータファイル145及び構造化収集手続70を含むメモリ110を備える。構造化収集手続70は、進入基準226、退出基準228、及び順守基準224を定義する1つ以上のパラメータ、並びに1つ以上の収集事象237及び案内230、時期238及び任意選択で収集事象237の各々に関連するオプションパラメータ232を有し得る。
【0178】
患者12の有効な糖質対インスリン(C:I)比を決定する例において、案内(及び命令)230は、患者に検査を準備させるときに提供される情報及び各検査の後にすべきことについての情報を含んでもよい。患者に糖質対インスリン(C:I)比の例で準備させる情報は、検査を開始する前に少なくとも4時間は何も摂取していない、水を摂取することは許可される、最近の低血糖事象を有しない、少なくとも4時間は即効性のインスリン(食事ボーラス(meal bolus)または補正ボーラス(correction bolus))を投与していない、長時間作用型インスリン(基礎)は検査の開始の2〜12時間前に投与されなければならない、病気または異常なストレスを感じていれば検査を開始しない、検査の前または間にコーヒー、茶、食物、またはアルコールを摂取しない、午前7〜8時の間に検査を開始するように十分早く起床する、検査を開始する前に構造化収集手続の全ステップを理解する、及び検査の前に少なくとも3日間は普通に食事を摂取する、を含んでもよい。この例で要求される収集事象に従って行われる検査の後にすべきことについての情報は、低血糖事象を感じれば医師を呼ぶ、またはbGが開始時に25mg/dL内であり、これがC:I比の連続検査の3回目であり、検査が完了すれば医師を呼ぶ、を含んでもよい。
【0179】
収集装置24はさらに、ディスプレイ108に接続されるプロセッサ102、ユーザインターフェース146、測定エンジン138、及びメモリ110、並びに収集装置24に電力を供給するための電源150を備えてもよい。ソフトウェア34はまた、収集装置24に提供され、プロセッサ102により実行されるとプロセッサに次の処理ステップを行わせる命令を提供する。ステップ518では、プロセッサ102が、メモリ110から構造化収集手続70を読み込み、例えば進入基準226が満たされれば、ステップ518でその構造化収集手続を自動的に実行する。ステップ518では、プロセッサ102が、構造化収集手続70で指示される収集事象237の各々の時期238に従って、ディスプレイ108に、生体指標値の測定及び/または情報の要求240を自動的に送信する。
【0180】
ステップ518では、プロセッサ102が、送信された要求240に応じて、測定エンジン138により測定された各生体指標値またはユーザインターフェース146を介して入力された情報を、データファイル145内の関連データ記録152に自動的に格納する。プロセッサ102はまた、順守基準224を評価し、オプションパラメータ232により定義されるように、さらなる処理が必要かどうかを評価する。
【0181】
例えば、上記のC:I比の例において、患者により実行される構造化収集手続70は、次の過程を含んでもよい。最初に、予定の(かつ最初の)朝食の30分前に開始すべき毎日の検査の開始時に、患者12は、収集装置24を使用して血糖値が>130mg/dLであることを確認する。そうでなければ、プロセッサ102は、患者12に、中断して翌日再び試みるべきことを助言する。OKであれば、日時及び第1の生体指標値の糖値が、プロセッサ102により記録される。患者12は、収集装置24のユーザインターフェース146を使用して、最初の毎日の検査で使用された初期糖質対インスリン(C:I)比を記録する。次に、患者は、ユーザインターフェース146を介して、全糖質及び繊維からの糖質を記録するだろう。繊維は、プロセッサ102により、全糖質量から差し引かれ、インスリンを必要とする糖質量が示される。この糖質量は、プロセッサ102により、初期C:I比で示される糖質で除され、次に、初期C:I比で示されるインスリンを乗じられ、食事ボーラスのための新たなインスリン投与量が与えられる。インスリン投与量は、注射器具が対応する最も近い単位に、端数を切り捨てられてもよいことを理解すべきである。例えば、対応する単位が1であり、得られるインスリン投与量が1.26であれば、投与量は1単位に端数を切り捨てられる。患者12は、最初の生体指標値の収集の30分後に、収集装置24を使用して血糖値が>130mg/dLであることを再び確認する。そうでなければ、プロセッサ102は、患者12に、中断して翌日再び試みるべきことをディスプレイ108上で助言する。OKであれば、日時及び第2の生体指標値の糖値が、プロセッサ102により記録される。患者12は、プロセッサ102により、食事を摂取するように指示される。第2の生体指標値の収集から2時間後に、プロセッサ102は、収集装置24を使用して血糖値を測定する患者12に、インジケータ148及び/またはディスプレイ108を介して、日時及び第3の生体指標値の糖値がプロセッサ102により記録されるように促してもよい。
【0182】
最後に、ステップ518で、プロセッサ102は、退出基準228が満たされると、構造化収集手続70を自動的に終了する。例えば、退出基準228が満たされるかどうかを決定するために、プロセッサ102は、生体指標データの顕著な変化の重大さを評価し、ディスプレイ108に表示できる。例えば、上記のC:I比の例において、プロセッサ102は、第2の生体指標値を第3の生体指標値から差し引き、使用されたC:I比の有効性を決定する。差し引きで得られる差分が、25mg/dlより大きければ、翌日の検査に使用されるC:I比の糖質は、1単位だけ増加される。構造化収集手続70は、翌日再び、採取計画、即ち事象の工程222を繰り返す。例えば、初期C:I比が30:1であれば、最初の検査日の後に、翌日の検査のC:I比は、31:1になるだろう。同様に、差分が−25mg/dLより小さければ、翌日の検査に使用されるC:I比の糖質は、1単位だけ減少される。しかし、得られた差分が±25mg/dL以内であれば、次の検査のC:I比は変更されない。さらに、命令の例において上記のように、得られた差分が±25mg/dL以内であり、完了した検査が同じC:I比での第3の連続検査であれば、この場合に、ステップ518で退出基準228が満たされ、プロセッサ102は、構造化収集手続70を自動的に終了する。
【0183】
構造化収集手続70からのデータを使用して、臨床医は、臨床医コンピュータ25で、ステップ520で提示された変化の重大さを評価し、パラメータ変更が必要かどうかを決定できる。例えば、上記のC:I比の例において、有効なC:I比がステップ518で構造化収集手続により決定されなければ、パラメータ変更は示されてもよい。臨床医は、パラメータ変更が必要であると決定すれば、ステップ522でパラメータを調整するために、パラメータを調整するための方法(例えば、図9及び12により示される方法)を使用するだろう。例えば、ステップ524では、任意選択で、システム(例えば、臨床医コンピュータ25)の動作500が、例えばステップ522で臨床医14により必要だとして決定されれば、患者の他の生活スタイル要因を考慮する、検査での案内の増加、カスタマイズされた合図、及び追加の柔軟性を提供することにより、よりよい管理手続実行を提供できる。ステップ526では、患者12が、収集装置24を使用して調整された手続を実行する。次に、ステップ528では、システム(例えば、収集装置24及び/または臨床医コンピュータ25)の動作500が、文脈説明生体指標値410の変化を計算及び/または推定、評価し、ステップ530では、変化の重大さを評価及び臨床医14に提示する。いくつかの実施形態において、臨床医14は、上述のように、パラメータ調整を最適化するために、パラメータを調整するための方法を繰り返し得る。
【0184】
このように、上記の開示により、慢性病患者の診断支援または治療支援のための構造化検査方法及びその装置に関する実施形態が開示される。当業者は、開示された以外の実施形態で教示が実施され得ることを理解するだろう。開示された実施形態は、限定ではなく例示の目的のために提示され、発明は、以下に続く特許請求の範囲によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
ディスプレイ(108)と、
ユーザインターフェース(146)と、
前記ディスプレイ(108)及び前記ユーザインターフェース(146)に連結されたプロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
前記ディスプレイ(108)で選択のために慢性病に関連する複数の医学的使用事例または医学的質問を促し、
前記ユーザインターフェース(146)を介して選択された医学的使用事例または医学的質問を受信し、
前記選択された医学的使用事例または医学的質問に基づいてメモリ(110)に格納された複数の構造化収集手続(70)から前記慢性病患者(12)の前記診断支援または治療支援のための構造化収集手続(70)を自動的に選択し、
前記選択された構造化収集手続(70)を実行させ、
前記構造化収集手続(70)は、事象の工程(222)を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有し、前記事象(237)の各々は、実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む、プログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項2】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、プロセッサ(102)が事象の工程(222)を実行するために満たされる必要がある1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの進入基準(226)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項3】
前記進入基準(226)は、前記構造化収集手続(70)が自動的に選択され、前記進入基準(226)を満たすと前記事象の工程(222)が開始されるように、特定の医学的質問として定義される、請求項2に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項4】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記選択された医学的使用事例または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの順守基準(224)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項5】
前記順守基準(224)は評価され、前記評価に基づいて前記構造化収集手続(70)は動的に適合する、請求項4に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項6】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの退出基準(228)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項7】
前記プロセッサ(102)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を実行する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項8】
前記装置(24)は、臨床医コンピュータ(25)及び携帯収集装置(26、28、36、48)の1つである、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項9】
前記選択された構造化収集手続(70)の前記出力は、携帯血糖メータ(26)に提供される、請求項7に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項10】
前記出力は、印刷紙ツール(38)、収集装置(24)により操作されるソフトウェア(34)、収集装置(24)に送信されるソフトウェア(34)、収集装置(24)、臨床医コンピュータ(25)のディスプレイ(82)、及び携帯収集装置(24)のディスプレイ(108)によりサーバ(52)からダウンロードされるソフトウェア(34)の1つである、請求項7に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項11】
前記メモリ(110)は、前記装置(24)に提供される、前記装置(24)に備わる、及び前記装置(24)により遠隔からアクセスされる、の1つである、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項12】
前記複数の医学的使用事例または医学的質問は、インスリン対糖質比を最適化すること、食事開始に対するボーラス投与時期を決定すること、及び運動相当を決定することを含む、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項13】
前記複数の医学的使用事例または医学的質問は、所定の文脈で生体指標を管理すること、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、及び治療効果に関する1つ以上の質問を含む、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項14】
前記経口単剤治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項15】
前記経口組み合わせ治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項16】
前記インスリン治療は、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、及び基礎及びボーラスでのインスリンの分割からなる群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項17】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記進入基準(226)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)の前記事象の工程(222)を自動的に実行させるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項18】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記構造化収集手続(70)の基礎となる医学的使用事例または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される1つ以上の条件を規定する順守基準(224)をさらに定義する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項19】
前記順守基準(224)は評価され、前記評価に基づいて前記構造化収集手続(70)は動的に適合する、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項20】
前記順守基準(224)は、前記収集手続(70)の間に収集されたデータ(256、170、145)の群に基づいて評価される、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項21】
前記構造化収集手続(70)は、臨床医(14)により検索のために認可される、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項22】
前記構造化収集手続(70)は、認可されるまで前記装置(24)のディスプレイ(108)で閲覧することから隠されたままである、請求項21に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項23】
前記プロセッサ(102)は、第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の事象の工程(222)を、前記第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)が未知の時間に満たされると自動的に実行する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項24】
前記検索された構造化収集手続(70)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)をさらに含み、前記プロセッサ(102)は、前記退出基準(228)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)を自動的に終了する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項25】
前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)は、第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)を、前記プロセッサ(102)が未知の時間に前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)を満たすと前記第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の事象の工程(222)を自動的に実行する方法で満たす、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項26】
前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)及び第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)は、1つ以上の禁忌に基づく、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項27】
前記検索された構造化収集手続(70)は、前記進入基準(226)及び退出基準の間に提供され、前記プロセッサ(102)が前記事象の工程(222)の所定の採取分類(262)の後に実行する確認(264)をさらに含み、前記確認(264)は、パラメータが調整を必要とするかどうか、採取分類(262)を再び実行するかどうかの1つ以上を決定するために、前記プロセッサ(102)により実行される、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項28】
前記順守基準(224)は、退出基準(228)として定義される、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項29】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にさせる、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項30】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、
事象(237)が前記事象の工程(222)に従って実行されるかどうか、前記事象(237)に従って提供されたデータ(256、170、145)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能かどうかを評価するために使用される順守基準(224)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記構造化収集手続(70)の前記事象の工程(222)を自動的に実行し、
前記順守基準(224)が満たされなければ、1つ以上の追加の行動を取らせるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項31】
前記プロセッサ(102)は、前記1つ以上の追加の行動に関する情報をディスプレイ(108)で提供する、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項32】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記順守基準(224)を満たさないと前記事象の工程(222)を延期させる、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項33】
前記構造化収集手続(70)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)をさらに含み、前記プロセッサ(102)は、前記退出基準(228)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)を自動的に終了し、前記退出基準(228)は、特定の値、平均、特定の事象(237)、発生した条件、発生していない条件、及び所定のタイムアウトの満了の1つ以上である、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項34】
前記プロセッサ(102)は、前記事象(237)が前記事象の工程(222)に従って実行されない、または前記事象(237)に従って提供された前記データ(256、170)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能でないと、前記構造化収集手続(70)を自動的に終了する、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項35】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記構造化収集手続(70)に従って生体指標データ(170)を受信し、
前記生体指標データ(170)を前記事象の工程(222)のデータ(256、170、145)と共に文脈説明生体指標データ(170)として格納し、
前記文脈説明生体指標データ(170)から測定ノイズ(456)、手続ノイズ(454)、及びシステムノイズ(452)の1つ以上を含むノイズ関数を適用することにより測定ノイズを計算させるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項36】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記ノイズ(450)を調整するために、選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にさせる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項37】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記構造化収集手続(70)を調整するために、前記ノイズ関数を使用させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項38】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、多数の文脈説明生体指標データ点(256)及び前記ノイズ関数を使用して全ノイズ(450)を計算することにより前記ノイズ関数を検証し、計算されたノイズ推定値を前記文脈説明生体指標データ(422)の測定ノイズ(456)と、前記計算されたノイズ推定値と測定ノイズ(456)が所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定するために比較させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項39】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、文脈説明生体指標値(170)の不適合を識別するために前記ノイズ関数を使用させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項40】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、各データ事象(222)要求(237)を関連データ事象値(256)と関連付け、前記文脈説明生体指標データ(170)を順守基準(224)で評価し、前記順守基準(224)を満たす文脈説明生体指標データ(170)を受け入れることにより、生体指標データ(170)を文脈説明させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項41】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための構造化検査方法(300)であって、
前記診断支援または治療支援のためにコンピュータ(18)で構造化収集手続(70)を選択することと、
前記コンピュータ(18)のプロセッサ(76)に、医学的使用事例に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、
前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される順守基準(224)と、及び
前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する前記構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索させることと、及び
選択された構造化収集手続(70)を前記患者(12)に指示することであって、前記コンピュータ(18)の前記プロセッサ(76)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を、指示されるとそれを実行する前記患者(12)に提供することと、を有する方法。
【請求項42】
前記構造化収集手続(70)の前記選択は、規定の医学的質問を受信した前記プロセッサ(102)に基づき、複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)から自動的に行われる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項43】
前記構造化収集手続(70)の前記選択は、複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)から、前記複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)の1つの規定の進入基準226が満たされると、自動的に行われる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項44】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記構造化収集手続(70)は、前記進入基準(226)が満たされると自動的に開始する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項45】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記構造化収集手続(70)は、前記退出基準(228)が満たされると自動的に終了する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項46】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記事象の工程(222)は、前記順守基準(224)を満たさないことに基づき、動的に適合し得る、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項47】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記退出基準(228)は、データ(256、170、145)の群が前記順守基準(224)を満たすと満たされる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項48】
前記選択された構造化収集手続(70)は、前記プロセッサ(102)に、前記順守基準(224)を満たさない事象の工程(222)内の事象(237)の結果として、追加の行動を取らせる順守事象(242)をさらに含む、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項49】
前記順守基準(224)は、時間または値の所与の許容範囲内で事象要求(240)に対して事象値(256)を検証するために使用される、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項50】
前記選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を前記コンピュータ(18)で可能にすることをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項51】
ノイズ(450、452、454、456)を調整するために、前記選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を前記コンピュータ(18)で可能にすることをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項52】
情報の前記要求(240)は、前記生体指標データ(170)に文脈情報(156)を提供する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項53】
前記医学的使用事例は、インスリン対糖質比を最適化すること、食事開始に対するボーラス投与時期を決定すること、及び運動相当を決定することから選択される、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項54】
医学的質問は、所定の文脈で前記生体指標を管理すること及び所定の文脈で前記生体指標を最適化することの1つである、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項55】
医学的質問は、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、及び治療効果からなる群から選択される、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項56】
前記経口単剤治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項57】
前記経口組み合わせ治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される1つ以上である、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項58】
前記インスリン治療は、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、及び基礎及びボーラスでのインスリンの分割からなる群から選択される1つ以上である、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項59】
前記事象の工程(222)は、病気、ストレス、または食事若しくは運動の摂取不可により前記順守基準(224)を満たさないと延期され得る、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項60】
ノイズ関数を作成することと、前記生体指標のために前記構造化収集手続(70)を調整するために、前記ノイズ関数を使用することとをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項61】
前記ノイズ関数は、文脈説明生体指標データ(170、422)を選択すること、前記文脈説明生体指標データ(170、422)から測定ノイズ(456)を計算すること、及び文脈説明生体指標データ(170、422)、測定ノイズ(456)、手続ノイズ(454)、システムノイズ(452)、及び多数の生体指標値データ点(256)を使用し、アルゴリズムに基づき、ノイズモデル化関数を作成することを含む、請求項60に記載の方法(300)。
【請求項62】
多数の文脈説明生体指標データ(170、422)点及び前記ノイズモデル化関数を使用して全ノイズ(450)を計算することにより前記ノイズ関数を検証することと、計算されたノイズ推定値を前記文脈説明生体指標データ(170、422)の測定ノイズ(456)と、前記計算されたノイズ推定値と測定ノイズ(456)が所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定するために比較することとをさらに有する、請求項61に記載の方法(300)。
【請求項63】
ノイズ検証関数は、統計ベースアルゴリズム、モデルベースアルゴリズムからなる群から選択される手法を使用して文脈説明生体指標値(170)の不適合を識別するために検証される、請求項62に記載の方法(300)。
【請求項64】
データ事象要求(237、240)をデータ事象値(256)と関連付けることにより前記生体指標データを文脈説明することと、少なくとも1つの前記順守基準(224)に対して前記文脈説明生体指標データ(170)を評価することと、少なくとも1つの前記順守基準(224)を満たす文脈説明生体指標データ(170)を受け入れることとをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項65】
指示された構造化収集手続(70)を実行するための収集装置(24)であって、
構造化収集手続(70)を開始するための進入基準(226)、前記構造化収集手続(70)を終了するための退出基準(228)、事象(237)の各々が収集事象(237)を実行するための案内(230)、情報の要求(240)、患者行動の要求(240)、少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の要求(240)の少なくとも1つを含む事象の工程(222)、及び前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(170)を提供したかどうかを定性的に評価する順守基準(224)を含む、構造化収集手続(70)を格納し、収集された生体指標データ(256)及び前記収集された生体指標データ(256)の各例と関連する他のデータを含み、前記他のデータは、前記関連する収集された生体指標を特徴付ける文脈説明データ(170)を含む、患者データ(256、170、145)を格納するためのメモリ(110)と、
前記構造化収集手続(70)を選択するためのユーザインターフェース(146)と、
前記構造化収集手続(70)で指定された前記少なくとも1つの型の生体指標データ(256)を提供するための少なくとも1つの生体指標リーダ(138)と、
前記メモリ(110)、ディスプレイ(108)、前記ユーザインターフェース(146)、及び前記生体指標リーダ(138)に連結されたプロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
前記ユーザインターフェース(146)から前記構造化収集手続(70)の選択を示す入力を受信し、
前記選択の後に前記進入基準(226)が満たされれば、前記事象の工程(222)を自動的に実行し、
前記事象(237)の各々が実行されて得られた前記患者データ(256、170、145)をメモリ(110)に格納し、
実行された事象(237)が前記順守基準(224)を満たせば、前記データ(256)にメモリ(110)内で一意の識別子(167)を自動的に関連付け、
前記退出基準(228)が満たされると、前記選択された構造化収集手続(70)を自動的に終了させる命令を有するプログラム(34)と、を備える装置。
【請求項66】
構造化収集手続(70)を実行する方法(300)であって、
請求項1、17、30、35、または65のいずれか一項に記載の収集装置(24)を提供することと、
前記収集装置(24)で前記構造化収集手続(70)を認可することと、を有する方法。
【請求項67】
命令を格納するコンピュータ読み取り可能記憶媒体(40)であって、
コンピュータ(18)のプロセッサ(76)により実行されると、前記プロセッサ(76)に、患者(12)から文脈説明生体指標データ(170)を得るために、医学的使用事例に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、少なくとも1つの型の生体指標データ(170)の収集の要求(240)、及びそれらの組み合わせを含む事象の工程(222)と、
前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される順守基準(224)と、及び
前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)を電子コンポーネントから自動的に検索することと、
選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にすることと、及び
前記選択された構造化収集手続(70)を前記患者(12)に指示することであって、前記コンピュータ(18)の前記プロセッサ(76)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を、指示されるとそれを実行する前記患者(12)に提供することと、を有する構造化検査方法を実行させる、記憶媒体。
【請求項1】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
ディスプレイ(108)と、
ユーザインターフェース(146)と、
前記ディスプレイ(108)及び前記ユーザインターフェース(146)に連結されたプロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
前記ディスプレイ(108)で選択のために慢性病に関連する複数の医学的使用事例または医学的質問を促し、
前記ユーザインターフェース(146)を介して選択された医学的使用事例または医学的質問を受信し、
前記選択された医学的使用事例または医学的質問に基づいてメモリ(110)に格納された複数の構造化収集手続(70)から前記慢性病患者(12)の前記診断支援または治療支援のための構造化収集手続(70)を自動的に選択し、
前記選択された構造化収集手続(70)を実行させ、
前記構造化収集手続(70)は、事象の工程(222)を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有し、前記事象(237)の各々は、実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データの収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む、プログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項2】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、プロセッサ(102)が事象の工程(222)を実行するために満たされる必要がある1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの進入基準(226)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項3】
前記進入基準(226)は、前記構造化収集手続(70)が自動的に選択され、前記進入基準(226)を満たすと前記事象の工程(222)が開始されるように、特定の医学的質問として定義される、請求項2に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項4】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記選択された医学的使用事例または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの順守基準(224)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項5】
前記順守基準(224)は評価され、前記評価に基づいて前記構造化収集手続(70)は動的に適合する、請求項4に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項6】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある1つ以上の条件を規定する、少なくとも1つの退出基準(228)をさらに定義する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項7】
前記プロセッサ(102)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を実行する、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項8】
前記装置(24)は、臨床医コンピュータ(25)及び携帯収集装置(26、28、36、48)の1つである、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項9】
前記選択された構造化収集手続(70)の前記出力は、携帯血糖メータ(26)に提供される、請求項7に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項10】
前記出力は、印刷紙ツール(38)、収集装置(24)により操作されるソフトウェア(34)、収集装置(24)に送信されるソフトウェア(34)、収集装置(24)、臨床医コンピュータ(25)のディスプレイ(82)、及び携帯収集装置(24)のディスプレイ(108)によりサーバ(52)からダウンロードされるソフトウェア(34)の1つである、請求項7に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項11】
前記メモリ(110)は、前記装置(24)に提供される、前記装置(24)に備わる、及び前記装置(24)により遠隔からアクセスされる、の1つである、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項12】
前記複数の医学的使用事例または医学的質問は、インスリン対糖質比を最適化すること、食事開始に対するボーラス投与時期を決定すること、及び運動相当を決定することを含む、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項13】
前記複数の医学的使用事例または医学的質問は、所定の文脈で生体指標を管理すること、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、及び治療効果に関する1つ以上の質問を含む、請求項1に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項14】
前記経口単剤治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項15】
前記経口組み合わせ治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項16】
前記インスリン治療は、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、及び基礎及びボーラスでのインスリンの分割からなる群から選択される1つ以上である、請求項13に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項17】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記進入基準(226)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)の前記事象の工程(222)を自動的に実行させるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項18】
前記構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)は、前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記構造化収集手続(70)の基礎となる医学的使用事例または医学的質問に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される1つ以上の条件を規定する順守基準(224)をさらに定義する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項19】
前記順守基準(224)は評価され、前記評価に基づいて前記構造化収集手続(70)は動的に適合する、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項20】
前記順守基準(224)は、前記収集手続(70)の間に収集されたデータ(256、170、145)の群に基づいて評価される、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項21】
前記構造化収集手続(70)は、臨床医(14)により検索のために認可される、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項22】
前記構造化収集手続(70)は、認可されるまで前記装置(24)のディスプレイ(108)で閲覧することから隠されたままである、請求項21に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項23】
前記プロセッサ(102)は、第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の事象の工程(222)を、前記第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)が未知の時間に満たされると自動的に実行する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項24】
前記検索された構造化収集手続(70)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)をさらに含み、前記プロセッサ(102)は、前記退出基準(228)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)を自動的に終了する、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項25】
前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)は、第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)を、前記プロセッサ(102)が未知の時間に前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)を満たすと前記第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の事象の工程(222)を自動的に実行する方法で満たす、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項26】
前記検索された構造化収集手続(70)の前記退出基準(228)及び第2の構造化収集手続(70a、70b、70c、70d)の進入基準(226)は、1つ以上の禁忌に基づく、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項27】
前記検索された構造化収集手続(70)は、前記進入基準(226)及び退出基準の間に提供され、前記プロセッサ(102)が前記事象の工程(222)の所定の採取分類(262)の後に実行する確認(264)をさらに含み、前記確認(264)は、パラメータが調整を必要とするかどうか、採取分類(262)を再び実行するかどうかの1つ以上を決定するために、前記プロセッサ(102)により実行される、請求項24に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項28】
前記順守基準(224)は、退出基準(228)として定義される、請求項18に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項29】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にさせる、請求項17に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項30】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、
事象(237)が前記事象の工程(222)に従って実行されるかどうか、前記事象(237)に従って提供されたデータ(256、170、145)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能かどうかを評価するために使用される順守基準(224)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記構造化収集手続(70)の前記事象の工程(222)を自動的に実行し、
前記順守基準(224)が満たされなければ、1つ以上の追加の行動を取らせるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項31】
前記プロセッサ(102)は、前記1つ以上の追加の行動に関する情報をディスプレイ(108)で提供する、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項32】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記順守基準(224)を満たさないと前記事象の工程(222)を延期させる、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項33】
前記構造化収集手続(70)は、前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)をさらに含み、前記プロセッサ(102)は、前記退出基準(228)が未知の時間に満たされると前記構造化収集手続(70)を自動的に終了し、前記退出基準(228)は、特定の値、平均、特定の事象(237)、発生した条件、発生していない条件、及び所定のタイムアウトの満了の1つ以上である、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項34】
前記プロセッサ(102)は、前記事象(237)が前記事象の工程(222)に従って実行されない、または前記事象(237)に従って提供された前記データ(256、170)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能でないと、前記構造化収集手続(70)を自動的に終了する、請求項30に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項35】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための装置(24)であって、
プロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
医学的使用事例または医学的質問に基づく、事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索し、
前記構造化収集手続(70)に従って生体指標データ(170)を受信し、
前記生体指標データ(170)を前記事象の工程(222)のデータ(256、170、145)と共に文脈説明生体指標データ(170)として格納し、
前記文脈説明生体指標データ(170)から測定ノイズ(456)、手続ノイズ(454)、及びシステムノイズ(452)の1つ以上を含むノイズ関数を適用することにより測定ノイズを計算させるプログラム(34)命令と、を備える装置。
【請求項36】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記ノイズ(450)を調整するために、選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にさせる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項37】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、前記構造化収集手続(70)を調整するために、前記ノイズ関数を使用させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項38】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、多数の文脈説明生体指標データ点(256)及び前記ノイズ関数を使用して全ノイズ(450)を計算することにより前記ノイズ関数を検証し、計算されたノイズ推定値を前記文脈説明生体指標データ(422)の測定ノイズ(456)と、前記計算されたノイズ推定値と測定ノイズ(456)が所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定するために比較させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項39】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、文脈説明生体指標値(170)の不適合を識別するために前記ノイズ関数を使用させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項40】
前記プログラム(34)命令はさらに、前記プロセッサ(102)に、各データ事象(222)要求(237)を関連データ事象値(256)と関連付け、前記文脈説明生体指標データ(170)を順守基準(224)で評価し、前記順守基準(224)を満たす文脈説明生体指標データ(170)を受け入れることにより、生体指標データ(170)を文脈説明させる、請求項35に記載の診断支援または治療支援のための装置(24)。
【請求項41】
慢性病患者(12)の診断支援または治療支援のための構造化検査方法(300)であって、
前記診断支援または治療支援のためにコンピュータ(18)で構造化収集手続(70)を選択することと、
前記コンピュータ(18)のプロセッサ(76)に、医学的使用事例に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、及び少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の収集の要求(240)の少なくとも1つ以上を含む事象の工程(222)と、
前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される順守基準(224)と、及び
前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する前記構造化収集手続(70)をメモリ(110)から自動的に検索させることと、及び
選択された構造化収集手続(70)を前記患者(12)に指示することであって、前記コンピュータ(18)の前記プロセッサ(76)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を、指示されるとそれを実行する前記患者(12)に提供することと、を有する方法。
【請求項42】
前記構造化収集手続(70)の前記選択は、規定の医学的質問を受信した前記プロセッサ(102)に基づき、複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)から自動的に行われる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項43】
前記構造化収集手続(70)の前記選択は、複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)から、前記複数の構造化収集手続(70、70a、70b、70c、70d)の1つの規定の進入基準226が満たされると、自動的に行われる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項44】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記構造化収集手続(70)は、前記進入基準(226)が満たされると自動的に開始する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項45】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記構造化収集手続(70)は、前記退出基準(228)が満たされると自動的に終了する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項46】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記事象の工程(222)は、前記順守基準(224)を満たさないことに基づき、動的に適合し得る、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項47】
前記選択された構造化収集手続(70)は、収集装置(24)で前記患者(12)に指示され、前記退出基準(228)は、データ(256、170、145)の群が前記順守基準(224)を満たすと満たされる、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項48】
前記選択された構造化収集手続(70)は、前記プロセッサ(102)に、前記順守基準(224)を満たさない事象の工程(222)内の事象(237)の結果として、追加の行動を取らせる順守事象(242)をさらに含む、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項49】
前記順守基準(224)は、時間または値の所与の許容範囲内で事象要求(240)に対して事象値(256)を検証するために使用される、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項50】
前記選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を前記コンピュータ(18)で可能にすることをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項51】
ノイズ(450、452、454、456)を調整するために、前記選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を前記コンピュータ(18)で可能にすることをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項52】
情報の前記要求(240)は、前記生体指標データ(170)に文脈情報(156)を提供する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項53】
前記医学的使用事例は、インスリン対糖質比を最適化すること、食事開始に対するボーラス投与時期を決定すること、及び運動相当を決定することから選択される、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項54】
医学的質問は、所定の文脈で前記生体指標を管理すること及び所定の文脈で前記生体指標を最適化することの1つである、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項55】
医学的質問は、治療開始、治療の型、経口単剤治療、経口組み合わせ治療、インスリン治療、生活スタイル治療、治療の順守、及び治療効果からなる群から選択される、請求項52に記載の方法(300)。
【請求項56】
前記経口単剤治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項57】
前記経口組み合わせ治療は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1アナログ、タスポグルタイド、PPARデュアルα/γアゴニスト、及びアレグリタザルからなる群から選択される1つ以上である、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項58】
前記インスリン治療は、インスリンの注射または吸入、インスリンの型、及び基礎及びボーラスでのインスリンの分割からなる群から選択される1つ以上である、請求項55に記載の方法(300)。
【請求項59】
前記事象の工程(222)は、病気、ストレス、または食事若しくは運動の摂取不可により前記順守基準(224)を満たさないと延期され得る、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項60】
ノイズ関数を作成することと、前記生体指標のために前記構造化収集手続(70)を調整するために、前記ノイズ関数を使用することとをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項61】
前記ノイズ関数は、文脈説明生体指標データ(170、422)を選択すること、前記文脈説明生体指標データ(170、422)から測定ノイズ(456)を計算すること、及び文脈説明生体指標データ(170、422)、測定ノイズ(456)、手続ノイズ(454)、システムノイズ(452)、及び多数の生体指標値データ点(256)を使用し、アルゴリズムに基づき、ノイズモデル化関数を作成することを含む、請求項60に記載の方法(300)。
【請求項62】
多数の文脈説明生体指標データ(170、422)点及び前記ノイズモデル化関数を使用して全ノイズ(450)を計算することにより前記ノイズ関数を検証することと、計算されたノイズ推定値を前記文脈説明生体指標データ(170、422)の測定ノイズ(456)と、前記計算されたノイズ推定値と測定ノイズ(456)が所与の信頼区間内で等しいかどうかを決定するために比較することとをさらに有する、請求項61に記載の方法(300)。
【請求項63】
ノイズ検証関数は、統計ベースアルゴリズム、モデルベースアルゴリズムからなる群から選択される手法を使用して文脈説明生体指標値(170)の不適合を識別するために検証される、請求項62に記載の方法(300)。
【請求項64】
データ事象要求(237、240)をデータ事象値(256)と関連付けることにより前記生体指標データを文脈説明することと、少なくとも1つの前記順守基準(224)に対して前記文脈説明生体指標データ(170)を評価することと、少なくとも1つの前記順守基準(224)を満たす文脈説明生体指標データ(170)を受け入れることとをさらに有する、請求項41に記載の方法(300)。
【請求項65】
指示された構造化収集手続(70)を実行するための収集装置(24)であって、
構造化収集手続(70)を開始するための進入基準(226)、前記構造化収集手続(70)を終了するための退出基準(228)、事象(237)の各々が収集事象(237)を実行するための案内(230)、情報の要求(240)、患者行動の要求(240)、少なくとも1つの型の生体指標データ(256)の要求(240)の少なくとも1つを含む事象の工程(222)、及び前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(170)を提供したかどうかを定性的に評価する順守基準(224)を含む、構造化収集手続(70)を格納し、収集された生体指標データ(256)及び前記収集された生体指標データ(256)の各例と関連する他のデータを含み、前記他のデータは、前記関連する収集された生体指標を特徴付ける文脈説明データ(170)を含む、患者データ(256、170、145)を格納するためのメモリ(110)と、
前記構造化収集手続(70)を選択するためのユーザインターフェース(146)と、
前記構造化収集手続(70)で指定された前記少なくとも1つの型の生体指標データ(256)を提供するための少なくとも1つの生体指標リーダ(138)と、
前記メモリ(110)、ディスプレイ(108)、前記ユーザインターフェース(146)、及び前記生体指標リーダ(138)に連結されたプロセッサ(102)と、
前記プロセッサ(102)により実行されると、前記プロセッサ(102)に、
前記ユーザインターフェース(146)から前記構造化収集手続(70)の選択を示す入力を受信し、
前記選択の後に前記進入基準(226)が満たされれば、前記事象の工程(222)を自動的に実行し、
前記事象(237)の各々が実行されて得られた前記患者データ(256、170、145)をメモリ(110)に格納し、
実行された事象(237)が前記順守基準(224)を満たせば、前記データ(256)にメモリ(110)内で一意の識別子(167)を自動的に関連付け、
前記退出基準(228)が満たされると、前記選択された構造化収集手続(70)を自動的に終了させる命令を有するプログラム(34)と、を備える装置。
【請求項66】
構造化収集手続(70)を実行する方法(300)であって、
請求項1、17、30、35、または65のいずれか一項に記載の収集装置(24)を提供することと、
前記収集装置(24)で前記構造化収集手続(70)を認可することと、を有する方法。
【請求項67】
命令を格納するコンピュータ読み取り可能記憶媒体(40)であって、
コンピュータ(18)のプロセッサ(76)により実行されると、前記プロセッサ(76)に、患者(12)から文脈説明生体指標データ(170)を得るために、医学的使用事例に基づく、
生体指標データ(256)を得る前に満たされる必要がある条件を規定する進入基準(226)と、
事象(237)の各々が実行時間(238)、前記事象(237)を実行するための案内(230)、患者行動の要求(240)、情報の要求(240)、少なくとも1つの型の生体指標データ(170)の収集の要求(240)、及びそれらの組み合わせを含む事象の工程(222)と、
前記事象の工程(222)に従って実行された事象(237)が前記医学的使用事例に対処するのに受け入れ可能なデータ(256、170、145)を提供したかどうかを定性的に評価するために使用される順守基準(224)と、及び
前記構造化収集手続(70)を終了する前に満たされる必要がある条件を規定する退出基準(228)と、を定義するパラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)を有する構造化収集手続(70)を電子コンポーネントから自動的に検索することと、
選択された構造化収集手続(70)の前記パラメータ(220、222、224、226、228、230、232、237、238、240)の調整を可能にすることと、及び
前記選択された構造化収集手続(70)を前記患者(12)に指示することであって、前記コンピュータ(18)の前記プロセッサ(76)は、出力として前記選択された構造化収集手続(70)を、指示されるとそれを実行する前記患者(12)に提供することと、を有する構造化検査方法を実行させる、記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【公表番号】特表2012−513221(P2012−513221A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541229(P2011−541229)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009170
【国際公開番号】WO2010/072386
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009170
【国際公開番号】WO2010/072386
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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