説明

慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤

7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤に関する。
【背景技術】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、アデノシン3’,5’−サイクリックモノホスフェート(cAMP)またはグアノシン3’,5’−サイクリックモノホスフェート(cGMP)を分解し、その細胞内濃度を調節している。PDEのアイソザイムのひとつであるPDE−IVは、単球、マクロファージ、B細胞、T細胞、好酸球のような炎症性細胞やケラチノサイトに発現しており[ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Br.J.Pharmacol)、1997年、第121巻、p.221;ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)、1985年、第84巻、p.477;ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J.Pharmacol.Exp.Ther.)、1994年、第271巻、p.1167;ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)、1998年、第110巻、p.287]、cAMPまたはcGMPの濃度を調節し、炎症性細胞の炎症部位への浸潤や活性化、ケラチノサイトの活性化の調節など、炎症反応の制御に重要な役割を果たしている[モレキュラー・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、1995年、第47巻、p.1164;クリニカル・エクスペリメンタル・アレルギー(Clin.Exp.Allergy)、1995年、第25巻、p.616]。
一方、慢性皮膚疾患は、皮膚病変部への炎症性細胞の浸潤や、皮膚病変部での炎症細胞の活性化、ケラチノサイトの活性化などにより惹起される、または悪化すると考えられている[ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジー(J.Allergy Clin.Immunol.)、2001年、第107巻、p.871]。したがって、PDE−IV阻害剤は慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤として期待されている。
例えば、動物モデルにおいて、PDE−IV阻害剤であるSB207499は皮膚遅延型アレルギー反応を抑制することが報告されている[ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)、2002年、第446巻、p.195]。また、SB207499は慢性皮膚炎モデルにおいて治療効果を示すことが報告されている[ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J.Pharmacol.Exp.Ther.)、1998年、第287巻、p.705]。
従来、7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩をPDE−IV阻害剤として用いることが知られている(WO96/36624号)。
【発明の開示】
本発明の目的は、7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、ビダール(Vidal)苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、乾癬など)の治療および/または予防剤を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(6)に関する。
(1) 式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(2) 外用剤である(1)記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
(3) 式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする慢性皮膚疾患の治療および/または予防方法。
(4) 外用剤として投与することを特徴とする(3)記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防方法。
(5) 慢性皮膚疾患の治療および/または子防剤の製造のための式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(6) 慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤が外用剤である(5)記載の7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の使用。
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。
化合物(I)は、WO96/36624号に記載の方法により製造することができる。
化合物(I)には、互変異性体などの立体異性体が存在し得るが、本発明の慢性皮膚疾患の治療および/または子防剤には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤に使用することができる。
次に、化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1 マウスオキサゾロン誘発耳介浮腫反応に対する抑制作用
6週齢のBALB/cマウス(雄性、日本チャールス・リバー社)を実験に用いた。少なくとも1週間の検疫・馴化の後、体重増加が順調、かつ外見上に異常が認められない個体を用い、7週齢で試験を開始した。動物は室温19〜25℃、湿度30〜70%、一日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、プラスチックゲージに6匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
抗原溶液として、オキサゾロン(シグマ・アルドリッチ社製)をアセトン(関東化学社製)に溶解し、0.5重量/容量%オキサゾロン−アセトン溶液を調製した。化合物(I)を5重量/容量%となるように抗原溶液に溶解し、化合物(I)が溶解した抗原溶液を調製した。抗原溶液100μLをBALB/cマウスの剃毛した腹部に塗布し感作した。腹部の剃毛は感作前日に行った。感作後5日目に抗原溶液または化合物(I)が溶解した抗原溶液を耳介の表裏にそれぞれ10μLずつ、計20μL塗布し反応を惹起した。塗布後、常に塗布部位をドライヤーで風乾させた。なお、抗原溶液により反応を惹起した群を溶媒投与群、化合物(I)が溶解した抗原溶液により反応を惹起した群を化合物(I)投与群とした。また、塗布を行わなかった群を非投与群とした。塗布により反応を惹起する直前と惹起後24時間後に、ダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製)を用いて耳介の厚さを測定し、その差を耳介浮腫とした。耳介浮腫の抑制率(%)は下記にしたがって計算した。

その結果を第1表に示す。

溶媒投与群では、非投与群に比べ有意な耳介浮腫の増加が認められた(P=0.0049)。一方、化合物(I)投与群では、耳介浮腫の上昇に対し有意な抑制作用が認められ、その抑制率は64%(P=0.0051)であった。
上記の結果は、化合物(I)の投与により耳介浮腫を抑制することができることを示している。したがって、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤として有用であると考えられる。
試験例2 マウスオキサゾロン反復塗布皮膚炎モデルにおける耳介の厚さ増加に対する抑制作用
6週齢のBALB/cマウス(雄性、日本チャールス・リバー社)を実験に用いた。少なくとも1週間の検疫・馴化の後、体重増加が順調、かつ外見上に異常が認められない個体を用い、7週齢で試験を開始した。動物は室温19〜25℃、湿度30〜70%、一日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、プラスチックゲージに6匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
実験は、北垣らの方法[ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)、1955年、第105巻、p.749]を若干改変して行った。
抗原溶液として、オキサゾロン(シグマ・アルドリッチ社製)をアセトン(関東化学社製)に溶解し、0.5重量/容量%オキサゾロン−アセトン溶液を調製した。化合物(I)を5重量/容量%となるように抗原溶液に溶解し、化合物(I)が溶解した抗原溶液を調製した。抗原溶液をBALB/cマウスの耳介へ10μL塗布して感作し、7日目から、同一部位に10μL抗原溶液もしくは化合物(I)が溶解した抗原溶液を2日または3日間隔で抗原感作後28日目まで反復塗布することにより反応を惹起した。塗布後、常に塗布部位をドライヤーで風乾させた。なお、抗原溶液の反復塗布により反応を惹起した群を溶媒投与群、化合物(I)が溶解した抗原溶液の反復塗布により反応を惹起した群を化合物(I)投与群とした。また、アセトンを反復塗布した群を非投与群とした。慢性皮膚炎症状を示す28日目における耳介の厚さを測定した。耳介の厚さはダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定した。耳介の厚さ増加の抑制率(%)は下記にしたがって計算した。

その結果を第2表に示す。

溶媒投与群では、非投与群に比べ有意な耳介の厚さの増加が認められた(P=0.0075)。化合物(I)投与群では、耳介の厚さの増加に対し有意な抑制作用が認められ、その抑制率は41%(P=0.0050)であった。
本試験の結果は、化合物(I)の投与により慢性的に増加する耳介の厚さを抑制することができることを示している。したがって、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤として有用であると考えられる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば経皮、静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、注射剤、外用剤などがあげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などを用いて製造することができる。
非経口投与に適当な、例えば注射剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製することができる。
また、上記注射剤においても、希釈剤、フレーバー類、および経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤、防腐剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
外用剤に適当な剤型としては、特に限定されるものではなく、基剤に活性成分を溶解または混合分散しクリーム状、ペースト状、ゼリー状、ゲル状、乳液状、液状などの形状になされたもの(軟膏剤、リニメント剤、ローション剤など)、基剤に活性成分および経皮吸収促進剤を溶解または混合分散させたものを、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの支持体上に展延したもの(パップ剤、テープ剤など)などがあげられる。上記基剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤などの基剤として従来公知のものを用いることができ、例えばアルギン酸ナトリウム;ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドンなどのポリマー;ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ラッカセイ油、牛油、豚油、ラノリンなどの油脂類;白色ワセリン、黄色ワセリンなどのワセリン類;パラフィン;ハイドロカーボンゲル軟膏(例えば、商品名プラスチベース、大正製薬社製);ステアリン酸などの高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;ポリエチレングリコール;水などがあげられる。上記経皮吸収促進剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、例えばメタノール、エタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルスルホキシド、ドデシルピロリドンなどの極性溶剤;尿素;ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチルなどのエステル類;エイゾン;オリーブ油などがあげられる。さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機充填剤;粘度調節剤;老化防止剤;pH調節剤;グリセリン、プロピレングリコールなどの保湿剤などを添加してもよい。
また、上記外用剤においても、希釈剤、フレーバー類、および経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤、防腐剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口投与の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。外用剤(軟膏、クリームなど)の場合、一般に膏体1gあたり、1〜1000mg、好ましくは3〜300mgの化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を含有させることができ、一日一回ないし数回、塗布などにより投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を実施例で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物(I)40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物(I) 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
実施例2:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物(I)1gを精製大豆油に溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mlとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物(I) 2 mg
精製大豆油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72 ml
2.00 ml
実施例3:外用剤(軟膏)
常法により、次の組成からなる外用剤(軟膏)を調製する。白色ワセリン65gを加温、攪拌しながら、これにプロピレングリコール25gを添加し、それに化合物(I)5gとオクタン酸セシル5gを混合したものを添加し、連続攪拌しながら加温し分散させる。次いで、ゆっくりと約25℃の温度に冷却させたのち、適当な容器に入れ、外用剤(軟膏)を得る。
処方 化合物(I) 5 g
白色ワセリン 65 g
プロピレングリコール 25 g
オクタン酸セシル 5 g
100 g
【産業上の利用可能性】
本発明により、7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
【請求項2】
外用剤である請求の範囲第1項記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤。
【請求項3】
式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする慢性皮膚疾患の治療および/または予防方法。
【請求項4】
外用剤として投与することを特徴とする請求の範囲第3項記載の慢性皮膚疾患の治療および/または予防方法。
【請求項5】
慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤の製造のための式(I)

で表される7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項6】
慢性皮膚疾患の治療および/または予防剤が外用剤である請求の範囲第5項記載の7−[2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−オキソエチル]−4−メトキシ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/082683
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503713(P2005−503713)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003554
【国際出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】