説明

慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤

例えば下記式(I)(式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、Rはシクロアルキル、−(CH−Rまたは下記式(II)を表し、XおよびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す)で表されるキサンチン誘導体等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性筋骨格痛(Musculoskeletal Pain)は、筋骨格(例えば筋肉、腱、靭帯、腱の付着部、それらが隣接する軟組織等)におけるうずく痛み、圧痛、硬直等により特徴づけられる慢性の疼痛であり、慢性筋骨格痛を呈する疾患としては、例えば線維筋痛症(FMS;Fibromyalgia Syndrome)、線維筋痛症に関連する疾患等が知られている[メルク・インデックス、第17版、59章および108章、アナルス・オブ・ファルマコセラピー(Ann.Pharmacother.)、第121巻、p.953−959(1994年)等]。
【0003】
全身性慢性疼痛である線維筋痛症については、未だ発症原因および病態生理に関して十分な解明がなされていないが[エキスパート・オピニオン・オン・インベスティゲーショナル・ドラッグズ(Expert Opin.Investig.Drugs)、第11巻、p.1437−1445(2002年)]、痛みを感じる限界点(痛覚閾値)が低く、米国リウマチ学会の指針(米国リウマチ学会分類基準1990年;American College of Rheumatology 1990 Criteria for The Classification of Fibromyalgia)によると、広範囲にわたる体の痛みが3ヶ月以上続き、首や手足等の指定部位18カ所のうち押すと痛みがある箇所が11カ所以上ある場合、この病気と診断される[アースライティス・アンド・リューマチズム(Arthritis Rheum.)、第33巻、p.160−172(1990年)]。さらに、こわばり感、倦怠感、疲労感、体力消耗、睡眠障害、抑うつ状態、不安箇所、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ等が伴う場合もある。他覚的所見としては「特異的圧痛点」(ツボのようなもの)を押して診断されるが、全身が痛む時にはどこを押しても痛く、はっきりしない場合もある(メルク・インデックス、第17版、59章)。米国では、患者が人口の2〜9%に達する一般的な病気で、20〜50歳の女性に多く発病する[カレント・オピニオン・イン・サイキアトリー(Curr.Opin.Psychiatry)、第13巻、p.623−628(2000年)、アースライティス・アンド・リューマチズム(Arthritis Rheum.)、第39巻、p.19−28(1990年)]。また、これらの治療に鎮痛剤、非ステロイド系抗炎症剤、筋弛緩剤、アミトリプチリン(amitriptyline)等の三環系の抗うつ剤、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)等の抗うつ剤等が用いられている。しかしながら、鎮痛剤および非ステロイド系抗炎症剤では効果がみられないことが多く、筋弛緩剤では高用量で限られた効果を示すことがあるが副作用が著しく、三環系の抗うつ剤、SSRI等では限られた患者に適度の効果が見られるものの、循環器系や抗コリン様副作用により使用が限定され、未だ有効な治療法は見つかっていない[エキスパート・オピニオン・オン・インベスティゲーショナル・ドラッグズ(Expert Opin.Investig.Drugs)、第11巻、p.1437−1445(2002年)、アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン(Arc.Intem.Med.)、第156巻、p.1047−1052(1996年)、アナルス・オブ・ファルマコセラピー(Ann.Pharmacother.)、第36巻、p.707−712(2002年)、アースライティス・アンド・リューマチズム(Arth.Rheum.)、第33巻、p.1132(1990年)]。
【0004】
また、線維筋痛症に関連する疾患としては、例えば結合組織炎(Fibrositis)、慢性疲労症(CFS;Chronic Fatigue Syndrome)、筋筋膜疼痛症(MFPS;Myofascial Pain Syndrome)、びまん性筋筋膜疼痛症(Diffuse Myofascial Pain Syndrome)、全身性結合組織炎(Generalized Fibrositis)、軟組織リューマチ(Soft Tissue Rheumatism)、非関節リューマチ(Non−articular Rheumatism)、慢性関節リューマチ(Rheumatoid Arthritis)、原発性線維痛症(PFS;Primary Fibromyalgia Syndrome)、二次性線維筋痛症(Concomitant Fibromyalgia Syndrome)、特発性筋肉疼痛症(Idiopathic Muscle Pain Syndrome)、慢性広範囲筋骨格痛(Chronic Widespread Musculoskeletal Pain)、腰痛(Lower Back Pain)、線維筋痛症を伴うライム病(Lyme Disease)、全身性腱筋障害(Generalized Tendomyopathy)、顎関節症(TMJD;Temporomansibular Joint Disorder)等が知られている。これら線維筋痛症に関連する疾患は、いずれも線維筋痛症と同じまたは類似の慢性の筋骨格疼痛を呈する疾患であり、それぞれの定義、診断基準等が提唱されてはいるものの、線維筋痛症と臨床的に明確に区別されるには至っておらず、重複または関連して発症することもある[メルク・インデックス、第17版、59章および108章、アナルス・オブ・ファルマコセラピー(Ann.Pharmacother.)、第121巻、p.953−959(1994年)]。
【0005】
一方、例えばキサンチン誘導体、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体等、多くの化合物が、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物として知られている(例えばUS 5,484,920、US 5,703,085、WO 92/06976、WO 94/01114、US 5,565,460、WO 98/42711、WO 00/17201、WO 99/43678、WO 99/26627、WO 01/92264、WO 99/35147、WO 00/13682、WO 00/13681、WO 00/69464、WO 01/40230、WO 01/02409、WO 01/02400、EP 1054012、WO 01/62233、WO 01/17999、WO 01/80893、WO 02/14282、WO 01/97786、WO 03/032996、WO 03/048163、WO 03/049164、WO 03/049165等)。しかし、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、例えば線維筋痛症(FMS;Fibromyalgia Syndrome)、線維筋痛症に関連する疾患等の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療に有効であることは知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の(1)〜(37)に関する。
(1)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(2)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、キサンチン誘導体である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(3)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(I)
【化1】

[式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、
はシクロアルキル、−(CH−R(式中、Rは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、nは0〜4の整数を表す)または式(II)
【化2】

(式中、YおよびYは同一または異なって水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、Zは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
およびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサンチン誘導体である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0008】
(4)XおよびXが酸素原子である上記(3)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(5)Rが式(II)
【化3】

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義である)である上記(3)または(4)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(6)YおよびYが水素原子である上記(5)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(7)Zが置換もしくは非置換のアリールまたは式(III)
【化4】

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である上記(5)または(6)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0009】
(8)Zが式(IV)
【化5】

(式中、R、RおよびRの少なくとも一つは低級アルキルまたは低級アルコキシを表し、それ以外は水素原子を表し、R10は水素原子または低級アルキルを表す)または式(III)
【化6】

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である上記(5)または(6)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0010】
(9)RおよびRがエチルである上記(3)〜(8)のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(10)Rがメチルである上記(3)〜(9)のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(11)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(1)
【化7】

で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0011】
(12)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(V)
【化8】

[式中、R11は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
12は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
13は水素原子、ハロゲンまたは−WR14(式中、Wは−O−または−S−を表し、R14は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
は水素原子または3,4−ジメトキシベンジルを表す]で表される化合物(例えば、5−アミノ−7−(4−ベンゾピペラジニル)−2−(2−フリル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0012】
(13)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(VI)
【化9】

[式中、R11Aは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
12Aは水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
n1およびm1は同一または異なって0〜4の整数を表し、
1Aは水素原子または3,4−ジメトキシベンジルを表し、
15は水素原子、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基または−CR171819(式中、R17、R18およびR19は同一または異なって水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR18とR19が隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環を形成する)を表し、
16は水素原子、ハロゲン、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表す]で表される化合物(例えば、5−アミノ−2−(2−フリル)−7−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペラジニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、5−アミノ−2−(2−フリル)−7−[4−(3−ヒドロキシ−3−メチルプロピル)ピペラジニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0013】
(14)R15が−CR17A18A19A(式中、R17Aはヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはイミダゾ[1,2−a]ピリジルを表し、
18AおよびR19Aは同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはR18AとR19Aが隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環を形成する)である上記(13)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(15)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(VII)
【化10】

[式中、R20は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、
21は置換もしくは非置換の複素環基を表し、
22は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
は単結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−または−NR23−(式中、R23は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
は窒素原子またはCR24(式中、R24は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す]で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0014】
(16)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(VIII)
【化11】

(式中、Bはフリルまたはチエニルを表し、
は単結合、−O−または−S−を表し、
は水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
n2は0〜5の整数を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0015】
(17)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(IX)
【化12】

[式中、R25は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
26は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはNR27(式中、R27は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)を表し、
Aは隣接する2個の炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環または置換もしくは非置換の複素環を形成する]で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0016】
(18)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(X)
【化13】

(式中、R28は水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
29は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
30は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
31は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
は−CHCH−、−CH=CH−または−CC−を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0017】
(19)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XI)
【化14】

(式中、R32は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
33およびR34は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
35、R36、R37、R38、R39およびR40は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0018】
(20)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XII)
【化15】

(式中、R41は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
42は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
43はヒドロキシ、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
は窒素原子またはCHを表す)で表される化合物(例えば、3−[2−(チアゾール−2−イルメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−6−イル]−2−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリジン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0019】
(21)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XIII)
【化16】

(式中、R44およびR45は同一または異なって水素原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはR44とR45が一緒になってオキソ、ヒドロキシイミノ、イミノまたはヒドラゾノを形成し、
46は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
47、R48およびR49は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
は酸素原子または硫黄原子を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0020】
(22)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XIV)
【化17】

(式中、R50は水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアミノを表し、
51は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアミノを表し、
52は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
53は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
およびXは同一または異なって窒素原子またはCHを表す)で表される化合物(例えば5−[6−アミノ−8−(3−フルオロフェニル)−9H−9−プリニル]−1−メチル−1,2−ジヒドロ−2−ピリミジン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0021】
(23)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XV)
【化18】

(式中、R54は置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
55は置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
は単結合または−C(=O)−を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0022】
(24)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XV−A)
【化19】

(式中、R54は前記と同義であり、
n3は1〜4の整数を表し、
80は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物(例えば5−アミノ−2−(2−フリル)−7−(2−{4−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]ピペラジニル}エチル)ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0023】
(25)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XVI)
【化20】

[式中、R56は水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルを表し、
57は水素原子、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
58は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
59およびR60は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
は単結合、−S−、−N(R61)−(式中、R61は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)、−CHCH−、−CH=CH−、−CC−または−O−を表し、
およびX10は同一または異なって窒素原子またはCHを表す]で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0024】
(26)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XVII)
【化21】

(式中、R62は置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
63およびR65は同一または異なって水素原子、シアノまたはフェニルスルホニルを表し、
64は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の芳香族複素環基または置換もしくは非置換のアミノを表し、
66は置換もしくは非置換のアミノを表す)で表される化合物(例えば2−(4,5−ジヒドロフラン−2−イル)−7−m−トリル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イルアミン等)である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0025】
(27)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XVIII)
【化22】

(式中、R67は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
68は置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
69およびR70は同一または異なって水素原子または置換もしくは非置換のアミノを表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0026】
(28)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XIX)
【化23】

(式中、R71はシアノ、カルボキシまたは置換もしくは非置換のカルバモイルを表し、
72は水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
73およびR74は同一または異なって置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0027】
(29)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XX)
【化24】

[式中、R75は水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
76およびR77は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
78は水素原子、ハロゲン、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
−C(=X11)−は−C(=O)−、−C(=S)−または−CH−を表す]で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0028】
(30)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、(−)−(11S,2’R)−α−2−ピペリジニル−2,8−ビス(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノールである上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(31)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XXI)
【化25】

(式中、R81は置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
は単結合または−C(=O)−を表し、
82は置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)
である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0029】
(32)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XXI−A)
【化26】

(式中、R81は前記と同義であり、
n4は1〜4の整数を表し、
83は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物(例えば5−アミノ−2−(2−フリル)−7−(2−{4−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]ピペラジニル}エチル)イミダゾ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)で表される化合物である上記(1)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0030】
(33)慢性筋骨格痛を呈する疾患が線維筋痛症である上記(1)〜(32)のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(34)慢性筋骨格痛を呈する疾患が線維筋痛症に関連する疾患である上記(1)〜(32)のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
(35)線維筋痛症に関連する疾患が、結合組織炎、慢性疲労症、筋筋膜疼痛症、びまん性筋筋膜疼痛症、全身性結合組織炎、軟組織リューマチ、非関節リューマチ、慢性関節リューマチ、原発性線維筋痛症、二次性線維筋痛症、特発性筋肉疼痛症、慢性広範囲筋骨格痛、腰痛、線維筋痛症を伴うライム病、全身性腱筋障害および顎関節症から選ばれる疾患である上記(34)記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【0031】
(36)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療方法。
(37)慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤の製造のための、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酸性生理食塩液誘発痛覚過敏モデルにおける化合物2による痛覚過敏の改善効果を示したものである。縦軸は痛覚閾値(g)、横軸は化合物2または溶媒投与後の経過時間(分)を表す。
【図2】酸性生理食塩液誘発痛覚過敏モデルにおける化合物2による痛覚過敏の発症抑制効果を示したものである。縦軸は痛覚閾値(g)、左の棒グラフは溶媒投与群、右の棒グラフは化合物2投与群でのそれぞれの結果を表す。
【符号の説明】
【0034】
図1
−◆−:化合物2投与群(10mg/kg)
−●−:化合物2投与群(5mg/kg)
−〇−:溶媒投与群
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明で予防または治療される慢性筋骨格痛を呈する疾患(Musculoskeletal Pain Syndromes)としては、例えば線維筋痛症(FMS;Fibromyalgia Syndrome)、線維筋痛症に関連する疾患等があげられ、線維筋痛症に関連する疾患としては、例えば結合組織炎(Fibrositis)、慢性疲労症(CFS;Chronic Fatigue Syndrome)、筋筋膜疼痛症(MFPS;Myofascial Pain Syndrome)、びまん性筋筋膜疼痛症(Diffuse Myofascial Pain Syndrome)、全身性結合組織炎(Generalized Fibrositis)、軟組織リューマチ(Soft Tissue Rheumatism)、非関節リューマチ(Nonarticular Rheumatism)、慢性関節リューマチ(Rheumatoid Arthritis)、原発性線維痛症(PFS;Primary Fibromyalgia Syndrome)、二次性線維筋痛症(Concomitant Fibromyalgia Syndrome)、特発性筋肉疼痛症(Idiopathic Muscle Pain Syndrome)、慢性広範囲筋骨格痛(Chronic Widespread Musculoskeletal Pain)、腰痛(Lower Back Pain)、線維筋痛症を伴うライム病(Lyrne Disease)、全身性腱筋障害(Generalized Tendomyopathy)、顎関節症(TMJD;Temporomansibular Joint Disorder)等があげられる。
【0036】
アデノシンA2A受容体拮抗作用としては、例えばアデノシンA2A受容体へ結合する、またはアデノシンのアデノシンA2A受容体への結合を妨害もしくは予防的に阻害することにより、アデノシンが関与する生理作用の少なくともひとつを阻害、抑制または停止させる作用等があげられる。
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物としては、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物であれば特に限定されないが、例えばUS5,484,920、US5,703,085、WO 92/06976、WO 94/01114、US 5,565,460、WO 98/42711、WO 00/17201、WO 99/43678、WO 99/26627、WO 01/92264、WO 99/35147、WO 00/13682、WO 00/13681、WO 00/69464、WO 01/40230、WO 01/02409、WO 01/02400、EP 1054012、WO 01/62233、WO 01/17999、WO 01/80893、WO 02/14282、WO 01/97786、WO 03/032996、WO 03/048163、WO 03/049164、WO 03/049165等に記載の化合物があげられる。具体的には、例えば上記の式(I)、式(V)〜(XXI)、式(XV−A)および式(XXI−A)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)および化合物(XXI−A)という)、(−)−(11S,2’R)−α−2−ピペリジニル−2,8−ビス(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール等があげられる。中でも化合物(I)または(X)のようなキサンチン誘導体、化合物(V)、(VI)または(IX)のような[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体、化合物(VII)または(VIII)のような[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体等が好ましく、特に下記の化合物等が好ましい。
【0037】
【化27】

【0038】
式(I)〜(XXI)、式(XV−A)および式(XXI−A)の各基の定義において、
低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニルおよび低級アルカノイルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。
【0039】
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルケニルがあげられ、具体的にはビニル、アリル、メタクリル、クロチル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルキニルがあげられ、具体的にはエチニル、プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル、2−ヘプチニル。2−オクチニル等があげられる。
【0040】
シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
シクロアルケニルとしては、例えば炭素数4〜8のシクロアルケニルがあげられ、具体的にはシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等があげられる。
【0041】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキソピリダジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキソオキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、2−オキソベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル等があげられる。
【0042】
複素環基としては、例えば前記芳香族複素環基の定義であげた基に加え、脂環式複素環基があげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、具体的にはピラニル、チオピラニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、オキサジアゾリニル、オキソラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニル、オキソピペラジニル、2−オキソピロリジニル、ジオキソラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピニル、ベンゾピラニル、ベンゾジヒドロピラニル、ペルヒドロジアゼピニル、ペルヒドロジアゾシニル、ペルヒドロジアゾニニル等があげられる。
【0043】
Aと隣接する2個の炭素原子が一緒になって形成される複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性複素環等があげられ、具体的にはピロール、ピラン、チオピラン、ピリジン、チアゾール、イミダゾール、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、ベンゾチアゾール、ピロリン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロピラジン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等があげられる。
【0044】
Aと隣接する隣接する2個の炭素原子が一緒になって形成される炭素環としては、例えば炭素数4〜8のシクロアルケン等があげられ、具体的にはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等があげられる。
隣接する炭素原子と一緒になって形成される炭素環としては、例えば炭素数4〜8のシクロアルカン、シクロアルケン等があげられ、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等があげられる。
【0045】
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルカノイル、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルケニルおよび置換低級アルキニルにおける置換基(A)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的にはヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、アミノ、ベンジルオキシ、フェノキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基等があげられる。
【0046】
置換基(A)の例示であげたハロゲン、シクロアルキル、アリールおよび複素環基はそれぞれ前記と同義であり、低級アルコキシ、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義であり、ジ低級アルキルアミノの2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
【0047】
置換基(A)の例示であげた置換アリールおよび置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的には後記の置換基(C)の例示であげる置換基等があげられる。
置換基(A)の例示であげた置換低級アルコキシにおける置換基(a)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的にはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アジド、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル等があげられる。置換基(a)の例示であげたハロゲンは前記と同義であり、低級アルコキシおよびは低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義である。
【0048】
置換アミノおよび置換カルバモイルにおける置換基(B)としては、同一または異なって置換数1または2の置換基があげられ、具体的には置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ等があげられる。
置換基(B)の例示であげた低級アルキルおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と同義であり、置換基(B)の例示であげた置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的には前記置換基(a)の例示であげた置換基等があげられる。
【0049】
置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、隣接する炭素原子と一緒になって形成される置換炭素環、Aと隣接する2個の炭素原子が一緒になって形成される置換炭素環、置換アリール、置換フェニル、置換ナフチル、置換複素環基、置換芳香族複素環基およびAと隣接する2個の炭素原子が一緒になって形成される置換複素環における置換基(C)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、具体的にはヒドロキシ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホ、トリフルオロメチル、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、アロイル、アロイルオキシ、アリールアルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイル、ジ低級アルキルスルファモイル等があげられる。
【0050】
置換基(C)の例示であげた低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲン、低級アルケニルおよび低級アルキニルはそれぞれ前記と同義である。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの2個の低級アルキル部分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。アリールおよびアリールオキシのアリール部分は前記アリールと同義であり、アラルキルおよびアラルキルオキシのアラルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。アロイルおよびアロイルオキシのアロイル部分としては、例えばベンゾイル、ナフトイル等があげられる。アリールアルカノイルオキシのアリールアルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。
【0051】
置換基(C)の例示であげた置換低級アルコキシおよび置換アリールにおける置換基(c)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、具体的には前記置換基(a)の例示であげた置換基等があげられる。
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
【0052】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
【0053】
化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)および化合物(XXI−A)は、それぞれ例えば特公昭47−26516号公報、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第34巻、p.1431(1991年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第36巻、p.1333(1993年)、WO 92/06976、特開平6−211856号公報、特開平6−239862号公報、WO 95/23165、特開平6−16559号公報、WO 94/01114、WO 99/12546、WO 99/35147、US 5,484,920、US 5,703,085、WO 92/06976、WO 94/01114、US 5,565,460、WO 98/42711、WO 00/17201、WO 99/43678、WO 99/26627、WO 01/92264、WO 99/35147、WO 00/13682、WO 00/13681、WO 00/69464、WO 01/40230、WO 01/02409、WO 01/02400、EP 1054012、WO 01/62233、WO 01/17999、WO 01/80893、WO 02/14282、WO 01/97786、WO 03/032996、WO 03/048163、WO 03/049164、WO 03/049165等に開示された方法でまたはそれらに準じて製造することができる。各製造法における目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。
【0054】
化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)、化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物のそれぞれ塩を取得したいとき、化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)、化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物がそれぞれ塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、化合物(I)、化合物(I)〜(XXI)、化合物(XV−A)、化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物をそれぞれ適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。
【0055】
また、化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)、化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤に用いることができる。
化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)、化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物の中には光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物も本発明の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤に用いることができる。
【0056】
化合物(I)の具体例を表1に示す。
【表1】

【0057】
以下に試験例により本発明の効果を具体的に説明する。
試験例1:ラット痛覚過敏モデルにおける疼痛改善作用
慢性筋骨格痛を呈する疾患のモデルとして知られているマッスル&ナーブ(Muscle&Nerve)、第24巻、p.37−46(2001年)に記載の方法に若干の改良を加え、酸性生理食塩液誘発痛覚過敏モデルを作製した。
【0058】
試験には、雄性SD系ラット(Sprague−Dawley rat、試験開始時6週齢)を用いた。エーテル麻酔下で、酢酸を用いてpH4に調整した生理食塩液100μLを、ラットの右側腓腹筋に5日間隔で2回注射した。2回目の注射から10および11日後に、以下の試験を行った。なお下記の方法により痛覚閾値(g)を算出し、50%痛覚閾値が4g未満を示すラット(酸性生理食塩液誘発痛覚過敏ラット)を、1群6匹で試験に用いた。なお、正常ラットの痛覚閾値は11g前後であった。
上記で作成した酸性生理食塩液誘発痛覚過敏ラットをステンレス製のケージ(幅750×奥行き210×高さ170mm)に入れ、少なくとも20分間環境に慣らした後、試験化合物の投与前(0時間とする)、投与の0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後および3時間後にそれぞれ痛覚閾値(g)を測定した。
試験化合物は0.5%メチルセルロース(0.5%MC)水溶液の懸濁液として用い、上記酸性生理食塩液誘発痛覚過敏ラットに5mL/kgの容量で経口投与した(試験化合物投与群)。別途、上記酸性生理食塩液誘発痛覚過敏ラットに、それぞれ0.5%MC水溶液のみを5mL/kgの容量で経口投与し、溶媒投与群とした。
【0059】
痛覚過敏の評価はvon Frey試験(von Frey test)により行い、結果を痛覚閾値(g)として示した。つまり、von Frey filament(商品名:touch test sensory evaluator、型番:model 58011)を用いて、酸性生理食塩液誘発痛覚過敏ラットの酢酸を注射された右側の足に機械的な触刺激を与え、足を引っ込める荷重を測定し、W.J.Dixonのupdown法[アニュアル・レビュー・オブ・ファーマコロジー・アンド・トキシコロジー(Annual Review of Pharmacology and Toxicology)、第20巻、p.441−462(1980年)]に従って痛覚閾値(g)を算出した。その結果を図1に示す。
上記の結果、以下のことが判明した。
化合物2を経口投与した試験化合物投与群(5および10mg/kg)において、溶媒投与群と比較して、酸性生理食塩液誘発痛覚過敏モデルで認められる痛覚閾値が大きく増加した。つまり、化合物2の投与により痛覚過敏が著しく改善された。
【0060】
試験例2:ラット痛覚過敏モデルにおける疼痛発症抑制作用
以下の実験は、試験例1に記載した方法に準じて行った。
試験は、雄性SD系ラット(Sprague−Dawley rat、試験開始時6週齢)を用い、1群10匹で行った。エーテル麻酔下で、酢酸を用いてpH4に調整した生理食塩液100μLを、ラットの右側腓腹筋に5日間隔で2回注射した。2回目の注射から30分後およびその後1日1回、合計10日間、試験化合物または溶媒を上記ラットに5mL/kgの容量で反復投与した。
試験化合物の投与は0.5%MC水溶液の懸濁液を用いて経口投与により行い(試験化合物投与群)、溶媒の投与は0.5%MC水溶液のみを用いて経口投与により行った(溶媒投与群)。
【0061】
最終投与の翌日に、試験例1に記載したvon Frey試験と同様にして、痛覚閾値(g)を測定した。測定は、上記ラットをステンレス製のケージ(幅750×奧行き210×高さ170mm)に入れ、少なくとも20分間環境にならした後に行った。その結果を図2に示す。上記の結果、以下のことが判明した。
正常ラットで同様に痛覚閾値を測定した場合、痛覚閾値は11g前後であり、溶媒のみを反復投与した溶媒投与群では、痛覚過敏を発症したと認められる値まで痛覚閾値が大きく低下した。一方、化合物2(3mg/kg)を反復投与した試験化合物投与群ではこのような痛覚閾値の低下は認められず、痛覚過敏の発症が抑制された。
以上の試験例の結果から、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩は、発症した痛覚過敏を改善する効果および痛覚過敏の発症を抑制する効果を有することが判明した。つまり、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩は、慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤として有用であることが示唆された。
【0062】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩はそのまままたは各種の製薬形態で使用することができる。本発明の製薬組成物は、活性成分として、有効な量のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を薬理学的に許容される担体と均一に混合して製造できる。これらの製薬組成物は、例えば直腸投与、経口または非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)等の投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。
経口服用形態にある組成物の調製においては、何らかの有用な薬理学的に許容される担体が使用できる。例えば懸濁剤およびシロップ剤のような経口液体調製物は、水、シュークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造できる。粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤は、ラクトース、グルコース、シュークロース、マンニトール等の賦形剤、でん粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の表面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。錠剤およびカプセル剤は、投与が容易であるという理由で、最も有用な単位経口投与剤である。錠剤やカプセル剤を製造する際には固体の製薬担体が用いられる。
【0063】
また、注射剤は、蒸留水、塩溶液、グルコース溶液または塩水とグルコース溶液の混合物等から成る担体を用いて調製することができる。この際、常法に従い適当な助剤を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩は、上記製薬形態で経口的にまたは注射剤等として非経口的に投与することができ、その有効用量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、1〜100mg/60kg/日、好ましくは1〜20mg/60kg/日を一日一回または数回に分けて投与するのが適当である。
【0064】
以下に、実施例によって本発明の様態を説明する。
【実施例1】
【0065】
錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物1の40g、ラクトース286.8gおよび馬鈴薯でん粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵を持った打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
ラクトース 143.4mg
馬鈴薯でん粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
【実施例2】
【0066】
カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製する。
化合物2の200g、アビセル995gおよびステアリン酸マグネシウム5gを常法により混合する。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物2 20 mg
アビセル 99.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
120 mg
【実施例3】
【0067】
注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物3の1gを精製ダイズ油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 2 mg
精製ダイズ油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明により、例えばアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項2】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、キサンチン誘導体である請求の範囲[1]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項3】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(I)
【化28】

[式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、
はシクロアルキル、−(CH−R(式中、Rは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、nは0〜4の整数を表す)または式(II)
【化29】

(式中、YおよびYは同一または異なって水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、Zは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
およびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサンチン誘導体である請求の範囲[1]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項4】
およびXが酸素原子である請求の範囲[3]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項5】
が式(II)
【化30】

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲[3]または[4]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項6】
およびYが水素原子である請求の範囲[5]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項7】
Zが置換もしくは非置換のアリールまたは式(III)
【化31】

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である請求の範囲[5]または[6]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項8】
Zが式(IV)
【化32】

(式中、R、RおよびRの少なくとも一つは低級アルキルまたは低級アルコキシを表し、それ以外は水素原子を表し、R10は水素原子または低級アルキルを表す)または式(III)
【化33】

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲[5]または[6]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項9】
およびRがエチルである請求の範囲[3]〜[8]のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項10】
がメチルである請求の範囲[3]〜[9]のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項11】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が式(1)
【化34】

である請求項[1]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項12】
慢性筋骨格痛を呈する疾患が線維筋痛症である請求の範囲[1]〜[11]のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項13】
慢性筋骨格痛を呈する疾患が線維筋痛症に関連する疾患である請求の範囲[1]〜[12]のいずれかに記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項14】
線維筋痛症に関連する疾患が、結合組織炎、慢性疲労症、筋筋膜疼痛症、びまん性筋筋膜疼痛症、全身性結合組織炎、軟組織リューマチ、非関節リューマチ、慢性関節リューマチ、原発性線維筋痛症、二次性線維筋痛症、特発性筋肉疼痛症、慢性広範囲筋骨格痛、腰痛、線維筋痛症を伴うライム病、全身性腱筋障害および顎関節症から選ばれる疾患である請求の範囲[13]記載の慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤。
【請求項15】
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療方法。
【請求項16】
慢性筋骨格痛を呈する疾患の予防および/または治療剤の製造のための、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/094885
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−511707(P2006−511707)
【国際出願番号】PCT/JP2005/006033
【国際出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】