説明

懸架式個人用放射線防護システムを提供するための改良されたシステムおよび方法

実質的に施術者の身体に合うよう形成された、改良された個人用放射線防御システムが、懸架システムから懸架される。衣服は、放射線から施術者を防護するよう動作可能である。懸架システムは、一定の支持を提供するよう動作可能であり、また、システムに一体化された防護服、フェースシールド、または他の取付具が、施術中、施術者にとって実質的に無重量であり、かつ実質的に施術者とともに動くように、施術者がX、YおよびZ面において同時に自由に動くことを可能にする。結合システムは、施術者がシステムと容易に係合し、係合解除することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2010年1月22日に出願された同時係属米国特許出願連続番号第12/692,199号の利益および優先権を主張し、それは、2010年1月15日に出願された米国特許出願連続番号第12/688,353号の利益および優先権を主張し、それは、2008年4月7日に出願された同時係属米国特許出願連続番号第12/099,077号の利益および優先権を主張し、それは、2008年1月18日に出願された米国仮特許出願連続番号第61/022,174号の利益および優先権を主張する。本願はまた、2009年9月11日に出願された同時係属米国特許出願連続番号第12/577,703号の利益および優先権を主張し、それは、2006年12月15日に出願され、2009年10月27日に米国特許第7,608,847号として発行された、米国特許出願連続番号第11/611,627号の利益および優先権を主張し、それは、2005年12月16日に出願された米国仮特許出願連続番号第60/751,371号の利益および優先権を主張する。これらの開示はここに引用により援用される。
【0002】
技術分野
この発明は一般に放射線防護に関し、より特定的には懸架式個人用放射線防護システムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の背景
放射線は、多くの医療診断および治療のための検査や処置を行なうために使用される。これらの検査や処置の実行に、医療関係者、獣医、または研究員が関与する場合がある。これらの専門職員らは、仕事を行なう際に散乱放射線にさらされている。この曝露の長期的影響は現時点ではほとんど理解されていないが、かなりの割合の放射線を吸収する材料を含有する衣服またはバリアを着用するよう要求されている施術者らのための義務的な防護を正当化するのに十分なほど深刻であると考えられている。患者に対して検査または処置を適正に行なうために、施術者らは動きの自由を必要とする。施術者らが自由にかつ快適に動くことを可能にしつつ、施術者らを適正に防護する、個人用放射線防護システムおよび方法を提供することは、放射線環境にある施術者らのための重要な課題を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
この発明によれば、前述のアプローチに関連する欠点および問題を実質的に排除し、または低減させる、懸架式個人用放射線防護解決策を実現するための方法、システム、および装置が提供される。
【0005】
この発明の一実施例によれば、放射線防御を提供するためのシステムは、施術者の身体に合うよう形成された衣服を含む。衣服は、治療または検査処置中に散乱する放射線の相当な部分から施術者を防護する。衣服は、施術者に対する衣服重量の一部を減少させる懸架システムに接続されたフレームによって支持される。
【0006】
ここに開示される発明の一連の実施例によれば、懸架システムは、個人用放射線防護システムを支持するためのジブクレーンを含んでいてもよい。ジブクレーンは通常、水平面において支柱の周りを回転するアームを利用する。ジブのアームに沿ってトロリーが可動であり、放射線防護装置および/または釣合い機構など、何でもトロリーから懸架されてもよい。重量に対抗するために釣合い機構と組合されると、それは、アームの回転の弧によって規定されるX、Y、Z空間体積における懸架された物体の動きの自由を可能にする。天井、床、壁、可搬式スタンド、可搬式テーブルまたは他の固定された物体に、ベースが取付けられてもよい。上述の基本システムに対する多くの変更および強化が、ここに開示されるようなジブシステムまたは他の懸架構成要素で起こり得る。
【0007】
ここに開示される発明の一連の実施例によれば、懸架構成要素は、反動アーム、操作アーム、釣合いアーム、関節アーム、トルクアーム、および/または、回転接合され、関節を有し、機械的に支援された他のマニピュレータを含む。これらの実施例では、衣服がフレームに取付けられ、それはそのような関節懸架構成要素に直接しっかりと固定される。これは、フレームがロープまたはワイヤによって懸架される関連出願の実施例とは対照的であり、それは、状況次第では、望ましくない弛みを引起し、懸架構成要素の動きの遅延を被り、または、繋留構成でよく遭遇する問題である遊びを引起しさえする場合がある。
【0008】
ここに開示されるこの発明の別の実施例によれば、施術者が放射線防護システムに入り、防護システムの近傍に留まりながら検査または処置を行ない、そして滅菌性の損失なく防護システムから出ることを可能にする、結合器システムが提供されてもよい。
【0009】
この発明の別の実施例によれば、結合器システムは、ボールおよびカップの着脱機構を含む。ハーネスまたはベルトが施術者に固定される。ハーネスまたはベルトは、放射線防護システムに固着されたカップまたはソケット状の取付点といった対応する結合構成要素と接合可能な、球状ボールといった結合構成要素を含む。施術者はボールをカップの適切な近傍に位置付けて、ボールおよびカップの接合をもたらし、それにより施術者は放射線防護システムに取外し可能に固定される。施術者が放射線防護システムとの係合を解除したい場合、施術者は、滅菌性を失うことなく、ボールとカップとの接続間での接合された接続を維持する比較的小さい結合力に打ち勝てばよい。当該技術分野において通常公知であるような機械的結合システム、摩擦結合システム、磁気および電磁結合システムの使用を含む、結合システムの代替的な実施例がここに開示される。
【0010】
この発明の別の実施例によれば、放射線防護装置は、延長アームを有する懸架アセンブリを含む。延長アームは、衣服、フェースシールド、および衣服を支持するフレームの重量を相殺するための釣合い機構または張力機構も含んでいてもよい。延長アームは、個人用放射線防護装置を使用中の施術者に提供される動きの範囲と、施術者の動きに応答する懸架構成要素の動きとを改良する。
【0011】
この発明の別の実施例によれば、放射線防護装置は、構成可能なフェースシールドを含む。フェースシールドは、フレームに取付けられ、施術者の顔および首の区域に最適な遮蔽を提供するよう構成された、調節可能な前方プレートおよび調節可能な側方プレートを含んでいてもよい。フェースシールドはフレームに対して固定できるように取外し可能であり、フレームに取付けられると、前方プレートおよび/または側方プレートは、施術者に対して適切な位置へと個別に配向されてもよい。側方プレートは、検査または処置を行なっている間、施術者の頭および首に最適な防護を提供するよう、前方プレートの右側または左側で取外され、反転され、または配置されてもよい。
【0012】
この発明の別の実施例によれば、放射線防護装置は、照明構成要素またはランプを含む。照明構成要素は、施術者が望むように、または放射線防護装置が利用されるであろう環境の要求通り、懸架アセンブリまたはフレームに取付けられてもよい。照明構成要素は、調節可能であるよう搭載されてもよく、施術者との比較的一定の配向を維持するよう構成されてもよい。調節は、施術者により、滅菌ハンドルまたは滅菌ドレープハンドルの操作によって可能とされてもよい。照明構成要素の搭載場所に依存して、照明構成要素の重量は、システムの仕組みに役立つよう、釣合い重りとして使用されてもよい。
【0013】
この発明の別の実施例によれば、放射線防護装置は、検査または処置時に施術者が使用する器具、ツール、または他の物体を保持するための器具ホルダを含む。器具ホルダは、懸架アセンブリ、フレーム、または衣服に取外し可能に固定されてもよい。器具ホルダは、トレー、ポーチ、または磁石、もしくはそれらの任意の組合せであってもよく、それは、施術者が望むように器具または他の物体を保持するよう作用する。
【0014】
この発明の別の実施例によれば、放射線防護装置は、放射線防護システムを利用しながら施術者にとって快適な環境を調節し、維持するための環境制御装置を含む。放射線防護システムに取外し可能に固定され得る、またはしっかりと取付けられ得る環境制御機構は、施術者に冷却を提供するためのファンまたは送風機システムを含む。衣服のすぐ近くに位置する熱電加熱要素もまた、当該技術分野において公知であるように、施術者に熱源を提供するために個人用放射線防護システムに組込まれてもよい。
【0015】
この発明の別の実施例によれば、懸架装置はシールドおよび/または衣服装置に、その重心を中心として、もしくは、シールドおよび/または衣服の重心のすぐ近くの点を中心として接続し、支持する。これは、前方または側方に屈むといった施術者のある動きに対する運動を改良する。シールドおよび/または衣服を、その重心を中心として、または重心の実質的に近くで、もしくは重心を含む前額面(前頭面)で懸架することは、衣服フレームに沿ってボールインソケット継手を用いて、または戦略的に配置された軸または枢動継手を中心として衣服フレームを枢動することにより、達成可能である。
【0016】
この発明の別の実施例では、非頭上型懸架手段が説明される。フレームはその重心またはその近傍で釣合いアームによって支持され、それ自体は床ベースのスタンドの直立支柱を中心として回転可能に固定されている。ここに説明されるように、床ベースのドッキングおよび天井ベースのドッキングが可能である。床ベースのスタンドの変形は、ホイールおよび釣合い重りを有する可動式フロアスタンド、フロアスタンドを適所にロックするための繋止手段を有する可動式フロアスタンド、または、静止した天井支柱によって安定化される可動式フロアスタンドを含んでいてもよい。
【0017】
この発明の別の代替的な実施例は、可搬式で、床ベースの、シールドおよび/または衣服を懸架する後方テーブルを含む。そのような後方テーブルは、放射線シールド/衣服を懸架するための釣合いアームの横方向摺動運動を可能にする可搬式トラックスタンドを含み得る。また、これに代えて、シールド/衣服は、テーブルに搭載された直立支柱によって後方テーブルに回転可能に固定され得る、テーブルに搭載されたマニピュレータアーム、関節アーム、反動アーム、または釣合いアームによって懸架され得る。後方テーブルを床に固定するためのいくつかの手段が開示されており、収納可能な床フック、床リング、ロック可能なテーブルホイール、および/または釣合い重り、もしくはそれらの組合せを含む。
【0018】
この発明の他の技術的利点は、以下の図面、説明、および請求項から、当業者には容易に明らかとなるであろう。特定の利点および実施例を上に列挙したが、さまざまな実施例は、列挙された利点のすべてまたは一部を含んでいてもよく、もしくは列挙された利点を全く含んでいなくてもよい。
【0019】
図面の簡単な説明
この発明の、新規の構成が確信される特徴は、請求項において述べられる。しかしながら、この発明自体、ならびに、その好ましい使用形態、さらなる目的、および利点は、以下の例示的な実施例の詳細な説明を添付図面と併せて読み、参照することにより、最良に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に従った懸架式個人用放射線防護システムの斜視図である。
【図2】この発明に従った個人用放射線防護システムの拡大斜視図である。
【図3】この発明に従った結合システムのハーネス構成要素の斜視図である。
【図4A】この発明に従ったボールおよびカップ結合器システムを示す側面図である。
【図4B】この発明に従った代替的なボールおよびカップまたはフィンガ結合器システムを示す側面図である。
【図4C】この発明に従ったボールおよびカップ結合器システムを利用した代替的な結合システムを示す側面図である。
【図4D】この発明に従った、分離された位置で図示された、磁石と連結ブロックとフィンガとを利用した代替的な一体化された磁気および機械的結合器システムを示す斜視図である。
【図4E】この発明に従った、連結された位置で図示された、磁石と連結ブロックとフィンガとを利用した代替的な一体化された磁気および機械的結合器システムを示す斜視図である。
【図4F】この発明に従った、ユーザが着用したハーネスおよび個人用放射線防護システムと一体化された磁気機械的結合器システムの斜視図である。
【図5A】この発明に従った延長アームの側面図である。
【図5B】この発明に従った、延長された延長アームを示す延長アームの別の実施例の側面図である。
【図5C】この発明に従った、さまざまな空間位置において個人用放射線防護システムのための釣合い力を提供する、張力機構を有する延長アームを示す斜視図である。
【図6A】この発明に従ったフェースシールドの正面図である。
【図6B】この発明に従ったフェースシールドの上面図である。
【図6C】この発明に従ったハンガー、フェースシールド、およびフレームを示す斜視図である。
【図6D】この発明に従った、フレームに取付けられたフェースシールド取付および調節機構を示す斜視図である。
【図6E】この発明の一実施例に従った、代替的なフェースシールド取付および調節機構を示す斜視図である。
【図6F】この発明の一実施例に従ったフェースシールドの調節可能な構成を示す斜視図である。
【図6G】この発明に従った調節可能なフェースシールドの代替的な一実施例を示す斜視図である。
【図7】この発明の一実施例に従った、個人用放射線防護装置に固着された照明構成要素を示す斜視図である。
【図8】この発明の一実施例に従った、ブリッジおよびトロリーシステムと一体化されたマニピュレータアーム懸架システムの斜視図である。
【図9】この発明の一実施例に従った、代替的なシールドシステムを有する、固定された支持体に取付けられたマニピュレータアーム懸架システムの斜視図である。
【図10】この発明に従った懸架式個人用放射線防護システムの斜視図である。
【図11】この発明に従った個人用放射線防護システムの斜視図である。
【図12】この発明に従ったマニピュレータアーム/反動アームタイプの懸架システムの立面側面図である。
【図13】この発明に従った代替的な懸架システムの立面側面図である。
【図14】この発明に従った、マニピュレータアームを有する代替的な懸架システムの立面側面図である。
【図15】この発明に従った、図14に示すマニピュレータアームの手首の斜視図である。
【図16A】この発明に従った重心取付機構の機能性を示す図である。
【図16B】この発明に従った重心取付機構の機能性を示す図である。
【図16C】この発明に従った重心取付機構の機能性を示す図である。
【図16D】この発明に従った重心取付機構の機能性を示す図である。
【図17A】この発明に従った、懸架システムへのフレームのボールおよびカップ状重心取付システムの斜視図である。
【図17B】この発明に従った、懸架システムへのフレームのボールおよびカップ状重心取付システムの斜視図である。
【図18A】ここに開示される発明に従った、代替的な懸架構成要素の実施例へのフレームの軸ベースの重心取付の斜視図である。
【図18B】ここに開示される発明に従った、代替的な懸架構成要素の実施例へのフレームの軸ベースの重心取付の斜視図である。
【図18C】ここに開示される発明に従った、代替的な懸架構成要素の実施例へのフレームの軸ベースの重心取付の斜視図である。
【図18D】ここに開示される発明に従った、代替的な懸架構成要素の実施例へのフレームの軸ベースの重心取付の斜視図である。
【図19】この発明に従った、可搬式で床ベースの非頭上型懸架システムの側面斜視図である。
【図20】この発明に従った、床ベースのドッキング用に修正された、図19の可搬式で床ベースの非頭上型懸架システムの側面斜視図である。
【図21】この発明に従った、天井ベースのドッキング用に修正された、図19の可搬式で床ベースの非頭上型懸架システムの側面斜視図である。
【図22】この発明に従った、可搬式で床ベースの、後方テーブルに搭載された衣服懸架システムの上面図である。
【図23】この発明に従った、後方テーブルに搭載された衣服懸架システムで使用するための可搬式トラックスタンドの一実施例の斜視図である。
【図24】この発明に従った、後方テーブルに搭載された衣服懸架で使用するための可搬式トラックスタンドの一実施例の斜視図である。
【図25】この発明に従った収容可能な埋込式床フックの一実施例の斜視図である。
【図26】この発明に従った、後方テーブルに搭載された衣服懸架システムで使用するための可搬式トラックスタンドの一実施例の斜視図である。
【図27】この発明に従った、後方テーブルに搭載された衣服懸架システムで使用するための可搬式トラックスタンドが使用可能な運動範囲の上面図である。
【図28】この発明に従った、例示的なテーブル搭載マニピュレータアームが動作位置および駐止位置で図示された、可搬式で床ベースの、後方テーブルに搭載された、非頭上型または頭上型衣服懸架システムの斜視図である。
【図29】この発明に従った、トロリー上に延長アームを有する、可搬式で床ベースの、後方テーブルに搭載された頭上型ジブシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
教示および説明のために、ここに開示される発明が動作する方法について何らかの概要を提供することが有用である。以下の情報は、この発明を適正に説明するための基盤として考えられ得る。そのような情報は説明のためにのみ提供され、したがって、この発明の幅広い範囲およびその潜在的な用途を限定するよう解釈されるべきではない。
【0022】
放射線は、多くの医療診断および治療のための検査や処置を行なうために使用される。人間の患者または動物は、医療作業の完了を可能とするために、最小限の投与量を用いて放射線にさらされる。著しい損傷のリスクを防ぎ、または減らすために、放射線への曝露が監視される。そのような処置の実行に、医療関係者、獣医、または研究員が多くの回数関与する場合がある。
【0023】
長年にわたり、これらの専門職員らは、仕事を行なう際に散乱放射線にさらされている。彼らの日常の曝露は通常、患者に比べて少ないものの、施術者への累積的悪影響がある。これらの長期的影響はほとんど理解されていないが、かなりの割合の放射線を吸収する衣服またはバリアの形をした作業者らに対する義務的な防護を正当化するのに十分なほど深刻であると考えられている。幅広い範囲のそのようなバリアが商業的に入手可能であるが、これらの解決策は、患者と密接に接触しなければならない施術者にとって著しい限定を有する。これらの施術者らは、患者の近くで自分の身体および手を使用して簡単なまたは複雑な医療処置を行なう、医師およびその助手、または技術的に熟練した医療関係者である場合がある。多くの場合、患者からの散乱放射線、または直接的な放射線ビームにおける物理的要素は、健康上の著しいリスクと、受入れられないほど高い曝露とを呈するであろう。
【0024】
医療関係者のレベルでの放射線曝露のリスクは、癌、白内障、皮膚損傷などを含む。現在の防護システムを検討して、それらの限界を概説する。放射線を吸収する壁は、部屋への放射線を含有するのに有用であるが、それらの範囲内での曝露を防止することはない。床または天井に支持されたシールドといった部屋の内部のバリアは、看護婦や技師など、放射線場と密に接していない職員にとっては放射線を遮断するのに効果的であるが、職員が部屋を動きまわる場合、位置付けおよび再位置付けをしばしば行なう必要がある。それらはまた、実際の医療処置を行なう施術者にとっては、邪魔な妨害を与える。それらはまた、滅菌野内でそれらを使用しようとする際に滅菌状態を保つことが難しい場合がある。
【0025】
施術者のために最もよく使用される防護は、放射線吸収材料、通常鉛または他の金属を含有する衣服の使用を伴い、それは、コート、スモック、スカート、またはベストの形で着用され、また、滅菌カバーガウンの下に着用されるために滅菌野を汚染しない。これらの衣服は重くて着心地が悪く、それらの長期使用は、背骨、特に首および背中の病気、膝の不調、ならびに他の筋骨格疾患と関係があることがわかっており、それは施術者にとって障害、医療費、および生活の質の低下をもたらすおそれがある。
【0026】
防護と衣服重量とのトレードオフの結果、金属材料の厚さが施術者の忍容性によって制限されるために、足、頭、胴体、および目を最適にカバーせず、次善の放射線防護を提供し得る衣服がしばしば使用される。目の角膜および甲状腺といった放射線に敏感な他の組織を防護するために、金属化合物を含有する特殊な重い眼鏡、および首の周りの襟がしばしば着用される。施術者がこれらのものに妨害される場合でも、敏感な骨髄および顔を含み得る頭蓋骨の基底部は、依然として防護されないままである。個人用フェースシールドおよびネックシールドはこの問題に対処しており、商業的に入手可能であるが、それらの扱いにくい性質および重い重量のため、ほとんど着用されていない。
【0027】
そのような問題は、それらを解決しようとするさまざまな試みとともに、長年存在してきた。たとえば、床で支持される可動式シールドへの修正は、標準的なかさ高い可動式バリアに比べて改良された機敏性を施術者に提供しようと試みており、修正された衣服デザインを有する床支持システムも同じことを試みている。しかしながら、それらは依然として、それらを使用する施術者の自由な動きに対する妨害として作用する。患者の周りのバリア(放射線防護キャビンと呼ばれるものなど)の別のシステムが提案されたが、それは、粗いおよび細かい施術者の動き、患者/被験者との接触、および滅菌野動作にとって扱いにくく、範囲を限定し、抑制的なものであると思われる。
【0028】
患者の周りの天井搭載バリアも患者と施術者との接触を制限しており、滅菌野の制御を困難にする場合がある。一構成は、1本の線形軸において可動な台車またはトロリーを伴い、台車上の中央点の周りを回転する延長アームを有するまたは有さない、鉛製の衣服の重量を支持する天井搭載装置を含む。そのような機械的構成は他のタイプの懸架式バリアに取って代わり、また、それらの動きの仕組みは、施術者の身体に取付けられたものでの使用にあまり適さない場合がある。なぜなら、施術者はしばしば、すべての3つの空間軸において迅速にかつ自由に動かなければならないためである。通常、施術者は、動作区域中を、予測できない迅速なパターンで歩くであろう。一構成は、衣服が単純な伸張ばねによって懸架されることを含み、それは、その単純なばね力学の性質により、施術者の動きで起こるその伸張度に依存して、シールドおよび施術者に対して不均一な力を提供するであろう。それはまた、施術者の機敏性に影響を与える調和運動をもたらす場合がある。加えて、周期応力によるばねの不具合は、施術者の怪我に繋がるおそれがある。同様に、施術者の上方で垂直方向にばねを配置することは、天井の高さによる動きの制限をもたらす。システムを重い画像増強器モニタスクリーンと一体化することは、施術者が通常の動きをすることをさらに妨げるであろう。
【0029】
施術者らが作業中に行なう動きのタイプの説明が、関連する。施術者らは通常、患者が位置付けられる施術テーブルの横に立つ。彼らはしばしば、患者の上方で身体のさまざまな箇所へと手を伸ばすが、部位、表面などへと手を伸ばす際に前屈みになる場合がある。重い衣服を着用している場合、これは施術者の背骨に応力をかける。施術者らは体を曲げたり屈んだりする場合があるが、通常、ほんの少しだけである。なぜなら、患者を含む作業場所が垂直運動を制限しているためである。加えて、多くの処置は、施術者の手、腕、および胴体を閉じ込めたままとすべき滅菌野を要するため、過度の垂直運動は禁じられている。施術者は、歩いたり身体の向きを変えたりすることにより、すべての3つの空間面においてかなり動かなければならない場合がある。明らかに、施術者は、処置または検査を行なうために、これらの方向の各々において運動の自由を必要とする。
【0030】
頭上クレーンはこれまで長年にわたり利用可能であり、材料を取扱う業界においてよく採用されている。以下は、ブリッジクレーンの説明である。ブリッジクレーンは、少なくとも1つのブリッジと、ブリッジ上を動くトロリーと、主ブリッジを支持するために主ブリッジの端部に配置された端部トラックと、端部トラックと実質的に平行である実質的に平行なレールに沿って動くよう意図された端部キャリッジに配置されたホイールとを含む。いくつかの実施例では、ブリッジがレールに安全に取付けられたまま回転または揺動できるように、関節端部トラックが、増加した操縦性をブリッジに提供する。250ポンドまでの荷重を支持するために使用されるクレーンといった、より小さいクレーンはしばしば、電動支援の助けなしで作業者らによって動作される。なぜなら、クレーンの可動部は手で操作されるほど十分軽いためである。クレーンから荷重を懸架させるために異なるシステムが採用され、当該技術分野で公知であるような巻上げ機、バランサ、および知的支援装置を含む。
【0031】
ツールバランサも現在利用可能であり、ツールを使用する作業者に人間工学的利点を提供する態様で作業場所にツールを懸架するのに役立つ。ツールバランサは一般に作業場所の上方に取付けられており、ツールが懸架されるケーブルを繰り出す。作業者がツールの重量の著しい部分を支える必要なく作業範囲内でツールを上下に動かせるように、所望の高さでツールの「無重量」の釣合いを提供するために調節が行なわれてもよい。調節は、施術者がツールを作業場所へと引下げるためにツールに下向きの力を加えなければならないように、ツールバランサにより強い上向きの力をかけさせるようにしてもよい。バランサはツールを作業場所へと引下げられるようにし、施術者がツールを解除すると、バランサはツールを上昇させるであろう。
【0032】
ツールバランサは、その動作に釣合い力を提供する力の機構を参照して、ばね、水圧、または空気圧式のさまざまなものであってもよい。ここに開示される発明の一実施例にあるようなばねツールバランサは一般にコイル状の板ばねを含み、それは円錐形状のリールに取付けられて、ケーブルの巻取用のプラットフォームとして機能する。円錐形状は、ばねが巻取られまたは引出される際に提供する力の変動を相殺する可変の機械的利点を提供する。その結果、規定可能な作業範囲内で、ケーブルに対する比較的一定の力が生じる。
【0033】
安全性に対する懸念は主として、落下物体、懸架装置の強度、ケーブルの強度、および施術者の転倒に関与する。バランサは、それ自体のフックおよび安全チェーンによってトロリーに取付可能である。懸架装置は、幅広い安全域を含む特定最大荷重で商業的に入手可能である。懸架装置の搭載は、この発明が利用される部屋に対する建築/技術要件および規格に従って達成される。
【0034】
ばねを有する内部ケーブルおよび滑車、空気圧の力、または釣合い重りを含むさまざまな機械的システムを介して、荷重の重量とほぼ等しいトルクを提供するアームによって、ツールまたは他の荷重の釣合いが取られていてもよい。そのようなアームシステムは、当該技術分野で公知であるようなマニピュレータアーム、トルクアーム、反動アーム、または釣合いアームであり得る。
【0035】
懸架システムからのフレームおよび/または衣服の離脱は、ある注意を必要とするであろう。従来のツールバランサのケーブル留め具は、ハンガーが設定レベルよりも高くなることを防止するであろう。いくつかのバランサには、荷重の変更または取外しの際のケーブルの動きを防止するロック機構が装備される。これは、地面レベルに立ったままでの簡単な取外しまたは交換を可能にする。また、これに代えて、ロック機構を起動することなく、施術者は、荷重がバランサ留め具に接するまで、または、アームシステムの場合にはアームが最大限に上昇するまで、荷重を上向きに上昇させ、次に、バランサケーブルまたはアームおよび取付けられた構成要素の突然の上向きの制御されない動きを気にすることなく、衣服を取外してもよい。また、これに代えて、支持されたシステムの係合を解除する前に、支持されたシステムの重量とほぼ等しい重りが、ケーブル、ロッド、またはアームに取付けられてもよい。これは、支持されたシステムを「降下させる」よう作用して、それが施術者によって支持されることを必要とし、施術者は次にそれをケーブル、ロッド、またはアームシステムから係合解除してもよい。重りは、制御されない態様での構成要素の上向きの動きを防止するであろう。フレームおよび衣服が次に取付けられると、支持された荷重がしっかり取付けられていることを確認後、重りが取外されてもよい。
【0036】
多くの動作シナリオにとって、防護システムは、懸架システム(たとえば、システムを支持するケーブル、ロッド、またはアーム)から取外される必要はない。代替的な実施例では、それは懸架されたままにされて、他の活動の邪魔にならないよう簡単に動かされてもよい。別の代替的な方法は、ツールバランサまたは釣合いアームに対する力を、懸架される遮蔽構成要素の重量よりも若干大きく設定することを伴うであろう。身体から一旦取外されると、懸架式防護システムは次に、停止機構によって停止されるまでゆっくりと安全に上昇するであろう。次に使用する際、それは施術者によって容易に適所へと引下げられてもよい。ケーブルの摩耗、フックまたはロックの不具合、および懸架構成要素の欠陥がないか、システムの年1回の点検が行なわれてもよい。
【0037】
万一施術者が転倒した場合、システムが施術者の怪我の一因となることはないであろう。なぜなら、いくつかの実施例では、懸架システムは施術者が制限なく床に達することを可能にするためである。ここに開示される実施例に鑑みて、システムの設計は、放射線防護システムからの施術者の安全で迅速な離脱を提供する。結合器システムは、放射線防護システムとの係合/係合解除を迅速に提供する。なぜなら、施術者を放射線防護システムの近傍に保つ結合力は、転倒中にかかる力によって容易に打ち負かされるためである。
【0038】
万一不具合が起こった場合、多くの支持システムには、支持システムによって支持される荷重の落下を防止する自動ロック機構が装備されている。万一離脱が実際に起こった場合、懸架された遮蔽構成要素を支持するフレームは、懸架不良が発生した場合に施術者の肩に優しく係合して装置の重量を支持するパッドが、施術者の肩を覆って位置付けられるよう、設計されてもよい。しかしながらこの種の不具合は、適切な支持構造の強度およびシステム全体の年1回の点検で概して回避できるため、滅多に起こらないであろう。
【0039】
緊急事態によりシステムからの施術者の迅速な離脱が必要な場合、ここに開示される結合システムは、施術者と放射線防護システムとの簡単で迅速な係合解除を提供するよう設計されている。ここにさらに開示されるように、さまざまな実施例において施術者または他人が簡単に手で押したり手を振ったりスイッチを作動させることにより、施術者は、システムから衣服を離脱することなく、放射線防護システムから迅速にかつ安全に係合解除する。衣服はシステムに吊り下げられたままとなり、それから患者またはストレッチャから離れるよう動かされ得る。同様に、施術者は、滅菌状態を保ちつつ、システムから迅速に係合解除し、次にシステムと再係合することができる。
【0040】
ここで放射線の一般的な問題に戻ると、人々がしばしば、仕事中に放射線にさらされていることは明らかである。ここで概説する提案される概念は、前述の問題の多くに対処するよう意図された装置および手法を説明する。それは、身体の大部分をカバーする施術者用の実質的な遮蔽を提供する。重金属または他の放射線防護材料の層が厚くなるにつれて遮蔽能力を高めることができ、これにより施術者に対する応力を減少させる。なぜなら、装置は施術者にとって実質的に重量がないためである。装置は、従来のエプロンと同様に施術者の身体に近いものの、それは施術者によって支持されてはいない。それは、施術者が作業野および滅菌野内を動き回る際に施術者とともに動いて、処置を手元で遂行するためのアームおよび身体部分の動きを可能にする。
【0041】
装置の全体的な利点は、もはや重い遮蔽用衣類を支持していない施術者の快適性の向上、従来のエプロンと比べ、身体のはるかにより大きい部分を遮蔽することによる、施術者に対する放射線防護の改良、および、遮蔽材料をより多く使用することによる、カバーされる身体部分のより効果的な遮蔽を含む。このアプローチはまた、施術者に対する著しい重量の負担の欠如による、筋骨格に関する利点も提供する。
【0042】
ここで図面に戻ると、図1は、放射線防護システム10の斜視図である。図示された実施例では、システム10は、懸架アセンブリ12と、放射線防護服16を支持するためのフレーム14と、フェースシールド18とを含む。施術者20は、放射線24を用いて患者22に行なう処置の際に施術者に防護を提供するために、システム10を利用する。防護システム10は、典型的な施術室に容易に設置され、または一体化されてもよい。
【0043】
通常、衣服16は懸架アセンブリ12から懸架され、フレーム14によって支持される。フレーム14は、施術者20の肩、胸、および胴体の周りに合うよう形成され、衣服16および/またはフェースシールド18を、以下に記載されるようにシステム10と容易に一体化され得る、器具用トレー、照明装置、環境制御装置、または他の器具類といった可能性がある他の装置または器具とともに支持する。図1に示す一実施例では、フレーム14は懸架アセンブリ12に接続されており、懸架アセンブリは、硬質ロッド、ワイヤロープ、延長アーム、マニピュレータアーム、またはここに説明される他の懸架手段を含んでいてもよい。当該技術分野において公知であるような多くのワイヤロープ、反動アーム、ツールバランサ、トロリーおよびブリッジ、ならびに他のさまざまな支持システムが、ここに示す放射線防護システムおよび実施例を、適宜かつユーザやシステムを利用する設備が望むように支持するために利用されてもよい。
【0044】
図2は、フレームおよび衣服構造をさらに示す。防護システム10は、施術者20の首、肩、および上部胴体の周りに合うよう形成されたフレーム14を有して図示されている。一実施例では、フレーム14は、施術者20が背後からシステム10に入ることができるように、後ろが開いている。フレーム14は衣服16を支持しており、ハンガー26を介して(図1に示すように)懸架システム12に取外し可能に接続されている。なお、ハンガー26は、当該技術分野において公知であるような取付手段を用いた取付機構であってもよく、ねじ付きコネクタ、フックおよびリング、またはおよび/またはねじタイプのコネクタを含むが、それらに限定されない。ハンガー26はまた、システム10のための動作指令によって要求されるような、硬質で回転可能な、または旋回するコネクタであってもよい。さらに別の実施例では、フレーム14は、ハンガー26を必要としない、懸架アセンブリ12への接続用の取付手段を含む。図示された実施例は、施術者20が衣服16またはフレーム14の重量を支持しないように、自分を衣服16の近傍または背後に位置付けることができるようにする。この意味で、施術者は、典型的な放射線用衣服および防護システムの典型的で問題のある重量制約から解放される。フレーム14および衣服16は、システムと係合するためにフレーム14または衣服16を操作する必要なく、施術者20による放射線防護システムへの背後からのスムーズな進入を可能にするよう構成されている。いくつかの実施例では、システムと係合するために、施術者は、施術者の腕および/または胴体がフレーム14および/または衣服16と比較的接触していることにより、フレーム14と施術者20とが近くに留まるように、フレーム14に接近するだけでよい。他の代替的な実施例では、フレーム14は、成形された硬質ユニットとして構成されてもよく、または、施術者20がフレーム14の形状を自分の体形に合うよう操作できるようにする、半硬質で可撓性のある材料で構成されてもよい。フレーム形状の操作はまた、多くの異なるタイプの継手によって接続される硬質フレーム材料の使用によって提供されてもよい。継手はトルクヒンジまたは摩擦ヒンジを含み、摩擦ヒンジは従来のドアヒンジに幾分似ていて、しばしば仕様に合わせて設計されたまたは調節可能なそれらの動きに摩擦を用いており、それによりフレームは、一旦設定されると、その摩擦に打ち勝つように十分な力が再度印加されるまで、所望の形状を保つことができる。他の代替的な実施例では、施術者20は、ここに開示される結合システムを用いて、もしくは、ベルトシステムの操作、またはベルトシステムを操作する機構の起動により、システム10と係合するであろう。そのようなベルトシステムは、嵌合または機能の向上のために、施術者を包囲し、または部分的に覆うであろう。この発明は、施術者が入り込めるよう、衣服のアームホールが幾分広げられるか、何らかの方法で持ち上げられまたは操作されることを必要とした、より従来の肩構造を有する従来のエプロンまたはベストおよび以前からの懸架式エプロンとは異なっている。これは、滅菌ガウンを着用し、滅菌ドレープに覆われた装置と係合しようとしている施術者が、滅菌状態で出入りする場合、問題となり得る。システム10の背後が開いていることは、滅菌された施術者または滅菌場を汚染することなくこれらの手順に役立ち、それは、ここに開示される発明の別の新規の局面である。
【0045】
ここに開示されるシステム10のいくつかの実施例は、ユーザ操作を必要としないよう成形されており、システムに入り、システムを使用し、そしてシステムから出るのに形状の変更を必要としない。代替的なさまざまな実施例では、フレーム14および衣服16は成形可能であってもよく、それは、施術者の身体があってもなくても遂行可能である。ここに開示される発明の独特の構成のいくつかは、使用中に概して施術者20の前に位置付けられる新規のフレーム14から生じる。フレーム14は、実質的に施術者20に合うよう形成されるようにフレーム14が成形され、または作られることを可能とするように、硬質の、継目のある、半硬質の、および/または可撓性の材料から構成されてもよい。一実施例では、フレーム14は半硬質であり、ある特定の施術者の身体に実質的に合うよう形成されるように成形可能である。身体のサイズが異なる別の施術者20によってシステム10が使用される場合、フレーム14は、次の施術者20の身体サイズに合うよう輪郭を調節するように、形を整えられてもよい。図2に示すように、フレーム14は施術者20の前を一方から他方へと弧を描いて延びて、衣服16用の支持体として作用し、また、処置中に重要な動きが起こる施術者の頭、肩、腕、および上部胴体の近くの区域において、衣服16に形状および構造を提供する。それはまた、適正な動作配向を維持するよう、システム10全体の適正な釣合いを支援する機構としても機能する。前述の懸架式防護システムは通常、ここに説明される機能を行なう前方フレーム要素を提供することなく、施術者の肩に付着する。フレーム14は、開示された懸架システム12およびここに説明される他のさまざまな支持代替物と組合されると、施術者20に対する適正な釣合いおよび配向を維持しつつ、施術者20の前方および側方へのシステム10の質量および重量の集中を可能にする。これは、システム10から施術者20が簡単で楽に出入りすることを容易にする。それはまた、システムを使用する際に施術者の身体および腕の動きを制限することなく、適正な釣合いおよび配向を維持しつつ、施術者20の前方に、また必要であれば側方に、フェースシールド18をしっかり取付けることを可能にする。施術者20が望む形状は、システムに施術者が存在するか否かにかかわらず実質的に維持可能であるが、ただし、施術者20が動く際、アームフラップ30および布が若干曲がるようにはなる。しかしながら、施術者20が装置10に入るのに、実質的な成形または形状変更は必要なく、このため滅菌状態での出入りを容易にする。また、衣服16とフレーム14の一部とを実質的にカバーするために、滅菌ドレープ28が使用されてもよい。滅菌ドレープ28は、追加の滅菌防護を提供するために、衣服16およびフレーム14の所望の部分の上に容易に挿入される。
【0046】
ここに開示される別の新規の改良は、いくつかの実施例において、周縁ベルトまたはストラップを施術者の背後、周囲、または前方で締結する必要がない、ということである。エプロンを施術者に着せたままとするために肩甲骨間または他の場所でエプロンを連結するベルトを使用する従来のエプロンおよび防護システムでのような連続構成要素によって、施術者が完全に包囲されることはない。ここに開示される発明は、施術者の胴体の周りを完全に覆う実施例を含んでいてもよい。にもかかわらず、背後構成要素は場合によって接触または重複してもよいが、いくつかの実施例は、施術者の進入を可能にするフレームの開閉が、システムまたは施術者の背後の近くでの操作、もしくは、システムまたは施術者の背後の周りでのストラップまたはベルトの通過を必要としないように配向されたフレーム要素によって、この位置に維持される。ここに開示される発明は、施術者がシステムと係合または係合解除するたびにフレーム形状の変更もしくはベルトまたは他の構成要素の操作を必要とすることなく、施術者への係合を可能にするフレーム構造を提供することによって、この必要性をなくす実施例を含む。いくつかの実施例では、出入りの際に係合解除されなければならない構成要素によって施術者が包囲されることはない。
【0047】
後方のフレームまたはエプロン要素同士が互いに接続するものの、この接続が後方構成要素の操作または後方に向かう施術者または助手の手の通過を必要とはしない、追加の代替的な実施例が想定される。前述のそのような実施例は、背後に磁気構成要素を有するフレームベルトを利用したものであり、それは、後方構成要素が一旦、互いの近傍で、側方または前方で行われる操作を用いてともに動かされると、後方構成要素の結合を容易にした。いくつかの代替的な実施例は、背後で後方のフレームまたはエプロン要素に接続し、もしくは、キッチンエプロンまたは従来の布製衣服と同様に身体を覆う可撓性のベルトまたは紐を含んでいてもよいが、操作または後方への手の通過の必要性をなくす、施術者の周りでのフレームまたはエプロンの部分的なまたは完全な周囲包囲を可能にする、多くの代替的な実施例が説明され、これにより、迅速な出入りを促進し、より重要には、滅菌されていない物体の通過、布で覆うことが難しい物体の使用、助手の使用、または従来の滅菌野からの施術者の手の通過によって滅菌性が破壊されることがないように、滅菌ガウンを着用した施術者が同様に滅菌カバーで防護された装置に出入りする能力を促進する。
【0048】
フレーム14は、施術者の体形に対処する、衣服のための概して弧または曲線の形状を提供する。一方、以前から公知の懸架式衣服システムは、予め定められた形状を持たず、かつ施術者の身体がない場合に作業形状を維持する能力を持たずに可撓性を有することによって、施術者と係合するとそれらの輪郭形状を呈していた。以前の懸架式衣服システムは基本的に、対応する衣類と似た態様で着用されたエプロンまたはシャツなどの懸架衣類であった。一方、ここに開示される装置は、軟らかい衣服16の材料が取付けられ得る、成形された硬質の、または他の実施例では可撓性のフレーム14を利用して、フレームを適切で快適な形状に維持しまたは成型することを可能にし、そのため施術者20はそれに踏込むだけでよい。しかしながら、代替的な実施例では、衣服16の材料は硬く、または可鍛性がなくてもよい。フレーム14は、ここに開示されるように1つまたは複数の点で懸架システム20に取付けられてもよい。図面に示す代替的な一実施例では、片側だけの懸架は、邪魔のない反対側を提供しつつ、より強い強度のためのより実質的な支持構造を提供する。加えて、処置または作業中に放射線を使用している際、フレーム14、衣服16、およびフェースシールド18が施術者20にとって実質的に無重量であるように、施術者20がX、Y、およびZ空間面において自由に動いてもよい。
【0049】
図3は、処置中に施術者と放射線防護システムとを比較的近傍でつながれたまたは接続された状態で保つために利用される、係合可能/係合解除可能な結合システムの一実施例を示す。この実施例は、ハーネス32を着用した施術者20を示しており、ハーネス32は、施術者の身体の上または周囲に取外し可能に固定可能なベルト、ベスト、ストラップ、衣服、または他の構造からなっていてもよい。多くの異なる構成が可能であり、腰部支持を提供する幅広のウエストベルトを取入れた実施例を含む。第1の結合構成要素であるボール34は、ハーネス32上の1ヶ所に固定され、第2の結合構造要素(図示せず)は、フレーム、衣服、ハンガー、またはここに説明されるような放射線防護システムへの他の取付点に固定されている。ハーネス32は、必要に応じて、施術者の滅菌ガウンの上または下に着用されてもよい。第1の結合構成要素が、摩擦機構、磁気機構、電磁機構を介して、または他の機械的結合機構によって第2の結合構成要素と係合されると(図4A〜4Eを参照)、施術者は、施術者および個人用放射線システムがX、YおよびZ面においてともに自由に動くことを可能にしつつ、施術者とシステムとの近接およびシステムによる施術者の防護を維持するように、個人用放射線防護システムに固定される。結合機構は、滅菌ガウンのように施術者の上に存在し得る、および、滅菌ドレープのように装置の上に存在し得る、布またはプラスチックのドレープ材料の層に対処するよう、設計および構成されてもよい。結合機構は、介在層にもかかわらず、層を破ったり損傷したりすることなく、ともに結合するであろう。施術者が第1および第2の結合構成要素の係合を解除すると、双方の構成要素の表面はドレープによってカバーされたままであり、それは滅菌されたままである。なぜなら結合構成要素は他の滅菌材料としか接触していないためである。滅菌された結合要素が滅菌ドレープの外部で使用される場合、それらは同様に、係合解除の後で滅菌状態を保つであろう。
【0050】
図4A〜4Eは、施術中に放射線防護システムが施術者とともに動くように、放射線防護システムを施術者に係合するよう機能する結合システムのさまざまな実施例を示す。図示された実施例はさまざまな嵌め込み接続機構を含み、それにより、嵌め込み構造要素は、放射線防護装置および施術者の双方に取付けられた構成要素間の機械的安定化、柔軟なおよび/またはしっかりした固定を提供する。いくつかの実施例では、嵌め込み構成要素は誘導機能も提供し、それは、施術者による係合時に結合構成要素の適正な整列を容易にする。
【0051】
図4Aおよび図4Bは、ボール34とカップ36との接続を利用する結合システムの一実施例を示す。図4Aに示すように、この実施例ではボール34として示す第1の結合構成要素が、図3に示すように施術者20が着用するハーネス32に取付けられる。この実施例ではカップ36である第2の結合構成要素が、衣服16またはフレーム14に搭載されており、カップ36は「開いた」位置で示されている。(たとえば、考えられるさまざまな実施例におけるフレーム14または衣服16への)第2の結合構成要素であるカップ36の搭載場所に依存して、施術者は単に相対位置へと動き、ボール34がカップ36に受けられて、係合可能/係合解除可能な接続を作り出す。ボール34とカップ36との接続は、施術者および放射線防護システムが互いに相対的かつ実質的に調和して動くことを可能にする。代替的な実施例では、結合構成要素のためのさまざまな幾何学的形状が、接合するよう、および若干異なる特徴を有するように構成されてもよく、若干異なる特徴の例は、フレーム、衣服、および/または施術者の上の複数の取付場所、もしくは、設計指令や動作指令によって要求されるような、物理的プロファイルがより低い、およびより高い結合構成要素が挙げられる。さまざまな実施例では、接合された結合構成要素間の運動自由度は、すべての空間方向における動きの自由を完成させるために、無し(たとえばしっかりした接続)から、いくつかの回転軸内での一定限度まで変化してもよい。径方向運動に加えて並進運動を可能とするために、関節の異なる運動学的連鎖が構成されてもよく、ばね、ガスばね、ダンパー、または他の機械的張力手段が採用されてもよい。結合システムは、たとえば施術者の手の動きにより、またはスイッチを押すことにより、衣服および/またはフレームからの施術者の係合解除を可能とするよう、解除機構を起動しなければならないように構成されてもよい。また、これに代えて、それは、ある量の強制分離、もしくは特定の回転運動または並進運動が、接合された結合構成要素の結合力に打ち勝ち、施術者の手または他の態様により他の機械的係合解除システムを起動することなく結合構成要素の係合を解除するように構成されてもよい。この自動係合解除機能は、定常的な係合解除のために構成されてもよく、または、スキー結合解除機構の動作に機能が類似する一実施例では、緊急係合解除機能としてのみ構成されてもよい。ここに図示されていない他の実施例では、係合は、電子制御された機構を介して機構の起動を必要としてもよく、他の実施例では、係合は、構成要素がともに押された際に自然に起こるであろう。
【0052】
図4Bに示す代替的な一実施例では、ロッド40を介して防護システムに取付けられた第2の結合構成要素、この図では関節フィンガ38で形成されたカップが、この図ではボール34である第1の結合構成要素の近傍に導入されると、ボール34の周りで閉じるよう作用し、第1および第2の結合構成要素間に要望通りの柔軟なおよび/またはしっかりした確実な接続をもたらす。関節フィンガ36は、ボール34との接続を形成する閉じた位置で保持される。ボール34とカップフィンガ38との接続から係合解除するために、施術者は、ボール34の周りの閉じた位置でフィンガ38を保持するばね42の力に打ち勝つ解除機構を起動させてもよく、これによりフィンガ38を開けてボール34が外れるようにし、施術者がフレームまたは衣服から迅速にかつ容易に退出できるようにする。また、これに代えて、ロックおよびピンタイプのコネクタ、磁気、電磁、キーコネクタ、硬質プレート、または当該技術分野において公知であるような他の機械的取付手段の使用により、第1および第2の結合構成要素間のよりしっかりした接続が形成されてもよい。
【0053】
図4Bに示す実施例では、関節フィンガ38とともに、ばね42または他の圧縮力/張力システムを使用して、それらを閉じたカップの位置に保持してもよい。フィンガ38によって形成されたカップにボール34が押込まれると、ボール34の最大径がカップ開口部のより小さい直径を通過し、ばね42によってかけられた抵抗するばね力に対抗してフィンガ38をこじ開ける。ボール34とフィンガ38とが一旦接合位置になると、フィンガ38はボール34の周りで閉じられ、第1および第2の結合構成要素間の接続を形成する。
【0054】
図4Cに示す代替的な一実施例では、関節湾曲カップフィンガ44が示されており、カップフィンガ44の周囲に示された丸みを帯びた口縁は、接続プロセスを容易にするのに役立ち得る。この実施例では、カップフィンガ44を閉じた位置で保持するために、ばね機構(図示せず)が採用される。ボール34が何らかの力でカップフィンガ44内に一旦押込まれると、カップフィンガ44はボール34によって押し開けられる。この実施例では、カップは、図示されるように開閉可能な湾曲縁を有する複数のカップフィンガ44によって形成される。カップフィンガ44によって形成されたカップにボール34が一旦実質的に押込まれると、カップフィンガ44は次にボール34の周りで閉じてもよく、接続された結合システムをもたらす。ボール34とカップフィンガ44との係合解除は通常、逆の態様で起こるであろう。ボール34をカップフィンガ44内に押込むために、またはそれを引張り出すために必要とされる力は、係合および係合解除のために施術者によって必要とされる労力が少なくなるよう、使用状況にとって適切となるように設計可能である。ここに説明される結合機能の多くの組合せおよび派生物が、当該技術分野において公知の接続手段および接続機構を用いて、ここに説明される方法および装置で採用され得る、ということが考えられる。
【0055】
図4A〜4Cは、連結されると固定可能に取外し可能な接続を作り出す嵌め込みタイプの構成要素の原理を利用した代替的な結合システムを示す。しかしながら、結合のための多くの異なる形状、サイズ、および機構が当該技術分野において公知であること、およびここに開示される実施例はこれまで開示されてきたことに限定されるよう解釈されるべきではないことが考えられる。なぜなら、そのような結合機構はあまりにも多く、多岐にわたっているため、ここに記載することができないためである。同様に、着脱のために自身の形状を変化させる「圧入」スタイルの構成要素に加え、他のタイプの結合機構も、この発明で使用されてもよい。たとえば、摩擦結合システム、フックおよびループ結合システム、ならびに、フックとリングまたはスナップとを有するような単純な機械的結合システムも、施術者と放射線防護システムとの着脱を可能にする結合システムとして利用されてもよい。
【0056】
図4Dおよび図4Eに示す別の実施例では、施術者を個人的放射線防護システムに結合するための磁気機械的結合システム50が示されている。システム50は、第1の結合構成要素52と、第2の結合構成要素60とから構成される。第1の結合構成要素は、ベースプレート54と、1つまたは複数の誘導ブロック56と、1つまたは複数の衝突プレート58とを含む。誘導ブロック56および衝突プレート58は、当該技術分野において公知であるようなさまざまな接続手段を介してベースプレート54に固定される。誘導ブロック56は、第2の結合構成要素60との接合面を形成するための所望の特性を有するさまざまな形状、表面、および材料からなっていてもよい。形状および表面は、硬質であっても、変形可能であっても、可鍛性であっても、磁気性であってもよく、または、第2の結合構成要素60の要素との接続の形成を支援する複数の物理的および機械的特性を有していてもよい。第2の結合要素は、ベースプレート62と、1つまたは複数の誘導フィンガ64と、1つまたは複数の磁石66とを含む。誘導フィンガ64および磁石66は、当該技術分野において公知であるようなさまざまな接続手段を介してベースプレート62に固定される。ベースプレート62に取りつけられる形状および表面は、硬質であっても、変形可能であっても、可鍛性であっても、磁気性であってもよく、または、第1の結合構成要素50の要素との接続の形成を支援する複数の物理的および機械的特性を有していてもよい。
【0057】
図4Dに示すように、誘導フィンガ64は、誘導ブロック56から斜めに向いている。誘導ブロック56および誘導フィンガ64は、図4Eに示すような結合接続を形成するために第1および第2の結合構成要素52、60をともに誘導することを支援する。図4Fを参照して、施術者20が放射線防護システム10の近傍に向かって動く際、第1および第2の結合構成要素52、60が、接合してしっかりした接続を形成するよう並ぶ軌道上にない場合がある。そのため、施術者は、図示された実施例ではハーネス32を介して施術者20に取付けられている第1の結合構成要素52を、図示された実施例では衣服16を介して放射線防護システム10に固定されている第2の結合構成要素60に向けて誘導する。誘導フィンガ64は誘導ブロック56を用いて位置付けられ、衝突プレート58と磁石66との間の磁気吸引力が増加すると、第1および第2の結合構成要素は接合して、十分な機械的磁気結合を形成する。
【0058】
図4Eでは、第1および第2の結合構成要素52、60は、接合されたまたは接続された位置にある。一旦係合されると、誘導フィンガ64は、誘導ブロック56の周りにしっかりと対称的に嵌合する。これは、この実施例で説明する磁気結合力に加え、施術者20と放射線防護システム10との間の結合力に、追加の機械的結合構成要素を提供する役割を果たす。たとえば、それは、第1および第2の結合構成要素52、60のベースプレートの互いに対する実質的な並進運動を防止する。そのような並進運動はまた、衝突プレート58と磁石66との間の磁力によって阻止される。このため、磁石66は衝突プレート58に対して「摺動」しない。そのような磁力と機械的力との組合せは、この実施例に容易に適合可能である。なぜなら、それらの力は、処置の実行中、システム10からの施術者20の意図しない係合解除に抵抗するためである。にもかかわらず、施術者20によるシステム10からの意図的な係合解除は、ベースプレート52,54を互いから直接離すように突然ながら過度にならないようぐいっと押すことによって、かなり簡単に達成され、この動きは、たとえば放射線防護システム10を施術者の身体20から押し退けることによって容易に達成され、それは、通常使用時に意図せずに起こることはない動きである。代替的な実施例では、ここに開示される磁気結合システムは、関連する誘導プレート、誘導ブロックを用いずに、または追加の機械的接続構成要素(たとえば、スナップ、フックおよびループ締結具)を用いて使用されてもよい。さらに別の実施例では、第2の結合構成要素が、フレーム14および/または衣服14を含むシステム10上のさまざまな場所に固定された1つ以上の衝突プレートからなる状態で、第1の結合構成要素が単に、ハーネス、ベルトを介して施術者に直接固定された、または施術者の衣類に直接縫付けられた1つ以上の磁石からなっていてもよい。他の実施例は、機械的力を用いるまたは用いない磁気または電磁気の原理を、さまざまな形状の磁石、さまざまな形状の誘導フィンガおよび誘導ブロック、または当該技術分野で公知であるような他の接合または締結手段構成要素を用いて使用してもよい。
【0059】
図4Fに示すように、施術者20は、ガウンを着る前または後に、第1の結合構成要素52が固定されたハーネス32を着用してもよく、それにより、施術者20は要望通り、第1の結合構成要素52をガウンの表面の下または上に位置付けることができる。ハーネス32が施術者20によって一旦着用され、施術者20が放射線防護システム10と係合する準備ができると、施術者は、第1の結合構成要素52を第2の結合構成要素60との接合位置に誘導する。一旦係合されると、施術者20はその場合、処置を行ないながらシステム10とともに自由に動くことができる。施術者20がシステム10から係合解除する準備ができると、施術者20は、第1および第2の結合構成要素52、60間の結合力に打ち勝つのに十分な力を加えればよく、それにより、放射線防護システム10からの施術者20の分離がもたらされる。係合解除は、施術者の手を単に振ること、押す動き、捩じる動き、または他の身体の動きによって達成されてもよく、施術者20が少しの労力で防護システム10から退出することを可能にし、滅菌性を維持する。必要であれば、施術者20は、滅菌性または滅菌野を破壊することなく、上述のように防護システム10と係合解除し、再係合してもよい。
【0060】
図4D〜4Fは、結合構成要素の係合および係合解除を可能にするために磁力および機械的力を利用したさまざまなタイプの構成を示している。しかしながら、構成要素の複数の異なる構成が、この発明の範囲内で同じまたは実質的に同様の機能を果たし得ることに留意されたい。たとえば、ここに開示されるような誘導ブロックおよび誘導フィンガを使用する代わりに、嵌め込み形状の任意の組合せが、係合時の2つの結合構成要素間の安定化および運動制限という同じまたは同様の目的を満たして、構成要素同志を要望通り係合したまま保つ磁石の機能を強化してもよい。通常、結合形状は、変形を必要とすることなく接合可能であるが、変形可能な形状を採用してもよい。たとえば、ここに図示された形状は、多種多様の空間的接近において直接引合わされると接合するであろう。しかしながら、異なる設計は、係合を可能とするために特殊な空間的接近を必要とするかもしれない。図示された形状は、ブロックがさまざまな空間位置からフィンガに接近するにつれて誘導ブロックを適正に整列するよう誘導することを容易にする角度に配向された誘導フィンガを使用している。誘導機構の角度および形状は、大いに可変であってもよい。大きいボールタイプの形状が使用されてもよく、三角形、六角形、八角形、または任意の数の多角形の形状が使用されてもよい。滑らかな形状または鋭く角ばった形状が、要望通り、一方または双方の結合構成要素上で使用されてもよい。図4A〜4Cに示す形状は、結合要素間の接近が任意の空間方向において中心を外れている場合に結合構成要素を誘導するよう作用する。にもかかわらず、結合構成要素間の接近がある方向において中心を外れている場合にそれらの再配向を提供するよう、より限定された誘導機構が設計されてもよい。結合構成要素の形状および特性はまた、複数の機能を行なうよう設計されてもよい。たとえば、誘導ブロックおよび誘導フィンガは、それらが互いに中心を外れて接近している場合、誘導構成要素がともに接合位置となるよう支援する役割を果たすが、それらはまた、要素同士が一旦係合されると、係合された構成要素間の運動範囲を限定することにより、かつ部品同士を互いから係合解除するのに必要な力の大きさを増加させることにより、機械的安定化を提供するよう作用してもよい。代替的な実施例では、これらの異なる機能が異なる構成要素によって提供されるよう(すなわち、誘導要素が安定化要素から分離され得るよう)結合構成要素の構成を変更することが、幾分簡単であろう。これらのさまざまなアプローチを取入れた追加の設計および実施例が考えられるが、この発明の精神および範囲内で同じまたは同様の目的を満たす可能性は莫大な数あるため、ここでは詳細に説明されない。そのため、ここにおける開示は、ここに示す実施例にのみ限定されるよう解釈されるべきではない。
【0061】
別の代替的な実施例では、図4Dおよび図4Eに示す衝突プレート58と磁石66との間の磁力は、当該技術分野において公知であるような電磁手段を用いて制御されてもよい。施術者のハーネス、放射線防護システム、部屋の固定場所、またはシステム外部のいずれかに有線接続または無線制御システムによって取付けられたスイッチ手段を介して、電磁石が施術者によって起動され、無効化されてもよい。施術者は次に、第2の結合構成要素の比較的近傍に第1の結合構成要素を単に位置付けて電磁力を始動してもよく、第1および第2の結合構成要素の係合が生じる。施術者が防護システムから退出したい場合、施術者は電磁力を無効化して、第1および第2の結合構成要素の係合解除をもたらし、防護システムから退出する。また、これに代えて、電磁力によって無効にされる機械的手段の使用により、電磁力の起動が第1および第2の結合構成要素の切離しを引起こし、一方、無効化がそれらの係合を引起してもよい。
【0062】
開示された発明の多くの実施例は、懸架アセンブリの関節または継手をロックし、ロック解除するために、電磁ロックシステムまたはクラッチロックシステムといったロック機構と組合されてもよく、それにより、システムからの施術者の出入りがシステム全体の不動化または部分的不動化と連係する。たとえば、ロック機構は、施術者がシステムから退出するために施術者が結合システムの電磁石を無効化することを可能にするシステムに組込まれてもよく、この作用がスイッチも作動させてもよく、それが次に懸架アセンブリの関節または継手の一部またはすべてにおけるロック機構またはクラッチ機構を起動して、施術者がシステムから自由になる「駐止」モードでの放射線防護システムの不動化をもたらし、それにより、システムが動いたり非滅菌領域へと放浪したりすることを防止する。
【0063】
代替的な実施例では、施術者の手の動きまたは他の身体運動によって係合解除を提供するよう、急速解除機構が構成されてもよい。ここに開示される結合システムは、衣服および/またはフレームの前方、後方、または側方に位置付けられてもよい。ここに説明されるハーネスは、フックおよびループ締結具、磁石、スナップ、ボタン、ストラップ、バックル、または当該技術分野において公知の任意の好適な締結手段によって、施術者に固定されてもよい。別の実施例では、ハーネスは、滅菌され、施術者のガウンの外側に着用され、衣服またはフレームをカバーする滅菌ドレープを通してフレームまたは衣服に固定された結合構成要素と接合するよう動作可能であってもよい。同様に、滅菌ベルトまたは他の保持手段が、フレームまたは衣服に取付けられた結合手段を搭載するために利用される。この実施例では、結合システムは滅菌されており、結合構成要素間にガウンまたはドレープがない状態で接合する。
【0064】
別の実施例では、施術者は、自分の滅菌ガウンの下に非滅菌ハーネスを着用する。ガウン着用後、同様に滅菌された第2の結合構成要素が、施術者のガウンを通してハーネスシステムに結合するよう、磁気手段または機械的手段を用いてガウンの外側に取付けられる。この外側の構成要素には、装置上の結合構成要素と結合するための結合手段が装備されている。それは、装置を包囲するドレープを通して装置に結合してもよく、または、装置は、上述のシステムと同様に、ドレープを通して装置構成要素に結合する滅菌された第2の結合構成要素を有していてもよく、前記外側の構成要素はその場合、施術者に取付けられた構成要素と結合する。このため、結合システムは、施術者の係合および係合解除または再係合の際に滅菌性を提供するガウンまたはドレープの層を含む、層状となった複数の結合構成要素から構成されてもよい。このシステムは、繰返し係合され、係合解除される接合する構成要素が、滅菌材料の介在層なしで直接対向することを可能にするという点で、利点を有し得る。代替的な実施例では、結合構成要素は、施術者の身体および放射線防護システムの構成要素の前方、後方、またはそれらの周囲のさまざまな場所に位置していてもよい。
【0065】
図5A〜5Cは、ここに開示される個人用放射線防護システムに関連して利用される、改良された延長アームアセンブリ70の一実施例を示す。ここに説明されるように、トロリー72は、ブリッジ74に沿った水平面においてY軸に沿って線形に動くシステム70の構成要素であり、ブリッジ74は、システムのレール76に沿った水平面においてX軸に沿って線形に動いてもよく、レール76は、構造支持体(たとえば天井)に取付けられて、アセンブリ70用の取付場所を提供する。アセンブリ70はまた、トロリー72に取付けられた延長アーム78を含む。バランサ80が、ワイヤロープ82とともに、延長アーム78に固定して取付けられても、または摺動可能に取付けられてもよい。代替的な一実施例では、関節延長アームが使用されてもよい(図5Cに示す)。バランサは、いくつかの運動自由度のうちのいずれかを提供する、当該技術分野において公知であるようなケーブル、スプリング、釣合い重り、空気圧システム、電気システム、または油圧システムを利用することにより、防護システム用の支持力を提供するよう作用し、全体として防護システムの重量用の実質的な支持を提供し、実質的に無重量状態でのシステムの動きを提供する。延長アームアセンブリ70はまた、要望通りまたは特定の用途で必要とされるように、任意の数の関節継手および関節アームを含んでいてもよい。
【0066】
用途によっては、特に搭載制限のために、懸架された装置が有用に用いられ得る区域の上方にレール76またはブリッジ74を位置付けることができない場合、ブリッジ/クレーン機構の収容が難しくなる場合がある。これらの制限に打ち勝つために、図5Aは、図示された実施例ではトロリー72にしっかりと取付けられた延長アーム78を示している。一実施例では、延長アーム78は患者テーブルを越えて延び、線形の軸に沿ってシステム70の到達範囲を延長する。図5Bに示す実施例では、トロリーホイール86に加え、キックアップ防止ホイール84が、トロリー72のトラックと一体化されて、トロリー72に対する追加のトルクに対抗し、トロリー72および/または延長アーム78の「キックアップ」を防止する。トロリー72の横運動に対する横断面での側方運動を防止するために、側方ホイールまたはローラ88も、トロリートラックにおいて利用されてもよい。
【0067】
図5Bは、ワイヤロープ82によって伝達される防護システムの重量にある程度の釣合い重り効果を提供するよう位置付けられたバランサ80を有する延長アーム78を示す。この実施例では、バランサ80は、トロリー72の下に位置する。この実施例では、滑車90が、ワイヤロープ82用の回転誘導機構を提供する。バランサ80のこの位置の変化は、延長アーム78から懸架された荷重の重心を、トロリー72の重心のより近くへと動かす。これは、トロリー72および延長アーム78に対するモーメントアームトルクを減少させ、ひいては、トロリー72の運動の改良を容易にしてトロリー72および延長アーム78の構造要件を減少させ、それにより、システム70の質量および総重量を減少させる。その結果、施術者の動きによってシステム70を加速するために施術者が必要とする力が少なくなる。
【0068】
図示されていない別の実施例では、これらの有利な効果は、荷重を搬送する延長アームに対するトロリーの対向遠位端に位置するアーム上にバランサを位置付けることによって、さらに強化され得る。支持される荷重の直上にバランサがないこれらの実施例では、滑車または同様の装置のシステムを通してワイヤロープが供給される。他の実施例と同様、この同じシステムは、ばねバランサの代わりに、空気圧バランサ、単純な釣合い重り、ばね、または当該技術分野において公知の任意の他の手段といった、荷重の釣合いを取る他の手段を利用してもよい。
【0069】
図示されていない代替的な一実施例では、延長アームは、延長アームの一端で、固定された枢軸を用いてトロリーに取付けられる。その結果、延長アームは、改良された径方向の動きの自由を施術者に提供するよう、水平面において自由に枢動してもよい。この追加の動きは、トロリーホイールの平面からのトルク力を犠牲にして発生し、(図1に示すような)複桁ブリッジ構造に設けられるようなより幅広い支持ベース、および/または異なる平面における別の1組のトロリーホイールをおそらく必要とする。また、これに代えて、径方向の動きの度合いは、これらの不利な力を最小限に保持するよう限定されてもよい。
【0070】
図5Cに示す実施例では、関節延長アーム92が、回転継手96とハンガー26との回転可能な接続を用いて、トロリー72および放射線防護システム10に取付けられている。関節延長アーム92は、放射線防護装置10の垂直配向を維持しつつ、その垂直運動を可能にするよう、関節が繋がっている。この実施例では、ブリッジ74およびトロリー72は、水平面における放射線防護装置10の自由な線形運動を可能にし、関節延長アーム92は、垂直面における実質的に線形の運動を提供し、一方、懸架された放射線防護装置10の重量に対抗するためのばねバランサ機構94も含んでいる。回転継手96は、図示されるように放射線防護装置10の回転を可能にする。このように、装置10の並進運動は、X、YおよびZ軸の空間体積のどこでも可能になり、一方、垂直面における装置10の回転運動は防止される。
【0071】
図5Cの下の図では、トロリー72および延長アーム92は、ブリッジレール76の外側に動かされたものとして図示されており、関節延長アーム92は、図示されるように下方に配向される。このため、放射線防護装置10は、図5Cに示す上の図に比べてxおよびz空間軸において並進しており、Y軸においてもレール76に沿ったブリッジ74の動きを通して容易に並進し得る。他の代替的な実施例は、防護システムの配向を必要に応じて変えるために、たとえば回り継手を用いることによってピッチおよびロールを提供するために、異なる平面における放射線防護装置の回転運動を含む、任意の数の追加の運動自由度を提供してもよい。そのような運動は、ブリッジおよびトロリー構成要素の並進運動がない場合に起こり得る。所望の効果を可能とするために、延長アームシステムにおいて、またはハンガーおよび/またはフレームにおいて、任意の数の関節が提供されてもよい。
【0072】
図6A〜6Fは、ここに開示された個人用放射線防護システムと一体化され得る、調節可能なフェースシールドシステム100の一実施例を示す。処置を行なう際、施術者は通常、患者テーブルの片側に立つ。典型的な部屋は、利用可能な照明、遮蔽、制御装置、後方テーブルの供給品、および空間を最適化するために、患者テーブルの片側がより良好な近接を提供するように、非対称的に設計されている。患者テーブルを包囲する残りの空間は通常、施術者によって利用可能であるが、典型的には何らかの制限がある。
【0073】
最も一般的な処置のために、施術者は、正面曝露に対して左側でより多い放射線曝露を受ける傾向にあり、一方、施術者の右側は通常、患者に処置を行なっている間、最少量の散乱放射線しか受けない。形態は、施術者の左側、前側に配向されたシールドが最適な防護を提供するようになっている。しかしながら、施術者が処置を行なうために患者テーブルの反対側に動いた場合、この構成は変更されてもよい。
【0074】
調節可能なフェースシールドアセンブリ100のさまざまな例示的な実施例を、図6A〜6Eに示す。シールドは、鉛アクリル、鉛ガラス、または可視光に対して実質的に透明である他の放射線防護材料から製造されてもよい。図6Aは、前方プレート102と側方プレート104とを有するフェースシールドアセンブリ100を示す正面図である。前方プレー102および側方プレート104には、前方プレート102および側方プレート104が一体化されたバリアを提供するよう、ともに斜めに位置付けられることを可能にするように、傾斜縁が設けられてもよい。一実施例では、前方プレート102は施術者の顔のすぐ前に位置付けられ、一方、側方プレート104は施術者の顔に対して斜めに位置付けられる。
【0075】
図6Bは、側方プレート104が両側に傾斜縁を含んでいてもよく、そのためそれは、施術者の位置に依存して、前方プレート102の右側か左側で利用されてもよい、シールドの代替的な一実施例を示す。この実施例は、施術者が、側方プレート104を片側から取外し、側方プレート104を単に反転させてフレーム14に固定することにより、前方プレート102の反対側にそれを固着することを可能にする。これは、「左」および「右」の側方プレートを有する必要性をなくす。なぜなら、1つの側方プレート104が、施術者、および患者テーブルに対するシステムの配向に従って、「左」または「右」の側方プレートとして利用され得るためである。
【0076】
図6Cに示すように、シールドプレート102、104は、シールド保持バー106を介してフレーム14に取外し可能に固定されるよう図示されている。シールドプレート102、104は、ゴムはとめ、またはシールド保持バー106とシールドプレート102、104との十分な把持を提供する他の公知の締結具といった摩擦タイプの締結具を用いて、フレーム14に固定されてもよい。シールド保持バー106は、クランプ108を介してフレーム14に取外し可能に固定されてもよい。クランプ108は、ねじクランプ、ホースクランプ、または他の信頼できるクランプ取付具といった、当該技術分野において周知のクランプ手段を含んでいてもよい。代替的な実施例では、シールド保持バー106は、フレーム14と直接一体化されても、またはそれに溶接されてもよく、もしくは、クランプ108はまた、衣服16をフレーム14に取付けるために利用されてもよい。側方プレート104は、前方プレート102の左か右に取外し可能に固定されてもよく、それにより、施術者が自分の好みに合うようシールド構成を調節することを可能にする。さまざまな動作環境または個々の施術者の好みに応じて施術者に防護を提供するよう、複数のシールドプレートが設計または成形されてもよい。
【0077】
図6Dは、ここに開示された調節可能なシールドの別の実施例を示す。シールド保持バー106は、フレーム14に取外し可能に固定されるよう図示されている。保持バー106は、クランプ108を介してフレーム14に固定される。保持バー106は、この図示された実施例では側方プレート104であるフェースシールドプレートを支持し保持することが可能な、金属、ゴム、ポリマー、セラミックス、または任意の材料から作製されてもよい。保持バー106は、シールドプレート102、104をフレーム14に固定するための取外し可能な接続を提供する。図示された実施例では、施術者は単にシールドプレート104を保持バー106へと摺動し、そこで、バー106における摩擦力または保持力が、シールドプレート104を所望の位置に保持する。施術者は、配置および防護のために所望するように、シールドプレート104を保持バー106に沿って動かしてもよい。
【0078】
図6Eにはシールドコネクタ110が示されており、前方シールド102および側方シールド104の上部が、コネクタ110によって互いに対してさらに固定されてもよい。コネクタ110は、シールドプレート102、104が互いに対して適所に保たれるように非常に近接しているシールドプレート102、104の上縁または側縁に固着され得る、摩擦接続を維持可能なゴム、ナイロン、または他の好適な材料で構成されてもよい。側方プレート104が反転されて反対側に動かされた場合にも、コネクタ110を使用してもよい。
【0079】
図6Fは、シールド112、またはモジュール式シールドの一部が、アーム116を介してフレーム14に固定された代替的な一実施例の図である。図示されるように、側方シールド104はフレーム14に固着されている。同様に、低い高さの小さい前方シールド114がフレーム14の前方に固定され、実質的に固定された位置で保持される。シールド112は、いくつかの実施例では可撓性継手、枢軸、またはヒンジを各端に有するアーム116によってフレーム14に取付けられ、そこでそれはフレーム14に付着し、シールド112に付着する。図示された実施例ではボールインソケット継手を含む可撓性継手は、多くの運動自由度を提供する。前方シールド112は、施術者によって、すべての空間面における所望の位置へと操作され、動かされ得る。たとえば、視覚が重大であり、前方シールド112による遮蔽が必要ない処置を行なう場合、前方シールド112は、施術者の視界の外側に位置付けられてもよい。アーム112は、施術者が、取付けられたシールド112または追加のシールドプレート(図示せず)を、防護および/または眩しさ低減のために最適な配向へと調節することを可能にする。
【0080】
ここに説明されたシールドシステムは、摩擦接続手段、硬質手段によって、延長アームアセンブリによって、または当該技術分野において公知であるような他の手段によって、フレームに固定されてもよい。図6Gに示す一実施例では、単体の湾曲シールド18が、フレーム14と一体化した摺動トラックに沿って、フレーム14に摺動可能に接続されてもよい。施術者20は単に、フレーム14の湾曲に沿ってシールド18を手で動かせばよく、一方、シールド18はフレーム14の適所に留まる。そのような能力により、施術者20がシールド18の位置を動かすこと、シールド18からの眩しさを低減させること、および/または、ある特定の処置時に散乱放射線の角度による施術者20に対する放射線防護を改良することが簡単になる。この実施例は、施術者20が、フレーム14からシールド18を取外す、または物理的に取外して再度取付ける必要なく、シールド18の配向を迅速にかつ容易に動かすことを可能にする。同様に、シールド18の配向および位置は、患者への実際の施術中に時おり位置を変えることから恩恵を受けてもよく、一方、施術者20が滅菌性を保ちながらシールド18を動かす、および/または操作することを可能にする。
【0081】
代替的な実施例では、任意の数のシールドプレートが、施術者が望むように、または処置によって必要とされるように、フレーム上のさまざまな場所でフレームに取付けられてもよい。代替的な実施例は、アーム1本に付き3つ以上の可撓性継手を含んでいてもよい。たとえば、動きの自由の増加のために、中央区分に継手を有する関節アームを使用してもよい。代替的な実施例は、上述のようなフレームに摺動可能に接続された任意の数の可動のまたは静止したシールド構成要素を含んでいてもよい。また、任意の異なる数および組合せの運動自由度を有する任意のタイプの継手が可能である。通常のテーブルランプで時おり使用されるような可撓性アームシステム、すなわち「スネーク」が利用されてもよい。他の実施例は固定されたシールド構成要素を利用しなくてもよく、すべての構成要素が可撓性継手またはアーム上で可動であってもよい。他の実施例は、最適な遮蔽および眩しさ低減を提供するために施術者によって動かされ得る可撓性取付具の上の、1つの大きな、湾曲したまたは傾斜したシールド、もしくは平坦なシールドを利用してもよい。別の実施例では、汚染なく施術者の消毒した手でシールドを動かすことを可能にするために、ハンドル機構がシールドまたはアームの一部への取付用に形成されてもよい。また、これに代えて、そのような操作を可能にするために、滅菌カバーまたはドレープが可動システムの一部をカバーしてもよい。
【0082】
図7は、照明装置が取付けられた、ここに開示される個人用放射線防護システムの一実施例を示す。処置の実行中、ランプまたは他の照明手段が、処置の実行を容易にするために使用される。想像できるように、施術者が巧みにかつ安全に処置を行なうよう、十分な照明が部屋に存在しなければならない。理想的には、照明機構は強力で、最適の方向用に操作可能であり、また、幅広い光線を最小限の陰影で提供するために幅広い反射ベースを有する。処置によっては、施術者は、カメラから受信した画像を投影するモニタを見ることによって処置を行なう。
【0083】
空間が制限され貴重であるいくつかの施術室では、ここに開示されるシステムに取付けられ得るより小さい光源を利用することが好ましいであろう。図7に示すように、ここに開示される発明の一実施例は、アーム122を介してフレーム14と接続されたランプまたは光源120を含む。施術者が光源120の方向を簡単な手の動きで調節できるようにしつつ、施術者が被験者に対する最適な光の方向を維持できるようにする操作ハンドル124が、含まれていてもよい。また、これに代えて、ランプ120は、フレーム14、衣服16、フェースシールド102、側方シールド104、またはここに概して説明されたシステムの任意の部分に直接接続されてもよい。
【0084】
光源120はまた、その重量が釣合い重りとして使用されるように、ここに開示されるシステムと一体化されてもよく、放射線防護システム全体に追加の機械的利点を提供する。光源120は、要望通り、施術者に対してさまざまな位置に位置付けられてもよい。光源120は、当該技術分野において公知であるような、システム内に一体化された典型的な電気手段によって、動力を提供されてもよい。一実施例では、光源120は電池式であってもよく、したがって、システムまたはシステムの一部の配線および電化は必要ないであろう。光源120に動力を提供する電池は再充電可能であってもよく、そのため、システムが使用されていない期間に充電が行なわれる。
【0085】
照明システムに加え、他の代替的な実施例は、ここに開示される個人用放射線システムと一体化された、ファンまたは送風機/加熱器システムなどの環境制御装置を含んでいてもよい。そのような環境制御システムは、懸架アセンブリ、フレーム、衣服、またはここに開示されるシステムの任意の他の構成要素に固着されてもよい。図7はまた、前方フレーム要素が施術者の下方頭部、首、または上部胴体領域の周りに弧を描いて延びているものの、その下に下方フレームを含んでいないフレーム実施例を図示する役割も果たしている。代わりに、上方フレーム要素から、衣服が吊り下がり、または完全に支持されている。この実施例では、アームホールから左腕が突出する。
【0086】
図8は、ここに開示される個人用放射線防護システムで利用され得る代替的な懸架システム130を示す。懸架システム130は、図示されるように、天井レール76内のホイール86および側方ホイール88に載ってY軸に沿って線形に転がることができるブリッジ/トロリー72を含む可動クレーンシステムに取付けられた支柱132を含む。代替的な実施例では、懸架システム130は、たとえば支柱132を直接的に天井に取付けることにより、壁または天井などの固定点に簡単に取付けられてもよい。図8に示す実施例では、懸架アームの動きのみが望まれる場合、ブリッジ/トロリー72は天井レール76に対して適所にロックされてもよい。第1のアーム136は、それが水平に配向され、かつ床面と平行な水平面において継手134を中心として回転するように、支柱132に接続されている。第2の延長アーム140は、継手138を介して第1のアーム136に接続されており、垂直面における延長アーム140の回転を可能にする第2の継手138を中心として水平面において回転するよう動作可能である。延長アーム140は、垂直方向にも回転するよう動作可能であり、垂直面においてばね引張り器144と関節接合するよう動作し、ばね引張り器144は、継手142を介してそれと接続された放射線防護システム10を支持することを支援する。継手142は、放射線防護システム10の回転、たとえば、施術者が動いたり、向きを変えたり、または旋回する際に起こり得るような、放射線防護装置10の「急速回転する」または「捩じれる」動きを可能にする。継手142はまた、フレーム14に対する第2のアーム140の垂直面における回転を可能にする構成されてもよい。しかしながら、第2のアーム、継手138、および継手142は、ある実施例では、空間の垂直面における放射線防護装置10の回転を防止するよう設計されてもよく、このため、システム10のピッチまたはロールを防止する。その結果、放射線防護システム10は、継手134、138、142の回転能力によってすべてのX、YおよびZ空間方向に並進するよう、かつ、傾いたりピッチまたはロールを経験することなく、「捩じれ」たりヨーを経験するよう、動作可能である。この動きの自由はまた、そのような機能を提供するための、かつ懸架されるランプ、ツール、および他の物体用にしばしば使用される、当該技術分野において周知の反動アーム、トルクアーム、およびマニピュレータアームにおけるリンケージの使用によって達成されてもよい。代替的な実施例において想像されるように、放射線防護装置10のピッチおよびロール運動は、アーム136、142に、または放射線防護システム10における継手の追加によって容易に可能とされ得る。代替的な実施例では、第1のアーム136の端でのリンケージはまた、放射線防護システム10の重量を相殺して、施術者によって設定された配向にシステム10を維持する釣合い機構、ばね、および/またはケーブルを一体化してもよい。全体的に、開示されたシステム130は、アームの形態およびそれらの運動によって規定されるX、YおよびZ空間のどこにでも、放射線防護システムを位置付けることを可能にする。
【0087】
図示されていない別の実施例では、第3のアームが、放射線防護システムを支持するフレームに、当該技術分野において公知であるような固定接続または柔軟接続で、取外し可能に直接固定されてもよい。他の実施例では、追加の継手がこれらの構造を接続して、さまざまな所望の度合いの運動をそこに提供する。さらに別の実施例では、複数の継手およびアームが要望通りに構成されてもよい。X、YおよびZ面における運動について、継手は任意の組合せの自由度を提供してもよく、さまざまな釣合い手段がシステムで利用されてもよい。そのような変形の例は、水平面における径方向運動を各々可能にする複数の継手を有し、「横ばいする」動きにおける運動に限定された、自転車のチェーンでのような多数の短いアームまたは「リンク」を有する、アームを含んでいてもよい。アームはこのためすべて水平に配向され、単一、二重または三重アームシステムよりも少ない制限で水平面における大きい運動の自由を可能にするであろう。放射線防護システムは、ワイヤロープ、または釣合いアームなどの他の手段を有する終端にばねバランサによって懸架されてもよい。また、これに代えて、垂直運動を可能とするよう、リンケージにおけるいくつかの自由度とともに、各リンケージ、またはリンケージのうちのいくつかに釣合い機構が組込まれた複数のアーム、リンク、または区画を有する操作システムが構想され、そのため、アームシステムの端は垂直面および水平面において動くことができ、荷重の釣合いを保つために、ケーブルを有するばねバランサは必要ない。そのようなシステムは、さらなる柔軟性と運動範囲の増加とを提供し得る。
【0088】
開示された発明のさらに別の実施例では、放射線防護システムが使用されていない間、それを固定点に固定する、もしくはシステムを「駐止」または保管する能力を有することが望ましい、ということが実証され得る。摩擦力または実際の機械的ロック機構を提供することによって、図8に説明されるシステムにおける継手のすべてまたは一部をロック位置に置く内部ロックシステムが提供されてもよい。この力は、継手134、138、142で、クラッチ、摩擦プレート、機械的ロック、電磁力を介して、または当該技術分野において公知であるような他の手段によって加えられてもよい。そのような駐止機構は、駐止機構の起動がシステムからの施術者の係合解除とほぼ同時であるように、および、自由運動の復帰のために、施術者による再係合が駐止機構を無効化するように、前に開示された結合システムと一体化されてもよい。
【0089】
たとえば、図8を参照して、電磁石が、ブリッジ/トロリー72内の適切な位置において一体化されるだけでなく、支柱132とアーム136、140とを接続する継手134、138、142のうちのいずれかまたはすべてに位置付けられてもよい。システム全体はその場合、適切な保管位置に置かれる。次に十分な電流が印加されて、継手134、138、142またはその近傍に、および/またはブリッジ/トロリー72内に位置する電磁石が、各所望の継手または構成要素の動きを防止する十分な結合力を形成するよう作用するようにしてもよい。代替的な一実施例では、それぞれの継手134、138、142のための機械的ロックを起動するために、過渡的な力が始動されてもよい。
【0090】
図示されていない別の実施例では、施術者が、処置を行ないながら、個人用放射線防護装置を静止した固定位置に配置したい場合がある。施術者は、上述の電磁システムを起動し、それにより個人用放射線防護システムを固定位置に固定することにより、装置を固定位置に簡単に駐止し得る。施術者が装置を動かしたい場合、施術者は、スイッチまたは他のコントローラ手段の起動/無効化によって電磁力を簡単に係合解除してもよく、個人用放射線防護システムが施術者の一存で自由に動くことを可能にする。システムのさまざまな構成要素に、そのようなロック装置が装着されてもよく、そのため、システム全体のうちのある継手または構成要素のみが、要望通り、固定位置または非固定位置に配置されてもよい。
【0091】
装置を動かないまま保つために、他のシステムが利用されてもよい。患者テーブル、可搬式スタンド、または施術者の後方テーブルの上に磁石が存在する磁気システムが使用されてもよい。この磁石は、それが近傍に配置されると、放射線防護装置に固着された金属製の衝突プレートと係合してもよく、さまざまな装置および機器上に位置する滅菌ドレープを通してでも機能するであろう。磁石は滅菌されてもよく、もしくは、滅菌カバーまたはドレープでカバーされてもよい。また、これに代えて、磁石および衝突プレートの位置は逆であってもよく、磁石が双方の位置で使用されてもよい。他の実施例は、磁石以外の機械的締結手段、たとえばフックおよびループ締結具、機械的フック、または当該技術分野において広く公知である任意の他のシステムを使用してもよい。これらは、滅菌ドレープでカバーされ、または滅菌状態で提供されて使用されてもよい。
【0092】
図9は、ここに説明される発明の代替的な一実施例を示しており、放射線防護服はシステムから完全に省略されてもよく、システムは、顔および上部胴体シールドのみを懸架するための最適なプラットフォームを提供するよう修正されるであろう。図9は、施術者に対するフレーム14およびシールド18の配向を維持する態様で支柱132、アーム136、および関節延長アーム140を含む懸架システムによって、フレーム14が支持されている、代替的な一実施例を示している。継手134、138、142は、ここに説明されるような回転接続を提供し、システムが所望の運動面において動くことを可能にする。そのような装置を使用する場合、施術者の胴体および手足の防護は、施術者によって着用される標準的なエプロン、または他の遮蔽装置といった、いくつかの他の防護手段によって提供されるであろう。これは、従来の重い鉛のエプロンを着用し支持することを厭わない施術者、または邪魔と考えるなどの理由から前述の懸架式衣服システムを有することを好まない施術者によって、望まれるかもしれない。この懸架型システムは、衣服がないためはるかにより軽く、また、より軽くより安価な懸架装置によって支持され得るであろう。図示された実施例は、施術者の頭および上部胴体の両側および前方の周りで湾曲する透明のシールド18を含み、施術者の腕の自由な動きを可能にする。一実施例では、シールド18は、図9に示すようにシールド18の下を弧を描いて延びるフレーム14に接続されてもよく、もしくは、これに代えて、フレーム14はシールド18の上部マージンに沿ってシールド18を支持してもよく、または、フレーム14は、シールド18の左側か右側に、または窓フレームのようにシールド18を包囲する別のフレーム構成要素に付着してもよい。シールド18は、ここに説明されるように、フレーム14にしっかりと摺動可能に取付けられても、または可動に取付けられてもよい。
【0093】
図9に示す実施例では、フレーム14は、ここに開示される磁気結合システムで使用するために、結合構成要素54または60といった結合構成要素を含んでいてもよい。他の実施例では、フレーム14は、任意の方向における動きを提供するために、またはシールド18の配向を変えるために、1つ以上の関節を内部に有していてもよい。フレーム14は、施術者の近傍にある場合、および施術者がフレーム14を把持してそれを動かさなければならない場合に、施術者の滅菌性を維持するために、滅菌ドレープを受入れるよう構成されてもよい。フレーム14はまた、フレーム14の移動または操作を支援するためのハンドルを含んでいてもよい。他の代替的な実施例では、ここに開示されるシステムは、この文書に説明される可能な機能、付属物、および懸架手段の一部またはすべてを採用してもよい。
【0094】
図10は、この発明に従った懸架式個人用放射線防護システム10の一実施例の斜視図であり、それは図11により詳細に示されており、天井に搭載された関節アーム懸架システム150の硬質で実質的に垂直の懸架構成要素が、放射線防護服16に直接付着するよう使用されている。システム10はまた、施術者20と、患者22と、放射線24と、懸架構成要素150と、放射線防護服16を支持するためのフレーム14とを含んでいてもよい。システム10はまた、フェースシールド18と、アームホール袖カバー(図示せず)を含んでいてもよい。これらの構成要素の各々を、ここにさらに詳細に説明する。
【0095】
一般に、図11に示すように、衣服16はフレーム14から懸架され、フレーム14は次に所与の懸架構成要素によって支持される。一実施例では、ハンガー26がフレーム14(または「衣服フレーム」)に取付けられ、それは、施術者20の肩、胸、および胴体の周囲に合うよう形成された骨格である。フレーム14は、衣服16およびフェースシールド18を、器具用トレー、環境制御装置(たとえば、ファン、ヒータ、および空調装置)および/または照明装置などの他の装置とともに支持する。フレーム14はハンガー26としっかりとまたは関節を用いて一体化されてもよく、もしくは、動作指令によって要求されるように懸架構成要素に直接取付けられてもよい。一実施例では、ハンガー26は、反動アーム、釣合いアーム、操作アーム(「マニピュレータ」)、関節アーム、任意の数のワイヤロープ、もしくは、ここに説明されたまたは構想された任意の他の懸架構成要素といった所望の懸架構成要素に、フレーム14を接続する、硬質ロッドである。施術者の頭上で、かつ重心のほぼ上方でフレーム14を懸架システムに取付けることは、装置の釣合いおよび適正な配向の容易化のための利点を有し得る。また、これに代えて、(図11に示すような)施術者20の背後または側方といった任意の他の場所でフレーム14を取付けることは、いくつかの環境においてより良好に機能するための、施術者20の頭上以外の代替的な場所での懸架システムの位置付けに関する利点を提供し得る。
【0096】
図11は、個人用放射線防護システム10の斜視図により、システム構築をさらに説明する。施術者20は、施術者20が衣服16の重量を支持しないように、衣服16およびフレーム14の比較的近傍に自分を位置付けてもよい。この意味で、施術者は、典型的で問題のある重量制約から解放されている。処置または作業中に放射線24を使用している間、施術者20は、衣服16およびフェースシールド18が実質的に無重量であるように、X、YおよびZ空間面において自由に動くことができる。衣服フレーム14、またはハンガー26と結合された衣服フレーム14は、ブリッジシステムまたは反動アームといった頭上の懸架システムに付着するよう、衣服システム10の任意の部分から上向きに繋がり得る。また、これに代えて、フレーム14、またはハンガー26と結合されたフレーム14は、図示されるように、施術者20の後方および/または側方を通ることにより、頭上ではない場所で懸架システムに繋がり得る。図示された発明のいくつかの実施例はまた、ここに後で説明されるように、ある動きを容易にするために、施術者20の近くまたはシステム10の重心の近くで、フレーム14またはハンガー26内のジンバル、エンドエフェクタ、または他のタイプの関節を利用してもよい。後方または側方のフレーム構成要素14は、ウエストのより近く、肩とウエストとの間、またはおそらくより低い場所といった、肩以外の施術者20の他の高さで生じてもよい。
【0097】
図12は、この発明に従った、図10に示すマニピュレータアームタイプまたは反動アームタイプの衣服懸架システム150の立面側面図である。マニピュレータアーム懸架アセンブリ150は、施術者が、防護システムとの近接および防護システムによる防護を維持しながら、X、Y、およびZ面において自由に動くことを可能にする。懸架システム150は支柱152を含み、それは、この実施例では、図10に示すような天井レールおよびホイールに載ったトロリーからなる可動システムに取付けられている。支柱152は、代替的に、壁または天井などの固定点に取付けられてもよい。第1のアーム156は、第1の回転継手154を中心として平面状に回転するよう、支柱152に取付けられる。第2の回転可能なアーム162は第1のアーム156に取付けられており、また、第2の回転継手158を中心としてX、Y面において回転するよう、および第3の回転継手160を中心としてY、Z面において回転するよう動作可能である。また、これに代えて、第2および第3の継手158、160は、X、Y、およびZ空間における回転を提供するよう、単一のボールおよびソケット(または「ボールおよびカップ」)継手へと組合されてもよい。第3のアーム168は、第2のアーム162に対して、第4の回転継手164および第5の回転継手166を中心としてさまざまな平面において回転するよう動作可能である。同様に、第4および第5の継手164、166は、ボールおよびソケット継手へと組合されてもよい。上述のアームの各々を接続する継手は当該技術分野において周知であり、摩擦継手、トルク継手、またはベアリングまたはブッシングなどの周知の手段を用いた実質的に摩擦のない接続継手からなっていてもよい。
【0098】
この特定の実施例では、アーム162は、第1のアーム156と直交する、垂直軸における第3のアーム168の配向を維持するリンケージシステム(図示せず)を含む。第5の継手166は、ワイヤロープでのような無限の垂直面の代わりに、たった1つの垂直面における回転を可能とするため、アーム168の残りは、施術者が動くとより良い応答性で施術者に追従し、施術者とともに始動し、停止する。対照的に、ワイヤロープ懸架システムでは、ロープはまず傾いてからアームを引張るので、アームは施術者の上方を遅れて通過し、施術者の後で静止するというような、何らかの望ましくない遊びをもたらし得る。
【0099】
図示された装置はまた、その重量にほぼ等しい懸架された防護システムの上向きの力を維持するために、第2のアーム162と第1のアーム156との間の継手160に作用する内部ばねおよびケーブル機構(図示せず)を含んでいてもよい。それは、継手内に組込まれた摩擦を有していてもよく、そのため、継手を動かすことは若干困難であり、次に施術者が解除すると、システムは留まる。代替的な一実施例では、作業中のより流動的な動きを可能とするために、継手には実質的に摩擦がなくてもよい。
【0100】
図13は、この発明に従った、反動アーム懸架アセンブリ170の別の実施例を含む代替的な懸架構成要素(図10に示す関節/マニピュレータアームシステム150の代わりに使用可能)の立面側面図である。アーム懸架アセンブリ170は、アーム懸架アセンブリ170の端に取付けられる所望のツールまたは荷重に作用する重力に対抗するために、予め定められた量の上向きの力を提供可能な、関節アームの一種である。図示されるような平行四辺形構造を有する反動アーム(またはトルクアーム)(すなわち、1つのユニットとして作用する二重の平行なヒンジアーム)は、荷重のピッチ配向を維持しつつ、懸架された荷重のX、Y、およびZ空間における並進を可能にし得る。平行四辺形構造は、物体の回転をもたらすであろう(すなわち、YZ面におけるその配向を望ましくないように変えるであろう)対抗するトルク力にもかかわらず、エフェクタのピッチ配向を維持する。
【0101】
図13に示す釣合いアームアセンブリ170は、搭載支柱172から回転継手174、178、184、188を介して直列に延びる2つのブームまたはアーム区分176、186を有する、頑丈な関節アームアセンブリである。搭載支柱172は、天井に、または図10に示すトロリーおよびブリッジクレーンアセンブリなどの天井搭載構造に付着するよう、上向きに延長可能である。また、これに代えて、搭載支柱172は、床に、または図19、20、23、および24に示す例のうちのいずれかのような床ベースのスタンドに付着するよう、下向きに延長可能である。搭載支柱172はさらには、図21に示すように床から天井まで延長可能である。
【0102】
図13の釣合いアームアセンブリ170に戻ると、第1のブーム(またはアーム)区分176は、第1の継手174を介して、搭載支柱172の周りを水平面において回転する。第2のブーム186も、第1のアーム176の搭載支柱172とは反対側の端に位置する第2の継手178を中心として、水平面において回転可能である。第2のブーム186はまた、第3の継手184を中心として、垂直面において回転(傾斜、揺動、または旋回)可能である。第2のブーム186の荷重取扱端が、第2のブーム186のピッチ/傾斜にもかかわらず、そのピッチ(すなわち、垂直に対する前方/後方角度)を維持することが望ましい場合、第2のブーム186は平行四辺形構造(すなわち、1対の平行なアームおよび端部継手)を含んでいてもよい。第2のブーム186の端に重量の釣合いを取る力を提供するために、油圧シリンダ182が使用可能である。油圧シリンダ182の一端はてこ延長部180に付着し、それは、第3の継手184の隣でブーム186の端から上向きまたは下向きに延びていてもよく、一方、回転継手188はシステム10のための回転支持を提供する。油圧シリンダ186の他方の端は、第2のブーム186に沿ったある点に付着して、第2のブーム186の荷重担持端に対する重力によって生じるトルクに対抗するよう、第3の継手184を中心とするトルクを提供する。それにより、無重力の荷重釣合い効果が施術者に提供される。他の実施例では、さまざまなリンケージシステムにおけるケーブル、ばね、およびリールの使用を含む、多くの他のタイプの釣合い機構またはリンケージが可能である。作業状況に適合するよう必要な自由および制限を提供するために、さまざまな継手における他の運動自由度を足したり引いたりしてもよい。
【0103】
図14は、この発明に従った、ホロノミックな(すなわち、6つの自由度を有する)、またはおそらく冗長でさえある(すなわち、7つ以上の自由度を有する)マニピュレータアームアセンブリ190を含み、マニピュレータアーム190はフレーム14への支持的取付のために少なくとも3つの自由度を有する手首204を有する、別の代替的な懸架構成要素の立面側面図である。冗長な、または少なくともホロノミックなマニピュレータ190は、その運動範囲および配向の柔軟性が人間の手首のものに近似しているため、特に有利である。
【0104】
人間の腕は7つの自由度を有すると考えられている。すなわち、肩はピッチ、ヨー、およびロールを与え、ひじはピッチを提供し、手首はピッチ、ヨー、およびロールを可能にする。3つの自由度は三次元空間における位置付けを可能にするものの、エンドエフェクタ(または手)の配向(ピッチ、ヨー、およびロール)を調節するには、追加の自由度が必要とされる。図14に示すマニピュレータアームにおける3つの自由度は、(たとえばX、Y、Z座標によって規定される)空間の任意の場所にエンドエフェクタを位置付けることを可能にする。回転可能なベース194と肩ピッチ継手196とを含む肩部192は、マニピュレータアームアセンブリ190にヨーおよびピッチ運動を提供する。回転可能なベース194は、マニピュレータアームアセンブリ190の上方および/または下方の安定した点(図10に示すような頭上のブリッジおよびトロリー、または図19、20,23、または24に示すようなフロアスタンドなど)にマニピュレータアームアセンブリ190を固定するための直立支柱を中心とする回転またはヨーを可能にする。肩ピッチ継手196は、マニピュレータアームアセンブリ190の上方アーム198が上向きまたは下向きに傾斜したりまたは縦揺れすることを可能にする。下方アーム(または前方アーム)202はひじ継手200を介して上方アーム198の端に接続し、ひじ継手200も上向きおよび下向きのピッチを可能にする。下方アーム202の反対側の端にはロボット手首部204があり、それは手首ピッチ継手206を中心として回転可能である。図15により詳細に示すロボット手首(または機械的手首)204は、所望のピッチ、ヨー、およびロールにエンドエフェクタを配向するために追加の3つの自由度を提供する。
【0105】
マニピュレータアーム190の端でシールド18および/または衣服16に無重力のような環境を提供するのを助けるために、油圧シリンダが上方アーム198と下方アーム202との間にまたがって、ひじ継手200を中心として釣合いトルクを印加してもよい。同様に、油圧シリンダが下方アーム202と手首204との間にまたがって、手首ピッチ継手206を中心として釣合いトルクを提供してもよい。
【0106】
図示された実施例では、フレーム14は(必要であればハンガー26を介して)マニピュレータアーム190の手首204に付着可能である。シールド18および衣服16の操作しやすさおよび配向しやすさを促進するために、ハンガー26は、より好ましくは、衣服16およびシールド18の重心の無理のない程度できるだけ近くに配置される。この概念を、図16〜18の説明でさらに詳細に説明する。所望すれば、サージ(すなわち、前方に延び、後方に引っ込むこと)が可能な手首204の端に接続されたマニピュレータハンドを使用することにより、7番目の自由度をマニピュレータアームシステムに提供することができる。ハンガー26および/またはフレーム14はかなり短めに作られてもよく、ロボットの手首が施術者にはるかにより近くなること、または放射線防護システムの重心により近くなることを可能にする。これは、施術者の身体のピッチ、ロール、またはヨーの際の施術者のより容易な細かい運動を提供し得る。これはまた、フレーム14またはハンガー26の形状を変えることによって提供されてもよい。また、これに代えて、マニピュレータアームアセンブリ190に追加の自由度および接続用手段を提供するために、ハンガー26および/またはフレーム14内にさまざまな構成および機能の追加の継手を配置してもよい。
【0107】
図15は、この発明に従った、図14に示すマニピュレータアームアセンブリ190の手首204、およびその3つの回転継手206、208、210用の3つの直交する回転軸212、214、216の斜視図である。マニピュレータアームアセンブリ190の手首部204は3つの自由度を提供し、比較的小さい空間で3つの直交する継手を組合せることによってボール継手のしなやかさ(および人間の手首のしなやかさ)に近似している。手首ピッチ継手206は下方アーム202を手首204の一端に接続し、水平軸を有しており、それは手首204が上向きおよび下向きに傾くことを可能にし、これによりピッチを提供する。手首ヨー継手208は手首204の中央に位置し、手首ピッチ継手206の軸と垂直なまたは直交する軸を有し、これによりヨーを提供する。手首ロール継手210は、手首ピッチ継手206とは反対側の手首端にある。手首ロール継手210は、ロールを提供するための回転可能なベースを含む。手首ロール継手の回転軸214は、手首ヨー継手208および手首ピッチ継手206双方の回転軸212、216と垂直であり、または直交する。
【0108】
手首継手の各々が互いにより近いほど、手首は球状の手首により類似して挙動するであろう。球状の手首は、3つの回転軸が実際に交差する場所である。なお、図15に示す特定の実施例では、手首ヨー軸216と手首ロール軸214とが交差しているものの、図示された手首204は球状ではない。なぜなら、手首ピッチ軸212と手首ヨー軸216とが交差していないためである。(非球状の手首と比較して)球状の手首はより小型となり、また、シールド/衣服の現在の空間位置を維持しながらシールド/衣服を再配向するのに必要なマニピュレータアームの運動の度合いを減少させることが可能である。しかしながら、非球状の手首は機械的により単純であり、より頑丈であり得る。
【0109】
放射線防護装置の適正な釣合いおよび空間における配向を提供するために、ロボットアームおよび手首の自由度のうちのいくつかを可能にする継手のうちのいくつかは、アーム構成要素および放射線防護装置に対する重力の影響に対抗してそれを実質的に無重量にする釣合いシステムを含んでいてもよい。そのような釣合い機構は通常、Z軸における動き(重力により垂直)に対抗するために使用されるが、他の軸でも、意図された使用状況に対処するためにある程度取入れられてもよい。たとえば、釣合いを取ることが、手首のピッチ継手において、およびアームにおける垂直に動く継手において採用されてもよい。釣合い機構は、空気圧システム、単純なばね、複雑なばね、釣合い重り、またはリールを有するばねおよびケーブルのシステムといった、当該技術分野において公知の任意のタイプのシステムから構成されてもよい。
【0110】
図16は、この発明に従った、重心に衣服を取付ける概念の、4つの下位図16A、16B、16C、16Dを有するブロック図の機能性スケッチであり、軸ベースおよびボールインカップベースの懸架システムの側面図16A、16Cおよび正面図16B、16Dが提供されている。前述の説明は、シールド/衣服装置の、そのフレームの上部からの懸架に焦点を当てていた。ここで、前方または側方に屈むといった施術者のある動きに関するシールド/衣服装置の動きを改良するために、シールド/衣服装置の重心のすぐ近傍にある懸架機構について、ここでさらに詳しく述べる。
【0111】
重い物体がその頂部(地球およびその引力から最も遠い点)の近くで懸架される場合、その物体は容易に屈曲したり傾いたりしない。なぜなら、そのような配向の変化は、引力に部分的に対抗する力を必要とするためである。施術者は、何かを取ろうとして患者テーブルに身を少し乗り出す際などに、少し屈みたい場合が時おりある。施術者は、動きを幾分抑制するものの妨げはしない上述の力に遭遇するであろう。これらの力を制限し、シールド/衣服システムが容易に傾けられ、および/または屈曲される(もしくは折り目を付けられ、または折り畳まれる)ようにすることが望まれる。この困難は、物体の重心またはその重心近くの点を中心とする懸架によって緩和され得る。
【0112】
これに対処する1つの方法は、懸架機構を、シールド/衣服システムに、その重心で取付けることである。使用される継手のタイプに依存して、これは、一部またはすべての方向において非常に容易に傾いたり屈曲したりすることに繋がり得る。なぜなら、引力が相殺され、唯一必要とされる力は、摩擦に打ち勝ち、物体を動き出すよう加速するのに必要な最小限の力であるためである。望ましくない自由な回転を防止するために、継手での摩擦が望ましいレベルまで取入れられてもよく、および/または、装置は重心の若干上方の点で懸架されてもよく、そのためそれは、それ自体を垂直に配向しがちではあるものの、それを回転させるのに依然として最小限の力しか必要としない。図16A〜16Dには、荷重を支持するための典型的な懸架アセンブリが示されており、それは、図16Aおよび図16Bに示す軸システムと、図16Cおよび図16Dに示す枢軸システムとを含む。そのようなシステムは、ロッド(図示)などの硬質構造であってもよく、またはワイヤロープなどの可撓性構造であってもよい。可撓性のワイヤロープはYZ面における回転のさらなる自由を可能にし、それは、使用状況に依存して望ましい場合もあれば、望ましくない場合もある。
【0113】
たとえば、図17は、この発明に従った、懸架アーム218へのフレーム14のボールインカップ重心取付の斜視図を提供しており、左の斜視図(図17A)は自然な直立位置にある衣服16を示し、右の斜視図(図17B)は側方に屈曲した姿勢の衣服16を示し、双方の場合、懸架アーム218は同じ基本配向を保持している。この実施例には、硬質の懸架アーム218をフレーム14に接続するボールインソケット継手220がある。フレーム14を示すために、フレーム14をカバーする衣服の部分が取除かれている。フレームおよび衣服の密度がシールド/衣服/フレームシステム全体の頂部を重くしているため、重心が高い。ボールインカップ継手220を利用することにより、施術者は、シールド18および衣服16が施術者に対して適正な配向に留まった状態で、側方屈曲および前方屈曲を達成することができ、これらの動きに対する遭遇する抵抗は小さい。
【0114】
ボールおよびカップ継手220は、多くの異なるタイプの継手、たとえばニードルインカップ(垂直バイアスを有して配向されたニードルと、対応するカップとを有する)、さまざまな態様のベアリングまたはブッシング継手、ユニバーサルタイプ継手、軸構成、または前方屈曲を可能にするワイヤロープまたはストラップなどの単純な可撓性コネクタによって置き換えられてもよい。重心が、衣服16の前方の背後の、おそらく施術者の胸または胴体に非常に近い場所に、またはおそらく施術者の身体内部に位置する場合、それは、まさしくその場所での取付には適さないであろう。しかしながら、すべての平面における等重力の回転の自由を可能にするいくつかの実用的な解決策が可能である。同様に、重心を取付のためのより実用的な場所へと前方に変更するために、釣合い重りが追加されてもよい。釣合い重りは、この目標を達成する態様でフレーム14と一体化されるであろう。また、釣合い重りは、釣合い重りのモーメントアームを増加させるためにフレーム14の延長部として任意の方向に配置されてもよく、これにより、より軽い釣合い重りが使用されることを可能にする。取付は、重心にできるだけ近くてもよい。それは、まさしく重心である必要はない。なぜなら、それに近いことによって、装置を傾けるのに必要な力は依然として最小限であり、特に装置の総重量は40ポンド未満であると予想されるためである。
【0115】
別の例示的な実施例として、図18は、この発明に従った、懸架構成要素への衣服フレームの軸ベースの重心取付の斜視図を提供しており、左の斜視図(図18A)は片側の軸を介した取付を示し、次の斜視図(図18B)は両側の軸およびスイベルハンガーを介した取付を示し、次の斜視図(図18C)は両側の軸を介した取付を示し、右の概略図(図18D)では、ワイヤロープが硬質フレームに置き換えられ、その頂部は、枢軸継手の高さにある重心を中心とする弧によって描かれている。Z軸(垂直)における重心で取付場所を提供するために、軸システムが採用されてもよい。図18Aおよび図18Bに示すように、これはしたがって、場合によってはあまり重要ではなく、または望ましくない場合さえある側方屈曲を容易にすることなく、優れた前方屈曲機能を可能にするであろう。軸は、施術者の身体が位置し得る中心を通ることなく、側方にのみ位置していてもよい。別の選択肢は、非常に容易に側方屈曲機能を提供するために、頭上の滑車を越えて輪になったりまたは通されたりする、ワイヤロープ230(図18C)または硬質フレーム(図18D)のような懸架構成要素を両側に配置することである。軸継手は、自転車のホイール軸のようにシャフトの回転運動のみを可能にする簡単なシャフトインベアリングハウジングであってもよい。これは片側の懸架アーム構成を可能にし、それは、装置の適正な配向を維持するために、この構成で望まれるようにロールを防止しながらピッチを可能にし得る。軸の代わりに、回転を可能にする任意のタイプの回転継手を使用してもよい。
【0116】
図18Aの左では、フレーム14への片側の軸222の取付具は重心の高さにあるが、それはその左だけで懸架されている。これは、施術者が容易に前方屈曲することを可能にするが、側方屈曲はあまり容易にならないであろう。図18Bでは、両側の枢軸224が、異なる形状を有するフレーム14の重心の若干上方に、および左右に存在している。これは、図18Aに示す実施例と同様の機能を可能にするが、かさおよび強度がより低い片側支持部材を使用するための選択肢を有する。水平面において回転する枢軸継手226はハンガー118と一体化されて、システムにおけるヨーを可能にし、施術者がシステムとともに自分の身体を捩じることを可能にする。図18Cでは、重心またはその近くでのフレーム14への両側の取付具224は、ワイヤロープ230に接続されるため、硬質のものであってもよい。ワイヤロープ取付具が回転を可能とする場合、両側の取付具は軸として回転しなくてもよい。頭上の滑車システム228は、システムが側方に屈曲することを可能にする。ヨーは、ワイヤロープ230の柔軟性によって、または、図18Bに示すものと同様の、水平面における回転を可能とする滑車上方の回転継手の配置によって、可能とされ得る。この実施例は、施術者の身体または他のアクセスできない場所に位置し得るシステムの重心点またはその近くに継手を配置する必要なく、まさしく重心に位置するボールおよびカップ継手と幾分同様の機能を有する。
【0117】
図18Dに示す別の実施例では、ワイヤロープは使用されていない。代わりに、硬質のハンガーフレーム118が滑車228の上を枢動してもよい。ハンガーフレーム118は、中心がシステムの重心と一致する弧を含み、このため、滑車228による重量負荷の変化または力がほとんどないまま、自由な回転(ロール)が可能となる。この概略図には、アームの動きに対処する下方ハンガー構成要素の成形といった、その使用を容易にする可能性は図示されていない。ハンガーの垂直構成要素は、頂部の弧が、重心にあるその中心によって規定され、また、その最も高い点が垂直のZ軸において重心の直上にある限り、嵌合および機能を容易にする多くの異なる形状を有していてもよい。枢動継手224はピッチを可能にし、滑車228および弧状のハンガーフレーム118はロールを可能にし、前述のように滑車上方の枢軸を用いてヨーが可能とされて、すべての平面において重心を中心として回転する十分な能力を与える。
【0118】
前述のようにハーネスおよび結合システムを使用する場合、結合構成要素は、重心取付具と同じ高さに配置されることから恩恵を受けてもよい。これは、前方または側方に歩くといったXY面における身体の動きに関する施術者と装置とのリンケージを容易にする。結合構成要素が重心にある取付具と同じ高さにない場合、施術者のそのような動きは、取付場所を中心とする回転を引起すのに十分大きい力を装置に加え、望ましくない動きを作り出す。なぜなら、この状況では、施術者は、自分が歩く際に自分の身体に装置が追従する間、装置がその中立配向を保つことを望むためである。この望ましくない効果は、施術者の側方運動がボールおよびカップタイプの継手で生じるような衣服のロールを引起さない図18Aおよび図18Bにおけるような純粋に軸タイプまたは枢軸タイプの継手よりも、ボールおよびカップタイプの継手にとってより重大であろう。したがって、これらの設計は、施術者を結合する場所が重心の近くではない場合に有用であるかもしれない。他の実施例では、好ましい取付場所は、システムの重心の若干上方であってもよく、そのため装置は、XY面における施術者の大抵の動きについてはその中立配向を保つものの、施術者が前方または側方に屈むと依然として傾きに従う。図18A〜18Dに示す実施例に加え、システムにその重心で直接取付けられたワイヤロープなどの簡単な繋留懸架が使用されてもよい。
【0119】
図19は、この発明に従った、衣服16の重心を実質的に中心として、フレーム14を介してシールド/衣服18、16を遠位で取付け、懸架するための、直立支柱238とマニピュレータアーム234とを備える可動式フロアスタンド236を有する、可搬式で床ベースの非頭上型懸架システム232の側面斜視図である。より良好な安定性のために、可動式フロアスタンド236は、幅広いホイールベース244に沿って重り240を含む。ホイールベース244は、ベース244を床上の適所に固定するためのロック(またはロック可能)ホイール242を有する。また、ホイールベース244は、釣合いアーム234が十分に延ばされてシールド/衣服16を積んでいる場合の転倒を防止するよう、十分な寸法で構成され、十分な重りで適正に釣合いを取っている。
【0120】
釣合いアーム234は実質的に水平であり、頭上からというよりもむしろ側方または後方から、施術者およびシールド/衣服システムに接近する。他の実施例では、アームは前方から接近してもよい。この実施例では、エンドエフェクタ219(釣合いアームの端)は胸の高さで側方から施術者に接近し、次に前方の周りを湾曲し、シールド/衣服のフレームの重心にボールおよびカップ継手220を用いて付着する。このシステムは、アームの長さに対応する半径を有する弧によって規定された処置区域における施術者の動きを可能にする。スタンドまたは搭載システムを施術者から数フィートの場所に置くことにより、施術者の足および身体が懸架システムの一部に誤ってぶつかる危険がない。これは、シールド/衣服18、16を着用している施術者を(たとえば関節釣合いアームを介して)懸架システムの大部分から遠ざける能力がない床搭載システムに勝る大きな利点を提供する。たとえば、修正されたコートハンガーは、施術者がシールド/衣服の重量を課されないようにシールド/衣服を懸架できるかもしれない。しかしながら、そのような修正されたコートハンガーは、施術者の極めて近傍にあるであろう。施術者からスタンドを遠ざけるための関節釣合いアームがなければ、施術者がスタンドの一部に意図せずぶつかったりつまづいたりする危険が高いであろう。このシステムはまた、図29に示すような床ベースの頭上型懸架システムと比べて、支柱がそれほど高くなく、したがってアームおよび懸架されたシステムから生じる同じトルク力を扱うのにそれほど幅広くなくてもよいという点で、利点を提供する。総重量は減少し、システムはより可搬性があり、他の装置と頭上で衝突する問題がより少ない。システムはまた、入れ子式の支柱を必要とするなく、出入口を通して運ばれ得る。
【0121】
(床ベースのシステムとは対照的に)天井に搭載されるシステムは、床ベースの懸架構成要素につまづく可能性を防止するが、図19に示す床ベースの可搬式システム232は、特に以下のいくつかの環境において、天井搭載システムに勝る利点を有する:この実施例では、天井が込み合うことは問題にならない;装置は、同じ施設内の異なる処置室へとホイールを転がして動かすことができる;天井搭載や、または天井の強化および構造支持の高価な分析の必要性がないことに関し、何らかのコスト削減があり得る;頭上構造がないため、しばしば施術者に向かって斜めに傾けられ、施術者の頭上に位置する、吊り下げライト、吊り下げシールド、または可動画像増強器といった他の構造と衝突する危険を低減できる。
【0122】
支柱が非常に短い構成、垂直支柱がない構成、アームがスタンドのホイールベースに取付けられ、放射線防護システムとの取付場所まで上向きに延びている構成を含む、他の構成が可能である。アームはまた、床、壁、患者テーブル、または安定した後方テーブル上の場所にしっかりと固着されてもよい。また、アームは、他のどこかで説明され、またはフレーム上の他の場所に位置する多くの異なるタイプの継手(たとえば、施術者の前方傾斜を可能にするフレームの右側の1つの自由度を有する軸または枢軸継手)を用いて、フレームに付着してもよい。フレームは、床に向けてより下向きに延ばされることによって、より低い接続点を可能にするよう変更されてもよい。
【0123】
図20は、この発明に従った、床ベースのドッキング用に修正された図19の可搬式で床ベースの非頭上型懸架システムの側面斜視図である。床ドッキング用支柱またはポール246を、フロアスタンド236の底から、床または地面にある受けスリーブまたはチャネルへと下向きに延ばすことにより、可動式フロアスタンド236は適所にしっかりとドッキング可能である。床ドッキング用支柱246は、懸架されたシールド/衣服/フレーム構成要素18,16、14の重量によって釣合いアーム234の端に印加されるトルクに耐える懸架システムの能力を高める。ドッキングされていない場合、アーム234が延ばされ、荷重18、16、14が取付けられた状態では、システム232は不安定となり得る。荷重18、16、14を取外すことなくドッキング解除および可搬性を可能とするために、床レベル246の下にドッキングされる支柱238の部分が、ロック解除されるまでベース244内へと入れ子式に戻れないようにそれをロックするための機構を含むシステムが、採用されてもよい。アーム234が揺動され、そのため懸架された重量が支柱238のごく近くに位置づけられてトルクが減少した場合にのみ、ロック解除は可能となる。支柱238、246が一旦引っ込められ、ドッキング解除されると、アーム234は、延ばされてシステム232を不安定にしないよう、ロックされる。支柱238、246が再度ドッキングされると、アーム234はロック解除されてもよい。この安全機構は、ここに説明されるドッキングシステムの実施例の各々に取入れられ得る。図20は非頭上型懸架システムを有するこの床ドッキング機構の一実施例を示しているが、床に支持されたシステムは、頭上型懸架システムを含む、説明されたアームまたはジブシステムのいずれかを用いて利用されてもよい。それはまた、床ベースのブリッジシステムが片持ち梁状に設定され、この床ドッキング機構によって提供され得るような安定性を必要とする場合に利点を提供し得るブリッジシステムを用いて利用されてもよい。
【0124】
他のタイプの床ドッキング機構が可能である。スタンドの安定性を提供し、その並進または回転(転倒)運動を防止するために、任意の数のホイールが、床上の構成要素にしっかりと結合され、または取付けられるように設計されてもよい。装置からの他の延長部または複数の延長部が、ホイール用に上述のように付着してもよい。取付具は、ある方向におけるある程度の動きを可能にするレールであってもよい。当該技術分野において広く公知である機構を用いて、任意のタイプの固定可能な取付システムを構想してもよい。
【0125】
図21は、この発明に従った、天井ベースのドッキング用に修正された図19の可搬式で床ベースの非頭上型懸架システムの側面斜視図である。天井ドッキング用支柱またはポール252を、フロアスタンド236の頂部から、天井248または天井搭載構造の受けスリーブ(たとえば、天井支柱スリーブ250)またはチャネルへと上向きに延ばすことにより、可動式フロアスタンド236は適所にしっかりとドッキング可能である。天井ドッキング用支柱252は、懸架されたシールド/衣服/フレーム構成要素18,16、14の重量によって釣合いアーム234の端に印加されるトルクに耐える懸架システムの能力を高める。非ドッキングシステムに比べ、支柱252の直径およびかさは実質的に減少可能であり、ホイールベースおよびベースの重量も減少されてもよい。図示された実施例では、床ドッキング機構は非頭上型懸架システムを有して示されている。しかしながら、それは、頭上型懸架システムを含む、前述のアームまたはジブシステムのいずれかを用いて利用されてもよい。それはまた、床ベースのブリッジシステムが片持ち梁状に設定され、この床ドッキング機構によって提供され得るような安定性を必要とする場合に利点を提供し得るブリッジシステムを用いて利用されてもよい。また、床ドッキング機構と天井ドッキング機構とが、おなじ装置に存在していてもよい。
【0126】
他のタイプの天井ドッキング機構が可能である。装置からの他の延長部または複数の延長部が、天井に固定される場所に付着してもよい。取付具は、ある方向におけるある程度の動きを可能にするレールであってもよい。当該技術分野において広く公知である機構を用いて、任意のタイプの固定可能な取付システムを構想してもよい。
【0127】
図22は、この発明に従った、非頭上型懸架を有する、可搬式で床ベースの、後方テーブルに搭載された衣服懸架システム254の側面斜視図である。図22に示す実施例は、よく使用される後方テーブルの比較的安価な修正により、施術者の衣服/シールド16、18の関節釣合いアームによる支持を可能にする。これは、かなり高価および/または複雑であり得る、ブリッジクレーンおよびトロリーなどの天井ベースの搭載システムの設置を必要とすることなく、また、衣服を保持する専用のフロアスタンド用に貴重な床空間を取っておく必要なく、(シールド/衣服の重荷となる重量による)施術者の疲労を低減させるのに役立つ。そのような後方テーブル搭載懸架システムは可搬性があり、したがってそれは1つの部屋から次の部屋へと後方テーブルとともに容易に動かすことができ、または、使用されていない場合、邪魔にならない所に簡単に動かされることさえ可能である。
【0128】
典型的な放射線検査室(および/または施術室)は、画像増強器258を有する患者テーブル256を、部屋の一端に有する(その相対的端部をここに部屋の前方と呼ぶ)。施術者20は通常、放射線阻止シールド/衣服18、16を着用し、患者テーブル256の背後または隣で、自分の背中を部屋の後方に向けて作業する。後方テーブル260は、施術者20の背後に、部屋の後方に向けて位置しており、施術者20が自分のツールおよび/または他の機器を便利に手の届く範囲に置いておくために使用される。テーブルのベースを広げるための延長テーブル脚(または張出材)262を設けたり、ロックホイール264および/または床フックを設けるといったいくつかの修正を典型的な後方テーブルに加えると、後方テーブル260は、シールド/衣服を懸架する関節アームおよび/または釣合いアーム266のシステムのための確実な支持プラットフォームとして機能するのに十分安定化され得る。いくつかの修正を加えると、代替的には、そのようなシールド/衣服を懸架する関節アームおよび/または釣合いアームのシステムを、図示されたような患者テーブルの上、またはさらには床上の点を含む、多くの異なる可能な場所に搭載することも可能である。図示された実施例は非頭上型関節アームを有して示されているが、代替的な実施例では、頭上型または非頭上型を含む任意のタイプのアームまたはジブシステムが、修正され、使用されてもよい。
【0129】
図23は、この発明に従った、図22に示す後方テーブル搭載衣服懸架システム254で使用するための可搬式トラックスタンド270の一実施例の斜視図であり、トラックスタンドの幅広いベース272とロックホイール274とによって安定性が提供されている。スタンド270は、ホイール274に載って多方向に転がる。それは2つのトラックレール276を含み、それらはトロリー278がトロリーホイール280を介してトラックレール276に沿って長手方向に動くことを可能にし、一方、(トロリー278に搭載された)釣合いアームおよびシールド/衣服装置(図示せず)の重量によって取付点282で生成されたモーメントアーム力に耐える能力を提供する。トロリーホイール280はロック可能であってもよく、そのため、トロリーは所望の作業位置でロック可能であり、そのため、スタンド270に接続されたアームシステムにおいてのみ、作業中のさらなる動きが利用可能である。可搬式トラックスタンド270の上部は、同時に後方テーブルとして機能するように、カバーされても、または他の態様で修正されてもよい。
【0130】
図24は、この発明に従った、図22に示す後方テーブル搭載衣服懸架システムで使用するための可搬式トラックスタンド284(図示された実施例では、床にロックされる可搬式トラックスタンド)の別の実施例の斜視図であり、少なくとも1つの収容可能な埋込式床フック286によって安定性が提供されている。可搬式トラックスタンド/テーブル284のこの実施例では、フック286という機構が床に取付けられており、それは、施術者の簡単な動きを用いて、テーブル284のベースに沿ったクロスバー288に対して着脱可能である。それは、取付けられた釣合いアームおよび懸架された放射線防護装置(図示せず)によって取付点282で生成されたトルクにより後方が持ち上がることを防止することによって、テーブル284を安定させる。これは、安定性のためにテーブルの重量および/またはホイールベースを実質的に減少させることを可能にし、また、ホイール290が適所にロックされている場合でもある程度起こり得る、床に沿ったテーブル284の望ましくない横運動をさらに最小限に抑えるよう機能する。1つ以上の床フック286が、ここに説明される可搬式スタンドまたは後方テーブルの実施例のいずれにおいても、また、動作要件によって要求されるように使用されてもよい。代替的な実施例は、荷重がテーブルの上方または近傍に収容された場合にのみ、床からのロック解除を可能にし、床にロックされるまで支持アームを延ばすことができない、図20および図21に説明したのと同様のロック安全機構を提供してもよい。
【0131】
図25は、この発明に従った収容可能な埋込式床フック286の一変形の斜視図である。床フック286の非使用時に施術者が妨害されたりつまづいたりすることを防止するために、床フック286は床の窪みまたは差込み292内に折り畳まれ得る。床フック286を収容するには、施術者は、たとえば、まずフロアフック286を反時計回りに90度回転させ、次にそれを床へと折り畳めばよい。一旦床に入ると(すなわち、対応する形状の床の窪み292内に入ると)、床フック286は床と同一平面に位置し、妨害となる危険がない。床フック286のさらに別の変形では、フック286はその床取付部を中心として自由に回転可能であり、テーブル284が床フック286によって床にしっかりと、しかしながら回転可能に保持されつつ、配向を変えることを可能にする。床フック286自体はまた、そのフック面に沿って、頂部ローラおよび側方ローラ294(「頂部」および「側方」とは、引っ掛けられているテーブルのクロスバーに対するものである)を有して、引っ掛けられている間、テーブル284が、増加した範囲にわたって床に沿って(すなわち、その長軸に沿って)横方向に−左右に−移動できるようにしてもよい。
【0132】
図26は、この発明に従った、図22に示す後方テーブル搭載懸架システム254で使用するための可搬式トラックスタンド296(より具体的には、カムロックされる可搬式トラックスタンド)の別の実施例の斜視図であり、少なくとも1つの収容可能な埋込式床リング298と、少なくとも1つのカムロックフック(または他のカムロックリングキャッチ)300とによって安定性が提供されている。床リング298は床差込み(または窪み)302から起こされ、それにカムロックフック300が付着する。カムロックフック300は、フック300をロックしてその保持を締めるための動作ハンドル304を有する。施術者は、閉じられたカムロックハンドル304を締める。この動作は装置を短くして締付け、それがロックすると下向きに引張り、テーブル296に十分な下向きの牽引を提供して、釣合いアームに重量が印加された際にそれがぐらついたりそのホイールを若干浮かせたりしないようにする。カムロック300のシャフトには、長さ調節器機構306もあり、長さの粗調節を提供する。この機構は、テーブル296の脚に取付けられたトラック310に沿って自由に転がることができるトロリーホイール308を有するトロリー306から支持され得る。そのようなレールシステムは、ここに説明される床にドッキングするテーブルシステムのいずれにも適用可能である。前述の実施例と同様に、このスタンド296は、たとえばその上にテーブルトップを配置し、通例行なわれるようにそれを滅菌ドレープでカバーすることによって、処置供給品用の後方テーブルとして同時に機能することができる。床リング298の、および/またはリング298を把持するカムロックフック300用のシャフトの回転を可能にする継手は、床リング298を回転の中心とする床面におけるテーブル296の回転を可能にする。シールド/衣服(または他の荷重)が釣合いアーム(図示せず)上に位置付けられている際にカムロック300のクランプ解除を防止する安全機構があってもよい。なぜなら、釣合いアームに対して印加される十分なトルクが、望ましくないことにテーブル296を転倒させてしまうかもしれないためである。荷重を取外す必要性をなくすために、釣合いアームおよびその荷重を、荷重が実質的にテーブル296の中心の上方に位置付けられる駐止位置に配置してもよい。
【0133】
図27は、この発明に従った、図22に示す後方テーブル搭載衣服懸架システム254で、および図24〜26に示す床固定手段で使用するための可搬式トラックスタンド310が使用可能な運動範囲の立面上面図である。中立位置では、床フック314はテーブル310の中央近くに位置付けられており、前述のようにテーブルのクロスバーに引っ掛かっている。図示されるように、テーブルは、左右に転がったりフック314の周りを回転したりすることができ、釣合いアーム312およびそれに取付けられた衣服/シールド16、18に広い範囲を与える。
【0134】
図28は、この発明に従った、図22に示す可搬式で床ベースの後方テーブル搭載衣服懸架システム254の斜視図であり、例示的なテーブル搭載マニピュレータアーム266が、動作位置と駐止位置という2つの位置で示されている。フック機構286から張力が解除されると、テーブル260は床からフック解除されてもよく、テーブル260が安定していることを示している。これは、荷重を取外すことにより、またはこの場合では、モーメントアーム力またはトルク力を除去するように、実質的にテーブル260の上方で荷重を回転させることにより、達成され得る。安全ロックの別の実施例は、テーブルが床に繋がれていなくても安定している安全位置へとアームが揺動された場合にのみ、ロック機構のロックが解除できるような、テーブルを床にロックする機構とアームとの機械的リンケージを含んでいてもよい。装置は、テーブル260の上方または下方で揺動可能である。後者は、省スペース、より低い重心、テーブルトップ区域に妨害物がないこと、およびより良い美観という利点を有する。衣服16は、その垂直距離が減少するように巻上げられ、または折り畳まれるよう構成されてもよく、使用可能な空間に装置がより容易に駐止することを可能にする。
【0135】
図29は、放射線防護システムを支持するためのジブアームおよびトロリー懸架アセンブリと組合された後方テーブル322の斜視図である。この実施例では、ホイール328に載ったフレーム326は、ジブ−ブームシステム用の柱333を支持する。テーブルトップ324はフレーム326に接続されて、施術者の供給品用の後方テーブル322として機能する。テーブルトップ324の下には区画330があり、重りと、電動ホイール328を介してシステム320を動かすモータシステムとが含まれている。当該技術分野において公知であるように、滅菌ドレープがテーブルトップ324を覆って配置されてもよい。柱333はまた、医療用供給品または器具を吊り下げるためのフック334を含んでいてもよい。柱333は、その高さを変更するように入れ子式になっていてもよく、それは、上部柱333、ブーム338、および懸架された構成要素350(たとえば、衣服/シールド)の重量を打ち消すための釣合いシステム346(どのタイプのものでもよいが、重量および安定性をさらに提供するには、釣合い重りの使用が有利であり得る)を用いて容易にされてもよい。ブーム338と柱333との間の回転継手336は、水平面におけるブーム338の回転を可能にする。この実施例では、ブーム338は、キックアップ防止ホイール342と側方ローラ344とを有する一体化したトロリー340と入れ子になっているが、従来のブームを使用してもよい。トロリー340は、ブーム338に沿った線形運動を有する。放射線防護システム350はワイヤ(または線)348によって懸架されており、その重量は、トロリー340に取付けられ、この実施例では釣合いを取る利点のために後方に配置されているバランサ346によってバランスを取られている。システム320全体は、X、Y、およびZ空間における防護システム350の自由な動きを可能にする。システム320は、電動駆動によって作業場所のどの位置に動かされてもよく、4つのホイール328のうちの少なくとも2つは、舵取りを可能にするよう設けられている。テーブル322は、安定性を高めるために、短軸において長いホイールベースを作成するよう深くなっている。この実施例では、テーブルの前方は、その深い形状にもかからず、施術者によるより人間工学的な使用を可能とするように、弧状の切欠き352を有している。
【0136】
システム320は、別々の床搭載ジブブームおよび後方テーブルよりも有利である、ということが実証され得る。なぜなら、テーブルの周りで作業する場合よりも、はるかに大きい空間が節約され、また設計によって支柱をどの場所にも配置することが可能であり得るためである。これは、より短いブームが使用区域に到達することを可能にし、それを動かす力の減少、ならびに、ブームおよびベースのよりかさの低い構成を可能にする。同様に、天井の障害物がより長いブームを必要とし得る天井搭載システムよりも、支持体をより近くに位置付けることも可能であり得る。それはまた、天井トラックの必要性をなくす。なぜなら、支柱は、テーブルを動かすことによって動かされ得るためである。このシステムの多くの変形が可能であり、異なる形状のフレームまたはテーブル、異なる数の床接点またはホイール、天井または床ドッキングといった他のどこかで説明したさまざまな機構のいずれかを含む支柱の機能、従来のトロリーとトロリーの直下のバランサ構成とを有する従来のブーム、電動駆動の欠如、あらゆるタイプのロボットアーム、ホロノミックアーム、または関節アームシステム、もしくは図20に示すようにテーブル/スタンドから水平に延びて非頭上で取付けられるアーム、または放射線防護システムの釣合いを取る多くの機構のいずれかを含む。
【0137】
入れ子式ブームは、図22に示すような画像増強器といった頭上の障害物に遭遇した場合に、ブームの端が引っ込められることを可能にする、という利点を有する。図29での入れ子式ブーム設計では、施術者はブームの端の直下におり、そのためブームの端は、施術者の真上にない物体と衝突しないであろう。ここまで説明してきた可動式フロアスタンドシステムおよび/またはマニピュレータタイプのアームの可能な修正および変形は、たくさんある。しかしながら、以下の例示的な実施例は、この発明の範囲および精神に関して、ここに記載の開示または請求項の範囲を限定するよう解釈されるべきではない。
【0138】
所望の別の安定化および安全機構が、可搬式で床ベースの懸架システムに内蔵可能である場合、ベース、スタンド、またはテーブルは、構成要素を介して床に付着可能であり、その構成要素は、それを把持する床の機構へと滑り落ちるものである。これは、挿入されたテーブル構成要素−たとえばロッドまたは鍵−を把持するための内部の歯または何らかの他の機械的結合システムを有する、床の穴であってもよい。これらの機構が複数採用されてもよい。テーブルを床にロックする動作が、テーブルトップ上の別のロックを解除するための必要な機構であってもよく、それは、関節/マニピュレータ/釣合いアームがテーブル上方のそのドッキング位置から外に揺動することを可能にする。アームはその場合、施術のために放射線シールド/衣服を懸架するために使用可能である。使用後、シールド/衣服/エプロンを懸架するアームは次に、テーブルトップ上方に戻るように揺動されてもよく、そのため、床にロックしなくても、テーブル、アーム、および衣服は安定している。テーブル上方でドッキングされると、すべての構成要素を適所に保つようにロックが自動的に起動してもよい。所望すれば、ドッキングしロックする動作はまた、同時に床のロック/結合機構を無効化してそれがロック解除されるようにしてもよく、こうして床からテーブルを解除して、それが動かされるようにする。
【0139】
上述のように、図19〜29は、装置の重量のかなりの部分が床によって支持されているさまざまな懸架型放射線防護装置を示しているが、この発明の範囲内で多くの代替的な実施例が可能であることが考えられる。なお、代替的な実施例は、ここに開示されたさまざまな構成要素を含んでいてもよい。たとえば、ここに開示された頭上型または非頭上型の異なる懸架システムのいずれも、どの装置でも使用されてもよい。関節アームが説明されている場合にジブアームが使用されてもよく、逆もまた同様である。電動の構成要素は、テーブルまたはスタンドの動き、もしくはトロリーなどの懸架構成要素の動きを容易にしてもよい。ベルトなど、ホイールに加えて当該技術分野において周知の他の装置を用いて、テーブルの動きを容易にしてもよい。テーブルを支持し誘導するトラックが床にあってもよく、テーブルは、ホイール、ローラ、または他の一般的な機構に載ってトラックに載っていてもよい。テーブルまたはスタンドは、1つ以上の脚または構成要素を床の固定場所に確実に、取外し可能に取付けることによって安定化されてもよく、一旦取付けられると、テーブルまたはスタンドは、摺動したり床を中心として転がったりしないであろう。これはまた、片持ち梁式の荷重によって転倒しないよう、テーブルを安定化させ得る。
【0140】
考えられるさまざまな実施例では、装置が載ったり、摺動したり、または転がったりするトラックへの、取外し可能なまたは取外しできない接続によって、安定性が提供されてもよい。スタンドまたはテーブルの脚または底に位置付けられたホイール、ローラ、またはベアリングが、床に取付けられた、または床に埋込まれたトラックの内部で摺動したり転がったりすることが可能であってもよい。このトラックは床に固定可能に取付けられてもよく、そのため、テーブルまたはスタンドは、一旦トラックに係合されると、実質的な力なしで床から引離すことができず、したがって、傾いたり転倒したりしないであろう。この係合は永続的であっても半永続的であってもよく、当該技術分野において広く公知である機構を用いて達成されてもよい。装置の偶発的な脱落および不安定化を防止するために、機械的ロックまたは戻り止めなどの安全機構が採用されてもよい。同様に、ここに開示されたシステムを安定化させるために、単一のトラックまたは複数のトラックが使用されてもよい。単一トラックの場合、それは、懸架された荷重とは反対のテーブルの脚または側に取付可能であってもよく、その側が持ち上がることを防止する。
【0141】
安定化はまた、異なる手段を通して提供されてもよい。スタンド、ベース、テーブル、または懸架された装置の残りから離れた場所に、釣合い重りが存在してもよい。たとえば、それは懸架された装置に対して反対の方向に延びる硬質アームに取付けられてもよく、こうしてそれの釣合いを取る。それは、施術者の動きから離れたままとなるように、頭の高さの上方に位置付けられてもよい。それは、部屋のより高いところにある障害物から離れるように、より低くに位置付けられてもよい。必要な釣合い効果を提供しつつ、各適用場所または施術場所の他の物流検討事項に対処するように、重りとアーム長さとの組合せが選択されてもよい。釣合いアームは静止していてもよく、または、それは、その位置の最適化を可能にするよう可動であってもよい。それは、システムの使用中に理想的な釣合い位置に留まるように、懸架された放射線防護装置用のアームとつながれてもよい。
【0142】
さまざまな実施例を参照してこの発明を特に図示し、説明してきたが、形状および詳細におけるさまざまな変更が、この発明の精神および範囲から逸脱することなくここでなされてもよい、ということが、当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護装置であって、
実質的に施術者の身体に合うよう形成された衣服を含み、衣服は、放射線の実質的な部分から施術者を防護するよう動作可能であり、前記防護装置はまた、
実質的に施術者の身体に合うよう形成されたフレームを含み、フレームは、衣服を支持するよう動作可能であり、また、施術者がいない場合にその実質的に合うよう形成された形状を実質的に維持するよう動作可能であり、前記防護装置はまた、
防護装置を支持するよう動作可能な懸架アセンブリを含む、防護装置。
【請求項2】
懸架アセンブリは、
a) トロリー、
b) 関節アーム、
c) バランサ、
d) 反動アーム、
e) 延長アーム、
f) ジブクレーン、
g) ワイヤロープ、
h) ブリッジクレーン、および
i) マニピュレータアーム
からなる群からの構成要素の群から選択される1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
施術者と防護装置との係合を提供するよう動作可能な結合アセンブリをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
結合アセンブリは、フレームまたはその周囲に取付けられた結合構成要素を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
結合アセンブリは、施術者の身体またはその周囲に取付けられた第2の結合構成要素を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
結合アセンブリは、衣服またはその周囲に取付けられた結合構成要素を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
結合アセンブリは、施術者を防護装置に取外し可能に固定するよう動作可能な嵌め込み接続部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
結合アセンブリは、施術者を防護装置に取外し可能に固定するよう動作可能な摩擦接続部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
結合アセンブリは、施術者を防護装置に取外し可能に固定するよう動作可能な磁気接続部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
結合アセンブリは、施術者を防護装置に取外し可能に固定するためのフックおよびループ締結具を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
懸架アセンブリの少なくとも1つの構成要素を実質的に動かなくするよう動作可能なロック機構をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
フレームに取外し可能に固定された光源をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
フレームに可動に固定されたフェースシールドをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
懸架システムは、固定面にしっかりと接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
懸架システムは、固定点に柔軟に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
懸架システムは、少なくとも1つの回転可能なアームを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
懸架システムは、少なくとも1つの回転可能な継手を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
懸架システムは、可動式フロアスタンドをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つのホロノミックマニピュレータアームをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
防護システムは、少なくとも1つの自由度での運動を可能にする、放射線防護システムの重心の実質的近傍にある継手を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
フレームと懸架システムとは、少なくとも1つの枢動継手接続部を用いてともに固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
フレームと懸架システムとは、少なくとも1つの回転可能なピッチ軸接続部を用いてともに固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
フレームは、実質的に硬質である、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
フレームは、実質的に可撓性である、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
フロアスタンドは、可動式フロアスタンドを床面にドッキングするための手段を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
可動式フロアスタンドは、後方テーブルと一体化されている、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
ジブ‐ブームシステムをさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
可動式フロアスタンドシステムの転倒を防止するよう、可動式フロアスタンドシステムからの放射線防護システムの分離を防止するための安全機構をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項29】
フレームに固定され、放射線の実質的な部分から施術者を防護するよう動作可能な衣服を含む放射線防護システムを、懸架アセンブリを用いて懸架するステップと、
フレームの一部を施術者の身体に合うよう形成するステップと、
施術者を防護システムと係合するステップとを含む、方法。
【請求項30】
防護システムは、フェースシールドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
防護システムは、結合アセンブリを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ロック機構を用いて防護システムを動かなくするステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
懸架アセンブリは、構成要素の群からの選択された1つであり、前記群は、
a) トロリー、
b) 関節アーム、
c) バランサ、
d) 反動アーム、
e) 延長アーム、
f) ジブクレーン、
g) ワイヤロープ、および
h) ブリッジクレーン
からなる、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
結合アセンブリは、防護システムまたはその周囲に取付けられた結合構成要素を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
結合アセンブリは、施術者の身体またはその周囲に取付けられた結合構成要素を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
結合アセンブリは、第1および第2の結合構成要素間にしっかりした接続を形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
結合アセンブリは、第1および第2の結合構成要素間に柔軟な接続を形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
施術者は、防護システムの近傍へ動くことによって防護システムと係合する、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
施術者は、フレームを押して遠ざけることによって防護システムと係合解除する、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
施術者は、電磁石を起動し、または無効化することによって防護システムと係合する、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
施術者は、電磁石を起動し、または無効化することによって防護システムと係合解除する、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
施術者は、嵌め込み結合要素同士を結合することによって防護システムと係合する、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
施術者は、嵌め込み結合要素同士を切離すことによって防護システムと係合解除する、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
結合アセンブリは、
a) フックおよびループ締結具、
b) 摩擦締結具、
c) 機械的締結具、
d) 磁気締結具、および
e) 電磁締結具
からなる群から選択された1つである、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
防護システムに取外し可能に固定されたランプを設けるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項46】
防護システムに取外し可能に固定された環境制御装置を設けるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項47】
防護システムに取外し可能に固定された器具ホルダを設けるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
懸架アセンブリは、可動式フロアスタンドに取外し可能に接続されている、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
防護システムは、少なくとも1つの自由度での運動を可能にする、放射線防護システムの重心の実質的近傍にある継手を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項50】
フレームと懸架アセンブリとは、少なくとも1つの枢動継手接続部を用いてともに固定される、請求項29に記載の方法。
【請求項51】
フレームと懸架アセンブリとは、少なくとも1つの回転可能なピッチ軸接続部を用いてともに固定される、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
懸架アセンブリは、医療施術用後方テーブルと一体化された可動式フロアスタンドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項53】
懸架アセンブリは、床に取外し可能に固定された可動式フロアスタンドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項54】
懸架アセンブリは、天井に取外し可能に固定された可動式フロアスタンドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項55】
懸架アセンブリは、固定面に取外し可能に固定されている、請求項29に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図1】
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【図5A】
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【図5B】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−517064(P2013−517064A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549119(P2012−549119)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/021330
【国際公開番号】WO2011/088341
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512185165)インターベンコ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】INTERVENTCO, LLC
【Fターム(参考)】